説明

高清浄度ばね用鋼

【課題】介在物の全体が低融点で変形し易くすると共に、熱延前や熱延中の加熱時に相分離してもSiO2が生成しにくいものとすることで、疲労特性に優れたばねを得る高清浄度ばね用鋼を提供する。
【解決手段】本発明の高清浄度ばね用鋼は、線材の表面から直径の1/4深さまでの表層側に存在する、幅:3μm以上の酸化物系介在物が、下記(1)式を満足すると共に、MgO濃度:5質量%以下(0質量%を含む)、およびMnO濃度:10質量%以下(0質量%を含む)であり、且つ当該酸化物系介在物中のSiO2,Al23およびCaOの各濃度が所定の関係を満足すると共に、Al23濃度[An]、SiO2濃度[Sn]およびCaO濃度[Cn]をAl23-SiO2-CaO三成分系状態図で示したときにその融点が1500℃以下である。
CaO+Al23+SiO2>80(質量%) ‥(1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疲労特性の優れた高清浄度ばね用鋼に関し、この高清浄度ばね用鋼から得られるばねは、極めて高い疲労特性が要求される自動車用エンジンの弁ばねやクラッチばね、ブレーキばねとして有用である。
【背景技術】
【0002】
最近、自動車の軽量化や高出力化の要請が高まるにつれて、エンジンやサスペンション等に使用される弁ばねや懸架ばね等においても高応力設計が指向されている。そのためこれらのばねには、負荷応力の増大に対応するため、耐疲労性や耐へたり性に優れたものが強く望まれている。とりわけ弁ばねについての疲労強度増大の要請は非常に強く、従来鋼の中でも疲労強度の優れているとされているSWOSC−V(JIS G 3566)でも対応が困難になってきている。
【0003】
高い疲労強度が要求されるばね用線材では、線材中に存在する硬質の非金属介在物を極力低減することが必要である。こうした観点から、上記の様な用途に用いられる鋼材としては、上記非金属介在物の存在を極力低減した高清浄鋼が用いられるのが一般的である。また、素材の高強度化が図られるにつれて、非金属介在物に起因する断線、疲労折損の危険性が高まることから、その主要因となる非金属介在物の低減・小型化の要求は一段と厳しいものとなっている。
【0004】
鋼材中における硬質の非金属介在物の低減・小型化を図るという観点から、これまでにも様々な技術が提案されている。例えば非特許文献1には、弁ばね用鋼では、融点が1400〜1500℃程度よりも低いCaO−Al23−SiO2三成分系介在物に制御すると、疲労破壊の起点とはならず疲労特性が向上することが開示されている。
【0005】
また特許文献1、2には、非金属介在物が熱間圧延時によく延伸する様にして疲労特性に優れた高清浄度鋼を提供することが示されている。
【0006】
一方、特許文献3には、酸化物介在物のうち融点が最も高ものの融点を1500℃以下とすることによって、介在物の微細化を図る技術が開示されている。
【0007】
更に、特許文献4には、介在物を少なくすると共に、低融点化することにより、熱間圧延時に介在物断面積を縮小化する技術が提案されている。
【非特許文献1】「第182・183回西山記念技術講座」、(社)日本鉄鋼協会編、第131〜134頁
【特許文献1】特開昭62−99436号公報
【特許文献2】特開昭62−99437号公報
【特許文献3】特開平5−320827号公報
【特許文献4】特開昭63−140068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これまで提案されている各種従来技術では、介在物組成を低融点領域に制御して、微細化を図ることを目指すことが中心となっているが、その組成領域がSiO2を含むものである場合には、理論的に相分離によってSiO2が生成することがある。特に、弁ばね鋼では、鍛造後圧延前に加熱されるので、このときに相分離によるSiO2生成が発生する可能性が高くなってくる。こうして生成するSiO2は硬質であり、圧延時に変形しにくく、最終製品中に残存し易いことになる。最終製品中に残存したSiO2は、極少数であっても線材における折損の原因となる可能性があり、より一層の清浄化が求められている近年の要求に対応できる高清浄度鋼が実現できないことがある。
【0009】
本発明はこうした状況の下になされたものであって、その目的は、介在物の全体が低融点で変形し易くすると共に、熱延前や熱延中の加熱時に相分離してもSiO2が生成しにくい領域に制御することで、疲労特性に優れたばねを得る高清浄度ばね用鋼を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成し得た本発明の高清浄度ばね用鋼とは、線材の表面から直径の1/4深さまでの表層側に存在する、幅:3μm以上の酸化物系介在物が、下記(1)式を満足すると共に、MgO濃度:5質量%以下(0質量%を含む)、およびMnO濃度:10質量%以下(0質量%を含む)であり、且つ当該酸化物系介在物中のCaO,Al23およびSiO2の各濃度[Cn]、[An]および[Sn]を、夫々下記(2)〜(4)式の様に表したとき、これらが下記(5)式および(6)の関係を満足すると共に、これらCaO濃度[Cn]、Al濃度[An]およびSiO濃度[Sn]をCaO-Al23-SiO2三成分系状態図で示したときにその融点が1500℃以下である点に要旨を有するものである。尚、「介在物の幅」は、線材の軸芯線を含む断面で観察したときの軸心方向と垂直な方向の介在物の径を意味する。
CaO+Al23+SiO2>80(質量%) …(1)
[Cn](質量%)=[(CaO)/(CaO+Al23+SiO2)]×100
…(2)
[An](質量%)=[(Al23)/(CaO+Al23+SiO2)]×100
…(3)
[Sn](質量%)=[(SiO2)/(CaO+Al23+SiO)]×100
…(4)
[An]+4.29[Sn]≦221.9(質量%) …(5)
[An]≦30(質量%) …(6)
【0011】
本発明の高清浄度ばね用鋼の化学成分組成については、ばね用鋼であれば特に限定されるものではないが、好ましいものとして、例えば、C:1.2質量%以下(0%を含まない)、Si:0.4〜4質量%、Mn:0.1〜2.0質量%、Al:0.01質量%以下(0%を含まない)を夫々含む鋼材が挙げられる。また、こうした鋼材においては、更に、Cr,Ni,V,Nb,Mo,W,Cu,Ti,Li,Na,Kおよび希土類元素よりなる群から選択される1種以上を含むものであってもよい。これらを含有させるときの好ましい含有量は、Cr:0.5〜3質量%,Ni:0.5質量%以下,V:0.5質量%以下,Nb:0.1質量%以下,Mo:0.5質量%以下,W:0.5質量%以下,Cu:0.1質量%以下,Ti:0.1質量%以下、Li:0.0005質量%以下、Na:0.0010質量%以下、K:0.0010質量%以下、および希土類元素:0.0010質量%以下である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以上の様に構成されており、介在物の全体が低融点で変形し易くすると共に、熱延前や熱延中の加熱時に相分離してもSiO2が生成しにくいものとすることで、疲労特性に優れたばねを得る高清浄度ばね用鋼が実現できた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
熱間圧延時の変形比の大きい線材では、介在物は熱間圧延時に展伸分断させて微細化することが有用であることは知られている。従来では、硬質な介在物を嫌うため、低融点組成への制御(前記特許文献3)や或る組成範囲への制御(前記特許文献4)が行われていた。但し、その主な狙いは、低融点組成への制御であったために、理論的にはSiO2が生成する組成であり、まれにはSiO2が生成していた。
【0014】
本発明者らは、こうした情況の下で、凝固後の加熱、熱間圧延による介在物形態の変化をも考慮して、ばねの耐疲労特性を向上させるための個々の介在物の組成と形態について、様々な角度から検討した。その結果、理論的にSiO2の生成しない組成に制御することで、圧延条件によらずSiO2の生成を格段に抑制できることを知見した。即ち、後記図2から分かるように、低融点の範囲内であってもSiO2濃度が低い側よりも高い側の方が融点が低いことがある。このため、SiO2濃度が低い側への制御は一般的ではなかった。そこで本発明者らは、所定の領域への組成の制御を行なうことによって、有害なSiO2を格段に制御できることに加え、SiO2濃度が低い側でも熱間圧延時に分断可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0015】
本発明の構成による作用効果について、順次説明する。本発明においては、線材の表面から直径の1/4深さまでの表層側に存在する、幅:3μm以上の介在物が、下記(1)式を満足すると共に、MgO濃度が5質量%以下(0%を含む)およびCaO濃度が10質量%以下(0質量%を含む)であることが必要である。
CaO+Al23+SiO2>80(質量%) ‥(1)
【0016】
ここで対象とする介在物を「幅:3μm以上」としたのは、幅:3μm未満の微細な介在物は、疲労破壊の起点になりにくく、疲労強度に顕著な影響を与えないという理由からである。またこうした介在物の存在位置を「線材の表面から直径の1/4深さまでの表層側」としたのは、この位置に存在する介在物が疲労特性に最も影響を及ぼすからである。
【0017】
線材中には、CaO、Al23、SiO2、MnOおよびMgO以外に、不可避的に混入するイレギュラーな介在物(例えばTi,Crの酸化物等)が存在する。これらは量が少なければ問題とはならないが、量が増えてくると疲労破壊の起点となる恐れがでてくる。こうした観点から、介在物中の組成を5元系(CaO、Al23、SiO2、MnOおよびMgO)で見たときに、[CaO+Al23+SiO2]を主体(80質量%以上)とすると共に、MgO量およびMnO量も適切に制御する必要がある。
【0018】
また、介在物中のMgOの量が多くなり過ぎると、MgO−SiO2やスピネル等の硬質の酸化物が生成することになるので、介在物中のMgO含有量は5質量%以下とする必要がある。
【0019】
更に、弱脱酸成分であるMnの酸化物(MnO)は、介在物組成が安定して制御されている場合は、10質量%以下となる。こうした観点から、介在物中のMnO含有量が10質量%を超えている場合には、介在物が好ましくない状態となっていることを示すことになるので、介在物中のMnO含有量は10質量%以下とする必要がある。
【0020】
本発明のばね用鋼では、上記した条件の下で、介在物中のCaO、Al23およびSiO2の三成分で100%となるように規格化したときのAl23量や、Al23とSiO3の関係等も所定の範囲を満足するように厳密に規定する必要がある。即ち、酸化物系介在物中のCaO,Al23およびSiO2を、夫々下記(2)〜(4)式の様に表したとき、これらが下記(5)式および(6)の関係を満足するように制御する必要がある。
[Cn](質量%)=[(CaO)/(CaO+Al23+SiO2)]×100
…(2)
[An](質量%)=[(Al23)/(CaO+Al23+SiO2)]×100
…(3)
[Sn](質量%)=[(SiO2)/(CaO+Al23+SiO2)]×100
…(4)
[An]+4.29[Sn]≦221.9(質量%) …(5)
[An]≦30(質量%) …(6)
【0021】
本発明のばね用鋼においては、熱圧前や熱延中の加熱時に相分離してもSiO2が生成しないものとすることが必要である。例えば、図1に示す三成分系状態図において、介在物組成が斜線で示す組成範囲内にあると、理論的に相分離してSiO2が生成することになるので、こうした領域を外す必要がある。図1に示したSiO2生成領域において、ラインAはCaO−SiO2(Wolastonito)とCaO−Al23−2SiO2(Anorthite)を結ぶ線となる。即ち、熱延前や熱延中の加熱時に相分離してもSiO2が生成しないものとするには、図1のラインAよりも低SiO2側(ラインAよりも図1の下側)とする必要がある。
【0022】
本発明者らは、上記ラインAよりも低SiO2側に制御することが有効であることを見出した。ラインAを表すのが前記(5)式である。即ち、上記(5)式の関係を満足するときに、熱延前や熱延中の加熱時に相分離してもSiO2が生成しないものとなる。
【0023】
また、介在物組成において、CaO、Al23およびSiO2の三成分で規格化したときのAl23量(即ち上記[An])が30質量%を超えたときには、ゲーレナイト(Ghelenite)やアノーサイト(Anorthite)等の硬質の結晶が生成し、疲労強度に悪影響を及ぼすことになるので、上記(6)式の関係を満足することが必要である。
【0024】
一方、本発明のばね用鋼においては、介在物組成が、CaO濃度[Cn]、Al濃度[An]およびSiO2濃度[Sn]をAl23-SiO2-CaO三成分系状態図で示したときにその融点が1500℃以下であることが必要である。即ち、弁ばね鋼は熱延時の圧化率が大きく、熱延時に介在物を微細化して無害化することが期待できる。そのため、介在物数は多くても熱延時に変形しやすい組成への制御が指向されている。本発明では、介在物は変形しやすい低融点組成に制御する必要があり、その融点を1500℃以下とした。好ましくは1400℃以下とするのが良い。
【0025】
本発明で規定する介在物組成範囲を図2(Al23-SiO2-CaO三成分系状態図)に示す。図2において、ラインAは{[An]+4.29[Sn]=221.9(質量%)}の関係を満足するものであり、ラインCは{([An]=30(質量%)}の関係を満足するものであり、ラインBは介在物の融点が1500℃を満足するもの(等温線)である。即ち、図2において、ラインA,B,Cによって囲まれた領域(図中ハッチングで示す)が本発明で規定する範囲となる。
【0026】
上記のように介在物組成にするには、狙いの介在物組成と同じ組成のスラグを用いることによって、介在物制御が容易に実行できる。
【0027】
本発明は、ばね用鋼等の素材として有用な高清浄鋼を想定してなされたものであり、その鋼種については特に限定するものではないが、介在物組成を制御するためには、脱酸成分であるSiやMnを0.1質量%以上含むものであることが好ましい。但し、これらの成分は、過剰に含有されると、鋼材が脆化しやすくなるので、Siで4質量%以下、Mnで2質量%以下とすべきである。
【0028】
ばね用鋼としての基本成分であるC含有量については、1.2質量%以下であることが好ましい。C含有量が1.2質量%を超えると、鋼材が脆化し、実用的でなくなる。
【0029】
Alは介在物制御にとっても有用な元素であり、その質量濃度で0.1〜20ppm程度は必要である。しかしながら、Al含有量が多くなると、介在物中のAl23濃度が高くなり断線の原因となる粗大Al23が生成する可能性があるので、0.01質量%以下であることが好ましい。
【0030】
上記基本成分の他は、Feおよび不可避不純物であるが、必要によってCr,Ni,V,Nb,Mo,W,Cu,Ti,Li,Na,Kおよび希土類元素(REM)よりなる群から選択される1種以上を含むものであってもよい。これらを含有させるときの好ましい含有量は、Cr:0.5〜3質量%,Ni:0.5質量%以下,V:0.5質量%以下,Nb:0.1質量%以下,Mo:0.5質量%以下,W:0.5質量%以下,Cu:0.1質量%以下,Ti:0.1質量%以下、Li:0.0005質量%以下、Na:0.0010質量%以下、K:0.0010質量%以下、およびREM:0.0010質量%以下である。
【実施例】
【0031】
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0032】
転炉出鋼材を模擬した溶鋼に各種フラックスを添加し、成分調整およびスラグ精練を実施し、鋳造した。このとき、スラグ組成を適切に調整することによって、介在物組成を適切に制御し、下記表1に示す化学成分を有する鋼を得た。各鋼におけるスラグ精錬条件を下記表2に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
上記溶鋼について、鋳型で鋳造し、得られた鋳塊に対して、鍛造・熱間圧延を施して直径:8.0mmの線材とした。
【0036】
得られた各熱間線材について、線材中の酸化物系介在物の組成を測定すると共に、疲労強度を測定した。これらの測定方法は、下記の通りである。
【0037】
(介在物組成)
熱間圧延した各線材のL断面(軸心を含む断面)を研磨し、線材の表面から直径の1/4深さまでの表層側(線材の中心から半径の1/2の位置よりも表層側)に存在する、短径3μm以上の酸化物系介在物30個について、EPMAで組成分析を行い、酸化物濃度に換算した。このときの、EPMAの測定条件は下記の通りである。
EPMA装置:JXA−8621MX(日本電子株式会社製)
分析装置(EDS):TN−5500(Tracor Northern社製)
加速電圧:20kV
走査電流:5nA
測定方法:エネルギー分散分析で定量分析(粒子全域を測定)
【0038】
(疲労強度)
各熱間圧延線材(8.0mmφ)を、皮削り→パテンティング→冷間線引き加工(伸線)→オイルテンパー→歪取焼鈍相当処理→ショットピーニング→歪取焼鈍を行った後、試験片として4.0mmφ×650mmのワイヤを採取し、中村式回転曲げ試験機において、試験応力:公称応力880MPa、回転数:4000〜5000rpm、中止回数:2×10回で行ない、破断した物のうち、介在物折損したものについて、下記式により破断率を測定した。
破断率=[介在物折損本数/(介在物折損本数+中止した本数)]×100(%)
【0039】
各線材の介在物組成を下記表3に示す。また疲労強度(破断率)を下記表4に示す。
【0040】
【表3】

【0041】
【表4】

【0042】
これらの結果から、次のように考察できる。試験No.1〜4のものでは、スラグ組成が適切であり、介在物組成も適切な範囲に制御されたものとなり、良好な疲労強度が得られていることが分かる。このうち、特に試験No.1、2のものでは、介在物組成が最適な範囲内となっており、良好な疲労強度が得られている。
【0043】
これに対して、試験No.7〜10のものでは、本発明で規定する介在物組成から外れるものとなっているので、疲労試験結果が良くない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】熱間前や熱延中の加熱時に相分離してSiO2が生成する領域を示したCaO-Al23-SiO2三成分系状態図である。
【図2】本発明で規定する介在物組成を示すCaO-Al23-SiO2三成分系状態図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材の表面から直径の1/4深さまでの表層側に存在する、幅:3μm以上の酸化物系介在物が、下記(1)式を満足すると共に、MgO濃度:5質量%以下(0質量%を含む)、およびMnO濃度:10質量%以下(0質量%を含む)であり、且つ当該酸化物系介在物中のCaO,Al23およびSiO2の各濃度[Cn]、[An]および[Sn]を、夫々下記(2)〜(4)式の様に表したとき、これらが下記(5)式および(6)の関係を満足すると共に、これらCaO濃度[Cn]、Al23濃度[An]およびSiO2濃度[Sn]をCaO-Al23-SiO2三成分系状態図で示したときにその融点が1500℃以下であることを特徴とする高清浄度ばね用鋼。
CaO+Al23+SiO2>80(質量%) …(1)
[Cn](質量%)=[(CaO)/(CaO+Al23+SiO)]×100
…(2)
[An](質量%)=[(Al23)/(CaO+Al23+SiO)]×100
…(3)
[Sn](質量%)=[(SiO2)/(CaO+Al23+SiO2)]×100
…(4)
[An]+4.29[Sn]≦221.9(質量%) …(5)
[An]≦30(質量%) …(6)
但し、「介在物の幅」は、線材の軸芯線を含む断面で観察したときの軸心方向と垂直な方向の介在物の径を意味する。
【請求項2】
C:1.2質量%以下(0%を含まない)、Si:0.4〜4質量%、Mn:0.1〜2.0質量%、Al:0.01質量%以下(0%を含まない)を夫々含む鋼材からなるものである請求項1に記載の高清浄度ばね用鋼。
【請求項3】
更に、Cr,Ni,V,Nb,Mo,W,Cu,Ti,Li,Na,Kおよび希土類元素よりなる群から選択される1種以上の元素を含有するものである請求項2に記載の高清浄度ばね用鋼。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−327130(P2007−327130A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161240(P2006−161240)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】