説明

高弾性の寸法回復性不織材料

ウェストバンドや芯のような衣料用途に適する、回復可能な伸縮をもつ、ミクロクレーピングされた湿式堆積不織布。ミクロクレーピングとヒートセットが、洗濯と乾燥のサイクルの後の寸法安定性を改良し、かつ、収縮を最小にし、かつ、湿式堆積不織布やその他の衣料用不織布に関連した、業界では「ワニ皮亀裂化」として知られている、表面しわの現象を実質的に解消させる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
湿式堆積不織布(wet laid nonwoven fabrics)は衣料分野においては最終用途、多くの芯(interlining)および見返し芯(interfacing)向けに広く使用されている。湿式堆積不織布はカーデッドウェブ(carded web)のような他のタイプの不織布よりももっと寸法安定性と全方向における一様な性質を呈する。しかしながら、湿式堆積不織布は非常に限られた伸張(stretch)能力、代表的には、破断前に縦方向(MD)に約10%〜約15%と横方向(CD)に20%、を有するに過ぎない。湿式堆積不織布の伸張は繊維の分離と存在する場合には結合剤の変形とに起因する。湿式堆積不織布の伸張は非弾性であり、それ故に、10%(その元の寸法の110%に)伸張された湿式堆積不織布は緊張を解かれたときに110%の長さにとどまるであろう。従って、縦方向に一定量の弾性伸張すなわち回復可能な伸張が望ましい或る種の応用たとえばズボンのウェストバンドにおいては、湿式堆積不織布の使用が制限される。
【0002】
不織布における限られた回復性縦方向伸張のせいで、衣料業界はウェストバンド裏当て(waistband linings)用には経費のかかる解決法を使用してこなければならなかった、例えば、45度バイアスに裁断された不織布を使用したり、又はメリヤス生地を使用したり、又は連続エラストマー繊維から構成されたウェブを使用したり、又はエラストマーフィルムを使用したり、又は様々なミクロウェブ(micro−webs)を使用したり、又は滑りを可能にする重なり合う布セグメントをもつ複雑なウェストバンド設計を用いたりしてきた。不織ウェブを縦方向に伸張回復性にするための別の取組み方は不織布をクレーピングまたはミクロクレーピングすることである。クレーピングにおいては、不織ウェブをクレーピング用表面に密着させ、そしてドクターブレードの使用によって該表面から剥がす。ミクロクレーピングにおいては、Waltonに対して発行された米国特許第3,260,778号明細書の中に詳述されそしてその後の他の特許たとえばPackard等に対して発行された米国特許第4,717,329号明細書の中で更に洗練されている通り、不織ウェブの伸張回復特性はウェブがロール上を走行しロールから剥離される間にウェブに減速と圧縮の組合せを施すことによって得られる。
【0003】
繰り返される洗濯と乾燥のサイクルの後では、湿式堆積不織ウェブは望ましくないことには劣化しそして粗面になるであろう。この粗面外観は不連続な表面しわに起因するとされ、そして衣料業界では「くさりちりめん(elephant skin)」または「ワニ皮亀裂(alligatoring)」と称されている。この表面劣化も湿式堆積不織ウェブの用途を制限する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それでも、これら前進にもかかわらず、衣料市場は、十分な耐久性を有し且つ洗濯、乾燥およびドライクリーニングを含めた通常の衣類使用後でも収縮しない、1.0〜5.0オンス/平方ヤードの軽量範囲の、回復可能な縦方向伸張をもつ適切な不織布を探求し続けている。
【0005】
定義
2成分(bicomponent)繊維またはフィラメント−−別々の押出機からポリマー源を押し出すことによって形成されそして単一の繊維またはフィラメントになるように紡ぎ合わされている複合繊維またはフィラメント。代表的には、2種の別個のポリマーが押し出されるが、2成分繊維またはフィラメントは別々の押出機からの同じポリマー材料の押出を包含し得る。押し出されたポリマーは2成分繊維またはフィラメントの横断面にまたがって実質的に定位置の明瞭な区域の中に配置されており、かつ、2成分繊維またはフィラメントの長さに沿って実質的に連続して延びている。2成分繊維またはフィラメントは対称性であることができる(たとえば、鞘:芯、または片側:片側)、又は非対称性であることができる(たとえば、鞘内の中心をはずれた芯;全体に丸い形状を有する繊維の内部に三日月形の立体配置)。2つのポリマー源は、たとえば(しかし、排他的ではなく)、75/25、50/50、または25/75の比率で存在することができる。
【0006】
2組成(biconstituent)繊維−−同じ紡糸口金から押し出された2種以上のポリマーの混合物から形成されている繊維。2組成繊維は、繊維の横断面積にまたがって比較的定位置の明瞭な区域の中に配置された個々別々のポリマー成分を有してはおらず、かつ、各種ポリマーは、通常、繊維の全長に沿って連続しておらず、代わりに、通常、無作為に始まって終わるフィブリルを形成している。2組成繊維は時には、多組成繊維とも称される。
【0007】
カレンダリング−−相対する表面の間で紙をプレスすることによって紙の表面を平滑にする方法。相対する表面は平坦プレートやローラーも包含する。相対する表面の一方または両方が加熱されてもよい。
【0008】
セルロース材料−−実質的にセルロースから構成された材料。セルロース系繊維は人造源から生じる(たとえば、再生セルロース繊維またはリヨセル(lyocell)繊維)、又は天然源、たとえば、木質および非木質の植物からの繊維またはパルプから生じる。木質植物は、たとえば、落葉樹や針葉樹を包含する。非木質植物は、たとえば、綿(cotton)、亜麻(flax)、エスパルト(esparto grass)、サイザル麻(sisal)、マニラ麻(abaca)、トウワタ(milkweed)、わら(straw)、ジュート(jute)、アサ(hemp)、およびバガス(bagasse)を包含する。
【0009】
複合繊維またはフィラメント−−別々の押出機からポリマー源を押し出すことによって形成されそして単一の繊維またはフィラメントになるように紡ぎ合わされている繊維またはフィラメント。複合繊維は、各々が別個の押出機によって供給された2種以上の別個のポリマーの使用も包含する。押し出されたポリマーは複合繊維またはフィラメントの横断面にまたがって実質的に定位置の明瞭な区域の中に配置されており、かつ、複合繊維またはフィラメントの長さに沿って実質的に連続して延びている。複合繊維またはフィラメントの形状は製造業者にとって意図した最終用途に都合のよいいずれの形状であることもできる、たとえば、円形、三裂形(trilobal)、三角形、ドッグボーン形(dog boned)、平坦または中空。
【0010】
クレーピングおよびミクロクレーピング−−不織ウェブに一連の小さな一般に不連続の平行な折畳み(folds)が付与されるように不織ウェブを縦方向に圧縮する方法。ミクロクレーピングはクレーピングとは、主として、付与された折畳みの大きさが異なる。
【0011】
横方向(cross machine direction)(CD)−−縦方向に垂直な方向。
【0012】
デニール−−フィラメントの9,000メートル当たりグラム数で表わされる重量によって与えられたフィラメントの繊度を表示するのに使用される単位。1デニールのフィラメントは長さ9,000メートル当たり1グラムの質量を有する。
【0013】
ドレープ性−−材料の、たるんだ又はだらりとした折畳み状態で垂れ下がる能力。
【0014】
繊維−−直径に対する長さの比率が著しく高いことを特徴とする材料の形態。ここで使用されるとき、用語、繊維とフィラメントは別に特別に指定されていない限り互換性をもって使用されている。
【0015】
フィラメント−−実質的に連続している繊維。ここで使用されるとき、用語、繊維とフィラメントは別に特別に指定されていない限り互換性をもって使用されている。
【0016】
広葉樹パルプ(hardwood pulps)−−広葉樹(deciduous tree)起源のあらゆる繊維状物質であって、パルプグラインダーのような機械的手段を通してか、又は通常、高い温度と圧力の下で、様々なタイプの蒸解液の使用によって化学的にか、どちらかで、それらの成分要素にされているもの。広葉樹は、たとえば、ハンノキ(alder)、カンバ(birch)、ユーカリ(eucalyptus)、オーク(oak)、ポプラ(poplar)、サイカモアカエデ(sycamore)、モミジバフウ(sweetgum)、およびクルミ(walnut)を包含する。
【0017】
ヒートセット(heat setting)−−或る所望の結果を達成するために基質に熱と圧力を働かせるプロセス。合成繊維(又は天然の化学処理された繊維)からつくられた布に対しては、ヒートセットは収縮を防止するために又は洗濯もしくはドライクリーニングにも耐える折り目もしくはひだを付与するために使用される。
【0018】
リヨセル−−セルロースを中間化合物の形成無しに有機溶剤の中に直接溶解しそしてその後そのセルロースと有機溶剤の溶液を凝固浴の中に押し出すことによって得られた人造セルロース材料。
【0019】
縦方向(machine direction)(MD)−−不織ウェブ材料の形成中に繊維またはフィラメントがその上に堆積されるところの形成用表面の走行の方向。
【0020】
メルトブローン繊維(meltblown fiber)−−溶融された熱可塑性材料をフィラメントとして、多数の細かい、通常、円形のダイキャピラリから、高速ガス(たとえば、空気)流の中に押し出すことによって形成された繊維であり、高速ガス流は溶融熱可塑性材料のフィラメントを細くしてそれらの直径を小さくする。その後、メルトブローン繊維は高速ガス流によって運ばれ、そして捕集用表面の上に堆積させられて無作為に分散されたメルトブローン繊維のウェブを形成する。メルトブローン繊維は一般に連続している。メルトブローン法はメルトスプレー法を包含する。
【0021】
天然繊維パルプ−−非木質植物起源のあらゆる繊維状物質であって、パルプグラインダーのような機械的手段を通してか、又は通常、高い温度と圧力の下で、様々なタイプの蒸解液の使用によって化学的にか、どちらかで、それらの成分要素にされているもの。非木質植物は、たとえば、綿、亜麻、エスパルト、サイザル麻、マニラ麻、トウワタ、わら、ジュート、アサ、およびバガスを包含する。
【0022】
非熱可塑性ポリマー−−熱可塑性ポリマーの定義の中に入らないあらゆるポリマー材料。
【0023】
不織布、不織シートまたは不織ウェブ−−織布またはメリヤス生地の中のものと同じものとみなし得る構造ではなく相互に堆積されている個々の繊維の構造物を有する材料。不織材料は、たとえば、メルトブローイング(meltblowing)法、スパンボンディング(spunbonding)法、カーディング(carding)法および湿式堆積(wet laying)法のような多くの方法から形成されてきた。不織布の目付は通常、平方メートル当たりのグラム数(grams per square meter)(gsm)で表わされる。
【0024】
ポリマー−−熱可塑性および非熱可塑性のポリマーを含めて反復する有機構造単位の長鎖。一般に、たとえば、単独重合体、共重合体、たとえば、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体、および交互共重合体、三元共重合体、など、およびそれらのブレンドおよび変種が包含される。更には、別に特別に限定されていない限り、用語「ポリマー」は全ての可能な幾何学的立体配置を包含する。これら立体配置は、たとえば、アイソタクチック、シンジオタクチック、およびランダム対称を包含する。
【0025】
再生セルロース−−天然セルロースを化学処理して可溶性の化学誘導体または中間体化合物を生成しそしてその後に該誘導体を分解してセルロースを再生することによって得られた人造セルロース。再生セルロースは紡糸レーヨンを包含し、再生セルロース法はビスコース法、銅アンモニア法および酢酸セルロースの鹸化を包含する。
【0026】
針葉樹パルプ(softwood pulps)−−針葉樹(coniferous tree)起源のあらゆる繊維状物質であって、パルプグラインダーのような機械的手段を通してか、又は通常、高い温度と圧力の下で、様々なタイプの蒸解液の使用によって化学的にか、どちらかで、それらの成分要素にされているもの。針葉樹は、たとえば、スギ(cedar)、モミ(fir)、カナダツガ(hemlock)、マツ(pine)およびトウヒ(spruce)を包含する。
【0027】
スパンボンドフィラメント−−溶融熱可塑性材料を紡糸口金の複数の細かいキャピラリ(通常、円形の)から押し出すことによって形成されたフィラメント。押し出されたフィラメントの直径は次いで、たとえば、誘発的延伸(eductive drawing)および/またはその他の周知のスパンボンディングメカニズムによって急速に小さくされる。スパンボンド繊維は約0.1〜5またはそれ以上の範囲内のデニールをもって一般に連続している。
【0028】
スパンボンド不織ウェブ−−(通常)単一プロセスで形成されるウェブであって、まず、少なくとも1種の溶融熱可塑性材料が紡糸口金の複数の細かい、通常、円形の、キャピラリから複数のフィラメントとして押し出される。フィラメントは部分的に急冷され、そして次いで延伸されて繊維デニールを低下させ且つ繊維内の分子配向を増大させる。フィラメントは一般に連続しており、そしてそれらが捕集用表面の上に繊維状バット(fibrous batt)として堆積されるときは粘着性を有しない。繊維状バットは次いで、たとえば、熱的結合、化学的結合剤、機械的ニードリング、水圧式絡合(hydraulic entanglement)またはそれらの組合せによって結合されて不織布を製造する。
【0029】
ステープル繊維(staple fiber)−−概して4分の1インチ〜8インチ(0.6〜20cm)のステープル長さで形成されている繊維又は該ステープル長さにカットされている繊維。
【0030】
実質的に連続している−−不織ウェブのポリマーフィラメントに関しては、それは、オリフィスからの押出によって形成されたフィラメントまたは繊維の大部分はそれらが延伸され次いで捕集器の上に押しつけられるときに非破損の連続フィラメントのままである、ということを意味する。若干のフィラメントは細長化または延伸の過程中に破断されるかも知れないが、実質的に大部分のフィラメントはシートの長さにわたって損なわれないままである。
【0031】
合成繊維−−人造材料、たとえば、ガラス、ポリマー、または複数ポリマーの組合せ、金属、炭素、再生セルロースおよびリヨセル、から構成された繊維。
【0032】
テックス(tex)−−フィラメント1,000メートル当たりのグラム数で表わされる重量によって与えられる、フィラメントの繊度を指定するのに使用される単位。1テックスのフィラメントは長さ1,000メートルにつき1グラムの質量を有する。
【0033】
熱可塑性ポリマー−−可融性である、すなわち、熱に曝されたときには軟化しそして室温に冷却されたときには一般にその非軟化状態に戻る、ポリマー。熱可塑性材料は、たとえば、ポリ塩化ビニル、或る種のポリエステル、ポリアミド、ポリフルオロカーボン、ポリオレフィン、或る種のポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンと少なくとも1種のビニルモノマーとの共重合体(たとえば、ポリ(エチレン酢酸ビニル))、およびアクリル系樹脂を包含する。
【課題を解決するための手段】
【0034】
(発明の概要)
湿式堆積不織ウェブの、ヒートセットとの組合せでのミクロクレーピングは、低エネルギーの回復性縦方向伸張、使用中の耐久性、という望ましい性質を達成することができ、それでいて全体に良好な等方性の性質を示すことができるということが判明した。
【0035】
本発明の一態様は低エネルギーの回復性縦方向伸張、使用中の耐久性および良好な等方性の性質を有する弾性不織ウェブを形成する方法を成す。この方法は、複数の合成ステープル繊維を提供し;ステープル繊維を流体の中に分散させてファーニッシュ(furnish)を生成し;ファーニッシュを有孔部材(foraminous member)の上に堆積させ;堆積したファーニッシュから流体を、有孔部材を通って、抜き取って湿式堆積不織ウェブを形成し;湿式堆積不織ウェブを約10%〜約50%の範囲の圧縮度にミクロクレーピングして圧縮不織ウェブを形成し;そしてミクロクレーピング中に圧縮不織ウェブを加熱して弾性不織ウェブを形成することを含む。
【0036】
更には、繰り返される洗濯と乾燥のサイクルの後の湿式堆積不織布に関連する粗面は湿式堆積不織布を加熱下でミクロクレーピングすることによって完全に排除できるということが判明した。
【0037】
本発明の別の態様は、不織ウェブの表面の、洗濯と乾燥のサイクルによって生じる粗面化に対する耐性を改良する方法を成す。この方法は、複数の合成ステープル繊維を提供し;ステープル繊維を流体の中に無作為に分散させてファーニッシュを生成し;ファーニッシュを有孔部材の上に堆積させ;堆積したファーニッシュから流体を、有孔部材を通って、抜き取って湿式堆積不織ウェブを形成し;湿式堆積不織ウェブを約10%〜約50%の範囲の圧縮度にミクロクレーピングして圧縮不織ウェブを形成し;そして ミクロクレーピング中に圧縮不織ウェブを加熱して弾性不織ウェブを形成することを含む。
【0038】
一般に、本発明の組成物は代替的には、ここに開示されたいずれか適する化合物を含むように又は該化合物からなるように又は本質的に該化合物からなるように配合されてもよい。付随的に又は代替的に、本発明の組成物は、従来組成物の中に使用されていた又はそうでなくても本発明の機能および/または目的の達成に必要ではないいずれの成分、材料、構成成分、助剤または種を回避するように又は実質的に含有しないように配合されてもよい。
【0039】
ここで、用語「約」が使用されている場合、加減する量または条件は本発明の利点が実現される限りはそれを若干越えて変動できることを意味している。当業者はこのことを理解するし、そして本発明の開示された結果が開示限度の一つまたはそれ以上を少なくともいくらか越えて拡大するであろうことを予想する。本発明者らの利益を開示し、そして発明者が知った最適形態を含めて開示発明の概念および態様を理解した後では、発明者にも他者にも、開示限度を越えて本発明を実現できるかどうかを決定するのにそれら限度を越えて探求することは発明的努力無しに又は格別の努力無しに可能であり、そして、態様が何ら予想外の特徴のないことが判明したときには、それら態様はここに使用されている通りの用語「約」の意味する範囲内にある。
【0040】
本発明のより良い理解は、本発明のたとえ例証的であっても現時点での好ましい態様についての次の詳細から得られるであろう。
【0041】
(発明の詳細)
一態様においては、不織ウェブまたはシートは湿式製紙法(wet papermaking process)によって製造される。湿式堆積不織ウェブは好ましくは単一層として形成されるが、最終用途の要求条件に依存して2つ以上の別個の層が同時に形成されてもよい。湿式堆積不織ウェブは、形成されたら、縦方向において少なくとも約10%の圧縮になるようにミクロクレーピングされ、加熱されそして冷却される。湿式堆積不織ウェブは圧縮と加熱が同時になされてもよい。
【0042】
有利な湿式堆積不織シートは、合成の短いステープル繊維と、セルロース系材料と、結合剤との混合物から、最終総合重量0.8〜5オンス/平方ヤード(27〜153g/m)の範囲内で、構成される。一つのバリエーションにおいては、湿式堆積不織ウェブは合成の短いステープル繊維を10〜80%含んでおり、残余は天然針葉樹パルプ、天然広葉樹パルプ、天然繊維またはそれらの組合せを含むセルロース系材料である。
【0043】
好ましい、合成の短いステープル繊維は、ポリエステル、たとえば、ポリ(エチレンテレフタレート)(「PET」)であり、1〜15デニール、好ましくは約1.5デニールであり、繊維長が0.25〜0.75インチ(6〜20mm)の範囲、好ましくは0.50インチである。短いステープル繊維を製造するためのその他の適する材料は、限定されるものではないが、アクリル、ポリオレフィン、ポリアミド、リヨセル(Lyocell)(登録商標)およびレーヨンを包含すると信じられる。また、異なる繊維物質および異なる繊維直径または長さの混合物が使用されてもよい。当然、選択繊維はミクロクレーピング過程中に使用される圧縮温度に影響するであろう。
【0044】
セルロース系材料は実質的にいずれのクラスのパルプ、繊維およびそれらのブレンドから選ばれてもよい。好ましくは、セルロース系材料は完全に天然のセルロース系繊維であることを特徴とし、そしてトウヒ、モミ、カナダツガ、スギおよびマツのような製紙用針葉樹パルプが代表的には製紙用広葉樹パルプとの組合せで用いられるけれども、木材パルプばかりでなく綿および植物繊維を包含することもできる。広葉樹パルプは、限定されるものではないが、モミジバフウ、オーク、サイカモアカエデ、ユーカリ、ハンノキ、ポプラ、クルミおよびカンバを包含する。非木材パルプおよび/または繊維、たとえば、サイザル麻、ケナフ、マニラ麻およびその他、も使用されてもよく、やはり、異なる天然パルプおよび天然繊維の混合物であることができる。天然パルプは、繊維および結合剤の成分を説明すると、完成品重量の約76%以下を構成していてもよい。
【0045】
幾つかの態様は場合によっては、ポリマーから形成され通常「合成パルプ」と称されているフィブリル状材料を含んでもよい。これら態様に使用される合成パルプはセルロース系材料の一部または全部を置き換えることができ、そして完成湿式堆積不織シートの重量の約20%〜約90%の量で使用できる。合成パルプはフィブリル型形態およびその結果の高い比表面積を示す。合成パルプは水中へは追加の表面活性剤を必要とすることなく容易に分散可能であり、そして、性質が疎水性であるけれども合成の短いステープル繊維のようには急速には脱水しない。合成パルプは典型的な湿式製紙法に使用されるチェスト(chests)や保持タンク(holding tanks)の中で「フロートアウト(float out)」する傾向を示さない。従って、合成パルプは、高い比表面積、水不感受性(water insensitivity)、低い密度および小さな粒子サイズを含めた特徴を有することができる。合成パルプは代表的にはポリオレフィンや或る種のポリアミドのような熱可塑性ポリマーから構成され、そして木材パルプに似た構造を有する。すなわち、合成パルプは合成の短いステープル繊維の平滑な棒様形態と比べて高い表面積を示すミクロフィブリルから構成されたミクロフィブリル状構造を有する。合成パルプは湿式用ファーニッシュの中には優れた無作為分布を達成するように分散されることができ、そして、結局、得られる湿式堆積シート製品の内部では優れた無作為分布を達成することができる。一つの特に有利な合成パルプは高分子量と低メルトインデックスの高密度ポリオレフィンから構成されている。
【0046】
フィブリルはディスクリファイナのような装置の中で高い剪断条件下で形成できる又はそれらの単量体材料から直接に形成できる。フィブリルの形成に関して興味ある特許は、米国特許第3,997,648号、第4,007,247号、および第4,010,229号である。これら方法の結果として、得られる合成パルプ分散物は天然セルロース系繊維の大きさおよび形状に匹敵し得る典型的な大きさおよび形状を有する繊維様粒子から構成される。合成パルプ粒子は不規則表面形状を示し、1平方メートル/グラムを越える表面積を有することができ、そして100平方メートル/グラムもの表面積を有してもよい。繊維様粒子はフィブリルを構成する形態または構造を示し、それらフィブリルは、一般に1〜20ミクロンの範囲内の幅を有する無作為束の状態に全てが機械的に相互に絡み合わされたミクロフィブリルからつくられている。一般に、ポリオレフィン、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびそれらの混合物、のパルプ様繊維は製紙技術にうまく適合した繊維長、たとえば、0.4〜2.5ミリメートルの範囲内の繊維長、を有し、平均全長は約1〜1.5ミリメートルである。
【0047】
合成の短いステープル繊維と、天然パルプと、場合によっては合成パルプおよび/または結合剤パルプを流体の中に分散させてファーニッシュを生成する。代表的には、流体は水性である。ファーニッシュは場合によっては他の成分を含有してもよい。たとえば、ファーニッシュは湿潤強度増強用添加剤(wet−strength additive)を、繊維重量の2%以下、有利には、繊維重量の約1.5%以下、含んでもよい。湿潤強度増強用添加剤は乾燥前の湿式堆積不織ウェブに限定強度を付与する。ファーニッシュを従来既知のやり方で、有孔部材、たとえば、抄紙機のメッシュベルトまたはワイヤ、の上に堆積させる。合成短ステープル繊維とセルロース系材料と存在する場合には結合剤とが移動ベルト上に堆積され、その間に分散用流体がベルトから抜けて行く。分散用流体がベルトを通過するのを助けるためにベルトの下に真空源を設けてもよい。ファーニッシュは移動ベルト上で脱水されるので、一般に無作為に分散された繊維の連続シート様ウェブが形成される。
【0048】
湿式堆積不織ウェブは堆積ウェブ材料の中に存在する水を減じるために通常の乾燥工程を受ける。乾燥工程は真空乾燥、加熱された乾燥用シリンダーのまわりをまわっての不織ウェブの通過、加熱された乾燥機の中を通っての不織ウェブの通過、またはそれらの組合せを含む。
【0049】
適切な結合剤の添加によって、乾燥後の湿式堆積不織ウェブの性質を向上させ得る。適する結合剤は合成結合剤繊維ばかりでなく樹脂結合剤たとえばアクリル、酢酸ビニル、ポリエステル、ポリビニルアルコールおよびその他の伝統的な結合剤系統の両方を包含することができる。普通に使用される合成結合剤繊維はポリビニルアルコールや、多くの2成分型の温度活性繊維たとえばポリオレフィンおよびポリエステルである。
【0050】
結合剤含有率は最終製品の15〜35重量%の範囲内にあり、その範囲の高い方、たとえば、20〜30%、が有利であり、約24%が好ましい。この範囲は樹脂結合剤または合成結合剤繊維を排他的に使用することによって、又は樹脂結合剤と合成結合剤繊維の組合せを使用することによって、達成される。現時点で好ましい結合剤化学は布の洗濯、乾燥およびドライクリーニングの過酷に耐えるように衣料分野向けに特に設計されたアクリルである。
【0051】
合成結合剤繊維は代表的には、有孔部材上への堆積に先立って、繊維原料(fiber furnish)の中にブレンドされる。湿式堆積不織ウェブが加熱されそして冷却されたときに、結合剤繊維は部分的に溶融しそして隣接繊維に融合してウェブの中の繊維を束縛する。樹脂結合剤は代表的には乾燥前に堆積ウェブに水溶液として、サイズプレス、カーテンコーター、スプレーコーター、フォームコーターおよびウェットエンド添加のような通常の化学的方法によって添加される。
【0052】
湿式堆積法(wet lay process)は、大まかに結合された不織ウェブ、たとえば、更なる結合加工無しでウェブがそのままにとどまっているだろう十分な絡み合いと凝集力を繊維が有しているところのウェブ、を提供する。従って、幾つかの態様は、圧縮の前または後のどちらかに、ウェブを構成する繊維を絡み合わせそれによって不織ウェブを結合させるための追加工程たとえば水流絡合(hydroentanglement)を要求したり使用したりすることがない。追加の絡合工程の省略はかかる追加工程を要求する不織布製法と比べて開示態様の利点である。
【0053】
湿式堆積不織シートを形成し、場合によっては結合剤で処理し、そして乾燥した後に、それを次いでミクロクレーピング工程へ搬送する。本発明者らは例示したミクロクレーピング法がミクロクレーピングの一般原理に従うと信じており、特に、湿式堆積不織シートがロール上を走行しロールから剥離される間にウェブに減速と圧縮の組合せを施すことが堆積不織ウェブの中に一連の小さな概して平行な折畳みを形成すると信じている。折畳みの谷と山は一般に横方向に延びている、たとえば、一般に、縦方向に対して垂直に延びている。圧縮システムの一調達元はマサチューセッツ州ウォルポール(Walpole)のMicrex Corporationである。
【発明の効果】
【0054】
湿式堆積不織シートは約10%〜約50%の範囲内で、好ましくは約20%〜約30%の範囲内で、圧縮される。圧縮中に、湿式堆積不織シートは圧縮ウェブを含む繊維をヒートセットするのに適する温度に加熱される。圧縮シートをヒートセットするには、たとえば、ポリエステル合成繊維を含む湿式堆積不織シートは圧縮中に300〜425Fの範囲内の温度に、好ましくは最低350Fに、加熱されることができる。クレーピングパターンを規定している折畳みは目に見えるけれども、ミクロクレーピング工程の前と後で湿式堆積不織ウェブの表面感触に差異がないほどの十分な細かさである。驚くべきことには、このミクロクレーピング加工は湿式堆積不織シートの全体のドレープ性を改良することができ、しかも、回復可能な縦方向伸張を導入することもできる。湿式堆積不織シートをMicrex(登録商標)コーポレーション仕様番号C2715にミクロクレーピングすることは使用に適することが判明した。
【0055】
本発明を包括的に説明してきたが、以下の実施例は本発明がより容易に理解されるように例証のために包含されており、そして別に特別に指定されていない限り本発明の範囲を限定することを決して意図しない。
【0056】
(実施例)
試作品(prototype)ウェブは下記の構成成分の組合せを使用して製造されそして衣料分野における適性について試験された。
黒トウヒの木から得られ、そしてIrving Pulp & Paper Ltd.(カナダのニューブランズウィック(New Brunswick)州のSaint Johnに在る)によって供給された、北方針葉樹パルプ。
ユーカリの木から得られ、そしてAracruz Celulose(主なオフィスはブラジルのサンパウロに在る)によって供給された、南米の広葉樹パルプ。
T103と呼ばれ、そしてInvista Inc.(ノースカロライナ州ソールズベリー(Salisbury)に在る)によって供給された、ポリエステル(PET)ステープル繊維。
+5℃のTgをもつタイプRhoplex E32NPと、+34℃のTgをもつタイプRhoplex TR407と呼ばれている水性アクリルエマルジョン結合剤;両者とも、Rohm and Haas Company(主なオフィスはペンシルバニア州フィラデルフィアに在る)によって供給される。
【0057】
それら試作品サンプルは次いで、下記手法を使用して試験された。
目付けはTAPPI試験手順T410に従って行った。
サンプル厚さはTAPPI試験手順T411に従って行った。
エルメンドルフ引裂強さはTAPPI試験手順T414に従って行った。
【0058】
破断試験における引張強さと伸びはZwick引張試験機モデルZ2.5を使用してTAPPI試験手順T494に従って行った。Grab引張試験は幅4インチ×長さ6インチのサンプル、12インチ/分のクロスヘッド速度;3インチのジョースパン(jaw span)および定速伸長を使用した。ストリップ引張試験は幅1インチ×長さ12インチのサンプル、1インチ/分のクロスヘッド速度;5インチのジョースパンおよび定速伸長を使用した。
【0059】
サンプルはそれらの外観、収縮%および伸縮性能回復%を確かめるために代表的な洗濯サイクルで洗濯しそして乾燥された。洗濯サイクルはWhirlpool洗濯機モデルLFA5700で;中くらいの(温かい)水を使用し6分設定の、標準洗濯設定で、行った。水温度は約108°Fであると測定された。洗濯物は58ストローク/分で攪拌され、その後に、間にすすぎサイクルを伴って2回の遠心脱水サイクルが続いた。最初の遠心脱水サイクルは340rpmであり、そして最後の遠心脱水サイクルは515rpmであった。洗濯・乾燥に使用したサンプルは縦方向長さが11インチであり、そして横方向長さが8.5インチであった。サンプルはバラストとして使用した2枚のMサイズの綿製の実験室用上衣と組み合わせて洗濯された。各洗濯サイクル中に、濃縮Tide布洗剤を20mL使用した。
【0060】
サンプルの乾燥はWhirlpool乾燥機モデルLAE5700W0で、185°F、30分の加熱設定を使用して、行った。サンプルはやはり、バラストとして使用した2枚のMサイズの綿製の実験室用上衣と組み合わせて乾燥された。洗濯による収縮量は3回の別個の洗濯および乾燥のサイクルの後に求めた。サンプルは3サイクルの前と後に縦方向長さおよび横方向長さについて測定された。収縮%は(初期長さ−最終長さ)/(最終長さ)×100として計算された。
【0061】
サンプル外観は洗濯および乾燥の後に5人のパネルによって次のような尺度等級付けをもって行った目視試験によって確かめる:0は表面パターンなし、2は最小の表面パターン、4は中くらいの表面パターン、6は酷いパターン。表面パターンはしわ若しくは不規則性、又は表面外観の中の小さな折り目、から成っていた。
【0062】
Zwick引張試験機モデルZ2.5を使用しての循環引張試験は伸縮回復度を規定するために行った。サンプルは幅2インチ×長さ12インチにカットされ、そしてTAPPI T494に従ってコンディショニングされた。サンプルは10インチのジョースパンおよび10インチ/分のクロスヘッド速度を使用する3インチ幅ゴム張りジョーの上に搭載された。引張試験機はサンプルを指示通りの様々な長さに各伸び設定で10サイクル伸張させるようにプログラミングされた。10サイクルの各々について、サンプルはその元の長さの予め定められたレベルに伸長され、15秒間伸長状態に保持され、そしてその元の位置(0%の伸びまたは10インチ)に戻された。10番目のサイクルの後に、サンプルをジョーから取り外し、そして全長を測定した。伸縮回復%は(初期長さ/最終長さ)100として計算された。
【0063】
サンプルの熱風収縮%は、Grieve & Henry熱対流炉を使用してサンプルを325°Fの温度に15分間コンディショニングし、そして乾燥の前と後で縦方向および横方向の長さを測定することで確かめた。熱風乾燥に使用したサンプルは縦方向長さが11インチであり、そして横方向長さが8.5インチであった。サンプルは炉内部の中くらいの高さに位置した水平取付具にクリップによって縦方向に取り付けられて吊るされた。収縮%は(初期長さ−最終長さ)/(初期長さ)100として計算された。この試験はしわのよらない布を加工するのに使用される代表的な温度条件を模している。
【実施例1】
【0064】
この実施例は仕様番号C2715法に従うミクロクレーピングが製品外観、収縮および伸縮回復に対して有する効果を示す。従って、湿式堆積不織布は、1.5デニールで0.5インチのT−103タイプのポリエステル繊維40%と、15.0デニールで0.75インチのT−103タイプのポリエステル繊維20%と、Aracruzユーカリ木材パルプ10%と、Irving針葉樹パルプ30%とからなる繊維原料から、傾斜ワイヤ型抄紙機(inclined wire paper making machine)を使用して製造された。形成後、不織ウェブは最終総重量の約24%の結合剤含有量を達成するようにアクリル結合剤(Rohm & HaasからのタイプTR407)で処理された。材料は結合剤処理後に乾燥され集積された。材料全体の目付けは88.5グラム/平方センチメートル(g/m)であり、そしてサンプル100と名づけられた。サンプル材料100−Mは、サンプル100材料をMicrex(登録商標)社のミクロクレーピングプロセスに通して仕様番号C2715に加工された後のものである。湿式堆積不織布とそのミクロクレーピング済みバージョンとについて代表的なデータが下記の表にまとめられている。表はHolmes等に対して発行された米国特許第6,375,889号明細書の中に詳述されている手順に従って製造されたウェストバンド分野に使用される不織布も包含している。この製品は第1表にはSBR2000−7−61−IYとして同定されている。
【0065】
【表1】

【0066】
データは、仕様番号C2715に従って湿式堆積不織ウェブをミクロクレーピングすることが洗濯および乾燥の後の湿式堆積不織ウェブに関連した粗面外観を解消するのに有効であるということを示している。熱風乾燥や洗濯と乾燥の組合せに起因する製品収縮もまた、サンプル100−M収縮データに示されているようにこのミクロクレーピング工程によって解消された。ミクロクレーピング済みサンプルはその初期長さの10%分だけ伸長されたときに99%の伸縮回復を有する能力を実証しており、他方、元の湿式堆積不織サンプル100は10%伸びを達成する前に破断した。競合の不織製品は、縦方向(MD)および横方向(CD)について3%という許容される工業標準規格よりも大きい収縮結果をもって、全体に劣った収縮性能を示している。また、湿式堆積不織布のミクロクレーピング済みサンプル100−Mは、ミクロクレーピングされなかったサンプル100および競合製品SBR2000−7−61−IYと比べたとき、10%伸張における伸長を達成するのにより低い力しか要求しない。より低い伸長力要求と、回復は、伸張し順応する能力が衣類着用者に不快感を与えるべきでない例えばウェストバンド分野においては、重要である。
【実施例2】
【0067】
この実施例では、2つの試作品の湿式堆積不織布が実施例1における通りの製紙プロセスによって製造された。第一の試作品は、1.5デニールで0.5インチのT−103タイプのポリエステル繊維30%と、1.5デニールで0.25インチのT−103タイプのポリエステル繊維30%と、Aracruzユーカリ木材パルプ10%と、Irving針葉樹パルプ30%の繊維組成物を使用して製造された。形成後、不織ウェブは、37g/mに設定された最終総重量の約18%の結合剤含有率を達成するようにアクリル結合剤(Rohm & HaasからのタイプTR407)で処理された。それから、この不織ウェブは49g/mの最終製品重量を結果として生じるようにミクロクレーピングされ、そして101−Mと名づけられた。
【0068】
第二の試作品ウェブは、1.5デニールで0.5インチのT−103タイプのポリエステル繊維30%と、15.0デニールで0.75インチのT−103タイプのポリエステル繊維30%と、Aracruzユーカリ木材パルプ10%と、Irving針葉樹パルプ30%を含んで製造された。形成後、不織ウェブは、124(g/m)に設定された最終総重量の約18%の結合剤含有率を達成するようにアクリル結合剤(Rohm & HaasからのタイプE32NP)で処理され、このサンプルは102と呼ばれる。サンプル102の湿式堆積不織ウェブは代表的には、破断までの縦方向の伸びが約15%であり、実質的に非回復であり、そして破断までの横方向の伸びが約19%であり、実質的に非回復である。25%圧縮でのミクロクレーピングの後には、この材料の重量は155g/mに増大し、このサンプルは102−Mと呼ばれる。
【0069】
ミクロクレーピング工程はヒートセットの有益な効果を実証するために2つの別個のやり方で行われたが、仕様番号C2715に従い、第一のやり方ではその工程中にシートセット温度を使用し、そして第二のやり方ではヒートセット条件無しであった。第2表はミクロクレーピング工程中のヒートセット使用の有無と共に平均の縦方向伸縮回復データを示している。異なるサンプル標本が、元の長さの2.5%伸びから元の長さの40%伸びまでの範囲の予め定められたレベルに、各伸びにおいて10サイクル、伸張された。力のデータは各サイクルの平均引張力を表わしている。
【0070】
第2表における結果はミクロクレーピング工程中にヒートセット無しでは縦方向の伸縮が一定レベルの伸びの後には回復可能でないことを例証している。ヒートセット無しでミクロクレーピングされた軽量サンプル101−Mは15%を越えて伸長された後では90%の伸縮回復を維持しないのに、ヒートセット有りでミクロクレーピングされた同サンプルは20%伸びまで90%より大きい回復をもって伸縮できる。ヒートセット無しでミクロクレーピングされた厚地サンプル102−Mは10%を越えて伸張されたときにその90%回復を喪失し、そして試験のこの段階で実際に破断した。この厚地サンプルは、ヒートセットを使用すると、20%伸びまで90%より大きい回復をもって伸縮できる。力のデータはやはり、ヒートセット無しではサンプルを所定伸びに伸張するのに高い力が要求されるのに対して、ミクロクレーピング工程中にヒートセットされたサンプルについては伸びの容易性がより優れていることを例証している。
【0071】
【表2】

【実施例3】
【0072】
この実施例では、実施例2の2枚の同じ不織ウェブを仕様番号C2715に従うミクロクレーピングで、そしてヒートセット有りで及び無しで、加工したものを、それらの外観および収縮性能を確かめるために、洗濯と乾燥の3サイクルで洗濯乾燥した。これらサンプルはまた、それらの熱収縮を確立させるために熱風乾燥を1回受けた。第3表は、収縮、外観、および、10回の伸張サイクルについての5%伸びにおける伸縮回復結果、を例証している。
【0073】
【表3】

【0074】
データは洗濯と乾燥のサイクルの後のサンプルに寸法安定性を付与するのにもミクロクレーピング中のヒートセットが有利であるということを例証している。ヒートセット無しのサンプルはまた、洗濯と乾燥のサイクルの後の表面粗面化又は表面上の「ワニ皮亀裂」パターンを示した。ヒートセット有りのサンプルは表面粗面化又は表面上の「ワニ皮亀裂」パターンを示さなかった。
【実施例4】
【0075】
実施例2のミクロクレーピングされてない不織ウェブすなわちサンプル102とそのミクロクレーピングされた相対物すなわちサンプル102−Mを用いて、それらの、代表的なウェストバンド構築における性能を評価するために、構築ウェストバンドを作製した。まず、2種類の不織ウェブサンプルに、Griltex−2Aと称されそしてサウスカロライナ州サムター(Sumter)のEMS−Griltechによって供給された120〜130℃の融点範囲をもつコポリアミド熱溶融型接着剤を点状に塗った。それら不織ウェブを、45度バイアスにカットされて特有の伸張を与える205g/mのポリエステル織布の層に熱融着させることによって、一揃いの構築ウェストバンドを作製した。もう一つの代表的なウェストバンド構築物を作製するために、ミクロクレーピングされた不織ウェブすなわちサンプル102−Mを同様に融着させ、それから、端を折り込み、そして10ステッチ/インチを使用して織布に縫合した。これら3種類の異なる構築ウェストバンドの最終幅は2インチであった。構築ウェストバンドはそれらの外観および寸法安定性を確立させるために、3回の洗濯と乾燥のサイクルで洗濯乾燥された。また、それらサンプルはそれらの収縮を確立させるために熱風乾燥を1回受けた。第4表は100回の伸縮サイクルについて行われた5%伸びにおける伸縮回復性能ばかりでなく寸法安定性を例証している。
【0076】
【表4】

【0077】
データは、ミクロクレーピングされた不織サンプル102−Mを使用しているウェストバンド構築物はサンプル102のミクロクレーピングされてない対照ウェストバンド構築物と比べたときに遥かに低い力の伸長の容易さで伸縮回復特性を得ることができるということを例証している。構築ウェストバンドの表面外観もまた、ミクロクレーピングされた不織ウェブを用いると優れている。
【0078】
以上、本発明の好ましい態様を例証の目的で記載したが、上記の記載はここでは本発明の限定と見るべきでない。従って、当業者には、本発明の精神および範囲を逸脱することなく様々な変更、改造および変形が想起されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低エネルギーの回復可能な縦方向伸縮と、良好な等方性の性質とを有する弾性不織ウェブを形成する方法であって、
複数の合成ステープル繊維、およびセルロース系材料を準備し;
ステープル繊維およびセルロース系材料を流体の中に無作為に分散させてファーニッシュを生成し;
ファーニッシュを有孔部材の上に堆積させ;
堆積したファーニッシュから流体を、有孔部材を通って、抜き取って湿式堆積不織ウェブを形成し;
湿式堆積不織ウェブを約10%〜約50%の範囲の圧縮度にミクロクレーピングして圧縮不織ウェブを形成し;そして
ミクロクレーピング中に圧縮不織ウェブを加熱して弾性不織ウェブを形成することを含む、前記方法。
【請求項2】
ミクロクレーピングによる圧縮が、予備繊維絡合を用いずに、湿式堆積不織ウェブの上に遂行される、請求項1の方法。
【請求項3】
弾性不織ウェブが合成パルプを含む、請求項1の方法。
【請求項4】
弾性不織ウェブが、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、綿繊維、綿リンター、天然繊維、天然繊維パルプおよびそれらの組合せから選ばれるセルロース系材料を含む、請求項1の方法。
【請求項5】
弾性不織ウェブが、サイザル麻、マニラ麻、亜麻、ケナフ、ジュートおよびヘニケン(henequen)から選ばれるセルロース系繊維を含む、請求項1の方法。
【請求項6】
合成繊維がポリマー繊維である、請求項1の方法。
【請求項7】
合成繊維が酢酸セルロース、ナイロン、ポリオレフィン、ポリエステル、レーヨンおよびそれらの組合せから選ばれる、請求項1の方法。
【請求項8】
湿式堆積不織ウェブがセルロース系材料と合成繊維の混合物から構成される、請求項1の方法。
【請求項9】
湿式堆積不織ウェブに樹脂結合剤を加える過程を含む、請求項1の方法。
【請求項10】
弾性不織ウェブが、合成ステープル繊維に少なくとも部分的に熱融着されている複数の合成結合剤繊維を含む、請求項1の方法。
【請求項11】
弾性不織ウェブが約27g/m〜約155g/mの目付けを有する、請求項1の方法。
【請求項12】
圧縮不織ウェブが少なくとも15%の圧縮度を有する、請求項1の方法。
【請求項13】
圧縮不織ウェブが約45%以下の圧縮度を有する、請求項1の方法。
【請求項14】
湿式堆積不織ウェブがミクロクレーピング中に約300°F〜約425°Fの範囲内の温度に加熱される、請求項1の方法。
【請求項15】
請求項1の方法によって製造された弾性不織ウェブを含む、衣料用芯物品。
【請求項16】
請求項1の方法によって製造された弾性不織ウェブを含む、構築ウェストバンド物品。
【請求項17】
請求項1の方法によって製造された弾性不織ウェブを含む、縫取り支持用物品。
【請求項18】
請求項1の方法によって製造された弾性不織ウェブを含む、帽子に使用される構築スエットバンド物品。
【請求項19】
不織ウェブの表面の、洗濯と乾燥のサイクルによって起こる劣化に対する耐性を改良する方法であって、
複数の合成ステープル繊維、およびセルロース系材料を提供し;
ステープル繊維およびセルロース系材料を流体の中に無作為に分散させてファーニッシュを生成し;
ファーニッシュを有孔部材の上に堆積させ;
堆積したファーニッシュから流体を、有孔部材を通って、抜き取って湿式堆積不織ウェブを形成し;
湿式堆積不織ウェブを約10%〜約50%の範囲の圧縮度にミクロクレーピングして圧縮不織ウェブを形成し;そして
圧縮不織ウェブを加熱して弾性不織ウェブを形成する
ことを含む、前記方法。
【請求項20】
ミクロクレーピングによる圧縮が、予備繊維絡合を用いずに、湿式堆積不織ウェブの上に遂行される、請求項19の方法。
【請求項21】
弾性不織ウェブが更に、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、綿繊維、綿リンター、天然繊維、天然繊維パルプおよびそれらの組合せから選ばれたセルロース系材料を含む、請求項19の方法。
【請求項22】
弾性不織ウェブが、合成ステープル繊維に少なくとも部分的に熱融着されている複数のポリマー繊維を含む、請求項19の方法。

【公表番号】特表2008−540864(P2008−540864A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511291(P2008−511291)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/017990
【国際公開番号】WO2006/124426
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(504029499)アールストロム コーポレイション (15)
【Fターム(参考)】