説明

高密度ポリオキシメチレン組成物

ポリオキシメチレン;酸化亜鉛、硫酸バリウム、および二酸化チタンから選択される、少なくとも1つの被覆鉱物;ならびに少なくとも1つの熱安定剤を含む高密度ポリオキシメチレン樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオキシメチレン;酸化亜鉛、硫酸バリウム、および二酸化チタンから選択される、少なくとも1つの表面被覆鉱物;および少なくとも1つの熱安定剤を含む安定な高密度ポリオキシメチレン樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー材料は、一般に複雑な形状を有するものを含めて、広範囲の物品を調製するのに有用であり、物品の設計においてかなりの融通性を可能にする。しかし、大部分のポリマーは、金属やセラミックなど、他の一般的に使用される材料より低い密度を有し、ポリマー材料によってより高い設計融通性が提供されているにもかかわらず、高密度材料が必要とされる用途に不適である場合が多い。このような用途は、多くの場合金属またはセラミックの重さおよび感触を有するポリマー物品が望まれる審美学の領域にある。高密度ポリマー材料は、高密度金属粉末および/または金属塩をポリマー材料に添加することによって調製されている。(特許文献1)は、例えばアセタールを含めて、広範囲の熱可塑性樹脂中での、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、およびケイ酸ジルコニウムの1つまたは複数の使用を開示している。
【0003】
ポリオキシメチレン(ポリアセタールとも呼ばれる)は、靭性および剛性、低い摩擦係数、良好な耐溶媒性、ならびに急速に結晶化する能力などの優れた物理的諸特性を有し、それによってポリオキシメチレン樹脂組成物が、多くの厳しい用途に使用するための物品を調製するのに有用になる。多くの用途向けの高密度ポリオキシメチレン組成物が必要とされているが、ポリオキシメチレンは、劣化されやすく、多くの一般的な高密度添加剤の存在下で多くの場合予測不可能に変色および劣化する傾向がある。したがって、過度の劣化または変色を受けない安定な高密度ポリオキシメチレン組成物を得ることが望ましいはずである。
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0 423 510号明細書
【特許文献2】米国特許第5,011,890号明細書
【特許文献3】米国特許第4,766,168号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
簡潔に述べると、本発明の一態様によれば、ポリオキシメチレン組成物であって、
(a)ポリオキシメチレン約20〜約80重量パーセント、
(b)酸化亜鉛、二酸化チタン、および硫酸バリウムからなる群から選択される、少なくとも1つの被覆鉱物約20〜約80重量パーセント、ならびに
(c)少なくとも1つの熱安定剤約0.05〜約4重量パーセント
を含み、
重量百分率が、組成物の全重量を基準にしたものである組成物が提供される。
【0006】
本発明の別の態様によれば、上記のポリオキシメチレン組成物で作製された物品が提供される。この組成物から形成された物品には、カジノまたはポーカーのチップ、および香水ビンのキャップが含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、少なくとも1つのポリオキシメチレン;酸化亜鉛、硫酸バリウム、および二酸化チタンから選択される、少なくとも1つの表面被覆鉱物;ならびに少なくとも1つの熱安定剤を含む高密度ポリオキシメチレン組成物である。
【0008】
本発明で使用されるポリオキシメチレン(すなわち、POMまたはポリアセタール)は、1つまたは複数のホモポリマー、コポリマー、またはその混合物とすることができる。ホモポリマーは、ホルムアルデヒド、および/またはホルムアルデヒドの環状オリゴマーなどのホルムアルデヒド等価物を重合することによって調製される。ホルムアルデヒドおよび/ホルムアルデヒド等価物に加えて、コポリマーは、ポリオキシメチレン組成物を調製する際に一般に使用される1つまたは複数のコモノマーに由来する。一般的に使用されるコモノマーには、連続した2〜12個の炭素原子を有するエーテル単位のポリマー鎖への組込みをもたらすアセタールおよび環状のエーテルが含まれる。コポリマーが選択される場合、コモノマーの量は、20重量パーセントを超えず、好ましくは15重量パーセント以下、最も好ましくは約2重量パーセントである。好ましいコモノマーは、1,3−ジオキソラン、エチレンオキシド、およびブチレンオキシドであり、1,3−ジオキソランがより好ましい。好ましいポリオキシメチレンコポリマーは、コモノマーの量が約2重量パーセントであるコポリマーである。ホモポリマーおよびコポリマーは、1)末端のヒドロキシ基が化学反応によってエンドキャップされて、エステルまたはエーテル基を形成するホモポリマー;あるいは2)完全にはエンドキャップされておらず、コモノマー単位からの遊離のヒドロキシ末端をいくらか有し、あるいはエーテル基で終端されているコポリマーであることも好ましい。ホモポリマー用の好ましい末端基は、アセテートおよびメトキシであり、コポリマー用の好ましい末端基は、ヒドロキシおよびメトキシである。
【0009】
本発明の組成物で使用されるポリオキシメチレンは、分枝状でも線状でもよく、一般に数平均分子量が少なくとも10,000、好ましくは約20,000〜約90,000である。公称孔径60および1000Åのデュポン(DuPont)PSMバイモーダル型カラムキットを使用して、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで、m−クレゾール中、160℃で分子量を好都合に測定することができる。ASTM D1238またはISO 1133を使用して、メルトフローを決定することによって、分子量を測定することもできる。メルトフローは、射出成形の場合には好ましくは0.1〜100g/分、より好ましくは0.5〜60g/分、さらにより好ましくは0.8〜40g/分の範囲である。ポリオキシメチレンは、組成物中に、組成物の全重量を基準にして好ましくは約20〜約80重量パーセント、より好ましくは約35〜約80重量パーセント、さらにより好ましくは約45〜約70重量パーセントで存在する。
【0010】
組成物は、酸化亜鉛、硫酸バリウム、および二酸化チタンの1つまたは複数から選択される鉱物を含む表面被覆された鉱物を含有する。好ましい被覆剤は、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステル、および脂肪酸アミドの1つまたは複数が含まれる。適切な被覆剤には、ポリマー材料も含まれ得る。脂肪酸は、10〜40個(両端の数を含む)の炭素原子を有する直鎖または分枝状の脂肪酸を意味する。脂肪酸エステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステル、より高等のエステルとすることができる。脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステル、および脂肪酸アミドは、飽和でも不飽和でもよい。完全または部分エポキシ化された不飽和脂肪酸、塩、エステル、およびアミドを使用してもよい。適切な表面被覆剤の例としては、モノステアリン酸グリセロール、モノオレイン酸グリセロール、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、アマニ油、大豆油、およびエポキシ化大豆油が挙げられる。被覆鉱物は、鉱物を好ましくは約95〜約99.5重量パーセント、より好ましくは約97〜約99重量パーセント含み、被覆剤を好ましくは約0.5〜5重量パーセント、またはより好ましくは約1〜約3重量パーセント含む。鉱物および被覆剤をミキサーで混転するなど、当技術分野で知られている任意の方法を使用して、被覆剤を鉱物に塗布することができる。
【0011】
被覆鉱物は、組成物の全重量を基準にして好ましくは約20〜約80重量パーセント、より好ましくは約40〜約80重量パーセント、さらにより好ましくは40〜70重量パーセントで存在する。
【0012】
本発明の組成物は、分解からポリマーを安定化し、組成物およびそれから作製された物品から放出されるホルムアルデヒドの量を低減するように働く少なくとも1つの熱安定剤を含有する。安定剤は、好ましくはポリマー鎖の側基としてホルムアルデヒド反応性窒素基を有するポリマー;ポリアミド;ヒドロキシを含むポリマーまたはオリゴマー;あるいはエポキシ基を側基として有するポリマーの1つまたは複数である。
【0013】
本発明で使用されるポリマー鎖の側基としてホルムアルデヒド反応性窒素基を有するポリマー安定剤は、参照により本明細書に援用される米国特許公報(特許文献2)に記載されている。ポリマー鎖の側基としてホルムアルデヒド反応性窒素基を有するポリマー安定剤は、ホモポリマーまたはコポリマーとすることができる。「ホルムアルデヒド反応性窒素基」は、1個、好ましくは2個の水素原子に結合している窒素を含む、ポリマー鎖の側基を意味する。ポリマー鎖の側基としてホルムアルデヒド反応性窒素基を有するポリマー安定剤は、好ましくは少なくとも10個の繰り返し単位を有する。その重量平均分子量は、好ましくは5,000超、より好ましくは10,000超である。
【0014】
例えば、アクリルアミドやメタクリルアミドなど、適切な窒素含有モノマーを使用することによって、ホルムアルデヒド反応性窒素基を、ポリマー鎖の側基としてホルムアルデヒド反応性窒素基を有するポリマー安定剤に組み込むことができる。好ましい窒素含有モノマーは、窒素に結合している2個の水素原子を有するポリマー鎖の側基としてホルムアルデヒド反応性窒素基を有するポリマー安定剤をもたらすものである。あるいは、ポリマーまたはコポリマーの改変によって、ポリマー鎖の側基としてホルムアルデヒド反応性窒素基を有するポリマー安定剤上にホルムアルデヒド反応性窒素基を生成することができる。
【0015】
ポリマー鎖の側基としてホルムアルデヒド反応性窒素基を有するポリマー安定剤中のホルムアルデヒド反応性窒素基の量は、好ましくはホルムアルデヒド反応性基が直接または間接に結合している主鎖の原子が、20個以下の鎖原子によって互いに分離されている(すなわち、互いに連結している)ようにする。好ましくは、ポリマー鎖の側基としてホルムアルデヒド反応性窒素基を有するポリマー安定剤は、ポリマーの主鎖の炭素原子20個ごとに少なくとも1つのホルムアルデヒド反応性窒素基を含む。より好ましくは、ホルムアルデヒド反応性窒素基と主鎖の炭素原子の比は、1:2〜1:10、さらにより好ましくは1:2〜1:5である。
【0016】
ポリマー鎖の側基としてホルムアルデヒド反応性窒素基を有するポリマー安定剤は、ホモポリマーまたはコポリマーとすることができる。ポリマー鎖の側基としてホルムアルデヒド反応性窒素基を有するポリマー安定剤が、ラジカル重合によってアクリルアミドまたはメタクリルアミドモノマーから重合されること、およびそれから調製されたポリマー安定剤が、少なくとも75モルパーセントの、アクリルアミドまたはメタクリルアミド(methacrylamide)に由来する単位からなることが好ましい。より好ましくは、少なくとも90モルパーセントの上記の単位からなり、さらにより好ましくは、少なくとも95モルパーセントの上記の単位からなり、さらにより好ましくは、少なくとも99モルパーセントの上記の単位からなる。
【0017】
ポリマー鎖の側基としてホルムアルデヒド反応性窒素基を有するポリマー安定剤は、2つ以上のモノマーから重合されるという点でコポリマーとすることができる。コモノマーは、ホルムアルデヒド反応性窒素基を含有してもしなくてもよい。したがって組み込むことができる他のモノマーの例としては、スチレン、エチレン、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、N−ビニルピロリドン、およびアクリロニトリルが挙げられる。コモノマーを、好ましくは、ポリマー安定剤1グラム当たりのホルムアルデヒド反応性部位のモル数が過度に最小限に抑えられないように添加すべきである。さらに、ポリマー安定剤の1グラム当たりホルムアルデヒド反応部位の数を過度に最小限に抑えるべきでない。特有の好ましいコポリマー安定剤には、アクリルアミド、メタクリルアミド、またはジメチルアミノエチルメタクリレートを含むヒドロキシプロピルメタクリレートのコポリマーが含まれる。
【0018】
ポリアミド安定剤は脂肪族ポリアミドであり、ポリアミド6およびポリアミド6,6、およびポリアミド6/6,12やポリアミド6/6,6などのコポリアミド、およびポリアミド6,6/6,10/6などのターポリアミドが含まれ得る。ポリアミド安定剤は、好ましくは約210℃未満の融点を有する。ポリアミド安定剤を、エチレン/メタクリル酸コポリマー、部分中和エチレン/メタクリル酸コポリマー(例えば、アイオノマー)、または熱可塑性ポリウレタンなどの担体樹脂で前分散することができる。
【0019】
ヒドロキシを含むポリマーおよびオリゴマーは、参照により本明細書に援用される米国特許公報(特許文献3)に記載されている。使用されているヒドロキシを含むポリマーおよびオリゴマーのヒドロキシ基は、ポリマーまたはオリゴマー主鎖に直接結合することができ、あるいは側基に存在することができ、あるいはその両方とすることができる。好ましくは、ヒドロキシを含むポリマーおよびオリゴマーは、平均して、ポリマーまたはオリゴマー主鎖の炭素原子20個ごとに少なくとも1つのヒドロキシ基、および主鎖の炭素原子当たり1個以下のヒドロキシ基を含む。
【0020】
適切なヒドロキシを含むポリマーおよびオリゴマーの例としては、エチレン/ビニルアルコールコポリマー;ポリ(ビニルアルコール);ビニルアルコール/メチルメタクリレートコポリマー;およびポリ(メタ)アクリレートのヒドロキシエステルが含まれる。
【0021】
エポキシ基を側基として有するポリマーの適切な例としては、メタクリル酸グリシジルをエチレンおよびアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルと重合させることによって形成されたポリマーなど、グリシジル基を有するポリマーが挙げられる。適切なアクリル酸エステルの例としては、アクリル酸ブチルが挙げられる。エポキシ基を側基として有する好ましいポリマーは、一般にEBAGMAと呼ばれるエチレン/n−ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレートターポリマーである。
【0022】
熱安定剤は、組成物の全重量を基準にして好ましくは約0.05〜約4重量パーセント、より好ましくは約0.1〜約1重量パーセントで存在する。
【0023】
本発明の組成物は、密度が好ましくは少なくとも約1.6g/cc、より好ましくは少なくとも約2g/cc、さらにより好ましくは少なくとも2.3g/ccである。
【0024】
本発明の組成物は、任意選択的に約10〜約40重量パーセントの耐衝撃性改良剤;約0.1〜約1重量パーセントの滑剤;約0.5〜約5重量パーセントの可塑剤;約0.01〜約2重量パーセントの酸化防止剤;約3〜約40重量パーセントの充填剤;約1〜約40重量パーセントの補強剤;約0.5〜約10重量パーセントのナノ粘土;約0.01〜約3重量パーセントの熱安定剤;約0.05〜約2重量パーセントの紫外線安定剤;約0.05〜約3重量パーセントの造核剤;および/または約0.2〜約5重量パーセントの難燃剤などの追加の成分をさらに含み、重量百分率はすべて、組成物の全重量を基準にしたものである。
【0025】
適切な充填剤の例としては、ガラス繊維、ならびに沈降炭酸カルシウム、タルク、およびウォラストナイトなどの鉱物が挙げられる。適切な耐衝撃性改良剤の例としては、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステルポリエーテルエラストマー、およびコアシェルアクリレートポリマーが挙げられる。滑剤の例としては、ジメチルポリシロキサンやその誘導体などのシリコーン滑剤;オレイン酸アミド;アルキル酸アミド;N,N’−エチレンビスステアルアミドなどのビス−脂肪酸アミド;非イオン性界面活性滑剤;炭化水素ワックス;クロロ炭化水素;フルオロカーボン;オキシ−脂肪酸;脂肪酸の低級アルコールエステルなどのエステル;ポリグリコールやポリグリセロールなどの多価アルコール;およびラウリン酸やステアリン酸などの脂肪酸の金属塩が挙げられる。造核剤の例としては、酸化チタンおよびタルクが挙げられる。好ましい酸化防止剤は、チバ(Ciba)から入手可能なイルガノックス(IRGANOX)(登録商標)245および1090などのヒンダードフェノール酸化防止剤である。熱安定剤の例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、およびステアリン酸カルシウムが挙げられる。紫外線安定剤の例としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、芳香族系ベンゾアート、シアノアクリレート、およびシュウ酸アニリドが挙げられる。
【0026】
任意の周知の方法を使用して、成分を溶融混合することによって、本発明の高密度ポリオキシメチレン組成物を作製する。単軸または二軸押出機、ブレンダ、混練機、バンバリーミキサーなどの溶融ミキサーを使用して、成分材料を十分に混合して、樹脂組成物を得ることができる。あるいは、材料の一部分を溶融ミキサーで混合することができ、次いで残りの材料を添加し、さらに溶融混合することができる。
【0027】
本発明の組成物は、任意の適切な溶融加工技法を使用して物品に成形することができる。射出成形、押出成形、ブロー成形、および射出ブロー成形など、一般的に使用される当技術分野で周知の溶融成形方法が好ましく、射出成形がより好ましい。本発明の組成物は、押出を行って、キャストフィルムとブローフィルムとを調製することによって、フィルムおよびシートに形成することができる。これらのシートを、さらに物品および構造物に熱成形することができ、溶融物から、または組成物の加工の後半の段階で延伸することができる。
【0028】
本発明の組成物から作製することができる物品の例としては、金属の重さおよび感触が必要とされる、ポーカーおよびカジノのチップ、香水ビンのキャップ、ならびに消費者製品が挙げられる。
【実施例】
【0029】
下記の材料を実施例および比較例で使用する。
【0030】
ポリオキシメチレンは、本願特許出願人から供給されたポリオキシメチレンコポリマーであるデルリン(Delrin)(登録商標)1260を指す。
【0031】
酸化亜鉛Aは、米国ジンク・コーポレーション(US Zinc Corporation)によって製造された、表面積4.0〜6.0m2/g、見かけ密度20〜40ポンド/立方フィートのアゾ(AZO)66USPを指す。
【0032】
酸化亜鉛Bは、ジンク・コーポレーション・オブ・アメリカ(Zinc Corporation of America)によって製造された、表面積1.2m2/g、見かけ密度65ポンド/立方フィートのXX503Rを指す。
【0033】
非被覆硫酸バリウムは、米国イリノイ州クインシー(Qunicy, IL)のジェイ・エム・フーバー・コーポレーション(J.M. Huber Corporation)によって製造されたフーバーブライト(Huberbrite)(登録商標)10を指す。
【0034】
非被覆二酸化チタンは、本願特許出願人によって製造されたTi−Pure(登録商標)R102を指す。
【0035】
ステアリン酸は、マリンクロット・ベイカー(Mallinckrodt Baker, Inc.)によって製造されている。
【0036】
エポキシ化大豆油は、米国コネチカット州ミドルベリ(Middlebury, CT)のクロンプトン・コーポレーション(Crompton Corporation)によって製造されたドラペックス(Drapex)6.8を指す。
【0037】
モノステアリン酸グリセリンは、米国イリノイ州ノースフィールド(Northfield, IL)のステパン・カンパニー(Stepan Company)によって製造されたステパン・ジーエムエス・ピュア(Stepan GMS PURE)を指す。
【0038】
米国ペンシルバニア州フィラデルフィア(Philadephia, PA)のウェレックス・コーポレーション(Welex Corporation)によって製造されたウェレックス・ラボラトリー・ミキサー(Welex Laborotory Mixer)で、鉱物および被覆剤を中程度の混合速度でブレンドすることによって、表1および2に示すように鉱物および被覆剤の重量を基準にして2重量パーセントで鉱物を被覆した。エポキシ化大豆油を用いて、被覆を室温で行った。ステアリン酸およびモノステアリン酸グリセリンを使用するとき、ミキサーを熱水で約70℃に加熱した。
【0039】
(熱安定性の決定)
組成物のペレットを259℃の温度において約30分間加熱することによって、組成物の熱安定性を決定した。亜硫酸ナトリウム溶液を含む滴定容器に、加熱ステップ中放出されたホルムアルデヒドが窒素流で流し込まれ、亜硫酸ナトリウムと反応して、水酸化ナトリウムが生成する。生成した水酸化ナトリウムを塩酸で連続滴定して、本来のpHを維持する。使用された酸の全量を時間の関数としてプロットする。30分で消費された酸の全量は、ポリオキシメチレンを加熱することによって生成したホルムアルデヒドに比例し、熱安定性の定量的尺度である。熱安定性(パーセント)(TEF−Tと呼ばれる)を、次式で算出する:
TEF−T(%) = (V30×N×3.003)/S
式中、
30 = 30分で消費された酸の全量(mL)、
N = 酸の規定度、
3.003 = (30.03(ホルムアルデヒドの分子量)×100%)/(1000mg/g)、および
S = 試料重量(グラム)。
表1に、結果を「TEF−T」という項目名で示す。
【0040】
ASTM−D 1238方法を使用して、各試料についてメルトフローインデックス(MFR)を190℃、負荷量2.16kgで測定した。表1に、結果を示す。
【0041】
(組成物の調製)
30インチのワーナー&フライダー(Werner & Pfleiderer)ZSK−30二軸押出機を使用して、表1および2に示す材料をコンパウンドした。ブレンドを、バレル温度約190〜210℃、スクリュー速度約150RPM、および速度約30ポンド/時でコンパウンドした。押出機を出ると、組成物を冷却し、ペレット化した。
【0042】
ペレット化した組成物を真空オーブン中、60℃で、最低4時間乾燥し、続いて、1.5オンスのアーブルグ・インジェクションモールディング・ユニット(Arburg Injection Molding Unit)(ドイツ ボッシュ(Bosch, German))を使用して、試験バーに射出成形した。物理的諸特性を測定した。表1および2に結果を示す。比較例5〜10の場合、組成物は押出機で非常に不都合に劣化したので、押し出しされたポリマー糸は、溶融強度がほとんどなく、ペレットに切断することができなかった。これらの組成物については、物理的諸特性を測定することができず、物品を調製する際の使用に適していなかった。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオキシメチレン組成物であって、
(a) ポリオキシメチレン約20〜約80重量パーセント、
(b) 酸化亜鉛、二酸化チタン、および硫酸バリウムからなる群から選択される、少なくとも1つの表面被覆された鉱物約20〜約80重量パーセント、ならびに
(c) 少なくとも1つの熱安定剤約0.05〜約4重量パーセント
を含み、
重量百分率が、組成物の全重量を基準にしたものであることを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記熱安定剤が、ポリマー鎖の側基としてホルムアルデヒド反応性窒素基を有するポリマー;ポリアミド;ヒドロキシを含むポリマーまたはオリゴマー;あるいはエポキシ基を側基として有するポリマーの少なくとも1つから選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記鉱物は、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステル、および脂肪酸アミドから選択される1つまたは複数の被覆剤で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記被覆剤が、ステアリン酸、ステアリン酸エステル、ステアリン酸塩、アマニ油、大豆油、およびエポキシ化大豆油の1つまたは複数であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記被覆剤が、モノステアリン酸グリセロールおよび/またはステアリン酸カルシウムであることを特徴とする請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記熱安定剤が、ポリマー鎖の側基としてホルムアルデヒド反応性窒素基を有するポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記熱安定剤が、ポリアクリルアミドまたはポリメタクリルアミドであることを特徴とする請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記熱安定剤が、ヒドロキシを含むポリマーまたはオリゴマーであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ヒドロキシを含むポリマーまたはオリゴマーが、エチレン/ビニルアルコールのコポリマーであることを特徴とする請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記熱安定剤が、エポキシ基を側基として有するポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記エポキシ基を側基として有するポリマーが、エチレン/ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレートのターポリマーであることを特徴とする請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記鉱物が酸化亜鉛であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記鉱物が硫酸バリウムであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記鉱物が二酸化チタンであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、少なくとも2.3g/ccの密度を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が、少なくとも2g/ccの密度を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が、少なくとも1.6g/ccの密度を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
請求項1に記載の組成物から調製されたことを特徴とする物品。
【請求項19】
カジノまたはポーカーのチップの形態にあることを特徴とする請求項18に記載の物品。
【請求項20】
香水ビンのキャップの形態にあることを特徴とする請求項18に記載の物品。

【公表番号】特表2008−520816(P2008−520816A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543371(P2007−543371)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/042199
【国際公開番号】WO2006/057975
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】