説明

高純度溶融シリカガラスの非多孔質物体を作成する方法

【目的】 有害なまたは環境的に危険なHCl放出を伴うことなしに高純度シリカおよびそれを用いた光導波路ファイバを作成すること。
【構成】 酸化を伴う熱分解または火炎加水分解によってSiO2に変換され得るハロゲン化物を含まずケイ素を含有した蒸気状の化合物のガス流を生じさせ、前記ガス流を燃焼バ−ナの炎内に送り込んで溶融したSiO2無定形粒子を形成し、前記無定形粒子を支持体上に沈積させ、前記沈積と実質的に同時にまたはその後で、前記無定形粒子の沈積物をコンソリデ−トさせて事実上非多孔質の物体となす。この場合、(1)Si-O結合の解離エネルギ−より大きくないSi-R結合解離エネルギ−を有し、(2)350℃より高くない沸点を有し、(3)熱分解および/または加水分解によって、環境的に安全と認められるまたは放出が許容基準以下である分解生成物をSiO2のほかに生成するという特性を有するハロゲン化物を含まない蒸気状態の有機ケイ素-R化合物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高純度の溶融シリカガラスの事実上非多孔質物体を作成する方法に関する
【0002】
【従来の技術】蒸気反応物から金属酸化物を生成することを含む種々の方法が公知である。このような方法の最も基本的な要件は原料溶液と、その原料溶液の蒸気(以下蒸気反応物と呼ぶ)およびオキダントを発生しかつそれらを反応サイトに輸送するための手段と、酸化と燃焼を同時に促進させ、ス−トと呼ばれる微細な球状の集合体を生成する手段を必要とする。このス−トは収集チャンバから回転マンドレルまでにおよぶ任意の数の経路で集められ、そしてそれと同時にまたは爾後に熱処理されて非多孔質の透明な高純度のガラス物品となされる。これらの反応を行うための手段は通常ノズルとバ−ナ−の独特の配列を具備した特殊な装置である。
【0003】このような方法の非常に多くを開発しかつそれにつき特許権を取得した初期の研究の多くが溶融シリカの生成を中心としていた。高純度溶融シリカの生成においては適当な原材料の選択がその生成に使用される装置と同様に重要であることが判った。従って、100℃以下の温度で200〜300mmの必要な蒸気圧を発生させ得る材料が見出され、四塩化ケイ素の高い蒸気圧がそれをス−ト発生のための都合の良い蒸気供給源として分離し、このようにして一連の同様の塩化物をベ−スとした原材料の発見と使用が始った。SiCl4、GeCl4、POCl3およびBCl3は化学的に望ましくない特性を有しているにもかかわれあず、これらの材料が蒸気供給源として現在使用されているのは、他の要因のどれよりも、この要因のおかげである。
【0004】ケイ素、ゲルマニウム、ジルコン、およびチタンは高純度金属酸化物ガラスを作成するための蒸気反応物として塩化物形式でよく用いられる金属である。しかし、SiCl4が高純度シリカガラスを生成するために多年にわたって用いられているメタルソ−ス(metal-source)蒸気反応物のうちで産業用の標準であった。米国特許第3698936号に開示されているように、SiCl4の酸化を経て高純度溶融シリカを生成するためには下記のような幾つかの反応の1つを用いればよい。
(1) SiCl4 + O2 -> SiO2 + Cl2(2) SiCl4 + O3 -> SiO2 + Cl2 あるいは(3) SiCl4 + H2O -> SiO2 + HClこれによって、反応ガスと蒸気を反応空間に供給する場合にバ−ナまたはジェット・アセンブリが利用される。これらの反応のそれぞれには内在的な経済的難点が存在する。
【0005】熱分解および加水分解を通じてSiCl4を酸化するこれらの反応は非常に強い酸性副産物を生成するという難点がある。最初の2つの反応は理論的に生ずるが、熱分解温度を達成して四塩化ケイ素の加水分解および塩酸(HCl)の生成を生ずるためには補助燃料が必要とされる場合がある。このような副産物は多くの沈積用サブストレ−トにとって有害であるだけでなく、大気中に放出される前に処理されなければならない。このような対処法はHClの腐食による装置のダウンタイム、ロスおよび保守のために非常に高価のものであることが判明している。
【0006】自然に発生する酸素を利用する上記第1の反応は、一般には特殊な装置を用いなければ維持するのが困難な高い反応温度を要する。上記第2の反応は、特別な取扱いを要するだけでなく、商業的に入手できないために現場で製造されなければならない酸素分子の不安定な形態であるオゾンを必要とする。SiCl4の加水分解と熱分解によって必要とされる副産物すなわちHClの取扱いおよび処分にもかかわらず、SiCl4の加水分解でもある上記第3の反応が経済的な理由から溶融シリカの商業的な生成方法として好ましい方法とされる傾向がある。
【0007】SiCl4の加水分解が多年にわたって高純度溶融シリカの生成方法として工業的に好まれてきたが、環境保護に対する世界的な関心の高まりのために、ポイント・ソ−ス・エミッション(point source emissions)に対する政府の規制がより厳しいものとなってきており、環境的に害の少ない原材料の研究開発が求められている。新しいポイント・ソ−ス・エミッション規制では、SiCl4を加水分解した場合の副産物であるHClは、多くの粒子状の汚染物質と同様に、大気中に放出される以前に排気ガスから除去されなければならない。これらの規制に適合しなければならないことの経済的な結果として、HClや他の金属酸化物を塩化物をベ−スとした原材料から下流で除去することにより溶融シリカを商業的に生成することが産業界にとって魅力の少ないものとなっている。
【0008】代替的な方法として、シラン、すなわちそのシランの入った密閉容器内に空気を導入したときに起こる激しい反応のために取扱いに安全対策を要する化合物の熱分解および酸化によっても高純度溶融石英またはシリカを生成することもできる。シランは一般に二酸化炭素、一酸化二窒素、酸素または水と反応して、特に半導体装置を作成する場合に有用な高純度材料を生成するとともに、一酸化炭素、水素および窒素のような大量の副産物を放出する。しかし、シランは高価すぎかつ反応が激しすぎるので、極端に高純度を要求する用途以外には商業的に使用するのには適していないと考えるべきであることが判明している。
【0009】特殊な装置に供給される塩化物をベ−スとした原材料から高純度の金属酸化物、特に溶融シリカを生成することに関しては非常に多くの特許が付与されている。そのような装置は多数のバ−ナ配列および原材料輸送系統を特徴としており、すべてが炎加水分解または熱分解による金属塩化物の酸化を基礎としている。この事実を示すものとして、トリクロロシラン、ジクロロシランおよび四塩化ケイ素を火炎加水分解してス−トを生成する米国特許第4491604号、およびシリコンクロロホルムのようなケイ素ハロゲン化物を火炎加水分解する米国特許第3666414号がある。同様の処理において、米国特許第3486913号および同第2269059号はハロゲン化物を酸化することを教示している。すなわち、上記米国特許第3486913号では空気、水蒸気または酸素を用いて酸化されたTiCl4、CrCl3、SiCl4、AlCl3、ZrCl4、FeCl2、FeCl3、ZnCl2、またはSnCl4のような揮発された無機のハロゲン化物化合物が用いられており、一方、上記米国特許第2269059号ではケイ素ハロゲン化物、ケイ酸エチル、ホウ酸メチル、TiCl4、AlCl3、およびZrCl4が用いられている。しかし、これらの特許にかかげられている化合物はいずれも本発明のハロゲン化物をふくまずケイ素を含有した化合物とは関係のないものである。
【0010】米国特許第3416890号は酸化ガスおよび炭素と直接結合した硫黄を含有した水素の無い化合物よりなる二流化炭素、セレン化流化炭素、または炭素チオホスゲンのような補助燃料を燃焼させることによって生じた炎中で金属またはメタロイド・ペルハライド(perhalide)を分解させることによって微細な金属またはメタロイド酸化物を生成する方法を開示している。この米国特許では本発明で用いられているハロゲン化物を含まずケイ素を含有した化合物を用いてはいない。
【0011】米国特許第2239551号はガラス形成化合物のガス状混合物を燃焼ガスの炎中で分解することによってガラスを作成する方法を開示している。なお、その混合物はケイ素、アルミニウムおよびホウ素の無水酸化物を形成するのに用いられる。ケイ酸エチルまたはメチル、シリコクロロホルム、および四塩化ケイ素のような分解可能な化合物がフッ化ホウ素等の代りに用いられうる。この米国特許では本発明の特徴と認められるハロゲン化物を含まずケイ素を含有した化合物について何等述べられていない。
【0012】米国特許第2326059号では、SiおよびTiの四塩化物を蒸発させてオキシ- ガス・バ−ナのガス流となし、その結果得られた混合物を沈積させてプリフォ−ムを作成し、このプリフォ−ムを1500℃でガラス化して不透明なガラスを作成し、そしてこの不透明ガラスをそれより高い温度で焼成して透明にすることによってシリカリッチで膨張が極端に小さいガラスを作成する技術について詳述している。この米国特許は、本発明で必要とされるハロゲン化物の無いケイ素を含有した化合物を用いていない点で本発明と異なっている。
【0013】米国特許第2272342号は水浴を用いて塩化ケイ素、シリコクロロホルム、ケイ酸メチル、ケイ酸エチル、フッ化ケイ素、またはそれらの混合物のような加水分解可能な化合物を蒸発させることによってガラス質シリカを含んだガラス物品を作成する方法について詳述している。そのケイ素化合物の蒸気はバ−ナの炎内で水蒸気によって加水分解され、その結果得られた無定形の酸化物が集められ、そして続いて透明なガラスができるまで焼結される。この米国特許は本発明の基礎をなすハロゲン化物を含まずケイ素を含有した化合物については何も述べていない。
【0014】米国特許第4501602号は、周期率表のIA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVA、IVB族および希土類から選択された金属のβ-ジケトネ−ト錯体を気相沈積させて粒状の金属酸化物ス−トを開示している。この米国特許にも、本発明で必要とされるハロゲン化物を含まずケイ素を含有した化合物には何等述べていないのみならず、唯一言及しているケイ素含有化合物はSiCl4にすぎない。
【0015】高純度溶融シリカを生成するためにシランおよびそれの変性物を用いた幾つかの特許が存在している。
【0016】特願昭60−90838にはR1nSi(OR2)4-nという一般式で表されるエステルシランと、Ge(OR3)3、B(OR3)3、およびPH3という化学式(ただしR1は水素原子、メチルまたはエチル基、R2はメチルまたはエチル基、R3は一価の炭化水素基、そしてnは0と4の間の整数である)で表される1つ以上のド−パントを用いて石英ガラスにド−ピングする方法を開示している。メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、およびテトラエトキシシランを含む非常に多くの有機金属化合物が開示されている。これらの化合物は何れも本発明の方法では用いられない。
【0017】米国特許第3117838号はシランの熱分解と酸化との組合せによって非常に純度の高い溶融石英またはシリカを生成する方法であって、二酸化炭素、一酸化二窒素、または水蒸気とシランをバ−ナまたはト−チジェットに供給し、炭素サブストレ−トに炎を衝突させてこのサブストレ−ト上にシリカを沈積させる方法を記載している。この米国特許では本発明の方法で必要とされるハロゲン化物を含まずケイ素を含有した化合物を用いていないので本発明とは異なる。
【0018】米国特許第4810673号はハロンゲン化シラン成分と酸素ソ−ス、すなわちジクロロシランと一酸化二窒素を含むソ−スガス混合物(source gas mixture)の化学蒸気沈積によって高品質のケイ素酸化物を合成する方法を開示している。この米国特許のものはケイ素ソ−ス化合物としてハアロゲン化物を含まずケイ素を含有した化合物を用いていないので本発明とは異なる。
【0019】米国特許第4242487号はオルガノボロシロキサン化合物を脂肪族多価アルコ−ル、芳香族アルコ−ル、フェノ−ル、および芳香族カルボン酸のグル−プのうちの少なくとも1つと不活性雰囲気中において250℃〜450℃の温度で反応させることによって、種々の耐熱性物質のための材料として有用な耐熱性の半無機化合物を生成する方法を開示している。この米国特許は本発明の本質的特徴と考えられているハロゲン化物を含まないケイ素ソ−ス化合物については何等述べていない。
【0020】
【本発明が解決しようとする課題】本発明の新規性は、蒸気沈積処理におけるSiCl4を塩化物を含まないシリカ・ソ−ス化合物で置き換えて、HClの生成をなくしないまでもそれを大幅に軽減することにある。塩化物を含まないシステムで操作することの利点としては、汚染防止に対する要件の緩和、およびHClの腐食性による装置のロスおよび保守の軽減があげられる。
【0021】本発明の教示は、米国特許第2239551号(Nordberg特許)や米国特許第2272342号(Hyde特許)のような初期の特許に開示されているもののような炎熱分解または加水分解によって高純度溶融シリカを生成する公知の方法に容易に適合される。この方法の変更は種々の沈積/収集技術にも適合されうる。従って、本発明の1つの目的は、代替的なケイ素ソ−ス化合物を利用して高純度溶融シリカを作成して、精巧な汚染防止装置の必要性をなくさないとしてもそれを大幅に緩和する改良された方法を提供することである。
【0022】本発明の主たる用途は溶融シリカの生成に関するものであることがわかるであろおうが、本発明で適用される技術は高純度金属酸化物ガラスが所望される場合に一般的に適用できるものである。
【0023】本発明のさらに他の目的は他の金属酸化物ソ−ス化合物を用いて高純度金属酸化物ガラスを作成し、それによって高価な汚染防止装置の必要性を大幅に軽減する改良された方法を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】米国特許出願第07/568230号に開示されているのと同様に、本発明は、透明な高純度シリカガラス物品を作成するために炎加水分解または熱分解によって頻繁に酸化されるハロゲン化物をベ−スとした原材料の代えてハロゲン化物を含まずケイ素を含有した化合物を用いる。原材料成分として熱分解可能なかつ/または加水分解可能なハロゲン化物を含まずケイ素を含有した化合物を用いて溶融シリカガラスを作成すると、副産物として二酸化炭素と水が生ずる。
【0025】上記米国特許出願第07/568230号では、ハロゲン化物をベ−スとした原材料に代えて使用するためのハロゲン化物を含まずケイ素を含有した化合物としてポリメチルシロキサンについて述べてあるが、ポリメチルシロキサンはそのグル−プの化合物のうちの好ましい化合物である。従って、ハロゲン化物を含まない原材料として特に適したものととしてオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、およびヘキサメチルシクロトリシロキサンが開示されている。
【0026】さらに実験考察を重ねた結果、使用可能なハロゲン化物を含まずケイ素を含有した原材料はポリメチルシロキサンに限定される必要はないことが明らかとなった。すなわち、下記の3つの基準を満たす有機ケイ素(organosilicon)材料がハロゲン化物を含んだ化合物に代るものとして適当に利用できることが認められた。 (1)使用可能な有機ケイ素 - R化合物(Rは周期率表の元素)はSi -R結合よりも大きくないSi - R結合解離エネルギ−を有している、(2)使用可能な有機ケイ素 - R化合物は250℃より低い温度で高い蒸気圧を呈示しかつ350℃より高くない沸点をゆうする、かつ安全の見地から、(3)使用可能な有機ケイ素 - R化合物は、熱分解および/または加水分解されると、SiO2のほかに、環境的に安全と認められるあるいは放出が許容政府基準以下である分解生成物を生ずる。
【0027】上記の基本的な知見は、ケイ素原子に対して種々の結合態様を呈示し、ハロゲン化物をベ−スとした材料に代る材料として有用なものであることが判明した多数のハロゲン化物を含まないケイ素ソ−ス化合物を本発明者等が見出したことによる。特に有用と認められた3つのグル−プの化合物は基本構造における結合態様に従って下記のようにカテゴリ化される。
(1)基本的なSi-O-Si構造を有する有機ケイ素・酸素化合物、特に酸素原子および単一の元素またはメチル基のような元素のグル−プがケイ素原子と結合された線状シロキサン、(2)窒素原子と単一の元素または元素のグル−プがケイ素原子に結合したアミノシラン、線状シラザン、およびシクロシラザンのような基本的Si-N-Si構造を有する有機ケイ素・窒素化合物、および(3)窒素原子と酸素原子がケイ素原子に結合した基本的なSi-N-Si-O-Si構造を有するシロキサシラザン。
【0028】これらの化合物は150℃以上に加熱されると高い蒸気圧を呈する。従来技術はシリカを生成するためのソ−スとしてハロゲン化物を含んだシラン(例えば、Si-RmCl2-m、ただしRは有機基)を開示している。本発明者等の実験では、ハロゲン化物の存在は必要ではなく、実際にハロゲン化物を含まない有機ケイ素- R化合物が非常に高純度のシリカを生成することが明らかとなった。また、本発明の好ましい実施例として上述した3つのグル−プの有機ケイ素 - R化合物がSi原子に関連して特殊の結合態様を開示すているが、これらの化合物は実際にはより大きなグル−プのグル−プの有機ケイ素 - R化合物のうちの小さなグル−プにすぎない。換言すれば、適当な原材料として使用可能であるためには、ハロゲン化物を含まない有機ケイ素 - R化合物は上述した3つの基準を満たしていさえすればよい。
【0029】オクタメチルトリシロキサンは使用可能な線状シロキサンの例示である。トリス(トリメチルシリル)ケテニミン、ナノメチルトリシラザン、およびオクタメチルシクロテトラシラザンはそれぞれ使用可能なアミノシラン、線状シラザンおよびシクロシラザンの例示であり、またヘキサメチルシクロトリシロキザンは使用可能なシロキサシラザンの例示である。これらの化合物のクラスのそれぞれにおける代表的な化合物が各クラスの好ましい実施例を構成する。
【0030】高純度の溶融シリカを生成するための原材料としてメチルトリメトキシシラン(MTMS)が使用可能であることも判ったが、それは非常に高価でありかつ燃焼炎中でコントロ−ルするのが困難である。従って、MTMはハロゲン化物をベ−スとしたケイ素を含有した化合物に代るものとして使用できると考えられるが、その特性が本発明での使用の妨げとなる。
【0031】化学的および/または物理的特性を修正するために、SiCl4の酸化または加水分解を伴う熱分解によって生成された溶融SiO2物品に種々の金属をド−プするための現在商業的に用いられている方法と同様に、本発明に従って作成された溶融SiO2物品にも同様に金属をド−プすることができる。例えば、溶融シリカ物品には、アルミニウム、ホウ素、ゲルマニウム、リン、およびチタンのハロゲン化物を含んだ化合物をそれぞれ利用してAl2O3、B2O3、GeO2、P2O5およびTiO2を商業的にド−プしている。ド−パントが本発明の方法でも同様の利用できるが、その場合にはもちろんポイント・ソ−ス放出を提供するであろう。従って、ハロゲン化物びポイント・ソ−ス放出を除去するためには、ド−パント金属の有機金属化合物が用いられるであろう。例えば、イソプロピル・チタン酸塩およびチタン・エトキシドがチタンのソ−スとして用いることができ、かつホウ酸メチルはホウ素のド−パント・ソ−スを与えることができる。
【0032】使用可能な有機金属ド−パントの他の例が米国特許第4501602号に見られる。この米国特許には、周期率表IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVAおよびIVB族と希土類から選択あれたβ-ジケトネ−ト錯体が蒸発され、その蒸気が沈積用サブストレ−トに隣接したまたは沈積用チュ−ブ内のバ−ナまたはホットプラズマ・ゾ−ンのような酸化場所に輸送され、そして気相中で酸化されて粒状の金属酸化物ス−トを形成する。周期率表のVA族の金属、特にバナジウムおよびタンタルのβ-ジケトネ−ト錯体も利用できる。従って、β-ジケトネ−ト錯体を使用することによって非常に多種類のド−パント金属に対する蒸発可能なソ−スが得られる。要約すると、本発明は溶融SiO2物品にP2O5および/または周期率表の第IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVA、IVB、VA、および希土類から選択された少なくとも1つの金属酸化物をド−プするものである。
【0033】
【実施例】米国特許出願第07/568230号に開示された発明の好ましい実施例では、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)が光導波路の用途に対する高純度溶融シリカを作成するために用いられる蒸気沈積法において原材料として用いられるハロゲン化物を含まないシロキサン化合物であった。オクタメチルシクロテトラシロキサンの酸化によって生成された溶融シリカは副産物として二酸化炭素と水を生ずる。
【0034】ブ−ル法(boule process)では、規定の低い温度に維持されたSiCl4原材料中を酸素が泡立てて通される。蒸気状のSiCl4は酸素に隨伴されるが、この酸素はキャリアガスとして作用し、その蒸気状のSiCl4を反応サイト(reaction site)に輸送する。その反応サイトは蒸気状のSiCl4を1700℃より高い温度で燃焼させ酸化させる多数のバ−ナで構成されている。
【0035】実施例1上記のシステムが図1に示されており、そこでは、高純度溶融シリカのブ−ルを作成するために、市販の炉内でSiCl4がOMCTS原材料1で置換された。不活性ガス、すなわち窒素がキャリアガスとして用いられ、かつ窒素のバイパス流2が蒸気流の飽和を防止するために導入された。蒸気反応物は、多数のバ−ナ4が炉クラウン5に近接して配置された反応サイトに輸送される前に、分布機構3を通される。これらのバ−ナは1700℃より高い温度で蒸気反応物を燃焼させかつ酸化させて、高純度の金属酸化物ス−トと熱を耐火炉クラウン5中を下方に送り、そのクラウンで直ちにホットベイト(hot bait)6上に沈積されかつコンソリデ−ト(consolidated)されて非多孔質の物体となされる。
【0036】比較的大きいブ−ルを作成する場合、原材料としてSiCl4を用いて測定された最大ス−ト収集効率は約60〜70%の範囲であった。何回も試みた結果、原材料としてOMCTSを用いたブ−ル法の場合の平均沈積効率はSiCl4を用いた方法より少なくとも10%高いことが明らかとなった。従って、ハロゲン化物の放出が防止されることに加えて、大量の粒状体の放出が同様に軽減される。
【0037】原材料を処理するにはその原材料を蒸発させかつそれを蒸気状態で送るための装置と転送システムが必要である。SiCl4と比較すると、蒸気圧がそれより低いから幾分高い温度が必要とされる。
【0038】実施例2他の非汚染シリカ・ソ−スの一般的な類別を広げるために、幾つかの目的をもって多数の有機金属化合物が調査された。第1に、本発明者等は本発明の有機ケイ素化合物から実際にシリカ・ス−トを生成できることを示したかった。第2に、本発明者等はシクロシロキサン(例えばOMCTS)について示されたように線状シロキサンでシリカ・ス−トを生成できるかどうかを知りたかった。第3に、本発明者等は燃焼処理時に有機ケイ素化合物のSi-N結合がそれより結合強度の強いSi-O結合によって破壊されかつ置換され得るかどうかを知りたかった。最後に、本発明の精神によれば、高純度溶融シリカを作成するために分解された場合、上記有機ケイ素化合物の副産物と前記有機ケイ素化合物の結果的に生ずる放出がOSHA(Occupational Health and Safety Administration)およびEPA(Environmental Protection Agency)によって環境的に安全なものとして類別されなければならない。
【0039】実験試料がフラッシュ蒸発器に液体として直接計量されるか、あるいは1つの場合におけるように、標準のメタン/酸素リングバ−ナのフュ−ム・チュ−ブ(fume tube)に計量されかつ泡立てて送られる。オクタメチルシクロテトラシラザン、トリス(トリメチルシリル)ケテニミン、およびオクタメチルトリシロキサンが得られ、かつそれぞれからス−トが生成された。このス−トが集められそしてそれぞれのケイ素、窒素および酸素含有量を知るために化学的に分析された。下記表では重量%O2の誤差が括弧書きで表示されている。
【0040】
表I 化合物 %窒素 %酸素 %ケイ素 オクタメチルトリシロキサン < 0.01 53.7(4) 46.6 トリス(トリメチルシリル)
ケテニミン < 0.01 53.4(4) 46.4 オクタメチルシクロテトラ シラザン < 0.01 53.1(4) 46.6
【0041】表Iから判るように、有機ケイ素・酸素化合物である線状シロキサン、オクタメチルトリシロキサン、有機ケイ素・窒素化合物であるトリス(トリメチル)ケテニミンおよびオクタメチルシクロテトラシラザンが熱分解/加水分解されてオクタメチルシクロテトラシラザンで生成された量に匹敵した量のSiO2が生成されたが、最も好ましいのは前記米国特許出願第07/568,230号に記載されているポリメチルシクロシロキサンであった。
【0042】Si-O結合の結合エネルギ−は191.1±3.2kcal/moleであり、かつSi-N結合のそれは105±9kcal/moleである。従って、Si-N結合のエネルギ−は約86±10kcal/moleであり、Si-O結合のそれより小さい。SiO2を生成するのにトリス(トリメチル)ケテニミンが利用できることは使用可能な有機ケイ素-R化合物が従わなければならない上記の基準のうちの1つ、すなわちSi-R結合の解離エネルギ−がSi-O結合のそれより大きくてはならないことを確認している。その要因、すんわち、Si-N結合の存在は、酸素による熱分解/加水分解反応に附された場合に高純度のSiO2を生成することにおけるシロキサザンの有効性を説明している。その反応生成物は有機ケイ素・窒素化合物の熱分解/加水分解から生ずる反応生成物に本質的に合致しているであろう。
【0043】オクタメチルシクロテトラシロキサンと比較した場合にこれらの材料が有する実用的な利点はそれの純度が遥かに高いという点である。本発明の有機ケイ素化合物は一般にOMCTSに見られる高レベルのアルカリ金属および遷移金属不純物を含んでいない。OMCTSは純度が95%であると報告されているが、本発明の上記有機ケイ素化合物の純度は99%である。OMCTSに対する5%レベルの不純物は、分留によって完全には分離されていないより高い分子量のシクロシロキサンと、痕跡量のアルカリ金属および遷移金属よりなる。
【0044】しかし、導波路処理では、塩素乾燥の所要工程は水分を除去するだけでなく、低減衰ファイバを作成する場合に必要とされるレベル、すなわち10 ppbより低いレベルまでアルカリ金属および遷移金属不純物を除去する。従って、これらのアルカリおよび遷移金属不純物の作用が光導波路ファイバの従来処理シ−ケンスにおいて中性化される。
【0045】今日光導波路を作成するために産業界で開発されている方法の殆どが化学的蒸気沈積(CVD)コンセプトまたはそれの修正された形式を用いている。CVD実験では、成分液体のそれぞれが、適度な速度の沈積を生じさせるのに十分な蒸気圧が発生される一定温度まで加熱される。個々の蒸気はキャリアガスに隨伴され、均質なアウトプットを確保するために燃焼の前に混合され、そして過剰な酸素を含む通常は天然ガス/酸素混合物であるバ−ナ炎中を通される。その混合物中の蒸気はそれらの酸化物に変換され、バ−ナ・オリフィスから出て、揮発性のガスと微細な球状のス−ト粒子の流れを形成する。このス−トがマンドレルまたはベイト・チュ−ブ上に収集され(軸付け法(AVD))、そして複数の薄い層をなして沈積される。ス−ト収集の最終的な生成物、すなわち多孔質のプリフォ−ムが高い温度にさらされてコンソリデ−ト(consolidate)して非多孔質のモノリシックなガラス状物体となる。
【0046】通常は、光導波路の製法はスリ−・ステップ・プロセスである。光ファイバ製造の最初の段階では、キャリアガスである酸素が一定の温度に維持されたSiCl4の液体原材料中を泡立てて通される。このようにして生じた蒸気状の反応物はキャリアガスを介してバ−ナのような反応サイトに輸送され、そこで蒸気ガス流が天然ガスと酸素を燃料としたバ−ナ炎中で燃焼される。酸素の存在は蒸気状反応物をそれらの酸化物に変換する作用をし、バ−ナ・オリフィスから出て、揮発性ガスとサブストレ−ト上に沈積される微細な球状のス−ト粒子の流れを形成し、多孔質の母材または不透明な白色のシリカのプリフォ−ムを形成する。水、HCl、および二酸化炭素がこの反応の副産物として放出される。
【0047】二番目の段階では、母材またはプリフォ−ムがヘリウム/塩素雰囲気内で熱処理されて完全にコンソリデ−トされる。三番目および最後の段階において、プリフォ−ムから光導波路ファイバを線引きするために従来のファイバ線引き技術が用いられる。
【0048】上記のプロセスが図2に示されており、これは本発明の材料に対しも同様に適用可能である。従って、図2に示されているように、光導波路の作成に用いられている標準的なOVD装置および従来のOVD処理技術を用いるOVD処理における原材料7としての有機ケイ素-R化合物のうちの1つでSiCl4が置換される。不活性ガスである窒素がキャイラガスとして用いられ、かつメタン/酸素混合物がバ−ナ炎燃料として用いられ、それによって反応サイト8において燃焼と酸化が生ずる。このようにして得られたス−トが回転ロッド9上に沈積され、シリカ・ス−トのプリフォ−ムまたは母材10が形成される。次にこのプリフォ−ムがコンソリデ−ション炉11内のHe/Cl2雰囲気中で熱処理されて完全にコンソリデ−トされる。その後で光導波路ファイバを作成するために従来のファイバ線引き技術が用いられる。付加的な装置は必要とされないが、輸送システムは材料を蒸発させることができるとともに、それを蒸気の状態で標準的なOVDバ−ナに輸送することができるものでなければならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】大量の溶融シリカを作成するための装置および方法の概略図である。
【図2】回転マンドレル上にシリカ・ス−トを沈積させて多孔質の母材またはプリフォ−ムを作成する装置および方法を示す概略図である。
【図2A】図2の装置および方法で作成されたス−トの母材またはプリフォ−ムを示す概略図である。
【図3】多孔質母材がヘリウムおよび塩素の雰囲気内で焼成され完全にコンソリデ−トされて非多孔質の物体となされる加熱チャンバ−の概略図である。
【符号の説明】
1 OMCTS原材料
2 バイパス流
3 分布機構
4 バ−ナ
5 耐火炉クラウン
6 ホットベイト
7 原材料
8 反応サイト
9 回転ロッド
10 母材
11 コンソリデ−ション炉

【特許請求の範囲】
【請求項1】高純度溶融シリカガラスの事実上非多孔質の物体を作成する方法であって、(a)酸化を伴う熱分解または火炎加水分解によってSiO2に変換され得るハロゲン化物を含まずケイ素を含有した蒸気状の化合物のガス流を生じさせ、(b)前記ガス流を燃焼バ−ナの炎内に送り込んで溶融したSiO2無定形粒子を形成し、(c)前記無定形粒子を支持体上に沈積させ、(d)前記沈積と実質的に同時にまたはその後で、前記無定形粒子の沈積物をコンソリデ−トさせて事実上非多孔質の物体となす工程を含み、(1)Si-O結合の解離エネルギ−より大きくないSi-R結合解離エネルギ−を有し、(2)350℃より高くない沸点を有し、(3)熱分解および/または加水分解によって、環境的に安全と認められるまたは放出が許容基準以下である分解生成物をSiO2のほかに生成するという特性を有するハロゲン化物を含まない蒸気状態の有機ケイ素-R化合物を用いることを特徴とする高純度溶融シリカガラスの非多孔質物体を作成する方法。
【請求項2】前記有機ケイ素-R化合物が有機ケイ素 - 酸素化合物、有機ケイ素 - 窒素化合物、シロキサシラザン、およびそれらの混合物よりなるグル−プから選択される請求項1の方法。
【請求項3】前記有機ケイ素 - 酸素化合物が線状シロキサンである請求項2の方法。
【請求項4】前記線状シロキサンがオクタメチルトリシロキサンである請求項3の方法。
【請求項5】前記有機ケイ素 - 窒素化合物がアミノシラン、線状シラザン、およびシクロシラザンよりなるグル−プから選択される請求項2の方法。
【請求項6】前記アミノシランはトリス(トリメチルシリル)ケテニミンであり、前記線状シラザンはノナメチルトリシラザンであり、かつ前記シクロシラザンはオクタメチルシクロテトラシラザンである請求項5の方法。
【請求項7】前記シロキサシラザンはヘキサメチルシクロトリシロキサザンである請求項2の方法。
【請求項8】前記ガス流は不活性ガスよりなる請求項1の方法。
【請求項9】前記不活性ガスは窒素である請求項8の方法。
【請求項10】P2O5および/または周期率表の第IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVA、IVB、VA族および希土類から選択された少なくとも1つの金属酸化物をド−プされた高純度シリカの非多孔質物体を作成する方法であって、(a)酸化を伴う熱分解または火炎加水分解によってSiO2に変換され得る蒸発可能でハロゲン化物を含まずケイ素を含有した蒸気状態の化合物と、酸化を伴う熱分解または火炎加水分解によってP2O5におよび/または周期率表の第IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVA、IVB、VA族および希土類から選択された少なくとも1つの金属酸化物変換され得る蒸気状態の化合物を含んだガス流を発生させ、(b)前記ガス流を燃焼バ−ナの炎中に流してP2O5および/または周期率表の第IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVA、IVB、VA族および希土類から選択された少なくとも1つの金属酸化物をド−プされた溶融したSiO2の無定形粒子を生成し、(c)前記無定形粒子を支持体上に沈積させ、(d)前記沈積と実質的に同時にまたはその後で、前記無定形粒子の沈積物をコンソリデ−トさせて非多孔質物体となす工程を含み、(1)Si-O結合の解離エネルギ−より大きくないSi-R結合解離エネルギ−を有し、(2)350℃より高くない沸点を有し、(3)熱分解および/または加水分解によって、環境的に安全と認められるまたは放出が許容基準以下である分解生成物をSiO2のほかに生成するという特性を有するハロゲン化物を含まない蒸気状態の有機ケイ素-R化合物を用いることを特徴とする高純度溶融シリカの非多孔質物体を作成する方法。
【請求項11】前記有機ケイ素-R化合物が有機ケイ素 - 酸素化合物、有機ケイ素 - 窒素化合物、シロキサシラザン、およびそれらの混合物よりなるグル−プから選択される請求項10の方法。
【請求項12】前記有機ケイ素 - 酸素化合物が線状シロキサンである請求項11の方法。
【請求項13】前記線状シロキサンがオクタメチルトリシロキサンである請求項12の方法。
【請求項14】前記有機ケイ素 - 窒素化合物がアミノシラン、線状シラザン、およびシクロシラザンよりなるグル−プから選択される請求項11の方法。
【請求項15】前記アミノシランはトリス(トリメチルシリル)ケテニミンであり、前記線状シラザンはノナメチルトリシラザンであり、かつ前記シクロシラザンはオクタメチルシクロテトラシラザンである請求項14の方法。
【請求項16】前記シロキサシラザンはヘキサメチルシクロトリシロキサザンである請求項11の方法。
【請求項17】前記ガス流は不活性ガスよりなる請求項10の方法。
【請求項18】前記不活性ガスは窒素である請求項10の方法。
【請求項19】P2O5におよび/または周期率表の第IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVA、IVB、VA族および希土類から選択された少なくとも1つの金属酸化物変換され得る前記蒸発可能な化合物がハロゲン化物を含んだ化合物である請求項10の方法。
【請求項20】P2O5におよび/または周期率表の第IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVA、IVB、VA族および希土類から選択された少なくとも1つの金属酸化物変換され得る前記蒸発可能な化合物がハロゲン化物を含まない化合物である請求項10の方法。
【請求項21】外付け法により高純度溶融シリカで光導波路ファイバを作成する方法において、(a)酸化を伴う熱分解または火炎加水分解によってSiO2に変換され得るケイ素を含有した蒸気状態の化合物を含むガス流を生じさせ、(b)前記ガス流を燃焼バ−ナの炎内に送り込んで溶融したSiO2の無定形粒子を形成し、(c)前記無定形粒子をマンドレル上に沈積させ、(d)前記無定形粒子の沈積物をコンソリデ−トさせて非多孔質の透明なガラス物体となし、(e)前記物体から光導波路ファイバを線引きする工程を含み、(1)Si-O結合の解離エネルギ−より大きくないSi-R結合解離エネルギ−を有し、(2)350℃より高くない沸点を有し、(3)熱分解および/または加水分解によって、環境的に安全と認められるまたは放出が許容基準以下である分解生成物をSiO2のほかに生成するという特性を有するハロゲン化物を含まない蒸気状態の有機ケイ素-R化合物を用いることを特徴とする高純度溶融シリカで光導波路ファイバを作成する方法。
【請求項22】前記有機ケイ素-R化合物が有機ケイ素 - 酸素化合物、有機ケイ素 - 窒素化合物、シロキサシラザン、およびそれらの混合物よりなるグル−プから選択される請求項21の方法。
【請求項23】前記有機ケイ素 - 酸素化合物が線状シロキサンである請求項22の方法。
【請求項24】前記線状シロキサンがオクタメチルトリシロキサンである請求項23の方法。
【請求項25】前記有機ケイ素 - 窒素化合物がアミノシラン、線状シラザン、およびシクロシラザンよりなるグル−プから選択される請求項22の方法。
【請求項26】前記アミノシランはトリス(トリメチルシリル)ケテニミンであり、前記線状シラザンはノナメチルトリシラザンであり、かつ前記シクロシラザンはオクタメチルシクロテトラシラザンである請求項25の方法。
【請求項27】前記シロキサシラザンはヘキサメチルシクロトリシロキサザンである請求項22の方法。
【請求項28】前記ガス流は不活性ガスよりなる請求項21の方法。
【請求項29】前記不活性ガスは窒素である請求項28の方法。
【請求項30】P2O5および/または周期率表の第IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVA、IVB、VA族および希土類から選択された少なくとも1つの金属酸化物をド−プされた高純度シリカで光導波路ファイバを外付け法によって作成する方法であって、(a)酸化を伴う熱分解または火炎加水分解によってSiO2に変換され得る蒸発可能でハロゲン化物を含まずケイ素を含有した蒸気状態の化合物と、酸化を伴う熱分解または火炎加水分解によってP2O5におよび/または周期率表の第IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVA、IVB、VA族および希土類から選択された少なくとも1つの金属酸化物変換され得る蒸気状態の化合物を含んだガス流を発生させ、(b)前記ガス流を燃焼バ−ナの炎中に流してP2O5および/または周期率表の第IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVA、IVB、VA族および希土類から選択された少なくとも1つの金属酸化物をド−プされた溶融したSiO2の無定形粒子を生成し、(c)前記無定形粒子をマンドレル上に沈積させ、(d)前記無定形粒子の沈積物をコンソリデ−トさせて非多孔質の透明なガラス物体となし、(e)前記物体から光導波路ファイバを線引する工程を含み、(1)Si-O結合の解離エネルギ−より大きくないSi-R結合解離エネルギ−を有し、(2)350℃より高くない沸点を有し、(3)熱分解および/または加水分解によって、環境的に安全と認められるまたは放出が許容基準以下である分解生成物をSiO2のほかに生成するという特性を有するハロゲン化物を含まない蒸気状態の有機ケイ素-R化合物を用いることを特徴とする高純度溶融シリカの非多孔質物体を作成する方法。
【請求項31】前記有機ケイ素-R化合物が有機ケイ素 - 酸素化合物、有機ケイ素 - 窒素化合物、シロキサシラザン、およびそれらの混合物よりなるグル−プから選択される請求項30の方法。
【請求項32】前記有機ケイ素 - 酸素化合物が線状シロキサンである請求項31の方法。
【請求項33】前記線状シロキサンがオクタメチルトリシロキサンである請求項32の方法。
【請求項34】前記有機ケイ素 - 窒素化合物がアミノシラン、線状シラザン、およびシクロシラザンよりなるグル−プから選択される請求項31の方法。
【請求項35】前記アミノシランはトリス(トリメチルシリル)ケテニミンであり、前記線状シラザンはノナメチルトリシラザンであり、かつ前記シクロシラザンはオクタメチルシクロテトラシラザンである請求項34の方法。
【請求項36】前記シロキサシラザンはヘキサメチルシクロトリシロキサザンである請求項31の方法。
【請求項37】前記ガス流は不活性ガスよりなる請求項30の方法。
【請求項38】前記不活性ガスは窒素である請求項30の方法。
【請求項39】P2O5におよび/または周期率表の第IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVA、IVB、VA族および希土類から選択された少なくとも1つの金属酸化物変換され得る前記蒸発可能な化合物がハロゲン化物を含んだ化合物である請求項30の方法。
【請求項40】P2O5におよび/または周期率表の第IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVA、IVB、VA族および希土類から選択された少なくとも1つの金属酸化物変換され得る前記蒸発可能な化合物がハロゲン化物を含まない化合物である請求項30の方法。
【請求項41】外付け法により高純度溶融シリカを作成する方法において、(a)酸化を伴う熱分解または火炎加水分解によってSiO2に変換され得るケイ素を含有した蒸気状態の化合物を含むガス流を生じさせ、(b)前記ガス流を燃焼バ−ナの炎内に送り込んで溶融したSiO2の無定形粒子を形成し、(c)前記無定形粒子をマンドレル上に沈積させ、(d)前記無定形粒子の沈積物をコンソリデ−トさせて非多孔質の透明なガラス物体となす工程を含み、(1)Si-O結合の解離エネルギ−より大きくないSi-R結合解離エネルギ−を有し、(2)350℃より高くない沸点を有し、(3)熱分解および/または加水分解によって、環境的に安全と認められるまたは放出が許容基準以下である分解生成物をSiO2のほかに生成するという特性を有するハロゲン化物を含まない蒸気状態の有機ケイ素-R化合物を用いることを特徴とする高純度溶融シリカで光導波路ファイバを作成する方法。
【請求項42】前記有機ケイ素-R化合物が有機ケイ素 - 酸素化合物、有機ケイ素 - 窒素化合物、シロキサシラザン、およびそれらの混合物よりなるグル−プから選択される請求項41の方法。
【請求項43】前記有機ケイ素 - 酸素化合物が線状シロキサンである請求項42の方法。
【請求項44】前記線状シロキサンがオクタメチルトリシロキサンである請求項43の方法。
【請求項45】前記有機ケイ素 - 窒素化合物がアミノシラン、およびシクロシラザンよりなるグル−プから選択される請求項22の方法。
【請求項46】前記アミノシランはトリス(トリメチルシリル)ケテニミンであり、前記線状シランはノナメチルトリシラザンであり、かつ前記シクロシラザンはオクタメチルシクロテトラシラザンである請求項45の方法。
【請求項47】前記シロキサシラザンはヘキサメチルシクロトリシロキサザンである請求項42の方法。
【請求項48】前記ガス流は不活性ガスよりなる請求項47の方法。
【請求項49】前記不活性ガスは窒素である請求項48の方法。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【公開番号】特開平5−229833
【公開日】平成5年(1993)9月7日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−245980
【出願日】平成4年(1992)8月24日
【出願人】(390037903)コーニング インコーポレイテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】CORNING INCORPORATED