説明

高性能膜

本発明は、第1のポリマー材料(A)で製造された多孔性膜担体を含み、そして多孔性膜担体を通して密接に分離された第2のポリマー材料(B)を含み、多孔性膜担体が、1μm未満の厚さを有する複数の相互に連結したポリマー繊維、フィブリル、フィラメントおよび/またはラメラを含み、多孔性膜担体が、複数の相互に連結したポリマー繊維、フィブリル、フィラメントおよび/またはラメラによって形成された相互に連結した開放的な多孔性構造を有し、少なくとも50%の多孔度を有し、そしてポリマー材料(B)が、熱可塑性重縮合ポリマーを含み、そして(A)および(B)の全重量に対して、最大30重量%の量で存在する微孔性膜に関する。また本発明は、(i)第1のポリマー材料(A)から製造された多孔性膜担体が、溶媒系(X)中に第2のポリマー材料(B)を含むポリマー溶液に含浸され、そして(ii)得られた含浸された膜担体は非溶媒系(Y)でクエンチされ、それによって第2のポリマー材料(B)の少なくとも一部を沈殿させる工程を含むそのような微孔性膜の製造方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、微孔性膜または分離膜、特に親水性微孔性膜、ならびにナノろ過、限外ろ過および精密ろ過用の膜に関する。また本発明は、そのような微孔性膜の製造方法、ならびに種々の構造および適用でその使用にも関する。
【0002】
種々の種類のポリマーおよびポリマー材料、ならびにこれらの材料で製造される種々の構造を使用する膜の製造に関して、多くの構想がある。また膜は種々の目的のために製造され、種々の特性を有する必要がある。特に微孔性または分離膜に関して必要とされる特性としては、一方で高い分離力が挙げられるが、他方では低圧で高流量と組み合わさることである。そのような膜が必要とする他の必要条件としては、良好な機械的特性と、場合により同様に良好な熱的特性が挙げられる。一般に高い分離力のために必要とされる小さい細孔は、高流量のために必要とされる高い多孔度と相反する。また、低圧での高流量を可能にする薄層は、分離力ならびに/または良好な機械的特性および場合により熱的特性に関する交換条件となるかもしれない。特に親水性膜に関して、特性を適当に組み合わせることは難しい。
【0003】
本発明の1つの目的は、高流量と組み合わせて、高い分離力を有すると同時に、良好な機械的特性および熱的特性を有する膜、好ましくは親水性膜を提供することである。もう1つの目的は、そのような特性を有する膜の製造方法を提供することである。
【0004】
この第1の目的は、第1のポリマー材料(A)で製造された多孔性膜担体を含み、そして多孔性膜担体を通して密接に分離された第2のポリマー材料(B)をさらに含み、
(a)多孔性膜担体が、
−1μm未満の厚さを有する複数の相互に連結したポリマー繊維、フィブリル、フィラメントおよび/またはラメラを含み、
−複数の相互に連結したポリマー繊維、フィブリル、フィラメントおよび/またはラメラによって形成された相互に連結した開放的な多孔性構造を有し、
−少なくとも50%の多孔度を有し、そして
(b)ポリマー材料(B)が、熱可塑性重縮合ポリマーを含み、そして(A)および(B)の全重量に対して最大30重量%の量で存在する
本発明による微孔性膜によって達成される。
【0005】
前記特徴を有する多孔性膜担体と、比較的少ない量で、多孔性膜担体を通して密接に分離されたそのような熱可塑性重縮合ポリマーを含む熱可塑性重縮合ポリマーまたはポリマー材料との組み合わせを含む本発明による膜の効果は、膜が、高流量および高分離力を、良好な機械的特性および熱的特性と組み合わせるということである。
【0006】
本発明による微孔性膜は、第1のポリマー材料(A)で製造された多孔性膜担体を、溶媒中の第2のポリマー材料(B)の溶液で含浸し、そして結果として生じる含浸した膜担体を、溶媒と混和性の非溶剤でクエンチする工程を含む方法によって得ることができる。
【0007】
結果として生じる膜の特性は、膜担体の微孔性構造、ならびに熱可塑性重縮合ポリマーの量および物理的特性によって主に決定される。例えば、異なる含浸工程によって、膜内に異なる微孔性構造の別々の層を有する必要はない。第2のポリマー材料(B)の量が低いことによって、高い多孔度の良好な保持が可能となる。多孔性膜担体中のポリマー溶液の含浸によって、第2のポリマー材料(B)が多孔質膜の厚さに対して均一に分散されることも仮定される。このプロセスのさらなる利点は、含浸溶液中のポリマー濃度が低いこと、および/またはクエンチ液による沈殿のため、あると考えられる第2のポリマー材料(B)の閉じたコーティング層は形成されない。
【0008】
本発明と対照的に、微孔性膜担体を使用しない場合、完全に不可能ではないが、そのようなナノスケールで開放的な微細構造を有する熱可塑性重縮合ポリマーで微孔性膜を製造することは非常に難しく、あるいは仮に入手可能である場合、取り扱いや加工を非常に難しくさせる十分な構造的完全性の欠如を被るだろうことに注目すべきである。
【0009】
1μm未満の厚さを有するポリマー繊維、フィブリルおよびフィラメントをマイクロファイバーと示すことができる。これらのマイクロファイバーは、例えば、スピンボンディングプロセスで、またはフィルム延伸プロセスで形成された結ばれた部分によって相互に連結することができる。ポリマー繊維、フィブリルおよびフィラメント、ならびにラメラを光学顕微鏡検査および電子顕微鏡検査などの技術によって観察することができる。マイクロファイバーおよびラメラの厚さを同じ技術を使用して測定することができる。これらのマイクロファイバーは、1μmよりさらに細いセグメントを適切に有する。このようなより細いセグメントは、0.1μm以下程度の細さでもよい。
【0010】
本発明の好ましい実施形態において、多孔性膜担体は、延伸ポリマー層またはスパンボンドポリマー層である。
【0011】
本発明による膜担体中の第1および第2のポリマー材料に使用される材料は、種々の特性を有する広範な材料から選択可能である。
【0012】
第1のポリマー材料(A)は、原則として、親水性および疎水性ポリマーを含むいずれのポリマーまたは種々のポリマーの混合物、ならびにそれらの物理的混合物も含んでよい。実際には、本発明による微孔性膜へと加工および成形可能なポリマーに限定される。
【0013】
第1のポリマー材料(A)に含まれ得る適切なポリマーとしては、ポリオレフィン、ハロゲン化ビニルポリマー、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエーテルスルホン(PES)を含むポリスルホン(PS)、ポリエーテルイミド(PEI)を含むポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)およびセルロース、ならびにそれらの誘導体、あるいはそれらのいずれかの組み合わせまたはブレンドが挙げられる。
【0014】
ポリスルホン(PS)は、好ましくはポリエーテルスルホン(PES)である。ポリイミド(PI)は、好ましくはポリエーテルイミド(PEI)である。適切なポリオレフィンの例は、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)およびPE/PPコポリマーである。適切なハロゲン置換ビニルポリマーとしては、ポリ(ビニリデン−ジフルオリド)(PVDF)、ポリトリフルオロクロロエチレン(PTFCE)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのポリマーが挙げられる。
【0015】
好ましくは、ポリマー材料Aは疎水性材料であり、また好ましくはポリオレフィンまたはハロゲン化ビニルポリマー、より好ましくはポリオレフィンまたはPTFE、そして最も好ましくはポリエチレン(PE)を含む。
【0016】
疎水性担体材料中のPEは適切には超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)である。UHMWPEは、少なくとも0.5×10g/モルの重量平均分子量(Mw)によって定義される。そのような多孔性材料は、商標名Solupor(DSM Solupor,the Netherlands製)で入手可能である。非常に適切には、UHMWPEをベースとする多孔性膜担体は、高度に延伸されたUHMWPEである。ポリマー材料A中のUHMWPEは、担体材料の全重量に対して、例えば、少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも50重量%の量で存在してもよい。UHMWPEは、好ましくは、少なくとも1.0×10〜10×10g/モルの範囲のMwを有する。
【0017】
第1のポリマー材料(A)は親水性ポリマーを含んでもよく、これはそのまま存在しても、または他のポリマーと混合されていてもよい。これらのポリマーの適切な例としては、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリエチレングリコール(PEO)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリルアミドおよびポリビニルアミン(PVAm)が挙げられる。
【0018】
多孔性膜担体が製造される第1のポリマー材料(A)には、ポリマー成分のみが含まれる必要はない。ポリマー材料Aは、無機フィラーなどの他の成分を含む「充填された」ポリマー組成物であってもよい。本発明で使用可能なそのような「充填された」ポリマー組成物で製造された多孔性膜担体の例は、DSM,The Netherlandsからの無機材料を充填されたポリオレフィン膜、Solufillである。
【0019】
第2のポリマー材料Bに含まれる熱可塑性重縮合ポリマーには、原則としていずれの熱可塑性重縮合ポリマーも含まれてよい。実際には、これは、多孔性膜担体中への含浸および多孔性膜担体を通しての密接な分離を可能にするために、溶媒中に溶解可能および/または分散可能であるポリマーに限定される。
【0020】
適切に、熱可塑性重縮合ポリマーは、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリウレタン、あるいはそれらの組み合わせまたはブレンドまたはエラストマーコポリマー誘導体からなる群から選択されるポリマーを含む。
【0021】
エラストマーコポリマー誘導体は、熱可塑性エラストマー(TPE)として知られており、例えば、コポリアミドエラストマー(TPE−A)、コポリエステルエラストマー(TPE−E)またはポリウレタンエラストマー(TPE−U)であり得る。
【0022】
適切なポリアミドは、例えば、芳香族ポリアミド、半芳香族ポリアミドおよび脂肪族ポリアミドおよびそのいずれものコポリアミドである。ポリアミドは、結晶質であっても、液晶質であっても、半結晶質であっても、非晶質であってもよいが、好ましくは半結晶質脂肪族ポリアミドである。
【0023】
適切な半芳香族のポリアミドとしては、PA6,T/6,6、PA9,TおよびPA6T/6I、ならびにPAMXD,6およびPAMXDT、そしてそのコポリアミドなどのテレフタル酸をベースとするポリアミドが挙げられる。
【0024】
適切な芳香族ポリアミドは、ポリアラミドとしても知られており、例えば、ポリパラフィレンテレフタルアミド(PPTA)(商用グレード Kevlar,Twaron,Technora)およびポリパラフィレンイソフタルアミド(PPIA)(商用グレードNomex)である。
【0025】
脂肪族ポリアミドは、例えば、PA2(ポリグリシン)、PA3、PA4、PA5、PA−6、PA2,6、PA2,8、PA−6,6、PA4,6およびPA610、ならびにPA6/6,6、PA4,6/6などのコポリアミドから選択されてもよい。
【0026】
コポリアミドは、例えば、2種以上の脂肪族ポリアミド、または2種以上の芳香族もしくは半芳香族ポリアミド、1種以上の脂肪族ポリアミドと1種以上の芳香族または半芳香族ポリアミドとの組み合わせのコポリアミドであってもよい。ポリアミドは、絹またはケラチンなどのタンパク質、ならびにヒンダードフェノール末端キャップPAなどの変性ポリアミドであってもよく、またはそれらを含んでもよい。
【0027】
好ましくは、ポリアミドは半結晶質ポリアミドである。またポリアミドは、好ましくは脂肪族ポリアミドであり、それは別として好ましくは最高でも9の炭素/窒素(C/N)比を有する。より好ましくは、ポリアミドは、9未満のC/N比を有する半結晶質脂肪族ポリアミドであり、なおより好ましくは、C/N比は4〜8の範囲にある。適切に、前記半結晶質脂肪族ポリアミドは、PA6、PA 6,6またはPA4,6、あるいはそれらのコポリマー、最も好ましくはPA4,6である。PA4,6は、DSM(the Netherlands)から商標名Stanylで入手可能なポリアミドである。前記好ましいポリアミドの利点は、結果として生じる膜が、改善された親水性とより高い水流量を有するが、同時に改善された機械的特性および増加された熱安定性を示すことである。
【0028】
本発明で使用可能な熱可塑性エラストマー(TPE)は、典型的に、ハードブロックとソフトブロックを交互に含むブロックコポリマー構造を有する。コポリアミドエラストマー(TPE−A)、コポリエステルエラストマー(TPE−E)およびポリウレタンエラストマー(TPE−U)中のハードブロックは、アミド基、エステル基ブロックまたはウレタン基をそれぞれ含む繰り返し単位からなる。これらのハードブロックは、典型的に、高い融点を有する半結晶質材料から構成される。ソフトブロックは、低いガラス転移温度を有する非晶質材料から一般に構成され、例えば、ポリエステルまたはポリエーテル基を含んでよい。
【0029】
適切なブロックコポリマーは、例えば、コポリエステル−エステル、コポリエーテル−エステル、コポリエーテル−アミド、コポリエステル−ウレタンおよびポリエーテルウレタンである。好ましくは、ブロックコポリマーは、コポリエーテルエステルまたはコポリエーテルアミドである。また好ましくは、ポリエーテルブロックコポリマーは、酸化エチレン単位を含むポリエーテルソフトブロックを含む。そのようなポリエーテルブロックコポリマーの例は、DSM the Netherlandsから入手可能なArnitelポリエーテルエステル、およびArkemaから入手可能なPEBAXポリエーテルアミドである。
【0030】
あるいは、ブロックポリアミドコポリマーおよびブロックポリエステルコポリマーは、少なくとも16個の炭素原子を有する二量体化された脂肪酸から誘導される単位を含有するソフトブロックを含む。そのようなブロックコポリマーは、ポリオレフィン担体材料にさらにより良好な固着するという長所がある。
【0031】
本発明の好ましい実施形態において、第1のポリマー材料(A)は疎水性材料であり、そして/または疎水性ポリマーを含み、そして第2のポリマー材料(B)は、親水性材料であり、そして/または親水性ポリマーを含む。本発明による疎水性担体と、微孔性膜で密接に分離された親水性材料との組み合わせによって、低い水圧での高い水流量がもたらされるが、同時に良好な分離力が保持されることが観察された。
【0032】
より好ましくは、疎水性ポリマーはポリオレフィンであり、親水性ポリマーはポリアミドである。場合により、このポリアミドは、例えばポリビニルピロリドン(PVP)などのもう1種のポリマーと混合される。好ましくは、他のポリマーの量は、第2のポリマー材料(B)の全重量に対して20重量%の量まで限定される。
【0033】
前記組み合わせの利点は、結果として生じる微孔性膜は、非常に低い水圧でも高い水流量を有するが、同時に非常に良好な熱安定性、加水分解安定性、熱酸化安定性、機械的安定性および寸法安定などの他の物理的特性の維持または改善さえも示すことである。
【0034】
親水性または疎水性は、相対的な材料特性である。ポリマーの親水性の特徴は、当業者に入手可能な種々の方法によって決定可能である。表面張力はそのような方法の1つであり、もう1つはウォーターブレークスルー(water breakthrough)圧力である。最終的な試験として、微孔性膜の水流量を測定することができる。疎水性および親水性という用語は、特に、絶対的な境界線を与えることができないため、特記されない限り、質的な用語として本明細書で使用される。多孔性膜担体に使用される材料より親水性のポリマーは、親水性ポリマーとして本明細書に示される。表面張力は、親水性と疎水性を区別するために一般に使用される1つの適切な物理的特性である。ポリマーの表面張力は、液体の液滴が自発的に拡散したかどうか観察することによって正確に決定することができる。好ましい実施形態において、多孔性膜担体は、90°を超える接触角の疎水性ポリマー材料で製造され、そして第2のポリマー材料(B)は、90°未満の接触角の親水性材料である。
【0035】
ポリマー材料疎水性および親水性を記載するために、接触角よりも表面張力を使用することが好ましい。接触角は、材料化学および物理学の組み合わせに関連があるためである。
【0036】
ポリマー材料で製造された多孔質膜は、ポリマーの特性によってそれらの適用性が制限される。このような制限は軟化点に起因することがあり、例えば、それより高い場合、膜は、寸法安定性、良好な機械的特性および耐化学性などの好ましい特性を欠く。ポリマーの軟化点および特に融解温度を超えると、膜は変形するか、または縮む傾向がある。
【0037】
本発明による微孔性膜において、第1のポリマー材料(A)中のポリマーおよび第2のポリマー材料(B)中の熱可塑性重縮合ポリマーは、それぞれ、互いに独立して、それぞれ互いに異なるガラス転移温度(Tg)または融解温度(Tm)によって特徴づけられる非晶質ポリマーまたは半結晶質ポリマーであってよい。
【0038】
本発明の好ましい実施形態において、第2のポリマー材料(B)中の熱可塑性重縮合ポリマーは、担体材料(A)中のポリマーの融解温度(TmA)より高いガラス転移温度(TgB)を有する非晶質ポリマーである。あるいはポリマー材料(B)は、好ましくは、担体材料A中のポリマーのTmAより高い融解温度(TmB)を有する半結晶質ポリマーを含む。前記TmAより高いTgBまたはTmBを有するポリマー材料(B)の利点は、微孔性膜が改善された熱安定性および寸法安定性を有し、より高い温度での膜の使用が可能となることである。
【0039】
この実施形態は、例えば、高い寸法安定性を必要とする電池セパレーターでの膜用に、また殺菌可能な薬剤放出絆創膏などの殺菌の間での劣化がないことを必要とする適用で有利に適用される。殺菌のために、30分間121℃または4分間135℃の高温が適用される。この目的のため、ポリマー材料Bは、高融点半結晶質ポリアミドを有利に含む。
【0040】
本明細書に記載されるガラス転移温度および融解温度は、DSC法で測定される。ガラス転移温度という用語は、本明細書では、20℃/分の加熱温度でDSCによってASTM E 1356−91に従って測定され、親熱曲線の変曲点と一致する親熱曲線の一次導関数(時間に対する)のピーク時の温度として決定される温度であると理解される。
【0041】
融解温度または融点という用語は、本明細書では、10℃/分の加熱速度でDSCによってASTM D3418−97に従って測定され、融解範囲に収まり、最高融解速度を示す温度として理解される。
【0042】
本発明による膜において、第2のポリマー材料(B)は、広い範囲で異なる量で存在してもよい。本発明による膜の製造のために、特性に著しい影響を有し、例えばその表面特性に影響を及ぼすが、すでに非常に少ない量のポリマー材料Bを使用することができることが観察された。そのような場合、微孔性膜の製造のために使用されるポリマー溶液中のポリマーの濃度は、低粘度および担体への容易な含浸を可能にするように、なお比較的低くてもよい。適切には、ポリマー材料Bは約0.1重量%以下の低量で存在するが、好ましくは、ポリマー材料Bの量は少なくとも0.5重量%である。また、例えば微孔性膜が高度に多孔性の担体から製造される場合、比較的多い量も使用可能である。しかしながら、良好な分離力を維持しながら、低圧で高流量を得るために、第2のポリマー材料(B)の量を30重量%以下に制限しておくことが好ましい。より好ましくは、量は1〜25重量%、より好ましくは2〜20重量%、最も好ましくは5〜15重量%の範囲である。本明細書中、重量%は、膜担体と第2のポリマー材料(B)の全重量に対する。
【0043】
より多い量の利点は、細孔がより小さくなるということである。より量が多いほど、担体材料の表面被覆率が良好となる。また疎水性担体材料A、例えばUHMWPEおよび親水性ポリマー材料Bによって、流量がより高くなる。ある瞬間に水流量の増加は安定し、その後低下する。これによって、特定目的に適用可能な細孔径と流量の最適の組み合わせが得られる。これは使用される材料および必要とされる特性次第であり、そして膜製造の当業者はルーチン試験および実験によって決定することができる。
【0044】
本発明による微孔性膜は、広範囲にわたって異なる厚さを有し得る。適切に、膜は、5〜500μm、好ましくは10〜200μm、より好ましくは15〜150μm、さらには20〜100μmの範囲の厚さを有する。厚さは、例えば、意図された適用および膜選択性に関して、任意に選択されてもよい。より高い厚さは、好ましくは高い多孔度と組み合わせられてよく、それによって、低圧と組み合わせて高い流量をなお有しながら、改善された分離力が達成される。より低い厚さは、膜におけるさらにより低い圧力低下を可能にし、そして適切に、非常に小さい細孔径と組み合わせられる。
【0045】
本発明による微孔性膜は、広い範囲にわたって異なる多孔度および細孔径を有し得る。細孔は0.01μmと同程度に小さくてもよく、さらにより小さくてもよく、そして/または100μmと同程度に大きくてもよく、さらにより大きくてもよい。適切に、多孔性膜担体は、ポリマー溶液の適用前に、少なくとも0.01μmおよび/または最高でも20μm、好ましくは少なくとも0.1μm、より好ましくは少なくとも1μm、そして好ましくは最高でも10μm、より好ましくは最高でも4μmの平均細孔径を有する。
【0046】
微孔性膜は、典型的に、多孔性膜担体より小さい細孔を有し、そして適切に、少なくとも1.0nmおよび/または最高でも20μm、好ましくは少なくとも10nm、より好ましくは少なくとも100nm、そして好ましくは最高でも10μm、より好ましくは最高でも1μmより小さい平均細孔径を有する。
【0047】
平均細孔径は、GurleyまたはAirfluxなどの空気透過率による気流技術によって間接的に測定可能である。空気透過率に関して適用され、そして本発明で報告される平均粒径値に関して値が導き出される方法は、ISO 5636−5によるGurley試験法である。標準測定設定として、6.45cm(1平方インチ)の測定面積と567グラムの装填を使用し、そして50mlの空気が透過するために必要とされる時間を測定する。そのように測定された空気透過率は、s/50mlで表される(s=秒、ml=ミリリットル)。比較的大きい細孔径、例えば、約1μm以上の平均細孔径を有する微孔性膜に関して、測定面積を例えば1cmまで減少することができ、そして透過する空気の体積を、例えば100mlまたは200ml増加することができ、そのようにして透過時間をより正確に測定することが可能となる。そのように得られた測定値を、標準測定設定に関する相当する値に再計算することができ、またこれらの修正はISO 5636−5に従って適用することができる。詳細については、以下の実験部に記載される。Gurley(50cc)数と空気透過率の関係はISO 5636−5に記載される。Gurleyによって測定され、s/50mlで表される空気透過率は、経験的関係によって、Gurley数で数1.77を割ることによって、μmの細孔径に翻訳することができる。
【0048】
また最初の膜担体の多孔度と、得られる微孔性膜の多孔度は異なり、後者は典型的により低い多孔度を有する。本発明による微孔性膜と、それを製造することができる方法の利点は、同様に、ポリマー材料Bの量が制限され続けられ得、そして膜担体の基本的構造は、製造の間、ほとんど保持されることにより、差が制限されるということである。
【0049】
多孔性膜担体は、膜担体の全体積に対して、少なくとも50体積%、好ましくは少なくとも60体積%、より好ましくは70〜95体積%の範囲、なおより好ましくはり80〜92体積%の範囲の多孔度を有する。
【0050】
ポリマー材料Bの量が少なく、そして、あるとしても、ポリマー材料Bの含浸によって膜構造がほとんど変わらないため、微孔性膜の多孔度は完全に保持され、なお非常に高く、これはより大きな流量値を得るために非常に都合がよい。微孔性膜の多孔度は、適切に、膜の全体積に対して、少なくとも35体積%、好ましくは少なくとも50体積%、より好ましくは60〜94体積%の範囲、なおより好ましくは70〜90体積%である。
【0051】
微孔性膜は、広範囲にわたって異なる平均細孔径を有してもよく、これは50μmと同程度に大きくても、より大きくてもよく、または1nmと同程度に小さく、より小さくてもよい。
【0052】
本発明による微孔性膜の好ましい実施形態において、多孔性膜担体(A)は、0.01〜10μmの平均細孔径を有し、そして多孔度が膜担体の全体積に対して少なくとも80体積%である細孔を有し、そして微孔性膜は、1nm〜1μmの平均細孔径を有し、そして微孔性膜の全体積に対して少なくとも60体積%の多孔度を有する。
【0053】
上記の平均細孔径値は、ISO 5636−5によるGurley試験法によって測定されたs/50mlで表されるGurley値から誘導され、Gurley数で1.77を割ることによって、μmへと変換される。
【0054】
本発明のもう1つの好ましい実施形態において、微孔性膜は、0.01〜1.0μmの範囲の平均細孔径を有し、そしてデッドエンド測定(dead−end measurement)に基づき、0.5バールで測定した場合、少なくとも3000l/m.h.バール、より好ましくは少なくとも5000l/m.h.バールの純水流量を有する。純水は、本明細書において脱塩水である。
【0055】
水流量は、膜フィルターの液体流速に関する標準試験方法であるNorm ASTM F317−72による方法で測定される。
【0056】
この実施形態は、例えば、膜担体材料Aが、ポリオレフィンおよび/またはハロゲン化ビニルポリマーなどの疎水性材料からなり、そしてポリマー材料Bが、微孔性膜を親水性膜にさせる熱可塑性ポリアミドを含む本発明による微孔性膜で達成可能である。
【0057】
さらにより好ましくは、膜担体材料AはUHMWPEを含み、ポリマー材料Bは熱可塑性ポリアミドを含み、微孔性膜は最高でも200nmの平均細孔径を有し、そして膜は、1バールの圧力で、500l/(m h バール)、好ましくは少なくとも1500l/(m h バール)、さらにより好ましくは少なくとも3000l/(m h バール)の流量を示す(ここではl=リットル、h=時間)。ここで流量測定は、0.5バールトランス膜圧で実行され、そして1バールで相当する値に換算される。
【0058】
本発明による微孔性膜は、好ましくは、ホイスカー、顔料および染料、ナノサイズ活性炭、酵素、医薬品、機能性食品、ならびにイオン交換樹脂、顔料、抗菌剤、ならびに熱安定剤および酸化安定剤などの安定剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を含む第2のポリマー材料Bを有利に含んでもよい。
【0059】
特定の実施形態において、微孔性膜中の熱可塑性ポリマーは、放射線、例えば、UV放射線またはエレクトロビーム放射線によって架橋される。このように架橋することによって、微孔性膜の熱安定性および機械的安定性が強化される。
【0060】
また本発明は、(i)第1のポリマー材料(A)から製造された多孔性膜担体が、溶媒または溶媒系(X)中に第2のポリマー材料(B)を含むポリマー溶液に含浸され、そして(ii)非溶媒または非溶媒系(Y)でクエンチされ、それによって第2のポリマー材料(B)の少なくとも一部を沈殿させる工程を含む微孔性膜の製造方法に関する。
【0061】
含浸工程で、第2のポリマー材料(B)は、多孔性膜担体内部の多孔性構造に均一に分散すると考えられる。その後の沈殿段階と組み合わせて、ポリマー材料は、多孔質構造から密接に分離される。
【0062】
多孔性膜担体、第1のポリマー材料(A)および第2のポリマー材料(B)に関して、上記の微孔性膜に関して記載されたものと同様の実施形態を使用することができる。
【0063】
溶液による多孔性膜担体の含浸は、多孔性膜担体を溶液と接触させることによって、例えば、多孔性膜担体を溶液に浸漬し、そしてその後、多孔性膜担体の細孔構造に溶液を浸透させることによって達成可能である。浸透は、溶液に圧力を適用することによって強制されてもよい。
【0064】
溶媒および溶媒系は、本明細書中、それぞれ、ポリマーが可溶性である液体、液体組成物であるとして理解される。液体組成物は、異なる液体の混合物および/または液体と、液体中に溶解された1種以上の他の成分との混合物であってもよい。他に特記されない限り、溶媒および溶媒系は、本明細書中、単一の液体が使用されるか、または複数の液体が使用されるか、あるいは他の成分が溶解されるどうかにかかわりなく、溶媒系Xとして示される。
【0065】
同様に、非溶媒および非溶媒系は、本明細書中、それぞれ、ポリマーの溶解性が限定的であるか、またはポリマーが不溶性である液体、液体組成物であるとして理解される。液体組成物は、異なる液体の混合物および/または液体と、液体中に溶解された1種以上の他の成分との混合物であってもよい。他に特記されない限り、非溶媒および非溶媒系は、本明細書中、単一の液体が使用されるか、または複数の液体が使用されるか、あるいは他の成分が溶解されるどうかにかかわりなく、溶媒系Xとして示される。
【0066】
溶媒系Xは、場合により、液体以外の少なくとも1種の追加成分を含んでもよい。溶液中に存在してもよい追加成分は、例えば、上記されたような添加剤、または無機塩などの溶解性を高める成分であってもよい。場合により、追加成分は、非溶剤系Yに添加されてもよい。場合により、追加成分は、好ましくは、微孔性膜形成後の追加のコーティングプロセスを介して添加されてもよい。
【0067】
非溶媒系Xは、場合により、液体以外の少なくとも1種の追加成分を含んでもよい。溶液中に存在してもよい追加成分は、例えば、ポリマーの溶解性をさらに低下させる添加剤であってもよい。
【0068】
本発明による方法において、溶媒系Xは、好ましくは、有機溶媒を含むか、あるいは有機溶媒である。有機溶媒は、極性有機溶媒もしくは非極性有機溶媒、またはそれらのいずれかの混合物である。より好ましくは、溶媒系Xは、有機溶媒と、有機溶媒中に溶解された無機塩を含む。また好ましくは、非溶媒系Yは、水を含む。
【0069】
疎水性膜を親水性膜へと変性することが好ましいとしても、疎水性膜で使用される疎水性ポリマーと比較して親水性であり、有機溶媒中で可溶性であり、水中で不溶性であり、本発明による方法での使用に非常に適切である多くのポリマーがある。
【0070】
溶媒および/または非溶媒として使用可能な溶媒としては、極性液体および非極性液体の両方が含まれ、これはポリマーの性質次第で使用可能である。
【0071】
適切な非極性液体は、ベンゼン、クロロホルムおよびテトラクロロエチレンが挙げられる。
【0072】
極性液体の例としては、アルコール、アミン、アミノアルコール、カルボン酸、アミド、アミド、ケトンおよびエーテルなどの低分子量の液体が含まれる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、フェノール、クレゾール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオールなどの溶媒を使用することができる。アミノアルコールとしては、または別名アルコールアミンとして、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミンが適切な典型例である。適切なカルボン酸は、例えば、ギ酸、酢酸、クエン酸、安息香酸およびオキサリル酸である。アミドに関して、例えば、Nメチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、カプロラクタムが使用可能である。可能なエーテルの例は、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサンおよびクラウンエーテルである。ケトンとして、例えば、メチルエチルケトンまたは2−ブチルケトン(MEK)が使用されてよい。また上記の極性溶媒の混合物が使用されてもよいが、酸およびアミドは、一緒になって塩を形成し得、したがって溶媒として使用できなくなる可能性があるため、酸およびアミドは、好ましくはそれぞれとは別の溶媒と混合される。また極性溶媒と非極性溶媒との混合物は、適用可能であれば適用されてもよい。極性溶媒は、場合により、水と組み合わせられてもよい。
【0073】
ポリアミドに関して、広範囲の溶媒が使用されてもよい。好ましくは、溶媒にはアミドをベースとする溶媒および無機の塩のアルコール溶液が含まれる。ポリアミドの適切な溶媒は、例えば、Nylon Plastics Handbuch,Melvin I Kohan,Hanser Publisher,Munich,1995、第63ページおよび第82〜84ページに見出され得る。半芳香族および脂肪族ポリアミドの好ましい溶媒は、OH官能基につき1〜3個の炭素原子を有する短鎖脂肪族アルコール、例えば、メタノール、エタノールおよびイソプロパノール、特に、相当する塩含有アルコール溶液であり、それらは、非常に良好にポリアミドを溶解し、良好に無極性ポリマーを含む膜担体を湿潤させ、ポリアミドが沈殿する水と完全に混和可能であることから、より長鎖の脂肪族アルコールよりポリアミドおよび塩をより良好に溶解することができるため好ましい。
【0074】
場合により、溶媒は非溶媒系Yから30重量%までの非溶媒を含有することができる。水である非溶媒の具体的な利点は、多くの溶媒の吸湿性作用のため、そして水がポリアミドの溶媒と良好に混合することにより、特性を変えることなく溶液を保つことがより容易であることである。
【0075】
適当な溶液に含まれてもよい塩は、1種以上の以下の陽イオン、Li、Na、Ca+2、Mg2+、Zn2+、グアニジウム、Al3+、Fe3+および1種以上の以下の陰イオン、F、Cl、Br、SCN、NO、SO2−、PO3−を含む。好ましくは、塩は、塩化カルシウム(CaCl)、塩化リチウム(LiCl)、硝酸リチウム(LiNO)および/または塩化マグネシウム(MgCl)、より好ましくはLiClまたはLiBrおよびCaClまたはCaBr、より好ましくはCaClを含む。LiClおよびCaClなどの塩は、例えばDMACまたはメタノール中に適切に溶解されてもよい。Li塩より有毒でなく、安価であるため、CaClが好ましい。
【0076】
好ましくは、アルコールは0.01重量%〜5重量%の含水量を有する。これにより、アルコールの吸湿性と、蒸留によるリサイクルによる問題が回避される。
【0077】
好ましい実施形態において、溶媒系Xは塩を含み、より好ましくは塩濃度は高く、なおより好ましくは、飽和レベルに対して少なくとも70%、またはより良好に少なくとも80%またはさらに90%である。塩濃度がより高いことの利点は、水の親和性が増加し、そして含浸された膜担体中を水がさらにより迅速に浸透するということである。その上、塩濃度がより高いことによって、有機溶媒の揮発性が大幅に減少し、大規模製造に関する安全を改善し、そして長期間、一定条件でコーティング溶液を良好に維持する。塩濃度がより高いことはまた、極性ポリマーの溶解に好都合であり、より高いポリマー濃度またはより低い粘度を可能にし、それによって、含浸に必要とされる時間を短縮することに関与する。そのうえ、塩濃度がより高いことは、さらにより良好に膜の開放的な細孔構造を保つことに関与する。
【0078】
好ましくは、溶媒系Xは極性有機溶媒を含み、非溶媒系Yは水を含む。
【0079】
第2のポリマー材料(B)中の熱可塑性重縮合ポリマーは、可溶性ポリマーでなければならず、そして好ましくは、第1のポリマー材料Aが不溶性であるか、または多孔性膜担体が含浸および沈殿段階の間に実質的に不変のままであるような限定された範囲で可溶性である溶媒中に可溶性である。
【0080】
熱可塑性重縮合ポリマーの非常に高い濃度および/または非常に高い分子量により非常に高い粘度を有するポリマー溶液は、膜担体に含浸するのが困難であり、そして、膜担体の細孔内に密接に分離された微小構造の材料が形成されるよりも、むしろ多孔性膜担体の外側表面にコーティングを生じることが明らかである。粘度は、溶液中のポリマーの分子量と濃度を制限することによって十分に低くすることができる。
【0081】
本発明の好ましい実施形態において、ポリマー溶液は、アルコールと、0.1〜30重量%の水と、1〜50重量%の塩と、0.1〜10重量%の、重量平均分子量(Mw)が2〜100kg/モルのポリアミドとを含む。より好ましくは、この溶液は、3個までの炭素原子を有する短鎖脂肪族アルコール、5〜20重量%の水、1〜25重量%のCaClおよび/またはCaBr、ならびに/あるいは0.1〜10重量%の、4〜8の範囲のC/N比を有し、重量平均分子量(Mw)が3〜50kg/モルのポリアミドのいずれかを含む。さらにより好ましくは、溶液はこれらの要素の全てを一緒に含む。好ましくは、ここでのポリアミドは、PA4,6またはPA4,6/6、あるいは少なくとも50重量%のPA4,6単位を含むPA4,6のコポリアミドである。重量パーセント(重量%)は本明細書中、全て、ポリマー溶液の全重量に対するものである。
【0082】
熱可塑性重縮合ポリマーは、広範囲にわたって異なる分子量を有してもよい。溶解性および加工能を強化するため、重縮合ポリマーは、好ましくは最高でも100,000、より好ましくは最高でも50,000、なおより好ましくは最高でも25,000の重量平均分子量(Mw)を有する。重縮合ポリマーは、好ましくは少なくとも2,000、より好ましくは少なくとも3,000、そしてなおより好ましくは少なくとも5,000のMwを有する。非常に適切には、前記ポリマーは、10,000〜20,000の範囲のMwを有する。より高い最小Mwを有する熱可塑性重縮合ポリマーは、得られた膜の機械的および熱的特性のために都合がよく、そしてさらに長期の濾過の間の保持を改善する。好ましい分子量は、ポリマーの種類次第である。例えば、水素結合を形成する傾向がある比較的極性のポリマーであるポリアミドに関して、好ましい分子量は、他のより極性でないポリマーに関するよりも低いであろう。
【0083】
適切に、ポリマー溶液中の熱可塑性重縮合ポリマーの濃度は、ポリマー溶液の全重量に対して、0.1〜10%、より好ましくは0.2〜5%、なおより好ましくは0.5〜2重量%の範囲である。
【0084】
含浸に使用される間のポリマー溶液の温度と、クエンチ浴中の非溶媒系(Y)温度は、広範囲にわたって独立して変化してもよく、適切には−20℃〜98℃、より好ましくは0℃〜60℃、さらにより好ましくは10℃〜40℃、最も好ましくは15℃〜25℃の間である。上記方法の好ましい実施形態において、クエンチ浴中の液体は、水、または水とアルコールとの混合物、より好ましくはメタノールもしくはエタノールと水との混合物、または水のみを適切に含む。いずれにせよ温度が液体の凝固点より高くなければならず、したがって、クエンチ浴中の液体が完全に水からなる場合、これは0℃より高い。
【0085】
この方法は、必要とされる含浸およびクエンチ/沈殿工程に関して適切であるいかなる様式でも達成され得る。この方法は、連続的な方法、ならびに段階的、半連続的またはバッチ法であってよい。
【0086】
多孔性膜担体が、ポリマー溶液による含浸浴に浸漬され、ポリマー溶液が完全に含浸するために十分に長い時間その中に置かれ、含浸浴から除去され、その後、クエンチ液体が多孔性膜担体中に完全に浸透するために十分長い時間クエンチ液体Yによるクエンチ浴に浸漬されるように、この方法を実行することができる。
【0087】
あるいは、膜担体が完全に含浸されるために必要とされる浸漬時間は、浸漬間に膜担体が部分的に含浸され、同時に、含浸浴からの除去の直後に、膜担体が完全に含浸されるために十分な量のポリマー溶液によって膜が湿潤されるような時間であってよい。クエンチ浴に浸漬する前に、膜担体がポリマー溶液によって完全に含浸されることに注意しなければならない。
【0088】
当業者は、ルーチン実験および測定によって、例えば、最初の浸漬工程およびポリマーの完全な沈殿の後の多孔性膜担体(A)の重量増加を決定することによって、溶液(X)の完全な含浸およびクエンチ液体(Y)の浸透のために必要とされる時間を確立することができる。実際に、極性有機溶媒中の低粘性ポリマー溶液(X)に関して、微孔性ポリオレフィン膜での完全な含浸には、数秒〜数十秒の時間しかかからないことが観察された。アルコール、特に塩を含有するアルコールのように、使用される極性有機溶媒が水と完全混和性であり、かつクエンチ液体として水が使用される場合、微孔性ポリオレフィン膜の場合でさえ、微孔性膜中への完全な浸透には数秒〜数十秒の時間しかかからない。
【0089】
場合により、含浸浴から除去した後、非/溶媒系と接触させる前に、含浸された膜を0〜10分間、好ましくは0.1〜7分間、空気または他の気体雰囲気中に置く。乾燥時間が最小である場合は、膜内に開放的な構造を保持しながら、表面がより滑らかになるという長所がある。これは、生医学的な用途に関して、タンパク質成長を最小にすることにプラスの影響を及ぼし得る。
【0090】
適切に、この方法は連続的または半連続的な方法であり、多孔性膜担体は、第1のロールから解かれ、場合により、湿潤装置に通され、ポリマー溶液を含む溶液適用装置に通され、クエンチ液体Yを含むクエンチ装置に通され、洗浄および/または乾燥装置および/またはアニーリングに通され、そして得られた微孔性膜は、第2のロール上で巻き取られる。同様に、そのような連続的方法を通して、クエンチ液体の組成は、溶媒系Xからの溶媒成分の段階的な増加により変化し得る。新鮮なクエンチ液体の補充は、同様に、この方法を通して実行され得る。
【0091】
あるいは、この方法はバッチ法でもよく、多孔性膜担体のシートまたはシートの積み重ねを、ポリマー溶液を含む第1の浴に浸漬し、第1の浴から取り出し、そして非溶媒系Yを含む第2の浴に浸漬する。
【0092】
多孔性膜担体および得られた微孔性膜が中空繊維の形状を有する状態では、連続的な方法の多孔性膜担体、ならびにバッチ法のシートおよびシートの積み重ねを中空多孔性膜担体の繊維によって置き換えてもよい。
【0093】
中空繊維および管状膜に関して、含浸溶液を繊維の内部に通し、クエンチ溶液を繊維の外側に適用することができ、または逆の様式も可能である。このような含浸を穴側または外壁側から実行することができるが、クエンチ溶液は両側から流すこともできる。
【0094】
本発明による方法で使用される多孔性膜担体は、広範囲にわたる異なる表面平均重量を有し得、そしてまた、多孔性膜担体上で沈殿するポリマー材料の量も広範囲にわたって異なり得る。例えば、一部のPESおよびPS膜は非常に厚く、例えば、200μmより厚く、そして機械強度を増加するために、ポリエステル副層を含んでもよい。
【0095】
多孔性膜担体は、例えば、3〜300g/m、好ましくは5〜100g/m、より好ましくは10〜50g/mの範囲の表面平均体重を有してもよい。多孔性膜担体上で沈殿し、そして任意の洗浄および乾燥工程の後に残留するポリマー材料の量は、適切に、0.1〜20g/m、好ましくは0.5〜10g/m、より好ましくは0.5〜5g/mの範囲である。
【0096】
沈殿し、残留するポリマー材料の量は、膜の全重量に対して30重量%と同程度に高くてもよく、またはさらに高くてもよい。好ましくは、この量は、膜の全重量に対して1〜25重量%、好ましくは2〜20重量%、より好ましくは5〜10重量%の範囲である。
【0097】
本発明による方法は、工程(a)および(b)から得られた含浸され、クエンチされた膜を洗浄する(例えば、水ですすぐ)か、染色するか、乾燥させるか、伸長するか、アニールするか、またはカレンダー加工するか、あるいはそれらのいずれかの組み合わせを行うさらなる工程を含んでもよい。
【0098】
また本発明は、膜構造に関する。一実施形態において、膜構造は、場合により折られた、巻かれた、そして/または支持層で支持された薄い微孔性膜フィルムを含み、薄い微孔性膜フィルムは、本発明による微孔性膜またはそのいずれかの好ましい実施形態からなる。支持層は、ウェブまたはコーティング層であり得、例えば、機械的特性を強化するために使用することができる。微小構造の材料Bは、膜と支持層との間の接着力に関与し得、それによって別々の接着剤が必要ではなくなり、そして膜の透過性の減少が防止される。コーティング層を有する構造は半透性であってもよく、例えば、気体分離、逆浸透のために使用され得る。
【0099】
第2の実施形態において、膜構造は、中空膜繊維または複数の中空膜繊維の束状構造を含み、この中空膜繊維は、本発明による微孔性膜またはそのいずれかの好ましい実施形態からなる。
【0100】
微孔性膜の細孔径を微調整すること、および/または疎水性を親水性に変えること、そして高い水流量を達成することの可能性、ならびに変性のためのポリマーの無限の選択、添加剤の可能な使用、そして様々な構造を製造することによって、本発明による微孔性膜の広範囲にわたる様々な用途の可能性が広がる。
【0101】
また本発明は、本発明による膜、またはそのいずれかの好ましい実施形態、または本発明によるいずれかの方法によって得られる膜、またはそれから製造されるいずれかの膜構造の以下のいずれかの用途のための使用に関する。
・粒子ろ過、精密ろ過、限外ろ過、ナノろ過、逆浸透などの分子分離。溶媒耐性ナノろ過(SR−NF)またはあらゆる溶媒耐性ろ過を含む。
・気体/気体ろ過
・廃水精製。
・電気透析、電気脱イオン化、バッテリーおよび燃料電池を含む電気化学的用途。
・医薬品および機能性食品成分を含む放出制御用途。
・パートラクション、パーベーパレイションおよび接触器用途。
・酵素の固定化。
・加湿器。
・生体適合性膜(例えば、ランゲルハンス島のカプセル化のための細胞マクロカプセル化膜)。
【0102】
膜は、一般的に、溶液および懸濁液の分離および濃縮のために用いられる。それらは広い用途範囲を有し、精密ろ過(MF)、限外ろ過(UF)、ナノろ過、逆浸透、電気透析、電気脱イオン化、パートラクション、パーベーパレイションなどのいくつかの分子分離法で使用可能である。用途の例としては、廃水精製、燃料電池、医薬品成分の放出制御、バッテリーおよび加湿器が挙げられる。一般に、多孔性MFおよびUF膜は、材料の自然の特性によって、大まかに親水性膜およい疎水性膜に分離される。
【0103】
本発明は、以下の非限定的な実施例および比較試験でさらに説明される。
【0104】
本発明は、以下の実施例と比較試験でさらに説明される。
【0105】
[試験方法]
[水透過性]
水透過性は、ASTM F317−72による方法で、室温(20℃)、500ミリバールの膜内の圧力勾配で測定された。この圧力下で250mlの水を膜に通す。透過側で50mlごとに経過した時間を記録する。その後、水流量を式1によって計算する。
J=Q/AtP (式1)
式中、Jは流量(l/m 時間 バール)であり、Qは、測定期間(t)(時間)に膜内を流れる水量(リットル)であり、Aは、膜の有効面積(m)であり、そしてPは膜を通しての圧力差である。実験を5回繰り返して実行し、5回の測定値を平均し、そして平均値を報告する。
【0106】
[空気透過率]
空気透過率は、ISO 5636−5によるGurley試験法で測定した。この測定に、東洋精機からのGurley Densometer タイプBを使用し、0.1秒で時間を記録し、50ミリリットルのシリンダー容積、567グラムのシリンダー重量、6.45平方センチメートル(1平方インチ)の測定面を用い、そして標準手順によって較正する。
【0107】
個々の材料のための測定を以下の通りに実行した。ロールの幅を横切って膜の細片を切断した。なめらかな、ダメージを受けていない試験片をクランプ板開口部上に置き、固定した。測定を開始し、そして50ミリリットルの空気が試験片を通過するために必要とされる時間を決定した。試験を5回繰り返し、そして(平均)Gurley値を秒/50mlで記録した。
【0108】
[平均細孔径]
平均細孔径は、Gurley値によって数1.77を割ることによって計算された。
【0109】
[多孔度測定]
多孔度は、以下の式(I)を使用して計算される。
【数1】



式中、
ρ=g/cmで表される微孔性ポリマーマトリックスの密度。
坪量=g/mで表される表面積あたりの微孔性高分子マトリックスの平均重量
厚さ=微孔性ポリマーマトリックスの平均厚さ(μm)
【0110】
膜担体と、密度ρに関して異なる材料からなる微小構造のポリマー材料とを含む膜の場合、式(II)で計算される平均密度が使用される。
【数2】



式中、
W1=膜の全重量に対する膜担体の重量%、
W2=膜の全重量に対する微小構造のポリマー材料の重量%、
ρ1=g/cmで表される膜担体マトリックスの密度。
ρ2=g/cmで表される微小構造のポリマー材料マトリックスの密度。
【0111】
[坪量]
坪量(BW)は、以下の式を使用して計算される。
【数3】



式中、
BW=g/mで表される坪量または表面積あたりの全質量。
質量=グラムで表される試料の質量。
A=mで表される試料の表面積。
【0112】
坪量の計算は、100×100mmの試料サイズまたはロールの全表面(全長さ×幅)をベースとすることができる。
【0113】
[厚さ]
ISO4593に従って、較正された機械式厚さスキャナ、タイプ Millitron 1234−ICによって測定される。厚さスキャナは、低い平面と、低い表面に対して平行に直径11.3mm(100mm)を有する上の測定平面を有する。測定末端、タイプ Mahr P2004MA上の全負荷は0.75Nである。
【0114】
[材料]
PE膜 Solupor16P25A(ex DSM,The Netherlands)、15.2g/mの坪量;厚さ140μm;計算された多孔度、約90体積%。
【0115】
PA−4,6ポリアミド−46、粘度数160ml/g(DSM,The Netherlands)
【0116】
[ポリマー溶液]
CaCl(約9.7重量%)で飽和されたメタノール中のそれぞれ、0.5重量%、1重量%のPA−4,6溶液を室温で調製した。
【0117】
[膜変性]
PE膜の断片をポリマー溶液に短時間(数秒)浸漬し、直接水に浸し、多量の水ですすぎ、空気乾燥した。
【0118】
1重量%のPA−4,6溶液から得られた変性膜は、17.62g/mの坪量を有し、変性膜の全重量に対して14.5重量%のPA−4,6に相当した。
【0119】
[変性膜の顕微鏡検査]
本発明による変性膜をSEM分光学によって検査し、そして出発膜担体と比較した。膜の厚さはわずかに減少した。多孔度は約85体積%であると推定された。PE膜の比較的大きい細孔を有する開放的な表面細孔構造はなくなり、細孔径がかなり減少した非常に細い繊維およびフィルム層による微小構造が見えた。
【0120】
[特性]
[機械的特性]
機械的特性(引張係数(E’)[MPa]、破断時の引張強さ(F)[N]、破断点伸び(dL)[%])を23℃でISO 527による張力試験で測定した。結果を表1にまとめる。
【0121】
【表1】



【0122】
膜の機械的強度と剛性は、本発明による変性によって著しく増加した。
【0123】
[水流量および細孔径]
PE膜ならびに変性膜の水流量をそれ自体と、室温で洗浄剤中で処理した3日後に膜を横切って0.5バールで測定した。平均細孔径は上記の方法で測定された。結果を表2にまとめる。
【0124】
【表2】



【0125】
変性膜は小さい細孔径と高い水流量の優れた組み合わせを有し、洗浄剤に対して優れた耐性を有した。
【0126】
[熱的特性]
熱的特性の測定のために、PE−1、PE−2およびPE−3と示される異なるPE膜から出発して変性膜を製造し、1%PA溶液で変性した。
PE−1=Solupor16P25A、(ex DSM,The Netherlands)、15.2g/mの坪量;厚さ140μm;計算された多孔度、約90体積%。
PE−2=Solupor16P10A
PE−3=Solupor14P02E
【0127】
PE−1およびそれをベースとする変性膜に関しては上記と同様であった。PE−2およびPE−3の変性に関しては、同様の1%PA溶液および同様の変性方法を利用した。
【0128】
異なるPE膜およびそれらをベースとする変性膜の5mmの横断面を有する円形断片を膜から切断し、そして120分間120℃の温度を受けさせた。冷却後、断片の収縮を測定した。結果を表3にまとめた。
【0129】
【表3】



【0130】
これらの結果から分かるように、変性膜は相当する非変性PE膜よりも非常に良好にそれらの最初の形状を保持し、収縮が非常に少ない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポリマー材料(A)で製造された多孔性膜担体を含み、そして多孔性膜担体を通して密接に分離された第2のポリマー材料(B)を含み、
(a)多孔性膜担体が、
−1μm未満の厚さを有する複数の相互に連結したポリマー繊維、フィブリル、フィラメントおよび/またはラメラを含み、
−複数の相互に連結したポリマー繊維、フィブリル、フィラメントおよび/またはラメラによって形成された相互に連結した開放的な多孔性構造を有し、
−少なくとも50%の多孔度を有し、そして
(b)ポリマー材料(B)が、熱可塑性重縮合ポリマーを含み、そして(A)および(B)の全重量に対して、最大30重量%の量で存在する
微孔性膜。
【請求項2】
多孔性膜担体が延伸ポリマー層またはスパンボンドポリマー層である請求項1に記載の微孔性膜。
【請求項3】
多孔性膜担体が90°を超える接触角の疎水性ポリマー材料で製造され、そしてポリマー材料が90°未満の接触角の親水性材料である請求項1または2に記載の微孔性膜。
【請求項4】
第1のポリマー材料(A)が軟化点Tを有し、第2のポリマー材料(B)が軟化点Tを有し、そしてTがTより高い請求項1〜3のいずれか一項に記載の微孔性膜。
【請求項5】
第1のポリマー材料(A)がポリオレフィンおよび/またはハロゲン化ビニルポリマーを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の微孔性膜。
【請求項6】
第2のポリマー材料(B)中の熱可塑性重縮合ポリマーがポリエステルおよび/またはポリアミド、あるいはそれらの熱可塑性エラストマー誘導体を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の微孔性膜。
【請求項7】
ポリマー材料(B)の量が、(A)および(B)の全重量に対して1〜15重量%の範囲である請求項1〜6のいずれか一項に記載の微孔性膜。
【請求項8】
ポリマー材料(B)が少なくとも1種の添加剤を含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の微孔性膜。
【請求項9】
多孔性膜担体が200μm未満の厚さを有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の微孔性膜。
【請求項10】
多孔度が少なくとも65%、より好ましくは少なくとも80%である請求項1〜9のいずれか一項に記載の微孔性膜。
【請求項11】
多孔性膜担体(A)が、0.01〜10μmの平均細孔径を有し、そして多孔度が膜担体の全体積に対して少なくとも80体積%である細孔を有し、そして微孔性膜が、1nm〜1μmの平均細孔径を有し、そして微孔性膜の全体積に対して少なくとも60体積%の多孔度を有し、平均細孔径は、ISO 5636−5によって測定され、s/50mlで表されるGurley数で1.77を割る計算から得られる請求項1〜10のいずれか一項に記載の微孔性膜。
【請求項12】
(i)第1のポリマー材料(A)から製造された多孔性膜担体が、溶媒系(X)中に第2のポリマー材料(B)を含むポリマー溶液に含浸され、そして(ii)得られた含浸された膜担体は非溶媒系(Y)でクエンチされ、それによって第2のポリマー材料(B)の少なくとも一部を沈殿させる工程を含む微孔性膜の製造方法であって、
(a)多孔性膜担体が、
−1マイクロメートル未満の厚さを有する複数の相互に連結したポリマー繊維、フィブリル、フィラメントおよび/またはラメラを含み、
−複数の相互に連結したポリマー繊維、フィブリル、フィラメントおよび/またはラメラによって形成された相互に連結した開放的な多孔性構造を有し、
−少なくとも50%の多孔度を有し、そして
(b)ポリマー材料(B)が、熱可塑性重縮合ポリマーを含み、そしてポリマー溶液の全重量に対して最大30重量%の量で存在する方法。
【請求項13】
この方法で使用される第1のポリマー材料(A)および/または第2のポリマー材料(B)、あるいはこの方法によって得られる微孔性膜が請求項1〜11のいずれか一項に記載のものである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
溶媒が極性有機溶媒と、場合により塩とを含み、そして非溶媒が水、または水とアルコールとの混合物を含む請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
ポリマー溶液が、アルコールと、0.1〜30重量%の水と、1〜50重量%の塩と、0.1〜10重量%の、重量平均分子量が2〜100kg/モルのポリアミドとを含み、重量パーセント(重量%)は、ポリマー溶液の全重量に対するものである請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
場合により折られた、巻かれた、そして/または支持層で支持された微孔性膜フィルムを含み、そして/あるいは中空膜繊維または複数の中空膜繊維の束状構造を含む膜構造であって、細い微孔性膜フィルム、中空膜繊維が、それぞれ、請求項1〜11のいずれか一項に記載の微孔性膜からなる膜構造。
【請求項17】
以下の用途:気体/気体ろ過、粒子ろ過、精密ろ過、限外ろ過、ナノろ過、逆浸透などの分子分離およびろ過;廃水精製;電気透析、電気脱イオン化、バッテリーおよび燃料電池を含む電気化学的用途;医薬品および機能性食品成分を含む放出制御用途;パートラクション、パーベーパレイションおよび接触器用途;酵素の固定化、加湿器、薬物送達のいずれか1つのための請求項1〜11のいずれか一項に記載の微孔性膜または請求項12〜16のいずれか一項に記載の方法によって得られた微孔性膜の使用。
【請求項18】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の微孔性膜または請求項17に記載の膜構造が使用される分離方法。
【請求項19】
アルコールと、0.1〜30重量%の水と、1〜50重量%の塩と、0.1〜10重量%の、重量平均分子量が2〜100kg/モルのポリアミドとを含み、重量パーセント(重量%)は、ポリマー溶液の全重量に対するものであるポリマー溶液。

【公表番号】特表2011−502775(P2011−502775A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533599(P2010−533599)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065593
【国際公開番号】WO2009/063067
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】