説明

高分解能圧電モータ

ロードを動かして位置決めする為の圧電モータであり、複数の電極と、ロードに押し当てられる連結面とを有した圧電振動子と、少なくとも一の振動子の電極に時間的に変化する電圧を印加して所望位置にロードを進めるように連結面を振動させる、或いは、少なくとも一の振動子の電極に直流電圧を印加して連結面を変位させることにより所望位置にロードを動かすよう選択的に作動する電源装置であって、所望位置でロードを保持するよう直流電圧を維持する電源装置とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電モータに関し、特に、エレメント(element)を移動させて所望位置に高精度に位置決めすることができる圧電モータに関する。
【背景技術】
【0002】
エレメントを動かす為に比較的長い距離及び/又は大きな角度でロード(load)を並進運動させ及び/又は回転させる必要がある場合であっても第一の位置から第二の位置に比較的高速にロードを動かすことができる圧電モータが、当技術分野で周知である。一般にこのような圧電モータは、その表面上に電極を有した圧電振動子と、当該振動子において高周波の楕円振動を発生させるよう交流電圧を電極に印加する電源装置とを備えている。振動子は、連結面を有し、大抵の場合、振動子表面に備えられた比較的堅くて耐摩耗性のある材料から形成され、モータが動かすロード表面に弾性的に押し付けられる「摩擦ナブ(friction nab)」を有している。
【0003】
ロードを動かす為、電源装置は、振動子を振動させるよう電極に印加して連結面を振動させる。振動子の各振動サイクル期間中、連結面が振動することにより、ロードが、第二の位置に向かう所望の方向に比較的短い距離だけ進む。高周波振動により、モータは毎秒多くのステップ数でロードを動かし、それによりロードは比較的速い速度で動く。
【0004】
大抵の場合、このようなモータが、小さな数値のナノメータよりも精密に動いてロードを位置決めできる必要があるが、要求される位置決め精度でこのようなモータを制御するのは通常困難である。加えて、圧電モータがロードを一旦位置決めするや否や、数ナノメータ又は数十ナノメータ或いはサブ・ナノメータと同等若しくはそれよりも小さい間隔を正確にコントロールしてロードを動かし、それを再び位置決めするよう要求されることもよくある。このような性能で圧電モータを制御することもまた、通常困難である。
【0005】
米国特許第5,616,980号は、その開示が参照としてここに含まれるものであるが、所望位置にロードを正確に位置決めするよう圧電モータを制御する為にユニポーラ・パルスで圧電モータの電極に印加することを記述している。米国特許出願第09/980,375号は、その開示が参照としてここに含まれるものであるが、ロードを正確に位置決めする為、当該ロードに平行な連結面の動きとは独立して、ロードと直交した圧電モータの連結面の動きを制御することにより、圧電モータのステップ幅を調整することを記述している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の幾つかの実施の一側面は、圧電モータが連結される本体をナノメータ又はサブ・ナノメータの空間分解能で位置決めすることができる高空間分解能の圧電モータを提供することに関する。
【0007】
本発明の幾つかの実施の一側面は、圧電モータが連結されるロードを比較的速い速度で比較的長い距離動かすことができ、ナノメータ又はサブ・ナノメータの空間分解能で所望位置にエレメントを位置決めする高空間分解能の圧電モータを提供することに関する。
【0008】
本発明の実施の形態によれば、圧電モータは、圧電振動子、当該振動子の電極に交流電圧を印加する為の電源装置、及び、当該振動子の電極に直流電圧を印加する為の電源装置を備えている。本発明の実施の形態によれば、圧電モータは、少なくとも一のAC動作モードと、少なくとも一のDC動作モードを有している。
【0009】
ACモードにおいて、本発明の実施の形態によれば、電源装置は、時間的に変化する電圧、選択的にはロードに押し当てられて圧電モータがその動きを制御する振動子の連結面を振動させる為の交流電圧を、振動子の電極に印加する。連結面での振動は、所望位置にロードを進め、比較的速い速度で及び/又は比較的長い距離ロードを動かすのに役立つようである。
【0010】
DCモードにおいて、電源装置は、比較的高い分解能で調整される間隔で第一の位置からロードを変位させて第二の位置で位置決めするよう、振動子の電極に直流電圧を印加する。直流電圧は振動子の形状を歪ませる。例えば振動子を屈曲させたり伸長させたりする。振動子が歪むに従って、連結面が、自身と一緒に押し当てられるロードを動かして「引っ張る」。歪みの方向と大きさは、直流電圧の極性と大きさの関数であり、第二の位置にロードを位置決めするのに必要な移動量だけロードを変位させるよう調整される。本発明の実施の形態によれば、第二の位置に位置決めしたときに、電源装置は、要求される限り電極への直流電圧を維持して振動子の歪みを持続させ、それにより第二の位置でロードを保持する。
【0011】
発明者は、本発明の実施の形態によれば、圧電モータのDCモードにおける直流電圧を、数ナノメータと同等若しくはそれよりも優れた分解能で、圧電モータの連結面が動く距離を調整するよう制御できることを見出している。結果として、本発明の実施の形態によれば、第一の位置から第二の位置へのロードの変位量もまた、数ナノメータと同等若しくはそれよりも優れた分解能で制御される。本発明の幾つかの実施の形態では、ロードの変位量は、サブ・ナノメータの分解能で制御される。本発明の幾つかの実施の形態では、ロードの動作制御に影響を及ぼし得る例えば振動及び温度変動のような環境条件による乱れを軽減するように適切に制御することで、その変位が、100ピコメータよりも優れた分解能で調整されるであろう。
【0012】
本発明の幾つかの実施の形態において圧電モータに印加される直流電圧は、実質的に同一直線上で圧電モータの連結面を変位させ、実質的に同一方向に沿ってロードを動かすのに用いられている。本発明の幾つかの実施の形態において圧電モータに印加される直流電圧は、圧電モータの連結面を非共線的に変位させるよう制御され、第一の方向及び/又はそれと直交する第二の方向に沿ってロードを動かすのに用いられても良い。
【0013】
本発明の実施の形態によれば、DCモードで動作する圧電モータの連結面を一定方向沿いに変位させることが、その方向沿いにロードを変位させることだけに使用されるわけではないことが分かっている。言うまでもなく、DCモードにおいて圧電モータの連結面が変位することによりロードが軸に対して傾いて変位するよう、圧電モータがロードに連結されていても良い。
【0014】
従って、本発明の実施の形態によれば、複数の電極と、ロードに押し当てられる連結面とを有した圧電振動子と、少なくとも一の振動子の電極に時間的に変化する電圧を印加して所望位置にロードを進めるように連結面を振動させる、或いは、少なくとも一の振動子の電極に直流電圧を印加して連結面を変位させることにより所望位置にロードを動かすよう選択的に作動する電源装置であって、所望位置でロードを保持するよう直流電圧を維持する電源装置とを備えた、ロードを動かして位置決めする為の圧電モータが提供される。
【0015】
選択的には、電源装置が印加する直流電圧によって実質的に同一直線上で変位する。追加的又は代替的には、非共線的な変位をもたらすように直流電圧を制御可能である。
【0016】
本発明の幾つかの実施の形態では、圧電振動子が、第一と第二の平行で比較的大きなフェイス面と細長いエッジ面とを有した矩形板状に形成され、複数の電極が、各フェイス面上の少なくとも一の電極から成る。
【0017】
選択的には、第一のフェイス面上の少なくとも一の電極が四のクアドラント(quadrant)電極から成り、各クアドラント電極が、当該フェイス面上のそれぞれ異なるクアドラントの全体を実質的に覆っている。選択的には、第二のフェイス面上の少なくとも一の電極が、単一電極であり、他のフェイス面上の全領域を実質的に覆っている。
【0018】
本発明の幾つかの実施の形態では、連結面が圧電振動子の短いエッジ面である。
【0019】
選択的には、電源装置が、その平面において圧電振動子を屈曲させ、それにより連結面を変位させるよう、単一電極に対応した少なくとも一のクアドラント電極に印加する。
【0020】
代替的には、電源装置が、選択的には、同一の長いエッジ面沿いのクアドラント電極に直流電圧を印加し、その反対側の長いエッジ面沿いのクアドラント電極に逆極性の電圧を印加する。代替的には、電源装置が、選択的には、同一の長いエッジ面沿いのクアドラント電極に直流電圧を印加し、その反対側の長いエッジ面沿いのクアドラント電極が浮動状態である。代替的には、電源装置が、選択的には、一致する対角線沿いのクアドラント電極に同等の直流電圧を印加し、それとは異なる対角線沿いのクアドラント電極に逆極性の電圧を印加する。代替的には、電源装置が、選択的には、第一のフェイス面の一方の対角線沿いのクアドラント電極に直流電圧を印加し、もう一方の対角線沿いのクアドラント電極が浮動状態である。代替的には、電源装置が、選択的には、第一のフェイス面の一方の対角線沿いのクアドラント電極に直流電圧を印加し、もう一方の対角線沿いのクアドラント電極がグランドである。
【0021】
本発明の幾つかの実施の形態では、圧電振動子が、互いに接合された複数枚の薄型の圧電部材の矩形層から成る直方体の形状に形成され、各矩形層が比較的大型なフェイス面、長いエッジ面、短いエッジ面を有し、複数の電極が矩形層の各フェイス面と実質的に切れ目のない少なくとも一の電極から成る。
【0022】
選択的には、連結面が圧電振動子の短いエッジ面に位置する。
【0023】
追加的又は代替的には、電源装置が、フェイス面の平面において圧電振動子を屈曲させ、それより連結面を変位させるよう、少なくとも一の電極の設定である直流電圧を印加する。本発明の幾つかの実施の形態では、電源装置が、フェイス面の平面と直交した圧電振動子を屈曲させ、それより連結面を変位させるよう、少なくとも一の電極の設定である直流電圧を印加する。
【0024】
本発明の幾つかの実施の形態では、直流電圧は、5ナノメートルと同等若しくはそれよりも優れた分解能で連結面の変位の大きさを調整するように制御される。
【0025】
本発明の幾つかの実施の形態では、直流電圧は、2ナノメートルと同等若しくはそれよりも優れた分解能で連結面の変位の大きさを調整するように制御される。
【0026】
本発明の幾つかの実施の形態では、直流電圧は、1ナノメートルと同等若しくはそれよりも優れた分解能で連結面の変位の大きさを調整するように制御される。
【0027】
本発明の幾つかの実施の形態では、直流電圧は、0.1ナノメートルと同等若しくはそれよりも優れた分解能で連結面の変位の大きさを調整するように制御される。
【0028】
本発明の実施の形態によれば、複数の電極と、ロードに押し当てられ、ロードと自身とを摩擦によって連結させる連結面とを有した圧電素子本体と、複数のうちの少なくとも一の電極に直流電圧を印加して連結面を変位させることにより所望位置にロードを引っ張るよう作動する電源装置であって、所望位置でロードを保持するよう直流電圧を維持する電源装置とを備えた、ロードを動かして位置決めする為の圧電アクチュエータが更に提供される。
【0029】
選択的には、電源装置が印加する直流電圧によって実質的に同一直線上で変位する。追加的又は代替的には、非共線的な変位をもたらすように直流電圧を制御可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1A及び1Bは、本発明の実施の形態に係る、DCモードにおいてロード22を位置決めする為に動作する圧電モータ20であって、当該ロード22に連結された圧電モータ20を概略的に示している。図1A及び1Bの透視図では、圧電モータ20のうちの通常視認されない部分及び外観が架空線で示されている。座標系21は、説明の便宜上、圧電モータ20とロード22の機構の位置と向きを参照する為に使用され、加えて、圧電モータ20の動きを適切に説明する為の指標としても使用される。
【0031】
圧電モータ20は、先に引用された米国特許第5,616,980号で開示されている圧電モータと同様の構造であり、選択的には、大型のフェイス面26と27を有する矩形板状に形成された比較的薄い圧電振動子24を備えている。選択的には、フェイス面26上には四つの「クアドラント」である電極31、32、33、及び、34が備えられ、各クアドラント電極は、フェイス面26のそれぞれ異なるクアドラントの全てを実質的に覆っている。選択的には、フェイス面27上には単一の大型電極36が備えられている。選択的には、摩擦ナブ38は、振動子24の短いエッジ面28上に設けられている。振動子24は、周知の様々な方法及び装置を使用して、摩擦ナブ38がロード22を押し付けるようロード22の方に弾性的に付勢されている。各電極31、32、33、及び、34は、電源装置40に電気的に接続されている。
【0032】
本発明の実施の形態によれば、圧電モータ20は、少なくとも一のAC動作モードと、少なくとも一のDC動作モードを有している。AC動作モードにおいて、電源装置40は、大型電極36に対応した少なくとも一のクアドラント電極31、32、33、及び、34を備えた電極に適切な設定で、時間的に変化する電圧、選択的には振動子を振動させる交流電圧を印加するよう制御される。振動子24は、要求に応じてY軸沿いのいずれか一方にロード22を進める、一般に楕円形である摩擦ナブ38を振動させる。
【0033】
要求に応じてロード22が動くよう摩擦ナブ38を適切に振動させる為に、交流電圧又は時間的に変化する電圧の周知の様々な設定を、圧電モータ20のAC動作モードで使用しても良い。一例として、米国特許第5,616,980号及び米国特許出願第09/980,375号には、振動子24と同様の振動子で振動を発生させてロードの動きをコントロールする様々な交流電圧の設定が記述されており、それを、振動子24で振動を発生させてロード22の動きを制御することに使用しても良い。図1Aは、ロード22を概略的に示しており、選択的には、ACモードで動作する圧電モータ20によって所望のY座標に位置決めされている状態である。図1Aでは、振動子24が振動しなくなっており、大型電極36とクアドラント電極31、32、33、及び、34のいずれかと間に、電源装置40による電位差が与えられていない。結果として、振動子24の形状は、実質的に矩形であり、Y軸沿いに左右非対称性を持たない。
【0034】
DCモードにおいて、電源装置40は、クアドラント電極31、32、33、及び、34の少なくとも一つと大型電極36と間に直流の電位差を与え、振動子24をその平面において実質的に屈曲させて、正又は負のY方向に摩擦ナブ38を変位させる。摩擦ナブ38が変位するとロード22も変位する。直流電圧の大きさと極性は、所望位置にロード22を位置決めするのに必要とされる変位量に応じて設定される。所望位置にロード22を保持するよう要求されている限り、電圧は維持される。
【0035】
本発明の実施の形態によれば、ロード22を変位させて位置決めする為に、圧電モータ20を動作させる様々なDCモードを使用しても良い。例えば、図1Bは、本発明の実施の形態に係る、図1Aに示された位置から+ΔYだけロード22を変位させるようにDCモードで動作する圧電モータ20を概略的に示している。図1Bでは、ロード22の変位される位置を破線で示している。
【0036】
大型電極36に対応したクアドラント電極31、32、33、34の一つに印加される正の電圧が当該クアドラント電極と大型電極との間の部材を引き延ばすような極性を、圧電プレート24が持つと仮定する。本発明の実施の形態によれば、DCはDC動作モード「i−th」を表す。Vは大型電極36に対して正となる電圧を表す。電源装置40は、クアドラント電極31、32、33、34の一つにDCモードで電圧を印加し、摩擦ナブ38を変位させ、それによりY軸沿いにΔYだけロード22を変位させる。更に一例として、本発明の実施の形態によれば、ΔYだけロード22を変位させる為に、以下に列挙される例示的なDC動作モードで電極31、32、33、34、及び、36に電圧を印加しても良い。列挙された例示的な各DCモードに関しては、電極番号を付された等式に示された電圧が電極に印加される。文字Fは電極が浮動状態であることを示し、数値0は電極がグランドであることを示す。
DC:(31,34=V;32,33=−V;36=0)
DC:(31,34=V;32,33=F;36=0)
DC:(31,33=V;32,34=−V;36=0)
DC:(31,33=V;32,34=F;36=0)
DC:(31,33=V;32,34=0;36=0)
【0037】
例示的なDCモードの上記リストは全てを包括したものではない。他のDCモード及び列挙されたDCモードの変形例が当業者によって容易に想到されるであろう。例えば、DCにおいて電極32と33に印加される電圧は、電極31と34に印加されるものと極性が反対であり且つ大きさが等しいが、本発明の幾つかの実施の形態では、電極32と33に印加される電圧の大きさが、電極31と34に印加されるものと異なっている。常に一定の変位を得る為に、各DCモードは、それを指し示すモードの下付き文字と一致する下付き文字を持つ電圧に設定される。圧電モータ20に備えられた電極に印加される電圧の大きさが、それぞれのDCモードで異なっていても良い。
【0038】
選択的には圧電モータ20がY軸沿いに左右対称性を持つことが分かっている。従って、+ΔY変位させるのに使用される各電圧を、負の電圧に置き換えることにより、−ΔYの変位が生じる。代替的には、−ΔY変位させる為に、+ΔY変位させるのに使用される電圧変動パターンを、XZ平面と平行で且つ圧電モータの中心を通る平面において反転させることによって置き換えることができる。
【0039】
発明者は、本発明の実施の形態によれば、DC動作モードで動作する圧電モータ20と同様の圧電モータに関して、ΔYの変位を、大抵の場合、小さな数値のナノメータと同等若しくはそれよりも優れた分解能で制御できることを見出している。本発明の幾つかの実施の形態では、分解能は5ナノメータよりも良い。本発明の幾つかの実施の形態では、分解能は2ナノメータよりも良い。本発明の幾つかの実施の形態では、分解能は1ナノメータよりも良い。本発明の幾つかの実施の形態では、振動や周辺温度の変動のような環境条件の乱れに対してロードの変位を適切に補正することで、ΔYの変位を、100ピコメータよりも優れた分解能で制御可能としている。DC動作モードは一定であるが、電圧Vの関数であるΔYの変位はヒステリシス曲線に従う。大抵の場合、ヒステリシス曲線は、幾つかの適用基準に当てはまるように、限定されたダイナミックレンジ内において、ΔYが実質的にVの一次関数であるとみなしても良いように充分に狭い。
【0040】
数値例として、本発明の実施の形態に係る、圧電モータ20と同様の圧電モータが、長さ約30mm、幅約2mmのPZTで形成された振動子24を備えていると仮定する。発明者は、DCモードで動作するこのようなモータについて、Vが0.8ボルト増加又は減少する毎にΔYが約1ナノメータ程度増加又は減少し、ΔYを1ナノメータと同等若しくはそれよりも優れた分解能で制御できることを見出している。ΔYの変位は、実質的に、|ΔY|≦約500ナノメータに関する電圧の一次関数である。
【0041】
上述した例において圧電モータ20は単一の比較的薄型の矩形の振動子24を備えているが、本発明の実施の形態に係る圧電モータが振動子24と異なる振動子を備えていても良いことが分かっている。このような振動子は、例えば形状及び/又は電極配置が図1A及び1Bに示されたものと異なるものであっても良い。
【0042】
例えば、図1A及び1Bに示された振動子24のフェイス面26上のクアドラント電極31〜34は全て同一サイズであるが、本発明の幾つかの実施の形態では、振動子24の一方の長辺のエッジに沿ったフェイス面26上の電極がもう一方の長辺のエッジに沿った電極よりも大きい。電極サイズの相違は、Y軸沿いの一方の方向に関して、その逆方向よりも広いダイナミックレンジを与える。また、振動子24と同様の圧電振動子が四以外の数の電極を備えていても良い。別の例として、本発明の実施の形態によれば、圧電モータが、米国特許出願第09/980,375号に示されたものと同様の多層型振動子であっても良い。本発明を実施するのに適した他の振動子と電極構造は、当業者によって容易に想到されるであろう。
【0043】
圧電モータ20は一軸沿いすなわち例として図1A及び1BのY軸沿いにロードを変位させるが、本発明の幾つかの実施の形態では、DCモードで動作する圧電モータが、直交する二軸に沿ってロードを変位させることができる。
【0044】
図2A〜2Cは、本発明の実施の形態に係る、直交する二軸の一方又は両方に沿ってロードを変位させるよう作用するDCモードを有する圧電モータ50を概略的に示している。一例として、圧電モータ50は、米国特許出願第09/980,375号に記述されたものと同様の構造を持つ多層型振動子であり、図2A〜2Cに示されているようにロード22と連結している。
【0045】
選択的には、圧電モータ50は、二つの薄型で矩形の圧電層54と55を有する多層型振動子52を備えている。選択的には圧電層54と55は互いに鏡像である。選択的には、四つのクアドラント電極61、62、63、及び、64は、フェイス面60上に位置している。選択的には、四つのクアドラント電極71、72、73、及び、74は、選択的にはクアドラント電極61、62、63、及び、64の各々と鏡像であり、フェイス面70上に位置している。選択的には、単一の大型な「介在した」電極68が圧電層54と55との間に位置している。摩擦ナブ56はエッジ面57上に位置している。選択的には、介在電極68に対応したクアドラント電極のいずれかに印加される正の電圧がクアドラント電極と介在電極との間の部材を引き延ばすような極性を、圧電層54と55が有している。多層型振動子52の電極は、電源装置80に電気的に接続されている。
【0046】
圧電モータ50は、X軸及び/又はY軸に沿ってロード22を動かす為のAC動作モードを有している。これらのAC動作モードに対応して、電源装置80は、摩擦ナブ56を適切に振動させるように交流電圧を多層型振動子52の電極に印加する。米国特許出願第09/980,375号に記述されたものと同様であるような、多層型振動子52の電極への電力供給の様々な設定が、圧電モータ50のACモードで摩擦ナブ56において所望の振動を発生させる為に使用されても良い。図2Aは、本発明の実施の形態に係る、圧電モータ50がX軸及びY軸に沿った所望位置にロード22を位置決めし、電源装置80が多層型振動子52の電極間の全ての電位差をなくした状態の圧電モータ50を概略的に示している。
【0047】
本発明の実施の形態によれば、圧電モータ50は、図2Aに示されたロードの位置に対して、要求に応じてX軸及びY軸に沿ってロード22を変位させる為のDCモードを有している。Y軸に沿ってロード22を変位させるモータ52のDCモード「i−th」がDCyiで表され、X軸に沿ってロード22を変位させるi−th DCモードがDCxiで表される。
【0048】
DCyiモードにおいて、選択的には、フェイス面60及び70上の鏡像の電極は、介在電極68に対して同等の直流電圧で印加される。例えば、クアドラント電極61と71は、介在電極68に対して同等の直流電圧で印加される。加えて、振動子52のミラー電極対は、選択的には、Y軸に沿ってロードを変位させる為に、図1A及び1Bに示された圧電モータ20の例示的なDCモード、DC〜DCに相当する設定で直流電圧を印加される。
【0049】
例えば、ロード22を距離ΔY動かす為に、振動子52のクアドラント電極が、上述した圧電モータ20のDCモード、DCに相当するDCモード「DCy3」で電力を供給されても良い。その結果、DCy3において、介在電極68がグランドとなり、クアドラント電極の鏡像対が以下のように電圧を印加されるであろう。
(61&71)and(63&73)=V’
(62&72)and(64&74)=−V’
電極対に印加される電圧±V’は予め設定されており、同一の変位ΔYに関し、DCy3モードで圧電モータ50に印加される電圧が、圧電モータ20のDCモードでクアドラント電極に印加される電圧Vと必ずしも同じではないことを意味する。図2Bは、距離ΔYだけロード22を変位させるよう、選択的にはDCモード又はDCy3モードで動作する圧電モータ50を概略的に示している。
【0050】
Y軸に沿ってロード22を変位させるよう、圧電モータ50が、DCx1として任意に参照される例示的なDCxiモードで動作しても良い。介在電極68がグランドであり、クアドラント電極61、62、63、及び、64が同一電圧「V」で印加され、クアドラント電極71、72、73、及び、74が同一電圧−Vで印加される。Vが正の場合には印加電圧によって振動子52が負のX方向に屈曲され、Vが負の場合には印加電圧によって振動子52が正のX方向に屈曲されるであろう。これにより、摩擦ナブ56とロード22が動くであろう。
【0051】
DCxiモードの別の例として、電極71、72、73、及び、74が浮動状態であり、介在電極68がグラントであり、電極61、62、63、及び、64が、正又は負のX方向の各々にロード22を変位させるよう、同等の正又は負の電圧を印加される。図2Cは、正のX方向において距離ΔYだけロード22を変位させるようにDCxiモードで動作する圧電モータ50を概略的に示している。
【0052】
DCxiモードとDCyiモードは、それぞれX及びY方向にロード22を変位させる。本発明の実施の形態によれば、DCxiモードとDCyiモードは、X軸及びY軸に沿った成分を持つロード22の変位を与えるように組み合わせられる。DCxiモードとDCyiモードは、それらの各々の電圧設定を重ね合わせることにより、組み合わせられる。例えば、正のX方向及びY方向の両方に沿ってロード22を変位させるようにDCx1モードとDCy3モードとを組み合わせても良い。DCy3で与えられるクアドラント電極間の電位差は、DCx1で与えられるクアドラント電極に基づいて重ね合わせられるであろう。図2Dは、ΔX及びΔY成分を有する変位Δsだけロード22を変位させるDCxiモードとDCyiモードとを組み合わせて動作する圧電モータ50を概略的に示している。
【0053】
幾つかの適用基準に当てはまるように、アクチュエータは、比較的高い分解能でロードを位置決めするよう調整される比較的短い距離だけ、ロードを変位させることを要求されるようである。幾つかの適用基準に当てはまるように、本発明の実施の形態によれば、アクチュエータは優れた点を持っているようである。このようなアクチュエータには、複数の電極と、ロードに押し当てられ、ロードと自身とを摩擦によって連結させる連結面とを有した圧電素子本体と、一若しくは複数のDCモードだけでアクチュエータを動作させる電源装置とが備えられている。DCモードにおいて、電源装置が、圧電素子本体の形状を歪ませる例えば当該本体を屈曲させたり伸長させたりする為に、圧電素子本体の電極に直流電圧を印加する。圧電素子本体が歪むに従って、連結面が、自身と一緒に押し当てられるロードを動かして引っ張る。
【0054】
本発明の幾つかの実施の形態では、アクチュエータが、図1A及び1Bに示された圧電モータ20に備えられる振動子24と同様の形状を有した圧電素子本体を備えており、一方向に沿ってロードを変位させるよう作動する。本発明の幾つかの実施の形態では、アクチュエータが、圧電モータ50(図2A〜2D)に備えられる振動子52と同様の形状を有した圧電素子本体を備えており、第一の方向及び/又は第一の方向と直交する第二の方向に沿ってロードを変位させるよう作動する。本明細書の説明及び請求項では、語句「備える(comprise)」、「含む(include)」、「有する(have)」、及び、これらの同意語は、語句の一若しくは複数の対象が、必ずしも、語句の一若しくは複数の主題の部品、成分、要素、又は、一部の包括的な記載事項でないことを意味する為に使用される。
【0055】
本発明は、一例として与えられ且つ発明の範囲を限定しないような実施の形態の詳細な説明を用いて記述されている。記述された実施の形態は、発明の全ての実施の形態で要求されるものでは全くない、異なる特徴を備えている。本発明の幾つかの実施の形態では、幾つかの特徴又は組合せ可能な特徴だけを利用している。記述されている本発明の実施の形態の変形例と、記述された実施の形態で説明された様々な特徴の組合せを備えた本発明の実施の形態は、当業者によって想到されるであろう。発明の範囲は請求項によってのみ限定される。
【0056】
本発明の例示的で非限定的な実施の形態は、以上の記述で説明され、ここに添付されて以下に列挙される図面で参照される。図面において、二枚以上の図面に現れる同一の構造体、要素又は一部は、それらが現れる図面において、通常、同一番号を付される。図面に示される構成要素及び特徴の寸法は、説明の便宜上及び明瞭化の為に選択されたものであり、必ずしも実寸ではない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1A】本発明の実施の形態に係る、実質的に同一線上のそれぞれ異なる位置にロードを動かして精密に位置決めするようDCモードで動作する圧電モータを概略的に示した図である。
【図1B】本発明の実施の形態に係る、実質的に同一線上のそれぞれ異なる位置にロードを動かして精密に位置決めするようにDCモードで動作する圧電モータを概略的に示した図である。
【図2A】本発明の実施の形態に係る、非共線的なそれぞれ異なる位置にロードを動かして精密に位置決めするようにDCモードで動作する別の圧電モータを概略的に示した図である。
【図2B】本発明の実施の形態に係る、非共線的なそれぞれ異なる位置にロードを動かして精密に位置決めするようにDCモードで動作する別の圧電モータを概略的に示した図である。
【図2C】本発明の実施の形態に係る、非共線的なそれぞれ異なる位置にロードを動かして精密に位置決めするようにDCモードで動作する別の圧電モータを概略的に示した図である。
【図2D】本発明の実施の形態に係る、非共線的なそれぞれ異なる位置にロードを動かして精密に位置決めするようにDCモードで動作する別の圧電モータを概略的に示した図である。
【符号の説明】
【0058】
20、50 圧電モータ
21 座標系
22 ロード
24 圧電振動子
26、27、60、70 フェイス面
28、57 エッジ面
31、32、33、34、61、62、63、64、71、72、73、74 クアドラント電極
36 大型電極
38、56 摩擦ナブ
40、80 電源装置
52 多層型振動子
54、55 圧電層
68 介在電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極と、ロードに押し当てられる連結面とを有した圧電振動子と、
少なくとも一の振動子の電極に時間的に変化する電圧を印加して所望位置にロードを進めるように連結面を振動させる、或いは、少なくとも一の振動子の電極に直流電圧を印加して連結面を変位させることにより所望位置にロードを動かすよう選択的に作動する電源装置であって、所望位置でロードを保持するよう直流電圧を維持する電源装置と、
を備えた、ロードを動かして位置決めする為の圧電モータ。
【請求項2】
前記電源装置が印加する直流電圧によって実質的に同一直線上で変位する、請求項1に記載の圧電モータ。
【請求項3】
非共線的な変位をもたらすように直流電圧を制御可能である、請求項1又は2に記載の圧電モータ。
【請求項4】
前記圧電振動子が、第一と第二の平行で比較的大きなフェイス面と細長いエッジ面とを有した矩形板状に形成され、複数の電極が、各フェイス面上の少なくとも一の電極から成る、前記請求項のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項5】
第一のフェイス面上の少なくとも一の電極が四のクアドラント(quadrant)電極から成り、各クアドラント電極が、当該フェイス面上のそれぞれ異なるクアドラントの全体を実質的に覆っている、請求項4に記載の圧電モータ。
【請求項6】
第二のフェイス面上の少なくとも一の電極が、単一電極であり、他のフェイス面上の全領域を実質的に覆っている、請求項5に記載の圧電モータ。
【請求項7】
単一電極がグランドである、請求項6に記載の圧電モータ。
【請求項8】
連結面が前記圧電振動子の短いエッジ面である、請求項4から7のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項9】
前記電源装置が、その平面において前記圧電振動子を屈曲させ、それにより連結面を変位させるよう、単一電極に対応した少なくとも一のクアドラント電極に印加する、請求項4から8のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項10】
前記電源装置が、同一の長いエッジ面沿いのクアドラント電極に直流電圧を印加し、その反対側の長いエッジ面沿いのクアドラント電極に逆極性の電圧を印加する、請求項4から8のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項11】
前記電源装置が、同一の長いエッジ面沿いのクアドラント電極に直流電圧を印加し、その反対側の長いエッジ面沿いのクアドラント電極が浮動状態である、請求項4から9のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項12】
前記電源装置が、一致する対角線沿いのクアドラント電極に同等の直流電圧を印加し、それとは異なる対角線沿いのクアドラント電極に逆極性の電圧を印加する、請求項4から11のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項13】
前記電源装置が、第一のフェイス面の一方の対角線沿いのクアドラント電極に直流電圧を印加し、もう一方の対角線沿いのクアドラント電極が浮動状態である、請求項4から12のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項14】
前記電源装置が、第一のフェイス面の一方の対角線沿いのクアドラント電極に直流電圧を印加し、もう一方の対角線沿いのクアドラント電極がグランドである、請求項4から13のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項15】
前記圧電振動子が、互いに接合された複数枚の薄型の圧電部材の矩形層から成る直方体の形状に形成され、各矩形層が比較的大型なフェイス面、長いエッジ面、短いエッジ面を有し、複数の電極が矩形層の各フェイス面と実質的に切れ目のない少なくとも一の電極から成る、請求項1から3のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項16】
連結面が前記圧電振動子の短いエッジ面に位置する、請求項15に記載の圧電モータ。
【請求項17】
前記電源装置が、フェイス面の平面において前記圧電振動子を屈曲させ、それより連結面を変位させるよう、少なくとも一の電極の設定である直流電圧を印加する、請求項16に記載の圧電モータ。
【請求項18】
前記電源装置が、フェイス面の平面と直交した前記圧電振動子を屈曲させ、それより連結面を変位させるよう、少なくとも一の電極の設定で直流電圧を印加する、請求項16又は17のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項19】
直流電圧は、5ナノメートルと同等若しくはそれよりも優れた分解能で連結面の変位の大きさを調整するように制御される、前記請求項のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項20】
直流電圧は、2ナノメートルと同等若しくはそれよりも優れた分解能で連結面の変位の大きさを調整するように制御される、前記請求項のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項21】
直流電圧は、1ナノメートルと同等若しくはそれよりも優れた分解能で連結面の変位の大きさを調整するように制御される、前記請求項のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項22】
直流電圧は、0.1ナノメートルと同等若しくはそれよりも優れた分解能で連結面の変位の大きさを調整するように制御される、前記請求項のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項23】
複数の電極と、ロードに押し当てられ、ロードと自身とを摩擦によって連結させる連結面とを有した圧電素子本体と、
複数のうちの少なくとも一の電極に直流電圧を印加して連結面を変位させることにより所望位置にロードを引っ張るよう作動する電源装置であって、所望位置でロードを保持するよう直流電圧を維持する電源装置と、
を備えた、ロードを動かして位置決めする為の圧電アクチュエータ。
【請求項24】
前記電源装置が印加する直流電圧によって実質的に同一直線上で変位する、請求項23に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項25】
非共線的な変位をもたらすように直流電圧を制御可能である、請求項24に記載の圧電アクチュエータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロードに押し当てられる連結面と、
連結面に連結し、複数の電極を有する単一の圧電振動子と、
少なくとも一の振動子の電極に時間的に変化する電圧を印加して所望位置にロードを進めるように連結面を振動させる、或いは、少なくとも一の振動子の電極に一定の直流電圧を印加して連結面を変位させてその位置で保持し、それにより所望位置にロードを動かすよう選択的に作動する電源装置と、
を備えた、ロードを動かして位置決めする為の圧電モータ。
【請求項2】
前記電源装置が印加する直流電圧によって実質的に同一直線上で変位する、請求項1に記載の圧電モータ。
【請求項3】
非共線的な変位をもたらすように直流電圧を制御可能である、請求項1又は2に記載の圧電モータ。
【請求項4】
前記圧電振動子が、第一と第二の平行で比較的大きなフェイス面と細長いエッジ面とを有した矩形板状に形成され、複数の電極が、各フェイス面上の少なくとも一の電極から成る、前記請求項のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項5】
第一のフェイス面上の少なくとも一の電極が四のクアドラント(quadrant)電極から成り、各クアドラント電極が、当該フェイス面上のそれぞれ異なるクアドラントの全体を実質的に覆っている、請求項4に記載の圧電モータ。
【請求項6】
第二のフェイス面上の少なくとも一の電極が、単一電極であり、他のフェイス面上の全領域を実質的に覆っている、請求項5に記載の圧電モータ。
【請求項7】
単一電極がグランドである、請求項6に記載の圧電モータ。
【請求項8】
連結面が前記圧電振動子の短いエッジ面である、請求項4から7のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項9】
前記電源装置が、その平面において前記圧電振動子を屈曲させ、それにより連結面を変位させるよう、単一電極に対応した少なくとも一のクアドラント電極に印加する、請求項4から8のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項10】
前記電源装置が、同一の長いエッジ面沿いのクアドラント電極に直流電圧を印加し、その反対側の長いエッジ面沿いのクアドラント電極に逆極性の電圧を印加する、請求項4から8のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項11】
前記電源装置が、同一の長いエッジ面沿いのクアドラント電極に直流電圧を印加し、その反対側の長いエッジ面沿いのクアドラント電極が浮動状態である、請求項4から9のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項12】
前記電源装置が、一致する対角線沿いのクアドラント電極に同等の直流電圧を印加し、それとは異なる対角線沿いのクアドラント電極に逆極性の電圧を印加する、請求項4から11のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項13】
前記電源装置が、第一のフェイス面の一方の対角線沿いのクアドラント電極に直流電圧を印加し、もう一方の対角線沿いのクアドラント電極が浮動状態である、請求項4から12のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項14】
前記電源装置が、第一のフェイス面の一方の対角線沿いのクアドラント電極に直流電圧を印加し、もう一方の対角線沿いのクアドラント電極がグランドである、請求項4から13のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項15】
前記圧電振動子が、互いに接合された複数枚の薄型の圧電部材の矩形層から成る直方体の形状に形成され、各矩形層が比較的大型なフェイス面、長いエッジ面、短いエッジ面を有し、複数の電極が矩形層の各フェイス面と実質的に切れ目のない少なくとも一の電極から成る、請求項1から3のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項16】
連結面が前記圧電振動子の短いエッジ面に位置する、請求項15に記載の圧電モータ。
【請求項17】
前記電源装置が、フェイス面の平面において前記圧電振動子を屈曲させ、それより連結面を変位させるよう、少なくとも一の電極の設定である直流電圧を印加する、請求項16に記載の圧電モータ。
【請求項18】
前記電源装置が、フェイス面の平面と直交した前記圧電振動子を屈曲させ、それより連結面を変位させるよう、少なくとも一の電極の設定で直流電圧を印加する、請求項16又は17のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項19】
直流電圧は、5ナノメートルと同等若しくはそれよりも優れた分解能で連結面の変位の大きさを調整するように制御される、前記請求項のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項20】
直流電圧は、2ナノメートルと同等若しくはそれよりも優れた分解能で連結面の変位の大きさを調整するように制御される、前記請求項のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項21】
直流電圧は、1ナノメートルと同等若しくはそれよりも優れた分解能で連結面の変位の大きさを調整するように制御される、前記請求項のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項22】
直流電圧は、0.1ナノメートルと同等若しくはそれよりも優れた分解能で連結面の変位の大きさを調整するように制御される、前記請求項のいずれかに記載の圧電モータ。
【請求項23】
ロードに押し当てられ、ロードと自身とを摩擦によって連結させる連結面と、
連結面に連結し、複数の電極を有する単一の圧電振動子と、
少なくとも一の振動子の電極に一定の直流電圧を印加し、非共線的なそれぞれ異なる方向に沿って連結面を選択的に変位させてその位置で保持し、それにより所望位置にロードを引っ張るよう作動する電源装置と、
を備えた、ロードを動かして位置決めする為の圧電アクチュエータ。
【請求項24】
前記電源装置が印加する直流電圧によって実質的に同一直線上で変位する、請求項23に記載の圧電アクチュエータ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【公表番号】特表2006−503529(P2006−503529A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−524032(P2004−524032)
【出願日】平成15年7月23日(2003.7.23)
【国際出願番号】PCT/IL2003/000603
【国際公開番号】WO2004/012279
【国際公開日】平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願人】(301012483)ナノモーション リミテッド (5)
【Fターム(参考)】