説明

高弾性軟質ポリウレタンフォーム

軟質ポリウレタンフォームは以下の成分を混合して得ることができる。
a)ポリイソシアネート
b)少なくとも2つの反応性水素原子を持つ少なくとも1つの比較的高分子量の化合物
c)超分岐ポリエーテル
d)必要に応じて低分子量の連鎖延長剤、及び/又は架橋剤
e)触媒
f)発泡剤
g)必要に応じて他の添加物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、a)ポリイソシアネートを、b)少なくとも2つの反応性水素原子を持つ少なくとも1つの比較的高分子量の化合物、c)超分岐ポリエーテル、d)必要に応じて低分子量の連鎖延長剤、及び/又は架橋剤、e)触媒、f)発泡剤、及びg)必要に応じて他の添加物に混合することにより得られる高弾性軟質ポリウレタンフォーム、それらを調製する方法、及び自動車部門において、家具、マットレス、自動車用シート、及び室内装飾品の製作のためのそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軟質ポリウレタンフォームは、主に、家具及びマットレス、また自動車用シート及び自動車用カーペットの製作のために使用される。これらの応用について、大切な特性は、硬度、弾性率、伸長率、引張強度、弾性率の喪失及び貯蔵弾性率等の機械的及び機械動的な特性である。軟質ポリウレタンフォームの硬度及び弾性率に関しては、弾性率の増加は一般に、硬度の低下を導く。
【0003】
例えば、シート又はマットレスの室内装飾品等の大部分の応用に関し、硬度については、しっかり規定された要件がある。しかし、軟質ポリウレタンフォームの重要な快適特徴は、非常に高い弾性率である。
【0004】
軟質ポリウレタンフォームの更なる重要なパラメータは、密度である。コストと重量のため、ごく僅かな材料しか使わないように密度を減ずる努力が為されている。しかし、定まった硬度での密度の減少は、弾性率の減少を導く。
【0005】
ポリウレタンフォームの更なる快適な機能は、特に自動車用シートとして使用したときに、振動を弱めることである。
【0006】
特許文献1から、樹状突起のポリエーテルは、ポリウレタンフォームの製造に使用することが可能であり、低い密度での改良されたフォーム安定性とより高い耐圧強度を導くことが知られている。
【0007】
特許文献2から、樹状突起のポリエステルは、一定の密度でイソシアネートをベースとしたポリマーフォームの硬度及び圧力安定性の増加のための添加剤として使用できることが知られている。ここで、樹状突起ポリマーは、活性水素原子を3.8mモル/g、8より大きいOH機能を有し、樹状突起ポリマーを基準として少なくとも15質量%程度まで、40未満のOH数を有するポリエーテルオールに混合される何れかのタイプの樹状突起ポリマーでも良い。
【0008】
先行技術から周知の樹状突起及び超分岐添加剤の不利な点は、これらの添加剤は、主に独立気泡ポリウレタンフォームを誘導することである。しかし、独立気泡ポリウレタンフォームは、連続気泡フォームに比較して低下した弾性率を持つ。更に、独立気泡軟質ポリウレタンフォームの製造は難しい。何故なら、セルの中に含まれるセル気泡が反応後のフォームの冷却により収縮し、ポリウレタンフォームの望ましくない収縮を導くからである。界面活性剤のような更なる添加剤によりポリウレタンフォームのセルを連続状態に維持することは可能ではあるが、これらの添加剤は高価であり、フォームの機械的特性を損なう。更に、これらのポリウレタンフォームは、明確なイソシアネートと添加剤により調製され得る。さもないと、非相溶性が生じ、フォームの欠陥を導くか又はフォームが調製不可能となる。
【0009】
特許文献3は、a)ポリイソシアネートを、b)少なくとも2つの反応性水素原子を持つ少なくとも1つの比較的高分子量の化合物、c)x が少なくとも1.1であり、y が少なくとも2.1であるAxBy型の超分岐ポリエステルc1)、及び/又は超分岐ポリカーボネートc2)、d)必要に応じて低い分子量の連鎖延長剤、及び/又は架橋剤、e)触媒、f)発泡剤、及びg)必要に応じて他の添加剤と混合して得られる軟質ポリウレタンフォームについて記載している。ここで記載されている軟質ポリウレタンフォームは、良好な特性のプロフィールを持つが、それらの高温/湿潤貯蔵安定性は改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO 03/062297
【特許文献2】WO 02/10247
【特許文献3】WO 2008/071622
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、高い弾性率にもかかわらず高い硬度を持つポリウレタンフォームを提供することにある。
【0012】
本発明の更なる目的は、広範な製造範囲を示しスラブ材軟質フォーム又は成形フォームとして使用できるポリウレタンフォームを提供することである。
【0013】
最後に、本発明の目的は、減衰特性の形で良好な心地良い特性、例えば、共振周波数において低い伝送特性(振動減衰性)を持つポリウレタンフォームを提供することにある。加えて、ポリウレタンフォームの高温/湿潤貯蔵安定性は改善されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的は、a)ポリイソシアネートを、b)少なくとも2つの反応性水素原子を持つ少なくとも1つの比較的高分子量の化合物、c)超分岐ポリエーテルオール、d)必要に応じて低分子量の連鎖延長剤、及び/又は架橋剤、e)触媒、f)発泡剤、及びg)必要に応じて他の添加物に混合することにより得られる弾性軟質ポリウレタンフォームを調製する方法、及び弾性軟質ポリウレタンフォーム自身により達成される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の目的のため、軟質ポリウレタンフォームは、DIN 7726に一致するフォームであり、10%変形で圧縮応力又はDIN 53 421/DIN EN ISO 604に一致して15kPa又はそれより小さく、好ましくは1から14kPa及び特には4から14kPaの圧縮強度を持つポリイソシアネート重付加生成物である。本発明の目的のため、軟質ポリウレタンフォームは、DIN ISO 4590に一致する連続セルの比率が85%を超過、特に好ましくは90%を超過する。
【0016】
本発明の軟質ポリウレタンフォームの調製のために使用するポリイソシアネート成分(a)は、ポリウレタンを調製するために知られている全てのポリイソシアネートを含む。これらは、従来技術で周知の脂肪族、脂環式、及び芳香族の2環又は多環イソシアネート及びそれらの混合物である。例えば、ジフェニルメタン 2,2’-、2,4’-及び4,4’-ジイソシアネート、単量体のジフェニルメチレンジイソシアネートと2環を超過して含むジフェニルメタンジイソシアネート(高分子MDI)の高級同族体との混合物、イソホロンジイソシアネート(IPDI)又はそれらのオリゴマー、トルエン 2,4-又は2,6-ジイソシアネート(TDI)又はそれらの混合物、テトラメチレンジイソシアネート又はそれらのオリゴマー、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)又はそれらのオリゴマー、ナフチレンジイソシアネート(NDI)又はそれらの混合物である。
【0017】
ジフェニルメタン 2,2’-、2,4’-及び4,4’-ジイソシアネート、単量体のジフェニルメチレンジイソシアネートと2環を超過して含むジフェニルメタンジイソシアネート(高分子MDI)の高級同族体との混合物、トルエン 2,4-又は2,6-ジイソシアネート(TDI)又はそれらの混合物、イソホロンジイソシアネート(IPDI)又はそれらのオリゴマー、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)又はそれらのオリゴマー、又は上述したイソシアネートの混合物を使用することが好ましい。好ましく使用されるイソシアネートは、ウレトジオン、アロファネート、ウレトンイミン、尿素、ビウレット、イソシアヌレート、又はイミノオキサジアジントリオン基を更に含んでも良い。更に可能なイソシアネートは、例えば、1993年にCarl Hanser から出版された“Kunststoffhandbuch、第7巻、ポリウレタン”第3版の第3.2及び3.3.2章に示されている。
【0018】
ポリイソシアネート(a)は、代わりに、ポリイソシアネートプレポリマーの形で使用することができる。これらのポリイソシアネートプレポリマーは、上述したポリイソシアネート(a1)をポリオール(a2)と、例えば30から100℃、好ましくは略80℃でプレポリマーを生成するために反応させることで得ることができる。本発明によれば使用するプレポリマーは、好ましくは、例えばアジピン酸から導出されたポリエステルをベースとしたポリオール、又は例えば、酸化エチレン及び/又は酸化プロピレンから導出したポリエーテルをベースとしたポリオールを使用して準備することが望ましい。
【0019】
ポリオール(a2)は、当業者には周知であり、例えば、1993年にCarl Hanser から出版された“Kunststoffhandbuch、第7巻、ポリウレタン”第3版の第3.1章に記載されている。b)として記載された少なくとも2つの反応性水素原子を持つ比較的高分子量の化合物は、好ましくはポリオール(a2)として使用される。
【0020】
一つの実施の形態では、イソシアネートと反応する水素原子を持つ超分岐ポリエーテルは、プレポリマーの調製のための成分(a2)として使用できる。
【0021】
必要に応じて、連鎖延長剤(a3)を、ポリイソシアネートプレポリマーを生成するため反応に導入することができる。プレポリマーのための最適な連鎖延長剤(a3)は、例えば、ジプロピレングリコール及び/又はトリプロピレングリコール、酸化アルキレン、好ましくは酸化プロピレンを持つジプロピレングリコール及び/又は酸化プロピレングリコールの付加体等の2価又は3価のアルコールである。
【0022】
少なくとも2つの反応性水素原子を持つ比較的高分子量の化合物(b)としては、軟質ポリウレタンフォームの調製のために周知で慣習的な化合物が使用される。
【0023】
少なくとも2つの活性水素原子を持つ好ましい化合物(b)は、2から8、特に2から6、好ましくは2から4の官能性と平均等価分子量が400から3000g/モル、好ましくは1000から2500g/モルの範囲のポリエステルアルコール及び/又はポリエーテルアルコールである。
【0024】
ポリエーテルアルコールは、通常、酸化アルキレン、特に酸化エチレン及び/又は酸化プロピレンをH官能性出発物質に触媒添加することにより、又はテトラヒドロフランの縮合により調製することができる。H官能性出発物質として、特に多官能アルコール及び/又はアミンが使用される。水、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、又はブタンジオール等の2価のアルコール、例えば、グリセロール又はトリメチロールプロパン等の3価のアルコール、及びペンタエリスリトール、例えば、サクロース、グルコース又はソルビトール等の糖アルコール等の高価のアルコールの使用が特に望まれる。好ましく使用されるアミンは、10までの炭素原子を持つ脂肪族アミンであり、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、プロピレンジアミン、及びエタノールアミン、又はジエタノールアミン等のアミノアルコールである。酸化アルキレンとして、酸化エチレン及び/又は酸化プロピレンを、軟質ポリウレタンフォームの調製のためにポリエーテルを使用する場合に、連鎖の末端で酸化エチレンブロックを度々添加して使用することが望ましい。酸化アルキレンの付加反応に使用される触媒は、特に、ここで工業的な重要性を有する水酸化カリウムを持つ基礎的な化合物である。ポリエーテルアルコール中の不飽和成分の量が低い場合、触媒として、DMC触媒として周知の二金属又は多金属シアン化物化合物を使用することも可能である。成分b)中のプレポリマーの調製のために使用されるポリエーテルを使用することも可能である。
【0025】
軟質フォーム及びインテグラルフォームを調製するために、2官能性及び/又は3官能性のポリエーテルアルコールの使用が特に望まれる。
【0026】
更に、少なくとも2つの活性水素原子を持つ化合物として、ポリ背打てるポリオールを使用することが可能である。例えば、2から12の炭素原子を持つ有機ジカルボン酸、好ましくは8から12の炭素原子を持つ脂肪族ジカルボン酸、及び2から12の炭素原子、好ましくは2から6の炭素原子を持つ多価アルコール、好ましくはジオールから調製されるものの一つである。可能なジカルボン酸は、例えば、以下の通りである。コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及び異性体のナフタレンジカルボン酸である。アジピン酸を使用することが好ましい。ジカルボン酸は、別箇に、又は互いに混合物として使用することができる。ジカルボン酸を使用しない代わりに、対応するジカルボン酸誘導体を使用することもできる。例えば、1から4の炭素原子を持つアルコールのジカルボン酸エステル又はジカルボン酸無水物である。
【0027】
2価及び多価のアルコール、特にジオールの例は、エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-又は1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、グリセロール及びトリメチロールプロパンである。エタンジオール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール又は上述した少なくとも2つ又はジオールの混合物、特に1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタジオール、及び1,6-ヘキサンジオールの混合物を使用することが望ましい。例えばε-カプロラクトン等のラクトン、又は例えばω-ヒドロキシカプロン酸等のヒドロキシカルボン酸から導出したポリエステルポリオール、及びヒドロキシ安息香酸を使用することもできる。ジプロピレングリコールを使用することが望ましい。
【0028】
ポリエステルアルコールのヒドロキシル価は、好ましくは、40から100mg KOH/g である。
【0029】
更なる最適なポリオールは、ポリマー変性ポリオール、好ましくはポリマー変性ポリエステル又はポリエーテルオール、特に好ましくはグラフトポリエーテルオール又はグラフトポリエステルオール、特別にはグラフトポリエーテルオールである。ポリマー変性ポリオールは、5から60質量%、好ましくは10から55質量%、特に好ましくは30から55質量%、特別には40から50質量%の熱可塑性ポリマーの含有量を持つポリマーポリオールである。
【0030】
ポリマーポリオールは、例えば、EP-A-250 351、DE 111 394、US 3 304 273、US 3 383 351、US 3 523 093、DE 1 152 536 及び DE 1 152 537 に記載されており、通常、適切なオレフィンモノマー、例えば、スチレンアクリロニトリル、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、及び/又はアクリルアミドを、グラフトベースとして機能するポリオール、好ましくはポリエステルオール又はポリエーテルオールの中でのフリーラジカル重合により調製できる。側鎖は、一般に、成長するポリマー鎖のフリーラジカルがポリオールに転移することにより形成される。ポリマーポリオールは、グラフト共重合体に加え、不変のポリオールの中に分散したオレフィンのホモポリマーを主に含む
【0031】
好ましい実施の形態では、アクリロニトリル、スチレン、特に排他的にスチレンがモノマーとして使用される。モノマーは、必要に応じて、連続相としてのポリエステルオール又はポリエーテルオールの中で、マクロマー、モデレータの更なるモノマーの存在下で、フレーラジカル開始剤、通常はアゾ又は過酸化物の化合物を使用して重合される。
【0032】
もし、ポリマーポリオールが比較的高分子量化合物(b)を含んでいるなら、それは更なるポリオール、例えば、ポリエーテルオール、ポリエステルオール又はポリエーテルオールとポリエステルオールの混合物と共に好ましく存在する。成分(b)の総質量に対して、ポリマーポリオールの比率は、特に好ましくは5質量%を超過する。ポリマーポリオールは、例えば、成分(b)の総質量に対して、7から90質量%又は11から80質量%の量で構成され得る。ポリマーポリオールは、特に好ましくはポリマーポリエステルオール又はポリマーポリエーテルオールである。
【0033】
本発明の目的のために、超分岐ポリエーテルポリオール(c)は、非架橋ポリマー分子であり、水酸基及びエーテル基を持ち、構造上及び分子的に非均一である。それらは、一方では、デンドリマーに類似した方法で、枝の鎖長は非均一で中央の分子から構築され得る。他方では、機能性側基を持つ線形領域も持ち得る。樹枝状及び超分岐ポリマーの定義に関しては、P. J. Flory、J. Am. Chem. Soc. 1952, 74, 2718 及び H. Frey et al., Chem. Eur. J. 2000, 6, No. 14, 2499 を参照されたい。
【0034】
超分岐ポリエーテルオール(c)は、ポリマーのフレームワークを形成するエーテル基に加えて、鎖の端部に又は鎖に沿って位置する少なくとも3、好ましくは少なくとも6、特に好ましくは少なくとも10のOH基を有する。端末又は側方官能基の数は、原理的には上限はない。しかし、非常に多くの官能基を有する製品は、望ましくない特性、例えば高い粘性と低い溶解度を有する。超分岐ポリエーテルオール(c)は、通常500より小さい端末又は側方官能基を、好ましくは100より小さい端末又は側方官能性OH基を有する。
【0035】
超分岐ポリエーテルオール(c)は、2価、3価、又は多価アルコールの縮合により得られる。
【0036】
本発明によれば使用する超分岐ポリエーテルオールは、好ましくは平均少なくとも3、特に好ましくは少なくとも4、より好ましくは少なくとも5及び特別には少なくとも6の、2価、3価又は多価アルコールの縮合生成物である。平均少なくとも3、特に好ましくは少なくとも4、特には少なくとも5及び特別には少なくとも6の、3価又は多価アルコールの縮合生成物である過度に枝別れしたポリエーテルオールが望ましい。
【0037】
本発明の目的に関して、“超分岐”は、枝分かれの度合い(DB)、すなわち、樹状の結合の平均数にモルあたりの末端基の平均数を足したものを、樹状、線形及び末端結合の平均数で割ったものに100を掛けたもの、が10から99.9%、好ましくは20から99%、特に好ましくは20から95%であることを意味する。本発明の目的に関して、“デンドリマー”は、99.9から100%の枝分かれ度合を有する。“枝分かれの度合い”の定義は、H. Frey et al., Acta Polym. 1997, 48, 30. を参照されたい。
【0038】
3価及び多価アルコールとして、例えば、トリメチルオールメタン、トリメチルオールエタン、トリメチルオールプロパン(TMP)、1,2,4-ブタントリオール、トリスヒドロキシメチルイソシナネート及びトリスヒドロキシエチルイソシアネート(THEIC)等のトリオールを使用することができる。同様に、ビストリメチルオールプロパン(diTMP)又はペンタエリトリトール等のテトロールを使用することができる。更に、上述したアルコール及びグリセロールのアルコキシ化生成物、好ましくは、モルあたり1−40の酸化アルキレン単位を持つアルコキシ化生成物をも使用することができる。
【0039】
脂肪族アルコール及び特に一次ヒドロキシル基を有するアルコール、例えば、トリメチオールメタン、トリメチオールエタン、トリメチオールプロパン、diTMP、ペンタエリトルトール、ジペンタ及びモル当たり1−30の酸化エチレン単位を持つそれらのアルコキシレート、及びモルあたり1−30の酸化エチレン単位を持つグリセロールエトキシレートを3価及び高機能アルコールとして使用することが特に望ましい。トリメチオールプロパン、ペンタエリトリトール、及びモルあたり平均1−20の酸化エチレン単位を持つそれらのエトキシレート、及びモルあたり1−20の酸化エチレン単位を持つグリセロールエトキシレートを使用することが特に非常に望ましい。同様に、上述したアルコールの混合物を使用することも可能である。
【0040】
2つの直接に隣接する炭素原子にOH基を生み出す化合物は、3価及び高機能アルコールとしては適切ではない。これらの化合物は、本発明に一致する条件のもとでは優先してエーテル化反応を進め得る除去反応を受ける傾向にある。形成された不飽和化合物は、発明に一致するエーテル化条件のもとで副産物を生成し、これらの副産物は、工業的製剤では使用できない反応生成物につながる。特に、そのような2次的反応はグルセロールを使用した場合に起こり得る。
【0041】
3価及び高機能アルコールは、2価のアルコールと混合して使用することができる。2つのOH基を持つ適切な化合物の例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-、1,3-及び1,4-ブタンジオール、1,2-、1,3-及び1,5-ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ドデカンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン又は1から50、好ましくは2から10の酸化アルキレン単位を持つこれらの混合物をベースとした2官能性ポリエーテルポリオール、又は160から2000g/モルの数平均分子量を持つポリテトラヒドロフラン(PTFF)である。2価のアルコールは、勿論、混合して使用することができる。好ましい2価のアルコールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ドデカンジオール、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、及び酸化エチレン及び/又は酸化プロピレンをベースとした2価のポリエーテルポリオール又はこれらの混合物である。特に好ましい2価のアルコールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ヘキサンジオール、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、及び酸化エチレン及び/又は酸化プロピレンをベースとした2価のポリエーテルポリオール、又はこれらの混合物である。
【0042】
ジオールは、ポリエーテルポリオールの特性の微調整のために採用される。もし2価のアルコールを使用するなら、2価のアルコールの3価及び高機能アルコールに対する比率はポリエーテルの所望する特性にしたがって当業者により定められる。一般に、2価のアルコール又はアルコールの量は、全てのアルコールの総量に対して、0から99モル%、好ましくは0から80モル%、特に好ましくは0から75モル%、特別に非常に好ましくは0から50モル%である。ここで、ブロック共ポリエーテル、例えば、ジオール終端ポリエーテルは、反応の間中に3価及び高機能アルコールとジオールの代替添加により得ることができる。
【0043】
2価のアルコールはOH終端オリゴマーを生成するために予め縮合させることが可能であり、3価又は高機能アルコールは続いて添加することができる。この方法で、線形のブロック構造を持つ超分岐ポリマーを同様に得ることができる。
【0044】
更に、モノオールを、OH機能性を調製するために、3価及び多価アルコールの反応中又は後に添加することもできる。そのようなモノオールは、例えば、線形又は枝分かれした脂肪族又は芳香族モノオールであり得る。これらは、3を超過して、特に好ましくは6を超過して炭素原子を持つ。更に適するモノオールは、単官能のポリエーテルオールである。3価及び多価アルコールに対して最大50モル%のモノオールを添加することが好ましい。
【0045】
反応を加速するために、酸触媒又は触媒混合物が添加される。最適な触媒は、例えば、2.2より小さいpKを持つ酸、特に好ましくは強酸である。
【0046】
2.2より小さいpKを持つ酸の例は、リン酸(HPO)、亜リン酸(HPO)、ピロリン酸(H)、ポリリン酸、水素硫酸(HSO-)、硫酸(HSO)、過塩素酸、塩酸、臭化水素酸、クロロスルホン酸、メタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸である。
【0047】
更に、酸触媒の例は、酸性イオン交換体又はイオン交換樹脂である。イオン交換体は、電解質液から正又は負に帯電したイオンを、他のイオンの等価な量を開放して取り出す固体又は液体の集合的なタームである。それらのマトリックスが縮合により得られる(フェノールホルムムアルデヒド)又は重合により得られる(スチレンとジビニルベンゼンの共ポリマー及びメタアクリレートとジビニルベンゼンの共ポリマー)固体粒子及び分子を用いることが望ましい。
【0048】
使用する酸イオン交換体は、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、又はホスホン酸基を生成する。親水性のセルロースフレームワークを持つ、又は架橋デキストラン又はアガロースを含むイオン交換体を使用し、酸性官能基、例えば、カルボキシメチル又はスルホエチル基を生成しても良い。ゼオライト、モンモリロナイト、パリゴルスカイト、ベントナイト及び他のケイ酸アルミニウム、リン酸ジルコニウム、チタンタングステン酸、及びニッケルシアノヘキサ鉄(II)等の無機のイオン交換体を使用しても良い。イオン交換体については、RoeMPP, Chemisches Lexikon, Online Version 3.0 又は“Ion Exchangers”,by F. De Dardel and T. V. Arden in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Electronic Release 2007 を参照されたい。酸性イオン交換体は、例えば、製品名 AmberliteTM, AmberseptTM, 又はAmberjetTMでRohm and Hass から固体又は溶解した形で入手することができる。
【0049】
特に好ましい触媒は、リン酸、ポポリン酸、クロロスルホン酸、メタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、トリフロロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、及び酸性イオン交換体である。非常に特別に好ましいのは、メタンスルホン酸、トリフロロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、及び酸性イオン交換体である。
【0050】
触媒としての酸は、一般に、使用するアルコール又はアルコール混合物の総量に対して、50ppmから10質量%、好ましくは100ppmから5質量%、特に好ましくは1000ppmから3質量%の量を加える。
【0051】
もし、触媒として酸性イオン交換体を使用するなら、使用するアルコール又はアルコール混合物の総量に対して、1000ppmから30質量%、好ましくは1から25質量%、特に好ましくは1から20質量%の量を加えるのが普通である。勿論、触媒は混合して使用することも可能である。
【0052】
更に、最適な触媒の添加により、及び最適な温度の選択により重縮合反応をコントロールすることが可能である。加えて、ポリマーの平均分子量及びその構造は、出発成分を介して及び滞留時間を介して調製することが可能である。
【0053】
反応は、0から300℃、好ましくは0から250℃、特に好ましくは60から250℃、非常に特別に好ましくは80から250℃の温度でバルク又は溶液の中で実行される。ここで、それぞれの出発材料に対して不活性な全ての溶剤を使用することが可能である。溶剤を使用するなら、デカン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の有機溶剤又はソルベントナフサを使用することが好ましい。
【0054】
特別に好ましい実施の形態では、縮合反応は、バルク、すなわち溶剤を添加せずに実行される。反応で開放された水は、反応平衡から、例えば、蒸留、必要に応じて反応を加速するために減じられた圧力下で、取り除くことができる。
【0055】
本発明によれば、多価ポリエーテルポリオールの調製は、0.1ミリから20バール、好ましくは1ミリから5バールの圧力の範囲で、バッチ式、半連続又は連続で操作される反応炉内で行われる。
【0056】
反応は、全てのモノマーが最初にチャージされ、反応が逆混合反応炉で起こる“ワン−ポット”モードで実行されるのが好ましい。しかし、例えば、撹拌容器の縦つなぎ又はチューブ反応炉等のマルチステージ反応炉システムで反応を行うことも考えられる。本発明の他の実施の形態では、反応は、混錬機、押出機、集中混合機、又はパドルドライヤーで実行され得る。
【0057】
必要に応じて、反応は超音波又はマイクロ波の照射の助けを得て行うこともできる。
【0058】
分子間の縮合反応を止める様々な方法がある。例えば、反応が止まり、縮合物が貯蔵安定となる範囲まで温度を下げることができる。
【0059】
更に、例えばLewisベース、有機又は無機ベース等の基礎成分を添加することによって、触媒を不活性とすることができる。
【0060】
更なる好ましい実施の形態において、発明によればポリエーテルオールは、反応により得られるOH基に加えて、更なる官能基を含んでも良い。これらは、メルカプト基、第1級、第2級又は第3級アミノ基、エステル基、カルボン酸基又はそれらの誘導体、スルホン酸又はそれらの誘導体、ホスホン酸又はそれらの誘導体、シラン基、シロキサン基、ラジカルアリール、又は短―又は長鎖ラジカルアリールである。この目的のため変性剤が使用される。これらは、そのような更なる官能基及びアルコールに対して反応性のある基を有する化合物である。アルコールに対して反応性のあるそのような基は、例えば、イソシアネート基、酸基、酸誘導体、エポキシ基、又はアルコール基である。ここで、変性剤は、多価ポリエーテルを生成するために、3価又は多価アルコールの反応の前又は間に添加することができる。
【0061】
もし、3価又は多価アルコール又はアルコール混合物が変性剤の存在の下、一つの工程で反応させられると、ヒドロキシル基よりもランダムに分散された官能基を持つポリエーテルポリマーが得られる。そのような官能化は、例えば、メルカプト基、第1級、第2級又は第3級アミノ基、エステル基、カルボン酸基又はそれらの誘導体、ラジカルアリール、又は短―又は長鎖ラジカルアリールを生成する化合物の添加により達成することができる。
【0062】
続く官能化は、得られる多価、高度に分岐した又は超分岐ポリエーテルポリオールを、付加的な工程において、ポリエーテルのOH基と反応可能な適切な官能化剤と反応させることにより得られる。
【0063】
発明によれば多価ポリエーテルは、例えば、酢酸、酸無水物、酸ハロゲン化物又はイソシアネート基を含む変性剤の添加により変性することができる。
【0064】
好ましい実施の形態では、本発明によれば超分岐ポリエーテルオールは、変性剤を、調節可能な極性を持つ線形ポリエーテル鎖を有するポリエーテルポリオールに入れながら、例えば酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン又はそれらの混合物等の酸化アルキレンと反応させることで変換することが可能である。ここで、アルコキシル化反応は、当業者に周知の方法で実行され、ポリエーテルオール(b)の調製にも使用される。
【0065】
圧力、温度、アルコールの濃度、必要に応じて変性剤等の反応条件の仕様の選択は、アルコール及び変性剤の反応性に依存する。原理的に、より低い温度、変性剤のより高い反応性及び変性剤のより高い濃度は、低分子量変性アルコールを生成する傾向にある。一方、より高い温度、変性剤のより低い濃度及び変性剤のより低い反応性は、モル当たり複数の2価、3価及び多価アルコールを持つ縮合生成物を生成する傾向にある。本発明の方法の反応条件は、得られるポリエーテルポリオールが平均少なくとも3、特に好ましくは少なくとも4、より好ましくは少なくとも5、及び特別には少なくとも6の2価、3価又は多価アルコールで構成される縮合生成物を含むように好ましく選択される。反応条件はまた、得られる多価ポリエーテルポリオールが平均少なくとも3、特に好ましくは少なくとも4、より好ましくは少なくとも5、及び特別には少なくとも6の3価又は多価アルコールで構成される縮合生成物であるように好ましく選択される。縮合生成物内の2価、3価又は多価アルコールの数は、例えば、GPCで測定される数平均分子量Mから決定される。
【0066】
本発明によれば使用するポリエーテルオールの数平均分子量は、一般に、400から20000g/モル、好ましくは500から10000g/モル、より好ましくは600から5000g/モル及び特に好ましくは800から2000g/モルである。
【0067】
上述した反応条件のセッティング及び必要に応じて最適な溶剤の選択は、調製された後で生成物を更に精製しなくとも処理することを可能にする。
【0068】
更なる好ましい実施の形態では、反応生成物はストリッピング、すなわち低分子量揮発性化合物を取り除くことにより精製される。この目的のため、触媒は変換が所望の程度になった後に非活性化され得る。低分子量揮発性成分、例えば、溶剤、出発モノマー、揮発性解離生成物、揮発性のオリゴマー又は環状化合物又は水は、必要に応じて気体、好ましくは窒素、二酸化炭素又は空気を導入して、必要に応じて減圧した圧力下で、蒸留により取り除かれる。好ましい実施の形態では、生成物は薄膜蒸発器内で揮発成分が取り除かれる。
【0069】
出発モノマーの性質のゆえに、異なる構成を持ち、架橋でない枝及び環状単位を持つ縮合生成物が反応で得られる可能性がある。反応性基の数は、使用するモノマーの性質及びゲルポイントが到達しないように選択されるべき重縮合の程度により決定される。
【0070】
発明によれば成分(c)として使用する多価分岐ポリエーテルオールは、様々な溶剤、例えば、水、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール、アルコール/水の混合物、アセトン、2-ブタノン、エチルアセテート、ブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、メトキシエチルアセテート、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートに容易に溶解する。
【0071】
本発明の軟質ポリウレタンフォームの調製では、ポリイソシアネート(a)、(b)少なくとも2つの反応性水素原子を持つ少なくとも1つの比較的高分子量の化合物、(c)超分岐ポリエーテル、(d)必要に応じて連鎖延長剤、及び/又は架橋剤が、成分(b)、(c)及び必要に応じて(d)と(f)の反応性水素原子の総和に対してポリイソシアネート(a)のNCO基の当量比率が0.7−1.25:1、好ましくは0.8−1.15:1となる量で反応させられる。比率が1:1は、100のイソシアネートインデックスに対応する。成分(c)の比率は、成分(a)から(g)の総質量に対して、好ましくは0.01から90質量%、特に好ましくは0.5から50質量%、非常に特に好ましくは0.7から30質量%である。
【0072】
連鎖延長剤及び/又は架橋剤(d)として、分子量が好ましくは500g/モルより小さく、特に好ましくは60から400g/モルの物質が、イソシアネートに対して反応性である2つの水素原子を持つ連鎖延長剤及びイソシアネートに対して反応性のある3つの水素原子を持つ架橋剤と共に使用される。それらは個々に、又は混合物の形で使用することができる。400より小さく、特に好ましくは60〜300及び特別には60から150の分子量を持つジオール及び/又はトリオールを使用することが好ましい。可能な連鎖延長剤及び/又は架橋剤は、例えば、2から14、好ましくは2から10の炭素原子をもつ脂肪族、脂環式及び/又は芳香脂肪族のジオール、すなわち、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,10-デカンジオール、o-、m-、p-ジヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール及び好ましくは、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、及びビス(2-ヒドロキシエチル)ハイドロキノン、1,2,4、1,3,5-トリヒドロキシシクロヘキサン等のトリオール、グリセロール及びトリメチルオールプロパン、及び酸化エチレンをベースとする水酸基含有低分子量酸化ポリアルキレン、及び/又は酸化1,2-プロピレン及び出発分子としての上述したジオール及び/又はトリオールである。連鎖延長剤(d)としてモノエチレングリコール、1,4-ブタンジオール及び/又はグリセロールを使用することが特に好ましい。
【0073】
連鎖延長剤、架橋剤又はそれらの混合物を使用するとき、成分(b)、(c)及び(d)に対して、1から60質量%、好ましくは1.5から50質量%、及び特別には2から40質量%の量で有利に使用される。
【0074】
ポリウレタンフォームの調製のための触媒(e)として、成分(b)、(c)及び適切なら(d)の水酸基含有化合物のポリイソシアネート(a)との反応を強力に促進する化合物を使用することが望ましい。揚げることのできる例は、2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン等のアミジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン等の第3級アミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-シクロヘキシルモルホリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、ジメチルピペラジン、1,2-ジメチルイミダゾール、1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン及び、好ましくは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、及びトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルジエタノールアミン及びN-エチルジエタノールアミン、及びジメチルエタノールアミン等のアルカノールアミン化合物である。同様に、有機金属化合物、好ましくは有機カルボン酸の錫(II)塩等の有機錫化合物、すなわち、錫(II)アセテート、錫(II)オクトエート、錫(II)エチルヘキサン酸、及び錫(II)ラウレート、及び有機カルボン酸のジアルキル錫(IV)塩、すなわちジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレイン酸、及びジオクチル錫ジアセテート、及びまたビスマス(III)ネオデカン酸、ビスマス2-エチルヘキサン酸及びビスマスオクタン等のカルボン酸ビスマス及びこれらの混合物を使用することか可能である。有機金属化合物は、単独で、又は好ましくは強塩基性アミンとの結合で使用することができる。もし、成分(b)がエステルならば、アミン触媒を排他的に使用することが好ましい。成分(b)、(c)及び(d)の質量に対して、0.001から5質量%、特別には0.05から2質量%の触媒又は触媒の組み合わせを使用することが望ましい。
【0075】
更に、発泡剤(f)はポリウレタンフォームの生産に存在する。発泡剤(f)として、化学的に作用する発泡剤及び/又は物理的に作用する化合物を使用することができる。本発明の目的のため、化学的な発泡剤はイソシアネートとの反応により気体状の生産物を形成する化合物、例えば、水又はキ酸である。物理的な発泡剤は、ポリウレタンの調製のための出発材料の中で溶解又は乳化し、ポリウレタンの形成条件の元で揮発する化合物である。これらは、例えば、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、及び他の化合物、例えば、ペルフルオロヘキサン、クロロフルオロカーボン等の過フッ素化されたアルカン、及び、エーテル、エステル、ケトン、及び又はアセタール、例えば、4から8の炭素原子を持つ(シクロ)脂肪族炭化水素、Solkane(登録商標) 365 mfc 等のフッ素化炭化水素、二酸化炭素等の気体である。好ましい実施の形態では、これらの発泡剤の混合物及び水が発泡剤として使用される。もし、発泡剤として水を使用しないなら、排他的に物理的な発泡剤を使用することが望ましい。
【0076】
好ましい実施の形態で、物理的な発泡剤(f)の含有量は、1から20質量%、特別には5から20質量%の範囲であり、水の量は好ましくは0.5から10質量%。特別には1から5質量%の範囲である。発泡剤(f)として二酸化炭素を使用することが望ましい。また、これは、オンラインで、すなわち混合ヘッドに直接に、又はバッチ操作での貯蔵タンクを介して導入される。
【0077】
助剤及び/又は添加剤(g)として、例えば、界面活性剤、フォーム安定剤、セルレギュレータ、外部及び内部モールド離型剤、フィラー、顔料、加水分解酵素阻害剤、及び静真菌性及び静菌物質を使用する。
【0078】
ポリウレタンフォームの工業的生産において、もし、ポリイソシアネートプリポリマーの調製にために既に使用されていないら、ポリイソシアネート(a)との反応の前にポリオール成分を生成するため、通常、少なくとも2つの活性水素原子を持つ化合物(b)と出発材料(c)から(g)の1つ又はそれ以上が組み合わされる。
【0079】
使用する出発材料の更なる情報については、例えば、Kunststoffhandbuch、volume 7, Polyurethane, edited by Guenter Oertel, Carl-Hanser-Verlag, Munich, 3rd edition 1993 に見出せる。
【0080】
本発明のポリウレタンを調製するため、有機ポリイソシアネートが、上述した発泡剤、触媒、及び助剤及び/又は添加剤(ポリオール成分)の存在の元で、少なくとも2つの活性水素原子を持つ化合物と反応させられる。
【0081】
本発明の軟質ポリウレタンフ.ォームの調製において、ポリイソシアネート(a)、少なくとも2つの反応性水素原子を持つ比較的高分子量の化合物(b)、超分岐ポリエーテル(c)、必要に応じて連鎖延長剤、及び/又は架橋剤(d)が、e)触媒、f)発泡剤、及びg)必要に応じて他の添加物が、成分(b)、(c)及び必要に応じて(d)と(f)の反応性水素原子の総和に対してポリイソシアネート(a)のNCO基の当量比率が0.7−1.25:1、好ましくは0.8−1.15:1となる量で反応させられる。比率が1:1は、100のイソシアネートインデックスに対応する。
【0082】
ポリウレタンフォームは、例えば、高圧力又は低圧力技術の助けを得て、ワンショットプロセスにより好ましく調製される。フォームは、開放又は閉鎖金属モールド、若しくはスラブ材フォームを調製するためベルトコンベアに反応混合物を連続施与することにより得られる。
【0083】
2成分プロセスを用いることは特に有利である。ここで、上述したように、ポリオール成分が調製され、ポリイソシアネート a)と発泡させる。成分は、15から120℃、好ましくは20から80℃の温度範囲で好ましく混合され、モールドに導入若しくはベルトコンベアに施与される。モールド内での温度は、通常、15から120℃、好ましくは30から80℃である。
【0084】
本発明による軟質プロウレタンフォームは、家具及びマットレス用の装飾、クッション等の整形外科用製品、自動車部門の装飾としては、例えば、アームレスト、ヘッドレスト、特別には自動車用シートとして好ましく使用され、同じ硬度でも改良された弾性値を持つ。更に、超分岐ポリエーテルが用いられると、発明による軟質ポリウレタンフォームは、超分岐ポリエステルを用いて調製されたフォームに比べて、改良された高温/高湿貯蔵安定性を有する。
【0085】
本発明のポリウレタンフォームの更なる利点は、顕著な減衰挙動にある。ここで、減衰挙動は、厚さ10cmのフォーム試料を、標準の温度と湿度の条件の元で、50kgの重りを周波数2〜20Hz、励起振幅 +/-1mmで励起することにより測定される。励起の結果として、フォームの上面の測定された歪みの比は、それぞれの場合mmで表され、伝送を生じる。最大の歪みが測定される周波数を共振周波数と定義する。人体は特に2から20Hzの周波数鵜範囲の振動に敏感であるので、この範囲、特に共振周波数の領域では、伝送は非常に小さくあるべきである。
【0086】
本発明は、軟質フォームでの超分岐ポリオールの使用の実施例を用いて、以下に例示される。
【0087】
実施例では、フォーム密度は、DIN EN ISO 845に従って測定された。更に、圧縮強度は、DIN EN ISO 3386に従って測定され、反発弾性は、DIN 53576に従って測定された。
【実施例】
【0088】
出発材料:
ポリオール1:ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリオール、OH数:28、官能性:2.7
ポリオール2:スチレン-アクリロニトリルをベースとし、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリオールに固体含有量45%を有するグラフトポリオール、OH数:20、官能性:2.7
ポリオール3:ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリオール、OH数:42、官能性:2.6
ポリオール4:ポリエーテルポリオール、OH数:250、官能性:3
【0089】
触媒作用:標準アミン触媒
【0090】
HB ポリオール1:ペンタエリトリトール/トリエチレングリコールから導出したポリオール、OH数:536、以下に示す方法により調製した:
【0091】
重合は、スターラー、還流冷却器、及び蒸留器アタッチメント及び真空接続部を有する20cmの長い充填カラムを具備する4リットルガラスフラスコにて実行される。1225.4gのペンタエリトリトール(9.0モル)、1351.2gのトリエチレングリコール(9.0モル)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(0.08質量%)の混合物は、ゆっくりと180℃までオイルバスにて加熱される。反応温度に到達した後、フラスコは排気され、反応混合物は200ミリバールの圧力で15時間撹拌される。反応中に生成される反応水は、蒸留により取り除かれる。約17時間の反応時間の後に、合計596gの水相が蒸留により取り除かれる。
【0092】
製品は以下の特性を有している:
Mw、Mn(GPC;DMF) 14,100,900[g/モル]
OHN:536mgのKOH/g のポリマー
【0093】
イソシアネート1:ジフェニルメチレンジイソサネート、NCO含有量:32.8
イソシアネート2:トルエンジイソシアネート/ジフェニルメチレンジイソシアネート 80/20、NCO含有量:44.8
触媒:低排出ガスアミン触媒
【0094】
実施例1−3と比較例1
モールドされたMTフォーム(MDI/TDに基づくモールドされたフォーム)が調製され、それらの機械的特性が測定された。製剤の組成と機械的な試験の結果を以下の表に示す。
【0095】
【表1】

【0096】
表1は、超分岐ポリエーテルの使用により、同一又は増加した反発弾性で圧縮強度の所望した重要な増加が導かれている(実施例1から3)。
【0097】
実施例4−9と比較例2及び3
モールドされたMTフォームが調製され、それらの機械的特性が測定された製剤の組成と機械的な試験の結果を以下の表に示す。
【0098】
【表2】

【0099】
表2は、超分岐ポリエーテルの使用により、同様に増加した反発弾性で圧縮強度の所望した重要な増加をもたらしている(実施例4、5、7及び8)。加えて、超分岐ポリエーテルの4部は、グラフトポリール15部として、弾性率を増加させ、密度を減少させなら硬度の増加をもたらしていることが分かる(実施例4、比較例2)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリイソシアネートに
b)少なくとも2つの反応性水素原子を持つ少なくとも1つの比較的高分子量の化合物、
c)超分岐ポリエーテル、
d)必要に応じて低分子量の連鎖延長剤及び/又は架橋剤、
e)触媒、
f)発泡剤及び
g)必要に応じて他の添加物
を、混合することにより得られる軟質ポリウレタンフォームであって、
前記超分岐ポリエーテルc)は、3価及び多価アルコール及び、必要に応じて2価のアルコールの縮合生成物であり、全てのモノマーが最初に装填され、反応がバック混合反応炉で行われることを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
前記成分b)は、ポリマー変性ポリオールを含むことを特徴とする請求項1に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
前記ポリマー変性ポリオールは、該ポリマー変性ポリオールの総質量を基準として、5から60質量%の含有量の熱可塑性ポリマーを持つグラフトポリエーテルオール又はグラフトポリエステルオールであることを特徴とする請求項2に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項4】
前記成分b)は、該成分b)の総質量を基準として、前記ポリマー変性ポリオールを5質量%を超過して含むことを特徴とする請求項2又は3の何れか1項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項5】
前記成分(a)、(b)、(c)、必要に応じて(d)及び(f)は、前記成分(b)、(c)、必要に応じて(d)及び(f)の反応性水素原子の総和に対してNCO基の等量比が0.7−1.25:1の量で反応させることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項6】
a)ポリイソシアネートに
b)少なくとも2つの反応性水素原子を持つ少なくとも1つの比較的高分子量の化合物、
c)超分岐ポリエーテル、
d)必要に応じて低分子量の連鎖延長剤及び/又は架橋剤、
e)触媒、
f)発泡剤及び
g)必要に応じて他の添加物
を、混合し反応させることを含む請求項1から5の何れか1項に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。

【公表番号】特表2012−515227(P2012−515227A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544852(P2011−544852)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050023
【国際公開番号】WO2010/079155
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】