説明

高圧水素製造装置

【課題】部品点数を削減するとともに、一層の小型化及び簡素化を図ることを可能にする。
【解決手段】高圧水素製造装置12は、複数の第1単位セル22aが重力方向に積層される第1セルユニット24aと、前記第1セルユニット24aの重力方向下端部に連結され、複数の第2単位セル22bが前記重力方向に積層される第2セルユニット24bとを備える。第1単位セル22aは、固体高分子電解質膜48の一方の面側に設けられるアノード電極触媒層50a及びアノード側給電体50と、前記固体高分子電解質膜48の他方の面側に設けられるカソード電極触媒層52a及びカソード側給電体52とを有し、水を電気分解する水電解セルである。第2単位セル22bは、固体高分子電解質膜48の一方の面側に設けられるアノード側給電体50と、前記固体高分子電解質膜48の他方の面側に設けられるカソード側給電体52とを有し、カソード側の水分をアノード側に透過させる水透過セルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アノード側に供給される水を電気分解して前記アノード側に酸素を発生させる一方、カソード側に前記酸素よりも高圧な水素を発生させる高圧水素製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、燃料電池の発電反応に使用される燃料ガスとして、水素が使用されている。この水素は、例えば、水電解装置により製造されている。水電解装置は、水を分解して水素(及び酸素)を発生させるため、固体高分子電解質膜(イオン交換膜)を用いている。固体高分子電解質膜の両面には、電極触媒層が設けられて電解質膜・電極構造体が構成されるとともに、前記電解質膜・電極構造体の両側には、給電体を配設して単位セルが構成されている。
【0003】
そこで、複数の単位セルが積層されたセルユニットには、積層方向両端に電圧が付与されるとともに、アノード側の給電体に水が供給される。このため、電解質膜・電極構造体のアノード側では、水が分解されて水素イオン(プロトン)が生成され、この水素イオンが固体高分子電解質膜を透過してカソード側に移動し、電子と結合して水素が製造される。一方、アノード側では、水素と共に生成された酸素が、余剰の水を伴ってセルユニットから排出される。
【0004】
上記の水電解装置では、水分を含んだ水素が製造されており、乾燥状態、例えば、5ppm以下の水素(以下、ドライ水素ともいう)を得るために、前記水素から水分を除去する必要がある。
【0005】
その際、カソード側に酸素よりも高圧(例えば、1MPa以上)の水素が得られる高圧水素製造装置では、高圧水素から水分を除去するための気液分離装置が大型化するという問題がある。
【0006】
そこで、例えば、特許文献1に開示されている気液分離装置が知られている。この気液分離装置は、水分を含む高圧水素ガスを導入して、重力により高圧水素ガスと水とに分離する耐圧容器と、該耐圧容器内の水位を検出する水位検出手段と、該水位検出手段により検出される該耐圧容器内の水位が第1の所定の水位以上であるときに、該耐圧容器内の水位が第1の所定の水位より高い第2の所定の水位に上昇するまで、該耐圧容器から高圧水素ガスを取り出す水素取出手段と、該水位検出手段により検出される該耐圧容器内の水位が第1の所定の水位より高い第2の所定の水位に達したときに、該耐圧容器内の水位が第1の所定の水位に低下するまで、該耐圧容器から水を排出する排水手段とを備えている。
【0007】
そして、水素取出手段は、耐圧容器の高圧水素ガスが貯留される領域に接続された第1の導管と、該第1の導管に設けられ、第1の所定の圧力以上で開弁する第1の背圧弁と、該第1の導管の第1の背圧弁の下流側に設けられ、該水位検出手段により検出される該耐圧容器内の水位が第1の所定の水位となったときに開弁し、該耐圧容器内の水位が第2の所定の水位に達したときに閉弁する電磁弁とを備え、該排水手段は、該耐圧容器の水が貯留される領域に接続された第2の導管と、該第2の導管に設けられ、第1の所定の圧力よりも高い第2の所定の圧力以上で開弁する第2の背圧弁とを備えている。
【0008】
これにより、高圧水素ガスから気液分離された水を、大型の装置を用いることなく、減圧して緩やかに排出することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−347779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、この種の気液分離装置に関連してなされたものであり、部品点数を削減するとともに、一層の小型化及び簡素化を図ることが可能な高圧水素製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、アノード側に供給される水を電気分解して前記アノード側に酸素を発生させる一方、カソード側に前記酸素よりも高圧な水素を発生させる高圧水素製造装置に関するものである。
【0012】
この高圧水素製造装置は、複数の第1単位セルが重力方向に積層される第1セルユニットと、前記第1セルユニットの重力方向下端部に連結され、複数の第2単位セルが前記重力方向に積層される第2セルユニットとを備えている。
【0013】
そして、第1単位セルは、電解質膜と、前記電解質膜の一方の面側に設けられるアノード側電極触媒層及びアノード側給電体と、前記電解質膜の他方の面側に設けられるカソード側電極触媒層及びカソード側給電体とを有し、水を電気分解する水電解セルである。
【0014】
一方、第2単位セルは、電解質膜と、前記電解質膜の一方の面側に設けられるアノード側給電体と、前記電解質膜の他方の面側に設けられるカソード側給電体とを有し、カソード側の水分をアノード側に透過させる水透過セルである。
【0015】
また、この高圧水素製造装置は、第1セルユニット及び第2セルユニットを積層方向に一体に貫通し、水を供給する水供給連通孔と、前記第1セルユニット及び前記第2セルユニットを前記積層方向に一体に貫通し、反応により生成された酸素及び使用済みの水を排出するための酸素排出連通孔と、前記第1セルユニット及び前記第2セルユニットを前記積層方向に一体に貫通し、反応により生成された水素を排出するための水素排出連通孔とを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第2セルユニットは、アノード側電極触媒層及びカソード側電極触媒層を設けないため、水電解機能を有することがない。このため、第2セルユニットは、高圧側であるカソード側に生成される高圧水素に含まれる水分を、低圧側であるアノード側に透過させる水透過セルとして機能することができる。
【0017】
従って、電解質膜により高圧水を低圧側に透過させて前記高圧水を良好に排出することが可能になり、該高圧水を排出させるための大型設備が不要になる。しかも、第2セルユニットは、水電解セルである第1セルユニットと同様に構成されており、前記第1セルユニットに容易に連結することができる。
【0018】
これにより、部品点数を有効に削減するとともに、装置全体を一層小型化及び簡素化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る水電解システムの概略構成説明図である。
【図2】前記水電解システムを構成する高圧水素製造装置の断面説明図である。
【図3】水透過量と温度との関係説明図である。
【図4】前記水透過量及び前記温度と電解電流との関係説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る水電解システムの概略構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示すように、水電解システム10は、水(純水)を電気分解することによって、酸素及び高圧水素(常圧である酸素圧力よりも高圧、例えば、1MPa〜70MPaの水素)を製造するための本発明の第1の実施形態に係る高圧水素製造装置12を備える。
【0021】
高圧水素製造装置12のアノード側には、前記高圧水素製造装置12から排出される酸素及び余剰の水を分離し、前記水を貯留する気液分離器14と、前記気液分離器14に貯留される前記水を、前記高圧水素製造装置12に循環させる水循環装置16と、前記気液分離器14に市水から生成された純水を供給する水供給装置18とが設けられる。
【0022】
高圧水素製造装置12のカソード側には、前記高圧水素製造装置12から高圧水素が導出される高圧水素配管20が設けられるとともに、前記高圧水素配管20には、例えば、図示しない水素充填ノズルが取り付けされる。この水素充填ノズルは、燃料電池電気自動車(図示せず)の燃料充填部に着脱され、燃料ガスとして水素の充填を行う。水電解システム10は、システム全体の制御を行うコントローラ21を備える。
【0023】
高圧水素製造装置12は、複数の第1単位セル22aが重力方向(矢印A方向)に積層される第1セルユニット24aと、前記第1セルユニット24aの重力方向下端部に連結され、複数の第2単位セル22bが前記重力方向に積層される第2セルユニット24bとを備える。
【0024】
第1セルユニット24aの積層方向上端には、ターミナルプレート26a、絶縁プレート28a及びエンドプレート30aが、順次、配設される。第1セルユニット24aの積層方向下端には、同様にターミナルプレート26b、絶縁プレート28b及び第2セルユニット24bが、順次、配設されるとともに、前記第2セルユニット24bの積層方向下端には、エンドプレート30bが配設される。エンドプレート30a、30b間には、例えば、矢印A方向に延在する複数のタイロッド(図示せず)を介して締め付け荷重が付与されてもよく、又は、前記エンドプレート30a、30bを端板として含む箱状ケーシングにより一体的に保持してもよい。
【0025】
ターミナルプレート26a、26bの側部には、端子部34a、34bが外方に突出して設けられる。端子部34a、34bは、配線36a、36bを介して電解電源38に電気的に接続される。
【0026】
図2に示すように、第1単位セル22aは、円盤状の電解質膜・電極構造体42と、この電解質膜・電極構造体42を挟持するアノード側セパレータ44及びカソード側セパレータ46とを備える。
【0027】
アノード側セパレータ44及びカソード側セパレータ46は、円盤状を有するとともに、例えば、カーボン部材等で構成され、又は、鋼板、ステンレス鋼板、チタン板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属板をプレス成形して、あるいは切削加工した後に防食用の表面処理を施して構成される。
【0028】
電解質膜・電極構造体42は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜48と、前記固体高分子電解質膜48の両側に配設されるアノード側給電体50及びカソード側給電体52とを備える。
【0029】
固体高分子電解質膜48の両面には、アノード電極触媒層50a及びカソード電極触媒層52aが形成される。アノード電極触媒層50aは、例えば、Ru(ルテニウム)系触媒を使用する一方、カソード電極触媒層52aは、例えば、白金触媒を使用する。
【0030】
アノード側給電体50及びカソード側給電体52は、例えば、球状アトマイズチタン粉末の焼結体(多孔質導電体)により構成される。アノード側給電体50及びカソード側給電体52は、研削加工後にエッチング処理される平滑表面部を設ける。なお、アノード側給電体50及びカソード側給電体52は、耐食性のチタンシート等の金属シートに、エッチング、ドリル加工、放電加工、電子ビーム、レーザ又はプレス等により開口部を形成してもよい。
【0031】
アノード側セパレータ44の電解質膜・電極構造体42に対向する面には、第1流路54が設けられるとともに、カソード側セパレータ46の前記電解質膜・電極構造体42に対向する面には、第2流路56が設けられる。第1流路54及び第2流路56は、アノード側給電体50及びカソード側給電体52の表面積に対応する範囲内に設けられるとともに、複数の流路溝や複数のエンボス等で構成される。
【0032】
第1流路54には、水(純水)を供給するための水供給連通孔58と、反応により生成された酸素及び使用済みの水を排出するための酸素排出連通孔60とが連通する。第2流路56には、反応により生成された水素(高圧水素)を排出するための水素排出連通孔62が設けられる。水供給連通孔58、酸素排出連通孔60及び水素排出連通孔62は、積層方向である矢印A方向に延在して第1セルユニット24a及び第2セルユニット24bを一体に貫通する。
【0033】
第2単位セル22bは、基本的には、上記の第1単位セル22aと同様に構成される。この第2単位セル22bは、円盤状の電解質膜・電極構造体42aと、この電解質膜・電極構造体42aを挟持するアノード側セパレータ44及びカソード側セパレータ46とを備える。
【0034】
電解質膜・電極構造体42aは、固体高分子電解質膜48の両側に配設されるアノード側給電体50及びカソード側給電体52を備えるとともに、前記固体高分子電解質膜48の両面には、アノード電極触媒層50a及びカソード電極触媒層52aが設けられない。
【0035】
アノード側セパレータ44の電解質膜・電極構造体42aに対向する面には、第1流路54aが設けられるとともに、カソード側セパレータ46の前記電解質膜・電極構造体42aに対向する面には、第2流路56aが設けられる。第2単位セル22bは、水電解を行うことがなく、第2流路56aには、高圧水素に含まれる水分が供給される一方、第1流路54aには、電解質膜・電極構造体42aを透過して前記水が供給される水透過セルを構成する。
【0036】
図1に示すように、水循環装置16は、高圧水素製造装置12の水供給連通孔58に連通する循環配管64を備え、この循環配管64は、循環ポンプ66及びイオン交換器68を配置して気液分離器14を構成するタンク部70の底部に接続される。
【0037】
タンク部70の上部には、戻り配管72の一端部が連通するとともに、前記戻り配管72の他端は、高圧水素製造装置12の酸素排出連通孔60に連通する。戻り配管72の一端部は、タンク部70内に貯留される水の中で、常時、開口する位置に設定される。
【0038】
タンク部70には、水供給装置18に接続された純水供給配管74と、前記タンク部70で純水から分離された酸素を排出するための酸素排気配管76とが連結される。タンク部70内は、大気圧に開放される。
【0039】
このように構成される水電解システム10の動作について、以下に説明する。
【0040】
先ず、水電解システム10の始動時には、水供給装置18を介して市水から生成された純水が、気液分離器14を構成するタンク部70に供給される。
【0041】
水循環装置16では、循環ポンプ66の作用下に、タンク部70内の水が循環配管64を介して高圧水素製造装置12の水供給連通孔58に供給される。一方、ターミナルプレート26a、26bの端子部34a、34bには、電気的に接続されている電解電源38を介して電圧が付与される。
【0042】
このため、図2に示すように、第1セルユニット24aを構成する各第1単位セル22aでは、水供給連通孔58からアノード側セパレータ44の第1流路54に水が供給され、この水がアノード側給電体50内に沿って移動する。
【0043】
従って、水は、アノード電極触媒層50aで電気により分解され、水素イオン、電子及び酸素が生成される。この陽極反応により生成された水素イオンは、固体高分子電解質膜48を透過してカソード電極触媒層52a側に移動し、電子と結合して水素が得られる。
【0044】
これにより、カソード側セパレータ46とカソード側給電体52との間に形成される第2流路56に沿って水素が流動する。この水素は、水供給連通孔58よりも高圧に維持されており、積層方向に沿って水素排出連通孔62を流れる。このため、高圧水素は、高圧水素配管20を介して高圧水素製造装置12の外部に取り出し可能となる(図1参照)。
【0045】
一方、第1流路54には、反応により生成した酸素と使用済みの水とが流動している。酸素と水との混合流体は、酸素排出連通孔60に沿って水循環装置16の戻り配管72に排出される。この未反応ガスの水及び酸素は、タンク部70に導入されて気液分離された後、水は、循環ポンプ66を介して循環配管64からイオン交換器68を通って水供給連通孔58に導入される。水から分離された酸素は、酸素排気配管76から外部に排出される。
【0046】
ところで、水素排出連通孔62を流通する高圧水素には、水分(アノード側から透過した透過水)が含まれている。この水分は、重力によって前記水素排出連通孔62の下方に移動し易い。
【0047】
この場合、第1の実施形態では、複数の第1単位セル22aが重力方向に積層される第1セルユニット24aと、前記第1セルユニット24aの重力方向下端部に連結され、複数の第2単位セル22bが前記重力方向に積層される第2セルユニット24bとを備えている。
【0048】
そして、図2に示すように、第2セルユニット24bを構成する第2単位セル22bでは、電解質膜・電極構造体42aにアノード側電極触媒層及びカソード側電極触媒層が設けられていない。このため、第2単位セル22bは、水電解機能を有することがなく、高圧側であるカソード側の第2流路56aに生成される高圧水素に含まれる水分は、電解質膜・電極構造体42aを透過して低圧側であるアノード側の第1流路54aに移動することができる。
【0049】
第1流路54aに移動した水分は、水供給連通孔58から前記第1流路54に供給された水と共に、酸素排出連通孔60に排出される。さらに、この酸素排出連通孔60から気液分離器14を構成するタンク部70に戻される。
【0050】
従って、高圧水素製造装置12は、差圧式水電解装置を構成するため、電解質膜・電極構造体42aを介して高圧水を低圧側に透過させて前記高圧水を良好に排出することが可能になり、該高圧水を排出させるための大型設備が不要になる。
【0051】
しかも、第2セルユニット24bは、水電解セルである第1セルユニット24aと同様に構成されており、前記第1セルユニット24aに容易に連結することができる。これにより、部品点数を有効に削減するとともに、高圧水素製造装置12全体を一層小型化及び簡素化することが可能になるという効果が得られる。
【0052】
また、第2単位セル22bでは、カソード側とアノード側とに差圧が発生している際に、電解質膜・電極構造体42aを前記カソード側から前記アノード側に透過する水透過量は、高圧水素製造装置12の運転温度から求めることができる。すなわち、図3に示すように、高圧水素製造装置12の運転温度a(℃)のとき、水透過量b(cc/min)が求められる。
【0053】
一方、第1セルユニット24aを構成する第1単位セル22aでは、電解時にアノード側からカソード側に透過する水透過量が、該電解時の電解電流から求められる。従って、図4に示すように、運転温度a(℃)及び水透過量b(cc/min)から水透過量を平衡させる電解電流c(A)が求められる。
【0054】
これらの特性に基づいて、水電解セルである第1単位セル22aと水透過セルである第2単位セル22bとの割合(積層数)を設定することにより、カソード側に透過して高圧水素に含まれる水分を、アノード側に良好且つ確実に戻すことが可能になる。
【0055】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る水電解システム80の概略構成説明図である。なお、第1の実施形態に係る水電解システム10と同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0056】
水電解システム80では、高圧水素製造装置12の高圧水素配管20に水素気液分離器82が接続される。水素気液分離器82は、タンク部84を備えるとともに、前記タンク部84には、タンク内水位を検出する水位検出センサ86が設けられる。高圧水素配管20は、タンク部84の下端部に接続されており、前記高圧水素配管20の出口は、常時、前記タンク部84内の水位よりも下方に開口される。
【0057】
このように構成される水電解システム80では、水電解時に、タンク部84のタンク内水位の変動が水位検出センサ86により検出される。そして、タンク内水位が上昇する際、第1セルユニット24aからカソード側に生成される高圧水素中の水分量が、第2セルユニット24bにより前記カソード側からアノード側に透過される水分量よりも多いと判断される。
【0058】
一方、タンク内水位が下降する際、第1セルユニット24aからカソード側に生成される高圧水素中の水分量が、第2セルユニット24bにより前記カソード側からアノード側に透過される水分量よりも少ないと判断される。従って、電解電源38の電流を可変にすることにより、水位管理が確実且つ容易に遂行される。
【符号の説明】
【0059】
10、80…水電解システム 12…高圧水素製造装置
14…気液分離器 16…水循環装置
18…水供給装置 20…高圧水素配管
22a、22b…単位セル 24a、24b…セルユニット
42、42a…電解質膜・電極構造体 44…アノード側セパレータ
46…カソード側セパレータ 48…固体高分子電解質膜
50…アノード側給電体 50a…アノード電極触媒層
52…カソード側給電体 52a…カソード電極触媒層
54、54a、56、56a…流路 58…水供給連通孔
60…酸素排出連通孔 62…水素排出連通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード側に供給される水を電気分解して前記アノード側に酸素を発生させる一方、カソード側に前記酸素よりも高圧な水素を発生させる高圧水素製造装置であって、
複数の第1単位セルが重力方向に積層される第1セルユニットと、
前記第1セルユニットの重力方向下端部に連結され、複数の第2単位セルが前記重力方向に積層される第2セルユニットと、
を備え、
前記第1単位セルは、電解質膜と、
前記電解質膜の一方の面側に設けられるアノード側電極触媒層及びアノード側給電体と、
前記電解質膜の他方の面側に設けられるカソード側電極触媒層及びカソード側給電体と、
を有し、前記水を電気分解する水電解セルである一方、
前記第2単位セルは、前記電解質膜と、
前記電解質膜の一方の面側に設けられる前記アノード側給電体と、
前記電解質膜の他方の面側に設けられる前記カソード側給電体と、
を有し、前記カソード側の水分を前記アノード側に透過させる水透過セルであることを特徴とする高圧水素製造装置。
【請求項2】
請求項1記載の高圧水素製造装置において、前記第1セルユニット及び前記第2セルユニットを前記積層方向に一体に貫通し、前記水を供給する水供給連通孔と、
前記第1セルユニット及び前記第2セルユニットを前記積層方向に一体に貫通し、反応により生成された酸素及び使用済みの水を排出するための酸素排出連通孔と、
前記第1セルユニット及び前記第2セルユニットを前記積層方向に一体に貫通し、反応により生成された水素を排出するための水素排出連通孔と、
を備えることを特徴とする高圧水素製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−180554(P2012−180554A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43510(P2011−43510)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】