説明

高圧域型水頭症用弁システム

【課題】水頭症を治療することにおいて使用するための弁であって、圧力を選択的に調節するために有効である、調節機構と、を備えている、弁、およびその使用方法、を提供する。
【解決手段】脳脊髄液は、脳室腔18からカテーテル12、弁16、カテーテル14を通り排液される。約10mmH2 O(98パスカル(Pa))乃至40mmH2 O(3.92×102 パスカル(Pa))の範囲内の増加分において、少なくとも約400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))まで、選択的に調節可能である閾値圧力において、操作可能である弁を使用する。上記弁の動作圧力は、患者の固有の吸収系にゆっくりと強制的に脳脊髄液を循環させるように、所与の時間の期間にわたり、小さい増加分で、徐々に制限することができる。この場合に高い動作圧力において、シャント非依存性の状態が達成でき、これにより、そのシャントを成功のうちに取り外すことが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、一般に、患者の一つの領域から別の領域に体液を送り込む医療装置に関連しており、特に、本発明は水頭症を治療するための調節可能で移植可能な弁に関連している。
【0002】
〔発明の背景〕
水頭症はそれぞれの固有の自然な経路の中を通る脳脊髄液の流れを調整することができない患者を悩ませている状況である。脳質系により生成された後に、脳脊髄液(CSF)は、通常において、その体の静脈系により吸収される。一方、水頭症に罹っている患者においては、脳脊髄液は上記の様式で吸収されずに、患者の脳の脳室の中に蓄積する。治療をしないまま放置すると、その増加している量の流体が患者の頭蓋内の圧力を高めて、脳組織の圧縮および脳に対する減少された血流等のような、深刻な医療状況を引き起こす可能性がある。
【0003】
水頭症の治療は、従来において、脳室から過剰の流体を流出させて、腹部または脈管系等のような、患者の体の別の領域に対してその脳脊髄液の経路を新たに形成する処理を含む。この流体の移動を行なうために、一般的にシャントと呼ばれている、排液システムが用いられる場合が多い。このようなシャントを備えるためには、一般的に、頭皮の切開が行なわれて、小さな穴が頭蓋骨にドリルにより形成される。その後、基端側の、脳室用の、カテーテルがその患者の脳の脳室腔の中に設置されると共に、先端側の、排液用の、カテーテルが、過剰の流体が再導入されることになる患者の体の部分の中に、設置される。
【0004】
脳脊髄液の流れを調整してその脳室の中の適当な圧力を維持するために、上記の基端側および先端側のカテーテルの間にポンプまたは逆止め制御弁を配置できる。一般に、上記シャント・システムは、流体の圧力が特定の閾値に到達した後にだけ、流体の流れを可能にするように動作する弁機構、を含んでいる。すなわち、流体は、その流体の圧力が開口に対する上記弁機構の抵抗力に打ち勝つ時にだけ、その弁の中に入る。一部の弁機構が、このような流体の流れの開始における、調節、または開口圧力の高さ、または抵抗力の高さ、のプログラム、を可能にしている。これらの弁機構は種々の構成を有することができる。例えば、この弁機構は、米国特許第3,886,948号、同第4,332,255号、同第4,387,715号、同第4,551,128号、同第4,595,390号、同第4,615,691号、同第4,772,257号、および同第5,928,257号において図示および説明されているような、ボール−イン−コーン(ball-in-cone)型として、構成でき、これらの特許の全ては本明細書において参考文献として含まれる。
【0005】
研究により、脳脊髄液のシャント依存性の流れを制限することにより、比較的に若い水頭症の患者において、シャントを成功のうちに除去することが可能になることが、示されている。特に、プログラム可能な弁の動作圧力は脳脊髄液の正常な循環を活性化するために徐々に増加できる。この弁の圧力の注意深い制御の結果として、十分な大脳の発育が達成されてその患者の頭蓋内圧力が正常化されると、そのシャントが有効に除去できるようになる。しかしながら、現在の弁は、上記の閾値圧力が、わずかな増加分で、患者の固有の循環系が脳脊髄液を循環させるために実質的に信頼できる閾値圧力、すなわち、シャント非依存性の状態が達成できる閾値圧力、まで調節されることを可能にしていない。
【0006】
従って、好ましくは比較的に少量で正確な増加分において、上記閾値圧力を徐々に高めることにより、患者の固有の生理学的な吸収系に強制的に補償させて最終的にシャント非依存性の状態にするために、使用可能である弁装置に対する要望が存在している。
【0007】
〔発明の概要〕
本発明は水頭症を治療するための方法および装置を提供している。一例の実施形態において、水頭症を治療することにおいて使用するための弁が提供されており、この弁は、一般に、入口および出口を有するハウジングと、このハウジングの中に配置されていて、上記入口における流体の圧力が弁要素の閾値圧力よりも高い時に、その流体が上記ハウジングの中の入口からそのハウジングの中の出口まで流れることを可能にするために有効な弁要素と、当該弁要素に連結されていて、約10mmH2 O(98パスカル(Pa))乃至40mmH2 O(3.92×102 パスカル(Pa))の範囲内の増加分において、少なくとも約400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))まで、上記閾値圧力を選択的に調節するために有効である調節機構と、を含む。例示的な実施形態において、上記閾値圧力は、実質的に均等の増加分において、さらに好ましくは、約20mmH2 O(1.96×102 パスカル(Pa))の増加分において、調節可能である。
【0008】
上記弁要素は種々の構成を有することができ、事実上、当業界において知られている任意の弁機構が本発明に従って使用可能である。しかしながら、上記弁は、好ましくは、その弁の入口と弁の出口との間の流体の圧力差が特定の選択されている弁の開口圧力を超えるまで、閉じた状態を維持するように構成されている。非限定的な例として、適当な弁要素は、テーパー状のピンおよび孔、摺動式のシャッター、シャッター/ゲート型の機構、およびボール−イン−コーン型の構成、を含む。一例の例示的な実施形態において、上記弁要素は、孔、当該孔の中に配置されていてその孔の幅または直径よりも大きい幅または直径を有している、ボール等のような、制限要素、および、調節機構に連結していて上記の閾値圧力において上記孔に対して上記制限要素を付勢するために有効である付勢部材、を含む。この付勢部材は、例えば、上記の調節機構とボールとの間に延在しているばね、とすることができ、その調節機構は、例えば、上部に形成されている複数の位置を有していて、そのそれぞれの位置が所定の閾値圧力に対応している、カム機構、とすることができる。また、一例の例示的な実施形態において、上記の各位置は段部の形態にすることができ、上記カムはその上部に形成されている18個の段部を含むことができる。
【0009】
さらに、別の例示的な実施形態において、上記弁の中の孔の少なくとも一部分が、少なくとも約70°、さらに好ましくは約95°の円錐角(cone angle)を有している、円錐形(コーン)の形状にすることができ、上記ボールは、少なくとも約0.8mm、さらに好ましくは約1.2mmの直径を有することができる。さらに好ましくは、上記孔は、上記ボールを支持または収容することに適合していて、エッジ部分に沿って形成されている面取り部分を有している基端側の円錐形状の部分と、先端側の実質的に円筒形の部分と、を含んでいる。この先端側の実質的に円筒形の部分は、好ましくは、約0.8mmの最大の直径を有している。
【0010】
本発明の別の実施形態において、水頭症を治療することにおいて使用するための弁が備えられており、この弁は、入口および出口と、これらの入口および出口に連絡していて、上記入口における流体の圧力が弁要素の閾値圧力よりも高い時に、その流体が上記入口から上記出口まで流れることを可能にするために有効な弁要素と、を含んでいる。上記の閾値圧力は、好ましくは、約20mmH2 O(1.96×102 パスカル(Pa))の増加分において、少なくとも約400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))の圧力まで、選択的に調節可能である。例示的な実施形態において、上記弁要素は、孔、当該孔の中に配置されていてその孔の直径よりも大きい直径を有しているボール、および、上記の閾値圧力において上記孔に対して上記ボールを付勢するために有効である付勢部材、を含む。上記弁要素はまた、上記付勢部材に連結されていて上記閾値圧力を選択的に調節するために有効である調節機構、も含むことができる。上記付勢部材は、例えば、カムと上記ボールとの間に延在しているばね、とすることができ、上記調節機構は、例えば、上部に形成されている複数の段部を有していて、そのそれぞれの段部が所与の閾値圧力に対応している、カム機構、とすることができる。
【0011】
本発明はまた水頭症を治療するための方法も提供している。一例の実施形態において、この方法は、患者の体内の流体が弁の中の入口の中に流れ込み、その弁の中の出口を通って流れ出ることができるように、その患者の体内に弁を移植する工程と、上記入口における流体の圧力がその弁要素の閾値圧力よりも高い時にだけ、その流体がその弁を通って流れることができるように、約10mmH2 O(98パスカル(Pa))乃至40mmH2 O(3.92×102 パスカル(Pa))の範囲内の増加分において、少なくとも約400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))まで、上記弁の閾値圧力を周期的に且つ反復して増加する工程と、を含む。好ましくは、上記弁の閾値圧力は、約30mmH2 O(2.94×102 パスカル(Pa))乃至200mmH2 O(1.96×103 パスカル(Pa))、さらに好ましくは、約30mmH2 O(2.94×102 パスカル(Pa))乃至140mmH2 O(1.37×103 パスカル(Pa))の範囲内の初期の圧力から、約200mmH2 O(1.96×103 パスカル(Pa))乃至500mmH2 O(4.90×103 パスカル(Pa))、さらに好ましくは、約300mmH2 O(2.94×103 パスカル(Pa))乃至400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))の範囲内の最終の圧力まで、増加される。例示的な実施形態において、上記弁の閾値圧力は全体の弁の動作圧力範囲の約5%の増加分で増加される。
【0012】
さらに別の実施形態において、水頭症を治療するための方法が提供されており、この方法は、患者の脳の脳室腔の中に配置される基端側のカテーテルと、流体が再導入されることになる患者の体内における遠隔の場所に設置される先端側のカテーテルと、これらの基端側および先端側のカテーテルの間に配置されて、脳室腔から上記遠隔の場所への流体の流れの量を制御することに適合している弁と、を有しているシャント・システムを移植する工程を含む。次に、上記第1のカテーテルの中の流体の圧力が上記弁の閾値圧力よりも高い時にだけ、その流体がその弁を通って流れることができるように、その弁の閾値圧力が設定される。その後、上記シャント・システムが除去可能になり、患者が水頭症を治療されるように、約400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))よりも高い圧力が達成されるまで、上記閾値圧力が約10mmH2 O(98パスカル(Pa))乃至40mmH2 O(3.92×102 パスカル(Pa))の範囲内の増加分で周期的に高められる。
【0013】
本発明は以下の添付図面に関連して行なわれている詳細な説明により、さらに完全に理解されるであろう。
【0014】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、一般に、患者の体の一つの部分から別の部分に流体を流出させるためのシャント・システムにおいて使用するための弁を提供している。この弁は水頭症を治療するためのシャント・システムに関連して主に説明されているが、この弁は流体の流れを制御するための別の種類の移植可能な装置において使用可能である。一例の実施形態において、上記弁は、約10mmH2 O(98パスカル(Pa))乃至40mmH2 O(3.92×102 パスカル(Pa))の範囲内の増加分において、少なくとも約400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))まで、選択的に調節可能である閾値圧力において、操作可能である。この弁の、高い閾値圧力において動作するための、および、比較的に小さい正確な増加分において調節されるための、能力は、この弁を、比較的に若い水頭症の患者における使用において、特に有利にしている。特に、上記弁の閾値圧力は、その弁を通って流れている流体の量を減少して、患者の固有の吸収系にゆっくりと強制的に脳脊髄液を循環させるように、所与の時間の期間にわたり、小さい増加分で、徐々に高めることができる。この場合に、少なくとも約400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))の高い動作圧力において、シャント非依存性の状態が達成でき、これにより、そのシャントを成功のうちに取り外すことが可能になる。
【0015】
図1は先行技術のシャント・システム10を示している。図示のように、このシステム10は、一般に、患者の脳の脳室腔18の中に配置されている、脳室用カテーテルとしても呼ばれている、基端側のカテーテル12と、流体が再導入されることになる患者の体内における、例えば、循環系等の、遠隔の場所に設置されている、排液用カテーテルとしても呼ばれている、先端側のカテーテル14と、これらの基端側および先端側のカテーテル12,14の間に配置されていて、脳室腔18から上記遠隔の場所に到る流体の流れの量を制御することに適合している、弁16と、を含んでいる。上記システム10はまた、流体が基端側のカテーテル12から弁16を通って先端側のカテーテル14に流れて、上記遠隔の場所に配送されることが可能になる閾値圧力、を調節するための外部プログラム装置(図示されていない)、も含んでいる。
【0016】
図2A乃至図2Dは、先行技術の外部からプログラム可能な弁システム50、および、流体が装置の中を通って流れ始める閾値圧力を調節するための外部プログラム装置52、の一例の実施形態をそれぞれ示している。これらの弁50および外部プログラム装置52は、米国特許第3,886,948号、同第4,332,255号、同第4,387,715号、同第4,551,128号、同第4,595,390号、同第4,615,691号、同第4,772,257号、および同第5,928,182号において、詳細に説明されており、これらの特許の全てが本明細書において参考文献として含まれている。
【0017】
図2Aにおいて示されているように、シャント弁50は、一般に、入口64および出口66を伴うチャンバー62を定めている弁本体部分60、を含んでいる。さらに、支持プレート68が弁本体部分60の中に配置されていて、入口64を出口66から分離している。また、孔70が、支持プレート68の一端部において当該プレート68に形成されていて、シール状態の係合様式でボール74を支持または収容するための弁座72を定めている。この弁座72は実質的に円錐形状であり、約60°の円錐角を有している。また、上記のボール74および孔70は、ボール74が弁座72の中に支持されている時に有効なシール状態を確実にするために、さらに、ボール74が弁座72の中に突き刺さる傾向を少なくするために、研磨されている硬質材料、好ましくは、ルビーまたは剛性サファイア等、により形成することができる。図2Dにおいてさらに明らかに分かるように、球形のボール74は、孔70の直径da よりも大きいが、弁座72の曲率半径と実質的に同一である、直径db 、を有している。特に、この球形のボールは、約1.57mm(0.062インチ)である直径db 、を有しており、この直径は弁座72の曲率半径と実質的に同一であるが、約1.45mm(0.053インチ)である上記孔70の直径da よりも大きい。
【0018】
上記弁50はまた、孔70を通る、従って、弁50を通る、流体の流れを阻止するために、ボール74を弁座72の中に付勢する第1の端部76、を有している、例えば、ばね78等の、付勢要素も含んでいる。このばね78の第2の端部80は、ボール74に対するばね78の付勢力を変化するために有効であるカム機構82、に連結している。さらに、このカム機構82は18個の段部83の円形の階段構造を含み、それぞれの段部はV字形状の断面を有するように溝が設けられている。一方、各段部83の上方の位置にある上記ばね78の端部80も各段部83のV字形状に係合するように選択されている類似のV字形状を有している。さらに、この階段83のそれぞれの端部に、バリア(図示されていない)が設けられている。このことは上記カム82の回転を1回転よりもわずかに小さく制限している。また、上記段部83のV字形状は18個の可能な角度の位置の内の1個に正確に上記カム82を保持するためのデテントとして作用する。このことは上記ばね78の自由端部80の垂直方向の位置が常に18個の異なる値の内の1個に正確にあることを意味する。使用において、上記カム82は第2の端部80におけるばね78の高さを増減するように回転され、これにより、ばね78の第1の端部76によりボール74に加えられる圧力が増減する。それゆえ、このばね78により加えられる付勢力は、チャンバー62の中に入り弁50の出口66から出る流体の流れを可能にするために、ボール74を弁座72から分離するために打ち勝つことが必要になる、上記の閾値圧力、を決定する。
【0019】
図2Aに戻り、カム82は、交互の極性の複数の永久磁極を含むローターまたは回転子84の中における中心に位置決めされている穴の中に、配置されている。さらに、任意の1個の角度の位置において、上面に曝される一方の極がその別の面において反対の極を有している。また、ローター84の下方には、4個の固定子要素が固定子部材86の中に固定されている。これらの固定子要素は磁気的に軟質で透過性の材料により形成されている。さらに、これらの固定要素は上記ローター84の各要素に一致するように形付けられている。
【0020】
使用において、シャント弁50は患者の頭皮の下に外科的に移植されて、図1において示されているように、基端側および先端側の各カテーテルにそれぞれ連結される。このシャント弁50の患者の頭皮の下への外科移植の後に、この弁50の閾値圧力が、図2Bにおいて示されている、プログラマ52を用いることにより、調節可能になる。このプログラマ52は、所与の閾値圧力を選択するための制御装置54、および上記弁の上方に配置されるように構成されているプログラム要素56、を含んでいる。特に、このプログラム要素56は、移植されているシャント弁50により引き起こされる頭皮の突出部分に一致することに適合している溝部92、を伴うハウジング90、を含む。この結果、使用において、オペレータは、頭皮の突出部分が溝部92の中に入るように、プログラム要素56を操作する。その後、ステッピング・モーターにパルス化した磁場を加えてローター84を回転させるために、中心軸の回りに配置されている一連の電磁石94が連続的に電圧を加えられる。このことは上記カム82をその18個の内の1個だけ回転させ、これにより、ばね78の第1の端部76によりボール74に加えられる圧力を調節する。このようにして、上記シャント弁50の閾値圧力が調節される。この場合に、上記孔70の大きさ、ボール74の大きさ、およびカム82における段部83の数により、上記弁50は、20mmH2 O(1.96×102 パスカル(Pa))乃至190mmH2 O(1.86×103 パスカル(Pa))の範囲の18段階の圧力の内の一つに、10mmH2 O(98パスカル(Pa))の増加分で、調節可能になる。
【0021】
図3Aおよび図3Bは本発明によるシャント弁の一部分を示している。この実施形態において、弁は、上記の閾値圧力が、少なくとも約400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))、さらに好ましくは約500mmH2 O(4.90×103 パスカル(Pa))、の閾値圧力まで、調節されることを、可能にするように構成されている。この閾値圧力はまた、好ましくは、10mmH2 O(98パスカル(Pa))乃至40mmH2 O(3.92×102 パスカル(Pa))の範囲の増加分において、さらに好ましくは、約20mmH2 O(1.96×102 パスカル(Pa))の増加分において、調節可能である。
【0022】
図3Aおよび図3Bにおいて、上記弁50の支持プレート68に類似している、支持プレート116が示されている。この支持プレート116は形状および大きさにおいて変更可能であるが、図示のような、例示的な実施形態において、この支持プレート116は、好ましくは約1.5mm乃至3.0mmの範囲内であり、さらに好ましくは約2.2mmである直径Ds 、および約0.7mm乃至1.5mmの範囲内であり、さらに好ましくは約0.9mmである高さHs 、を伴う実質的に円筒形の形状、を有している。
【0023】
図3Aおよび図3Bにおいてさらに示されているように、支持プレート116は、ボール112を支持または収容するためにその内部に形成されている孔114、を含む。この孔114は、基端側部分または面取り部分114a、ボール112を支持するための弁座を定めている円錐形状のまたは中央の部分114b、および先端側の、実質的に円筒形の部分114c、を含んでいる。図示のように、面取り部分114aは、その側壁部分が互いに平行になり、中央の部分114bから支持プレート68の基端側の表面116aまで延在するように、実質的に円筒形である。この面取り部分114aは、流れの調整、逆流防止等のような、性能の特徴を示すと共に、ボールが通常の弁の動作中に(すなわち、生理学的な流れの条件において)支持されない状態になることを防ぐことにおいて、特に有利である。
【0024】
上記の孔114およびボール112の大きさは変更可能であるが、例示的な実施形態において、その基端側の部分114aは、約1.6mm(0.063インチ)乃至1.8mm(0.071インチ)の範囲内であり、さらに好ましくは約1.7mm(0.067インチ)である、直径Dp 、を有しており、先端側の部分114cは、上記基端側の部分114aの直径Dp よりも実質的に小さい直径Dd を有している。さらに、例示的な実施形態において、先端側の部分114cは、約0.70mm(0.027インチ)乃至0.80mm(0.031インチ)の範囲内であり、さらに好ましくは約0.762mm(0.030インチ)である、直径Dd 、を有している。また、ボール112は、上記基端側の部分114aの直径Dp よりも小さいが、上記先端側の部分114cの直径Dd よりも大きい、直径Db 、を有している。さらに、例示的な実施形態において、このボール112は、0.8mm(0.031インチ)よりも大きい、さらに好ましくは約1.2mm(0.047インチ)である、直径Db 、を有している。
【0025】
上記中央部分114bは、互いに対して角度αで延在している側壁部分、を有しており、例示的な実施形態において、上記側壁部分の間の円錐角αは約70°よりも大きく、さらに好ましくは、約95°である。この結果として、ボール112は先端側の部分114cを抜けて支持プレート116の先端側の表面116bから延出せず、むしろ、中央部分114bの中に実質的に静止して、孔114を封じる。
【0026】
上記のボール112および孔114は多様なプログラム可能な弁において使用可能であるが、例示的な実施形態において、これらは、図2A、図2Cおよび図2Dにおいて示されている弁50、に類似している弁と共に用いられている。使用において、ボール112が、上述されているような、例示的な直径Db を有していて、上記孔114が上述されている形状および大きさを有している場合に、上記18個の段部83の内の1個へのカム82の回転は、少なくとも約400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))、さらに好ましくは約500mmH2 O(4.90×103 パスカル(Pa))、の閾値圧力まで、圧力を調節するために有効になる。非限定的な例として、最大の閾値圧力が400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))であり、初期の圧力が約60mmH2 O(5.88×102 パスカル(Pa))である場合に、カム82におけるそれぞれの段部83はその圧力を20mmH2 Oの増加分で変化させる。しかしながら、このような閾値圧力における段階的に増加する変化は、ボール112および孔114の大きさ、ならびに、各段部83の高さ、に応じて変わる。例示的な実施形態において、上記の閾値圧力は、全体の弁の動作圧力範囲の約5%の増加分で、あるいは、少なくとも約400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))、さらに好ましくは約500mmH2 O(4.90×103 パスカル(Pa))、の圧力まで、約10mmH2 O(98パスカル(Pa))乃至40mmH2 O(3.92×102 パスカル(Pa))の増加分で、調節可能である。
【0027】
使用において、約200mmH2 O(1.96×103 パスカル(Pa))乃至500mmH2 O(4.90×103 パスカル(Pa))の高い閾値圧力において動作するための弁の能力がシャント非依存性の状態を達成するために使用できる。この処置は、場合の状況に従って所望の高さに弁の閾値圧力を最初に設定した後に、その弁を周知の手順に従って患者の体内に外科的に移植することにより、始まる。さらに、必要に応じて、圧力における追加の調節がその後に行なうことができる。その後、閾値圧力が、患者の固有の吸収系に強制的にCSF(脳脊髄液)を循環させるように、わずかな増加分(たとえば、約10mmH2 O(98パスカル(Pa))乃至40mmH2 O(3.92×102 パスカル(Pa))で、周期的(例えば、初期の手術から1ヶ月乃至2,3年)に高められる。このようにして、約400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))またはそれ以上の圧力が達成されると、その弁は実質的にオフ(不作動)の状態になり、その患者の固有の吸収系が脳脊髄液を循環していることを示す。それゆえ、シャント非依存性の状態が達成され、従って、シャントを成功のうちに除去することが可能になる。
【0028】
当業者であれば、ボール−イン−コーン型の弁機構が開示されているが、この弁要素が多様な構成を有することができ、事実上、当業界において知られている任意の弁機構が本発明に従って使用可能であること、を認識するであろう。しかしながら、この弁は、好ましくは、その弁の入口とその弁の出口との間の流体の圧力差が特定の選択されている弁の開口圧力を超えるまで、閉じている状態を維持するように構成されている。非限定的な例として、別の適当な弁要素は、テーパー状のピンおよび孔、摺動式のシャッター、シャッター/ゲート型の機構、およびボール−イン−コーン型の構成、を含む。
【0029】
当業者であれば、上記の実施形態に基づいて、本発明のさらに別の特徴および利点を、認識するであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲の各項により示されている内容を除いて、特定的に図示および説明されている内容により限定されない。また、本明細書において引用されている全ての刊行物または公開物および参考文献はそれぞれの内容の全体において特別に本明細書において参考文献として含まれている。
【0030】
〔実施の態様〕
(1)水頭症を治療することにおいて使用するための弁であって、
入口および出口を有している、ハウジングと、
前記ハウジングの中に配置されていて、前記入口における流体の圧力が弁要素の閾値圧力よりも高い時に、その流体が前記ハウジングの中の入口からそのハウジングの中の出口まで流れることを可能にするために有効な、弁要素と、
前記弁要素に連結されていて、約10mmH2 O(98パスカル(Pa))乃至40mmH2 O(3.92×102 パスカル(Pa))の範囲内の増加分において、少なくとも約400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))の最大の閾値圧力まで、前記閾値圧力を選択的に調節するために有効である、調節機構と、を備えている、弁。
(2)実施態様1に記載の弁であって、前記閾値圧力が20mmH2 O(1.96×102 パスカル(Pa))の増加分で調節可能である、弁。
(3)実施態様1に記載の弁であって、前記閾値圧力が前記最大の閾値圧力の約5%の増加分で調節可能である、弁。
(4)実施態様1に記載の弁であって、前記閾値圧力が実質的に均等の増加分で調節可能である、弁。
(5)実施態様1に記載の弁であって、前記弁要素が、孔、当該孔の中に配置されていて、その孔の幅よりも大きい幅を有している制限要素、および前記調節機構に連結していて、前記閾値圧力において前記孔に対して前記制限要素を付勢するために有効である付勢部材、を含む、弁。
【0031】
(6)実施態様5に記載の弁であって、前記制限要素が、前記孔の直径よりも大きい直径を有しているボール、を含む、弁。
(7)実施態様5に記載の弁であって、前記調節機構が、上部に形成されている複数の段部を有するカム機構、を含み、それぞれの段部が所与の閾値圧力に対応している、弁。
(8)実施態様7に記載の弁であって、前記付勢部材が、前記カムと前記制限要素との間に延在しているばね、を含む、弁。
(9)実施態様7に記載の弁であって、前記カム機構が複数の位置を含み、それぞれの位置が所定の閾値圧力に対応している、弁。
(10)実施態様9に記載の弁であって、前記それぞれの位置が前記カム機構の上に形成されている所与の段部を含み、このカム機構が18個の段部を含んでいる、弁。
【0032】
(11)実施態様6に記載の弁であって、前記孔の少なくとも一部分が少なくとも約70°の円錐角を有する円錐の形状であり、前記ボールが少なくとも約0.8mmである直径を有している、弁。
(12)実施態様6に記載の弁であって、前記孔の少なくとも一部分が約95°の円錐角を有する円錐の形状であり、前記ボールが約1.2mmである直径を有している、弁。
(13)実施態様6に記載の弁であって、前記孔が、前記ボールを支持することに適合していてエッジ部分に沿って形成されている面取り部分を有している基端側の円錐形状の部分、および先端側の実質的に円筒形の部分、を含んでいる、弁。
(14)実施態様13に記載の弁であって、前記先端側の実質的に円筒形の部分が約0.8mmの最大直径を有している、弁。
(15)実施態様1に記載の弁であって、前記調節機構が磁石により制御されることに適合している、弁。
【0033】
(16)水頭症を治療することにおいて使用するための弁であって、
入口および出口と、
前記入口および出口に連絡していて、前記入口における流体の圧力が弁要素の閾値圧力よりも高い時に、その流体が前記入口から前記出口まで流れることを可能にするために有効な、弁要素であって、前記閾値圧力が、約20mmH2 O(1.96×102 パスカル(Pa))の増加分において、少なくとも約400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))の圧力まで、選択的に調節可能である、弁要素と、を備えている、弁。
(17)実施態様16に記載の弁であって、前記弁要素が、孔、当該孔の中に配置されていて、その孔の直径よりも大きい直径を有しているボール、および前記閾値圧力において前記孔に対して前記ボールを付勢するために有効である付勢部材、を含む、弁。
(18)実施態様17に記載の弁であって、前記付勢部材に連結していて、前記閾値圧力を選択的に調節するために有効である、調節機構、をさらに備えている、弁。
(19)実施態様18に記載の弁であって、前記調節機構が、上部に形成されている複数の段部を有するカム機構、を含み、それぞれの段部が所与の閾値圧力に対応している、弁。
(20)実施態様19に記載の弁であって、前記付勢部材が、前記カムと前記ボールとの間に延在しているばね、を含む、弁。
【0034】
(21)実施態様19に記載の弁であって、前記カム機構が18個の段部を含んでいる、弁。
(22)実施態様17に記載の弁であって、前記孔の少なくとも一部分が少なくとも約70°の円錐角を有する円錐の形状であり、前記ボールが少なくとも約0.8mmである直径を有している、弁。
(23)実施態様17に記載の弁であって、前記孔の少なくとも一部分が約95°の円錐角を有する円錐の形状であり、前記ボールが約1.2mmである直径を有している、弁。
(24)実施態様17に記載の弁であって、前記孔が、前記ボールを支持することに適合していてエッジ部分に沿って形成されている面取り部分を有している基端側の円錐形状の部分、および先端側の実質的に円筒形の部分、を含んでいる、弁。
(25)実施態様24に記載の弁であって、前記先端側の実質的に円筒形の部分が約0.8mmの最大直径を有している、弁。
【0035】
(26)実施態様18に記載の弁であって、前記調節機構が磁石により制御されることに適合している、弁。
(27)水頭症を治療するための方法であって、
患者の体内の流体が弁の中の入口の中に流れ込み、その弁の中の出口を通って流れ出ることができるように、その患者の体内に弁を移植する工程と、
前記入口における流体の圧力が前記弁要素の閾値圧力よりも高い時にだけ、その流体がその弁を通って流れることができるように、約10mmH2 O(98パスカル(Pa))乃至40mmH2 O(3.92×102 パスカル(Pa))の範囲内の増加分において、少なくとも約400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))まで、前記弁の閾値圧力を周期的に且つ反復して増加する工程と、を含む、方法。
(28)実施態様27に記載の方法であって、前記閾値圧力が実質的に均等の増加分で調節可能である、方法。
(29)実施態様27に記載の方法であって、前記弁の閾値圧力が、約30mmH2 O(2.94×102 パスカル(Pa))乃至200mmH2 O(1.96×103 パスカル(Pa))の範囲内の初期の圧力から、約200mmH2 O(1.96×103 パスカル(Pa))乃至500mmH2 O(4.90×103 パスカル(Pa))の範囲内の最終の圧力まで、増加される、方法。
(30)実施態様27に記載の方法であって、前記弁の閾値圧力が、約30mmH2 O(2.94×102 パスカル(Pa))乃至140mmH2 O(1.37×103 パスカル(Pa))の範囲内の初期の圧力から、約300mmH2 O(2.94×103 パスカル(Pa))乃至400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))の範囲内の最終の圧力まで、増加される、方法。
【0036】
(31)実施態様27に記載の方法であって、前記弁の閾値圧力が約20mmH2 O(1.96×102 パスカル(Pa))の増加分で増加される、方法。
(32)実施態様27に記載の方法であって、前記弁の閾値圧力が前記最終の圧力の約5%の増加分で増加される、方法。
(33)実施態様27に記載の方法であって、前記弁が、孔、当該孔の中に配置されていて、その孔の直径よりも大きい直径を有しているボール、および前記閾値圧力において前記孔に対して前記ボールを付勢するために有効である付勢部材、を含む、方法。
(34)実施態様33に記載の方法であって、前記弁の閾値圧力を増加する工程が、前記孔に対する前記ボールの付勢用の圧力を増加するために、前記付勢部材に連結しているカム機構を回転させる処理、を含む、方法。
(35)実施態様34に記載の方法であって、前記カム機構がその上部に形成されている複数の段部を含み、それぞれの段部が所与の閾値圧力に対応している、方法。
【0037】
(36)実施態様35に記載の方法であって、前記カム機構が18個の段部を含んでいる、方法。
(37)実施態様33に記載の方法であって、前記孔の少なくとも一部分が少なくとも約70°の円錐角を有する円錐の形状であり、前記ボールが少なくとも約0.8mmである直径を有している、方法。
(38)実施態様33に記載の方法であって、前記孔の少なくとも一部分が約95°の円錐角を有する円錐の形状であり、前記ボールが約1.2mmである直径を有している、方法。
(39)実施態様33に記載の方法であって、前記孔が、前記ボールを支持することに適合していてエッジ部分に沿って形成されている面取り部分を有している基端側の円錐形状の部分、および先端側の実質的に円筒形の部分、を含んでいる、方法。
(40)実施態様39に記載の方法であって、前記先端側の実質的に円筒形の部分が約0.8mmの最大直径を有している、方法。
【0038】
(41)水頭症を治療するための方法であって、
患者の体内にシャント・システムを移植する工程であって、このシャント・システムが、患者の脳の脳室腔の中に配置される基端側のカテーテルと、流体が再導入される患者の体内における遠隔の場所に設置される先端側のカテーテルと、これらの基端側および先端側のカテーテルの間に配置されて、脳室腔から前記遠隔の場所への流体の流れの量を制御することに適合している弁と、を有している、工程と、
前記第1のカテーテルの中の流体の圧力が前記弁の閾値圧力よりも高い時にだけ、その流体がその弁を通って流れることができるように、その弁の閾値圧力を設定する工程と、
前記シャント・システムが除去可能になり、患者が水頭症を治療されるように、約400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))よりも高い圧力が達成されるまで、前記閾値圧力を約10mmH2 O(98パスカル(Pa))乃至40mmH2 O(3.92×102 パスカル(Pa))の範囲内の増加分で周期的に増加する工程と、を含む、方法。
(42)実施態様41に記載の方法であって、前記弁の閾値圧力が、約30mmH2 O(2.94×102 パスカル(Pa))乃至200mmH2 O(1.96×103 パスカル(Pa))の範囲内の初期の圧力から、約200mmH2 O(1.96×103 パスカル(Pa))乃至500mmH2 O(4.90×103 パスカル(Pa))の範囲内の最終の圧力まで、増加される、方法。
(43)実施態様41に記載の方法であって、前記弁の閾値圧力が、約30mmH2 O(2.94×102 パスカル(Pa))乃至140mmH2 O(1.37×103 パスカル(Pa))の範囲内の初期の圧力から、約300mmH2 O(2.94×103 パスカル(Pa))乃至400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))の範囲内の最終の圧力まで、増加される、方法。
(44)実施態様41に記載の方法であって、前記弁の閾値圧力が約20mmH2 O(1.96×102 パスカル(Pa))の増加分で増加される、方法。
(45)実施態様41に記載の方法であって、前記弁が、孔、当該孔の中に配置されていて、その孔の直径よりも大きい直径を有しているボール、および前記閾値圧力において前記孔に対して前記ボールを付勢するために有効である付勢部材、を含む、方法。
【0039】
(46)実施態様45に記載の方法であって、前記弁の閾値圧力を増加する工程が、前記孔に対する前記ボールの付勢用の圧力を増加するために、前記付勢部材に連結しているカム機構を回転させる処理、を含む、方法。
(47)実施態様46に記載の方法であって、前記カム機構がその上部に形成されている複数の段部を含み、それぞれの段部が所与の閾値圧力に対応している、方法。
(48)実施態様47に記載の方法であって、前記カム機構が18個の段部を含んでいる、方法。
(49)実施態様45に記載の方法であって、前記孔の少なくとも一部分が少なくとも約70°の円錐角を有する円錐の形状であり、前記ボールが少なくとも約0.8mmである直径を有している、方法。
(50)実施態様45に記載の方法であって、前記孔の少なくとも一部分が約95°の円錐角を有する円錐の形状であり、前記ボールが約1.2mmである直径を有している、方法。
【0040】
(51)実施態様45に記載の方法であって、前記孔が、前記ボールを支持することに適合していてエッジ部分に沿って形成されている面取り部分を有している基端側の円錐形状の部分、および先端側の実質的に円筒形の部分、を含んでいる、方法。
(52)実施態様51に記載の方法であって、前記先端側の実質的に円筒形の部分が約0.8mmの最大直径を有している、方法。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】患者の脳の脳室の中に移植されている先行技術の水頭症用シャント・システムの部分側断面図である。
【図2A】先行技術の外部からプログラム可能なシャント弁の側断面図である。
【図2B】図2Aの先行技術のシャント弁をプログラムするための先行技術のプログラマの斜視図である。
【図2C】図2Aにおいて示されている外部からプログラム可能なシャント弁の弁要素の側面図である。
【図2D】図2Aにおいて示されている外部からプログラム可能なシャント弁のボール−イン−コーン型の部分の側断面図である。
【図3A】水頭症用の弁において使用するための、本発明による、ボール−イン−コーン型の弁要素を有している支持プレートの一例の実施形態の側断面図である。
【図3B】図3Aにおいて示されている支持プレートの上面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水頭症を治療することにおいて使用するための弁であって、
入口および出口を有している、ハウジングと、
前記ハウジングの中に配置されていて、前記入口における流体の圧力が弁要素の閾値圧力よりも高い時に、その流体が前記ハウジングの中の入口からそのハウジングの中の出口まで流れることを可能にするために有効な、弁要素と、
前記弁要素に連結されていて、約10mmH2 O(98パスカル(Pa))乃至40mmH2 O(3.92×102 パスカル(Pa))の範囲内の増加分において、少なくとも約400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))の最大の閾値圧力まで、前記閾値圧力を選択的に調節するために有効である、調節機構と、を備えている、弁。
【請求項2】
請求項1に記載の弁であって、前記閾値圧力が20mmH2 O(1.96×102 パスカル(Pa))の増加分で調節可能である、弁。
【請求項3】
請求項1に記載の弁であって、前記閾値圧力が前記最大の閾値圧力の約5%の増加分で調節可能である、弁。
【請求項4】
請求項1に記載の弁であって、前記閾値圧力が実質的に均等の増加分で調節可能である、弁。
【請求項5】
請求項1に記載の弁であって、前記弁要素が、孔、当該孔の中に配置されていて、その孔の幅よりも大きい幅を有している制限要素、および前記調節機構に連結していて、前記閾値圧力において前記孔に対して前記制限要素を付勢するために有効である付勢部材、を含む、弁。
【請求項6】
請求項5に記載の弁であって、前記制限要素が、前記孔の直径よりも大きい直径を有しているボール、を含む、弁。
【請求項7】
請求項5に記載の弁であって、前記調節機構が、上部に形成されている複数の段部を有するカム機構、を含み、それぞれの段部が所与の閾値圧力に対応している、弁。
【請求項8】
請求項7に記載の弁であって、前記付勢部材が、前記カムと前記制限要素との間に延在しているばね、を含む、弁。
【請求項9】
請求項7に記載の弁であって、前記カム機構が複数の位置を含み、それぞれの位置が所定の閾値圧力に対応している、弁。
【請求項10】
請求項9に記載の弁であって、前記それぞれの位置が前記カム機構の上に形成されている所与の段部を含み、このカム機構が18個の段部を含んでいる、弁。
【請求項11】
請求項6に記載の弁であって、前記孔の少なくとも一部分が少なくとも約70°の円錐角を有する円錐の形状であり、前記ボールが少なくとも約0.8mmである直径を有している、弁。
【請求項12】
請求項6に記載の弁であって、前記孔の少なくとも一部分が約95°の円錐角を有する円錐の形状であり、前記ボールが約1.2mmである直径を有している、弁。
【請求項13】
請求項6に記載の弁であって、前記孔が、前記ボールを支持することに適合していてエッジ部分に沿って形成されている面取り部分を有している基端側の円錐形状の部分、および先端側の実質的に円筒形の部分、を含んでいる、弁。
【請求項14】
請求項13に記載の弁であって、前記先端側の実質的に円筒形の部分が約0.8mmの最大直径を有している、弁。
【請求項15】
請求項1に記載の弁であって、前記調節機構が磁石により制御されることに適合している、弁。
【請求項16】
水頭症を治療することにおいて使用するための弁であって、
入口および出口と、
前記入口および出口に連絡していて、前記入口における流体の圧力が弁要素の閾値圧力よりも高い時に、その流体が前記入口から前記出口まで流れることを可能にするために有効な、弁要素であって、前記閾値圧力が、約20mmH2 O(1.96×102 パスカル(Pa))の増加分において、少なくとも約400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))の圧力まで、選択的に調節可能である、弁要素と、を備えている、弁。
【請求項17】
請求項16に記載の弁であって、前記弁要素が、孔、当該孔の中に配置されていて、その孔の直径よりも大きい直径を有しているボール、および前記閾値圧力において前記孔に対して前記ボールを付勢するために有効である付勢部材、を含む、弁。
【請求項18】
請求項17に記載の弁であって、前記付勢部材に連結していて、前記閾値圧力を選択的に調節するために有効である、調節機構、をさらに備えている、弁。
【請求項19】
請求項18に記載の弁であって、前記調節機構が、上部に形成されている複数の段部を有するカム機構、を含み、それぞれの段部が所与の閾値圧力に対応している、弁。
【請求項20】
請求項19に記載の弁であって、前記付勢部材が、前記カムと前記ボールとの間に延在しているばね、を含む、弁。
【請求項21】
請求項19に記載の弁であって、前記カム機構が18個の段部を含んでいる、弁。
【請求項22】
請求項17に記載の弁であって、前記孔の少なくとも一部分が少なくとも約70°の円錐角を有する円錐の形状であり、前記ボールが少なくとも約0.8mmである直径を有している、弁。
【請求項23】
請求項17に記載の弁であって、前記孔の少なくとも一部分が少なくとも約95°の円錐角を有する円錐の形状であり、前記ボールが少なくとも約1.2mmである直径を有している、弁。
【請求項24】
請求項17に記載の弁であって、前記孔が、前記ボールを支持することに適合していてエッジ部分に沿って形成されている面取り部分を有している基端側の円錐形状の部分、および先端側の実質的に円筒形の部分、を含んでいる、弁。
【請求項25】
請求項24に記載の弁であって、前記先端側の実質的に円筒形の部分が約0.8mmの最大直径を有している、弁。
【請求項26】
請求項18に記載の弁であって、前記調節機構が磁石により制御されることに適合している、弁。
【請求項27】
水頭症を治療するための方法であって、
患者の体内の流体が弁の中の入口の中に流れ込み、その弁の中の出口を通って流れ出ることができるように、その患者の体内に弁を移植する工程と、
前記入口における流体の圧力がその弁要素の閾値圧力よりも高い時にだけ、その流体がその弁を通って流れることができるように、約10mmH2 O(98パスカル(Pa))乃至40mmH2 O(3.92×102 パスカル(Pa))の範囲内の増加分において、少なくとも約400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))まで、前記弁の閾値圧力を周期的に且つ反復して増加する工程と、を含む、方法。
【請求項28】
水頭症を治療するための方法であって、
患者の体内にシャント・システムを移植する工程であって、このシャント・システムが、患者の脳の脳室腔の中に配置される基端側のカテーテルと、流体が再導入される患者の体内における遠隔の場所に設置される先端側のカテーテルと、これらの基端側および先端側のカテーテルの間に配置されて、脳室腔から前記遠隔の場所への流体の流れの量を制御することに適合している弁と、を有している、工程と、
前記第1のカテーテルの中の流体の圧力が前記弁の閾値圧力よりも高い時にだけ、その流体がその弁を通って流れることができるように、その弁の閾値圧力を設定する工程と、
前記シャント・システムが除去可能になり、患者が水頭症を治療されるように、約400mmH2 O(3.92×103 パスカル(Pa))よりも高い圧力が達成されるまで、前記閾値圧力を約10mmH2 O(98パスカル(Pa))乃至40mmH2 O(3.92×102 パスカル(Pa))の範囲内の増加分で周期的に増加する工程と、を含む、方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2006−102502(P2006−102502A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−284808(P2005−284808)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(500140415)コドマン・アンド・シャートレフ・インコーポレイテッド (34)
【氏名又は名称原語表記】Codman & Shurtleff, Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham, Massachusetts 02767−0350, U.S.A.
【Fターム(参考)】