説明

高炉操業方法

【課題】Mn含有量の高い鉱石の使用量を削減することなく、活性度の高い高炉スラグを選択的に生産することができる新規な高炉操業方法を提供する。
【解決手段】ほぼ同時期に操業される少なくとも2つ以上の高炉A,B,Cにそれぞれ処理鉱石を含む原料を供給してそれぞれの高炉から銑鉄と高炉スラグとをほぼ同時期に生成するようにした高炉操業方法において、前記処理鉱石として、高Mn鉱石と低Mn鉱石とを配合した処理鉱石を用い、前記各高炉のうち活性度の高い高炉スラグを得るための高炉Cには、前記低Mn処理鉱石を選択的に供給すると共に、他の高炉A,Bには前記高Mn処理鉱石を選択的に供給する。これによって、Mn含有量の高い鉱石の使用量を削減することなく、活性度の高い高炉スラグを選択的に生産することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銑鉄と共に高炉スラグを生成するための高炉の操業方法に係り、特にセメントの原料として活用される高活性度の高炉スラグを選択的に生産するための高炉操業方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高炉の操業に伴って発生する高炉スラグの約60%は、圧力水によって水砕スラグ化された後、高炉セメント用の原料として出荷されているが、このセメント用水砕スラグの品質を計る指標の1つとして活性度が用いられている。
この活性度とは、以下の式(1)に示すように施工28日後の普通ポルトランドセメントに対する高炉セメントの圧縮強度の比であり、通常80%以上が要求されている。
活性度(%)=(高炉セメント(50/50)の圧縮強度(N/mm
/ポルトランドセメントの圧縮強度(N/mm))×100
…(1)
【0003】
そして、現在この活性度を計る指標として、例えば以下の特許文献1や2などに示すような高炉スラグ塩基度(B=(CaO+Al+MgO)/SiO)が採用されており、この高炉スラグ塩基度(B)が一定値以上、例えば国内向けセメントの場合は「1.85」以上となるように高炉に投入する原料の成分調整、具体的には、MgO源であるドロマイトを副原料として配合することが行われている。
【0004】
一方、このような従来の高炉スラグ塩基度(B)は、高炉スラグ中のCaOと、Alと、MgOと、SiOといった4成分のみから求められるものであるが、本発明者らはこれら以外の成分が高炉セメントの活性度に与える影響を鋭意研究した結果、スラグ中のMnOとTiOといった他の成分もその活性度に大きく影響を与えることを発見し、これにより、このMnOとTiOを考慮した新たな高炉スラグ塩基度(B=((CaO+Al+MgO)/SiO)−0.13×TiO−1.0×MnO)を提案している。
【0005】
そして、この新たな高炉スラグ塩基度(B)の方が従来の高炉スラグ塩基度(B)よりもスラグの活性度との相関が強く、高炉セメントに関してより正確な活性度が求められることが実証された。なお、この新たな高炉スラグ塩基度(B)によれば、その値が「1.35」以上であれば、80%以上の活性度(施工28日後)が得られることが判明している。
【特許文献1】特開昭59−69449号公報
【特許文献2】特開平8−81243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述したような新たな高炉スラグ塩基度(B)の算出式によれば、高炉スラグ中のMnO(マンガン)の含有量が少ないほど高い活性度が得られることになる。
そして、このMnOの含有量は、高炉に投入される鉱石に依存するため、高い活性度を得るためには、このMnの含有量の高い鉱石の使用量を削減、つまりMn含有量の高い鉱石に代わってMn含有量の低い鉱石を積極的に使用すれば良いことが分かる。
【0007】
しかしながら、世界的に鉱石需要が逼迫している現在の状況下では、Mn含有量の高い鉱石(例えば、インド鉱(銘柄ゴア)など)の使用量を削減することは困難であり、無理に削減するとその分だけ原料購入価格が高騰して本来のスチール製品の価格にも影響を与えてしまうといった不都合を招く。
そこで、本発明はこのような課題を有効に解決するために案出されたものであり、その目的は、Mn含有量の高い鉱石の使用量を削減することなく、活性度の高い高炉スラグを選択的に生産することができる新規な高炉操業方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために請求項1の発明は、
ほぼ同時期に操業される少なくとも2つ以上の高炉にそれぞれ処理鉱石を含む原料を供給してそれぞれの高炉から銑鉄と高炉スラグとをほぼ同時期に生成するようにした高炉操業方法において、前記処理鉱石として、Mn含有量が高い高Mn鉱石と当該高Mn鉱石よりもMn含有量が低い低Mn鉱石とを配合した処理鉱石を用い、前記各高炉のうち活性度の高い高炉スラグを得るための高炉には、前記高Mn鉱石の配合量を既定値よりも低くした低Mn処理鉱石を選択的に供給すると共に、他の高炉には前記高Mn鉱石の配合量を既定値よりも高くした高Mn処理鉱石を選択的に供給するようにしたことを特徴とする高炉操業方法である。
【0009】
また、請求項2の発明は、
高炉に処理鉱石を含む原料を供給して当該高炉から銑鉄と高炉スラグとを生成するようにした高炉操業方法において、前記処理鉱石として、Mn含有量が高い高Mn鉱石と当該高Mn鉱石よりもMn含有量が低い低Mn鉱石とを配合した処理鉱石を用い、前記高炉の操業時期のうち活性度の高い高炉スラグを得るときは、前記高Mn鉱石の配合量を既定値よりも低くした低Mn処理鉱石を選択的に供給すると共に、それ以外の操業時期には前記高Mn鉱石の配合量を既定値よりも高くした高Mn処理鉱石を選択的に供給するようにしたことを特徴とする高炉操業方法である。
【0010】
また、請求項3の発明は、
請求項1または2に記載の高炉操業方法において、前記高炉スラグのスラグ塩基度Bが所定値以上になるように前記処理鉱石中の低Mn処理鉱石の配合量を調整することを特徴とする高炉操業方法である。
但し、スラグ塩基度B=((CaO+Al+MgO)/SiO)−0.13×TiO−1.0×MnO)とする。
また、請求項4の発明は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の高炉操業方法において、前記処理鉱石の全部またはその一部として、前記高Mn鉱石の粉末鉱石と低Mn処理鉱石の粉末鉱石を原料として使用した焼結鉱を用いることを特徴とする高炉操業方法である。
【0011】
また、請求項5の発明は、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の高炉操業方法において、前記処理鉱石の全部またはその一部として用いるMn含有量が高い高Mn鉱石と、当該高Mn鉱石よりもMn含有量が低い低Mn鉱石の処理鉱石に代えて、前記高Mn鉱石の塊鉱石と低Mn鉱石の塊鉱石を用いることを特徴とする高炉操業方法である。
請求項1〜4のいずれか1項に記載の高炉操業方法において、前記処理鉱石の全部またはその一部として用いるMn含有量が高い高Mn鉱石と、当該高Mn鉱石よりもMn含有量が低い低Mn鉱石の処理鉱石に代えて、前記高Mn鉱石の塊鉱石と低Mn鉱石の塊鉱石を用いることを特徴とする高炉操業方法である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、ほぼ同時期に操業する複数の高炉のうち活性度の高い高炉スラグを得るための高炉には、高Mn鉱石の配合量を既定値よりも高くした高Mn処理鉱石を選択的に供給すると共に、他の高炉には高Mn鉱石の配合量を既定値よりも高くした高Mn処理鉱石を選択的に供給するといった、いわゆる傾斜配分を行って操業するようにしたため、高活性度のスラグと低活性度のスラグとを別々の高炉からそれぞれほぼ同時期に生産することができる。
【0013】
従って、全ての高炉における高Mn含有鉱石の使用総量としては、従来と何ら変わることがないため、Mn含有量の高い鉱石の使用量のみを無理に削減する必要がなくなり、原料購入価格の高騰などといった不都合を未然に回避することができる。
また、現状では、全ての高炉で発生する水砕スラグのうち、セメント原料として実際に活用されているのはその約1/3程度であり、残りの水砕スラグについてはその活性度については特に問題としない用途に活用されている。従って、本発明のように活性度の高い水砕スラグを選択的に生成することによって発生する活性度の低い水砕スラグ、すなわちMn含有量が多い水砕スラグであっても全く無駄になることはない。
また、従来のように高活性度の水砕スラグを得るためのドロマイト(MgO)などの副原料を配合する必要もなくなり、さらなる生産コストの削減も達成できる。
【0014】
請求項2の発明によれば、高炉の操業時期のうち活性度の高い高炉スラグを得るときは、高Mn鉱石の配合量を既定値よりも低くした低Mn処理鉱石を選択的に供給すると共に、それ以外の操業時期には高Mn鉱石の配合量を既定値よりも高くした高Mn処理鉱石を選択的に供給するようにしたため、長期的あるいはある程度の期間で見れば高Mn含有鉱石の使用総量としては、従来と何ら変わることがない。
従って、請求項1の発明と同様に、Mn含有量の高い鉱石の使用量のみを無理に削減する必要がなくなり、原料購入価格の高騰などといった不都合を未然に回避することができ、また、Mn含有量が多い水砕スラグであっても全く無駄になることはない。
さらに、従来のように高活性度の水砕スラグを得るためのドロマイト(MgO)などの副原料を配合する必要もなくなるため、生産コストの削減も達成できる。
【0015】
請求項3の発明によれば、前記高炉スラグのスラグ塩基度Bが所定値以上になるように前記処理鉱石中の低Mn処理鉱石の配合量を調整するようにしたため、ドロマイト(MgO)などの副原料を用いることなく、より確実に高活性度の水砕スラグを生成することができる。
また、請求項4の発明によれば、
高炉に供給する処理鉱石の全部またはその一部として、高Mn鉱石の粉末鉱石と低Mn処理鉱石の粉末鉱石を原料として使用した焼結鉱を用いるようにしたため、この高Mn鉱石の粉末鉱石と低Mn処理鉱石の粉末鉱石との混合比率を変えるだけで、容易にMn含有量を調整することができる。
また、請求項5の発明によれば、
高Mn鉱石の塊鉱石と低Mn鉱石の塊鉱石を用いるようにしたため、塊鉱石の配合変更でMn含有量を調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面を参照しながら詳述する。
図1は、本発明に係る高炉操業方法および本発明方法を実現するための高炉設備100の実施の一形態を示したものである。
図において、符号A、B、Cは、それぞれ原料から銑鉄および高炉スラグを生成すべく3つの独立した高炉であり、第1高炉Aおよび第2高炉Bの上部供給口a1およびb1には、それぞれMn(マンガン)の含有量が規定値よりも高い高Mn処理鉱石を供給するための高Mn処理鉱石供給ラインL1が接続されていると共に、第3高炉Cの上部供給口c1には、Mn(マンガン)の含有量が規定値よりも低い低Mn処理鉱石を供給するための低Mn処理鉱石供給ラインL2が接続されている。
【0017】
また、さらにこれら各供給口a1、b1、c1には、コークス供給ラインL3が接続されており、コークスなどの還元剤の他、塊状の生鉱石(塊鉱石)などの他の原料が同時に供給されるようになっている。
一方、この第1高炉Aおよび第2高炉Bの各底部排出口a2、b2には、それぞれ低活性度の高炉スラグを排出するための低活性度スラグ排出ラインL4が接続されていると共に、第3高炉Cの底部排出口c2には、高活性度の高炉スラグを排出するための高活性度スラグ排出ラインL5が接続されている。
また、さらにこれら各排出口a2、b2、c2には、銑鉄排出ラインL6が接続されており、各高炉A、B、C内で生成した銑鉄をそれぞれ独立して排出するようになっている。
【0018】
そして、本発明の高炉操業方法は、これら各高炉A、B、Cをほぼ同時期に操業すると共に、これら各高炉A、B、Cに供給する処理鉱石として、Mn含有量が高い高Mn鉱石と高Mn鉱石よりもMn含有量が低い低Mn鉱石とを配合した処理鉱石を用い、高炉Cには、供給ラインL2を介してその高Mn鉱石の配合量を既定値よりも低くした低Mn処理鉱石を選択的に供給すると共に、他の高炉AおよびBには、供給ラインL1を介して高Mn鉱石の配合量を既定値よりも高くした高Mn処理鉱石を選択的に供給するようにしたものである。
【0019】
ここで、現状において利用されている処理鉱石としては、自社内で製造可能な焼結鉱(以下、自家焼結鉱という)と、外国からの輸入によって調達される輸入焼結鉱および/又はペレットと、製鉄所内のダストなどからなるペレットの3〜4種類から主に構成されるが、このうち輸入焼結鉱とペレットについてはそのMn含有量が予め決まっている場合が多い。そのため、本発明のようにこの処理鉱石中のMn含有量を調整するにあたって、輸入焼結鉱とペレットについては、その使用量を調整すること、また、これらのうち自社設備内で製造可能な自家焼結鉱についてそのMn含有量を調整することが適当である。さらに処理鉱石に代え塊鉱石を使用する場合は、配合を調整する配合変更を行ってMn含有量を調整することができる。
【0020】
すなわち、図2に示すように、処理鉱石を構成する低Mn処理鉱石と高Mn処理鉱石を、それぞれ低Mn鉱石と高Mn鉱石とで構成すると共に、さらにこれら低Mn鉱石と高Mn鉱石とを自家焼結鉱と輸入焼結鉱とペレットで構成する。
そして、低Mn鉱石の場合は、低Mn(含有)粉鉱石の使用量が高Mn(含有)粉鉱石の使用量よりも少ない粉鉱石を原料として使用して焼結したいわゆる自家焼結鉱を用い、高Mn鉱石の場合は、低Mn(含有)粉鉱石の使用量が高Mn(含有)粉鉱石の使用量よりも多い粉鉱石を主原料として用いて焼結した自家焼結鉱を用いることで、そのMn含有量を、前記高炉スラグのスラグ塩基度Bが所定値以上になるように調整することができる。具体的には、前記高炉スラグのスラグ塩基度B((CaO+Al+MgO)/SiO)−0.13×TiO−1.0×MnO)が、「1.35」以上となるようにその自家焼結鉱の配合量を調整することになる。また、Mn含有量の調整として塊鉱石使用であれば、その配合変更を行い調整することになる。さらにまたは自家焼結鉱の配合量調節と塊鉱石配合変更の両者を行い調整することになる。
【0021】
これによって、高炉CからはMn含有量が低い高活性度の高炉スラグが得られると共に、他の高炉AおよびBからはMn含有量が低い高活性度の高炉スラグ(水砕スラグ)が得られることになる。
従って、全ての高炉A、B、Cにおける高Mn含有鉱石の使用総量としては、従来と何ら変わることがないため、Mn含有量の高い鉱石の使用量のみを無理に削減する必要がなくなり、原料購入価格の高騰などといった不都合を未然に回避することができる。
【0022】
また、現状では、全ての高炉で発生する水砕スラグのうち、セメント原料として実際に活用されているのはその約1/3程度であり、残りの水砕スラグについてはその活性度については特に問題としない用途、例えば、土工用材(覆土材、盛土材)、地盤改良材、肥料等として有効に活用することができる。従って、本実施の形態のように高炉Cから活性度の高い水砕スラグを選択的に生成することによって他の高炉A、Bから発生する活性度の低い水砕スラグであっても全く無駄になることはない。
【0023】
また、従来のように高活性度の水砕スラグを得るためのドロマイト(MgO)などの副原料を配合する必要もなくなり、さらなる生産コストの削減も達成できる。
なお、本実施の形態では、3つの高炉A、B、Cを用い、高炉Cで活性度の高い高炉スラグを生産し、高炉A、Bで活性度の低い高炉スラグを生産した例で説明したが、本発明はこの形態に限定されるものでないことは勿論であり、例えば使用する高炉の数などは、適宜増減しても良く、また、図3に示すように1つの高炉Aでも達成可能である。
【0024】
図3は、本発明の第2の実施の形態を示したものであり、高炉Aの上部供給口a1側に接続される鉱石供給ラインL7に対して第1切換手段10を介して前記高Mn処理鉱石供給ラインL1と低Mn処理鉱石供給ラインL2とを切換自在を接続すると共に、高炉Aの底部排出口a2側から延びるスラグ排出ラインL8に対して同じく第2切換手段20を介して前記低活性度スラグ排出ラインL4と高活性度スラグ排出ラインL5とを切換自在を接続したものである。
【0025】
そして、高炉Aの操業時期のうち活性度の高い高炉スラグを得るときは、低Mn処理鉱石供給ラインL2から低Mn処理鉱石を選択的に供給すると共に、それ以外の操業時期には高Mn処理鉱石供給ラインL1から高Mn鉱石の配合量を既定値よりも高くした高Mn処理鉱石を選択的に供給するようにすれば、高活性度スラグ排出ラインL5および低活性度スラグ排出ラインL4からそれぞれ高活性度スラグと低活性度スラグとをそれぞれ独立して取り出すことができる。
【0026】
このように、1つの高炉Aに対して高Mn処理鉱石と低Mn処理鉱石とを時間を前後して供給することによっても、高活性度スラグを選択的に生産することができ、しかも長期的あるいはある程度の期間で見れば高Mn含有鉱石の使用総量としては、従来と何ら変わることがない。
従って、本実施の形態によっても前記実施の形態と同様に、Mn含有量の高い鉱石の使用量のみを無理に削減する必要がなくなり、原料購入価格の高騰などといった不都合を未然に回避することができ、また、Mn含有量が多い水砕スラグであっても全く無駄になることはない。
【0027】
さらに、従来のように高活性度の水砕スラグを得るためのドロマイト(MgO)などの副原料を配合する必要もなくなるため、生産コストの削減も達成できる。
なお、このように1つの高炉Aに対して高Mn処理鉱石と低Mn処理鉱石とを時間を前後して供給することで高活性度高炉スラグと低活性度高炉スラグとを生産する方法は、本実施の形態のように必ずしも1つの高炉Aのみでなく、前記実施の形態のように複数の高炉A、B、C…を同時並行的に操業している場合でも同様に適用できることは勿論である。
【0028】
さらにまた、高Mn鉱石と低Mn鉱石の処理鉱石に代え、高Mn鉱石の塊鉱石、低Mn鉱石の塊鉱石も当然のことながら用いることが可能であり、処理鉱石の全部又はその一部に、高Mn鉱石、低Mn鉱石の塊鉱石を使用してもかまわない。
なお、本発明において、Mn含有量の高い高Mn鉱石およびMn含有量が前記高Mn鉱石より低いものを低Mn鉱石として説明しているが、Mn含有量の低い低Mn鉱石としてはMn含有のない鉱石も同様に用い、同様に適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る高炉操業方法および本発明方法を実現するための高炉設備100の実施の一形態を示す全体図である。
【図2】本発明に適用可能な処理構成の構成例を示す図である。
【図3】本発明に係る高炉操業方法および本発明方法を実現するための高炉設備100の他の実施の形態を示す全体図である。
【符号の説明】
【0030】
100…高炉設備
10…第1切換手段
20…第2切換手段
L1…高Mn処理鉱石供給ライン
L2…低Mn処理鉱石供給ライン
L3…コークス供給ライン
L4…低活性度スラグ排出ライン
L5…高活性度スラグ排出ライン
L6…銑鉄排出ライン
L7…鉱石供給ライン
L8…スラグ排出ライン
A、B、C…高炉
a1、b1、c1…上部供給口
a2、b2、c2…底部排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ同時期に操業される少なくとも2つ以上の高炉にそれぞれ処理鉱石を含む原料を供給してそれぞれの高炉から銑鉄と高炉スラグとをほぼ同時期に生成するようにした高炉操業方法において、
前記処理鉱石として、Mn含有量が高い高Mn鉱石と当該高Mn鉱石よりもMn含有量が低い低Mn鉱石とを配合した処理鉱石を用い、前記各高炉のうち活性度の高い高炉スラグを得るための高炉には、前記高Mn鉱石の配合量を既定値よりも低くした低Mn処理鉱石を選択的に供給すると共に、他の高炉には前記高Mn鉱石の配合量を既定値よりも高くした高Mn処理鉱石を選択的に供給するようにしたことを特徴とする高炉操業方法。
【請求項2】
高炉に処理鉱石を含む原料を供給して当該高炉から銑鉄と高炉スラグとを生成するようにした高炉操業方法において、
前記処理鉱石として、Mn含有量が高い高Mn鉱石と当該高Mn鉱石よりもMn含有量が低い低Mn鉱石とを配合した処理鉱石を用い、前記高炉の操業時期のうち活性度の高い高炉スラグを得るときは、前記高Mn鉱石の配合量を既定値よりも低くした低Mn処理鉱石を選択的に供給すると共に、それ以外の操業時期には前記高Mn鉱石の配合量を既定値よりも高くした高Mn処理鉱石を選択的に供給するようにしたことを特徴とする高炉操業方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の高炉操業方法において、
前記高炉スラグのスラグ塩基度Bが所定値以上になるように前記処理鉱石中の低Mn処理鉱石の配合量を調整することを特徴とする高炉操業方法。
但し、スラグ塩基度B=((CaO+Al+MgO)/SiO)−0.13×TiO−1.0×MnO)とする。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の高炉操業方法において、
前記処理鉱石の全部またはその一部として、前記高Mn鉱石の粉末鉱石と低Mn処理鉱石の粉末鉱石を原料として使用した焼結鉱を用いることを特徴とする高炉操業方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の高炉操業方法において、
前記処理鉱石の全部またはその一部として用いるMn含有量が高い高Mn鉱石と、当該高Mn鉱石よりもMn含有量が低い低Mn鉱石の処理鉱石に代えて、前記高Mn鉱石の塊鉱石と低Mn鉱石の塊鉱石を用いることを特徴とする高炉操業方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−291301(P2008−291301A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−136918(P2007−136918)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】