説明

高イオンおよび代謝産物フラックスを有するレンズおよび材料

例示的な実施形態では、約55重量%未満の平衡含水量を有するヒドロゲルを含む眼内レンズ、特に後房有水晶体レンズを作製するのに適した生体適合性ポリマー組成物を提供する。ヒドロゲルは、約1.41超の屈折率、および約16から約20μeq−mm/hr/cmの間のナトリウムイオンフラックスを有する。別の例示的な実施形態では、約68から約71重量%のN−ビニルピロリドン、および約28から約30重量%の2−フェニルエチルメタクリレートの重合生成物を含むポリマー組成物を提供する。この重合生成物は、約1.41超の屈折率、および約55重量%未満の平衡含水量を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年7月19日に出願された米国仮特許出願第60/950,782号に対する優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本明細書に記載される実施形態は、一般に、高い代謝産物フラックス(metabolite flux)を有するポリマーに関し、より詳細には、高いイオンフラックス(ion flux)および代謝産物フラックスを有する眼内レンズ材料に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
ヒトの水晶体は、その健康および透明性を維持するために、能動的な代謝輸送過程を有することが知られている。水晶体は、水晶体の前半分の上皮細胞中にナトリウム−カリウム細胞ポンプを含むことが実証されている。これらのポンプは、天然水晶体の前極から中央周辺に位置し、水晶体の後半分は、いずれのポンプも含まないことが知られている。水晶体の表面全体の周囲に位置したナトリウムおよびカリウムチャネルが存在する。イオンの流れは、眼球環境における恒常性を維持するために必要である。水晶体全体にわたるイオンの循環の破壊は、系の不均衡をもたらし、白内障に至る場合がある。
【0004】
場合によっては、患者が、視力の低下に遭遇する場合、眼内レンズの移植は、推奨される手順となり得る。ソフト眼内レンズは、侵襲性のより少ない手術を容易にするので、適切で可能であればソフト眼内レンズが好適である。一般に、ソフト眼内レンズは、2つの分類の材料、すなわち、アクリルまたはシリコーンから作製される。これらの材料のそれぞれは、親水性または疎水性となり得る。使用条件下で、材料が約5%超の水を含む場合、これは、一般に親水性とみなされる。それぞれの材料は、特定の種類の眼内レンズにおいて用途を見出す。一般的なヒドロゲル成分には、N−ビニルピロリドン(NVP)およびメタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)などが含まれる。場合によっては、平衡含水量は、ヒドロゲルの透過性と相関すると思われる。したがって含水量が高いほど、ヒドロゲルを通じた高いイオンおよび/または代謝産物フラックスが予期される。
【0005】
天然水晶体を除去することなく移植される有水晶体(phakic)眼内レンズとして知られる、特別な分類の眼内レンズでは、以下に説明するように、特に、イオンおよび代謝産物フラックスが考慮事項である後房有水晶体レンズの場合、ヒドロゲルは好適であることが多い。2つの主要な分類の有水晶体レンズ、すなわち天然水晶体のすぐ前の後房中に移植される後房有水晶体レンズ、および虹彩の前の前眼房中に移植される前方有水晶体レンズが存在する。
【0006】
有水晶体レンズは、天然水晶体を除去することなく移植されるので、天然水晶体の健康は、恒常性を維持するための栄養分の十分な供給によって維持されなければならない。後房有水晶体レンズの場合、有水晶体レンズ本体は、天然水晶体と虹彩の間に置かれ、これは、天然水晶体を往復する、硝子体中のイオンおよび/または代謝産物の流れを低減または妨害する場合がある。有水晶体レンズと天然水晶体の間の空間における、または有水晶体レンズの本体を通じた、イオンおよび代謝産物の十分な流れが欠如すると、白内障形成のリスクが増大する。疎水性レンズと比較して相対的に高いそのイオンフラックスのために、ヒドロゲルは後房有水晶体レンズにとって好適なレンズ材料である。合成有水晶体レンズ本体を通じたより高いイオンフラックスは、天然水晶体を往復するイオンおよび代謝産物のより大きな流速を可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記に指摘したように、より高いイオンおよび/または代謝産物フラックスは、場合によっては高い平衡含水量と相関することができる。しかし、より高い平衡含水量は、一般に、より大きなレンズ厚さとも相関し、薄いレンズがより望ましい。したがって、レンズを通じた高いイオンおよび代謝産物フラックスに対する要望と、所望のレンズ厚さとの間でバランスを取らなければならない。
【0008】
したがって、高いイオンおよび代謝産物フラックスを有し、生体適合性であり、有水晶体眼内レンズ材料としての使用に適した材料を開発することが望ましい。さらに、より薄い眼内レンズを可能にするために、高いイオンおよび代謝産物フラックス、および相対的に低い含水量を有する材料を開発することが望ましい。さらに、高いイオンおよび代謝産物フラックスを有するレンズおよび材料の他の望ましい特徴および特性は、添付の図面および前述の技術分野および背景技術とともに取り入れて、引き続く詳細な説明および添付の特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
例示的な実施形態では、約55重量%未満の平衡含水量を有するヒドロゲルを含む生体適合性ポリマー組成物を提供する。ヒドロゲルは、約1.41超の屈折率、および約16μeq−mm/hr/cm超のイオンフラックスを有する。
【0010】
別の例示的な実施形態では、約68から約71重量%のN−ビニルピロリドン、および約28から約30重量%の2−フェニルエチルメタクリレートの重合生成物を含むポリマー組成物を提供する。この重合生成物は、約1.41超の屈折率、および約55重量%未満の平衡含水量を有する。
【0011】
別の例示的な実施形態では、約68から約71重量%のN−ビニルピロリドン、および約28から約30重量%の2−フェニルエチルメタクリレートの重合生成物製の有水晶体後房眼内レンズを提供する。この重合生成物は、約1.41超の屈折率、および約55重量%未満の平衡含水量を有する。さらに、これは、約16から約20μeq−mm/hr/cmの間のイオンフラックスを有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ウサギ水晶体において白内障形成を引き起こすのを回避するための、レンズ材料の能力に対するイオンフラックスの効果を例示する棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明は、本質的に単に例示的であり、記載される実施形態、または記載される実施形態の用途および使用を限定することを意図していない。さらに、前述の技術分野、背景技術、課題を解決するための手段または以下の詳細な説明において、いずれの表した理論、または暗示した理論によって束縛される意図はない。
【0014】
明細書および特許請求の範囲において、用語「イオンフラックス」は、ナトリウムフラックスおよび塩化物フラックスを別々に測定し、次いでこの2つを一緒に加えることによって求められる全フラックスを意味する。高いイオンフラックスは、約16μeq−mm/hr/cm以上のフラックスを指す。イオンフラックスは、以下にここで記載される技法によって測定することができる。
【0015】
予備的事項として、後房有水晶体レンズについての主な設計方策の1つは、静的な状態で水晶体から可能な限り遠く離してレンズを配置することを伴う。これは、虹彩を前房に深く押し込むレンズをもたらす場合がある。したがって、この設計は、移植される有水晶体レンズを天然水晶体の上に浮かせ、この2つの間に流体層を残して、代謝産物が天然水晶体を往復して流れることを可能にする。天然水晶体に近接して有水晶体レンズを配置することは、白内障発生をもたらす場合があるか、もたらすことになる程度に、代謝産物の流れを乱す場合があると一般に考えられている。この考えは、多くの臨床研究において確認されている。
【0016】
反対に、本技術の実施形態は、高いイオンフラックスレンズ材料を提供し、これは、眼の代謝産物に対して非常に透過性であるので、これらの材料の有水晶体レンズは、天然水晶体に近接して配置することができ、それによって虹彩のいかなる変位も最小限にする一方で、有水晶体レンズ材料を通じた天然水晶体への高いイオンフラックスも可能にする。したがって、本レンズ材料は、十分に高いイオン透過性を有することによって、レンズ本体から天然水晶体への代謝経路を提供する。
【0017】
例示的な実施形態では、生体適合性の、高イオンフラックスおよび高代謝産物フラックス材料は、後房有水晶体眼内レンズを作製するのに適している。この材料は、約55重量%未満の平衡含水量を有する。したがってこれは、薄い、高フラックス後房有水晶体眼内レンズを形成するのに極めて適している。さらに、この材料は、眼内レンズ注入器を使用して眼に挿入することを容易にするために折り畳むことができ、眼に入るとレンズ形状に直ちに「跳ね戻る」のに十分な弾性を有する。さらに、このレンズ材料は、移植後の眼内のその位置においてレンズを維持するのに十分に堅く、または強固である。いくつかの実施形態の材料は低温で強固過ぎて折り畳めないが、約30℃で、この材料は、眼内レンズ挿入のための眼内レンズ注入器に収まるほど柔軟で折り畳める。
【0018】
例示的な実施形態のゲルを水和させることによってヒドロゲルを形成するために、水を添加すると、ゲルは、約30体積%膨潤する。本明細書および特許請求の範囲において、用語「平衡含水量」または「EWC」は、以下の方法によって得られる含水量を指すことに注意されたい。乾燥ポリマー材料を天秤で計量し、乾燥重量を記録する。次いでこのポリマーを、脱イオン水または平衡塩溶液で満たされたバイアル中に入れる。このバイアルを水浴中に置き、所望の温度で平衡化させる。約24時間後、ポリマーを水から取り出し、あらゆる付着している表面水を、ティッシュペーパーで拭くことによって除去する。ティッシュペーパーで拭いたポリマーを計量することによって水和重量を得る。平衡含水量は、[(水和重量−乾燥重量)/水和湿潤重量]×100=EWC重量%として計算される。
【0019】
ヒドロゲルの透過性を特徴づけるために、膜拡散技法は、放射性同位体を使用することによって、ヒドロゲルを通じたナトリウムおよび塩化物の通過をモニターする。簡単に言えば、厚さを求めた後、それぞれのヒドロゲルレンズ試験試料は、それぞれが流体拡散のために中央に3mm開口部を有する、2つのテフロン(登録商標)ディスクの間に固定する。固定されたアセンブリーは、それぞれが3mlの内部体積を有し、ウォータージャケットで囲まれている、2つのガラス拡散セルの間に取り付ける。アッセイの間、循環水浴を使用することによって、温度を37℃で維持する。拡散セルは、磁気攪拌機上に置き、これは、それぞれの拡散チャンバー内の磁気撹拌ペレットを作動させる。チャンバーを、3mlのBSS(平衡塩溶液)で満たす。時間ゼロで、セルA(高温側)にCl36を添加して、1μCi/mlの最終濃度にする。30、45、60、および75分で、セルB(低温側)から0.3mlのBSSを取り出し、液体シンチレーション溶液と混合することによって、β放射能をカウントする。それぞれの時間に、等しい体積の新鮮なBSSをセルBに戻して添加する。最後の採取の直後に、セルAにNa22を添加して、2μCi/m1の最終濃度にする。セルB中のBSSの採取を、上記と同じ時間間隔で繰り返し、それぞれの量を、さらに処理することなくγ放射能についてカウントする。それぞれの同位元素サイクルの開始と最後に、セルA中の5μlの体積の放射性溶液を取り出し、比放射能(cpm/μEq)を測定する。NaおよびClのμ当量(μEq)は、BSS中の全NaおよびCl濃度から計算する。NaおよびClフラックスの時間動態を、それぞれの試験試料について別々にプロットし、μEq/hrのイオンフラックスを、それぞれのイオンについて測定する。全イオンフラックス係数は、NaおよびClフラックスの合計から計算し、μEq/hr−cmとして表す。
【0020】
好適な実施形態では、レンズ材料の組成物は、架橋剤、例えば、アリルメタクリレート(AMA)で架橋した、N−ビニルピロリドン(NVP)と2−フェニルエチルメタクリレート(PEMA)のコポリマーを含む。例示的な実施形態の高イオンフラックス組成は以下の通りである。
NVP 約68から約71重量%、好ましくは約70重量%。
PEMA 約28から約31重量%、好ましくは約29重量%。
AMA 約0.1から約1.0重量%。
【0021】
例示的な実施形態のレンズ材料は、約55重量%未満の平衡含水量、約1.41超の屈折率、ならびに約16から20μeq−mm/hr/cmの間の全ナトリウムおよび塩化物イオンフラックスを有することが好ましい。
【0022】
これらの例示的な実施形態のヒドロゲルの高屈折率は、低平衡含水量と相まって、高フラックス後房有水晶体レンズの作製を可能にし、これは、白内障発生のリスクを著しく増大させることなく、より低いイオンフラックスを有する有水晶体レンズよりも、天然水晶体に近接して配置することができる。実際に、ウサギ水晶体を用いたインビトロ白内障発生試験は(以下の実施例に記載する)、高イオンフラックス材料は、白内障発生を回避することに関して、著しく優れた性能を有することを実証する。ウサギ水晶体の複数の対のそれぞれの一方は、例示的な実施形態の高フラックス材料のレンズで覆い、他の水晶体は、覆われていない対照であった。覆われた水晶体は、その覆われていない対と同じぐらい長く白内障がないままであることによって、対照の少なくとも100%を満たした。さらに、高イオンフラックスおよび高代謝産物フラックスの結果として、高屈折率および低平衡含水量と相まって、このレンズ材料は、すべての種類の薄い眼内レンズを作製するのに使用することができる。例示的な実施形態のこれらの材料は、十分に高いイオンおよび代謝産物フラックスを提供することによって、天然水晶体の健康を維持し、白内障形成のリスクを低減するだけでなく、この材料は、レンズ注入器を使用してレンズを挿入するために折り畳むこともでき、また、移植されると、適切な位置に留まるのに十分堅い。
【0023】
高フラックスヒドロゲルレンズ材料は、任意の様々な方法によって作製することができる。例示的な一実施形態では、ヒドロゲルは、モノマー成分と開始剤を混合し、次いでこの混合物を、レンズの鋳型の空洞に注ぐことによって作製することができる。次いで液体配合物は、重合することができる。いくつかの実施形態では、この液体は、熱によって硬化することができ、他の実施形態では、これらは、紫外光を使用して重合することができる。
【0024】
形成されると、このヒドロゲルは、旋盤プロセスを使用してレンズ形状に切断することができるか、またはキャスト成形技法を使用して調製することができる。このプロセスにおいて、鋳型自体がレンズの形状を画定し、旋盤作業を必要としない。
【0025】
以下の実施例は、単に例示的であり、本明細書に記載し、主張した実施形態の範囲を限定しない。
【実施例】
【0026】
以下の実施例は、天然水晶体の白内障発生間までの時間、およびヒドロゲル材料で覆われた水晶体についての「対照の百分率(percent of control)」を試験するのに使用される一般的な方法を例示する。
【0027】
ウサギ角膜を、白内障発生について試験するのに使用する。1匹のメスのニュージーランド白色(NZW)ウサギからの両水晶体は、COで窒息させた後、眼球除去する。水晶体は、無菌条件を使用して球体から慎重に解剖し、前極を上にして、支持ホルダー上に置くべきである。支持ホルダーは、容器底部の上で、水晶体を外周で支持するように設計されるべきである。これにより、それぞれの水晶体を、実験全体を通して溶液中に浸すことが可能になる。水晶体との金属機器の接触、または他の損傷を与える接触を回避するために注意を働かせるべきである。容器は、標準的な6ウェル培養皿とすることができ、これは、1匹のウサギからの2つの水晶体のそれぞれを含むことになる。それぞれの水晶体を、L−グルタミンの原液、およびペニシリン/ストレプトマイシン(0.2mMの最終濃度および1ミリリットル当たり100単位のペニシリン/0.1mgのストレプトマイシン)に加えて、アール塩およびウシ胎児血清を4%の濃度まで含む、約11mlの水媒質で覆う。水媒質は、1日おきに完全に交換するべきであり、それぞれの日に、水晶体は、透明度およびまたは混濁について視覚的に検査されるベきである。混濁が検出される場合、位置(後方であるか前方であるか)および範囲の程度を記録する。混濁が最初に記録された日を含めないで、混濁のない全日数をカウントする。
比較例
対照研究を行い、ここで、10匹のウサギからの20個の眼を上述した試験手順にかけた。これらの水晶体は、これらを覆う、いずれの合成レンズも有していなかった。結果は、明白な異常値を除いた後、同じウサギからの両眼は同様に応答したことを示した。したがって、実際の試験での合成レンズ有りおよび無しの対になった眼(すなわち、同じウサギからの眼)の水晶体を比較することが可能であるはずである。
【0028】
上述した方法を使用して、本高イオンフラックスレンズ材料の実施形態を使用して、白内障発生試験を行った。ウサギ天然水晶体の複数の対のそれぞれについて、本技術の実施形態の高イオンフラックスヒドロゲル材料製の合成レンズで、対のウサギ水晶体の一方の球体前方を完全に包囲し、他方のウサギ天然水晶体は、覆われていない対照であった。合成レンズは、平均のウサギの水晶体の半径と一致する後方の半径を用いて設計し、約400μmの一定の厚さを有していた。比較材料AおよびBのレンズをいくつかの試験で使用し、本技術C、DおよびEの例示的な実施形態を、他の試験で試験した。合成レンズ材料の組成は、以下の通りであった。
組成A=架橋ポリヒドロキシエチルメタクリレート(PHEMA)。
組成B=51.53%のN−ビニルピロリドン、44.01%のフェニルブチルメタクリレート、3.98%のベンゾトリアゾールヒドロキシエチルメタクリレートおよびアリルメタクリレート。
組成CおよびDはともに=70%のN−ビニルピロリドン、24.5%のPEMA、5.0%のベンゾトリアゾールヒドロキシエチルメタクリレートおよび0.5%のアリルメタクリレート。
【0029】
組成E=35%のN−ビニルピロリドン、64.5%の2−メタクリル酸ヒドロキシエチル、および0.5%のアリルメタクリレート。
【0030】
白内障発生までの時間の試験の結果を図1に示す。高イオンフラックスレンズは、他の材料のレンズより著しく良好に機能したことは明らかである。一対のウサギ水晶体について、本技術の実施形態の高イオンフラックス材料で覆われたウサギ水晶体は、その覆われていない対照の水晶体と同じぐらい長く白内障がなかった。
【0031】
少なくとも1つの例示的な実施形態を、前述の詳細な説明において提示してきたが、膨大な数の変形が存在することが理解されるべきである。1つまたは複数の例示的な実施形態は、単に例であり、記載した実施形態の範囲、適用性、または構成を多少なりとも限定することは意図されていないことも理解されるべきである。むしろ、前述の詳細な説明は、1つまたは複数の例示的な実施形態を実行するための好都合な指針を当業者に提供する。添付の特許請求の範囲およびその法的な均等物に示される範囲を逸脱することなく、要素の機能および配置の様々な変更を行うことができることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約55重量%未満の平衡含水量、約1.41超の屈折率、および約16μeq−mm/hr/cm超の全ナトリウムおよび塩化物イオンフラックスを有するヒドロゲルを含む生体適合性ポリマー組成物。
【請求項2】
前記イオンフラックスが約16から約20μeq−mm/hr/cmである、請求項1に記載の生体適合性ポリマー組成物。
【請求項3】
前記平衡含水量が約50から約55重量%の範囲である、請求項1または2に記載の生体適合性ポリマー組成物。
【請求項4】
前記ヒドロゲルの眼内レンズが、レンズ注入器中に挿入するために折り畳める、請求項1、2または3に記載の生体適合性ポリマー組成物。
【請求項5】
前記ヒドロゲルの眼内有水晶体レンズが、移植された位置において留まるのに十分に強固である、請求項1、2、3または4に記載の生体適合性ポリマー組成物。
【請求項6】
前記ヒドロゲルが、約70重量%のN−ビニル−ピロリドンおよび約29重量%の2−フェニルエチルメタクリレートを含む、請求項1、2、3、4または5に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項7】
架橋剤をさらに含む、請求項6に記載の生体適合性ポリマー組成物。
【請求項8】
前記架橋剤が約0.2から約1.0重量%のアリルメタクリレートを含む、請求項7に記載の生体適合性ポリマー組成物。
【請求項9】
約68から約71重量%のN−ビニルピロリドンおよび約28から約30重量%の2−フェニルエチルメタクリレートからの重合生成物を含み、前記重合組成物は約1.41超の屈折率および約55重量%未満の平衡含水量を有するポリマー組成物。
【請求項10】
全ナトリウムおよび塩化物イオンフラックスが約16μeq−mm/hr/cm超である、請求項9に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
前記平衡含水量が約52重量%である、請求項9または10に記載のポリマー組成物。
【請求項12】
前記ナトリウムイオンフラックスが、約16から約20μeq−mm/hr/cmの間である、請求項9、10または11に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
架橋剤が、約0.2から約1.0重量%のアリルメタクリレートを含む、請求項9、10、11または12に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
前記ポリマー組成物の眼内レンズが、レンズ注入器中に挿入するために折り畳める、請求項9、10、11、12または13に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
前記ポリマー組成物の眼内有水晶体レンズが、移植された位置において留まるのに十分に強固である、請求項9、10、11、12、13または14に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
紫外光吸収剤をさらに含む、請求項9、10、11、12、13、14または15に記載のポリマー組成物。
【請求項17】
約68から約71重量%のN−ビニルピロリドンおよび約28から約30重量%の2−フェニルエチルメタクリレートの重合生成物を含み、前記重合組成物は約1.41超の屈折率および約55重量%未満の平衡含水量を有する有水晶体後房眼内レンズ。
【請求項18】
インビトロで対照のウサギ天然水晶体と比較したとき、重合生成物で覆われたウサギ水晶体は、対照の100パーセントを満たす、請求項17に記載の有水晶体眼内レンズ。
【請求項19】
前記重合生成物が約70重量%のN−ビニルピロリドン、および約29重量%の2−フェニルエチルメタクリレート、および約52重量%の平衡含水量を含む、請求項17または18に記載の有水晶体後房レンズ。
【請求項20】
前記有水晶体後房レンズの全ナトリウムおよび塩化物イオンフラックスが、約16から約20μeq−mm/hr/cmである、請求項17、18または19に記載の有水晶体後房レンズ。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2010−533561(P2010−533561A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517135(P2010−517135)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/070176
【国際公開番号】WO2009/012308
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(399054697)アルコン,インコーポレイテッド (102)
【Fターム(参考)】