説明

高圧領域内温度測定用シース熱電対、及びその製造方法

【課題】保護管を用いずにシース熱電対を直接容器内の流体に曝す手法において、容器内流体が高圧の場合に、容器に固定することの可能なシース熱電対を提供することを目的とする。
【解決手段】シース熱電対10のシース管における中程部分が厚肉に形成され、これにより中程部分10bの外径が測温部分10a並びに根元側部分10c,10dの外径よりも太く構成されたものである。容器内が高圧であることを利用し、中程部分10bが太いから、シース熱電対10が抜けずに固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧容器等内の温度を測定する為のシース熱電対、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5はシース熱電対60を表す断面図であり、(a)はその縦断面、(b)はその横断面を示している。シース熱電対60は、管状の金属製シース管61内に、無機絶縁材62を介在させて熱電対素線63a,63bを収容したものである。無機絶縁材62としては酸化マグネシウムやアルミナ等が挙げられ、熱電対素線63a,63bとしてはクロメル(+脚)−アルメル(−脚)、ナイクロシル(+脚)−ナイシル(−脚)、白金13%ロジウム(+脚)−白金(−脚)、鉄(+脚)−コンスタン(−脚)等が挙げられ、金属製シース管61としてはSUS310,SUS316,SUS347等のステンレス鋼などが挙げられる。
【0003】
シース熱電対60の根元側端末には、エポキシ樹脂等によるシール(防湿シール64)がされており、シース管61内に湿気が侵入して絶縁材62の絶縁低下が生じることのないようにしている。またシース熱電対端末からは熱電対素線63a,63bが延びており、測定器に信号を伝送するようになっている。尚この外部に延び出た熱電対素線63a,63bは絶縁チューブ65により覆われている。その他、シース熱電対60の端末側には、熱電対素線63a,63bと補償導線の接続部を収納するスリーブや、この接続の為の端子台を収納した端子箱が設けられる場合もある。
【0004】
シース熱電対60は、温度測定の要である熱電対素線63a,63bが外気から遮断されているので、酸化性雰囲気や腐食性雰囲気といった過酷な条件下での使用においても耐え得る利点がある。またシース管61から熱電対素線63a,63bの測温接点までの間が絶縁材62で満たされているので、シース管61外面から測温接点までの熱伝導が良好で、比較的速い応答速度を示すという特長もある。
【0005】
容器内の流体の温度測定にあたっては、容器の壁66から挿入固定した保護管67に、シース熱電対60を挿入して行われる(図6:保護管を用いた温度測定手法を説明する為の断面図)(従来例[1])。上記容器壁66への保護管67の固定方法としては、溶接の他、容器壁の取付孔内面と保護管の外面との螺合による取付、保護管外側に設けたフランジによるフランジ接続等がある。
【0006】
保護管の形状としては、(1)図6に示す如くのストレート型の他、(2)先端部の外形をテーパ状に細くして容器壁への取付を容易にすると共に、細くすることよる先端部の低熱容量化によって温度測定の応答速度の向上を図ったもの、(3)保護管の内壁面に段をつけて先端部の穴径を小さくし、これによりシース熱電対との接触を良好にして温度測定の応答速度の向上を図ったものが提案されている。
【0007】
保護管へのシース熱電対の固定方法としては、保護管の内壁面に形成された雌ネジ部とシース熱電対の外壁面に形成された雄ネジ部とを螺合する方法や、保護管に螺着した締付部材により断熱弾性部材を介してシース熱電対を締め付け固定する方法(例えば特許文献1参照)等が挙げられる。
【0008】
更に保護管を用いずに、シース熱電対を直接容器内の流体に挿入することとし、容器に取り付けた締付部材により断熱弾性部材を介してシース熱電対を締め付け固定する方法も提案されている(従来例[2])(例えば特許文献1(図2,3)参照)。
【特許文献1】特開2006−58231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の様な保護管を用いずにシース熱電対を直接容器内の流体に曝す手法によれば、保護管を介さずに流体温度を測定することができるので、応答速度が速いという利点がある。しかしながら、上記従来の方法(従来例[2])は、シース熱電対をその側面より断熱弾性部材を介して締め付け固定する方法であることから、容器内流体の圧力が高い場合には当該締め付け力では抗しきれない。
【0010】
この為、温度測定の応答速度に劣るものの、やはり保護管を用いることとし、上記容器に溶接等で固定した保護管によって圧力に抵抗し、該保護管にシース熱電対を挿入して温度測定をするという方法を採用せざるを得ない。
【0011】
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、保護管を用いずにシース熱電対を直接容器内の流体に曝す手法において、容器内流体が高圧の場合に、容器に固定することの可能なシース熱電対を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る高圧領域内温度測定用シース熱電対は、高圧領域内に挿入されるシース熱電対であって、該シース熱電対は、シース管の内部に熱電対素線が挿通されると共に絶縁材が充填されたものであり、前記シース管が、中程部分を厚肉に形成して、外径を測温部分並びに根元側部分よりも太く構成されたものであることを特徴とする。つまり本発明のシース管は、その肉厚が測温部分に比べて中程部分が厚く、且つこの中程部分に比べて根元側部分が薄く構成され、これによりシース熱電対の中程部分の外径が、測温部分並びに根元側部分の外径よりも太く構成されたものである。尚上記「高圧領域内」とは、「内部が高圧の容器内」や「内部が高圧の配管内」のことであり、本発明のシース熱電対は、斯様な内部が高圧の容器等内の流体温度を測定する為のものである。
【0013】
本発明のシース熱電対は、容器或いは配管(これらを代表して、容器と称することがある)の壁に形成された取付孔より、容器内側にシース熱電対の測温部分ないし中程部分が位置する様に取り付けられる。そして上記の様にシース熱電対の中程部分の太さ(外径)が太いから、容器の取付孔の孔径(或いはこの容器取付孔に装着したアダプターの孔径)を、シース熱電対の根元側部分を挿通可能で且つ中程部分の外径より小さく構成することにより、容器内が高圧であることを利用して、上記中程部分(太い部分)によって抜けずに固定することができる。
【0014】
また容器内の流体によってシース熱電対が折れ曲がる方向に力が加えられた場合において、仮にシース熱電対が一定の太さであると、先部分に比べて容器取り付け孔近傍の部分に大きな力が加わり、この容器取り付け孔近傍の部分が折れ曲がることになる。しかし本発明では、シース熱電対の中程部分のシース管肉厚が厚いので、曲げ方向の力に対して抵抗力が高い。従って折れ曲がり難い。
【0015】
上述の如く本発明はシース管の中程部分の肉厚が厚いものであるが、該肉厚はシース管の外径(当該中程部分の外径)の15%以上であることが好ましい。十分に厚くないと、上述の曲げに対する抵抗力を発揮し難いからである。より好ましい肉厚はシース管外径の20%以上である。
【0016】
また本発明においては、前記根元側部分の表面が滑らかであることが好ましい。根元側部分が容器壁の取付孔(或いはこの容器取付孔に装着したアダプター等の取付孔)の部分に位置することになるが、これら根元側部分と容器壁取付孔との間に形成される隙間にOリングを配してシールする場合、上記の様に根元側部分が滑らかに構成されていると、Oリングとの密着性が増し、好ましい。尚、上記根元側部分の表面粗さとしてはJIS B0601 中心線平均粗さで0.8μmが推奨される。
【0017】
本発明に係る製造方法は、前記高圧領域内温度測定用シース熱電対の製造方法であって、原材料のシース管として、その外径比率で表される肉厚が前記中程部分の外径比率で表される肉厚と同じか或いは厚いシース管を用い、このシース管の内部への熱電対素線の挿通、並びに絶縁材の充填を行う工程(ケーブル作製工程)と、前記シース管の外面切削により、シース管厚みの薄い前記測温部分と前記根元側部分を形成する工程(外面切削工程)とを備えたことを特徴とする。
【0018】
この様に予め肉厚の厚いシース管を用いて、切削により所望の厚さにするという方法によれば、シース管の肉厚が部分によって異なるシース熱電対を、容易に製造することができる。
【0019】
因みに一般的なシース熱電対の製造法として、出来上がりのシース熱電対より太いケーブルを作製後、これを引抜加工して所望の寸法にするという方法がとられるが、本発明においても、太いケーブルを作製(ケーブル作製工程)後、所望の寸法まで引抜加工し、次いでシース管外面の切削(外面切削工程)を行っても良い。尚この様な引抜加工をする前後において、外径比率で表される肉厚にはほぼ変化がない。また本発明において、原材料のシース管として出来上がりのシース管中程部分の肉厚と同じか或いは厚いものを用い、ケーブルを作製した(ケーブル作製工程)後、これを切削する(外面切削工程)ようにしても勿論良い。
【0020】
なお上述の如く本発明のシース熱電対では、シース管の中程部分の肉厚を厚くした方がよりシース熱電対中程部分の外径が太くなるので、強度の観点や容器の取付孔への固定の観点から好ましいのであるが、シース管中程部分の肉厚が非常に厚いシース熱電対を製造する場合には、上記外面切削工程において測温部分と根元側部分の切削量が多くなり、切削に長時間を要する上、製造コストが高くなる懸念がある。従って、本発明のシース熱電対におけるシース管の中程部分の肉厚としては、過度に厚くするのではなく、上記強度や容器取付孔への固定の観点を勘案しつつ、必要最小限とするのが望ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る高圧領域内温度測定用シース熱電対によれば、容器への取付にあたって保護管を用いなくても、該シース熱電対を容器の取付孔に固定することができる。この様にシース熱電対の取付にあたって保護管を用いる必要がないから、シース熱電対を直接容器内の流体(高圧領域内の流体)に曝すことができて、温度測定の応答速度が速くなる。加えて従来の如く保護管を用いた場合、特に挿入超が短いときには、保護管の外気露出部分の温度の影響が挿入側先端にまで伝わり、シース熱電対の温度測定が不正確となる懸念があったが、本発明では上記の如くシース熱電対の先端部分(測温接点の位置)を容器内流体に直接曝すことができるので、正確な温度測定が可能となる。
【0022】
また仮に上記従来の断熱弾性部材を介しての締め付け固定方法(従来例[2])を採用して、シース熱電対を直接容器内に挿入するとしても、高圧流体の圧力に抵抗する為に別途、シース管にフランジを溶接したり、大きな継手等を用いたりする必要があり、これらフランジ等の放熱による影響をシース熱電対が受けて正確な計測が困難となる。しかしこの点において本発明のシース熱電対では、上述の様に容器内の高圧を利用したシース熱電対の太い中程部分の押しつけによって固定することが可能であることから、大きな金具等があまり必要ではなく、従って上記放熱の問題が低減され、正確な温度測定が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は本発明の一実施形態に係る高圧領域内温度測定用シース熱電対10を示す縦断面図である。尚、図5と同じ構成部分については同一の符号を付して重複説明を避ける。
【0024】
シース熱電対10のシース管11(例えばステンレス鋼製)は内径W2が一定である一方で、その肉厚が軸線方向に部分によって異なっており、よってシース熱電対10の外径も軸線方向の部分によって異なっている。シース管11は軸線方向に太さ違いで大きく3つの部分、即ち測温部分11a、中程部分11b、根元側部分に分けられ、この根元側部分は更に中程隣根元側部分11cと端末部分11dに分けられる。それぞれの肉厚は測温部分11a、中程隣根元側部分11c、端末部分11d(肉厚Wa1,Wc1,Wd1)についてはシース管外径Wa0,Wc0,Wd0の10〜15%で、中程部分11b(肉厚Wb1)についてはシース管外径Wb0の15〜25%となっている。即ち中程部分11bは他の部分よりも厚くなっており、この為シース熱電対10の外径としても、測温部分10aや中程隣根元側部分10c、端末部分10dに比べて中程部分10bが太くなっている。尚、中程隣根元側部分11cの肉厚Wc1に比べ端末部分11dの肉厚Wd1は少々薄くなっており、従ってシース熱電対10の外径も中程隣根元側部分10cに比べて端末部分10dが一段細くなっている。
【0025】
シース管11の中程隣根元側部分11cの外壁表面は、表面粗さが0.8μm(JIS B0601 中心線平均粗さによる)であり、滑らかである。
【0026】
このシース管11内にはその軸線方向に熱電対素線63a,63bが挿通され、先端部分においてこれら熱電対素線63a,63bが接合されて測定点63cを形成している。またこれら熱電対素線63a,63b同士また熱電対素線63a,63bとシース管11を電気的に絶縁する為に、絶縁材12として例えば酸化マグネシウムが充填されている。尚、酸化マグネシウムは粉粒体であることから、一般的なシース熱電対においては充填密度70%(残りの30%は空気となる)で充填されているが、本実施形態においては80%であり、充填密度が高いものとなっている。
【0027】
次に上記シース熱電対10の製造方法について述べる。図2はこの製造方法を説明する為の縦断面図である。
【0028】
原材料のシース管11として、中程部分11bの肉厚Wb1と同じ外径比率の肉厚のステンレス鋼製管を準備し、この原材料シース管11の内部に熱電対素線63a,63bを挿通して位置を固定し、絶縁材(酸化マグネシウム)12を充填する(ケーブル作製工程)。この様にして作製したケーブルを、スエージングにより一段階細くして、絶縁材12の充填密度が80%以上となる様にする。次いで冷間引抜加工によって所定の寸法にし、図2(a)に示す如くのMIケーブル(Mineral Insulator cable)を得る。
【0029】
このMIケーブルのうちの測温部分10a、中程隣根元側部分10c、端末部分10dに対応する箇所における金属シース管11の外面を、旋盤等の切削機械を用いて削り(外面切削工程)、図2(b)に示す様に、シース管11肉厚の薄い測温部分11a、中程隣根元側部分11c、端末部分11dを形成する。なお測温部分11a及び中程隣根元側部分11cの肉厚は従来のシース熱電対のシース管と同程度である。更に中程隣根元側部分11cの表面を鏡面に仕上げて、表面粗さ0.8μm(JIS B0601中心線平均粗さ)とする。
【0030】
その後、図1に示す様に、先端部分において熱電対素線63a,63bを溶融接合して測定点63cを形成し、シース管11先端を溶融して管を閉じ、また防湿の目的で、末端の開口部分にエポキシ樹脂を塗布して硬化させ(防湿シール64)、管を塞ぐ。末端から導出される熱電対素線63a,63bを絶縁チューブ65で被覆する。
【0031】
なおMIケーブルのシース管厚みとしてシース管中程部分11bの肉厚Wb1よりも厚いものも用い、上記測温部分11a等の切削時にシース管中程部分11bも切削して肉厚Wb1にする様にしても良い。
【0032】
次に上記実施形態のシース熱電対10の使用方法について述べる。図3は本発明の一実施形態の高圧領域内温度測定用シース熱電対10の使用状態を示す断面図である。
【0033】
シース熱電対10の中程部分10bから中程隣根元側部分10cにかけた肩口部分に、ろう付やスポット溶接により取付金具(アダプター)15を取り付ける。一方、容器の壁66に取付孔68を形成すると共に、この取付孔68に続く様に管状の取付部材67をスポット溶接等により接続しておく(図中、71は取付孔68に続く取付部材67の挿通孔である)。尚容器壁66への取付部材67の取付方法は、上記スポット溶接の他、銀ろうを用いたろう付や、取付治具による固定によっても良い。
【0034】
この取付部材67の内側窪み部67aにゴム製Oリング16を嵌め込み、上記取付金具15付きのシース熱電対10を、容器の内部側から上記取付孔68に挿入する。
【0035】
容器の使用時においては、容器内部が高圧になっていることから、シース熱電対10はその中程部分10bの肩口が取付金具15を介して容器の取付孔周囲部分66bに向かって押し付けられているので、その位置に強固に保持される。
【0036】
ところで、容器壁の取付孔68や取付部材67の挿通孔71とシース熱電対10との間に隙間が形成されるが、この隙間はOリング16によってシールされる。上記の如くシース熱電対10の飛出し防止は中程部分10bによってなされているから、Oリング16には容器内流体の圧力が上記隙間を通してかかるのみで、その力は小さいものである。従ってOリングという簡単な部材で容器を密封状態とすることが可能である。しかも本実施形態では、取付部材67の内側窪み部67aにOリングが嵌め込まれた形で取り付けられており、シース熱電対10と挿通孔71等との隙間から加わる流体圧力に対して、Oリング自身の厚みとして十分に厚いものを使用することができるので、シール性も良好である。
【0037】
なお上記の通り中程隣根元側部分10cの表面は鏡面に仕上げられているから、Oリング16との密着性が良い。また端末部分10dが一段細くなっているから、シース熱電対10をOリング16に挿入し易い。
【0038】
更にシース熱電対10の中程部分10bにおけるシース管肉厚(Wb1)が厚いので、流体による曲げ方向の力に対して抵抗力が高い。加えて絶縁材12の充填密度が80%と高いので、高い圧力に対しても座屈し難い。
【0039】
そして保護管を用いずに、容器内流体の温度を直接シース熱電対10によって測る構成であるので、温度測定の応答速度が速く、従来の様に保護管から伝達される外部温度の影響の懸念もない。
【0040】
尚上記使用方法の例では、取付金具15を用いた場合を示したが、取付金具15を用いずに、直接シース熱電対10の中程部分10bの肩口が容器の取付孔周囲部分66bに当接する構成としても良い。
【0041】
<実施例>
図4は本発明の一実験例に係るシース熱電対20(取付金具25を装着した状態のもの)の側面図である。
【0042】
この実験例のシース熱電対20の熱電対素線はKタイプであり、型式は非接地型である。熱電対素線の直径は0.2mmであり、シース熱電対20の末端から延びた熱電対素線63a,63bに、直径0.32mmの熱電対素線69a,69bが銀ろう付により接続されている(接続箇所A)。尚この様にソース熱電対20内の熱電対素線よりも太いものを用いる理由は、取り扱い時の断線防止の為である。シース熱電対20の末端はエポキシ樹脂の塗布により防湿され(防湿シール64)、このシース熱電対末端より先の熱電対素線はポリイミド製絶縁チューブ65で被覆されている。
【0043】
絶縁材は酸化マグネシウムで、シース管の材質はSUS316Lである。シース熱電対20の測温部分20aは外径が約2mm、長さが15〜30mm、中程部分20bは外径が約3.5mm、中程隣根元側部分20cは外径が約2mmである。中程隣根元側部分20cの表面粗さは0.8μm(JIS B0601中心線平均粗さ)である。
【0044】
取付金具25の材質はSUS316Lであり、この取付金具25は銀ろう付によりシース熱電対20の中程部分20bの肩口に固定されている。
【0045】
以上、例を挙げて本発明をより具体的に説明したが、本発明はもとより上記例によって制限を受けるものではなく、前記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0046】
例えば熱電対素線としては上記Kタイプに限るものではなく、Rタイプ、Nタイプ等、いずれのタイプであっても良く、また型式も接地型であっても良く、用途によって適宜選択すると良い。またシース材質としても、インコネル600といったニッケル基,コバルト基の高耐熱耐食特殊合金等であっても良く、使用温度や測定対象流体に応じて適宜設定すると良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係る高圧領域内温度測定用シース熱電対を示す縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るシース熱電対の製造方法を説明する為の縦断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る高圧領域内温度測定用シース熱電対の使用状態を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施例に係るシース熱電対に取付金具を装着した状態を表す側面図である。
【図5】従来のシース熱電対を表す断面図である。
【図6】保護管を用いた温度測定手法を説明する為の断面図である。
【符号の説明】
【0048】
10,20 シース熱電対
10a,11a,20a 測温部分
10b,11b,20b 中程部分
10c,11c,20c 中程隣根元側部分
10d,11d,20d 端末部分
11 シース管
12 絶縁材
15 取付金具
16 Oリング
63a,63b 熱電対素線
63c 測定点
66 容器壁
67 取付部材
68 取付孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シース管の内部に熱電対素線が挿通されると共に絶縁材が充填されたものであって、高圧領域内に挿入されるシース熱電対において、
前記シース管は、中程部分を厚肉に形成して、外径を測温部分並びに根元側部分よりも太く構成されたものであることを特徴とする高圧領域内温度測定用シース熱電対。
【請求項2】
前記シース管の中程部分の肉厚が、シース管の外径の15%以上である請求項1に記載の高圧領域内温度測定用シース熱電対。
【請求項3】
前記根元側部分の表面が滑らかである請求項1または2に記載の高圧領域内温度測定用シース熱電対。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のシース熱電対の製造方法であって、
原材料のシース管として、その外径比率で表される肉厚が前記中程部分の外径比率で表される肉厚と同じか或いは厚いシース管を用い、
このシース管の内部への熱電対素線の挿通、並びに絶縁材の充填を行う工程と、
前記シース管の外面切削により、シース管厚みの薄い前記測温部分と前記根元側部分を形成する工程とを備えたことを特徴とする高圧領域内温度測定用シース熱電対の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−96215(P2008−96215A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276810(P2006−276810)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(592216188)株式会社カワサキプレシジョンマシナリ (67)
【出願人】(000140454)株式会社岡崎製作所 (34)
【Fターム(参考)】