説明

高分子含有クロム族金属触媒

【課題】 クロム属金属に基づく触媒として十分な触媒活性を有し、しかも目的物との分離が容易で、再利用可能な触媒を提供する。
【解決手段】 本発明は、一般式(化1)
(−NR−R−NR−R−)
(式中、R〜Rは、それぞれ独立にアリール基又はアルキル基を表し、但し、NR及びNRは、置換基を有していてもよいピリジン環、アクリジン環又はキノリン環を形成してもよく、Rは置換基を有していてもよいアリーレン基又はアルキレン基を表し、Rはアルキレン基を表し、Mは、クロム族金属の塩又はクロム族金属の酸と他の酸との塩若しくはその塩を表し、mはこのポリマーの分子量に相当する数を表し、nはm/n=1〜10を満たす数を表す。)で表される高分子含有クロム族金属触媒である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タングステンやモリブデン等のクロム族金属に基づく高分子含有クロム族金属触媒、及びこの触媒を用いた合成法に関する。この触媒は、有機合成分野等において要求されるグリーンケミストリーを提供する。
【背景技術】
【0002】
近年、タングステンポリ酸、モリブデンポリ酸等が有機合成反応に使われるようになってきた。例えば、泉らはこれらポリ酸の酸性を利用して、アルキンの水和反応、エステル交換反応、エポキシドの求核開環を行っている(非特許文献1)。またこれらのポリ酸を酸化反応へ適用する例も開発され、アルケンのエポキシ化、アルケンのジオール化に用いられてきた(非特許文献2)、さらに酸化反応系として酸化的環化反応にも用いられている。
一方、バナジウム、レニウムなど様々な金属触媒による酸化的環化反応が検討されているが(非特許文献3、4)、これらの反応では均一系金属触媒の使用が不可欠であり、そしてこの金属触媒の存在が目的物の生成の妨げとなる場合がある。特に医薬品、化粧品、食品などの属する分野では、厳密に金属触媒を除去する必要がある。また環境保全を目的として環境にやさしい有機合成化学が強く求められており、有害性の高い試薬の使用を抑制した反応系の確立が望まれている。そして酸化的環化反応において、金属触媒の除去に関する解決策の開発が最近行われ始めた。
【0003】
金属触媒の除去に関する解決策として、高分子樹脂担持金属触媒もしくはシリカゲル担持金属触媒の利用が挙げられる。この方法により、簡便に触媒を回収し、成績体を単離し、触媒の再利用が理論的には可能となり得る。
タングステン酸やモリブデン酸をフルオロアパタイトに担持した触媒を用いた酸化的環化反応が報告されている(非特許文献5)。しかしこの反応では酸化剤として過酸化尿素を用いているため、大量の尿素が発生し、しかも酸化的環化反応での触媒の再利用が行われていない。即ち、現状では酸化的環化反応に有効な触媒の報告例はないのが現状である。触媒活性が高く、再利用の検討も行われているものの、触媒の失活が認められており、実用には問題がある。
【0004】
【非特許文献1】卜部和夫、藤田和明、泉有亮 触媒22,223(1980)
【非特許文献2】J. Org. Chem. 53, 3587 (1988)
【非特許文献3】J. Am. Chem. Soc. 116, 7921-7922 (1994)
【非特許文献4】J. Mol. Catal. A. Chem. 152, 83 (2000)
【非特許文献5】Green Chem. 5, 491-493 (2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、クロム属金属に基づく触媒として十分な触媒活性を有し、しかも目的物との分離が容易で、再利用可能な触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明者らは、強固な触媒部位、安定な高分子、錯体を調製する方策として、主鎖にアンモニウム塩又はピリジニウム塩を有する高分子とクロム族ポリ酸とから、金属を介して高分子を架橋した不溶性高分子錯体を調製して、触媒を構成したところ、再利用可能な固相金属触媒を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明は、一般式(化1)
(−NR−R−NR−R−)
(式中、R〜Rは、それぞれ独立にアリール基又はアルキル基を表し、但し、NR及びNRは、置換基を有していてもよいピリジン環、アクリジン環又はキノリン環を形成してもよく、Rは置換基を有していてもよいアリーレン基又はアルキレン基を表し、Rはアルキレン基を表し、Mは、クロム族金属の塩又はクロム族金属の酸と他の酸との塩若しくはその塩を表し、mはこのポリマーの分子量に相当する数を表し、nはm/n=1〜10を満たす数を表す。)で表される高分子含有クロム族金属触媒である。
【0008】
本発明の触媒は、一般式(化3)
NR−R−NR
(式中、R〜Rは、それぞれ独立にアリール基又はアルキル基を表し、但し、NR及びNRは、置換基を有していてもよいピリジニウム、アクリジニウム又はキノリニウムでもよく、Rは置換基を有していてもよいアリーレン基又はアルキレン基を表す。)で表される3級アミン化合物と一般式(化4)
−R−X
(式中、X及びXは、それぞれ独立にハロゲン原子を表し、Rはアルキレン基を表す。)で表されるハロゲン化合物とを反応させて4級アンモニウムを含有するポリマーを合成する段階、及び液相で、このポリマーと、クロム族金属の塩又はクロム族金属の酸と他の酸との塩又はその塩とを反応させ、不溶物を回収する段階から製造されることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の高分子含有クロム族金属触媒は、反応後の金属触媒の除去が容易であり、触媒の再利用が可能である。また本発明の高分子含有クロム族金属触媒は、従来の触媒と異なり、工業的に多用される溶媒を用いて定量的に成績体を与えることができる再利用可能な不溶性触媒である。
本発明の高分子含有クロム族金属触媒は、酸化的環化反応等の極めて有用な触媒といえる。また、本発明に係る環化成績体の構築法は、毒性元素を流出させない「グリーンケミストリー」を志向した優れた方法といえる。
本発明の高分子含有クロム族金属触媒は、酸触媒として機能する反応として、水和反応、環状エーテルの開環反応、ディエールスアルダー反応、プリンス反応、フリーデルクラフツ反応等の反応に、酸化触媒として、酸化的環化、アルケンのエポキシ化、アルケンのジオール化、アルケンの酸化的開裂などの反応に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の触媒は、下記一般式(化1)で表される高分子配位子にクロム族金属を担持した触媒である。
化1:(−NR−R−NR−R−)
〜Rは、それぞれ独立にアリール基又はアルキル基を表し、但し、NR及びNRは、置換基を有していてもよいピリジン環、アクリジン環又はキノリン環、好ましくはピリジン環を形成してもよい。アリール基としてはフェニル基が好ましく、アルキル基の炭素数は20以下が好ましい。置換基としては、アリール基又はアルキル基が好ましく、アリール基としてはフェニル基が好ましく、アルキル基の炭素数は4以下が好ましい。
【0011】
は置換基を有していてもよいアリーレン基又はアルキレン基、好ましくはアルキレン基を表す。このアルキレン基の炭素数は1〜20が好ましく、直鎖であることがより好ましく、−(CH−で表されるアルキレン基であることが更に好ましく、この場合炭素数(n)は好ましくは10以下であり、より好ましくは4〜6である。このアリーレン基としては、フェニレン基又はナフチレン基が好ましい。置換基としては、アリール基又はアルキル基が好ましく、アリール基としてはフェニル基が好ましく、アルキル基の炭素数は4以下が好ましい。
【0012】
はアルキレン基を表す。このアルキレン基の炭素数は1〜20が好ましく、直鎖であることがより好ましく、−(CH−で表されるアルキレン基であることが更に好ましく、この場合炭素数(n)は好ましくは10以下であり、より好ましくは4〜6である。
【0013】
は、クロム族金属の塩又はクロム族金属の酸と他の酸との塩若しくはその塩を表す。クロム族金属は、水又は有機溶媒に可溶であり、アンモニウム塩やピリジニウム塩と反応可能であるため、以下の形態で用いられる。
(1)クロム族金属の塩:例えば、ハロゲン、カルボン酸塩、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硝酸塩等が挙げられる。
(2)クロム族金属の酸と他の酸との塩:クロム族金属の酸とは、タングステン酸(HWO)、モリブデン酸(HMoO)及びクロム酸(HCrO)をいう。他の酸としては、リン酸(HPO)、硫酸(HSO)、ホウ酸(HBO)、珪酸(HSiO)が挙げられ、クロム族金属の酸と他の酸との塩としては、リンタングステン酸(H3(PO1236))、リンモリブデン酸(HPMo1240)、タングストホウ酸(HBW1239)、モリブドホウ酸(HBMo1239)、タングスト珪酸(HSiW1240)、モリブド珪酸(HSiMo1240)等が挙げられる。
(3)(2)の塩の塩:例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0014】
mはこのポリマーの分子量に相当する数を表す。このポリマーの分子量は合成の条件にもよるが、通常5,000〜1,000,000程度である。
nはm/n=1〜10を満たす数を表すが、mとnの比は、4級アンモニウムの電荷数とクロム族金属の塩等の電荷数が化学量論的に釣合うものであることが好ましい。
【0015】
この触媒の例として、一般式
【化2】

(式中、kは上記Rに対応する数を表し、lは上記Rに対応する数を表し、m及びnは上記と同様を表し、Mはクロム族金属を表し、xは0〜50の配位水の数を表す。但し、ピリジン環は置換基を有していてもよい。)で表される化合物が挙げられる。
【0016】
本発明の触媒は、例えば、3級アミン化合物をハロゲン化合物と反応させて4級アンモニウムを含有するポリマーを合成し、このポリマーをクロム族金属の塩等と反応させることにより得ることができる。
【0017】
この3級アミンは下記一般式(化3)で表される。
化3:NR−R−NR
式中、R〜Rは上記と同様に定義される。
ハロゲン化合物は下記一般式(化4)で表される。
化4:X−R−X
式中、X及びXは、それぞれ独立にハロゲン原子、好ましくは塩素原子又は臭素原子を表し、Rは上記と同様に定義される。
【0018】
これら3級アミン化合物をハロゲン化合物と反応させる。
溶媒として高極性溶媒を用いることが好ましく、例えば、アセトニトリル、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、t−ブチルアルコール等を用いることができる。
反応物の濃度は0.01〜1M程度であり、好ましくは0.25M付近である。
雰囲気は、空気、窒素、アルゴン雰囲気のいずれでもよい。
反応温度は0℃から溶媒の還流温度まで選択できるが、好ましくは82℃付近である。 反応時間は約1〜144時間、好ましくは24時間程度である。
【0019】
この反応の結果、下式で表される4級アンモニウムを含有する下記一般式(化5)
化5:(−NR−R−NR−R−)
で表されるポリマーが得られる。R〜Rは上記と同様に定義され、分子量は通常の反応条件で通常5,000〜1,000,000程度である。
【0020】
このポリマーを上記クロム族金属の塩等と反応させる。
溶媒として高極性溶媒を用いることが好ましく、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノ−ル、t−ブタノール、クロロホルム等を用いることができる。特に水を使用することが好ましい。
反応物の濃度は0.001〜0.1M程度であり、好ましくは0.01M付近である。
雰囲気は、空気、窒素、アルゴン雰囲気のいずれでもよい。
反応温度は、−78℃〜100℃程度であり、好ましくは室温付近である。
反応時間は、通常1秒から7日程度であるが、好ましくは3日付近である。
【0021】
反応の結果、目的の触媒組成物を不溶性物質として回収することができる。本触媒は、水や上記有機溶媒に不溶であり、回収再利用可能な不溶性触媒として利用される。
回収方法として、ろ過、遠心分離、上澄回収等が挙げられる。
得られたポリマーは配位子となってクロム酸金属を安定化させる。

以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0022】
ビス(4−ピリジル)プロパン(5mmol)とジブロモオクタン(5mmol)をアセトニトリル中82℃で24時間攪拌し、反応液を冷却すると沈殿物が生成した。これをエーテルにて洗浄し乾燥することで定量的に(5mmol)ポリ[1−(4−オクチルピリジニウムブロミド)−3−(4−ピリジニウムブロミド)プロパン]を得た。反応式と生成物の分析結果を以下に示す。
【化6】

1NMR (CDCl3): 1 H: 8.91(d, J = 6.7Hz, 4H), 8.04(d, J = 6.7Hz, 4H), 4.60(t, 7.93, 4H), 3.08(t, J = 7.93Hz, 4H), 2.21(m, 2H), 2.01(m, 4H), 1.42(m, 8H).13C: 162.00, 145.29, 129.37, 62.25, 35.79, 32.30, 30.26, 29.71, 26.98.;元素分析C:49.24%; H6.62%;N5.25% (推定% C53.38%; H6.78%; 5.93%)
【0023】
上記で得たポリマー(0.63mmol)の水溶液とリンタングステン酸(0.21mmol)水溶液を室温中混合した。その結果沈殿物が生成した。これをさらに75時間攪拌後、沈殿物をろ取し、ろ液のpHが7になるまで水で洗浄し、乾燥した。その結果不溶物(タングステン触媒)を得た(0.174mmol、収率83%)。反応式と生成物の分析結果を以下に示す。
【化7】

元素分析C:12.79%; H1.73%;N1.33% (推定% C11.30%; H1.43%; 1.25%)
【0024】
得られた触媒は、タングステンがポリマーに担持された形態をしており、その様子を図1〜3に示す。
図1は、Nikon SMZ1500を用いて撮影したものである。触媒の幅は約1〜100μmである。白色−薄黄緑色の粉体である。
図2は、フィールドエミッション走査電子顕微鏡JSM-6700(日本電子製、電圧5.0kV、倍率1800倍)を用いて撮影したものである。凝集高分子が観察された。
図3は、フィールドエミッション透過電子顕微鏡JEM-2100F(日本電子製、電圧200KV、倍率200000倍)を用いて撮影したものである。高分子上でタングステンが分散していることが観察された。
【実施例2】
【0025】
シス−4−ヘキセン−1−オール(2.0mmol)、実施例1で得た触媒(0.004mmol)、30%過酸化水素水(5.0mmol)を50℃で24時間攪拌し、触媒をろ取して回収の後、エーテルで洗浄、ろ液をエーテルで抽出、チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮、カラムクロマトグラフィーで生成することで、1−(2−テトラヒドロピラニル)エタノールが収率96%(1.92mmol)で得られた。反応式と生成物の分析結果を以下に示す。
【化8】

1H-NMR (CDCl3) 1.5(d, 6.71, 3H), 1.55((m, 1H), 1.923(m, 3H), 2.96(br s, 1H), 3.5-3.7(m, 2H), 3.80(m, 2H);13C-NMR(CDCl3) 18.77, 26.09, 27.81, 67.94, 70.17, 83.73
【実施例3】
【0026】
シス−4−ヘプテン−1−オール(2.0mmol)、実施例1で得た触媒(0.004mmol)、30%過酸化水素水(5.0mmol)を50℃で24時間攪拌し、触媒をろ取して回収の後、エーテルで洗浄、ろ液をエーテルで抽出、チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮、カラムクロマトグラフィーで生成することで、1−(2−テトラヒドロピラニル)プロパノールが収率98%(1.96mmol)で得られた。生成物の分析結果を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3) 1.0(t, 7.5, 3H), 1.4-1.7(m, 3H), 1.91(m, 3H), 2.71(br s, 1H), 3.33(m, 1H), 3.79(m, 3H) ;13C-NMR(CDCl3) 9.95, 26.10, 26.43, 27.82, 67.92, 75.12, 82.05
【実施例4】
【0027】
シス−4−ノネン−1−オール(2.0mmol)、実施例1で得た触媒(0.004mmol)、30%過酸化水素水(5.0mmol)を50℃で24時間攪拌し、触媒をろ取して回収の後、エーテルで洗浄、ろ液をエーテルで抽出、チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮、カラムクロマトグラフィーで生成することで、1−(2−テトラヒドロピラニル)プロパノールが収率90%(1.80mmol)で得られた。生成物の分析結果を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3) 0.89(t, 6.71, 3H), 1.2-1.5(m, 6H), 1.5-1.7(m, 2H), 1.9(m, 1H), 2.52(br s, 1H), 3.4(m, 1H), 3.71(m, 1H), 3.79(m, 3H) ;13C-NMR(CDCl3) 13.98, 22.54, 25.29, 26.20, 27.89, 31.86, 33.61, 68.00, 73.88, 82.39.
【0028】
以上示したように、反応の結果得られた環化における立体は(S*、S*)であり、立体選択的に環化生成物が有効に合成される。即ち、本発明の触媒を用いる反応は、安価で安全、無害であり、グリーンケミストリーで推奨される水を溶媒とし、環化成績体を効率的に与える。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1で得たタングステン触媒の粒子の写真を示す図である。
【図2】図1の触媒の表面のSEM写真を示す図である。
【図3】図1の触媒のTEM写真を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(化1)
(−NR−R−NR−R−)
(式中、R〜Rは、それぞれ独立にアリール基又はアルキル基を表し、但し、NR及びNRは、置換基を有していてもよいピリジン環、アクリジン環又はキノリン環を形成してもよく、Rは置換基を有していてもよいアリーレン基又はアルキレン基を表し、Rはアルキレン基を表し、Mは、クロム族金属の塩又はクロム族金属の酸と他の酸との塩若しくはその塩を表し、mはこのポリマーの分子量に相当する数を表し、nはm/n=1〜10を満たす数を表す。)で表される高分子含有クロム族金属触媒。
【請求項2】
一般式
【化2】

(式中、kは前記Rに対応する数を表し、lは前記Rに対応する数を表し、m及びnは上記と同様を表し、Mはクロム族金属を表し、xは0〜50の配位水の数を表す。但し、ピリジン環は置換基を有していてもよい。)で表される請求項1に記載の高分子含有クロム族金属触媒。
【請求項3】
一般式(化3)
NR−R−NR
(式中、R〜Rは上記と同様を表す。)で表される3級アミン化合物と
一般式(化4)
−R−X
(式中、X及びXは、それぞれ独立にハロゲン原子を表し、Rは上記と同様を表す。)で表されるハロゲン化合物とを反応させて4級アンモニウムを含有するポリマーを合成する段階、及び液相で、このポリマーと、クロム族金属の塩又はクロム族金属の酸と他の酸との塩又はその塩とを反応させ、不溶物を回収する段階から製造された請求項1又は2に記載の高分子含有クロム族金属触媒。
【請求項4】
水和反応、環状エーテルの開環反応、ディエールスアルダー反応、プリンス反応、フリーデルクラフツ反応、酸化的環化反応、アルケンのエポキシ化反応、アルケンのジオール化反応、又はアルケンの酸化的開裂反応のための請求項1〜3のいずれか一項に記載の触媒の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−132396(P2008−132396A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−64911(P2005−64911)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(504261077)大学共同利用機関法人自然科学研究機構 (156)
【Fターム(参考)】