説明

高級ヒドリドシランの製造方法

一般式H−(SiH−H(式中、n≧2である)の高級ヒドリドシランの製造方法において、−1種又は複数種の低級ヒドリドシラン−水素、及び−周期律表の第VIII属遷移金属の元素及びランタニドを含む1種又は複数種の遷移金属化合物を、5バールを上回る絶対圧で反応させ、その後減圧し且つ得られた反応混合物から高級ヒドリドシランを分離する、高級ヒドリドシランの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低級ヒドリドシランの脱水重合反応による高級ヒドリドシランの製造方法に関する。本発明は更に、高級ヒドリドシランの、ケイ素の製造のための出発材料としての使用に関する。
【0002】
高級ヒドリドシランを形成するための低級ヒドリドシランの脱水重合は、ケイ素への有望な経路である。本発明の目的のために、ヒドリドシランはケイ素及び水素原子のみを含有し且つSi−H結合を含有する直鎖状、分枝鎖状又は環状の構造を有する化合物である。例として、モノシラン、ジシラン、トリシラン、シクロペンタシランが挙げられる。
【0003】
米国特許第4965386号は、スカンジウム、イットリウム又は希土酸化物のヒドリド性シクロペンタジエニル錯体が触媒として使用される方法を開示している。実際に、これはアルキルシラン及びアリールシラン、即ち、少なくとも1つの炭素−ケイ素結合を有する化合物の製造方法に好適であることが見出されている。その一方で、高級ヒドリドシランの場合、該方法は経済的に許容可能な収量を提供していない。
【0004】
同じことが、アルキルシラン及びアリールシランが、ランタニドのシクロペンタジエニル錯体の存在下で、対応するポリアルキルシラン又はポリアリールシランに転換される米国特許第5252766号中に開示された方法について見出されている。対照的に、低級ヒドリドシランの使用は多量の所望の高級ヒドリドシランをもたらさない。むしろ、望ましくない、自然発火性の恐れのあるポリマー固体が形成される。
【0005】
特開平02−184513号は、生成物が、遷移金属−触媒反応によるモノシランから得られる、ジシラン、トリシラン又は2種の混合物である方法を開示している。該方法は高級シランの形成につながらない。
【0006】
米国特許第6027705号は、モノシラン又は低級ヒドリドシランからの高級ヒドリドシランの熱による製造方法を開示している。該方法には、室温を上回る温度で高級ヒドリドシランが得られることが記載されている。実際に、300℃を上回る温度は、相当の転換を達成するために必要である。この方法の欠点は、2次及び分解反応を促進する高い熱応力である。
【0007】
従って、低級ヒドリドシランの脱水重合に基づく、高級ヒドリドシランを製造するための種々の方法が、公知である。該反応は熱により又は遷移金属触媒の存在下のいずれかで行われる。しかしながら、公知の方法は生成物の経済的な製造に好適ではない。後処理を困難にし且つ生成物を汚染する自然発火性の副生物がしばしば形成される。
【0008】
従って、本発明の課題は、高級ヒドリドシランの経済的な製造を可能にし且つ先行技術の欠点を大きく回避する方法を提供することであった。
【0009】
本発明は、一般式H−(SiH−H(式中、n≧2である)の高級ヒドリドシランの製造方法において、
− 1種又は複数種の低級ヒドリドシラン
− 水素、及び
− 周期律表の第VIII属遷移金属の元素及びランタニドを含む1種又は複数種の遷移金属化合物を、
5バールを上回る絶対圧で反応させ、その後減圧し且つ得られた反応混合物から高級ヒドリドシランを分離する、高級ヒドリドシランの製造方法を提供する。
【0010】
本発明の目的のために、低級ヒドリドシランは、モノシラン(SiH)又はモノシランを含有する混合物を高級ヒドリドシランの割合で一緒に含む。高級ヒドリドシランの割合は、混合物を基準として、60モル%まで、一般に5〜20モル%であってよい。入手の容易さから、モノシランを使用することが好ましい。
【0011】
高級ヒドリドシランは、本発明の目的のために、一般式H−(SiH−H(式中、n≧2である)のヒドリドシランの混合物を含む。混合物は通常、高級ヒドリドシラン(式中、2≦n≦20であるが、反応条件に依存する)を含有し、高級ヒドリドシラン(式中、n>20である)も得ることができる。混合物(2≦n≦20)が好ましく、特に、混合物(2≦n≦10)が好ましい。かかる混合物は一般に、主成分としてSi、Si、n−Si10、n−Si12、n−Si14を含有し、二次成分としてn−Si16、n−Si18、n−Si20及びn−Si1022を一緒に含有することもある。
【0012】
更なる二次成分は分枝鎖状のヒドリドシラン、例えば、i−Si14又は環状ヒドリドシラン、例えば、シクロペンタヒドリドシラン(シクロ−Si10)であってよい。第2の構成要素の総割合は、それぞれの場合、ヒドリドシラン及び二次成分の合計を基準として、最大10%までであってよく、一般に最大5質量%まで、有利には最大2質量%までであってよい。これらの値は、校正物質を全ての第2の構成要素に対して使用できないので、推定値に基づく。
【0013】
本発明の方法における更なる本質的な出発材料は水素である。水素は、別々に又は低級ヒドリドシランと一緒にのいずれかで反応容器中に導入することができる。水素の存在は高収率の高級ヒドリドシランをもたらし且つ固体の形成を低減させるか又は完全に防ぐ。固体の形成は、とりわけ、反応混合物の仕上げの間にしばしば自然発火し、従って、かなりの安全上のリスクがあるため望ましくない。この固体の正確な構造は未だ知られていない。
【0014】
水素の割合は初めに限定されない。これは出発材料、低級ヒドリドシラン及び触媒、ならびに反応条件、圧力及び温度に依存する。水素の分圧は使用されるヒドリドシランの圧力の5〜200%である。一般に、水素の割合は、水素の分圧が全圧の少なくとも5%に相当するように選択される。これは5%〜80%の範囲が好ましく、特に15%〜50%の範囲が好ましい。
【0015】
更に、反応混合物を希釈するために窒素、アルゴン又はヘリウムなどの不活性ガスを使用することも可能である。
【0016】
本発明の方法の更なる本質的な構成要素は、周期律表の第VIII属遷移金属の元素、即ちFe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、及びランタニド、即ち、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luを含む1種又は複数種の遷移金属化合物である。
【0017】
遷移金属化合物は一般に前駆体の形で使用される。配位子は、触媒がin situで形成されるので、別々に添加される。しかしながら、市販の触媒を使用することも可能である。
【0018】
使用される好適な前駆体は、例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、アセテート、アセチルアセトナート、スルフェート、スルホネート、硝酸塩、リン酸塩、トリフルオロメタンスルホネート、アルコキシド、ヘキサフルオロホスフェート、カルボニル、カルボキシレートなどの金属塩、又はM=Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、及びランタニド、即ち、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luである金属前駆体である。
【0019】
M(COD)(式中、COD=1,5−シクロオクタジエン)、
M(C12)(C)(式中、C12=1,5−シクロオクタジエン)及び
=アセチルアセトナト
M(CO)(C)(式中、C=アセチルアセトナト)
金属カルボニル、MCl(CO)、[MCl(CO)、M(アリル)Cl、MCl(C)(式中、C=ノルボルナジエン)
M(C12(BF(式中、C12=1,5−シクロオクタジエン)
M(C(BF(式中、C=ノルボルナジエン)
[M(1,5−C12)Cl](式中、1,5−C12=1,5−シクロオクタジエン)
M(Cp)(式中、Cp=非置換又はアルキル置換のシクロペンタジエニル)
M(C(C12)(式中、C=メチルアリル及びC12=1,5−シクロオクタジエン)、[M(OCCH)X](式中、(OCCH)=アセテート、Mはそれぞれの場合に遷移金属であり、Xは遷移金属の原子価によって変わる)。
【0020】
遷移金属化合物の配位子は、有利にはハロゲン、水素、アルキル、アリール、アルキルシラン、アリールシラン、オレフィン、アルキルカルボキシル、アリールカルボキシル、アセチルアセトナトアルコキシル、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、置換の又は非置換のシクロペンタジエニル、シアノアルカン、芳香族シアノ化合物、CN、CO、NO、アルキルアミン、アリールアミン、ピリジン、アルキルホスフィン、アリールホスフィン、アルキルアリールホスフィン、アルキルホスフィット、アリールホスフィット、アルキルスチバン、アリールスチバン、アルキルアリールスチバン、アルキルアルサン、アリールアルサン又はアルキルアリールアルサンであってよい。
【0021】
特に有利な配位子は、架橋の複素環式の又は架橋のアリール基を有する、ビピリジル、非置換の又は置換のシクロペンタジエニル、シクロオクタジエン、CN、CO、アルキルホスフィン、アリールホスフィン、アルキル又はアリールホスフィット、アルキルアリールホスフィン、二座ホスフィン配位子(架橋のヘテロ環又は架橋のアリール基を有する)、ヘテロ原子含有配位子、特に有利には、リン含有配位子(該配位子は2種のアリール又はヘタリール系に関してアトロプ異性を生成する能力を有する)、
アルキルジホスフィンR−P(CHP−R(式中、R、R、R及びRは、それぞれ互いに独立してアルキル又はアリールであり、x=1−10且つy=0、1又は2である)、R−P−CR(CR−CR10−P−R(ここでR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10は、それぞれ互いに独立してH、アルキル又はアリールであり且つx=1−10である);R−C≡C−R(式中、R及びRは、それぞれ互いに独立して、アルキルホスフィン又はアリールホスフィンである)である。
【0022】
市販の触媒として、例えば、
ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル(ニッケロセン)、
ビス(シクロペンタジエニル)チタンジクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(ジルコノセンジクロリド)、
1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、
ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)クロリド、
カルボニル(ジヒドリド)トリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、
カルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、
クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、
(ウィルキンソン触媒)、
ジメチルビス(t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム、
ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジカルボニルを使用することが可能である。
【0023】
例えば、以下の化合物:Ni[PhP(CHPPh]Me、Ni[PhP(CH)3PPh]Cl、Ni(PPhMe、Ni(PPhC1、Ni(PMePh)Me、Ni(COD)、NiEt、Ni(CNMe)(CO)、Ni(Cp)Cl、Ni(Cp)I、Ni(Cp)NO、Ni(CFC≡CCF)(CO)、Ni(Cp)(CN)、Ni(Cp)(CO)I、Ni(πCH=CHCH2)2、Ni(Cp)(CO)CF、Ni(NCCH=CHCN)、Ni(Cp)(CO)C、Ni(シクロオクタテトラエン)、Ni(Cp)(πCH=CHCH)、Ni(EtNC)(CN)、Ni(MeNC)、Ni(Cp)(PPh)Cl、Ni(CH=CH)(PEt、Ni(Cp)(PPh)Et、Ni[PhP(CHPPh]BrMe、Ni[PhP(CHPPh]BrMe、Ni(CH2=cH2)(PPh、Ni(AN)(PPh)、(πCH=CHCH)NiCl)、(πCH=CHCHNiBr)、[Ni(Cp)(CO)]、[Ni(Cp)]HC≡CH、[Ni(Cp)HC≡CCH、[Ni(Cp)]CHC≡CCH、Ni(dip)Cl、Ni(dip)Br、Ni(dip)ClMe、Ni(dip)Me、Ni(dip)Et、NiCp、Ni(CO)、Ni(AN)、Ni(acac)、Ni[PhP(CHPPhPhClMe、Ni[PhP(CHPPh]Br、Ni[PhP(CHPPh]Et、Ni[PhP(CHPPh]H、Ni(PPhClMe、Ni(PPhHMe、Co(PPhMe、Co(PPhC1、Co(CO)、Co[PhP(CHPPh]Me、Co(PPhBr、Co(PPhBrMe、Co(PPhClMe、Co(PPhEt、Co[PhP(CHPPh]Me、Co[PhP(CHPPh]ClMe、Co[PhP(CHPPh]Cl、Co[PhP(CHPPh]ClMe、Co(CO)Me、Co(Cp)Cl、Co(Cp)Me、Co(πCH=CHCH)(CO)、Co(Cp)(CO)、Co(Cp)、[Co(Cp]Br、[Co(Cp)]Cl、Co(PPh)(CO)Me、Co(PPh、Co(PPhBr、Pd(PPhMe、Pd(PPhC1、Pd(PPhClMe、Pd(PPh、Pd(PPhEt、Pd(PPhBr、Pd(PPhBrMe、Pd(PPh、Pd(Cp)Br、Pd(Cp)Cl、Pd(AN)Cl、Pd(πCH=CHCH、Pd(πCH=CHCHC1、Pd(Cp)(πCH=CHCH)、Pd(COD)Cl、Pd(COD)Me、Pd(COD)ClMe、Pd(dip)Me、Pd(PEtCNMe、Pd(PetMe、Pd(pMeOCBr、Pd[PhP(CHPPh]Me、Pd[PhP(CHPPh]Me、[Pd(πCH=CHCH)Cl]、[Pd(πCH=CHCH)Br]、Ru(PPhMe、Ru(PPhC1、Ru(PPhClMe、Ru(PPhBr、RU(PPhEt、RU(PPh、ClMe、Ru(PPh、Ru(Cp)(CO)H、Ru(COD)Cl、Ru(Cp)(CO)Me、RU(COD)Br、RU(MeNC)Cl、Ru(Cp)(CO)Et、Ru(Cp)、Ru[PhP(CHPPhClMe、Ru[PhP(CHPPhClMe、Ru[PhP(CHPPhClPh、Ru(EtNC)Cl、Ru(EtNC)Br、Ru(EtNC)Me、Ru(EtNC)Et、Ru[PhP(CHPPhBrMe、Ru[PhP(CHPPhHMe、[Ru(Cp)(CO)、Ir(PPh(CO)Me、Ir(PPh(CO)H、Ir(Cp)(CO)、Ir(Cp)Br、Ir(PPhMe、Ir(PPhCl、Ir(PPhClMe、Ir(PPh、Ir(PhP(CHPPh]Me、Ir[PhP(CHPPh](CO)Me、Ir(PPh(CO)MeClI、Ir(πCH=CHCH)(PPhCl、Ir[p−CHNC)Cl、Ir(acac)(COD)を使用することが可能である。
【0024】
これらの式中、COD=シクロオクタジエン;Cp=シクロペンタジエニル;dip=ビピリジル、Ph=フェニル、AN=アクリロニトリル、acac=アセチルアセトネート;Py=ピリジン;Me=メチル、Et=エチル;Bu=ブチルである。
【0025】
これらの遷移金属化合物は触媒として働く。それらは不均一系触媒として使用されるか、適切であれば担持に適用されるか、又は均一系触媒として反応混合物中に溶解することができる。
【0026】
該触媒の濃度は0.0001〜1モル/lであってよい。0.001〜0.1モル/lの範囲が有利である。
【0027】
最良の結果は均一系触媒の使用によって得られる。この場合、遷移金属化合物自体を反応混合物に添加することができるか又は遷移金属化合物、例えば、アセテート、及び配位子を別々に反応混合物に添加することにより遷移金属化合物が反応混合物中でのみ形成される。
【0028】
第2の実施態様において、モル過剰の配位子が一般に使用される。ここで、系
ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、
1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン;
ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、
トランス−1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エチレン;
ロジウム(II)アセタートダイマー、
2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル;
が特に有用である。
【0029】
本発明の方法は少なくとも5バールの絶対圧で実施される。20〜200バールの絶対圧の範囲が好ましい。20バールの絶対圧を下回る場合、転換はしばしば十分ではなく、一方で200バールの絶対圧を上回る間、該材料における要求量を満たすために必要とされる支出は妥当ではない。
【0030】
本発明の方法が実施される温度は重要ではない。一般に、本方法は−50℃〜200℃の温度で実施することができる。これは0℃〜120℃の範囲が好ましく、特に20℃〜80℃の範囲が好ましい。
【0031】
反応時間は数時間〜多くの日数の範囲であってよい。高級シランの割合は反応時間に応じて増える。
【0032】
本発明の方法は、溶媒の存在下で実施することもできる。好適な溶媒は、原則的に、出発材料とも生成物とも反応しない溶媒全てであり、均一系触媒が使用される場合、これを溶解する。実施例は脂肪族及び芳香族の炭化水素、例えば、ベンゼン又はトルエン、エーテル、例えば、ジアルキルエーテル、フラン又はジオキサンであり、またジメチルホルムアミド、エチルアセテート又はブチルアセテートである。
【0033】
高級ヒドリドシランは、当業者に公知の方法によって反応混合物から分離することができる。従って、例えば、溶媒又は未反応の出発材料、例えば、モノシランを蒸留によって分離することができる。吸着プロセスを使用することも可能である。
【0034】
本発明は更に、ケイ素を製造するための本発明による方法によって得られる高級ヒドリドシランの使用を提供する。
【0035】
本発明は更に、光電子及び電子構成要素における電荷輸送構成成分を製造するための本発明の方法によって得られる高級ヒドリドシランの使用を提供する。
【0036】
実施例
触媒溶液:遷移金属化合物及び1.1倍モル過剰の配位子を保護ガス(アルゴン)の下で計量し且つ室温で30mlの乾燥トルエン中に溶かす。
【0037】
触媒溶液を、ガラスライナー、熱電対、圧力センサー、液体サンプル点、ガス入口及びガス出口を備えたステンレス鋼製のオートクレーブ中に置き且つ不活性にした。適量のモノシランをガス入り口を介してオートクレーブ中に導入する。反応器を所望の温度に加熱した後、撹拌を開始する(700rpm)。1時間、20時間及び67時間の反応時間後、液体サンプルを取出してガスクロマトグラフィーにより分析する。
【0038】
第1表は、出発材料、出発材料の量及び反応温度を示す。
【0039】
第2表は、得られた高級ヒドリドシランの収量、GC面積%を示す。
【0040】
比較例15及び16を同様に実施するが水素を使用しない。ここでは、高級ヒドリドシランは全く形成されないが、自然発火性の固体のみが形成される。
【0041】
【表1−1】

【表1−2】

【0042】
【表2−1】

【表2−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式H−(SiH−H(式中、n≧2である)の高級ヒドリドシランの製造方法において、
− 1種又は複数種の低級ヒドリドシラン
− 水素、及び
− 周期律表の第VIII属遷移金属の元素及びランタニドを含む1種又は複数種の遷移金属化合物を、
5バールを上回る絶対圧で反応させ、その後減圧し且つ得られた反応混合物から高級ヒドリドシランを分離することを特徴とする、高級ヒドリドシランの製造方法。
【請求項2】
モノシランが使用されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
水素の分圧が全圧の5%〜80%に相当することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
遷移金属がCo、Ir、Ni、Pd、Rh又はRuであることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
遷移金属化合物が、ビピリジル、非置換の又は置換のシクロペンタジエニル、シクロオクタジエン、CN、CO、アルキルホスフィン、アリールホスフィン、アルキル又はアリールホスフィット、アルキルアリールホスフィン、二座ホスフィン配位子(架橋の複素環又は架橋のアリール基を有する)、ヘテロ原子含有配位子、特に有利には、リン含有配位子(該配位子は2種のアリール又はヘタリール系に関してアトロプ異性体を生成する能力を有する)、アルキルジホスフィンR−P(CHP−R(式中、R、R、R及びRは、それぞれ互いに独立してアルキル又はアリールであり、x=1−10且つy=0、1又は2である)、R−P−CR(CR−CR10−P−R(ここでR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10は、それぞれ互いに独立してH、アルキル又はアリールであり且つx=1−10である);R−C≡C−R(式中、R及びRは、それぞれ互いに互いに独立して、アルキルホスフィン又はアリールホスフィンである)、又はヘテロ原子含有配位子を配位子として有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
圧力が20〜200バールの絶対圧であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
温度が−50℃〜200℃であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
溶媒が液相の構成成分であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
ケイ素を製造するための請求項1から8までのいずれか1項記載の方法によって得られる高級ヒドリドシランの使用。
【請求項10】
光電子及び電子構成要素における電荷輸送構成成分を製造するための請求項1から8までのいずれか1項記載の方法によって得られる高級ヒドリドシランの使用。

【公表番号】特表2011−524329(P2011−524329A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513970(P2011−513970)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056277
【国際公開番号】WO2010/003729
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】