説明

高圧蒸気滅菌器

【課題】被滅菌物を高圧蒸気下で滅菌する高圧蒸気滅菌器において、蓋が確実に閉じた状態を検出する技術を提供する。
【解決手段】滅菌器本体の上部の蓋ハウジングにチャンバーの上面開口を密閉する蓋を設け、蓋ハウジングの閉止によって上方移動する作動棒21A,21Bにて動作する左右配置の閉蓋検出スイッチ7A,7Bを備え、各閉蓋検出スイッチは蓋ハウジングに設けた支持基板14の上辺上に左右配置され、作動棒は各閉蓋検出スイッチのそれぞれの作動体に対応して支持基板の上辺及び下辺の孔に挿通状態に配置されコイルバネ22A,22Bによって蓋ハウジングの下方へ延出する状態に付勢され、各作動棒は、上辺の孔では対応する閉蓋検出スイッチの作動体から遠い方の面がこの孔の壁と接触すると共に、下辺の孔では作動体に近い方の面がこの孔の壁と接触し、各作動棒が上辺及び下辺に垂直状態に保持されるよう上辺及び下辺の孔位置を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として病院等に設置して医療用器具等の被滅菌物を高温高圧蒸気下で滅菌する高圧蒸気滅菌器に関し、特に、本体部の上面に開口した縦型チャンバーを開閉する蓋の密閉状態を検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
滅菌器本体内に設けた上面開口のチャンバーと、滅菌器本体の上部に開閉自在に支持された蓋ハウジングにチャンバーの上面開口を密閉する蓋を備え、チャンバー内に収納された被滅菌物を高圧蒸気下で滅菌する高圧蒸気滅菌器において、蓋が確実に閉じた状態で滅菌工程を開始するように、安全面に配慮した高圧蒸気滅菌器がある。これは、滅菌器本体に対して蓋ハウジングが正規の閉じた状態(蓋がチャンバーの上面開口を密閉する状態)になったことを検出する複数の閉蓋検出スイッチを備え、高圧蒸気滅菌器の運転開始時に閉蓋検出スイッチの全てが検出していないときは運転を開始しない構成となっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−073390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この特許文献1のものは、蓋ハウジングが偏って閉じられる等、正規の閉じられ方をしていない場合、左右配置の閉蓋検出スイッチの一つが正規の閉じた状態を検出していないこととなって、運転を開始しないため、運転開始時の安全確保が向上したものとなる。この場合、蓋ハウジングを閉じることに伴って上方へ移動する作動棒が支持基材の前面に取り付けた保持部材の上下辺に上下動自在に挿通支持され、この作動棒が各閉蓋検出スイッチの作動体を押すことによって各閉蓋検出スイッチがスイッチ動作するが、作動棒の円滑な上下動を確保するために、保持部材の上下辺の孔径を作動棒の外径よりも若干大きくしている。しかし、作動棒が各閉蓋検出スイッチの作動体を押すことに伴う作動体の復帰力によって、保持部材の孔径と作動棒の外径との差の範囲で、この作動体により作動棒が遠ざかる方向へ付勢され、各閉蓋検出スイッチのスイッチ動作が不確実になることが懸念される。
【0005】
本発明では、作動体により作動棒が遠ざかる方向へ付勢されることが抑制され、保持部材の孔径を作動棒の外径よりも若干大きくして作動棒の円滑な上下動を確保する場合でも、各閉蓋検出スイッチのスイッチ動作を確実に行なうことができる技術を提供し、蓋が確実に閉じた状態での運転開始となるように、安全面に配慮した高圧蒸気滅菌器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の高圧蒸気滅菌器は、滅菌器本体内に設けた上面開口のチャンバーと、前記滅菌器本体の上部に開閉自在にヒンジ部で支持された蓋ハウジングに前記チャンバーの上面開口を密閉する蓋を備え、前記滅菌器本体に対して前記蓋ハウジングが閉じることによって上方へ移動する作動棒によって閉蓋状態を検出するようスイッチ動作する左右配置の閉蓋検出スイッチを備え、前記高圧蒸気滅菌器の運転開始時に前記閉蓋検出スイッチの全てが検出していないときは運転を開始しないように制御する制御部を備え、前記チャンバー内に収納された被滅菌物を高圧蒸気下で滅菌する高圧蒸気滅菌器において、前記蓋ハウジングの前部に縦壁から平行に延びた下辺及び上辺を形成した支持基板が設けられ、前記各閉蓋検出スイッチは前記支持基板の上辺上に左右配置され、前記作動棒は前記各閉蓋検出スイッチのそれぞれの作動体に対応して前記支持基板の上辺及び下辺の孔に挿通状態に配置されコイルバネによって前記蓋ハウジングの下方へ延出する状態に付勢され、前記各作動棒は、前記上辺の孔では対応する前記閉蓋検出スイッチの作動体から遠い方の面がこの孔の壁と接触すると共に、前記下辺の孔では前記作動体に近い方の面がこの孔の壁と接触し、前記各作動棒が前記上辺及び前記下辺に垂直状態に保持される状態に前記上辺及び前記下辺の孔位置を設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明において、蓋ハウジングが偏って閉じられる等、正規の閉じられ方をしていない場合、左右配置の閉蓋検出スイッチの一つが正規の閉じた状態を検出していないこととなって、運転を開始しないため、運転開始時の安全確保が向上したものとなる。この場合、蓋ハウジングを閉じることに伴って上方へ移動する作動棒が支持基板に上下動自在に挿通支持され、この作動棒が各閉蓋検出スイッチの作動体を押すことによって各閉蓋検出スイッチがスイッチ動作するが、作動棒の円滑な上下動を確保するために、支持基板の孔径を作動棒の外径よりも若干大きくしている。しかし、作動棒が各閉蓋検出スイッチの作動体を押すことに伴い、支持基板の孔径と作動棒の外径との差の範囲で、この作動体により作動棒が遠ざかる方向へ付勢され、各閉蓋検出スイッチのスイッチ動作が不確実になることが懸念されるが、本発明では、作動体により作動棒が遠ざかる方向へ付勢されることが抑制され、支持基板の孔径を作動棒の外径よりも若干大きくして作動棒の円滑な上下動を確保する場合でも、上下の孔位置の設定によって、各閉蓋検出スイッチのスイッチ動作を確実に行なうことができるものとなり、構造的にも極めて簡単なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る高圧蒸気滅菌器の正面斜視図である。
【図2】本発明に係る高圧蒸気滅菌器の蓋を開けた状態の正面斜視図である。
【図3】本発明に係る高圧蒸気滅菌器の滅菌器本体のカバーを外し蓋を開けた状態の正面斜視図である。
【図4】本発明に係る高圧蒸気滅菌器の配管系統図である。
【図5】本発明に係る高圧蒸気滅菌器の工程動作図である。
【図6】本発明に係る高圧蒸気滅菌器の蓋のロック手段を断面で示す側面図である。
【図7】本発明に係る高圧蒸気滅菌器の蓋のロック手段と閉蓋検出スイッチ部分と操作取っ手のロック装置の部分を示す正面斜視図である。
【図8】本発明に係る高圧蒸気滅菌器の閉蓋検出スイッチ部分と操作取っ手のロック装置の部分を示す正面斜視図である。
【図9】本発明に係る高圧蒸気滅菌器の操作取っ手部分と蓋のロック手段と閉蓋検出スイッチ部分を示す平面図である。
【図10】本発明に係る高圧蒸気滅菌器の操作取っ手部分と蓋のロック手段と操作取っ手のロック装置と閉蓋検出スイッチ部分を示す正面斜視図である。
【図11】本発明に係る高圧蒸気滅菌器の操作部示す平面図である。
【図12】本発明に係る高圧蒸気滅菌器の制御部を示すブロック図である。
【図13】本発明に係る閉蓋検出スイッチ等の取り付け用支持基板の加工前の平板状態の説明図である。
【図14】本発明に係る支持基板を切断と孔明け加工した状態の説明図である。
【図15】本発明に係る支持基板を折り曲げ加工した状態の説明図である。
【図16】本発明に係る支持基板に閉蓋検出スイッチ、作動棒等を取り付けた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、滅菌器本体内に設けた上面開口のチャンバーと、前記滅菌器本体の上部に開閉自在にヒンジ部で支持された蓋ハウジングに前記チャンバーの上面開口を密閉する蓋を備え、前記滅菌器本体に対して前記蓋ハウジングが閉じることによって上方へ移動する作動棒によって閉蓋状態を検出するようスイッチ動作する左右配置の閉蓋検出スイッチを備え、前記高圧蒸気滅菌器の運転開始時に前記閉蓋検出スイッチの全てが検出していないときは運転を開始しないように制御する制御部を備え、前記チャンバー内に収納された被滅菌物を高圧蒸気下で滅菌する高圧蒸気滅菌器において、前記蓋ハウジングの前部に縦壁から平行に延びた下辺と上辺を形成した支持基板が設けられ、前記各閉蓋検出スイッチは前記支持基板の上辺上に左右配置され、前記作動棒は前記各閉蓋検出スイッチのそれぞれの作動体に対応して前記支持基板の上辺と下辺の孔に挿通状態に配置されコイルバネによって前記蓋ハウジングの下方へ延出する状態に付勢され、前記各作動棒は、前記上辺の孔では対応する前記閉蓋検出スイッチの作動体から遠い方の面がこの孔の壁と接触すると共に、前記下辺の孔では前記作動体に近い方の面がこの孔の壁と接触し、前記各作動棒が前記上辺及び前記下辺に垂直状態に保持される状態に前記上辺及び前記下辺の孔位置を設定したものであり、本発明の実施例を以下に記載する。
【実施例1】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1乃至図3において、1は本発明の高圧蒸気滅菌器である。高圧蒸気滅菌器1は、滅菌器本体2と、滅菌器本体2の上部に後部が開閉自在にヒンジ部18で支持された蓋ハウジング3を備え、滅菌器本体2内には上面開口4Aを有する有底円筒形状のチャンバー4を配置し、蓋ハウジング3にはチャンバー4の上面開口4Aを密閉するための蓋5を備えている。チャンバー4内に被滅菌物を収納し、蓋ハウジング3を閉じて蓋5がチャンバー4の上面開口4Aを密閉した状態において、高圧蒸気滅菌器1を運転して、チャンバー4内を高温高圧状態とし、被滅菌物の滅菌が行なわれる。蓋5によってチャンバー4の上面開口4Aを良好な密閉状態とするために、蓋5の下端開口周縁には環状体5Aが取り付けられ、環状体5Aがチャンバー4の上面開口4Aの上端部分に覆い被さる状態となる。
【0011】
チャンバー4内が高温高圧状態となるため、蓋5による密閉状態の確保が重要である。このため、チャンバー4の上面開口4Aを密閉するロック状態に蓋5を保持するロック手段LKを滅菌器本体2の前部に設け、また蓋5がチャンバー4の上面開口4Aを密閉する状態になったことを検出するために、閉蓋検出スイッチ7を、蓋ハウジング3に備えている。
【0012】
前記ロック手段LKは、図6及び図7に示すように、蓋5に対してロック状態と非ロック状態に回動するロックアーム10を備えている。蓋5がチャンバー4の上面開口4Aを確実に密閉するロック状態となるように、ロック手段LKは、滅菌器本体2の上部に少なくとも左右に離間して配置されている。このため、ロック手段LKは、複数のロックアーム10が左右に間隔を存して設けられ、実施例では、ヒンジ部18とは反対側の位置となる前側部分において、滅菌器本体2の上部の左右の箇所にロックアーム10A、10Bを備えている。各ロックアーム10A、10Bは、その中間部が、チャンバー4の側面から並行に延びる支持部9に軸部8で回動可能に支持され、上壁2Aの孔2A1を貫通して上方へ突出した各ロックアーム10A、10Bの上部には、蓋5の周縁部に設けた係止部11、11にそれぞれ係止する爪部10A1、10B1を形成している。そして、各ロックアーム10A、10Bは、それぞれ一端が支持部9に係止し他端がロックアーム10A、10Bに係止して軸部8に巻回されたコイルバネ19、19によって、爪部10A1、10B1がそれぞれ係止部11、11に係止するロック状態の方向へ付勢されている。孔2A1は、半径方向に蛇腹形状の弾性材54によって塞がれている。なお、支持部9は滅菌器本体2の上壁2Aから垂下した状態に設けることもできる。
【0013】
図8乃至図10に示すように、蓋ハウジング3は、前面側に手で握ることによって前方に移動してロックアーム10A、10Bをロック状態から非ロック状態に回動させるための操作取っ手12を備えている。操作取っ手12は、ヒンジ部18とは反対側である蓋ハウジング3の前面部に設けられ、操作取っ手12は、蓋ハウジング3の前面側に突出形成した固定の握り取っ手部3Aの内側において、操作取っ手12と握り取っ手部3A内の基材3A1との間に配置したコイルバネ13によって、操作取っ手12が後方へ付勢された状態で固定の握り取っ手部3Aに組み合わされている。操作取っ手12は、後方へ延びた左右辺に連結した板体の作用部17を備えており、作用部17は、蓋ハウジング3内の固定部に立設した左右のガイドピン16が遊嵌される前後方向の長孔15を左右位置に形成し、蓋ハウジング3内を前後にスライドするよう設けられている。蓋ハウジング3内における作用部17の支持は、蓋ハウジング3内を前後にスライドするように、握り取っ手部3A内の基材3A1の左右辺3A11又は蓋ハウジング3内に水平方向に設けた支持基板14に載置されている。実施例では、作用部17は、握り取っ手部3A内の基材3A1の左右辺3A11に載置され、基材3A1の左右辺3A11に左右のガイドピン16を立設している。また、作用部17の左右部には、左右のロックアーム10を回動作動するよう、左右のロックアーム10A、10Bの上端部に形成した係止部10A3、10B3の後ろ側に対応する作用腕17A、17Bを備えている。
【0014】
各ロックアーム10A、10Bは、コイルバネ19によって、爪部10A1、10B1が係止部11、11に係止するロック状態の方向へ付勢されている。このため、滅菌器本体2に対して蓋ハウジング3を開いた状態から正規の閉じる状態(蓋5がチャンバー4の上面開口4Aを閉じる状態)に操作したとき、蓋5の係止部11、11は、ロックアーム10A、10Bの爪部10A1、10B1の上面に内側に低く傾斜した傾斜面10A4、10B4に当接し、蓋ハウジング3が閉じられることに伴って、係止部11、11が傾斜面10A4、10B4を押す作用によって、コイルバネ19の作用力に抗して、ロックアーム10A、10Bの爪部10A1、10B1が外方へ逃げるように、ロックアーム10A、10Bが回動する。この作用によって、係止部11、11が爪部10A1、10B1を通り過ぎたとき、コイルバネ19の作用力によって、ロックアーム10A、10Bが復帰し、爪部10A1、10B1が係止部11、11の上に係止する状態となり、蓋5がチャンバー4の上面開口4Aを密閉する状態となる。蓋ハウジング3を閉じたとき、ロックアーム10A、10Bの上部に衝突しないように、ロックアーム10A、10Bの上部が入り込む逃げ凹部3Bが、蓋ハウジング3の裏壁面に形成されている。
【0015】
このように、蓋5をチャンバー4の上面開口4Aを密閉する状態に閉じたとき、ロックアーム10A、10Bはコイルバネ19によって、その爪部10A1、10B1が蓋5の係止部11、11に係止したロック状態となる。操作取っ手12は、通常状態では、コイルバネ13によって後方へ付勢された状態であるため、この爪部10A1、10B1が蓋5の係止部11、11に係止したロック状態において、作用腕17A、17Bはロックアーム10A、10Bの上端部に形成した係止部10A3、10B3の後ろ側に近接した状態である。
【0016】
この状態において、コイルバネ13のバネ力に抗して、握り取っ手部3Aと共に操作取っ手12を手で握ることによって、操作取っ手12が握り取っ手部3Aに近づくように前方へ移動する。この移動と共に作用部17が、左右のガイドピン16と前後方向の長孔15に案内されて前方へ移動し、作用部17の左右部に設けた作用腕17A、17Bが、それぞれ係止部10A3、10B3を前方へ引く。このため、ロックアーム10A、10Bはコイルバネ19のバネ力に抗して前方へ回動し、爪部10A1、10B1が蓋5の係止部11、11から外れて非ロック状態となる。この状態で、そのまま握り取っ手部3Aと共に操作取っ手12を上方へ押し上げ又は引き上げることによって、蓋ハウジング3がヒンジ部18を中心として上方へ開かれ、それに伴って、蓋5がチャンバー4の上面開口4Aを開放し、チャンバー4内の被滅菌物を取り出すことができる。
【0017】
蓋ハウジング3が偏って閉じられる等、正規の閉じられ方をしていない場合には、蓋5がチャンバー4の上面開口4Aを密閉する状態が不十分な状態となるため、この不十分な状態で高圧蒸気滅菌器1の運転を開始すると、チャンバー4内の高圧蒸気が漏れて危険である。これを防止するために、図7乃至図10に示すように、蓋ハウジング3内には、滅菌器本体2に対して蓋ハウジング3が正規の状態に閉じる(蓋5がチャンバー4の上面開口4Aを密閉する)ことによって上方へ移動する作動棒21A、21Bによって閉蓋状態を検出するようスイッチ動作する左右配置の閉蓋検出スイッチ7A、7Bを備えている。この閉蓋状態の検出を正確に行なうために、閉蓋検出スイッチ7は、ヒンジ部18とは反対側の位置となる前側部分において、蓋ハウジング3内の左右の箇所に設けている。閉蓋検出スイッチ7は左右配置の閉蓋検出スイッチ7A、7Bで構成しており、閉蓋検出スイッチ7A、7Bは、蓋ハウジング3内に左右方向に取り付けた支持基板14に取り付けられている。
【0018】
支持基板14は、蓋ハウジング3内に水平状態に取り付けられる下辺14P(底壁14Pともいう)と、底壁14Pから90度の角度で垂直に立ち上がった縦壁14Q(背壁14Qともいう)と、縦壁14Qから90度の角度で下辺14Pと平行に延びた上辺14R(上壁14Rともいう)が、一枚の金属製平板の折り曲げによって形成されている。
【0019】
支持基板14を所定形状に形成する順序として、図13に示す支持基板14を形成するための金属製の平板14Sを一点鎖線の箇所で切断して外形を整え、図14に示すように、下辺14Pと上辺14Rの対抗部分に、所定の直径(実施例では5.2mmの直径)の左側の一対孔P11、P12と右側の一対の孔P21、P22を明けた後、図14に点線で示す箇所で90度に折り曲げて、図15に示すように、下辺14Pと、縦壁14Qと、上辺14Rを形成する。この折り曲げによって、左側の一対の孔P11とP12は上下で対向し、右側の一対の孔P21、P22が対向する。なお、後述のようにプランジャ26が突出したとき作動するスイッチSWの取り付け辺14Dが、支持基板14上で同様にして、図14に示すように一点鎖線の箇所で切断し、縦壁14Qに対する90度の折り曲げによって連続的に形成され、また、後述の支持辺14Aが同様にして下辺14Pに対する90度の折り曲げによって形成されている。このため、従来のように、支持基材の前面に取り付けた保持部材を取り付けたものに比して、コスト低下を図ることができる。
【0020】
このように形成された支持基板14は、蓋ハウジング3を閉じた状態で下辺14Pが水平状態となるように、蓋ハウジング3内に取り付ける。これによって、縦壁14Qが垂直状態となり、下辺14P及び上辺14Rが水平状態となる。そして、図示のように、支持基板14の上辺14Rの上に取り付け板TPを介して、閉蓋検出スイッチ7Aの作動体7A1が左側の孔P12側となるように閉蓋検出スイッチ7Aを取り付け、また閉蓋検出スイッチ7Bの作動体7B1が右側の孔P22側となるように閉蓋検出スイッチ7Bを取り付け、閉蓋検出スイッチ7A、7Bが左右配置の取り付けとなっている。作動体7A1は自身のバネ性または閉蓋検出スイッチ7Aの内部に設けたバネによって外方へ付勢され、また、作動体7B1は自身のバネ性または閉蓋検出スイッチ7Bの内部に設けたバネによって外方へ付勢された構成である。
【0021】
支持基板14には、蓋ハウジング3を閉じることによって閉蓋検出スイッチ7A、7Bを作動するために、それぞれ作動棒21A、21Bが設けられている。具体的には、支持基板14の下辺14Pと上辺14Rに形成した左側の一対の孔P11とP12を上下動可能に貫通して作動棒21Aが配置され、支持基板14の下辺14Pと上辺14Rに形成した右側の一対の孔P21とP22を上下動可能に貫通して作動棒21Bが配置される。各作動棒21A、21Bは、それぞれコイルバネ22A、22Bによって、支持基板14の下辺14Pを貫通して下方へ延出する方向に付勢されている。この付勢によって、各作動棒21A、21Bのストッパ23A、23Bが、支持基板14の下辺14Pに当接した位置で、各作動棒21A、21Bは、支持基板14の下辺14Pの下方へ延出する長さが制限され、蓋ハウジング3の下方へ延出する長さが制限されている。即ち、図2に示すように、蓋ハウジング3が開いた状態では、各作動棒21A、21Bの下端が蓋ハウジング3の下方へ若干延出しており、この延出長さが所定の長さとなるように制限される。
【0022】
このように、蓋ハウジング3が開いた状態では、各作動棒21A、21Bの下端が蓋ハウジング3の下方へ若干延出しており、この状態から蓋ハウジング3を閉じる(蓋5がチャンバー4の上面開口4Aを閉じる)ことにより、作動棒21A、21Bの下端が滅菌器本体2の上壁2Aに当接してコイルバネ22A、22Bに抗して押し上げられ、図16に点線で示すように、作動棒21Aが閉蓋検出スイッチ7Aの板状作動体7A1を矢印Y方向へ押すと共に、作動棒21Bが閉蓋検出スイッチ7Bの板状作動体7B1を矢印W方向へ押す。閉蓋検出スイッチ7A、7Bのそれぞれの作動体7A1、7B1が押されることによって(作動体7A1、7B1は1枚であるが、図7、図8、図10には押されたときの作動状態を示すように複数段階に描いている)、閉蓋検出スイッチ7A、7BがON又はOFFとなって閉蓋状態を検出し、閉蓋検出スイッチ7A、7Bが接続された蓋ハウジング3側の副制御部SCが閉蓋状態であることを認識する。もし、何らかの原因によって、蓋ハウジング3が一方側へ傾いた状態であれば、閉蓋検出スイッチ7A、7Bの一つが正規の閉じた状態を検出しないので、その場合は副制御部SCの動作に基づき、滅菌器本体2側の主制御部MCが高圧蒸気滅菌器1の運転を開始しないように制御する。
【0023】
このように、蓋ハウジング3が正規の状態に閉じる(蓋5がチャンバー4の上面開口4Aを密閉する)ことによって、作動棒21A、21Bが押し上げられて、閉蓋検出スイッチ7A、7BがON又はOFFとなって閉蓋状態を検出する動作が安定することが重要である。このため、蓋ハウジング3の開閉に伴う作動棒21A、21Bの上下動がスムースに行われるようにするために、作動棒21A、21Bの直径よりも、左側の一対の孔P11とP12の直径と、右側の一対の孔P21、P22の直径が若干大である構成によって、作動棒21A、21Bの上下動がスムースに行われるようにしている。実施例では、孔P11とP12の直径と、右側の一対の孔P21、P22の直径は、それぞれ5.2mmであり、作動棒21A、21Bの直径は4.9mmであり、直径で0.3mmの差を持たせている。
【0024】
この場合、左側の一対の孔P11の中心とP12の中心が同一軸線上に形成されている場合は、蓋ハウジング3が閉じることによって作動棒21Aが押し上げられたとき、作動棒21Aが閉蓋検出スイッチ7Aの作動体7A1を押す際に、上記の直径での0.3mmの差によって作動棒21Aが逃げる(閉蓋検出スイッチ7Aから遠ざかる)。閉蓋検出スイッチ7Aは、それぞれ部品の寸法誤差や組み立て誤差によって、作動体7A1が押されたときのON又はOFFする時点が異なる。例えば、一つの閉蓋検出スイッチ7Aにおいては、作動体7A1がスイッチをON又はOFFする時点に対して、他の閉蓋検出スイッチ7Aでは、作動体7A1がスイッチをON又はOFFする時点が0.8mmずれる状態である。即ち、一つの閉蓋検出スイッチ7Aに対して他の閉蓋検出スイッチ7Aでは、作動体7A1が0.8mm多く押さなければスイッチがON又はOFFしないか、作動体7A1が押す範囲が0.8mm少ない状態でスイッチがON又はOFFすることとなる。
【0025】
この0.8mmのずれがあることにより、上記の直径での0.3mmの差によって作動棒21Aが逃げる(閉蓋検出スイッチ7Aから遠ざかる)状態となると、閉蓋検出スイッチ7AごとにスイッチがON又はOFFする時点が異なり、閉蓋検出スイッチ7AがON又はOFFしない状態が発生する懸念が生じる。本発明では、これを防止するために、図14及び図16に示すように、左側の一対の孔P11の中心とP12の中心が同一軸線上ではなく、下方の孔P11の中心(孔P11の位置)に対し上方の孔P12の中心(孔P12の位置)が内側にLLだけ寄った位置(閉蓋検出スイッチ7Aの作動体7A1に近づく位置)であって、作動棒21Aは左側の一対の孔P11とP12を貫通して上下動可能である。これによって、図16に示すように、下側の孔P11では作動棒21Aの右側が孔P11の右側で接触し、上側の孔P12では作動棒21Aの左側が孔P12の左側で接触した状態であって、作動棒21Aは支持基板14の下辺14Pと上辺14Rに垂直状態に保持された状態である。
【0026】
即ち、作動棒21Aは、上側の孔P12では閉蓋検出スイッチ7Aの作動体7A1から遠い方の面が孔P12の壁と接触し(この接触は上下方向の線接触となる)、下側の孔P11では作動体7A1に近い方の面が孔P11の壁と接触し(この接触は上下方向の線接触となる)、作動棒21Aは支持基板14の下辺14Pと上辺14Rに垂直状態に保持された状態となる。
【0027】
このため、蓋ハウジング3が閉じることによって作動棒21Aが押し上げられ、図16に二点鎖線で示すように、作動棒21Aが閉蓋検出スイッチ7Aの作動体7A1を矢印Y方向へ押す際も、作動棒21Aが逃げる(閉蓋検出スイッチ7Aから遠ざかる)ことが抑制され、閉蓋検出スイッチ7AのON又はOFFの動作時点が安定になる。
【0028】
これは、右側の閉蓋検出スイッチ7Bについても同様のことが考慮されるため、同様の構成となっている。即ち、上記のように、0.8mmのずれがあることにより、上記の直径での0.3mmの差によって作動棒21Bが逃げる(閉蓋検出スイッチ7Bから遠ざかる)状態となると、閉蓋検出スイッチ7BごとにスイッチがON又はOFFする時点が異なり、閉蓋検出スイッチ7BがON又はOFFしない状態が発生する懸念が生じる。これを防止するために、図14及び図16に示すように、右側の一対の孔P21の中心とP22の中心が同一軸線上ではなく、下方の孔P21の中心(孔P21の位置)に対し上方の孔P22の中心(孔P22の位置)が内側にLLだけ寄った位置(閉蓋検出スイッチ7Bの作動体7B1に近づく位置)であって、作動棒21Bは右側の一対の孔P21とP22を貫通して上下動可能である。この状態によって、図16に示すように、下側の孔P21では作動棒21Bの左側が孔P21の左側で接触し、上側の孔P22では作動棒21Bの右側が孔P22の右側で接触した状態であって、作動棒21Bは支持基板14の下辺14Pと上辺14Rに垂直状態に保持された状態である。
【0029】
即ち、作動棒21Bは、上側の孔P22では閉蓋検出スイッチ7Bの作動体7B1から遠い方の面が孔P22の壁と接触し(この接触は上下方向の線接触となる)、下側の孔P21では作動体7B1に近い方の面が孔P21の壁と接触し(この接触は上下方向の線接触となる)、作動棒21Bは支持基板14の下辺14Pと上辺14Rに垂直状態に保持された状態となる。
【0030】
このため、蓋ハウジング3が閉じることによって作動棒21Bが押し上げられ、図16に二点鎖線で示すように、作動棒21Bが閉蓋検出スイッチ7Bの作動体7B1を矢印W方向へ押す際も、作動棒21Bが逃げる(閉蓋検出スイッチ7Bから遠ざかる)ことが抑制され、閉蓋検出スイッチ7BのON又はOFFの動作時点が安定になる。
【0031】
上記のように、コイルバネ13のバネ力に抗して握り取っ手部3Aと共に操作取っ手12を手で握ることによって、蓋5のロック状態が外れるため、高圧蒸気滅菌器1の運転中に、この操作がなされるとチャンバー4内の高圧蒸気が漏れて危険である。このため、高圧蒸気滅菌器1の運転中は、操作取っ手12が前方に移動できないように、副制御部SCの動作に基づき作動するよう、操作取っ手12のロック装置としてソレノイド式ロック装置24を蓋ハウジング3内に設けている。図7乃至図10に示すように、ソレノイド式ロック装置24は、支持基板14の下辺14Pに取り付けたソレノイド25と、ソレノイド25の通電のON又はOFFによって長く突出するプランジャ26を備える。プランジャ26の水平方向の作動の安定化と、取っ手ロック状態の安定保持ために、常時、支持基板14から立ち上がる支持辺14Aの孔14Bを貫通した状態であり、ソレノイド25のON又はOFFによって突出したプランジャ26が、操作取っ手12と一体である作用部17の一部に形成した垂下辺27の孔27Aを貫通する。このため、操作取っ手12の握り操作を行なっても、操作取っ手12と作用部17を前方へ引くことができず、ロックアーム10A、10Bの爪部10A1、10B1が蓋5の係止部11、11に係止しているロック状態を外すことができない構成である。
【0032】
一つの方法として、ソレノイド25は、非通電(OFF)によってプランジャ26を退避させて、操作取っ手12を握ることによって、蓋ハウジング3を開く(蓋5がチャンバー4の上面開口4Aを開く)ことができる非ロック状態とし、通電(ON)によってプランジャ26を突出させて、上記のように操作取っ手12をロック状態に拘束して、蓋ハウジング3を開くことができない状態(蓋5がチャンバー4の上面開口4Aを閉じた状態)とするように制御することができる。この場合、高圧蒸気滅菌器1の電源スイッチのON状態において、チャンバー4内の温度と圧力が低下した安全状態であれば、主制御部MCに基づきソレノイド25を非通電(OFF)として非ロック状態とし、高圧蒸気滅菌器1の運転中はソレノイド25を通電(ON)としてロック状態とする。そして、上記のように、滅菌動作を行い所定の運転モードの終了によってチャンバー4内の温度と圧力が低下した安全状態において、主制御部MCに基づき、ソレノイド25を非通電(OFF)して、蓋ハウジング3を開く(蓋5がチャンバー4の上面開口4Aを開く)ことができる非ロック状態となる。また、高圧蒸気滅菌器1の運転中の停電や電源スイッチのOFF等に基づく電源OFFの際には、ソレノイドが非通電(OFF)となるため、操作取っ手12がロック状態で拘束されることはない。
【0033】
図1及び図11に示すように、蓋ハウジング3の前部には、高圧蒸気滅菌器1の動作条件や動作モードを設定する設定部31と、動作条件や動作モードを表示する表示部32と、スピーカSP等を備えた操作部30が設けられている。表示部32は、温度表示部32Aと、時間表示部32Bと、コース(動作モード)表示部32Cと、プロセス表示部32Dを備えている。設定部31は、時刻設定部31A、予約設定部31B、コース選択部31C、設定確認部31D、スタート部31E、ストップ部31F、温度や時間の設定値のアップダウン部31G等を備えている。コース選択部31CのONごとにコース(動作モード)表示部32Cの各コースの左側のLED32C1の点灯位置が切り替わり、選択したコースを表示すると共に、プロセス表示部32Dの各LED32D1の点灯位置が切り替わって、選択したコースのプロセスが表示される。設定部31と表示部32は、副制御部SCに接続されてデータ(情報又は信号)の授受を行ない、主制御部MCの制御の下で副制御部SCとのデータ(情報又は信号)の授受によって、設定部31の操作に基づき表示部32が動作する。
【0034】
滅菌器本体2は、底部4隅にキャスタ33を備え、前面左側部には排気容器34を前面から着脱自在に収納し、前面右側部には針式表示の圧力計35を備えている。図4は配管系統図であり、チャンバー4の内底部に蒸気発生手段として、水槽37と、水槽37内の水中に配置したシーズヒータ等のヒータ36を備え、チャンバー4の側面には、圧力安全弁38、圧力計35に連結した圧力抜きパイプ39、途中に電磁弁式の排気バルブ40を備え先端を排気容器34内の水中に開放した排気パイプ41、真空破壊弁42とディジタル式圧力センサ43を接続した導出パイプ44等が接続されている。排気パイプ41と導出パイプ44の入口付近とチャンバー4の中間高さ位置には、それぞれ温度センサ45、46、47が接続されている。
【0035】
チャンバー4の底面には、途中に排水電磁弁48と手動式排水弁49を直列に連結し、先端を排気容器34の下方において滅菌器本体2の前面に開放した排水管50を連結している。手動式排水弁49はハンドル52の回動操作によりバルブ開閉を行うものであり、主制御部MCによって制御されるソレノイド式プランジャ51によってハンドル52の回動操作が可能状態と不可能状態に制御される。
【0036】
図4及び図12に示すように、主制御部MCは、マイクロコンピュータ等にて構成された制御手段であり、マイクロコンピュータ等にて構成された副制御部SCとのデータ(情報又は信号)の授受や、ディジタル式圧力センサ43、温度センサ45、46、47からのデータ(情報又は信号)に基づいて、ヒータ36、排気バルブ40、排水電磁弁48、ソレノイド式プランジャ51等への通電制御を予め設定した所定のシーケンスに従って行うものである。副制御部SCには、設定部31と閉蓋検出スイッチ7A、7Bのデータ(情報又は信号)が入力し、表示部32等を制御する。
【0037】
次に、高圧蒸気滅菌器1の滅菌動作の一つについて説明する。図5には高圧蒸気滅菌器1の動作工程を示しており、これを参照して動作を説明する。上記のように、電源スイッチのONによって、操作取っ手12は、ソレノイド25によりプランジャ26が退避した非ロック状態となり、上記のように操作取っ手12を握ることにより、ロックアーム10A、10Bが外側に向けて回動して、蓋ハウジング3を開く(蓋5がチャンバー4の上面開口4Aを開く)ことができる状態となる。この状態で、操作取っ手12を握って蓋ハウジング3を開き、チャンバー4の上面開口4Aから所定量の水を水槽37内に注入した後、チャンバー4内にダーラム管等の被滅菌物を収納して、蓋ハウジング3を閉じる(蓋5がチャンバー4の上面開口4Aを閉じる)。
【0038】
蓋ハウジング3を閉じる(蓋5がチャンバー4の上面開口4Aを閉じる)ことによって、上記のように、ロックアーム10A、10Bがコイルバネ19によって復帰し、爪部10A1、10B1が蓋5の係止部11、11の上に係止する状態となる。これと共に、作動棒21A、21Bが押し上げられることによって、閉蓋検出スイッチ7A、7Bのそれぞれの作動体7A1、7B1が押され、閉蓋検出スイッチ7A、7BがON又はOFFへ切り替わり、そのデータ(情報又は信号)に基づき、副制御部SCが閉蓋状態を検出する。
【0039】
このように蓋ハウジング3が正規の閉じた状態(蓋5がチャンバー4の上面開口4Aを閉じた状態)によって、そのときの閉蓋検出スイッチ7A、7Bの状態のデータ(情報又は信号)が副制御部SCに入力し、副制御部SCからのデータ(情報又は信号)に基づき主制御部MCが、蓋ハウジング3が正規の閉じた状態(蓋5がチャンバー4の上面開口4Aを閉じた状態)であると判定し、スタート部31Eを押すことにより、高圧蒸気滅菌器1の運転を開始できる状態となる。
【0040】
このように高圧蒸気滅菌器1の運転を開始できる状態において、蓋ハウジング3の前部に設けた設定部31を操作し、どのコースで滅菌するかの選択をコース選択部31Cによって行ない、選択したコースに応じてコース(動作モード)表示部32CのLEDが点灯し、温度表示部32Aを見て、滅菌設定温度や排気温度等を変更したいときは、アップダウン部31Gによって所定値に設定した後、OKならば設定確認部31DをONする。
【0041】
高圧蒸気滅菌器1の運転を開始すべく、スタート部31Eを押してONすることによって、ソレノイド25を通電(ON)とし、上記のようにプランジャ26が突出して、操作取っ手12をロック状態に拘束する。これによって、図5に示すように時刻T1から滅菌工程が開始される。滅菌工程の開始によって、前記設定部31の操作に基づく副制御部SCからのデータ(情報又は信号)に基づき、主制御部MCによって図5に示すように時刻T1から滅菌工程が開始され、リレーがON してヒータ36へ通電する。
【0042】
上記の場合、選択したコースを予約し、希望時刻に滅菌を開始する場合は、予約設定部31BをONして、時刻設定部31AをONして希望時刻をアップダウン部31Gによって設定し、OKならば設定確認部31DをONする。また、温度表示部32Aを見つつ、滅菌設定温度や排気温度等をアップダウン部31Gによって設定した後、OKならば設定確認部31DをONする。そして、高圧蒸気滅菌器1の運転を開始すべく、スタート部31Eを押してONして待機することとなる。
【0043】
運転開始時、即ち、スタート部31Eが押されてスタート信号が入力されたとき、これらの閉蓋検出スイッチ7A、7Bの少なくとも一つが、上記のような正規の状態を検出していないときは、そのデータ(情報又は信号)が副制御部SCに入力し、主制御部MCが高圧蒸気滅菌器1の運転を開始しないように制御すると共に、スピーカSPからの発音にて正規の状態でないことを音声合成手段によってスピーカSPから警告音声を発すると共に、滅菌工程は開始せず停止状態となる。これらの閉蓋検出スイッチ7A、7Bの状態の検出方式の一つとして、副制御部SCからこれらのスイッチへ発せられるチェックデータ(情報又は信号)の応答によって確認される方式がある。
【0044】
上記の滅菌工程の開始によって、ヒータ36によって水槽37内の水が加熱され、チャンバー4内に水蒸気を発生し、主制御部MCによって、温度センサ40の検出に基づきチャンバー4内の空気や水分を排気バルブ40から外部に排出する動作を繰り返し行い、チャンバー4内の温度が予め設定した沸点に所定回数到達するすると、排気バルブ40を閉じて空気抜き工程を終了して加熱工程に移行する。
【0045】
この加熱工程にてチャンバー4内の温度が滅菌設定温度に到達すると滅菌工程に移行し、主制御部MCによって、ヒータ36へ通電をON−OFF制御して滅菌動作を行い、時刻T2で滅菌設定時間が終了するとリレーをOFFしてヒータ36へ通電OFFする。これと共に主制御部MCによって、排気バルブ40を開いて冷却工程に移行し、例えば時刻T3にて圧力センサ43にて検出するチャンバー4内の圧力が所定の安全な圧力である大気圧に低下すると、ソレノイド25を非通電(OFF)して、上記のようにプランジャ26が退避して、操作取っ手12を非ロック状態とし、操作取っ手12を握って蓋ハウジング3を開く(蓋5がチャンバー4の上面開口4Aを開く)ことができる状態となる。
【0046】
上記の構成において、チャンバー4内が大気圧を超えている場合は、プランジャ51によってハンドル52の回動操作を不可能状態に制御して、排水弁49の開閉操作を阻止するため、誤ってハンドル52が回動操作されて排水弁49が開くことによる高温高圧蒸気の噴出を防止している。また、主制御部MCによって、チャンバー4内が大気圧を超えている場合は、排水電磁弁48を閉じるように制御するため、チャンバー4内を加圧している時に排水管50が開放されることがなく、安定且つ安全な動作が得られるものとなる。
【0047】
上記のように、閉蓋検出スイッチ7を設けて、このスイッチ7によって蓋ハウジング3が正規の閉じた状態にない場合には、高圧蒸気滅菌器1の運転を開始しないため、安全性である。
【0048】
また、閉蓋検出スイッチ7A、7Bを左右2箇所に設けるため、蓋ハウジング3が偏って閉じられる等、正規の閉じられ方をしていない場合には、閉蓋検出スイッチ7A、7Bの一方によってその状態を検出できるため、運転開始時の安全確保が更に向上したものとなる。
【0049】
また、運転中は操作取っ手12を握っても前方に移動できないように保持するソレノイド式ロック装置24の作用によって、運転中に誤って蓋が開かれることにより、使用者が火傷等の損傷を受けることがないような安全性の向上が図られている。
【0050】
また、滅菌器本体2に設けた主制御部MCの統括制御の下で、蓋ハウジング3に設けた操作部30の制御と、閉蓋検出スイッチ7A、7Bの動作検知と、ソレノイド25の制御を副制御部SCで行う分担制御方式が採用できるため、蓋ハウジング3に動作モード等の設定部31と動作モード等の表示部32を備えた操作部30を配置して、操作性の向上等を図る構成を採用することに適したものとなる。
【0051】
更に、滅菌器本体2側の主制御部MCと蓋ハウジング3側の副制御部SCは、マイクロコンピュータ制御方式によるものであり、実施例では6本のライン数で結合されるように、ライン数が限られた本数で達成できるものとなり、配線が簡素化され、組み立てし易いものとなる。
【0052】
上記のように、主制御部MCは、副制御部SCとのデータ(情報又は信号)の授受や、圧力センサ43、温度センサ45、46、47からのデータ(情報又は信号)に基づいて、ヒータ36や排気バルブ40等への通電制御を予め設定した所定のシーケンスに従って行うものであるため、主制御部MCは、副制御部SCとのデータ(情報又は信号)の授受や、圧力センサ43、温度センサ45、46、47からの異常データ(情報又は信号)に基づき警告モードとなり、これをスピーカSPからの発音にて警告する。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は上記実施例に示した構成に限定されず、種々の形態の高圧蒸気滅菌器に適用できるものであり、本発明の技術範囲において種々の形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0054】
1・・・・・高圧蒸気滅菌器
2・・・・・滅菌器本体
2A・・・・滅菌器本体の上壁
3・・・・・蓋ハウジング
3A・・・・握り取っ手部
4・・・・・チャンバー
4A・・・・チャンバーの上面開口
5・・・・・蓋
7・・・・・閉蓋検出スイッチ
7A、7B・・・閉蓋検出スイッチ
7A1、7B1・・・閉蓋検出スイッチの作動体
8・・・・・軸
9・・・・・支持部
10・・・・ロックアーム
10A、10B・・・ロックアーム
10A1、10B1・・・ロックアームの爪部
10A3、10B3・・・ロックアームの係止部
11・・・・係止部
12・・・・操作取っ手
13・・・・コイルバネ
14・・・・支持基板
14P・・・下辺(底壁)
14Q・・・縦壁(背壁)
14R・・・上辺(上壁)
15・・・・長孔
16・・・・ガイドピン
17・・・・作用部
17A、17B・・・・作用腕
18・・・・ヒンジ部
19・・・・コイルバネ
20・・・・保持部材
20A・・・排水孔
21A、21B・・・・作動棒
22A、22B・・・・コイルバネ
23A、23B・・・・ストッパ
24・・・・ソレノイド式ロック装置
25・・・・ソレノイド
26・・・・プランジャ
27・・・・垂下辺
27A・・・垂下辺の孔
30・・・・操作部
31・・・・設定部
32・・・・表示部
33・・・・キャスタ
34・・・・排気容器
35・・・・圧力計
36・・・・ヒータ
37・・・・水槽
38・・・・圧力安弁
39・・・・圧力抜きパイプ
40・・・・排気バルブ
41・・・・排気パイプ
42・・・・真空破壊弁
43・・・・ディジタル式圧力センサ
45、46、47・・・・温度センサ
48・・・・排水電磁弁
49・・・・手動式排水弁
50・・・・排水管
LK・・・・ロック手段
MC・・・・主制御部
SC・・・・副制御部
SP・・・・スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌器本体内に設けた上面開口のチャンバーと、前記滅菌器本体の上部に開閉自在にヒンジ部で支持された蓋ハウジングに前記チャンバーの上面開口を密閉する蓋を備え、前記滅菌器本体に対して前記蓋ハウジングが閉じることによって上方へ移動する作動棒によって閉蓋状態を検出するようスイッチ動作する左右配置の閉蓋検出スイッチを備え、前記高圧蒸気滅菌器の運転開始時に前記閉蓋検出スイッチの全てが検出していないときは運転を開始しないように制御する制御部を備え、前記チャンバー内に収納された被滅菌物を高圧蒸気下で滅菌する高圧蒸気滅菌器において、前記蓋ハウジングの前部に縦壁から平行に延びた下辺及び上辺を形成した支持基板が設けられ、前記各閉蓋検出スイッチは前記支持基板の上辺上に左右配置され、前記作動棒は前記各閉蓋検出スイッチのそれぞれの作動体に対応して前記支持基板の上辺及び下辺の孔に挿通状態に配置されコイルバネによって前記蓋ハウジングの下方へ延出する状態に付勢され、前記各作動棒は、前記上辺の孔では対応する前記閉蓋検出スイッチの作動体から遠い方の面がこの孔の壁と接触すると共に、前記下辺の孔では前記作動体に近い方の面がこの孔の壁と接触し、前記各作動棒が前記上辺及び前記下辺に垂直状態に保持される状態に前記上辺及び前記下辺の孔位置を設定したことを特徴とする高圧蒸気滅菌器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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