説明

高濃度アルコールの製造方法

【課題】発酵によるアルコールの製造方法において、生成されたアルコールの蒸留コスト及び廃水処理コストの低減を図るために、高濃度アルコールを効率よく短期間で製造する方法及びその製造方法に用いる装置を提供すること。
【解決手段】糖類又は該糖類の含有物を原料とし、アルコール発酵酵母に発酵阻害を与えない糖濃度に調整した初発発酵液と、該初発発酵液の糖濃度より高い糖濃度の流加糖液とを調製し、初発発酵液にアルコール発酵酵母を接種してアルコール発酵を行わせ、発酵液の糖濃度を直接的又は間接的にモニターしながら流加糖液を発酵液に添加して、発酵液の糖濃度を制御しながらアルコール発酵を継続し、アルコール発酵全期間の30〜80%の時間内に流加糖液の添加を終了して、アルコール濃度が15vol/vol%以上となるまで、半回分発酵法によりアルコール発酵して高濃度アルコールを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール発酵酵母が発酵阻害を受けないように、主にフィードバック制御法に基づいて発酵槽内の糖濃度を制御し、高濃度のアルコールを半回分発酵法により製造する方法及びその製造方法に用いる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコール発酵はワイン醸造に見られる果汁のような糖原料を発酵させる単発酵、ビール醸造に見られるでんぷんの糖化液を発酵させる単行複発酵、清酒醸造に特徴的な糖化とアルコール発酵が同時に進行する並行複発酵の3つのタイプが存在する。
【0003】
単発酵又は単行複発酵ではアルコール濃度が14%程度しか得られないものの、清酒製造に代表される並行複発酵では18%を超える濃度のアルコールが生成されている。これは、単発酵又は単行複発酵でアルコール濃度を高くしようとすると原料の糖濃度を上げる必要があるが、糖濃度を25%以上にすると酵母がその浸透圧に耐えられず、発酵障害(高糖圧迫)を引き起こすためであり、そのため、アルコール濃度を上げることができない。一方、並行複発酵では浸透圧を引き上げる糖は発酵の期間中徐々に生成して、これが酵母によってアルコールに変換されているために、糖濃度は発酵期間を通じてほぼ1〜2%の一定に保たれており、このために糖の浸透圧による発酵障害を引き起こすことなく、高濃度のアルコールの生成を可能としている。
【0004】
しかしながら、並行複発酵のメカニズムが理解されているにもかかわらず、これまで単発酵又は単行複発酵において高濃度のアルコールを製造する方法は未だ確立されていない。そのため、糖蜜を利用した発酵アルコールやバイオエタノールの製造においては糖蜜を希釈してアルコール発酵を行っており、この製造法ではアルコール濃度が10vol/vol%程度のアルコールしか得られず、このことが製造設備の大型化や蒸留コスト及び蒸留工程後の廃液処理量の増大につながり、生産コストの増加を招いていた。
【0005】
その外、従来技術としては、固定化酵母の増殖に必要な栄養素を補給することなく、固定化酵母と接触させる液中の発酵性糖濃度を120mg/ml以下に保持しつつ、エタノールの生成に伴い副生する炭酸ガスを検量し、それに応じて高濃度の発酵性糖溶液を補給する、高濃度エタノール(エタノール分6%以上等)の製造方法(例えば、特許文献1参照)や、ゲル状担体に固定化したエタノール生成能を有する嫌気性細菌(例えば、ザイモモナス属細菌)を発酵性糖含有培地と接触反応させる高濃度エタノール(200mg/ml以下)の製造方法(例えば、特許文献2参照)や、微生物固定化担体を充填してなる反応槽の原料入口から製品出口に向って流れる原液の上流域中に反応槽内の基質濃度が微生物反応に適する高基質濃度範囲、例えば13〜20wt%に保たれるように追加原料を段階的に供給し、反応槽の製品出口付近では原料成分が反応を完結して所望のアルコール濃度に到達するようにした連続発酵方法(例えば、特許文献3参照)が知られている。
【0006】
また、糖類からアルコール発酵微生物として凝集性微生物を用いてアルコールを連続的に生産するに当りその方法を少なくとも2段階で実施し、第1段階で酸素供給装置及び菌体分離装置を備えた撹拌型菌体増殖槽において、本質的に発酵活性の高い凝集性微生物を連続培養し、この発酵槽から第2段階の本質的に高濃度アルコールを連続的に生産する発酵槽に微生物を供給するアルコールの連続発酵生産方法(例えば、特許文献4参照)や、酵母による発酵によりエタノールを製造する際に、少なくとも嫌気性雰囲気下での発酵工程において活性炭を存在させ、連続的にグルコースの補給とエチルアルコールの排出、回収を行い高い発酵速度を維持する、工業的に有利なエタノール製造法(例えば、特許文献5参照)や、酒類製造におけるアルコール発酵において、緩い撹拌装置を付した密閉式連続発酵槽で、基質を発酵させ醪を調製し、安定状態となった醪に基質を連続注入しながら、アルコール発酵の安定な条件であるアルコール濃度3〜16%と純グルコース0.1〜10%を保持し連続発酵を行うことで、主アルコール発酵(例えば33日)を連続で行い、該主発酵醪より加えた基質に相当する量を順次抜き出し、小型の個々多数の後発酵槽へ移し、徐々に温度を低下させ低温で後発酵(後熟)を行う酒類の製造法(例えば、特許文献6参照)が知られている。
【0007】
さらに、穀類にα−アミラーゼ及びプロテアーゼを作用させて得た液化液及び/又はその濾液を用いて固定化麹菌を調製する工程、穀類にα−アミラーゼを作用させて得た液化液に前記工程の固定化麹菌を接触させて糖化酵素を含む抽出液を得る工程、固定化酵母を前記工程で得た抽出液に接種してアルコール発酵を行う工程の各工程を繰り返して並行複発酵を行う酒類の製造法(例えば、特許文献7参照)が知られている。
【0008】
【特許文献1】特開昭58−23789号公報
【特許文献2】特開昭56−48887号公報
【特許文献3】特開平3−187384号公報
【特許文献4】特開平4−179488号公報
【特許文献5】特開平7−322884号公報
【特許文献6】特開平10−304864号公報
【特許文献7】特許第3586819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、発酵によるアルコールの製造方法において、製造設備の小型化による運転経費の削減や生成されたアルコールの蒸留コスト及び廃水処理コストの低減を図るために、高濃度アルコールを効率よく短期間で製造する方法及びその製造方法に用いる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従来方法における高濃度アルコールの製造方法として、糖液を含む発酵液に酵母等のアルコール発酵微生物を用いて発酵し、さらに糖液を添加して高濃度アルコールを製造する方法において種々の工夫がなされた高濃度アルコールを得る方法が知られているが、実質的に高濃度のアルコールが得られたというものではなく、また、得られたとしても(特許文献6参照)発酵期間が長期間であり、或いは連続発酵を採用するなど複雑な装置を用いるなど多くの問題点を有していることに加え、発酵基質の種類及び濃度、生産微生物株が限定されていることから、適用範囲が狭く、その実施は困難であった。
【0011】
本発明者は、従来方法の欠点を改善し、上記課題を解決するために、発酵液中の発酵性糖濃度が酵母の増殖・発酵に及ぼす影響を、初発糖濃度、高濃度糖液の添加量とその時期、発酵温度等をパラメーターとして経時的に追跡したところ、発酵液のアルコール濃度が低いときは酵母の増殖・発酵しうるグルコース濃度範囲は比較的広いが、アルコール発酵が進み発酵液のアルコール濃度が高くなるにしたがい、酵母の増殖・発酵しうるグルコース濃度範囲が狭くなり、また、酵母の増殖・発酵が可能な糖濃度範囲は発酵温度が低くなるにしたがって、相対的に広くなるがアルコール生成速度が遅くなるという知見を得た。これら知見に基づいて、アルコール濃度が低いアルコール発酵工程の前半はアルコール発酵によって消費した量に相当する糖を、高濃度の糖液を流加することにより補い、アルコール濃度が高いアルコール発酵工程の後半はかかる高濃度の糖液の流加を行うことなくアルコール発酵を行うと、アルコール濃度18vol/vol%程度の高濃度アルコールを最短で84時間以内に製造しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、(1)アルコール発酵酵母が資化及び発酵し得る糖類又は該糖類の含有物を原料として、アルコール発酵酵母に発酵阻害を与えない糖濃度に調整した初発発酵液と、該初発発酵液の糖濃度より高い糖濃度の流加糖液とを調製し、初発発酵液にアルコール発酵酵母を接種してアルコール発酵を行わせ、発酵液の糖濃度を直接的又は間接的にモニターしながら流加糖液を発酵液に添加して、発酵液の糖濃度を制御しながらアルコール発酵を継続し、アルコール発酵全期間の30〜80%の時間内に流加糖液の添加を終了して、アルコール濃度が15vol/vol%以上となるまでアルコール発酵することを特徴とする半回分発酵法による高濃度アルコールの製造方法や、(2)初発発酵液の糖濃度が120〜220g/Lであることを特徴とする(1)記載の高濃度アルコールの製造方法や、(3)流加糖液の糖濃度が400〜700g/Lであることを特徴とする(1)又は(2)記載の高濃度アルコールの製造方法や、(4)屈折式ブリックス(Brix)計などの屈折率計、振動式密度計及び粘度計を単独若しくはこれらを2つ以上組み合わせて用いて、発酵液の糖濃度を間接的にモニターすることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか記載の高濃度アルコールの製造方法や、(5)アルコール発酵全期間の40〜70%の時間内に流加糖液の添加を終了することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか記載の高濃度アルコールの製造方法や、(6)アルコール濃度が17vol/vol%以上となるまでアルコール発酵することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか記載の高濃度アルコールの製造方法に関する。
【0013】
また本発明は、(7)(1)〜(6)のいずれか記載の高濃度アルコールの製造方法に用いる高濃度アルコール製造装置であって、発酵槽、流加糖液貯留槽、発酵槽内の発酵液に通気する通気手段、発酵槽内の発酵液を攪拌する攪拌手段、発酵槽内の発酵液の糖濃度を直接的又は間接的にモニターする検知手段、検知手段からの信号に基づいて流加糖液貯留槽から流加糖液を発酵槽に流加させる制御手段を備えたことを特徴とする高濃度アルコール製造装置や、(8)(7)記載の装置を複数組み合わせたことを特徴とする高濃度アルコールの半連続製造装置に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の製造方法及び製造装置によると、種々の糖原料から高濃度のアルコールを短期間で効率よく生産することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の高濃度アルコールの製造方法としては、アルコール発酵酵母が資化及び発酵し得る糖類又は該糖類の含有物を原料として、アルコール発酵酵母に発酵阻害を与えない糖濃度に調整した初発発酵液と、該初発発酵液の糖濃度より高い糖濃度の流加糖液とを調製し、初発発酵液にアルコール発酵酵母を接種してアルコール発酵を行わせ、発酵液の糖濃度を直接的又は間接的にモニターしながら流加糖液を発酵液に添加して、発酵液の糖濃度を制御しながらアルコール発酵を継続し、アルコール発酵全期間の30〜80%の時間内に流加糖液の添加を終了して、アルコール濃度が15vol/vol%以上となるまでアルコール発酵する方法であれば特に制限されないが、使用するアルコール発酵酵母は、アルコール発酵が可能なものであればよく、具体的にはサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)をはじめとするサッカロマイセス属酵母やキャンディダ属酵母などを例示することができ、特に清酒醸造に用いられる清酒酵母や焼酎醸造に用いられる焼酎酵母を好適に例示することができる。また、発酵温度は、使用する酵母の種類によっても異なるが、アルコール発酵酵母が生育でき、かつアルコールを生成しうる温度であれば特に制限されないが、清酒等のアルコール飲料を製造する場合は10〜25℃と比較的低温が好ましく、原料アルコールを製造する場合は25〜32℃、特に27〜30℃が好ましい。
【0016】
使用する糖原料としては、アルコール発酵酵母が資化及び発酵し得る糖類や該糖類の含有物であれば特に制限されず、具体的にはグルコース、フラクトース、マルトース、スクロース、キシロース、ガラクトース、セロビオース又はでんぷん糖化液、糖蜜、サトウキビ又は砂糖ダイコンのしぼり汁などが挙げられ、特にグルコースや糖蜜を好適に例示することができ、これらは2種以上併用することができる。また、発酵培地には、通常のアルコール発酵に添加される窒素源等の各種栄養源を適宜添加することもできる。培地の通気攪拌条件としては、呼吸よりもアルコール発酵が進行する通気量、たとえば0.02〜0.1vvmの通気を行う微酸素条件が好ましく、攪拌速度は高濃度糖の流加培地が速やかに拡散し,なおかつ酵母菌体にダメージを与えない速度、たとえば150〜500rpmが好ましい。
【0017】
これらの糖原料を用いて初発発酵液を調製するには、酵母菌株により異なるが、発酵阻害を与えない糖濃度とすることが重要であり、具体的に糖濃度を、50〜300g/L、好ましくは、100〜250g/L、より好ましくは120〜220g/L、さらに好ましくは、150〜200g/Lに調製する。
【0018】
初発発酵液に流加する糖液は、目標とするアルコール濃度を達成できる糖濃度と流加液量が必要であり、糖濃度は初発発酵液の糖濃度より高い糖濃度に調製しておく必要がある。具体的に糖濃度を、300〜800g/L、好ましくは400〜700g/L、より好ましくは400〜600g/Lに調製することができる。一方、流加液量については、流加培地の液量が多すぎるとより希釈されるため発酵期間が長くなり、少なすぎると流加培地の濃度が上がりすぎて、拡散が悪くなることから、初発発酵液量の0.2〜1.2倍、好ましくは0.4〜0.9倍、より好ましくは0.5〜0.7倍がよく、初発発酵液の糖濃度と液量から流加する糖液の糖濃度と液量を決定する必要がある。このときの平均糖濃度は300〜320g/Lになるようにする必要があり、例えば、初発発酵液として200g/Lの糖液1Lの時、流加する糖濃度500g/Lである場合の糖液は、530〜660ml程度となる。
【0019】
アルコール発酵全期間の30〜80%の時間内、好ましくは35〜70%の時間内、より好ましくは40〜60%の時間内に流加糖液の添加を終了すると、アルコール濃度15vol/vol%以上、好ましくは17vol/vol%以上、より好ましくは18vol/vol%以上の高濃度アルコールを製造することができる。そして、流加糖液の添加の終了時をアルコール発酵全期間の30%より少なくすると高糖圧迫により酵母菌体が発酵阻害を受けるために、アルコール発酵が十分行われず、高濃度アルコールを得ることができず、また、アルコール発酵全期間の70%を越えるまで続けると、アルコール発酵速度が低下しているところで流加培地が供給されることになり、生成アルコールが流加培地によって希釈されることでアルコール濃度が下がり、所定の高濃度アルコールを得るために長期間を要することになる。したがって、アルコール発酵全期間の80%までが流加糖液の添加終了時間の上限である。
【0020】
発酵液の糖濃度をモニターする方法としては、直接的又は間接的な方法により行ってよく、直接的に行うにはバイオセンサーを用いる方法等があり、また、間接的に行う方法には、発酵液の糖濃度を屈折式ブリックス(Brix)計をはじめとする屈折率計や、振動式密度計、粘度計を用いる方法を採用することができる。これらの機器は発酵期間中継続して糖濃度をモニターできるようフローセル方式もしくは発酵槽内に直接設置する方式を採用することができる。また、糖液を流加して糖濃度を一定に保つための制御方式はオン/オフ制御、PID制御、PI制御などさまざまな制御方式を用いることができる。本発明においては、発酵液の糖濃度を屈折式ブリックス(Brix)計を用いることが簡便に制御しうる点で好ましい。屈折式ブリックス計は、予め濃度のわかっているショ糖液で目盛りをつけたもので、ブリックス(Brix)値とは、水溶液中に含まれる可溶性固形分のパーセント濃度を示したものである。可溶性固形分とは糖を初めとして、塩類、タンパク質、酸など水に溶ける物質すべてであり、測定値はそれらの合算値となる。したがって、この屈折式ブリックス(Brix)計を用いる方法は、アルコール発酵開始時はグルコース濃度と一致するが、アルコール発酵が進行しアルコール濃度が上昇するにつれてグルコース濃度よりも高い値として検出されるものの、使用・保守が簡便なことから有利に用いることができる。
【0021】
半回分法とは、発酵に供する物質、具体的には、流加糖液の発酵槽への供給は一定期間連続的であるが、発酵液は回収せず、発酵槽に残留させる方法をいう。この半回分法における連続的供給は、一瞬たりとも供給が途絶えないことを意味するものではなく、一定の間歇をおいて断続的に供給することが含まれる。
【0022】
本発明の製造方法により製造された高濃度アルコールは、アルコール飲料として、さらには、車のガソリンに代わる代替エネルギー或いは石油化学原料等の工業用アルコールとして利用され得る。
【0023】
本発明の高濃度アルコールの製造方法に用いられる装置としては、発酵槽、流加糖液貯留槽、発酵槽内の発酵液に通気する通気手段、発酵槽内の発酵液を攪拌する攪拌手段、発酵槽内の発酵液の糖濃度を直接的又は間接的にモニターする検知手段、検知手段からの信号に基づいて流加糖液貯留槽から流加糖液を発酵槽に流加させる制御手段を備えた装置であれば特に制限されず、例えば、図1に示す装置を具体的に挙げることができ、以下、図1の装置における本発明の製造方法を詳細に説明する。
【0024】
図1において、1は流加糖液貯留槽、2は流量計、3は発酵槽、4はリレーユニット、5はフローセルタイプの屈折式糖度計、6は制御用コンピュータ、7と8は送液ポンプ、9はエアポンプ、10は発酵槽内の撹拌手段を表わす。
【0025】
発酵槽3は、エアポンプ9により流量計2で測定された所定量の酸素を流入する通気手段と、発酵液を撹拌するための撹拌手段10と、フローセルタイプの屈折式糖度計5のフローセルに発酵液が流入、流出して糖度を検知するための検知手段、及び流加糖液貯留槽より高濃度の糖液を発酵槽に流加するため流加手段を備えており、いずれもポンプを介して高濃度糖液や検知手段に用いる糖液の流出入を行っている。発酵槽に通気される酸素量は、酵母の種類、酵母の状態、培地の種類、発酵温度等により異なるが微酸素状態となるような量である。撹拌は、撹拌翼を有する撹拌棒を駆動装置により回転させるが、酸素量と同様に酵母の種類及び酵母の状態、流加糖液の糖濃度(粘度)等により異なるが、本発明の装置を用いる場合、250rpm前後が好ましい。
【0026】
先ず、発酵槽3に所定濃度の発酵性糖液(初発発酵液)を仕込み、更に酵母を仕込んだ後に温度を所定温度に保ちつつ撹拌手段10により穏やかに撹拌しつつ発酵を開始させる。発酵期間全般にわたりフローセルタイプの屈折式糖度計5により測定された糖濃度を所定の糖濃度になるようにモニターしながら制御用コンピュータ6により、リレーユニット4を動作させ送液ポンプ8の電源をON、OFFさせることにより、初発発酵液の糖濃度より高い高濃度糖液が収容された流加糖液貯留槽1よりポンプ8を介して糖液が適宜流加される。例えば、フローセルタイプの屈折式糖度計においては、経時的に所定の間隔で測定するが、例えば10秒間隔、さらには、これより短いとより正確に測定できる。このように常に正確な糖濃度を測定し、その測定値に基づいて所望の糖液の流加、糖濃度の維持、或いは糖液の流加を終了することができる。所定の時間発酵後、高濃度糖液の流加を終了させて、その後も発酵を続け、アルコールの生成具合をみて発酵を終了させる。本発明では、10〜35℃で2〜15日間発酵を行い、例えば、28.5℃で発酵させた場合3日間以上の培養でアルコール濃度は約18%に達する。
【0027】
本発明は、前述の装置を複数組み合わせて、半連続的に高濃度アルコールを製造する装置とすることもできる。この場合、例えば、4日間発酵する場合、4基発酵槽を準備し、最初の1基は前培養に用い、次からの槽は24時間経過した発酵槽から1〜2%を次の槽に供給することで、前培養する装置等を不用とすることができる。
【0028】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、ブリックスの測定には、フローセルタイプに改良した屈折式ブリックス計(アタゴ社製、RX−5000)を使用し、アルコール濃度の測定には、ガスクロマトグラフ(島津製作所製、GC9A、FID検出器)を用い、全量注入法による絶対検量線法で求め、菌体密度は、培養液の1mlをあらかじめ重量を測定したマイクロテストチューブに採取して、15000rpm、3分間の遠心分離を行いその上澄みを除去後、その湿重量を測定して先の空重量を差し引くことで求めた。
【実施例1】
【0029】
[初発発酵液の糖濃度200g/L、流加糖液の糖濃度500g/Lの場合]
(1)初発発酵液及び流加糖液の調製
初発発酵液としてグルコース濃度を200g/Lとした2MY培地(酵母エキス6g、麦芽エキス6g、ポリペプトン10g)を900ml調製して発酵槽に入れ、オートクレーブにて121℃、15分間殺菌した。また、流加糖液としてグルコース濃度を500g/Lとした1/2MY培地(酵母エキス1.5g、麦芽エキス1.5g、ポリペプトン2.5g)を480ml調製して流加糖液貯留槽に入れ、オートクレーブにて121℃、15分間殺菌した。
【0030】
(2)酵母の前培養
清酒酵母の協会9号酵母をグルコース濃度を200g/LとしたMY培地に接種し、28〜33℃で18〜30時間振とう培養後、同培地にその1/100〜1/50容の培養液を接種して、28〜33℃で18〜30時間振とう培養した。
【0031】
(3)流加培養試験
前記初発発酵液に前培養した酵母培養液15mlをいれ、30℃、通気量50ml/分、攪拌翼回転速度250rpmで培養した。培養中培養液の糖濃度を10秒間隔で計測しBrix糖度が2.7%低下してから流加糖液の流加を開始した。先ず流加糖液240mlをBrix糖度を一定に保ちながら流加した。その後Brix糖度がさらに0.5%低下してから、さらに60mlを、Brix糖度を一定に保ちながら流加した。同様の操作を3回繰り返しながら、総量480mlの流加糖液の流加を行った(流加プログラム:ΔBrix2.7%、240ml、ΔBrix3.2%、300ml、ΔBrix3.7%、360ml、ΔBrix4.7%、420ml、ΔBrix4.7%、480ml)。その結果を図2に示す。
【0032】
図2に示すように、流加糖液を発酵開始12時間目に流加し、糖液の流加量が増えるにつれてアルコール濃度は徐々に増加し、また、発酵槽内の糖濃度は、糖液開始直後は一定濃度を示すが徐々に下降した。発酵開始40時間目で、発酵槽内の糖濃度は一定濃度から急激に下がり始めた時点で、糖液の流加を終了させた。糖液の流加終了後もアルコール濃度はさらに増加し、発酵開始後66時間で16%を超え、72時間後には16.4%に達した。90時間目で発酵を終了した。以上より、発酵全期間の約44%で糖液の流加を終了させたことになる。
【実施例2】
【0033】
[初発発酵液の糖濃度200g/L、流加糖液の糖濃度400g/Lの場合]
実施例1において流加糖液をグルコース濃度400g/LとしたMY培地(酵母エキス3g、麦芽エキス3g、ポリペプトン5g)980mlに変更した。それに伴い、流加プログラムをΔBrix2.7%、420ml、ΔBrix3.2%、550ml、ΔBrix3.7%、680ml、ΔBrix4.7%、830ml、ΔBrix4.7%、980mlとした。その結果を図3に示す。図3に示すように、糖液の流加量が多くなるために、発酵槽内の糖濃度は低下するが、糖による酵母への影響は少なく、発酵開始48時間目で発酵槽内の糖濃度は一定濃度から急激に下がり始め、その時点で糖液の流加を終了させた。このように糖液の流加量が多いためアルコール濃度が72時間後でも16%に達していないものの、84時間後には約16.9%に達した。発酵時間が若干延長したのは流加終了時間(発酵開始約48時間目)が遅くなったことも一因であり、この点は、流加プログラムを見直すことで改善できると思われる。発酵開始から約90時間目で発酵を終了したことより、発酵全期間の約53%で糖液の流加を終了させたことになる。
【実施例3】
【0034】
[初発発酵液の糖濃度150g/L、流加糖液の糖濃度550g/Lの場合]
実施例1において初発発酵液の糖濃度150g/Lとし、流加糖液をグルコース濃度550g/LとしたMY培地(酵母エキス3g、麦芽エキス3g、ポリペプトン5g)600mlに変更した以外は実施例1と同じ条件で行った。それに伴い、流加プログラムをΔBrix1.1%で600mlとした。その結果を図4に示す。図4に示すように、この実施例においては、実施例1及び2に比べて初発発酵液の濃度が低く設定されており、Brix糖度が1.1%低下してから流加糖液の流加を開始し(発酵開始約8時間目)、一定濃度のBrix糖度となるように糖液を600ml添加した。酵母のアルコール発酵も穏やかでそれほど影響を受けていないと思われる。そのため、アルコール濃度は発酵開始後から徐々に増加し、糖液の添加終了時間は発酵開始約42時間目であった。その後もアルコール濃度は上昇し、発酵開始後60時間で16%を超え、72時間後には17.1%に達した。90時間目で発酵を終了した。以上より、発酵全期間の約47%で糖液の流加を終了させたことになる。
【実施例4】
【0035】
[初発発酵液の糖濃度180g/L、流加糖液の糖濃度500g/Lの場合]
実施例1において初発発酵液の糖濃度180g/Lとし、流加糖液をグルコース濃度500g/LとしたMY培地(酵母エキス3g、麦芽エキス3g、ポリペプトン5g)600mlに変更した。それに伴い、流加プログラムをΔBrix1.1%、350ml、ΔBrix1.4%、430ml、ΔBrix1.8%、490ml、ΔBrix2.3%、550ml、ΔBrix2.8%、600mlとし、発酵温度を28.5℃とした。その結果を図5に示す。図5に示すように、実施例4においては、実施例1〜3の温度30℃で発酵を行ったのに対し、28.5℃で発酵を行った点も異なり、アルコール濃度は発酵開始後から徐々に増加し、発酵開始約42時間目で糖液の添加を終了した。その後もアルコール濃度は上昇し、発酵開始後66時間で16%を超え、72時間後には17.7%に達し、90時間目で発酵を終了した。なお、発酵全期間の約47%で糖液の流加を終了させたことになる。
【実施例5】
【0036】
[初発発酵液の糖濃度160g/L、流加糖液の糖濃度550g/Lの場合]
実施例1において初発発酵液の糖濃度160g/Lとし、流加糖液をグルコース濃度550g/LとしたMY培地(酵母エキス3g、麦芽エキス3g、ポリペプトン5g)600mlに変更した以外は実施例1と同じ条件で行った。それに伴い、流加プログラムをΔBrix2.0%で600mlとした。その結果を図6に示す。図6に示すように、この実施例においては、実施例1及び2に比べて初発発酵液の濃度が低く設定されており、Brix糖度が2.0%低下してから流加糖液の流加を開始し(発酵開始約11時間目)、一定濃度のBrix糖度となるように糖液を600ml添加した。酵母のアルコール発酵も穏やかでそれほど影響を受けていないと思われる。そのため、アルコール濃度は発酵開始後から徐々に増加し、糖液の添加終了時間は発酵開始約52時間目であった。その後もアルコール濃度は上昇し、発酵開始後66時間で16%を超え、84時間後には18.0%に達した。これまでの実施例の中で、最も高濃度のアルコールが得られた。90時間目で発酵を終了した。以上より、発酵全期間の約58%で糖液の流加を終了させたことになる。
【実施例6】
【0037】
[初発発酵液の糖濃度160g/L、流加糖液の糖濃度550g/L、清酒酵母の協会7号酵母の場合]
発酵微生物を協会7号酵母に変更した以外は実施例5と同じ条件で行った。その結果を図7に示す。図7に示すように、実施例5と比較して発酵経過は発酵初期ではほとんど差がないのに対して、48時間以降の発酵中期から後期ではBrixの低下速度、アルコール生成速度が遅くなっており、30℃付近におけるアルコール生成能は協会9号酵母の方が協会7号酵母よりも高いことから、この温度域での高濃度アルコールの製造は協会9号酵母の方がより好ましい。また、アルコール濃度は発酵開始後84時間で17%を超え、90時間後には17.2%に達したことから、酵母菌株を発酵能の低い株に変更しても高濃度アルコールの製造が可能であることがわかり、本発明の有効性が証明された。糖液の添加終了時間は発酵開始約55時間目であった。Brixの低下が認められなくなった94時間目で発酵を終了した。以上より、発酵全期間の約58%で糖液の流加を終了させたことになる。
【実施例7】
【0038】
[初発発酵液の糖濃度150g/L、流加糖液の糖濃度555g/L、スクロースの場合]
実施例1において初発発酵液の発酵性糖をスクロース濃度150g/Lとし、流加糖液をスクロース濃度555g/LとしたMY培地(酵母エキス3g、麦芽エキス3g、ポリペプトン5g)600mlに変更し、流加プログラムをΔBrix1.1%で600mlとした以外は実施例1と同じ条件で行った。その結果を図8に示す。図8に示すように、発酵経過(Brix低下速度及び流加速度)は実施例5と比較してわずかに遅くなっており、2糖であるスクロースを資化・発酵するのには単糖であるグルコースよりも時間がかかることがわかった。しかしながら、発酵初期におけるアルコールの生成速度は実施例5よりも速く、発酵初期におけるアルコール発酵では菌体密度が大きく影響することがわかった。また、Brix値は11.1%までしか低下しなかったものの、アルコール濃度は発酵開始後66時間で17.0%を超え、84時間後には17.9%に達したことから、糖の種類を変更しても高濃度のアルコールの製造が可能であることがわかり、本発明の有効性が証明された。糖液の添加終了時間は発酵開始後約48時間目であった。90時間目で発酵を終了した。以上より、発酵全期間の約53%で糖液の流加を終了させたことになる。
【0039】
以上の実施例1〜7の、各条件における流加発酵試験結果を表1に示す。なお、平均糖濃度(g/L)は、初発発酵糖液及び流加糖液の量から算出した平均糖濃度を表し(酵母を添加せず、即ち発酵しない場合の糖濃度)、到達アルコール(濃度%)は、得られた高濃度アルコールの濃度を表わし、残糖量(g/L)は、高濃度アルコール採取時の残糖量を表す。発酵温度(℃)は、発酵槽におけるアルコール発酵温度を表わす。
【0040】
【表1】

【0041】
表1から、実施例1と実施例2は、平均糖濃度はほぼ同じであるが、残糖量に差が認められた。これは、実施例1に比べて、実施例2は、糖濃度が低い流加培地を量的により多く時間をかけて流加することにより酵母の発酵に影響されるのが少ないと思われた。実施例3は、流加培地のグルコース濃度が実施例1及び2に比べて高く平均糖濃度も高く、到達アルコールも若干高いことが認められた。実施例4では、平均糖濃度は、実施例3に比べると低いが、到達アルコール濃度が高く残糖量も低い。これは、発酵槽における発酵温度が実施例1〜3(30℃)と比べると1.5℃低く、この差で、酵母のストレスの罹り方に相違が生じたのではないかと思われ、アルコール発酵の温度管理は、酵母のアルコール発酵における発酵条件の重要なファクターであることがわかった。実施例5は、実施例4では糖が完全に消費されていたことから平均糖濃度を高く設定したが、到達アルコール濃度はわずかに上昇したのみであり、28.5℃では18.0%のアルコール濃度が上限であることがわかった。そのため、さらにアルコール濃度を上昇させるためには発酵温度を下げるかアルコール耐性を付与した酵母菌株の使用が必要であることが示唆された。実施例6では実施例5と比較して発酵経過、到達アルコール濃度とも実施例5よりも劣っており、協会9号酵母の方が高濃度アルコールの製造に適していることがわかった。実施例7では発酵経過はわずかに遅くなるものの、到達アルコール濃度は実施例5と遜色なく、発酵性糖の種類に関わりなく高濃度アルコールの製造が可能であることがわかった。以上のことから、本発明は酵母菌株及び発酵性糖の種類に関わりなく、さまざまな発酵原料及びアルコール生産酵母に広く適用できることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の高濃度アルコール発酵に用いる装置(流加培養システム)の一態様を示す。
【図2】初発発酵液の糖濃度200g/L、流加糖液の糖濃度500g/Lの時の発酵経過を示す。
【図3】初発発酵液の糖濃度200g/L、流加糖液の糖濃度400g/Lの時の発酵経過を示す。
【図4】初発発酵液の糖濃度150g/L、流加糖液の糖濃度550g/Lの時の発酵経過を示す。
【図5】初発発酵液の糖濃度180g/L、流加糖液の糖濃度500g/Lの時の発酵経過を示す。
【図6】初発発酵液の糖濃度160g/L、流加糖液の糖濃度550g/Lの時の発酵経過を示す。
【図7】初発発酵液の糖濃度160g/L、流加糖液の糖濃度550g/L、協会7号酵母の時の発酵経過を示す。
【図8】初発発酵液の糖濃度150g/L、流加糖液の糖濃度555g/L、スクロースの時の発酵経過を示す。
【符号の説明】
【0043】
1 流加糖液貯留槽
2 流量計
3 発酵槽
4 リレーユニット
5 フローセルタイプの屈折式糖度計
6 制御用コンピュータ
7 送液ポンプ
8 送液ポンプ
9 エアポンプ
10 撹拌手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコール発酵酵母が資化及び発酵し得る糖類又は該糖類の含有物を原料として、アルコール発酵酵母に発酵阻害を与えない糖濃度に調整した初発発酵液と、該初発発酵液の糖濃度より高い糖濃度の流加糖液とを調製し、初発発酵液にアルコール発酵酵母を接種してアルコール発酵を行わせ、発酵液の糖濃度を直接的又は間接的にモニターしながら流加糖液を発酵液に添加して、発酵液の糖濃度を制御しながらアルコール発酵を継続し、アルコール発酵全期間の30〜80%の時間内に流加糖液の添加を終了して、アルコール濃度が15vol/vol%以上となるまでアルコール発酵することを特徴とする半回分発酵法による高濃度アルコールの製造方法。
【請求項2】
初発発酵液の糖濃度が120〜220g/Lであることを特徴とする請求項1記載の高濃度アルコールの製造方法。
【請求項3】
流加糖液の糖濃度が400〜700g/Lであることを特徴とする請求項1又は2記載の高濃度アルコールの製造方法。
【請求項4】
屈折式ブリックス(Brix)計などの屈折率計、振動式密度計及び粘度計を単独若しくはこれらを2つ以上組み合わせて用いて、発酵液の糖濃度を間接的にモニターすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の高濃度アルコールの製造方法。
【請求項5】
アルコール発酵全期間の40〜70%の時間内に流加糖液の添加を終了することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の高濃度アルコールの製造方法。
【請求項6】
アルコール濃度が17vol/vol%以上となるまでアルコール発酵することを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の高濃度アルコールの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか記載の高濃度アルコールの製造方法に用いる高濃度アルコール製造装置であって、発酵槽、流加糖液貯留槽、発酵槽内の発酵液に通気する通気手段、発酵槽内の発酵液を攪拌する攪拌手段、発酵槽内の発酵液の糖濃度を直接的又は間接的にモニターする検知手段、検知手段からの信号に基づいて流加糖液貯留槽から流加糖液を発酵槽に流加させる制御手段を備えたことを特徴とする高濃度アルコール製造装置。
【請求項8】
請求項7記載の装置を複数組み合わせたことを特徴とする高濃度アルコールの半連続製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−228697(P2008−228697A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76713(P2007−76713)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(590003722)佐賀県 (38)
【Fターム(参考)】