説明

高濃度蔗糖液糖の製造方法及びその高濃度蔗糖液糖、並びに高濃度蔗糖液糖の結晶析出抑制方法

【課題】高濃度蔗糖液糖において蔗糖の結晶析出を抑制し、かつ微生物等の繁殖を阻止した高濃度蔗糖液糖の製造方法を提供する。
【解決手段】20〜27重量%の水分と蔗糖を含む固形分とからなる高濃度蔗糖液糖の製造方法において、蔗糖含有溶液に、固形分中の含有量が10〜20重量%となるようにフラクトオリゴ糖を含有させる。フラクトオリゴ糖は、原料粗糖を洗糖して溶解したのち、炭酸飽充させて精製したブラウンリカーに添加して含有させる。または、原料粗糖を洗糖して溶解したのち、炭酸飽充させて精製したブラウンリカーを原料としてフラクトシルトランスフェラーゼを含有する酵素剤を含有させて生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蔗糖結晶の析出を抑制した高濃度蔗糖液糖の製造方法及びその製造方法で製造された高濃度蔗糖液糖、並びに高濃度蔗糖液糖の結晶析出抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蔗糖やブドウ糖等の糖類は、多種多様な食品を製造する上において欠かせない成分であり、その糖の種類も多岐に及び、結晶状、液状、粉末状等の様々な形態で使用されている。特に近年では、使用上の利便性に優れている点から、液状に調製された糖類、いわゆる液糖が用いられるようになっている。
【0003】
この液糖は、流動性に優れており、それ自体を例えばシロップ等の食品として利用したり、または多種多様な食品へ甘味付与の目的のために広く利用されている。液糖のこの高い利便性から、現在様々な液糖の精製方法等が提案されている(特許文献1及び2参照)。
【0004】
しかしながら、この蔗糖等を含有した液糖は、長期間の保存や常温下で保存しておくことによって、蔗糖の結晶が析出してしまうという問題がある。そして、その結晶析出は、液糖に含有される蔗糖濃度が大きければ大きいほど顕著になり、具体的にBx67以上では、顕著に結晶が析出することが知られている。
【0005】
現在製造販売されている高濃度液糖として、マルトースを高濃度に含有させた、Bx70程度のマルトースシロップ(マルトース75重量%含有)があるが、これに含有されるマルトースはでんぷんを原料として生成されるものであり、蔗糖からなる液糖に比べて甘味や風味等の点において劣ってしまう。
【0006】
したがって、でんぷん等から生成される糖を含有するものではなく、蔗糖を高濃度に含有させた高濃度蔗糖液糖が望まれるが、上述した結晶析出の問題が存在するため、現在業務用として使用されている蔗糖液糖は、Bx67〜68であり、それ以上の高濃度蔗糖液糖は利用されるに至っていない。
【0007】
一方でまた、Bx67〜68、又はそれ以下の濃度の蔗糖液糖では、含有される水分の比率が大きくなってしまうため、微生物等が繁殖し易くなり、品質が劣化する可能性もあり、一般消費者用として商品化されてはいない。
【0008】
これらの液糖が有する欠点は、上述のように高い利便性を備えた液糖が多種多様な食品に利用されるようになった現状において、さらに高濃度の液糖を、手軽にかつ衛生的に利用していく上で大きな問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−087141号公報
【特許文献2】特開2005−295916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、高濃度蔗糖液糖において蔗糖の結晶析出を抑制し、微生物等の繁殖を阻止する高濃度蔗糖液糖の製造方法及びその高濃度蔗糖液糖、並びに高濃度蔗糖液糖の結晶析出抑制方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述した問題に対して鋭意検討を重ねた結果、高濃度蔗糖液糖に、所定量のフラクトオリゴ糖を含有させることで、蔗糖結晶の析出を抑制するとともに、微生物の繁殖も阻止できるという知見に基づくものである。
【0012】
すなわち、本発明に係る高濃度蔗糖の製造方法は、20〜27重量%の水分と蔗糖を含む固形分とからなる高濃度蔗糖液糖の製造方法において、固形分中の含有量が10〜20重量%となるようにフラクトオリゴ糖を含有させる。この製造方法によって製造される高濃度蔗糖液糖は、20〜27重量%の水分と蔗糖を含む固形分とからなる高濃度蔗糖液糖であって、固形分中の含有量が10〜20重量%であるフラクトオリゴ糖を含有してなる。
【0013】
好ましくは、水分を25〜27重量%含有し、フラクトオリゴ糖を固形分中の含有量が13〜20重量%となるように含有させる。
【0014】
また、本発明に係る高濃度蔗糖液糖の結晶析出抑制方法は、20〜27重量%の水分と蔗糖を含む固形分とからなる高濃度蔗糖液糖の結晶析出抑制方法であり、固形分中の含有量が10〜20重量%となるようにフラクトオリゴ糖を含有させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、蔗糖結晶の析出を抑制でき、微生物の繁殖を阻止することが可能な高濃度蔗糖液糖を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】微生物の繁殖や酵素活性に必要な水分量を示す水分活性(Aw)に関して説明する図である。
【図2】高濃度蔗糖液糖の製造方法に関する第1の製造工程例を示す工程図である。
【図3】高濃度蔗糖液糖の製造方法に関する第2の製造工程例を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る高濃度蔗糖の製造方法の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
本実施の形態に係る高濃度蔗糖の製造方法は、20〜27重量%の水分と蔗糖を含む固形分とからなる蔗糖液糖の製造方法であって、蔗糖含有溶液に、固形分中における含有量が所定量となるようにフラクトオリゴ糖を含有させるものである。
【0019】
この製造方法において製造される蔗糖液糖は、蔗糖液糖全体の20〜27重量%の割合で水分を含有するものであり、したがって液糖中における固形分を73重量%以上含有した高濃度蔗糖液糖である。
【0020】
より好ましくは、水分を25〜27重量%含有させ、フラクトオリゴ糖を固形分中の含有量が13〜20重量%となるように含有させる。なお、ここで用いる固形分とは、水分以外の高濃度蔗糖液糖組成物を意味し、高濃度蔗糖液糖を乾燥固化した場合に得られる高濃度蔗糖液糖組成物の重量をいう。
【0021】
ここで、フラクトオリゴ糖とは、スクロース(蔗糖)にフラクトース分子が1分子以上結合した少糖類であり、3〜5糖類が主成分となっている。具体的に、例えばフラクトオリゴ糖中の3糖類とはGlu−Fru−Fru(1−ケストース)であり、4糖類とはGlu−Fru−Fru−Fru(ニストース)であり、5糖類とはGlu−Fru−Fru−Fru−Fru(1−フラクトシルニストース)である。なお、Gluはグルコース、Fruがフルクト−スを表す。
【0022】
このフラクトオリゴ糖は、蜂蜜、アスパラガス、玉葱、ジャガイモ等の多数の植物に含まれており、オリゴ糖と共に、例えば低カロリーの糖質であり、乳酸菌やビフィズス菌の増殖促進作用や、腸内の微生物群の促進作用、病原菌の抑制作用、及び免疫性の強化等の優れた機能を有することが知られている。また、フラクトオリゴ糖は、難う蝕性で、しかも生体内の消化酵素では消化されない難消化性糖であることから腸活動の促進作用を有し、さらに摂取してもインスリン分泌を刺激しせず血糖値に影響が出ないことから糖尿病患者用治療食として用いられている。これらの性質は、単糖類やスクロースには認められないものである。
【0023】
また、フラクトオリゴ糖は、水溶液としたスクロース(蔗糖)に、例えばオウレオバシディウム属(Aureobacidium・sp)やアスペルギルス属(Aspergillus・sp)等の菌体から産生される既存のフラクトシルトランスフェラーゼを作用させることにより製造される。または、水溶液としたスクロースに、これらの微生物を混ぜることによりフラクトシルトランスフェラーゼを基質であるスクロースと反応させることにより製造される。このように、スクロース溶液にフラクトシルトランスフェラーゼを作用させることにより、基質であるスクロースを構成するフラクトースにフラクトースがβ−1,2結合したイヌリン型のフラクトオリゴ糖を生成する。
【0024】
本実施の形態に係る高濃度蔗糖液糖の製造方法においては、20〜27質量%の水分を含有した高濃度蔗糖液糖における固形分中の含有量として10〜20重量%となるように、蔗糖含有溶液にフラクトオリゴ糖を含有させる。より好ましくは、水分を25〜27重量%含有した高濃度蔗糖液糖の製造において、フラクトオリゴ糖を固形分中の含有量として13〜20重量%となるように含有させる。
【0025】
このように、固形分中におけるフラクトオリゴ糖の含有量を10重量%以上とすることにより、高濃度に含有された蔗糖の結晶が析出することを有効に抑制した高濃度蔗糖液糖を製造することができ、含有量を20重量%以下とすることにより、蔗糖本来の甘味や風味を損なわない高濃度蔗糖液糖を製造することができる。
【0026】
また、蔗糖の結晶析出を抑制した高濃度の蔗糖液糖を製造が可能となることから、食品等に利用したり、医療用として用いたりと様々な用途で利用することができる。また、当該蔗糖液糖に含有される水分が27重量%以下であるので、有意に微生物の繁殖を阻止することができ、常温下において良質な状態で保存することができる。
【0027】
さらに、含有させるフラクトオリゴ糖は、上述のように、蔗糖(スクロース)を基質として酵素を作用させることによって生成される少糖類であるので、蔗糖液糖の本来の風味や甘味等を損なわせることなく、良質な高濃度蔗糖を製造することができる。また、フラクトオリゴ糖は、上述のように、蔗糖にはない多種多様の性質を有していることから、本実施の形態に係る高濃度蔗糖液糖の製造方法にて製造された蔗糖液糖を用いることにより、腸活動の促進作用や免疫強化作用等の、蔗糖にはない性質を享受することができる。
【0028】
本実施の形態に係る高濃度蔗糖液糖の製造方法においては、蔗糖液糖の製造工程における炭酸飽充工程を経て精製したブラウンリカーに、固形分中におけるフラクトオリゴ糖の含有量が10〜20重量%となるようにフラクトオリゴ糖を添加して含有させる。なお、上述のように、フラクトシルトランスフェラーゼを含有する酵素剤を作用させることによってフラクトオリゴ糖を生成して含有させるようにしてもよい。すなわち、蔗糖液糖の製造工程において、原料粗糖を洗糖して溶解したのち、炭酸飽充して精製したブラウンリカーを原料として、フラクトシルトランスフェラーゼを含有する酵素剤を作用させ、ブラウンリカーに含有する蔗糖の一部をフラクトオリゴ糖とすることによって、固形分中におけるフラクトオリゴ糖の含有量が10〜20重量%となるようにしてもよい。
【0029】
添加するフラクトオリゴ糖は、特に限られるものではなく、一般的に入手可能な市販されているフラクトオリゴ糖を用いることができる。例えば、日本オリゴ株式会社製の日本オリゴのフラクトオリゴ糖、明治製菓株式会社製のMSメイオリゴ、株式会社日健総本社製のゴーサインスティック等が例示できる。
【0030】
また、添加するフラクトオリゴ糖は、別途、蔗糖溶液にフラクトシルトランスフェラーゼを作用させて生成したものを用いてもよい。生成方法としては、例えばバッチ式方法や固定連続式方法等で生成することができる。具体的に、バッチ式方法においては、フラトシルトランスファラーゼを産生する微生物を蔗糖(スクロース)溶液に混ぜ、フラトシルトランスファラーゼを基質であるスクロース溶液と反応させることにより、フラクトオリゴ糖を得ることができる。一方、固定連続式方法においては、微生物又は酵素がキャリア(基材)に固定されており、基質であるスクロースを基材と接触させて微生物又は酵素と反応させることによって、フラクトオリゴ糖を得ることができる。これらの方式を用いた生成方法における反応条件としては、特に限定されないが、例えば150〜250℃の温度条件下で、加水分解する。
【0031】
このように、高濃度蔗糖液糖の製造方法は、蔗糖液糖の製造方法の一工程において、フラクトオリゴ糖を添加、またはフラクトシルトランスフェラーゼを作用させることでフラクトオリゴ糖を生成して含有させるようにしている。これにより、特別な製造装置等を用意することなく、容易な処理によって、上述したような、蔗糖結晶の析出を抑制するとともに、微生物の繁殖を阻止でき、常温下において安定的に保存可能な高濃度蔗糖糖液を製造できる。
【0032】
以下、さらに詳細に本実施の形態に係る蔗糖液糖の製造方法について説明する。
【0033】
<高濃度蔗糖液糖の水分量及び微生物繁殖の水分活性>
詳細な説明に先立ち、先ず蔗糖液糖における水分量と微生物繁殖との関係について説明する。本実施の形態に係る蔗糖液糖の製造方法においては、蔗糖液糖に含有する水分量を20〜27重量%とする。水分量が20重量%未満では蔗糖液糖の製造が困難となることから、水分量を20重量%以上とすることによって容易に蔗糖液糖を製造することを可能にしている。一方で、水分量を27重量%以下とすることによって、下記のように微生物の繁殖を有効に阻止するようにしている。
【0034】
下記の図1は、微生物の繁殖や酵素活性に必要な水分量を示す水分活性(Aw)について示すものである。
【0035】
図1に示されるように、一般細菌ではAw値で約0.91以上、一般酵母では約0.88以上の水分活性を示す水分環境下において繁殖でき、また酵素活性を示すことがわかる。一方、一般カビの場合では、Aw値で0.80以上という、一般細菌や一般酵母に比して水分活性の低い水分環境下においても繁殖可能で、また酵素活性を示すことがわかる(社団法人菓子総合技術センター、菓子用新素材 No7;19(1987)参照)。
【0036】
蔗糖の67.4重量%の飽和溶液(なお、水分量としては約25重量%含有)の場合には、Aw値として0.85程度であり、この蔗糖液糖では一般細菌や一般酵母の繁殖は阻止することは可能であっても、一般カビが繁殖する可能性がある。
【0037】
これまでは、蔗糖液糖の製造過程において、これらの微生物の繁殖及び液糖の腐敗を防止するために、貯蔵タンク内を常に清潔に洗浄したり、貯蔵中に流入する空気の清浄化を図るとともに、貯蔵タンク内部、または貯蔵タンクから外部循環パイプの間で液糖を常時循環させながら、紫外線殺菌灯で紫外線を蔗糖液糖に照射して微生物の繁殖を防止する方法が採用されている。しかしながら、この処理だけでは紫外線透過率等の関係により十分に微生物の繁殖を阻止することはできなかった。
【0038】
そこで、本実施の形態においては、水分量が27重量%以下となるように蔗糖液糖を製造するようにしている。一般的に、高濃度蔗糖液糖における水分含有量が27重量%以下の場合、水分活性値はAw0.80より低く、Aw0.79程度以下となることから、当該環境下においては一般カビを含めた微生物の繁殖は抑えられ、酵素活性もなくなる。そして、例えば水分含有量を25重量%とするなど、水分含有量をさらに少なくすることによって水分活性値もさらに低下し、微生物の繁殖をより効果的に抑制することができる。本実施の形態に係る高濃度蔗糖液糖の製造方法では、このように蔗糖液糖中の水分量を27重量%以下とすることにより、微生物の繁殖を有効に阻止するとともに蔗糖液糖の腐敗防止した高濃度の蔗糖液糖を製造するようにしている。
【0039】
微生物の繁殖を防止するとともに高濃度の蔗糖液糖を製造するという観点から、水分含有量を27重量%以下として、蔗糖液糖に含有される蔗糖を含む固形分の濃度を73重量%以上とした場合、含有される蔗糖の結晶が析出するという問題がある。しかしながら、本実施の形態に係る高濃度蔗糖液糖の製造方法においては、フラクトオリゴ糖を固形分中の含有量で10〜20重量%となるように含有させる。これにより、蔗糖液糖の水分活性を抑えて微生物の繁殖を阻止するとともに、蔗糖結晶の析出を抑えて、高濃度の蔗糖液糖を製造することができる。
【0040】
<高濃度蔗糖液糖の製造>
本実施の形態に係る高濃度蔗糖の製造方法は、20〜27重量%の水分と蔗糖を含む固形分とからなる蔗糖液糖の製造方法であって、蔗糖含有溶液に、固形分中における含有量が10〜20重量%となるようにフラクトオリゴ糖を含有させる。
【0041】
高濃度の蔗糖を含む溶液の溶媒は、好ましくは水であるが、エチルアルコール、グリセリン、プロピレングリコール等を使用することもできる。また、本実施の形態における効果を妨げない範囲において、その他の食品添加物を添加してもよい。具体的には、香料類や、β−−カロチン、アナトー色素、紫トウモロコシ色素等の着色料、カラシ抽出物、ワサビ抽出物、コウジ酸等の食品保存剤、蛋白抽出物、ポリリジン、ソルビン酸等の保存料、ケルセチン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン等の酸化防止剤、カラギナン、キサンタンガム、トラガントガム、ペクチン、グルコマンナン、生澱粉、加工澱粉、ヘミセルロース、水溶性大豆多糖類、微結晶セルロース、発酵セルロース、微小繊維状セルロース、メチルセルロース、エチルメチルセルロース、アラビアガム等の増粘剤・ゲル化剤、アスパルテーム、スクラロース、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、アセスルファムカリウム、アリテーム、ネオテーム、ソーマチン、サッカリン、サッカリンナトリウム、サッカリンカルシウム、ステビア抽出物、ステビア末等の高甘味度甘味料、クエン酸、フマル酸、コハク酸等のpH調整剤、その他エキス、ビタミン・ミネラル類等を例示することができる。
【0042】
この高濃度蔗糖液糖は、一般的な原料糖を用いた製造過程における蔗糖含有溶液にフラクトオリゴ糖を添加させることによって製造することができる。より具体的には、蔗糖液糖の製造工程における炭酸飽充工程を経て精製したブラウンリカーに、フラクトオリゴ糖を固形分中の含有量として10〜20重量%となるように含有させる。
【0043】
なお、フラクトオリゴ糖は、フラクトシルトランスフェラーゼを含有する酵素剤を作用させることによって生成するようにしてもよい。すなわち、蔗糖液糖の製造工程において、原料粗糖を洗糖して溶解したのち、炭酸飽充させて精製したブラウンリカーを原料として、フラクトシルトランスフェラーゼを含有する酵素剤を作用させて、ブラウンリカーに含有される蔗糖の一部をフラクトオリゴ糖としてもよい。この場合においても、フラクトオリゴ糖を生成する菌体から産出される酵素剤を用いることができる。
【0044】
このように、蔗糖液糖の製造工程における炭酸飽充工程を経て精製されたブラウンリカーにフラクトオリゴ糖を所定量含有させたり、フラクトシルトランスフェラーゼを含有する酵素剤を作用させることによってフラクトオリゴ糖を生成して含有させるという簡易な工程で、高濃度に含有させた蔗糖の結晶析出を有効に抑制することができるとともに、蔗糖液糖の風味や甘味等を変化させることのない高濃度蔗糖液糖を製造することができる。
【0045】
また、蔗糖液糖の製造工程における炭酸飽充工程を経て精製されたブラウンリカーに対し、フラクトオリゴ糖を添加、またはフラクトシルトランスフェラーゼを含有する酵素剤を作用させることによって、高濃度蔗糖液の原料であるサトウキビのコクや風味を残した、良質な蔗糖液糖を製造することができる。また、ブラウンリカーは、完全精製前の糖液であるため、結晶蔗糖や液糖の最終精製糖液であるファインリカーと比較して、ミネラル成分等がより多く含有されている。このことから、例えばブラウンリカーに対してフラクトシルトランスフェラーゼを含有する酵素剤を作用させることで、ミネラル成分を多く含んだフラクトオリゴ糖が生成され、ミネラル成分の豊富な高濃度蔗糖液糖を製造することができる。さらに、ブラウンリカーは、製造工程におけるエネルギー使用量が少ないことから、そのブラウンリカーに対して上述した処理を施すことにより、製造エネルギーを削減することができるとともに、炭酸ガスの削減も可能となる。
【0046】
図2は、本実施の形態に係る高濃度蔗糖液糖の製造に関する第1の製造工程例を示す工程図である。なお、この製造工程においては、Bx75の高濃度蔗糖液糖を製造する流れを示す。ここで、Bxとは、屈折糖質計を用いて測定したブリックス%であり、蔗糖液糖中の固形分の百分率を示す指標となるものである。
【0047】
先ず、原糖倉庫より運ばれた原料糖を洗糖する(1−1)。製造する蔗糖液糖の原料として、原料糖である蔗糖63重量%と溶媒である水37重量%を主体とする。この洗糖工程では、原料糖に一定比率の洗糖蜜が加えられ、加熱しながら混練することによって原料糖を半流動性の混和物とし、この混合物を混和加熱しながら遠心分離機によって結晶(洗糖)と蜜とに分離する。この洗糖工程によって、原料糖結晶の表面に付着している不純物(色素物質・無機塩類等)を取り除く。その後、洗糖に温水または甘水を加えて完全に溶解させることによって、ローリカーを精製する。
【0048】
ローリカーを精製すると、次に、一定比率の石灰乳を連続添加して、炭酸飽充層に送り込み、炭酸ガスを吹き込んで炭酸カルシウムを生成させる(1−2)。この炭酸飽充工程では、ローリカー中に含まれている色素物質及び無機塩類等を除去し易くするために炭酸カルシウムに包含させる。そして、この炭酸飽充工程により不純物を除去し、濾過することによって、Bx63のブラウンリカーを精製する。
【0049】
このようにしてブラウンリカーを精製すると、エバポレータを用いて精製したブラウンリカーを濃縮する(1−3)。この濃縮工程において、蔗糖の含有比率を増加させてBx75のブラウンリカーとする。すなわち、蔗糖75重量%、水25重量%含有するブラウンリカーとなる。
【0050】
本実施の形態に係る高濃度蔗糖の製造方法では、このようにして精製したBx75のブラウンリカーに対してフラクトオリゴ糖を添加する。このフラクトオリゴ糖はBx75であり、水25重量%、固形分75重量%含有させたBx75のブラウンリカーにおいて、固形分中の含有量として10〜20重量%となるように添加する。添加するフラクトオリゴ糖は、特に限定されるものではなく、一般的に入手可能なフラクトオリゴ糖を用いることができる。
【0051】
本実施の形態に係る高濃度蔗糖液糖の製造方法は、以上のようにしてブラウンリカーに対してフラクトオリゴ糖を添加して、高濃度蔗糖液糖を精製する。なお、図示しないが、精製された高濃度蔗糖液糖は、例えば98℃の温度条件で5分間の加熱殺菌処理を行い、濾過した後に約60℃まで冷却して充填する。
【0052】
なお、この製造工程においても、定法に従い、貯蔵タンク内を常に清潔に洗浄し、貯蔵中に流入する空気の清浄化を図るとともに、貯蔵タンク内部、または貯蔵タンクから外部循環パイプの間で液糖を常時循環させながら、紫外線殺菌灯で紫外線を液糖に照射して微生物の繁殖を防止する処理を行う。
【0053】
またなお、この第1の製造工程例においては、濃縮工程(1−3)にて濃縮したブラウンリカーにグラニュ糖等を混合して溶解し、濃度を調整する混合溶解工程を経るようにしてもよい。具体的に、上述の製造工程において、炭酸飽充工程(1−2)で精製されたブラウンリカーを、濃縮工程(1−3)にてエバポレータを用いて、例えばBx70(蔗糖70重量%、水30重量%含有)に濃縮する。そして、濃縮したブラウンリカー(Bx70)にグラニュ糖を加えて混合し完全に溶解させて、Bx75のブラウンリカーを精製する(混合溶解工程)。なお、この混合溶解工程におけるグラニュ糖の添加量としては、ブラウンリカー83重量%、グラニュ糖17重量%となるように添加する。このように、混合溶解工程にて、例えばBx70のブラウンリカーにグラニュ糖を添加して濃度を調整するようにし、そしてBx75としたブラウンリカーに対してフラクトオリゴ糖(Bx75)を添加してもよい。
【0054】
以上のように、本実施の形態に係る高濃度蔗糖の製造方法では、蔗糖液糖の製造工程における炭酸飽充工程を経て精製したブラウンリカーに、固形分中の含有量が10〜20重量%となるようにフラクトオリゴ糖を含有させる。これにより、Bx70以上の高濃度の蔗糖を含有した液糖であっても、蔗糖結晶の析出を抑制することができる。また、水分含有量を27重量%以下とすることにより、微生物の繁殖も有効に阻止することができる。
【0055】
なお、以上の高濃度蔗糖の製造工程では、Bx75に濃縮されたブラウンリカーにフラクトオリゴ糖を添加するようにしたが、精製したブラウンリカーにフラクトシルトランスフェラーゼを含有する酵素剤を作用させてフラクトオリゴ糖を生成させることによって、高濃度蔗糖液糖にフラクトオリゴ糖を含有させるようにしてもよい。具体的に、ブラウンリカーにフラクトシルトランスフェラーゼを含有する酵素剤を作用させる高濃度蔗糖液糖の製造工程について、図3を参照にして説明する。
【0056】
図3は、本実施の形態に係る高濃度蔗糖液糖の製造方法に関する第2の製造工程例を示す工程図である。なお、この第2の製造工程例も、Bx75の高濃度蔗糖液糖を製造するものである。
【0057】
図3に示されるように、上述した図2に示した製造工程と同様にして、洗糖工程(2−1)、炭酸飽充工程(2−2)及び濃縮工程(2−3)を経て、Bx75のブラウンリカーを精製する。
【0058】
そして次に、この混合溶解したブランリカーをオリゴ糖化反応槽に移し、ブラウンリカーに含まれる蔗糖の一部をフラクトオリゴ糖にする(2−4)。具体的にこのオリゴ糖化工程では、オリゴ糖化反応槽に移したブラウンリカーに、蔗糖1kgに対して1Nの塩酸(HCl)を2ml添加するとともに、蔗糖1kgに対して2KUのフラクトシルトランスフェラーゼを添加する。このようにして、フラクトシルトランスフェラーゼを蔗糖に作用させることで、フルクトースが1〜3個結合した1−ケストース、ニストースを主成分とするフラクトオリゴ糖を生成させる。このときの反応条件としては、例えば、pH5〜7、55〜60℃の温度条件で、4時間作用させる。
【0059】
フラクトシルトランスフェラーゼを含有する酵素剤は、例えばオウレオバシディウム属(Aureobacidium・sp)の液体培養で得られた培養菌体から生産される酵素を用いることができる。なお、このオウレオバシディウム属の液体培養で得られた培養菌体を用いたフラクトオリゴ糖の製造方法等に関しては、特開昭60−27395号公報(特願昭58−134661)、特開昭61−146192号公報(特願昭59−266963)、特開昭60−41497号公報(特願昭58−148583)に記載されている。
【0060】
このようにして、フラクトシルトランスフェラーゼを含有する酵素剤をBx75のブラウンリカーに作用させることによって、蔗糖の一部がフラクトオリゴ糖となり、フラクトオリゴ糖を含有した高濃度蔗糖液糖が精製される。なお、上記反応条件でフラクトシルトランスフェラーゼを含有する酵素剤を作用させて高濃度蔗糖液糖(Bx75)を製造した場合の固形分中の成分組成としては、オリゴ糖11.8重量%、ケストース10.7重量%、ニストース1.1重量%、スクロース83.5重量%、グルコース4.7重量%となる。
【0061】
なお、この第2の製造工程例においても、第1の製造工程例と同様に、濃縮工程(2−3)にてブラウンリカーを例えばBx70に濃縮し、そのブラウンリカーに対してグラニュ糖等を混合溶解して、Bx75となるように濃度を調整する混合溶解工程を経るようにしてもよい。
【0062】
また、上述した第1及び第2の製造工程例は具体的な一例を示したものであり、またBx75の高濃度蔗糖液糖を製造するための製造工程例であり、これに限られるものではない。例えば、フラクトオリゴ糖の添加に際して適度な加温・攪拌を任意で行ってもよい。また、その他適宜反応条件等を添加物の添加量等に応じて変更させてもよいことは言うまでもない。
【0063】
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係る蔗糖液糖の製造方法では、20〜27重量%の水分と蔗糖を含む固形分とからなる蔗糖液糖の製造過程において、蔗糖含有溶液に、固形分中における含有量が10〜20重量%となるようにフラクトオリゴ糖を含有させる。より好ましくは、水分を25〜27重量%含有させ、フラクトオリゴ糖を固形分中の含有量が13〜20重量%となるように含有させる。
【0064】
この本実施の形態に係る蔗糖液糖の製造方法によれば、蔗糖に含有される水分の水分活性が下がるので、微生物の繁殖を有効に阻止することができるとともに、水分量を下げて高濃度の蔗糖液糖を製造することができる。また、この高濃度蔗糖液糖の製造工程において、フラクトオリゴ糖を所定量含有させることで、蔗糖の結晶析出を有効に抑制することができ、安定した状態で高濃度蔗糖液糖を常温下で保存しておくことが可能となる。
【0065】
また、本実施の形態に係る高濃度蔗糖の製造方法によって製造された、蔗糖結晶の析出がなく、長期間保存が可能な高濃度蔗糖を用いることによって、様々な食品、医薬品、医薬部外品等を調製することができる。
【0066】
例えば、ビタミン・ミネラル飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、乳製品、発酵乳、酸性飲料、中性飲料、コーヒー、紅茶、緑茶、乳清飲料、炭酸飲料、果実飲料、果汁飲料、ビール、カクテルやチューハイ等のアルコール飲料、栄養ドリンク等の健康飲料、スポーツドリンク、ヨーグルトドリンク等が例示できる。また、水溶性の原料から製造される食品、例えばパン、ビスケット、飴、ゼリー、プリン、ヨーグルト等のパン・菓子類、ソース、ドレッシング、液状甘味料製剤、シロップ、リキュールベース、ハム等の加工食品、カレー、シチュー、スープ等の食品等も挙げられる。さらに、医薬品組成物、例えば液剤、注射剤、点滴剤、シロップ剤、クリーム、軟膏、ローション等を製造することもできる。
【0067】
さらに、上述のように、本実施の形態に係る高濃度蔗糖液糖の製造方法では、一般的な原料糖を用いて、炭酸飽充工程を経て精製したブラウンリカーにフラクトオリゴ糖を添加することによって製造する。または、蔗糖にフラクトシルトランスフェラーゼを含有する酵素剤を作用させることによってフラクトオリゴ糖を生成して含有させることによって製造する。このように、蔗糖液糖の製造方法の一工程中において所定量のフラクトオリゴ糖を含有させるだけで、蔗糖結晶の析出がなく、長期間保存が可能な高濃度蔗糖を製造することができるので、特別な設備や製造条件を用意することなく、簡易な処理で製造することができる。
【0068】
またさらに、添加するフラクトオリゴ糖は、蔗糖にフラクトシルトランスフェラーゼを作用させることによって生成される少糖類であるので、蔗糖液糖の本来の風味や甘味を損なわせることなく、良質な蔗糖液糖を製造することができる。また、この高濃度蔗糖液糖は、フラクトオリゴ糖の多種多様な性質をも享受することができる。
【0069】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【実施例】
【0070】
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。なお、下記のいずれかの実施例に本発明の範囲が限定されるものではない。
【0071】
本実施例においては、濃度が73重量%(表1)、75重量%(表2)、80重量%(表3)の蔗糖をそれぞれ含有する蔗糖液糖の製造工程において、下記の各表に示される配合量のフラクトオリゴ糖を添加し、製造された高濃度蔗糖液糖において蔗糖の結晶が析出されるまでの日数を調べた。表中におけるフラクトオリゴ糖含有量(重量%)とは、高濃度蔗糖液糖の固形分中における含有量を意味する。
【0072】
なお、この実験においては、通常の蔗糖液糖の製造工程においてフラクトオリゴ糖を添加せずに精製した蔗糖液糖を対象にし、炭酸飽充工程を経て精製したブラウンリカーにフラクトオリゴ糖を表1〜3に示す各配合量で配合して精製した各高濃度蔗糖(サンプル)について調べた。精製した高濃度蔗糖液糖は、500ml試験瓶に封入して常温で放置し、1日1回試験瓶を逆さにしたのちに戻す操作を行い、2分間蓋を開けて調べた。結晶析出の有無は肉眼判定により行い、下記の表1〜3において、『−』は結晶析出が認められなかったことを示し、『×』は結晶析出が認められたことを示す。また、蔗糖液糖のBx値は、手持ち屈折糖質計(N3 株式会社アタゴ製)で測定した。
【0073】
【表1】

【0074】
表1に示す結果からわかるように、蔗糖濃度が73重量%(Bx73、水分濃度27重量%)の高濃度蔗糖液糖(サンプル1〜6)において、フラクトオリゴ糖が添加されていないサンプル1では、2日目にして既に蔗糖の結晶が析出してしまった。これに対して、フラクトオリゴ糖を固形分中の含有量として10重量%となるように添加させたサンプル2では、20日目にわずかに蔗糖結晶の析出が確認されたが、フラクトオリゴ糖無添加のサンプル1に比して長期間安定的に保存できることが判明した。
【0075】
また、フラクトオリゴ糖を固形分中の含有量として、それぞれ13重量%、15重量%、17重量%、20重量%となるように含有させたサンプル3〜6では、90日目においても、73重量%もの高濃度で含有された蔗糖の結晶析出は確認されず、長期間安定的に保存できることが判明した。
【0076】
【表2】

【0077】
また、表2に示す結果からわかるように、蔗糖濃度が75重量%(Bx75、水分濃度25重量%)の高濃度蔗糖液糖(サンプル7〜12)において、フラクトオリゴ糖が添加されていないサンプル7では、2日目にして既に蔗糖の結晶が析出してしまった。これに対して、フラクトオリゴ糖を固形分中の含有量として10重量%となるように添加させたサンプル8では、17日目にわずかに蔗糖結晶の析出が確認されたが、フラクトオリゴ糖無添加のサンプル7に比して長期間安定的に保存できることがわかった。また、フラクトオリゴ糖を固形分中の含有量として13重量%となるように添加させたサンプル9では、27日目にわずかに蔗糖結晶の析出が確認されたが、サンプル8と比べても、蔗糖結晶の析出を抑制して、より長期間に亘って保存できることが判明した。
【0078】
また、フラクトオリゴ糖を固形分中の含有量として、それぞれ15重量%、17重量%、20重量%となるように含有させたサンプル10〜12では、90日目においても、75重量%もの高濃度で含有された蔗糖の結晶析出は確認されず、長期間安定的に保存できることが判明した。
【0079】
【表3】

【0080】
また、表3に示す結果からわかるように、蔗糖濃度が80重量%(Bx80、水分濃度20重量%)の高濃度蔗糖液糖(サンプル13〜18)において、フラクトオリゴ糖が添加されていないサンプル13では、2日目にして既に蔗糖の結晶が析出してしまった。
【0081】
これに対して、フラクトオリゴ糖を固形分中の含有量として10重量%となるように添加させたサンプル14、13重量%となるように添加させたサンプル15では、4日目にしてわずかに蔗糖の結晶が析出されたが、フラクトオリゴ糖無添加のサンプル13に比べて、高濃度に含有された蔗糖の結晶析出を抑制できることが判明した。
【0082】
また、フラクトオリゴ糖を固形分中の含有量として15重量%となるように添加させたサンプル16では5日目にわずかに蔗糖結晶の析出が確認され、17重量%となるように添加させたサンプル17では7日目にわずかに蔗糖結晶の析出が確認され、20重量%となるように添加させたサンプル18では21日目にわずかに蔗糖結晶の析出が確認された。このように、蔗糖濃度80重量%の高濃度蔗糖において、フラクトオリゴ糖の固形分中での含有量を増加させていくことによって、蔗糖結晶を析出させず、長期間良質な状態で保存できる高濃度蔗糖液糖を製造できることが判明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
20〜27重量%の水分と蔗糖を含む固形分とからなる高濃度蔗糖液糖の製造方法において、
蔗糖含有溶液に、上記固形分中の含有量が10〜20重量%となるようにフラクトオリゴ糖を含有させる高濃度蔗糖液糖の製造方法。
【請求項2】
水分を25〜27重量%含有し、上記フラクトオリゴ糖を上記固形分中の含有量が13〜20重量%となるように含有させる請求項1記載の高濃度蔗糖液糖の製造方法
【請求項3】
原料粗糖を洗糖して溶解したのち、炭酸飽充させて精製したブラウンリカーに、上記フラクトオリゴ糖を添加して含有させる請求項1又は2記載の高濃度蔗糖液糖の製造方法。
【請求項4】
上記フラクトオリゴ糖は、原料粗糖を洗糖して溶解したのち、炭酸飽充させて精製したブラウンリカーに、フラクトシルトランスフェラーゼを含有する酵素剤を含有させて生成する請求項1又は2記載の高濃度蔗糖液糖の製造方法。
【請求項5】
20〜27重量%の水分と蔗糖を含む固形分とからなる高濃度蔗糖液糖において、
上記固形分中の含有量が10〜20重量%であるフラクトオリゴ糖を含有してなる蔗糖液糖。
【請求項6】
水分を25〜27重量%含有し、上記フラクトオリゴ糖の上記固形分中の含有量が13〜20重量%である請求項5記載の蔗糖液糖。
【請求項7】
20〜27重量%の水分と蔗糖を含む固形分とからなる高濃度蔗糖液糖の結晶析出抑制方法において、
蔗糖含有溶液に、上記固形分中の含有量が10〜20重量%となるようにフラクトオリゴ糖を含有させる高濃度蔗糖液糖の結晶析出抑制方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−213580(P2010−213580A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60848(P2009−60848)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000118578)伊藤忠製糖株式会社 (1)
【Fターム(参考)】