説明

高温洗浄用液体洗剤組成物、洗浄方法及び洗濯機

【課題】酵素活性の持続性が良く、特に、衣料用に高温でも高い洗浄性を持つ高温洗浄用液体洗剤組成物を提供。
【解決手段】下記式で表される化合物及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(A)、酵素(a)、界面活性剤(b)及び水を含有する高温洗浄用液体洗剤組成物。


[式中、Xはイミノ基、酸素原子又は硫黄原子を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温洗浄用液体洗剤組成物、洗浄方法及び洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料はその種類によって汚れが異なる。汚れの中で皮脂汚れ、タンパク汚れ及び粒子汚れ等の複合汚れは洗浄が困難であると考えられている。従来、このような汚れに対しては、皮脂汚れ除去及び粒子汚れの分散に優れた界面活性剤、タンパク汚れ分解に優れたプロテアーゼのような酵素を含む洗剤が有効であることが知られている。
【0003】
周知の通り、酵素は分解力の高さから今や洗剤に欠かすことのできないものとなっている。一方、洗剤は使い勝手の点で従来の固形洗剤から液体洗剤へ形態が変わりつつある。しかしながら、酵素は水溶液中で酵素活性の持続性が悪く、貯蔵中に酵素活性が著しく低下するといった問題が発生している。そのため、酵素の酵素活性の持続性が高く洗浄力を維持できる液体洗剤を提供することが大きな課題になっている。
【0004】
例えばプロテアーゼ阻害剤を添加することにより、酵素活性の持続性の改善が行われてきた。非特許文献1には、ボロニックアシッドがセリンプロテアーゼ、ズブチリシンを阻害する旨の記載がある。特許文献1には4−置換フェニルボロン酸がプロテアーゼ、サビナーゼを阻害する旨の記載がある。
また、酵素を安定化するために、特許文献2にはポリオール(例えば1,2−プロパンジオール、ソルビトール、グリセロール)を添加することも記載されている。
しかしながらこれらの組成物を含む液体洗剤では、一定の効果はあるものの、貯蔵時の酵素活性の低下を十分抑えることができるとは言えず、消費者のニーズに十分対応できる洗浄性を得ることができない。
さらに、これらの液体洗剤では、高温で洗浄しても、依然として十分な洗浄性を満足することができない。
なお、本発明において、「酵素活性の持続性が良い」とは、一定期間保管した後に測定した酵素活性と、保管する直前に測定した酵素活性との差が小さく、一定の酵素活性を示すことを意味する。また、「高温洗浄性が良い」とは、30〜70℃の高温で洗浄したときの洗浄性が高いことを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平11−507680号公報
【特許文献2】特開2009−507085号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Molecular & Cellular Biochemistry,51,1983,p5−p32
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、酵素の酵素活性の持続性が良く、高い洗浄性を持つ高温洗浄用液体洗剤組成物;洗浄方法;洗濯機を提供すること、特に、衣料用に高い洗浄性能を実現できる高温洗浄用液体洗剤組成物;洗浄方法;洗濯機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(A)、酵素(a)、界面活性剤(b)及び水を含有する高温洗浄用液体洗剤組成物;該高温洗浄用液体洗剤組成物を用いて、30〜70℃の温度で洗浄する洗浄方法;該洗浄方法で使用する、洗浄液を温度調整する機構を備えた洗濯機である。
【0009】
【化1】

【0010】
[式(1)中、Xはイミノ基、酸素原子又は硫黄原子を表す。]
【発明の効果】
【0011】
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物は、長期的に高い洗浄性を保つことができ、さらに、高温でも高い洗浄性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物は、下記一般式(1)で表される化合物及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(A)、酵素(a)、界面活性剤(b)及び水を含有する高温洗浄用液体洗剤組成物である。
【0013】
【化2】

【0014】
[式(1)中、Xはイミノ基、酸素原子又は硫黄原子を表す。]
【0015】
酵素を液体洗剤中で保存すると、酵素が凝集や加水分解等を起こし酵素活性(力価)が著しく低下するという問題点があるが、本発明では、特定の化学構造を有する上記の化合物(A)を液体洗剤組成物に含有させることにより解決できる。
【0016】
本発明の洗剤組成物を使用して洗浄する際の洗浄温度は、洗浄性の観点で、30℃〜70℃が好ましく、さらに好ましくは35℃〜60℃、次にさらに好ましくは40℃〜50℃である。
【0017】
一般式(1)で表される化合物として、具体的にはグアニジン、尿素及びチオ尿素が挙げられる。
【0018】
一般式(1)で表される化合物の塩としては、塩酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、硫酸塩及びリン酸塩等が挙げられ、具体的にはグアニジンの塩が挙げられる。
【0019】
化合物(A)としては、酵素活性の持続性及び高温洗浄性の観点で、グアニジンの塩及び尿素が好ましく、さらに好ましくはグアニジンの塩、次にさらに好ましくはグアニジン塩酸塩である。
【0020】
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物中に含まれる化合物(A)の含有量(重量%)は、酵素活性の持続性及び高温洗浄性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0.01〜30が好ましく、さらに好ましくは0.02〜10、次にさらに好ましくは0.03〜5、特に好ましくは0.05〜3である。
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物中に含まれる化合物(A)の含有量は、酵素活性の持続性及び高温洗浄性の観点から、酵素(a)の重量に対し、1〜1000重量%が好ましく、さらに好ましくは5〜500重量%、次にさらに好ましくは10〜300重量%である。
【0021】
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物は、さらに下記一般式(2)で表される化合物(B)を含有することができる。酵素活性の持続性及び高温洗浄性の観点から、(B)を含有することが好ましい。
【0022】
【化3】

【0023】
一般式(2)中、Qはアルキル基を表し、アルキル基中の水素原子の一部が水素原子以外の置換基に置換されていてもよい。
【0024】
Qのアルキル基としては炭素数1〜22のアルキル基が挙げられ、具体的にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、セチル基、ステアリル基及びベヘニル基等が挙げられる。これらのアルキル基中の水素原子の一部が水素原子以外の置換基に置換されてもよい。
水素原子以外の置換基としては、アミノ基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、イミノ基及びヒドロキシル基等が挙げられる。置換基の数は1〜3が好ましく、さらに好ましくは2〜3である。例えばQがブチル基の場合、ブチル基末端の水素原子2つが1つのアミノ基及び1つのカルボキシル基で置換された場合は、(B)はアルギニンを表す。
【0025】
化合物(B)としては、アルギニン又はその塩(B−1)、アルギニン誘導体又はその塩(B−2)及びグアニジン誘導体又はその塩(B−3)が挙げられる。
【0026】
アルギニン又はその塩(B−1)として、アルギニン、アルギニンの無機酸塩(塩酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、硫酸塩及びケイ酸塩等)及びアルギニンの有機酸塩(ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、トリメリット酸塩及びピロメリット酸塩等)が挙げられる。
【0027】
アルギニン誘導体又はその塩(B−2)において、アルギニン誘導体は下記一般式(3)で表されるアルギニンのα−アミノ基若しくはα−カルボキシル基又はこれらの両方の基が置換された誘導体である。
α−アミノ基の置換は、下記一般式(4)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基(Y−1)又は一般式(5)で表されるイミノ基(Y−2)への置換であり、α−カルボキシル基の置換は下記一般式(6)で表されるエステル基(Z−1)又は下記一般式(7)で表されるN−アルキルアミド基(Z−2)への置換である。
【0028】
言い換えると、アルギニン誘導体又はその塩(B−2)では、α−アミノ基又はα−カルボキシル基の少なくともいずれか一方が置換されている。すなわち、Yがアミノ基の場合、Zは下記一般式(6)で表されるエステル基(Z−1)又は下記一般式(7)で表されるN−アルキルアミド基(Z−2)であり、Zがカルボキシル基の場合は、Yは下記一般式(4)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基(Y−1)又は下記一般式(5)で表されるイミノ基(Y−2)である。
【0029】
【化4】

【0030】
一般式(3)中、Yはアミノ基、下記一般式(4)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基(Y−1)又は下記一般式(5)で表されるイミノ基(Y−2)を表す。Zは、カルボキシル基、下記一般式(6)で表されるエステル基(Z−1)又は下記一般式(7)で表されるN−アルキルアミド基(Z−2)を表す。
【0031】
【化5】

【0032】
一般式(4)中、R1は、水素原子又は炭素数1〜36の1価の炭化水素基を表し、この炭化水素基はその水素原子の一部が水素原子以外の他の官能基に置換されていてもよい。
【0033】
一般式(4)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基(Y−1)におけるR1の炭化水素基としては、炭素数1〜36の1価の炭化水素基であり、直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が含まれる。
直鎖の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基及びベヘニル基等が挙げられる。
分岐の脂肪族炭化水素基としては、イソプロピル基及びt−ブチル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基及びシクロヘキシルメチル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基及びメチルベンジル基等が挙げられる。
これらの炭化水素基のうち、酵素活性の持続性及び高温洗浄性の観点から、直鎖の脂肪族炭化水素基が好ましく、さらに好ましくはメチル基及びエチル基、最も好ましくはメチル基である。
水素原子以外の置換基としては、アミノ基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、イミノ基及びヒドロキシル基等が挙げられる。
【0034】
一般式(4)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基(Y−1)として具体的には、ホルムアミド基、アセチルアミド基、プロピオン酸アミド基、ブチル酸アミド基、ヘキシル酸アミド基、シクロヘキシル酸アミド基、オクチル酸アミド基及びベンゾイルアミド基等が挙げられる。
【0035】
【化6】

【0036】
一般式(5)中、R2とR3はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜36の炭化水素基を表し、これらの炭化水素基はその水素原子の一部が水素原子以外の他の官能基に置換されていてもよい。
【0037】
一般式(5)で表されるイミノ基(Y−2)において、R2とR3は、R1と同様の炭化水素基が含まれ、これらの炭化水素基はR1と同様に、その一部が他の官能基に置換されていてもよい。
【0038】
一般式(5)で表されるイミノ基(Y−2)としては、メチルイミノ基等が挙げられる。
【0039】
【化7】

【0040】
一般式(6)中、R4は、炭素数1〜36の炭化水素基を表す、又は多価アルコール若しくは糖から1つのヒドロキシル基を除いた残基を表す。
この炭化水素基はその水素原子一部が他の官能基、例えば、ヒドロキシル基、メトキシル基、エトキシル基、ニトロ基及びヒドロキシフェニル基からなる群より選ばれる官能基で置換されていてもよい。
【0041】
一般式(6)で表されるエステル基(Z−1)において、R4が炭素数1〜36の炭化水素基の場合、その炭化水素基は、前記R1と同様の炭化水素基が含まれる。
4が炭素数1〜36の炭化水素基の場合、これらの炭化水素基のうち、酵素活性の持続性の及び高温洗浄性観点から、直鎖の脂肪族炭化水素基が好ましく、さらに好ましくはメチル基及びエチル基、最も好ましくはエチル基である。
【0042】
多価アルコールとしては、2価〜3価のアルコールが含まれ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。
糖としては、グルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール及びトレハロース等が挙げられる。
【0043】
【化8】

【0044】
一般式(7)中、R5は、水素原子又は炭素数1〜36の炭化水素基を表し、この炭化水素基はその水素原子の一部が水素原子以外の他の官能基に置換されていてもよい。
【0045】
一般式(7)で表されるN−アルキルアミド基(Z−2)において、R5が炭素数1〜36の炭化水素基の場合、その炭化水素基としては、前記R1と同様の炭化水素基が含まれ、これらの炭化水素基はR1と同様に、その一部が他の官能基に置換されていてもよい。
5が炭素数1〜36の炭化水素基の場合、これらの炭化水素基のうち、酵素活性の持続性及び高温洗浄性の観点から、直鎖の脂肪族炭化水素基が好ましく、さらに好ましくはメチル基及びエチル基、最も好ましくはメチル基である。
【0046】
アルギニン誘導体又はその塩(B−2)がアルギニン誘導体の塩の場合、無機酸塩(塩酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、硫酸塩及びケイ酸塩等)及び有機酸塩(ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、トリメリット酸塩及びピロメリット酸塩等)が挙げられる。
【0047】
アルギニン誘導体又はその塩(B−2)の化合物として具体的に、N−アセチルアルギニンエチルエステル塩酸塩が挙げられる。
【0048】
グアニジン誘導体又はその塩(B−3)としては、Qを特に限定するものではないが、具体的にアミノグアニジン(−NH2)、ジシアンジアミド(−CN)、グアニルチオウレア(−C(=S)NH2)、ドデシルグアニジン(−C1225)、エチルグアニジン(−C25)、オクチルグアニジン(−C817)及びビグアニド(−C(=NH)NH2)が挙げられる。ここで、()内はQの官能基を表す。
【0049】
これらのうち、高温洗浄用液体洗剤組成物の酵素活性の持続性及び高温洗浄性の観点で、好ましくは(B−1)及び(B−2)であり、さらに好ましくは、(B−2)であり、特に好ましいのはN−アセチルアルギニンエチルエステル塩酸塩である。
【0050】
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物中に含まれる化合物(B)の含有量(重量%)は、酵素活性の持続性及び高温洗浄性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0.01〜30が好ましく、さらに好ましくは0.03〜10、次にさらに好ましくは0.05〜5である。
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物中に含まれる化合物(B)の含有量は、酵素活性の持続性及び高温洗浄性の観点から、酵素の重量に対し、1〜1000重量%が好ましく、さらに好ましくは5〜500重量%であり、次にさらに好ましくは10〜300重量%である。
【0051】
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物は化合物(A)のみを含有すればよいが、酵素の酵素活性及び高温洗浄性の持続性の観点から、化合物(A)及び化合物(B)を含有することが好ましい。
【0052】
(A)及び(B)を含有する場合、(A)と(B)との重量比((A)の重量/(B)の重量)は0.1〜9が好ましく、さらに好ましくは0.2〜8であり、特に好ましくは0.5〜5である。
【0053】
本発明における必須成分である酵素(a)としては、プロテアーゼ(a−1)、セルラーゼ(a−2)、アミラーゼ(a−3)、リパーゼ(a−4)及びオキシドレダクターゼ(a−5)が含まれる。
【0054】
プロテアーゼ(a−1)としては、動物、植物又は微生物起源のものが含まれ、入手しやすさの観点から、微生物起源のものが好ましい。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。プロテアーゼのうち、洗浄性の観点から、セリンプロテアーゼが好ましく、より好ましくはアルカリ性微生物プロテアーゼ及びトリプシン様プロテアーゼである。
【0055】
アルカリ性微生物プロテアーゼとしては、サブチリシン、特にバシラス菌(Bacillus)由来のもの、例えばサブチリシン Novo、サブチリシン Carlsberg、サブチリシン 309、サブチリシン 147及びサブチリシン 168が挙げられる。
トリプシン様プロテアーゼとしては、トリプシン(例えば、ブタ又はウシ起源のもの)及びフザリウム(Fusarium)プロテアーゼが挙げられる。
市販のプロテアーゼとしては、ノボザイムス社のAlcalaseTM、SavinaseTM、PrimaseTM、DurazymTM及びEsperaseTM並びにジェネンコア社のPurafectTM及びPurafect OXPTM等が挙げられる。
【0056】
セルラーゼ(a−2)としては、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。セルラーゼとしては、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)から生産される真菌セルラーゼとして米国特許第4,435,307号明細書に開示されているものが含まれる。また、特に適当なセルラーゼは色彩保護(color care)に役立つセルラーゼであり、欧州特許出願第0 495 257号明細書に記載されたセルラーゼが含まれる。
市販のセルラーゼとしては、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)の株により生産されたノボザイムス社のCelluzymeTM及び花王社のKAC−500(B)TMが挙げられる。
【0057】
アミラーゼ(a−3)としては、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。アミラーゼとしては、例えば、英国特許第1,296,839号明細書に詳細に記載されているB.リヘニフォルミス(B. licheniformis)の特殊株から得られるα−アミラーゼが挙げられる。
市販のアミラーゼとしては、ノボザイムス社の DuramylTM、TermamylTM、FungamylTM及びBANTM並びにGist−Brocades社のRapidaseTM及びMaxamyl PTMが挙げられる。
【0058】
リパーゼ(a−4)としては、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。リパーゼの例としては、フミコーラ・ランギノーザ(Humicola lanuginosa)リパーゼ(欧州特許第258 068号明細書及び欧州特許第305 216号明細書)、リゾムーコル・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ及びカンジダ(Candida)リパーゼ(欧州特許第238 023号明細書)、C.アンタークティカ(C. ntarctica)リパーゼA及びB、シュードモナス(Pseudomonas )リパーゼ(欧州特許第214 761号明細書)、P.シュードアルカリゲネス(P. pseudoalcaligenes)及びP.アルカリゲネス(P. alcaligenes)リパーゼ(欧州特許第218 272号明細書)、P.セパシア(P. cepacia)リパーゼ(欧州特許第331 376号明細書)、P.スタッツェリ(P. stutzeri)リパーゼ、P.フルオレッセンス(P. fluorescens)リパーゼ及びバシラス(Bacillus)リパーゼ(英国特許第1,372,034号明細書)、B.サチリス(B. subtilis)リパーゼ(Dartois 他(1993), Biochemica et Biophysica Acta1131,253−260)、B.ステアロサーモフィラス(B. stearothermophilus)リパーゼ(特公昭64−744992号公報)並びにB.ピュミルス(B. pumilus)リパーゼ(国際公開第91/16422号)が挙げられる。
【0059】
市販のリパーゼとしては、ジェネンコア社の M1 LipaseTM、Luma fastTM及びLipomaxTM、ノボザイムス社のLipolaseTM及びLipolase UltraTM並びに天野エンザイム社のLipase P“Amano”TMが挙げられる。
【0060】
オキシドレダクターゼ(a−5)としては、ペルオキシダーゼ及びオキシダーゼ(例えばラッカーゼ)が含まれる。
ペルオキシダーゼとしては、植物、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。ペルオキシダーゼとしては、コプリナス(Coprinus)(例えばC.シネレウス(Coprinus cinereus)又はC.マクロリザス(C. macrorhizus)の菌株由来のもの)、バシラス(Bacillus)(B.ピュミラス(B. pumilus)の菌株由来のもの)及び国際公開第91/05858号に記載されたペルオキシダーゼが好ましく、特に好ましくは国際公開第91/05858号に記載されたペルオキシダーゼである。
ラッカーゼとしては、細菌又は真菌起源のものが含まれる。ラッカーゼとしては、トラメテス(Trametes)(例えばT.ビロサ(T. villosa)又はT.ベルシコロール(T. versicolor)の菌株由来のもの]、コプリナス(Coprinus)[例えばC.シネレウス(C. cinereus)の菌株由来のもの]及びミセリオフトラ(Myceliophthora)[例えばM.サーモフィラ(M. thermophlla)の菌株由来のもの]が挙げられる。
【0061】
上記の酵素のうち、タンパク汚れ、脂汚れ、粒子汚れ及び炭水化物汚れに対する洗浄性の観点で、プロテアーゼ(a−1)、セルラーゼ(a−2)、アミラーゼ(a−3)及びリパーゼ(a−4)が好ましく、さらに好ましくは、プロテアーゼ(a−1)である。
【0062】
本発明において高温洗浄用液体洗剤組成物に含まれる酵素(a)は、洗浄性の観点で2種以上を含むことができる。2種以上を含む場合の組み合わせとしては、プロテアーゼとセルラーゼ、プロテアーゼとセルラーゼとリパーゼ、プロテアーゼとアミラーゼ、及びプロテアーゼとセルラーゼとアミラーゼ等の組み合わせが挙げられる。
【0063】
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物に含まれる酵素(a)の含有量は、洗浄性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し、0.01〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜2重量%、0.1〜1重量%である。
【0064】
本発明の必須成分である界面活性剤(b)はノニオン性界面活性剤(b−1)、アニオン性界面活性剤(b−2)、カチオン性界面活性剤(b−3)及び両性界面活性剤(b−4)が挙げられる。
【0065】
ノニオン性界面活性剤(b−1)としては、脂肪族アルコール(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100)[オレイルアルコールエチレンオキサイド11モル付加物等]、脂肪族アミン(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100)[ヘキサデシルアミンエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物、ラウリルアミンエチレンオキサイド付加物、ステアリルアミンエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)グリコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=20)及びジステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=30)等]、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール及びモノラウリン酸ソルビタン等]、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル(ポリ)アルキレンオキサイド付加物(アルキレン基の炭素数2〜8,重合度=1〜100)[ソルビタンモノラウレートエチレンオキサイド(重合度=10)付加物及びメチルグルコースジオレエートエチレンオキサイド(重合度=50)付加物等]、脂肪酸N−ヒドロキシアルキルアミド[1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド及び1:1型ラウリン酸ジエタノールアミド等]、アルキル(炭素数1〜22)(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)フェニルエーテル、アルキル(炭素数8〜24)(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)−アミノアルキル(炭素数8〜24)−エーテル及びアルキル(炭素数8〜24)ジアルキル(炭素数1〜6)アミンオキシド[ラウリルジメチルアミンオキシド等]等が挙げられる。
【0066】
アニオン性界面活性剤(b−2)としては、炭素数8〜24のアルキルエーテルカルボン酸又はその塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレンエーテルカルボン酸又はその塩[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルスルホコハク酸2ナトリウム等]、炭素数8〜24のアルキル硫酸エステル塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレン硫酸エステル塩[ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)硫酸ナトリウム及びラウリル(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)硫酸−トリエタノールアミン塩等]、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸スルホン酸ナトリウム、炭素数8〜24のアルキルフェニルスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等]、炭素数8〜24のアルキルリン酸エステル塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレンリン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等]、アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]が挙げられる。
【0067】
カチオン性界面活性剤(b−3)としては、第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム及びエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]及びアミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩及びオレイルアミン乳酸塩等]等が挙げられる。
【0068】
両性界面活性剤(b−4)としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
【0069】
界面活性剤(b)としては、1種又は2種以上が使用出来る。2種以上を使用する場合、その組み合わせとしては、例えばノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤、及びノニオン性界面活性剤と両性界面活性剤の組み合わせ等が挙げられる。
【0070】
(b)として、洗浄性の観点から、ノニオン性界面活性剤単独での使用、及びノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との組み合わせでの使用が好ましい。
ノニオン性界面活性剤単独で使用する場合、ノニオン性界面活性剤としては、洗浄性の観点から、脂肪族アルコール(炭素数8〜24)エチレンオキサイド付加物(重合度=1〜100)、脂肪族アミン(炭素数8〜24)エチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物(重合度=1〜100)が好ましく、さらに好ましくは脂肪族アルコール(炭素数12〜18)エチレンオキサイド付加物(重合度4〜20)、脂肪族アミン(炭素数12〜18)エチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物(重合度=4〜60)次にさらに好ましくは脂肪族アルコール(炭素数12〜15)エチレンオキサイド付加物(重合度=8〜12)、脂肪族アミン(炭素数16〜18)エチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物(重合度=30〜60)、特に好ましくはオレイルアルコールエチレンオキサイド11モル付加物、ヘキサデシルアミンエチレンオキサイド42モルプロピレンオキサイド12モル付加物である。
ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤を組み合わせて使用する場合、ノニオン性界面活性剤は上記単独で使用する場合と同様のものが好ましい。アニオン性界面活性剤としては、洗浄性の観点から、炭素数8〜24のアルキルフェニルスルホン酸塩、脂肪酸塩、炭素数8〜24のアルキル硫酸エステル塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレン硫酸エステル塩が好ましく、さらに好ましくは、炭素数12〜16のアルキルフェニルスルホン酸塩及び炭素数8〜16の脂肪酸塩、次にさらに好ましくは、ドデシルベンゼンスルホン酸モノエタノールアミン塩及びラウリン酸ナトリウムである。
【0071】
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物に含まれる界面活性剤(b)の含有量は、洗浄性の観点から高温洗浄用液体洗剤組成物の重量に対し、5〜80重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは20〜40重量%である。
【0072】
本発明の必須成分である水は、特に限定するものではなく、水道水、イオン交換水、蒸留水及び逆浸透水等が挙げられる。
【0073】
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物に含まれる水の含有量は、洗浄性の観点から、高温洗浄用液体洗剤組成物の重量に対し、5〜95重量%が好ましく、さらに好ましくは28〜90重量%、特に好ましくは54〜80重量%である。
【0074】
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物には、上記の化合物(A)及び(B)、酵素(a)、界面活性剤(b)並びに水以外に、無機塩(c)、多価アルコール(d)、糖(e)、アルギニン以外のアミノ酸(f)、ビルダー(g)、アルカリ剤(h)及びキレート剤(i)を含有することができる。
【0075】
無機塩(c)として、塩化ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ギ酸ナトリウム、硫酸マグネシウム及び硫酸アンモニウム等が挙げられる。
【0076】
多価アルコール(d)として、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。
【0077】
糖(e)として、トレハロース、スクロース、デキストリン、シクロデキストリン、マルトース、フルクトース、ヒアルロン酸及びコンドロイチン硫酸等が挙げられる。
【0078】
アルギニン以外のアミノ酸(f)として、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、アスパラギン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、ロイシン、リシン、ヒスチジン及びそれらの塩等が挙げられる。
【0079】
ビルダー(g)として、ポリ(メタ)アクリル酸塩及びポリカルボン酸{例えば、シュウ酸、クエン酸、コハク酸及びリンゴ酸}が挙げられる。
【0080】
アルカリ剤(h)として、例えば、苛性ソーダ、ソーダ灰、アンモニア、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン及びトリポリリン酸ソーダ等が挙げられる。
【0081】
キレート剤(i)としては、液体洗剤に用いられる公知のものを用いることができる。例えば、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸及びジエンコル酸等のアミノポリ酢酸又はこれらの塩、ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸及びカルボキシメチル酒石酸等の有機酸又はこれらの塩並びにアミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)又はこれらのアルカリ金属若しくは低級アミン塩等が挙げられる。
【0082】
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物中に含まれる無機塩(c)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から高温洗浄用液体洗剤組成物の重量に対し0.01〜10が好ましく、さらに好ましくは0.05〜5、次にさらに好ましくは0.1〜3である。
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物中に含まれる多価アルコール(d)の含有量(重量%)は、高温洗浄用液体洗剤組成物の均一性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0〜20が好ましく、さらに好ましくは0〜10、次にさらに好ましくは0〜5である。
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物中に含まれる糖(e)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から高温洗浄用液体洗剤組成物の重量に対し0〜5が好ましく、さらに好ましくは0〜3、次にさらに好ましくは0〜1である。
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物中に含まれるアミノ酸(f)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から高温洗浄用液体洗剤組成物の重量に対し0〜10が好ましく、さらに好ましくは0〜5、次にさらに好ましくは0〜3である。
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物中に含まれるビルダー(g)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から高温洗浄用液体洗剤組成物の重量に対し0〜5が好ましく、さらに好ましくは0〜3、次にさらに好ましくは0〜1である。
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物中に含まれるアルカリ剤(h)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から高温洗浄用液体洗剤組成物の重量に対し0〜5が好ましく、さらに好ましくは0.1〜4、次にさらに好ましくは0.5〜3である。
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物中に含まれるキレート剤(i)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から高温洗浄用液体洗剤組成物の重量に対し0〜5が好ましく、さらに好ましくは0〜3、次にさらに好ましくは0〜2である。
【0083】
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物のpHは、洗浄性の観点から、1%(w/w)水溶液で7〜11が好ましく、さらに好ましくは7〜10である。
【0084】
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物は、各成分を混合することにより得られ、製造方法は特に限定されるものではない。1例を下記に示す。
(1)水に界面活性剤(b)、化合物(A)及び必要により化合物(B)を加え、25℃で均一になるまで撹拌する。
(2)酵素(a)以外の成分を所定量添加し均一に溶解させる。
(3)最後に酵素(a)を添加し溶解させ、高温洗浄用液体洗剤組成物を製造する。
【0085】
本発明の別の実施態様は、上記の高温洗浄用液体洗剤組成物を用いて、30℃〜70℃で洗浄する洗浄方法である。
本発明の洗浄方法は、従来の液体洗剤組成物の使用方法において温度以外は同じでよく、特に限定されるものではない。1例を下記に示す。
(1)洗濯物が入った洗濯機に30〜70℃のお湯を張り、25℃の高温洗浄用液体洗剤組成物を添加し、軽く撹拌して溶解させる。
(2)洗濯機で洗濯物を洗浄する。
(3)洗濯機から液を抜き、水道水で1〜2回すすぐ。
(4)適宜脱水をかける。
【0086】
本発明の洗浄方法で洗浄する対象は、特に限定されないが、布製品(綿、ポリエステル等)が好ましく、特に好ましくは衣料である。
衣料の素材は、綿、綿・ポリエステル混紡が洗浄性の観点で好ましい。
【0087】
本発明において、高温洗浄用液体洗剤組成物と、これ以外に洗浄時に加える水との比は、洗浄性の観点から0.05/1000〜10/1000が好ましく、さらに好ましくは0.1/1000〜2/1000である。
【0088】
洗浄液とは、高温洗浄用液体洗剤組成物及びこれ以外に洗浄時に加える水の混合物を意味する。
【0089】
本願発明のもう一つの実施態様は、上記の洗浄方法で使用する、洗浄液を温度調製する機構を備えた洗濯機である。洗浄液を温度調製する機構は、洗浄液を高温(30〜70℃が好ましい)に温度調製する機構であれば特に限定するものではないが、洗濯槽内に設置しても、洗濯槽外に設置しても良い。洗濯槽内に設置する場合の温度調製する機構としては、温度調節システム(加熱ヒーター等)が挙げられる。洗濯槽外に設置する場合の温度調製する機構としては、ガスを用いた瞬間湯沸かし器を使用する、ガスコンロ上で水が入った耐熱性の容器を加熱する、電子レンジで水を加熱する、及び太陽光エネルギーで加熱する、洗浄液を外部循環させて温度調製する等が挙げられる。
【実施例】
【0090】
以下の実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0091】
<製造例1>
N−α−アセチルアルギニン{アルギニンアセトアミド、株式会社エムピーバイオジャパン}12.6部(0.05モル部)、メタンスルホン酸1部及びエタノール92部(2モル部)を均一混合し、80℃で5時間加熱攪拌し、エバポレーターで濃縮後、塩酸(濃度:35重量%)5.2部(0.05モル部)を加え中和した。その後、水から再結晶し、減圧乾燥{60℃、20Pa}して、化合物(B)であるN−α−アセチルアルギニンエチルエステル塩酸塩を得た。
【0092】
<実施例1〜27>
表1〜3の割合で25℃で配合し、本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物を作製した。
【0093】
<比較例1〜8>
表4の割合で25℃で配合し、比較用の液体洗剤組成物を作製した。
【0094】
実施例1〜27及び比較例1〜8で作製した液体洗剤組成物を用いて下記の洗浄性試験をおこなった。
【0095】
<洗浄性試験>
実施例1〜27及び比較例1〜8で得た液体洗剤組成物のそれぞれについて、液体洗剤組成物を作製した直後及び25℃で3ヶ月保管した後に、液体洗剤組成物及び水を表1〜4に記載の量混合して、洗浄液を得た。この洗浄液に、湿式人工汚染布(4cm×4cm)5枚を投入し、ターゴトメーター(大栄化学製)に洗浄液を外部循環して加熱する装置を取り付け、以下の条件にて洗浄及びすすぎをした後、布を取り出し、ギヤーオーブン(TABAI製、GPS−222)を用いて70℃で60分間乾燥し、試験布を得た。
ついで、多光源分光測色計(スガ試験機製)を使用して、この試験布の540nmの反射率を、試験布1枚ごとに表裏2個所ずつ計4個所(試験布5枚で合計20個所)測定し、この平均値を求め、以下の式にて洗浄率(%)を算出した。
(洗浄条件)
時間:表1〜4に記載の洗浄時間(分)
温度:表1〜4に記載の洗浄温度(℃)
回転速度:120rpm
(すすぎ条件)
時間:1分
温度:25℃
回転速度:120rpm
(洗浄性評価)
洗浄率(%)={(RW−RS)/(RI−RS)}×100
なお、RIは清浄布の反射率、RWは洗浄布の反射率、RSは汚染布の反射率を示す。
また、使用した湿式人工汚染布は、表5の汚垢組成を有する財団法人洗濯科学協会製の湿式人工汚染布(540nmにおける反射率が40±5%)である。
結果を表1〜4に示す。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【0098】
【表3】

【0099】
【表4】

【0100】
表1〜4中の活性剤(b)、酵素(a)、化合物(A)及び化合物(B)は、下記のものを使用した。
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:和光純薬工業(株)製
プロテアーゼ:和光純薬工業(株)製
セルラーゼ:和光純薬工業(株)製
リパーゼ:和光純薬工業(株)製
アミラーゼ:和光純薬工業(株)製
グアニジン塩酸塩:和光純薬(株)製
尿素:和光純薬工業(株)製
アルギニン塩酸塩:和光純薬工業(株)製
なお、表1〜4中、各成分の割合は、重量部で示した。
【0101】
【表5】

【0102】
比較例1〜4に示す従来の液体洗剤組成物は、液体洗剤組成物の作製直後は高温での洗浄性が高いものの、25℃で3ヶ月保管後には洗浄性が低くなっている。また、(B)を含まない比較例5、比較例6は、比較例1〜4と同様に保管後の洗浄性が低下する。また、(A)(B)を含むが(b)を含まない比較例7は、保存による洗浄率低下はないが、洗浄率そのものが低く洗浄剤として使用できるレベルでない。また、(a)を含まない比較例8においても、保存による洗浄率の低下はないが、洗浄率が低く洗浄剤として使用できるレベルではない。
一方、化合物(A)を含む実施例1〜27の高温洗浄用液体洗剤組成物は、作製直後の高温での洗浄性が高く、さらに25℃で3ヶ月保管後も、作製直後と洗浄性がほとんど変化せず、高く維持されている。さらに、実施例1(化合物(A)及び(B)を含む)及び24(化合物(B)を含まない)の比較から、化合物(A)及び(B)を含む高温洗浄用液体洗剤組成物の方が、作成直後及び保存後の洗浄性が優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明の高温洗浄用液体洗剤組成物は、酵素の酵素活性の持続性が良く、高温でも高い洗浄性を持続し、特に衣料用液体洗剤組成物に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(A)、酵素(a)、界面活性剤(b)及び水を含有する高温洗浄用液体洗剤組成物。
【化1】

[式中、Xはイミノ基、酸素原子又は硫黄原子を表す。]
【請求項2】
化合物(A)がグアニジン塩酸塩である請求項1に記載の高温洗浄用液体洗剤組成物。
【請求項3】
さらに下記一般式(2)で表される化合物(B)を含有する請求項1又は2に記載の高温洗浄用液体洗剤組成物。
【化2】

[式中、Qは、アルキル基を表し、アルキル基中の水素原子の一部が水素原子以外の基に置換されていてもよい。]
【請求項4】
酵素(a)がプロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ及びリパーゼからなる群より選ばれる少なくとも1種の酵素である請求項1〜3のいずれかに記載の高温洗浄用液体洗剤組成物。
【請求項5】
化合物(A)の含有量が液体洗剤組成物の重量を基準として0.01〜30重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の高温洗浄用液体洗剤組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の高温洗浄用液体洗剤組成物を用いて、30〜70℃の温度で洗浄する洗浄方法。
【請求項7】
30〜70℃の温度を維持する時間が10分以上である請求項6に記載の洗浄方法。
【請求項8】
衣料を洗浄する請求項6又は7に記載の洗浄方法。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載の洗浄方法で使用する、洗浄液を温度調整する機構を備えた洗濯機。

【公開番号】特開2011−174054(P2011−174054A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13119(P2011−13119)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】