説明

高密度集束超音波を用いた腫瘍の診断及び治療方法

高密度集束超音波を用いた腫瘍の診断及び治療方法を提供する。患者の腫瘍の存在を診断する方法は、腫瘍細胞が細胞物質を放出するように腫瘍に高密度集束超音波(HIFU)を施すステップと、腫瘍マーカーに関して前記細胞物質を評価するステップとを含む。患者の腫瘍を治療する方法も、免疫応答を誘発するように腫瘍に高密度集束超音波(HIFU)を施すステップを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2007年11月21日出願の米国仮特許出願第60/989,629号の優先権を主張するものであり、そこに引用されている参照文献を含むその文献の内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、病変組織の非侵襲的診断及び/又は治療のための装置及び方法に関する。詳細には、本発明は、高密度集束超音波(HIFU、High Intensity Focused Ultrasound)を用いた、腫瘍及び転移性癌の非侵襲的診断及び/又は治療のための装置及び関連の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
癌性腫瘍などの病変組織は、一般に、病理に関する組織の生検を行うことによって診断される。しかし、生検手技は侵襲的であり、分析のために組織の一部分を取り出す必要がある。明らかに、こうした診断には非侵襲的方法がずっと望ましい。
【0004】
病変組織、具体的には腫瘍の治療に対する一手法は、外科的な切除である。しかし、外科的な切除は、侵襲的であり、非常に複雑で時間がかかることがある。さらに、外科的な治療は、個々の病変組織それぞれの選択的な治療を必要とする。外科的な治療はまた、麻酔などによって重症の合併症を引き起こすことがある。明らかに、効果が外科的切除と同様か又はより良い、より包括的な非侵襲的治療が望ましい。
【0005】
高密度集束超音波(HIFU)は、病変組織を非侵襲的に治療するために安全な様式であることが実証されている。例えば、HIFUは、前立腺癌、腎臓癌、及び精巣癌を治療するために用いられている。HIFUを実施するために用いられる代表的なシステムはソナブレート(Sonablate)(登録商標)500(SB500)システムであり、このシステムは3940 Pendleton Way、Indianapolis、IN 46226所在のフォーカスサージェリー社から入手可能である。
【0006】
HIFUを実施するために用いられるシステムのさらなる代表的な実施形態は、2006年7月8日出願の米国特許出願公開第2007/0010805号「Method and Apparatus for Treatment of Tissue」、2005年3月2日出願の米国特許出願公開第2005/0240127号「Ultrasound Phased Arrays」、2004年5月6日出願の米国仮特許出願公開第2008/0091123号「Treatment of Spatially Oriented Disease with a Single Therapy, Imaging, and Doppler Ultrasound Transducer」、米国を指定する2005年5月5日出願のPCT特許出願第US2005/015648号「Method and Apparatus for the Selective Treatment of Tissue」、米国特許第4,084,582号、米国特許第4,207,901号、米国特許第4,223,560号、米国特許第4,227,417号、米国特許第4,248,090号、米国特許第4,257,271号、米国特許第4,317,370号、米国特許第4,325,381号、米国特許第4,586,512号、米国特許第4,620,546号、米国特許第4,658,828号、米国特許第4,664,121号、米国特許第4,858,613号、米国特許第4,951,653号、米国特許第4,955,365号、米国特許第5,036,855号、米国特許第5,054,470号、米国特許第5,080,102号、米国特許第5,117,832号、米国特許第5,149,319号、米国特許第5,215,680号、米国特許第5,219,401号、米国特許第5,247,935号、米国特許第5,295,484号、米国特許第5,316,000号、米国特許第5,391,197号、米国特許第5,409,006号、米国特許第5,443,069号、米国特許第5,470,350号、米国特許第5,492,126号、米国特許第5,573,497号、米国特許第5,601,526号、米国特許第5,620,479号、米国特許第5,630,837号、米国特許第5,643,179号、米国特許第5,676,692号、米国特許第5,840,031号、米国特許第5,762,066号、米国特許第6,685,640号、放棄された1992年2月21日出願の米国特許出願第07/840,502号、オーストラリア特許第5,732,801号、カナダ特許第1,332,441号、及びカナダ特許第2,250,081号(一括して「HIFU特許」)で開示されており、これら全ての開示はその全体が参照により本明細書に明確に援用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、患者の腫瘍の存在を診断する方法を提供する。腫瘍はHIFUを受けて、腫瘍細胞が細胞物質を放出する。細胞物質は少なくとも一つの腫瘍マーカーを含む。そのときに、患者から得られる体液を評価して、その液中の腫瘍マーカーの存在及び/又はレベルを判定する。好ましくは、体液は血液、尿又は唾液である。
【0008】
本発明は、患者の悪性腫瘍を治療する方法も提供する。HIFUが腫瘍に到達すると、腫瘍細胞が、免疫応答を誘発する細胞物質を放出する。一実施形態では、腫瘍細胞に対する患者の免疫応答は、一つ又は複数の免疫療法技術を用いることによって増幅する。
【0009】
代替の実施形態では、本発明は、患者の少なくとも一つの悪性腫瘍から生じる、患者の転移性癌を治療する方法を提供する。HIFUが腫瘍に到達すると、そのHIFUにより、腫瘍内の腫瘍細胞から細胞物質が放出され、したがって転移細胞のいくつか又は全てを取り囲む免疫応答が誘発される。一実施形態では、腫瘍細胞に対する患者の免疫応答は、一つ又は複数の免疫療法技術を用いることによって活性化される。
【0010】
さらに他の代替の実施形態では、本発明は、HIFU治療によって振動されない腫瘍を治療する方法を提供する。HIFUは、腫瘍に到達し免疫応答を誘発する細胞物質を放出して、振動されない腫瘍を治療する。
【0011】
しかし、当業者は、調査、診断、又は治療の目的で、ヒトの患者、並びに実験用マウス及びラット、イヌ、ネコ、ウマ、及び霊長類など、ヒト以外の哺乳動物に本発明の装置及び方法を適用することができる。
【0012】
本発明の追加の特徴が、現在認識されているような本発明を実行する最良の形態を代表する例示的な実施形態の以下の詳細な説明を考察する際に当業者には明らかになるであろう。
【0013】
本明細書で使用されるように、用語「腫瘍マーカー」は、哺乳動物における腫瘍の存在を示す、哺乳動物の腫瘍からの任意の検出可能な分子である。
【0014】
図面の詳細な説明は特に添付の図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】代表的なHIFUシステムの概略図である。
【図2】病変組織を診断して、疑わしい組織の領域を振動又は切除する治療を適用する、その治療を適用するシステムの一例が図1のHIFUシステムであるところの、代表的な方法である。
【図3】HIFU及び免疫療法によって腫瘍を治療する代表的な方法である。
【図4】HIFU及び免疫療法によって腫瘍を治療する他の代表的な方法である。
【図5】LO-HIFU及びHI-HIFUを駆動するために開発したHIFU駆動システムの図である。
【図6】LO-HIFU及びHI-HIFUを送達できる音響プローブを示す。
【図7】開発した駆動電子機器に接続したときの音響プローブの全音響パワー(TAP)プローブ出力を示す。
【図8】HI-HIFU及びLO-HIFUプローブを用いた典型的な生体外の結果を示す。
【図9】触診可能なわき腹の腫瘍のHIFU治療のための機器のセットアップを示す。
【図10】足蹠の腫瘍のHIFU治療のための機器のセットアップを示す。
【図11】HIFU治療後の血清及び腫瘍溶解物中のHSP70レベルを示す。
【図12】HIFU治療の3日後の脾細胞中のIFN-γ放出細胞の周波数を示す。
【図13】HIFU治療後のIFN-γ放出アッセイによって検出された腫瘍特異性T細胞応答を示す。
【図14】HIFU治療後のCD107a動員アッセイによって検出された腫瘍反応性T細胞の細胞障害性機能を示す。
【図15】HIFU治療後の血清中の腫瘍特異性抗体のタイターを示す。
【図16】LO-HIFUに続くHI-HIFUの後の遅らせた腫瘍の成長を示す。
【図17】カップリングコーンの一般的な構成を示す。
【図18】HIFU治療後の脾細胞の表現型及び熱ショックタンパク質のレベルを示す。
【図19】HIFU駆動システムに取り付けられた音響プローブの特徴を示す。
【図20】HIFU治療後の脾細胞の表現型及び熱ショックタンパク質のレベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
対象とする領域へのエネルギーの印加(例えばHIFU、冷凍アブレーション、電離放射線、ラジオアブレーション、レーザアブレーションなど)は、高エネルギー治療及び低エネルギー治療の2つのタイプに分けられる。
【0017】
高エネルギー治療は、対象組織の壊死又はアブレーションが目標の治療と定義される。高エネルギー治療の一例は高エネルギーHIFU(HI-HIFU)である。HI-HIFUは、典型的には、1cm2当たり3.1から9.1KW秒のエネルギーを印加するが、この範囲より高い及び低い強度を用いることができる。HI-HIFUは、典型的には、3から20秒の時間印加される持続波、及び1から5MHzの動作周波数で動作するが、より長い及び短い時間、より高い又は低い動作周波数で用いることができる。HI-HIFUを用いて広範の又は本質的に完全な壊死を引き起こすときは、HIFUの周波数を約20KHz超且つ約100MHz未満とすることができる。HI-HIFU治療の一例は、HI-HIFUを用いた前立腺の完全なアブレーションであり、その結果前立腺全体が凝固壊死する。
【0018】
対照的に、低エネルギー治療は、対象組織が振動されるが依然として生存可能であるエネルギーレベルによる治療と定義される。低エネルギー治療の一例は、低エネルギーHIFU(LO-HIFU)である。パルス化は出力を変調する手法なので、HI-HIFU源のパルス化によってLO-HIFUを実現することができる。HIFUトランスデューサを移動してHIFUの焦点を移動することによってLO-HIFUを実現することができる。一実施形態では、HI-HIFUが対象組織を横切って掃引されてLO-HIFUを実現する。LO-HIFUは、典型的には、1cm2当たり0.01から1.0KW秒のエネルギーを印加するが、この範囲より高い及び低い強度を用いることができる。LO-HIFUは、パルス化して印加されるときは、パルス持続時間1〜100ミリ秒、パルス繰返し周波数0.5から5.0Hzの範囲で動作するが、より長い及び短いパルス持続時間、より高い又は低い繰返し周波数を用いることができる。一実施形態では、LO-HIFUは、繰返し周波数0.5から30Hzの範囲で動作する。LO-HIFU治療の一例は、血液脳関門を妨害して血流から脳に薬剤が通るのを可能にするためのLO-HIFUの印加である。
【0019】
侵襲的、最小侵襲的、及び非侵襲的の手法を用いて、本発明で説明する治療を適用することができる。エネルギーを印加するために用いられるプローブは、体外、内腔、経皮的でもよく、切開手術で適用してもよい。これらのプローブを、画像誘導(例えば目視、映像、超音波、MRIなど)を備えた手動/直接の位置決めによって、画像誘導を備えたロボット手段によって、又は手動/直接とロボットとの何らかの組み合わせによって適用することができる。代表的なタイプの治療は、対象領域に「高」エネルギーと「低」エネルギーの両方を送達できるHIFUである。一例は、腎腫瘍を(「低」又は「高」エネルギーで)治療するために腹腔鏡によって導入されたHIFUプローブであり、このプローブは、腹腔鏡によって提供された画像を用いた映像のフィードバック、並びにHIFUプローブ内で機械制御した(ロボットの)超音波トランスデューサを用いて案内する超音波の両方によって案内される。
【0020】
代表的なHIFUシステム100を図1に示す。HIFUシステム100は、トランスデューサ部材104を有するプローブ102と、位置決め部材106と、プローブ102と位置決め部材106とを動作可能に接続するコントローラ108と、(キーボード、トラックボール、マウス、及び/又はタッチスクリーンなどの)ユーザー入力装置110と、ディスプレイ112とを含む。プローブ102は、位置決め部材106を通してコントローラ108に動作可能に連結される。しかし、線105によって示すように、プローブ102を、コントローラ108と直接連結することができる。位置決め部材106は、直線的にはトランスデューサ部材104を方向113、114に沿って位置決めし、角度に関してはトランスデューサ部材104を方向115、116に位置決めするように構成されている。本明細書で説明する方法を実行するように修正できる、組織の治療に用いられる適切なHIFUシステムのさらなる詳細は、HIFU特許で提供される。一実施形態では、HIFUシステム100は、組織を撮像すると共に組織を治療するように構成されている。
【0021】
一実施形態では、HIFUシステム100は、HI-HIFU治療を提供するように構成されている。HI-HIFU治療は、概して瞬間的な熱により対象組織の凝固壊死を引き起こす形で音響エネルギーを投与することを含む。例えば、HI-HIFU治療は、持続時間約3秒、動作周波数約4MHz、焦点周辺の空間ピーク時間ピーク(SPTP)強度約1.3から約2.0KW/cm2の持続波として投与され、その結果、焦点ゾーンの組織温度が約80℃から約95℃になる。
【0022】
他の実施形態では、HIFUシステム100は、LO-HIFU治療を提供するように構成されている。LO-HIFU治療は、細胞の生存能力を維持しキャビテーションを避けながら細胞膜を破壊する形で音響エネルギーを投与することを含む。KMディトマー、Jシエ、Fハンター、Cトリンブル、Mブル(M Bur)、Vフレンケル、及びKCPリーによる論文、「Pulsed High-Intensity Focused Ultrasound Enhances Systemic Administration of Naked DNA in Squamous Cell Carcinoma Model: Initial Experience」Radiology.235(2):p.541〜546、2005で考察されているように、LO-HIFU治療により、DNA及び他の分子が細胞膜を通ることが可能になる。その文献の開示はその全体が参照により本明細書に明確に援用される。一例では、LO-HIFU治療は、パルス持続時間がマイクロ秒からミリ秒の範囲(パルスの繰返し率約1Hz)、焦点周辺の空間ピーク時間ピーク強度約0.5KW/cm2、動作周波数約1MHzの音響エネルギーの一連の短パルスとして投与される。
【0023】
一実施形態では、HIFUシステム100は、HI-HIFU治療とLO-HIFU治療の両方を選択的に提供するように構成されている。一実施形態では、HIFUシステム100は、上記で参照したHIFU特許で説明されている方法によってユーザーが対象組織を選択するように、HI-HIFU治療及びLO-HIFU治療のそれぞれに関して予めプログラムされた設定を含む。
【0024】
代表的なHIFUシステム100は、体外のプローブ、内腔のプローブ、腹腔鏡プローブ、又は切開手術用に設計されたプローブによってHIFUを実施することができる。プローブは対象組織に直接配置することができる。
【0025】
代表的なHIFU駆動システムを図5に示す。こうした駆動システムの主な目標は、HIFUを送達するための、一般用であり、使い易く、小型の携帯型システムを提供することである。このシステムは、動作周波数約0.5から30Hz、LO-HIFUプローブの場合は最小焦点強度約0.5KW/cm2、HI-HIFUプローブの場合は最小焦点強度約2.0KW/cm2である。駆動システムは、最短「オン」時間約0.05秒、最長「オン」時間約30秒である。駆動システムは、最短「オフ」時間約0.05秒、最長「オフ」時間約30秒である。「オン」時間及び「オフ」時間のための制御はプログラム可能である。
【0026】
HIFU駆動システム用の駆動電子機器は、信号発生器と、RF増幅器と、固体液体対空気型冷却器、直列水脱ガスシステム、及びプローブの冷却及び接続のためのボーラス体積調節装置を備えた水循環ポンプと、USBベースのコンピュータ/増幅器インターフェースと、HIFUのオン/オフ及び出力制御のためのラップトップコンピュータとから構成され、これらは全て一つのユニット中に収容される。
【0027】
HIFU駆動システムに取り付けられた音響プローブを図5に示す。駆動システム中のHI-HIFU音響プローブは、動作周波数約4MHzを有するように構成されており、駆動システム中のLO-HIFU音響プローブは、動作周波数約1MHzを有するように構成されていた。HI-HIFU音響プローブとLO-HIFU音響プローブの両方は、F数約1を有するように構成されていた。これらのプローブの追加の特徴を図17に示す。
【0028】
トランスデューサの冷却、トランスデューサ/組織の接続、及び焦点ゾーンの所望の深さでの配置を可能にするように、プローブの正面に取り付けられた、高さが異なるカップリングボリ(「コーン」)も構築された。これらのコーンは、音響透過性のラテックス膜で一端が閉じられている。一実施形態では、コーンは、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)から作られているが、任意の同様の材料を用いることができる。
【0029】
一般的な構成のコーンの特徴を図19に示す。
【0030】
以下の関係式は、トランスデューサ焦点の位置を所望の深さに配置するためにコーンを選択しボーラスの高さを調節するために用いられた。
【0031】
合計高さ=焦点の長さ+コーンの高さ-先端部の高さ-所望の焦点の深さ
本明細書で説明する例では、全体を通して背が高いコーンを用いた。所望の焦点の深さが0から-2mmの場合は、こうした構成により、両方のトランスデューサの焦点ゾーンの配置を、ちょうど動物の腫瘍内にし、プローブ先端部/腫瘍の位置合わせを容易にするようにすることが可能になる。
【0032】
駆動電子機器、水管理システム、プローブ、及びボリは、約30〜35℃で生きたニワトリの組織を用いて生体外で試験した。これらの試験の目的は、必要な強度及び治療の効果を実現するために、全音響パワー(図7に示すTAP、Total Acoustic Power)、HIFUのオン時間、HIFUのオフ時間、個々の部位間の間隔、及びサイクル数に対する生体内の実験のための開始時の動作パラメーターを決定することでもあった。HI-HIFUプローブの場合は、これらの効果は主に、短い露出時間(1〜5秒)を用いた熱による組織の凝固壊死を含み、LO-HIFUプローブの場合には、これらの効果は主に、パルスの連続を用いながら組織の生存能力を維持するように、5℃以下の組織の温度上昇を含んでいた。
【0033】
HI-HIFUプローブの場合は、TAP5W、HIFU「オン」時間30〜60秒(1サイクル)、隣接する治療部位間隔3〜4mmにより、アブレーション領域が隣接し組織の温度が80℃を超えた(図8)。LO-HIFUプローブの場合は、TAP20〜40W、HIFU「オン」時間0.1秒、HIFU「オフ」時間約1から60秒、60〜120サイクル、隣接する治療部位間の間隔3mmにより、アブレーションを示さずに組織の温度が10℃未満上昇した。これらの値は、生体内の実験のための開始時の動作パラメーターを形成し、必要に応じて修正された。
【0034】
前立腺に対してHI-HIFU治療を投与すると、特異性抗原レベルの、具体的にはPSAの血流中への放出が上昇したことが示された。さらなる詳細が、その文献の開示はその全体が参照により本明細書に明確に援用される、2005年7月8日出願の米国特許出願公開第2007/0010805号、「METHOD AND APPARATUS FOR TREATMENT OF TISSUE」、並びにその文献の開示はその全体が参照により本明細書に明確に援用される、Tウチダ、Hツムラ、Hヤマシタ、Mカツタ、Dイシイ、Tサトウ、Aオオカワ、Tヒョウドウ、及びNTサングビ(NT Sanghvi)による論文、Japanese Journal of Endourology and ESWL.16(1):p.108〜114、2003で出版された「Transrectal High Intensity Focused Ultrasound for Treatment of Patients with Stage T1b-2NOM Localized Prostate Cancer: A Preliminary Report」において提供されている。
【0035】
本明細書で説明するように、HIFUを用いて、患者の免疫応答を活性化する熱ショックタンパク質の放出を引き起こすことができる。具体的には、LO-HIFU治療を近似するために用いたHI-HIFUで実験を行った。
【0036】
本発明は、患者の悪性腫瘍の存在を診断する方法を提供する。その腫瘍はHIFUを受けて、腫瘍細胞が細胞物質を放出する。細胞物質は、少なくとも一つの腫瘍マーカーを含む。本明細書で用いられるように、用語「腫瘍マーカー」は、哺乳動物における腫瘍の存在を示す、哺乳動物の腫瘍からの任意の検出可能な分子である。好ましくは、哺乳動物はヒトであり、腫瘍マーカーはヒト腫瘍マーカーである。
【0037】
次いで、患者からの体液を評価して、腫瘍マーカーの存在及び/又はレベルを判定する。HIFUの適用前に、腫瘍マーカーの存在及び/又はレベル(或いは腫瘍マーカーの不在)を判定し、次いで、HIFUの適用後の腫瘍マーカーの存在及び/又はレベルと比較することができる。好ましくは、体液は血液、尿、又は唾液である。
【0038】
タンパク質及び他の細胞物質などの細胞から物質の放出を引き起こすHIFUの能力に基づいて、癌などの病気に関して所与の組織を評価する一般に非侵襲的な形態としてHIFUを用いることができる。図2を参照すると、第一の代表的な方法200が示されている。
【0039】
本発明の診断の態様の一つでは、HIFUはLO-HIFUである。LO-HIFUのエネルギーを、腫瘍細胞の生存能力を維持するように調節することができる。
【0040】
本発明の他の診断の態様では、HI-HIFUが用いられる。その結果、少なくとも部分的に腫瘍を壊死させ、しばしば広範の又は本質的に完全に壊死させる。このように用いるときは、HIFUの周波数は、約20KHz超且つ約100MHz未満である。
【0041】
HIFUを2回以上適用することができる。好ましい実施形態では、最初に腫瘍にLO-HIFUを適用し、続いて2から7日以内にHI-HIFUを適用する。或いは、腫瘍にLO-HIFUを適用し、続いて2から7日以内に他のLO-HIFU治療を適用する。さらに他の代替形態では、腫瘍にHI-HIFUを、続いて2から7日以内に、他のHI-HIFU治療を適用する。さらに他の代替形態では、腫瘍にLO-HIFUとHI-HIFUの組み合わせを適用し、続いて2から7日以内にLO-HIFUとHI-HIFUの他の組み合わせを適用する。
【0042】
対象組織にHIFUを適用する前に、病気マーカーの基準の測定を行う。本明細書で検討するように、図2のLO-HIFU又はHI-HIFU治療202により、細胞物質が対象組織から血流中に、場合によっては尿又は唾液などの他の体液中に放出される。悪性の細胞など、病気の細胞は、治療202による対象組織の振動/アブレーション後の体液中の細胞のマーカーの存在又は罹患率から病気を示す細胞物質を含む。こうしたマーカーは、腫瘍抗原、腫瘍マーカー、及び熱ショックタンパク質(HSP)を含む。HI-HIFUとLO-HIFU治療の両方を用いて、体液中にマーカーを放出することができる。いくつかの例では、LO-HIFU治療により、LO-HIFU治療の対象となる細胞によって体液中に放出されるこうした細胞物質のレベルが高くなり、それにより血液、唾液、又は尿などの体液中の細胞物質のレベルを上昇させることができる。一実施形態では、HIFUの適用と細胞物質の評価の間の時間は24から48時間である。腫瘍の完全なHI-HIFU治療(例えば高エネルギーHIFUを用いた前立腺の徹底したアブレーション)は、細胞及び脈管系を速く壊し、病気マーカー(例えばHSP)の生産及び放出を低減し、LO-HIFUと比べてこれらのマーカーを対象の体液中に分配する能力を低下させることができる。他の例は、体液中にマーカーを作り出し放出するために、腫瘍にLO-HIFUを、続いて部分的にHI-HIFU治療を用いることができる。
【0043】
図2の体液の評価204により、流体中のマーカーの存在及び/又はレベルを判定する。体液が血液である一実施形態では、血液サンプルが、患者から引き出され当業者に知られた技術によって血液を評価するために処理される。
【0044】
体液中のマーカーの存在及び/又はレベルに基づいて、対象組織が病気であるか又は正常であるかに関する判定206を行うことができる。
【0045】
他のマーカーは、それらの濃度が特定のレベルより上又は下のときにその状況の存在を示す。前立腺特異性抗原(PSA)はこうしたマーカーの一例である。
【0046】
当業者は、多くのマーカーを知っており、それらのマーカーがどのように状況の存在又は不存在を示すかを知っている。本発明の診断技術においてそれらを用いることは、既知の診断のマーカーについての経験、並びに新規のマーカーに基づいている。本発明の診断技術によって、こうしたマーカーの有用性は新規になり且つ/又は強化される。
【0047】
細胞が正常であると判定された場合は、組織の状態を監視するためにそれに続くフォローアップ試験210を組み込むことができる。
【0048】
細胞が病気であると判定された場合は、208で実証されるように適切な治療行為をすることができる。
【0049】
本発明はまた、哺乳動物、好ましくはヒトの患者の悪性腫瘍を治療する方法も提供する。この方法は、悪性腫瘍の悪性腫瘍細胞に対する患者の免疫応答を刺激することも含んでいた。これは、癌が少なくとも一つの悪性腫瘍から生じる場合に、患者の転移性癌を治療する際に特に有用である。この方法は、腫瘍細胞が細胞物質を放出するようにHIFUを腫瘍に送達するステップと、細胞物質を利用する一つ又は複数の免疫療法技術を用いて腫瘍細胞に対する患者の免疫応答を増幅するステップとを含む。腫瘍はどんな固形腫瘍でもよい。好ましい実施形態では腫瘍は前立腺癌である。
【0050】
細胞物質は、HIFUによって細胞から放出された分子を含む。例えば、それらの分子は、DNA、RNA、タンパク質、及びペプチドでよい。熱ショックタンパク質がタンパク質間に放出される。これらの分子のいくらかは、腫瘍抗原として働くことができる。本明細書で用いられるように、用語「腫瘍抗原」は、分子及び/又は腫瘍細胞に対する哺乳動物の免疫応答を活性化する哺乳動物の腫瘍からの分子である。好ましくは、哺乳動物はヒトであり、腫瘍抗原はヒトの腫瘍抗原である。
【0051】
病変組織を治療するために、HI-HIFU治療、免疫療法、化学療法、又は手術を含む様々な方法を用いることができる。一実施形態では、HI-HIFU治療は病変組織を非侵襲的に治療するために用いられる。HI-HIFU治療を行う代表的な方法は、上記で参照したHIFU特許で提供されており、それらの特許は全て、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0052】
さらに、タンパク質及び他の抗原溶解物などの物質を細胞から放出させるために図2のHIFU202を適用する能力に基づいて、こうした治療を、病変組織を治療するために任意の免疫療法又は一連の免疫療法と組み合わせることができる。
【0053】
体外、内腔、経皮的、ロボット、腹腔鏡、及び腫瘍に直接的な形のうちいずれか一つで、HIFUを適用することができる。強度調整及び/又は周波数調整を用いてHIFUを適用することができる。
【0054】
HIFU治療は、対象の腫瘍を治療する以上のことができ、対象領域の周囲又は遠隔転移性癌の組織中の癌の発生を治療することができる。図3を参照すると、こうした治療に関して第1の代表的な方法300が提案されている。
【0055】
免疫療法300と組み合わせた代表的な局所エネルギー印加を図3に示す。領域302で概略的に示すように、幹細胞は、HIFU治療306が出す細胞物質を受容するように免疫系を準備するために、樹状細胞(DC)刺激サイトカインによって活性化されて、DC303を生成する。代表的なDC刺激サイトカインは、G-CSF、GM-CSF、及びFIt3Lを含む。次に、HIFU306で対象組織304を治療する。対象組織は、熱ショックタンパク質及び抗原溶解物などの細胞物質308を放出する。
【0056】
一実施形態では、図3の低エネルギー治療306はLO-HIFUである。理論にとらわれずに、本出願人は、HIFUが、固形腫瘍のHIFU治療後に血液中に放出される熱ショックタンパク質(HSP)を腫瘍細胞中に誘導すると考えている。HSPが腫瘍内ペプチドに結合するので、HIFUが治療した腫瘍細胞からのHSPの自然な放出は、循環するDC303によって抗原提示のための腫瘍抗原源を提供するはずである。細胞物質308はDC303に取り込まれる。次いで、領域310によって示されるように、腫瘍抗原を負荷したDCはリンパ節への移行が予想された。さらに、腫瘍細胞のHIFU治療後に血液中に放出されたHSPは、DCに「危険」信号を発し、また、効率的な抗原提示のために包括的な腫瘍由来のペプチド源をもたらす。
【0057】
図3に領域312で示すように、リンパ節ではDCの成熟が起きる。一例では、CD40Lは、DC成熟のための信号を発し、それによりCD4T細胞の必要が無くなる。さらに、一例では、2次リンパ系ケモカイン(SLC)は、排出リンパ節へのDCの移行を助け、細胞性の抗腫瘍免疫を引き起こすようにT細胞と相互作用する。Tリンパ球活性化サイトカインを連続して使用すると強い免疫応答が引き起こされる。さらに、IL-2は腫瘍特異的細胞傷害性Tリンパ球を増幅し、IL-15は強い記憶T細胞応答を引き起こす。
【0058】
その結果、図3に領域314で示すように、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)は増殖し、他の腫瘍細胞を壊す。したがって、HIFUで治療した腫瘍細胞は、インサイチュ(in situ)腫瘍ワクチンとして働き、強い腫瘍特異的免疫応答を引き起こして、再発固形腫瘍の遠隔微小転移巣を根絶する。
【0059】
一実施形態では、HIFU治療後に抗CTLA4抗体を投与すると、調節性T細胞が下方制御され、それにより腫瘍特異的免疫応答が増大する。他の実施形態では、4-1BBLを投与すると、CTLエフェクター及び記憶T細胞が強化される。さらに他の実施形態では、様々なCpGオリゴヌクレオチドは、HIFU治療と共に用いられて、治療後に先天性の免疫が強化される。CpGオリゴヌクレオチドは、DCの成熟を引き起こし、腫瘍抗原に対する耐性を破壊する。
【0060】
個別のワクチンの代わりに、図3の治療300は、HIFU治療後に死滅しかかっている細胞によって放出された腫瘍抗原を取り入れるために内因性循環DCに応じて変わる。さらに、局所腫瘍の高及び/又は低エネルギーHIFU治療との従来の免疫療法の組み合わせにより、化学療法で見られるように免疫抑制が一般化することなしに、局所エネルギー治療によって腫瘍量を減少することが少なくとも可能になるはずである。さらに、その組み合わせはまた、免疫記憶を「増強」し抗原の拡散によってより広範の免疫応答を引き起こし、それによりワクチンの効果を高めるための抗原貯蔵所としても働くはずである。
【0061】
図3の代表的な方法300によって生じる免疫応答を、既知の技術によって監視することができる。免疫応答が不十分な場合はプロセス300を繰り返すことができる。免疫応答が許容でき、前のエネルギー治療後の局所の病気の治療が不十分である場合は、その局所の病気に対処するために、高エネルギーHIFU治療を、免疫療法ステップと共に又はそれらのステップなしで適用することができる。図4に示す代表的な方法400は、エネルギー印加治療と共に免疫学を用いた治療後の選択を実証する。
【0062】
図4に402で示すように、患者の免疫系は、腫瘍抗原を受容するように準備される。代表的な準備は、樹状細胞の生産を活性化するためにサイトカインを使用することである。前立腺などの腫瘍領域はLO-HIFU治療404を受ける。代替形態として、腫瘍領域はHI-HIFU又はLO-HIFUとHI-HIFUの組み合わせを受けることができる。治療は、腫瘍細胞から、熱ショックタンパク質及び抗原溶解物を含む細胞物質を放出する。免疫系応答を正確に活性化するために一つ又は複数の免疫療法技術406が適用される。
【0063】
408で示すように、患者の免疫応答を監視する。免疫応答が容認できない場合は、プロセス400を繰り返すことができる。免疫応答が十分であり局所の病気が完全に治療される場合は、追加の治療は必要ない。免疫応答が十分であるが局所の病気が完全には治療されていない場合は、高エネルギーHIFU治療412を適用して腫瘍を完全に切除し、局所の病気が再発する場合は高エネルギーHIFU治療412を繰り返すことができる。
【0064】
免疫療法技術を2回以上適用することができる。HIFU治療の前に適用してもよく、後に適用してもよい。
【0065】
本発明の一実施形態では、免疫療法技術は、哺乳動物の免疫系を活性化する効果的な量の組成物を哺乳動物に送達することを含む。その組成物は、自己由来の腫瘍細胞ワクチンなどの抗腫瘍ワクチンでよい。
【0066】
或いは、その組成物は免疫調節分子である。好ましくは、その分子はサイトカインである。こうしたサイトカインは、限定されないが、リンホカイン、インターロイキン、及びケモカインを含む。本発明の一態様では、サイトカインは樹状細胞活性化サイトカインである。これらは、G-CSF、GM-CSF、IL-4、及びFIt3Lを含む。
【0067】
本発明の他の実施形態では、HIFUの使用によって誘発された免疫応答は、人体の免疫応答を強化する組成物を投与することによって増強される。これらの免疫増強組成物は、当技術分野で知られているが、HIFU治療の文脈における使用は新規である。これらの組成物の例は、リンホカイン及びケモカインなどのサイトカインを含む。好ましくは、これらは樹状細胞刺激サイトカインである。
【0068】
これらの免疫増強組成物はG-CSF、GM-CSF、IL-4、及びFit3Lを含む。いくつかの適切な免疫増強組成物が、市販されており、既にヒトに使用することが認可されているが、この文脈での使用はまだ認可されていない。例えば、Leukineは、バーレックス・ラボラトリーズ社から入手可能なGM-CSF製剤である。Neupogenは、アムジェン社から入手可能な遺伝子組換えメチオニルヒト顆粒球コロニー刺激因子(r-metHuG-CSF)である。Neulastaは、遺伝子組換えメチオニルヒトG-CSFとモノメトキシポリエチレングリコールとの共有結合複合体であり、これもアムジェン社から入手可能である。Proleukinは、IL-2であり、ノバルティス社から入手可能である。他の有用な免疫増強組成物は、IL-2、IL-I-5、CD40L、4-1BBリガンド、又はCpGオリゴヌクレオチドを含む。本発明のさらに他の態様では、免疫調節分子は、調節性T細胞を下方制御する分子である。これらの分子は抗CTLA4抗体を含む。
【0069】
これらの及び他の免疫増強組成物は、本発明によるHIFUの使用によって誘発された免疫応答を増強する際に効果的である。それらを安全に使用するための技術は、癌治療の分野の技術者によく知られている。特定の患者に用いられるこれらの組成物それぞれの具体的な投与量は、精通している臨床医が、体重、患者の免疫系の以前の状態、及び組成物に対する詳細に監視した患者の応答を含む、十分に確立した要因に基づいて、専門的に判断する事柄である。これらの同じ判断は、これらの十分に確立した臨床的なパラメーター内で働き、免疫増強組成物が本発明の一部として用いられるときに適用する。
【実施例】
【0070】
以下の実施例で、上記で説明したような本発明の実施形態を実証する。
【実施例1】
【0071】
免疫療法を用いたHIFUの賞賛すべき性質を調査するために、HIFUシステムは、ユーザーに超音波の伝達の音響特性の制御を与えることができるプローブを有するように設計され、臨床前のネズミモデルで使用するために適切に寸法設定される。LO-HIFUを適用し、続いて1から2日後にHI-HIFUを適用する、両方の連続した適用に対する免疫系応答は、動物モデルで扱われた。
【0072】
修正したソナブレート(登録商標)500は、焦点周辺の空間ピーク時間ピーク(SPTP)強度1300から2000W/cm2のHI-HIFUで動作する。前立腺癌の治療のためのHIFU持続波3秒、及び動作周波数4MHzを用いて、焦点ゾーンの組織の温度を80℃〜95℃に到達させた。その結果生じる熱傷は、約3mm×3mm×12mmであり、組織が焦点ゾーンを越えて損傷を受けることなしに非常にはっきりと境界設定される。
【0073】
LO-HIFUの場合は、パルス持続時間はマイクロ秒からミリ秒の範囲であり、焦点周辺の強度(SPTP)500W/cm2、及びパルス繰返し周波数(PRF)1Hz程度である。やはり温度上昇を制限するために、中心周波数の下限は1MHz程度を概して取り入れる。したがって、細胞は、生存可能な状態のまま機械振動を受ける。
【0074】
モデルは、C57BU6マウスの足蹠及びわき腹にオボアルブミンと共に導入されたネズミの前立腺癌の細胞系、RM-1-OTを接種することによって構築した。腫瘍の寸法が直径3〜5mmに達したときにHIFU治療を投与し、副作用を初期治療の1〜2週間後に評価した。脾細胞の表現型並びに腫瘍及び血清中の熱ショックタンパク質70のレベルは、フローサイトメトリー及びELISAによってHIFU治療の24時間後に分析した。この分析結果を図18及び図20に示す。
【0075】
腫瘍特異性免疫応答を評価するために、マウスは、HIFUによって1週間間隔で3回治療し最終治療の1週間後に死んだ。腫瘍特異性T細胞の周波数を、IFN-γ放出ELISPOTアッセイによって分析し、これらの腫瘍反応性T細胞の細胞障害性機能を、CD107a動員アッセイによって検出した。血清中の腫瘍特異性抗体のタイターを、間接的ELISAアッセイによって評価した。腫瘍の成長曲線は、3つの直行する腫瘍の直径を1〜3日間隔でノギスで測定することによって生成した。
【0076】
前立腺癌のモデルを構築するために、C57BU6マウス(n=40)の足蹠又はわき腹に皮下に1×705RM-1-OT腫瘍細胞を注射した。約10日後に、腫瘍は触診可能(直径3〜5mm)になり、そのとき治療を開始した。RM-1-OTは、ネズミの前立腺癌細胞系、RM-1から発生するが、安定したトランスフェクションによってニワトリオボアルブミン(OVA)を示すように修正される。OVAは、腫瘍特異的免疫応答を簡単に監視できるようにモデルの腫瘍抗原として用いられた。
【0077】
触診可能なわき腹及び足蹠腫瘍のHIFU治療のための機器のセットアップを、それぞれ図9及び図10に示す。治療前にマウスに麻酔をかけ、腫瘍の体積を測定して、位置合わせのためのグリッドを計算した。マウスは、4つのグループに分け(各グループに5匹)、低エネルギー、高エネルギー、及びLO-HIFUとHI-HIFUの組み合わせで、又はそれらを用いずに治療した。最後の組み合わせのグループでは、最初にマウスをLO-HIFUによって治療し、次いで24時間後にHI-HIFUを施した。それぞれの治療の種類に関する詳細なパラメーターを表1及び表2に示す。
【0078】
初期治療の2週間後以内に有害事象を評価し、最も頻繁に見られた症状は腫瘍の出血、潰瘍化、及び骨破壊であった。表1に示すように、HI-HIFU治療後に腫瘍の色が白及び赤色に変わり、足は1週間後に骨折によって抜け落ちた。HIFU治療なしの腫瘍と比較して、LO-HIFUは足の骨を破壊しなかったが、1週間後に腫瘍が潰瘍化した。これらの有害症状の発生を最大限減少させるために、低及び高エネルギーHIFUのパラメーターを調節し、腫瘍の位置をわき腹に変更して骨破壊を避けた。表2に示すように、HIFU治療の直後には有害症状は見当たらなかったが、わずかな潰瘍化及び出血は2週間後にまだ発生していた。
【0079】
免疫細胞へのHIFUの影響をさらに評価するために、脾細胞をHIFU治療後24時間隔離し、T細胞、B細胞、NK細胞、及び樹状細胞の割合をフローサイトメトリーによって分析した。表3に示すように、免疫細胞にHIFU治療による副作用が無かったことを示す3つのグループ間で大きな差は見つからなかった。対照的に、LO-HIFUとHI-HIFUの組み合わせによって治療したマウスでは、T細胞、CD4/8比、及びCD69+T細胞のわずかな増加が見られた。
【0080】
HSP70、熱ショックタンパク質ファミリーの要素は、腫瘍に対する免疫応答の強化に強い影響を有することが分かった。腫瘍の環境及び血清にこうした熱ショックタンパク質を放出すると、腫瘍の浸潤及び循環する樹状細胞を活性化することもでき、したがって局所腫瘍及び転移に対する系統的な免疫応答を引き起こす。HIFUがこのようにしてHSP70の放出を引き起こすかどうかを評価するために、治療の24時間後に腫瘍溶解物及び血清を収集し、これらのサンプル中のHSP70のレベルを市販のキットを用いてELISAによって分析した。図11に示すように、HSP70の最高レベルは、LO-HIFUとHI-HIFUの組み合わせによって治療したマウスからの腫瘍溶解物及び血清で見つかった。低及びHI-HIFU単独でも、治療しないグループと比較して検出可能なHSPの放出を引き起こすことができる。これらの結果により、LO-HIFUとHI-HIFUの組み合わせが腫瘍に対する保護免疫応答を引き起こす最善の方法であることが示された。
【0081】
腫瘍特異性免疫応答の周波数及び程度を評価するために、マウス(n=16)は、HIFUによって1回治療し、その後3、7、及び14日目に死んだ。脾細胞を、時間点それぞれで隔離し、IFN-γ放出ELISPOTによって分析した。残念ながら、腫瘍特異性T細胞応答は各サンプルで検出されず、1回のHIFU治療は恐らく生体内で強い免疫応答を引き起こすのに十分ではないことが示された。この実験で分かった唯一のことは、IFN-γ生成細胞の総数は低エネルギーHIFUと高エネルギーHIFUの組み合わせで治療したマウスの3日目で最も多かった(図12)ことである。
【0082】
腫瘍特異性免疫応答の誘発を強化するためには、マウス(n=16)は、HIFUによって1週間間隔で3回治療し最終治療の1週間後に死んだ。脾細胞中の腫瘍特異性T細胞の周波数を、IFN-γ放出ELISPOTアッセイによって分析し、これらの腫瘍反応性T細胞の細胞障害性機能をCD107a動員アッセイによって検出した。図13に示すように、LO-HIFUとHI-HIFUの組み合わせで治療したマウスで強いRM-1-OT特異性応答が検出され、この応答は、MHCクラスI拘束性ペプチド、OVA257 269と、MHCクラスII拘束性ペプチド、OVA323〜339との両方に特異であることも分かった。対照的に、LO-HIFU及びHI-HIFU単独で治療したマウスでは重大な免疫応答は検出されなかった。図14に、HIFUを用いて治療したマウスとHIFUを用いずに治療したマウスの細胞障害性T細胞の周波数を示す。ELISPOTアッセイの結果とは異なり、腫瘍特異性CD107a+T細胞は、治療をしなかった場合でもほとんど全てのマウスの脾細胞で見つかった。しかし、最も高い割合はやはり、LO-HIFUとHI-HIFUの組み合わせで治療したマウスで見つかり、これはELISPOTアッセイからの結果と一致していた。こうした不一致の可能な説明は、いくつかの腫瘍応答性細胞障害性T細胞は腫瘍細胞に出会ったときにIFN-γを放出できないことである。
【0083】
細胞の免疫応答と比べて、HIFUは、腫瘍に対する体液性免疫応答を引き起こすことも分かった。興味深いことには、腫瘍特異性抗体は、HI-HIFUで治療したマウスからの血清でのみ検出することができた(図15)。他の3グループの腫瘍特異性抗体のタイターは、治療をしていない正常マウスと同様であった。
【0084】
腫瘍のHIFU治療の治療効果を評価するために、腫瘍の体積を1〜3日間隔でノギスで測定することにより、腫瘍の成長曲線を生成した。図16に示すように、HI-HIFU、及びLO-HIFUとHI-HIFUの組み合わせで治療したマウスに腫瘍の大幅な遅延が見られた。この結果は、これらのマウスで観察された細胞性及び体液性腫瘍特異性免疫応答と互いに関連し、HIFUを免疫調節と結びつける強力なエビデンスを提供することができる。
【実施例2】
【0085】
患者の免疫系応答は以下のように増幅される。このモデルは、LO-HIFUと、1から2日後HI-HIFUの両方の連続した適用を含む。
【0086】
ソナブレート(登録商標)500は、焦点周辺の空間ピーク時間ピーク(SPTP)強度1cm2当たり1300から2000WのHI-HIFUで動作する。前立腺癌の治療のために持続波3秒、動作周波数4MHzのHIFUを用いて、焦点ゾーンの組織温度を80℃〜95℃に到達させる。その結果得られる熱傷は約3mm×3mm×12mmであり、組織が焦点ゾーンを越えて損傷を受けることなしに非常にはっきりと境界設定される。
【0087】
LO-HIFUの場合は、パルス持続時間はマイクロ秒からミリ秒の範囲であり、焦点周辺の強度(SPTP)500W/cm2、及びパルス繰返し周波数(PRF)1Hz程度である。やはり温度上昇を制限するために、中心周波数の下限は1MHz程度を概して取り入れる。したがって、細胞は、生存可能な状態のまま機械振動を受ける。
【0088】
LO-HIFUを腫瘍に適用すると、腫瘍内の腫瘍細胞から細胞物質が放出される。腫瘍細胞に対する患者の免疫応答は、細胞物質を利用するいくつかの免疫療法技術を使用することによって活性化される。これらの免疫療法技術は、患者の免疫系を活性化する効果的な量の組成物を患者に送達することを含む。その組成物は、自己由来の腫瘍細胞ワクチンなどの抗腫瘍ワクチンでよい。或いは、その組成物は免疫調節分子である。好ましくは、その分子はサイトカインである。こうしたサイトカインは、限定されないが、リンホカイン、インターロイキン、及びケモカインを含む。サイトカインは、樹状細胞活性化サイトカイン、G-CSFである。G-CSFは、Neulasta(登録商標)及びNeupogen(登録商標)として市販されている。1回又は複数回の投与量を安全に投与できるNeulasta(登録商標)の最大量は決まっていない。1回の投与量の300mcg/kgを8人の正常なボランティア及び重大な副作用の無い非小細胞肺癌の3人の患者にSCで投与した。これらの対象は、平均最大ANC55×109/L、対応する平均最大WBC67×109/Lを経験する。観察した絶対最大ANCは96×109/L、観察した対応する絶対最大WBC120×109/Lであった。白血球増加期間は6から12日であった。症状を示す個人の管理では白血球搬出を考慮すべきである。Neupogen(登録商標)の最大許容投与量は決まっていない。骨髄非破壊的化学療法の第3相試験で4から8mcg/kg/dayの投薬量の効果が実証された。BMT試験の患者は、毒性作用なしで最大138mcg/kg/day受け取ったが、用量作用曲線の10mcg/kg/dayより多い日用量より多い部分が平らになった。
【0089】
樹状細胞活性化サイトカインの放出は、HIFU治療が出す細胞物質を免疫系が受容するのを準備するために、樹状細胞を生成する。HIFUは、腫瘍細胞に熱ショックタンパク質を引き起こし、熱ショックタンパク質は固形腫瘍のHIFU治療後に血液中に放出される。熱ショックタンパク質は腫瘍内ペプチドと結合し、HIFUで治療した腫瘍細胞からの熱ショックタンパク質の自然な放出は、循環する樹状細胞によって腫瘍抗原提示の源を提供する。細胞物質は樹状細胞に取り込まれる。腫瘍抗原を負荷した樹状細胞は、リンパ節中に移行する。腫瘍細胞のHIFU治療後に血液中に放出された熱ショックタンパク質は、樹状細胞に「危険」信号を発し、また、効率的な抗原提示のために包括的な腫瘍由来のペプチドをもたらす。
【0090】
リンパ節では、樹状細胞の成熟が起きる。例えば、CD40Lが樹状細胞の成熟のための信号を発生し、それによりCD4T細胞の必要性が無くなる。他の例では、2次リンパ系ケモカイン(SLC)は抗腫瘍免疫を助ける。Tリンパ球活性化サイトカインを連続して使用すると、強い免疫応答が起きる。さらに、IL-2は腫瘍特異的細胞傷害性Tリンパ球を増幅し、IL-15は強い記憶T細胞応答を引き起こす。
【0091】
その結果、細胞傷害性Tリンパ球は増殖し、他の腫瘍細胞を壊す。したがって、HIFUで治療した腫瘍細胞は、インサイチュ(in situ)腫瘍ワクチンとして働き、強い腫瘍特異的免疫応答を引き起こして、再発固形腫瘍の遠隔微小転移巣を根絶する。
【0092】
特定の図示の実施形態を参照して本発明を詳細に説明してきたが、変形形態及び修正形態が、以下の特許請求の範囲で説明し定義する本発明の精神及び範囲内に存在する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の腫瘍の存在を診断する方法であって、
腫瘍細胞が細胞物質を放出するように腫瘍に高密度集束超音波(HIFU)を施すステップと、
腫瘍マーカーに関して前記細胞物質を評価するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記HIFUが高エネルギー高密度集束超音波(HI-HIFU)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記HIFUが低エネルギー高密度集束超音波(LO-HIFU)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記HIFUが、HI-HIFUとLO-HIFUの組み合わせとして投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記腫瘍が、持続して約3から20秒間適用されるHIFUを受ける、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記腫瘍が、パルス持続時間が約1から100ミリ秒のパルスとして適用されるHIFUを受ける、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記腫瘍が、腫瘍全体にわたってHIFUの焦点を移動することによってLO-HIFUを受ける、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記腫瘍が、腫瘍全体にわたって移動するHI-HIFUを受ける、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記腫瘍が2回以上のHIFUの適用を受ける、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記腫瘍にHIFUを施す時間と細胞物質を評価する時間の間の時間が、約24から48時間である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記HIFUが腫瘍を壊死させる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記HIFUが腫瘍を壊死させない、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記HIFUが腫瘍の一部分を壊死させる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記HI-HIFUが、1cm2当たり約1.3から2.0KWの量の出力を印加する、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記HI-HIFUの動作周波数が約1.0から5.0MHzである、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記HI-HIFUの動作周波数が約20KHz超且つ約100MHz未満である、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
前記LO-HIFUが、1cm2当たり約0.5KWの量の出力を印加する、請求項3に記載の方法。
【請求項18】
前記LO-HIFUが、1cm2当たり約0.01から3.0KW秒の量のエネルギーを印加する、請求項3に記載の方法。
【請求項19】
前記LO-HIFUが、持続時間約0.01から1.0秒、パルス繰返し周波数約0.5から5.0Hzのパルスで動作する、請求項3に記載の方法。
【請求項20】
前記LO-HIFUが繰返し周波数約0.5から30.0Hzで動作する、請求項3に記載の方法。
【請求項21】
前記HI-HIFUが繰返し周波数約0.5から30.0Hzで動作する、請求項8に記載の方法。
【請求項22】
前記体液が血液、尿、及び唾液のうち一つである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記腫瘍マーカーがタンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記腫瘍マーカーの存在及びレベルのうち少なくとも一方が、前記HIFUの適用前に得られ、前記HIFUの適用後に前記腫瘍マーカーの存在及びレベルのうち少なくとも一方と比較される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記HIFUが、体外、内腔、経皮的、ロボット、腹腔鏡、及び腫瘍に直接的な手法のうち一つの手法で適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記HIFUが、強度調整及び周波数調整のうち一つ又は複数を用いて適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記HIFUの周波数が、約20KHz超且つ約100MHz未満である、請求項6に記載の方法。
【請求項28】
患者の腫瘍を治療する方法であって、
腫瘍に高密度集束超音波(HIFU)を施し、前記HIFUの適用が免疫応答を誘発するステップを含む方法。
【請求項29】
前記HIFUが高エネルギー高密度集束超音波(HI-HIFU)である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記HIFUが低エネルギー高密度集束超音波(LO-HIFU)である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記HIFUが、HI-HIFUとLO-HIFUの組み合わせとして実施される、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記腫瘍が、約3から20秒間持続して適用されるHIFUを受ける、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記腫瘍が、パルス持続時間約1から100ミリ秒のパルスとして適用されるHIFUを受ける、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記腫瘍が、腫瘍全体にわたってHIFUの焦点を移動することによってLO-HIFUを受ける、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記腫瘍が、腫瘍全体にわたって移動するHI-HIFUを受ける、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記腫瘍が、HIFUの適用以上のものを受ける、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記HIFUが腫瘍を壊死させる、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記HIFUが腫瘍を壊死させない、請求項28に記載の方法。
【請求項39】
前記HIFUが腫瘍の一部分を壊死させる、請求項28に記載の方法。
【請求項40】
前記HI-HIFUが、1cm2当たり約1.3から2.0KWの量の出力を印加する、請求項29に記載の方法。
【請求項41】
前記HI-HIFUの動作周波数が約1.0から5.0MHzである、請求項29に記載の方法。
【請求項42】
前記HI-HIFUの動作周波数が約20KHz超且つ約100MHz未満である、請求項29に記載の方法。
【請求項43】
前記LO-HIFUが、1cm2当たり約0.5KWの量の出力を印加する、請求項30に記載の方法。
【請求項44】
前記LO-HIFUが、1cm2当たり約0.01から3.0KW秒の量のエネルギーを印加する、請求項30に記載の方法。
【請求項45】
前記LO-HIFUが、持続時間約0.01から1.0秒、パルス繰返し周波数約0.5から5.0Hzのパルスで動作する、請求項30に記載の方法。
【請求項46】
前記LO-HIFUが、約0.5から30.0Hzの繰返し周波数で動作する、請求項30に記載の方法。
【請求項47】
前記HI-HIFUが、約0.5から30.0Hzの繰返し周波数で動作する、請求項35に記載の方法。
【請求項48】
前記HIFUが、体外、内腔、経皮的、ロボット、腹腔鏡、及び腫瘍に直接的な手法のうち一つの手法で適用される、請求項28に記載の方法。
【請求項49】
前記HIFUは、強度調整及び周波数調整のうち一つ又は複数を用いて適用される、請求項28に記載の方法。
【請求項50】
前記HIFUの周波数が、約20KHz超且つ約100MHz未満である、請求項33に記載の方法。
【請求項51】
高エネルギー高密度集束超音波(HI-HIFU)の前に、低エネルギー高密度集束超音波(LO-HIFU)を投与する、請求項28に記載の方法。
【請求項52】
前記免疫応答が、前記HIFUを受けた腫瘍以外の病変組織を対象とする、請求項28に記載の方法。
【請求項53】
前記免疫応答が、免疫調節性の化合物を投与することによって強化される、請求項28に記載の方法。
【請求項54】
前記免疫調節性の化合物の投与が、少なくとも一つの免疫調節分子を供給することを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記免疫調節分子がサイトカインである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記サイトカインが樹状細胞活性化サイトカインである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記サイトカインが、GCSF及びGM-CSFから成る群から選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記サイトカインが、ケモカイン、リンホカイン、及びインターロイキンから成る群から選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記免疫調節性の化合物の投与が、患者の免疫系を活性化する効果的な量の組成物を患者に送達するステップを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項60】
前記サイトカインが、Tリンパ球活性化サイトカインである、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
前記Tリンパ球活性化サイトカインがIL-2又はIL-15である、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記免疫調節分子がCD40Lである、請求項54に記載の方法。
【請求項63】
前記免疫調節分子がケモカインである、請求項54に記載の方法。
【請求項64】
前記免疫調節分子が、調節性T細胞を下方制御する分子である、請求項54に記載の方法。
【請求項65】
前記免疫調節分子が抗CTLA4抗体である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記免疫調節分子が4-1BBリガンドである、請求項54に記載の方法。
【請求項67】
前記免疫調節分子がCpGオリゴヌクレオチドである、請求項54に記載の方法。
【請求項68】
前記組成物が抗腫瘍ワクチンを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項69】
前記ワクチンが自己由来の腫瘍細胞ワクチンを含む、請求項54に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2011−508870(P2011−508870A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534973(P2010−534973)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/013002
【国際公開番号】WO2009/070245
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(509079271)フォーカス サージェリー,インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】