説明

高温性能を目的としたシリコーンエラストマー

安定剤を含有するシリコーンエラストマーベース組成物が開示され、高温性能が改良された硬化シリコーンエラストマーを提供する。安定剤は、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化鉄および任意に酸化亜鉛を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、合衆国特許出願番号60/933921(2007年6月8日出願)および合衆国特許出願番号61/014907(2007年12月19日出願)の優先権を請求する。
【0002】
この開示は、高温性能が改良された硬化シリコーンエラストマーを提供する、安定剤を含有するシリコーンエラストマーベース組成物に関する。安定剤は、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化鉄、および任意に酸化亜鉛を含む。
【背景技術】
【0003】
シリコーンゴムを用いる自動車用途では性能の改良を実証するために絶え間ない努力を必要とする。技術動向は耐熱性および耐化学薬品暴露性の両方をいつも増大させる要求になる。例えば、西ヨーロッパではガソリン車を犠牲にしてターボディーゼル乗用車の著しい成長を示し続けている。米国では、同じような成長が小型トラック市場で経験されている。ホース、特にターボディーゼルエンジンホースの使用温度・圧力は増大しつつある。典型的には、自動車用途に使用されるホースは、シリコーンゴム(米国材料試験協会(ASTM)によりVMQエラストマーと分類される)で封止された繊維補強材を含み、内面にフルオロエラストマーでライニングした多層構造を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車用途に使用されている、ならびに特にOリング、コネクターにおよびホース構成に使用されるシリコーンエラストマーの熱安定性を改良することが必要とされている。
【0005】
本発明者らは、シリコーンエラストマーベース組成物に添加されたとき、改良された熱劣化特性を硬化シリコーンエラストマーの与える安定剤を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
A)75〜95重量%のシリコーンエラストマーベース、
B)B1)カーボンブラック、
2)炭酸カルシウム、
3)酸化鉄、および
4)任意に、酸化亜鉛
を含む1.5〜40重量%の安定剤であって、安定剤100部中に使用される成分B1、B2、B3およびB4の量は、2〜50部まで変化する安定剤、ならびに
C)0〜3重量%の硬化剤
を含み、ただし、成分A)、B)およびC)の重量%は合計して100重量%になる硬化性シリコーンエラストマー組成物に関する。
【0007】
一つの実施態様では、硬化性シリコーンエラストマー組成物は;
1)少なくとも2個の不飽和基を含みかつ25℃で少なくとも1000mPa・sの粘度を有するオルガノポリシロキサン、
2)補強性充填剤、および
3)充填剤処理剤
を含む高コンシステンシーシリコーンゴムベースを含有する。
【0008】
もう一つの実施態様では、硬化性シリコーンエラストマー組成物は;
1)少なくとも2個の不飽和基を含みかつ25℃で少なくとも1000mPa・sの粘度を有するオルガノポリシロキサン、
2)補強性充填剤、
3)充填剤処理剤
4)1分子あたり平均して2個を超えるケイ素結合水素原子を有するオルガノ水素シロキサン、および
5)ヒドロシリル化触媒
を含む液状シリコーンゴムベースを含有する。
【0009】
この開示は、硬化シリコーンエラストマー組成物およびそれらから製造された製品にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示における成分A)はシリコーンエラストマーベースである。本明細書で用いられる「シリコーンエラストマーベース」は、後に硬化または加硫されるとシリコーンエラストマーまたはゴムとなるシリコーン組成物である。シリコーンは、(R3SiO0.5)、(R2SiO)、(RSiO1.5)、または(SiO2)シロキシ単位(式中、Rは任意の有機基でよい)から独立して選択されるシロキサン単位を含有するオルガノポリシロキサンをさす。これらのシロキシ単位は種々の方法で組み合わせられて環状、直鎖状または分岐状構造を形成する。
【0011】
成分A)で有用なシリコーンエラストマーベースは当技術分野で知られている任意のシリコーンエラストマーベース、例えば高コンシステンシーシリコーンゴムベースと考えられるものから選ぶことができる。また、シリコーンエラストマーベースは「液状シリコーンゴム」組成物であると考えられるものから選択することもできる。
【0012】
本開示の一つの実施態様では、シリコーンエラストマーベースは高コンシステンシーシリコーンゴムベースである。高コンシステンシーシリコーンゴムベースは;
1)少なくとも2個の不飽和基を含みかつ25℃で少なくとも1000mPa・sの粘度を有するオルガノポリシロキサン、
2)補強性充填剤、および
3)充填剤処理剤
を含み得る。
【0013】
成分A1)は少なくとも2個の不飽和基を含みかつ25℃で少なくとも1000mPa・sの粘度を有するオルガノポリシロキサンである。オルガノポリシロキサンはR1aSiO(4-a)/2の平均組成を有してもよい。式中、R1は置換および非置換一価炭化水素基から選ばれ、そしてメチル、エチルおよびプロピルのようなアルキル基、あるいは各アルキル基は1〜10個の炭素原子を含有し、あるいは各アルキル基はメチルまたはエチルであり、最も好ましくは各アルキル基はメチル基である;ビニル、アリル、ブテニルおよびヘキセニルのようなアルケニル基;フェニルのようなアリール基;2−フェニルエチルのようなアラルキルによって例示される。下付き記号aの平均値は1.95〜2.05である。
【0014】
1)のオルガノポリシロキサンは少なくとも2個の不飽和基かつ25℃で1000mPa・sの粘度を有する。典型的には不飽和基はアルケニル基である。アルケニル基は、側鎖位、末端位または両位に結合することができる。そのようなポリマーの重合度(dp)は200〜20,000の範囲である。
【0015】
上記dp範囲は、固いガム状稠度のポリマーを含み、それはdpが約1500以上で、30から250、好ましくは95から125のウィリアム可塑度(ASTM D926)を有する(本明細書で使われる可塑度は、体積が2立方センチメートルで高さが10ミリメートルの円筒状試験片を25℃で3分間49ニュートンの圧縮荷重を受けた後の厚さ(ミリメートル単位)x100として定義される)。そのようなガム状ポリマーは、通常、圧縮もしくはトランスファー成形、カレンダー、スクリュー型押出機などに使用される。
【0016】
本オルガノポリシロキサンは、ホモポリマーまたはコポリマーまたはそのようなポリマーの混合物であり得る。オルガノポリシロキサンのシロキシ単位は、ジアルキルシロキシ基(ここで、各アルキル基は同じでも異なっていてもよい)、アルケニルメチルシロキシ基(ここで、アルケニル基は2〜10個の炭素原子を含有し、好ましくはビニルまたはヘキセニルである)、およびアルキルフェニルシロキシ(ここで、アルキル基は前に記述されたとおりである)によって例示される。オルガノポリシロキサン中の任意の好適な末端基が利用されてもよく、例としてトリアルキルシロキシおよびアルケニルジアルキルシロキシ基(ここでアルケニルおよびアルキル基は前に記述されたとおりである)が挙げられる。使用することができるオルガノポリシロキサンの例としては、ビニルジメチルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−ビニルメチルシロキサンコポリマー、ビニルジメチルシロキシ末端封鎖ポリジメチルシロキサン、ビニルメチルヒドロキシシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−ビニルメチルシロキサンコポリマー、およびビニルジメチルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサン−ビニルメチルシロキサンコポリマーが挙げられる。
【0017】
本シリコーンエラストマーベースの補強性充填剤(A2)は典型的にはシリカである。多くの形状のシリカが市販されており、例えばヒュームドシリカ、沈殿シリカ、シリカエーロゲル、シリカキセロゲルなどがある。典型的には、補強性シリカ充填剤は少なくとも100m2/gの表面積、あるいは少なくとも200m2/gの表面積を有する。補強性シリカ充填剤は、他のエラストマー特性に悪い影響を与えることなく所望の補強を与える任意の量で添加することができる。通常、オルガノポリシロキサン100部あたり補強性シリカ充填剤5〜100部の量が有用である。
【0018】
成分(A3)は、少なくとも2個のヒドロキシまたは加水分解性基またはそれらの組合せを含みかつ平均して2〜50の重合度を有するオルガノポリシロキサンを含む充填剤処理剤(または処理剤の混合物)である。成分(A3)は、式R2aSiO(4-a)/2の単位を含むことができる。式中、R2は置換および非置換一価炭化水素基から選ばれ、フェニル基のようなアリール基またはメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチルおよびプロピルのようなアルキル基で例示され、あるいは各アルキル基は1〜10個の炭素原子を含有し、より好ましくは各アルキル基がメチルまたはエチル基であり、あるいは各アルキル基はメチル基である。R2はビニル、アリルおよび/またはヘキセニル基のようなアルケニル基から選ぶこともできる。下付き記号aの平均値は1.95〜2.05である。少なくとも2個のヒドロキシ基が鎖の末端ヒドロキシ基または側鎖基または両方でもよい。各加水分解性基は、親水性充填剤表面の−OH基と「コールド」混合でも互いに作用しあう任意の好適な加水分解性基であり得る。典型的に、各加水分解性基は1〜10個の炭素原子を有するアルコキシ基であり、あるいは存在する場合、各アルコキシ基はメトキシ基またはエトキシ基である。成分(A3)の粘度は典型的には10および1000mPa・sの間であるが、必要であればそれより大きくてもよい。充填剤処理剤は典型的には充填剤(成分A2)の重量の0.5〜12重量%の量で与えられる。
【0019】
充填剤の処理は未硬化組成物の常温での機械特性を改良することになる。通常、充填剤(成分(A2))は、上述されたような、適当な処理剤またはその混合物を用いてその場で処理される。しかし、充填剤は、望まれる場合、事前処理することができる。事前処理工程は混合プロセスに追加工程を導入することになるので避けられるのが通常であるが、事前処理された表面改質充填剤は、それが調製されると、凝集することなく、オルガノポリシロキサン中に均一に組み入れることができる。
【0020】
シリコーンエラストマーベースは、二酸化チタン、石英、酸化マグネシウム、グラファイト、ガラスファイバーおよびガラスミクロスフェアのような増量充填剤も含むことができる。シリコーンエラストマーベースは、顔料、着色料、難燃性付与剤、追加熱安定添加剤、圧縮永久ひずみ改良添加剤およびゴム分野で一般に使用される他の添加剤を挙げることができる。
【0021】
高コンシステンシーシリコーンゴムベースは当技術分野で知られており、多くが市販されている。代表的な、限定しない例として、SILASTIC(登録商標)GP600シリコーンゴム、SILASTIC(登録商標)ニューGP600シリコーンゴム、SILASTIC(登録商標)HGS701、およびSILASTIC(登録商標)ニューHGS701シリコーンゴムが挙げられる。
【0022】
他の実施態様では、シリコーンエラストマーベースが液状シリコーンゴムである。液状シリコーンゴムは、次の組成;
1)少なくとも2個の不飽和基を含みかつ25℃で少なくとも1000mPa・sの粘度を有するオルガノポリシロキサン、
2)補強性充填剤、
3)充填剤処理剤、
4)1分子あたり平均して2個を超えるケイ素結合水素原子を有するオルガノ水素シロキサン、および
5)ヒドロシリル化触媒
を有し得る
成分A1、A2およびA3は上述と同じである。
【0023】
成分(A4)は1分子あたり2個を超えるケイ素結合水素原子を有するオルガノ水素シロキサンである。オルガノ水素シロキサンは1分子あたり平均して少なくとも2個を超えるケイ素結合水素原子を含有し、ケイ素原子の残りの結合価が二価の酸素原子または1〜7個の炭素原子を含む一価炭化水素基で満たされている。一価炭化水素基は、例としてメチル、エチル、プロピル、tert−ブチルおよびヘキシルのようなアルキル基;シクロヘキシルのようなシクロアルキル;フェニルおよびトリルのようなアリールならびに/またはトリフルオロプロピル基のようなトリフルオロアルキル基またはパーフルオロアルキル基であり得る。そのような物質は当技術分野で知られている。オルガノ水素シロキサンの分子構造は、直鎖状、分岐を含む直鎖状、環状もしくは網目形状またはそれらの混合物であり得る。オルガノ水素シロキサンの分子量については別段の限定はないが、25℃での粘度が3〜10,000mPa・sであることが好ましい。さらに、組成物に添加される成分(A4)の量は、ケイ素結合アルケニル基のモル数に対して、ケイ素結合水素原子のモル数の比が0.5:1〜20:1の範囲、あるいは1:1〜5:1の範囲となるような量である。
【0024】
オルガノ水素シロキサンに存在するケイ素結合有機基は、1〜4個の炭素原子を有する置換および非置換アルキル基を含むことができ、別の面ではエチレン性またはアセチレン性不飽和を含まない。本出願の目的のために、「置換された」は炭化水素基中の1個以上の水素原子が他の置換基で入れ替わっていることを意味する。そのような置換基の例として、以下に限定されないが、塩素、フッ素、臭素およびヨウ素のようなハロゲン原子;クロロメチル、パーフルオロブチル、トリフルオロエチルおよびノナフルオロヘキシルのようなハロゲン原子含有基;酸素原子;(メタ)クリルおよびカルボキシルのような酸素原子含有基;窒素原子;アミノ官能性基、アミド官能性基およびシアノ官能性基のような窒素原子含有基;硫黄原子;ならびにメルカプト基のような硫黄原子含有基が挙げられる。
【0025】
成分(A5)はヒドロシリル化触媒である。典型的には選択されたヒドロシリル化触媒は、白金、ロジウム、イリジウム、パラジウムまたはルテニウム触媒から選ばれる白金族元素ベース触媒のような任意の好適なヒドロシリル化触媒を含み得る。本組成物の硬化を触媒化するのに有用な白金族元素含有触媒は、ケイ素結合水素原子とケイ素結合アルケニル基との反応を触媒化することで知られている任意のものであり得る。典型的には、本組成物のヒドロシリル化硬化を生じさせる触媒として使用される白金族元素は、白金ベース触媒である。本組成物を硬化するための代表的な白金ベースヒドロシリル化触媒として、白金金属、白金化合物および白金錯体が挙げられる。代表的な白金化合物としては、クロロ白金酸、ヘキサクロロ白金酸六水和物、二塩化白金、そのような化合物と低分子量ビニル含有オルガノシロキサンとの錯体が挙げられる。本発明の使用に好適な他のヒドロシリル化触媒は、例として[Rh(O2CCH322、Rh(O2CCH33、Rh2(C81524、Rh(C5723、Rh(C572)(CO)2、Rh(CO)[Ph3P](C572)、RhX43[(R32S]3、(R23P)2Rh(CO)X4、(R23P)2Rh(CO)H、Rh24224、HaRhbオレフィンcCld、Rh(O(CO)R33-n(OH)n(式中、X4は水素、塩素、臭素またはヨウ素であり、Y2はアルキル基例えばメチルもしくはエチルなど、CO、C814または0.5C812であり、R3はアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、R2はアルキル基、アリール基、または酸素置換基であり、aは0または1であり、bは1または2であり、cは1から4(1,4を含め)までの整数であり、およびdが2,3または4であり、nは0または1である)のようなロジウム触媒が挙げられる。Ir(OOCCH33、Ir(C5723、[Ir(Z4)(En)22または[Ir(Z4)(ジエン)]2(式中、Z4は塩素、臭素、ヨウ素、またはアルコキシであり、Enはオレフィンであり、Dienはシクロオクタジエンである)のような任意の好適なイリジウム触媒が使用されてもよい。
【0026】
ヒドロシリル化触媒は本組成物の百万部あたり白金族元素0.001重量部(ppm)ほどに少ない相当量で組成物に添加することができる。典型的には、組成物中のヒドロシリル化触媒の濃度は少なくとも百万分の1部相当の白金族元素を与え得る量である。百万分の3〜50部相当の白金族元素を与える触媒濃度が典型的に用いられる。
【0027】
本発明によるシリコーン液状ゴム組成物の任意の添加剤には、一つ以上の下記のヒドロシリル化触媒抑制剤、レオロジー調整剤、顔料、着色剤、粘着防止剤、接着促進剤、発泡剤、難燃性付与剤、電気および/または熱伝導性充填剤ならびに乾燥剤を含むことができる。
【0028】
任意の好適な白金族タイプ抑制剤を使うことができる。白金触媒抑制剤の一つの有用なタイプは米国特許第3,445,420号に記載されている、その特許は特定のアセチレン系抑制剤およびそれらの使用を示すために参照により本明細書に援用される。アセチレン系抑制剤の好ましい類はアセチレン系アルコールで、特に2−メチル−3−ブチン−2−オールおよび/または1−エチニル−2−シクロヘキサノールであり、それらは25℃で白金ベース触媒の作用を抑える。白金触媒抑制剤の二番目のタイプは米国特許第3,989,667号に記載されている、その特許は特定のオレフィン系シロキサン、その製法および白金触媒抑制剤としてのその使用を示すために参照により本明細書に援用される。白金触媒抑制剤の三番目のタイプは1分子あたり3〜6個のメチルビニルシロキサン単位を有するポリメチルビニルシクロシロキサンである。
【0029】
これらの触媒を含有する組成物は典型的に実用的な速度で硬化するために70℃またはそれ以上の温度に加熱することが必要である。室温硬化は、典型的には、二液系を使用して、架橋剤および抑制剤が二液のうちの一つに、白金は他の一つにあるような系で成し遂げられ得る。白金の量は室温で硬化させるために増やされる。白金触媒抑制剤の最適濃度は、本組成物を高温にて硬化するのに必要な時間的間隔を過剰に長くすることなく、所望保存安定性または周囲温度での所望ポットライフを与える量である。この量は幅広く変化し、用いられる特定の抑制剤、白金含有触媒の種類・濃度および架橋剤の種類に依存している。白金1モルあたり抑制剤1モル程の少ない抑制剤濃度が、ある場合には、保存安定性の所望されるレベルおよび約70℃以上の温度で十分短い硬化期間をもたらすことである。別の場合では、白金1モルあたり10、50、100、500モルそれ以上の抑制剤濃度が必要となる。所定の組成物中の特定抑制剤の最適濃度は日常的な実験により決定することができる。
【0030】
典型的には、液状シリコーンゴム組成物は二液型組成物として提供される。使用前に、先に記載されたように最終の液状シリコーンゴム組成物は少なくとも二液型で保存することができ、それらは弾性体を形成するために組成物を硬化させる直前の最終混合工程で容易に混ぜ合わせられ得る。
【0031】
典型的な二液型組成物では、最初のパート(以後、パートIと呼ぶ)は成分A1、A2、A5および場合により残りの処理剤A3を含む。二番目のパート(以後、パートIIと呼ぶ)は成分A4または成分A4およびA1を含む。二液型組成物でのパートIとパートIIとは任意の好適な割合にて、ケイ素原子に結合したアルケニル基のモル数に対してケイ素原子に結合した水素原子のモル数の比が0.5:1〜20:1までの範囲、あるいは1:1〜5:1までの範囲になるような量で混合することができる。典型的には、架橋剤は、パートIおよびパートIIが典型的に1:10〜100:1、あるいは20:1〜1:5、あるいは10:1〜1:2の比で混合されるようなレベルでパートIIのポリマー中に存在することになる。
【0032】
任意の添加剤は、得られるエラストマーの特性に悪い影響を与えないことを条件に、パートIまたはパートIIのいずれかに存在し得る。任意の添加剤として、レオロジー調整剤および接着促進剤が挙げられる。
【0033】
レオロジー調整剤としては、ポリエーテルのポリオールまたはポリエステルをベースにした欧州特許第0802233号に記載されたもののようなシリコーン有機コポリマー;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エトキシ化ひまし油、オレイン酸エトキシラート、アルキルフェノールエトキシラート、エチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)のコポリマーおよびシリコーンポリエーテルから選ばれる非イオン性界面活性剤;シリコーングリコールが挙げられる。
【0034】
任意の好適な接着促進剤は、本発明による組成物中に組み入れることができる。それらは、例としてアミノアルキルアルコキシシラン、エポキシアルキルアルコキシシランのようなアルコキシシラン、例えば3−グリシドキシプロピルメトキシシラン、およびメルカプトアルキルアルコキシシランおよびγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、エチレンジアミンとシリルアクリラートとの反応生成物が挙げられる。1,3,5−トリス(トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌラートのようなケイ素基を有するイソシアヌラートも追加して使用可能である。さらに好適な接着促進剤は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのようなエポキシアルキルアルコキシシランと3−アミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノ置換アルコキシシランとの反応生成物および任意でメチルトリメトキシシラン、エポキシアルキルアルコキシシラン、メルカプトアルキルアルコキシシランのようなアルキルアルコキシシラン、およびそれらの誘導体がある。
【0035】
[安定剤]
本開示における成分B)は安定剤である。本明細書において使われている「安定剤」とは、硬化性シリコーンエラストマー組成物、例えば上記されてものに、硬化シリコーンエラストマー組成物の熱安定性または耐油性のいずれかを改良する目的で添加される成分(B1、B2、B3、および任意にB4)のある組み合わせをさす。安定剤成分は:
1)カーボンブラック、
2)炭酸カルシウム、
3)酸化鉄、および
4)任意に、酸化亜鉛
を含み、各成分は下記に詳細に説明される。
【0036】
成分B1はカーボンブラックである。カーボンブラックの種類および源は変わり得る。本発明において成分(B1)として有用なカーボンブラックの代表的な非限定例は、この種の材料項目の概要、例えばChemical Economics Handbook−SRI International 2005,カーボンブラック731.3000Aに見ることができる。典型的には、カーボンブラックは、無定形で、少なくとも98%のカーボン含量、0.05マイクロメートルの平均粒子径、少なくとも44m2/gの比表面積を有する。本開示で成分B1として好適なカーボンブラックの代表的な非限定例として、SUPERJET(登録商標)カーボンブラック(LB−1011)(供給先:エレメンティス・ピグメント社、米国62208イリノイ州フェア−ビュー・ハイツ);SR511(供給先:シッド・リカードソン・カーボン社、米国44333オハイオ州アクロン、スイーツ420、ウエスト・マーケット・ストリート3560);およびN330、N550、N762、N990(デグッサ・エンジニア・カーボン社、米国ニュージャージー州パーシップパニィ)が挙げられる。
【0037】
成分B2)は炭酸カルシウムである。炭酸カルシウムの種類および源は変わり得る。本発明において成分(B2)として有用な炭酸カルシウムの代表的な非限定例は、この種の材料項目の概要、例えばChemical Economics Handbook−SRI International 2007,炭酸カルシウム724.6000Aに見ることができる。典型的には、炭酸カルシウムは99%より多いCaCO3であり、平均粒径が5〜6マイクロメートルである。本開示で成分B2として好適な炭酸カルシウムの代表的な非限定例として、OMYA BLP(登録商標)3(OMYA、フランス国オルゴン)が挙げられる。
【0038】
成分B3)は酸化鉄である。酸化鉄の種類および源は変わり得る。本発明において成分(B3)として有用な酸化鉄の代表的な非限定例は、この種の材料項目の概要、例えばChemical Economics Handbook−SRI International 2008,無機着色顔料575.3000Aに見ることができる。酸化鉄は、0.2マイクロメートルの平均粒子径を有し、少なくとも95%のFe23を含有する微粉化されたパウダーである。本開示で成分B3として好適な酸化鉄の代表的な非限定例として、Baryferrox(登録商標)130BM(ランセス・ドイツ(Lanxess Deutschland)社、ドイツ国レベルクセンD−51369)が挙げられる。
【0039】
成分B4)は酸化亜鉛である。酸化亜鉛の種類および源は変わり得る。本発明において成分(B4)として有用な酸化鉄の代表的な非限定例は、この種の材料項目の概要、例えばChemical Economics Handbook−SRI International 2007,無機亜鉛化学薬品798.1000Aに見ることができる。典型的には酸化亜鉛は少なくとも99%のZnOであり、0.1マイクロメートルの平均粒径および9.0m2/gの平均表面積を有する。本開示で成分B4として好適な酸化亜鉛の代表的な非限定例として、Kaddox911(ホースヘッド社、米国15061ペンシルベニア州モナカ)が挙げられる。
【0040】
安定剤B)に用いられる各成分の量は、以下;
1)カーボンブラック、2〜50部、あるいは10〜40部、あるいは25〜40部、あるいは30〜35部、
2)炭酸カルシウム、2〜50部、あるいは10〜40部、あるいは25〜40部、あるいは30〜35部
3)酸化鉄、2〜50部、あるいは10〜40部、あるいは25〜40部、あるいは30〜35部、
4)酸化亜鉛、0〜50部、あるいは1〜40部、あるいは1〜10部
のように変化し得る。ここで、部は安定剤100重量部中のB1、B2、B3およびB4各成分の量を重量で表している。
【0041】
硬化性シリコーンエラストマー組成物に用いられる安定剤の量(それは成分B1、B2、B3、およびB4の合計重量である)は全硬化性シリコーンエラストマー組成物の1.5〜40重量%、あるいは5〜30重量%、あるいは10〜20重量%まで変わり得る。特定の用途で要求される安定剤の量は、シリコーンゴムベース(A)の選択、安定剤組成物(B)の選択、熱安定性要求事項および硬化フルオロシリコーンエラストマーの製造に選択される方法に基づいてゴム業者によって決定することができる。熱安定剤組成物はシリコーンゴムベースの加工性に影響を与えるかもしれない。しかし、本安定剤に類似する添加成分について、加工性に影響を与えそうな要因を克服する技術はよく知られている。そのような技術として、シリコーンエラストマーベース中の、それら成分の濃度、粒子形状、および表面活性を変えることが挙げられる。
【0042】
安定剤の各成分を硬化性シリコーンエラストマー組成物にどのように加え、混合するかについての方法は変わり得る。例えば、成分B1〜B3および任意にB4の混合物を最初に作り、シリコーンエラストマーベース組成物に混ぜ合わせることができる。あるいは、各成分を個々に任意の順序で硬化性シリコーンエラストマー組成物に直接添加、混合することができる。最も均一かつ最適な混合を確実にするために、典型的に各安定剤成分の「マスターバッチ」が、個々の安定剤成分をシリコーンベース成分の一部と混ぜることにより製造される。マスターバッチ化された安定剤成分はその後シリコーンエラストマー組成物に加えることができる。マスターバッチ手法は、特にカーボンブラック、酸化鉄および酸化亜鉛の添加に有用である。
【0043】
[C)硬化剤]
任意の硬化剤は、安定剤を含有するシリコーンエラストマーベースに、硬化シリコーンエラストマーの形成をもたらすため添加される。典型的には、硬化剤は、高コンシステンシーシリコーンゴム実施態様でのシリコーンエラストマーベース成分に添加される。成分C)の添加は液状シリコーンゴム実施態様では必ずしも必要はない。典型的には、硬化剤はシリコーン分野では周知の有機過酸化物である。本発明の方法に従って使用可能な好適な過酸化物の具体例として:2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン;ベンゾイルペルオキシド;ジクミルペルオキシド;t−ブチルペルオキシO−トルアート;環状ペルオキシケタール;t−ブチルヒドロペルオキシド;t−ブチルペルオキシピバラート;ラウロイルペルオキシド;t−アミルペルオキシ2−エチルヘキサノアート;ビニルトリス(t−ブチルペルオキシ)シラン;ジ−t−ブチルペルオキシド、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン;2,2,4−トリメチルペンチル−2−ヒドロペルオキシド;2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキシン−3、t−ブチル−ペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノアート;クメンヒドロペルオキシド;t−ブチルペルオキシベンゾアート;およびジイソプロピルベンゼンモノヒドロペルオキシドが挙げられる。
【0044】
有機過酸化物の量は重要な意味を持つものではない。実用的な量は安定剤を含有するシリコーンエラストマーベースの0.1〜3重量%の範囲である。
【0045】
硬化性シリコーンエラストマー組成物は、二酸化チタン、石英、酸化マグネシウム、グラファイト、ガラス繊維、およびガラスミクロスフェアのような増量充填剤も含むことができる。シリコーンエラストマーベースは、顔料、着色剤、難燃付与剤、追加の熱安定性添加剤および圧縮永久ひずみ改良添加剤も含むことができる。
【0046】
一つの実施態様において、硬化性シリコーンエラストマー組成物は成分Dとして水酸化セリウムまたはセリウム水和物を含む。熱安定性のためにシリコーンエラストマー組成物への水酸化セリウムまたはセリウム水和物の添加は公知である。しかし、そのような組成物は、典型的に200℃までの熱安定性に限られていた。本安定剤組成物(成分B)は、セリウム水酸化物または水和物のような従来の熱安定剤と一緒に使われると、典型的に200℃を超えて熱安定性を与える。成分DA4として有用な水酸化セリウムまたはセリウム水和物は式Ce(OH)4・xH2O(CAS登録番号12014−56−1)を有するセリウム化合物がある。水酸化セリウムまたはセリウム水和物の量は変わり得るが、典型的には、シリコーンエラストマー組成物の0.1〜10重量%の範囲である。最も均一かつ最適に混合することを確実にするために、典型的に水酸化セリウムまたはセリウム水和物成分の「マスターバッチ」がそれと一部のシリコーンベースまたはポリジオルガノポリシロキサン成分と混合して製造される。マスターバッチ化された水酸化セリウムまたはセリウム水和物成分はその後シリコーンエラストマー組成物に加えることができる。そのようなマスターバッチ化された組成物は市販されかつ本組成物に有用なものとして、SILASTIC(登録商標)HT−1改質剤(ダウコーニングコーポレーション、米国ミシガン州ミッドランド)がある。
【0047】
シリコーンエラストマーベースを硬化するための温度範囲は、室温またはそれ以上でもよい。好ましい温度範囲は50℃〜250℃である。温度範囲は用いた触媒を活性化するのに十分な温度範囲でなければならない。
【0048】
シリコーンエラストマーまたはゴムは、上記に詳述のシリコーンベース組成物を混合し、組成物を所望の形状に成形し、そして加硫してシリコーンエラストマーを生じさせることにより製造することができる。
【0049】
シリコーンエラストマー組成物は所望の形状に適する方法、例えば圧縮成形、射出成形、トランスファー成形、カレンダー加工および押出しによって形成することができる。
【0050】
所望の形状に形成後、形成されたシリコーンエラストマーは加硫される。シリコーンエラストマー組成物が有機過酸化物加硫剤を含む場合、組成物は有機過酸化物触媒を活性化するのに十分高い温度に加熱して加硫される。成形時は、温度は典型的に15分以下の時間で100℃〜180℃である。押出工程のように熱風中で硬化させる場合、空気温度は10〜60秒のように短い暴露時間で300℃のような高温でもよい。
【0051】
シリコーンエラストマーは高温劣化後の物理特性の保持改善を示す。
【0052】
一つの実施態様では、硬化シリコーンエラストマーは少なくとも7MPaの引張り強さおよび少なくとも200%の伸びを有する。
【0053】
一つの実施態様では、硬化シリコーンエラストマーの引張り強さは、硬化シリコーンエラストマーの225℃で7日間の加熱劣化でも25パーセントを超えて減少しない。
【0054】
硬化エラストマー組成物は、種々の用途で、以下に限定されないが、自動車、船舶および航空機を含む運輸;化学および石油プラント;電気;電線およびケーブル;食品加工装置;原子力発電所;航空宇宙;医療分野;オイル・ガス堀削産業ならびにその他用途が挙げられる応用分野での使用向けに、以下に限定されないが、Oリング、ガスケット、コネクター、シール、ライナー、ホース、チューブ、ダイヤフラム、ブーツ、弁、ベルト、ブランケット、コーティング、ロール、成形品、押出シート、チョークおよび押出品によって例示される各種の製品を作るために有用である。
【実施例】
【0055】
これらの実施例は、本発明を当業者に例証することを意図しており、請求項に記載された発明の範囲を限定するように解釈してはならない。すべての測定および実験は別段の表示がない限り、23℃で行われた。
【0056】
【表1】

【0057】
[処方]
すべての試験処方は、100部の「New GP600」または「New HGS701」のいずれかと、1.0部の「HT−1」および1.5部のDicup 40Cを含んでいた。処方は、「Kadox911」、「LB−1011」、「S2400 Red 2 MB」および「BLP−3」の種々の組合せを含めて作製された。何の添加剤を含んでいないベースラインも作製され、添加剤の効果が測定できるようにされた。
【0058】
[コンパウンディング]
すべての成分について、ツープレイス実験室用天秤(2 place laboratory balance)を用いて目標重量の2%以内になるように秤量された。実験用2本ロール混練機を用いてすべての試験処方が混ぜ合わされた。混練機は加熱されず、混合中すべてのバッチの温度は50℃以下に保たれた。試験処方の主成分、処方により「New GP600」または「New HGS701」のいずれかが、最初に加えられ、高速ロール上に帯状に巻き付いた。HT−1がまず加えられ、特定処方のすべての添加剤が続き、組み入れられるまで混合させられた。その後材料はロールから切り取られ、巻き上げられ、ロールに戻しロールの周りに再び巻き付けられた。材料は、同様に9回以上、切り剥がされ、戻され、巻き付けられた。その後材料は再度混練機に戻され巻き付けられた。「Dicup 40C」がその後添加され、組み込まれるまで混合された。その後材料は切り剥がされ、巻き上げられ、ロールに戻され、再びロールの周りに巻き付けられた。材料は、同様に9回以上、切り剥がされ、戻され、巻き付けられた。その後、材料は広げられたニップ隙間を用いた混練機を通して、成形により適したおよそ0.100”厚の材料の連続シートを得た。
【0059】
[成形]
試験厚板に成形するために用いた装置は、二枚の12”×12”×0.040”のアルミニウム支持板、支持板両方ともPTFE繊維補強フィルムで覆われており、および12”×12”のスチールチェース(10”×10”×0.075”である空洞部を有する)から構成されていた。予め混練機からシート状にされた材料は、チェースに適切に充填量の重量を確かなものにするために秤量された。材料は最初にコールドプレスされた後、170℃に加熱されたプレスに2,100psiの圧力で10分間置かれた。10分の終了時、材料は直ちにチェースから取り外され、冷たいスチール製作業台の上で冷却された。冷却後、識別番号および成形条件を厚板上に書き、タルクの薄いコーティングがその表面に試験中に厚板同士または他の厚板との密着を防ぐためにまぶされた。
【0060】
[試験方法]
すべての材料は試験される前に熱風循環オーブン中で200℃の温度で4時間、後硬化された。
【0061】
<硬さ>
ASTM D2240に基づくダウコーニング社内試験法0099
【0062】
<引張り強さ、伸び、モジュラス>
ASTM D412に基づくダウコーニング社内試験法0137A
【0063】
<引裂き強さ>
ASTM D624に基づくダウコーニング社内試験法1313
【0064】
<熱劣化>
試験片が通常の試験用のように作製された。それらは厚さが測定され、予め加熱された熱風循環オーブンの中に所定の試験期間試験片の端でぶら下げられた。試験片は、各試験片のすべての側の周囲に良好な空気循環を確実にするために十分な間隔があけられた。その後試験片は外されて、冷却され、特性計算のために劣化前の厚さを用いて16〜48時間内に引張りおよび引裂き試験法により試験された。
【0065】
【表2】

【0066】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)75〜95重量%のシリコーンエラストマーベース、
B)B1)カーボンブラック、
2)炭酸カルシウム、
3)酸化鉄、および
4)任意に、酸化亜鉛
を含む1.5〜40重量%の安定剤であって、安定剤100部中に使用される成分B1、B2、B3およびB4の量は、2〜50部まで変化する安定剤、ならびに
C)0〜3重量%の硬化剤
を含み、ただし、成分A)、B)およびC)の重量%は合計して100重量%になる硬化性シリコーンエラストマー組成物。
【請求項2】
前記シリコーンエラストマーベースが高コンシステンシーシリコーンゴムベースである請求項1に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物。
【請求項3】
前記高コンシステンシーシリコーンゴムベースが;
1)少なくとも2個の不飽和基を含みかつ25℃で少なくとも1000mPa・sの粘度を有するオルガノポリシロキサン、
2)補強性充填剤、および
3)充填剤処理剤
を含む請求項2に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物。
【請求項4】
前記シリコーンエラストマーベースが液状シリコーンゴムである請求項1に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物。
【請求項5】
前記液状シリコーンゴムが;
1)少なくとも2個の不飽和基を含みかつ25℃で少なくとも1000mPa・sの粘度を有するオルガノポリシロキサン、
2)補強性充填剤、
3)充填剤処理剤
4)1分子あたり平均して2個を超えるケイ素結合水素原子を有するオルガノ水素シロキサン、および
5)ヒドロシリル化触媒
を含む請求項4に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物。
【請求項6】
前記安定剤100部が、
10〜40部のB1)カーボンブラック、
10〜40部のB2)炭酸カルシウム、および
10〜40部のB3)酸化鉄
を含む請求項1に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物。
【請求項7】
i)請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物の混合物をある形状に成形すること、および
ii)形状化された混合物を加硫し、硬化シリコーンエラストマーを生成させること
を含む硬化シリコーンエラストマーの製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法で製造された硬化シリコーンエラストマー。
【請求項9】
前記硬化シリコーンエラストマーが少なくとも7MPaの引張り強さおよび少なくとも200%の伸びを有する請求項8に記載の硬化シリコーンエラストマー。
【請求項10】
前記硬化シリコーンエラストマーの引張り強さが、225℃で7日間の硬化シリコーンエラストマーの熱劣化で25%を超えて減少しない請求項7に記載の硬化シリコーンエラストマー。
【請求項11】
前記硬化シリコーンエラストマーの引張り強さが、225℃で7日間の硬化シリコーンエラストマーの熱劣化で25%を超えて減少せず、かつ
前記硬化シリコーンエラストマーの伸びが、225℃で7日間の硬化シリコーンエラストマーの熱劣化で25%を超えて減少しない請求項7に記載の硬化シリコーンエラストマー。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれか一項に記載の硬化シリコーンエラストマーを含む製品。
【請求項13】
前記物品が、Oリング、ガスケット、シール、ライナー、ホース、ダイヤフラム、ブーツ、弁、ベルト、ブランケット、コーティング、ロール、成形品、押出シート、チョークおよび押出品から選択される請求項12に記載の製品。
【請求項14】
I)B1)カーボンブラック、
2)炭酸カルシウム、
3)酸化鉄、および
4)任意に、酸化亜鉛
を含む熱安定剤をシリコーンエラストマーベースと混合すること、
II)該熱安定剤を含有するシリコーンエラストマーベースを加硫すること
を含むシリコーンエラストマーの熱安定性または耐熱性を改良する方法。
【請求項15】
前記シリコーンエラストマーベースが高コンシステンシーシリコーンゴムベースである請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記シリコーンエラストマーベースが液状シリコーンゴムベースである請求項14に記載の方法。

【公表番号】特表2010−529259(P2010−529259A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511346(P2010−511346)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/066013
【国際公開番号】WO2008/154327
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】