高周波信号処理装置、光トランシーバおよび光送受信装置
【課題】 デジタル信号およびアナログ信号を確実に遮断することができる高周波信号処理装置、光トランシーバおよび光送受信装置を提供する。
【解決手段】 回路基板2にはデジタル信号処理部3およびアナログ信号処理部4を設けると共に、光合分波器5を取付ける。また、回路基板2をフレーム10内に収容し、デジタル信号処理部3およびアナログ信号処理部4の間には遮蔽板12を配置する。そして、フレーム10には、回路基板2を覆う蓋体17を取付けると共に、蓋体17の挟持部22を用いて遮蔽板12を挟み込む。
【解決手段】 回路基板2にはデジタル信号処理部3およびアナログ信号処理部4を設けると共に、光合分波器5を取付ける。また、回路基板2をフレーム10内に収容し、デジタル信号処理部3およびアナログ信号処理部4の間には遮蔽板12を配置する。そして、フレーム10には、回路基板2を覆う蓋体17を取付けると共に、蓋体17の挟持部22を用いて遮蔽板12を挟み込む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波信号としてアナログ信号およびデジタル信号を処理する回路が搭載された高周波信号処理装置、並びに該高周波信号処理装置を用いた光トランシーバおよび光送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高周波信号処理装置として、高周波信号を処理する回路が設けられた回路基板と、該回路基板を収容するフレームと、前記回路基板を覆って該フレームに設けられるカバー(蓋体)とを備えた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような高周波信号処理装置では、枠状の金属製フレームと金属製カバーとを用いて回路基板を取囲み、回路基板に搭載された処理回路と外部との間で不要な電波の漏洩や侵入を防止していた。
【0003】
【特許文献1】特開平9−232789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高周波信号がアナログ信号およびデジタル信号を含む場合には、アナログ信号用の処理回路とデジタル信号用の処理回路とが混在して回路基板に搭載される。このような回路基板に対して従来技術による高周波信号処理装置を適用した場合には、回路基板全体を金属製フレームおよび金属製カバーによって覆うから、デジタル信号がノイズとしてアナログ信号用の処理回路に伝搬し、十分なシールド効果を得ることができないという問題がある。
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、デジタル信号およびアナログ信号を確実に遮断することができる高周波信号処理装置、光トランシーバおよび光送受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本願の請求項1の発明は、高周波信号を処理する回路が設けられた回路基板と、該回路基板を収容するフレームと、前記回路基板を覆って該フレームに設けられる蓋体とを備えた高周波信号処理装置において、前記回路基板には、アナログ信号を処理するアナログ信号処理部とデジタル信号を処理するデジタル信号処理部とを設け、前記フレームには、前記アナログ信号処理部とデジタル信号処理部とを仕切る遮蔽板を設け、前記蓋体には、該遮蔽板を挟む挟持部を設けたことを特徴としている。
【0007】
請求項2の発明では、前記フレームは、回路基板を取囲むと共に前記遮蔽板が内側に配置された枠状をなす外枠部と、該外枠部に設けられ前記蓋体と係合するフレーム側係合部とを備え、前記蓋体は、外縁側に位置して前記フレーム側係合部と係合する蓋側係合部を備え、前記挟持部は、前記遮蔽板と対応した位置で前記蓋体の中央側に配置する構成としている。
【0008】
請求項3の発明では、前記回路基板には、前記アナログ信号処理部とデジタル信号処理部とに接続されアナログ信号およびデジタル信号を含む光信号を送信および受信する光モジュールを設ける構成としている。
【0009】
また、請求項4,5の発明では、本発明の高周波信号処理装置を用いて光トランシーバ、光送受信装置を構成している。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、フレームには遮蔽板を設けたから、遮蔽板によって回路基板に設けたアナログ信号処理部とデジタル信号処理部との間を仕切ることができる。また、蓋体には遮蔽板を挟む挟持部を設けたから、挟持部によって蓋体を確実に遮蔽板に取付けて固定することができる。このため、遮蔽板および蓋体を金属材料等の導電性材料を用いて形成することによって、アナログ信号処理部とデジタル信号処理部とを別個にシールドすることができ、各処理部間の信号の漏洩、侵入を防止することができる。
【0011】
また、蓋体の挟持部によって遮蔽板を挟むから、蓋体と遮蔽板とを確実に接触させて、蓋体の電位を安定させることができる。さらに、挟持部によって蓋体をフレームの遮蔽板に取付けることができるから、例えば半田付け等の別途の接合手段を用いる必要がなく、蓋体の取付作業性を向上することができる。
【0012】
また、単一の蓋体を用いてアナログ信号処理部およびデジタル信号処理部の両方をシールドすることができる。このため、例えばアナログ信号処理部をシールドするために別途シールド部材を設けた場合に比べて、部品点数を削減できると共に、組立作業性、生産性を向上することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、蓋体は外縁側に位置する蓋側係合部を備える構成としたから、蓋側係合部がフレーム側係合部に係合することによって、蓋体の外縁側をフレームに固定することができる。また、挟持部は遮蔽板と対応した位置で蓋体の中央側に配置したから、挟持部が遮蔽板を挟むことによって、蓋体の中央側をフレームの遮蔽板に固定することができる。このため、蓋体の中央側が浮き上がるのを防止して装置全体の高さ寸法を小さくすることができると共に、蓋体全体の電位を安定させて、シールド効果を高めることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、回路基板には光モジュールを設ける構成としたから、光モジュールを用いてアナログ信号およびデジタル信号を含む光信号を送信および受信することができる。また、光モジュールをフレームまたは遮蔽板に直接接続することができるから、光モジュールのグランドを安定させることができ、光モジュールの高周波特性を向上することができる。
【0015】
請求項4,5の発明によれば、本発明の高周波信号処理装置を用いて光トランシーバ、光送受信装置を構成するから、光モジュールのグランドを安定させて高周波特性を向上することができ、長距離通信に適用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、実施の形態として本発明の高周波信号処理装置を光トランシーバに適用した場合を例に挙げて、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
図において、光トランシーバ1は、例えばデジタル信号からなるデータを送信および受信すると共に、TV用のアナログ信号を受信する波長分割多重方式の光リンクCATV(cable television)に適用される。そして、光トランシーバ1は、後述する回路基板2、光合分波器5、フレーム10、蓋体17等によって構成されている。
【0018】
回路基板2は、図3に示すように略四角形状に形成されると共に、その前端側に光合分波器5を取付けるための略四角形状の切欠き部2Aが設けられている。また、回路基板2には、複数の回路部品(図示せず)が搭載され、これらの回路部品によって高周波信号(デジタル信号およびアナログ信号)を処理する処理回路としてのデジタル信号処理部3およびアナログ信号処理部4が構成されている。
【0019】
ここで、デジタル信号処理部3は、図9に示すようにデジタル信号を送信するためのレーザドライバ3Aと、デジタル信号を受信するためのポストアンプ3Bとによって構成されている。一方、アナログ信号処理部4は、アナログ信号を受信するための電圧制御可変減衰器4Aと、該電圧制御可変減衰器4Aから出力される信号を増幅するポストアンプ4Bとによって構成されている。
【0020】
光合分波器5は、光モジュールを構成し、図1、図3および図9に示すように回路基板2の切欠き部2A内に取付けられている。また、光合分波器5は、導電性および伝熱性の金属材料等からなる箱状の筐体内に例えば発光素子としてのレーザダイオード6(以下、LD6という)、受光素子としてのフォトダイオード7,9(以下、PD7,9という)およびプリアンプ8が収容された素子収容部5Aと、素子収容部5Aから前側に向けて突出し光ファイバ等に接続される接続部5Bとによって構成されている。このとき、素子収容部5Aはグランド電位に保持されている。
【0021】
また、素子収容部5Aには、後側に位置してLD6およびプリアンプ8に接続された第1の接続端子5Cが設けられ、幅方向一側に位置してPD9に接続された第2の接続端子5Dが設けられると共に、幅方向他側に位置してPD7に接続された第3の接続端子5Eが設けられている。そして、第1〜第3の接続端子5C〜5Eは、半田付け等の接合手段を用いて回路基板2に接合されている。
【0022】
ここで、LD6は、接続端子5Cを介してレーザドライバ3Aに接続されている。これにより、LD6は、レーザドライバ3Aから出力される送信信号に応じて駆動し、例えば1.31μmの波長をもったデータ送信用の光信号を出力する。
【0023】
一方、PD7の出力側にはプリアンプ8が接続されると共に、該プリアンプ8は接続端子5Eを介してポストアンプ3Bに接続されている。このとき、PD7には、例えば1.49μmの波長をもったデータ受信用の光信号が入力される。これにより、PD7には受光した光信号に応じた光電流が流れるから、プリアンプ8は、PD7から出力される光電流を電圧に変換して増幅する。これにより、プリアンプ8およびポストアンプ3Bは、増幅した電圧信号(電気信号)からなる受信信号を出力する。
【0024】
また、PD9の出力側には接続端子5Dを介して電圧制御可変減衰器4Aが接続されると共に、該電圧制御可変減衰器4Aにはポストアンプ4Bが接続されている。このとき、PD9には、例えば1.55μmの波長をもったTV用の光信号が入力される。そして、PD9には受光した光信号に応じた光電流が流れるから、電圧制御可変減衰器4Aは制御電圧に応じて光電流による信号を減衰する。これにより、ポストアンプ4Bは、電圧制御可変減衰器4Aから出力された信号を増幅し、電圧信号(電気信号)からなる受信信号を出力する。
【0025】
フレーム10は、図1ないし図5に示すように例えば導電性の金属材料を用いて形成され、グランド電位に保持されている。また、フレーム10は、回路基板2を取囲む略四角形状の外枠部11と、該外枠部11の内側に位置してデジタル信号処理部3とアナログ信号処理部4との間を仕切る遮蔽板12とを備えている。このとき、外枠部11の底部側は、回路基板2によって閉塞される。一方、外枠部11の開口端側(上端側)には、外側に向けて突出したフレーム側係合部としての係合突起部13が設けられている。そして、係合突起部13は、外枠部11の外周側に沿って直線状に延びている。
【0026】
ここで、アナログ信号処理部4は、例えば回路基板2のうち切欠き部2Aの幅方向一側に配置されている。このため、遮蔽板12は、アナログ信号処理部4を外枠部11と一緒に取囲むように略L字状に形成されている。また、遮蔽板12は、切欠き部2Aの幅方向一側に沿って延びると共に、その途中部位には光合分波器5の第2の接続端子5Dと対面した位置に切欠き状の挿通部12Aが設けられている。これにより、光合分波器5の第2の接続端子5Dは、挿通部12Aを挿通してアナログ信号処理部4に接続されている。
【0027】
また、外枠部11および遮蔽板12には、アナログ信号処理部4を取囲む位置に複数の受け部14が設けられている。そして、各受け部14は、外枠部11および遮蔽板12の開口端側に配置され、回路基板2側に向けて延びる小片の平板状に形成されている。
【0028】
さらに、フレーム10には、切欠き部2Aの幅方向他側に沿って延びる支持梁15が設けられている。このとき、支持梁15および遮蔽板12には、切欠き部2A内に位置する光合分波器5に向けて突出した支持突起部16がそれぞれ設けられている。そして、支持梁15および遮蔽板12は、光合分波器5を幅方向両側から挟み込んで固定すると共に、支持突起部16を介して光合分波器5の素子収容部5Aがフレーム10に電気的に接続されている。これにより、外部から伝わる振動によって光合分波器5と回路基板2との接続が不安定になるのを防ぎ、光合分波器5と回路基板2を半田付けしたときに、この半田付け接続の信頼性を高めることができる。また、光合分波器5とフレーム10との間の固定強度を増すことができるのに加え、フレーム10を介して光合分波器5と回路基板2との間の電気的な接続も強化することができ、フレーム10、光合分波器5および回路基板2のグランド電位を安定させることができる。
【0029】
蓋体17は、図1、図2、図4および図5に示すように例えば導電性の金属材料を用いて略四角形の箱状に形成され、回路基板2のデジタル信号処理部3およびアナログ信号処理部4を覆った状態でフレーム10の上端側に取付けられている。また、蓋体17は、四角形の平板状に形成された平面部18と、該平面部18の外縁側に位置してフレーム10に向けて延びる側面部19とによって構成されている。このとき、側面部19には、蓋側係合部としての抜止め部20が内側に突出して設けられている。そして、抜止め部20は、係合突起部13と係合し、フレーム10に対して蓋体17を抜止め状態で固定している。
【0030】
爪部21は、蓋体17の平面部18に複数個設けられ、フレーム10の受け部14と対向した位置および光合分波器5の素子収容部5Aと対向した位置に配置されている。このとき、爪部21は、平面部18にコ字状の切込みを設けると共に、該切込み内の舌状部位をフレーム10側に向けて折曲げることによって形成されている。これにより、爪部21はフレーム10の受け部14に弾性的に接触するから、蓋体17のグランド電位を安定させることができる。また、爪部21は光合分波器5の素子収容部5Aに弾性的に接触するから、光合分波器5のグランド電位が安定すると共に、蓋体17を通じて放熱を促進することができる。
【0031】
挟持部22は、図1および図2に示すように蓋体17の平面部18に複数個設けられ、フレーム10の遮蔽板12と対向した位置に配置されている。また、挟持部22は、例えば遮蔽板12のうち挿通部12Aの両側に位置し、遮蔽板12と対応した位置で蓋体17(平面部18)の中央側に配置されている。
【0032】
このとき、挟持部22は、図4ないし図8に示すように平面部18にクランク状の切込みを設けると共に、該切込み内の2つの舌状部位をV字状に折曲げた挟持用爪部22Aによって形成されている。そして、2つの挟持用爪部22Aは、遮蔽板12の厚さ方向両側にそれぞれ位置し、遮蔽板12に対して弾性的に接触する。これにより、挟持部22は、2つの挟持用爪部22Aを用いて、遮蔽板12を挟み込む構成となっている。
【0033】
また、光トランシーバ1は、図9に示すマザーボード23に実装される。このとき、マザーボード23には、マルチプレクサ24、デマルチプレクサ25等も実装されている。そして、マルチプレクサ24は、レーザドライバ3Aに接続され、例えばNビットのパラレル信号をシリアル信号に変換して出力する。一方、デマルチプレクサ25はポストアンプ3Bに接続され、ポストアンプ3Bから出力されたシリアル信号をNビットのパラレル信号に変換する。これにより、マルチプレクサ24、デマルチプレクサ25は、光トランシーバ1と共に光送受信装置26を構成している。
【0034】
本実施の形態による光トランシーバ1は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
【0035】
まず、光トランシーバ1の光合分波器5を光ファイバを介して光リンクCATVのネットワークに接続する。そして、デジタル信号処理部3は、光合分波器5を用いて光ネットワークにデジタル信号からなる送信信号に応じた光信号を送信すると共に、光ネットワークから受信した光信号をデジタル信号からなる受信信号に変換して外部に出力する。これにより、デジタル信号処理部3は、各種のデータ通信を行うことができる。
【0036】
また、アナログ信号処理部4は、光ネットワークから受信した光信号をデジタル信号からなる受信信号に変換して外部に出力する。これにより、アナログ信号処理部4は、映像、音声等のTV用のアナログ信号を受信することができる。
【0037】
然るに、本実施の形態では、フレーム10には遮蔽板12を設けたから、遮蔽板12によって回路基板2に設けたアナログ信号処理部4とデジタル信号処理部3との間を仕切ることができる。また、蓋体17には遮蔽板12を挟む挟持部22を設けたから、挟持部22によって蓋体17を確実に遮蔽板12に取付けて固定することができる。このため、遮蔽板12および蓋体17を金属材料等の導電性材料を用いて形成することによって、デジタル信号処理部3とアナログ信号処理部4とを別個にシールドすることができ、各処理部3,4間の信号の漏洩、侵入を防止することができる。
【0038】
また、蓋体17の挟持部22によって遮蔽板12を挟むから、蓋体17とグランド電位にある遮蔽板12(フレーム10)とを確実に接触させて、蓋体17の電位を安定させることができる。さらに、挟持部22によって蓋体17をフレーム10の遮蔽板12に取付けることができるから、例えば半田付け等の別途の接合手段を用いる必要がなく、蓋体17の取付作業性を向上することができる。
【0039】
また、単一の蓋体17を用いてアナログ信号処理部4およびデジタル信号処理部3の両方をシールドすることができる。このため、例えばアナログ信号処理部4をシールドするために別途シールド部材を設けた場合に比べて、部品点数を削減できると共に、組立作業性、生産性を向上することができる。
【0040】
特に、本実施の形態では、蓋体17は外縁側に位置する抜止め部20を備える構成としたから、抜止め部20がフレーム10の係合突起部13に係合することによって、蓋体17の外縁側をフレーム10に固定することができる。また、挟持部22は遮蔽板12と対応した位置で蓋体17の中央側に配置したから、挟持部22が遮蔽板12を挟むことによって、蓋体17の中央側をフレーム10の遮蔽板12に固定することができる。このため、蓋体17の中央側がフレーム10から離間して浮き上がるのを防止することができ、装置全体の高さ寸法を小さくすることができる。また、蓋体17全体の電位を安定させて、シールド効果を高めることができる。
【0041】
また、回路基板2には光合分波器5を設ける構成としたから、光合分波器5を用いてアナログ信号およびデジタル信号を含む光信号を送信および受信することができる。また、光合分波器5をフレーム10または遮蔽板12に直接接続することができるから、光合分波器5のグランドを安定させることができ、光合分波器5の高周波特性を向上することができる。
【0042】
さらに、遮蔽板12を備えたフレーム10および挟持部22を備えた蓋体17を用いて光トランシーバ1、光送受信装置26を構成するから、光合分波器5のグランドを安定させて高周波特性を向上することができ、長距離通信に適用することが可能となる。
【0043】
なお、前記実施の形態では、蓋体17にクランク状の切込みを設けることによって2つの挟持用爪部22Aからなる挟持部22を形成するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図10に示す第1の変形例のように、蓋体17にジグザグ状の切込みを設けることによって2つの挟持用爪部31Aからなる挟持部31を形成してもよい。
【0044】
また、前記実施の形態では、2つの挟持用爪部22Aが隣接して配置される構成としたが、例えば図11に示す第2の変形例のように、2つの挟持用爪部32Aが隙間を持って離間して配置された挟持部32を用いる構成としてもよい。
【0045】
また、前記実施の形態では、2つのV字状に屈曲した挟持用爪部22Aは、その自由端部分が遮蔽板12に接触する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図12に示す第3の変形例のように、互いに逆方向に向けて円弧状に湾曲した2つの挟持用爪部33Aを用いて挟持部33を形成し、これらの挟持用爪部33Aの基端から自由端に向けて延びる途中位置(円弧状の途中位置)を遮蔽板12に接触させる構成としてもよい。
【0046】
また、前記実施の形態では、光合分波器5は受光素子としてPD7,9を備える構成としたが、受光素子には、アバランシェ・フォトダイオード(APD)やPINフォトダイオード(PIN PD)を用いる構成としてもよく、フォトトランジスタを用いる構成としてもよい。受光素子としてアバランシェ・フォトダイオードを用いる場合には、回路基板にはアバランシェ・フォトダイオードに高電圧を印加するための高電圧発生回路を設ける構成としてもよい。
【0047】
さらに、前記実施の形態では、光トランシーバ1、光送受信装置26に適用するものとしたが、アナログ信号処理部およびデジタル信号処理部が1枚の回路基板に混在して搭載される各種の装置にも広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態による光トランシーバを示す分解斜視図である。
【図2】実施の形態による光トランシーバを示す平面図である。
【図3】回路基板およびフレームを示す平面図である。
【図4】図2中の光トランシーバを矢示IV−IV方向からみた断面図である。
【図5】光トランシーバを蓋体を取外した状態で示す図4と同様位置の断面図である。
【図6】挟持部を拡大して示す要部拡大斜視図である。
【図7】挟持部を挟持用爪部を折曲げる前の状態で示す要部拡大平面図である。
【図8】図4中のA部を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図9】実施の形態による光トランシーバを用いた光送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図10】第1の変形例による挟持部を挟持用爪部を折曲げる前の状態で示す要部拡大平面図である。
【図11】第2の変形例による挟持部を挟持用爪部を折曲げる前の状態で示す要部拡大平面図である。
【図12】第3の変形例による挟持部を拡大して示す図8と同様位置の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 光トランシーバ
2 回路基板
3 デジタル信号処理部
4 アナログ信号処理部
5 光合分波器(光モジュール)
10 フレーム
11 外枠部
12 遮蔽板
13 係合突起部(フレーム側係合部)
17 蓋体
20 抜止め部(蓋側係合部)
22,31,32,33 挟持部
26 光送受信装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波信号としてアナログ信号およびデジタル信号を処理する回路が搭載された高周波信号処理装置、並びに該高周波信号処理装置を用いた光トランシーバおよび光送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高周波信号処理装置として、高周波信号を処理する回路が設けられた回路基板と、該回路基板を収容するフレームと、前記回路基板を覆って該フレームに設けられるカバー(蓋体)とを備えた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような高周波信号処理装置では、枠状の金属製フレームと金属製カバーとを用いて回路基板を取囲み、回路基板に搭載された処理回路と外部との間で不要な電波の漏洩や侵入を防止していた。
【0003】
【特許文献1】特開平9−232789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高周波信号がアナログ信号およびデジタル信号を含む場合には、アナログ信号用の処理回路とデジタル信号用の処理回路とが混在して回路基板に搭載される。このような回路基板に対して従来技術による高周波信号処理装置を適用した場合には、回路基板全体を金属製フレームおよび金属製カバーによって覆うから、デジタル信号がノイズとしてアナログ信号用の処理回路に伝搬し、十分なシールド効果を得ることができないという問題がある。
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、デジタル信号およびアナログ信号を確実に遮断することができる高周波信号処理装置、光トランシーバおよび光送受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本願の請求項1の発明は、高周波信号を処理する回路が設けられた回路基板と、該回路基板を収容するフレームと、前記回路基板を覆って該フレームに設けられる蓋体とを備えた高周波信号処理装置において、前記回路基板には、アナログ信号を処理するアナログ信号処理部とデジタル信号を処理するデジタル信号処理部とを設け、前記フレームには、前記アナログ信号処理部とデジタル信号処理部とを仕切る遮蔽板を設け、前記蓋体には、該遮蔽板を挟む挟持部を設けたことを特徴としている。
【0007】
請求項2の発明では、前記フレームは、回路基板を取囲むと共に前記遮蔽板が内側に配置された枠状をなす外枠部と、該外枠部に設けられ前記蓋体と係合するフレーム側係合部とを備え、前記蓋体は、外縁側に位置して前記フレーム側係合部と係合する蓋側係合部を備え、前記挟持部は、前記遮蔽板と対応した位置で前記蓋体の中央側に配置する構成としている。
【0008】
請求項3の発明では、前記回路基板には、前記アナログ信号処理部とデジタル信号処理部とに接続されアナログ信号およびデジタル信号を含む光信号を送信および受信する光モジュールを設ける構成としている。
【0009】
また、請求項4,5の発明では、本発明の高周波信号処理装置を用いて光トランシーバ、光送受信装置を構成している。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、フレームには遮蔽板を設けたから、遮蔽板によって回路基板に設けたアナログ信号処理部とデジタル信号処理部との間を仕切ることができる。また、蓋体には遮蔽板を挟む挟持部を設けたから、挟持部によって蓋体を確実に遮蔽板に取付けて固定することができる。このため、遮蔽板および蓋体を金属材料等の導電性材料を用いて形成することによって、アナログ信号処理部とデジタル信号処理部とを別個にシールドすることができ、各処理部間の信号の漏洩、侵入を防止することができる。
【0011】
また、蓋体の挟持部によって遮蔽板を挟むから、蓋体と遮蔽板とを確実に接触させて、蓋体の電位を安定させることができる。さらに、挟持部によって蓋体をフレームの遮蔽板に取付けることができるから、例えば半田付け等の別途の接合手段を用いる必要がなく、蓋体の取付作業性を向上することができる。
【0012】
また、単一の蓋体を用いてアナログ信号処理部およびデジタル信号処理部の両方をシールドすることができる。このため、例えばアナログ信号処理部をシールドするために別途シールド部材を設けた場合に比べて、部品点数を削減できると共に、組立作業性、生産性を向上することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、蓋体は外縁側に位置する蓋側係合部を備える構成としたから、蓋側係合部がフレーム側係合部に係合することによって、蓋体の外縁側をフレームに固定することができる。また、挟持部は遮蔽板と対応した位置で蓋体の中央側に配置したから、挟持部が遮蔽板を挟むことによって、蓋体の中央側をフレームの遮蔽板に固定することができる。このため、蓋体の中央側が浮き上がるのを防止して装置全体の高さ寸法を小さくすることができると共に、蓋体全体の電位を安定させて、シールド効果を高めることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、回路基板には光モジュールを設ける構成としたから、光モジュールを用いてアナログ信号およびデジタル信号を含む光信号を送信および受信することができる。また、光モジュールをフレームまたは遮蔽板に直接接続することができるから、光モジュールのグランドを安定させることができ、光モジュールの高周波特性を向上することができる。
【0015】
請求項4,5の発明によれば、本発明の高周波信号処理装置を用いて光トランシーバ、光送受信装置を構成するから、光モジュールのグランドを安定させて高周波特性を向上することができ、長距離通信に適用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、実施の形態として本発明の高周波信号処理装置を光トランシーバに適用した場合を例に挙げて、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
図において、光トランシーバ1は、例えばデジタル信号からなるデータを送信および受信すると共に、TV用のアナログ信号を受信する波長分割多重方式の光リンクCATV(cable television)に適用される。そして、光トランシーバ1は、後述する回路基板2、光合分波器5、フレーム10、蓋体17等によって構成されている。
【0018】
回路基板2は、図3に示すように略四角形状に形成されると共に、その前端側に光合分波器5を取付けるための略四角形状の切欠き部2Aが設けられている。また、回路基板2には、複数の回路部品(図示せず)が搭載され、これらの回路部品によって高周波信号(デジタル信号およびアナログ信号)を処理する処理回路としてのデジタル信号処理部3およびアナログ信号処理部4が構成されている。
【0019】
ここで、デジタル信号処理部3は、図9に示すようにデジタル信号を送信するためのレーザドライバ3Aと、デジタル信号を受信するためのポストアンプ3Bとによって構成されている。一方、アナログ信号処理部4は、アナログ信号を受信するための電圧制御可変減衰器4Aと、該電圧制御可変減衰器4Aから出力される信号を増幅するポストアンプ4Bとによって構成されている。
【0020】
光合分波器5は、光モジュールを構成し、図1、図3および図9に示すように回路基板2の切欠き部2A内に取付けられている。また、光合分波器5は、導電性および伝熱性の金属材料等からなる箱状の筐体内に例えば発光素子としてのレーザダイオード6(以下、LD6という)、受光素子としてのフォトダイオード7,9(以下、PD7,9という)およびプリアンプ8が収容された素子収容部5Aと、素子収容部5Aから前側に向けて突出し光ファイバ等に接続される接続部5Bとによって構成されている。このとき、素子収容部5Aはグランド電位に保持されている。
【0021】
また、素子収容部5Aには、後側に位置してLD6およびプリアンプ8に接続された第1の接続端子5Cが設けられ、幅方向一側に位置してPD9に接続された第2の接続端子5Dが設けられると共に、幅方向他側に位置してPD7に接続された第3の接続端子5Eが設けられている。そして、第1〜第3の接続端子5C〜5Eは、半田付け等の接合手段を用いて回路基板2に接合されている。
【0022】
ここで、LD6は、接続端子5Cを介してレーザドライバ3Aに接続されている。これにより、LD6は、レーザドライバ3Aから出力される送信信号に応じて駆動し、例えば1.31μmの波長をもったデータ送信用の光信号を出力する。
【0023】
一方、PD7の出力側にはプリアンプ8が接続されると共に、該プリアンプ8は接続端子5Eを介してポストアンプ3Bに接続されている。このとき、PD7には、例えば1.49μmの波長をもったデータ受信用の光信号が入力される。これにより、PD7には受光した光信号に応じた光電流が流れるから、プリアンプ8は、PD7から出力される光電流を電圧に変換して増幅する。これにより、プリアンプ8およびポストアンプ3Bは、増幅した電圧信号(電気信号)からなる受信信号を出力する。
【0024】
また、PD9の出力側には接続端子5Dを介して電圧制御可変減衰器4Aが接続されると共に、該電圧制御可変減衰器4Aにはポストアンプ4Bが接続されている。このとき、PD9には、例えば1.55μmの波長をもったTV用の光信号が入力される。そして、PD9には受光した光信号に応じた光電流が流れるから、電圧制御可変減衰器4Aは制御電圧に応じて光電流による信号を減衰する。これにより、ポストアンプ4Bは、電圧制御可変減衰器4Aから出力された信号を増幅し、電圧信号(電気信号)からなる受信信号を出力する。
【0025】
フレーム10は、図1ないし図5に示すように例えば導電性の金属材料を用いて形成され、グランド電位に保持されている。また、フレーム10は、回路基板2を取囲む略四角形状の外枠部11と、該外枠部11の内側に位置してデジタル信号処理部3とアナログ信号処理部4との間を仕切る遮蔽板12とを備えている。このとき、外枠部11の底部側は、回路基板2によって閉塞される。一方、外枠部11の開口端側(上端側)には、外側に向けて突出したフレーム側係合部としての係合突起部13が設けられている。そして、係合突起部13は、外枠部11の外周側に沿って直線状に延びている。
【0026】
ここで、アナログ信号処理部4は、例えば回路基板2のうち切欠き部2Aの幅方向一側に配置されている。このため、遮蔽板12は、アナログ信号処理部4を外枠部11と一緒に取囲むように略L字状に形成されている。また、遮蔽板12は、切欠き部2Aの幅方向一側に沿って延びると共に、その途中部位には光合分波器5の第2の接続端子5Dと対面した位置に切欠き状の挿通部12Aが設けられている。これにより、光合分波器5の第2の接続端子5Dは、挿通部12Aを挿通してアナログ信号処理部4に接続されている。
【0027】
また、外枠部11および遮蔽板12には、アナログ信号処理部4を取囲む位置に複数の受け部14が設けられている。そして、各受け部14は、外枠部11および遮蔽板12の開口端側に配置され、回路基板2側に向けて延びる小片の平板状に形成されている。
【0028】
さらに、フレーム10には、切欠き部2Aの幅方向他側に沿って延びる支持梁15が設けられている。このとき、支持梁15および遮蔽板12には、切欠き部2A内に位置する光合分波器5に向けて突出した支持突起部16がそれぞれ設けられている。そして、支持梁15および遮蔽板12は、光合分波器5を幅方向両側から挟み込んで固定すると共に、支持突起部16を介して光合分波器5の素子収容部5Aがフレーム10に電気的に接続されている。これにより、外部から伝わる振動によって光合分波器5と回路基板2との接続が不安定になるのを防ぎ、光合分波器5と回路基板2を半田付けしたときに、この半田付け接続の信頼性を高めることができる。また、光合分波器5とフレーム10との間の固定強度を増すことができるのに加え、フレーム10を介して光合分波器5と回路基板2との間の電気的な接続も強化することができ、フレーム10、光合分波器5および回路基板2のグランド電位を安定させることができる。
【0029】
蓋体17は、図1、図2、図4および図5に示すように例えば導電性の金属材料を用いて略四角形の箱状に形成され、回路基板2のデジタル信号処理部3およびアナログ信号処理部4を覆った状態でフレーム10の上端側に取付けられている。また、蓋体17は、四角形の平板状に形成された平面部18と、該平面部18の外縁側に位置してフレーム10に向けて延びる側面部19とによって構成されている。このとき、側面部19には、蓋側係合部としての抜止め部20が内側に突出して設けられている。そして、抜止め部20は、係合突起部13と係合し、フレーム10に対して蓋体17を抜止め状態で固定している。
【0030】
爪部21は、蓋体17の平面部18に複数個設けられ、フレーム10の受け部14と対向した位置および光合分波器5の素子収容部5Aと対向した位置に配置されている。このとき、爪部21は、平面部18にコ字状の切込みを設けると共に、該切込み内の舌状部位をフレーム10側に向けて折曲げることによって形成されている。これにより、爪部21はフレーム10の受け部14に弾性的に接触するから、蓋体17のグランド電位を安定させることができる。また、爪部21は光合分波器5の素子収容部5Aに弾性的に接触するから、光合分波器5のグランド電位が安定すると共に、蓋体17を通じて放熱を促進することができる。
【0031】
挟持部22は、図1および図2に示すように蓋体17の平面部18に複数個設けられ、フレーム10の遮蔽板12と対向した位置に配置されている。また、挟持部22は、例えば遮蔽板12のうち挿通部12Aの両側に位置し、遮蔽板12と対応した位置で蓋体17(平面部18)の中央側に配置されている。
【0032】
このとき、挟持部22は、図4ないし図8に示すように平面部18にクランク状の切込みを設けると共に、該切込み内の2つの舌状部位をV字状に折曲げた挟持用爪部22Aによって形成されている。そして、2つの挟持用爪部22Aは、遮蔽板12の厚さ方向両側にそれぞれ位置し、遮蔽板12に対して弾性的に接触する。これにより、挟持部22は、2つの挟持用爪部22Aを用いて、遮蔽板12を挟み込む構成となっている。
【0033】
また、光トランシーバ1は、図9に示すマザーボード23に実装される。このとき、マザーボード23には、マルチプレクサ24、デマルチプレクサ25等も実装されている。そして、マルチプレクサ24は、レーザドライバ3Aに接続され、例えばNビットのパラレル信号をシリアル信号に変換して出力する。一方、デマルチプレクサ25はポストアンプ3Bに接続され、ポストアンプ3Bから出力されたシリアル信号をNビットのパラレル信号に変換する。これにより、マルチプレクサ24、デマルチプレクサ25は、光トランシーバ1と共に光送受信装置26を構成している。
【0034】
本実施の形態による光トランシーバ1は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
【0035】
まず、光トランシーバ1の光合分波器5を光ファイバを介して光リンクCATVのネットワークに接続する。そして、デジタル信号処理部3は、光合分波器5を用いて光ネットワークにデジタル信号からなる送信信号に応じた光信号を送信すると共に、光ネットワークから受信した光信号をデジタル信号からなる受信信号に変換して外部に出力する。これにより、デジタル信号処理部3は、各種のデータ通信を行うことができる。
【0036】
また、アナログ信号処理部4は、光ネットワークから受信した光信号をデジタル信号からなる受信信号に変換して外部に出力する。これにより、アナログ信号処理部4は、映像、音声等のTV用のアナログ信号を受信することができる。
【0037】
然るに、本実施の形態では、フレーム10には遮蔽板12を設けたから、遮蔽板12によって回路基板2に設けたアナログ信号処理部4とデジタル信号処理部3との間を仕切ることができる。また、蓋体17には遮蔽板12を挟む挟持部22を設けたから、挟持部22によって蓋体17を確実に遮蔽板12に取付けて固定することができる。このため、遮蔽板12および蓋体17を金属材料等の導電性材料を用いて形成することによって、デジタル信号処理部3とアナログ信号処理部4とを別個にシールドすることができ、各処理部3,4間の信号の漏洩、侵入を防止することができる。
【0038】
また、蓋体17の挟持部22によって遮蔽板12を挟むから、蓋体17とグランド電位にある遮蔽板12(フレーム10)とを確実に接触させて、蓋体17の電位を安定させることができる。さらに、挟持部22によって蓋体17をフレーム10の遮蔽板12に取付けることができるから、例えば半田付け等の別途の接合手段を用いる必要がなく、蓋体17の取付作業性を向上することができる。
【0039】
また、単一の蓋体17を用いてアナログ信号処理部4およびデジタル信号処理部3の両方をシールドすることができる。このため、例えばアナログ信号処理部4をシールドするために別途シールド部材を設けた場合に比べて、部品点数を削減できると共に、組立作業性、生産性を向上することができる。
【0040】
特に、本実施の形態では、蓋体17は外縁側に位置する抜止め部20を備える構成としたから、抜止め部20がフレーム10の係合突起部13に係合することによって、蓋体17の外縁側をフレーム10に固定することができる。また、挟持部22は遮蔽板12と対応した位置で蓋体17の中央側に配置したから、挟持部22が遮蔽板12を挟むことによって、蓋体17の中央側をフレーム10の遮蔽板12に固定することができる。このため、蓋体17の中央側がフレーム10から離間して浮き上がるのを防止することができ、装置全体の高さ寸法を小さくすることができる。また、蓋体17全体の電位を安定させて、シールド効果を高めることができる。
【0041】
また、回路基板2には光合分波器5を設ける構成としたから、光合分波器5を用いてアナログ信号およびデジタル信号を含む光信号を送信および受信することができる。また、光合分波器5をフレーム10または遮蔽板12に直接接続することができるから、光合分波器5のグランドを安定させることができ、光合分波器5の高周波特性を向上することができる。
【0042】
さらに、遮蔽板12を備えたフレーム10および挟持部22を備えた蓋体17を用いて光トランシーバ1、光送受信装置26を構成するから、光合分波器5のグランドを安定させて高周波特性を向上することができ、長距離通信に適用することが可能となる。
【0043】
なお、前記実施の形態では、蓋体17にクランク状の切込みを設けることによって2つの挟持用爪部22Aからなる挟持部22を形成するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図10に示す第1の変形例のように、蓋体17にジグザグ状の切込みを設けることによって2つの挟持用爪部31Aからなる挟持部31を形成してもよい。
【0044】
また、前記実施の形態では、2つの挟持用爪部22Aが隣接して配置される構成としたが、例えば図11に示す第2の変形例のように、2つの挟持用爪部32Aが隙間を持って離間して配置された挟持部32を用いる構成としてもよい。
【0045】
また、前記実施の形態では、2つのV字状に屈曲した挟持用爪部22Aは、その自由端部分が遮蔽板12に接触する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図12に示す第3の変形例のように、互いに逆方向に向けて円弧状に湾曲した2つの挟持用爪部33Aを用いて挟持部33を形成し、これらの挟持用爪部33Aの基端から自由端に向けて延びる途中位置(円弧状の途中位置)を遮蔽板12に接触させる構成としてもよい。
【0046】
また、前記実施の形態では、光合分波器5は受光素子としてPD7,9を備える構成としたが、受光素子には、アバランシェ・フォトダイオード(APD)やPINフォトダイオード(PIN PD)を用いる構成としてもよく、フォトトランジスタを用いる構成としてもよい。受光素子としてアバランシェ・フォトダイオードを用いる場合には、回路基板にはアバランシェ・フォトダイオードに高電圧を印加するための高電圧発生回路を設ける構成としてもよい。
【0047】
さらに、前記実施の形態では、光トランシーバ1、光送受信装置26に適用するものとしたが、アナログ信号処理部およびデジタル信号処理部が1枚の回路基板に混在して搭載される各種の装置にも広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態による光トランシーバを示す分解斜視図である。
【図2】実施の形態による光トランシーバを示す平面図である。
【図3】回路基板およびフレームを示す平面図である。
【図4】図2中の光トランシーバを矢示IV−IV方向からみた断面図である。
【図5】光トランシーバを蓋体を取外した状態で示す図4と同様位置の断面図である。
【図6】挟持部を拡大して示す要部拡大斜視図である。
【図7】挟持部を挟持用爪部を折曲げる前の状態で示す要部拡大平面図である。
【図8】図4中のA部を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図9】実施の形態による光トランシーバを用いた光送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図10】第1の変形例による挟持部を挟持用爪部を折曲げる前の状態で示す要部拡大平面図である。
【図11】第2の変形例による挟持部を挟持用爪部を折曲げる前の状態で示す要部拡大平面図である。
【図12】第3の変形例による挟持部を拡大して示す図8と同様位置の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 光トランシーバ
2 回路基板
3 デジタル信号処理部
4 アナログ信号処理部
5 光合分波器(光モジュール)
10 フレーム
11 外枠部
12 遮蔽板
13 係合突起部(フレーム側係合部)
17 蓋体
20 抜止め部(蓋側係合部)
22,31,32,33 挟持部
26 光送受信装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波信号を処理する回路が設けられた回路基板と、該回路基板を収容するフレームと、前記回路基板を覆って該フレームに設けられる蓋体とを備えた高周波信号処理装置において、
前記回路基板には、アナログ信号を処理するアナログ信号処理部とデジタル信号を処理するデジタル信号処理部とを設け、
前記フレームには、前記アナログ信号処理部とデジタル信号処理部とを仕切る遮蔽板を設け、
前記蓋体には、該遮蔽板を挟む挟持部を設けたことを特徴とする高周波信号処理装置。
【請求項2】
前記フレームは、回路基板を取囲むと共に前記遮蔽板が内側に配置された枠状をなす外枠部と、該外枠部に設けられ前記蓋体と係合するフレーム側係合部とを備え、
前記蓋体は、外縁側に位置して前記フレーム側係合部と係合する蓋側係合部を備え、
前記挟持部は、前記遮蔽板と対応した位置で前記蓋体の中央側に配置する構成としてなる請求項1に記載の高周波信号処理装置。
【請求項3】
前記回路基板には、前記アナログ信号処理部とデジタル信号処理部とに接続されアナログ信号およびデジタル信号を含む光信号を送信および受信する光モジュールを設ける構成としてなる請求項1または2に記載の高周波信号処理装置。
【請求項4】
前記請求項3に記載の高周波信号処理装置を用いた光トランシーバ。
【請求項5】
前記請求項3に記載の高周波信号処理装置を用いた光送受信装置。
【請求項1】
高周波信号を処理する回路が設けられた回路基板と、該回路基板を収容するフレームと、前記回路基板を覆って該フレームに設けられる蓋体とを備えた高周波信号処理装置において、
前記回路基板には、アナログ信号を処理するアナログ信号処理部とデジタル信号を処理するデジタル信号処理部とを設け、
前記フレームには、前記アナログ信号処理部とデジタル信号処理部とを仕切る遮蔽板を設け、
前記蓋体には、該遮蔽板を挟む挟持部を設けたことを特徴とする高周波信号処理装置。
【請求項2】
前記フレームは、回路基板を取囲むと共に前記遮蔽板が内側に配置された枠状をなす外枠部と、該外枠部に設けられ前記蓋体と係合するフレーム側係合部とを備え、
前記蓋体は、外縁側に位置して前記フレーム側係合部と係合する蓋側係合部を備え、
前記挟持部は、前記遮蔽板と対応した位置で前記蓋体の中央側に配置する構成としてなる請求項1に記載の高周波信号処理装置。
【請求項3】
前記回路基板には、前記アナログ信号処理部とデジタル信号処理部とに接続されアナログ信号およびデジタル信号を含む光信号を送信および受信する光モジュールを設ける構成としてなる請求項1または2に記載の高周波信号処理装置。
【請求項4】
前記請求項3に記載の高周波信号処理装置を用いた光トランシーバ。
【請求項5】
前記請求項3に記載の高周波信号処理装置を用いた光送受信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−301343(P2008−301343A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146926(P2007−146926)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]