説明

高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の製造方法

【課題】高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物を高効率に生産できる工業的に有用なアニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】水酸基含有アニリド化合物とエピクロロヒドリンを、アルカリ、および、第四級アンモニウム塩を共存させて反応させて、下記一般式の


アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業的に有用な高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物は、有機化学分野および高分子化学分野で広く用いられている化合物であり、ファインケミカル、医農薬原料および樹脂原料、さらには電子情報材料や光学材料など、工業用途として多岐にわたる分野で有用な化合物である。
【0003】
さらに1官能エポキシ化合物であるアニリド構造含有グリシジルエーテル化合物は、多官能エポキシ化合物と混合し、種々の硬化剤で硬化させることにより、一般的に機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性および電気特性に優れた硬化物となり、接着剤、塗料、積層板および複合材料などの広い分野に利用されている。
【0004】
従来、アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の製造法として、サリチルアニリドを10%水酸化ナトリウムに懸濁し、エピクロロヒドリンを加え、60℃で24時間加熱撹拌する方法が知られていた(特許文献1、非特許文献1参照)。上述の方法は、反応時間が長いため、目的生成物がさらに反応し、多くの副生物が生成していた。このため、目的のアニリド構造含有グリシジルエーテル化合物を単離精製する工程で大きな負荷がかかっていた。すなわち、副生物の生成を抑制するため、できる限り短時間で反応を終了させる必要があった。
【0005】
また、従来は、アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の単離精製は、アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物を含有する油層の塩を水および飽和食塩水で洗浄・除去した後、無水硫酸マグネシウムで油層中の水分を脱水、蒸発乾固しており、これは工業的製造法とは言い難かった。すなわち、高収率で高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物を得るためには最適な晶析溶媒を選択する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭60−146852号公報
【非特許文献1】European Journal of Medicinal Chemistry, 17(1), 93-94 (1982)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、高収率で高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記従来技術の現状に鑑み、製造方法について鋭意検討した結果、下記一般式の
【0009】
【化1】

【0010】
水酸基含有アニリド化合物とエピクロロヒドリンを、アルカリ、および、第四級アンモニウム塩を共存させて反応させて、下記一般式の
【0011】
【化2】

【0012】
アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物を製造する高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の製造方法により、反応速度が向上し、速やかに反応が終了することを見いだした。
【発明の効果】
【0013】
本発明の高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の製造方法によると反応が速やかに進行し、高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物を、工業的かつ高効率に生産できる。
【0014】
本発明により得られた高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物は、硬化剤を混合して硬化させることにより、高強度、高弾性率、高接着性、高靭性、耐熱性、耐候性、耐溶剤性および耐衝撃性などの高機能なエポキシ樹脂硬化物を得ることができ、例えば、接着剤、塗料、強化繊維樹脂などに使用することができる硬化物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の製造方法である。本発明において、高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物とは、液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析したときの化学純度(area%)が、95%以上のアニリド構造含有グリシジルエーテル化合物を意味する。本発明において、高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の化学純度は、好ましくは、97%以上、より好ましくは、98%以上である。
【0016】
以下に、本発明の高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の製造方法について詳細に記載する。
下記一般式の
【0017】
【化3】

【0018】
水酸基含有アニリド化合物とエピクロロヒドリンを、アルカリ、および、第四級アンモニウム塩を共存させて反応させる。
【0019】
本発明で用いられる水酸基含有アニリド化合物は、下記の一般式に示す化合物である。
【0020】
【化4】

【0021】
本発明で用いられる水酸基含有アニリド化合物は、好ましくは、カルボニル基に対して、隣の2位に水酸基が結合した水酸基含有アニリド化合物である。
【0022】
本発明の高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の製造方法では、エピクロロヒドリンの使用量は、水酸基含有アニリド化合物に対し、1〜20モル倍であり、より好ましくは、3〜10モル倍である。エピクロロヒドリンの使用量が、水酸基含有アニリド化合物に対し、1〜20モル倍であると、不純物の生成が抑制され、かつ経済的な観点からも好ましい。
【0023】
本発明で用いられるアルカリは、具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムn−プロポキシド、カリウムn−プロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムイソプロポキシド、ナトリウムn−ブトキシド、カリウムn−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−アミラート、カリウムtert−アミラート、ナトリウムn−ヘキシラート、およびカリウムn−ヘキシラートおよびテトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどが例示されるが、中でも、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムが好ましく用いられる。
【0024】
本発明では、アルカリ化合物は、そのものを投入しても良いが、水またはアルコール溶液として滴下しても良い。
【0025】
アルカリ化合物の使用量は、水酸基含有アニリド化合物に対し、1〜10モル倍が好ましく、より好ましくは1.0〜3.0モル倍用いられる。
【0026】
本発明の高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の製造方法は、第四級アンモニウム塩を共存させる。第四級アンモニウム塩は、好ましくは、触媒として作用し、水酸基含有アニリド化合物とエピクロロヒドリンとの反応を飛躍的に促進させる。
【0027】
本発明で用いられる第四級アンモニウム塩は、テトラメチルアンモニウム、トリメチル−エチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム、トリエチル−メチルアンモニウム、トリプロピル−メチルアンモニウム、トリブチル−メチルアンモニウム、トリオクチル−メチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチル−プロピルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、ジアリルジメチルアンモニウム、n−オクチルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、セチルジメチルエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラn−ブチルアンモニウム、β−メチルコリン、テトラ−n−ブチルアンモニウムおよびフェニルトリメチルアンモニウム等の臭化塩、塩化塩、ヨウ化塩、硫酸水素塩および水酸化物等を挙げることができる。
【0028】
本発明で用いられる第四級アンモニウム塩は、特に好ましくは、トリオクチル−メチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、テトラn−ブチルアンモニウムの臭化塩、塩化塩、硫酸水素塩および水酸化物である。
【0029】
第四級アンモニウム塩の添加量は、水酸基含有アニリド化合物に対して0.001〜0.5モル倍が好ましい。
【0030】
本発明の高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の製造方法は、無溶媒でも実施しても良いし、溶媒存在下で実施しても良い。
【0031】
本発明の高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の製造方法では、溶媒を使用する場合、アルコールを含む溶媒が好ましく用いられる。アルコールとしては具体的にはメタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノールおよび1−ヘキサノールなどの1級アルコール類、イソプロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−ヘプタノールおよび3−ヘプタノールなどの2級アルコール類、tert−ブタノール、tert−ペンタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール-モノ n−ブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびトリプロピレングリコール-モノ−n−ブチルエーテルなどが挙げられる。中でもメタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2―ブタノールを用いた場合、より好ましい。
【0032】
アルコールを含む溶媒の使用量は、水酸基含有アニリド化合物に対し、好ましくは2〜20重量倍であり、より好ましくは、2〜10重量倍である。
【0033】
本発明の高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の製造方法では、反応温度は、10〜60℃が好ましく、より好ましくは、30〜50℃である。
【0034】
本発明の高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の製造方法では、原料の仕込み順序および方法としては、下記の方法が例示される。
(1)水酸基含有アニリド化合物とエピクロロヒドリンに、アルカリを添加する。
(2)水酸基含有アニリド化合物を含む溶液とエピクロロヒドリンに、アルカリを添加する。
(3)水酸基含有アニリド化合物とエピクロロヒドリンを含む溶液に、アルカリを添加する。
(4)水酸基含有アニリド化合物を含む溶液とエピクロロヒドリンを含む溶液に、アルカリを添加する。
(5)水酸基含有アニリド化合物とアルカリに、エピクロロヒドリンを添加する。
(6)水酸基含有アニリド化合物を含む溶液とアルカリに、エピクロロヒドリンを添加する。
(7)水酸基含有アニリド化合物とアルカリに、エピクロロヒドリンを含む溶液を添加する。
(8)水酸基含有アニリド化合物を含む溶液とアルカリに、エピクロロヒドリンを含む溶液を添加する。
【0035】
本発明の高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の製造方法では、好ましくは、上記(1)〜(4)の原料の仕込み順序および方法が好ましい。
【0036】
本発明の高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の製造方法では、急激な発熱や反応暴走を防ぐために、添加する原料を時間をかけて連続的にまたは分割して間欠的に添加するなど反応速度に合わせて、添加速度を制御することが好ましい。添加に要する時間は、0.5〜6時間が好ましく選ばれる。
【0037】
本発明における反応時間は、原料添加終了後、撹拌下で、通常0.5〜12時間である。
【0038】
本発明の製造方法において、アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物を単離精製するために、好ましくは、晶析法を用いる。晶析法としては、一般的な濃縮晶析、冷却晶析、貧溶媒晶析のいずれの方法を用いても良いし、これらを組み合わせてもよい。
【0039】
本発明の製造方法において、好ましく用いる晶析溶媒としては、芳香族炭化水素類、エーテル類、エステル類、ケトン類、アルコール類である。
【0040】
芳香族炭化水素類としては、具体的には、ベンゼン、キシレン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、テトラリン、ブチルベンゼン、p−シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ジペンチルベンゼン、ドデシルベンゼンなどが挙げられる。
【0041】
エーテル類としては、具体的には、ジイソピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルおよびジエチレングリコールジブチルエーテルなどが挙げられる。
【0042】
エステル類としては、具体的には、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルおよび酢酸イソブチルなどが挙げられる。
ケトン類としては、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニトリルアセトン、メチルオキシド、シクロヘキサノン、メチルヘキサン、アセトフェノンなどが挙げられる。
【0043】
アルコール類としては、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノールおよび1−ヘキサノールなどの1級アルコール類、イソプロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−ヘプタノールおよび3−ヘプタノールなどの2級アルコール類、tert−ブタノール、tert−ペンタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール−モノn−ブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびトリプロピレングリコール-モノn−ブチルエーテルなどが挙げられる。
【0044】
中でも、晶析溶媒として、アルコール類を用いた場合、収率が高く好ましい。より好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2―ブタノールである。
【0045】
晶析に用いる溶媒の使用量は、アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物に対し、好ましくは1〜10重量倍であり、より好ましくは、2〜5重量倍である。また、晶析温度は、−20〜30℃が好ましく、より好ましくは、−5〜20℃である。
【実施例】
【0046】
以下、実施例により具体的に説明する。
【0047】
(実施例1)
温度計、冷却管、滴下ロートおよび撹拌機を取り付けた四つ口フラスコに、エピクロロヒドリン500g(5.4mol)、硫酸水素テトラブチルアンモニウム9.2g(0.027mol)を仕込み、これにサリチルアニリド192g(0.9mol)を添加した。この混合液に48%水酸化ナトリウム90g(1.08mol)を30℃の温度で1時間かけて滴下し、さらに50℃の温度で3時間撹拌しながら反応を行った。反応が終わった後、288g(1.5重量倍/サリチルアニリド)の水で生成した塩を溶解し、分離した水層を分液除去し、油層645g(2−(2,3−エポキシ)プロポキシ−N−フェニルベンズアミド化学純度(HPLC area%)85%)を得た。油相からエピクロロヒドリンの一部320gを減圧下留去し、メタノール576g(3重量倍/サリチルアニリド)を加え、0℃から5℃で15時間撹拌することで白色結晶が析出した。濾過により結晶を分離し、メタノール280gですすぎ、減圧下に乾燥することで2−(2,3−エポキシ)プロポキシ−N−フェニルベンズアミドを主成分とする結晶が154g(化学純度(HPLC area%)99%、純度換算収率(サリチルアニリド基準)63%)得られた。なお、分析は以下の方法で実施した。
【0048】
(分析条件)
カラム: YMC―Pack ODS−AM303 4.6φ×250mm
カラム温度: 40℃
移動相: メタノール:0.1%(v/v)リン酸水溶液=60:40(v/v)
注入量: 2μl
検出: UV(254nm)
分析時間: 30min
分析サンプル調製: サンプル0.02gを秤量し、メタノール約25mlに希釈した。
【0049】
(実施例2)
実施例1において、48%水酸化ナトリウムを150g(1.8mol)に変更した以外は実施例1と同様に実施した。2−(2,3−エポキシ)プロポキシ−N−フェニルベンズアミドを主成分とする結晶が67g(化学純度(HPLC area%)98%、純度換算収率(サリチルアニリド基準)27%)得られた。
【0050】
(比較例1)
実施例1において、硫酸水素テトラブチルアンモニウムを加えなかったこと以外は実施例1と同様に実施した。反応が終わった後、水で生成した塩を溶解し、水層を分液除去して得た油相を分析したところ、主成分は原料のサリチルアニリドで、2−(2,3−エポキシ)プロポキシ−N−フェニルベンズアミド化学純度(HPLC area%)は8%であった。
【0051】
(比較例2)
実施例1において、メタノールをn−ヘキサンに変更した以外は実施例1と同様に実施した。2−(2,3−エポキシ)プロポキシ−N−フェニルベンズアミドを主成分とする結晶が192g(化学純度(HPLC area%)85%、純度換算収率(サリチルアニリド基準)67%)得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式の
【化1】

水酸基含有アニリド化合物とエピクロロヒドリンを、アルカリ、および、第四級アンモニウム塩を共存させて反応させて、下記一般式の
【化2】

アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物を製造する高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の製造方法。
【請求項2】
晶析溶媒として、芳香族炭化水素類、エーテル類、エステル類、ケトン類、アルコール類から選ばれる少なくとも1種類の溶媒を使用する請求項1記載の高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の製造方法。
【請求項3】
晶析溶媒がアルコール類である請求項2記載の高純度アニリド構造含有グリシジルエーテル化合物の製造方法。

【公開番号】特開2011−195526(P2011−195526A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65685(P2010−65685)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000187046)東レ・ファインケミカル株式会社 (153)
【Fターム(参考)】