説明

高ひずみ速度下における優れた衝撃抵抗および改善された突発的破壊抵抗を持つフィルム

欠陥伝播に対する抵抗性も呈する一方で良好な穿刺および衝撃抵抗を呈するストレッチフィルムが望まれる。本発明のフィルムは、少なくとも約200パーセントの極限伸び、少なくとも約700gms/ミルのダート衝撃強さ、および極限伸び値の少なくとも約95パーセントの突発的破壊伸び(約5パーセント又はそれ以下のCF)を有する。このフィルムは、好ましくは少なくとも3層を含んでなり、好ましくは少なくとも50重量パーセントのポリエチレンポリマーを含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
物品のオーバーラップ包装、特にパレットに載せられた積荷の一括包装に熱可塑性ストレッチラップフィルムを使用することは、一般的にポリエチレンを含むポリマーフィルムにおいて商業的に大きな用途である。複数の物品をオーバーラップ包装して、一括化された積荷を提供することは、種々の方法により達成できる。一つの方法においては、ラップ対象の積荷をプラットホームまたはターンテーブル上に置き、回転させ、その過程で連続ロールから供給されるストレッチラップフィルムが取り出される。オーバーラップ層として回転する積荷の周りをラップするに従って、フィルムに延伸力または張力が連続的にかかるように、ブレーキ張力がフィルムロールに印加される。一般に、ストレッチラップフィルムは、回転するパレット積荷に隣接して位置決めされた垂直に配置されたロールから供給される。1分当たり5〜50回転の回転速度が一般的である。オーバーラップ操作の完結時には、ターンテーブルは完全に停止され、フィルムは切断され、タックシール、接着テープ、スプレー接着剤を用いてフィルムの下地層に取り付けられる。ストレッチラップロールの幅に依って、オーバーラップ対象の積荷は、垂直に配置されたフィルムロールが固定された位置にとどまったままフィルム中で被覆可能である。別法としては、フィルムロールは、例えば比較的狭幅のフィルム幅と比較的広幅のパレット積荷の場合には、積荷がオーバーラップされるに従って垂直方向に移動させられ、それによって包装される物品にらせん状のラッピング効果を得ることができる。
【0002】
業界において、現在受け入れられるもう一つのラッピング方法は手によりラッピングするものである。この方法においては、このフィルムはロール上に配置されるが、ラッピング対象の物品の周りを歩いて、フィルムを物品に貼付する操作者により携帯される。
【0003】
歴史的には、高性能のストレッチフィルムは、メタロセン触媒を用いて製造される直鎖低密度ポリエチレン(m−LLDPE)により、最も多くの場合m−LLDPEを内層に配置して製造されてきた。このようなフィルムは、チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造される更に伝統的なLLDPEにより製造される相当品に対して著しく改善された穿刺および衝撃抵抗、ならびに改善されたフィルム透明性を示すものであった。個別層として、あるいは多層ストレッチフィルムの個別層中のブレンド成分として多量(100重量パーセントまでの)のm−LLDPEを使用するストレッチフィルムは、欠陥を更に容易に伝播させ、ウエブの破壊を生じる。この欠陥伝播は、突発的フィルム破壊とも呼ばれるが、高濃度のm−LLDPEを含有して、靭性を最大とするフィルム構造の開発を除外してきた。
【発明の開示】
【0004】
従って、欠陥伝播に対する抵抗性も呈する一方で良好な穿刺および衝撃抵抗を呈するストレッチフィルムが望まれる。本発明のフィルムは、少なくとも約200パーセントの極限伸び、少なくとも約700gms/ミルのダート衝撃強さ、および極限伸び値の少なくとも約95パーセントの突発的破壊伸び(約5パーセント又はそれ以下のCF)を有する。このフィルムは、好ましくは少なくとも3層を含んでなり、そして好ましくは少なくとも50重量パーセントのポリエチレンポリマーを含んでなる。本発明のフィルムはストレッチフィルムである。従って、これらは少なくとも約200パーセントの極限伸びを有する。好ましくは、フィルムは、少なくとも250パーセントの、更に好ましくは少なくとも300パーセントの極限伸びを有し、そして約370パーセントにもなることができる。好ましくは、このストレッチフィルムは均質なポリマー成分を含んでなる。更に好ましくは、このストレッチフィルムは、商用の押出量で、例えば少なくとも約6ポンド/時/インチ・ダイ幅の速度で製造される。
【0005】
極限伸び(または「US」)は、Highlight Industries(2694 Prairie Street SW,Wyoming,MI49509)から市販されているHighlight Test Standにより求められる。この場合、フィルムは0パーセント延伸からスタートし、そしてフィルムが破断(極限伸びパーセントとして知られる)するまで伸ばされ、そしてこの試験スタンドにより表示され、グラフ化される。極限伸びはこのフィルムの厚さに依存し、上記の好ましいものは約0.7ミルの厚さを有するフィルムに対応するということを理解すべきである。図1はこのような試験装置用のフィルム経路図を示す。この図においては、フィルムマンドレルにおける点線は、このフィルムがどちらの方向でも送り込まれ得るということを示す(片面の粘着フィルムは粘着面が第1のアイドラーローラーに対照するように送り込まれなければならない)。巻き取りマンドレル(図では反時計周りに回転する)における実線(A)は、極限、品質、破壊/ロールおよびローラー保持試験に対する好ましい経路を示し、点線(B)は穿刺および保持試験に対する好ましい経路を表す。
【0006】
本発明のフィルムは3ミル(0.0762mm)までの厚さ、好ましくは0.4ミル(0.0102mm)〜1.0ミル(0.0254mm)の範囲の厚さ、そして更に好ましくは約0.7ミル(0.0178mm)の厚さであり得る。
【0007】
本発明のフィルムは単層であることができるが、更に好ましくは3層又はそれ以上である。このフィルムが多層構造である場合には、この層は任意の所望の厚さの、そして任意の所望のポリマー組成物のものであり得る。隣接した層を含む2又はそれ以上の層が同じであり得るということを理解すべきである。
【0008】
本発明のフィルムは、比較的高いダート衝撃強さを有する。ダート衝撃強さはASTM D1709を用いて定量可能である。本発明のフィルムは、0.7ミルのフィルムに対してはASTM(ダートA)により測定して少なくとも300グラムのダート衝撃強さを有する。更に好ましくは、このフィルムは、0.7ミルのフィルムに対して400グラム又はそれ以上の、最も好ましくは500グラム以上のダートA値を有する。0.7ミル以外の厚さに対しては、ダート衝撃強さとフィルム厚さの間の関係は直線的であるとは考えられないが、ダート衝撃強さは約430グラム/ミル以上、更に好ましくは約570グラム/ミル以上、そして最も好ましくは約700グラム/ミル以上であることが一般に好ましい。
【0009】
本発明のフィルムは突発的破壊に対しても抵抗性がある。突発的破壊は、Highlight Industries,Inc.により製造された装置を用いるHighlight Ultimate Stretch Tester Puncture Testを用いて測定可能であり、そしてHighlight Stretch Testerの製品文献および操作マニュアルにより行われる。Statutory Invention Registration US H2073において欠陥伝播抵抗性試験とも呼ばれるこの方法においては、このフィルムを漸増する量で延伸して、極限伸びパーセントを求める。ある増加されたパーセントの延伸において、Highlight Stretch Tester Puncture Testにより欠陥が導入される。パーセント延伸を増加させるのに従って、ある点において、このフィルムは、穿刺点で開始し、フィルムの連続性を破壊する突発的破壊を起こす。突発的破壊が観察されるパーセント伸びはこの明細書では「CS」と呼ばれる。上記のように、図1はこのような装置用のフィルム経路図を示す。
【0010】
突発的破壊に対する抵抗性は、極限伸びパーセント引く突発的破壊ストレッチパーセントを極限伸びパーセントにより割った比を用いて、特性化可能である。この比は、この明細書ではこれ以降「CF」と表されるが、パーセントで表され、そしてこの明細書では100×(US−CS)/USを意味するように定義される。このように、例えばフィルムに対する極限伸びが300パーセントであり、Highlight Stretch Puncture Testにおいて突発的破壊を観察する伸びが270パーセントである場合には、CFは10パーセントである。
【0011】
本発明のフィルムは、5パーセント又はそれ以下のCF、更に好ましくは4パーセント又はそれ以下のCF、そして最も好ましくは3パーセント又はそれ以下のCFを有する。
【0012】
もう一つの態様においては、本発明は、少なくとも200パーセントの極限伸び、少なくとも430gms/ミルのダートA、および5パーセント又はそれ以下のCFを有し、そして少なくとも3層を含むストレッチフィルムであって、非スキン層がプロピレンポリマーを含んでなり、そして少なくとも1つの他の層がエチレンポリマー組成物を含んでなり、この組成物が
(A)(i)0.89g/cm3〜0.935g/cm3の密度;
(ii)0.001g/10分〜10g/10分のメルトインデックス(I2);
(iii)1.3よりも大きいか、あるいは等しい歪硬化係数の勾配;および
(iv)50パーセントよりも大きい組成分布インデックス(CDBI)
を有する少なくとも1つのエチレンインターポリマーを10重量パーセント(全組成の)〜95重量パーセント(全組成の);および
(B)0.93g/cm3〜0.965g/cm3の密度と昇温溶離分別法(TREF)を用いて測定して直鎖ポリマー区分を有する少なくとも1つのエチレンポリマーを5重量パーセント(全組成の)〜90重量パーセント(全組成の)
含んでなるストレッチフィルムである。
【0013】
更にもう一つの態様においては、本発明は、少なくとも200パーセントの極限伸び、少なくとも430gms/ミルのダートA、および5パーセント又はそれ以下のCFを有し、そして少なくとも3層を含むストレッチフィルムであって、非スキン層がプロピレンポリマーを含んでなり、そして少なくとも1つの他の層がエチレンポリマー組成物を含んでなり、この組成物が
(A)(i)0.89g/cm3〜0.935g/cm3の密度;
(ii)0.001g/10分〜10g/10分の、好ましくは0.001g/10分〜1g/10分の、更に好ましくは0.001g/10分〜0.5g/10分のメルトインデックス(I2);
(iii)Mw/Mnが2〜4の分子量分布;および
(iv)50パーセントよりも大きい組成分布インデックス(CDBI)
を有する少なくとも1つのエチレンインターポリマーを10重量パーセント(全組成の)〜100重量パーセント(全組成の);および
(B)任意で、0.93g/cm3〜0.965g/cm3の密度と昇温溶離分別法(TREF)を用いて測定して直鎖ポリマー区分を有する少なくとも1つのエチレンポリマーを5重量パーセント(全組成の)〜90重量パーセント(全組成の)
含んでなるストレッチフィルムである。
【0014】
なお更にもう一つの態様においては、本発明は、少なくとも200パーセントの極限伸び、少なくとも430gms/ミルのダートA、および5パーセント又はそれ以下のCFを有し、そして少なくとも3層を含むストレッチフィルムであって、非スキン層がプロピレンポリマーを含んでなり、そして少なくとも1つの他の層がエチレンポリマー組成物を含んでなり、この組成物が
(A)約3未満の分子量分布を有し、そして中位の全モルコモノマー含量の50パーセント内にコモノマー含量を有するポリマー分子の重量パーセントが約50パーセントを超え、
2未満あるいはこれに等しいメチル基/1000個炭素の分岐度が約15パーセント(重量)又はそれ以下であるとして定義される狭い組成分布幅インデックス(CDBI)を有し、成分AおよびBの合体重量基準で15〜85重量パーセントの量で存在するインターポリマーA;および
(B)分子量分布が3以上で、組成分布が広く、このインターポリマー組成物中に存在する2未満あるいはこれに等しいメチル基/1000個炭素の分岐度が約10パーセント(重量)又はそれ以上で、25より上あるいはこれに等しいメチル基/1000個炭素の分岐度が約25パーセント(重量)又はそれ以下であり、成分AおよびBの合体された重量基準で15〜85重量パーセントの量で存在するインターポリマーB
を含んでなるストレッチフィルムである。好ましくは、最後の3つの実施形態に述べられたエチレン組成物はスキン層を含んでなる。
【0015】
このフィルムは、指定の衝撃抵抗と突発的破壊に対する抵抗性を有するストレッチフィルムを得る能力のある、任意のポリマーからも製造可能である。このフィルムはポリエチレンホモポリマーあるいはコポリマーからなることが一般に好ましく、好ましくはこのようなポリマーはこのフィルムの少なくとも約50重量パーセントを占める。ポリエチレンホモポリマーは、気相、スラリーおよび溶液で製造されるホモポリマーを含めたすべてのタイプのホモポリマーを含む。ポリエチレンコポリマーは、エチレン/C3−C20アルファ−オレフィン、特にエチレン/1−ヘキセンコポリマー、エチレン/4−メチル−1−ペンテンコポリマー、およびエチレン/1−オクテンコポリマーを含む。有利なこととしては、ポリエチレンのタイプ、コポリマーおよびホモポリマーの両方が性質の所望の組み合わせ、例えば透明性および粘着性に対して選択可能である。これらのタイプのポリエチレンは、メタロセンポリエチレン、例えば開示がすべて引用により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,278,272号および米国特許第5,272,236号で述べられているもの、ならびにチーグラー・ナッタポリエチレン、例えば開示がすべて引用により本明細書に組み込まれている、米国特許第4,076,698号に述べられているものを含む。勿論、フィルム製造分野の当業者ならば、最適なフィルム性能、ならびに所望される物理的性質には分子量が選択されるということを知っている。同様に、所望のフィルム剛性を含む性能にはポリマー密度も選択される。キャストフィルムが好ましいが、種々のフィルム製造方法、例えばブロー、キャストおよび押し出しコートが使用可能である。系内反応器「ブレンド」も本発明のフィルム構造物において有用である。このポリマー材料は、開示が引用により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,844,045号と米国特許第6,111,023号で述べられている。
【0016】
このようなフィルム構造物は、従来の加工方法、例えば単純バブル押し出し、二軸配向法(テンター枠あるいはダブルバブル法などの)、単純なキャスト/シート押し出し、共押し出し、積層などにより製造され得る。従来の単純バブル押し出し法(高温ブローフィルム法としても知られている)は、例えば引用により本明細書に組み込まれている、「The Encyclopedia of Chemical Technology」, Kirk−Othmer,Third Edition,John Wiley & Sons,New York,1981,Vol.16,pp.416−417およびVol.18,pp.191−192で述べられている。二軸配向フィルム製造方法、例えば米国特許第3,456,044号(Pahlke)の「ダブルバブル」法と、米国特許第4,352,849号(Mueller)、第4,820,557号および4,837,084号(Warren)、米国特許第4,865,902号(Golikeら)、米国特許第4,927,708号(Herrenら)、米国特許第4,952,451号(Mueller)、および米国特許第4,963,419号および5,059,481号(Lustigら)で述べられている方法も本発明の新規なフィルム構造物の製造に使用可能である。
【0017】
ポリエチレン以外のポリマーも本発明で有利に使用可能である。プロピレンポリマーは、ランダムおよび衝撃性コポリマー、例えばプロピレン/エチレンコポリマーを含むポリプロピレンホモポリマーおよびコポリマーを含み、本発明での使用に特に適している。ASTM D882により測定して約150,000psi又はそれ以下の2パーセント割線モジュラスを有するプロピレンポリマーが好ましい。プロピレンポリマーは、ExxonMobil(VISTAMAXX(登録商標))、およびThe Dow Chemical Company(例えば、INSPIRE(登録商標)およびVERSIFY(登録商標))から市販されているものを含む。特定の用途においては、このフィルム構造の1又はそれ以上の層がスチレン系ブロックコポリマー(SBS、SEBS、SIS、SIBSなど)、EPDMゴムまたはEPR、またはマルチブロックコポリマー、例えばポリウレタン、ポリエーテルおよびポリアミドをベースとする熱可塑性エラストマーを含んでなることも望ましいこともある。本発明において有用なプロピレンポリマーにおいては、このポリマーは少なくとも50パーセント(重量)のプロピレンモノマー単位を含んでなる。
【0018】
この明細書で開示されている組成を含んでなるストレッチフィルムも少なくとも1つの非表面層(非スキン層としても知られている)が少なくとも1つのプロピレンポリマーを含んでなる本発明の範囲内である。
【0019】
もう一つの態様においては、本発明は、エチレンポリマーを含む少なくとも一つの層を含んでなり、少なくとも5000psiの破断時の引っ張り応力と少なくとも200パーセントの極限伸び、少なくとも430gms/ミルのダートA、および5パーセント又はそれ以下のCFを有するストレッチフィルムである。好ましくは、このフィルムは、少なくとも1つのプロピレンポリマーを含んでなる非表面層を含む。
【0020】
更にもう一つの態様においては、本発明は、エチレンポリマーを含む少なくとも一つの層を含んでなり、少なくとも5000psiの破断時の引っ張り応力と少なくとも200パーセントの極限伸び、および5パーセント又はそれ以下のCFを有するストレッチフィルムである。好ましくは、このフィルムは、少なくとも1つのプロピレンポリマーを含んでなる非表面層を含む。
【0021】
多層フィルムにおいては、内層に使用される組成物の選択は、外層用のポリマー組成物よりもCF値に大きな影響を及ぼすように見えるということが観察された。このように、1又はそれ以上のこのフィルムのコア(または非表面)層は、0.9g/cc〜0.96g/ccの密度;ASTM D1238、条件190℃/2.16kgにより測定して0.5g/10分〜10g/10分のメルトインデックス;および2.5〜4.5の分子量分布を有することを特徴とする、不均質に分岐したポリエチレンを含んでなるということが好ましい。
【実施例】
【0022】
3台の2.5インチおよび2台の2.0インチのL/D30:1のEgan Model MAC6530空冷押し出し機からなる5層Eganキャストフィルムライン上で全キャストフィルム試料を作製する。この評価中に、Chlorenの5層の調整可能なベーンフイードブロックおよび36インチのEPOCH IIIオートゲージの0.020インチのダイギャップの5.1コートハンガーダイを使用する。樹脂および送入速度に基づいて押し出し機バレル温度を調整して、一定のメルト温度を維持する。ダイ域温度はポリマーメルト温度のほぼ525゜Fに対応する。NDC厚さゲージを用いてフィルム厚さ(0.7ミル)を測定しながら、ライン速度をCMR2000マイクロプロセッサーにより700fpmで制御する。一次および二次のチルロール温度の両方を一定の70゜Fで保持する。すべての試料に対してエアギャップをほぼ3.5”で維持する。エアナイフを使用して、フィルムをチルロールに固定する。
【0023】
ASTM D882で述べられているように極限引っ張り歪パーセントと極限引っ張り応力を試験する。Highlight Industries,Inc.により製造されているHighlight Test Standを用いて、極限伸びと突発的破壊パーセントを得る。ASTM D1709で述べられているように、ダートA衝撃抵抗を測定し、そして非延伸フィルムについて試験する。
【0024】
次の実施例においては、樹脂Aは、約1.85g/10分のメルトインデックスと約0.910g/ccの密度を有する約51パーセント(重量)のメタロセン成分および約5.04g/10分のメルトインデックスと約0.923g/ccの密度を有する約49パーセントのチーグラー・ナッタ成分を含んでなるコポリマーである;この最終ポリマー組成物は約4.0g/10分のメルトインデックスと約0.916g/ccの密度を有する。このようなポリマーは、開示が引用により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,844,045号、米国特許第5,869,575号、米国特許第6,448,341号により製造可能である。メルトインデックスはASTM D1238、条件190℃/2.16kgにより測定され、そして密度はASTM D−792により測定される。
【0025】
樹脂Bは、ExxonMobil CompanyからExceed(登録商標)3518として市販されている、0.918g/ccの密度と3.5g/10分のメルトインデックス(190゜)(ASTM D1238)を有するエチレンポリマーである。
【0026】
樹脂CはThe Dow Chemical Companyからのユニポール法により製造される、0.90g/ccの密度と8.7g/10分のメルト流量(230℃)(ASTM D1238)を有するホモポリマーポリプロピレンである。
【0027】
樹脂Dは85重量パーセントの樹脂CおよびDowからのINSITE*Technologyにより製造される、0.87g/ccの密度と5.0g/10分のメルトインデックス(190℃)(ASTM D1238)を有する15パーセントのエチレンプラストマーのブレンドである。この樹脂はThe Dow Chemical CompanyからAFFINITY(登録商標)EG8200として市販されている。
【0028】
樹脂Eは溶液法により製造されている、0.941g/ccの密度と4.0g/10分メルトインデックス(190℃)(ASTM D1238)を有する直鎖の低密度ポリエチレンである。この樹脂はThe Dow Chemical CompanyからDOWLEX(登録商標)2027Gとして市販されている。
【0029】
比較例1および3と実施例1および2に対して、10/35/10/35/10の層比の樹脂A/樹脂A/コア層/樹脂A/樹脂Aからなる一連のフィルムを作製した。比較例2においては、フィルムは5層すべてにおいて樹脂Bからなるものであった。比較例4においては、フィルムは10/35/10/35/10の層比の樹脂E/樹脂A/樹脂A/樹脂Aからなるものであった。これらのフィルムの性能を下記の表Iにおいて比較する。

【表I】

【0030】
比較例1と比較例2は、<305パーセントの望ましくない低さの突発的破壊歪値(CS)と望ましくない高さの突発的破壊値(CF)(>10パーセント)を示した。比較例3は、望ましくない低さの衝撃抵抗(<300グラム)を示した。本発明の実施例1は、高い突発的破壊歪(364パーセント)と良好なダート衝撃強さ(668グラム)を示した。本発明の実施例2は、高い突発的破壊歪(341パーセント)と許容可能なダート衝撃強さ(306グラム)を示した。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1はパラメーター、例えばフィルムの極限伸びおよび突発的破壊を求めるための試験装置に好適なフィルム経路を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも200パーセントの極限伸び、少なくとも430gms/ミルのダートA、および5パーセント未満のCFを有するストレッチフィルム。
【請求項2】
前記フィルムが3又はそれ以上の層を有する請求項1に記載のストレッチフィルム。
【請求項3】
前記フィルムが少なくとも50重量パーセントのポリエチレンを含んでなる請求項1に記載のストレッチフィルム。
【請求項4】
前記フィルムが0.4〜3ミルの範囲の厚さである請求項1に記載のストレッチフィルム。
【請求項5】
前記フィルムが0.7〜3ミルの範囲にある請求項4に記載のストレッチフィルム。
【請求項6】
570gms/ミルを超えるダートAを有する請求項1に記載のストレッチフィルム。
【請求項7】
700gms/ミルを超えるダートAを有する請求項1に記載のストレッチフィルム。
【請求項8】
3パーセント又はそれ以下のCFを有する請求項1に記載のストレッチフィルム。
【請求項9】
少なくとも300パーセントの極限伸びを有する請求項1に記載のストレッチフィルム。
【請求項10】
少なくとも1つの非表面層が
0.9g/cc〜0.96g/ccの密度;
ASTM D1238に従って測定され、条件190℃/2.16kgのもと、0.5g/10分〜10g/10分のメルトインデックス;および
2.5〜4.5の分子量分布;
を有することを特徴とするポリエチレンを含んでなる請求項2に記載のストレッチフィルム。
【請求項11】
少なくとも1つのプロピレンポリマーを含んでなる少なくとも1つの非表面層を有する請求項1に記載のストレッチフィルム。
【請求項12】
均質なポリマー成分を含んでなる請求項1に記載のストレッチフィルム。
【請求項13】
前記フィルムが少なくとも約6ポンド/時/インチのダイ幅の押出量で製造される請求項1に記載のストレッチフィルム。
【請求項14】
エチレンポリマーを含む少なくとも一層を含んでなり、少なくとも5000psiの破断時の引っ張り応力および少なくとも200パーセントの極限伸びと5パーセント又はそれ以下のCFを有するストレッチフィルム。
【請求項15】
少なくとも430gms/ミルのダートAを有することを更に特徴とする請求項14に記載のストレッチフィルム。
【請求項16】
前記フィルムが少なくとも1つのプロピレンポリマーを含有してなる非表面層を含む請求項13に記載のストレッチフィルム。
【請求項17】
前記フィルムが少なくとも1つのプロピレンポリマーを含有してなる非表面層を含有する請求項14に記載のストレッチフィルム。
【請求項18】
少なくとも200パーセントの極限伸び、少なくとも430gms/ミルのダートA、および5パーセント又はそれ以下のCFを有し、そして少なくとも3層を含むストレッチフィルムであって、非スキン層がプロピレンポリマーを含んでなり、そして少なくとも1つの他の層がエチレンポリマー組成物を含んでなり、前記エチレンポリマー組成物が
(A)(i)0.89g/cm3〜0.935g/cm3の密度;
(ii)0.001g/10分〜10g/10分、好ましくは0.001g/10分〜1g/10分、更に好ましくは0.001g/10分〜0.5g/10分のメルトインデックス(I2);
(iii)1.3よりも大きいか、あるいは等しい歪硬化係数の勾配;および
(iv)50パーセントよりも大きい組成分布インデックス(CDBI)
を有する少なくとも1つのエチレンインターポリマーを10重量パーセント(全組成の)〜95重量パーセント(全組成の);および
(B)0.93g/cm3〜0.965g/cm3の密度と昇温溶離分別法(TREF)を用いて測定して直鎖ポリマー区分を有する少なくとも1つのエチレンポリマーを5重量パーセント(全組成の)〜90重量パーセント(全組成の)
含んでなるストレッチフィルム。
【請求項19】
少なくとも200パーセントの極限伸び、少なくとも430gms/ミルのダートA、および5パーセント又はそれ以下のCFを有し、そして少なくとも3層を含むストレッチフィルムであって、非スキン層がプロピレンポリマーを含んでなり、そして少なくとも1つの他の層がエチレンポリマー組成物を含んでなり、前記エチレンポリマー組成物が
(A)(i)0.89g/cm3〜0.935g/cm3の密度;
(ii)0.001g/10分〜10g/10分のメルトインデックス(I2);
(iii)Mw/Mnが2〜4の分子量分布;および
(iv)50パーセントよりも大きい組成分布インデックス(CDBI)
を有する少なくとも1つのエチレンインターポリマーを10重量パーセント(全組成の)〜100重量パーセント(全組成の);および
(B)任意で、0.93g/cm3〜0.965g/cm3の密度と昇温溶離分別法(TREF)を用いて測定して直鎖ポリマー区分を有する少なくとも1つのエチレンポリマーを5重量パーセント(全組成の)〜90重量パーセント(全組成の)
含んでなるストレッチフィルム。
【請求項20】
(A)が0.001g/10分〜1g/10分のメルトインデックスを有する請求項19に記載のストレッチフィルム。
【請求項21】
(A)が0.001g/10分〜0.5g/10分のメルトインデックスを有する請求項19に記載のストレッチフィルム。
【請求項22】
少なくとも200パーセントの極限伸び、少なくとも430gms/ミルのダートA、および5パーセント又はそれ以下のCFを有し、そして少なくとも3層を含むストレッチフィルムであって、非スキン層がプロピレンポリマーを含んでなり、そして少なくとも1つの他の層がエチレンポリマー組成物を含んでなり、前記組成物が
(A)中位の全モルコモノマー含量の50パーセント内にコモノマー含量を有するポリマー分子の重量パーセントが約50パーセント以上であること、2未満あるいはこれに等しいメチル基/1000個炭素の分岐度が約15パーセント(重量)又はそれ以下であること、そして前記インターポリマー組成物中に存在するアルミニウム残渣含量が約250ppm未満あるいはこれに等しいこととして定義され、成分AおよびBの合体重量基準で15〜85重量パーセントの量で存在する狭い分子量分布と狭い組成分布幅インデックス(CDBI)を有するインターポリマーA;および
(B)分子量分布および組成分布が広く、そして前記インターポリマー組成物中に存在する2未満あるいはこれに等しいメチル基/1000個炭素の分岐度が約10パーセント(重量)又はそれ以上で、25より上あるいはこれに等しいメチル基/1000個炭素の分岐度が約25パーセント(重量)又はそれ以下であり、成分AおよびBの合体された重量基準で15〜85重量パーセントの量で存在するインターポリマーB
を含んでなるストレッチフィルム。
【請求項23】
前記エチレンポリマー組成物がスキン層を含んでなる請求項18〜22のいずれかに記載のフィルム。


【図1】
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【公表番号】特表2007−514857(P2007−514857A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545686(P2006−545686)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/039823
【国際公開番号】WO2005/065945
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】