説明

高時空間解像度で遺伝子発現パターンをモニタリングするための単独細胞ベースのレポーターアッセイ

本発明は2本鎖ポリヌクレオチドであって、その5’末端からその3’末端に向けて考慮されるそのプラス鎖上に、(i)決定された細胞に対し内在性である遺伝子から選択された関心対象遺伝子のプロモーター、又は様々な関心対象遺伝子の2以上のプロモーター、及び(ii)1又は2以上のバーコードを含んでなり、各バーコードが、少なくとも1つの、特に複数の認識結合部位から形成された少なくとも1つのバーコード単位を含み、各結合部位が、ヌクレオチド配列で構成され、かつ該バーコードは各々、転写について該プロモーターの少なくとも1つの制御下にある、2本鎖ポリヌクレオチドに関する。
本発明は更に、生細胞内、特に単細胞内の遺伝子発現パターンを、高速及び高時空間解像度で監視するための前記ポリヌクレオチドの使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写レポーターシステムを手段として用いる(recourse)、特に生細胞において、遺伝子発現パターンをモニタリングするためのアッセイに関する。本発明のアッセイは、該パターンの迅速かつ高時空間解像度に適した手段を提供する。本発明のアッセイは、遺伝子転写の定量的モニタリングのために更に使用することができる。
【0002】
本発明は、単独細胞においてこのデザインされたアッセイを実行する可能性を特に提供する。これは、特に生細胞においてこのデザインされたアッセイを実行する可能性も提供する。
【0003】
従って本発明は、生細胞において、RNAの、適当ならば特定のmRNAの生成をモニタリングすることができるアッセイを提供する。
【0004】
本発明の適用分野は、細胞ホメオスタシス若しくは細胞活性の調節、又は細胞ホメオスタシス若しくは活性の調節解除、又は他の細胞プロセスを決定するか又はモニタリングするために、遺伝子発現をモニタリングすることを包含している。
【0005】
本発明は、特に病原性物質若しくは生物、薬物、又は化学物質により引き起こされたストレスなどの細胞外事象によりチャレンジされた細胞において遺伝子発現をモニタリングすることができる。本発明により使用するための細胞は、原核細胞又は真核細胞のいずれかの種類を包含している。本発明の特定の態様において、これらの細胞は、病的状態に罹患した、宿主、特に哺乳類宿主、とりわけ患者から得ることができる。これは、生細胞における宿主/病原体相互作用の決定も包含している。
【0006】
従って本発明は、ハイスループット及びハイコンテントスクリーニングに適した手段を提供する。
【0007】
従ってこれは、創薬戦略において使用するためのツール、より一般的には生細胞における遺伝子発現のモニタリングを可能にし、かつスクリーニング目的の遺伝子プロファイリングを可能にするツールを提供する。本発明の具体的な適用は、細菌、ウイルス、寄生体などの病原性生物又は病原性物質に感染された患者の細胞をモニタリングすることを含む。従ってこれらのアッセイされた細胞は、感染されていても感染されていなくてもよい。本発明は、細胞における免疫学的反応をモニタリングするための手段、又は腫瘍細胞の発生若しくは確立をモニタリングするための手段も提供する。
【背景技術】
【0008】
生細胞は、特定の状況に対するそれらの生理の適応に必要である、それらの環境との一定の連絡状態にある。これらの連絡事象は、(i)ひとつの生物の個々の細胞間のクロストークのため(例えば、発生時)、又は(ii)外部からのストレスに対する有効な反応のために、重要な役割を果たす。ストレスは、物理的(例えば熱)、化学的(例えば有毒な化学物質)、又は生化学的(例えば病原菌)であってもよい。
【0009】
概して、細胞は、先に説明された状況時に細胞自身を調節するよう、特定の遺伝子の発現を変更する。特に遺伝子発現は、ストレスに対する釣り合いのとれた細胞反応を可能にするように、高度に時間的に調節される。この釣り合いの破壊は、疾患につながる。
【0010】
病原体により引き起こされたストレスの場合、これらのストレス要因は、宿主細胞の遺伝子発現を特異的に標的化しかつ破壊するように開発された戦略を有する(Arbibe, L.ら、「免疫応答に関与した宿主遺伝子の転写を変更するための転写因子NF-κBクロマチンアクセスを標的化する注入された細菌エフェクター」、Nat Immunol, 8, 47-56 (2007))。これは、宿主免疫応答との干渉につながり、かつ病原体の宿主免疫監視の回避につながり得る(例えば結核菌(Mycobacterium tuberculosis))(Monack DM、Mueller A、Falkow S、「持続細菌感染症:病原体と宿主免疫系のインターフェース」、Nat Rev Microbiol. 2004 Sep; 2(9):747-65)。同様の歪み(distortion)は、自己免疫疾患の誤調節時に生じる(例えば関節炎又は狼瘡)(Kyttaris VCら、「全身性紅斑性狼瘡における免疫細胞及びサイトカイン:改訂版」、Curr Opin Rheumatol. 2005 Sep; 17(5):518-22)。
【0011】
従って、精緻に調整された遺伝子発現反応の正確な理解は、ストレスに対する細胞反応の分子レベルの基礎、又は発生時に調節された細胞の工程の特異性を理解するために重要である。
【0012】
ポストゲノム時代は、様々なゲノムシステムから大量の情報を我々にもたらし、大規模で、かつハイスループットによる生物学的プロセスの複雑さの分析を可能にしている(Barabasi, A.L.及びOltvai, Z.N.、「ネットワーク生物学:細胞機能組織化の理解」、Nat Rev Genet, 5, 101-113 (2004))。これらの例は、質量分析によるタンパク質分析、及びタンパク質及びDNAのマイクロアレイによる転写及び発現のプロファイリングである(Pepperkok, R.及びEllenberg, J.、「システム生物学のためのハイスループット蛍光顕微鏡」、Nat Rev Mol Cell Biol, 7, 690-696 (2006))。
【0013】
生物学的システムの構成要素間の相互作用について、及びそれらがいかにして機能を生じるかについての理解は、システム生物学を研究する際の重要な目的である。多くのシグナル伝達カスケードにおける下流遺伝子の活性化に関する研究者らの現時点での情報のほとんどは、マイクロアレイデータ又はタンパク質遺伝子レポーターアッセイに由来している(Pepperkok, R.及びEllenberg, J.、「システム生物学のためのハイスループット蛍光顕微鏡」、Nat Rev Mol Cell Biol, 7, 690-696 (2006))。マイクロアレイアプローチは、数百万個の細胞の挙動に関する集団情報又は「一斉調査(census)」情報を提供することができる。しかし各細胞は、シグナリングカスケードに対する反応の異なる相に従事している可能性が最も高く、かつ測定されるものは、より全体的かつ一般的画像である。このモザイク状の画像内で、情報は、特定の細胞が、それらの遺伝子反応の特定相に従事しているような状態にある。理論的にこれは、その経路が活性化される場合に時間的に関連することができ、かつどのようにしてそのような動的なシグナル伝達カスケードが機能するかの機構モデルを構築する上での助けとなる。しかしそのような転写反応に関する正確な時間的情報は、マイクロアレイデータの「ノイズ」又は確率論的変動の中に隠蔽される。
【0014】
高分子の高時空間解像度でのそれらの自然環境における探索は、生細胞における蛍光ベースのイメージングアッセイの使用により可能になってきている(Pepperkok, R.及びEllenberg, J.、「システム生物学のためのハイスループット蛍光顕微鏡」、Nat Rev Mol Cell Biol, 7, 690-696 (2006);Bastiaens, P.I.及びPepperkok, R.、「天然の生息環境である生細胞におけるタンパク質の観察」、Trends Biochem. Sci. 25, 631-637 (2000);Meyer, T.及びTeruel, M.N.、「シグナルネットワークの蛍光イメージング」、Trends Cell Biol. 13, 101-106 (2003);Wouters, F.S.、Verveer, P.J.及びBastiaens, P.I.、「細胞内の画像生化学」、Trends Cell Biol. 11, 203-211 (2001)。原則としてこれらは、タンパク質の天然の生息環境におけるタンパク質の探索に使用することができ、それらの生化学的相互作用を取り調べる。しかしこれは、例えばmRNAの転写の観察を通じた、遺伝子発現の動態の画像化に容易には拡大されていない。単独細胞レベルでこの活性を試験することは、シグナル伝達カスケードの活性化(生化学的事象)と特異的転写反応の間の時間的関係が、正確に関連付けられることを可能にするであろう。
【0015】
これは蛍光タンパク質アッセイ又はルシフェラーゼアッセイなどの遺伝子レポーターアッセイにより試みられているが、測定されるものは、転写反応に従事した最も可能性のある数百の遺伝子の中の単独の遺伝子の翻訳リードアウトであり転写リードアウトではない。しかし遺伝子発現の速度論は、mRNAの転写とタンパク質への翻訳の間に遅滞が存在するので、タンパク質の出現により直接推論されることはできない。翻訳は転写よりも遅れるので、遺伝子間の正確な時間的関係を描く能力は、依然うまくいっていない。おびただしい量のデータにもかかわらず結果として、機能的経路の活性化の間の時間的関係は、依然明らかでない。これらの欠陥は、免疫経路と炎症経路の間の時間的関係を研究する場合に、特に認められる(Karin, M.、「癌の発生及び進行における核因子κB」、Nature, 441, 431-436 (2006);Karin, M.、Lawrence, T.及びNizet, V.、「先天性免疫の消失:微生物感染症と慢性炎症及び癌との関連」、Cell, 124, 823-835 (2006))。今日まで、GFP及び同等のタンパク質と同様の方法でmRNAの標識に使用することができる遺伝的にコードされたタグは存在しない。
【0016】
ハイコンテントスクリーニングは、細胞システムにおける生物学的リードアウトが、インビボにおける定量的データの収集に適している場合に、該システムにおける複数の生化学的及び形態学的パラメータの評価を可能にする。単独細胞の画像化を、画像解析アルゴリズムと組合せることにより、その生物学的システムの個々の構成要素が、定量的特徴に割り当てられる(Genovesio, A.、Belhassine, Z.及びOlivo-Marin, J.、「ガウス型ベイシアン多標的追跡におけるアダプティブゲーティング」、Image Processing, 2004. ICIP'04. 2004, 国際会議1 (2004);Bork, P.及びSerrano, L.、「4D細胞システムへ向けて」、Cell, 121, 507-509 (2005);Genovesio, A.、Zhang, B.及びOlivo-Marin, J.、「移動する蛍光生体スポットを追跡するための相互作用型マルチモデルベースの方法」、Biomedical Imaging: Macro to Nano, 2004. IEEE国際シンポジウム, 1239-1242 (2004);Olivo-Marin, J.、「マルチスケール生成物を使用する生物学的画像スポットの抽出」、Pattern Recognition, 35, 1989-1996 (2002))。このように、動的システムの性質はモデル化可能であり、真のシステム生物学を可能にする。
【0017】
現在研究者らは、画像ベースのアプローチを用い、生細胞中のシグナル伝達経路におけるタンパク質相互作用に関する定量的情報を収集することができる(Starkuviene, V.、「分泌膜輸送における役割が推定される新規タンパク質を同定するハイコンテントスクリーニング顕微鏡」、Genome Res. 14, 1948-1956 (2004);Liebel, U.、「未変性の細胞における大規模機能性タンパク質分析のための顕微鏡ベースのスクリーニングプラットフォーム」、FEBS Lett. 554, 394-398 (2003);Bastiaens, P.I.及びPepperkok, R.、「天然の生息環境である生細胞におけるタンパク質の観察」、Trends Biochem. Sci. 25, 631-637 (2000))。しかし所定の刺激又は異なる遺伝的背景に反応したシグナル伝達カスケード内の転写活性の定量的レベルを報告するmRNAレベルでのインビボにおける単独細胞ベースの転写情報は、未だ現実味がない。この目標を達成することは、シグナル伝達カスケードにおける転写を正確にモデル化することを可能にし得る。
【0018】
インビボ(すなわち生細胞内)において個々のmRNA複合体を辿りかつ追跡する能力は、著しく進歩している。しかしほとんどのアプローチは、空間において及び実時間で追跡されるmRNAと同時に、シグナル伝達カスケード事象に関与したタンパク質を同時視覚化する能力がないことに悩まされている。更なる進歩は、遺伝子発現に関与したシグナル伝達タンパク質の間の編成された(orchestrated)関係を理解するための、空間時間的に解像された研究を可能にし、かつ遺伝子発現が始まる時点、その発現量の正確な決定、及び遺伝子発現の定量的モデルの開発をもたらすであろう。
【0019】
個々の転写産物の輸送は最近、MS2レポーターシステムを使用し可能になってきている。このアプローチに関するひとつのプラスミドは、1本鎖ファージRNAファージキャプシドタンパク質MS2のコード配列に融合された緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードしている。このMS2キャプシドタンパク質は、該ファージによりコードされた短いステムループ構造(MS2結合配列)により、特異的RNA配列に高い親和性を有している。第二のプラスミドは、6、12又は24個のコピーのいずれかで多量体化されたMS2結合配列を含む。両方のプラスミドは、GFP−MS2の誘導性発現のために、細胞へ又はあるいは株化細胞へ同時トランスフェクションされる。個々の転写産物はこのアプローチで追跡されることができるにもかかわらず、その転写速度のモニタリングは、同じく転写産物の非存在下でのGFP−MS2タンパク質蛍光のために、問題が多い。従ってこれは、転写プロファイリングの定量試験には適していない(Bertrand, E.ら、「生酵母におけるASH1 mRNA粒子の局在化」、Mol. Cell, 2, 437-445 (1998);Shav-Tal, Y.ら、「生細胞の核内での単独mRNPの動態」、Science, 304, 1797-1800 (2004))。
【0020】
分子ビーコンは、相補的mRNA配列に特異的にハイブリダイズする時にのみ蛍光を発するヌクレオチドプローブであるが、これは遺伝子発現の可視化の問題の一般的解決を提示している(Tyagi, S.及びKramer, F. R.、「分子ビーコン:ハイブリダイゼーション時に蛍光を発するプローブ」、Nat Biotechnol 14, 303-308 (1996))。これらは、蛍光タンパク質及び示差光学顕微鏡及び画像解析技術と組合せて、定量生物学において使用される可能性がある。しかし、特にハイブリダイズされたプローブの定量測定が企図される場合に、これらのプローブにより送達されるシグナルの関連性の可視化及び分析を可能にするためには、依然改善が必要である。
【0021】
生細胞において同様のハイブリダイゼーションアッセイを実行するには、2以上の制約が存在し、それらの中でも主なものは、インビボにおいて複雑な二次構造で認められるmRNA配列とうまく対形成する該プローブの能力である。加えて、この標的核酸は該プローブの導入前には不動化されないか又は固定されないので、mRNAのタンパク質及びリボソームとの動的相互作用は絶えず生じ、このことはmRNAポリマーの多くの領域が他の細胞の作用主体(actor)との相互作用に連動していることを意味している。
【0022】
以前に、最小CMVプロモーターと結合された修飾されたテトラサイクリン反応エレメントに融合された96ビーコン結合部位を含む構築物を用い、個々のmRNA転写産物が生細胞内で追跡された(Vargas D.Y.ら、「核内のmRNA輸送の機序」、PNAS, 102, 47, 17008-17013 (2005))。そのような構築物が、レポーターを誘導することは、真核細胞内の転写機構により認められていない。むしろこのレポーターシステムは、操作された因子であるテトラサイクリン−制御されたトランス活性化因子の存在を必要とする。このトランス活性化因子は、細菌Tetリプレッサー分子及び最小VP16トランス活性化ドメインの反復単位の操作型からなる。このレポーターシステムは、該細胞に添加されたテトラサイクリン量によって左右される厳密に調節された転写を保証するために使用される。まとめるとこのレポーターシステムは、それらの天然のプロモーターからの真核細胞における内在性遺伝子の発現の研究をもたらさず、かつこれは、(i)転写を活性化するために操作された因子、及び(ii)転写のインデューサーとしてのテトラサイクリン:の存在を必要としている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、タンパク質成熟により引き起こされる予測不能な実験上の時間遅延を誘導する、例えば蛍光レポータータンパク質のような、レポータータンパク質をベースにした先に説明された公知のアッセイの欠点を克服するアッセイを提供する。この状況において、本発明者らは、高感度の核酸ベースのレポーターを基にした単独細胞レベルでの実時間で転写の変化を調べるための方法及び好適なツール及び製品を開発した。
【0024】
本発明は、特に個々の細胞、すなわち単独細胞における遺伝子プロファイリングに適している、インビボにおける、すなわち生細胞における遺伝子発現の画像化においてブレークスルーとなるイメージング技術を開発することにより、システム生物学の研究を強化するために適した手段を提供する。
【0025】
本発明の方法、アッセイ及び製品は、特に慣習的実践における、生細胞におけるmRNAの系統的タグづけの方法を提供する。
【0026】
本発明を実行するために使用されるタグは、実験により定義されているが、それでもなお多くの遺伝子のプロファイリングのための体系化された使用に適している、核酸ベースのタグである。
【0027】
本発明の方法、アッセイ及び製品は、単にシステム生物学の進歩のみではなく、最も重要なことに基礎研究及び臨床研究のためにデザインされている。
【0028】
生細胞内の全ての細胞プロセスは、遺伝子の特異的サブセットの厳密に編成された発現を介して調節される。遺伝子発現の調節解除は、遺伝子発現のホメオスタシスの破壊に、及び最終的には疾患に繋がる。このことは、本発明を手段として用いモニタリングされ得る。
【0029】
重要なことに、病原体又は薬物は、シグナリング経路と干渉し、潜在的にその細胞の遺伝子発現パターンを変更することが多い。本発明は、転写レベルにおける細胞の遺伝子発現に対するそのような干渉をモニタリングすることができる。
【0030】
遺伝子発現プログラムは、生細胞において急速に変化し、それらの研究に関する驚異的な技術上の挑戦を誘発している。完全に実現された本発明は、細胞ホメオスタシスの慣習的研究を可能にし、かつひとつの態様により、感染症及び疾患、発生及び免疫応答に関連した転写反応の同定を可能にする。これは、疾患、免疫応答において、及び成長及び発生時に発現される遺伝子の経路及び調節ネットワークの同定を特に助ける。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1A】分子ビーコンの原理を表す図である。
【図1B】分子ビーコンバーコードヌクレオチドの原理を表す図である。
【図1C】分子ビーコン及びビーコンバーコード構築物を使用する生細胞ベースのアッセイの原理を表す図である。
【図2A】条件1:TNFα誘導を伴うIL8WT及び条件2:誘導を伴わないIL8WTの結果を表す図である。
【図2B】条件3:TNFα誘導を伴うIL8Mut(NFKB/AP1変異体)及び条件4:誘導を伴わないIL8Mut(NFKB/AP1変異体)の結果を表す図である。
【図3】条件1:シゲラ・フレックスネリM90Tを伴うIL8WT、条件2:シゲラ・フレックスネリM90Tを伴うIL8MUT、及び条件3:シゲラ・フレックスネリOspFを伴うIL8WTの結果を表す図である。
【図4A】シゲラ・フレックスネリM90TとインキュベーションされたIL8WT細胞の結果を表す図である。
【図4B】シゲラ・フレックスネリM90TとインキュベーションされたIL8MUT細胞の結果を表す図である。
【図4C】シゲラ・フレックスネリM90T侵入後の、IL8転写誘導の速度論を表す図である。
【図5A1】二重色コーディングスキームを表す図である。
【図5A2】二重色コーディングスキームを表す図である。
【図5B】三重色コーディングスキームを表す図である。
【図5C】三重色コーディングスキームを表す図である。
【図6−1】コアベクターの調製に使用された挿入断片のヌクレオチド配列を表す図である。
【図6−2】コアベクターの調製に使用された挿入断片のヌクレオチド配列を表す図である。
【図6−3】コアベクターの調製に使用された挿入断片のヌクレオチド配列を表す図である。
【図6−4】コアベクターの調製に使用された挿入断片のヌクレオチド配列を表す図である。
【図6−5】コアベクターの調製に使用された挿入断片のヌクレオチド配列を表す図である。
【図6−6】コアベクターの調製に使用された挿入断片のヌクレオチド配列を表す図である。
【図7A】ヒグロマイシン耐性遺伝子を発現するベクタープラスミド構築物を表す図である。
【図7B】カナマイシン耐性遺伝子を発現するベクタープラスミド構築物を表す図である。
【図7C】ゼオシン耐性遺伝子を発現するベクタープラスミド構築物を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
この目的を満たすために、本発明は、その5’末端からその3’末端で考えられるそのプラス鎖上に、(i)関心対象遺伝子のプロモーター、又は様々な関心対象遺伝子の2以上のプロモーター、及び、(ii)1つ又は2以上のいわゆるバーコード:を含む、2本鎖ポリヌクレオチドであって、各バーコードは、少なくとも1つの及び好ましくは複数の認識結合部位から形成された少なくとも1つのバーコード単位を含み、各認識結合部位は、ヌクレオチド配列で構成され、かつ該バーコードの各々は、転写のための該プロモーターの少なくとも1つの制御下にある、2本鎖ポリヌクレオチドを提供する。
【0033】
前記認識結合部位又は相補的ヌクレオチド配列は、単独の検出プローブ、すなわち分子プローブ(核酸ベースのプローブ)により認識されかつ結合されることができる。
【0034】
特定の実施態様において、この認識結合部位の数は、1よりも多く最大500である。これは特別には100を上回ることができる。
【0035】
従って該バーコードが2つ以上の認識結合単位を含む場合、各結合単位は、単独の検出プローブにより認識される。
【0036】
特定の実施態様において、該バーコード単位又は該バーコードの2以上のバーコード単位の少なくとも1つは、互いに全て同じである複数の認識結合部位により構成される。
【0037】
本発明に従い、プロモーターの制御下で発現されるバーコードを構成している核酸の転写産物は、検出プローブ、特に核酸ベースの検出プローブ(分子プローブ)により検出される。該検出プローブは、該バーコードの認識部位の転写産物を認識する。
【0038】
前述のポリヌクレオチド内のプロモーター、認識結合部位、バーコード単位、バーコード、関心対象遺伝子に関して本明細書において明らかにされたものは、ひとつのポリヌクレオチドにおいて会合された場合又は様々なポリヌクレオチド内に存在する場合に、これらの実体の2以上又は全てに同様に適用され得る。
【0039】
本明細書に定義されたポリヌクレオチドの特徴は、互いに独立して又は互いにいずれか可能性のある組合せでポリヌクレオチド中に存在する可能性がある。
【0040】
明白に除かれた場合を除き、実施例において明らかにされた特徴を含む、これらの特徴のいずれも、組合せられることができ、定義されたポリヌクレオチドの特定の実施態様を提供することは特に指摘される。
【0041】
本ポリヌクレオチド中に含まれるプロモーターは、遺伝子プロファイリングが本発明により研究されることが決定された細胞に対し内在性である遺伝子の中で選択された関心対象遺伝子のひとつである。
【0042】
特定のポリヌクレオチドは、バーコードにおいて、認識結合部位の少なくとも2つが隣接され、及び/又はバーコード単位の少なくとも2つが隣接されるようにデザインされる。
【0043】
別の特定のポリヌクレオチドにおいては、バーコード単位内の認識結合部位の少なくとも2つはスペーサーにより分離され、及び/又はバーコード単位の少なくとも2つはスペーサーにより分離されている。
【0044】
得られた構築物が、好適な条件において、バーコード、特にその転写産物が核酸ベースの検出プローブとハイブリダイズする場合に、検出シグナルが検出され、特にスイッチが入ることができることを条件として、特定のポリヌクレオチド構築物のこれらの定義は、隣接及び/又は分離された認識結合部位又はバーコード単位又はバーコードの可能性のある組合せを包含している。
【0045】
細胞内の遺伝子プロファイリングをアッセイするために使用される場合、本発明のポリヌクレオチドのプロモーターにより駆動されたmRNAの転写を試験することにより、該ポリヌクレオチドのRNA転写産物又はそれらの一部の、検出プローブとのハイブリダイゼーション反応が生じる。
【0046】
本発明のアッセイにおいて使用される能力がある検出プローブの決定に関して、ハイブリダイゼーション能は、1本鎖分子として提供された本発明のポリヌクレオチドにより試験することができる。便宜上、本出願において該ポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションが言及される場合、該ポリヌクレオチドの1本鎖とのハイブリダイゼーション、又は本発明の遺伝子プロファイリング発現アッセイの実行の状況においてはその転写産物とのハイブリダイゼーションを包含することが理解されなければならない。
【0047】
前述の2本鎖ポリヌクレオチドは、特に試験ハイブリダイゼーションを実現するための、本発明の適用における2以上の段階で、1本鎖DNA又はRNAポリヌクレオチドとして存在し、転写され、又は使用されることができるDNA配列である。技術的に妥当な程度まで、2本鎖ポリヌクレオチドに関して明らかにされた特徴は、その1本鎖DNA又はRNA型に適用される。
【0048】
関心対象の2本鎖ポリヌクレオチドは、そのプロモーターがポリヌクレオチド構築物において使用される関心対象遺伝子を天然に収容しかつ恐らく発現する細胞において適しており、かつ使用される。
【0049】
本発明の特定の実施態様において、2本鎖ポリヌクレオチドは、その5’末端(そのプラス鎖上)が、関心対象遺伝子のプロモーター配列で本質的に始まり、かつその3’末端が、認識結合部位の配列で本質的に終結するようにデザインされている。従って本発明のそのような特定のポリヌクレオチドは、本明細書に明らかにされたプロモーター及び認識結合部位により枠組み(frame)され、かつ更なる5’及び3’配列のいずれも含まないか、又はクローニング工程で有用であるエンドヌクレアーゼ制限部位若しくはそれらの一部を示す5’及び/若しくは3’ヌクレオチドノミのみを更に含むかのいずれかである。恐らくバーコード単位でアレンジされた、認識結合部位で作製されたバーコードが、必ず上流に配置されたプロモーターの発現制御下にあるように、該ポリヌクレオチドは、前述の開始プロモーターと終結認識結合部位の間に、追加の連続する認識結合部位及びプロモーター配列を含んでいてもよい。本ポリヌクレオチドは、更なる3’配列、例としてポリA尾部及び/又は3’−転写終結シグナルなどを含むことも可能である。本ポリヌクレオチドは、該プロモーターに対しより遠位配列である関心対象遺伝子の配列、例えばエンハンサー領域の配列及び/又は他の発現調節配列なども含んでいてもよい。このプロモーター配列は、標準の定義に従い、転写開始点を決定し、かつ転写因子の認識及び結合を、及び直接又は間接に細胞のポリメラーゼの認識及び結合を可能にし、RNA伸長を可能にする遺伝子内の領域である。このプロモーターは一般に、TATAボックス配列を含む。
【0050】
特定の実施態様において、本プロモーターは、真核細胞遺伝子由来のものである。
【0051】
更にプロモーター及びバーコードで作製された本発明のポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド断片は、レポータータンパク質の発現のための配列及び/又は該プロモーターを提供する遺伝子のコード配列を含む、関心対象のDNAコード配列を更に含んでいてもよい。そのようなポリヌクレオチド断片は、ポリヌクレオチド内で互いに隣接されるか、又は更なる核酸配列により隔てられてよい。
【0052】
本明細書において開示されたように認識結合部位は、そのヌクレオチド配列、特にその転写産物が、該認識結合部位と、特にその転写産物と塩基対形成することが可能である相補的ヌクレオチド配列などの、ヌクレオチド−ベースのプローブを構成する別のポリヌクレオチドによる認識に適している、ヌクレオチド配列、特にDNA配列を含んでなるか又はからなる。本発明のポリヌクレオチドが使用される場合、その認識結合部位の転写産物は、発現され、かつプローブと塩基対形成し、検出され得るポリヌクレオチドの転写産物のレベルで、測定可能な変化を生じるのに十分な様式で、該プローブにより認識される。
【0053】
本発明の特定の態様において、前記バーコードの認識結合部位は、ビーコン結合部位、すなわち、ビーコンプローブで認識されかつそれとの結合に適している部位である。この態様に従い、本バーコードは、1又は2以上のビーコンプローブにより認識されたビーコンバーコードである。ビーコンプローブは、以下により詳細に明らかにされている。
【0054】
本発明により「関心対象遺伝子」の表現は、ポリペプチド(その長さはいかなるものでも)をコードするために、好適な環境条件において、特に細胞内で、転写されかつ翻訳されることができる、転写単位を含む、ヌクレオチド配列又は構築物に関連する。好ましい実施態様において、関心対象遺伝子は、細胞構造遺伝子、アクセサリー遺伝子若しくは調節遺伝子、又は細胞のホメオスタシス、調節若しくは代謝に関するいずれか他の関連遺伝子である。
【0055】
本発明のポリヌクレオチドのプロモーターを提供する関心対象遺伝子は、該ポリヌクレオチドが、ポリヌクレオチド転写試験のために導入され、その結果未変性のプロモーターを提供する細胞において、すなわち細胞の遺伝子内においてプロモーターとして機能する能力を天然に収容している細胞において、内在性である。従って本プロモーターは、該細胞に対し内在性であると言われる。この表現は、本プロモーターが、外部転写因子又は他の発現調節構成要素をもたらすことを必要とせずに、細胞の転写因子及びポリメラーゼを含む、細胞(特に真核細胞)の内部転写機構により認識されることも意味する。別の言い方をすると、本プロモーターは、その転写活性が試験される細胞の、又は本明細書に明らかにされたようなプロモーターに由来する細胞の天然のプロモーターである。本発明の目的のために、そのような未変性の又は天然のプロモーターは、変更されてよく、特に該ポリヌクレオチド内のそのような変種プロモーターを使用する場合にそのような変更の影響を試験するために、1又は2以上のヌクレオチドの付加、欠失、挿入により変異される。
【0056】
本発明の関心対象遺伝子の例は、特に治療戦略に関与した遺伝子である。特定の実施態様において、これらは、直接若しくは間接のいずれかで、病原性生物若しくは物質の標的であるか若しくはこれらにより活性化されるか若しくは阻害されるか、又は直接若しくは間接のいずれかで、薬物の標的であるか若しくはこれらにより活性化されるか若しくは阻害されてよい。これらは、薬物又は候補薬物などであってよい。
【0057】
「関心対象遺伝子」及び従って本発明の2本鎖ポリヌクレオチドに挿入されたプロモーターのこの定義において、本発明を実行するのに有用である原核細胞又は真核細胞のいずれかの細胞の内在性遺伝子は、細胞外刺激に対する反応に、特に細胞外ストレス、例えば病原性生物若しくは物質により、又は特に熱若しくは有毒な化学的若しくは生化学的配合物若しくは病的状態などの物理的刺激により誘導されたものなどに対する反応に、直接若しくは間接のいずれかで関与した遺伝子である。
【0058】
特定の実施態様において、細胞遺伝子発現の破壊により影響されるか又は遺伝子発現の調節解除に関与されていると決定された細胞の遺伝子は、関心対象遺伝子であってもよい。
【0059】
関心対象の特定の細胞の内在性遺伝子の例は、特定の試験される細胞の又はこれらの細胞を含む生物全体のホメオスタシス又は発生に関与している遺伝子であり、免疫系に関与した遺伝子、腫瘍又は癌状態などの病的状態において誘導又はサイレンシングされた遺伝子を含むが、これらに限定されるものではない。
【0060】
そのような遺伝子の詳細な例は、免疫グロブリン又はそれらの抗原-結合断片をコードする遺伝子、特に抗原-結合能を有する抗体の重鎖の可変断片をコードする遺伝子である。
【0061】
その他の例は、Tリンパ球上に認められる受容体を含む、細胞受容体又は可溶性受容体のいずれかの、受容体をコードする遺伝子を含む。
【0062】
遺伝子プロファイリングに関して標的化され得る免疫系の遺伝子の詳細な例は、TgF−β遺伝子、C−fos遺伝子、ICAM遺伝子、特にICAM−1遺伝子、CCL20遺伝子、インターフェロンγ遺伝子を包含している。
【0063】
遺伝子プロファイリングに関する関心対象のその他の遺伝子は、インターロイキン遺伝子、例えばIL10遺伝子及びIL8遺伝子を含む。
【0064】
関心対象遺伝子の更なる例は、腫瘍関連抗原をコードする遺伝子、特に以下に列記された白血病に関与した遺伝子である:例証を目的として、下記のLSC Fate採択(adoption)の遺伝子指標が試験される:
L−GMPマーカー遺伝子(’初期’)マウス:Meis1、HoxA9、HoxA10、MYLK、HoxA5、Stau2;及び、MLL−AMLマーカー遺伝子ヒト:Meis1、HoxA9、HoxA10、HoxA5。
別の実施例において、下記のようなALL、MLL及びAML白血病において高度に発現された遺伝子が、プロファイリングされる:
ALLマーカー遺伝子:MME(CD10)、CD24、DYRK3、FOXO1A、
MLLマーカー遺伝子:FLT3、KIAA0428、NKG2D、ADAM−10、PROML−1、KIAA1025、LGALS−1、CCNA−1、DKFZp586O0120、ITPA、CDNAag36C04、KIAA0920、LMO−2、
AMLマーカー遺伝子:GJB−1、BSG、ENSA、CTSD、DF、TFDP−2、DRAP−1、NF2、CDNA20C10、PDE3B、ANPEP、Chrm19クローン、Chrm22q11クローン、RTN2、CRYAA。
【0065】
従って表現「プロモーター」又は「プロモーター配列」は、本発明に従い、そのようなプロモーターを含む遺伝子が通常内在性かつ未変性である細胞内で、該細胞の細胞転写因子及びポリメラーゼの認識及び結合の結果として、本発明のポリヌクレオチドにおいてその制御下に配置されたDNA配列の転写の活性化を提供するのに適している構築物中に存在するDNA配列を指している。この遺伝子のプロモーターは、細胞の機構により、認識されかつ活性化されることが自然に可能であり、本ポリヌクレオチド構築物による該細胞のトランスフェクション後に、転写又は発現がアッセイされる。
【0066】
本発明の実行に適したプロモーター配列は、関心対象の未変性の遺伝子の天然のプロモーターであってもよい。あるいは、これは、本明細書に説明されたように内在性プロモーターに由来することができ、従って、特に例えば1又は2以上のそのヌクレオチドの欠失、挿入及び/又は置換により変異された配列を有し、かつその転写活性が試験される、修飾されたプロモーターである。従って本発明の目的に関して、プロモーターの活性を試験するためか又は該プロモーターの修飾された対応物の活性を試験するためのその調製に際して、関心対象遺伝子の内在性プロモーターへの又はそのヌクレオチド配列により提供された情報へのアクセスが、その同定を可能にするために必要とされるのに対し、該遺伝子の全配列への又は更にはそのコード配列へのアクセスは、必要とされない。より一般に本発明は、候補プロモーターであることができる細胞内の任意のヌクレオチド断片の推定される転写活性をアッセイする手段を提供する。プロモーターに関するこれらの様々な定義に応える配列は、合成(例えばPCRによる、化学合成又は増幅)により調製されるか、又は任意の利用可能な技術に従いクローニングされてよい。
【0067】
本内在性プロモーターは有利なことに、真核細胞遺伝子のプロモーターである。従って転写又は発現が試験される細胞は、有利なことに真核細胞である。
【0068】
Vargas D.Y.らの論文(PNAS, 2005)において明らかにされたドキシサイクリン反応性プロモーターなどのプロモーターは、本発明の未変性のプロモーターでも、本明細書において定義された変種プロモーターでもない。
【0069】
本明細書に定義された「プロモーター」は、転写活性化の引き金をひくために明らかにされた活性を有するDNA断片からなるか、又は該DNA断片を含む。好ましくはこれは、関心対象遺伝子の全コード配列を欠いている(すなわち未熟mRNAとして又はmRNAとして転写される配列)か、又はこれは、関心対象遺伝子のコード配列のわずか20%未満を含む。このプロモーター配列は、特に、該遺伝子を発現する細胞においてプレmRNAとして転写されるDNA配列ではない。
【0070】
本発明の特定の実施態様に従い、このプロモーター活性は、転写が試験される細胞に対し異種である分子又はそのような細胞と接触される分子を誘発又は相互作用することなく試験される。「異種」とは、該細胞により天然に発現されない分子を意図している。該細胞と接触される分子は、本アッセイの目的に追加される。
【0071】
別の実施態様により、本2本鎖ポリヌクレオチド構築物のプロモーターの転写活性は、該細胞に対し異種である分子又は該細胞と接触される分子の誘発又は影響下で試験され、及び、直接又は間接のいずれかで本発明のポリヌクレオチドの関心対象遺伝子のプロモーターの転写活性とのそれらの相互作用能が試験される。そのような分子は、実施例において例証のために提供され、特にサイトカイン、インターロイキン又はケモカイン、例えばインターロイキンであるTNFα、IL−1などを含む。
【0072】
本発明の特定の実施態様において、関心対象遺伝子のプロモーターは、ケモカイン遺伝子などの内在性遺伝子のプロモーター、特にインターロイキン8遺伝子又はインターロイキン10遺伝子又はCCL20遺伝子のプロモーター、インターフェロン遺伝子のプロモーター、特にインターフェロンγ遺伝子のプロモーター、又は腫瘍関連タンパク質遺伝子のプロモーターの群から選択される。
【0073】
例として列挙されたその他のプロモーターは、TGFβ遺伝子、ICAM遺伝子又はc−fos遺伝子のプロモーターである。
【0074】
本発明の特定の実施態様において、関心対象遺伝子のプロモーターは、オートクリン機構を介してアッセイされる細胞の内側に存在するか又は発現される分子により誘発される。
【0075】
別の実施態様により、本2本鎖ポリヌクレオチド構築物のプロモーターの転写活性は、該プロモーター活性との直接又は間接の相互作用の可能性について試験される物質、特に病原性物質により誘発又は影響される。
【0076】
本発明により、「バーコード」は、少なくとも1個の認識結合部位を含むDNA構築物、すなわち認識され、かつ分子プローブへの、すなわち核酸ベースのプローブ、例えば本明細書において説明されたビーコン型のプローブなどを含むDNAベースのプローブへ、特にその転写産物によりハイブリダイズすることに適した部位を含むDNA構築物である。好ましくは本発明のバーコードは、2つよりも多い若しくは3つよりも多い認識結合部位を、及び/又はより好ましくは2つよりも多いバーコード単位若しくは3つよりも多いバーコード単位を含み、各単位は、1つ又は2以上の(例えば3つ以上の)認識結合部位の複数の反復配列を含んでなるか又はからなる。
【0077】
本発明の特定の実施態様において、プローブはビーコンであり、かつバーコードは、ビーコン結合部位を伴うビーコンバーコードである。
【0078】
2以上の認識結合部位又は2以上のバーコード単位がバーコードに存在する実施態様において、該結合部位又はバーコード単位の少なくとも一部は、スペーサーにより分離されている。
【0079】
従って、認識結合部位及び/又はバーコード単位は、1〜250個のヌクレオチド又はヌクレオチド配列の、特に1、2、3、4、5、6、7、8個のヌクレオチドの介在により分離されることができる。
【0080】
本発明のバーコード及び/又はバーコード単位は、追加的に、その5’−及び/又は3’−末端に配置された1つ以上の制限部位により先行されるか又は後続されるか又は枠組みされてよい。これらの異なる種類の配列とは別に、特定の実施態様において、本バーコードは、転写を誘発するか又は転写を供する配列を含む、転写に関与した更なる機能配列を欠いていてよい。
【0081】
本発明の特定の実施態様において、本ポリヌクレオチドは、少なくとも機能プロモーター構築物により互いに分離されている2以上のバーコードを含む。従って各バーコードは、本明細書において定義されたような特定の転写プロモーターの制御下に配置されている。
【0082】
本発明の特定の実施態様において、各バーコード及び/又は各バーコード単位は、好適な条件で該プローブと接触した場合に、その転写産物のプローブ配列とのハイブリダイゼーションを可能にするのに適している少なくとも1つの配列の縦列反復配列を含む。
【0083】
特定の実施態様において、各バーコード及び/又は各バーコード単位は、2つの異なる認識結合部位の反復配列、又は2つよりも多い、特に3つ以上の認識結合部位の反復配列を含み、各認識結合部位は、転写される場合に、特異的プローブ配列とハイブリダイズするのに適している。
【0084】
本発明の特定の実施態様において、本バーコード及び/又はバーコード単位は、転写された場合に、好適な条件で該プローブと接触され、異なるプローブ配列とハイブリダイズするのに適している、少なくとも2つ、特に3、4、5又はそれよりも多い異なる配列の縦列反復配列を含む。
【0085】
本発明は特に、図6においてそれらのヌクレオチド配列により図示され、かつAB、BC、若しくはACとして指定されたビーコン結合部位に関し、又はAB反復配列、BC反復配列、AC反復配列、若しくはコアベクター内でもう一方の方向に挿入された場合、AB逆方向配列(inverse)、AC逆方向配列若しくはBC逆方向配列として使用されるかどうかにかかわらず、これらの結合部位の反復配列に関する。本発明は、図6の配列に由来することができるA、B及びC結合部位にも関する。
【0086】
本発明の別の実施態様において、1つのバーコード又は1つのバーコード単位の認識結合部位の配列は、同一であるが、しかし転写された場合には、異なる特異的プローブとハイブリダイズすることが適しており、様々なプローブ間の差異は、異なる蛍光部分又は発光化合物などの異なるシグナル分子を生じる、認識されかつハイブリダイズされたポリヌクレオチドの異なる測定可能な変化を生じる。
【0087】
認識結合部位の構成に適した好適なヌクレオチド断片の同定は、本発明に従い実行されるアッセイによって決まる状況である。別の実施態様において、そのようなヌクレオチド断片は標準化されることができる。
【0088】
特定の実施態様において、認識結合部位を調製するために使用される配列は、スクリーニング時に利用可能なデータベースにおいて示されるようには、本ポリヌクレオチドが導入された細胞のトランスクリプトーム内では認められず、特に哺乳類のトランスクリプトーム内では、特にヒトトランスクリプトーム内では認められない。特に、認識結合部位を調製するために使用される配列は、非-哺乳類生物に由来する。そのような生物の詳細な例は、好適な配列の同定のための給源を提供するショウジョウバエ(Drosophila)である。
【0089】
RNA配列内に含まれる場合に、アクセス可能な結合部位を収容すると考えられる配列に関するデータを提供する「mfold」などの利用可能なアルゴリズムを手段として用い、配列の予備選択を行うことができる。従ってこのmRNAの二次構造は、核酸ハイブリダイゼーションプローブによる結合にアクセス可能である可能性のあるハイブリダイゼーション部位を同定することにより決定される。そこには証拠のラージボディが存在し、このことはヘテロ二本鎖形成は、主としてRNAの局所的二次構造及びフォールディングにより拘束されることを示唆している。その核酸プローブの組成及び長さは、余り重要でないように見える。その後アルゴリズムにより同定された候補プローブは、インビトロ転写されたmRNAに結合するそれらの能力についてインビトロにおいて試験される。ヘテロ二本鎖を最良に形作ることができるものは、保持され、かつ核酸プローブとして使用される。
【0090】
このプローブデザインの問題点に対処する別の解決法は、例えばオリゴヌクレオチドスキャニングアレイを使用する実験的アプローチによる核酸プローブの選択に焦点が当てられる。このようなアレイの使用は、予測アルゴリズムに勝る実験的アプローチの強みを補強している。
【0091】
ハイブリダイゼーションにアクセス可能な領域を決定する実験的方法と、予測アルゴリズムにより理論的に決定される方法との間の比較は、実験的アプローチの優れた強みを一貫して強調している。実際、最適なオリゴヌクレオチド(1本鎖領域へのハイブリダイゼーションのために選択される)は、アルゴリズムによりループとして予測される位置に対応していない。更に、予測アルゴリズムにより予測された1本鎖領域は、実際ステムループよりも、ヘテロ二本鎖形成によりアクセス可能であるかは定かではない。
【0092】
分子ビーコンの調製に関する以下の説明は、Bratu D.の論文から改作されている(「分子ビーコン:生細胞における内在性mRNA検出のための蛍光プローブ」、Methods Mol Biol 319, 1-14 (2006))。理論的に標的RNA内の任意の配列は、分子ビーコン結合部位として選択することができる。この無限の可能性は、そのような領域は容易に同定されるという自信をもたらす。しかし標的へのアクセス可能性の程度は、主に分子内の複雑な二次及び三次構造の結果であり、これは予測することが困難であり、かつこれらの領域の多くを遮蔽することができる。更にこの細胞の内側には、該mRNAの一部分を更に閉塞するタンパク質と会合しているmRNAが存在する。タンパク質結合に関与した領域は、単に実験的分析により同定されるが、タイトな二次構造に関与していない領域を予測するためには、かなりの試みを行うことができる。今日まで、mRNA配列内の推定標的部位を同定することを補助するためには、2以上のインビトロアッセイ及び理論的アルゴリズム、更には高い結合親和性を伴うプローブが利用可能である(Tyagi, S.及びKramer, F. R.、「分子ビーコン:ハイブリダイゼーション時に蛍光を発するプローブ「、Nat Biotechnol, 14, 303-308 (1996);Mir, K.U.及びSouthern, E. M.、「オリゴヌクレオチドアレイを使用するハイブリダイゼーションへの構造の影響の決定」、Nat Biotechnol, 17, 788-792 (1999);Matsuo, T.、「生細胞における塩基性線維芽細胞増殖因子のmRNAのインサイチュ可視化」、Biochim Biophys Acta, 1379, 178-84(1998);Sokol, D. L.、Zhang, X.、Lu, P.及びGewirtz, A. M.、生細胞におけるDNA.RNAハイブリダイゼーションの実時間検出、Proc Natl Acad Sci USA, 95, 11538-43(1998))。調和のとれた次善の構造を伴う、熱力学的に最も安定した二次構造を予測するためには、前記mfold RNAフォールディングアルゴリズムが使用される(Southern, E. M.、Milner, N.及びMir, K. U.、「オリゴヌクレオチドアレイへのRNAハイブリダイゼーションによるアンチセンス薬の発見」、Ciba Found Symp, 209, 38-44;考察44-6 (1997);Ho, S. P.、Bao, Y.、Lesher, T.、Malhotra, R.、Ma, L. Y.、Fluharty, S. J.及びSakai, R. R.、「オリゴヌクレオチドライブラリーによるアンチセンス実験のためのRNAアクセス可能部位のマッピング」、Nat Biotechnol, 16, 59-63 (1998))。これらの構造はいずれも天然の高次構造を表すとは考えることができないので、全体の調和を説明するパラメータが分析される。候補部位の数は、第二のアルゴリズムを使用することにより精査される。OligoWalkは、様々な長さのオリゴヌクレオチドが結合可能である領域に関して、フォールディングされたRNA配列を走査する。各オリゴヌクレオチドの塩基組成、及びRNAの予測された二次構造を考慮することにより、この結果は、予想されるハイブリッドの安定性に関する情報を提供し、従って可能性のある標的領域を同定する。一旦同定されたならば、これらの領域に特異的な分子ビーコンがデザインされ、合成され、かつ蛍光分光光度計においてインビトロ合成されたRNAで実験的に試験される。
【0093】
本発明のポリヌクレオチドの特定のポリヌクレオチド又はバーコード単位は、特にビーコンプローブによる認識に適している、下記の結合部位のひとつを含む:
結合部位1として、
5’−TTCTCTTCAAACTTTTCCGCTTTT−3’、又は
5’−CGCCAAAACCTATTATCTTAAGTC−3’、又は
5’−CTCACCTGCTCTTCTCAGACC−3’、及び
第二の結合部位として5’−GCTATAGCACTAAGGTAAGACCC−3’。
これらの配列は、ショウジョウバエに由来し、哺乳類のゲノム内には存在しない。
【0094】
本発明の特定の実施態様において、これらのヌクレオチド断片は、ひとつのバーコード単位内で一緒に使用される。該バーコード単位は、更に認識結合部位を含み、バーコード内に反復配列されてよい。
【0095】
特定のポリヌクレオチドにおいて、バーコードの各縦列反復配列は、1つ又は2以上の制限部位により枠組みされている。
【0096】
一般に、本発明の2本鎖ポリヌクレオチドの長さは、バーコードの長さ及びプロモーター配列の及び任意の追加配列(クローニング部位又は制限部位の一部を含む)の長さ及び数により決定され、その結果意図された適用の必要性に適合される。本発明のポリヌクレオチド構築物の一般的長さは、該ポリヌクレオチドが、特定の宿主細胞に、特に該宿主細胞のゲノムに、安定して組込まれる必要要件に適合されてよい。
【0097】
例証のために、本発明のポリヌクレオチドは、バーコード単位又は各バーコード単位が、16〜200個の範囲のヌクレオチドの長さを有するものであってもよい。
【0098】
同じく例証を目的として、本発明のポリヌクレオチドの全体の長さは、80〜30000個の範囲のヌクレオチドで構成されることができる。
【0099】
例証を目的として、下記は、本発明のポリヌクレオチドにおいて認めることができる全般的構造の開示であり:ポリヌクレオチドは、5’末端から3’末端に読む場合に、以下を含んでなるか又はからなる:
−プロモーター、それに続くバーコード;
−プロモーター、それに続く該プロモーターを提供する遺伝子のイントロンを含むコード配列、又はそれに続くイントロンの一部若しくは全て、それに続くバーコード;
−そのプロモーターを含む関心対象の全遺伝子又は該遺伝子の一部、それに続くバーコード;
−プロモーター、それに続くプロモーターを提供する関心対象遺伝子のcDNA、それに続くバーコード。
これらの様々な構築物は、プロモーターの後又は本構築物の末端に、レポーター分子、特にレポーターDNAを含んでいてもよい。これらは、本発明のポリヌクレオチドを考慮する場合に本明細書において明らかにされるように、制限部位、3’転写終結配列、ポリA尾部、マイクロRNA又は非コードRNAなどの、追加配列を含むこともできる。
【0100】
本ポリヌクレオチドにおいてバーコード、バーコード単位、及び認識部位に関連して本明細書に提供された定義は全て、特にビーコン結合部位、バーコード単位及びビーコンバーコード、すなわちビーコンプローブにより認識されるのに適している構築物にあてはまることは強調される。
【0101】
本発明の具体的実施態様において、本ポリヌクレオチドは、プロモーター配列の下流及びバーコード配列の上流又は下流に、マーカータンパク質をコードしているDNAを更に含み、該コードDNAは、バーコードの転写を制御する該プロモーターの制御下を含む、発現調節エレメントの制御下に配置される。
【0102】
レポーター又はマーカータンパク質のためのコード配列の存在は、本ポリヌクレオチドのプロモーターの機能性の決定をあるレベル増すことができ、かつ特に本発明のポリヌクレオチド構築物の発現能の検出を可能にすることができる。本マーカータンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェラーゼ又はクロラムフェニコールアセチル転移酵素(CAT)などの、細胞における発現試験に使用される公知のマーカーの任意の型、好ましくは内在性発現活性を有さないマーカータンパク質であってもよい。
【0103】
本発明のポリヌクレオチドは、関心対象遺伝子のコード配列を、イントロンを含む型において若しくはcDNAとしてのいずれかで、及び/又はレポーター又はマーカータンパク質をコードしているDNAを、バーコードの転写のための該プロモーターの制御下に、更に含んでいてもよい。
【0104】
前述のように、本発明のポリヌクレオチドのプロモーターを提供する関心対象遺伝子は、特に宿主の病的状態に関与した遺伝子、又は特にヒト宿主において、そのような状態の結果として活性化された遺伝子を含む、細胞のホメオスタシスに関与した遺伝子、特に治療的戦略のデザインにおいて関心対象遺伝子、又は細胞構造の維持若しくは細胞代謝の調節に関与した遺伝子を包含している。この関心対象遺伝子は、特に細胞内におけるその発現プロファイル又は調節が試験され、かつ特にその転写が試験されるべき、任意の未変性の哺乳類の遺伝子、特に未変性のヒト遺伝子であってもよい。この関心対象遺伝子は、その存在及び関心が、細胞遺伝子発現プロファイリングについて、特に転写産物レベルでのそのようなプロファイリングについて、調べられるべき、未変性の遺伝子の、特に未変性の哺乳類の、とりわけヒトの遺伝子の変異型であることもできる。関心対象遺伝子は、哺乳類又はヒト宿主の病原体感染の結果として、その発現が、宿主細胞、特に哺乳類細胞又はヒト細胞において、誘導又は調節される、遺伝子であることもできる。関心対象遺伝子は、特に宿主における免疫反応により調節された又は調節される遺伝子であってもよい。
【0105】
例証のために、関心対象遺伝子は、IL10又はIL8を含むインターロイキンなどの、免疫応答、とりわけ先天性免疫応答に関与した遺伝子、又はICAMのような細胞接着分子又はTgF−β、C−fos若しくはCCL20などの遺伝子であってもよい。
【0106】
特定の関心対象遺伝子は、宿主が例えば、制御されない細胞増殖、特に癌につながる病理、又は宿主の免疫系の調節解除を随伴する病理を含む、病的状態に罹患した場合に、該宿主において調節解除される遺伝子、又は宿主、特に哺乳類の、とりわけヒトの宿主において誘導される遺伝子であってもよい。
【0107】
特定の実施態様に従い、関心対象遺伝子は、試験された細胞における薬物又は他の外部ストレス因子(病原性生物又は物質を含む)に対し感受性がある遺伝子から選択されることができる。
【0108】
特定の実施態様に従い、関心対象遺伝子は、治療的処置のための候補化合物又は標的を表すことができ、その発現プロファイリングは、オン又はオフのいずれかであることができ、かつ特にその転写プロファイリングは、この薬物又はストレス因子の投与後に決定されなければならない。
【0109】
特定の実施態様において、遺伝子プロファイリングは、化合物の、細胞の遺伝子との相互作用を決定するための、スクリーニング化合物ライブラリーに関与することができる。従って本発明は、DNAライブラリー、RNAiライブラリー、化学物質ライブラリー、病原体のライブラリーなどのライブラリーをスクリーニングすることにより、細胞において遺伝子プロファイリングをモニタリングするための、本発明のポリヌクレオチドの使用に関する。
【0110】
本発明による遺伝子プロファイリングは、遺伝子転写を活性化又は誘発する条件(プロファイリングオン)又は遺伝子を失活するか若しくは転写をサイレンシングする条件(プロファイリングオフ)を決定することを含む、該遺伝子のプロモーターを含む本発明のポリヌクレオチドの転写の観察による、遺伝子発現のモニタリングを包含している。これは、転写の開始レベルから発現をアップレギュレーション又はダウンレギュレーションのいずれかする遺伝子発現の制御にも関連している。これは、細胞内の1種又は2以上の遺伝子のレベルで試験されることができる。
【0111】
本発明は、モニタリングされる細胞の内側で増殖することができかつ恐らく該ポリヌクレオチドの細胞のゲノムへの安定した挿入が可能であるベクターへクローニングされた場合の、本出願において定義されたようなポリヌクレオチドにも関する。
【0112】
あるいは、本ポリヌクレオチドは、細胞内でエピソームであり続けることができる。
【0113】
本発明の実行に好適な特定のベクターは、特にプラスミド、コスミド、ウイルス又はbac(細菌人工染色体)である。
【0114】
本発明は、本発明の様々なポリヌクレオチドのセットにも関する。
【0115】
本発明は、特に本発明のポリヌクレオチドを安定して組込むことを含んでなる(すなわち、細胞ゲノム中に組込まれた)、細胞、特に生細胞、及びとりわけ個々の細胞又は株化細胞にも関する。この細胞は、初代細胞又は株化細胞であってもよい。
【0116】
特定の細胞又は株化細胞は、真核細胞又は原核細胞で作製される。特にこれは、哺乳類の細胞又は株化細胞、特にヒトの細胞又は株化細胞である。あるいは本細胞は、齧歯類、特にマウス若しくは他の適当なモデル動物に由来するか、又はゼブラフィッシュ若しくはショウジョウバエに由来している。
【0117】
本発明の特定の態様において、哺乳類細胞又は哺乳類株化細胞は、非ヒト哺乳類の細胞又は株化細胞である。
【0118】
特定の実施態様において、本細胞は、分化した細胞であるか、又はこの株化細胞は、分化した細胞に由来される。
【0119】
別の実施態様において、細胞は、脱分化された細胞である。特定の脱分化された細胞は、インビボにおける増殖制御を回避している細胞である。
【0120】
別の実施態様において、本細胞又は株化細胞は、多能性細胞又は幹細胞に由来し、特にヒトの多能性細胞又は幹細胞、胚性又は成体多能性細胞又は幹細胞に由来している。
【0121】
本発明を実行するために使用することができる細胞の特定の例は、マクロファージ、樹状細胞、単球又は上皮細胞などの、免疫系に関与した細胞を包含している。他の細胞は、乳癌において発達している細胞などの、癌細胞である。
【0122】
本発明を実行するための細胞は、非極性HeLa細胞などの、非極性細胞であるか、又は分極細胞であってもよい。株化細胞を誘導するために使用される細胞の例は、CaCo2細胞(異種ヒト上皮結腸直腸腺癌細胞の)、U937細胞(びまん性組織球型リンパ腫から確立されかつ単球の特徴を示す)又はTHP−1細胞(単球性白血病に由来)を含む。
【0123】
細胞内に提供された本発明のポリペプチドの、ゲノム内への導入及び特に組込みは、細胞での注入によるか、又は好ましくは該ポリヌクレオチドによる細胞のトランスフェクションによることを含む、様々な方式により実現されることができることが示されている。トランスフェクションプロトコールの説明は、以下に提供された、実施例に記され、かつこれは様々な細胞及び本発明の様々なポリヌクレオチドに適用することができる。
【0124】
本発明は、本出願において定義されたような1つ又は2以上の分子検出プローブを更に含む、先に定義されかつ実施例に例示された細胞又は株化細胞にも関する。本発明のポリヌクレオチドに関して、該分子プローブは、注入によるか、又は好ましくはトランスフェクションにより、細胞に導入される。
【0125】
本発明は、細胞又は株化細胞の各セットが、その中に組込まれた、特に本明細書に定義された1つ又は2以上のポリヌクレオチドを含み、各細胞又は株化細胞が、他の細胞又は株化細胞のものとは異なる該ポリヌクレオチドの組成を有する、細胞のセット又は株化細胞のセットにも関する。
【0126】
本明細書に明らかにされたように、本発明のポリヌクレオチドの挿入により修飾されている細胞内の遺伝子発現のモニタリングは、該ポリヌクレオチドの転写を検出する手段を必要とする。この検出は、転写産物のレベルで測定可能な変化を検出することができるプローブ(分子プローブ)を用いて、実行されることができる。測定可能な変化は、プローブハイブリダイゼーション結果としての核酸の高次構造の変化、又はプローブハイブリダイゼーションの結果としての光放出(蛍光など)の変化であってよい。
【0127】
本発明のポリヌクレオチドの発現を検出するのに適したプローブは、直線状のプローブ、又はビーコンプローブなどの直線でないプローブであってよい。これらは、核酸ベースのプローブ、特にDNAベースのプローブである。
【0128】
従って特定の実施態様において、本発明は、分子ビーコン及び本発明のポリヌクレオチドの転写を検出するためのプローブとしてのその使用に関する。分子ビーコンは、本発明のポリヌクレオチド中のビーコンバーコードのビーコン結合部位から転写された配列中のそれらの相補配列とのハイブリダイズに適しているDNAベースの分子であり、該分子ビーコンは、ステムループポリヌクレオチド構造を有し、かつそれらの標的配列と、特に可逆的方式でハイブリダイズされた場合に、可視化に適している。
【0129】
特定の分子ビーコンは、ステムループポリヌクレオチド構造として定義されており、ポリヌクレオチドのループ部分は、該ポリヌクレオチドのビーコン結合部位に特異的にハイブリダイズするのに適したプローブ配列であり、かつステム部分は、互いに相補的な配列で形成された2つのアームからなり、各アーム配列は、該ポリヌクレオチドのループ部分に対し反対であるその自由な先端に付着された、蛍光部分又は非蛍光消光部分のいずれかを収容し、該部分は、該アーム配列に付着された場合には、蛍光共鳴エネルギー移動により消光される蛍光部分の蛍光を生じるのに十分な程互いに近く、かつ更に該ポリヌクレオチドの該ループ部分は、各アームポリヌクレオチド構造よりもヌクレオチドで少なくとも2倍長い。
【0130】
それらの定義に従い、本明細書で定義された分子ビーコンは、本ポリヌクレオチドのビーコンバーコードのビーコン結合部位又は特にその転写産物に相補的であるプローブ配列を有する。
【0131】
表現「相補的」とは、本分子ビーコンが、定義されたハイブリダイゼーション条件において、特に生理的条件において、分子ビーコン結合部位の相補配列との塩基対形成により、ハイブリダイズするのに適していることを意味している。本発明による細胞における遺伝子プロファイリングの状況において、ビーコンプローブのハイブリダイゼーションは、本発明のポリヌクレオチドの転写産物により、ビーコン結合部位のレベルで実行される。
【0132】
好ましくは、本分子ビーコンのプローブ配列は、細胞内の標的化された分子ビーコン結合部位又はその転写産物と、完全に相補的であり、かつこれにより、細胞内での該転写産物との安定したハイブリッドの形成に適しており、その結果それらのハイブリダイゼーションは、例えば高次構造変化などの、測定可能な変化が分子ビーコンにおいて生じることを可能にし、これによりそれらがシグナルを発生する、特に光を発する、及び特に蛍光を発することができる。
【0133】
当該技術分野において公知であるように、分子ビーコンの蛍光は、発蛍光団(蛍光部分)及び消光分子(非蛍光消光部分)の、ハイブリダイゼーションの結果としての互いに遠ざかる能力から生じ、これにより蛍光を発することが可能になる。
【0134】
分子ビーコンの調製のためのデザイン則は、当業者に周知であり、かつ特に下記ウェブサイトにおいて認めることができる:http://www.molecular-beacons.org.。そのようなビーコンプローブは、本実施例において例示されている。
【0135】
特定の実施態様において、本分子ビーコンは、蛍光部分及び非蛍光消光部分が、ステムループポリヌクレオチド構造内のアーム配列に共有的に連結されているようなものである。
【0136】
本発明の特定の分子ビーコンにおいて、ビーコンプローブのポリヌクレオチド構造は、8〜100個のヌクレオチドを有する。
【0137】
多くの様々な蛍光部分は、例証のために消光部分と会合されている本発明の分子ビーコンを調製するために、使用されることができる。下記の例が提供される。特定の実施態様に従い、蛍光部分(発蛍光団)は、量子ドット及び誘導体、Alexafluor色素ファミリー、FAM、TET又はCAL FluorGold 540、HEX又はJOE、VICB、CAL Fluor Orange 560A;Cy3c又はNEDB、Quasar 570A、Oyster 556D;TMR又はCAL Fluor Red 590A;ROX又はLC red 610E、CAL FLuor Red 610A;Texas red又はLC red 610E、CAL Fluor Red 610A;LC red 640E又はCAL Fluor Red 635A;Cy5c又はLC red 670E、Quasar 670A、Oyster 645D;LC red 705E又はCy5.5c又は5−(2’−アミノエチル)アミノナフタレン−1−スルホン酸(EDANS)、フルオレセイン、アントラニルアミド、クマリン、及びテルビウムキレートの群から選択され、及び消光部分(消光分子)は、DDQ-IA(最大吸収430μm)、Dabcyl(最大吸収475)、EclipseB(最大吸収530)、Iowa Black FQc(最大吸収532)、BHQ-1D(最大吸収534)、QSY-7E(最大吸収571)、BHQ-2D(最大吸収580)、DDQ-IIA(最大吸収630)、Iowa Black RQ c(最大吸収645)、QSY-21E(最大吸収660)、BHQ-3D(最大吸収670)、金、希土類金属又は4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、ローダミン、ピレンブチラート、エオシン、ニトロチロシン、エチジウム及びテトラメチルローダミンの群から選択される。
【0138】
特定の発蛍光団/消光分子の対は、同じ大文字(A、B、C、D又はE)により印しが付けられた各発蛍光団/消光分子の会合により、前記リストから生じるもの、又は下記の組合せの群から選択されたその他の対である:CY5と、BlackHole消光分子3、CY3とBlackHole消光分子2、5−(2’−アミノエチル)アミノナフタレン−1−スルホン酸(EDANS)と4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、フルオレセインとローダミン、フルオレセインとピレンブチラート、フルオレセインとエオシン、アントラニルアミドとニトロチロシン、クマリンとエチジウム、及びテルビウムキレートとテトラメチルローダミン。
【0139】
代替のプローブは、他の核酸ベースのプローブである。認識部位へのハイブリダイゼーション時にこれらのプローブは測定可能な変化を誘発し、その結果様々な装置により測定することができる。例は、直線状核酸プローブ、鎖置換プローブ、スコルピオンプローブ、近接プローブ、サイクリコン(cyclicon)プローブ、HyBeacons、副溝バインダープローブ、分子ビーコンプローブ(波長シフト分子ビーコンプローブを含む)、5’ヌクレアーゼプローブ、及びAmplifluorプローブである。
【0140】
Wittwer, CT.、Herrmann, M. G.、Moss, A.A.及びRasmussen, RP.の論文「迅速サイクルDNA増幅の連続蛍光モニタリング」、Biotechniques 22, 130-131, 134-138 (1997)に説明されたような近接プローブは、本発明によるポリヌクレオチドの転写産物の検出に適している。これらのプローブは、標的核酸上の隣接部位に結合する2つの1本鎖ハイブリダイゼーションプローブを利用する。一方のプローブは、ドナー発蛍光団で、他方は、アクセプターで標識されることができる。一旦ハイブリダイズされたこれら2つのプローブ間の距離は、ドナーからアクセプターへ効率的蛍光エネルギー移動が生じるように選択される。エネルギー移動は、プローブがそれらの標的にハイブリダイズされない場合は、最小でなければならない。蛍光シグナルの変化に加え、他の測定可能な変化を用いて、近接プローブによる隣接部位へのハイブリダイゼーションを示すことができる。従って、これらのプローブは、単にFRETベースのプローブではない。
【0141】
Solinas, A.らの論文「SNP解析及びFRET適用における二重鎖スコルピオンプライマー」、Nucleic Acids Res 29, E96 (2001)に明らかにされたスコルピオンプローブを含む、鎖置換プローブは、本発明のポリヌクレオチドの検出を実行するのに適した更なるプローブである。これらのプローブは、一方のプローブは発蛍光団で標識され、及び他方は非蛍光消光分子部分で標識されている、2つの相補的オリゴヌクレオチドプローブを使用する。これら2つのプローブが互いにハイブリダイズされる場合、発蛍光団と消光分子は、密に近接し、その結果接触消光及び低い蛍光放出を生じる。標的核酸の存在下において、これらのプローブのひとつは、より安定したプローブ標的ハイブリッドを形成し、このことはこれらの2つのプローブが分離されることを生じる。この置換の結論として、発蛍光団及び消光分子は最早密に近接することはなく、かつ蛍光を増大しない。蛍光シグナルの変化に加え、他の測定可能な変化を用いて、鎖置換における変化を示すことができる。従って、これらのプローブは、単に発蛍光団−消光分子ベースではない。
【0142】
複数の区別できる核酸認識結合バーコードを使用することは可能であり、これらの各々は、1つの特異的内在性プロモーター配列に融合され、同時に単独細胞内において使用するための複数のポリヌクレオチド構築物を提供する。この場合本検出プローブは、識別可能なシグナルを発生する分子と共にデザインされることができる。従ってこれは、実時間での単独細胞内の複数の遺伝子のプロファイリングを可能にする。例えばこれは、様々な核酸結合部位へ特異的にハイブリダイズする、異なる色を伴う異なるビーコンである、多色のビーコンの利用により、可能である。
【0143】
特定の実施態様において、本発明のポリヌクレオチドは、それらの転写産物が検出プローブと、特に分子ビーコンとハイブリダイズする場合に、これらは、1よりも多い、特に最大4、又はより特別には最大6、好適であるならば、最大15、20又は最大32の本発明のポリヌクレオチドの転写産物を可視化することができる遺伝子発現プロファイルを提供するような方式でデザインされる。これは、バーコード内の、ビーコン結合部位のセットを組合せることにより実現されてよく、このことは、ハイブリダイズした場合に、分解される色の組合せのスペクトルを提供し、本ポリヌクレオチドの転写産物のフィンガープリントを提供する。
【0144】
例証を目的として、異なる色の発蛍光団が利用可能である場合、これらは、1種よりも多い色を有するスペクトルを誘発するために、組合せて使用されてよい。そのようなスペクトルが、可視化された時に、それらの様々な構成要素に分解され得る場合、これは、発蛍光団の利用可能な基本色に対応する数よりもより多い転写産物の可視化を可能にする可能性を提供する。そのようなスペクトルの色との組合せを実現するために、多色スペクトルを生じなければならないビーコンバーコードは、異なる色の発蛍光団を有するビーコンに相補的なビーコン結合部位を含まなければならない。
【0145】
図面に図示されたように、各バーコード単位に結合されたプローブの蛍光色の組合せを使用し、単独細胞内の複数の遺伝子をプロファイリングすることができる。
【0146】
特に、バーコード単位が2つの認識結合部位を含み、それらの各々が異なるタグで、特に異なる色で標識されている場合、単独細胞において最大15種の遺伝子をプロファイリングするために、色又は蛍光部分などの6種の異なるタグを手段として用いることが可能である。
【0147】
バーコード単位が3つの認識結合部位を含み、それらの各々が異なるタグで標識されている場合、単独細胞において最大20種の遺伝子をプロファイリングするために、色又は蛍光部分などの6種の異なるタグを手段として用いることが可能である。
【0148】
こうして定義された検出プローブは、バーコードから転写される転写産物の配列に、又は該転写産物を特徴づけるのに十分である配列の一部に、相補的である。特定の実施態様において、この相補性は、2つの配列が完全な塩基対を形成するようなものである。
【0149】
本発明の特定の実施態様において、本検出プローブは、分子ビーコンであり、及びそのループ部分は、10〜55個のヌクレオチドを有し、かつ各アームポリヌクレオチド構造は、4〜16個のヌクレオチドを有する。
【0150】
本発明を実行するのに適した特定の分子ビーコンは、下記ヌクレオチド配列のひとつを有する:5’-GCUGC AAAAGCGGAAAAGUUUGAAGAGAA GCAGC-3’、又は5’-CGACC GACUUAAGAUAAUAGGUUUUGGCG GGUCG-3’。
【0151】
本発明は、(i)本明細書に定義されたポリヌクレオチド、及び(ii)該ポリヌクレオチド及び/又は1つ以上の分子検出プローブの組込みに適した、細胞又は株化細胞:を備える、キットも提供する。
【0152】
特定の実施態様において、本キットは、本出願に開示されたポリヌクレオチド、及び該ポリヌクレオチド又は該ポリヌクレオチドのセットの組込みに適した細胞又は株化細胞、及び該細胞又は株化細胞のセットを備える。
【0153】
別の実施態様に従い、本キットは代わりに又は更に、関心対象遺伝子又はプロモーターの下流に安定して組込まれたバーコードポリヌクレオチドを伴う株化細胞を備える。
【0154】
特定の実施態様において、本キットは更に、バーコードの認識結合部位とハイブリダイズするのに適した、1つ又は2以上の分子検出プローブを備える。
【0155】
本発明は、本出願において説明されたポリヌクレオチド、及びバーコードの認識結合部位と若しくはその転写産物とハイブリダイズするのに適した1つ又は2以上の分子検出プローブを備えるキットにも関する。
【0156】
特定の実施態様において、本キットは、本出願において説明されたポリヌクレオチド、及びバーコードの認識結合部位と若しくはその転写産物とハイブリダイズするのに適した1つ又は2以上の分子検出プローブ、該ポリヌクレオチド又は該ポリヌクレオチドのセットの組込みに適した細胞又は株化細胞、及び該細胞又は株化細胞のセットを備える。
【0157】
特定の本発明の実施態様において、本明細書において説明されたキットは、下記ヌクレオチド配列を有する分子ビーコンを備える。
【0158】
5’−GCUGC AAAAGCGGAAAAGUUUGAAGAGAA GCAGC−3’又は
5’−CGACC GACUUAAGAUAAUAGGUUUUGGCG GGUCG−3’。
【0159】
本分子検出プローブは、それらの標的とのそれらのハイブリダイゼーションの可視化が、本分子検出プローブがその標的配列に結合した時にスイッチが入る蛍光などの、測定可能な変化の結果として得られるような方式でデザインされている。
【0160】
任意に、定義された本キットは、関心対象遺伝子若しくはプロモーターの下流にクローニングされたバーコードポリヌクレオチドを伴うプラスミド、及び/又はバーコードポリヌクレオチドを認識することができるプローブ(例えば分子ビーコン)、及び/又は特にそれらの細胞へのトランスフェクション若しくは微量注入により、プローブ及びプラスミドを株化細胞へ導入することができる試薬(ペプチド、脂質、化学物質など)、及び/又は必要とされる実験手順の各工程の陽性若しくは陰性対照を更に備える。
【0161】
本発明は、下記の工程を含む、細胞又は株化細胞における遺伝子転写を試験するプロセスにも関する:
(i)本発明において定義されたポリヌクレオチドを特に安定して組込むことを含む、細胞又は株化細胞を提供する工程、
(ii)該ポリヌクレオチド構築物の転写を誘発、サイレンシング又は制御する工程、
(iii)該ポリヌクレオチドの転写における測定可能な変化を検出する工程。
【0162】
前述のポリヌクレオチドの転写における測定可能な変化を検出する工程は、以下を含む:
・ポリヌクレオチドが導入された細胞又は株化細胞を、本明細書において定義された1種以上の検出プローブと接触する工程、
・ポリヌクレオチド構築物のプロモーターの転写活性のレポーターとして、該検出プローブと、バーコードの認識結合部位の転写産物の間のハイブリダイゼーションを検出する工程。
【0163】
本発明のプロセスにより可能とされた遺伝子転写の試験は、分子バーコードの転写を生じるポリヌクレオチドにおけるプロモーター活性化の結果として実現され、これによりそれらに特異的な相補的分子検出プローブへのそれらの結合につながる該分子バーコードの複数のコピーの生成が可能である。
【0164】
前記プロセスの工程(ii)は、細胞又は株化細胞を、その転写への影響が試験される関心対象の分子又は物質と接触させることにより実行されることができる。
【0165】
特に本発明のポリヌクレオチドの細胞への安定した組込みに関する組込みプロセスは、当業者に周知であり、かつ一般に注入又はトランスフェクションプロトコールを包含している。そのようなプロトコールは、HeLa細胞及び特定のポリヌクレオチドを手段として用いる実施例に例示されている。同様の技術は様々な細胞及びポリヌクレオチドについて繰り返すことができる。
【0166】
同様に、細胞の検出プローブとの接触は、本実施例において例示されるもののような方法により、実現されることができる。
【0167】
関心対象遺伝子及び/又はマーカータンパク質をコードしている配列も、本発明のポリヌクレオチドに存在し、該プロモーターの転写活性も、該遺伝子及び/又はマーカータンパク質の転写及び発現を可能にする。
【0168】
これにより、本プロモーター活性は、転写レベルで検出されることができ、これは、特に検出プローブの蛍光又は他の光発生シグナルを、及び恐らく関心対象遺伝子の生成物及び/又はマーカータンパク質の発現レベルで測定可能な変化を生じる。
【0169】
特に蛍光の、測定可能な変化の検出のいずれか好適な手段は、本発明のポリヌクレオチドのプロモーターの転写活性をモニタリングするために使用することができる。特にハイコンテント顕微鏡及び生細胞イメージング技術は、この検出の実行に適している。
【0170】
本発明のひとつの特定の利点は、説明されたプロセスは、単独の生細胞のレベルで該遺伝子のプロモーターを含む、ポリヌクレオチドの転写により反映された遺伝子転写の試験を可能にすることである。
【0171】
本発明のプロセスは、特に実時間アッセイにおいて、又はエンドポイントで、ポリヌクレオチド転写試験に適合される。
【0172】
本発明のプロセスの別の利点は、これを、単独の遺伝子を基に、特に単独細胞を基に遺伝子転写を試験するためか、又は特に単独細胞において、複数の遺伝子を基に、遺伝子転写を試験するために実行することができることである。それらのプロモーターを含むポリヌクレオチドの転写により反映された複数の遺伝子の転写は、単独細胞において最大35遺伝子について試験されることができ、及び特に2、3、4、5、6遺伝子は、単独のアッセイにおいて試験されることができることが示されている。
【0173】
本発明の特定の実施態様により、ポリヌクレオチドの転写の誘発、サイレンシング又は制御の工程は、細胞又は株化細胞の外部因子との接触後に得られる。そのような外部因子は、化学化合物のライブラリー、低分子干渉RNA、又は細胞若しくは株化細胞についてスクリーニングされる生物のライブラリーであってもよい。
【0174】
本発明のポリヌクレオチドの転写の結果として、検出プローブのそれらの標的配列との結合事象の定量的検出を通じ、ポリヌクレオチド転写を定量的に検出することも特に適しており、かつこれが意図されている。
【0175】
特定の実施態様において、本発明のプロセスは、ポリヌクレオチド構築物によりコードされかつポリヌクレオチド構築物中に含まれるプロモーターの制御下で発現された、発現されたレポータータンパク質の検出を更に含む。
【0176】
本発明のポリヌクレオチド配列に含まれる特定のプロモーター構築物、及びそれらの活性が本発明のプロセスにより検出される特定のプロモーター構築物は、本明細書において開示されている遺伝子のプロモーターである。
【0177】
IL8プロモーターの転写活性をアッセイするために本発明のプロセスが実行される場合、該活性は、細胞又は株化細胞の細菌、例えばシゲラ・フレックスネリ(S. flexneri)株による感染により、誘発される。
【0178】
本発明のプロセスの特定の実施態様において、本ポリヌクレオチドは、GFP、ルシフェラーゼ、SYBRグリーンの群で選択されたレポーター遺伝子を更に発現する。
【0179】
本発明の別の特定の実施態様において、本ポリヌクレオチドは、抗生物質耐性を提供する1種又は多くのヌクレオチド配列を発現する。抗生物質耐性遺伝子の例は、本実施例に示され、かつ図6に図示されている。
【0180】
本発明のプロセス、キット又はポリヌクレオチドの様々な適用は、本発明の範囲内であることが企図されている。本発明の実施態様により、これらは、RNAiライブラリー、DNAライブラリー、化学物質ライブラリー、又は病原性生物ライブラリーを含むライブラリーのスクリーニングに使用されることができる。
【0181】
本発明の実施態様により、これらは、疾患状態、又は特に宿主における、特にヒト宿主におけるウイルス感染又は細菌感染などの感染状態を検出するための診断プロセスに、特に該診断の一部として使用することができる。
【0182】
これは、細胞を基に免疫反応をモニタリングするために使用することもできる。これは、アッセイされた細胞が、スクリーニングするためのライブラリー(化学物質ライブラリー、RNAiライブラリー、DNAライブラリー又は病原体ライブラリーを含む)の化合物と接触される場合に、本発明のポリヌクレオチドの転写をアッセイすることに関することができる。本アッセイの成果は、有利なことにハイコンテント及びハイスループット顕微鏡を用いて検出される。
【0183】
本発明の別の適用は、細胞の基本に対する治療的処置の成果の経過観察である。
【0184】
本発明は、特に可能性のある治療的化合物又は治療的標的のスクリーニングプロセスにおいて、及び特に恐らく免疫系と相互作用する化合物のスクリーニングプロセスにおいて、使用されてよい。
【0185】
別の本発明の適用は、化合物又は病原性生物若しくは物質の細胞標的の探索のためである。
【0186】
本発明は、特に該細胞が、該病原体で感染される条件下に配置された場合に、宿主の細胞の又は該細胞由来の細胞のレベルで、病原体と宿主の間の相互作用をモニタリングすることにも関する
【0187】
本発明は、本発明のポリヌクレオチド構築物をその細胞の一部若しくは全てのゲノムにおいて発現するトランスジェニック非ヒト哺乳類、又は本発明の該ポリヌクレオチドにより形質転換された及び特にトランスフェクションされた細胞にも関する。
【0188】
本発明の更なる特徴及び特性は、下記の実施例及び図面から明らかになるであろう:特に本実施例及び図面において明らかにされた特性は、本発明を実行するより一般的方法において適用されてよく、従って言及される場合を除き、本実施例において例示された特定の生成物に限定されるものではないことを触れておく。
【0189】
図1.A.分子ビーコンの原理。分子ビーコンは、RNA又はDNAなどのそれらの標的配列とのハイブリダイゼーション時に蛍光を発し始める、内部消光されるヘアピン型オリゴヌクレオチドプローブである。
【0190】
B.分子ビーコンバーコードヌクレオチドの原理。バーコードヌクレオチドは、ビーコンバーコードヌクレオチドの上流の蛍光タンパク質レポーターの発現を駆動する関心対象のプロモーターと共に構築されることができる。あるいは、これらは、ビーコンバーコードヌクレオチドの上流の蛍光レポーターに融合された遺伝子又は関心対象を駆動するプロモーターを含んでいてもよい。前炎症反応をモニタリングする実験に関して、ビーコンバーコードヌクレオチドの第一の型が配置される。2種の分子ビーコンバーコード構築物が作製された。IL8WTは、良く特徴づけられたIL8最小プロモーターを利用し、かつ緑色蛍光タンパク質(GFP)の上流に導入され、及び分子ビーコンバーコードヌクレオチドは、3’側非翻訳配列を伴いGFPの下流に導入された。IL8MUTは第二のビーコンバーコード構築物であるが、これは、全ての点でIL8WTと同一であったが、ただ2つの変異が該最小プロモーターへ導入され、このことはこれを活性化に対し非感受性とした。これらの構築物は、2007年9月4日に、大腸菌(E. coli)株のプラスミドとして、CNCM(パリ、仏国に設置)に、番号CNCM I−3818(pJoMuIl8WT)及びCNCM I−3819(pJoMuIl8Mut)で寄託された。
【0191】
これらのプラスミドは、大腸菌株DH5α内であり、かつカナマイシン耐性である。
【0192】
増殖のための培養培地は、カナマイシンを含むLB−培地であり、かつ播種は、LB−カンテンで行われる。インキュベーションは、定速で振盪しながら、37℃で行われる。
【0193】
貯蔵は、LB/50%グリセロールの懸濁液中、細胞濃度107/mLで、−80℃で凍結することにより可能である。
【0194】
C.分子ビーコン及びビーコンバーコード構築物を使用する生細胞ベースのアッセイの原理。(左側から右側へ)ビーコンバーコード構築物IL8WT及びIL8MUTは、個別に使用され、2種の異なる安定した株化細胞を作製する。これらの株化細胞は、各構築物の安定した組込みに関してチェックされる。本細胞ベースのアッセイは、好適な分子ビーコンの安定した株化細胞へのトランスフェクション又は微量注入による、最初の導入により実行される。次にこれらの細胞は、数時間インキュベーションされ、その後実験又はスクリーニングアッセイが行われる。細菌、腫瘍壊死因子α(TNFα)又は他のものなどの様々な因子が、細胞に添加される。これらの細胞の転写反応は、適当な環境条件(温度及び培地)において、回転円盤共焦点顕微鏡によりモニタリングされる。分子ビーコン蛍光は、mRNAの転写を示す。
【0195】
pJoMuIl8WT又はpJoMuIl8Mutにより安定してトランスフェクションされたHela細胞株は、2007年9月4日に、CNCM(パリ、仏国)に、各番号CNCM I−3820(JoMu)及びCNCM I−3821(JoMu変異体)で寄託された。
【0196】
各トランスフェクションされた株化細胞に関して、安定したトランスフェクタントの選択が、ゲネチシンで行われた。
【0197】
トランスフェクションされた株化細胞の培養培地は、DMEM(ダルベッコ変法イーグル培地)、+10%ウシ胎仔血清、+50IU/mlペニシリン+ストレプトマイシン、+2mM L−グルタミン;pH7〜4、至適温度37℃、気体相5%CO2である。
【0198】
培養の条件は、接着単層細胞に関して、集団倍加時間16時間、3〜4日に1回の最適継代比率、及び癌株化細胞に相当する寿命である。継代培養は、Hela細胞の継代と同様に、単回のトリプシン処理により行われる。
【0199】
貯蔵は、液体窒素中で可能である。
【0200】
図2.株化細胞IL8WT及びIL8MUTの転写反応を辿るアッセイを行う前に、本発明者らは、本構築物が、機能し、かつIL8プロモーターの標準刺激に反応するかどうかをチェックした。TNFαは、IL8プロモーターを直接刺激することがわかっており、かつ本発明者らは、IL8WTにGFP発現の駆動を引き起こすTNFαに不応性であるIL8MUTプロモーターを意図的に構築した。本発明者らは、両方のビーコンバーコードヌクレオチドが予想されたように機能することを満足するために、4種の異なる条件下で実験を行った。
【0201】
条件1:TNFα誘導を伴うIL8WT
IL8WT構築物を含む細胞を、TNFαで刺激し、かつTNFα添加後数時間にわたりモニタリングした。これらの細胞を、DAPIで染色し、顕微鏡視野内でそれらの存在に印をつけた。TNFα刺激後約4時間で、GFPが、この視野の2以上の細胞において認められた(1行目の1及び3列)。
【0202】
条件2:誘導を伴わないIL8WT
IL8WT構築物を含む細胞を、数時間モニタリングした。IL8プロモーターが反応性でない方法が前炎症反応を刺激するために使用される場合を除いて、GFPの蛍光は観察されなかった。非常に低レベルのバックグラウンド蛍光が観察され、これは一部の細胞において低レベルの前炎症性刺激が活性化され得ることを示している(2行目の1及び3列)。
【0203】
条件3:TNFα誘導を伴うIL8Mut(NFKB/AP1変異体)
IL8MUT構築物を含む細胞を、TNFαで刺激し、かつTNFα添加後数時間にわたりモニタリングした。蛍光の増加は観察されず、可視可能なレベルのバックグラウンド蛍光は条件2において認められなかった(3行目の1及び3列)。
【0204】
条件4:誘導を伴わないIL8Mut(NFKB/AP1変異体)
IL8MUT構築物を含む細胞を、数時間にわたりモニタリングした。このアッセイ期間を通じて、蛍光の増加は認められなかった(4行目の1及び3列)。
【0205】
図3.株化細胞IL8WT及びIL8MUTを、シゲラ・フレックスネリの2種の異なる細菌株でチャレンジした。一方の株シゲラ・フレックスネリM90Tは、ヒト細胞において強力な前炎症反応を誘発することがわかっている。第二の株シゲラ・フレックスネリOspF(Arbibeら、2007)は、その前炎症反応の活性化があいまいであるので、使用した。全ての場合において、これらの細胞は、シゲラ・フレックスネリのいずれかの菌株と一緒に、30分間インキュベーションした。その後これらの細胞を慎重に洗浄し、培地を、10μMゲントマイシンを含有するものと交換した。次にこれらの細胞を、37℃で3.5時間インキュベーションし、その間これらを活性について共焦点顕微鏡によりモニタリングした。本発明者らは、下記の3種の異なる条件下で実験を行った。
【0206】
条件1:シゲラ・フレックスネリM90Tを伴うIL8WT
シゲラ・フレックスネリM90Tと共に30分間インキュベーションしたIL8WT構築物を含む細胞を、Nipkow円盤共焦点顕微鏡により、数時間にわたりモニタリングした。これらの細胞を、DAPIで染色し、顕微鏡視野内でそれらの存在に印をつけた。インキュベーション後約3時間で、GFPが、この視野の2以上の細胞において認められた(1行目の1及び3列)。
【0207】
条件2:シゲラ・フレックスネリM90Tを伴うIL8MUT
モニタリングしたIL8MUT構築物を含む細胞を、シゲラ・フレックスネリM90Tと共に30分間インキュベーションした。その後これらの細胞を、Nipkow円盤共焦点顕微鏡により、数時間にわたりモニタリングした。GFP蛍光は、数時間モニタリングした後であっても認められず、このことは本プロモーターは、炎症反応による刺激に対し不応性であることを示している(2行目の1及び3列)。
【0208】
条件3:シゲラ・フレックスネリOspFを伴うIL8WT
シゲラ・フレックスネリOspFと共に30分間インキュベーションしたIL8WT構築物を含む細胞を、Nipkow円盤共焦点顕微鏡により、数時間にわたりモニタリングした。インキュベーションのほぼ4時間後、低レベルのGFP蛍光が、一部の細胞において認められた。OspF変種が誘導した炎症反応によるその機序は不明瞭である。OspFは、宿主において特異的クロマチンリモデリング事象の惹起を実行し、このことは前炎症反応の刺激につながる(3行目の1及び3列)。
【0209】
図4.株化細胞IL8WT及びIL8MUTは、各構築物においてコードされたビーコンバーコードヌクレオチドに相補的な分子ビーコンによりトランスフェクションした。これらのトランスフェクションされた細胞を、分子ビーコン単独と共に、少なくとも2時間インキュベーションした。その後培地を交換し、2種の株化細胞を、ヒト細胞において強力な前炎症反応を誘発することがわかっている細菌株シゲラ・フレックスネリM90Tによりチャレンジした。シゲラ・フレックスネリM90Tを、これらの細胞に添加し、その間Nipkow円盤共焦点顕微鏡により、転写活性についてそれらをモニタリングした。
【0210】
A.シゲラ・フレックスネリM90TとインキュベーションされたIL8WT細胞。この細菌の添加の数分以内に、分子ビーコン蛍光の速やかな発生が観察された。IL8誘導は、20分後にCCD検出器を飽和する(saturate)レベルまで、迅速に生じることが認められる(C)。動画1を参照のこと。本発明者らは、様々なレベルの誘導を2以上認め、本発明者らが転写に対しその「オフ」状態からの誘導を観測した視野内の細胞を選択した。
【0211】
B.シゲラ・フレックスネリM90TとインキュベーションされたIL8MUT細胞。これらの細胞の50分間にわたるモニタリング後、蛍光強度の増加は認められず、このことは、これらの細胞内でIL8MUT構築物の活性化が存在しないことを指摘している。蛍光レベルは、Aと同様の期間認められる。動画2を参照のこと。
【0212】
シゲラ・フレックスネリM90T侵入後の、IL8転写誘導の速度論。Y軸は積分された蛍光を示し、X軸は時間である。このグラフは、8分とわずかな時間で2倍まで誘導されている、IL8の迅速な誘導を示している。蛍光強度のピークには、20分後に到達し、これはCCD検出器の飽和を示し、必ずしもこの経路の誘導の停止を示すものではない。
【0213】
図5.複数の遺伝子をプロファイリングするための色の組合せの図。
図5A:二重色コーディングスキーム。異なる点は、発蛍光団の異なる色に対応している。1つのビーコンバーコード単位は、I型及びII型の2つの配列からなる。各型は、分子ビーコン又は核酸プローブに結合されることができる。I型に相補的なプローブは、II型と同様の又は異なる色であってもよい。本スキームにおいて概略したように、各バーコード単位に結びつけられた2つの異なる色を使用することにより、コンビナトリアル色コードを使用し、単独細胞における複数の遺伝子をプロファイリングすることができる。
【0214】
図5B:三重色コーディングスキーム。このスキームにおいて、1つのビーコンバーコード単位は、I型、II型、III型の3つの配列からなる。各型は、分子ビーコン又は核酸プローブに結合されることができる。I型に相補的なプローブは、II型及びIII型と同様の又は異なる色であってもよい。本スキームにおいて概略したように、各バーコード単位に結びつけられた3つの異なる色を使用することにより、コンビナトリアル色コードを使用し、単独細胞における複数の遺伝子(20遺伝子)をプロファイリングすることができる。
【0215】
図6:コアベクターの調製に使用された挿入断片のヌクレオチド配列。「kana」、「zeo」、「hygro」は、抗生物質耐性遺伝子の配列を図示する。「IL10」、「CCL20」、「ICAM−1」、「TGF−β」及び「c−fos」は、これらのベクターに適したプロモーターの配列を図示する。AB−反復配列、AC−反復配列及びCB−反復配列は、ビーコン結合部位の配列である。
【0216】
図7:図7は、各々、ヒグロマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、及びゼオシン耐性遺伝子を発現する本ベクタープラスミド構築物を図示する。これらのベクターにおいて、Clontech社のベクターpEGFP−N1から得たGFP配列に対応する挿入断片を使用する。挿入されたori配列は、pBluescriptに由来する。本発明は、プロモーター及び耐性遺伝子のポリヌクレオチドを含む本発明のベクター中の挿入断片としてのこれらのエレメントのいずれかの使用に関し、及びベクター内のプロモーター及び耐性遺伝子のポリヌクレオチドの任意の組合せに関する。
【実施例】
【0217】
I−宿主細胞において転写反応パターンを試験するための分子ツールの調製及び使用
単独の分子遺伝子発現の最初の試験を実行するために、宿主(ヒト)細胞における病原体により誘導された転写を実験することを選択した。具体的なモデルシステムは、ヒト細胞のシゲラ・フレックスネリによる侵入である。最近の研究は、シゲラ・フレックスネリは、侵入された細胞の転写状態を特異的に変更し、この細菌に関する日和見的な免疫応答を促進すると仮定している。マイクロアレイを使用するトランスクリプトーム分析は、シゲラ・フレックスネリが宿主細胞の侵入時に標的化し、転写反応の非常に特異的パターンを誘導する、特異的宿主遺伝子を示唆している。本発明者らは、この転写反応を実時間で追跡するための、分子ツールを開発した。生化学的変化、タンパク質の変化及び形態学的変化のモニタリングのための現存する画像ベースの方法と組合せて、本発明者らは、実験生物学を実行するための革新的方法を提供するプラットフォームを構築した。実験は、単独の宿主遺伝子をアドレスしている単独細胞において実行され、かつその細菌侵入に対する反応が、ハイスループット様式で調べられる。更にこのプラットフォームは、宿主又は細菌にとって好ましいように宿主遺伝子の反応を変更することができる、化学因子、シゲラ・フレックスネリ変異体、又は宿主変異体(RNAiを使用する)をスクリーニングするために使用することができる。
【0218】
分子生物学
8ヌクレオチドの介在配列と共に、2種の分子ビーコン結合部位を含む、81ヌクレオチドの2つの相補的オリゴヌクレオチド配列を、デザインした。配列1(+ve鎖)は、5’-TTCTCTTCAAACTTTTCCGCTTTT-3’であり、及び配列2(+ve鎖)は、5’-CGCCAAAACCTATTATCTTAAGTC-3’であった。このオリゴヌクレオチド配列のプラス鎖の全体は、5’-ACGCGTCGACTTCTCTTCAAACTTTTCC GCTTTTAGAGAGAGCGCCAAAACCTATTA TCTTAAGTC CTCGAGGGATCCGCG-3’であり、これは各々、5’末端のSalI制限酵素の認識部位、及び3’末端のXhoI及びBamHI制限酵素認識部位を含んだ。マイナス及びプラスのオリゴヌクレオチド鎖は、20mMトリスHCl(pH8.0)及び2.5mM MgCl2中に、室温で可溶化し、その後95℃で加熱し、氷上で冷却した。この時点の2本鎖オリゴヌクレオチドを、BamHI及びSalIで消化し、BamHI及びSalIで開環されたpUC19プラスミド(G418及びアンピシリン選択マーカーを含む)にクローニングし(Sambrook, J.ら、「分子クローニング:実験マニュアル」第2版、ニューヨーク:Cold Spring Harbor Laboratory社、18, 58 (1989))、pJOMUを作製した。その後pJOMUを、HindIIIとXhoIで、及びEcorRIとSalIで、2つの個別の消化物に消化し;各消化物からの断片を、ゲル精製し、両方を、HindIII及びEcoRIで開環されたpUC19にクローニングし、pJOMU2を作製した。後者の2工程を数回繰り返し、配列1及び2の多量体化を生じ、プラスミドpJOMU64において64分子ビーコン結合部位を作製した。フォワード及びリバースPCRプライマー及び最小ヒトIL8遺伝子を鋳型として使用し(Hltmannら、1999)、IL8プロモーターの3種の変種を増幅し、引き続きグリーン蛍光タンパク質ヌクレオチドコード配列のpGFPプラスミド5’側にクローニングし、その結果pIL8GFPの3種の変種を作製した(1つの野生型変種及び2種の変異型変種);この増幅のプライマーは、IL8フォワードプライマー:5’-CACTGAATTAATGAAAGTGTGATGACTCAGGTTTGCCC-3’、及びIL8リバースプライマー5’-TCAGTGGCTAGCGAAGCTTGTGTGCTCTGCTGTCT-3’であった。1種の野生型及び2種の変異型変種とのIL8−GFP融合体(GFPの上流に挿入されたIL8のプロモーター)は、AseI及びNotI部位を用い、pIL8GFPから切り出され、pJOMU64中の64分子ビーコン結合部位の5’(上流)側にクローニングされ、pJOMU−IL8wt及びpJOMUIL8mut1及びpJOMUIL8mut2を作製した。
【0219】
分子ビーコンデザイン及び合成
分子ビーコンは、Applied Biosystems 394 DNA合成装置(フォスターシティ、CA)上で、2’−O−メチルリボヌクレオチドβ−シアノエチルホスホロアミダイトを用いて合成した。本分子ビーコンの配列は、配列1に相補的なMB1:Cy5-5’-GCUGC AAAAGCGGAAAAGUUUGAAGAGAA GCAGC-3’-BHQ3、及び配列2に相補的なMB2:CY5-5’-CGACC GACUUAAGAUAAUAGGUUUUGGCG GGUCG-3’-BHQ3であった。両方の分子ビーコンに関して、下線を付けた配列は、該分子ビーコンの相補末端を表している。それらの3’末端に消光分子を有する分子ビーコンの合成に関して、Black Hole Quencher 3(BHQ3)を含む、制御多孔質ガラス(CPG)カラムを使用した。各分子ビーコンは、C−18逆相カラムを通る高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製した。DNA合成試薬は、Glen Research社(スターリング、VA)及びBiosearch Technologies社(ノバト、CA)から入手し、及び活性化された発蛍光団は、Molecular Probes社(ユージーン、OR)から入手した。分子ビーコン合成に関する詳細なプロトコールは、http://www.molecular-beacons.org.から入手可能である。
【0220】
分子ビーコン−バーコード結合のインビトロアッセイ
全ての分子ビーコンのシグナル対バックグラウンド比を、蛍光分光光度計で測定した。最初にその溶液のベースライン蛍光を決定した。引き続き、5mM MgCl2及び20mMトリス−HCl(pH8.0)中に30nM分子ビーコンを含有する溶液200μlの蛍光を、25℃で、QuantaMaster蛍光分光光度計(Photon Technology International社、サウスブルンスウィック、NJ)により、最大励起波長及び放出波長を用いて決定した。pJOMU−IL8標的のインビトロで転写されたmRNAの2倍モル過剰量を添加し、蛍光の発生が安定したレベルに到達するまで、モニタリングした。分子ビーコン単独(mRNA標的を添加しない)のシグナルを超える蛍光の発生を算出し、シグナル対バックグラウンド比及び分子ビーコンの消光効率を決定した。
【0221】
細胞培養
全ての細胞培養試薬は、Gibco-Invitrogen社から購入した。真核細胞は、10%v/vウシ胎仔血清(FBS)、50IU/mlペニシリン、50μg/mlストレプトマイシン及び2mM L−グルタミンを補充したDMEMにおいて、37℃、5%CO2下で培養した。全ての生細胞蛍光顕微鏡観察を、EM緩衝液(120mM NaCl、7mM KCl、1.8mM CaCl2、0.8mM MgCl2、5mMグルコース、25mM Hepes、pH7.3)中で行った。
【0222】
安定した株化細胞の確立
分子ビーコン「バーコード」構築物(分子生物学の項参照)を安定して発現する株化細胞を、標準プロトコール(Maniatisら、1989参照)を用いて確立した。簡単に述べると、2.5×105個HeLa細胞を、ビーコンバーコード構築物(pJOMU−IL8wt及びpJOMUIL8mut1)で、製造業者のプロトコールに従いFugeneトランスフェクション試薬(Roche社、スイス)を用い、トランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、ゲネチシン(G418)(Invitrogen社、カールスバッド、CA)を、この細胞に最終濃度400μg/mlで添加した。その後これらを、2週間維持し、該プロモーター分子ビーコンバーコード構築物の安定した組込みを含まない細胞を排除した。引き続き細胞を継代し、かつ希釈し、安定して組込まれたプラスミドを伴う個々の細胞クローンを単離した。更に4週間かけた400μg/ml G418による連続選択後、個々のクローンから得られた株化細胞は、G418の存在下で継続し、機能アッセイに使用した。
【0223】
細菌培養
M90T(Sansonetti P.J.ら、Infection and Immunity, 1982, 3月, 852-860頁)は、シゲラ・フレックスネリの侵入性野生株である。M90Tafalは、アドヘシンafalを発現する野生株である。BS176afalは、毒性プラスミドが保存され(cured)、かつアドヘシンafalを発現する、M90Tの非侵入性変異体である。ospFの場合、細菌は、侵入前にポリ−L−リシンで処理し、細菌感染を増大する。本試験において使用した全ての細菌株は、100μg/mlアンピシリンを補充したトリプシンカゼイン大豆ブロス(TCSB)中で、37℃で増殖した。
【0224】
分子ビーコンの注入及びトランスフェクション
分子ビーコンは、濃度2.5ng/μlで溶解し、およそ0.1〜1−フェムトリットル溶液を、FemtoJet微量注入装置(Eppendorf社)を用い、各細胞に微量注入した。分子ビーコンをトランスフェクションにより生細胞へ導入するために、これらの細胞を、集密度30%まで培養し、血清非含有のOpti−MEM1(Invitrogen社、カールスバッド、CA)で洗浄した。トランスフェクション試薬オリゴフェクタミン(Invitrogen社、カールスバッド、CA)を、血清非含有培地(1μl試薬を9μl Opti−MEM1に添加)中で5分間インキュベーションし、その後分子ビーコン(MB1及びMB2)(Opti−MEM1中1ng/μl)と混合した。これらの分子ビーコン及びトランスフェクション試薬を、25℃で20分間インキュベーションし、それらの間に複合体を形成した。これらの複合体を200μl血清非含有培地で希釈した後、これらを、該細胞に添加した。これらの細胞を、これらの複合体の存在下で、3時間インキュベーションした。最後に、これらの細胞を、EM培地で洗浄し、画像化した。
【0225】
細菌感染
安定して組込まれたプロモータービーコンバーコードレポーターを伴う細胞を、35nm MATTEK、ガラス底培養皿(Mattek社, PA)中、2×105個細胞/ウェルの密度で播種した。感染の24時間前に、必要とされるシゲラ・フレックスネリ培養物を、TCSBに接種し、37℃で一晩増殖した。一晩かけた細菌培養物を、TCSB中1/100希釈で接種し、光学密度が600nm(OD600)で〜0.3となるまで増殖した。感染前に、細菌を、PBS(リン酸緩衝食塩水)で2回洗浄し、EM中に再度浮遊した。この分子ビーコンが注入又はトランスフェクトされた細胞を、PBSで2回洗浄し、EM中に維持した。最終的に、これらの細胞は、細菌により、MOI(感染多重度)10で直接感染し、加熱チャンバーを使用し、37℃で維持した。細菌侵入は、多次元的時間差顕微鏡により追跡した。
【0226】
顕微鏡観察及び生細胞画像化
細菌侵入を、Perkin Elmer Nipkow円盤共焦点顕微鏡(Perkin Elmer社、英国)を用い、40×対物レンズで追跡した。生細胞画像化のために、本発明者らは、制御された加熱を可能にするためにそれらの底を導電性物質でコーティングした0.17mmカバーガラスを持つ、MATTEKガラス底培養皿(Mattek社, PA)を使用した。これらの皿は、ゼラチンでコーティングした後、細胞を播種した。MATTEK培養皿の温度及び顕微鏡対物レンズは、37℃で維持した。微量注入及び画像化の間、これらの細胞は、EM培地内で維持した。顕微鏡観察は、Perkin Elmer Nipkow Diskに連結されたAr及びHe/Neレーザーを装着したZEISS顕微鏡(Zeiss社、独国)を用い、複数の次元で行った。
【0227】
データ解析
全てのデータ解析及び定量化は、無料ソフトImageJを用いて行った(http://rsb.info.nih.gov/ij/でフリーダウンロードした)。定量化に関して、画像は、分子ビーコンを含む細胞のサイトゾルのバックグラウンドを上回る閾値とした(thresholded)。次に細胞核の内側の蛍光の積分密度を、細菌侵入の時間経過にわたり測定した。この定量化の結果は、Excel(Microsoft社、シアトル、WA)を用いてプロットした。
【0228】
II−プロモーター−ビーコンバーコードシステムにより最適化されたベクターのデザイン
本発明者らは、本プロモーター−ビーコンバーコードシステムの最適化された利用のために、新規ベクターのセットを作製した。コアベクターは、ビーコン結合部位の伸長された反復配列を含む。正確なビーコン結合部位は、図6に図示されたように、結合部位AとB、BとC、及びAとCから作られる。更に本発明者らは、異なる分子ビーコンと結合する逆方向結合配列を含むベクターを作製した。まとめるとこれは、6種の異なるビーコン結合部位を作製した。これらの新規にデザインされたベクターは、2以上の挿入断片を変化又は追加するために、例えば、プロモーター配列を変化するためか、又は選択のために抗生物質耐性を変化するために、分子生物学的技術により容易に修飾することができる。これらのベクターは、図7に図示されている。
【0229】
加えて、本発明者らは、数多くのプロモーターの配列を含むベクターを作製した。インターロイキン8最小プロモーターに加え、CCL20プロモーター、及びインターロイキン10プロモーターから選択されたプロモーターを含むベクターが調製されている。これらの新規プロモーター−レポーター融合体を含む株化細胞が、開発されている。これは、インターロイキン10又はCCL20の誘導につながるシグナルに反応することができる株化細胞につながる。
【0230】
本発明者らのプロモーター−レポーター構築物を含む真核細胞のスペクトルを広げるために、更なる細胞を使用した。本発明者らは、非極性HeLa細胞に加え、極性細胞及び免疫系細胞において、本プロモーター−レポーターを伴う株化細胞を作製した。これらの株化細胞は、Caco2細胞及びU937細胞に由来した。現在までに本発明者らは、AB反復配列部位に連結されたインターロイキン8プロモーターを伴う株化細胞を作製した。
【0231】
ベクター及び株化細胞構築の方法
新規ベクター及び株化細胞の構築の手法は全て、Joseph Sambrook及びDavid Russellの著書「分子クローニング:実験マニュアル」(CSHL press社, 2001)」に詳細に説明されている。より良い理解のために、以下に短い説明を付け加える:
3種のベクター(図7の添付図)を、ORI、GFP配列及び抗生物質耐性(カナマイシン、ゼオジン、又はヒグロマイシンのいずれか)を含む「コアベクター」と称し、かつPCRクローニング(Maniatis)により構築することを構想した。引き続きプロモーター:IL10、CCL20、cfos、TGFβ、ICAM−1のひとつを、GFP配列の上流に導入し、5種のベクターを作製した。これらの5種のベクターは、5種の異なるプロモーターから、GFPを発現する。その後多量体化されたビーコン結合配列(AB、AC、又はBCのいずれか)を、GFP配列の下流、3’−UTR配列の上流に導入し、その結果これらのプロモーターの誘導は、GFP配列及びビーコン結合反復配列を含む転写産物につながる。
【0232】
このビーコン結合反復配列に関して、120又は160のいずれかの反復部位が、多工程クローニングにより作製された(Maniatisの論文参照)。従ってこのプロモーター-レポーターを含むベクターは、120又は160反復配列のいずれかを含む。これらの反復配列部位の導入に関して、本発明者らは、このベクターを、ただひとつの制限酵素によってのみ開環し、一方向又は他方向に挿入される可能性のある反復配列の挿入を生じた。この作戦により、本発明者らは、6種の異なるビーコン結合部位:AB、BC、AC、AB逆方向配列、AC逆方向配列、及びBC逆方向配列を作製した。
【0233】
まとめるとこの手法は、上流から下流へと5つのエレメントを含むベクターにつながる:ori、プロモーター、GFP配列、ビーコン結合反復配列、及び抗生物質耐性。
これらのベクターは、トランスフェクションによる安定した株化細胞の作製のための使用に適しており(Maniatisの論文参照)、かつビーコンレポーターシステムとの複合化に使用することができる。安定した株化細胞作製のためのトランスフェクション手法は、標準のトランスフェクション手法を使用し、ビーコントランスフェクションは、先に詳細に説明されている。
【0234】
[参考文献]
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32. Sohail, M. et al. Antisense oligonucleotides selected by hybridisation to scanning arrays are effective reagents in vivo. Nucleic Acids Res 29, 2041-2051 (2001).
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本鎖ポリヌクレオチドであって、その5’末端からその3’末端に向けて考慮されるそのプラス鎖上に、(i)決定された細胞に対し内在性である遺伝子から選択された関心対象遺伝子のプロモーター、又は様々な関心対象遺伝子の2以上のプロモーター、及び(ii)1又は2以上のバーコードを含んでなり、各バーコードが、少なくとも1つの、特に複数の認識結合部位から形成された少なくとも1つのバーコード単位を含み、各結合部位が、ヌクレオチド配列で構成され、かつ該バーコードは各々、転写について該プロモーターの少なくとも1つの制御下にある、2本鎖ポリヌクレオチド。
【請求項2】
バーコードにおいて、認識結合部位の少なくとも2つが隣接するか、及び/又はバーコード単位の少なくとも2つが隣接している、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
バーコードにおいて、認識結合部位の少なくとも2つが、スペーサーにより分離され、及び/又はバーコード単位の少なくとも2つが、スペーサーにより分離されている、請求項1又は2記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
1つのバーコード内の認識結合部位の数が、1よりも多く最大500である、請求項1〜3のいずれか1項記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
バーコード単位が、少なくとも1つの認識結合部位の縦列反復配列を含んでなる、請求項1〜4のいずれか1項記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
バーコード単位が、少なくとも2つの異なる認識結合部位の縦列反復配列を含んでなる、請求項5記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
各バーコード単位が、少なくとも3つの異なる認識結合部位を含んでなるか又はからなり、及び各バーコードが、3つの認識結合単位を含んでなるか又はからなる、請求項1〜6のいずれか1項記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
前記バーコード単位が、16〜200ヌクレオチドの範囲の長さを有する、請求項1〜7のいずれか1項記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
プロモーターの下流に、該プロモーターにより制御された、マーカータンパク質をコードするDNAを更に含み、該コードDNAは、該プロモーターの制御下を含む、発現調節エレメントの制御下に配置される、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
関心対象遺伝子のコード配列を、転写及び発現のための該プロモーターの制御下に更に含んでなる、請求項1〜9のいずれか1項記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
前記関心対象遺伝子のプロモーターが、免疫応答、特に先天性免疫応答に関与した遺伝子のプロモーター、例えばケモカイン又はサイトカイン遺伝子のプロモーターなど、特にインターロイキン遺伝子のプロモーター、又はICAM遺伝子などの細胞接着分子遺伝子のプロモーター、インターフェロン遺伝子のプロモーターの群から選択されるか、若しくは腫瘍関連タンパク質をコードする遺伝子のプロモーターから選択される、請求項1〜10のいずれか1項記載のポリヌクレオチド。
【請求項12】
前記認識結合部位の配列が、非哺乳類の、特に非ヒトの配列である、請求項1〜11のいずれか1項記載のポリヌクレオチド。
【請求項13】
1つの認識結合部位が、下記配列の1つを有する、請求項1〜12のいずれか1項記載のポリヌクレオチド:
5’−TTCTCTTCAAACTTTTCCGCTTTT−3’、又は
5’−CGCCAAAACCTATTATCTTAAGTC−3’、又は
5’−CTCACCTGCTCTTCTCAGACC−3’、
及び5’−GCTATAGCACTAAGGTAAGACCC−3’。
【請求項14】
各縦列反復配列が、1つ又は2以上の制限部位により枠組みされる、請求項5〜13のいずれか1項記載のポリヌクレオチド。
【請求項15】
前記バーコードが、転写終結配列、ポリA配列から選択される、1つ又は2以上のヌクレオチド配列又は2以上のそれらの反復配列を含む、請求項1〜14のいずれか1項記載のポリヌクレオチド。
【請求項16】
前記認識結合部位が、ビーコン結合部位であり、かつ前記バーコードが、ビーコンバーコードである、請求項1〜15のいずれか1項記載のポリヌクレオチド。
【請求項17】
クローニングされた請求項1〜16のいずれか1項記載のポリヌクレオチドを内部に含んでなるベクター。
【請求項18】
プラスミド、コスミド、ウイルス又はbacである、請求項17記載のベクター。
【請求項19】
請求項1〜16のいずれか1項記載の1又は2以上のポリヌクレオチドを含む、特に安定して組込んでいる、生細胞又は株化細胞。
【請求項20】
特に哺乳類細胞、特にヒトから選択された真核細胞であり、かつ分化細胞、多能性細胞及び幹細胞の中で選択されるか、又はそのような細胞由来の株化細胞、特に哺乳類の株化細胞、とりわけヒト株化細胞である、請求項19記載の生細胞又は株化細胞。
【請求項21】
請求項1〜16のいずれか1項記載のポリヌクレオチドによる細胞又は株化細胞のトランスフェクションから生じる、請求項19又は20記載の細胞又は株化細胞。
【請求項22】
前記細胞の各々が、請求項1〜16のいずれか1項記載の1又は2以上のポリヌクレオチドを、その中に含む、特に安定して組込んでいる、細胞又は株化細胞のセットであり、各細胞又は株化細胞は、他の細胞又は株化細胞のものとは異なる、該ポリヌクレオチドの含量を有する、細胞又は株化細胞のセット。
【請求項23】
請求項1〜16のいずれか1項記載の異なるポリヌクレオチドのセット。
【請求項24】
(i)請求項1〜16のいずれか1項記載のポリヌクレオチド、又は請求項22記載の異なるポリヌクレオチドのセット、及び
(ii)該ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドのセット、及び/又は1つ又は2以上の分子検出プローブの組込みに適した、細胞若しくは株化細胞又は細胞若しくは株化細胞のセット:を備える、キット。
【請求項25】
請求項22記載の細胞又は株化細胞のセット、及びそこに組込まれたポリヌクレオチドの転写活性をアッセイするのに適した条件において該細胞を維持するのに好適な試薬を備える、キット。
【請求項26】
前記バーコードの認識結合部位とハイブリダイズすることが可能である1つ又は2以上の検出プローブを更に備えるキットであり、該検出プローブが、それらの標的配列にハイブリダイズされた場合の可視化又は測定に適している、請求項24又は25のいずれか1項記載のキット。
【請求項27】
前記検出プローブが、前記ビーコンバーコードのビーコン結合部位とハイブリダイズすることが可能である1又は2以上の分子ビーコンであり、該分子ビーコンが、ステムループポリヌクレオチド構造を有し、かつそれらの標的配列と、特に可逆的方式でハイブリダイズされた場合に、可視化又は測定に適している、請求項26記載のキット。
【請求項28】
前記検出プローブのそれらの標的とのハイブリダイゼーションの可視化が、検出プローブがその標的配列に結合した時にスイッチが入る蛍光の結果として得られる、請求項26又は27記載のキット。
【請求項29】
前記分子ビーコンが、ステムループポリヌクレオチド構造であり、該ポリヌクレオチドのループ部分が、ビーコン結合部位に特異的にハイブリダイズするのに適したプローブ配列であり、かつ該ステム部分が、互いに相補的な配列で形成された2つのアームからなり、各アーム配列が、該ポリヌクレオチドのループ部分に対し反対であるその自由な先端に付着された、蛍光部分又は非蛍光消光部分のいずれかひとつを収容し、該部分が、該アーム配列に付着された場合には、蛍光共鳴エネルギー移動により消光される蛍光部分の蛍光を生じるのに十分な程互いに近く、かつ更に該ポリヌクレオチドの該ループ部分は、各アームポリヌクレオチド構造よりもヌクレオチドで少なくとも2倍長い、請求項27又は28記載のキット。
【請求項30】
前記蛍光部分及び非蛍光消光部分が、該ステムループポリヌクレオチド構造内のアーム配列に共有的に連結されている、請求項29記載のキット。
【請求項31】
前記蛍光部分(発蛍光団)が、量子ドット及び誘導体、Alexafluor色素ファミリー、FAM、TET又はCAL FluorGold 540、HEX又はJOE、VICB、CAL Fluor Orange 560A;Cy3c又はNEDB、Quasar 570A、Oyster 556D;TMR又はCAL Fluor Red 590A;ROX又はLC red 610E、CAL FLuor Red 610A;Texas red又はLC red 610E、CAL Fluor Red 610A;LC red 640E又はCAL Fluor Red 635A;Cy5c又はLC red 670E、Quasar 670A、Oyster 645D;LC red 705E又はCy5.5c又は5−(2’−アミノエチル)アミノナフタレン−1−スルホン酸(EDANS)、フルオレセイン、アントラニルアミド、クマリン、及びテルビウムキレートの群から選択される、請求項28〜30のいずれか1項記載のキット。
【請求項32】
前記消光分子が、DDQ-IA(最大吸収430μm)、Dabcyl(最大吸収475)、EclipseB(最大吸収530)、Iowa Black FQc(最大吸収532)、BHQ-1D(最大吸収534)、QSY-7E(最大吸収571)、BHQ-2 D(最大吸収580)、DDQ-IIA(最大吸収630)、Iowa Black RQ c(最大吸収645)、QSY-21 E(最大吸収660)、BHQ-3 D(最大吸収670)、金、希土類金属又は4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、ローダミン、ピレンブチラート、エオシン、ニトロチロシン、エチジウム及びテトラメチルローダミン−又は4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、ローダミン、ピレンブチラート、エオシン、ニトロチロシン、エチジウム及びテトラメチルローダミンの群から選択される、請求項31記載のキット。
【請求項33】
前記分子ビーコンのループ部分が、10〜55個のヌクレオチドを有し、かつ各アームポリヌクレオチド構造が、4〜16個のヌクレオチドを有する、請求項27〜32のいずれか1項記載のキット。
【請求項34】
前記分子ビーコンが、下記ヌクレオチド配列のいずれか1つを有する、請求項27〜33のいずれか1項記載のキット:
5’−GCUGC AAAAGCGGAAAAGUUUGAAGAGAA GCAGC−3’、又は
5’−CGACC GACUUAAGAUAAUAGGUUUUGGCG GGUCG−3’。
【請求項35】
関心対象遺伝子若しくはプロモーターの下流にクローニングされたバーコードポリヌクレオチドを伴うプラスミド、及び/又はバーコードポリヌクレオチドを認識することができるプローブ、及び/又はプローブ及びプラスミドを株化細胞へ導入するか、若しくはそれらを細胞へ微量注入することができるペプチド、脂質、化学物質などの試薬、及び/又は必要とされる実験手順の各工程の陽性又は陰性対照を更に備える、請求項26〜34のいずれか1項記載のキット。
【請求項36】
請求項26〜34のいずれか1項記載の分子検出プローブを1個又は数個更に備える、請求項19〜21のいずれか1項記載の細胞又は株化細胞。
【請求項37】
a.請求項1〜18のいずれか1項記載のポリヌクレオチド、とりわけ安定して組込まれたポリヌクレオチドを含む細胞又は株化細胞を提供する工程、
b.このポリヌクレオチド構築物の転写を誘発、サイレンシング又は制御する工程、
c.工程aの細胞又は株化細胞を、請求項26〜34のいずれか1項記載の検出プローブと接触する工程、
d.ポリヌクレオチド構築物のプロモーターの転写活性のレポーターとして、該検出プローブと、該バーコードの認識結合部位の転写産物(transcription)の間のハイブリダイゼーションを検出する工程:を含んでなる、細胞又は株化細胞における遺伝子転写を試験するプロセス。
【請求項38】
前記転写の誘発、サイレンシング又は制御の工程が、該細胞又は株化細胞の外部因子との接触後に得られる、請求項37記載のプロセス。
【請求項39】
前記外部因子が、化合物のライブラリー又は生物のライブラリーとして、該細胞又は株化細胞に提供される、請求項38記載の細胞又は株化細胞における遺伝子転写を試験するプロセス。
【請求項40】
ポリヌクレオチド転写が、単独細胞上で試験される、請求項37〜40のいずれか1項記載のプロセス。
【請求項41】
ポリヌクレオチド転写が、単独遺伝子ベースで試験される、請求項37〜41のいずれか1項記載のプロセス。
【請求項42】
ポリヌクレオチド転写が、単独細胞内の複数の遺伝子ベースで試験される、請求項37〜42のいずれか1項記載のプロセス。
【請求項43】
ポリヌクレオチド構築物の転写が、実時間及び/又は終了点で試験される、請求項37〜43のいずれか1項記載のプロセス。
【請求項44】
前記分子検出プローブとバーコードの認識結合部位の転写産物の間の結合事象の検出が、定量的である、請求項37〜44のいずれか1項記載のプロセス。
【請求項45】
請求項1〜4、又は1〜10又は1〜15又は1〜32の遺伝子プロモーターの転写活性が、ハイブリダイゼーションから生じる測定可能な変化の結果として、特に蛍光放出として検出される、請求項37〜45のいずれか1項記載のプロセス。
【請求項46】
前記ポリヌクレオチド構築物によりコードされかつ該ポリヌクレオチド構築物に含まれたプロモーターの1つの制御下で発現された、発現レポータータンパク質の検出を更に含んでなる、請求項37〜46のいずれか1項記載のプロセス。
【請求項47】
前記ポリヌクレオチド配列に含まれたプロモーターが、免疫応答、特に先天性免疫応答に関与した遺伝子のプロモーター、例えばケモカイン又はサイトカイン遺伝子のプロモーターなど、特にインターロイキン遺伝子のプロモーター、又はICAM遺伝子などの細胞接着分子遺伝子のプロモーター、インターフェロン遺伝子のプロモーターの群から選択されるか、若しくは腫瘍関連タンパク質をコードする遺伝子のプロモーターから選択される、請求項37〜47のいずれか1項記載のプロセス。
【請求項48】
前記ポリヌクレオチドが、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェラーゼ、SYBRグリーンの群から選択されるレポーターを発現する、請求項46記載のプロセス。
【請求項49】
RNAiライブラリー、DNAライブラリー、化学物質ライブラリー、又は病原性生物のライブラリーのスクリーニングにおいて使用するための、請求項37〜48のいずれか1項記載のプロセス。
【請求項50】
請求項37〜49のいずれか1項記載のプロセスを通じて、遺伝子プロモーター転写活性の結果を提供する、データキャリア。
【請求項51】
疾患状態又は感染状態の診断プロセスにおいて使用するための、請求項37〜49のいずれか1項記載のプロセス。
【請求項52】
治療的処置の転帰の経過観察において使用するための、請求項37〜49のいずれか1項記載のプロセス。
【請求項53】
推定治療的化合物のスクリーニングにおいて使用するための、請求項37〜49のいずれか1項記載のプロセス。
【請求項54】
免疫応答と恐らく相互作用する化合物のスクリーニングにおいて使用するための、請求項37〜49のいずれか1項記載のプロセス。
【請求項55】
特に該細胞が該病原体に感染されている状態に配置されている場合に、宿主の細胞又は該細胞由来の細胞のレベルで、病原体と宿主の間の相互作用をモニタリングするための、請求項37〜49のいずれか1項記載のプロセス。
【請求項56】
化合物の又は病原性生物若しくは物質の細胞標的を調べるための、請求項37〜49のいずれか1項記載のプロセス。
【請求項57】
請求項51〜56のいずれか1項記載の適用における、請求項1〜18のいずれか1項記載のポリヌクレオチド、又は請求項23記載のポリヌクレオチドのセット、又は請求項19〜22若しくは36のいずれか1項記載の細胞若しくは株化細胞、又は請求項24〜35のいずれか1項記載のキットの使用。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A1】
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【図5A2】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図6−4】
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【図6−5】
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【図6−6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公表番号】特表2010−538628(P2010−538628A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524516(P2010−524516)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062204
【国際公開番号】WO2009/065635
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(510069308)
【Fターム(参考)】