説明

高尿酸血に関連する健康状態の治療及び予防のための組成物及び方法

【課題】 糖尿病の発症を遅延し、又は糖尿病を治療する方法であって、尿酸降下薬の投与を備えるものを開示することを課題とする。
【解決手段】 本願発明者らは、高尿酸値が、インスリン抵抗性ではなく、むしろインスリン抵抗性の主要なメディエータから生じるものであるという注目すべき発見をした。特に例証したのは、糖尿病の進行にかかりやすい患者に対して、尿酸降下薬を含む組成物を、血清尿酸値を少なくとも5.5mg/dl未満又は少なくとも5.2mg/dl未満に維持する投与計画にて投与することを含む方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年7月21日に出願された国際出願第PCT/US05/25910号の一部継続出願である。本願はまた、米国仮特許出願第60/589,921号の出願日である、2004年7月21日の利益を主張するものである。本願発明は、高尿酸血に関連する健康状態の治療及び予防のための組成物及び方法に係る技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、広範囲にわたる生理学的及び解剖学的な異常によって特徴づけられる。たとえば、変形したグルコース配列、高血圧症、網膜症、異常な血小板活動、大、中及び小の大きさの血管を含む異常、並びに糖尿病患者においてみられる他の問題によって特徴づけられる。糖尿病は、1次と2次の2つのカテゴリーに分類される。1次糖尿病には、1)インスリン依存性糖尿病(IDDM:insulin−dependent diabetes mellitus、1型)と、2)インスリン非依存性糖尿病(NIDDM:non−insulin−dependent diabetes mellitus、2型)とが含まれ、この2型には、a)非肥満型NIDDM、b)肥満型NIDDM及びc)若年発症成人型糖尿病が含まれる。1次糖尿病は関連する疾病が存在しないことを示唆し、他方2次糖尿病においては、いくつかの他の同定可能な状態、たとえば、1)膵臓病、2)ホルモン異常症、3)薬剤性ないしは化学薬品性、4)インスリン受容体異常症、5)遺伝的症候群 6)その他、によって又はそれらが原因となり、糖尿病症候群が発症する。
【0003】
この分類におけるインスリン依存は、インスリン療法と等価でないものの、患者のインスリンが欠乏しケトアシドーシスの危険にあることを意味する。インスリン依存及びインスリン非依存という用語は、生理学的な状態(それぞれ、ケトアシドーシス傾向及びケトアシドーシス耐性)を言い、他方、1型及び2型という用語は、発病のメカニズム(それぞれ、免疫介在性及び免疫非介在性)を指すと云われている。この分類を用いると、1次糖尿病の3つの主要な形態が認められる。すなわち、(1)1型インスリン依存性糖尿病、(2)1型インスリン非依存性糖尿病、及び(3)2型インスリン非依存性糖尿病の3つが認められる。
【0004】
糖尿病の副次的症状には、膵臓病、ホルモン異常症、遺伝的症候群等の多くの症状がある。
【0005】
インスリン依存性糖尿病は、幼年期あるいは青年期に多くの場合発症するが、NIDDMの発症は一般的に中年期又は高齢期に生じる。NIDDMの患者は通常肥満状態にあり、全糖尿病患者の90〜95パーセントを構成する。IDDMは、ウィルス感染によって促進されうる自己免疫過程による、β細胞の破壊に起因するものである。NIDDMは、β細胞機能の緩徐減衰及び様々な度合いのインスリンに対する末梢抵抗を特徴とする。IDDMの毎年の発生割合は、非白人男性の100,000人当り10症例から白人男性の100,000人当り16症例までと広がりがある。ラポルテ・アール・イー(LaPorte, R. E.)他、1981年、Diabetes第30号第279頁。NIDDMの罹患は、加齢とともに、特に45歳より後で増加し、白人間より黒人間で高く、南アフリカ及びイングランドで暮らすアジア系インディアンなど特定の人々の間で割合が高い。マルター・エイチ・エム(Malter, H. M.)他、1985年、Br. Med J.第291号第1081頁。妊娠性糖尿病は、米国において、すべての妊娠女性の2.4パーセントの割合で毎年生じる。フラインケル・エヌ(Freinkel, N.)他、1985年、N. Engl. J. Med.第313号第96頁。妊娠もまた、インスリン抵抗性の一状態である。このインスリン抵抗性は妊娠性糖尿病において悪化し、これは2型NIDDMに関連した妊娠に係る種々の高血圧症候群に患者を向かわせることがある。バーディセフ・エム(Bardicef, M.)他、1995年、Am. J. Gynecol.第172号第1009頁乃至第1013頁。
【0006】
IDDMの最新の治療法には、インスリン療法が含まれ、またNIDDMについては、肥満患者における食生活の改善、及び例えばβ細胞からのインスリン放出を刺激することにより作用するトルブタマイド、クロルプロパミド、アセトヘキサミド、トラザミド、グリピザイド、グリブライドなどの血糖降下薬が含まれるであろう。また、ロシグリタゾンのようなチアゾリドン薬がインスリン抵抗性を治療するのに用いられている。
【0007】
インスリン抵抗性と高尿酸血は、肥満、インスリン抵抗性、高トリグリセリド血症及び高尿酸血の「メタボリックシンドローム」ないし「シンドロームX」の一部と考えられ、これはII型糖尿病の病因の基礎となる。インスリン抵抗性は、我々の身体自身のインスリンに対する低下した代謝反応であり、活性筋細胞群がグルコースを本来摂取すべきようには容易に摂取させなくする。その症状は認識されることなく存続することもあり、末期の2型糖尿病と最終的に診断されるより前に代謝損傷が生じる場合がある。インスリン抵抗性の糖尿病患者は、心臓発作ないし心発作で死ぬ可能性が非糖尿病患者の2−5倍である。現在、メタボリックシンドロームは、米国において、また世界の至る所で流行しており、人々の間で医療費を指数関数的に増加させ、心血管及び腎臓病に対する危険性の増加から、多大な罹患率及び死亡率を引き起こしている。殆どの研究は、この流行が「西洋化された食事」の採食によるものだとするが、このような食事は高尿酸血症に対する我々のリスクを増加することで知られている(ジョンソン・アール・ジェイ(Johnson RJ)、ライダウト・ビー(Rideout B):Uric acid and diet: insights into the Epidemic of Cardiovascular Disease. N Engl J Med(editorial)第350号第1071頁乃至第1074頁(2004年)。
【0008】
インスリン抵抗性に関連した血清尿酸の上昇はインスリンによる尿細管における尿酸塩再吸収を増加しようとする効果によるものであると広く考えられてきたため、インスリン抵抗性に関連した高尿酸血は当該シンドロームにおける原因的役割を担っていないとされてきた。
【0009】
【非特許文献1】ラポルテ・アール・イー(LaPorte, R. E.)他、1981年、Diabetes第30号第279頁
【非特許文献2】マルター・エイチ・エム(Malter, H. M.)他、1985年、Br. Med J.第291号第1081頁
【非特許文献3】フラインケル・エヌ(Freinkel, N.)他、1985年、N. Engl. J. Med.第313号第96頁
【非特許文献4】バーディセフ・エム(Bardicef, M.)他、1995年、Am. J. Gynecol.第172号第1009頁乃至第1013頁
【非特許文献5】ジョンソン・アール・ジェイ(Johnson RJ)、ライダウト・ビー(Rideout B):Uric acid and diet: insights into
【非特許文献6】ワーリング(Waring)他、Heart 2004、第90号第155頁乃至第159頁。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、従来技術が有する欠点等を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者等は、尿酸値の上昇がインスリン抵抗性の主要なメディエータであるという注目に値する発見をした。本発明は、メタボリック症候群の流行に対する新規なアプローチを提供する。一実施形態において、本発明は1以上のメタボリック症候群関連の特性を治療及び/又は予防する方法を提供する。
【0012】
具体的実施形態において、当該対象発明は、インスリン抵抗性を発症しやすい又はそれに苦しむ患者に対し、尿酸降下薬(UALA:uric acid lowering agent)を投与する方法に関する。治療の一部として、血清尿酸値がUALAの投薬に関連してモニタリングされるように、血清サンプルを取得しテストしてもよい。
【0013】
他の実施形態において、本発明は、メタボリック症候群に関連する肥満を治療し、及び/又は予防する方法を提供する。具体的な実施形態において、本発明は、メタボリック症候群に関連した肥満を生じやすい又はそれに苦しむ患者に、尿酸降下薬(UALA:uric acid lowering agent)を投与する方法に関する。
【0014】
他の実施形態において、本発明は、非アルコール性脂肪肝疾患の発症のリスクを減らし、それを遅延させ、及び/又は治療する方法を提供する。
【0015】
他の実施形態において、本発明は、糖尿病腎症の発症のリスクを減らし、それを遅延させ、及び/又は治療する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ここに提供される医薬組成物は、インスリン抵抗性の治療又は予防に有用な、尿酸を降下させる1以上の薬品を、治療上効果的な量だけ含む。発明者らは、高尿酸血がインスリン抵抗性を引き起こす重要な一因となるということを発見した。
【0017】
「尿酸降下薬」ないしUALAという用語は、哺乳動物における血清尿酸値を降下するとして知られている物質を指す。一般的に、UALAは、血清尿酸値を少なくとも約0.2mg/dl分制限することができる。UALAには、次のものが含まれるが、これらに限定するものでない。すなわち、アロプリノール、ヒドロキシアルカロン、TEI−6720、カルプロフェン、フェブキソスタット(febuxostat)、及びy−700のようなキサンチン酸化酵素阻害薬;ベンズヨーダロン、ベンズブロマロン、プロベネシッドのような尿酸排泄薬;遺伝子組み替えウリカーゼやペグ化ウリカーゼのようなウリカーゼ誘導体;ウリカーゼの過剰発現又はURAT−1の遮断などの遺伝子治療;ポリエチレングリコール又は別の送達系との複合体として投与されうるウリカーゼ・タンパク質の補助剤;及び尿酸輸送チャネル阻害剤、が含まれる。
【0018】
これらの化合物は、経口投与のための溶液、懸濁液、タブレット、分散性タブレット、錠剤、カプセル、パウダー、徐放性製剤若しくはエリキシルのような、又は非経口投与のための無菌の溶液若しくは懸濁液の形態におけるような適当な医薬品の形態においてだけでなく、その他にも、経皮貼布製剤や乾燥パウダー吸入器の形態で好ましくは生成される。典型的には、上で記載した化合物は、当該技術分野において周知の技術及び手順を用いて医薬組成物へと生成される(例えばAnsel Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms第4版第126頁(1985年)を参照)。
【0019】
当該組成物において、1以上の化合物又は薬学的に受容可能な誘導体の効果的濃度は、適当な薬学的担体ないしは賦形薬と混合される。上で記載したように、これらの化合物は、製剤に先立って、相当する塩類、エステル、エノール・エーテルないしエステル、酸、ベース、溶媒化合物、水酸化物又はプロドラッグとして誘導体化してもよい。組成物において化合物を濃縮することは、投薬の際に、血清尿酸値を少なくとも0.5mg/dl減少させて5.5mg/dl以下とする量の投与に効果的である。最も好適な実施形態において、効果的な量とは、5.5mg/dl以下4.0mg/dl以上のレベルまで血清尿酸値を低下させるような量である。さらに好ましくは、効果的な量は、5.2mg/dl以下4.5mg/dl以上のレベルまで血清尿酸値を低下させるような量である。尿酸は、体内において抗酸化物質として作用することが知られている。発明者らによって行なわれた疫学的研究は、インスリン抵抗性を回避する正の効果が、血清尿酸値を少なくとも5.5mg/dlまで引き下げることによって達成されるということを明らかにした。しかしながら、血清尿酸値が4.0mg/dl未満に落ちるにつれて、その正の効果は大きく打ち消される。4.0mg/dl未満のレベルでは、尿酸の抗酸化活性の低下は、実際に心疾患の頻度及び死亡率の増加を招き得る。UALAは、これらに限定はされないが、ビタミンC、アルファリポ酸、ビタミンE、βカロチン、セレン、亜鉛、カルノシン、緑茶、大豆やイソフラボン、テンポールなどのような、1以上の既知の抗酸化物質に付随して又は順次に投与してもよい。そのような組合せは尿酸値にかかわらず有益であろうが、尿酸を4.5mg/dl未満に下げるUALAの施薬が投与される場合に特に有用であろう。
【0020】
典型的には、該組成物は、単回投与に合わせて生成される。組成物を生成するため、一定の重量分率の化合物が、治療される症状が軽減又は改善されるような効果的濃度で、選択された賦形薬に溶かされ、懸濁され、分散され、又は混合される。ここに提供された化合物の投与に適している製薬担体又は賦形薬には、特定の投与方式に適していると当業者に周知の、すべての担体が含まれる。
【0021】
ここに用いられるところの「平均血清尿酸値」という用語は、1人の患者から得られた2以上の尿酸測定値の平均を意味する。この2以上の尿酸測定値のそれぞれは、数時間間隔で取得されてもよい。好ましくは、この2以上の測定値は、少なくとも1週間間隔で取得される。
【0022】
ここに用いられるところの「投与計画」という用語は、予め定められたレベルに平均血清尿酸値を維持するように、連続して時間間隔が置かれた2以上の施薬の投与を意味する。この時間間隔は、3時間以上が好ましい。無論、言うまでもないが、“予め定められたレベルに平均血清尿酸値を維持するための(又は維持するのに効果的な)”投与計画に従ったUALAの投与、が意味するのは、患者から必ずしも測定値が得られなければならないということではなく、むしろ投与された患者から実際に平均値が測定されているかどうかに関わらず、投与計画が、ある期間にわたって所望された基準値に血清尿酸値を維持するのに効果的であるよう計画されているということである。
【0023】
無症候性高尿酸血は、臨床的痛風、腎結石又は痛風結節のない高尿酸血の状態を指す。従来、高尿酸血は7.0mg/dL以上の血清尿酸値に関すると考えられてきた。しかしここに述べられるように、本発明の実施形態の目的上、高尿酸血は5.5mg/dLを超える血清尿酸値に関すると見なす。一般通念上、無症候性高尿酸血は良性であり、医学的に治療されるべきでないとされている(ハリス他、1999年2月15日 59の(4) 925頁−34頁)。発明者らは、慢性高尿酸血が、メタボリック症候群、糖尿病腎症、及び非アルコール性脂肪肝疾患の発症を促進する可能性があり、そしてそのような健康問題の発症は、尿酸値を5.5以下に低下及び維持することで低減可能であるということを解明した。
【0024】
また、化合物は、組成物において単独の薬用有効成分として生成されてもよく、あるいは他の有効成分と組み合わせてもよい。組織標的化リポソームを含むリポソーム懸濁液(特に腫瘍をターゲットとしたリポソーム)もまた薬剤として許容される担体として適当であろう。これらは、当業者に周知の方法に従って調合してもよい。たとえば、リポソーム製剤は、米国特許番号第4,522,811号に記載されているように調合してもよい。
【0025】
活性化合物は、治療施行患者に対する望ましくない副作用なく、治療上有効な効果を及ぼすのに十分な量の薬剤として許容される担体に含まれている。治療上効果的な濃度は、既知の生体外・生体内のシステムにおける化合物のテストにより経験的に決定されて(例えば、ローゼンタール(Rosenthal)他(1996)Antimicrob. Agents Chemother第40巻第7号第1600乃至第1603頁;ドミンゲス(Dominguez)他(1997) J. Med. Chem. 第40号第2726頁乃至第2732頁;クラーク(Clark)他(1994) Molec. Biochem. Parasitol.第17号第129頁;リング(Ring )他(1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA第90号第3583頁乃至第3587頁;エンゲル(Engel)他(1998) J. Exp. Med.第188巻第4号第725頁乃至第734頁;リー(Li)他(1995) J. Med. Chem. 第38号第5031頁を参照)、そして、ヒトに対する施薬のためにそこから推定されてもよい。
【0026】
薬学組成物における活性化合物の濃度は、その活性化合物の吸収率、不活性化率及び分泌率、その化合物の物理化学的特性、投与計画、並びに投与量の他、当業者に知られている他の要因に左右される。たとえば、投与される量は、5.5mg/dl以下の血清尿酸値を達成するためには、尿酸濃度を少なくとも0.5mg/dl下げるだけで十分である。
【0027】
典型的には、治療上有効な量とは、約0.1ng/mlから約50−100μg/mlの有効成分の血清濃度を生成すべきである。医薬組成物は、典型的には、1日につき、体重1キロ・グラム当たり約0.001mgから約2000mgの化合物の施薬を提供すべきである。医薬製剤の投与単位形態は、投与単位形態当たり約1mgから約1000mgまで、好適には約10mgから約500mgの必須の有効成分又は必須成分の組み合わせを提供することが可能となっている。
【0028】
有効成分は一度に投与してもよいし、少量に分け時間的間隔をおいて複数回投与してもよい。当然のことながら、的確な施薬及び治療の継続は、治療されている疾病との相関関係により決まり、既知の試験プロトコル或いはインヴィヴォ又はインヴィトロのテストデータからの外挿法を用いて、経験的に測定されてもよい。濃度及び投薬量もまた、緩和される症状の重症度に応じて異なり得ることにも留意されたい。さらに当然のことながら、任意の特定の被験者について、特効薬の投与計画は、個々人のニーズに合わせて、及び組成物の投与を行う又は監督する者の専門的判断に応じて、経時的に調節されるべきであり、また、ここに述べられた濃度域は単に典型であって、特許請求された組成物の範囲又はプラクティスを制限することを意図するものでない。
【0029】
好適な薬剤として許容される誘導体には、酸、ベース、エノールのエーテル及びエステル、塩類、エステル、水酸化物、溶媒化合物並びにプロドラッグ体が含まれる。誘導体は、その薬物速度論的特性が対応する中性化合物を上回るよう選択される。
【0030】
このように、ここに記載された1以上の化合物の効果的な濃度若しくは量、又はそれらの薬剤として許容される誘導体は、医薬組成物を形成するために、全身性、局所性又は局部的投薬にとって適当な製薬担体又は賦形薬と調合される。化合物は、尿酸を5.5mg/dl以下に低減するのに効果的な量だけ含まれる。当該組成物における活性化合物の濃度は、活性化合物の吸収率、不活性化率、分泌率、投与計画、投与量、具体的形態の他、当業者にとって既知の他の因子に左右されるであろう。
【0031】
該組成物は相応の経路で、例えば経口的に、非経口的に、経直腸的に、局所的及び局部的に、投与することが意図されている。経口投与については、カプセルとタブレットが現在では好まれている。該組成物は、液体、半液体又は固体の形態を採ることができ、各投与経路に適する方法で生成される。好適な投与方法には、非経口・経口の投与方法が含まれる。経口投与が現在最も好まれている。
【0032】
非経口的、皮内の、皮下の、又は局所的適用のための溶液又は懸濁液には、以下の構成要素のうちの何れもが含まれうる:注射用蒸留水、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶剤のような、無菌の希釈剤;ベンジルアルコール及びメチルパラベンのような、抗生物質;アスコルビン酸及び亜硫酸ナトリウムのような、酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA:ethylenediaminetetraacetic acid)のような、キレート試薬;酢酸塩、クエン酸塩及びリン酸塩のような、バッファ;及び、塩化ナトリウム又はブドウ糖のような、等張化剤。非経口の製剤は、ガラス、プラスチック又は他の適当な材料で作られたアンプル、使い捨て注射器又は1人用又は多人数用バイアルに入れることが可能である。
【0033】
化合物が不十分な溶解度を示す場合には、化合物を可溶性にする方法を用いてもよい。そのような方法は当業者に知られており、ジメチルスルホキシド(DMSO:dimethylsulfoxide)のような助溶剤を用いること、TWEEN(登録商標)のような界面活性剤を用いること、水性の重炭酸ナトリウムにおける溶解、が含まれるが、これらに限定されるものでない。化合物のプロドラッグのような化合物の誘導体を、効果的な医薬組成物を生成するのに用いてもよい。
【0034】
化合物の混合又は付加により生じる混合剤は、溶液、懸濁液、エマルジョン又はその他同種のものとなりうる。最終的な混合剤の剤形は、意図される投与方法、及び選択された担体又は賦形薬における化合物の溶解度など多くの要因に左右される。効果的な濃度とは、治療される疾病、障害又は病気の症状の改善にとって十分な濃度であり、経験的に決定されてもよい。
【0035】
医薬組成物は、タブレット、カプセル、錠剤、パウダー、果粒剤、無菌の非経口液又は懸濁液、経口の溶液又は懸濁液、適当な量の化合物又は薬剤として許容されるそれらの誘導体を含んでいる油水エマルジョンのような単回投与形態において、ヒト及び動物に対する投与のために提供される。薬剤として治療効果のある化合物及びそれらの誘導体は、典型的には、単回投与形態又は反復投与形態で生成され投与される。ここに用いられる単回投与形態とは、当該技術分野において周知のように、ヒト及び動物の対象にとって適していて、個別にパッケージされ物理的に別々の単位体を意味する。各単回投与は、必要となる製薬担体、賦形薬又は希釈剤と共に所望の治療効果をもたらすのに十分な、所定量の治療効果のある化合物を含む。単回投与形態の典型には、アンプル及び注射器、並びに別々にパッケージされたタブレット又はカプセルが含まれる。単回投与形態は、分割して又はいくつかをまとめて投与してもよい。反復投与形態は、単回投与形態を分散して投与するためとしてシングルコンテナにパッケージされた複数の同一の単回投与形態である。反復投与形態の典型には、バイアル、タブレット若しくはカプセルのボトル、又はパイント若しくはガロンのボトル、が含まれる。従って、反復投与形態は、パッケージングで分離されない複数の単回投与である。
【0036】
組成物は、有効成分と共に、以下のものを含むことができる:ラクトーゼ、サッカロース、リン酸カルシウム、又はカルボキシメチルセルロースのような希釈剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及び滑石粉のような潤滑剤;並びに、でんぷん、天然ゴムのような、アラビアゴム・ゼラチン、グルコース、糖蜜、ポリビニルピロリジン、セルローズ及びそれらの誘導体、ポビドン、クロスポビドンのような、バインダ、及び当業者に既知となっているような他のバインダ。薬剤として投与可能な液体組成物は、例えば、上に定義されたような活性化合物を溶解、分散することにより、そうでなければ水、食塩水、水溶性ブドウ糖、グリセリン、エチレングリコール、エタノールなどの担体における任意の補助薬を混合することにより用意することができ、こうすることによって溶液又は懸濁液が形成される。必要に応じて、投与される医薬組成物は、さらに湿潤剤、乳化剤又は可溶化剤、pHバッファ剤などのような、少量の無毒な補助物質を含んでいてもよい(たとえば酢酸塩、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン酢酸ナトリウム、トリエタノールアミン・オレイン酸塩、及び他のそのような薬剤)。そのような剤形を調合する実際の方法は当業者に周知であり、そうでなくとも当業者には理解されるであろう。たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 第15版, 1975年、を参照。投与される組成物ないし製剤は、どのような場合においても、活性化合物の量を、治療される被験者の症状を緩和するのに十分な量だけ含むであろう。
【0037】
無毒性担体とのバランスにより、0.005%から100%の範囲にある有効成分を含む剤形又は組成物が調合されてもよい。経口投与について、たとえば、医薬品等級のマンニトール、ラクトーゼ、でんぷん、ステアリン酸マグネシウム、滑石粉、セルロース誘導体、ナトリウムクロスカルメロース、グルコース、蔗糖、炭酸マグネシウム又はナトリウム・サッカリンのような、薬剤として許容される無毒性組成物は、通常使用される補形薬の内の何れかの混和によって形成される。そのような組成物は、コラーゲン、エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸等のような、生分解性で生体的適合性のポリマー、マイクロカプセル化された送達システム、及びインプラントのような(これらに限定されない)、溶液、懸濁液、タブレット、カプセル、パウダー及び徐放性製剤を含む。これらの組成物を製剤する方法は当業者に知られている。予定される組成物は、0.001%−100%の、好ましくは0.1−85%の、典型的には75−95%の有効成分を含むことができる。
【0038】
活性化合物又は薬剤として許容される誘導体は、徐放性製剤又は被膜剤などの、身体からの迅速除去から化合物を保護する担体を用いて調合されていてもよい。
1. 経口投与用組成物
【0039】
経口薬剤の投薬形態は、固体、ゲル又は液体の何れかである。固体の投薬形態は、錠剤、カプセル剤、果粒剤、及び原薬粉末である。経口錠剤の典型は、腸溶コーティング、砂糖コーティング、又はフィルム・コーティングされうる、固形のチュアブル・トローチ剤及び錠剤を含む。カプセル剤はハード又はソフトのゼラチン・カプセル剤でもよく、果粒剤及び粉剤は、当業者に周知の他の成分と併用して非沸騰性又は沸騰性の形態で提供されてもよい。
【0040】
一定の実施形態において、製剤は固体の投与形態であり、好適にはカプセル剤又は錠剤である。錠剤、ピル、カプセル剤、トローチなどは、次の要素の何れか又は類似する性質の化合物を含むことができる:結合剤;希釈剤;崩壊剤;潤滑剤;流動化剤;甘味剤;及び香料。
【0041】
結合剤の典型は、微結晶性セルロース、トラガカントゴム、グルコース溶液、アカシア粘液、ゼラチン溶液、サッカロース及びでんぷんペーストが含まれる。潤滑剤は、滑石粉、でんぷん、マグネシウム又はステアリン酸カルシウム、ヒカゲノカズラ及びステアリン酸を含む。希釈剤は、たとえば、ラクトーゼ、サッカロース、でんぷん、カオリン、塩、マンニトール及びリン酸カルシウムを含む。流動化剤は、コロイド状二酸化ケイ素を含むが、これに限定されるものでない。崩壊剤は、クロスカルメロース、ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、コーンスターチ、じゃが芋澱粉、ベントナイト、メチルセルロース、寒天及びカルボキシメチルセルロースを含む。着色剤は、たとえば、許認可された水溶性のFD及びC着色料、それらの混合物のうちの何れか;及び、アルミナ水酸化物上で懸濁された非水溶性のFD及びC着色料を含む。甘味剤は、サッカロース、ラクトーゼ、マンニトール、及びサッカリンのような人工甘味剤、並びに吹き付け乾燥させた風味剤を含む。香料は、これらに限定はされないが、フルーツなどの植物から抽出された天然香味料、並びにペパーミント及びサリチル酸メチルのような快適な感覚を生成する化合物の合成ブレンドを含む。湿潤剤は、プロピレングリコール単ステアリン酸塩、ソルビタンモノオレイト、ジエチレングリコールモノラウレート及びポリオキシエチレンラウリルエーテルを含む。吐剤被膜剤は、脂肪酸、脂肪、ワックス、セラック、アンモニア処理されたセラック及び酢酸フタル酸セルロースを含む。フィルム・コーティングは、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウム・カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール4000及び酢酸フタル酸セルロースを含む。
【0042】
経口投与が所望される場合、化合物は、胃の酸性環境からそれを保護する組成物内に含ませて提供することができる。たとえば、該組成物は、胃の中ではその完全性を維持して、腸の中で活性化合物を解き放つ腸溶コーティングを用いて生成することができる。該組成物は、制酸剤又は他のそのような成分とともに生成されていてもよい。
【0043】
投与単位形態がカプセル剤である場合、それは、上記の典型的な材料に加えて、脂肪油のような液状担体を含むことができる。加えて、投与単位形態は、投与単位の物理的な形態を変体する種々の他の材料、たとえば砂糖及び他の腸溶性薬のコーティングを含むことができる。化合物は、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハー、粉砂糖、チューインガムなどの構成要素としても投与することができる。シロップは、活性化合物に加えて、甘味剤としてのサッカロース、並びに一定の防腐剤、着色料及び色素並びに風味を含んでいてもよい。
【0044】
当該活性剤は、所望の作用を損なわない他の活性剤、又は制酸剤、H2ブロッカ及び利尿薬のような所望の作用を補う物質と混合してもよい。有効成分は、ここに記載されたように、化合物又はそれの薬剤として許容される誘導体である。より高い濃度、すなわち有効成分の重量約98%に至る濃度が含まれていてもよい。
【0045】
錠剤に含まれた薬剤として許容される担体は、結合剤、潤滑剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、香料、及び湿潤剤である。腸溶性錠剤は、腸溶コーティングにより、胃酸の作用に耐えて、中性又はアルカリ性の腸内で溶解又は分解する。糖衣錠は、薬剤として許容される物質からなる異なる層が適用された圧縮錠剤である。フィルムコート錠は、ポリマー又は他の適当なコーティングで覆われた圧縮錠剤である。多重圧縮錠剤は、先に言及された薬剤として許容される物質を利用して、2以上の圧縮サイクルによって作成された圧縮錠剤である。着色剤もまた、上記の投与形態において用いられてもよい。風味剤及び甘味剤は、圧縮錠剤、糖衣錠、多重圧縮剤及びチュアブル錠において用いられる。風味剤及び甘味剤は、チュアブル錠とトローチ剤の形成において特に有用である。
【0046】
液体の経口投薬形態は、水溶液、エマルジョン、懸濁液、溶液、及び/又は非沸騰性の粒子から還元された懸濁液、並びに沸騰性の粒子から還元された沸騰性の製剤を含む。水溶液は、たとえば、エリキシル剤やシロップ剤を含む。エマルジョンは水中油型又は油中水型の何れかである。
【0047】
エリキシル剤は、透明で、甘味がある、水アルコールの製剤である。エリキシル剤において用いられる薬剤として許容される担体は、溶剤を含む。シロップは、砂糖(たとえばサッカロース)の濃縮された水溶液であり、防腐剤を含んでいてもよい。エマルジョンは、ある液体が、別の液体の全体にわたって小さな水滴の形で分散された、2相システムである。エマルジョンにおいて用いられる薬剤として許容される担体は、非水性の液体、乳化剤及び防腐剤である。懸濁液は、薬剤として許容される懸濁化剤及び防腐剤を用いる。非沸騰性の果粒剤において用いられる薬剤として許容される物質は、液状の経口投薬形態へ還元されるために、希釈剤、甘味料及び湿潤剤を含む。沸騰性の果粒剤において用いられる薬剤として許容される物質は、液体の経口投薬形態へ還元されるために、有機酸及び二酸化炭素のソースを含む。着色料及び香料は、上記の投薬形態のすべてにおいて用いられる。
【0048】
溶剤は、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール及びシロップを含む。防腐剤の典型は、グリセリン、メチル及びプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム並びにアルコールを含む。エマルジョンにおいて利用される非水性液体の典型は、鉱油及び綿実油を含む。乳化剤の典型は、ゼラチン、アカシア、トラガカントゴム、ベントナイト、及びポリオキシエチレンソルビタン単オレイン酸塩のような界面活性剤を含む。懸濁化剤は、ナトリウム・カルボキシメチルセルロース、ペクチン、トラガカントゴム、ビーガム及びアカシアを含む。希釈剤は、ラクトーゼ及びサッカロースを含む。甘味剤は、サッカロース、シロップ、グリセリン、及びサッカリンのような人工甘味剤を含む。湿潤剤は、プロピレングリコール単ステアリン酸塩、ソルビタン単オレイン酸塩、ジエチレングリコールモノラウレート及びポリオキシエチレンラウリルエーテルを含む。有機添加物は、クエン酸及び酒石酸を含む。二酸化炭素のソースは、重炭酸ナトリウムと炭酸ナトリウムを含む。着色剤は、許認可されている水溶性のFD及びC着色料、並びにそれらの混合液のうちの何れも含む。香料は、果物などの植物から抽出された天然香味料、及び快適な味感覚を生成する化合物の合成ブレンドを含む。
【0049】
固体の投与形態のために、溶液又は懸濁液は、たとえばプロピレン・カーボネート、植物油又はトリグリセリドにおいて、好ましくはゼラチン・カプセルに封入される。そのような溶液、並びにそれの製剤及びカプセル化は、米国特許番号第4,328,245号、第4,409,239号及び第4,410,545号において開示されている。液状の投薬形態のために、溶液、例えば、ポリエチレングリコールにおいて、投与に際し容易に測定できるように、十分な量の薬剤として許容される液状の担体(例えば水)で薄められてもよい。
【0050】
選択的に、液状の又は半固体状の経口製剤は、植物油、エチレングリコール、トリグリセリド、プロピレングリコール・エステル(例えばプロピレン・カーボネート)及び他のそのような担体において、活性化合物又は塩を溶かすか分散させ、これらの溶液又は懸濁液をハードかソフトのゼラチン・カプセル・シェルに封入することにより調合されていてもよい。他の有用な製剤には、米国特許番号第号第28,819号及び第4,358,603号で述べられているものが含まれる。
【0051】
すべての実施形態において、有効成分の溶解を修飾し又は維持するために、当業者によって知られているように、タブレット及びカプセル製剤はコーティングされてもよい。したがって、例えばそれらは、サリチル酸フェニル、ワックス及び酢酸フタル酸セルロースのような、経腸的に消化のよい被膜剤によってコーティングされてもよい。
2. 注入剤、溶液及びエマルジョン
【0052】
注射により一般的に特徴づけられる、皮下、筋肉内、又は静脈内いずれかへの非経口的投与もここに予定されている。注入剤は、液状の溶液若しくは懸濁液、注射前の液体の溶液若しくは懸濁液に適している固体形態、又はエマルジョンの何れかとして、従来の形態で調合することができる。適当な補形薬は、たとえば水、食塩水、ブドウ糖、グリセリン又はエタノールである。加えて、必要に応じ、投与される医薬組成物は、湿潤剤又は乳化剤、pH調整剤、スタビライザ、溶解促進剤、並びに、たとえば酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン・オレイン酸塩、及びシクロデキストリンのような他の薬剤のような、無毒性の補助物質を少量であれば含んでいてもよい。持続放出ないしは徐放性製剤の注入もここで予定されており、一定のレベルの施薬が維持される(例えば、米国特許番号第3,710,795号を参照)。そのような非経口の組成物に含まれる活性化合物の割合は、それの具体的な性質の他、化合物の活性度及び被験者の必要性に高度に依存する。
【0053】
組成物の非経口投与は、静脈内投与、皮下投与及び筋内投与を含む。非経口投与の製剤は、注射の準備ができている無菌溶液、皮下注射用錠剤を含め、使用の直前に溶剤と組み合わせる準備ができている凍結乾燥粉末のような、無菌乾燥された可溶性生成物、注射の準備ができている無菌の懸濁液、使用直前に賦形薬と組み合わせる準備ができている無菌乾燥された不溶性薬剤、及び無菌エマルジョンを含む。その溶液は、水性であっても非水性であってもよい。
【0054】
静脈内に投与されるのであれば、適当な担体は、生理的塩類又は燐酸塩緩衝食塩水(PBS:phosphate buffered saline)、並びにグルコース、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレン・グリコール及びそれらの混合剤のような増粘剤及び可溶化剤を含む溶液を含む。
【0055】
非経口の製剤において用いられる薬剤として許容される担体は、水溶性の賦形薬、非水性の賦形薬、抗生物質、等張剤、バッファ、酸化防止剤、局所麻酔薬、懸濁化剤及び分散剤、乳化剤、隔離剤又はキレート試薬、並びに他の薬剤として許容される物質を含む。
【0056】
水溶性の賦形薬の典型は、生食注射、リンガー溶液注射、等張ブドウ糖注射、滅菌水注射、ブドウ糖リンガ注射及び乳酸加リンガー溶液注射を含む。非水性の非経口賦形薬は、植物性固定油、綿実油、トウモロコシ油、胡麻油及び落花生油を含む。反復投与コンテナに封入された非経口製剤には、細菌の発育を阻止し又は菌増殖を抑える濃度の抗生物質を加えなければならない。それらには、フェノール又はクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピル基p−ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンゼトニウムが含まれる。等張剤は、塩化ナトリウムとブドウ糖を含む。バッファは、リン酸塩とクエン酸塩を含む。酸化防止剤は、重硫酸ナトリウムを含む。局所麻酔薬は、塩酸プロカインを含む。懸濁化剤及び分散剤は、ナトリウム・カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンを含む。乳化剤は、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)を含む。金属イオンの隔離剤又はキレート試薬は、EDTAを含む。製薬担体は、エチルアルコール、ポリエチレングリコール及び水混和性賦形薬のためのルプロピレングリコール及び水酸化ナトリウム、塩酸、pH調節用のクエン酸又は乳酸を含む。
【0057】
注射が所望の薬理効果をもたらすのに効果的な量を提供可能なよう、薬剤活性化合物の濃度は調節される。当該技術分野において周知のように、正確な投与量は、患者又は動物の年齢、体重及び症状に左右される。
【0058】
単回投与の非経口製剤は、ニードルを備えたアンプル、バイアル又は注射器に封入される。当該技術分野において知られ且つなされているように、非経口投与の製剤はすべて殺菌されていなければならない。
【0059】
具体的に、活性化合物を含む無菌水溶液の静脈内又は動脈内注入は、投与の効果的な形態である。別の実施形態は、所望の薬学効果をもたらすのに必要なときに注射される活性剤を含んでいる無菌水溶性又は油性の溶液又は懸濁液である。
【0060】
注入剤は、局部的及び全身的投与用として設計されている。典型的には、治療効果のある有効量が、治療される組織に対する活性化合物の、少なくとも約0.1%w/wから約90%w/w又は90%w/w超までの、好ましくは1%w/w超の濃度を含むように生成される。有効成分は、一度に投与してもよいし、少量に分けて一定の時間間隔を置いて投与してもよい。当然のことながら、的確な投薬及び治療の継続は、治療されている組織と相関するものであって、既知の試験プロトコルを用いて経験的に又は生体内若しくは生体外のテスト・データからの外挿法によって決定されてもよい。濃度及び投薬量は、治療される個人の年齢に応じて変化してもよいという点に留意されたい。さらに当然のことながら、すべての具体的な被験者のため、特効薬の投与計画は、個人のニーズ及び製剤を投与し又は製剤の投与を監督する者の専門的判断によって経時的に調節されるべきであり、また、ここに述べられた濃度域は、単なる典型例であって、特許請求された製剤の範囲又はプラクティスを制限するものではない。
【0061】
化合物は、微粉にされた形態又は他の適当な形態で懸濁してもよく、可溶性アクティブプロダクトを生成し又はプロドラッグを生成するように誘導体化してもよい。最終的な混合剤の形態は、意図される投与モード及び選択される担体又は賦形薬における化合物の溶解度を含め、様々の要因に左右される。効果的な濃度とは、病気の症状を改善するのに十分な濃度であり、経験的に決定してもよい。
3. 凍結乾燥粉末
【0062】
本願においてまた興味深いのは凍結乾燥粉末であり、それは溶液、エマルジョン及び他の混合剤として、投与のために還元することができる。また、粉末は、固体又はゲルとして還元及び生成されてもよい。
【0063】
無菌の凍結乾燥粉末は、フォーミュラIの化合物を適当な溶剤に溶かすことにより調合される。溶液は、粉末から調合された、還元された溶液の安定性又は他の薬用成分を改善する賦形剤を含んでいてもよい。用いられうる賦形剤には、ブドウ糖、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、サッカロース又は他の適当な薬剤が含まれるが、これらに限定されるものでない。溶剤は、さらにクエン酸塩、ナトリウム、又はリン酸カリウムなどのバッファー、又は当業者に既知の他の同様なバッファを含むが、典型的には大体中性PHのバッファーを含んでいてもよい。続く溶液の無菌フィルタリングの後、当業者に既知の標準条件下での凍結乾燥がさらに続き、所望の製剤を提供する。一般的に、最終的な溶液は、凍結乾燥用バイアルへ配分されるであろう。各バイアルは、化合物の単回投与(10−1000mg、好ましくは100−500mg)又は反復投与を含むであろう。凍結乾燥粉末は、室温に対して約4°Cといったような適切な条件下で保管することができる。
【0064】
注射用蒸留水を用いたこの凍結乾燥粉末の還元により、非経口的投与に用いられる製剤が提供される。還元には、滅菌水又は他の相応の担体1ミリリットルにつき約1−50mgの、好適には5−35mgの、さらに好適には約9−30mgの凍結乾燥粉末が加えられる。的確な量は、選択された化合物に左右される。そのような量は、経験的に決定することができる。
4. 局所投与
【0065】
局所用混合剤は、局部及び全身投与のために記載されたように調合される。最終的な混合剤は、溶液、懸濁液、エマルジョン又はこれらに類するものであってもよく、クリーム、ゲル、軟膏、エマルジョン、溶液、エリキシル、ローション、懸濁液、チンキ剤、貼付剤、泡、エアロゾル、灌水、スプレー、坐薬、包帯、皮膚パッチ又は局所投与に適しているその他の製剤として生成される。
【0066】
化合物又はそれに係る薬剤として許容される誘導体は、吸入剤で使用する場合のように、局所適用のためのエアゾ−ル剤として生成されてもよい(例えば米国特許番号第4,044,126号、第4,414,209号及び第4,364,923号を参照。これらは、炎症性疾病、特に喘息の治療に有用であるステロイドを送達するためのエアゾ−ル剤について記載する)。呼吸器系に対する投与のためのこれらの製剤は、単独で又はラクトーゼのような不活性キャリアとともに、噴霧吸入器用のエアゾ−ル剤若しくは溶液の形式をとり、又は吸入用の超微粒粉末として存することができる。そのような場合において、製剤の粒子は、典型的には50ミクロン未満の、好ましくは10ミクロン未満の直径を有するであろう。
【0067】
化合物は、眼内などの皮膚及び粘膜に対する局所適用のために、ゲル、クリーム及びローションの形態において、及び目に対する適用のために又は大槽内若しくは脊髄内適用のために、といったような、局部的又は局所的適用のために生成されてもよい。局所投与については、経皮的投与、及び目若しくは粘膜に対する投与、又は吸入療法が考えられる。活性化合物の点鼻液も、単独で又は他の薬剤として許容される補形薬と結合して、投与することができる。
【0068】
これらの溶液、特に目への使用が意図されたものは、適切な塩類とともに、pHが約5−7の0.01%−10%等張液として生成されてもよい。
5. 他の投与経路のための組成物
【0069】
経皮的なパッチ及び直腸内適用といった他の投与経路もまた、ここに予定される。
【0070】
たとえば、直腸内適用のための製薬の投薬形態は、全身的作用を目的とした直腸坐薬、直腸カプセル及び直腸タブレットである。ここで用いられる肛門坐剤とは、直腸へ挿入され、体温で溶解又は軟化し、そして1以上の薬理成分又は治療効果のある成分を開放する固体を指す。直腸坐薬において利用される薬剤として許容される物質は、融点を引き上げるベース又は賦形薬及び薬剤である。ベースの例は、カカオバター(カカオ脂)、グリセリン・ゼラチン、カーボワックス(ポリオキシエチレン・エチレングリコール)、及び脂肪酸の、モノ−、ジ−、トリグリセリドの適切な混合剤を含む。種々のベースの組合せを用いてもよい。坐薬の融点を上昇させる薬剤は、鯨蝋とワックスを含む。直腸坐薬は、圧縮法又はモールド成形によって調合してもよい。直腸坐薬の典型的な重さは約2〜3gmである。
【0071】
直腸内適用のための錠剤及びカプセル剤は、経口投与のための製剤に関するのと同様の薬剤として許容される物質を用いて、かつ同様の方法によって製造される。
6. 製品
【0072】
化合物又は薬剤として許容される誘導体は、包装材料、ここに提供された血清の尿レベルを低減するのに効果的な化合物又は薬剤として許容されるその誘導体を含む製品としてパッケージ化されてもよい。
【0073】
ここに提供される製品は、包装材料を含む。医薬品のパッケージ化に用いられる包装材料は、当業者にとって周知である。例えば、米国特許番号第5,323,907号、第5,052,558号及び第5,033,352号を参照。医薬包装物質の典型には、ブリスターパック、ボトル、チューブ、インヘーラ、ポンプ、バッグ、バイアル、コンテナ、シリンジ、ボトル、並びに選択された製剤及び所望の投与方法及び治療方法に適したあらゆる包装材料が含まれるが、これらに限定されるものでない。ここに提供される化合物及び組成物を製剤する多くの方法が、インスリン抵抗性の治療及び予防を意図している。
【0074】
尿酸値の上昇について、ヒトの内皮機能を低下させないということが最近報告された。ワーリング(Waring)他、Heart 2004、第90号第155頁乃至第159頁。発明者らは、この報告が血液における尿酸値上昇の効果を完全には明らかにしないと考える。ワーリングらは、ヒトの前腕静脈への尿酸の注入が上腕動脈反応によって測定されたときの内皮機能を損なわないと報告した。しかしながら、著者らは尿酸の注入直後にその効果を調べ、NO生成に対する効果が遅れる可能性が残ったままとなっている。実際のところは、実験的な高尿酸血では、尿酸の上昇後数週間が経つまで高血圧症は発症しない。本願発明者らは、ワーリングらの報告に反し、尿酸は実際は内皮細胞機能不全を悪化させ、その結果、NO生成が低下すると考える。
典型1: 高尿酸血は、ラットにおいて、NO生成の抑制により内皮細胞機能不全を誘発する。
方法
【0075】
雄性SDラットを標準条件下で飼育し、通常の食事を提供した。賦形剤を受ける (実験)対照ラットに、ウリカーゼ阻害薬であるオキソン酸(OA:oxonic acid;750mg/kg/day)を用いて、強制飼養により、高尿酸血症を誘発させる。アロプリノール(AP:allopurinol)を高尿酸血症を防ぐために用いたが、これは飲料水(150mg/L)にAPを入れることにより行った。ラットは4つのグループに分けた:(1)(実験)対照、(2)APのみ、(3)OAのみ、及び(4)OA+AP。最大血圧は、テイルカフ方式の血圧計を用いて測定した。消費された飲料水の量及び体重の変化量を記録した。ラットは1日目及び7日目で屠殺した。尿酸濃度及び亜硝酸塩/硝酸塩(NOx)を求めるために、化学発光法によって血清を分析した。(プラバーカー・エス・エス(Prabhakar SS):Inhibition of mesangial iNOS by reduced extracellular pH is associated with uncoupling of NADPH oxidation. Kidney Int第61号第2015頁乃至第2024頁、2002年)。サブグループ間の統計解析はANOVAを用いて行なった。
結果
【0076】
3つのグループ間において、7日間を通じ、消費された水の量及び体重変化に差異はなかった。OAは、1日の時点(OA対(実験)対照において、1.7±0.7対0.8±0.4mg/dL、p<0.05)、及び7日の時点(OA対(実験)対照において1.8±0.4対0.9±0.7mg/dL、p<0.05)の両日において軽度の高尿酸血を誘発した。APは、第1日目では血清尿酸濃度に対し軽度で無意な影響を与えただけであったが(1.52±0.3mg/dL、p=NS)、7日の時点でその高尿酸血を効果的に覆した(0.3±0.2mg/dL、p<0.001)。血清亜硝酸塩及び硝酸塩(NOx)は、1日目(OA対(実験)対照において15.6±0.4対22.6±1.0μmol/L、p<.001)、及び7日の時点(OA対(実験)対照において14.6±1.1対27.5±1.3μmol/L、p<.001)の両方で高尿酸血にしたラットにおいて40−50%低減された。NOxにおけるこの減少は、APによって、1日目(17.4±0.8μmol/L、p<.001)でわずかに改善され、7日の時点(25.0±0.8μmol/L、p<0.001)で完全に覆された。図1を参照。また、血清UAとNOx(図2)の間には直接線形相関があった。APのみによって治療したラットは、血清UAとNOx濃度の何れにおいても有意な変化を示さなかった。OAにより治療したラットは、また、7日の時点でより高い最大血圧に向かう傾向を示した(OA対(実験)対照対OA/APにおいて、178±18対158±16対147±11mm Hg、p=NS)。
結論
【0077】
殆どの哺乳動物には、オキシダントの生成により尿酸をアラントインに分解する酵素ウリカーゼがある。ヒトにおいては、ウリカーゼは変異しており、より高い尿酸値がもたらされる。ウリカーゼ阻害薬(オキソニン酸)を投与したラットは、軽度の、高尿酸血症、高血圧症並びに、レニン‐アンギオテンシン系の亢進、緻密斑NOシンターゼの損失、及び微小血管の疾病の進展が介在する脈管疾患を進展させる。(マッザリ・エム(Mazzali M)、ヒュージ・ジェイ(Hughes J)、キム・ワイ・ジー(Kim YG)、ジェファーソン・ジェイ・エー(Jefferson JA)、カン・ディー・エイチ(Kang DH)、ゴードン・ケイ・エル(Gordon KL)、ラン・エイチ・ワイ(Lan HY)、キヴィリン・エス(Kivlighn S)、ジョンソン・アール・ジェイ(Johnson RJ): Elevated uric acid increases blood pressure in the rat by a novel crystal−independent mechanism. Hypertension第38号第1101頁乃至第1106頁、2001年)。この研究において、高尿酸血のラットが、アロプリノールによって覆される、血清亜硝酸塩(NO生成の反映)の低下を有することが実証された。さらに、血清尿酸と血清一酸化窒素の間に直線的線形相関があった。高尿酸血症の誘発は、また、最大血圧上昇の傾向を示した。このデータは、ラットにおいて、高尿酸血症が内皮機能障害に至ることを示す。上記で簡潔に議論したように、このことは、ヒトへの尿酸注入が内皮機能を損なわないと結論づけたワーリングらの以前の報告と反対する結論である。(ワーリング・ダブリュー・エス(Waring WS)、アドゥワニ・エス・エイチ(Adwani SH)、ブルークルズ オー(Breukels O)、ウェッブ・ディー・ジェイ(Webb DJ)、マクスウェル・エス・アール(Maxwell SR): Hyperuricaemia does not impair cardiovascular function in healthy adults. Heart 第90号第155頁乃至第159頁、2004年)。また、これらの研究は、一酸化窒素レベルを測定することも、内皮依存血管拡張に対する持続性高尿酸血症の影響について言及することもしていない。
【0078】
本発明者らは、特定の機序のいずれにもとらわれることなく、血清尿酸値の上昇が、内皮機能損傷及びNO生成の抑制によって介在されたインスリン抵抗性に最終的には至ると考える。この機序理論を支持するものとして、発明者らは、クック他Swiss Med WkIy、2003第133号第360頁乃至第363頁、を引用する。これは、内皮の一酸化窒素シンターゼに対する遺伝子欠損を抱えるノックアウトマウスが、メタボリックシンドロームに関連した異常の多くを進展させることを示す。そこで、発明者らは、インスリン抵抗性は、糖分が多く含まれていて果糖を発生させる西欧風の食事によって恐らくはもたらされる高血清尿酸値に起因し、これは内皮細胞機能不全及びNO生成の阻害に、最終的にはインスリン抵抗性に帰着する、と理解する。したがって、UALAの投与によってヒトの平均血清尿酸値を制御することは、メタボリック症候群、すなわちインスリン抵抗性、肥満、及び高トリグリセリド血症の特性の発症を遅らせるという劇的効果を有するであろう。
【0079】
別の実施形態によれば、本発明は、食物塊1当たりの尿酸増加負荷を決定する方法に属する。当該方法は、一定量の食品の投与及び尿酸値に対する該食物に係る該投与の影響の測定を備えてもよい。このように、1又は複数の食品がテストされ、その情報は尿酸増加指数(又は「UA(uric acid)指数」)を作り出すために用いられる。WIPO公開公報第2005040752号と米国特許公開公報第2004043106号は、参照により組み込まれる。これらは、食物の血糖負荷を確証するための方法を記載する。かかる公開の教示は、液体を含め、食物の負荷を生成する尿酸に関係する情報の相関型の生成に容易に適応可能であろう。
典型2:メタボリック症候群の特性は尿酸値の標準化により治療される。
方法
生体内の研究
【0080】
アロプリノールを用いたフルクトース誘導の高尿酸血の治療:雄性SDラット(150−200g)を、10週間にわたって標準状態で飼育し、(実験)対照食(n=7)又は60%のフルクトース食(Harlan社、マディソン郡、ウイスコンシン州、n=14)を与えた。「(実験)対照食」は46%の炭水化物を含んでおり、それは主にデンプンから構成されていたが、フルクトース食は炭水化物として60%のフルクトースを含んでいた。これらの食物のカロリー量は、それぞれ3.1kcal/gと3.6kcal/gである。4週の時点で、4時間の絶食後、午前11時に血液サンプルを採取した。フルクトース食ラットの半分には、血清尿酸を低下させるため、さらに6週間にわたってアロプリノール(AP:allopurinol150mg/Lを含む飲料水)(Sigma社、セントルイス、ミズーリ州)を投与した。アロプリノールを含む飲料用の淡水は2日ごとに取り替えた。ラットは3つのグループに分けた:(実験)対照;フルクトース(Fr);及びFr+AP。10週の時点で経口ブドウ糖負荷試験を行い、該試験において、一晩(16時間)の断食後、強制飼養によりラットに1.5g/kgのOGTT(50%のグルコース溶液)を投与した。血糖及び血清インスリンに関する測定のため、0分、30分、60分、120分に血液をサンプリングした。ラットは、その後屠殺された。
【0081】
アロプリノールを用いたフルクトース誘導の高尿酸血の予防:調査期間中に高尿酸血の予防効果を算定するため、フルクトース食を与えた日にアロプリノールも開始した(0週目から8週目まで)。3つのグループ((実験)対照、Fr、及びFr+AP、各n=8)を、この予防の調査のために定めた。体重は2週間ごとに測定した。食料消費については8週の時点で3日間測定した。
【0082】
体重及び食料消費に対する、アロプリノール又はベンズブロマロン(BZ:Benzbromarone)いずれかによる尿酸降下の効果:この実験では、尿酸排泄薬であるBZ(飲料水に150mg/L))(Sigma社、セントルイス、ミズーリ州)の効果も、体重及び食物摂取に対する尿酸降下の効果を確認するために調査した。ベンズブロマロンを含む飲料用の淡水は2日ごとに取り替えた。3つのグループ((実験)対照、AP、及びBZ; 各n=8)を研究した。8週にわたって、全グループに「(実験)対照食」を与えた。体重及び食料消費について、8週にわたって、毎週測定を行った。
【0083】
メタボリック症候群の進行に対する60%のブドウ糖と60%のフルクトースとの比較、及びベンズブロマロンを用いた尿酸降下の効果:4週間にわたって、等カロリーの60%のブドウ糖食又は60%のフルクトース食をラットにペアフィードした。各ラットが通常1日に25−30g食べることを実験IIが示したので、発明者らは毎日各ラットに25gの食物を与えた。4週の時点で、1匹当たりの総食物摂取量を食べ残しから計算した。総食物摂取量は、与えた全食物(1425g/ラット/28日間)から食べ残しを引算したものである。上記の2つのグループに加えて、第3グループであるフルクトース食ラットにもBZを投与した。体重は毎週測定した。4週の時点で、5時間の絶食後、インスリン、トリグリセリド及び尿酸を測定した。実験計画はすべてアニマルケア・アンド・ユーズ・コミッティー・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・フロリダ (IACUC:Animal Care and Use Committee of the University of Florida )により承認された。最大血圧は、テイルカフ方式の血圧計(Visitech BP2000、VisitechSystems社、アペックス、ノースカロライナ州)を用いて、午前中に3回連続して行われた測定における平均値として算定した。動物すべてにおいて、各実験1週間前の血圧測定を必須条件とした。血清尿酸はウリカーゼ法により測定した。血糖はONE TOUCHシステム(Johnson&Johnson社、ミルピータス、カリフォルニア州)を用いて測定した。ラット・インスリンは酵素免疫測定法(Crystal Chemistry社、シカゴ、イリノイ州)により測定した。インスリン感性指数は、オイグリセミック・インスリン・クランプ中の全身の糖処理率に高く関連している(r=0.73、p<0.0001)マツダ及びディフロンゾの公式を用いて計算した。(10,000/(空腹時グルコースX空腹時インスリン)X(OGTT間の平均グルコースX平均インスリン)の平方根)(マツダ・エム及びデフロンゾ・アールエー(Matsuda M and DeFronzo RA), Insulin sensitivity indices obtained from oral glucose tolerance testing: comparison with the euglycemic insulin clamp, Diabetes Care 第22巻: 第1462頁及至第1470頁、1999年)。血清脂質は、自動分析装置(VETAce、Alfa Wassermann社、ウェストコールドウェル、ニュージャージー州)又はトリグリセリド−SLアッセイキット(Diagnostic chemicals社 、シャーロットタウン、プリンスエドワードアイランド州、カナダ)を用いて測定した。
【0084】
ラット大動脈(AA)部の血管緊張低下:ラットAA部(直径1−0.5mm×長さ3−4mm)を生後2〜3ヵ月のラットから摘出し、AA部は、個々のオルガンチェンバー(Radnoti社 Four−Unit Tissue Bath System)にてアール液5mlに浮遊させられ、37℃下、95%のO2及び5%のCO2で酸素処理された。静止張力1.5gの平衡状態を1時間続けた後、0.5μM U−46619(トロンボキサンA2模倣剤、シグマ)媒介AA収縮、又はアセチルコリン(5μM)媒介血管拡張を、それぞれモニタリングすることで、このAA部の血管平滑筋細胞又は内皮構成が確認出来た。数回洗浄した後、該部をオルガンバスチェンバーにて30分間、様々な尿酸濃度(0−15mg/dl)でインキュベートした。アセチルコリン誘発の血管緊張低下の前10分間、安定した組織が0.5μM U−46619により誘発された。血管緊張は、アイソメトリック力変換器(Harvard Apparatus社、ホリストン、マサチューセッツ州)で継続的に監視した。データを標準化するため、血管緊張におけるU−46619誘発の増加の安定率は、100%としてセットした。
【0085】
統計的分析。提示される値は全て平均値±標準偏差で示され、一元配置分散分析(ANOVA:analysis of variance)又は対応のないスチューデントt検定により分析される。有意性はP<0.05.として定義されている。
結果
【0086】
生体内の研究
【0087】
4週の時点で、(実験)対照食を与えたラットと比較して、フルクトース食ラットの血清尿酸値、最大血圧、及び空腹時インスリン値が上昇した(テーブル1)。さらに、フルクトース食ラットの体重は、普通食を与えたラットと比較して増加する傾向にあった(テーブル1)。これらのデータは、フルクトース飼育が、ラットにおけるメタボリック症候群の初期の特性を誘発することを実証する。
【0088】
このモデルにおける尿酸の作用を調べるため、フルクトース食ラットの半分は、さらに6週間にわたってアロプリノール(キサンチン酸化酵素阻害薬)を用いて治療された。この治療は尿酸の降下させるのに効果的だったが、一方で治療を受けなかったフルクトース食ラットは高尿酸血症のままであった(図9A)。さらに、フルクトース食ラットの高尿酸血のメカニズムを明らかにするため、発明者らは、これらの動物の尿酸の尿中排泄を検査した。図9Bで示されるように、フルクトース食ラットは尿酸の尿中排泄がより低かった。興味深いことに、アロプリノールは、フルクトース食ラットの尿酸の排泄低下を妨げた。
【0089】
アロプリノールを用いて治療したフルクトース食ラットは、メタボリック症候群の改善を示した。(実験)対照ラットにおいて観察された血圧よりまだ高かったものの、アロプリノールはフルクトース食ラットの最大血圧を著しく低減した(図9C)。さらにフルクトース食ラットは、著しい高トリグリセリド血症を発症したが、それについてはアロプリノール治療により排除された(図9D)。血清尿酸の減少はトリグルセリド値の減少と直接関連している(図9E)。フルクトース食ラットはまた、(実験)対照と比べ、体重の増加が目立った。有意性があるとされる範囲には届かなかったものの、アロプリノールは、体重の増加を妨げた。(Frにおいて522±57g対(実験)対照において470±28g、そしてFr+APにおいて474±37g、p=NS)。
【0090】
どのグループにも空腹時又は食後の高血糖は生じず(図10A)、フルクトース食ラットには空腹時高インスリン血症が生じたが、アロプリノールにより覆された(図10B)。食後高インスリン血症もまた、経口ブドウ糖負荷試験を実施したフルクトース食ラットに生じた。それと比較してアロプリノールで治療したラットにおいては、部分的にだが著しく低く(図10)、インスリン感受性が改善されたという結果になった(図10C)。
【0091】
発明者らはさらに、フルクトース誘導のメタボリック症候群を有するラットの、治療ではなくそれを予防する際のアロプリノールの有効性を検査した。フルクトース誘導の高尿酸血を避けるため、アロプリノールを、開始点からフルクトース食と同時に与えた。図11Aで示されるように、フルクトース食ラットのフルクトース食による尿酸上昇は6週間という期間にわたって防がれた。アロプリノールで治療したラットは、フルクトース食ラットと比べ、空腹時インスリン値が著しく低く(図11B)、高トリグリセリド血症の発症が完全に防がれた(図11C)。さらに、(実験)対照ラットと比べ、フルクトース食ラットは体重が増したが(456±24対414±24g、Frの最終的な体重対(実験)対照の最終体重、p<0.01)、アロプリノールで治療したラットは、体重の増加がそれよりも少なかった(最終的な体重426±26g、p<0.05対フルクトース食ラット)。統計的有意性があるとされる範囲には届かなかったものの、8週の時点で、フルクトース食ラットの3日にわたる食物摂取量の合計は、フルクトース+アロプリノールのグループ(88±4g)のそれと比較して、わずかに高かった(92±2g)。フルクトース食ラットに対するアロプリノールの投与が肥満を防いだという所見により、アロプリノールが食物摂取又は体重に対して特異的効果がなかったということを確実なものとするための、付随研究が必要となった。この可能性を検討するため、8週間にわたり、アロプリノール又はベンズブロマロン(尿酸排泄)を、(実験)対照食を用いているラットに投与した。第3グループには(実験)対照食のみを与えた。8週の時点での総食料消費及び最終体重の合計は、3つのグループ間で差異がなかった(テーブル2)。
【0092】
最終的に、発明者らは、メタボリック症候群の発症に対する60%のブドウ糖食の影響と60%のフルクトース食の影響とを比較した。この実験では、各グループが同様にカロリーを摂取し、同様に体重が増加するよう、食物摂取量をコントロールした。しかしながら、フルクトース食ラットのみが高尿酸血、高トリグリセリド血症、及び高インスリン血症を発症した(テーブル3)。重要なのは、フルクトース食ラットにおいて認められた悪影響が、尿酸排泄薬であるベンズブロマロンを用いて尿酸値を降下させたことで、著しく改善されたということである(テーブル3)。
【0093】
生体外の研究。
【0094】
メタボリック症候群において内皮細胞機能不全の頻度は高い。インスリンへの酸化窒素反応障害が、インスリン抵抗性発現のためのメカニズムであるかもしれないことは周知である。(シノザキ・ケー(Shinozaki K)、 カシワギ・エー(Kashiwagi A)、ニシオ・ワイ(Nishio Y)、オカムラ・ティー(Okamura T)、ヨシダ・ワイ(Yoshida Y)、マサダトダ・エヌ(MasadaToda N)、及びキッカワ・アール(Kikkawa R)、Abnormal biopterin metabolism is a major cause of impaired endothelium−dependent relaxation through nitric oxide/O2− imbalance in insulin−resistant rat aorta, Diabetes 第48巻: 第2437頁−第2445頁、1999年)。先立って、培養ウシ内皮細胞におけるNOレベルを、尿酸が強力に低減すると示されている。(コスラ・ユーエム(Khosla UM),ズァリコブ・エス(Zharikov S)、フィンチ・ジェイエル(Finch JL)、ナカガワ・ティー(Nakagawa T)、ロンカル・シー(Roncal C)、ムゥ・ダブリュー(Mu W)、クロトヴァ(Krotova)、ブロック・イーアール(Block ER)、プラバカー・エス(Prabhakar S)、及びジョンソン・アールジェイ(Johnson RJ)、Hyperuricemia induces endothelial dysfunction、Kidney Int 第67巻: 第1739頁−第1742頁、2005年)。さらにこの関連性を考察するため、発明者らは、ラット大動脈輪のアセチルコリン誘発の血管拡張に対する尿酸の急性効果を検査した。図12に示されるように、尿酸はアセチルコリンに応じて大動脈の動脈輪の血管緊張低下を投与量依存的に妨げた。
典型3:糖尿病腎症の治療又は進行の遅延
【0095】
発明者らは、内皮NOによるVEGFの解離が、糖尿病に認められた血管合併症の一因となりうると仮定する。実際に発明者らは、内皮NOによるVEGFの解離が、高グルコース条件下では内皮細胞増殖を著しく促進可能であることを実証することができた。糖尿病の生体内モデルにおいて彼らの仮説を検証するため、発明者らは、内皮細胞NOを内生的に生成できないeNOSノックアウト・マウスを利用した。発明者らは、内皮NO合成酵素を欠く糖尿病マウスが糖尿病腎症にかかりやすいかどうか判定するための実験を行なった。
方法
【0096】
実験動物
【0097】
実験は、アニマルケア・アンド・ユーズ・コミッティー・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・フロリダ (IACUC:Animal Care and Use Committee of the University of Florida )による実験計画の承認を受けて行われた。生後8ヵ月のC57Bl/6Jマウス(C57BL6)、及びC57BL/6J−Nos3tm1Unc(eNOSノックアウト・マウス)(Jackson研究所、バーハーバー、メイン州)を、0.1Mクエン酸塩バッファー(pH 4.5)で即座に溶解するストレプトゾトシン(STZ:streptozotocin)の腹腔内注入(100mg/kg/day、2日連続)により糖尿病化した。ONE TOUCHシステム(Johnson&Johnson社、ミルピータス、カリフォルニア州)により、最初のストレプトゾトシン注入から1週間後に、糖尿病(250mg/dLを超える血糖により定義される)の発症が確認された。血糖制御のための、シングル・インスリン・ペレット(Linshin Canada Inc社、オンタリオ、カナダ)を、5ヵ月にわたり皮下に注入した。血糖は2週毎にモニタリングし、空腹時血糖が>200mg/dlだった場合、さらにインスリン・ペレットを挿入した。マウスは、食物と水が自由に手に入る環境で、12時間の明暗サイクル下、動物養護施設にて飼育した。体重は毎月記録した。3ヵ月及び5ヵ月の時点で、マウスを組織学的分析のため安楽死させた。合計6つのグループ(各グループにつき10匹のマウス)を開始の時点で検査した。非糖尿病マウス(non−DM)、糖尿病マウス(DM)、及びインスリン療法を施した糖尿病マウス(C57BL6及びeNOS KO)(DMIns)を検査した。最大血圧は、テイルカフ方式血圧計(Visitech BP2000、Visitech Systems社、アペックス、ノースカロライナ州)を用いて、午前中に5−10回連続して行われた測定における平均値として算定した。血中尿素窒素はBUNアッセイ(Diagnostic chemicals limited社、プリンスエドワードアイランド、カナダ)により測定した。屠殺時には、尿アルブミン排泄に関し、膀胱内の尿を採取した。アルブミン‐クレアチニン比は、アルブウェル・エム(Exocell社、フィラデルフィア、ペンシルバニア州)及びリクイッド・クレアチニン・アッセイ(Bioquant社、サンディエゴ、カリフォルニア州)を用いてそれぞれ測定した。
【0098】
腎臓の組織構造
【0099】
腎臓を、フェケテ(Fekete)の固定剤(エタノール、蒸留水、37%のホルマリン、及び氷酢酸の混合剤)に固定し、パラフィン包埋した。2−μmの部分を、過ヨウ素酸シッフ試薬(PAS:periodic acid−Schiff reagent)又は過ヨウ素酸メテナミン−銀(PAM:periodic acid−methenamine silver)を用いて染色し、ヘマトキシロンを用いて逆染色した。間接的免疫ペルオキシダーゼ染色は、内皮抗原、トロンボモジュリン(TM)(ユザワ・ワイ(Yuzawa Y)、ブレンジェンス・ジェイアール(Brentjens JR)、ブレット・ジェイ(Brett J)、カルドウェル・ピーアール(Caldwell PR)、エスポシト・シー(Esposito C)、フカツ・エー(Fukatsu A)、ゴッドマン・ジー(Godman G)、スターン・ディー(Stern D)、アンドレス・ジー(Andres G): Antibody−mediated redistribution and shedding of endothelial antigens in the rabbit. J Immunol 第150号: 第5633頁−第5646頁、1993年)又はCD34 (BD Pharmingen社, サンホゼイ カリフォルニア州)(フィナ・エル(Fina L)、モルガード・エイチブイ(Molgaard HV)、ロバートソン・ディー(Robertson D)、 ブラッドリー・エヌジェイ(Bradley NJ)、モナファン・ピー(Monaghan P)、デリア・ディー(Delia D)、スザーランド・ディーアール(Sutherland DR)、ベーカー・エムエー(Baker MA)、グリーブス・エムエフ(Greaves MF): Expression of the CD34 gene in vascular endothelial cells. Blood 第75巻:第2417頁−第2426頁、1990年)、及び抗平滑筋アクチンを有する血管平滑筋細胞(Abcam社、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)に対する、抗体を用いて行った。内皮細胞増殖を検知するため、二重免疫染色を、増殖性細胞核抗原、Ki67(Abcam社、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)及びトロンボモジュリンに対する抗体で行った。色は色原体としてDABを用いて示した。二重染色では、ブジョーラン紫(BioCare Medical社、コンコード、カリフォルニア州)をトロンボモジュリン用に使用した。
【0100】
モルフォロジーの定量化
【0101】
定量化はすべて盲検法で行った。腎臓の冠状断面を用いて、全糸球体(各動物につき100−200の糸球体)を検査した。糸球体のメサンギウムの膨化、メサンギオリシス及び結節状病変を評価した。メサンギオリシスの割合は、メサンギオリシスを有する糸球体の数割る全糸球体の数というように計算した。細動脈のモルフォロジーはアルファ平滑筋アクチンを間接ペルオキシダーゼ免疫染色することにより算定した。外皮質の糸球体に隣接していて、水平内皮細胞を有した血管のみを、先に記載されるような細動脈に選んだ。(マッザーリ・エム(Mazzali M)、カニリス・ジェイ( Kanellis J)、ハン・エル(Han L)、フェン・エル(Feng L)、シャ・ワイワイ(Xia YY)、チェン・キュウ(Chen Q)、カン・ディーエイチ(Kang DH)、ゴードン・ケーエル(Gordon KL)、ワタナベ・エス(Watanabe S)、ナカガワ・ティー(Nakagawa T)、ラン・エイチワイ(Lan HY)、ジョンソン・アールジェイ(Johnson RJ): Hyperuricemia induces a primary renal arteriolopathy in rats by a blood pressure−independent mechanism. Am J Physiol Renal Physiol 第282号: 第F991頁−第997頁、2002年)。糸球体輸入細動脈壁の厚さはコンピューター画像分析により測定した。最低12の細動脈における総壁領域(アウトライン−インライン)を計算するため、各細動脈の血管の輪郭及びその内部ルーメン(内皮を除く)を、コンピューター分析を用いて作り出した。非対称の壁をもたらしている横断血管又は横方向に横断していない血管は、本調査から除外した。増殖性内皮細胞はKi67及びTM又はCD34を用いて二重染色法により同定した。
【0102】
リアルタイムPCR
【0103】
VEGFのmRNA発現を定量化するために、先に記載されたように、リアルタイムPCRが行なわれた(ナカガワ・ティー(Nakagawa T)、ラン・エイチワイ(Lan HY)、ズウ・エイチジェイ(Zhu HJ)、カン・ディーエイチ(Kang DH)、シュレイナー・ジーエフ(Schreiner GF)、 ジョンソン・アールジェイ(Johnson RJ):Differential regulation of VEGF by TGF−beta and hypoxia in rat proximal tubular cells. Am J Physiol Renal Physiol 第287号: 第F658頁−第664頁、2004年)。簡潔に言えば、総RNA1μgがPlatinum PCR supermix(Biorad社)を用いてcDNAに変換された後、PCRは、マウスVEGF又はSYBR Green JumpStat Taq ReadyMix (Sigma社)と結合したGAPDHプライマーを用いて、DNA Engine OPTICON(MJ Research社、ウォルサム、マサチューセッツ)を使用して以下のように行われた:94°Cを5分間、その後35サイクルの変性を94°Cで30秒間、アニーリングを61°Cで1分間、そしてエクステンションを72°Cで90秒間。単位複製配列のサイズは111 bpであった。(マウスVEGF) (エマニュエリ・シー(Emanueli C)、サリス・エムビー(Salis MB)、ヴァン・リンスオウト・エス(Van Linthout S)、メローニ・エム(Meloni M)、デソルテス・イー(Desortes E)、シルベストレ・ジェイエス(Silvestre JS)、クラーグ・エム(Clergue M)、フィグエロア・シーディー(Figueroa CD)、ガダウ・エス(Gadau S)、コンドレリ・ジー(Condorelli G)、マデドゥ・ピー(Madeddu P): Akt/protein kinase B and endothelial nitric oxide synthase mediate muscular neovascularization induced by tissue kallikrein gene transfer. Circulation 第110巻: 第1638頁−第1644頁、2004年)。反応特異性はリアルタイムRT−PCRに先立つ2%のアガロースゲル電気泳動法により確認し、予想していたサイズのバンドが検知された。GAPDH mRNAに対する比率は各サンプルで計算され、平均値±標準偏差として示された。
【0104】
統計的分析
【0105】
提示された値はすべて、平均値±標準偏差として示す。対応のないスチューデントt検定を、2つの実験群間の統計的差異を測定するために用いた。有意性はp<0.05として定義した。
結果
【0106】
一般的指標
【0107】
テーブル4に示されるように、3ヵ月及び5ヵ月の時点での測定において、ストレプトゾトシンによる1型糖尿病の誘発は、C57BL6及びeNOSノックアウト・マウスに同等の高血糖をもたらした。しかしながら、糖尿病C57BL6マウスと比べ、糖尿病eNOSノックアウト・マウスの体重減少は激しかった。最大血圧は、3ヵ月の時点では、非糖尿病eNOSノックアウト・マウスのほうが高かったが、5ヵ月の時点で、野性型がコントロールする程度の低レベルに降下した。実際には、5ヵ月の時点では、糖尿病eNOSノックアウト・マウス6匹のうち、2匹のマウスにおいて血圧の測定が不能だったが、他の2匹の糖尿病eNOSノックアウト・マウスはそれぞれ92mmHg及び104mmHgという低い血圧をそれぞれ示した。加えて、5ヵ月の時点での糖尿病eNOSノックアウトマウスの生存率は、糖尿病野性型マウスと比べ低かった(図3)。
【0108】
インスリン療法は、野性型及びeNOSノックアウトマウス両方において、血糖レベルの大幅な改善に関係した。興味深いことに、インスリン療法は、著しくeNOSノックアウトマウスの血糖、血圧、及び生存率を向上させた(テーブル4及び図3)。eNOSノックアウトマウスにおける、3ヵ月の時点での上昇血圧はインスリン療法で改善し、5ヵ月の時点でのより低い血圧についてもまた、大きくインスリン療法により防がれた。
【0109】
腎機能及び総モルフォロジー
【0110】
糖尿病誘発性の腎肥大はeNOSノックアウト・マウスにおいてより顕著だった(テーブル4)。糖尿病野性型及びeNOSノックアウトマウスが3ヵ月の時点で、高いBUNレベルに加えてさらに高い尿アルブミン排泄を示す。しかしながら、5ヵ月の時点では、糖尿病の野性型マウスと比べて、eNOSノックアウトマウスにおける尿アルブミン排泄及びBUNレベルのほうが高かった(テーブル4)。血糖の正常化をもたらしたインスリンの投与は、野性型及びeNOSノックアウトマウスの両方において、腎肥大、タンパク尿及び腎機能障害の発症を防いだ(テーブル4)。
【0111】
糸球体組織構造
【0112】
C57BL6及びeNOSノックアウト糖尿病マウスの両方がメサンギウムの膨化を示したが、eNOSノックアウトマウスではさらにそれが顕著であった(図4A及びB並びにテーブル5)。図5に示されるように、C57BL6マウス及びeNOSノックアウト・マウス両方において、血糖値がメサンギウム膨化と関連があった。興味深いことに、メサンギウム膨化の発現という点において、eNOSノックアウトの糸球体は野性型マウスより血糖に影響されやすかった(図5A)。最も重要なのは、3ヵ月の時点で、糖尿病eNOSノックアウト・マウスに、メサンギオリシス(図4D)及び糸球体の微小動脈瘤(図4E)が発現したという特筆すべき発見があったことである。更に、3ヵ月及び5ヵ月の時点で、キンメルスティール−ウィルソンのような結節状病変が時折糸球体において認められた。これらの結節性病変は、結節状メサンギウムの膨化(図4F)、無細胞性のPAS陽性物質(図4G)、及び稠密線維性メサンギウム基質(図4H)からなっていた。結節性糸球体硬化症は、PAS及びPAM染色を用いた糸球体の連続切片により示した(図4J及び図4K)。細動脈の(図4I)、又は糸球体の血管極の(図4L)ヒアリン症もまた糖尿病eNOSノックアウト・マウスにおいて認められた。興味深いのは、個々の糸球体の深刻な細動脈疾患の存在が、多くの場合糸球体のメサンギオリシスに関係していたということである(図4I)。メサンギオリシスは、さらに糖尿病eNOSノックアウト・マウスの血糖値とも関係がある(図5B)。なお、5ヵ月の時点で、非糖尿病eNOSノックアウト・マウスにおいては、メサンギオリシスがめったに発現しない(テーブル6)。興味深いことに、インスリン療法は、3ヵ月及び5ヵ月の時点において、メサンギウムの膨化、メサンギオリシス及び結節状病変の発現を阻止した(テーブル5及びテーブル6)。
【0113】
腎臓の細動脈組織構造
【0114】
発明者らは以前に他のモデルにおいて、糸球体前性細動脈疾患の発症が、変性した自己調節能をもたらし、腎臓の病勢進行を早めることもあり得ることを実証した(ジョンソン・アールジェイ(Johnson RJ)、フェイ・ディーアイ(Feig DI)、ヘレラアコスタ・ジェイ(Herrera−Acosta J)、カン・ディーエイチ(Kang DH): Resurrection of uric acid as a causal risk factor in essential hypertension. Hypertension 第45巻: 第18頁−第20頁、2005年)。発明者らはまた、糸球体前性細動脈疾患がL−NAMEを用いたNO合成の遮断で生じることを示した。(キロズ・ワイ(Quiroz Y)、ポンズ・エイチ(Pons H)、ゴードン・ケーエル(Gordon KL)、リンコン・ジェイ(Rincon J)、チャベズ・エム(Chavez M)、パラ・ジー(Parra G)、ヘレラアコスタ・ジェイ(Herrera−Acosta J)、ゴメズゲール・ディー(Gomez−Garre D)、ラルゴ・アール(Largo R)、 エギド・ジェイ(Egido J)、ジョンソン・アールジェイ( Johnson RJ)、ロドリゲズイツーベ・ビー(Rodriguez−Iturbe B):Mycophenolate mofetil prevents salt−sensitive hypertension resulting from nitric oxide synthesis inhibition. Am J Physiol Renal Physiol 第281号:第F38頁−第47頁、2001年)。それ故、発明者らは、糖尿病及び非糖尿病両方のマウスにおける糸球体輸入細動脈のモルフォロジーを検査した。図5に示されたように、eNOSノックアウト・マウスの細動脈のルーメンは、C57BL6マウスにおいて認められたそれより大きかった。糖尿病の動物の中で、eNOSノックアウト・マウスは、非糖尿病C57BL6マウスと比較し、内部ルーメンサイズに一層の増大があった(図6A、図6E、図6F)。この増加はインスリン療法(図6A)により妨ぐことができた。他方、これらのマウスにおいて、全血管平滑筋壁領域の差異はなかった(図6C)。興味深いことに、メサンギオリシスのない糸球体と比較し、メサンギオリシスがある糸球体は、血管平滑筋壁領域(図6D)の増大に加えて細動脈の拡張(図6B)にも大きく関係していた。
【0115】
血管形成(内皮細胞増殖)
【0116】
糖尿病C57BL6及びeNOSノックアウト・マウスにおいて、VEGF mRNA発現が増加した(図8D)。重要なことは、インスリン療法が、VEGFを調整する際にグルコースに対する重要な役割を演じ、内皮NOシステムの状態に関係なく、このVEGFのアップレギュレーションを妨げたということである。
【0117】
内皮細胞形態はCD34(フィナ・エル(Fina L)、モルガード・エイチブイ(Molgaard HV)、ロバートソン・ディー(Robertson D)、ブラッドリー・エヌジェイ(Bradley NJ)、モナガーン・ピー(Monaghan P)、デリア・ディー(Delia D)、スザーランド・ディーアール(Sutherland DR)、ベーカー・エムエー(Baker MA)、グリーブス・エムエフ(Greaves MF): Expression of the CD34 gene in vascular endothelial cells. Blood 第75巻: 第2417頁−第2426頁、1990年)及びトロンボモジュリン(ユザワ・ワイ(Yuzawa Y)、ブレンジェンス・ジェイアール(Brentjens JR)、ブレット・ジェイ(Brett J)、コルドウェル・ピーアール(Caldwell PR)、エスポシト・シー(Esposito C)、フカツ・エー(Fukatsu A)、ゴッドマン・ジー(Godman G)、スターン・ディー(Stern D)、アンドレス・ジー(Andres G): Antibody−mediated redistribution and shedding of endothelial antigens in the rabbit. J Immunol 第150号:第5633頁−第5646頁、1993年)での免疫染色で評価した。糖尿病eNOSノックアウト及び野性型マウスの両方が、CD34又はトロンボモジュリンいずれかでの免疫染色で分かるように、皮質における全身性の内皮細胞増加を示し(図7及び図8)、そしてKi67及びトロンボモジュリン又はCD34を用いた二重染色で分かるように、これは過剰の内皮細胞増殖に関係していた(図7G、図7H)。糖尿病の野性型マウスと比較し、血管内膜増殖及び内皮の免疫染色は両方とも、eNOS糖尿病ノックアウトにおいて増加した。インスリン療法はさらに、その内皮細胞増殖及び数値の増加も治療した。
【0118】
対照的に、内皮細胞染色の局所的なロスが、特にメサンギオリシス(図7A及び7B)を示す糸球体において、時折認められた。
議論
【0119】
この研究において、発明者らは、ヒトの糖尿病腎症に非常によく似ている糖尿病性腎臓病のマウス・モデルを提示する。eNOS遺伝子を欠く糖尿病マウスは、腎臓内の血管疾患や、メサンギオリシス及び偶発的な細小血管瘤の形成を伴うメサンギウムの膨化、及びメサンギウムの結節状(キンメルスティール−ウィルソン)病変の発症、を伴う糖尿病腎症の典型的な特徴を示した。これらの変性は、インスリンにより大きく予防可能である。総体として、該データは、関連する内皮NOレベルの不足が、糖尿病を持った被験動物における腎症の罹病性の増大に重要な意味を持つ、念願の危険要因の1つである可能性を強く示唆する。
【0120】
特定の定説に一切縛られずに、発明者らは、eNOSノックアウトマウスを糖尿病腎症にかかりやすくする1つの潜在的機序がVEGF−NO軸の調節異常によると考える。通常は、VEGFは主としてeNOSの刺激を介して内皮細胞に作用する。しかしながら、内皮NOレベルが低い環境では、VEGF発現の増大は際立ったNO依存性内皮増殖反応に関係している。発明者らは、高血糖がこの解離を生体外で引き起こす場合があると発見した。
【0121】
内皮細胞の染色及び増殖が、糖尿病の(実験)対照マウスと比較して、糖尿病性eNOSノックアウトマウスにおいて増大したという我々の所見は、該解離仮説と符合している。重要なことは、VEGFの発現増加がインスリン療法を施したマウスの両グループにおいて妨がれたということである。これが示唆するのは、VEGF発現の調節が、このモデルの内皮NOレベルにではなく血糖値に主として依存するらしいということである。さらに、糖尿病の存在とは関係なく内皮の染色が野性型マウスと比べeNOSノックアウトマウスにおいてより大きかったという所見は、内皮増殖反応の増強における解離仮説の重要性を示唆する(ナカガワ・ティー(Nakagawa T)、サトウ・ダブリュー(Sato W)、ソウティン・ワイワイ(Sautin YY)、グルシャコヴァ・オー(Glushakova O)、クロッカー・ビー(Croker B)、 アトキンソン・エムエー(Atkinson MA)、ティッシャー・シーシー(Tisher CC)、ジョンソン・アールジェイ(Johnson RJ): Uncoupling of vascular endothelial growth factor with nitric oxide as a mechanism for diabetic vasculopathy. J Am Soc Nephrol 第17号: 第736頁−第745頁、2006年)。対照的に、ムロハラ他は、eNOSノックアウト・マウスが後肢虚血モデルにおいて血管形成障害を示したと発表した (ムロハラ・ティー(Murohara T)、アサハラ・ティー( Asahara T)、シルバー・エム(Silver M)、バウターズ・シー(Bauters C)、マスダ・エイチ(Masuda H)、カルカ・シー(Kalka C)、キアニー・エム(Kearney M)、チェン・ディー(Chen D)、サイムス・ジェイエフ(Symes JF)、フィッシュマン・エムシー(Fishman MC)、ファング・ピーエル(Huang PL)、イスナー・ジェイエム(Isner JM): Nitric oxide synthase modulates angiogenesis in response to tissue ischemia. J Clin Invest 第101号: 第2567頁−第2578頁、1998年)。それらのモデルにおいては、虚血性傷害がVEGF発現を増加することはなかったが、我々のモデルにおいては、一次刺激は高血糖であるように見えた。
【0122】
興味深い発見は、糖尿病性eNOSノックアウト・マウスにおいて、メサンギオリシスの存在が糸球体の内皮細胞の減少を伴ったのに対し、他のほとんどの糸球体は内皮増殖反応を示したということだった。この内皮反応の不均質性は、メサンギウム細胞増殖の不均質性に関係している可能性がある。実際に、ヒトの糖尿病腎症において、糸球体がメサンギウム増殖及びメサンギオリシスを同時に示すことが実証されている(スタウト・エルシー(Stout LC)、クーマー・エス(Kumar S)、ヲートン・イービー(Whorton EB): Focal mesangiolysis and the pathogenesis of the Kimmelstiel−Wilson nodule. Hum Pathol 第24巻: 第77頁−第89頁、1993年)。更にそれは、ラットにおけるanti−Thy1誘発のメサンギオリシスが、メサンギウム及び糸球体両方の内皮細胞増殖を伴うメサンギウム及び内皮細胞両方の減少に関係しているという証拠とも適合する (イルエラアリスプ・エル(Iruela−Arispe L)、ゴードン・ケー(Gordon K)、ヒューゴ・シー(Hugo C)、ドゥイジュベスチン・エーエム(Duijvestijn AM)、クラフィー・ケーピー(Claffey KP)、リリー・エム(Reilly M)、クーザー・ダブリュージー(Couser WG)、アルパース・シーイー(Alpers CE)、ジョンソン・アールジェイ(Johnson RJ):Participation of glomerular endothelial cells in the capillary repair of glomerulonephritis. Am J Pathol 第147号: 第1715頁−第1727頁, 1995年)。
【0123】
eNOS遺伝子の欠失が局所的に内皮増殖力を変性し、糸球体にメサンギオリシスを生じさせやすくするという可能性もある(テーブル6)。しかしながら、メサンギオリシスがインスリン療法により大きく予防されたという事実は、高血糖(及び/又はAGE)もまた重要な要因であろうことを示唆する。いずれにしても、糖尿病性C57BL6マウスがメサンギオリシスを示さなかったことから、高グルコースは唯一の要因にはなりえない。但し、高グルコースは付加的に内皮機能を低下させる可能性があり、それにより糸球体障害の発現が促進する。
【0124】
発明者らは、この新しい糖尿病腎症のマウスモデルが、ヒトの糖尿病性疾患に関連があるだろうと考える。同様の組織学的所見に加えて、ヒト糖尿病腎症はまた、グルコース及びAGEの影響だけでなく、尿酸の頻繁な上昇(ボ・エス(Bo S)、カバロペリン・ピー(Cavallo−Perin P)、ジェンチル・エル(Gentile L)、リペッティ・イー(Repetti E)、パガノ・ジー(Pagano G): Hypouricemia and hyperuricemia in type 2 diabetes: two different phenotypes. Eur J Clin Invest 第31号: 第318頁−第321頁、2001年)、CRP (タン・ケーシー(Tan KC)、チョウ・ダブリューエス(Chow WS)、タム・エスシー(Tam SC)、アイ・ブイエイチ(Ai VH)、ラム・シーエイチ(Lam CH)、ラム・ケーエス(Lam KS): Atorvastatin lowers C−reactive protein and improves endothelium−dependent vasodilation in type 2 diabetes mellitus. J Clin Endocrinol Metab 第87号: 第563頁−第568頁、2002年)、酸化ストレス(ベックマン・ジェイエー(Beckman JA)、コールドフィン・エービー(Goldfine AB)、ゴードン・エムビー(Gordon MB)、ガーネット・エルエー(Garrett LA)、 キーニー・ジェイエフジュニア(Keaney JF Jr.)、クリーガー・エムエー(Creager MA): Oral antioxidant therapy improves endothelial function in Type 1 but not Type 2 diabetes mellitus. Am J Physiol Heart Circ Physiol 第285号:第H2392頁−第2398頁、2003年)、及び非対称性ジメチルアルギニン(ADMA:asymmetric dimethylarginine)(ファード・エー(Fard A)、タック・シーエイチ(Tuck CH)、ドニス・ジェイエー(Donis JA)、シアッカ・アール(Sciacca R)、ディ・トゥリオ・エムアール(Di Tullio MR)、ウー・エイチディー(Wu HD)、ブライアント・ティーエー(Bryant TA)、チェン・エヌティー(Chen NT)、トーレスタマヨ・エム(Torres−Tamayo M)、ラマサミー・アール(Ramasamy R)、バーグランド・エル(Berglund L)、ジンズバーグ・エイチエヌ(Ginsberg HN)、ホーマ・エス(Homma S)、キャノン・ピージェイ(Cannon PJ): Acute elevations of plasma asymmetric dimethylarginine and impaired endothelial function in response to a high−fat meal in patients with type 2 diabetes. Arterioscler Thromb Vasc Biol 第20巻: 第2039頁−第2044頁、2000年; ターナウ・エル(Tarnow L)、ホヴィンド・ピー(Hovind P)、ターリンク・ティー(Teerlink T)、ステゥーワー・シーディー(Stehouwer CD)、パービン・エイチエイチ(Parving HH):Elevated plasma asymmetric dimethylarginine as a marker of cardiovascular morbidity in early diabetic nephropathy in type 1 diabetes. Diabetes Care 第27巻: 第765頁−第769頁、 2004年)など、内皮NOバイオアベイラビリティーを低下させるとして周知のものすべてによる内皮細胞機能不全に強く関係している。(ランドメッサー・ユー(Landmesser U)、ハリソン・ディージー(Harrison DG)、ドレクスラー・エイチ(Drexler H): Oxidant stress−a major cause of reduced endothelial nitric oxide availability in cardiovascular disease. Eur J Clin Pharmacol: 第1頁−第7頁、2005年)。尿酸、CRP、及びADMAは、齧歯類よりヒトにおいてのほうが高い傾向にあり、これは齧歯類が典型的な糖尿病性腎症にかかりにくい理由の潜在的な説明をなしている。I型糖尿病を持った患者の30−40%のみが著しいネフロパシーを発症することはよく知られている。この調査における結果に基づいて、発明者らは、糖尿病患者にネフロパシー発症の危険性があるかどうかの主要な決定因子の1つは、内皮NOのレベルであろうと提言する。拡大解釈すれば、糖尿病患者における尿酸値の標準化は、発症を遅延又は予防し得る。
典型4:脂肪肝症候群の予防、治療
【0125】
最近になって認識されたメタボリック症候群の構成因子であって肥満者において30倍以上の相対危険度を伴う、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD:Non−Alcoholic Fatty Liver Disease)は、世界的に、肝臓病の最もまん延している形であると考えられる。脂肪肝症候群は、メタボリック症候群を患う患者において大きく増進する。肥満に関連した肝臓脂肪症が生じるのは、血漿遊離脂肪酸の過剰摂取、脂肪酸のデノボ合成の過剰レート、及び/又は細胞内の脂質分配の調節異常からであり、そこでは脂肪酸酸化障害が起きそのエステル化が促進される (フロメントリー・ビー他(Fromenty B, et al.)Diabetes Metab. 2004年、第30巻:第121頁; フェスティ・ディー他(Festi D, et al.)Obes. Rev. 2004年、第5巻:第27頁)。上述したように、発明者らは、フルクトースに富む食物が、8週の時点でラットのメタボリック症候群(高インスリン血症、高トリグリセリド血症、高尿酸血、及び体重増加)を誘発することを示す。さらに、発明者らは、フルクトースが脂肪肝を引き起こすことを確認する。発明者らは、尿酸降下薬であるアロプリノールの投与が、これらの特性の発現を低減することを実証する。メタボリック症候群はトリグリセリド血漿中濃度の増加をもたらし、それにより脂肪肝に関与する細胞内トリグリセリド蓄積がもたらされる可能性が高い。論理的拡張により、発明者らは、メタボリック症候群の発症の低減が脂肪肝の発症を低減すると主張する。
【0126】
引用された特許文献、刊行物及び参考文献の開示は、それら全体として、ここの教示と不一致しない範囲において、ここに援用される。ここに記載された典型例及び実施形態は例示のみを目的としており、それに照らして多様な変形例又は変更が、本発明及び添付された請求項の範囲の精神と範囲から逸脱することなく含まれ、そして当業者に示唆されることが理解されるべきである。

【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】図1は、高尿酸血誘発ラットの1日及び7日の時点における血清尿酸と血清亜硝酸塩の関係を示すグラフである。化学発光法により血清の尿酸濃度及び亜硝酸塩/硝酸塩(NOX)について分析がなされた。
【図2】図2は、血清尿酸と血清亜硝酸塩の線形相関を示すグラフを表わす。
【図3】図3は、5ヵ月の時点における糖尿病eNOSノックアウト・マウスの生存率である。NonDMは非糖尿病マウスであり、DMInsはインスリン療法を施した糖尿病である。
【図4】図4は、C57BL6及びeNOSノックアウト・マウスの糸球体の組織構造である(AからKは倍率1000、Lは倍率2000)。(A)は3ヵ月の時点における非糖尿病C57BL6マウスの糸球体である。(B)は3ヵ月の時点における糖尿病C57BL6マウスである。(C)は3ヵ月の時点における非糖尿病eNOSノックアウト・マウスである。(D)は3ヵ月の時点における糖尿病eNOSノックアウト・マウスである。糸球体においてメサンギウム領域の膨化が認められる。(E)は3ヵ月の時点における糖尿病eNOSノックアウト・マウスの糸球体の細小血管瘤である。(F)は5ヵ月の時点における糖尿病eNOSノックアウト・マウスの結節性糸球体の拡大である。(G)は3ヵ月の時点での糖尿病eNOSノックアウト・マウスにおける無細胞PAS陽性物質による結節性病変である。(H)は3ヵ月の時点での糖尿病eNOSノックアウト・マウスにおける、線維性メサンギウム基質によるメサンギオリシスを伴うびまん性糸球体硬化である。(I)は5ヵ月の時点での糖尿病eNOSノックアウト・マウスにおける糸球体のメサンギオリシスに関連した細動脈性ヒアリン症(矢印)である。(J)は5ヵ月の時点における糖尿病eNOSノックアウト・マウスの結節性糸球体硬化症(矢印)である。(K)は5ヵ月の時点での糖尿病eNOSノックアウト・マウスにおける、(J)の重症部分を過ヨウ素酸メセナミン銀染色した結節性糸球体硬化症である。(L)は5ヵ月の時点での糖尿病eNOSノックアウト・マウスの、糸球体の血管極におけるヒアリン症(矢印)である(倍率2000)。サイズ・バーは10μmである。
【図5】図5は3ヵ月の時点における、血糖と腎損傷間の相関性である。(A)はC57BL6及びeNOSノックアウト・マウスにおけるメサンギウムの膨化である。(B)はC57BL6及びeNOSノックアウト・マウスのメサンギオリシスである。
【図6】図6は3ヵ月での糖尿病eNOSノックアウト・マウスにおける細動脈病変である。(A)は糸球体輸入細動脈の内部ルーメンサイズである。a:C57BL6に対してはp<0.01であり、b:eNOSノックアウト・マウスにおける非DMに対してはP<0.05である。(B)は糖尿病eNOSノックアウト・マウスにおける糸球体輸入細動脈の内部ルーメンである。メサンギオリシスを伴う糸球体は細動脈の拡張と関連している。(C)は糸球体輸入細動脈の壁領域である。(D)は糖尿病eNOSノックアウト・マウスにおける細動脈の壁領域である。(E)は非DM−C57BL6マウスにおける糸球体輸入細動脈の平滑筋アクチン(SMA:Smooth Muscle Actin )の免疫組織化学である(倍率1000)。茶色部は平滑筋アクチン染色を示す。(F)は糖尿病eNOSノックアウト・マウスにおける、糸球体輸入細動脈の平滑筋アクチン(SMA:Smooth Muscle Actin)(茶色部)の免疫組織化学である(倍率1000)。(G)は非DMeNOSノックアウト・マウスにおけるPAS染色である(倍率200)。(H)は非DMeNOSノックアウト・マウスにおける平滑筋アクチン(茶色部)の免疫組織化学である(倍率400)。
【図7】図7は、糖尿病eNOSノックアウト・マウスの内皮細胞増殖である。(A)は3ヵ月の時点での糖尿病eNOSノックアウト・マウスにおける損傷した糸球体のPAS染色である。(B)はCD34の免疫染色である。茶色部は内皮細胞のマーカーとしてのCD34染色を示す。青色部は、ヘマトキシリンでの細胞核の対比染色を示す。3ヵ月の時点での糖尿病eNOSノックアウト・マウスの損傷した糸球体において、内皮細胞の損失が認められる。(C)は非DM−C57BL6におけるCD34の免疫組織化学である(倍率200)。(D)糖尿病eNOSノックアウト腎臓におけるCD34である(倍率200)。いくつかの糸球体は強い免疫反応(ブロック矢印)を示すが、弱い内皮染色を示すものもある(白い矢印)(E)は非DM−C57BL6におけるトロンボモジュリン(TM:Thrombomodulin)(茶色部)の免疫染色である(倍率200)。TMは、主に尿細管周囲毛細血管において示される。(F)は糖尿病eNOSノックアウトにおけるTMである(倍率200)。(G)はTM(ブジョーラン紫)(白い矢印)及びKi67(暗褐色)の二重染色である。二重染色は増殖内皮細胞(黒い矢印)を示唆することが可能である。(H)はTM(白い矢印)及びKi67(暗褐色)の糸球体毛細血管の二重染色により検知された増殖内皮細胞増殖(黒い矢印)である。
【図8】図8において、(A)は皮質におけるCD34の定量化である。(B)はトロンボモジュリン染色の定量化である。(C)は腎皮質におけるTM及びKi67の二重染色での100μm2ごとの細胞数である。(D)は3ヵ月の時点での全腎臓におけるVEGF mRNA発現のリアルタイムPCRである。a:C57BL6における非DM及びDMInsに対してはp<0.05。b:C57BL6における非DMに対してはp<0.05。c:eNOSノックアウトにおけるDMInsに対してはp<0.05。d:eNOSノックアウトにおける非DM及びDMInsに対してはp<0.05。e:C57BL6におけるDMに対してはp<0.05。nonDMは非糖尿病であり、DMは糖尿病であり、DMInsはインスリン療法を施した糖尿病である。
【図9】図9において、(A)はフルクトース食ラットの代謝パラメータに対し高尿酸血症のためのアロプリノール治療を施した効果である。フルクトース食投与(Fr)は数週間にわたり、これをアロプリノールにより妨げる(AP:allopurinol;150m、(実験)対照に対してはp<0.01、Frに対しては<0.05)。(B)では、フルクトースは9週の時点で尿酸の尿中排泄を低減しており、これがアロプリノールにより防止される(Frに対しては*p<0.01、(実験)対照に対しては#p<0.05)。(C)では、フルクトース食ラットに生じた高血圧症が、アロプリノールで著しく低減される((実験)対照及びFrに対し#p<0.01)。(D)において、フルクトース食ラットの血清トリグリセリドが増加したが、これは完全にアロプリノールにより防止される((実験)対照及びFr+APに対し#p<0.01)。(E)において、血清トリグルセリド値は血清尿酸と直接相関している。データは平均値±標準偏差である。
【図10】図10はフルクトース食ラットのグルコース代謝に対するアロプリノール治療の効果である。(A)は10週の時点でのブドウ糖負荷試験である。全グループにおいて同様の血糖値が認められた。(B)はブドウ糖負荷試験後の血漿インスリン値である。フルクトース摂取は空腹時及び食後高インスリン血症に関係していた。アロプリノール(AP:Allopurinol 150mg/L)は基底の高インスリン血症を妨ぎ、食後高インスリン血症を著しく低減した((実験)対照に対して*p<0.01、Frに対して#p<0.05)。(C)はインスリン感性指数(ISI:Insulin sensitivity index)である。インスリン感受性はフルクトース食で低減され、アロプリノールにより改善された。データはすべて平均値±標準偏差である。図Bにおいては、3つのグループの統計的分析がボンフェローニ補正を用いて分散分析により分析された((実験)対照に対して*p<0.01、Frに対して#p<0.05)。図Cにおいては、対応のないt検定を用いて、FrとFr+APとの比較がなされた。
【図11】図11に関し、アロプリノールによるフルクトース食ラットの高尿酸血の阻止は、メタボリック症候群の特性を防止することとなる。(A)に関し、アロプリノール(AP:Allopurinol 150mg/L)は、フルクトース食ラットの尿酸の発生を防止した((実験)対照、Fr+APに対し、#p<0.05)。(B)に関し、アロプリノール治療は、8週の時点でのフルクトース食ラットと比較し著しく低い空腹時インスリン値を伴った。(C)に関し、アロプリノールは、さらにフルクトース誘発のBW増加を防止した。3つのグループの統計的分析はボンフェローニ補正を用いて分散分析により分析された。
【図12】図12に関し、尿酸は、ラットの大動脈の動脈部分におけるアセチルコリン媒介血管拡張を抑止する。アセチルコリン(5μM)誘発の血管緊張低下は、U−46619(0.5μM)による形成の安定後、10分間様々な尿酸濃度の存在下で算定された。n=4、(実験)対照に対し*p<0.01、0.7mg/dlに対し#p<0.05、0.7mg/dlに対し##p<0.01。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者のインスリン抵抗性の発現を予防し又は遅延させる方法であって、
前記患者の平均血清尿酸値を測定することと、
前記患者の平均血清尿酸値を5.5mg/dl以下に維持するのに効果的な投与計画に従って、UALAを含む組成物を前記患者に投与することと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記投与前に前記患者の平均血清尿酸を決定することをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記組成物を少なくとも1週間にわたって投与することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記組成物を少なくとも2週間にわたって投与することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記組成物を少なくとも4週間にわたって投与することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
該平均血清尿酸値を5.5mg/dl以下に維持する投与計画に従って、前記組成物を少なくとも2週間投与することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
投与計画は、該平均血清尿酸値を5.5mg/dl以下に少なくとも4週間維持するように計画されていることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
投与計画は、該平均血清尿酸値を5.5mg/dl以下に少なくとも8週間維持するように計画されていることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項9】
投与計画は、該平均血清尿酸値を5.5mg/dl以下に少なくとも24週間維持するように計画されていることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項10】
投与計画は、該平均血清尿酸値を5.5mg/dl以下に少なくとも2年間維持するように計画されていることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項11】
平均血清尿酸値を約3.5mg/dl乃至約5.5mg/dlの間に少なくとも12週間維持する投与計画に従って、前記組成物を投与することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項12】
平均血清尿酸値を約3.5mg/dl乃至約5.5mg/dlの間に少なくとも1年間維持する投与計画に従って、前記組成物を投与することを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
患者のインスリン抵抗性を防止し、遅延し又は治療する方法であって、
前記患者の平均血清尿酸値を決定することと、
前記患者の平均血清尿酸値を約4.0mg/dlと約5.5mg/dlとの間に少なくとも4週間維持するのに効果的な投与計画に従って、UALAを含む組成物を前記患者に投与することと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項14】
前記投与は、前記患者の平均血清尿酸値を約4.0mg/dlと約5.5mg/dlとの間に少なくとも12週間維持するのに効果的な投与計画に従って、なされることを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記投与は、前記患者の平均血清尿酸値を約4.0mg/dlと約5.5mg/dlとの間に少なくとも36週間維持するのに効果的な投与計画に従って、なされることを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項16】
UALAと、少なくとも1つの酸化防止剤と、を含む組成物。
【請求項17】
治療上効果的な量のUALAと酸化防止剤の組合せを、同時に又は連続的に、併用投与することを備えることを特徴とする併用療法。
【請求項18】
患者の平均血清尿酸値を5.5mg/dl未満に低下させる投薬量でUALAを投与することを特徴とする請求項17記載の併用療法。
【請求項19】
UALAは、前記患者の平均血清尿酸値を約4.0mg/dlと約5.5mg/dlとの間に少なくとも2週間維持するのに効果的な投与計画に従って、投与されることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項20】
必要とする患者のメタボリック症候群の、発病の危険性を低減し、発病を遅延し、又は治療をする方法であって、前記患者の平均血清尿酸値を少なくとも12週間にわたって5.5mg/dl未満に維持するのに効果的な投与計画に従って、前記患者にUALAを含む組成物を投与することを備えることを特徴とする方法。
【請求項21】
前記患者は無症候性高尿酸血症を患っていると診断されていることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
必要とする患者のインスリン抵抗性の、発現の危険性を低減し、発現を遅延し、又は治療をする方法であって、前記患者の平均血清尿酸値を少なくとも12週間にわたって約4.0mg/dlと約5.5mg/dlとの間に維持するのに効果的な投与計画に従ってUALAを含む組成物を投与することを備えることを特徴とする方法。
【請求項23】
前記患者は無症候性高尿酸血症を患っていると診断されていることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
必要とする患者のメタボリック症候群に係る肥満症の、発症の危険性を低減し、発症を遅延し、又は治療をする方法であって、前記患者の平均血清尿酸値を少なくとも12週間にわたって5.5mg/dl未満に維持するのに効果的な投与計画に従ってUALAを含む組成物を投与することを備えることを特徴とする方法。
【請求項25】
5.5mg/dlを超える尿酸値を伴う無症候性高尿酸血症を患う患者における高尿酸血によって誘発される健康状態に陥る危険性を低減する方法であって、前記患者の平均血清尿酸値を少なくとも12週間にわたって5.5mg/dl以下に維持するのに効果的な投与計画に従って、UALAを含む組成物を前記患者に投与することを備えることを特徴とする方法。
【請求項26】
前記患者の平均血清尿酸値を少なくとも52週間にわたって約4.0mg/dlと約5.5mg/dlとの間に維持するのに効果的な投与計画に従って、前記投与が行われることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記高尿酸血によって誘発される健康状態はインスリン抵抗性、肥満症、高トリグリセリド血症、非アルコール性脂肪肝疾患、又は糖尿病腎症であることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項28】
5.5mg/dlを超える尿酸値を伴う糖尿病を患う患者の糖尿病腎症の、発症を遅延し、又は発症の危険性を低減する方法であって、前記患者の平均血清尿酸値を少なくとも12週間にわたって5.5mg/dl未満に維持するのに効果的な投与計画に従ってUALAを含む組成物を投与することを備えることを特徴とする方法。
【請求項29】
前記UALAはアロプリノール若しくはフェブキソスタット、又はその両方であることを特徴とする請求項27記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−501795(P2009−501795A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522779(P2008−522779)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/020998
【国際公開番号】WO2007/018687
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(506224470)ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチファウンデーション インコーポレイティッド (11)
【Fターム(参考)】