高分子固体電解質
【課題】イオン導電率が高く、化学的に安定であり、一次電池、二次電池、コンデンサー、エレクトロクロミック表示などの電気化学素子、医療用アクチュエーターなどに用いる高分子固体電解質を提供する。
【解決手段】アクリル酸エステル(グリセリントリメタクリレート,グリセリントリアクリレート,トリ(2−メタクリロキシエチル)グリセリンなど)から選ばれる少くとも1種の化合物から誘導される構成単位と、メチルアリルカーボネート,エチルアリルカーボネートなどから誘導される構成単位とを含有するアリルカーボネート共重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩とからなることを特徴とする高分子固体電解質。
【解決手段】アクリル酸エステル(グリセリントリメタクリレート,グリセリントリアクリレート,トリ(2−メタクリロキシエチル)グリセリンなど)から選ばれる少くとも1種の化合物から誘導される構成単位と、メチルアリルカーボネート,エチルアリルカーボネートなどから誘導される構成単位とを含有するアリルカーボネート共重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩とからなることを特徴とする高分子固体電解質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子固体電解質の高分子マトリックスなどとして用いられる新規重合体およびその重合方法に関する。また、本発明は、一次電池、二次電池、コンデンサーなどに用いられる高分子固体電解質に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一次電池、二次電池、コンデンサーなどの電気化学素子には液体の電解質が用いられていた。しかしながら、液体の電解質は漏液が発生し、長期間の信頼性に欠けるという問題点がある。
【0003】
このような問題を解決する方法として、固体の電解質を用いる方法が知られており、固体の電解質を上記のような電気化学素子に用いると、漏液がなくなり信頼性の高い素子を提供できるとともに、素子自体の小型・軽量化が図れる。
【0004】
近年、固体の電解質として種々の高分子固体電解質が研究されている。高分子固体電解質は、可撓性を有するため電極−高分子固体電解質間のイオン電子交換反応過程で生じる体積変化にも柔軟に適用することができ、かつ上記のような固体電解質の特徴を有している。
【0005】
このような高分子固体電解質としては、ポリエーテル構造を有するポリエチレンオキサイドとリチウム塩などのアルカリ金属塩との複合体が知られている。
また特開平5−25353号公報には、ポリオキシアルキレンのジエステル化合物と、ポリメトキシオキシアルキレンのエステル化合物と、二重結合を持ったオキシ化合物との共重合体の架橋樹脂と無機塩とを主たる構成成分とする高分子固体電解質が記載されている。さらに特開平6−223842号公報には、カーボネート基を官能基として有する有機高分子と金属塩とからなる高分子固体電解質が記載されている。
【0006】
しかしながら固体の電解質は、液体の電解質に比べ一般的にイオン導電率が低いため、放電特性に優れた一次、二次電池を得ることは困難であった。
このような状況のもと、イオン電導度に優れ、しかも電気化学的安定性に優れるなどの要求を満たす高分子固体電解質の出現が望まれており、このような高分子固体電解質の高分子マトリックスとなりうるような新規な高分子重合体の出現が望まれている。さらに、このような高分子重合体を形成するモノマー原料となりうるような新規の化合物の出現が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、高分子重合体のモノマー原料となりうるような新規のアクリル酸エステル、アリルエーテルおよびアリルカーボネートを提供することを目的としている。また本発明は、高分子固体電解質の高分子マトリックスとなりうるようなアクリル酸エステル重合体、アリルエーテル重合体およびアリルカーボネート重合体を提供することを目的としている。さらに本発明は高いイオン導電率を有し、しかも化学的に安定な高分子固体電解質を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る高分子固体電解質は、
下記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導さ
れる構成単位と、
下記一般式(IX)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導される構成単位とを含有するアリルカーボネート共重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩とからなることを特徴とする。
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、R22〜R27は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、a,bおよびcは、互いに同一でも異なっていてもよく、
0〜100の整数である。)
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、R28は水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基、R29は炭素原子数が1〜4のアルキル基を示す。)
また、本発明に係るゲル状高分子固体電解質は、上記一般式(VII)で表される化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導される構成単位と、
上記一般式(IX)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導される構成単位とを含有するアリルカーボネート共重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩と、非水溶媒とからなることを特徴とする。
【0013】
さらに本発明に係る高分子固体電解質は、
上記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導さ
れる構成単位と、
下記一般式(X)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導され
る構成単位とを含有するアリルカーボネート共重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩とからなることを特徴とする。
【0014】
【化3】
【0015】
(式中、R30およびR31は、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示す。)
さらに、本発明に係るゲル状高分子固体電解質は、
上記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導さ
れる構成単位と、
上記一般式(X)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導され
る構成単位とを含有するアリルカーボネート共重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩と、非水溶媒とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る新規なアクリル酸エステル、アリルエーテルおよびアリルカーボネートは、たとえば高分子固体電解質に用いられる高分子マトリックスを形成するモノマー原料となりうる。本発明のアクリル酸エステル、アリルエーテルおよびアリルカーボネートから誘導される構成単位を含むアクリル酸エステル重合体、アリルエーテル重合体およびアリルカーボネート重合体を高分子マトリックスとする高分子固体電解質は、イオン導電率が高く、電気化学的に安定である。
【0017】
また、本発明に係るアクリル酸エステル重合体、アリルエーテル重合体およびアリルカーボネート重合体は、たとえば高分子固体電解質の高分子マトリックスとして用いられる。本発明のアクリル酸エステル重合体、アリルエーテル重合体およびアリルカーボネート重合体を高分子マトリックスとする高分子固体電解質は、イオン導電率が高く、電気化学的に安定である。
【0018】
本発明に係る高分子固体電解質は、イオン導電率が高く、電気化学的に安定であり、たとえば一次電池、二次電池、コンデンサー、エレクトロクロミック表示などの電気化学素子、医療用アクチュエーターなどに用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る新規なアクリル酸エステル、新規なアリルエーテル、新規なアリルカーボネート、アクリル酸エステル重合体、アリルエーテル重合体、アリルカーボネート重合体および高分子固体電解質について具体的に説明する。なお、本明細書において「重合」という語は、単独重合だけでなく、共重合をも包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は、単独重合体だけでなく、共重合体をも包含した意味で用いられることがある。
【0020】
[新規なアクリル酸エステル]
まず、本発明に係る新規なアクリル酸エステルについて説明する。
第1のアクリル酸エステル
本発明に係る新規な第1のアクリル酸エステルは、下記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルである。
【0021】
【化4】
【0022】
式中、R1およびR2は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、好ましくは水素原子またはメチル基である。R3は、炭
素原子数が1〜4のアルキル基を示し、好ましくはメチル基、エチル基およびt-ブチル基である。
【0023】
nは1〜100の整数であり、好ましくは1〜10の整数である。このような一般式(I)で表されるアクリル酸エステルとして具体的には、炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチル、炭酸メチル2-(メタクリル酸2-ヒドロキシエトキシ)エチル、炭酸エチル2-ヒドロキシメタクリル酸エチル、炭酸メチル2-ヒドロキシアクリル酸エチル、炭酸メチル2-(アクリル酸2-ヒドロキシエトキシ)エチルなどが挙げられる。
【0024】
前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルは、たとえば下記一般式(i)で表される化合物と、下記一般式(ii)で表される化合物とから下記のようにして合成することができる。
【0025】
【化5】
【0026】
式中、R1,R2,R3およびnは、前記式(I)における定義と同様である。
上記の合成工程において、一般式(ii)で表される化合物は、一般式(i)で表される化合物1モルに対し0.5〜5モルの量で用いられる。また、上記反応においては触媒として、たとえばK2CO3、Na2CO3、Li2CO3、NaOCH3などを用いることがで
きる。このような触媒は、一般式(i)で表される化合物1モルに対し1×10-5〜1×10-2モルの量で用いられる。一般式(i)で表される化合物と、一般式(ii)で表される化合物との反応は、通常攪拌、還流下で生成するアルコールを除去しながら行われる。反応温度は、通常40〜140℃、反応時間は通常2〜60時間である。
第2のアクリル酸エステル
本発明に係る第2のアクリル酸エステルは、下記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルである。
【0027】
【化6】
【0028】
式中、R4〜R7は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、好ましくは水素原子またはメチル基である。また、p,qお
よびrは、互いに同一でも異なっていてもよく、1〜100の整数であり、好ましくは1〜10の整数である。
【0029】
このような一般式(II)で表されるアクリル酸エステルとして具体的には、ジ(2-メタクリロキシエチル)カーボネート、ジ(2-アクリロキシエチル)カーボネート、エチレングリコールジ(2-メタクリロキシエチル)カーボネート、ジ(2-メタクリロキシ-2-メチ
ルエチル)カーボネート、ジエチレングリコールジ(2-メタクリロキシエチル)カーボネートなどが挙げられる。
【0030】
前記一般式(II)で表される化合物は、たとえば下記一般式(iii)で表される化合物
と、下記一般式(iv)で表される化合物とから下記のようにして合成することができる。
【0031】
【化7】
【0032】
式中、R4,R5,R6,R7,p,qおよびrは、前記式(II)における定義と同様である。
上記の合成工程において、一般式(iv)で表される化合物は、一般式(iii)で表され
る化合物1モルに対し0.3〜2.0モルの量で用いられる。また、上記反応においては触媒として、たとえばK2CO3、Na2CO3、Li2CO3、NaOCH3などを用いるこ
とができる。このような触媒は、一般式(iii)で表される化合物1モルに対し10-5〜
10-2モルの量で用いられる。
【0033】
一般式(iii)で表される化合物と、一般式(iv)で表される化合物との反応は、通常
攪拌、還流下で生成するアルコールを除去しながら行われる。反応温度は、通常40〜140℃、好ましくは40〜100℃、反応時間は通常2〜60時間である。本発明に係る第1および第2のアクリル酸エステルは、たとえばアクリル酸エステル重合体を製造する際のモノマー原料として用いられる。本発明の第1および第2のアクリル酸エステルから誘導される構成単位を含むアクリル酸エステル重合体を高分子マトリックスとする高分子固体電解質は、イオン導電率が高く、化学的に安定である。
【0034】
[新規なアリルエーテル重合体]
本発明に係る新規なアリルエーテルは、下記一般式(III)で表されるアリルエーテル
である。
【0035】
【化8】
【0036】
式中、R8、R9およびR10は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、R11は、炭素原子数が1〜4のアルキル基またはCH2CR12=CH2 を示し、R12は水素原子またはメチル基である。また、ここでdは0
〜100の整数、eは1〜100の整数であり、好ましくはdは0〜10の整数、eは1〜10の整数である。
【0037】
このようなアリルエーテルとして具体的には、2-メトキシエチルアリルカーボネート、2-メトキシプロピルアリルカーボネート、2-エトキシエチルアリルカーボネート、2-メトキシエチルメタリルカーボネート、2-(2-メトキシエトキシ)エチルアリルカーボネート、ジ-(2-アリロキシエチル)カーボネート、ジ-[2-(2- アリロキシエトキシ)エチル]カーボネート、2-(2-アリロキシエトキシ)エチル-2-アリロキシエチルカーボネートなどが挙げられる。前記一般式(III)で表されるアリルエーテルは、たとえば下記一般式(v)〜(vii)で表される化合物から下記のようにして合成することができる。
【0038】
【化9】
【0039】
R8〜R9、dおよびeは式(III)と同様である。
上記の(v)と(vi)と(vii)から合成する場合、一般式(v)および(vi)で表され
る化合物は、ジメチルカーボネート(vii)1モルに対し、各々0.2〜1.0モルの量
で用いられる。また、上記反応においては触媒として、たとえばLiOCH3、Li2CO3、K2CO3、Na2CO3などを用いることができる。このような触媒は、一般式(v)で表される化合物1モルに対し1×10-5〜1×10-2モルの量で用いられる。
【0040】
上記の合成は、通常攪拌、還流下で生成するメタノールを除去しながら行われる。反応温度は、通常40〜140℃、反応時間は通常2〜60時間である。
また前記一般式(III)で表されるアリルエーテルは、前記一般式(vi)と下記一般式
(viii)で表される化合物とから下記のようにして合成することができる。
【0041】
【化10】
【0042】
R8およびR9、dは式(III)と同様である。
このように上記の(viii)と(vi)から合成する場合、一般式(vi)で表される化合物は、一般式(viii)で表される化合物1モルに対し、0.5〜2.0モルの量で用いられる。この反応においては触媒として、たとえばLiOCH3、Li2CO3、K2CO3、N
a2CO3などを用いることができる。このような触媒は、一般式(viii)で表される化合物1モルに対し1×10-5〜1×10-2モルの量で用いられる。反応は、通常攪拌、還流下で行われ、反応温度は、通常40〜140℃、反応時間は通常2〜60時間である。
【0043】
さらにまた前記一般式(III)で表されるアリルエーテルは、前記一般式(v)と下記一般式(ix)で表される化合物とから下記のようにして合成することができる。
【0044】
【化11】
【0045】
R10およびR11、eは式(III)と同様である。
上記の(v)と(ix)から合成する場合、一般式(ix)で表される化合物は、一般式(v)で表される化合物1モルに対し、0.5〜2.0モルの量で用いられる。また、上記反応においては触媒として、たとえばLiOCH3、Li2CO3、K2CO3、Na2CO3などを用いることができる。このような触媒は、一般式(v)で表される化合物1モルに対し1×10-5〜1×10-2モルの量で用いられる。反応は、通常攪拌、還流下で行われ、反応温度は、通常40〜140℃、反応時間は通常2〜60時間である。
【0046】
本発明に係るアリルエーテルは、たとえばアリルエーテル重合体を製造する際のモノマー原料として用いられる。本発明のアリルエーテルから誘導される構成単位を含むアリルエーテル重合体を高分子マトリックスとする高分子固体電解質は、イオン導電率が高く、化学的に安定である。
【0047】
[新規なアリルカーボネート]
本発明に係る新規なアリルカーボネートは、下記一般式(IV)で
表されるアリルカーボネートである。
【0048】
【化12】
【0049】
式中、R13、R14およびR15は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、fは0〜100の整数であり、好ましくは0〜10の整数である。
【0050】
このようなアリルカーボネートとして具体的には、エチレングリコールジアリルジカーボネート、ジエチレングリコールジアリルジカーボネート、ジエチレングリコールジメタリルジカーボネート、トリエチレングリコールジアリルジカーボネートなど。
【0051】
前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートは、たとえば下記一般式(x)で表さ
れる化合物と、下記一般式(xi)で表される化合物とから下記のようにして合成することができる。
【0052】
【化13】
【0053】
式中、R13〜R15、fは式(IV)と同様である。
上記の合成工程において、一般式(xi)で表される化合物は、一般式(x)で表される
化合物1モルに対し、0.3〜2.0モルの量で用いられる。また、上記反応においては触媒として、たとえばK2CO3、Na2CO3、Li2CO3、NaOCH3などを用いるこ
とができる。このような触媒は、一般式(x)で表される化合物1モルに対し1×10-5
〜1×10-2モルの量で用いられる。
【0054】
一般式(x)で表される化合物と、一般式(xi)で表される化合物との反応は、通常攪
拌、還流下で生成するアルコールを除去しながら行われる。反応温度は、通常40〜140℃、反応時間は通常2〜60時間である。
【0055】
本発明に係るアリルカーボネートは、たとえばアリルカーボネート重合体を製造する際のモノマー原料として用いられる。本発明のアリルカーボネートから誘導される構成単位を含むアリルカーボネート重合体を高分子マトリックスとする高分子固体電解質は、イオン導電率が高く、化学的に安定である。
【0056】
[アクリル酸エステル重合体]
第1のアクリル酸エステル重合体
本発明に係る第1のアクリル酸エステル重合体は、前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種のアクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有している。このような高分子重合体としては、前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルの単独重合体、前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも2種のアクリル酸エステルの共重合体、前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種のアクリル酸エステルと、前記一般式(II)および下記一般式(V)〜(VIII)から選ばれる少なくとも1種の化合物との共重合体などが挙げられる。
【0057】
まず一般式(V)で表される化合物について説明する。
【0058】
【化14】
【0059】
式中、R16およびR17は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、好ましくは水素原子またはメチル基である。
R18は、炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、好ましくは水素原子またはメチル基である。
【0060】
mは0〜100の整数であり、好ましくは0〜30の整数である。
このような一般式(V)で表される化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。
【0061】
次に一般式(VI)で表される化合物について説明する。
【0062】
【化15】
【0063】
式中、R19、R20およびR21は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、好ましくは水素原子またはメチル基である。
iは1〜100の整数であり、好ましくは1〜10の整数である。
【0064】
このような一般式(VI)で表される化合物として具体的には、ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。
【0065】
次に一般式(VII)で表される化合物について説明する。
【0066】
【化16】
【0067】
式中、R22〜R27は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、好ましくは水素原子またはメチル基である。
a,bおよびcは、互いに同一でも異なっていてもよく、0〜100の整数であり、好
ましくは0〜10の整数である。
【0068】
このような一般式(VII)で表される化合物として具体的には、グリセリントリメタク
リレート、グリセリントリアクリレート、トリ(2-メタクリロキシエチル)グリセリン、トリ(2-アクリロキシエチル)グリセリンなど。
【0069】
次に一般式(VIII)で表される化合物について説明する。一般式(VIII)で表される化合物は、ポリエチレンオキサイドである。
HO−(CH2CH2O)k−H …(VIII)
式中、kは1〜100の整数であり、好ましくは1〜20の整数である。
【0070】
このポリエチレンオキサイドは、前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルと、エステル交換反応により反応する。
本発明における好ましい態様の一つである前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種のアクリル酸エステルの重合体は、分子量が通常2×103〜1×108、好ましくは1×104〜1×107の範囲にある。
【0071】
該重合体が前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも2種のアクリル酸エステルの共重合体である場合には、前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから導かれる2種以上の構成単位の比率は、特に限定されないが、1種の構成単位の比率が40〜95モル%の範囲内にあることが望ましい。
【0072】
本発明における他の好ましい態様である前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルと、前記一般式(II)および(V)〜(VIII)から選ばれる少なくとも1種の化合物との共重合体は、分子量が通常2×103〜1×108、好ましくは1×104〜1×107の範囲にある。 また、前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから導かれる構成単位と、前記一般式(II)および(V)〜(VIII)から選ばれる化合物から導かれる構成単位とのモル比は、通常5:95〜100:0、好ましくは5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10の範囲にある。
【0073】
前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから導かれる構成単位と、前記一般式(II)および(V)〜(VIII)から選ばれる化合物から導かれる構成単位とのモル比は、所望の物理的および化学的性質に応じて上記範囲内で調整される。前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから導かれる構成単位と、前記一般式(II)および(V)〜(VIII)から選ばれる化合物から導かれる構成単位とのモル比が上記範囲外であると、イオン導電率が低下する、重合物の粘性・弾性が低下する、引張り強度が低下するなどの問題が発生する場合がある。
【0074】
上記のような本発明に係る第1のアクリル酸エステル重合体は、常法により製造することができる。たとえば前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種、または、前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種と、前記一般式(II)および(V)〜(VIII)から選ばれる少なくとも1種の化合物とを、ラジカル重合法、光重合法などで重合させることにより容易に製造することができる。
【0075】
なお、本発明に係る第1のアクリル酸エステル重合体は、前記一般式(I),(II)お
よび(V)〜(VIII)から誘導される構成単位以外の構成単位を、例えば20モル%以下の割合で含有していてもよい。
第2のアクリル酸エステル重合体
本発明に係る第2のアクリル酸エステル重合体は、前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種のアクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有している。
【0076】
このような高分子重合体としては、前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルの単独重合体、前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも2種のアクリル酸エステルの共重合体、前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種のアクリル酸エステルと、前記一般式(V)〜(VIII)から選ばれる少なくとも1種の化合物との共重合体などが挙げられる。
【0077】
本発明における好ましい態様の一つである前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種のアクリル酸エステルの重合体は、分子量が通常2×103〜1×108、好ましくは1×104〜1×107の範囲にある。
【0078】
該重合体が前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも2種のアクリル酸エステルの共重合体である場合には、前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから導かれる2種以上の構成単位の比率は、特に限定されないが、1種の構成単位の比率が40〜95モル%の範囲内にあることが望ましい。
【0079】
本発明における他の好ましい態様である前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルと、前記一般式(V)〜(VIII)から選ばれる少なくとも1種の化合物との共重合体は、分子量が通常2×103〜1×108、好ましくは1×104〜1×107の範囲にある。また、前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから導かれる構成単位と、前記一般式(V)〜(VIII)から選ばれる化合物から導かれる構成単位とのモル比は、通常5:95〜100:0、好ましくは5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10の範囲にある。
【0080】
前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから導かれる構成単位と、前記一般式(V)〜(VIII)から選ばれる化合物から導かれる構成単位とのモル比は、所望の物理的および化学的性質に応じて上記範囲内で調整される。
【0081】
前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから導かれる構成単位と、前記一般式(V)〜(VIII)から選ばれる化合物から導かれる構成単位とのモル比が上記範囲外であると、イオン導電率が低下する、重合物の粘性・弾性が低下する、引張り強度が低下するなどの問題が発生する場合がある。
【0082】
上記のような本発明に係る第2のアクリル酸エステル重合体は、常法により製造することができる。たとえば前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種、または、前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種と、前記一般式(V)〜(VIII)から選ばれる少なくとも1種の化合物とを、ラジカル重合法、光重合法などで重合させることにより容易に製造することができる。
【0083】
なお、本発明に係る第2のアクリル酸エステル重合体は、前記一般式(II)および(V)〜(VIII)から誘導される構成単位以外の構成単位を、例えば20モル%以下の割合で含有していてもよい。
【0084】
[アリルエーテル重合体]
本発明に係るアリルエーテル重合体は、上記のような一般式(III)で表されるアリル
エーテルから選ばれる少なくとも1種のアリルエーテルから誘導される構成単位を含有している。このようなアリルエーテル重合体としては、前記一般式(III)で表されるアリ
ルエーテルの単独重合体、前記一般式(III)で表されるアリルエーテルから選ばれる少
なくとも2種のアリルエーテルの共重合体、前記一般式(III)で表されるアリルエーテ
ルから選ばれる少なくとも1種のアリルエーテルと、前記一般式(IV),(VII)および下記一般式(IX),(X)から選ばれる少なくとも1種の化合物との共重合体などが挙げられる。
【0085】
まず一般式(IX)で表される化合物について説明する。
【0086】
【化17】
【0087】
式中、R28は炭素原子数1〜4のアルキル基、R29は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。このような一般式(IX)で表される化合物として具体的には、メチルアリルカーボネート、エチルアリルカーボネート、メチルメタリルカーボネート、メチルエタリルカーボネート、プロピルアリルカーボネート、ブチルアリルカーボネートなどが挙げられる。
【0088】
また一般式(X)で表される化合物は以下の化合物である。
【0089】
【化18】
【0090】
式中、R30およびR31は、水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。このような一般式(IX)で表される化合物として具体的には、ジアリルカーボネート、ジメタリルカーボネート、ジエタリルカーボネート、アリルメタリルカーボネート、アリルエタリルカーボネートなどが挙げられる。
【0091】
本発明における好ましい態様の一つである前記一般式(III)で表されるアリルエーテ
ルから選ばれる少なくとも1種のアリルエーテルの重合体は、分子量が通常1×103〜
1×107、好ましくは1×104〜1×106の範囲にある。
【0092】
該重合体が前記一般式(III)で表されるアリルエーテルから選ばれる少なくとも2種
のアリルエーテルの共重合体である場合には、前記一般式(III)で表されるアリルエー
テルから導かれる2種以上の構成単位の比率は、特に限定されないが、1種の構成単位の比率が30〜95モル%の範囲内にあることが望ましい。
【0093】
本発明における他の好ましい態様である前記一般式(III)で表されるアリルエーテル
と、前記一般式(IV),(VII) ,(IX)および(X)から選ばれる少なくとも1種の化合
物との共重合体は、分子量が通常1×103〜1×107、好ましくは1×104〜1×1
06の範囲にある。また、前記一般式(III)で表されるアリルエーテルから導かれる構成単位と、前記一般式(IV),(VII),(IX)および(X)から選ばれる化合物から導かれる構成単位とのモル比は、通常5:95〜95:5、好ましくは10:90〜90:10の範囲にある。前記一般式(III)で表されるアリルエーテルから導かれる構成単位と、前
記一般式(IV),(VII) ,(IX)および(X)から選ばれる化合物から導かれる構成単位
とのモル比は、所望の物理的および
化学的性質に応じて上記範囲内で調整される。前記一般式(III)で表されるアリルエー
テルから導かれる構成単位と、前記一般式(IV),(VII) ,(IX)および(X)から選ば
れる化合物から導かれる構成単位とのモル比が上記範囲外であると、イオン導電率が低下する、重合物の粘性・弾性が低下する、引張り強度が低下するなどの問題が発生する場合がある。
【0094】
上記のようなアリルエーテル重合体は、常法により製造することができる。たとえば前記一般式(III)で表されるアリルエーテルから選ばれる少なくとも1種、または、前記
一般式(III)で表されるアリルエーテルから選ばれる少なくとも1種と、前記一般式(IV),(VII),(IX)および(X)から選ばれる少なくとも1種の化合物とを、ラジカル重合法、光重合法などで重合させることにより容易に製造することができる。
【0095】
なお、本発明に係るアリルエーテル重合体は、前記一般式(III),(IV),(VII),(IX)および(X)から誘導される構成単位以外の構成単位を、例えば20モル%以下の割合で含有していてもよい。
【0096】
[アリルカーボネート重合体]
第1のアリルカーボネート重合体
本発明に係る第1のアリルカーボネート重合体は、上記のような一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから選ばれる少なくとも1種のアリルカーボネートから誘導される構成単位を含有している。
【0097】
このような高分子重合体としては、前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートの単独重合体、前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから選ばれる少なくとも2種のアリルカーボネートの共重合体、前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから選ばれる少なくとも1種のアリルカーボネートと、前記一般式(VII)で表される少な
くとも1種の化合物との共重合体などが挙げられる。
【0098】
本発明における好ましい態様の一つである前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから選ばれる少なくとも1種のアリルカーボネートの重合体は、分子量が通常1×103〜1×107、好ましくは1×104〜1×106の範囲にある。
【0099】
該重合体が前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから選ばれる少なくとも2種のアリルカーボネートの共重合体である場合には、前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから選ばれる2種以上の構成単位の比率は、特に限定されないが、1種の構成単位の比率が30〜95モル%の範囲内にあることが望ましい。
【0100】
本発明における他の好ましい態様である前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートと、前記一般式(VII)で表される少なくとも1種の化合物との共重合体は、分子量が
通常1×103〜1×107、好ましくは1×104〜1×106の範囲にある。また、前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから導かれる構成単位と、前記一般式(VII
)で表される化合物から導かれる構成単位とのモル比は、通常5:95〜100:0、好ましくは10:90〜90:10の範囲にある。
【0101】
前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから導かれる構成単位と、前記一般式(VII)で表される化合物から導かれる構成単位とのモル比は、所望の物理的および化学
的性質に応じて上記範囲内で調整される。
【0102】
前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから導かれる構成単位と、前記一般式(VII)で表される化合物から導かれる構成単位とのモル比が上記範囲外であると、イオ
ン導電率が低下する、重合物の粘性・弾性が低下する、引張り強度が低下するなどの問題が発生する場合がある。
【0103】
上記のようなアリルカーボネート重合体は、常法により製造することができる。たとえば前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから選ばれる少なくとも1種、または、前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから選ばれる少なくとも1種と、前記一般式(VII)で表される少なくとも1種の化合物とを、ラジカル重合法、光重合法などで重合させることにより容易に製造することができる。
【0104】
なお、本発明に係る第1のアリルカーボネート重合体は、前記一般式(IV)および(VII)から誘導される構成単位以外の構成単位を、例えば20モル%以下の割合で含有していてもよい。
第2のアリルカーボネート重合体
本発明に係る第2のアリルカーボネート重合体は、前記一般式(IX)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導される構成単位と、
前記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導さ
れる構成単位とを含有している。
【0105】
本発明に係るアリルカーボネート重合体は、分子量が通常2×103〜1×108、好ましくは1×104〜1×107の範囲にある。また、前記一般式(IX)で表される化合物から導かれる構成単位と、前記一般式(VII)で表される化合物から導かれる構成単位との
モル比は、通常10:90〜99:1、好ましくは30:70〜97:3、より好ましくは50:50〜95:5の範囲にある。
【0106】
前記一般式(IX)で表される化合物から導かれる構成単位と、前記一般式(VII)で表
される化合物から導かれる構成単位とのモル比は、所望の物理的および化学的性質に応じて上記範囲内で調整される。
【0107】
前記一般式(IX)で表される化合物から導かれる構成単位と、前記一般式(VII)で表
される化合物から導かれる構成単位とのモル比が上記範囲外であると、イオン導電率が低下する、重合物の粘性・弾性が低下する、引張り強度が低下するなどの問題が発生する場合がある。
【0108】
上記のようなアリルカーボネート共重合体は、常法により製造することができる。たとえば前記一般式(IX)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、前記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを、ラジカル重合
法、光重合法などで重合させることにより容易に製造することができる。
【0109】
なお、本発明に係る第2のアリルカーボネート重合体は、前記一般式(IX)で表される化合物から誘導される構成単位および前記一般式(VII)で表される化合物から誘導され
る構成単位以外の構成単位を、本発明の共重合体の特性を損なわない範囲で例えば20モル%以下の割合で含有していてもよい。
第3のアリルカーボネート重合体
本発明に係る第3のアリルカーボネート重合体は、前記一般式(X)で表される化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導される構成単位と、
前記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導さ
れる構成単位とを含有している。
【0110】
本発明に係る第3のアリルカーボネート共重合体は、分子量が通常2×103〜1×1
08、好ましくは1×104〜1×107の範囲にある。また、前記一般式(X)で表される化合物から導かれる構成単位と、前記一般式(VII)で表される化合物から導かれる構成
単位とのモル比は、通常10:90〜99:1、好ましくは30:70〜97:3、より好ましくは50:50〜95:5の範囲にある。
【0111】
前記一般式(X)で表される化合物から導かれる構成単位と、前記一般式(VII)で表される化合物から導かれる構成単位とのモル比は、所望の物理的および化学的性質に応じて上記範囲内で調整される。
【0112】
前記一般式(X)で表される化合物から導かれる構成単位と、前記一般式(VII)で表される化合物から導かれる構成単位とのモル比が上記範囲外であると、イオン導電率が低下する、重合物の粘性・弾性が低下する、引張り強度が低下するなどの問題が発生する場合がある。
【0113】
上記のようなアリルカーボネート共重合体は、常法により製造することができる。たとえば前記一般式(X)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、前記一
般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを、ラジカル重合
法、光重合法などで重合させることにより容易に製造することができる。
【0114】
なお、本発明に係る第3のアリルカーボネート共重合体は、前記一般式(X)で表され
る化合物から誘導される構成単位および前記一般式(VII)で表される化合物から誘導さ
れる構成単位以外の構成単位を、本発明の共重合体の特性を損なわない範囲で例えば20モル%以下の割合で含有していてもよい。
【0115】
[高分子固体電解質]
本発明に係る高分子固体電解質は、上記のようなアクリル酸エステル重合体とアリルエーテル重合体とアリルカーボネート重合体とから選ばれる少なくとも1種の重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩、さらに場合により非水溶媒とから形成されている。
【0116】
ここで、周期律表第Ia族の金属塩としては、LiBr、LiI、LiSCN、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiAlCl4、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、NaBr、NaSCN、NaClO4、KSCN、KClO4などが挙げられ、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiC
F3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3が好ましく用いられる。これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0117】
本発明の高分子固体電解質において周期律表第Ia族の金属の塩の含有割合は、高分子固体電解質の全重量に対し、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の範囲にあることが好ましい。
【0118】
アクリル酸エステル重合体とアリルエーテル重合体とアリルカーボネート重合体とから選ばれる少なくとも1種の重合体と周期律表第Ia族の金属と比が上記の範囲外であると、イオン導電率が低下する、重合物の粘性・弾性が低下する、引張り強度が低下するなどの問題が発生する場合がある。
【0119】
本発明の高分子固体電解質は、常法により製造することができる。一般に高分子固体電解質は、膜状の形態で使用されるため、以下のような方法を採用することが好ましい。
(ア)前記のような方法で重合したアクリル酸エステル重合体とアリルエーテル重合体
とアリルカーボネート重合体とから選ばれる少なくとも1種の重合体と、第Ia族の金属の塩とを溶媒に溶解または含浸し、得られた溶液を平坦な基板上に流すかあるいは塗布する方法、または塗布後、溶媒を蒸発させる方法。ここで用いられる溶媒としては、該重合体を溶解し得る溶媒であれば特に限定されないが、たとえば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、γ−ブチロラクロン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、スルホランなどを用いることができる。
【0120】
(イ)下記のような1種または2種以上の化合物を、第Ia族の金属の塩の共存下に溶
媒に溶解し、得られた溶液を平坦な基板上に流すかあるいは塗布し、紫外線、放射線の照射、または熱により重合、硬化させる方法。
(1)前記一般式(I)〜(IV)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
(2)前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種と、前
記一般式(II)および(V)〜(VIII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
(3)前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種と、前
記一般式(V)〜(VIII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
(4)前記一般式(III)で表されるアリルエーテルから選ばれる少なくとも1種と、前記一般式(IV),(VII),(IX)および(X)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
(5)前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから選ばれる少なくとも1種と、前
記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
(6)前記一般式(IX)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種と、前記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
(7)前記一般式(X)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種と、前記一般式(VII
)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
【0121】
この場合、溶液を平坦な基板上に広げた後、溶媒を蒸発させてもよい。ここで用いられる溶媒としては、メチルエチルケトン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、γ−ブチロラクロン、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
【0122】
なお、本方法においては光増感剤を用いることができ、ここで用いられる光増感剤としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンな
どを例示できる。
(ウ)上記(1)〜(7)に示す1種または2種以上の化合物を、第Ia族の金属塩と重合開始
剤の共存下に溶媒に溶解し、得られた溶液を平坦な基板上に流すかあるいは塗布し、溶液を加熱して重合、硬化させる方法。この場合、溶液を平坦な基板上に広げた後、溶媒を蒸発させてもよい。ここで用いられる溶媒としては、(イ)の方法で例示した溶媒と同様の
ものが挙げられる。
前記(イ)および(ウ)の方法において、溶媒を蒸発させずに重合させると、ゲル状の高分子固体電解質を製造することができる。
【0123】
本発明において高分子固体電解質は、バルク状であっても、ゲル状であってもよい。
本発明に係るゲル状高分子固体電解質は、上記のようなアクリル酸エステル重合体、アリルエーテル重合体、またはアリルカーボネート重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩と、非水溶媒から形成されている。
【0124】
周期律表第Ia族の金属の塩としては、先に述べたような塩を用いることができる。
非水溶媒としては、メチルエチルケトン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、γ−ブチロラクロン、ジメチルホルムアミドなどが挙げられ、炭酸プロピレン、炭酸エチレンが好ましく使用される。
【0125】
非水溶媒の含有量は、アクリル酸エステル重合体、アリルエーテル重合体、またはアリルカーボネート重合体100重量部に対して、0〜600重量部、好ましくは5〜300重量部、さらに好ましくは10〜250重量部の範囲であることが好ましい。
【0126】
本発明に係る高分子固体電解質は、イオン導電率が高く、電気化学的に安定である。このような高分子固体電解質は、たとえば一次電池、二次電池、コンデンサー、エレクトロクロミック表示素子などの電気化学素子、医療用アクチュエーターなどに用いることができる。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0127】
なお、アクリル酸エステル重合体、アリルエーテル重合体、アリルカーボネート重合体および高分子固体電解質の評価は次の方法によった。
参考例1
炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルの合成
100mlの四つ口フラスコにメタクリル酸ヒドロキシエチル13.01g(0.1モル)、炭酸ジメチル27.00g(0.3モル)および触媒として炭酸カリウム0.042g(0.3ミリモル)とを仕込み、撹拌、還流下、生成するメタノールを除去しながら90℃で8時間反応させた。反応後シリカゲルカラムで炭酸カリウムを除去した後、蒸留して炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルを得た。
【0128】
得られた炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルについてNMRおよびIR測定により同定した。第1図にNMRスペクトル、第2図にIRスペクトルを示す。
NMR(CDCl3溶液、δppm):1.95(t,3H,J=1.0Hz,CH3)、3.80(s,3H,CH3)、4.38(m,4H,CH2)、5.59(t,1H,J=1.5Hz,CH)、6.14(s,1H,CH)
IR(neat、cm-1):2960(C−H)、1755(C=O)、1720(C=O)、1640(C=C)、1450、1272、1170、1048、1015、935、790
参考例2
炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルの合成
撹拌機、水分離器、温度計を備えた1リットルの四つ口のフラスコにメタクリル酸86.1g、ジエチレングリコール106.1g、ハイドロキノン0.3g、濃硫酸1.5ml、トルエン500mlを仕込み、撹拌下、水を分離しながら110℃でエステル化反応した。3時間反応後、室温まで冷却した。生成した水は18gであった。
【0129】
反応液を濃縮し、トルエンを除去後、ヘキサン/エーテル=1/1(vol/vol)に溶解した。10%重曹水で原料のメタクリル酸、触媒の硫酸、目的物であるジエチレングリコールモノメタクリレートを抽出してさらに水層をエーテルで抽出し、濃縮してジエチレングリコールモノタメクリレートを52g得た。
【0130】
500mlの四つ口フラスコにジエチレングリコールモノメタクリレート52g(0.3
モル)、炭酸ジメチル270g(3モル)および触媒として炭酸カリウム0.13g(0.9ミリモル)を仕込み、撹拌、還流下、生成するメタノールを除去しながら90℃で8時間反応させた。反応後シリカゲルカラムで炭酸カリウムを除去した後、蒸留して炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルを得た。
【0131】
得られた炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルについてNMRおよびIR測定により同定した。第3図にNMRスペクトル、第4図にIRスペクトルを示す。
NMR(CDCl3溶液、δppm):1.95(t,3H,J=1.3Hz,CH3)、3.75(m,4H,CH2)、3.78(s,3H,CH3)、4.30(m,4H,CH2)、5.58(t,1H,J=1.5Hz,CH)、6.70(s,1H,CH)
IR(neat、cm-1):2980(C−H)、1750(C=O)、1710(C=O)、1640(C=C)、1450、1265、1175、1135、1032、952、785
参考例3
アクリル酸エステル重合体の作製
参考例1で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチル1.88g(0.01モル)、パーロイルIPP50(日本油脂製)41.6μlを混合して均一にした液を、テ
フロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、透明な固体を得た。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0132】
参考例4
アクリル酸エステル重合体の作製
参考例2で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルについて、参考例3と同様に硬化し、IRスペクトルにより重合の確認を行った。
【0133】
参考例5
アクリル酸エステル共重合体の作製
参考例1で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチル0.94g(0.005モル)、参考例2で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチル1.1
6g(0.005モル)、パーロイルIPP5041.6μlを混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、透明な固体を得た。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0134】
参考例6
炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチル共重合体の作製
参考例1で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチル0.94g(0.005モル)、メタクリル酸メトキシエトキシエチル0.94g(0.005モル)、パーロイルIPP5041.6μlを混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス
板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、透明な固体を得た。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0135】
参考例7
参考例6においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えてジエチレングリコールジメタクリレートを用いたこと以外は参考例6と同様にして共重合体を作製し、IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0136】
得られたIRスペクトルを第5図に示す。
参考例8
参考例6においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えてジ2-メタクリロキシエチルカーボネートを用いたこと以外は参考例6と同様にして共重合体を作製した。
【0137】
参考例9
炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチル共重合体の作製
参考例2で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチル1.16g(
0.005モル)、メタクリル酸メトキシエトキシエチル0.94g(0.005モル)、
パーロイルIPP5041.6μlを混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コ
ートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、透明な固体を得た。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0138】
参考例10
参考例9においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えてジエチレングリコールジメタクリレートを用いたこと以外は参考例9と同様にして共重合体を作製した。
【0139】
参考例11
参考例9においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えてジ2-メタクリロキシエチルカーボネートを用いたこと以外は参考例9と同様にして共重合体を作製した。
【0140】
実施例12
高分子電解質の製造及びイオン電導度の測定
参考例1で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチル50重量%、プロピレンカーボネート50重量%、第Ia族の金属塩(LiN(CF3SO2)2)をカーボネー
トユニットに対して2モル%、パーロイルIPP50をモノマーに対して1モル%を添加して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩からなる約1mm厚みの薄膜状高分子固体電解質を製造した。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0141】
本発明においては、得られた薄膜状高分子固体電解質を10mmφの円盤状に打ち抜き、これを電極にはさみ、インピーダンス測定ホルダーに入れ、これをペルチェ素子により電極の温度コントロールをして、インピーダンスアナライザー(HP4285A)で複素インピーダンス測定(測定電圧10mV)を行い、解析的にイオン電導度を決定した。結果を表1に示す。
【0142】
実施例13
実施例12において炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルに代えて実施例2で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルを用いたこと以外は実施例12と同様にして高分子電解質を製造した。
【0143】
得られた高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表1に示す。
実施例14
実施例12において炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルに代えて炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルと実施例2で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルを5:5(モル:モル)で混合したモノマーを用いたこと以外は実施例12と同様にして高分子電解質を製造した。
【0144】
得られた高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表1に示す。
実施例15
参考例1で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルと、メタクリル酸メトキシエトキシエチルを5:5(モル:モル)で混合したモノマー70重量%、プロピレンカーボネート30重量%、第Ia族の金属塩(LiN(CF3SO2)2)をカーボネート
ユニットに対して2モル%、パーロイルIPP50をモノマーに対して1モル%を添加して均一にした液を、(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩からなる高分子固体電解質を製造した。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0145】
得られた高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表1に示す。
実施例16
実施例15においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えてジエチレングリコールジメタクリレートを用い、かつ各モノマーを9:1(モル:モル)で混合したこと以外は実施例15と同様にして高分子電解質を製造した。
【0146】
得られた高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表1に示す。
実施例17
実施例15においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えてジ2-メタクリロキシエチルカーボネートを用い、かつ各モノマーを9:1(モル:モル)で混合したこと以外は実施例15と同様にして高分子電解質を製造した。
【0147】
得られた高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表1に示す。
実施例18
実施例2で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルと、メタクリル酸メトキシエトキシエチルを5:5(モル:モル)で混合したモノマー70重量%、プロピレンカーボネート30重量%、第Ia族の金属塩(LiN(CF3SO2)2)をカー
ボネートユニットに対して2モル%、パーロイルIPP50をモノマーに対して1モル%を添加して均一にした液を、(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩からなる高分子固体電解質を製造した。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0148】
得られた高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表1に示す。
実施例19
実施例18においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えてジエチレングリコールジメタクリレートを用い、かつ各モノマーを9:1(モル:モル)で混合したこと以外は実施例18と同様にして高分子電解質を製造した。
【0149】
得られた高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表1に示す。
実施例20
実施例18においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えてジ2-メタクリロキシエチルカーボネートを用い、かつ各モノマーを9:1(モル:モル)で混合したこと以外は実施例18と同様にして高分子電解質を製造した。
【0150】
得られた高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表1に示す。
【0151】
【表1】
【0152】
実施例21
参考例1で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチル5.0g、LiClO4 0.5g、メチルエチルケトン5.0gおよびベンゾフェノン0.025gを混合して均一にした溶液を、乾燥不活性ガス雰囲気中でガラス板上にキャストしてメチルエチルケトンを蒸発させた。その後、乾燥不活性ガス雰囲気中で紫外線を照射して炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルを重合、硬化させて、アクリル酸エステル重合体と第Ia族
の金属塩(LiClO4)とからなる高分子固体電解質を製造した。
【0153】
実施例22
実施例21において、メチルエチルケトンに代えてプロピレンカーボネートを用い、かつプロピレンカーボネートを蒸発させなかったこと以外は実施例21と同様にして高分子固体電解質を製造した。
【0154】
実施例23
参考例1で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチル5.0g、LiBF4
0.5g、メチルエチルケトン5.0gおよび過酸化ベンゾイル0.025gを混合して均一にした溶液を乾燥不活性ガス雰囲気中でテフロン(登録商標)板上にキャストしてメチルエチルケトンを蒸発させた。その後、80℃に加熱して炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルを重合、硬化させて、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩(LiBF4)とからなる高分子固体電解質を製造した。
【0155】
実施例24
参考例1で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチル5.0g、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業社製)2.5g、LiN(CF3SO2)20
.5gおよびメチルエチルケトン5.0gを混合して均一にした溶液を、乾燥不活性ガス雰囲気中でガラス板上にキャストしてメチルエチルケトンを蒸発させた。その後、乾燥不活性ガス雰囲気中で電子線を照射して炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルとジエチレングリコールジメタクリレートとを重合、硬化させて、アクリル酸エステル共重合体と第Ia族の金属塩〔LiN(CF3SO2)2〕とからなる高分子固体電解質を製造した。
【0156】
実施例25
実施例24において、メチルエチルケトンに代えてプロピレンカーボネートを用い、かつプロピレンカーボネートを蒸発させなかったこと以外は実施例24と同様にして高分子固体電解質を製造した。
【0157】
実施例26
ジ2-メタクリロキシエチルカーボネートの合成
100mlの四つ口フラスコにメタクリル酸ヒドロキシエチル13.01g(0.1モル)、炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチル28.60g(0.1モル)および触媒として炭酸カリウム0.042g(0.3ミリモル)を仕込み、撹拌、還流下、生成するメタノールを除去しながら90℃で8時間反応させた。反応後シリカゲルカラムで炭酸カリウムを除去した後、蒸留してジ2-メタクリロキシエチルカーボネートを得た。
【0158】
得られたジ2-メタクリロキシエチルカーボネートについて、NMRおよびIR測定により同定した。第6図にNMRスペクトル、第7図にIRスペクトルを示す。
NMR(CDCl3溶液、δppm):1.95(t,6H,J=0.8Hz,CH3)、4.40(m,8H,CH2)、5.60(t,2H,J=1.1Hz,CH)、6.14(t,2H,J=1.1Hz,CH)
IR(neat、cm-1):2980(C−H)、1760(C=O)、1738(C=O)、1640(C=C)、1460、1265、1163、1038、950、818、795
実施例27
アクリル酸エステル重合体の作製
実施例26で製造したジ2-メタクリロキシエチルカーボネート2.86g(0.01モル)、パーロイルIPP50(日本油脂製)41.6μlを混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、透明な固体を得た。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0159】
実施例28
ジ2-メタクリロキシエチルカーボネート共重合体の作製
実施例26で製造したジ2-メタクリロキシエチルカーボネート1.43g(0.005モル)、メタクリル酸メトキシエトキシエチル0.94g(0.005モル)、パーロイルIPP5041.6μlを混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板
上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、透明な固体を得た。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0160】
実施例29
実施例28においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えてジエチレングリコールジメタクリレートを用いたこと以外は実施例28と同様にして共重合体を作製した。実施例28と同様に、IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0161】
得られたIRスペクトルを第8図に示す。
実施例30
実施例28においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えて炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルを用いたこと以外は実施例28と同様にして共重合体を作製した。
【0162】
実施例31
実施例28においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えて炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルを用いたこと以外は実施例28と同様にして共重合体を作製した。
【0163】
実施例32
高分子電解質の製造及びイオン電導度の測定
実施例26で製造したジ2-メタクリロキシエチルカーボネート50重量%、プロピレンカーボネート50重量%、第Ia族の金属塩(LiN(CF3SO2)2)をカーボネート
ユニットに対して2モル%、パーロイルIPP50をモノマーに対して1モル%を混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩からなる高分子固体電解質を製造した。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0164】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表2に示す。
実施例33
実施例32においてジ2-メタクリロキシエチルカーボネートとプロピレンカーボネートを30重量%と70重量%で混合したこと以外は実施例32と同様にして高分子電解質を製造した。
【0165】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表2に示す。
実施例34
実施例26で製造したジ2-メタクリロキシエチルカーボネートと、メタクリル酸メトキ
シエトキシエチルを1:9(モル:モル)で混合したモノマー70重量%、プロピレンカーボネート30重量%、第Ia族の金属塩(LiN(CF3SO2)2)をカーボネートユニットに対して2モル%、パーロイルIPP50をモノマーに対して1モル%を混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩からなる高分子固体電解質を製造した。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0166】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表2に示す。
実施例35
実施例34においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えて炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルを用いたこと以外は実施例34と同様にして高分子電解質を製造した。
【0167】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表2に示す。
実施例36
実施例34においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えて炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルを用いたこと以外は実施例34と同様にして高分子電解質を製造した。
【0168】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表2に示す。
実施例37
実施例26で製造したジ2-メタクリロキシエチルカーボネートと、ジエチレングリコールモノメタクリレートを5:5(モル:モル)で混合したモノマー50重量%、プロピレンカーボネート50重量%、第Ia族の金属塩(LiN(CF3SO2)2)をカーボネー
トユニットに対して2モル%、パーロイルIPP50をモノマーに対して1モル%を混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩からなる高分子固体電解質を製造した。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0169】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表2に示す。
実施例38
実施例37においてモノマーとプロピレンカーボネートを30重量%と70重量%で混合したこと以外は実施例37と同様にして高分子電解質を製造した。
【0170】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表2に示す。
【0171】
【表2】
【0172】
実施例39
高分子固体電解質の製造
実施例26で製造したジ2-メタクリロキシエチルカーボネート5.0g、LiClO4
0.5g、メチルエチルケトン5.0gおよびベンゾフェノン0.005gを混合して均一にした溶液を、乾燥不活性ガス雰囲気中でガラス板上にキャストしてメチルエチルケトンを蒸発させた。その後、乾燥不活性ガス雰囲気中で紫外線を照射してジ2-メタクリロキシエチルカーボネートを重合、硬化させて、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩(LiClO4 )とからなる高分子固体電解質を製造した。
【0173】
実施例40
実施例39において、メチルエチルケトンに代えてプロピレンカーボネートを用い、かつプロピレンカーボネートを蒸発させなかったこと以外は実施例39と同様にして高分子固体電解質を製造した。
【0174】
実施例41
実施例26で製造したジ2-メタクリロキシエチルカーボネート5.0g、LiOSO2 CF3 0.5g、メチルエチルケトン5.0gおよび過酸化ベンゾイル0.025gを混合して均一にした溶液を乾燥不活性ガス雰囲気中でテフロン(登録商標)板上にキャストしてメチルエチルケトンを蒸発させた。その後、80℃に加熱してジ2-メタクリロキシエチルカーボネートを重合、硬化させて、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩(LiOSO2 CF3 )とからなる高分子固体電解質を製造した。
【0175】
実施例42
実施例26で製造したジ2-メタクリロキシエチルカーボネート5.0g、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業社製)2.5g、LiBF4 0.5gおよびメチルエチルケトン5.0gを混合して均一にした溶液を、乾燥不活性ガス雰囲気中でガラス板上にキャストしてメチルエチルケトンを蒸発させた。その後、乾燥不活性ガス雰囲気中で電子線を照射してジ2-メタクリロキシエチルカーボネートとジエチレングリコールジメタクリレートとを重合、硬化させて、アクリル酸エステル共重合体と第Ia族の金属塩(LiBF4 )とからなる高分子固体電解質を製造した。
【0176】
実施例43
実施例42において、メチルエチルケトンに代えてプロピレンカーボネートを用い、かつプロピレンカーボネートを蒸発させなかったこと以外は実施例39と同様にして高分子固体電解質を製造した。
【0177】
実施例44
2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートの合成
100mlの四つ口フラスコにジアリルカーボネート14.2g(0.1モル)、トリエチレングリコールモノメチルエステル49.2g(0.3モル)および触媒として炭酸カリウム0.042g(0.3ミリモル)を仕込み、撹拌、還流下、生成したアリルアルコールを除去しながら130℃で8時間反応させた。反応後、シリカゲルカラムで炭酸カリウムを除去した後、蒸留して2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートを得た。
【0178】
得られた2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートについてNMRおよびIR測定により同定した。第9図にNMRスペクトル、第10図にIRスペクトルを示す。
【0179】
NMR(CDCl3溶液、δppm):3.39(s,3H,CH3)、3.55〜3.78(m,10H,CH2)、4.30(t,2H,J=1.3Hz,CH2)、4.64(d,2H,3.2Hz,CH2)、5.28(d,1H,J=4.0Hz,CH)、5.38(d,1H,J=6.0Hz,CH)、5.93(m,1H,CH)
IR(neat、cm-1):2880(C−H)、1748(C=O)
、1649(C=C)、1451、1383、1260、1108、872、787
実施例45
メトキシエチルアリロキシエチルカーボネートの合成
ジ2-アリロキシエチルカーボネート23.0g(0.1モル)、メトキシエタノール22.8g(0.3モル)および触媒として炭酸カリウム0.042g(0.3ミリモル)を仕込み、撹拌、還流下生成したアリロキシエタノールを除去しながら130℃で8時間反応させた。反応後、シリカゲルカラムで炭酸カリウムを除去した後、蒸留してメトキシエチルアリロキシエチルカーボネートを得た。
【0180】
得られたメトキシエチルアリロキシエチルカーボネートについてNMRおよびIR測定により同定した。第11図にNMRスペクトル、第12図にIRスペクトルを示す。
NMR(CDCl3溶液、δppm):3.22(s,3H,CH3)、3.60〜3.68(m,4H,CH2)、4.01(m,2H,CH2)、4.26〜4.31(m,4H,CH2)、5.20(d,1H,J=4Hz,CH)、5.30(d,1H,J=6Hz,CH)、5.89(m,1H,CH)
IR(neat、cm-1):2890(C−H)、1749(C=O)、1646(C=O)、1451、1263、1127、1029、786
実施例46
アリルカーボネート重合体の作製
実施例44で合成した2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネート2.48
g(0.01モル)、パーロイルIPP50(日本油脂製)41.6μlを混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、透明な固体を得た。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0181】
実施例47
アリルカーボネート共重合体の作製
実施例44で合成した2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネート1.24
g(0.005モル)、メチルアリルカーボネート0.58g(0.005モル)、パーロ
イルIPP5041.6μlを混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガ
ラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、80℃で24時間硬化させ、透明な固体を得た。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0182】
実施例48
実施例47においてメチルアリルカーボネートに代えてジアリルカーボネートを用いたこと以外は実施例4と同様にして共重合体を作製した。実施例47と同様にIRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0183】
得られたIRスペクトルを第13図に示す。
実施例49
高分子電解質の製造及びイオン電導度の測定
実施例44で合成した2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートと、ジアリルカーボネートを5:5(モル:モル)で混合したモノマー50重量%、第Ia族の金属塩(LiN(CF3SO2)2)をカーボネートユニットに対して1モル%、パーロイル
IPP50をモノマーに対して1モル%を混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、80℃で24時間硬化させ、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩からなる高分子固体電解質を製造した。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0184】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表3に示す。
【0185】
【表3】
【0186】
実施例50
高分子電解質の製造
実施例44で製造した2-メトキシエチルアリルカーボネート5.0g、LiBF40.
5g、ジメチルカーボネート5.0gおよび重合触媒のジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.2gを均一に混合した溶液を、乾燥不活性ガス雰囲気中でガラス板上にキャストしてジメチルカーボネートを蒸発させた。その後80℃に加熱して2-メトキシエチルアリルカーボネート重合体と第Ia族の金属塩からなる高分子電解質を製造した。
【0187】
実施例51
実施例50において、ジメチルカーボネートの代わりにプロピレンカーボネートを用い、かつプロピレンカーボネートを蒸発させなかったこと以外は実施例50と同様にして高分子電解質を製造した。
【0188】
実施例52
実施例50において、LiBF4の代わりにLiClO4を用いたこと以外は、実施例50と同様にして高分子電解質を製造した。
【0189】
実施例53
ジエチレングリコールジアリルジカーボネートの合成
100mlの四つ口フラスコにジアリルカーボネート28.4g(0.2モル)、ジエチレングリコール10.6g(0.1モル)および触媒として炭酸カリウム0.042g(0.3ミリモル)を仕込み、撹拌、還流下、生成したアリルアルコールを除去しながら130℃
で8時間反応させた。反応後シリカゲルカラムで炭酸カリウムを除去した後、蒸留してジエチレングリコールジアリルジカーボネートを得た。
【0190】
得られたジエチレングリコールジアリルジカーボネートについてNMRおよびIR測定により同定した。第14図にNMRスペクトル、第15図にIRスペクトルを示す。
NMR(CDCl3溶液、δppm):3.73(m,4H,CH2)、4.30(m,4H
,CH2)、4.62(m,4H,CH2)、5.26(q,2H,J=8.1Hz,CH)
、5.33(q,2H,J=13.5Hz,CH)、5.94(m,2H,CH2)
IR(neat、cm-1):2958(C−H)、1750(C=O)、1649(C=C)、1451、1387、1280、1143、876、786
実施例54
アリルカーボネート重合体の作製
実施例53で製造したジエチレングリコールジアリルジカーボネート2.88g(0.01モル)、パーロイルIPP50(日本油脂製)41.6μlを混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、80℃で24時間硬化させ、透明な固体を得た。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0191】
実施例55
アリルカーボネート共重合体の作製
実施例53で製造したジエチレングリコールジアリルジカーボネート1.44g(0.005モル)、2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネート1.24g(0.005モル)、パーロイルIPP5041.6μlを混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、80℃で24時間硬化させ、透明な固体を得た。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0192】
実施例56
実施例55において2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートに代えてメチルアリルカーボネートを用いたこと以外は実施例55と同様にして共重合体を作製した。
【0193】
実施例57
実施例55において2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートに代えてジアリルカーボネートを用いたこと以外は実施例55と同様にして共重合体を作製した。実施例55と同様にIRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0194】
得られたIRスペクトルを第16図に示す。
実施例58
高分子電解質の製造及びイオン電導度の測定
参考例1で製造したジエチレングリコールジアリルジカーボネート、第Ia族の金属塩(LiN(CF3SO2)2)をカーボネートユニットに対して2モル%、パーロイルIP
P50をモノマーに対して1モル%を添加して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、80℃で24時間硬化させ、アリルカーボネート重合体と第Ia族の金属塩からなる高分子固体電解質を製造した。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0195】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表4に示す。
実施例59
実施例58においてジエチレングリコールジアリルジカーボネート70重量%、プロピレンカーボネート30重量%を混合したこと以外は実施例58と同様にして高分子電解質を製造した。
【0196】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表4に示す。
実施例60
実施例53で製造したジエチレングリコールジアリルジカーボネートと、2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートを5:5(モル:モル)で混合したモノマー、第Ia族の金属塩(LiN(CF3SO2)2)をカーボネートユニットに対して2モル%
、パーロイルIPP50をモノマーに対して1モル%を添加して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、80℃で24時間硬化させ、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩からなる高分子固体電解質を製造した。
IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0197】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表4に示す。
実施例61
実施例60において2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートに代えてメチルアリルカーボネートを用いたこと以外は実施例60と同様にして高分子電解質を製造した。
【0198】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表4に示す。
実施例62
実施例60において2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートに代えてジアリルカーボネートを用いたこと以外は実施例60と同様にして高分子電解質を製造した。
【0199】
【表4】
【0200】
実施例63
ジエチレングリコールジアリルジカーボネートの合成
実施例53において、ジアリルカーボネートを14.2g(0.1モル)にした以外は実施例53と同様にして、ジエチレングリコールジアリルジカーボネートを合成した。
【0201】
実施例64
高分子電解質の製造
実施例53で製造したジエチレングリコールジアリルジカーボネート5.0g、LiBF40.5g、ジメチルカーボネート5.0gおよび重合触媒のジイソプロピルパーオキ
シジカーボネート0.2gを均一に混合した溶液を、乾燥不活性ガス雰囲気中でガラス板上にキャストしてジメチルカーボネートを蒸発させた。その後80℃に加熱してジエチレングリコールジアリルジカーボネートを重合、硬化させて、ジエチレングリコールジアリルジカーボネート重合体と第Ia族の金属塩からなる高分子電解質を製造した。
【0202】
実施例65
実施例64において、ジメチルカーボネートの代わりにプロピレンカーボネートを用い、かつプロピレンカーボネートを蒸発させなかったこと以外は実施例64と同様にして高分子電解質を製造した。
【0203】
実施例66
実施例64において、LiBF4の代わりにLiClO4を用いたこと以外は、実施例64と同様にして高分子電解質を製造した。
【0204】
実施例67
アリルメチルカーボネートの合成
5リットルの4つ口フラスコにアリルアルコール422g(7.27モル)、ジメチルカーボネート2120g(23.6モル)および触媒として炭酸カリウム1.0g(7.3ミリモル)を仕込み、攪拌・還流下、生成したメタノールを除去しながら90℃で10時間反応させた。反応後、シリカゲルの短カラムで炭酸カリウムを除去した後、蒸留してアリルメチルカーボネートを得た。
三官能性化合物の合成
オートクレーブにグリセリン23g、水酸化カリウム2.5g、エチレンオキシド1200gを入れ、130℃で7時間反応した。中和後、脱塩処理を行って、末端が水酸基の三官能性ポリエチレンオキシド(分子量;約6000)を得た。この三官能性ポリエチレンオキシド200gとメタクリル酸15gに、トルエンおよび濃硫酸2gを加え、還流下共沸で水を留去しながら、脱水縮合を行って三官能性化合物(前記一般式(VII)においてR22、R23およびR24が水素原子、R25、R26およびR27がメチル基)を合成した。
高分子固体電解質の製造
上記のようにして合成したアリルメチルカーボネート5.0g、三官能性化合物2.0g、LiBF4 5.0g、ジメチルカーボネート5.0gおよびジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.2gを均一に混合した溶液を、乾燥不活性ガス雰囲気中でガラス板上にキャストしてジメチルカーボメートを蒸発させた。その後、80℃に加熱してアリルメチルカーボネートと三官能性化合物を共重合、硬化させて、アリルカーボネート共重合体と第Ia族の金属塩(LiBF4)とからなる高分子固体電解質を製造した。
【0205】
実施例68
実施例67において、ジメチルカーボネートに代えてプロピレンカーボネートを用い、かつプロピレンカーボネートを蒸発させなかったこと以外は実施例67と同様にして高分子固体電解質を製造した。
【0206】
実施例69
実施例70において、ジメチルカーボネートに代えてプロピレンカーボネートを用い、LiBF4に代えてLiClO4を用い、かつプロピレンカーボネートを蒸発させなかったこと以外は実施例67と同様にして高分子固体電解質を製造した。
【0207】
実施例70
ジアリルカーボネートの合成
3リットルの4つ口フラスコにアリルアルコール842g(14.5モル)、ジメチルカーボネート1306g(14.5モル)および触媒として炭酸カリウム1.0g(7.3ミリモル)を仕込み、攪拌・還流下、生成したメタノールを除去しながら90℃で10時間反応させた。反応後、シリカゲルの短カラムで炭酸カリウムを除去した後、蒸留してジアリルカーボネートを得た。
高分子固体電解質の製造
上記のようにして合成したジアリルカーボネート5.0g、実施例67で合成した三官能性化合物2.0g、LiBF45.0g、ジメチルカーボネート5.0gおよびジイソ
プロピルパーオキシジカーボネート0.2gを均一に混合した溶液を、乾燥不活性ガス雰囲気中でガラス板上にキャストしてジメチルカーボメートを蒸発させた。その後、80℃に加熱してアリルメチルカーボネートと三官能性化合物を共重合、硬化させて、アリルカーボネート共重合体と第Ia族の金属塩(LiBF4)とからなる高分子固体電解質を製造した。
【0208】
実施例71
実施例70において、ジメチルカーボネートに代えてプロピレンカーボネートを用い、かつプロピレンカーボネートを蒸発させなかったこと以外は実施例70と同様にして高分子固体電解質を製造した。
【0209】
実施例72
実施例70において、ジメチルカーボネートに代えてプロピレンカーボネートを用い、LiBF4に代えてLiClO4を用い、かつプロピレンカーボネートを蒸発させなかったこと以外は実施例70と同様にして高分子固体電解質を製造した。
【図面の簡単な説明】
【0210】
【図1】第1図は、参考例1の炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルのNMRスペクトルを示す。
【図2】第2図は、参考例1の炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルのIRスペクトルを示す。
【図3】第3図は、参考例2の炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルのNMRスペクトルを示す。
【図4】第4図は、参考例2の炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルのIRスペクトルを示す。
【図5】第5図は、参考例7の炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルとジエチレングリコールジメタクリレートの共重合体のIRスペクトルを示す。
【図6】第6図は、実施例26のジ2-メタクリロキシエチルカーボネートのNMRスペクトルを示す。
【図7】第7図は、実施例26のジ2-メタクリロキシエチルカーボネートのIRスペクトルを示す。
【図8】第8図は、実施例29のジ2-メタクリロキシエチルカーボネートとジエチレングリコールジメタクリレートの共重合体のIRスペクトルを示す。
【図9】第9図は、実施例44の2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートのNMRスペクトルを示す。
【図10】第10図は、実施例44の2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートのIRスペクトルを示す。
【図11】第11図は、実施例45のメトキシエチルアリロキシエチルカーボネートのNMRスペクトルを示す。
【図12】第12図は、実施例45のメトキシエチルアリロキシエチルカーボネートのIRスペクトルを示す。
【図13】第13図は、実施例48の2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートとジアリルカーボネートの共重合体のIRスペクトルを示す。
【図14】第14図は、実施例53のジエチレングリコールジアリルジカーボネートのNMRスペクトルを示す。
【図15】第15図は、実施例53のジエチレングリコールジアリルジカーボネートのIRスペクトルを示す。
【図16】第16図は、実施例57のジエチレングリコールジアリルジカーボネートとジアリルカーボネートの共重合体のIRスペクトルを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子固体電解質の高分子マトリックスなどとして用いられる新規重合体およびその重合方法に関する。また、本発明は、一次電池、二次電池、コンデンサーなどに用いられる高分子固体電解質に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一次電池、二次電池、コンデンサーなどの電気化学素子には液体の電解質が用いられていた。しかしながら、液体の電解質は漏液が発生し、長期間の信頼性に欠けるという問題点がある。
【0003】
このような問題を解決する方法として、固体の電解質を用いる方法が知られており、固体の電解質を上記のような電気化学素子に用いると、漏液がなくなり信頼性の高い素子を提供できるとともに、素子自体の小型・軽量化が図れる。
【0004】
近年、固体の電解質として種々の高分子固体電解質が研究されている。高分子固体電解質は、可撓性を有するため電極−高分子固体電解質間のイオン電子交換反応過程で生じる体積変化にも柔軟に適用することができ、かつ上記のような固体電解質の特徴を有している。
【0005】
このような高分子固体電解質としては、ポリエーテル構造を有するポリエチレンオキサイドとリチウム塩などのアルカリ金属塩との複合体が知られている。
また特開平5−25353号公報には、ポリオキシアルキレンのジエステル化合物と、ポリメトキシオキシアルキレンのエステル化合物と、二重結合を持ったオキシ化合物との共重合体の架橋樹脂と無機塩とを主たる構成成分とする高分子固体電解質が記載されている。さらに特開平6−223842号公報には、カーボネート基を官能基として有する有機高分子と金属塩とからなる高分子固体電解質が記載されている。
【0006】
しかしながら固体の電解質は、液体の電解質に比べ一般的にイオン導電率が低いため、放電特性に優れた一次、二次電池を得ることは困難であった。
このような状況のもと、イオン電導度に優れ、しかも電気化学的安定性に優れるなどの要求を満たす高分子固体電解質の出現が望まれており、このような高分子固体電解質の高分子マトリックスとなりうるような新規な高分子重合体の出現が望まれている。さらに、このような高分子重合体を形成するモノマー原料となりうるような新規の化合物の出現が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、高分子重合体のモノマー原料となりうるような新規のアクリル酸エステル、アリルエーテルおよびアリルカーボネートを提供することを目的としている。また本発明は、高分子固体電解質の高分子マトリックスとなりうるようなアクリル酸エステル重合体、アリルエーテル重合体およびアリルカーボネート重合体を提供することを目的としている。さらに本発明は高いイオン導電率を有し、しかも化学的に安定な高分子固体電解質を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る高分子固体電解質は、
下記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導さ
れる構成単位と、
下記一般式(IX)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導される構成単位とを含有するアリルカーボネート共重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩とからなることを特徴とする。
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、R22〜R27は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、a,bおよびcは、互いに同一でも異なっていてもよく、
0〜100の整数である。)
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、R28は水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基、R29は炭素原子数が1〜4のアルキル基を示す。)
また、本発明に係るゲル状高分子固体電解質は、上記一般式(VII)で表される化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導される構成単位と、
上記一般式(IX)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導される構成単位とを含有するアリルカーボネート共重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩と、非水溶媒とからなることを特徴とする。
【0013】
さらに本発明に係る高分子固体電解質は、
上記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導さ
れる構成単位と、
下記一般式(X)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導され
る構成単位とを含有するアリルカーボネート共重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩とからなることを特徴とする。
【0014】
【化3】
【0015】
(式中、R30およびR31は、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示す。)
さらに、本発明に係るゲル状高分子固体電解質は、
上記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導さ
れる構成単位と、
上記一般式(X)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導され
る構成単位とを含有するアリルカーボネート共重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩と、非水溶媒とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る新規なアクリル酸エステル、アリルエーテルおよびアリルカーボネートは、たとえば高分子固体電解質に用いられる高分子マトリックスを形成するモノマー原料となりうる。本発明のアクリル酸エステル、アリルエーテルおよびアリルカーボネートから誘導される構成単位を含むアクリル酸エステル重合体、アリルエーテル重合体およびアリルカーボネート重合体を高分子マトリックスとする高分子固体電解質は、イオン導電率が高く、電気化学的に安定である。
【0017】
また、本発明に係るアクリル酸エステル重合体、アリルエーテル重合体およびアリルカーボネート重合体は、たとえば高分子固体電解質の高分子マトリックスとして用いられる。本発明のアクリル酸エステル重合体、アリルエーテル重合体およびアリルカーボネート重合体を高分子マトリックスとする高分子固体電解質は、イオン導電率が高く、電気化学的に安定である。
【0018】
本発明に係る高分子固体電解質は、イオン導電率が高く、電気化学的に安定であり、たとえば一次電池、二次電池、コンデンサー、エレクトロクロミック表示などの電気化学素子、医療用アクチュエーターなどに用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る新規なアクリル酸エステル、新規なアリルエーテル、新規なアリルカーボネート、アクリル酸エステル重合体、アリルエーテル重合体、アリルカーボネート重合体および高分子固体電解質について具体的に説明する。なお、本明細書において「重合」という語は、単独重合だけでなく、共重合をも包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は、単独重合体だけでなく、共重合体をも包含した意味で用いられることがある。
【0020】
[新規なアクリル酸エステル]
まず、本発明に係る新規なアクリル酸エステルについて説明する。
第1のアクリル酸エステル
本発明に係る新規な第1のアクリル酸エステルは、下記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルである。
【0021】
【化4】
【0022】
式中、R1およびR2は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、好ましくは水素原子またはメチル基である。R3は、炭
素原子数が1〜4のアルキル基を示し、好ましくはメチル基、エチル基およびt-ブチル基である。
【0023】
nは1〜100の整数であり、好ましくは1〜10の整数である。このような一般式(I)で表されるアクリル酸エステルとして具体的には、炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチル、炭酸メチル2-(メタクリル酸2-ヒドロキシエトキシ)エチル、炭酸エチル2-ヒドロキシメタクリル酸エチル、炭酸メチル2-ヒドロキシアクリル酸エチル、炭酸メチル2-(アクリル酸2-ヒドロキシエトキシ)エチルなどが挙げられる。
【0024】
前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルは、たとえば下記一般式(i)で表される化合物と、下記一般式(ii)で表される化合物とから下記のようにして合成することができる。
【0025】
【化5】
【0026】
式中、R1,R2,R3およびnは、前記式(I)における定義と同様である。
上記の合成工程において、一般式(ii)で表される化合物は、一般式(i)で表される化合物1モルに対し0.5〜5モルの量で用いられる。また、上記反応においては触媒として、たとえばK2CO3、Na2CO3、Li2CO3、NaOCH3などを用いることがで
きる。このような触媒は、一般式(i)で表される化合物1モルに対し1×10-5〜1×10-2モルの量で用いられる。一般式(i)で表される化合物と、一般式(ii)で表される化合物との反応は、通常攪拌、還流下で生成するアルコールを除去しながら行われる。反応温度は、通常40〜140℃、反応時間は通常2〜60時間である。
第2のアクリル酸エステル
本発明に係る第2のアクリル酸エステルは、下記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルである。
【0027】
【化6】
【0028】
式中、R4〜R7は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、好ましくは水素原子またはメチル基である。また、p,qお
よびrは、互いに同一でも異なっていてもよく、1〜100の整数であり、好ましくは1〜10の整数である。
【0029】
このような一般式(II)で表されるアクリル酸エステルとして具体的には、ジ(2-メタクリロキシエチル)カーボネート、ジ(2-アクリロキシエチル)カーボネート、エチレングリコールジ(2-メタクリロキシエチル)カーボネート、ジ(2-メタクリロキシ-2-メチ
ルエチル)カーボネート、ジエチレングリコールジ(2-メタクリロキシエチル)カーボネートなどが挙げられる。
【0030】
前記一般式(II)で表される化合物は、たとえば下記一般式(iii)で表される化合物
と、下記一般式(iv)で表される化合物とから下記のようにして合成することができる。
【0031】
【化7】
【0032】
式中、R4,R5,R6,R7,p,qおよびrは、前記式(II)における定義と同様である。
上記の合成工程において、一般式(iv)で表される化合物は、一般式(iii)で表され
る化合物1モルに対し0.3〜2.0モルの量で用いられる。また、上記反応においては触媒として、たとえばK2CO3、Na2CO3、Li2CO3、NaOCH3などを用いるこ
とができる。このような触媒は、一般式(iii)で表される化合物1モルに対し10-5〜
10-2モルの量で用いられる。
【0033】
一般式(iii)で表される化合物と、一般式(iv)で表される化合物との反応は、通常
攪拌、還流下で生成するアルコールを除去しながら行われる。反応温度は、通常40〜140℃、好ましくは40〜100℃、反応時間は通常2〜60時間である。本発明に係る第1および第2のアクリル酸エステルは、たとえばアクリル酸エステル重合体を製造する際のモノマー原料として用いられる。本発明の第1および第2のアクリル酸エステルから誘導される構成単位を含むアクリル酸エステル重合体を高分子マトリックスとする高分子固体電解質は、イオン導電率が高く、化学的に安定である。
【0034】
[新規なアリルエーテル重合体]
本発明に係る新規なアリルエーテルは、下記一般式(III)で表されるアリルエーテル
である。
【0035】
【化8】
【0036】
式中、R8、R9およびR10は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、R11は、炭素原子数が1〜4のアルキル基またはCH2CR12=CH2 を示し、R12は水素原子またはメチル基である。また、ここでdは0
〜100の整数、eは1〜100の整数であり、好ましくはdは0〜10の整数、eは1〜10の整数である。
【0037】
このようなアリルエーテルとして具体的には、2-メトキシエチルアリルカーボネート、2-メトキシプロピルアリルカーボネート、2-エトキシエチルアリルカーボネート、2-メトキシエチルメタリルカーボネート、2-(2-メトキシエトキシ)エチルアリルカーボネート、ジ-(2-アリロキシエチル)カーボネート、ジ-[2-(2- アリロキシエトキシ)エチル]カーボネート、2-(2-アリロキシエトキシ)エチル-2-アリロキシエチルカーボネートなどが挙げられる。前記一般式(III)で表されるアリルエーテルは、たとえば下記一般式(v)〜(vii)で表される化合物から下記のようにして合成することができる。
【0038】
【化9】
【0039】
R8〜R9、dおよびeは式(III)と同様である。
上記の(v)と(vi)と(vii)から合成する場合、一般式(v)および(vi)で表され
る化合物は、ジメチルカーボネート(vii)1モルに対し、各々0.2〜1.0モルの量
で用いられる。また、上記反応においては触媒として、たとえばLiOCH3、Li2CO3、K2CO3、Na2CO3などを用いることができる。このような触媒は、一般式(v)で表される化合物1モルに対し1×10-5〜1×10-2モルの量で用いられる。
【0040】
上記の合成は、通常攪拌、還流下で生成するメタノールを除去しながら行われる。反応温度は、通常40〜140℃、反応時間は通常2〜60時間である。
また前記一般式(III)で表されるアリルエーテルは、前記一般式(vi)と下記一般式
(viii)で表される化合物とから下記のようにして合成することができる。
【0041】
【化10】
【0042】
R8およびR9、dは式(III)と同様である。
このように上記の(viii)と(vi)から合成する場合、一般式(vi)で表される化合物は、一般式(viii)で表される化合物1モルに対し、0.5〜2.0モルの量で用いられる。この反応においては触媒として、たとえばLiOCH3、Li2CO3、K2CO3、N
a2CO3などを用いることができる。このような触媒は、一般式(viii)で表される化合物1モルに対し1×10-5〜1×10-2モルの量で用いられる。反応は、通常攪拌、還流下で行われ、反応温度は、通常40〜140℃、反応時間は通常2〜60時間である。
【0043】
さらにまた前記一般式(III)で表されるアリルエーテルは、前記一般式(v)と下記一般式(ix)で表される化合物とから下記のようにして合成することができる。
【0044】
【化11】
【0045】
R10およびR11、eは式(III)と同様である。
上記の(v)と(ix)から合成する場合、一般式(ix)で表される化合物は、一般式(v)で表される化合物1モルに対し、0.5〜2.0モルの量で用いられる。また、上記反応においては触媒として、たとえばLiOCH3、Li2CO3、K2CO3、Na2CO3などを用いることができる。このような触媒は、一般式(v)で表される化合物1モルに対し1×10-5〜1×10-2モルの量で用いられる。反応は、通常攪拌、還流下で行われ、反応温度は、通常40〜140℃、反応時間は通常2〜60時間である。
【0046】
本発明に係るアリルエーテルは、たとえばアリルエーテル重合体を製造する際のモノマー原料として用いられる。本発明のアリルエーテルから誘導される構成単位を含むアリルエーテル重合体を高分子マトリックスとする高分子固体電解質は、イオン導電率が高く、化学的に安定である。
【0047】
[新規なアリルカーボネート]
本発明に係る新規なアリルカーボネートは、下記一般式(IV)で
表されるアリルカーボネートである。
【0048】
【化12】
【0049】
式中、R13、R14およびR15は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、fは0〜100の整数であり、好ましくは0〜10の整数である。
【0050】
このようなアリルカーボネートとして具体的には、エチレングリコールジアリルジカーボネート、ジエチレングリコールジアリルジカーボネート、ジエチレングリコールジメタリルジカーボネート、トリエチレングリコールジアリルジカーボネートなど。
【0051】
前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートは、たとえば下記一般式(x)で表さ
れる化合物と、下記一般式(xi)で表される化合物とから下記のようにして合成することができる。
【0052】
【化13】
【0053】
式中、R13〜R15、fは式(IV)と同様である。
上記の合成工程において、一般式(xi)で表される化合物は、一般式(x)で表される
化合物1モルに対し、0.3〜2.0モルの量で用いられる。また、上記反応においては触媒として、たとえばK2CO3、Na2CO3、Li2CO3、NaOCH3などを用いるこ
とができる。このような触媒は、一般式(x)で表される化合物1モルに対し1×10-5
〜1×10-2モルの量で用いられる。
【0054】
一般式(x)で表される化合物と、一般式(xi)で表される化合物との反応は、通常攪
拌、還流下で生成するアルコールを除去しながら行われる。反応温度は、通常40〜140℃、反応時間は通常2〜60時間である。
【0055】
本発明に係るアリルカーボネートは、たとえばアリルカーボネート重合体を製造する際のモノマー原料として用いられる。本発明のアリルカーボネートから誘導される構成単位を含むアリルカーボネート重合体を高分子マトリックスとする高分子固体電解質は、イオン導電率が高く、化学的に安定である。
【0056】
[アクリル酸エステル重合体]
第1のアクリル酸エステル重合体
本発明に係る第1のアクリル酸エステル重合体は、前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種のアクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有している。このような高分子重合体としては、前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルの単独重合体、前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも2種のアクリル酸エステルの共重合体、前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種のアクリル酸エステルと、前記一般式(II)および下記一般式(V)〜(VIII)から選ばれる少なくとも1種の化合物との共重合体などが挙げられる。
【0057】
まず一般式(V)で表される化合物について説明する。
【0058】
【化14】
【0059】
式中、R16およびR17は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、好ましくは水素原子またはメチル基である。
R18は、炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、好ましくは水素原子またはメチル基である。
【0060】
mは0〜100の整数であり、好ましくは0〜30の整数である。
このような一般式(V)で表される化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。
【0061】
次に一般式(VI)で表される化合物について説明する。
【0062】
【化15】
【0063】
式中、R19、R20およびR21は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、好ましくは水素原子またはメチル基である。
iは1〜100の整数であり、好ましくは1〜10の整数である。
【0064】
このような一般式(VI)で表される化合物として具体的には、ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。
【0065】
次に一般式(VII)で表される化合物について説明する。
【0066】
【化16】
【0067】
式中、R22〜R27は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、好ましくは水素原子またはメチル基である。
a,bおよびcは、互いに同一でも異なっていてもよく、0〜100の整数であり、好
ましくは0〜10の整数である。
【0068】
このような一般式(VII)で表される化合物として具体的には、グリセリントリメタク
リレート、グリセリントリアクリレート、トリ(2-メタクリロキシエチル)グリセリン、トリ(2-アクリロキシエチル)グリセリンなど。
【0069】
次に一般式(VIII)で表される化合物について説明する。一般式(VIII)で表される化合物は、ポリエチレンオキサイドである。
HO−(CH2CH2O)k−H …(VIII)
式中、kは1〜100の整数であり、好ましくは1〜20の整数である。
【0070】
このポリエチレンオキサイドは、前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルと、エステル交換反応により反応する。
本発明における好ましい態様の一つである前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種のアクリル酸エステルの重合体は、分子量が通常2×103〜1×108、好ましくは1×104〜1×107の範囲にある。
【0071】
該重合体が前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも2種のアクリル酸エステルの共重合体である場合には、前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから導かれる2種以上の構成単位の比率は、特に限定されないが、1種の構成単位の比率が40〜95モル%の範囲内にあることが望ましい。
【0072】
本発明における他の好ましい態様である前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルと、前記一般式(II)および(V)〜(VIII)から選ばれる少なくとも1種の化合物との共重合体は、分子量が通常2×103〜1×108、好ましくは1×104〜1×107の範囲にある。 また、前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから導かれる構成単位と、前記一般式(II)および(V)〜(VIII)から選ばれる化合物から導かれる構成単位とのモル比は、通常5:95〜100:0、好ましくは5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10の範囲にある。
【0073】
前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから導かれる構成単位と、前記一般式(II)および(V)〜(VIII)から選ばれる化合物から導かれる構成単位とのモル比は、所望の物理的および化学的性質に応じて上記範囲内で調整される。前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから導かれる構成単位と、前記一般式(II)および(V)〜(VIII)から選ばれる化合物から導かれる構成単位とのモル比が上記範囲外であると、イオン導電率が低下する、重合物の粘性・弾性が低下する、引張り強度が低下するなどの問題が発生する場合がある。
【0074】
上記のような本発明に係る第1のアクリル酸エステル重合体は、常法により製造することができる。たとえば前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種、または、前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種と、前記一般式(II)および(V)〜(VIII)から選ばれる少なくとも1種の化合物とを、ラジカル重合法、光重合法などで重合させることにより容易に製造することができる。
【0075】
なお、本発明に係る第1のアクリル酸エステル重合体は、前記一般式(I),(II)お
よび(V)〜(VIII)から誘導される構成単位以外の構成単位を、例えば20モル%以下の割合で含有していてもよい。
第2のアクリル酸エステル重合体
本発明に係る第2のアクリル酸エステル重合体は、前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種のアクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有している。
【0076】
このような高分子重合体としては、前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルの単独重合体、前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも2種のアクリル酸エステルの共重合体、前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種のアクリル酸エステルと、前記一般式(V)〜(VIII)から選ばれる少なくとも1種の化合物との共重合体などが挙げられる。
【0077】
本発明における好ましい態様の一つである前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種のアクリル酸エステルの重合体は、分子量が通常2×103〜1×108、好ましくは1×104〜1×107の範囲にある。
【0078】
該重合体が前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも2種のアクリル酸エステルの共重合体である場合には、前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから導かれる2種以上の構成単位の比率は、特に限定されないが、1種の構成単位の比率が40〜95モル%の範囲内にあることが望ましい。
【0079】
本発明における他の好ましい態様である前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルと、前記一般式(V)〜(VIII)から選ばれる少なくとも1種の化合物との共重合体は、分子量が通常2×103〜1×108、好ましくは1×104〜1×107の範囲にある。また、前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから導かれる構成単位と、前記一般式(V)〜(VIII)から選ばれる化合物から導かれる構成単位とのモル比は、通常5:95〜100:0、好ましくは5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10の範囲にある。
【0080】
前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから導かれる構成単位と、前記一般式(V)〜(VIII)から選ばれる化合物から導かれる構成単位とのモル比は、所望の物理的および化学的性質に応じて上記範囲内で調整される。
【0081】
前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから導かれる構成単位と、前記一般式(V)〜(VIII)から選ばれる化合物から導かれる構成単位とのモル比が上記範囲外であると、イオン導電率が低下する、重合物の粘性・弾性が低下する、引張り強度が低下するなどの問題が発生する場合がある。
【0082】
上記のような本発明に係る第2のアクリル酸エステル重合体は、常法により製造することができる。たとえば前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種、または、前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種と、前記一般式(V)〜(VIII)から選ばれる少なくとも1種の化合物とを、ラジカル重合法、光重合法などで重合させることにより容易に製造することができる。
【0083】
なお、本発明に係る第2のアクリル酸エステル重合体は、前記一般式(II)および(V)〜(VIII)から誘導される構成単位以外の構成単位を、例えば20モル%以下の割合で含有していてもよい。
【0084】
[アリルエーテル重合体]
本発明に係るアリルエーテル重合体は、上記のような一般式(III)で表されるアリル
エーテルから選ばれる少なくとも1種のアリルエーテルから誘導される構成単位を含有している。このようなアリルエーテル重合体としては、前記一般式(III)で表されるアリ
ルエーテルの単独重合体、前記一般式(III)で表されるアリルエーテルから選ばれる少
なくとも2種のアリルエーテルの共重合体、前記一般式(III)で表されるアリルエーテ
ルから選ばれる少なくとも1種のアリルエーテルと、前記一般式(IV),(VII)および下記一般式(IX),(X)から選ばれる少なくとも1種の化合物との共重合体などが挙げられる。
【0085】
まず一般式(IX)で表される化合物について説明する。
【0086】
【化17】
【0087】
式中、R28は炭素原子数1〜4のアルキル基、R29は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。このような一般式(IX)で表される化合物として具体的には、メチルアリルカーボネート、エチルアリルカーボネート、メチルメタリルカーボネート、メチルエタリルカーボネート、プロピルアリルカーボネート、ブチルアリルカーボネートなどが挙げられる。
【0088】
また一般式(X)で表される化合物は以下の化合物である。
【0089】
【化18】
【0090】
式中、R30およびR31は、水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。このような一般式(IX)で表される化合物として具体的には、ジアリルカーボネート、ジメタリルカーボネート、ジエタリルカーボネート、アリルメタリルカーボネート、アリルエタリルカーボネートなどが挙げられる。
【0091】
本発明における好ましい態様の一つである前記一般式(III)で表されるアリルエーテ
ルから選ばれる少なくとも1種のアリルエーテルの重合体は、分子量が通常1×103〜
1×107、好ましくは1×104〜1×106の範囲にある。
【0092】
該重合体が前記一般式(III)で表されるアリルエーテルから選ばれる少なくとも2種
のアリルエーテルの共重合体である場合には、前記一般式(III)で表されるアリルエー
テルから導かれる2種以上の構成単位の比率は、特に限定されないが、1種の構成単位の比率が30〜95モル%の範囲内にあることが望ましい。
【0093】
本発明における他の好ましい態様である前記一般式(III)で表されるアリルエーテル
と、前記一般式(IV),(VII) ,(IX)および(X)から選ばれる少なくとも1種の化合
物との共重合体は、分子量が通常1×103〜1×107、好ましくは1×104〜1×1
06の範囲にある。また、前記一般式(III)で表されるアリルエーテルから導かれる構成単位と、前記一般式(IV),(VII),(IX)および(X)から選ばれる化合物から導かれる構成単位とのモル比は、通常5:95〜95:5、好ましくは10:90〜90:10の範囲にある。前記一般式(III)で表されるアリルエーテルから導かれる構成単位と、前
記一般式(IV),(VII) ,(IX)および(X)から選ばれる化合物から導かれる構成単位
とのモル比は、所望の物理的および
化学的性質に応じて上記範囲内で調整される。前記一般式(III)で表されるアリルエー
テルから導かれる構成単位と、前記一般式(IV),(VII) ,(IX)および(X)から選ば
れる化合物から導かれる構成単位とのモル比が上記範囲外であると、イオン導電率が低下する、重合物の粘性・弾性が低下する、引張り強度が低下するなどの問題が発生する場合がある。
【0094】
上記のようなアリルエーテル重合体は、常法により製造することができる。たとえば前記一般式(III)で表されるアリルエーテルから選ばれる少なくとも1種、または、前記
一般式(III)で表されるアリルエーテルから選ばれる少なくとも1種と、前記一般式(IV),(VII),(IX)および(X)から選ばれる少なくとも1種の化合物とを、ラジカル重合法、光重合法などで重合させることにより容易に製造することができる。
【0095】
なお、本発明に係るアリルエーテル重合体は、前記一般式(III),(IV),(VII),(IX)および(X)から誘導される構成単位以外の構成単位を、例えば20モル%以下の割合で含有していてもよい。
【0096】
[アリルカーボネート重合体]
第1のアリルカーボネート重合体
本発明に係る第1のアリルカーボネート重合体は、上記のような一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから選ばれる少なくとも1種のアリルカーボネートから誘導される構成単位を含有している。
【0097】
このような高分子重合体としては、前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートの単独重合体、前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから選ばれる少なくとも2種のアリルカーボネートの共重合体、前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから選ばれる少なくとも1種のアリルカーボネートと、前記一般式(VII)で表される少な
くとも1種の化合物との共重合体などが挙げられる。
【0098】
本発明における好ましい態様の一つである前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから選ばれる少なくとも1種のアリルカーボネートの重合体は、分子量が通常1×103〜1×107、好ましくは1×104〜1×106の範囲にある。
【0099】
該重合体が前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから選ばれる少なくとも2種のアリルカーボネートの共重合体である場合には、前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから選ばれる2種以上の構成単位の比率は、特に限定されないが、1種の構成単位の比率が30〜95モル%の範囲内にあることが望ましい。
【0100】
本発明における他の好ましい態様である前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートと、前記一般式(VII)で表される少なくとも1種の化合物との共重合体は、分子量が
通常1×103〜1×107、好ましくは1×104〜1×106の範囲にある。また、前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから導かれる構成単位と、前記一般式(VII
)で表される化合物から導かれる構成単位とのモル比は、通常5:95〜100:0、好ましくは10:90〜90:10の範囲にある。
【0101】
前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから導かれる構成単位と、前記一般式(VII)で表される化合物から導かれる構成単位とのモル比は、所望の物理的および化学
的性質に応じて上記範囲内で調整される。
【0102】
前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから導かれる構成単位と、前記一般式(VII)で表される化合物から導かれる構成単位とのモル比が上記範囲外であると、イオ
ン導電率が低下する、重合物の粘性・弾性が低下する、引張り強度が低下するなどの問題が発生する場合がある。
【0103】
上記のようなアリルカーボネート重合体は、常法により製造することができる。たとえば前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから選ばれる少なくとも1種、または、前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから選ばれる少なくとも1種と、前記一般式(VII)で表される少なくとも1種の化合物とを、ラジカル重合法、光重合法などで重合させることにより容易に製造することができる。
【0104】
なお、本発明に係る第1のアリルカーボネート重合体は、前記一般式(IV)および(VII)から誘導される構成単位以外の構成単位を、例えば20モル%以下の割合で含有していてもよい。
第2のアリルカーボネート重合体
本発明に係る第2のアリルカーボネート重合体は、前記一般式(IX)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導される構成単位と、
前記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導さ
れる構成単位とを含有している。
【0105】
本発明に係るアリルカーボネート重合体は、分子量が通常2×103〜1×108、好ましくは1×104〜1×107の範囲にある。また、前記一般式(IX)で表される化合物から導かれる構成単位と、前記一般式(VII)で表される化合物から導かれる構成単位との
モル比は、通常10:90〜99:1、好ましくは30:70〜97:3、より好ましくは50:50〜95:5の範囲にある。
【0106】
前記一般式(IX)で表される化合物から導かれる構成単位と、前記一般式(VII)で表
される化合物から導かれる構成単位とのモル比は、所望の物理的および化学的性質に応じて上記範囲内で調整される。
【0107】
前記一般式(IX)で表される化合物から導かれる構成単位と、前記一般式(VII)で表
される化合物から導かれる構成単位とのモル比が上記範囲外であると、イオン導電率が低下する、重合物の粘性・弾性が低下する、引張り強度が低下するなどの問題が発生する場合がある。
【0108】
上記のようなアリルカーボネート共重合体は、常法により製造することができる。たとえば前記一般式(IX)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、前記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを、ラジカル重合
法、光重合法などで重合させることにより容易に製造することができる。
【0109】
なお、本発明に係る第2のアリルカーボネート重合体は、前記一般式(IX)で表される化合物から誘導される構成単位および前記一般式(VII)で表される化合物から誘導され
る構成単位以外の構成単位を、本発明の共重合体の特性を損なわない範囲で例えば20モル%以下の割合で含有していてもよい。
第3のアリルカーボネート重合体
本発明に係る第3のアリルカーボネート重合体は、前記一般式(X)で表される化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導される構成単位と、
前記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導さ
れる構成単位とを含有している。
【0110】
本発明に係る第3のアリルカーボネート共重合体は、分子量が通常2×103〜1×1
08、好ましくは1×104〜1×107の範囲にある。また、前記一般式(X)で表される化合物から導かれる構成単位と、前記一般式(VII)で表される化合物から導かれる構成
単位とのモル比は、通常10:90〜99:1、好ましくは30:70〜97:3、より好ましくは50:50〜95:5の範囲にある。
【0111】
前記一般式(X)で表される化合物から導かれる構成単位と、前記一般式(VII)で表される化合物から導かれる構成単位とのモル比は、所望の物理的および化学的性質に応じて上記範囲内で調整される。
【0112】
前記一般式(X)で表される化合物から導かれる構成単位と、前記一般式(VII)で表される化合物から導かれる構成単位とのモル比が上記範囲外であると、イオン導電率が低下する、重合物の粘性・弾性が低下する、引張り強度が低下するなどの問題が発生する場合がある。
【0113】
上記のようなアリルカーボネート共重合体は、常法により製造することができる。たとえば前記一般式(X)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、前記一
般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを、ラジカル重合
法、光重合法などで重合させることにより容易に製造することができる。
【0114】
なお、本発明に係る第3のアリルカーボネート共重合体は、前記一般式(X)で表され
る化合物から誘導される構成単位および前記一般式(VII)で表される化合物から誘導さ
れる構成単位以外の構成単位を、本発明の共重合体の特性を損なわない範囲で例えば20モル%以下の割合で含有していてもよい。
【0115】
[高分子固体電解質]
本発明に係る高分子固体電解質は、上記のようなアクリル酸エステル重合体とアリルエーテル重合体とアリルカーボネート重合体とから選ばれる少なくとも1種の重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩、さらに場合により非水溶媒とから形成されている。
【0116】
ここで、周期律表第Ia族の金属塩としては、LiBr、LiI、LiSCN、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiAlCl4、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、NaBr、NaSCN、NaClO4、KSCN、KClO4などが挙げられ、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiC
F3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3が好ましく用いられる。これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0117】
本発明の高分子固体電解質において周期律表第Ia族の金属の塩の含有割合は、高分子固体電解質の全重量に対し、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の範囲にあることが好ましい。
【0118】
アクリル酸エステル重合体とアリルエーテル重合体とアリルカーボネート重合体とから選ばれる少なくとも1種の重合体と周期律表第Ia族の金属と比が上記の範囲外であると、イオン導電率が低下する、重合物の粘性・弾性が低下する、引張り強度が低下するなどの問題が発生する場合がある。
【0119】
本発明の高分子固体電解質は、常法により製造することができる。一般に高分子固体電解質は、膜状の形態で使用されるため、以下のような方法を採用することが好ましい。
(ア)前記のような方法で重合したアクリル酸エステル重合体とアリルエーテル重合体
とアリルカーボネート重合体とから選ばれる少なくとも1種の重合体と、第Ia族の金属の塩とを溶媒に溶解または含浸し、得られた溶液を平坦な基板上に流すかあるいは塗布する方法、または塗布後、溶媒を蒸発させる方法。ここで用いられる溶媒としては、該重合体を溶解し得る溶媒であれば特に限定されないが、たとえば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、γ−ブチロラクロン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、スルホランなどを用いることができる。
【0120】
(イ)下記のような1種または2種以上の化合物を、第Ia族の金属の塩の共存下に溶
媒に溶解し、得られた溶液を平坦な基板上に流すかあるいは塗布し、紫外線、放射線の照射、または熱により重合、硬化させる方法。
(1)前記一般式(I)〜(IV)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
(2)前記一般式(I)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種と、前
記一般式(II)および(V)〜(VIII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
(3)前記一般式(II)で表されるアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種と、前
記一般式(V)〜(VIII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
(4)前記一般式(III)で表されるアリルエーテルから選ばれる少なくとも1種と、前記一般式(IV),(VII),(IX)および(X)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
(5)前記一般式(IV)で表されるアリルカーボネートから選ばれる少なくとも1種と、前
記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
(6)前記一般式(IX)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種と、前記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
(7)前記一般式(X)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種と、前記一般式(VII
)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
【0121】
この場合、溶液を平坦な基板上に広げた後、溶媒を蒸発させてもよい。ここで用いられる溶媒としては、メチルエチルケトン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、γ−ブチロラクロン、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
【0122】
なお、本方法においては光増感剤を用いることができ、ここで用いられる光増感剤としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンな
どを例示できる。
(ウ)上記(1)〜(7)に示す1種または2種以上の化合物を、第Ia族の金属塩と重合開始
剤の共存下に溶媒に溶解し、得られた溶液を平坦な基板上に流すかあるいは塗布し、溶液を加熱して重合、硬化させる方法。この場合、溶液を平坦な基板上に広げた後、溶媒を蒸発させてもよい。ここで用いられる溶媒としては、(イ)の方法で例示した溶媒と同様の
ものが挙げられる。
前記(イ)および(ウ)の方法において、溶媒を蒸発させずに重合させると、ゲル状の高分子固体電解質を製造することができる。
【0123】
本発明において高分子固体電解質は、バルク状であっても、ゲル状であってもよい。
本発明に係るゲル状高分子固体電解質は、上記のようなアクリル酸エステル重合体、アリルエーテル重合体、またはアリルカーボネート重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩と、非水溶媒から形成されている。
【0124】
周期律表第Ia族の金属の塩としては、先に述べたような塩を用いることができる。
非水溶媒としては、メチルエチルケトン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、γ−ブチロラクロン、ジメチルホルムアミドなどが挙げられ、炭酸プロピレン、炭酸エチレンが好ましく使用される。
【0125】
非水溶媒の含有量は、アクリル酸エステル重合体、アリルエーテル重合体、またはアリルカーボネート重合体100重量部に対して、0〜600重量部、好ましくは5〜300重量部、さらに好ましくは10〜250重量部の範囲であることが好ましい。
【0126】
本発明に係る高分子固体電解質は、イオン導電率が高く、電気化学的に安定である。このような高分子固体電解質は、たとえば一次電池、二次電池、コンデンサー、エレクトロクロミック表示素子などの電気化学素子、医療用アクチュエーターなどに用いることができる。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0127】
なお、アクリル酸エステル重合体、アリルエーテル重合体、アリルカーボネート重合体および高分子固体電解質の評価は次の方法によった。
参考例1
炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルの合成
100mlの四つ口フラスコにメタクリル酸ヒドロキシエチル13.01g(0.1モル)、炭酸ジメチル27.00g(0.3モル)および触媒として炭酸カリウム0.042g(0.3ミリモル)とを仕込み、撹拌、還流下、生成するメタノールを除去しながら90℃で8時間反応させた。反応後シリカゲルカラムで炭酸カリウムを除去した後、蒸留して炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルを得た。
【0128】
得られた炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルについてNMRおよびIR測定により同定した。第1図にNMRスペクトル、第2図にIRスペクトルを示す。
NMR(CDCl3溶液、δppm):1.95(t,3H,J=1.0Hz,CH3)、3.80(s,3H,CH3)、4.38(m,4H,CH2)、5.59(t,1H,J=1.5Hz,CH)、6.14(s,1H,CH)
IR(neat、cm-1):2960(C−H)、1755(C=O)、1720(C=O)、1640(C=C)、1450、1272、1170、1048、1015、935、790
参考例2
炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルの合成
撹拌機、水分離器、温度計を備えた1リットルの四つ口のフラスコにメタクリル酸86.1g、ジエチレングリコール106.1g、ハイドロキノン0.3g、濃硫酸1.5ml、トルエン500mlを仕込み、撹拌下、水を分離しながら110℃でエステル化反応した。3時間反応後、室温まで冷却した。生成した水は18gであった。
【0129】
反応液を濃縮し、トルエンを除去後、ヘキサン/エーテル=1/1(vol/vol)に溶解した。10%重曹水で原料のメタクリル酸、触媒の硫酸、目的物であるジエチレングリコールモノメタクリレートを抽出してさらに水層をエーテルで抽出し、濃縮してジエチレングリコールモノタメクリレートを52g得た。
【0130】
500mlの四つ口フラスコにジエチレングリコールモノメタクリレート52g(0.3
モル)、炭酸ジメチル270g(3モル)および触媒として炭酸カリウム0.13g(0.9ミリモル)を仕込み、撹拌、還流下、生成するメタノールを除去しながら90℃で8時間反応させた。反応後シリカゲルカラムで炭酸カリウムを除去した後、蒸留して炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルを得た。
【0131】
得られた炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルについてNMRおよびIR測定により同定した。第3図にNMRスペクトル、第4図にIRスペクトルを示す。
NMR(CDCl3溶液、δppm):1.95(t,3H,J=1.3Hz,CH3)、3.75(m,4H,CH2)、3.78(s,3H,CH3)、4.30(m,4H,CH2)、5.58(t,1H,J=1.5Hz,CH)、6.70(s,1H,CH)
IR(neat、cm-1):2980(C−H)、1750(C=O)、1710(C=O)、1640(C=C)、1450、1265、1175、1135、1032、952、785
参考例3
アクリル酸エステル重合体の作製
参考例1で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチル1.88g(0.01モル)、パーロイルIPP50(日本油脂製)41.6μlを混合して均一にした液を、テ
フロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、透明な固体を得た。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0132】
参考例4
アクリル酸エステル重合体の作製
参考例2で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルについて、参考例3と同様に硬化し、IRスペクトルにより重合の確認を行った。
【0133】
参考例5
アクリル酸エステル共重合体の作製
参考例1で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチル0.94g(0.005モル)、参考例2で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチル1.1
6g(0.005モル)、パーロイルIPP5041.6μlを混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、透明な固体を得た。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0134】
参考例6
炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチル共重合体の作製
参考例1で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチル0.94g(0.005モル)、メタクリル酸メトキシエトキシエチル0.94g(0.005モル)、パーロイルIPP5041.6μlを混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス
板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、透明な固体を得た。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0135】
参考例7
参考例6においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えてジエチレングリコールジメタクリレートを用いたこと以外は参考例6と同様にして共重合体を作製し、IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0136】
得られたIRスペクトルを第5図に示す。
参考例8
参考例6においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えてジ2-メタクリロキシエチルカーボネートを用いたこと以外は参考例6と同様にして共重合体を作製した。
【0137】
参考例9
炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチル共重合体の作製
参考例2で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチル1.16g(
0.005モル)、メタクリル酸メトキシエトキシエチル0.94g(0.005モル)、
パーロイルIPP5041.6μlを混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コ
ートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、透明な固体を得た。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0138】
参考例10
参考例9においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えてジエチレングリコールジメタクリレートを用いたこと以外は参考例9と同様にして共重合体を作製した。
【0139】
参考例11
参考例9においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えてジ2-メタクリロキシエチルカーボネートを用いたこと以外は参考例9と同様にして共重合体を作製した。
【0140】
実施例12
高分子電解質の製造及びイオン電導度の測定
参考例1で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチル50重量%、プロピレンカーボネート50重量%、第Ia族の金属塩(LiN(CF3SO2)2)をカーボネー
トユニットに対して2モル%、パーロイルIPP50をモノマーに対して1モル%を添加して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩からなる約1mm厚みの薄膜状高分子固体電解質を製造した。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0141】
本発明においては、得られた薄膜状高分子固体電解質を10mmφの円盤状に打ち抜き、これを電極にはさみ、インピーダンス測定ホルダーに入れ、これをペルチェ素子により電極の温度コントロールをして、インピーダンスアナライザー(HP4285A)で複素インピーダンス測定(測定電圧10mV)を行い、解析的にイオン電導度を決定した。結果を表1に示す。
【0142】
実施例13
実施例12において炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルに代えて実施例2で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルを用いたこと以外は実施例12と同様にして高分子電解質を製造した。
【0143】
得られた高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表1に示す。
実施例14
実施例12において炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルに代えて炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルと実施例2で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルを5:5(モル:モル)で混合したモノマーを用いたこと以外は実施例12と同様にして高分子電解質を製造した。
【0144】
得られた高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表1に示す。
実施例15
参考例1で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルと、メタクリル酸メトキシエトキシエチルを5:5(モル:モル)で混合したモノマー70重量%、プロピレンカーボネート30重量%、第Ia族の金属塩(LiN(CF3SO2)2)をカーボネート
ユニットに対して2モル%、パーロイルIPP50をモノマーに対して1モル%を添加して均一にした液を、(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩からなる高分子固体電解質を製造した。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0145】
得られた高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表1に示す。
実施例16
実施例15においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えてジエチレングリコールジメタクリレートを用い、かつ各モノマーを9:1(モル:モル)で混合したこと以外は実施例15と同様にして高分子電解質を製造した。
【0146】
得られた高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表1に示す。
実施例17
実施例15においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えてジ2-メタクリロキシエチルカーボネートを用い、かつ各モノマーを9:1(モル:モル)で混合したこと以外は実施例15と同様にして高分子電解質を製造した。
【0147】
得られた高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表1に示す。
実施例18
実施例2で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルと、メタクリル酸メトキシエトキシエチルを5:5(モル:モル)で混合したモノマー70重量%、プロピレンカーボネート30重量%、第Ia族の金属塩(LiN(CF3SO2)2)をカー
ボネートユニットに対して2モル%、パーロイルIPP50をモノマーに対して1モル%を添加して均一にした液を、(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩からなる高分子固体電解質を製造した。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0148】
得られた高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表1に示す。
実施例19
実施例18においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えてジエチレングリコールジメタクリレートを用い、かつ各モノマーを9:1(モル:モル)で混合したこと以外は実施例18と同様にして高分子電解質を製造した。
【0149】
得られた高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表1に示す。
実施例20
実施例18においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えてジ2-メタクリロキシエチルカーボネートを用い、かつ各モノマーを9:1(モル:モル)で混合したこと以外は実施例18と同様にして高分子電解質を製造した。
【0150】
得られた高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表1に示す。
【0151】
【表1】
【0152】
実施例21
参考例1で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチル5.0g、LiClO4 0.5g、メチルエチルケトン5.0gおよびベンゾフェノン0.025gを混合して均一にした溶液を、乾燥不活性ガス雰囲気中でガラス板上にキャストしてメチルエチルケトンを蒸発させた。その後、乾燥不活性ガス雰囲気中で紫外線を照射して炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルを重合、硬化させて、アクリル酸エステル重合体と第Ia族
の金属塩(LiClO4)とからなる高分子固体電解質を製造した。
【0153】
実施例22
実施例21において、メチルエチルケトンに代えてプロピレンカーボネートを用い、かつプロピレンカーボネートを蒸発させなかったこと以外は実施例21と同様にして高分子固体電解質を製造した。
【0154】
実施例23
参考例1で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチル5.0g、LiBF4
0.5g、メチルエチルケトン5.0gおよび過酸化ベンゾイル0.025gを混合して均一にした溶液を乾燥不活性ガス雰囲気中でテフロン(登録商標)板上にキャストしてメチルエチルケトンを蒸発させた。その後、80℃に加熱して炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルを重合、硬化させて、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩(LiBF4)とからなる高分子固体電解質を製造した。
【0155】
実施例24
参考例1で製造した炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチル5.0g、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業社製)2.5g、LiN(CF3SO2)20
.5gおよびメチルエチルケトン5.0gを混合して均一にした溶液を、乾燥不活性ガス雰囲気中でガラス板上にキャストしてメチルエチルケトンを蒸発させた。その後、乾燥不活性ガス雰囲気中で電子線を照射して炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルとジエチレングリコールジメタクリレートとを重合、硬化させて、アクリル酸エステル共重合体と第Ia族の金属塩〔LiN(CF3SO2)2〕とからなる高分子固体電解質を製造した。
【0156】
実施例25
実施例24において、メチルエチルケトンに代えてプロピレンカーボネートを用い、かつプロピレンカーボネートを蒸発させなかったこと以外は実施例24と同様にして高分子固体電解質を製造した。
【0157】
実施例26
ジ2-メタクリロキシエチルカーボネートの合成
100mlの四つ口フラスコにメタクリル酸ヒドロキシエチル13.01g(0.1モル)、炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチル28.60g(0.1モル)および触媒として炭酸カリウム0.042g(0.3ミリモル)を仕込み、撹拌、還流下、生成するメタノールを除去しながら90℃で8時間反応させた。反応後シリカゲルカラムで炭酸カリウムを除去した後、蒸留してジ2-メタクリロキシエチルカーボネートを得た。
【0158】
得られたジ2-メタクリロキシエチルカーボネートについて、NMRおよびIR測定により同定した。第6図にNMRスペクトル、第7図にIRスペクトルを示す。
NMR(CDCl3溶液、δppm):1.95(t,6H,J=0.8Hz,CH3)、4.40(m,8H,CH2)、5.60(t,2H,J=1.1Hz,CH)、6.14(t,2H,J=1.1Hz,CH)
IR(neat、cm-1):2980(C−H)、1760(C=O)、1738(C=O)、1640(C=C)、1460、1265、1163、1038、950、818、795
実施例27
アクリル酸エステル重合体の作製
実施例26で製造したジ2-メタクリロキシエチルカーボネート2.86g(0.01モル)、パーロイルIPP50(日本油脂製)41.6μlを混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、透明な固体を得た。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0159】
実施例28
ジ2-メタクリロキシエチルカーボネート共重合体の作製
実施例26で製造したジ2-メタクリロキシエチルカーボネート1.43g(0.005モル)、メタクリル酸メトキシエトキシエチル0.94g(0.005モル)、パーロイルIPP5041.6μlを混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板
上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、透明な固体を得た。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0160】
実施例29
実施例28においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えてジエチレングリコールジメタクリレートを用いたこと以外は実施例28と同様にして共重合体を作製した。実施例28と同様に、IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0161】
得られたIRスペクトルを第8図に示す。
実施例30
実施例28においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えて炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルを用いたこと以外は実施例28と同様にして共重合体を作製した。
【0162】
実施例31
実施例28においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えて炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルを用いたこと以外は実施例28と同様にして共重合体を作製した。
【0163】
実施例32
高分子電解質の製造及びイオン電導度の測定
実施例26で製造したジ2-メタクリロキシエチルカーボネート50重量%、プロピレンカーボネート50重量%、第Ia族の金属塩(LiN(CF3SO2)2)をカーボネート
ユニットに対して2モル%、パーロイルIPP50をモノマーに対して1モル%を混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩からなる高分子固体電解質を製造した。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0164】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表2に示す。
実施例33
実施例32においてジ2-メタクリロキシエチルカーボネートとプロピレンカーボネートを30重量%と70重量%で混合したこと以外は実施例32と同様にして高分子電解質を製造した。
【0165】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表2に示す。
実施例34
実施例26で製造したジ2-メタクリロキシエチルカーボネートと、メタクリル酸メトキ
シエトキシエチルを1:9(モル:モル)で混合したモノマー70重量%、プロピレンカーボネート30重量%、第Ia族の金属塩(LiN(CF3SO2)2)をカーボネートユニットに対して2モル%、パーロイルIPP50をモノマーに対して1モル%を混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩からなる高分子固体電解質を製造した。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0166】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表2に示す。
実施例35
実施例34においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えて炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルを用いたこと以外は実施例34と同様にして高分子電解質を製造した。
【0167】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表2に示す。
実施例36
実施例34においてメタクリル酸メトキシエトキシエチルに代えて炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルを用いたこと以外は実施例34と同様にして高分子電解質を製造した。
【0168】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表2に示す。
実施例37
実施例26で製造したジ2-メタクリロキシエチルカーボネートと、ジエチレングリコールモノメタクリレートを5:5(モル:モル)で混合したモノマー50重量%、プロピレンカーボネート50重量%、第Ia族の金属塩(LiN(CF3SO2)2)をカーボネー
トユニットに対して2モル%、パーロイルIPP50をモノマーに対して1モル%を混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩からなる高分子固体電解質を製造した。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0169】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表2に示す。
実施例38
実施例37においてモノマーとプロピレンカーボネートを30重量%と70重量%で混合したこと以外は実施例37と同様にして高分子電解質を製造した。
【0170】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表2に示す。
【0171】
【表2】
【0172】
実施例39
高分子固体電解質の製造
実施例26で製造したジ2-メタクリロキシエチルカーボネート5.0g、LiClO4
0.5g、メチルエチルケトン5.0gおよびベンゾフェノン0.005gを混合して均一にした溶液を、乾燥不活性ガス雰囲気中でガラス板上にキャストしてメチルエチルケトンを蒸発させた。その後、乾燥不活性ガス雰囲気中で紫外線を照射してジ2-メタクリロキシエチルカーボネートを重合、硬化させて、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩(LiClO4 )とからなる高分子固体電解質を製造した。
【0173】
実施例40
実施例39において、メチルエチルケトンに代えてプロピレンカーボネートを用い、かつプロピレンカーボネートを蒸発させなかったこと以外は実施例39と同様にして高分子固体電解質を製造した。
【0174】
実施例41
実施例26で製造したジ2-メタクリロキシエチルカーボネート5.0g、LiOSO2 CF3 0.5g、メチルエチルケトン5.0gおよび過酸化ベンゾイル0.025gを混合して均一にした溶液を乾燥不活性ガス雰囲気中でテフロン(登録商標)板上にキャストしてメチルエチルケトンを蒸発させた。その後、80℃に加熱してジ2-メタクリロキシエチルカーボネートを重合、硬化させて、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩(LiOSO2 CF3 )とからなる高分子固体電解質を製造した。
【0175】
実施例42
実施例26で製造したジ2-メタクリロキシエチルカーボネート5.0g、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業社製)2.5g、LiBF4 0.5gおよびメチルエチルケトン5.0gを混合して均一にした溶液を、乾燥不活性ガス雰囲気中でガラス板上にキャストしてメチルエチルケトンを蒸発させた。その後、乾燥不活性ガス雰囲気中で電子線を照射してジ2-メタクリロキシエチルカーボネートとジエチレングリコールジメタクリレートとを重合、硬化させて、アクリル酸エステル共重合体と第Ia族の金属塩(LiBF4 )とからなる高分子固体電解質を製造した。
【0176】
実施例43
実施例42において、メチルエチルケトンに代えてプロピレンカーボネートを用い、かつプロピレンカーボネートを蒸発させなかったこと以外は実施例39と同様にして高分子固体電解質を製造した。
【0177】
実施例44
2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートの合成
100mlの四つ口フラスコにジアリルカーボネート14.2g(0.1モル)、トリエチレングリコールモノメチルエステル49.2g(0.3モル)および触媒として炭酸カリウム0.042g(0.3ミリモル)を仕込み、撹拌、還流下、生成したアリルアルコールを除去しながら130℃で8時間反応させた。反応後、シリカゲルカラムで炭酸カリウムを除去した後、蒸留して2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートを得た。
【0178】
得られた2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートについてNMRおよびIR測定により同定した。第9図にNMRスペクトル、第10図にIRスペクトルを示す。
【0179】
NMR(CDCl3溶液、δppm):3.39(s,3H,CH3)、3.55〜3.78(m,10H,CH2)、4.30(t,2H,J=1.3Hz,CH2)、4.64(d,2H,3.2Hz,CH2)、5.28(d,1H,J=4.0Hz,CH)、5.38(d,1H,J=6.0Hz,CH)、5.93(m,1H,CH)
IR(neat、cm-1):2880(C−H)、1748(C=O)
、1649(C=C)、1451、1383、1260、1108、872、787
実施例45
メトキシエチルアリロキシエチルカーボネートの合成
ジ2-アリロキシエチルカーボネート23.0g(0.1モル)、メトキシエタノール22.8g(0.3モル)および触媒として炭酸カリウム0.042g(0.3ミリモル)を仕込み、撹拌、還流下生成したアリロキシエタノールを除去しながら130℃で8時間反応させた。反応後、シリカゲルカラムで炭酸カリウムを除去した後、蒸留してメトキシエチルアリロキシエチルカーボネートを得た。
【0180】
得られたメトキシエチルアリロキシエチルカーボネートについてNMRおよびIR測定により同定した。第11図にNMRスペクトル、第12図にIRスペクトルを示す。
NMR(CDCl3溶液、δppm):3.22(s,3H,CH3)、3.60〜3.68(m,4H,CH2)、4.01(m,2H,CH2)、4.26〜4.31(m,4H,CH2)、5.20(d,1H,J=4Hz,CH)、5.30(d,1H,J=6Hz,CH)、5.89(m,1H,CH)
IR(neat、cm-1):2890(C−H)、1749(C=O)、1646(C=O)、1451、1263、1127、1029、786
実施例46
アリルカーボネート重合体の作製
実施例44で合成した2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネート2.48
g(0.01モル)、パーロイルIPP50(日本油脂製)41.6μlを混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、70℃で24時間硬化させ、透明な固体を得た。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0181】
実施例47
アリルカーボネート共重合体の作製
実施例44で合成した2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネート1.24
g(0.005モル)、メチルアリルカーボネート0.58g(0.005モル)、パーロ
イルIPP5041.6μlを混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガ
ラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、80℃で24時間硬化させ、透明な固体を得た。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0182】
実施例48
実施例47においてメチルアリルカーボネートに代えてジアリルカーボネートを用いたこと以外は実施例4と同様にして共重合体を作製した。実施例47と同様にIRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0183】
得られたIRスペクトルを第13図に示す。
実施例49
高分子電解質の製造及びイオン電導度の測定
実施例44で合成した2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートと、ジアリルカーボネートを5:5(モル:モル)で混合したモノマー50重量%、第Ia族の金属塩(LiN(CF3SO2)2)をカーボネートユニットに対して1モル%、パーロイル
IPP50をモノマーに対して1モル%を混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、80℃で24時間硬化させ、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩からなる高分子固体電解質を製造した。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0184】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表3に示す。
【0185】
【表3】
【0186】
実施例50
高分子電解質の製造
実施例44で製造した2-メトキシエチルアリルカーボネート5.0g、LiBF40.
5g、ジメチルカーボネート5.0gおよび重合触媒のジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.2gを均一に混合した溶液を、乾燥不活性ガス雰囲気中でガラス板上にキャストしてジメチルカーボネートを蒸発させた。その後80℃に加熱して2-メトキシエチルアリルカーボネート重合体と第Ia族の金属塩からなる高分子電解質を製造した。
【0187】
実施例51
実施例50において、ジメチルカーボネートの代わりにプロピレンカーボネートを用い、かつプロピレンカーボネートを蒸発させなかったこと以外は実施例50と同様にして高分子電解質を製造した。
【0188】
実施例52
実施例50において、LiBF4の代わりにLiClO4を用いたこと以外は、実施例50と同様にして高分子電解質を製造した。
【0189】
実施例53
ジエチレングリコールジアリルジカーボネートの合成
100mlの四つ口フラスコにジアリルカーボネート28.4g(0.2モル)、ジエチレングリコール10.6g(0.1モル)および触媒として炭酸カリウム0.042g(0.3ミリモル)を仕込み、撹拌、還流下、生成したアリルアルコールを除去しながら130℃
で8時間反応させた。反応後シリカゲルカラムで炭酸カリウムを除去した後、蒸留してジエチレングリコールジアリルジカーボネートを得た。
【0190】
得られたジエチレングリコールジアリルジカーボネートについてNMRおよびIR測定により同定した。第14図にNMRスペクトル、第15図にIRスペクトルを示す。
NMR(CDCl3溶液、δppm):3.73(m,4H,CH2)、4.30(m,4H
,CH2)、4.62(m,4H,CH2)、5.26(q,2H,J=8.1Hz,CH)
、5.33(q,2H,J=13.5Hz,CH)、5.94(m,2H,CH2)
IR(neat、cm-1):2958(C−H)、1750(C=O)、1649(C=C)、1451、1387、1280、1143、876、786
実施例54
アリルカーボネート重合体の作製
実施例53で製造したジエチレングリコールジアリルジカーボネート2.88g(0.01モル)、パーロイルIPP50(日本油脂製)41.6μlを混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、80℃で24時間硬化させ、透明な固体を得た。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0191】
実施例55
アリルカーボネート共重合体の作製
実施例53で製造したジエチレングリコールジアリルジカーボネート1.44g(0.005モル)、2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネート1.24g(0.005モル)、パーロイルIPP5041.6μlを混合して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、80℃で24時間硬化させ、透明な固体を得た。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0192】
実施例56
実施例55において2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートに代えてメチルアリルカーボネートを用いたこと以外は実施例55と同様にして共重合体を作製した。
【0193】
実施例57
実施例55において2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートに代えてジアリルカーボネートを用いたこと以外は実施例55と同様にして共重合体を作製した。実施例55と同様にIRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0194】
得られたIRスペクトルを第16図に示す。
実施例58
高分子電解質の製造及びイオン電導度の測定
参考例1で製造したジエチレングリコールジアリルジカーボネート、第Ia族の金属塩(LiN(CF3SO2)2)をカーボネートユニットに対して2モル%、パーロイルIP
P50をモノマーに対して1モル%を添加して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、80℃で24時間硬化させ、アリルカーボネート重合体と第Ia族の金属塩からなる高分子固体電解質を製造した。IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0195】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表4に示す。
実施例59
実施例58においてジエチレングリコールジアリルジカーボネート70重量%、プロピレンカーボネート30重量%を混合したこと以外は実施例58と同様にして高分子電解質を製造した。
【0196】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表4に示す。
実施例60
実施例53で製造したジエチレングリコールジアリルジカーボネートと、2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートを5:5(モル:モル)で混合したモノマー、第Ia族の金属塩(LiN(CF3SO2)2)をカーボネートユニットに対して2モル%
、パーロイルIPP50をモノマーに対して1モル%を添加して均一にした液を、テフロン(登録商標)コートガラス板上にキャストして、不活性ガス雰囲気中、80℃で24時間硬化させ、アクリル酸エステル重合体と第Ia族の金属塩からなる高分子固体電解質を製造した。
IRスペクトルによる1640cm-1のC=C振動に基づく吸収の消失から重合の確認を行った。
【0197】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表4に示す。
実施例61
実施例60において2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートに代えてメチルアリルカーボネートを用いたこと以外は実施例60と同様にして高分子電解質を製造した。
【0198】
得られた薄膜状高分子固体電解質について、実施例12と同様にしてイオン電導度を測定した。結果を表4に示す。
実施例62
実施例60において2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートに代えてジアリルカーボネートを用いたこと以外は実施例60と同様にして高分子電解質を製造した。
【0199】
【表4】
【0200】
実施例63
ジエチレングリコールジアリルジカーボネートの合成
実施例53において、ジアリルカーボネートを14.2g(0.1モル)にした以外は実施例53と同様にして、ジエチレングリコールジアリルジカーボネートを合成した。
【0201】
実施例64
高分子電解質の製造
実施例53で製造したジエチレングリコールジアリルジカーボネート5.0g、LiBF40.5g、ジメチルカーボネート5.0gおよび重合触媒のジイソプロピルパーオキ
シジカーボネート0.2gを均一に混合した溶液を、乾燥不活性ガス雰囲気中でガラス板上にキャストしてジメチルカーボネートを蒸発させた。その後80℃に加熱してジエチレングリコールジアリルジカーボネートを重合、硬化させて、ジエチレングリコールジアリルジカーボネート重合体と第Ia族の金属塩からなる高分子電解質を製造した。
【0202】
実施例65
実施例64において、ジメチルカーボネートの代わりにプロピレンカーボネートを用い、かつプロピレンカーボネートを蒸発させなかったこと以外は実施例64と同様にして高分子電解質を製造した。
【0203】
実施例66
実施例64において、LiBF4の代わりにLiClO4を用いたこと以外は、実施例64と同様にして高分子電解質を製造した。
【0204】
実施例67
アリルメチルカーボネートの合成
5リットルの4つ口フラスコにアリルアルコール422g(7.27モル)、ジメチルカーボネート2120g(23.6モル)および触媒として炭酸カリウム1.0g(7.3ミリモル)を仕込み、攪拌・還流下、生成したメタノールを除去しながら90℃で10時間反応させた。反応後、シリカゲルの短カラムで炭酸カリウムを除去した後、蒸留してアリルメチルカーボネートを得た。
三官能性化合物の合成
オートクレーブにグリセリン23g、水酸化カリウム2.5g、エチレンオキシド1200gを入れ、130℃で7時間反応した。中和後、脱塩処理を行って、末端が水酸基の三官能性ポリエチレンオキシド(分子量;約6000)を得た。この三官能性ポリエチレンオキシド200gとメタクリル酸15gに、トルエンおよび濃硫酸2gを加え、還流下共沸で水を留去しながら、脱水縮合を行って三官能性化合物(前記一般式(VII)においてR22、R23およびR24が水素原子、R25、R26およびR27がメチル基)を合成した。
高分子固体電解質の製造
上記のようにして合成したアリルメチルカーボネート5.0g、三官能性化合物2.0g、LiBF4 5.0g、ジメチルカーボネート5.0gおよびジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.2gを均一に混合した溶液を、乾燥不活性ガス雰囲気中でガラス板上にキャストしてジメチルカーボメートを蒸発させた。その後、80℃に加熱してアリルメチルカーボネートと三官能性化合物を共重合、硬化させて、アリルカーボネート共重合体と第Ia族の金属塩(LiBF4)とからなる高分子固体電解質を製造した。
【0205】
実施例68
実施例67において、ジメチルカーボネートに代えてプロピレンカーボネートを用い、かつプロピレンカーボネートを蒸発させなかったこと以外は実施例67と同様にして高分子固体電解質を製造した。
【0206】
実施例69
実施例70において、ジメチルカーボネートに代えてプロピレンカーボネートを用い、LiBF4に代えてLiClO4を用い、かつプロピレンカーボネートを蒸発させなかったこと以外は実施例67と同様にして高分子固体電解質を製造した。
【0207】
実施例70
ジアリルカーボネートの合成
3リットルの4つ口フラスコにアリルアルコール842g(14.5モル)、ジメチルカーボネート1306g(14.5モル)および触媒として炭酸カリウム1.0g(7.3ミリモル)を仕込み、攪拌・還流下、生成したメタノールを除去しながら90℃で10時間反応させた。反応後、シリカゲルの短カラムで炭酸カリウムを除去した後、蒸留してジアリルカーボネートを得た。
高分子固体電解質の製造
上記のようにして合成したジアリルカーボネート5.0g、実施例67で合成した三官能性化合物2.0g、LiBF45.0g、ジメチルカーボネート5.0gおよびジイソ
プロピルパーオキシジカーボネート0.2gを均一に混合した溶液を、乾燥不活性ガス雰囲気中でガラス板上にキャストしてジメチルカーボメートを蒸発させた。その後、80℃に加熱してアリルメチルカーボネートと三官能性化合物を共重合、硬化させて、アリルカーボネート共重合体と第Ia族の金属塩(LiBF4)とからなる高分子固体電解質を製造した。
【0208】
実施例71
実施例70において、ジメチルカーボネートに代えてプロピレンカーボネートを用い、かつプロピレンカーボネートを蒸発させなかったこと以外は実施例70と同様にして高分子固体電解質を製造した。
【0209】
実施例72
実施例70において、ジメチルカーボネートに代えてプロピレンカーボネートを用い、LiBF4に代えてLiClO4を用い、かつプロピレンカーボネートを蒸発させなかったこと以外は実施例70と同様にして高分子固体電解質を製造した。
【図面の簡単な説明】
【0210】
【図1】第1図は、参考例1の炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルのNMRスペクトルを示す。
【図2】第2図は、参考例1の炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルのIRスペクトルを示す。
【図3】第3図は、参考例2の炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルのNMRスペクトルを示す。
【図4】第4図は、参考例2の炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエトキシエチルのIRスペクトルを示す。
【図5】第5図は、参考例7の炭酸メチルメタクリル酸2-ヒドロキシエチルとジエチレングリコールジメタクリレートの共重合体のIRスペクトルを示す。
【図6】第6図は、実施例26のジ2-メタクリロキシエチルカーボネートのNMRスペクトルを示す。
【図7】第7図は、実施例26のジ2-メタクリロキシエチルカーボネートのIRスペクトルを示す。
【図8】第8図は、実施例29のジ2-メタクリロキシエチルカーボネートとジエチレングリコールジメタクリレートの共重合体のIRスペクトルを示す。
【図9】第9図は、実施例44の2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートのNMRスペクトルを示す。
【図10】第10図は、実施例44の2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートのIRスペクトルを示す。
【図11】第11図は、実施例45のメトキシエチルアリロキシエチルカーボネートのNMRスペクトルを示す。
【図12】第12図は、実施例45のメトキシエチルアリロキシエチルカーボネートのIRスペクトルを示す。
【図13】第13図は、実施例48の2-メトキシエトキシエトキシエチルアリルカーボネートとジアリルカーボネートの共重合体のIRスペクトルを示す。
【図14】第14図は、実施例53のジエチレングリコールジアリルジカーボネートのNMRスペクトルを示す。
【図15】第15図は、実施例53のジエチレングリコールジアリルジカーボネートのIRスペクトルを示す。
【図16】第16図は、実施例57のジエチレングリコールジアリルジカーボネートとジアリルカーボネートの共重合体のIRスペクトルを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導さ
れる構成単位と、
下記一般式(IX)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導される構成単位とを含有するアリルカーボネート共重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩とからなることを特徴とする高分子固体電解質;
【化1】
(式中、R22〜R27は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、a,bおよびcは、互いに同一でも異なっていてもよく、
0〜100の整数である。)
【化2】
(式中、R28は水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基、R29は炭素原子数が1〜4のアルキル基を示す。)
【請求項2】
上記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導さ
れる構成単位と、
上記一般式(IX)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導される構成単位とを含有するアリルカーボネート共重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩と、非水溶媒とからなることを特徴とするゲル状高分子固体電解質。
【請求項3】
上記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導さ
れる構成単位と、
下記一般式(X)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導され
る構成単位とを含有するアリルカーボネート共重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩とからなることを特徴とする高分子固体電解質;
【化3】
(式中、R30およびR31は、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示す。)
【請求項4】
上記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導さ
れる構成単位と、
上記一般式(X)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導され
る構成単位とを含有するアリルカーボネート共重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩と、非水溶媒とからなることを特徴とするゲル状高分子固体電解質。
【請求項1】
下記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導さ
れる構成単位と、
下記一般式(IX)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導される構成単位とを含有するアリルカーボネート共重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩とからなることを特徴とする高分子固体電解質;
【化1】
(式中、R22〜R27は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示し、a,bおよびcは、互いに同一でも異なっていてもよく、
0〜100の整数である。)
【化2】
(式中、R28は水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基、R29は炭素原子数が1〜4のアルキル基を示す。)
【請求項2】
上記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導さ
れる構成単位と、
上記一般式(IX)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導される構成単位とを含有するアリルカーボネート共重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩と、非水溶媒とからなることを特徴とするゲル状高分子固体電解質。
【請求項3】
上記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導さ
れる構成単位と、
下記一般式(X)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導され
る構成単位とを含有するアリルカーボネート共重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩とからなることを特徴とする高分子固体電解質;
【化3】
(式中、R30およびR31は、水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を示す。)
【請求項4】
上記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導さ
れる構成単位と、
上記一般式(X)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導され
る構成単位とを含有するアリルカーボネート共重合体と、周期律表第Ia族の金属の塩と、非水溶媒とからなることを特徴とするゲル状高分子固体電解質。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−204746(P2007−204746A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−11986(P2007−11986)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【分割の表示】特願平9−510108の分割
【原出願日】平成8年8月23日(1996.8.23)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【分割の表示】特願平9−510108の分割
【原出願日】平成8年8月23日(1996.8.23)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】
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