説明

高清浄度Si脱酸鋼およびその製造方法

【課題】 酸化物系介在物を熱間圧延および冷間圧延工程で安定して伸展および微細化を図りうる高清浄度Si脱酸鋼を提供する。
【解決手段】C:0.05%以上1.2%以下、Si:0.05%以上2.0%以下、Mn:0.10%以上2.0%以下、Al:酸可溶性濃度で0.003%以下、Ti:酸可溶性濃度で0.005%以下、およびZr:酸可溶性濃度で0.0003%以下を含有し、残部Feおよび不純物からなる高清浄度Si脱酸鋼材であって、圧延長手方向に平行な断面において観察される、長さ2μm以上、幅1μm以上の酸化物系介在物の平均組成が、SiO2:35%以上、CaO:5%以上40%以下、Al2O3:10%以上35%以下、MgO:2%以上30%以下、およびZrO2:1.0%以上10%以下、ならびに残部不純物であり、前記酸化物系介在物を形成する酸化物の非晶質相の割合が体積分率で20%以上であることを特徴とする、高清浄度Si脱酸鋼材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高清浄性と介在物微細化を兼ね備えることにより粗大介在物の悪影響を排した、機械構造用途に適したSi脱酸鋼と、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械構造用途に使用される種々の高清浄Si脱酸鋼は、介在物が少ないという高清浄性および介在物が圧延工程で伸展・微細化する効果により鋼質への大型介在物の悪影響を排することで、条鋼・棒鋼・線材分野に使用されている。すなわち、大型介在物が製鋼段階で除去されかつ巻き込まれずに鋳造されること、および不可避的に残留する介在物は比較的軟質であるため、圧延工程で伸展・微細化し易い性状であり、圧延工程を経て介在物の微細化がなされていることが奏功し、機械構造鋼用途に適した鋼材を実現している。
【0003】
従来の高清浄Si脱酸鋼は、圧延工程での伸展・微細化には介在物組成を低融点組成に制御することにより対処してきた。例えば、特許文献1や特許文献2にその技術が開示されている。これは両者ともCaO−SiO2−Al23−MgO系の低融点組成に制御することにより、圧延工程では介在物が軟質となり、その結果圧延工程での伸展微細化効果を享受したものであった。
【0004】
しかしながら、実際には低融点組成と軟質介在物組成との間には一意的な対応がなされるものではなく、さらに言えば、軟質介在物に関しては、従来構成成分の組成に多くの注意が払われ、介在物の状態に留意されることは希であった。
【0005】
また、軟質介在物を得る技術についても、例えば前掲の特許文献2の[0011]に記載のように「(前略)酸化物組成を制御することにより、酸化物系介在物は延性が改善され圧延工程での悪化に伴い分断微細化できる。このためには酸化物系介在物の組成が、重量%でSiO2:30〜60%、Al23:10〜30%、CaO:10〜30%、MgO:3〜15%の範囲が好ましい。さらに該組成酸化物に対して、Mn、Fe、Na、K、Ti、V、Zr、Ceに由来する酸化物を総量で10%以下複合するとさらに延性が向上する。」旨が記載されている。すなわち、軟質介在物を得るには、従来は多成分系に組成を制御することに重点が置かれているとともに、SiO2、Al23、CaO、MgO以外の構成成分は不純物成分の扱いであり、低融点化という観点からは補完的な機能を期待するにすぎなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平6−74485号公報
【特許文献2】特開平6−158226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
高清浄のSi脱酸鋼を製造するには、Si脱酸以降の工程で生成したり混入する大型介在物を除去するとともに、残留した介在物についても組成形態制御による無害化が図られてきた。
【0008】
例えば、特許文献1には、圧延鋼材のL断面において、長さ(l)と幅(d)の比がl/d≦5の非金属介在物の平均組成がSiO2:35〜75%、Al23:30%以下、CaO:50%以下、MgO:25%以下からなることを特徴とする冷間加工性および疲労特性の優れた高清浄鋼が開示されている。この発明は、熱間圧延でよく延伸し、冷間圧延または伸線で破砕し微細に分散することにより、冷間加工性および疲労特性の優れた高清浄度鋼の提供を目的としたものである。この鋼材は、介在物組成を軟質なものに制御することによって、硬質で有害な介在物であるコランダム(Corundum)の発生を防止するものであるが、複合介在物相の制御にまでは至っておらずその清浄化の効果は限定的であった。
【0009】
そこで、本発明者らが熱間圧延および冷間圧延で微細化が可能な条件についてさらに検討を行ったところ、従来から言われている低融点組成の酸化物系介在物は、熱間および冷間圧延工程で伸展・微細化が図られるものの、粗大な介在物で複合介酸化物相を結晶相として含む場合には、この結晶相が破砕等されにくく比較的粗大なまま残留することがわかった。従い、高清浄Si脱酸鋼を得るには、介在物組成のみならず熱間圧延および冷間圧延を経た段階での非晶質相割合も制御する必要があることが明らかになった。
【0010】
さらには、複合酸化物相からなる結晶相の生成を抑制するには、従来にない酸化物成分を少量加え、非晶質相の維持を図る、あるいは予め別の結晶相を生成させておくことが有効であるとの結論にいたった。すなわち前者は、熱間圧延および冷間圧延工程での非晶質相の安定化するものであり、後者は別の結晶相を生成させることにより複合酸化物生成の駆動力を下げる効果があるものである。
【0011】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、その目的は酸化物系介在物を熱間圧延および冷間圧延工程で安定して伸展および微細化を図りうる高清浄度Si脱酸鋼およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
高清浄Si脱酸鋼中の非金属介在物の微細化に対して、本質的な影響を及ぼす介在物の非晶質相化という新たな着眼点から検討を行った。すなわち、シリケート系介在物が溶鋼中で液相すなわち非晶質相を呈し、それらが凝固および圧延工程を経てもその非晶質状態をより安定に維持できる量や条件について検討を行った。さらには、圧延工程における酸化物の伸展・微細化と非晶質相との関連について検討し、以下のような新たな知見を得るに至った。
【0013】
(1)シリケート系介在物を低融点組成にすることにより、非晶質相はより確実に維持される。しかしながら、非晶質相の維持には、その阻害要因を排除する必要もある。
(2)非晶質相の維持を阻害するのは、ゲーレナイト(Gehlenite)、アノーサイト(Anorthite)といった複合酸化物相やスピネル(Spinel 、MgO・Al23)相の生成である。
(3)これらの複合酸化物相の生成を抑制するには、別の晶出相を予め形成しておくことが有効である。
(4)その別相としてZrO2を含む相が有効である。
(5)これらを踏まえた上で、このような考え方における介在物組成の有効な範囲と非晶質相率を明らかにする。
【0014】
本発明では、本発明の課題解決に適した従来にない酸化物成分としてZrO2を見出した。このZrO2が少量では非晶質相の維持に寄与する。またZrO2を含む結晶相を形成した場合に他の結晶相の形成を抑制する効果については、必ずしも明かではないが、以下のように推定される。ZrO2は酸化物成分としては、塩基性酸化物であるCaOやMgOの活量を抑制し、両性酸化物であるAl23に対してはその量が大きいときは活量を抑制し、その量が小さいときは活量の抑制が行われず、結果としてSiO2を基質とする多成分系シリケート酸化物では液相領域を拡げるとともに、非晶質相の状態を低温でも維持しやすくするものと推定される。一方、ZrO2自身は高温で安定な酸化物であるが、CaOやMgOとの固溶体を形成することも知られている。すなわちZrO2自身の酸化物融体への溶解度は必ずしも大きくはないが、形成する酸化物結晶相はCaOやMgOを固溶した正方晶を呈するものと推定される。そしてこのような相が共存するとCaOやMgOの化学ポテンシャルが低位安定になることにより、熱間圧延および冷間圧延工程で複合酸化物の結晶相が生成する駆動力が下がり、結晶相の形成が抑制されるものと考えられる。
【0015】
酸化物系介在物における非晶質相の割合については多いほど良いことは予想されたが、特に熱間圧延段階での介在物組成変化や結晶相の生成を考慮すると、その許容される範囲があるものと考えた。そこで後述する酸化物系介在物の非晶質相の割合を極微少量の粉末X線回折で測定することにより、その範囲を明らかにした。
【0016】
本願発明は、以上の知見に基づいてなされたものであり、その要旨は下記(1)に示す高清浄度Si脱酸鋼材および(2)に示す高清浄度Si脱酸鋼材の製造方法にある。
【0017】
(1)質量%で、C:0.05%以上1.2%以下、Si:0.05%以上2.0%以下、Mn:0.10%以上2.0%以下、Al:酸可溶性濃度で0.003%以下、Ti:酸可溶性濃度で0.005%以下、およびZr:酸可溶性濃度で0.0003%以下を含有し、残部Feおよび不純物からなる高清浄度Si脱酸鋼材であって、
圧延長手方向に平行な断面において観察される、長さ2μm以上、幅1μm以上の酸化物系介在物の平均組成が、質量%で、SiO2:35%以上、CaO:5%以上40%以下、Al23:10%以上35%以下、MgO:2%以上30%以下、およびZrO2:1.0%以上10%以下、ならびに残部不純物であり、前記酸化物系介在物を形成する酸化物の非晶質相の割合が体積分率で20%以上であることを特徴とする、高清浄度Si脱酸鋼材。
【0018】
(2)前記高清浄度Si脱酸鋼材のFe成分の一部に替えて、質量%で、P:0.10%以下、S:0.12%以下、Cr:2.0%以下、Cu:0.5%以下、Cu:0.5%以下、Ni:1.5%以下、Mo:0.5%以下、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下、B:0.003%以下のうちのいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする、(1)に記載した高清浄度Si脱酸鋼材。
【0019】
(3)溶鋼の成分調整、脱酸および清浄化を行う二次精錬工程において形成されるスラグが、該スラグを構成する成分のうちCaO、SiO2、Al23、MgOについては、それぞれ質量%で3%以上含有し、
さらにZrO2をCaO、SiO2、Al23、MgO、FeO、TiO2およびZrO2の合計に対し、質量%で0.5%以上5.0%以下含有することを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の高清浄度Si脱酸鋼材の製造方法。
【0020】
以下の記述において、鋼、介在物およびスラグの成分組成を表す「%」の表記は、「質量%(mass%)」を意味する。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、酸化物系介在物を熱間圧延および冷間圧延工程で安定して伸展および微細化を図りうる高清浄度Si脱酸鋼が提供される。また、本発明の高清浄度Si脱酸鋼の製造方法によれば、そのような高清浄度Si脱酸鋼を安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】介在物中の非晶質相率とC系介在物評点との関係を示すグラフである。
【図2】スラグ中のZrO2濃度と、介在物中のZrO2濃度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.鋼組成および介在物の組成
1−1.鋼組成の範囲および限定理由
本発明における鋼材の鋼組成について説明する。本発明における鋼材は、高清浄度を有するSi脱酸鋼材として使用される鋼組成であって、Si脱酸状態を呈する条件を満たすことが必要である。
【0024】
C:0.05%以上1.2%以下
高清浄度Si脱酸鋼は、機械構造用が主な用途であり、強度や硬さを確保する必要がある。そして、必要な強度および硬さは、Cの濃度を0.05%以上とすることにより得ることができる。しかし、Cの濃度が1.2%を超えて高くなると、鋼の靭性が低下し脆化が生じる。そこで、Cの濃度の適正範囲は0.05%以上1.2%以下とした。
【0025】
Si:0.05%以上2.0%以下
Si脱酸鋼として脱酸を行うには、Siの濃度を0.05%以上とする必要がある。しかし、その濃度が2.0%を超えて高くなると脆化等の問題が生じる。そこで、Siの濃度の適正範囲は0.05%以上2.0%以下とした。Siの濃度範囲は、望ましくは0.08%以上1.0%以下、より望ましくは0.10%以上0.50%以下である。
【0026】
Mn:0.10%以上2.0%以下
Mnは、Siと共存することにより複合脱酸元素として溶鋼の脱酸に寄与する効果を有するとともに、鋼の強度を補う効果を有する。これらの効果を得るには、Mnの濃度は0.10%以上必要である。しかし、鋼中のMnの濃度が2.0%を超えて高くなると、酸化物系介在物中のMnO濃度が高くなりすぎる等の問題が生じる。そこで、Mnの濃度の適正範囲は0.10%以上2.0%以下とした。Mnの濃度範囲は、望ましくは0.15%以上1.8%以下、より望ましくは0.2%以上1.6%以下である。
【0027】
Al:酸可溶性濃度で0.003%以下(0は含まず)
Si脱酸鋼を得るには、酸化物系介在物をAl23系にしないことが必要である。そのため、Alの濃度の適正範囲は酸可溶性分で0.003%以下(0は含まず)である。Alの濃度範囲は、望ましくは0.002%以下である。濃度の下限は特に定めないが、製造コストの点からはAlの濃度は0.0003%以上であっても本発明の利点を享受できる。
【0028】
なお、本発明の説明において「0は含まず」とは、分析検出限界以下の含有は本発明の技術範囲外との意味である。
【0029】
Zr:酸可溶性濃度で0.0003%以下(0は含まず)
後述するように、酸化物系介在物中のZrO2の平均濃度を1〜10%の範囲にするには、鋼中のZrの濃度を制限する方が良い。すなわち、鋼中のZrの濃度が酸可溶性分で0.0003%を超えて高くなると、介在物中のZrO2濃度が高くなりすぎる等の問題が生じる。そこで、Zrの濃度の適正範囲は酸可溶性分で0.0003%以下(0は含まず)とした。
【0030】
Ti:酸可溶性濃度で0.005%以下(0は含まず)
Tiは酸素のみならず窒素や炭素とも親和力が大きい元素であり、酸化物系介在物になるものとTi(N,C)(炭化物、窒化物または炭窒化物)相になるものとがある。鋼中のTiの濃度が酸可溶性分で0.005%を超えて大きい場合には、酸化物系介在物の相生成に影響する。そこで、Tiの濃度の適正範囲は酸可溶性分で0.005%以下(0は含まず)とした。
【0031】
本発明は、高清浄度Si脱酸鋼が組成について上記の条件(残部はFeおよび不純物)を満たすことにより、本発明の基本特性である介在物の制御効果を享受できる。さらに、本発明の高清浄度Si脱酸鋼は、その他の特性を改善するためFeの一部に替えて以下の任意元素のうちの一種または二種以上を含有してもよい。以下、それぞれの任意元素を添加する場合の濃度の範囲と効果を列記する。
【0032】
P:0.10%以下
Pは、固溶強化により硬度を上昇させることができる元素である。また、偏析によって粒界に偏在すると被削性を改善する場合がある。しかし、Pの濃度が0.10%を超えて高くなると鋼の脆化が著しくなる。そのため、Pの濃度の範囲は0.10%以下とする。
【0033】
S:0.12%以下
Sは、鋼中で硫化物を形成し、被削性の改善をすることができる元素である。特に本発明の高清浄度Si脱酸鋼では、酸化物系介在物も軟質なので、その効果を享受し易い。しかし、多量の硫化物が生成すると、材料の特性に異方性を生じる。そのため、Sの濃度の範囲は0.12%以下とする。
【0034】
Cr:2.0%以下
Crは、固溶強化と炭化物析出強化により、鋼強度の改善に効果がある元素である。しかし、Crの濃度が1.5%を超えて高くなると鋼の加工性が劣化する。そのため、Crの濃度の範囲は1.5%以下とする。
【0035】
Cu:0.5%以下
Cuは、固溶強化により鋼強度の改善に効果がある元素である。しかし、Cuの濃度が0.5%を超えて高くなると鋳造時の表面割れ等の問題が生じ易くなる。そのため、Cuの濃度の範囲は0.5%以下とする。
【0036】
Ni:1.5%以下
Niは、固溶強化により鋼強度の改善に効果がある元素である。しかし、Niの濃度が1.5%を超えて高くなると鋳造時の表面割れ等の問題が生じる。そのため、Niの濃度の範囲は1.5%以下とする。
【0037】
Mo:0.5%以下、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下およびB:0.003%以下
これらの元素は、本発明の介在物制御効果を享受しながら鋼材の特性を変化させるために、上記濃度を上限として添加することができる。
【0038】
1−2.酸化物系介在物の組成範囲および限定理由
次に酸化物系介在物の組成について説明する。本発明の技術的範囲において調整対象とする酸化物系介在物の構成成分は、SiO2、CaO、Al23、MgOおよびZrO2であり、さらに不可避的に含まれる不純物として、MnO、Na2OおよびFeO等が挙げられる。
【0039】
SiO2:35%以上
本発明の高清浄度Si脱酸鋼において、介在物をシリケート系酸化物とし、その利点を享受するには、SiO2の濃度は、少なくとも35%以上とする必要がある。より確実にシリケート系介在物を形成するため、SiO2の濃度は、望ましくは45%以上である。
【0040】
CaO:5%以上40%以下
熱間および冷間圧延工程において、シリケート系酸化物からなる介在物の非晶質相を維持し、かつその介在物を伸展・微細化するには、CaOの濃度は、5%以上とする必要がある。しかし、CaOの濃度が40%を超えて高くなると、シリケート系酸化物中に複合酸化物の結晶相が散見されるようになり、非晶質相の維持に適さなくなる。そのため、CaOの濃度の適正範囲は5%以上40%以下とする。
【0041】
Al23:10%以上35%以下
熱間および冷間圧延工程において、シリケート系酸化物からなる介在物の非晶質相を維持し、かつその介在物を伸展・微細化するには、Al23の濃度は、10%以上とする必要がある。しかし、Al23の濃度が35%を超えて高くなると、シリケート系酸化物中に複合酸化物の結晶相が散見されるようになり、非晶質相の維持に適さなくなる。そのため、Al23の濃度の適正範囲は10%以上35%以下とする。
【0042】
MgO:2%以上30%以下
熱間および冷間圧延工程において、シリケート系酸化物からなる介在物の非晶質相を維持し、かつその介在物を伸展・微細化するには、MgOの濃度は、2%以上とする必要がある。しかし、MgOの濃度が30%を超えて高くなると、シリケート系酸化物中に複合酸化物の結晶相が散見されるようになり、非晶質相の維持に適さなくなる。そのため、MgOの濃度の適正範囲は2%以上30%以下とする。
【0043】
ZrO2:1%以上10%以下
熱間および冷間圧延工程において、シリケート系酸化物からなる介在物の非晶質相を維持し、かつその介在物を伸展および微細化する効果は、ZrO2の濃度が1%以上になると顕在化する。しかし、ZrO2の濃度が10%を超えて高くなると、シリケート系酸化物におけるZrO2系酸化物の硬質な結晶相が無視し得なくなり、むしろ有害となる。そのため、ZrO2の濃度の適正範囲は1%以上10%以下とする。ZrO2の濃度範囲は、望ましくは2%以上6%以下、より望ましくは3%以上5%以下である。
【0044】
介在物の不可避的不純物としては、MnO、FeO、Na2O、TiO2等が挙げられる。このうち、MnOの濃度については、鋼中のMnやSの濃度の影響を受けて増減するが、25%以下にすることが望ましい。FeOの濃度については、分析法によっては基質のFeと見分けが付かなくなるが可及的に低濃度にするのが望ましい。Na2Oは、介在物の軟質化に有用であるため、その濃度は5%以下の範囲で許容される。TiO2は、Tiが全て4価として換算すると5%以下の範囲で許容される。
【0045】
2.酸化物系介在物の組成測定方法
実際の鋼材における酸化物系介在物組成は、比較的大きい介在物を選択して、その平均組成で示す。その理由は、高清浄度Si脱酸鋼で問題となるほとんどの介在物は、粗大介在物であるからである。また、介在物中に結晶相が出ている場合も、概ねその介在物の平均組成で知ることが肝要だからである。
【0046】
介在物の平均組成の算出方法には、酸溶解等で鋼材より抽出してその抽出物の構成元素比を求める等の方法がある。本実施形態では、比較的粗大な介在物で或る程度伸展した介在物を対象にしているという観点から、圧延鋼材の長手方向(圧延方向)に平行な断面において観察される、長さ2μm以上、幅1μm以上の酸化物系介在物を組成の測定対象とした。
【0047】
個々の介在物の組成の測定方法としては、例えば、エネルギー分散型X線マイクロアナライザーを具備した走査型電子顕微鏡を用いて、鋼材断面に観察される介在物の中心部に内接する円の少なくとも1/4以上の領域を元素分析し、その介在物が化学量論組成化合物であるとして組成を求める方法が挙げられる。
【0048】
3.酸化物系介在物中の非晶質相率の測定方法
本発明の高清浄度Si脱酸鋼中の酸化物系介在物は、非晶質相からなることが望ましい。しかし、個々の介在物組成のバラツキを考慮すれば結晶相を含むことは不可避であり、介在物中の非晶質率をいかに安定して高められる条件を得るかが課題である。
【0049】
酸化物系介在物中の非晶質相率の測定方法としては、次の方法が挙げられる。対象試料を数gないし十数g採取し、臭素−メタノール法あるいは酸溶解法などの方法で試料を溶解し、その残さをメンブランフィルタやニュークリポアフィルタ等を用いて捕集する。ここで、高炭素鋼ではセメンタイトや遊離炭素、高Si鋼ではゲル状シリカ等が生成するが、それぞれ既往の方法で残さから除去して、溶解量に応じた介在物を捕集する。この捕集した介在物に、既知の結晶構造の酸化物としてY23を基準物質として、既知量配合する。そして、粉末X線回折(以下XRDと略記)により測定された非晶質ハロー量とY23の結晶相ピーク高さから、その捕集した介在物中の非晶質相率を算出できる。
【0050】
4.介在物の非晶質率と酸化物系介在物の評点との関係
介在物の非晶質率と酸化物系介在物の評点との関係について検討するため、以下の試験を行った。
【0051】
C:0.2%、Si:0.24%、Mn:0.8%、Al(酸可溶性濃度):0.0008%を含む、直径110mmの円柱形鋼材10kgを、この円柱形鋼材に対する断面積比が約4.8の直径50mmの丸棒に鍛造した。介在物平均組成の異なる3種類の鋼材について加熱保持時間と鍛造条件を変更して、結晶相の生成量を変化させて非晶質相率を変えた。3種類の鋼材の丸棒中の介在物平均組成を表1に示す。試料Xの介在物はZrO2を含有せず、試料Yおよび試料Zの介在物はZrO2を含有する。
【0052】
【表1】

【0053】
試料X、試料Yおよび試料Zの丸棒の長手方向断面において観察される酸化物系介在物について、ASTM_E45法の最悪視野法(以下、「ASTM法」ともいう)で粘性介在物であるC系を評価した。また、各試料から採取した10.0gの試片を、臭素メタノール法で溶解した後、遊離炭素等を除去し介在物のみを残さとして孔径1μmのメンブランフィルタで捕集した。捕集した介在物を、基準物質としての既知量のY23と混合し、XRDにより測定された非晶質ハロー量から、捕集した介在物中の非晶質相率を求めた。
【0054】
図1は、介在物中の非晶質相率とASTM法のC系介在物評点との関係を示すグラフである。図1に示すように、ZrO2を含まない鋼種Xでも、ZrO2をそれぞれ2%および3.5%含む試料Yおよび試料Zでも、非晶質率が20%を超えるとC系介在物評点が改善する。また、ZrO2を含まない鋼種Xよりも、ZrO2を含む試料Yおよび試料Zの方が、全体にC系介在物評点が低かった。さらに、検討したところ、介在物中のZrO2の濃度が1%以上であると、C系介在物評点が低くなることがわかった。ただし、上述のように、介在物中のZrO2の濃度が10%を超えると、ZrO2系酸化物の硬質な結晶相が顕在化し、有害となるため、本発明ではZrO2の濃度の適正範囲は1%以上10%以下とする。
【0055】
5.介在物中ZrO2濃度の調整方法
本発明に係る高清浄度Si脱酸鋼材は、所定の鋼材成分範囲内であることに加えて、
圧延長手方向に平行な断面において観察される、長さ2μm以上、幅1μm以上の酸化物系介在物の平均組成が、質量%で、SiO2:35%以上、CaO:5%以上40%以下、Al23:10%以上35%以下、MgO:2%以上30%以下、およびZrO2:1.0%以上10%以下、ならびに残部が不純物であり、前記酸化物系介在物を形成する酸化物の非晶質相の割合が体積分率で20%以上であることを特徴とするところ、
そのような特徴は、
溶鋼の成分調整、脱酸および清浄化を行う二次精錬工程において形成されるスラグが、該スラグを構成する全成分のうちCaO、SiO2、Al23、MgOについては、それぞれ質量%で3%以上含有し、
さらにZrO2をCaO、SiO2、Al23、MgO、FeO、TiO2およびZrO2の合計に対し、質量%で0.5%以上5.0%以下含有することによって、一層安定的に製造することができる。
【0056】
特に、介在物中にZrO2を1以上10%以下含有させる方法について、次に詳述する。
【0057】
シリケート系介在物にZrO2を含有させる方法は、一番簡単にはZr合金鉄を溶鋼に添加する方法である。この方法では、Fe−50%Zr等のより速やかに溶鋼に溶解拡散する合金鉄が望ましいことは自明である。しかしながら、この方法ではZr合金鉄添加最初期にZr濃度の高い領域が形成せざるをえず、この領域で生成したZrO2濃度の高い介在物は変化することなく溶鋼に懸濁し続けてしまうことになる。また、最終的な溶鋼中Zr濃度は0.0003%以下にする必要があるが、添加量の制御のみでこのような濃度を満足しつつ更に介在物組成制御を確実に実施するのは、実際上困難を伴う。
【0058】
そこで、高清浄度Si脱酸鋼がスラグ精錬を行う工程を利用して、スラグにZrO2を少量添加し、溶鋼との反応を介して介在物中により均一にZrO2を含有させる方法を検討した。その結果、本発明の対象とするようなC、SiおよびMn濃度を含む溶鋼であれば、スラグ中ZrO2濃度を0.5%以上5.0%以下含有させることにより、介在物中にZrO2成分を含有せしめることが安定的に可能であることがわかった。
【0059】
そこでさらに取鍋スラグ精錬に好適な形態のスラグについて調査検討した結果を述べる。スラグは、主要構成成分がCaO、SiO2、Al23、MgO、およびZrO2で、前4者は少なくとも3%以上含まれ、スラグ分析によって、CaO、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、FeOおよびTiO2を化学量論比を有する酸化物を仮定して算出し、その重量分率においてZrO2濃度が0.5%以上5%以下含有されることが必要である。更に望ましくは1%以上4.5%以下であることが望ましい。特にスラグの主要な管理因子であるCaO/SiO2質量比ではZrO2が含まれる場合は不十分であり、その因子は(%CaO)/{(%SiO2)+(%ZrO2)}(以下C/S+Zと略記)として、その比は0.8〜1.5が適当である。更に望ましくは0.8〜1.4の範囲である。スラグ中Al23濃度は3%以上20%の範囲にあることが望ましい。MgO濃度は3%以上15%の範囲にあることが望ましい。不可避的に含まれるMnO、FeO、TiO2濃度は可及的少量であることが望ましいが、合計で5%以下が許容範囲である。同様に不可避的不純物であるS濃度は鋼中S濃度に依存するが、CaSが形成するものであるので上記分率からの外数で0.2%以下であること望ましい。またスラグ中CaF2は、昨今スラグを再利用する際にF溶出等の懸念からその濃度は制限される傾向にあるが、本発明を実施するに当たっては原理的に影響は少なく10%以下の含有は許容される。
【0060】
スラグ中ZrO2濃度を限定した理由として、C濃度0.95%、Si濃度0.20%、Mn濃度0.40%を含有する溶鋼10kgにCaO−SiO2−Al23−MgO系スラグを1500℃で反応させた際の、スラグ中ZrO2濃度が介在物中ZrO2濃度に及ぼす影響を図2に示す。図2に示すように、スラグ中ZrO2を含有させることにより、介在物中にZrO2を含有させることができることがわかる。スラグ中ZrO2濃度が5%を超えると、介在物中ZrO2濃度は10%を超え、またそのバラツキも大きくなることがわかる。なお、スラグ中ZrO2を5%を超えて配合することは、製造コストの増加やスラグの滓化性の悪化にもつながる。その観点も踏まえ、確実に介在物中ZrO2濃度を所望の濃度にするには、スラグ中ZrO2濃度は4.5%以下がより好適である。
【0061】
またスラグ中ZrO2濃度は少なくとも0.5%含有させることにより、介在物中ZrO2濃度を1%以上含有させることが可能である。望ましくは1%以上でバラツキを考慮してもより確実に介在物中ZrO2濃度を1%以上含有させることが可能となる。
【0062】
スラグ量については、取鍋精錬のプロセス形態等に依存するものであるが、例えば溶鋼1t当たり5kgから50kgの範囲であれば本発明を充分に実施可能である。
【0063】
スラグへ添加するZrO2源については特に制限はない。望ましくは安価でかつ本発明のスラグ系に速やかに溶解が期待できる取鍋精錬に適した添加剤が望ましく、例えばジルコンサンド(化学式ZrSiO4)などZrO2を含む複合酸化物が好適である。
【実施例】
【0064】
本発明の高清浄度Si脱酸鋼材の効果を確認するため、以下に示す試験を実施してその結果を評価した。
【0065】
不活性Arガス雰囲気下で溶鋼50kgを保持可能な実験を用いて、表2に示す組成を有する50kg鋼塊を作製した。比較例Lを除く溶解では、表3に示したスラグを試薬から混合して0.50kg添加して目視で滓化を確認した後に鋳型に鋳造した。また本発明例Eおよび比較例LからOでは、Zr調整を合金鉄で試みるべく、Fe−50%Zr合金を予めアーク溶解炉で準備し、それを適量添加した。この鋼塊は、押し湯部切り捨て後で底面直径140mmφ、上面直径180mm、高さ310mmの円錐台状形状である。これを1100℃加熱、900℃以上仕上げで鍛伸し50mmφの丸棒を作製した。鋼塊の1/2高さでの直径160mmに対して断面積比が10.2となる。
【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【0068】
この試験材の長手方向断面から検鏡用に被顕面が19mm×9.5mmの試料6ヶを採取した。この試料を鏡面研磨後、長手方向断面に観察される介在物をASTM_E45法の最悪視野法にて評価した。評価対象は、C系、すなわち粘性介在物系であり、6試料の平均評点を測定した。この試料中の酸化物系介在物を、エネルギー分散型X線マイクロアナライザーを具備した走査電子顕微鏡にて調査した。少なくとも長さ2μm以上、幅1μm以上の介在物を任意に20個選んで元素分析を行い、化学量論組成の化合物として酸化物組成を算出した。
【0069】
またこの試料の近傍より分析試料を採取し、その試料10gを酸溶解抽出法によって介在物を残さとして抽出し、同液を0.4μm径のニュークリポアフィルタで吸引濾過してフィルタ上に介在物を捕集する。遊離炭素等を適宜除き極少量のメチルアルコールに再度残さを分散させた後、粉末X線回折用の無反射Si板に塗布、乾燥して粉末X線回折試料を作製した。残さ介在物中に含まれる非晶質相量を体積百分率として非晶ハローと結晶相ピークから見積もった。
【0070】
介在物組成と非晶質相率、ASTM_E45法のC系介在物評点の算術平均値を表4に示す。
【0071】
【表4】

【0072】
本発明例AからJまでは、介在物組成の範囲を満たしかつ非晶質相率を20%以上とすることで、C系介在物評点の算術平均値が0.5以下の鋼材を得ることができた。特にZrO2を0.5%以上10%以下含有するスラグを用いて溶製を行ったAからD、およびFからJについては、C系介在物評点の算術平均値が0.4以下の鋼材を得ることができた。特にAからD、FおよびHからJはスラグ中ZrO2濃度が1%以上で制御した。これらの実施例については、安定して非晶質相が30%以上得られている。
【0073】
また、合金鉄でZr濃度を調整する方法でなく、スラグで介在物中のZrO2を制御する際には、スラグ中(%CaO)/{(%SiO2)+(%ZrO2)}(表および以下C/S+Zと略記)が0.8〜1.5の範囲では非晶質相率が20%以上を得られており、特に0.8〜1.4の範囲では非晶質相率が30%以上を得られていることがわかる。
【0074】
一方、比較例Kについては、介在物中にZrO2を含まないので非晶質相率が40%であったにも関わらず、ASTM法評価が0.5を超える結果となった。
【0075】
比較例Lは、スラグを用いずZr合金鉄でZr濃度の調整を行ったが、調整が困難で鋼中の酸可溶性Zr濃度が0.0003%を超え、介在物中のZrO2濃度が10%を超え、ASTM法評価も0.5を超える結果となった。
【0076】
比較例Mは鋼中酸可溶性Al濃度が0.003%を超え、介在物中Al23濃度が35%を超えたため、非晶質相率は<10%となり、ASTM法評価が0.5を超える結果となった。
【0077】
比較例NはスラグにはZrO2を配合せずZr合金鉄により介在物中ZrO2制御を行ったが、介在物中MgO濃度が30%を超えたため、非晶質相率は<10%となり、ASTM法評価が0.5を超える結果となった。
【0078】
比較例Oは、スラグにはZrO2を配合せずZr合金鉄により介在物中ZrO2制御を行ったが、介在物中SiO2濃度が35%未満であったため、非晶質相率は<10%となり、ASTM法評価が0.5を超える結果となった。
【0079】
比較例Pは、Tiを添加して鋼中Ti濃度が0.005%を超えたため、介在物中その他酸化物(多くはTi酸化物)が多くかつ介在物中SiO2濃度が35%未満であったため、非晶質相率は<10%となり、ASTM法評価が0.5を超える結果となった。
【0080】
比較例Qはスラグ中にZrO2が不純物レベルで混入したが、スラグ中C/S+Zが1.5を超えており、非晶質相割合は<10%であった。
【0081】
また比較例Rはスラグ中にZrO2が不純物レベルで混入したが、スラグ中C/S+Zが0.8未満であり、非晶質相割合は<10%であり、粒状介在物が増加する結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の高清浄度Si脱酸鋼は、熱間圧延および冷間圧延工程で残留した酸化物系介在物が、従来よりも確実に分断され、微細化されるため、粗大介在物の生成が抑制される。また、本発明の高清浄度Si脱酸鋼の製造方法によれば、このような高清浄度Si脱酸鋼を一層安定して製造することができる。
【0083】
したがって、本発明の高清浄度Si脱酸鋼は、機械構造用途に適する鋼材として、また、本発明の高清浄度Si脱酸鋼の製造方法は、上記鋼材の製造方法として、それぞれ広範に適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、C:0.05%以上1.2%以下、Si:0.05%以上2.0%以下、Mn:0.10%以上2.0%以下、Al:酸可溶性濃度で0.003%以下、Ti:酸可溶性濃度で0.005%以下、およびZr:酸可溶性濃度で0.0003%以下を含有し、残部Feおよび不純物からなる高清浄度Si脱酸鋼材であって、
圧延長手方向に平行な断面において観察される、長さ2μm以上、幅1μm以上の酸化物系介在物の平均組成が、質量%で、SiO2:35%以上、CaO:5%以上40%以下、Al23:10%以上35%以下、MgO:2%以上30%以下、およびZrO2:1.0%以上10%以下、ならびに残部不純物であり、前記酸化物系介在物を形成する酸化物の非晶質相の割合が体積分率で20%以上であることを特徴とする、高清浄度Si脱酸鋼材。
【請求項2】
前記高清浄度Si脱酸鋼材のFe成分の一部に替えて、質量%で、P:0.10%以下、S:0.12%以下、Cr:2.0%以下、Cu:0.5%以下、Cu:0.5%以下、Ni:1.5%以下、Mo:0.5%以下、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下、B:0.003%以下のうちのいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載した高清浄度Si脱酸鋼材。
【請求項3】
溶鋼の成分調整、脱酸および清浄化を行う二次精錬工程において形成されるスラグが、該スラグを構成する成分のうちCaO、SiO2、Al23、MgOについては、それぞれ質量%で3%以上含有し、
さらにZrO2をCaO、SiO2、Al23、MgO、FeO、TiO2およびZrO2の合計に対し、質量%で0.5%以上5.0%以下含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の高清浄度Si脱酸鋼材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−202905(P2010−202905A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47812(P2009−47812)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】