説明

高圧水洗浄装置

【課題】先端にノズルが取り付けられたランスを揺動させる揺動機構を遠隔操作することによって安全に洗浄作業を行うことができる高圧水洗浄装置を提供すること。
【解決手段】先端にノズル28が取り付けられたランス29を揺動させながら前記ノズル28から噴射される高圧水によって縦型配管内を洗浄する高圧水洗浄装置において、前記ノズル28を揺動させる揺動機構6と、該揺動機構6を遠隔操作する操作ユニット36を設ける。又、前記揺動機構6は、前記ノズル28の揺動範囲を規制するスイング調整板を有する。更に、前記ノズル28への高圧水供給ラインにフートバルブ(高圧逃がし弁)49を設け、該フートバルブ49の操作によって前記ノズル28への高圧水の供給停止を可能とする。又、前記揺動機構6を直交座標軸方向に移動可能に支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端にノズルが取り付けられたランスを揺動させながら前記ノズルから噴射される高圧水によって縦型配管内を洗浄する高圧水洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、縦型反応塔内には多数の縦型配管が配されており、各縦型配管内には触媒等の充填材が充填されているが、この充填材は定期的に(例えば1年に1回程度)新しいものと交換される。この充填材の交換に際しては、各縦型配管内に充填されている古い充填材を抜き出す必要があるが、この充填材は縦型配管の内面に付着しているためにその抜き出しは容易ではない。
【0003】
そこで、充填材の抜き出しに高圧水洗浄装置が使用されているが、この高圧水洗浄装置は、ノズルから噴射される例えば40MPa以上の圧力の高圧水を縦型配管内に噴射して該縦型配管内を洗浄するものであって、縦型配管の内面全面に高圧水が当たるようノズルを揺動させながら洗浄を行う場合がある。従来、このノズルの揺動は、作業者が縦型配管の直下でランスを手動で揺動させることによって行われていた。
【0004】
ところで、特許文献1には、トンネルの内壁面等のように高所に位置する面積の大きな洗浄対象を自走しながら洗浄する洗浄装置が提案され、特許文献2には、先端に洗浄ノズルユニットを設けたランスを反応槽の軸方向及び垂直方向に対して傾斜させて設置し、洗浄ノズルを昇降動させて洗浄する密閉式自動洗浄装置が提案されている。又、特許文献3には、フィン付き伝熱管の洗浄に好適なウォータジェット洗浄用ノズルランス及びこれを用いた伝熱管洗浄方法が提案されている。
【特許文献1】特許第3712214号公報
【特許文献2】特開平6−007757号公報
【特許文献3】特開2001−241640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、縦型配管の高圧水洗浄に際して従来のように作業者が縦型配管の直下で手動で作業を行うと、洗浄に伴って縦型配管から充填材の塊が落下して作業者に直接当たり、作業者にダメージを与えることがあった。又、高圧水を噴射しながらノズルを移動させる作業中にノズルが梁から落下し、該ノズルの大きな(例えば100kgf程度)反力によって作業者がダメージを受けるという問題もあった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、先端にノズルが取り付けられたランスを揺動させる揺動機構を遠隔操作することによって安全に洗浄作業を行うことができる高圧水洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、先端にノズルが取り付けられたランスを揺動させながら前記ノズルから噴射される高圧水によって縦型配管内を洗浄する高圧水洗浄装置において、前記ノズルを揺動させる揺動機構と、該揺動機構を遠隔操作する操作ユニットを設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記揺動機構は、スライドベース上に設置された第1のロータリアクチュエータと、該第1のロータリアクチュエータによって回動可能に支持されたスイングベースと、該スイングベース上に設置されて前記ランスを前記スライドベースの回動方向に直交する方向に回動させる第2のロータリアクチュエータを含んで構成されることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記揺動機構は、前記ノズルの揺動範囲を規制するスイング調整板を有することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記ノズルへの高圧水供給ラインに高圧逃がし弁を設け、該高圧逃がし弁の操作によって前記ノズルへの高圧水の供給停止を可能としたことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の発明において、前記揺動機構を直交座標軸方向に移動可能に支持したことを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、互いに平行に配されたパイプレール上にスライドレールを直交するよう移動可能に配置し、前記揺動機構を前記スライドレールに沿って移動可能に配置するとともに、前記スライドレールの長手方向両端部をUボルトによって前記パイプレール上に移動可能に取り付けたことを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記スライドレールにチェーン伝動機構を設け、ハンドル操作によって前記チェーン伝動機構を駆動して前記揺動機構を前記スライドレールに沿って移動させるよう構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、縦型配管の直下に設置された揺動機構をそれより離れた場所に設置された操作ユニットによって遠隔操作することによって、先端にノズルが取り付けられたランスを揺動させながら縦型配管の洗浄作業を行うことができるため、洗浄に伴って縦型配管から充填材の塊が落下しても、これが作業者に直接当たって作業者にダメージを与えることがなく、安全に洗浄作業を行うことができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、互いに直交する方向に回転する第1及び第2のロータリアクチュエータを遠隔操作によって選択的に又は同時に駆動することによってノズルを揺動及び回転させることができ、該ノズルから噴射される高圧水によって縦型配管の内面全面を効率良く洗浄することができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、スイング調整板によってノズルの揺動範囲を縦型配管の大きさ(内径)や作業内容に応じて適切に設定することができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、緊急時や揺動機構の移動時、或いは作業中断時には高圧逃がし弁を操作してノズルへの高圧水の供給を停止することができるため、安全性と作業性が高められる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、例えば縦型反応塔の内部に収容された多数の縦型配管に対して洗浄を行う場合、揺動機構を2次元平面内で自由に移動させながら多数の縦型配管に対して洗浄を順次連続的に効率良く行うことができる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、揺動機構が移動可能に配置されたスライドレールの長手方向両端部をUボルトによってパイプレール上に移動可能に取り付けたため、揺動機構を互いに直交するガイドレールとパイプレールに沿って2次元平面内を自由に移動させることができるとともに、該揺動機構の脱落を確実に防いで高い安全性を確保することができる。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、スライドレールに設けられたチェーン伝動機構をハンドル操作によって駆動して揺動機構をスライドレールに沿って作業性良く容易に移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は本発明に係る高圧水洗浄装置の平面図、図2は同高圧水洗浄装置の正面図(図1の矢視A方向の図)、図3は同高圧水洗浄装置の側面図(図1の矢視B方向の図)、図4は揺動機構の平面図、図5は図4の矢視C方向の図、図6は図4の矢視D方向の図、図7はチェーン伝動機構を示す図6の矢視E方向の図、図8は揺動機構のスイングベースの平面図、図9は図8のF−F線断面図、図10(a),(b)はスイング調整板の平面図、図11は操作ユニットの正面図、図12は揺動機構の駆動システム図、図13(a),(b)はノズルの揺動を示す説明図である。
【0023】
図1〜図3において、100は垂直に立設された円筒状の縦型反応塔であって、その内部には洗浄対象である多数の縦型配管101が収容されている。尚、縦型配管101の洗浄に際しては、縦型反応塔100の下端に結着されていた不図示のキャップが取り外され、多数の縦型配管101は管板面から下方に向かって開口している。又、縦型反応塔100の下端フランジ100Aには矩形枠状の吊フレーム102が取り付けられる。
【0024】
上記吊フレーム102には、2本のパイプレール1が水平且つ平行に支持されており、これらのパイプレール1上には、これらに直交する1本のスライドレール2がその長手方向両端部をUボルト3によって図1及び図3の矢印Y−Y’方向に移動可能に取り付けられている(図6参照)。ここで、スライドレール2は、図6に示すように、横断面コの字状の2つのチャンネル材2Aを所定間隔離して平行に並設して構成されており、各チャンネル材2Aの長手方向両端部(図6には一方のみ図示)には、パイプレール1を吊り下げるように該パイプレール1の外周に掛けられたUボルト3の左右の上端ネジ部がスライドレール2を貫通しており、これらの上端ネジ部に螺合するナット4を締め付けることによってスライドレール2がUボルト3によってパイプレール1に取り付けられる。この場合、Uボルト3とパイプレール1との間には若干の隙間が形成されているため、スライドレール2はパイプレール1の長手方向(矢印Y−Y’方向)に沿って移動することができる。
【0025】
而して、図1〜図6に示すように、前記スライドレール2の上面には矩形平板状のスライドベース5が該スライドレール2の長手方向(図1及び図2の矢印X−X’方向)に沿って移動可能に載置されており、このスライドベース5上に揺動機構6が設置されている。
【0026】
ここで、スライドベース5の構成の詳細を図8及び図9に示すが、該スライドベース5の中央部には矩形孔5aが形成されており、上面の矩形孔5aを挟む両側にはブロック7が互いに平行に立設されている。又、スライドベース5の底面の幅方向両側には、該スライドベース5の移動方向に長い丸棒状のガイドバー8が各2本ずつ平行に結着されており、スライドベース5は、ガイドバー8を介して前記スライドレール2の上面に矢印X−X’方向に移動可能に載置されている。
【0027】
そして、スライドベース5の底面中央には、図10(a),(b)に示すスイング調整板9又は9’がボルト10によって選択的に取り付けられる。ここで、各スイング調整板9,9’の中央には内径が異なる円孔9a,9a’がそれぞれ形成されており、これらの円孔9a,9a’はスライドベース5に形成された前記矩形孔5aに連通している。尚、本実施の形態では、スイング調整板9,9’は2分割構造であって、図10(a)に示すスイング調整板9の円孔9aの内径φD1の方が図10(b)に示すスイング調整板9’の円孔9a’の内径φD2よりも大きく設定されている(φD1>φD2)。
【0028】
ところで、図5及び図6に示すように、スライドベース5の下面の移動方向両側には矩形平板状の取付ベース11がそれぞれ垂直に取り付けられており、各取付ベース11の下端両側には、スライドレール2の内面に沿って転動するローラ12とスライドレール2の下面に沿って転動するローラ13がそれぞれ回転可能に支持されている。従って、スライドベース5及びこれに設置された揺動機構6は、ローラ12,13によってガイドされながらスライドレール2上を長手方向(矢印X−X’方向)に沿って移動することができる。
【0029】
次に、前記揺動機構6の構成の詳細を図4〜図6に基づいて説明する。
【0030】
スライドベース5上には第1のローリアクチュエータであるエアモータ14が設置されており、スライドベース5上に立設された一対の前記ブロック7上には軸受15が取り付けられており、各軸受15にはシャフト16,17がそれぞれ回転可能に支持されている。そして、前記エアモータ14から水平に延びるモータ軸14aは、カップリング18によって前記シャフト16に連結されている。ここで、モータ軸14aとシャフト16,17は、スライドベース5の移動方向(図6の紙面垂直方向)に直交する方向(図6の左右方向)に配されている。
【0031】
他方、スライドベース5の上方には、該スライドベース5よりも幅の狭い矩形平板状のスイングベース19が揺動可能に配されており、該スイングベース19上の一端には第2のロータリアクチュエータであるエアモータ20が設置されている。又、スイングベース19上には一対のブロック21が立設されており、各ブロック21は前記シャフト16,17の各一端に結着されている。従って、エアモータ14が駆動されてモータ軸14aが正逆転すると、その回転がカップリング18を介してシャフト16とこれに結着されたブロック21に伝達され、ブロック21が立設されたスイングベース19がモータ軸14a及びシャフト16,17を中心として図5の矢印a−a’方向に揺動する。
【0032】
又、スイングベース19上に立設された一対の前記ブロック21上にはベアリング22がそれぞれ取り付けられており、これらのベアリング22にはシャフト23,24がそれぞれ回転可能に支持されている。そして、両シャフト23,24の各一端はブロック状のノズルホルダ25に結着されており、一方のシャフト23はカップリング26によってエアモータ20のモータ20aに連結されている。ここで、モータ軸20aとシャフト23,24は、スライドベース5の移動方向(図5の左右方向)に配されている。
【0033】
前記ノズルホルダ25には、高圧ネジ込みソケット27を介してノズル28が取り付けられるとともに、スライドベース5の下面に取り付けられた前記スイング調整板9又は9’の円孔9a又は9a’及びスイングベース5の前記矩形孔5aを下方から貫通するランス29が取り付けられている。尚、ランス29の下端部には高圧ヘッダ30が取り付けられている。
【0034】
而して、エアモータ20が駆動されてモータ軸20aが正逆転すれば、このモータ軸20aの回転はカップリング26を介してシャフト23に伝達され、該シャフト23に結着されたノズルホルダ25及び該ノズルホルダ25に支持されたノズル28とランス29がモータ軸20a及びシャフト23,24を中心として図6の矢印b−b’方向に揺動する。従って、エアモータ14,20の回転を制御すれば、ノズル28は図5の矢印a−a’方向又は図6の矢印b−b’方向、或いはこれらの方向を合成した任意の方向に揺動及び回転することができる。
【0035】
ところで、本実施の形態では、スライドレール2の両側方には、揺動機構6をスライドレール2の長手方向に沿って手動で移動させるためのチェーン伝動機構31が設けられている。このチェーン伝動機構31は、図2に示すように、スライドレール2の長手方向両端の左右両側に設けられたハンドル32を回転操作することによってチェーン33を回転駆動するものであって、図6及び図7に示すように、ハンドル32は、スライドレール2に貫設された回転軸34の両端部に結着されている。尚、図6及び図7には一方の回転軸34のみを示すが、他方の回転軸34にもハンドル32が結着されている(図2参照)。
【0036】
上記回転軸34にはスプロケット35が結着されており、各スプロケット35と他方の回転軸34に結着された不図示のスプロケットには無端状のチェーン33が巻装されている。そして、チェーン33には揺動機構6の側部が連結されており、従って、揺動機構6は、スライドレール2の左右に設けられた一対のチェーン伝動機構31によって図1及び図2の矢印X−X’方向に移動せしめられる。
【0037】
即ち、作業者が何れか1つのハンドル32を回せば、回転軸34とこれに結着されたスプロケット35が回転してチェーン33を回転駆動するため、揺動機構6は、スライドレール2の左右に設けられた一対のチェーン伝動機構31によってスライドレール2上を移動せしめられる。
【0038】
而して、洗浄作業に際して揺動機構6は縦型反応塔100の縦型配管101の直下に配置されて作業に供せられるが、揺動機構6は、これより離れた位置に設置される図11に示す操作ユニット36によって遠隔操作される。
【0039】
上記操作ユニット36は、図11に示すように、架台37上に2つの手動弁38,39とフィルタレギュレータ40を設置して構成されており、図12に示すように、フィルタレギュレータ40にはエア供給源41が接続されている。そして、フィルタレギュレータ40から延びるエアチューブ42は、2系統に分岐して手動弁38,39にそれぞれ接続されており、各手動弁38,39から延びるエアチューブ43,44は、エアモータ14,20にそれぞれ接続されている。
【0040】
又、図12に示すように、前記高圧ヘッダ30には、JETポンプ45,46からそれぞれ延びる高圧ホース47,48が接続されており、これらの高圧ホース47,48の途中には高圧逃がし弁であるフートバルブ49が設けられている。尚、このフートバルブ49は、洗浄作業の途中で作業者がこれを足で踏むと、高圧水を逃がしライン50へと逃がしてノズル28への高圧水の供給停止するものである。
【0041】
而して、洗浄作業に際しては、図1〜図3に示すように、揺動機構6は縦型反応塔100の下方に配置され、縦型反応塔100内に収容された多数の縦型配管101内に充填された触媒等の充填材は、当該高圧水洗浄装置によって抜き取られて新しいものと交換される。即ち、図12に示すJETポンプ45,46から吐出される高圧水が高圧ヘッダ30からランス29を通過してノズル28へと供給されると、図13に示すように、ノズル28から高圧水が縦型配管101内に噴射されて縦型配管101内が洗浄されるが、図11に示した操作ユニット36において手動弁38,39を遠隔操作して揺動機構6のエアモータ14,20の回転を制御すれば、前述のようにノズル28を回転及び揺動させることができ、縦型配管101の内面全面を高圧水によって効率良く洗浄することができる。
【0042】
ここで、スライドベース5の下面に取り付けられたスイング調整板9又は9’は、これに形成された円孔9a又は9a’がランス29(ノズル28)の揺動範囲を規制するが、図13(a)に示すように、スライドベース5の下面に図10(a)に示す大きな内径φD1の円孔9aが形成されたスイング調整板9を取り付けた場合には、ランス29(ノズル28)の揺動角度θ1は比較的大きく、図13(b)に示すように、スライドベース5の下面に図10(b)に示す小さな内径φD2の円孔9a’が形成されたスイング調整板9’を取り付けた場合には、ランス29(ノズル28)の揺動角度θ2は小さく抑えられる(θ2<θ1)。従って、洗浄対象である縦型配管101の内径や作業の内容によってスイング調整板9,9’を適切なものに交換することによってランス29(ノズル28)の揺動範囲を任意に設定することができる。
【0043】
以上のように、本実施の形態では、縦型配管100の直下に設置された揺動機構6をそれより離れた場所に設置された操作ユニット36によって遠隔操作することによって、先端にノズル28が取り付けられたランス29を揺動させながら縦型配管101の洗浄作業を行うことができるため、洗浄に伴って縦型配管101から充填材の塊が落下しても、これが作業者に直接当たって作業者にダメージを与えることがなく、安全に洗浄作業を行うことができる。
【0044】
又、本実施の形態では、緊急時や揺動機構の移動時、或いは作業中断時にはフートバルブ49を足で踏むことによってノズル28への高圧水の供給を停止することができるため、安全性と作業性が高められる。
【0045】
更に、本実施の形態では、揺動機構6をスライドレール2に沿って図1及び図2の矢印X−X’方向に移動可能に支持するとともに、スライドレール2をこれに沿う揺動機構6の移動方向に直交する方向(図1及び図3の矢印Y−Y’方向)に移動可能に支持したため、本実施の形態のように縦型反応塔100の内部に収容された多数の縦型配管101に対して洗浄を行う場合、揺動機構6を2次元平面内で自由に移動させながら多数の縦型配管101に対して洗浄を順次連続的に効率良く行うことができる。そして、本実施の形態では、揺動機構6が移動可能に配置されたスライドレール2の長手方向両端部をUボルト3によってパイプレール1上に移動可能に取り付けたため、該揺動機構6の脱落を確実に防いで高い安全性を確保することができる。
【0046】
又、本実施の形態では、スライドレール2に設けられたチェーン伝動機構31をハンドル32の操作によって駆動して揺動機構6をスライドレール2に沿って作業性良く容易に移動させることができる。
【0047】
尚、本発明は、縦型反応塔の他、熱交換器等、他の任意の機器内に収容された縦型配管の高圧水による洗浄に供される装置に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る高圧水洗浄装置の平面図である。
【図2】本発明に係る高圧水洗浄装置の正面図(図1の矢視A方向の図)である。
【図3】本発明に係る高圧水洗浄装置の側面図(図1の矢視B方向の図)である。
【図4】本発明に係る高圧水洗浄装置の揺動機構の平面図である。
【図5】図4の矢視C方向の図である。
【図6】図4の矢視D方向の図である。
【図7】本発明に係る高圧水洗浄装置のチェーン伝動機構を示す図6の矢視E方向の図である。
【図8】本発明に係る高圧水洗浄装置のスイングベースの平面図である。
【図9】図8のF−F線断面図である。
【図10】(a),(b)はスイング調整板の平面図である。
【図11】本発明に係る高圧水洗浄装置の操作ユニットの正面図である。
【図12】本発明に係る高圧水洗浄装置の揺動機構の駆動システム図である。
【図13】(a),(b)は本発明に係る高圧水洗浄装置のノズルの揺動を示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1 パイプレール
2 スライドレール
2A スライドレールのチャンネル材
3 Uボルト
4 ナット
5 スライドベース
5a スライドベースの矩形孔
6 揺動機構
7 ブロック
8 ガイドバー
9,9’ スイング調整板
9a,9a’ スイング調整板の円孔
10 ボルト
12,13 ローラ
14 エアモータ(第1のロータリアクチュエータ)
14a エアモータのモータ軸
15 軸受
16,17 シャフト
18 カップリング
19 スイングベース
20 エアモータ(第2のロータリアクチュエータ)
20a エアモータのモータ軸
21 ブロック
22 ベアリング
23,24 シャフト
25 ノズルホルダ
26 カップリング
27 高圧ネジ込みソケット
28 ノズル
29 ランス
30 高圧ヘッダ
31 チェーン伝動機構
32 ハンドル
33 チェーン
34 回転軸
35 スプロケット
36 操作ユニット
37 架台
38,39 手動弁
40 フィルタレギュレータ
41 エア供給源
42〜44 エアチューブ
45,46 JETポンプ
47,48 高圧ホース
49 フートバルブ(高圧逃がし弁)
50 逃がしライン
100 縦型反応塔
100A 縦型反応塔の下端フランジ
101 縦型配管
102 吊フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端にノズルが取り付けられたランスを揺動させながら前記ノズルから噴射される高圧水によって縦型配管内を洗浄する高圧水洗浄装置において、
前記ノズルを揺動させる揺動機構と、該揺動機構を遠隔操作する操作ユニットを設けたことを特徴とする高圧水洗浄装置。
【請求項2】
前記揺動機構は、スライドベース上に設置された第1のロータリアクチュエータと、該第1のロータリアクチュエータによって回動可能に支持されたスイングベースと、該スイングベース上に設置されて前記ランスを前記スライドベースの回動方向に直交する方向に回動させる第2のロータリアクチュエータを含んで構成されることを特徴とする請求項1記載の高圧水洗浄装置。
【請求項3】
前記揺動機構は、前記ノズルの揺動範囲を規制するスイング調整板を有することを特徴とする請求項1又は2記載の高圧水洗浄装置。
【請求項4】
前記ノズルへの高圧水供給ラインに高圧逃がし弁を設け、該高圧逃がし弁の操作によって前記ノズルへの高圧水の供給停止を可能としたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の高圧水洗浄装置。
【請求項5】
前記揺動機構を直交座標軸方向に移動可能に支持したことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の高圧水洗浄装置。
【請求項6】
互いに平行に配されたパイプレール上にスライドレールを直交するよう移動可能に配置し、前記揺動機構を前記スライドレールに沿って移動可能に配置するとともに、前記スライドレールの長手方向両端部をUボルトによって前記パイプレール上に移動可能に取り付けたことを特徴とする請求項5記載の高圧水洗浄装置。
【請求項7】
前記スライドレールにチェーン伝動機構を設け、ハンドル操作によって前記チェーン伝動機構を駆動して前記揺動機構を前記スライドレールに沿って移動させるよう構成したことを特徴とする請求項6記載の高圧水洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−28611(P2009−28611A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−194020(P2007−194020)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(390027188)栗田エンジニアリング株式会社 (26)
【Fターム(参考)】