説明

高温プラットフォームチップ

【課題】本発明は、多数の電極と、これらの電極から製作される複合金属酸化物センサとを備える高温プラットフォームチップに関する。本発明の課題は、高温領域用のこの種のセンサの感度と測定精度を改善することである。
【解決手段】本発明による高温プラットフォームチップは、基板上に少なくとも3つの電極を有しており、この基板は、裏面に加熱線路を備えるホットプレートとして構成されており、かつ電気的に絶縁されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の電極と、これらの電極から製作される複合金属酸化物センサとを備える高温プラットフォームチップに関する。
【背景技術】
【0002】
WO 03/087811 A1は、混合気、とりわけ燃焼ガスの2つまたは複数の成分を同時に分析するためのセンサアレイを開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、高温領域用のこの種のセンサの感度と測定精度を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これに関して本発明によれば、チップを裏面で加熱することによって、再現性が改善することが判明した。この再現性をさらに向上させるために、加熱線路配置の幾何学的形状ならびに感応層の配置を最適化する。
【0005】
加熱線路を基板の裏面に配置することによって表面が均等に加熱され、この表面上にある感応素子が均等に加熱される。この基板はホットプレートとして使用される。これらを備えたチップは、本発明によれば高温チップである。すなわち、400℃以上、とりわけ500℃から850℃、特に630℃から740℃の間の温度で使用するために設けられている。これはプラットフォームチップである。すなわちこのチップは、感応素子、とりわけ金属酸化物センサを載置するためのプラットフォームである。
【0006】
この種の高温プラットフォームチップは、本発明によれば、基板上に3つの電極を有する。この基板は、裏面に加熱線路を備えるホットプレートとして構成されており、電気的に絶縁されている。
【0007】
加熱線路は、チップとして構成されているか、またはパッシベーション層で覆われており、この加熱線路は、規定通り使用する場合、大気から保護されている。
【0008】
基板上にある電極として、プラチナまたはプラチナ・ロジウム電極が有利である。
【0009】
基板として、例えばAl23などの無機酸化物からなるプレートが有利である。
【0010】
加熱線路は、有利にはプラチナまたはプラチナ・ロジウム合金からなる。電極ならびに加熱線路は、厚膜技術で製作することができ、有利には薄膜技術で製作される。
【0011】
付加的な温度測定抵抗は、有利には薄膜技術で製作されている。この温度測定抵抗は、構造化ステップにおいて、電極とともに製作することができる。薄膜技術によって製作された温度測定抵抗チップを、その導体路によってそのために設けられた端子接続領域へ、基板表面上にある電極の横に固定することも適すると実証されている。
【0012】
さらに有利には、複数の電極間の温度差が10℃以下、とりわけ5℃以下に保持される。これは複数の電極が、基板の複数の区域上に配置されることによる。これら複数の区域は、加熱線路によって600℃から800℃で加熱されると、近似的に同じ温度を有する。
【0013】
高温プラットフォームチップから、電極上に金属酸化物センサアレイを設けることによって、金属酸化物センサアレイチップを製作することができる。この金属酸化物センサアレイチップにもプラットフォームチップと同様に、ホットプレートが裏面の加熱線路によって600℃から800℃、とりわけ630℃から750℃に加熱されると、この複数の金属酸化物センサアレイ素子間の温度差が10℃以下、とりわけ5℃以下となるように、金属酸化物センサアレイ素子が配置されている。
【0014】
本発明による最小の温度調整によって、アレイの測定精度および信頼性が最適化される。
【実施例】
【0015】
以下本発明の実施例を、図に基づいて詳細に説明する。
図1は、センサのセンサ平面の平面図である。
図2は、センサ平面を詳細に示す図である。
図3は、センサ平面の温度分布を示す図である。
図4は、プラットフォームチップの層の分解図である。
【0016】
図1から図3によるセンサはセラミックストライプ11からなり、このセラミックストライプの上に、長く延びた導体路が配置されている。この導体路は、センサの端子面で、端子接続領域(パッド)の形態に広がって終端している。測定先端部領域で、この導体路は電極に拡張している。このチップは、プラットフォームチップとして構成されている。このプラットフォームチップの電極1から8は、コーティングアレイのために設けられており、このコーティングアレイの被覆部は、電極1から8を、対向電極0と接合している。電極9は、感温性の薄膜チップを配置するために設けられており、この薄膜チップの電流回路も同様に、対向電極0を介して閉じている。電極、導体路、およびパッドからなるパターンは、金属の薄板を構造化することによって、または金属ペーストのシルクスクリーン法によって製作される。
【0017】
図3は、640℃でのチップの電極側の温度分布を示す。ここで電極は、チップの上に、電極表面の温度差が可能な限り小さくなるように配置されている。
【0018】
裏面では、チップは測定先端部領域に加熱線路を有する。この加熱線路は、このチップを均等に加熱するように構成されている。図4によれば、加熱線路は、とりわけ薄膜技術で設けられた導体路を備えるセラミックチップとして構成されているか、または裏面に導体路12としてセラミックストライプの上に設けられ、パッシベーション層13により覆われている。
【0019】
加熱線路12は、端子パッド14を介して電気的に接続される。ヒータを備えるセラミックストライプ11からなるホットプレートの上に、金属層15が被着され、図1から3のパターンに構造化される。
【0020】
有利な実施形態は、組み立て部分を表す。裏面に加熱線路を備えるホットプレートの表面には、給電線のみが、有利にはシルクスクリーン厚膜技術によって設けられている。集積された温度測定抵抗を備える電極は、別個の支持体の上にプラチナ薄膜技術で形成されている。この部分によって、金属酸化物を別個の作業ステップで設けることが可能となり、続いてガスセンサ部分を集積された温度センサとともに、ホットプレートの裏面に接合することができ、薄膜導体路を薄いワイヤ(ボンディングワイヤ)によって支持体の給電線に接続することができる。このワイヤ接続は、最終的にガラスによって電気的および機械的にシールされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、センサのセンサ平面の平面図である。
【図2】図2は、センサ平面を詳細に示す図である。
【図3】図3は、センサ平面の温度分布を示す図である。
【図4】図4は、プラットフォームチップの層の分解図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、プラットフォームチップの少なくとも3つの電極が配置されており、
前記基板は、裏面に加熱線路を備えるホットプレートとして構成されており、電気的に絶縁されている、
ことを特徴とする高温プラットフォームチップ。
【請求項2】
請求項1記載の高温プラットフォームチップにおいて、
複数の前記電極は、前記ホットプレートが裏面のヒータによって600℃から800℃に加熱されると、複数の前記電極間の温度差が10℃以下となるように配置されている、ことを特徴とする高温プラットフォームチップ。
【請求項3】
請求項1または2記載の高温プラットフォームチップにおいて、
前記プラットフォームチップは温度測定抵抗を有する、ことを特徴とする高温プラットフォームチップ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項記載の高温プラットフォームチップにおいて、
前記ホットプレートの上にチップが配置されており、
該チップの上に、前記電極、および場合により前記温度測定抵抗が、薄膜技術によって設けられている(チップオンボード技術)、ことを特徴とする高温プラットフォームチップ。
【請求項5】
複合金属酸化物センサ装置を備える高温複合金属酸化物センサチップにおいて、
該チップは基板上に少なくとも3つの電極を有しており、
前記基板は、裏面に加熱線路を備えるホットプレートとして構成されており、かつ電気的に絶縁されている、ことを特徴とする高温複合金属酸化物センサチップ。
【請求項6】
請求項5記載の高温複合金属酸化物センサチップにおいて、
前記ホットプレートが裏面の前記加熱線路によって700℃から800℃に加熱されるとき、金属酸化物センサ層間の温度差は10℃以下である、ことを特徴とする高温複合金属酸化物センサチップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−47701(P2009−47701A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211609(P2008−211609)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(502393969)ヘレーウス ゼンゾール テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (13)
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Sensor Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Heraeusstrasse 12−14, D−63450 Hanau, Germany
【Fターム(参考)】