高密度再生専用光ディスクとそれによる光ディスク装置及び方法
【課題】高密度光ディスク全体の領域に対して同じトラッキングサーボ動作を連続的に適用できるようにする装置と方法を提供する。
【解決手段】メイン・データのためのストレート・ピットを含むデータ領域と、制御情報のためのウォーブル・ピットを含むリード・イン領域であって、前記ウォーブル・ピットは、リード・イン領域内に含まれかつバイフェーズ変調法を適用することによって変調される特定の記録パターンに沿って形成されるリード・イン領域とを備え、前記特定の記録パターンは、所定の周期内に遷移が存在する第1の区間、および所定の周期内に遷移が存在しない第2の区間の両方を備えることを特徴とする記録媒体。
【解決手段】メイン・データのためのストレート・ピットを含むデータ領域と、制御情報のためのウォーブル・ピットを含むリード・イン領域であって、前記ウォーブル・ピットは、リード・イン領域内に含まれかつバイフェーズ変調法を適用することによって変調される特定の記録パターンに沿って形成されるリード・イン領域とを備え、前記特定の記録パターンは、所定の周期内に遷移が存在する第1の区間、および所定の周期内に遷移が存在しない第2の区間の両方を備えることを特徴とする記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高容量のビデオ及びオーディオデータが記録される高密度再生専用光ディスクとそれによる光ディスク装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近には長時間の高画質ビデオデータと高音質オーディオデータを記録できる新しい高密度再記録可能光ディスク、例えばBD−RE(Blu−ray Disc Rewritable)に対する規格化作業が急速に展開して、関連した製品がまもなく商用化されるものと期待されている。
【0003】
図1に示したように、BD−REのディスク構造は内周面、中間面、外周面に分けられている。内周面にはクランピング領域、トランジション領域、BCA(Burst Cutting Area)領域、リードイン領域が図の順序通りに存在し、中周面と外周面にはデータ領域とリードアウト領域がそれぞれ存在する。
【0004】
リードイン領域は、第1ガード(Guard 1)領域とPIC(Permanent Information & Control data)領域、第2ガード(Guard 2)領域、情報2(Info 2)領域、OPC(Optimum Power Control)領域などに区分されている。第1ガード領域とPIC領域は事前にデータがあらかじめ記録されている領域であり、その残りのリードイン領域、データ領域、リードアウト領域は新しいデータが再記録される領域である。
【0005】
PIC領域には、永久的に保存されるべきディスク情報が格納される領域であって、高周波変調(HFM:High Frequency Modulated)グルーブが形成される。
【0006】
HFMグルーブは、図2に示したように、バイフェーズ変調(Bi−phase modulation)方式により変調されたディスク情報を格納する。例えば、‘36T’の記録区間の間同一の位相のHFMグルーブが記録されている場合その値は‘0’で、‘36T’の記録区間の間に相異なる位相のHFMグルーブが記録されている場合にはその値が‘1’になる。
【0007】
一方、前記のようにPIC領域に記録されたHFMグルーブを追跡するためのトラッキングサーボは広く知られたプッシュプル(Push/Pull)方式を用いている。このために光ディスク装置は、図3に示したように、対物レンズ10及びコリーメートレンズ11を介して受光される光を電気信号Ea、Ebに変換するための2分割受光素子12と、2分割受光素子を介してそれぞれ光電変換された電気信号Ea、Ebを差動増幅してトラッキングエラー信号TE=Ea−Ebを出力するための差動増幅器13を含んでいる。
【0008】
したがって、光ディスク装置は、トラッキングエラー信号TE=Ea−Ebを参照して、HFMグルーブに対するトラッキングサーボ動作を実施し、、またデータ領域とリードアウト領域に形成されるウォーブル形状のグルーブに対しても、トラッキングエラー信号TE=Ea−Ebを参照して、ウォーブル形状のグルーブに対するトラッキングサーボ動作を実施している。。
【0009】
一方、前記したBD−REと対照的に、BD−ROM(Blu−ray Disc Read Only Memory)は高密度再生専用光ディスクである。BD−ROMのディスク構造は、図4に示したように、内周面、中間面、外周面に分けられ、内周面にはクランピング領域とリードイン領域が存在し、中周面と外周面にはデータ領域とリードアウト領域がそれぞれ存在する。リードイン領域には、BD−REでのようにHFMグルーブ方式でディスク情報が記録され、またデータ領域とリードアウト領域には、通常のCD−ROMまたはDVD−ROMのようにプリピット列(Pre−pit strings)のデータが記録される。
【0010】
しかし、BD−REのようにBD−ROMのリードイン領域にディスク情報がHFM方式で記録されるならば、HFMグルーブに対してプッシュプル方式のトラッキングサーボが必要になり、また、データ領域やリードアウト領域に記録されたプリピット列に対するDPD(Differential Phase Detection)方式のトラッキングサーボも同時に必要になる。
【0011】
また、リードイン領域にHFMグルーブだけが形成されてプリピットデータが記録されていない場合、RF信号を利用したPLL(Phase Locked Loop)動作を実行することができなくなって、リードイン領域とデータ領域間の連結再生を行うことができなくなるという問題が発生する。
【0012】
図5は一般的な光ディスク装置に適用されるDPD方式のトラッキングサーボに対する構成を示したものである。
【0013】
図5に示したように、光ディスク装置は、対物レンズ20及びコリーメートレンズ21を介して受光される光を電気信号に変換するための4分割受光素子22、4分割受光素子を介してそれぞれ光電変換された電気信号Ea、Eb、Ec、Edの位相を検出するための複数の位相検出器26、26、27、29、位相検出器から出力される電気信号EbとEd及びEaとEcを合算増幅してそれぞれEb+EdとEc+Eaとして出力するための合算増幅器23、24、その合算されたEb+EdとEc+Eaを差動増幅してトラッキングエラー信号(TE=((Ea+Ec)−(Eb+Ed))で出力する差動増幅器25を含んでいる。
【0014】
光ディスク装置内に挿入された同じBD−ROMに対して、異なるトラッキングサーボ動作、すなわちプッシュプル方式のトラッキングサーボ動作とDPD方式のトラッキングサーボ動作がそれぞれ行わなければならない。したがって、従来の光ディスク装置は異なるトラッキングサーボ制御のための複雑なアルゴリズムが必要になり、その上このような2トラッキングサーボシステムを収容するために装置が大型化されるという問題が発生していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は前記のような問題点を解決するために創作されたものであって、本発明の目的は、BD−ROMのような高密度再生専用光ディスクのリードイン領域にHFMグルーブと連関性を有するプリピット列形状でデータを記録すると共に、高密度再生専用光ディスクまたは高密度再記録可能光ディスクの全体領域に対して同じトラッキングサーボ動作を連続的に適用できるようにする装置と方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記のような目的を達成するための本発明による高密度再生専用光ディスクは、プリピット列のデータが記録されたリードイン領域、データ領域、リードアウト領域を含み、、リードイン領域は、所定の記録区間内の同一トラック線上に連続的に形成されたプリピット列を含むか、または所定の記録区間の同一トラック線内の他の位置に不連続的に形成されたプリピット列を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の他の実施態様による高密度光ディスク装置は、光ディスクから反射される光を受けて複数の電気信号として出力する光電変換手段と;出力された電気信号を合算及び差動増幅して、プッシュプル方式のトラッキングエラー信号を検出する第1検出手段と;異なる位相を有する電気信号を合算及び差動増幅して、DPD方式のトラッキングエラー信号を検出する第2検出手段と;光ディスクの類型によって、第1検出手段と第2検出手段により検出されるプッシュプル方式のトラッキングエラー信号とDPD方式のトラッキングエラー信号のうち一つを選択的に出力する出力手段とを含むことを特徴とする。
【0018】
本発明のまた他の実施態様による光ディスクを再生する方法は、光ディスクから反射される光を複数の電気信号に変換する段階と;変換された電気信号を合算及び差動増幅して、プッシュプル方式のトラッキングエラー信号とDPD方式のトラッキングエラー信号を検出する段階と;光ディスクの類型によってプッシュプル方式のトラッキングエラー信号とDPD方式のトラッキングエラー信号のうちいずれか一つを選択して、選択されたトラッキングエラー信号に対応するトラッキングサーボ動作を実施する段階とを含むことを特徴とする。
【0019】
本発明のさらに他の実施態様による高密度再生専用光ディスクは、リードイン領域、データ領域、リードアウト領域を含み、リードイン領域はバイフェーズ変調を基礎にする高周波変調(HFM)グルーブの記録パターンを有するピット列が形成された特定領域を含んでおり、その特定領域はバイフェーズ変調を基礎にするHFMグルーブの同一レベル記録区間に反復形成されたスペースとマークまたはマークとスペースを奇数個有することを特徴とする。
【0020】
本発明のさらに他の実施態様による高密度再生専用光ディスクは、リードイン領域、データ領域、リードアウト領域を含み、リードイン領域はバイフェーズ変調を基礎にする高周波変調(HFM)グルーブの記録パターンを有するマークとスペースまたはスペースとマークのピット列が形成された特定領域を含んでおり、バイフェーズ変調を基礎にするHFMグルーブはスペースの中央を基準にして形成されたレベル遷移点を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明による高密度再生専用光ディスクとそれによる光ディスク装置及び方法に対する望ましい実施形態に対して、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図6は本発明の一実施形態による高密度再生専用光ディスク(BD−ROM)の構造を示したものである。
【0023】
図6のBD−ROMは、図4を参照しながら前述したように内周面、中間面及び外周面を有する構造であって、内周面にはクランピング領域とリードイン領域が含まれ、中間面と外周面にはデータ領域とリードアウト領域がそれぞれ含まれる。データ領域とリードアウト領域には、通常のCD−ROMまたはDVD−ROMのように、プリピット列のデータが記録される。
【0024】
しかし、通常の再生専用光ディスクとは異なり、リードイン領域には、BD−REのリードイン領域のうちPIC領域内に事前に形成されるHFMグルーブと同様に、プリピット列のデータが記録される。すなわち、データ領域とリードアウト領域のプリピット領域にデータが記録されるのと同じ方式で、BD−ROMのリードイン領域にプリピット列形状でデータが記録される。
【0025】
プリピット列のデータを再生するための光ディスク装置は、装置内に挿入されたBD−ROMの全体領域に対してDPD方式のトラッキングサーボ制御動作を適用させることができる。簡単にいえば、同一のトラッキングサーボ方法をリードイン領域、データ領域、リードアウト領域それぞれに使用することができる。
【0026】
図7は本発明による高密度再生専用光ディスク(BD−ROM)のリードイン領域に形成されるプリピット列の形状を示したものである。図7に示したように、リードイン領域に形成されるプリピット列のパターンにおいて、プリピット列を所定記録区間内の同一トラック線上に連続的に形成させたり、またはプリピット列を同一トラック内で異なる位置に不連続的に形成させることもできる。
【0027】
例えば、‘0101’の値を有するデータシーケンスをリードイン領域に記録する。各ビットセルの長さは36Tである。ここでTはチャネルビットの長さに該当する。6個の3Tプリピット列が同一トラック線上に連続的に形成される36Tの記録区間は‘0’の値で、3個の3Tプリピットを有する2本の列がそれぞれ同一トラック内で異なる位置に形成される36Tの記録区間は‘1’の値を有である。前記のようにプリピット列を形成することによって、HFMグルーブ方式と同様に、ディスク情報を記録することができる。
【0028】
リードイン領域に連続または不連続に形成されたプリピット列により反射される反射光は、通常のDPD方式のトラッキングサーボに適用される4分割受光素子(図示せず)により光電変換されるが、この時光電変換された電気信号Ea、Eb、Ec、Edは、複数の位相検出器33、34、35、36、第1及び第2合算増幅器30、31、差動増幅器32を経て、DPD方式のトラッキングエラー信号TE=(Ea+Ec)−(Eb+Ed)が出力される。
【0029】
したがって、プリピット列に対するDPD方式のトラッキングサーボ動作がリードイン領域に適用することができる。‘0101’で記録されたデータシーケンスは対応する周波数に合せてDPD信号をフィルターリングして検出及びデコードできる。したがって、光ディスク装置では、DPD方式のトラッキングサーボ動作のみを連続的に行ってBD−ROM全体領域に対するトラッキングサーボ動作を正常に実施することができる。また、HFM方式のようにプリピット列を介してディスク情報を記録することができ、リードイン領域から他の領域に同一のPLL動作を実行させることができる。
【0030】
リードイン領域に同じ長さのピットを形成させたり、または例えば2種類または3種類の異なる長さのピットを形成させてもよい。
【0031】
また、ピット列の固有のパターンまたは形状で他の情報を表現することができる。小さなプッシュプル信号を検出するように、ピットの深さを‘λ/4’より深かいかまたは浅く形成することもできる。例えば、BD−ROMの場合にピットの深さを‘3λ/4’にし、BD−REの場合にリードイン領域のピットの深さとデータ領域のピットの深さをそれぞれ‘λ/8’と‘λ/4’に異なるように形成することもできる。
【0032】
そして、プリピット列はデータ領域で用いた変調コードを用いる。変調コードは‘2T’、‘3T’またはそれ以上の長さで構成されたグループからいずれか一つを選択してまたは複数を組み合わせて用いることもでき、また各ピットには他のデータをさらに記録することもできる。
【0033】
図8は本発明による光ディスク装置及び方法に適用されるプッシュプル方式及びDPD方式のトラッキングサーボに対する構成を示したものである。本発明による光ディスク装置では、装置内にBD−REまたはBD−ROMが挿入されると、挿入された光ディスクに対応するトラッキングサーボ動作を選択的に行うことができる。
【0034】
そのために、光ディスク装置には、対物レンズ50、コリーメートレンズ51、4分割受光素子52、複数の合算増幅器53、54、63、64、差動増幅器55、65、選択スイッチ56が含まれているが、これに対して詳細に説明すると次の通りである。
【0035】
光ディスク装置内にBD−REまたはBD−ROMが挿入されると、対物レンズ50とコリーメートレンズ51を介して受光される反射光は4分割受光素子52により電気信号Ea、Eb、Ec、Edに光電変換される。ROMディスクである場合、電気信号Ea、Eb、Ec、Edは第1及び第2合算増幅器53、54と第1差動増幅器55によりDPD方式のトラッキングエラー信号TE_DPD=(Ea+Ec)−(Eb+Ed)として検出されて出力される。
【0036】
BD−REディスクの場合、4分割受光素子52により出力される電気信号Ea、Eb、Ec、Edは第3及び第4合算増幅器63、64と第2差動増幅器65によりプッシュプル方式のトラッキングエラー信号TE_P/P=(Ea+Eb)−(Ec+Ed)として検出されて出力される。
【0037】
光ディスク装置内に具備されたマイコン(図示せず)またはサーボコントローラ(図示せず)は、装置内に挿入された光ディスクがBD−ROMである場合、選択スイッチ56の動作を制御して、第1差動増幅器55から検出されるDPD方式のトラッキングエラー信号TE_DPDを選択的に出力し、装置内に挿入された光ディスクがBD−REである場合、選択スイッチ56の動作を制御して、第2差動増幅器65から検出されるプッシュプル方式のトラッキングエラー信号TE_P/Pを選択的に出力する。
【0038】
言い換えると、BD−REの場合プッシュプル方式のトラッキングサーボ動作が選択的に遂行されて、BD−ROMの場合DPD方式のトラッキングサーボ動作が選択的に遂行される。
【0039】
参考として、BD−ROM専用再生光ディスク装置が開発され市場に発表される場合には、前述したDPD方式のトラッキングサーボ動作だけを使用することができる。
【0040】
図9ないし図11を参照しながら本発明の他の実施形態を説明する。
BD−ROMのリードイン領域のうちPIC領域に永久に記録されるディスクの主要情報をより正確にデコードするためには、プッシュプル信号がPIC領域に反復記録されたウォーブル形状のスペースとマークまたはマークとスペースで連続的に検出されなければならない。
【0041】
本発明によるBD−ROMのPIC領域には、ディスクの主要情報がバイフェーズ変調を基礎にする高周波変調グルーブ(HFM groove)の記録パターンを有するピット列として形成される。
【0042】
また、‘36T’の記録区間内に同一位相のHFMグルーブが形成されている場合その値は‘0’で、‘36T’の記録区間内に異なる位相のHFMグルーブが形成されている場合その値は‘1’である。この時同一レベル区間内には、スペースとマークまたはマークとスペースの合計が奇数(2n+1)個だけ反復記録される。
【0043】
例えば、図9に示したように、データ値‘1’(Data 1)に該当する‘36T’記録区間で、ハイレベルの‘18T’記録区間には6T長さのスペース6Ts、マーク6Tm、スペース6Tsが次々と記録される一方、ローレベルの‘18T’記録区間には6T長さのマーク6Tm、スペース6Ts、マーク6Tmが次々と記録される。
【0044】
すなわち、所定長さを有するスペースとマークの‘スペース、マーク、スペース’または‘マーク、スペース、マーク’の組合せが‘18T’記録区間に形成されるが、この時ハイレベルまたはローレベルの記録区間内に反復形成されるスペースとマークの合計は3個、すなわち奇数個になり、またスペースまたはマークは該記録区間の開始部分と終了部分に形成される。
【0045】
また、データ値‘0’(Data 0)に該当するハイレベルの‘36T’記録区間には4T長さのスペース4Tsとマーク4Tmが次々と反復記録され、またデータ値‘0’(Data 0)に該当するローレベルの‘36T’記録区間にも4T長さのマーク4Tmとスペース4Tsが次々と反復記録される。
【0046】
すなわち、所定長さを有するスペースとマークの‘スペース、マーク’または‘マーク、スペース’の組合せが各‘36T’記録区間に次々と反復形成されるが、この時ハイレベルまたはローレベルの記録区間内に反復形成されるスペースとマークの合計は9個、すなわち奇数個になり、またスペースまたはマークは該記録区間の開始部分と終了部分に形成される。
【0047】
一方、バイフェーズ変調を基礎にするHFMグルーブのローレベル遷移点の左右にはスペースとマークがそれぞれ形成されて、ハイレベル遷移点の左右にはマークとスペースがそれぞれ形成される。
【0048】
例えば、図9に示したように、データ値‘1’(Data 1)に該当する‘36T’記録区間で、ハイレベルの‘18T’記録区間からローレベルの‘18T’記録区間へのレベル遷移点の左右には6T長さのスペース6Tsとマーク6Tmがそれぞれ形成される。また、データ値‘1’(Data 1)に該当する‘36T’記録区間のうちローレベルの‘18T’記録区間からデータ値‘0’(Data 0)に該当するハイレベルの‘36T’記録区間へのレベル遷移点の左右には6T長さのマーク6Tmと4T長さのスペース4Tsがそれぞれ形成される。
【0049】
そして、ハイレベルの‘36T’記録区間からローレベルの‘36T’記録区間へのレベル遷移点の左右には4T長さのスペース4Tsと4T長さのマーク4Tmがそれぞれ形成される。したがって、レベル遷移点で検出されるプッシュプル信号が切断されるのを最小にすることができる。
【0050】
一方、図10に示したように、データ値‘1’(Data 1)に該当する‘36T’記録区間で、ハイレベルの‘18T’記録区間からローレベルの‘18T’記録区間へのレベル遷移点の左右には6T長さのマーク6Tmとスペース6Tsがそれぞれ形成され、データ値‘1’(Data 1)に該当する‘36T’記録区間のうちローレベルの‘18T’記録区間からデータ値‘0’(Data 0)に該当するハイレベルの‘36T’記録区間へのレベル遷移点の左右には6T長さのスペース6Tsと4T長さのマーク4Tmがそれぞれ形成される場合には、レベル遷移点で検出されるプッシュプル信号に切断現象が発生して正確なデコード動作が行われなくなる。
【0051】
前記のようなウォーブル形状のスペースとマークから検出されるプッシュプル信号を一般的なプリピットデータから検出されるRF信号と区分して正確に検出するためには、プッシュプル信号の周波数が一般データ信号の周波数から遠く離れていることが有利であるので、スペースまたはマークのピット長さを可能な限り短く、例えば‘2T’、‘3T’、または他の長さにすることが望ましい。
【0052】
また、トラッキングサーボの正確性のために、バイフェーズ変調を基礎にするHFMグルーブの同一レベル区間内に形成されるスペースまたはマークのピット長さに対するデジタル合計成分(DSV:Digital Sum Value)を零または最小値になるように設定することが望ましい。
【0053】
例えば、図11に示したように、データ値‘1’(Data 1)に該当するハイレベルの‘18T’記録区間にそれぞれ6T長さを有するスペース6Ts、マーク6Tm、スペース6Tsが次々と形成される場合、デジタル合計成分DSVは通常のDSV算出式に基づいて‘+6’になるが、‘18T’記録区間に2Tまたは3T長さのスペース2Ts、3Tsと2Tまたは3T長さのマーク2Tm、3Tmの組合せが形成される場合には、デジタル合計成分DSVが‘+2’になるので、トラッキングサーボ動作をさらに適合させることができる。
【0054】
そして、同一レベル区間の最終部分には、デジタル合計成分DSVが零になるか最小化される条件を満足するスペースとマークのうちで相対的に最も長いピット長さのスペースまたはマークが形成されることが望ましい。
【0055】
例えば、データ値‘0’(Data 0)に該当するハイレベルの‘36T’記録区間には、3T長さのスペース3Tsまたはマーク3Tmを10個、そして2T長さのスペース2Tsまたはマーク2Tmを3個記録することができる。第1実施形態で2Ts、3Tm、3Ts、3Tm、3Ts、3Tm、2Ts、3Tm、3Ts、3Tm、3Ts、3Tm、2Tsの順序で記録された場合と、第2実施形態で3Ts、3Tm、2Ts、3Tm、3Ts、3Tm、2Ts、3Tm、3Ts、3Tm、2Ts、3Tm、3Tsの順序で記録された場合、第1及び第2実施形態双方のデジタル合計成分DSVが‘0’になる。しかし、第2実施形態のように記録区間の最終部分に相対的に長いピット長さ、すなわち3T長さのスペース3Tsを有すると、レベル遷移点でのプッシュプル信号がより正確に検出される。
【0056】
参考までに、‘36T’記録区間に3T長さのスペース3Tsまたはマーク3Tmを6個、そして2T長さのスペース2Tsまたはマーク2Tmを9個記録する場合、スペースとマークまたはマークとスペースを2Ts、2Tm、2Ts、3Tm、3Ts、3Tm、2Ts、2Tm、2Ts、3Tm、3Ts、3Tm、2Ts、2Tm、2Tsの順序で形成することが望ましい。
【0057】
また、‘18T’記録区間に3T長さのスペース3Tsまたはマーク3Tmを4個そして2T長さのスペース2Tsまたはマーク2Tmを3個記録する場合、スペースとマークまたはマークとスペースを2Ts、3Tm、3Ts、2Tm、3Ts、3Tm、2Tsの順序で形成することが望ましい。
【0058】
レベル遷移点を、スペースの中心を基準にしてレベル遷移が起こるように設定することができ、この場合にもマークとスペースまたはスペースとマークの合計は奇数個が維持される。
【0059】
BD−ROMのリードイン領域のうちPIC領域に永久に記録されるディスクの主要情報を正確にデコードするためには、PIC領域に反復形成されるウォーブル形状のスペースとマークまたはマークとスペースでのプッシュプル信号が切断されずに連続的に検出されなければならない。これについて図12ないし図15を参照しながら詳細に説明する。
【0060】
前で説明したように、再生専用ブルーレイディスク(BD−ROM)にはバイフェーズ変調を基礎にするHFMグルーブの記録パターンを有するピット列が形成されたPIC領域が含まれる。PIC領域にはピット列形状でディスクの主要情報が記録される。バイフェーズ変調を基礎にするHFMグルーブのレベル遷移またはレベル遷移点はスペースの中央を基準にして成り立つ。
【0061】
‘36T’の記録区間内に同一の位相のHFMグルーブが形成されている場合その値は‘0’になり、‘36T’の記録区間内に異なる位相のHFMグルーブが形成されている場合その値は‘1’になる。
【0062】
例えば図12に示したように、バイフェーズ変調を基礎にするHFMグルーブのレベル遷移またはレベル遷移点はスペースの中央を基準にして成り立つ。データ値‘1’(Data 1)に該当する‘36T’記録区間で、ハイレベルの‘18T’記録区間には3T長さのマーク3Tmとスペース3Tsが反復形成され、ローレベルの‘18T’記録区間にも3T長さのマーク3Tmとスペース3Tsが反復形成される。
【0063】
同様に、データ値‘0’(Data 0)に該当するハイレベルの‘36T’記録区間には3T長さのマーク3Tmとスペース3Tsが次々と反復形成され、データ値‘0’(Data 0)に該当するローレベルの‘36T’記録区間にも3T長さのマーク3Tmとスペース3Tsが反復形成される。
【0064】
図13に示したように、バイフェーズ変調を基礎にするHFMグルーブのレベル遷移またはレベル遷移点がスペースの中央を基準にして成り立つため、そのレベル遷移点はプッシュプル信号のゼロクロッシングポイントと一致する。したがって、プッシュプル信号のゼロクロッシングポイントを基準にしてデータ値を正確に検出することができる。
【0065】
スペースとマークは最小2Tまたは3T以上に形成されるが、図12に示したように、レベル遷移点を基準にして同一の長さのマークを左右対称に形成すると、プッシュプル信号をスライスすることで復元したデータ値をさらに正確に検出することができる。
【0066】
一方、マークとスペースの長さが5T長さ以上になる場合、マークとスペースに対するプッシュプル信号のレベルが大きくなり、レベル遷移点を誤って検出するようになることもあので、これを防止するためにマークとスペースの長さを2T、3T、4Tに制限する必要がある。また正確なサーボ動作のために、DSVが零または最小になるようにするマークとスペースの組合せを選択して形成する必要がある。
【0067】
例えば、図14に示したように、2T、3T、4Tのマークとスペースを組み合わせてピット列を形成すると同時に、ピット列のDSVが零または最小になるようにマークとスペースの組合せを選択する。
【0068】
また、RF信号を正常に検出することができるように最小記録大きさである2Tのマークとスペースを最大6回まで繰り返すことができるように制限しているBD−REの17PP(Parity Preserve)変調コードと‘Prohibit RMTR(Run Limited Transition)’条件を満足させるために、2Tのマークとスペースが7回以上連続しないようにする。
【0069】
そして、レベル遷移が起こるスペースの長さが短いほどそれによるプッシュプル信号のレベル遷移波形がシャープになるので、スペースの長さを可能な限り4T以内に制限する。
【0070】
一方、レベル遷移が起こるスペースの中央を基準にして同じ長さのマークを左右対称で形成するが、光ディスクに形成されるレーザービームスポットの直径サイズを考慮してマーク長さを決定する。例えばBD−REに使われるレーザービームの波長と対物レンズの開口数(NA)がそれぞれ400nmと0.85である場合、光ディスクに形成されるビームスポットの直径は約580nm(=1.22×(400nm×0.85))になり、ビームスポットの有効直径は約450nmになる。
【0071】
1Tが80nmである時、ビームスポットの有効直径に該当する450nmは約6Tである。したがって、図15に示したように、レベル遷移が起こるスペースと左右対称であるマークの長さの合計が6Tになるようにする。
【0072】
一方、レベル遷移点であるスペースと左右対称であるマークの長さの合計は6Tより大きい。しかし、レベル遷移点であるスペースに対して、左右対称であるマークとスペースの長さの合計がビームスポットの有効直径より小さかったりまたはマークが非対称である場合、プッシュプル信号にオフセットが発生するのでジッタ特性が大幅に低下する。
【0073】
したがって、本発明により、複数のトラッキングサーボを制御するための複雑なアルゴリズムを単純化でき、装置の大型化を效率的に防止することができ、プリピットを利用したPLL動作がリードイン領域から他の領域に実行できて再生基準クロックを速かに安定化させることができる。
【0074】
以上前述した本発明の望ましい実施形態は例示の目的のために掲示されたのであって、特にプッシュプル方式のトラッキングサーボとDPD方式のトラッキングサーボは既に広く知られた公知の技術で当業者ならば本発明の実施形態を参照にして容易に実施でき、添付された特許請求範囲に開示された本発明の技術的思想とその技術的範囲内で、多様な他の実施形態を改良、変更、代替または付加などが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】一般的な高密度再記録可能光ディスク(BD−RE)の構造を示したものである。
【図2】一般的な高密度再記録可能光ディスクのリードイン領域に形成されたHFMグルーブの形状を示したものである。
【図3】一般的な高密度再記録可能光ディスクに対する装置に適用されるプッシュプル方式のトラッキングサーボに対する構成を示したものである。
【図4】一般的な高密度再生専用光ディスク(BD−ROM)の構造を示したものである。
【図5】一般的な光ディスク装置に適用されるDPD方式のトラッキングサーボに対する構成を示したものである。
【図6】本発明の一実施形態による高密度再生専用光ディスク(BD−ROM)の構造を示したものである。
【図7】本発明による高密度再生専用光ディスク(BD−ROM)のリードイン領域に形成されるプリピット(Pre−Pit)列の形状を示したものである。
【図8】本発明による光ディスク装置及び方法に適用されるプッシュプル方式及びDPD方式のトラッキングサーボに対する構成を示したものである。
【図9】本発明の一実施形態による高密度再生専用光ディスク(BD−ROM)のPIC領域にスペースとマークがウォーブル形状で形成されたことを示したものである。
【図10】本発明の一実施形態による高密度再生専用光ディスクのPIC領域にスペースとマークがウォーブル形状で形成されたことを示したものである。
【図11】本発明の位置実施形態による高密度再生専用光ディスクのPIC領域にスペースとマークがウォーブル形状で形成されたことを示したものである。
【図12】本発明の他の実施形態による高密度再生専用光ディスク(BD−ROM)のPIC領域にスペースとマークがウォーブル形状で形成されたことを示したものである。
【図13】本発明の他の実施形態による高密度再生専用光ディスクのPIC領域にスペースとマークがウォーブル形状で形成されたことを示したものである。
【図14】本発明の他の実施形態による高密度再生専用光ディスクのPIC領域にスペースとマークがウォーブル形状で形成されたことを示したものである。
【図15】本発明の他の実施形態による高密度再生専用光ディスクのPIC領域にスペースとマークがウォーブル形状で形成されたことを示したものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は高容量のビデオ及びオーディオデータが記録される高密度再生専用光ディスクとそれによる光ディスク装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近には長時間の高画質ビデオデータと高音質オーディオデータを記録できる新しい高密度再記録可能光ディスク、例えばBD−RE(Blu−ray Disc Rewritable)に対する規格化作業が急速に展開して、関連した製品がまもなく商用化されるものと期待されている。
【0003】
図1に示したように、BD−REのディスク構造は内周面、中間面、外周面に分けられている。内周面にはクランピング領域、トランジション領域、BCA(Burst Cutting Area)領域、リードイン領域が図の順序通りに存在し、中周面と外周面にはデータ領域とリードアウト領域がそれぞれ存在する。
【0004】
リードイン領域は、第1ガード(Guard 1)領域とPIC(Permanent Information & Control data)領域、第2ガード(Guard 2)領域、情報2(Info 2)領域、OPC(Optimum Power Control)領域などに区分されている。第1ガード領域とPIC領域は事前にデータがあらかじめ記録されている領域であり、その残りのリードイン領域、データ領域、リードアウト領域は新しいデータが再記録される領域である。
【0005】
PIC領域には、永久的に保存されるべきディスク情報が格納される領域であって、高周波変調(HFM:High Frequency Modulated)グルーブが形成される。
【0006】
HFMグルーブは、図2に示したように、バイフェーズ変調(Bi−phase modulation)方式により変調されたディスク情報を格納する。例えば、‘36T’の記録区間の間同一の位相のHFMグルーブが記録されている場合その値は‘0’で、‘36T’の記録区間の間に相異なる位相のHFMグルーブが記録されている場合にはその値が‘1’になる。
【0007】
一方、前記のようにPIC領域に記録されたHFMグルーブを追跡するためのトラッキングサーボは広く知られたプッシュプル(Push/Pull)方式を用いている。このために光ディスク装置は、図3に示したように、対物レンズ10及びコリーメートレンズ11を介して受光される光を電気信号Ea、Ebに変換するための2分割受光素子12と、2分割受光素子を介してそれぞれ光電変換された電気信号Ea、Ebを差動増幅してトラッキングエラー信号TE=Ea−Ebを出力するための差動増幅器13を含んでいる。
【0008】
したがって、光ディスク装置は、トラッキングエラー信号TE=Ea−Ebを参照して、HFMグルーブに対するトラッキングサーボ動作を実施し、、またデータ領域とリードアウト領域に形成されるウォーブル形状のグルーブに対しても、トラッキングエラー信号TE=Ea−Ebを参照して、ウォーブル形状のグルーブに対するトラッキングサーボ動作を実施している。。
【0009】
一方、前記したBD−REと対照的に、BD−ROM(Blu−ray Disc Read Only Memory)は高密度再生専用光ディスクである。BD−ROMのディスク構造は、図4に示したように、内周面、中間面、外周面に分けられ、内周面にはクランピング領域とリードイン領域が存在し、中周面と外周面にはデータ領域とリードアウト領域がそれぞれ存在する。リードイン領域には、BD−REでのようにHFMグルーブ方式でディスク情報が記録され、またデータ領域とリードアウト領域には、通常のCD−ROMまたはDVD−ROMのようにプリピット列(Pre−pit strings)のデータが記録される。
【0010】
しかし、BD−REのようにBD−ROMのリードイン領域にディスク情報がHFM方式で記録されるならば、HFMグルーブに対してプッシュプル方式のトラッキングサーボが必要になり、また、データ領域やリードアウト領域に記録されたプリピット列に対するDPD(Differential Phase Detection)方式のトラッキングサーボも同時に必要になる。
【0011】
また、リードイン領域にHFMグルーブだけが形成されてプリピットデータが記録されていない場合、RF信号を利用したPLL(Phase Locked Loop)動作を実行することができなくなって、リードイン領域とデータ領域間の連結再生を行うことができなくなるという問題が発生する。
【0012】
図5は一般的な光ディスク装置に適用されるDPD方式のトラッキングサーボに対する構成を示したものである。
【0013】
図5に示したように、光ディスク装置は、対物レンズ20及びコリーメートレンズ21を介して受光される光を電気信号に変換するための4分割受光素子22、4分割受光素子を介してそれぞれ光電変換された電気信号Ea、Eb、Ec、Edの位相を検出するための複数の位相検出器26、26、27、29、位相検出器から出力される電気信号EbとEd及びEaとEcを合算増幅してそれぞれEb+EdとEc+Eaとして出力するための合算増幅器23、24、その合算されたEb+EdとEc+Eaを差動増幅してトラッキングエラー信号(TE=((Ea+Ec)−(Eb+Ed))で出力する差動増幅器25を含んでいる。
【0014】
光ディスク装置内に挿入された同じBD−ROMに対して、異なるトラッキングサーボ動作、すなわちプッシュプル方式のトラッキングサーボ動作とDPD方式のトラッキングサーボ動作がそれぞれ行わなければならない。したがって、従来の光ディスク装置は異なるトラッキングサーボ制御のための複雑なアルゴリズムが必要になり、その上このような2トラッキングサーボシステムを収容するために装置が大型化されるという問題が発生していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は前記のような問題点を解決するために創作されたものであって、本発明の目的は、BD−ROMのような高密度再生専用光ディスクのリードイン領域にHFMグルーブと連関性を有するプリピット列形状でデータを記録すると共に、高密度再生専用光ディスクまたは高密度再記録可能光ディスクの全体領域に対して同じトラッキングサーボ動作を連続的に適用できるようにする装置と方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記のような目的を達成するための本発明による高密度再生専用光ディスクは、プリピット列のデータが記録されたリードイン領域、データ領域、リードアウト領域を含み、、リードイン領域は、所定の記録区間内の同一トラック線上に連続的に形成されたプリピット列を含むか、または所定の記録区間の同一トラック線内の他の位置に不連続的に形成されたプリピット列を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の他の実施態様による高密度光ディスク装置は、光ディスクから反射される光を受けて複数の電気信号として出力する光電変換手段と;出力された電気信号を合算及び差動増幅して、プッシュプル方式のトラッキングエラー信号を検出する第1検出手段と;異なる位相を有する電気信号を合算及び差動増幅して、DPD方式のトラッキングエラー信号を検出する第2検出手段と;光ディスクの類型によって、第1検出手段と第2検出手段により検出されるプッシュプル方式のトラッキングエラー信号とDPD方式のトラッキングエラー信号のうち一つを選択的に出力する出力手段とを含むことを特徴とする。
【0018】
本発明のまた他の実施態様による光ディスクを再生する方法は、光ディスクから反射される光を複数の電気信号に変換する段階と;変換された電気信号を合算及び差動増幅して、プッシュプル方式のトラッキングエラー信号とDPD方式のトラッキングエラー信号を検出する段階と;光ディスクの類型によってプッシュプル方式のトラッキングエラー信号とDPD方式のトラッキングエラー信号のうちいずれか一つを選択して、選択されたトラッキングエラー信号に対応するトラッキングサーボ動作を実施する段階とを含むことを特徴とする。
【0019】
本発明のさらに他の実施態様による高密度再生専用光ディスクは、リードイン領域、データ領域、リードアウト領域を含み、リードイン領域はバイフェーズ変調を基礎にする高周波変調(HFM)グルーブの記録パターンを有するピット列が形成された特定領域を含んでおり、その特定領域はバイフェーズ変調を基礎にするHFMグルーブの同一レベル記録区間に反復形成されたスペースとマークまたはマークとスペースを奇数個有することを特徴とする。
【0020】
本発明のさらに他の実施態様による高密度再生専用光ディスクは、リードイン領域、データ領域、リードアウト領域を含み、リードイン領域はバイフェーズ変調を基礎にする高周波変調(HFM)グルーブの記録パターンを有するマークとスペースまたはスペースとマークのピット列が形成された特定領域を含んでおり、バイフェーズ変調を基礎にするHFMグルーブはスペースの中央を基準にして形成されたレベル遷移点を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明による高密度再生専用光ディスクとそれによる光ディスク装置及び方法に対する望ましい実施形態に対して、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図6は本発明の一実施形態による高密度再生専用光ディスク(BD−ROM)の構造を示したものである。
【0023】
図6のBD−ROMは、図4を参照しながら前述したように内周面、中間面及び外周面を有する構造であって、内周面にはクランピング領域とリードイン領域が含まれ、中間面と外周面にはデータ領域とリードアウト領域がそれぞれ含まれる。データ領域とリードアウト領域には、通常のCD−ROMまたはDVD−ROMのように、プリピット列のデータが記録される。
【0024】
しかし、通常の再生専用光ディスクとは異なり、リードイン領域には、BD−REのリードイン領域のうちPIC領域内に事前に形成されるHFMグルーブと同様に、プリピット列のデータが記録される。すなわち、データ領域とリードアウト領域のプリピット領域にデータが記録されるのと同じ方式で、BD−ROMのリードイン領域にプリピット列形状でデータが記録される。
【0025】
プリピット列のデータを再生するための光ディスク装置は、装置内に挿入されたBD−ROMの全体領域に対してDPD方式のトラッキングサーボ制御動作を適用させることができる。簡単にいえば、同一のトラッキングサーボ方法をリードイン領域、データ領域、リードアウト領域それぞれに使用することができる。
【0026】
図7は本発明による高密度再生専用光ディスク(BD−ROM)のリードイン領域に形成されるプリピット列の形状を示したものである。図7に示したように、リードイン領域に形成されるプリピット列のパターンにおいて、プリピット列を所定記録区間内の同一トラック線上に連続的に形成させたり、またはプリピット列を同一トラック内で異なる位置に不連続的に形成させることもできる。
【0027】
例えば、‘0101’の値を有するデータシーケンスをリードイン領域に記録する。各ビットセルの長さは36Tである。ここでTはチャネルビットの長さに該当する。6個の3Tプリピット列が同一トラック線上に連続的に形成される36Tの記録区間は‘0’の値で、3個の3Tプリピットを有する2本の列がそれぞれ同一トラック内で異なる位置に形成される36Tの記録区間は‘1’の値を有である。前記のようにプリピット列を形成することによって、HFMグルーブ方式と同様に、ディスク情報を記録することができる。
【0028】
リードイン領域に連続または不連続に形成されたプリピット列により反射される反射光は、通常のDPD方式のトラッキングサーボに適用される4分割受光素子(図示せず)により光電変換されるが、この時光電変換された電気信号Ea、Eb、Ec、Edは、複数の位相検出器33、34、35、36、第1及び第2合算増幅器30、31、差動増幅器32を経て、DPD方式のトラッキングエラー信号TE=(Ea+Ec)−(Eb+Ed)が出力される。
【0029】
したがって、プリピット列に対するDPD方式のトラッキングサーボ動作がリードイン領域に適用することができる。‘0101’で記録されたデータシーケンスは対応する周波数に合せてDPD信号をフィルターリングして検出及びデコードできる。したがって、光ディスク装置では、DPD方式のトラッキングサーボ動作のみを連続的に行ってBD−ROM全体領域に対するトラッキングサーボ動作を正常に実施することができる。また、HFM方式のようにプリピット列を介してディスク情報を記録することができ、リードイン領域から他の領域に同一のPLL動作を実行させることができる。
【0030】
リードイン領域に同じ長さのピットを形成させたり、または例えば2種類または3種類の異なる長さのピットを形成させてもよい。
【0031】
また、ピット列の固有のパターンまたは形状で他の情報を表現することができる。小さなプッシュプル信号を検出するように、ピットの深さを‘λ/4’より深かいかまたは浅く形成することもできる。例えば、BD−ROMの場合にピットの深さを‘3λ/4’にし、BD−REの場合にリードイン領域のピットの深さとデータ領域のピットの深さをそれぞれ‘λ/8’と‘λ/4’に異なるように形成することもできる。
【0032】
そして、プリピット列はデータ領域で用いた変調コードを用いる。変調コードは‘2T’、‘3T’またはそれ以上の長さで構成されたグループからいずれか一つを選択してまたは複数を組み合わせて用いることもでき、また各ピットには他のデータをさらに記録することもできる。
【0033】
図8は本発明による光ディスク装置及び方法に適用されるプッシュプル方式及びDPD方式のトラッキングサーボに対する構成を示したものである。本発明による光ディスク装置では、装置内にBD−REまたはBD−ROMが挿入されると、挿入された光ディスクに対応するトラッキングサーボ動作を選択的に行うことができる。
【0034】
そのために、光ディスク装置には、対物レンズ50、コリーメートレンズ51、4分割受光素子52、複数の合算増幅器53、54、63、64、差動増幅器55、65、選択スイッチ56が含まれているが、これに対して詳細に説明すると次の通りである。
【0035】
光ディスク装置内にBD−REまたはBD−ROMが挿入されると、対物レンズ50とコリーメートレンズ51を介して受光される反射光は4分割受光素子52により電気信号Ea、Eb、Ec、Edに光電変換される。ROMディスクである場合、電気信号Ea、Eb、Ec、Edは第1及び第2合算増幅器53、54と第1差動増幅器55によりDPD方式のトラッキングエラー信号TE_DPD=(Ea+Ec)−(Eb+Ed)として検出されて出力される。
【0036】
BD−REディスクの場合、4分割受光素子52により出力される電気信号Ea、Eb、Ec、Edは第3及び第4合算増幅器63、64と第2差動増幅器65によりプッシュプル方式のトラッキングエラー信号TE_P/P=(Ea+Eb)−(Ec+Ed)として検出されて出力される。
【0037】
光ディスク装置内に具備されたマイコン(図示せず)またはサーボコントローラ(図示せず)は、装置内に挿入された光ディスクがBD−ROMである場合、選択スイッチ56の動作を制御して、第1差動増幅器55から検出されるDPD方式のトラッキングエラー信号TE_DPDを選択的に出力し、装置内に挿入された光ディスクがBD−REである場合、選択スイッチ56の動作を制御して、第2差動増幅器65から検出されるプッシュプル方式のトラッキングエラー信号TE_P/Pを選択的に出力する。
【0038】
言い換えると、BD−REの場合プッシュプル方式のトラッキングサーボ動作が選択的に遂行されて、BD−ROMの場合DPD方式のトラッキングサーボ動作が選択的に遂行される。
【0039】
参考として、BD−ROM専用再生光ディスク装置が開発され市場に発表される場合には、前述したDPD方式のトラッキングサーボ動作だけを使用することができる。
【0040】
図9ないし図11を参照しながら本発明の他の実施形態を説明する。
BD−ROMのリードイン領域のうちPIC領域に永久に記録されるディスクの主要情報をより正確にデコードするためには、プッシュプル信号がPIC領域に反復記録されたウォーブル形状のスペースとマークまたはマークとスペースで連続的に検出されなければならない。
【0041】
本発明によるBD−ROMのPIC領域には、ディスクの主要情報がバイフェーズ変調を基礎にする高周波変調グルーブ(HFM groove)の記録パターンを有するピット列として形成される。
【0042】
また、‘36T’の記録区間内に同一位相のHFMグルーブが形成されている場合その値は‘0’で、‘36T’の記録区間内に異なる位相のHFMグルーブが形成されている場合その値は‘1’である。この時同一レベル区間内には、スペースとマークまたはマークとスペースの合計が奇数(2n+1)個だけ反復記録される。
【0043】
例えば、図9に示したように、データ値‘1’(Data 1)に該当する‘36T’記録区間で、ハイレベルの‘18T’記録区間には6T長さのスペース6Ts、マーク6Tm、スペース6Tsが次々と記録される一方、ローレベルの‘18T’記録区間には6T長さのマーク6Tm、スペース6Ts、マーク6Tmが次々と記録される。
【0044】
すなわち、所定長さを有するスペースとマークの‘スペース、マーク、スペース’または‘マーク、スペース、マーク’の組合せが‘18T’記録区間に形成されるが、この時ハイレベルまたはローレベルの記録区間内に反復形成されるスペースとマークの合計は3個、すなわち奇数個になり、またスペースまたはマークは該記録区間の開始部分と終了部分に形成される。
【0045】
また、データ値‘0’(Data 0)に該当するハイレベルの‘36T’記録区間には4T長さのスペース4Tsとマーク4Tmが次々と反復記録され、またデータ値‘0’(Data 0)に該当するローレベルの‘36T’記録区間にも4T長さのマーク4Tmとスペース4Tsが次々と反復記録される。
【0046】
すなわち、所定長さを有するスペースとマークの‘スペース、マーク’または‘マーク、スペース’の組合せが各‘36T’記録区間に次々と反復形成されるが、この時ハイレベルまたはローレベルの記録区間内に反復形成されるスペースとマークの合計は9個、すなわち奇数個になり、またスペースまたはマークは該記録区間の開始部分と終了部分に形成される。
【0047】
一方、バイフェーズ変調を基礎にするHFMグルーブのローレベル遷移点の左右にはスペースとマークがそれぞれ形成されて、ハイレベル遷移点の左右にはマークとスペースがそれぞれ形成される。
【0048】
例えば、図9に示したように、データ値‘1’(Data 1)に該当する‘36T’記録区間で、ハイレベルの‘18T’記録区間からローレベルの‘18T’記録区間へのレベル遷移点の左右には6T長さのスペース6Tsとマーク6Tmがそれぞれ形成される。また、データ値‘1’(Data 1)に該当する‘36T’記録区間のうちローレベルの‘18T’記録区間からデータ値‘0’(Data 0)に該当するハイレベルの‘36T’記録区間へのレベル遷移点の左右には6T長さのマーク6Tmと4T長さのスペース4Tsがそれぞれ形成される。
【0049】
そして、ハイレベルの‘36T’記録区間からローレベルの‘36T’記録区間へのレベル遷移点の左右には4T長さのスペース4Tsと4T長さのマーク4Tmがそれぞれ形成される。したがって、レベル遷移点で検出されるプッシュプル信号が切断されるのを最小にすることができる。
【0050】
一方、図10に示したように、データ値‘1’(Data 1)に該当する‘36T’記録区間で、ハイレベルの‘18T’記録区間からローレベルの‘18T’記録区間へのレベル遷移点の左右には6T長さのマーク6Tmとスペース6Tsがそれぞれ形成され、データ値‘1’(Data 1)に該当する‘36T’記録区間のうちローレベルの‘18T’記録区間からデータ値‘0’(Data 0)に該当するハイレベルの‘36T’記録区間へのレベル遷移点の左右には6T長さのスペース6Tsと4T長さのマーク4Tmがそれぞれ形成される場合には、レベル遷移点で検出されるプッシュプル信号に切断現象が発生して正確なデコード動作が行われなくなる。
【0051】
前記のようなウォーブル形状のスペースとマークから検出されるプッシュプル信号を一般的なプリピットデータから検出されるRF信号と区分して正確に検出するためには、プッシュプル信号の周波数が一般データ信号の周波数から遠く離れていることが有利であるので、スペースまたはマークのピット長さを可能な限り短く、例えば‘2T’、‘3T’、または他の長さにすることが望ましい。
【0052】
また、トラッキングサーボの正確性のために、バイフェーズ変調を基礎にするHFMグルーブの同一レベル区間内に形成されるスペースまたはマークのピット長さに対するデジタル合計成分(DSV:Digital Sum Value)を零または最小値になるように設定することが望ましい。
【0053】
例えば、図11に示したように、データ値‘1’(Data 1)に該当するハイレベルの‘18T’記録区間にそれぞれ6T長さを有するスペース6Ts、マーク6Tm、スペース6Tsが次々と形成される場合、デジタル合計成分DSVは通常のDSV算出式に基づいて‘+6’になるが、‘18T’記録区間に2Tまたは3T長さのスペース2Ts、3Tsと2Tまたは3T長さのマーク2Tm、3Tmの組合せが形成される場合には、デジタル合計成分DSVが‘+2’になるので、トラッキングサーボ動作をさらに適合させることができる。
【0054】
そして、同一レベル区間の最終部分には、デジタル合計成分DSVが零になるか最小化される条件を満足するスペースとマークのうちで相対的に最も長いピット長さのスペースまたはマークが形成されることが望ましい。
【0055】
例えば、データ値‘0’(Data 0)に該当するハイレベルの‘36T’記録区間には、3T長さのスペース3Tsまたはマーク3Tmを10個、そして2T長さのスペース2Tsまたはマーク2Tmを3個記録することができる。第1実施形態で2Ts、3Tm、3Ts、3Tm、3Ts、3Tm、2Ts、3Tm、3Ts、3Tm、3Ts、3Tm、2Tsの順序で記録された場合と、第2実施形態で3Ts、3Tm、2Ts、3Tm、3Ts、3Tm、2Ts、3Tm、3Ts、3Tm、2Ts、3Tm、3Tsの順序で記録された場合、第1及び第2実施形態双方のデジタル合計成分DSVが‘0’になる。しかし、第2実施形態のように記録区間の最終部分に相対的に長いピット長さ、すなわち3T長さのスペース3Tsを有すると、レベル遷移点でのプッシュプル信号がより正確に検出される。
【0056】
参考までに、‘36T’記録区間に3T長さのスペース3Tsまたはマーク3Tmを6個、そして2T長さのスペース2Tsまたはマーク2Tmを9個記録する場合、スペースとマークまたはマークとスペースを2Ts、2Tm、2Ts、3Tm、3Ts、3Tm、2Ts、2Tm、2Ts、3Tm、3Ts、3Tm、2Ts、2Tm、2Tsの順序で形成することが望ましい。
【0057】
また、‘18T’記録区間に3T長さのスペース3Tsまたはマーク3Tmを4個そして2T長さのスペース2Tsまたはマーク2Tmを3個記録する場合、スペースとマークまたはマークとスペースを2Ts、3Tm、3Ts、2Tm、3Ts、3Tm、2Tsの順序で形成することが望ましい。
【0058】
レベル遷移点を、スペースの中心を基準にしてレベル遷移が起こるように設定することができ、この場合にもマークとスペースまたはスペースとマークの合計は奇数個が維持される。
【0059】
BD−ROMのリードイン領域のうちPIC領域に永久に記録されるディスクの主要情報を正確にデコードするためには、PIC領域に反復形成されるウォーブル形状のスペースとマークまたはマークとスペースでのプッシュプル信号が切断されずに連続的に検出されなければならない。これについて図12ないし図15を参照しながら詳細に説明する。
【0060】
前で説明したように、再生専用ブルーレイディスク(BD−ROM)にはバイフェーズ変調を基礎にするHFMグルーブの記録パターンを有するピット列が形成されたPIC領域が含まれる。PIC領域にはピット列形状でディスクの主要情報が記録される。バイフェーズ変調を基礎にするHFMグルーブのレベル遷移またはレベル遷移点はスペースの中央を基準にして成り立つ。
【0061】
‘36T’の記録区間内に同一の位相のHFMグルーブが形成されている場合その値は‘0’になり、‘36T’の記録区間内に異なる位相のHFMグルーブが形成されている場合その値は‘1’になる。
【0062】
例えば図12に示したように、バイフェーズ変調を基礎にするHFMグルーブのレベル遷移またはレベル遷移点はスペースの中央を基準にして成り立つ。データ値‘1’(Data 1)に該当する‘36T’記録区間で、ハイレベルの‘18T’記録区間には3T長さのマーク3Tmとスペース3Tsが反復形成され、ローレベルの‘18T’記録区間にも3T長さのマーク3Tmとスペース3Tsが反復形成される。
【0063】
同様に、データ値‘0’(Data 0)に該当するハイレベルの‘36T’記録区間には3T長さのマーク3Tmとスペース3Tsが次々と反復形成され、データ値‘0’(Data 0)に該当するローレベルの‘36T’記録区間にも3T長さのマーク3Tmとスペース3Tsが反復形成される。
【0064】
図13に示したように、バイフェーズ変調を基礎にするHFMグルーブのレベル遷移またはレベル遷移点がスペースの中央を基準にして成り立つため、そのレベル遷移点はプッシュプル信号のゼロクロッシングポイントと一致する。したがって、プッシュプル信号のゼロクロッシングポイントを基準にしてデータ値を正確に検出することができる。
【0065】
スペースとマークは最小2Tまたは3T以上に形成されるが、図12に示したように、レベル遷移点を基準にして同一の長さのマークを左右対称に形成すると、プッシュプル信号をスライスすることで復元したデータ値をさらに正確に検出することができる。
【0066】
一方、マークとスペースの長さが5T長さ以上になる場合、マークとスペースに対するプッシュプル信号のレベルが大きくなり、レベル遷移点を誤って検出するようになることもあので、これを防止するためにマークとスペースの長さを2T、3T、4Tに制限する必要がある。また正確なサーボ動作のために、DSVが零または最小になるようにするマークとスペースの組合せを選択して形成する必要がある。
【0067】
例えば、図14に示したように、2T、3T、4Tのマークとスペースを組み合わせてピット列を形成すると同時に、ピット列のDSVが零または最小になるようにマークとスペースの組合せを選択する。
【0068】
また、RF信号を正常に検出することができるように最小記録大きさである2Tのマークとスペースを最大6回まで繰り返すことができるように制限しているBD−REの17PP(Parity Preserve)変調コードと‘Prohibit RMTR(Run Limited Transition)’条件を満足させるために、2Tのマークとスペースが7回以上連続しないようにする。
【0069】
そして、レベル遷移が起こるスペースの長さが短いほどそれによるプッシュプル信号のレベル遷移波形がシャープになるので、スペースの長さを可能な限り4T以内に制限する。
【0070】
一方、レベル遷移が起こるスペースの中央を基準にして同じ長さのマークを左右対称で形成するが、光ディスクに形成されるレーザービームスポットの直径サイズを考慮してマーク長さを決定する。例えばBD−REに使われるレーザービームの波長と対物レンズの開口数(NA)がそれぞれ400nmと0.85である場合、光ディスクに形成されるビームスポットの直径は約580nm(=1.22×(400nm×0.85))になり、ビームスポットの有効直径は約450nmになる。
【0071】
1Tが80nmである時、ビームスポットの有効直径に該当する450nmは約6Tである。したがって、図15に示したように、レベル遷移が起こるスペースと左右対称であるマークの長さの合計が6Tになるようにする。
【0072】
一方、レベル遷移点であるスペースと左右対称であるマークの長さの合計は6Tより大きい。しかし、レベル遷移点であるスペースに対して、左右対称であるマークとスペースの長さの合計がビームスポットの有効直径より小さかったりまたはマークが非対称である場合、プッシュプル信号にオフセットが発生するのでジッタ特性が大幅に低下する。
【0073】
したがって、本発明により、複数のトラッキングサーボを制御するための複雑なアルゴリズムを単純化でき、装置の大型化を效率的に防止することができ、プリピットを利用したPLL動作がリードイン領域から他の領域に実行できて再生基準クロックを速かに安定化させることができる。
【0074】
以上前述した本発明の望ましい実施形態は例示の目的のために掲示されたのであって、特にプッシュプル方式のトラッキングサーボとDPD方式のトラッキングサーボは既に広く知られた公知の技術で当業者ならば本発明の実施形態を参照にして容易に実施でき、添付された特許請求範囲に開示された本発明の技術的思想とその技術的範囲内で、多様な他の実施形態を改良、変更、代替または付加などが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】一般的な高密度再記録可能光ディスク(BD−RE)の構造を示したものである。
【図2】一般的な高密度再記録可能光ディスクのリードイン領域に形成されたHFMグルーブの形状を示したものである。
【図3】一般的な高密度再記録可能光ディスクに対する装置に適用されるプッシュプル方式のトラッキングサーボに対する構成を示したものである。
【図4】一般的な高密度再生専用光ディスク(BD−ROM)の構造を示したものである。
【図5】一般的な光ディスク装置に適用されるDPD方式のトラッキングサーボに対する構成を示したものである。
【図6】本発明の一実施形態による高密度再生専用光ディスク(BD−ROM)の構造を示したものである。
【図7】本発明による高密度再生専用光ディスク(BD−ROM)のリードイン領域に形成されるプリピット(Pre−Pit)列の形状を示したものである。
【図8】本発明による光ディスク装置及び方法に適用されるプッシュプル方式及びDPD方式のトラッキングサーボに対する構成を示したものである。
【図9】本発明の一実施形態による高密度再生専用光ディスク(BD−ROM)のPIC領域にスペースとマークがウォーブル形状で形成されたことを示したものである。
【図10】本発明の一実施形態による高密度再生専用光ディスクのPIC領域にスペースとマークがウォーブル形状で形成されたことを示したものである。
【図11】本発明の位置実施形態による高密度再生専用光ディスクのPIC領域にスペースとマークがウォーブル形状で形成されたことを示したものである。
【図12】本発明の他の実施形態による高密度再生専用光ディスク(BD−ROM)のPIC領域にスペースとマークがウォーブル形状で形成されたことを示したものである。
【図13】本発明の他の実施形態による高密度再生専用光ディスクのPIC領域にスペースとマークがウォーブル形状で形成されたことを示したものである。
【図14】本発明の他の実施形態による高密度再生専用光ディスクのPIC領域にスペースとマークがウォーブル形状で形成されたことを示したものである。
【図15】本発明の他の実施形態による高密度再生専用光ディスクのPIC領域にスペースとマークがウォーブル形状で形成されたことを示したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン・データのためのストレート・ピットを含むデータ領域と、
制御情報のためのウォーブル・ピットを含むリード・イン領域であって、前記ウォーブル・ピットは、リード・イン領域内に含まれかつバイフェーズ変調法を適用することによって変調される特定の記録パターンに沿って形成されるリード・イン領域とを備え、
前記特定の記録パターンは、所定の周期内に遷移が存在する第1の区間、および所定の周期内に遷移が存在しない第2の区間の両方を備えることを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
前記特定の記録パターンは、リード・イン領域のサブ領域内に含まれ、前記サブ領域は、その上に記録されかつ格納された制御情報を有する請求項1記載の記録媒体。
【請求項3】
前記ウォーブル・ピットは、ブルーレイ・ディスク内に定義されたリード・イン領域の永久情報および制御(PIC)データ領域内に前記特定の記録パターンに沿って形成される請求項2記載の記録媒体。
【請求項4】
前記ウォーブル・ピットは、複数の記録区間を定義し、各記録区間は、36Tの長さを有し、ここでTはチャネル・ビットの長さに対応する請求項2記載の記録媒体。
【請求項5】
36Tの長さを有する前記各記録区間は、記録サブ区間内に次々にかつ繰り返して形成される所定の長さのマークおよびスペースの組合せを備える請求項4記載の記録媒体。
【請求項6】
前記ウォーブル・ピットは、特定の記録パターンでハイからローまたはローからハイへの、遷移点の前にはマークを、そして遷移点の後にはスペースを有する請求項2記載の記録媒体。
【請求項7】
前記ウォーブル・ピットは、特定の記録パターンでハイからローまたはローからハイへの、遷移点の前にはスペースを、そして遷移点の後にはマークを有する請求項2記載の記録媒体。
【請求項8】
前記形成されたスペースおよびマークのうちの少なくとも1つは、最小ピット長として記録される請求項4記載の記録媒体。
【請求項9】
リード・イン領域内に含まれかつバイフェーズ変調法を適用することによって変調される特定の記録パターンに沿って形成されている、特定のウォーブル・ピットを使用する段階を含む
リード・イン領域、データ領域およびリード・アウト領域を有する記録媒体を読むための方法であって、
前記特定の記録パターンは、所定の周期内に遷移が存在する第1の区間、および所定の周期内に遷移が存在しない第2の区間の両方を備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記使用する段階が、前記特定の記録パターンの制御情報を読む段階、
前記制御情報に基づいて前記データ領域のデータの再生を決定する段階を含む
請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記ウォーブル・ピットは、複数の記録区間を定義し、各記録区間は、36Tの長さを有し、ここでTはチャネル・ビットの長さに対応する請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記リード・イン領域内に含まれ、かつバイフェーズ変調法を適用することによって変調される特定の記録パターンに沿って形成されているウォーブル・ピットを読むように構成されたピック・アップと前記ピック・アップから読まれたデータの再生を制御するように構成されたコントローラとを備え、
前記ピック・アップは、所定の周期内に遷移が存在する第1の区間および所定の周期内に遷移が存在しない第2の区間の両方を備える特定の記録パターンに沿って形成されている前記ウォーブル・ピットを読むように構成されていることを特徴とするリード・イン領域、データ領域およびリード・アウト領域を有する記録媒体を読むための装置。
【請求項13】
前記ピック・アップは、前記特定の記録パターンの制御情報を再生するように構成されている請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記コントローラは、前記ピック・アップから再生された前記制御情報に基づいて前記データ領域の再生を制御するように構成され、前記制御情報は、前記リード・イン領域のサブ領域上に記録されている請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記コントローラは、前記ピック・アップの光検知器から検知された信号の差が使用されるような方式で、プッシュ・プル法を使用して前記ピック・アップのサーボ動作を制御するように構成されている請求項14記載の装置。
【請求項16】
リード・イン領域内の特定の記録パターンに沿ってウォーブル・ピットを形成する段階であって、前記特定の記録パターンは、バイフェーズ変調法を適用することによって変調される段階を含み、
前記特定の記録パターンは、所定の周期内に遷移が存在する第1の区間および所定の周期内に遷移が存在しない第2の区間の両方を備えることを特徴とするリード・イン領域、データ領域およびリード・アウト領域を有する記録媒体を形成するための方法。
【請求項17】
前記特定の記録パターンは、その上に記録されかつ格納された制御情報を有する請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記ウォーブル・ピットは複数の記録区間を定義し、各記録区間は36Tの長さを有し、ここでTはチャネル・ビットの長さに対応する請求項17記載の方法。
【請求項19】
リード・イン領域内に特定の記録パターンに沿ってウォーブル・ピットを形成するように構成されたピック・アップであって、前記特定の記録パターンがバイフェーズ変調法を適用することによって変調されるピック・アップと
前記ピック・アップによるウォーブル・ピットの形成を制御するように構成されたコントローラとを備え、
前記ピック・アップが、所定の周期内に遷移が存在する第1の区間および所定の周期内に遷移が存在しない第2の区間の両方を備える特定の記録パターンに沿ってウォーブル・ピットから構成されていることを特徴とするリード・イン領域、データ領域およびリード・アウト領域を有する記録媒体を形成するための装置。
【請求項1】
メイン・データのためのストレート・ピットを含むデータ領域と、
制御情報のためのウォーブル・ピットを含むリード・イン領域であって、前記ウォーブル・ピットは、リード・イン領域内に含まれかつバイフェーズ変調法を適用することによって変調される特定の記録パターンに沿って形成されるリード・イン領域とを備え、
前記特定の記録パターンは、所定の周期内に遷移が存在する第1の区間、および所定の周期内に遷移が存在しない第2の区間の両方を備えることを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
前記特定の記録パターンは、リード・イン領域のサブ領域内に含まれ、前記サブ領域は、その上に記録されかつ格納された制御情報を有する請求項1記載の記録媒体。
【請求項3】
前記ウォーブル・ピットは、ブルーレイ・ディスク内に定義されたリード・イン領域の永久情報および制御(PIC)データ領域内に前記特定の記録パターンに沿って形成される請求項2記載の記録媒体。
【請求項4】
前記ウォーブル・ピットは、複数の記録区間を定義し、各記録区間は、36Tの長さを有し、ここでTはチャネル・ビットの長さに対応する請求項2記載の記録媒体。
【請求項5】
36Tの長さを有する前記各記録区間は、記録サブ区間内に次々にかつ繰り返して形成される所定の長さのマークおよびスペースの組合せを備える請求項4記載の記録媒体。
【請求項6】
前記ウォーブル・ピットは、特定の記録パターンでハイからローまたはローからハイへの、遷移点の前にはマークを、そして遷移点の後にはスペースを有する請求項2記載の記録媒体。
【請求項7】
前記ウォーブル・ピットは、特定の記録パターンでハイからローまたはローからハイへの、遷移点の前にはスペースを、そして遷移点の後にはマークを有する請求項2記載の記録媒体。
【請求項8】
前記形成されたスペースおよびマークのうちの少なくとも1つは、最小ピット長として記録される請求項4記載の記録媒体。
【請求項9】
リード・イン領域内に含まれかつバイフェーズ変調法を適用することによって変調される特定の記録パターンに沿って形成されている、特定のウォーブル・ピットを使用する段階を含む
リード・イン領域、データ領域およびリード・アウト領域を有する記録媒体を読むための方法であって、
前記特定の記録パターンは、所定の周期内に遷移が存在する第1の区間、および所定の周期内に遷移が存在しない第2の区間の両方を備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記使用する段階が、前記特定の記録パターンの制御情報を読む段階、
前記制御情報に基づいて前記データ領域のデータの再生を決定する段階を含む
請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記ウォーブル・ピットは、複数の記録区間を定義し、各記録区間は、36Tの長さを有し、ここでTはチャネル・ビットの長さに対応する請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記リード・イン領域内に含まれ、かつバイフェーズ変調法を適用することによって変調される特定の記録パターンに沿って形成されているウォーブル・ピットを読むように構成されたピック・アップと前記ピック・アップから読まれたデータの再生を制御するように構成されたコントローラとを備え、
前記ピック・アップは、所定の周期内に遷移が存在する第1の区間および所定の周期内に遷移が存在しない第2の区間の両方を備える特定の記録パターンに沿って形成されている前記ウォーブル・ピットを読むように構成されていることを特徴とするリード・イン領域、データ領域およびリード・アウト領域を有する記録媒体を読むための装置。
【請求項13】
前記ピック・アップは、前記特定の記録パターンの制御情報を再生するように構成されている請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記コントローラは、前記ピック・アップから再生された前記制御情報に基づいて前記データ領域の再生を制御するように構成され、前記制御情報は、前記リード・イン領域のサブ領域上に記録されている請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記コントローラは、前記ピック・アップの光検知器から検知された信号の差が使用されるような方式で、プッシュ・プル法を使用して前記ピック・アップのサーボ動作を制御するように構成されている請求項14記載の装置。
【請求項16】
リード・イン領域内の特定の記録パターンに沿ってウォーブル・ピットを形成する段階であって、前記特定の記録パターンは、バイフェーズ変調法を適用することによって変調される段階を含み、
前記特定の記録パターンは、所定の周期内に遷移が存在する第1の区間および所定の周期内に遷移が存在しない第2の区間の両方を備えることを特徴とするリード・イン領域、データ領域およびリード・アウト領域を有する記録媒体を形成するための方法。
【請求項17】
前記特定の記録パターンは、その上に記録されかつ格納された制御情報を有する請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記ウォーブル・ピットは複数の記録区間を定義し、各記録区間は36Tの長さを有し、ここでTはチャネル・ビットの長さに対応する請求項17記載の方法。
【請求項19】
リード・イン領域内に特定の記録パターンに沿ってウォーブル・ピットを形成するように構成されたピック・アップであって、前記特定の記録パターンがバイフェーズ変調法を適用することによって変調されるピック・アップと
前記ピック・アップによるウォーブル・ピットの形成を制御するように構成されたコントローラとを備え、
前記ピック・アップが、所定の周期内に遷移が存在する第1の区間および所定の周期内に遷移が存在しない第2の区間の両方を備える特定の記録パターンに沿ってウォーブル・ピットから構成されていることを特徴とするリード・イン領域、データ領域およびリード・アウト領域を有する記録媒体を形成するための装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−47285(P2008−47285A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247171(P2007−247171)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【分割の表示】特願2004−502291(P2004−502291)の分割
【原出願日】平成15年4月30日(2003.4.30)
【出願人】(596066770)エルジー エレクトロニクス インコーポレーテッド (384)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【分割の表示】特願2004−502291(P2004−502291)の分割
【原出願日】平成15年4月30日(2003.4.30)
【出願人】(596066770)エルジー エレクトロニクス インコーポレーテッド (384)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]