説明

高温度炉

【課題】
【解決手段】本発明は、廃棄物、特に、有毒廃棄物及び放射性廃棄物をプラズマバーナ2及び遠心力装置3によって分解し、燃焼させ且つ溶融させるために使用される高温度炉1に関する。該高温度炉は、遠心力装置3の基部5の取り出し開口部8を充填砂にて充填するために使用される充填装置9を備えている。炉1は、取り出し開口部8から充填砂を除去するのを助けるクリーニング装置13を備えることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物を燃焼させ且つ溶融させる高温度炉、及び独立請求項の前文部分の特徴を有するこの型式の高温度炉を稼動させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有毒又は放射性廃棄物材料のような問題のある廃棄物材料は、確実に消滅させ得るように高温度炉内にて分解し且つ(又は)溶融させなければならない。有毒又は放射性廃棄物材料を処理するため、例えば、誘導炉、アーク炉、又はプラズマ炉のような色々な型式の炉が既知である。特に、プラズマ炉及び10 000℃ないし15 000℃という高温のアーク炉内の不活性な雰囲気の結果、処理すべき材料は完全に分解される。一方、これら材料の固体の残留物は、ガラスマトリックス内に固定することができ、また、この要領にて環境から封入することができる。
【0003】
エネルギ源としてプラズマトーチを具備する多数の高温度炉が既に既知であり且つ広く使用されている。例えば、欧州特許明細書0 636 839 B1号には、プラズマ回転炉床炉が記載されている。伝導プラズマトーチは、廃棄物材料を分解するのに必要なエネルギを供給する。回転炉床炉の円筒状炉チャンバ(遠心力装置)は、処理し又は分解し且つ溶融した廃棄物材料を取り出すため、回転軸線上に配置された、中央取り出し開口部を有している。耐火性材料が炉基部及び側壁に配置されている。
【0004】
一般的な型式の既知の回転炉床炉は、液化した炉の充填物が遠心力によって炉の外側領域内に集まり且つ、取り出し開口部を障害物無しの状態に保つような回転速度にて稼動する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この構成の1つの問題点は、炉基部のライニングが溶融材料にて完全に覆われず、従って、10 000℃ないし15 000℃というプラズマトーチの高いアーク温度に直接、晒されることである。このため、例えば、炉基部の下部構造体及び欧州特許明細書0 636 839 B1号に示された取り出しブロックの支持構造体は積極的に冷却しなければならない。しかし、実際には、炉が稼動しているとき、冷却することはどちらかというと困難であり、炉基部ライニングは、特に、取り出し開口部の領域内にて高い熱応力に晒される。その結果、炉基部ライニングの有効寿命は相対的に短くなり、炉ライニングを頻繁に交換することが必要となる。更に、溶融材料が非制御状態にて取り出し開口部内に流れ且つ凝固する虞れもあり、このことは取り出し通路が詰まる原因となる可能性がある。遠心力装置の回転駆動装置が作動不良となったとき、溶融材料が炉から意図せずに又は制御されずに流れ出る可能性もある。更に、実際には、遠心力のため炉基部の外径部に集まる溶融材料を、満足し得る程度の均一さに溶融させることはできないことが分かった。
【0006】
このため、本発明の目的は、既知である短所を回避し、特に、炉基部ライニング及び取り出しブロックの保護が改良されて、より長い有効寿命であることを特徴とする、冒頭部分に記載した型式の装置及び方法を提供することである。炉は、より効率的に、より簡単に且つより確実に稼動させることが可能でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従い、これらの目的は、独立請求項の特徴部分の特徴を有する高温度炉によって達成される。
特に、放射性廃棄物を燃焼させ且つ溶融させる、本発明に従った高温度炉は、炉内に配置された少なくとも1つのプラズマトーチと、回転軸線の回りを回転することのできる遠心力装置とを備えている。炉基部と、炉側壁とを有する炉タンクを備える遠心力装置は、回転軸線上にて炉基部に配置された取り出し開口部を備えている。炉は、特に、高温度抵抗性の充填砂にて取り出し開口部を充填する充填装置が存在することを特徴とする。取り出し開口部の充填砂による充填は、溶融した材料がその端縁領域だけでなく、炉基部の全体を覆うような低レベルに遠心力装置の回転速度を設定することを許容する。炉基部は、完全に覆われ且つ、過熱から保護される。通常の稼動中、ガラス及びコンクリート、イオン交換樹脂のような処理した廃棄物の残留物及びあらゆる種類のプラスチック及び金属等から成る溶融材料は、炉のタンク内に配置される。炉の稼動に必要とされるエネルギは、プラズマトーチを介して導入される。プラズマトーチの直ぐ近くにて10 000℃ないし15 000℃の温度に達する。局部的に達することのできる高温度及び不活性な雰囲気のため、炉は、放射性、高有毒性又はその他の問題のある廃棄物材料を分解し、燃焼させ且つ(又は)溶融させるのに理想的に適している。アークプラズマの発生のため、炉基部は、導電性の特徴を有する。この目的のため、炉基部にて黒鉛ブロック又は導電性で熱安定的なラミング(raming)コンパウンドを使用することができる。しかし、必要とされる電流の流れは、取り出し開口部の領域内にて導電性リングによって提供することもできる。熱的に且つ化学的に安定した耐火性ライニング材料中に配置された複数の細長い電極を使用することも可能である。炉基部ライニングも、特に、熱的に且つ化学的に安定していなければならない。
【0008】
充填砂にて充填された取り出し開口部は、色々な有利な効果を有している。例えば、回転炉床炉は、炉基部、従って、炉基部ライニングを完全に覆うことがことができるから、相対的に低い回転速度にて稼動させることができる。炉基部ライニングを溶融材料にて覆うことは、有効寿命を延ばし、且つ材料が炉を通じて破断する虞れを減少させることになる。このことは、より効率的な稼動を可能にし、且つ特に、炉内へのエネルギの導入を改良することになる。
【0009】
取り出し開口部を充填砂にて充填することは、取り出し開口部が詰まるのを防止することになる。更に、意図せずに非制御状態にて取り出されるのが回避される。遠心力装置の開放した取り出し開口部を有する回転炉床炉の場合、溶融材料は、遠心力装置の回転速度が遅くなるならば、望ましくなく逃げ出す可能性がある。
【0010】
第一の実施の形態において、取り出し開口部は、充填砂を保持する閉塞要素を有している。取り出し開口部は、遠心力装置の回転軸線上を伸びる通路として形態設定されることが好ましい。充填砂を導入する前、通路の下端は、閉塞要素により妨害することができる。閉塞要素は、炉基部と共に、それ自体の軸線の回りを回転し、且つ上昇/回動アームに固定されることが好ましい一方、該上昇/回動アームは、炉構造体に関節式に接続される。充填砂の化学的組成及び物理的性質は、充填砂が取り出し開口部内に止まることを保証することができる。
【0011】
充填装置は、所要外形の充填部分、特に、管を有することが特に有益である。このことは、自由に流動する充填砂を取り出し通路内に導入することを容易にする。この型式の所要外形の充填部分は、所要外形の充填部分を取り出し開口部まで直接、動かし、その結果、確実で且つ正確な充填が可能であるような要領にて充填装置に可動に接続することができる。
【0012】
更なる実施の形態において、充填装置は、炉の頂側部に配置されている。このことは、自由に流動する充填砂を重力を利用するだけで取り出し開口部又は取り出し通路内に導入することができるという有利な効果がある。特定の状況下にて、補助的手段として、揺動及び(又は)振動装置を使用し、これにより、導入すべき充填砂の流れを向上させることができる。
【0013】
充填装置、特に、少なくとも所要外形の充填部分は、炉の回転軸線上に配置することが特に有益である。このことは、充填砂を取り出し通路内に確実に導入することを可能にする。
【0014】
更なる実施の形態において、炉は、クリーニング装置を有しており、該クリーニング装置の助けにより、充填砂の少なくとも一部分を取り出し開口部から除去することができる。クリーニング装置は、溶融材料を取り出すための開口部を形成すべく使用することができる。このことは、特に、溶融材料を安全で且つ制御された要領にて取り出すことが可能であることを保証することになる。
【0015】
クリーニング装置は、回転軸線に沿って動くことができ、また、その先端を取り出し開口部内に導入することのできるランスを有することが有益である。この場合、ランスは、回転対称の形態であることが好ましく、この場合、ランスの先端の直径は、取り出し開口部の直径以下又はそれに等しくする。ランスは、開始位置にて炉の内部の外側に配置されることが特に有益である。この場合、ランスは、クリーニング工程の期間だけ炉の内部にあり、その結果、ランスは、比較的短時間のみ炉の内部の優勢な高熱応力に晒せばよいことになる。ランスを回転軸線上に配置することは、充填砂を取り出し通路から正確に除去することができるという有利な効果をもたらす。
【0016】
本発明の更なる形態は、廃棄物、特に放射性廃棄物を高温度炉(回転炉床炉)内にて分解し、燃焼させ且つ溶融させる工程に関する。回転炉床炉は、その内部に配置された少なくとも1つのプラズマトーチと、回転軸線の回りを回転することのできる遠心力装置と、回転軸線上にて遠心力装置の炉基部に配置された取り出し開口部とを有する。該工程は、次のステップ、すなわち取り出し通路を充填砂により閉じるステップと、コンクリート、イオン交換樹脂、あらゆる種類のプラスチック及び金属等のような可燃性及び(又は)可溶融性材料を回転炉床炉内に導入するステップと、次に、廃棄物を分解し、燃焼させ且つ(又は)溶融させるステップと、遠心力装置を所定の回転速度にて回転させるステップとを備えるものとする。このため、第一のステップにおいて、充填砂は好ましくは通路状の取り出し開口部内に導入される。この目的のため、充填砂を保持する閉塞要素が取り出し通路の下端に配置されている。充填装置は、充填砂にて望むように充填すべく計量供給装置を有している。取り出し通路の全体を完全に充填するのに必要な充填砂の量を正確に導入することが好ましい。しかし、より多くの充填砂を導入し、その結果、例えば、充填砂の丘状積み重ね体が炉基部に形成されるようにすることも考えられる。取り出し開口部が充填砂を使用して閉じられた後、可溶融性で且つ可燃性の廃棄物を回転炉床炉内に導入し、且つ処理することが可能であり、その廃棄物は、プラズマトーチの助けを受けて不活性な雰囲気及び高温度にて燃焼させ、残る固体粒子が溶融材料中に含まれるようにすることが好ましい。この目的のため、回転炉床炉の遠心力装置は、所定の回転速度にて回転する。取り出し開口部は充填砂を使用して閉じられるため、炉基部が溶融材料にて完全に覆われたままであるようにするのに十分に低レベルの回転速度を選ぶことができる。
【0017】
この工程の第一の実施の形態において、取り出し開口部は最初に閉塞要素を使用して閉じられる。次に、取り出し開口部又は取り出し通路を充填砂にて充填する。閉塞要素は、一方にて充填砂が取り出し通路内に保持されることを保証し、また、他方にて、充填砂が稼動中、意図せずに流れ出るのを防止する。閉塞要素が開放された後に、始めて充填砂を取り出し開口部から除去することができる。閉塞要素はそれ自体の軸線の回りにて回転し、また、上昇/回動アームに固定されることが好ましい一方、該上昇/回動アームは炉構造体に関節式に接続される。閉塞要素は、「取り出し通路を閉じる」機能のため、ばね力により所要位置に保持することができる。閉塞要素は、「取り出し開口部を開く」機能のため、液圧的に回動させることができる。
【0018】
本発明の更なる実施の形態に従い、反応器を空にするため、取り出し開口部を開き、その結果、取り出し通路の下方に配置された閉塞要素は開き、次に、充填通路内の充填砂は、エジェクタ又はクリーニング装置の助けを受けて少なくとも部分的に除去される。閉塞要素が開いた後、特定の状況にて、自由に流動する充填砂の一部は既に取り出し通路から流れ出ている。回転炉床炉の回転速度は、取り出し開口部が最早、遠心力の作用のため、溶融材料により覆われないような要領にて増大する。次に、エジェクタ又はクリーニング装置の助けを受けて、例えば、依然として取り出し通路内に存在する充填砂の残留物をクリーニング装置の可動の設計とされたランスを使用して突き出すことにより、充填砂を取り出し開口部から除去する。除去するためには、回転炉床炉の回転速度を再度、減少させる。その結果、溶融材料の制御された状態の取り出しを保証することができる。溶融材料が流れ出るときの速度は、回転速度を選ぶことにより制御することができる。次に、流れ出る溶融材料を鋳型内に集め、且つ冷却させる。
【0019】
更なる実施の形態において、溶融材料の残留物は、取り出しが完了した後、溶融材料の残留物が少なくとも部分的に取り出し開口部内に残り、その壁を覆うような要領にて溶融材料の残留物をクリーニング装置の助けを受けて取り出し通路から除去する。取り出し通路の直径よりも小さい直径を有するランスは、取り出し通路の中央領域内にある溶融材料の残留物のみを除去する。回転軸線に沿って取り出し開口部内に配置され、実質的に凝固する環状の所要形状のライニングは残る。その結果、取り出し通路に強固に接合された相対的に強力な保護層が形成されることになる。この要領にて、このようにして較正された取り出し通路は磨耗から効果的に保護される。
【0020】
本発明の更なる形態は、溶融材料の残留物が取り出し開口部内のライニング又はシュラウドとして後に残るような要領にて、溶融材料の残留物が取り出し開口部の中央においてのみ除去される工程に関する。その結果、炉又は回転炉床炉を取り出し通路が開いた状態にて、稼動させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の更なる個々の特徴及び有利な効果は、一例としての実施の形態の以下の説明及び図面から明らかになるであろう。
図1には、参照番号1で示した炉が図示されている。該炉1は、その内部に、回転軸線Rの回りを回転することのできる遠心力装置3が配置されたハウジング23を有している。プラズマトーチ2は、開口部24を介して炉1の内部16内に配置されている。更に、ハウジング23は、熱分解ガスの開口部19と、炉を可燃性で且つ可溶融性の材料及び(又は)廃棄物にて充填するための開口部18とを有している。開口部18は、可燃性で且つ可溶融性の材料及び(又は)廃棄物、特に、放射性及び(又は)有毒の中身を保持するドラムの全体を炉1の内部16内に導入することができるような要領にて形態設定することができる。補助バーナ、測定計器及びその他の装置に対する更なる可能な開口部は図1に図示されていない。遠心力装置3は、固体及び(又は)液体材料を受理する炉タンク4を形成する。炉タンク4は、炉基部5と、炉側壁6とを有している。炉基部5は、プラズマトーチ2から発生する電流を運ぶために使用することができるような要領にて形態設定されている。炉基部5には、例えば、黒鉛ブロック又は導電性のラミングコンパウンドを設けることができる。しかし、炉基部5は、また、電流を運ぶ電極と、熱的及び化学的抵抗性を有するライニング材料とを備える設計とすることもできる(図3及び図4参照)。炉基部5の中央に取り出し開口部8がある。該取り出し開口部8は、回転軸線Rの方向に向けて伸びる通路25として形態設定されている。この場合、取り出し通路25は、円筒状であることが好ましいが、凸型又は凹型の実施の形態とすることも考えられる。円筒状通路に対し円錐形の導入領域とすることも考えられる。取り出し通路25又は炉基部5の下端は、閉塞要素7によって閉じられている。取り出し通路25は、例えば、金属酸化物/黒鉛の混合体のような、高温度抵抗性のある充填砂10にて充填される。単に一例として、SiO2、Cr23、Al23、Fe23MgO、CaO及びCの混合体から成る充填砂が適している。取り出し通路25を充填砂10にて完全に充填することも有益である。溶融材料と、その内部に含まれた固体とから成る溶融体21が遠心力装置3内に配置される。図1から理解し得るように、取り出し開口部8の上方の領域は、充填砂10にて充填するため、溶融体21にて覆うことができる。
【0022】
炉の頂側部12の領域内には、充填砂を取り出し開口部25内に充填する充填開口部9が存在する。充填砂は、貯蔵容器22から又はその他の供給装置によって所要外形の充填部分11内に進む。所要外形の充填部分11は、管の形態とされ、且つ回転軸線R上に配置されることが好ましい。自由に流動する充填砂は、炉の内部16を通って取り出し開口部8上に又は取り出し通路25内に落下する。しかし、所要外形の充填部分11が取り出し開口部8まで又は取り出し開口部の少なくとも近くまで動き、充填工程を実行するようにすることも考えられる。更に、充填砂10を取り出し通路25から排除し、取り出し開口部25を開くためのクリーニング装置13が回転軸線R上にて炉1の頂側部12に設けられている。クリーニング装置13は、伸長可能なランス14を有しており、該ランスは、炉1が稼動する間、その開始位置にて、炉の内部16の外側に配置される。廃棄物が溶融し、燃焼させ且つ(又は)分解する、通常の稼動中、炉1の内部16は、密封された状態にて閉じることができることが好ましい。通常の稼動中、炉は、1KPaないし2.5KPa(10ないし25mバール)の雰囲気以下の圧力にあることが好ましい。通常の稼動中、充填及びクリーニング装置に熱応力が加わらないことを保証するため、開口部26は閉じられる。このことは、例えば、x方向に変位可能な摺動体20を使用して行うことができる。勿論、一方にて、充填装置9、及び他方にてクリーニング装置13は、1つの開口部26ではなくて、色々な開口部を有するようにすることも考えられる。
【0023】
図2には、ランス14が伸びた状態にある炉1が示されている。この目的のため、摺動体20又は別の閉塞装置を開き位置まで動かす。ランス14は、回転軸線Rに沿って取り出し開口部8に向けて、特に、取り出し通路25がその全長に亙って有孔とされるようにするのに十分な程度、動かす。ランス14の先端15は、対称に心合わせされることが好ましい。先端15の直径は、取り出し開口部8、特に、取り出し通路25の直径に相応するものとすることができる。しかし、先端15の直径は取り出し通路25の直径よりも小さいことも有益である。開く取り出し通路は、先端の直径を選ぶことにより画成される。この要領にて、溶融体が流れ出るときの速度に影響を与えることも可能である。溶融体を収集するため鋳型17が取り出し開口部8の下方に設けられる。
【0024】
ランス14、又は少なくともランスの先端15は、例えば、当該技術分野の当業者に既知の材料ハイネス(HAYNES)230のような高温度抵抗性の材料から成る。ランスの先端は、截頭円錐形の形態とすることができる。クリーニング装置13は、該クリーニング装置を充填装置9としても使用できるような要領にて形態設定することができる。例えば、このため、基本的に中空のランスを、取り出し通路25を充填するため使用することができる。更に、充填砂が取り出し開口部8内に又は取り出し通路25内に導入された後、圧力を加えることにより、充填砂を圧密化すべくクリーニング装置13、特に、ランス14を使用することも考えられる。この目的のため、ランス14の先端15は、充填砂を圧縮するため、特殊な、特に、平坦な取り付け部を有することができる。
【0025】
図3に示した遠心力装置3は、好ましくは、金属製の支持構造体27内に配置されたライニング28を有している。ライニング28は、鋳造及びラミングコンパウンド、又は鋳造又は加圧したコランダムのレンガ、クロムアルミナ及びアルミナ含有率の高い製品のような従来の耐火性ライニング材料から成るものとすることができる。取り出し開口部8を形成する取り出しブロック29は、ライニング28の一部として中央に配置されている。炉基部の内側部30における少なくとも一部は、中央に向けて相対的に僅かに下方に傾斜していることが好ましい。下方傾斜は、特に、溶融体が流れ出るのを容易にすることを目的とする。取り出しブロック29は、内部16に面するその側部にて水平な形態をしている。しかし、この場合にも、中央に向けて下方に傾斜しているようにすることも考えられる。プラズマトーチから発生する電流を運ぶ導電性リング要素31がライニング28内に配置されている。底部にて、ばね力により取り出しブロック29に押し付けられる、閉塞要素7は、取り出し開口部8又は取り出し通路25を閉じる。閉塞要素は、それ自体の軸線の回りを回転し且つ、上昇/回動アームに固定されることが好ましく、該アームは、その一部分が炉構造体に関節式に接続される。「取り出し通路を閉じる」機能のため、閉塞要素は、ばね力の下、所要位置に保持することができる。「取り出し通路を開く」機能のため、閉塞要素は、液圧的に回動させることができる。
【0026】
図4には、回転炉床炉及び(又は)遠心力装置3を回転軸線Rの回りにて回転させる駆動装置32を有するその遠心力装置3が示されている。遠心力装置3は、歯付きリングを介して回転駆動装置により回転動作を行うようにされる。この点に関して、ωは、回転速度を表す。ライニング28は、複数の安定化及び絶縁層33ないし35を有している。図3に示した、導電性リング要素31に代えて、炉基部5は、細長い設計の複数の電極36を有している。これらの電極は、炉基部の内側部30に向けて僅かに傾斜している。平面図にて見たとき、電極36は、均一に配分され且つ、互いに同心状に配置される。電極36は、集電ブラシ37と電気的に接触している。取り出し開口部8は、遠心力装置3の回転軸線上に配置されている。
【0027】
図5には、充填装置9と、クリーニング装置13とを有する上部構造体(38)が示されている。該上部構造体38は、例えば、フランジ接続部39の助けを受けて炉1と接続されている。上部構造体38は、その内部にクリーニング装置13及び充填装置9が配置されたハウジング40を有している。伸長可能なランス14は、回転軸駆動装置41及び液圧シリンダ42の組み合わせ体を使用して回転軸線Rに沿って前進させることができる。ランス14の経路の一部は、回転軸駆動装置41の助けを受けて画成される。回転軸Rに対して平行に伸びる回転軸44は、その両端にて回転可能に取り付けられ、且つ電気モータにより駆動されることが好ましい。ランス14の経路の残り部分は、液圧的に覆われる。液圧駆動装置は、例えば、ランスが充填砂にて充填された取り出し通路25を打ち抜くようにするため、より大きい力を加えることができるという有利な効果を有する。ランス14は、例えば、案内キャリッジ43により回転軸線Rに対して平行に伸びる案内部45に沿って案内することができる。更に、クリーニング装置13は、特に、ランスが炉1の内部16に配置されたとき、ランス14の一部を熱の影響から保護すべく使用される細長い管状シュラウド46を有している。充填装置9は、少なくとも1つの貯蔵容器22と、充填砂を案内する管状の管47とを有しており、これらの管状の管は、例えば、ランス14に沿って少なくとも部分的に伸びている。
【0028】
図6ないし図9には、本発明に従って炉1を稼動させる工程の順序が概略図的な形態にして示されている。炉1が可燃性で且つ可溶融性の材料にて充填される前、第一のステップにて、取り出し開口部8の取り出し通路25は、その下側が閉塞要素7の助けを受けて閉じられる。次に、充填砂を準備した取り出し通路25内に導入することができる。充填砂の充填物10は、所期の稼動モードに依存して、それぞれ圧縮し且つ圧密化することができる(図6)。次に、コンクリート、イオン交換樹脂、また、あらゆる種類のプラスチック及び金属等のようなガラス及び可燃性で且つ可溶融性の廃棄物を回転する遠心力装置3内に導入する。所定の炉の充填レベルに達する迄、可溶融性の材料を溶融させる。
【0029】
図7には、正常な稼動中の炉1が示されている。炉は、回転速度ω1にて回転する。回転速度ω1は、炉基部、特に取り出し開口部8が少なくとも覆われるような要領にて選ばれることが好ましい。連続的に又は不連続的に導入される廃棄物は分解し、燃焼させ且つ(又は)溶融する。形成される燃焼ガス及び熱分解ガスが排出され、残る固体残留物は、溶融体21内に進む。溶融体が最高又はその他の所定の炉の充填レベルに達すると、溶融体を炉1から取り出さなければならない。この目的のため、回転速度ω2は、遠心力の結果、少なくとも取り出し開口部8に全く溶融体21が存在しないような程度まで増大させる。閉塞要素7が開き且つ(又は)回動したならば、充填砂10にて充填された取り出し通路25内にクリーニング装置の助けを受けて開口部を打ち抜くことができる。図8に従い、充填砂のコア50を打ち抜くことができる一方、溶融材料の残留物は、取り出し通路25内にライニングとして残る。図9に示すように、溶融材料21は、形成された開口部を通って流れ出ることができる。この目的のため、回転速度ω3は再度、減少する。取り出し通路25内に残った溶融材料の残留物はライニング48として作用する。このライニングは取り出し通路25を保護する。溶融体21が取り出しされた後、取り出し通路25を充填砂にて再充填し、新たなサイクル(バッチ工程)を開始することができる。しかし、溶融体が取り出された後、形成された開口部に残った残留材料を除去する追加的なクリーニングステップを行なうことも考えられる。この目的のため、同一のクリーニング装置又は更なるクリーニング装置を使用することができる。このことは、詰まりのような障害を回避することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に従った高温度炉の一例としての第一の実施の形態を示す断面図である。
【図2】クリーニング装置が伸びている図1に示した一例としての実施の形態を示す断面図である。
【図3】一例としての第二の実施の形態に従った高温度炉の回転炉床炉基部を示す拡大断面図である。
【図4】一例としての第三の実施の形態に従った回転炉床炉基部を示す拡大図である。
【図5】充填装置及クリーニング装置を示す拡大断面図である。
【図6】準備した炉の概略図である。
【図7】第一の稼働状態にある炉の概略図である。
【図8】取り出し通路が開いている第二の稼働状態にある炉の概略図である。
【図9】溶融材料が流れ出る、第三の稼働状態にある炉の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に、放射性廃棄物を燃焼させ且つ溶融させるための高温度炉であって、その内部に配置された少なくとも1つのプラズマトーチ(2)と、回転軸線(R)の回りを回転することのできる遠心力装置(3)にして、炉基部(5)および炉側壁(6)を有する炉タンク(4)を備える前記遠心力装置(3)と、回転軸線(R)上にて炉基部(5)に配置された取り出し開口部(8)と、を備える高温度炉において、取り出し開口部(8)の少なくとも一部分を充填砂(10)にて充填するための充填装置(9)が設けられていることを特徴とする、高温度炉。
【請求項2】
請求項1に記載の高温度炉において、取り出し開口部(8)が、充填砂(10)を保持する閉塞要素(7)を有することを特徴とする、高温度炉。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の高温度炉において、充填装置は、所要外形の充填部分(11)、特に、管を有することを特徴とする、高温度炉。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1つの項に記載の高温度炉において、充填装置(9)が、炉(1)の頂側部(12)に配置されていることを特徴とする、高温度炉。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1つの項に記載の高温度炉において、充填装置(3)の少なくとも個々の所要外形部分(11)が、炉の回転軸線(R)上に配置されていることを特徴とする、高温度炉。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1つの項に記載の高温度炉において、充填砂の少なくとも一部分を取り出し開口部(8)から除去する助けをするためのクリーニング装置(13)をさらに備えていることを特徴とする、高温度炉。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1つの項に記載の高温度炉において、クリーニング装置(13)がランス(14)を有しており、該ランス(14)は、回転軸線(R)に沿って動くことができ、また、該ランス(14)の先端(15)が取り出し開口部(8)内に導入せしめられるようになされていることを特徴とする、高温度炉。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか1つの項に記載の高温度炉において、取り出し通路(25)内に残る溶融材料の残留物がライニング(48)として提供されるようになされていることを特徴とする、高温度炉。
【請求項9】
高温度炉(1)内にて廃棄物を分解し、燃焼させ且つ溶融させる方法にして、高温度炉の内部に配置された少なくとも1つのプラズマトーチ(2)と、回転軸線(R)の回りを回転することのできる遠心力装置(3)にして、炉側壁(6)および炉基部(5)を備える前記遠心力装置(3)と、回転軸線(R)上にて炉基部に配置された取り出し開口部と、備える、請求項1ないし11の何れか1つの項に記載の高温度炉内にて廃棄物を分解し、燃焼させ且つ溶融させる方法であって、
(1)ガラス及び可燃性及び(又は)可溶融性材料を炉内に導入するステップと、
(2)廃棄物を分解し、燃焼させ且つ溶融させるステップと、を備え、
回転炉床炉が所定の回転速度にて回転する、方法において、
可溶融性で且つ可燃性の廃棄物が炉(1)内に導入される前に、取り出し開口部(8)を充填砂により閉じることを特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の廃棄物を高温度炉内にて分解し、燃焼させ且つ溶融させる方法において、取り出し開口部(8)は、最初に閉塞要素(7)を使用して閉じられ、次に、充填砂にて充填されることを特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の廃棄物を分解し、燃焼させ且つ溶融させる方法において、充填砂は、圧密化されることを特徴とする、方法。
【請求項12】
請求項9ないし11の何れか1つの項に記載の廃棄物を分解し、燃焼させ且つ溶融させる方法において、反応器を空にするために、特に、溶融材料を取り出すために取り出し開口部を開くことを特徴とする、方法。
【請求項13】
請求項9ないし12の何れか1つ以上の項に記載の廃棄物を分解し、燃焼させ且つ溶融させる方法において、反応器を空にするため、取り出し開口部(8)の閉塞要素(7)を開くことにより、取り出し開口部を開き、取り出し通路(25)内の充填砂を、クリーニング装置(13)の助けを受けて少なくとも部分的に除去することを特徴とする、方法。
【請求項14】
請求項9ないし12の何れか1つ以上の項に記載の廃棄物を分解し、燃焼させ且つ溶融させる方法において、取り出し通路(25)を充填する充填砂のコア(50)のみを除去することを特徴とする、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−511731(P2007−511731A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540189(P2006−540189)
【出願日】平成16年7月3日(2004.7.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007282
【国際公開番号】WO2005/052447
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(506168624)ツヴィラーク・ツヴィシェンラーガー・ヴューレンリンゲン・アクチェンゲゼルシャフト (2)
【Fターム(参考)】