説明

高脂血症および高コレステロール血症に関連する障害または疾患を、副作用を最小限にしつつ処置するための方法

【課題】高脂血症および/または高コレステロール血症を処置するための方法および組成物を提供する。
【解決手段】その被験体に対して、その被験体における高脂血症および/または高コレステロール血症を阻害するために有効な量のMTPインヒビターを投与する工程を包含する。この投与は、漸増する一連の用量の上記MTPインヒビターを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、少なくとも3段階の漸増用量の上記MTPインヒビターを上記被験体に投与する工程、を包含する。いくつかの実施形態において、この方法は、1種以上の他の脂質改変化合物の投与をさらに包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の援用)
本願は、2004年3月5日に出願された米国特許出願番号60/550,915号(これは、その全体が本明細書において参考として援用される)の優先権の恩恵を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、高コレステロール血症および高脂血症のための治療に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
高コレステロール血症は、ASCVD(西洋世界における主要な死亡原因である)についての周知のリスクファクターである。多数の疫学的研究によって、総コレステロール(TC)および低密度リポタンパク質(LDL)コレステロール(LDL−C)の薬理学的低減は、臨床的心血管事象の有意な低減と関連することが、明らかに示されている。高コレステロール血症は、しばしば、大多数の症例において多遺伝子障害によって引き起こされる。生活様式の変化および従来の薬物処置は、通常は、コレステロールレベルを低減することにおいて奏功する。しかし、家族性高コレステロール血症(FH)におけるようなわずかな場合、その原因は、単一遺伝子欠損である。ホモ接合性患者において利用可能な処置は、かなり困難であり得かつ最適なものには程遠いものであり得る。なぜなら、LDL−Cレベルは、併用療法の積極的な使用にも関わらず、極度に上昇したままであるからである。従って、この高リスク患者群について、有効な医学的治療が、緊急に必要とされている。
【0004】
トリグリセリドは、正常な量が存在する場合には、良好な健康のために必須である一般的な型の脂肪(脂質)である。トリグリセリドは、身体の脂肪組織のうちの約95%を占める。異常に高いトリグリセリドレベルは、肝硬変、活動が鈍い甲状腺(甲状腺機能低下症)、ほとんど制御されていない糖尿病、または膵炎(膵臓の炎症)などの状態の指標であり得る。研究者は、トリグリセリドを、心不全についての独立したリスクファクターとして同定している。
【0005】
正常レベルよりも高いトリグリセリドレベルは、しばしば、心臓疾患についての公知のリスクファクター(例えば、低HDL(「善玉」)コレステロールレベル、高LDL(「悪玉」)コレステロールレベル、および肥満)に関連する。トリグリセリドはまた、動脈壁の肥厚(アテローム性動脈硬化症を予報するものであると考えられる身体変化である)の原因であり得る。
【0006】
従って、高トリグリセリドレベルは、患者の心臓の健康が危険な状態にあり得ることの少なくとも警告信号である。これに応じて、医師は、体重を減少すること、十分な運動をすること、喫煙をやめること、糖尿病を制御すること、および患者自身の心血管の健康を保護するために患者が使用し得る他のストラテジーの重要性を重視する可能性が高いかもしれない。
【0007】
多数の遺伝的疾患および後天性疾患が、高脂血症をもたらし得る。これらの疾患は、原発性高脂血症状態および続発性高脂血症状態へと分類され得る。続発性高脂血症の最も一般的な原因は、糖尿病、アルコール乱用、薬物、甲状腺機能低下症、慢性腎不全、ネフロ
ーゼ症候群、胆汁鬱滞、および過食症である。原発性高脂血症はまた、尋常性(common)高コレステロール血症、家族性複合型高脂血症、家族性高コレステロール血症、レムナント(remnant)高脂血症、カイロミクロン血症候群、および家族性高トリグリセリド血症へと分類されている。
【0008】
血清コレステロールおよび血清トリグリセリドを低減させるために、多数の処置が現在利用可能である。しかし、各々が、それ自体の欠点を有し、効力、副作用および適格な患者集団に関して制限を有する。
【0009】
胆汁酸結合樹脂は、腸から肝臓への胆汁酸の再利用を妨害する種類の薬物であり、例えば、コレスチラミン(Questran Light(登録商標),Bristol−Myers Squibb)および塩酸コレスチポール(Colestid(登録商標),The Upjohn Company)がある。経口摂取された場合、これらの正に荷電した樹脂は、腸において負に荷電した胆汁酸と結合する。この樹脂は、腸から吸収され得ないので、これらの樹脂は、胆汁酸を運んで排出される。しかし、このような樹脂の使用は、せいぜい、血清コレステロールレベルを約20%低減するに過ぎない。この使用は、胃腸の副作用(便秘および特定のビタミンの欠乏が挙げられる)に関連する。さらに、この樹脂は、他の薬物に結合するので、他の経口医薬は、この樹脂を摂取する少なくとも1時間前かまたはこの樹脂を摂取した4時間〜6時間後に摂取されなければならず、従って、心臓患者の薬物レジメンが複雑になる。
【0010】
スタチンは、HMG CoAレダクターゼ(コレステロール生合成経路に関与する重要な酵素である)を阻害することによってコレステロール合成をブロックするコレステロール低減剤である。スタチン(例えば、ロバスタチン(Mevacor(登録商標),Merck & Co.,Inc.)、シンバスタチン(Zocor(登録商標),Merck & Co.,Inc.)、アトルバスタチン(Lipitor(登録商標),Pfizer)、ロスバ(Crestor(登録商標),Astra Zeneca)、およびプラバスタチン(Pravachol(登録商標),Bristol−Myers Squibb Co.)、およびこれらの組み合わせ)は、時には、胆汁酸結合樹脂と組み合わせて使用される。スタチンは、血清コレステロールレベルおよびLDL−血清レベルを有意に低減させ、アテローム性冠状動脈硬化症の進行を遅らせる。しかし、血清HDLコレステロールレベルは、ほんの控えめに増加されるに過ぎない。このLDL低減効果の機構は、VLDL濃度の低減と、LDLレセプターの細胞発現の誘導との両方を含み得、これは、LDLの生成の低減および/またはLDLの異化の増大をもたらす。副作用(肝機能不全および腎機能不全が挙げられる)は、これらの薬物の使用に関連する(Physicians Desk Reference,Medical Economics Co.,Inc.,Montvale,N.J.,2004;本明細書中は以後「PDR」)。FDAは、家族性高コレステロール血症の稀ではあるが緊急の症例を処置するために、アトルバスタチンを認可した。
【0011】
エゼチミブは、身体により吸収されるコレステロールの量を低減するコレステロール吸収インヒビターである。エゼチミブは、総コレステロール量、LDLコレステロール量(約18%低減させる)、およびアポリポタンパク質Bの量を低減させるために使用される。エゼチミブは、しばしば、低コレステロール食とともに、そしてある場合には、他のコレステロール低減薬剤とともに、使用される。
【0012】
ナイアシンまたはニコチン酸は、食餌サプリメントおよび抗高脂血症剤として使用される、水溶性ビタミンB複合体である。ナイアシンは、VLDLの生成を低減させ、LDLを低減する際に有効である。ある場合には、ナイアシンは、胆汁酸結合樹脂と組み合わせて使用される。NIASPAN(登録商標)は、高コレステロールを有する患者における
再発性心臓発作を予防するために認可されている。ナイアシンは、十分な用量で使用された場合にはHDLを増加させ得る。しかし、ナイアシンの有用性は、そのような高用量で使用された場合の深刻な副作用によって制限される。
【0013】
フィブラート誘導体(「フィブラート(fibrate)」)は、種々の形態の高脂血症(すなわち、増加した血清トリグリセリド)(これはまた、高コレステロール血症とも関連し得る)を処置するために使用される種類の脂質低減剤である。フィブラートは、VLDL部分を低減させてHDLを穏やかに増加させるようである。しかし、血清コレステロールに対するこれらの薬物の効果は、変動する。フィブラートは、主に、高トリグリセリドレベルを低減させるために使用される。フィブラートは、代表的には、総コレステロールレベルおよびLDLコレステロールレベルを低減させる場合にスタチンと同程度には有効ではないようであるが、フィブラートは、時には、非常に高いコレステロールレベルを低減させるために、スタチンまたは他の薬剤と組み合わせて使用される。例えば、フィブラートはまた、時には、HDLコレステロールレベルを増加させるためにスタチンに添加される。米国においては、フィブラートは、抗脂血症剤として使用するために認可されているが、抗高コレステロール血症剤としては認可は得ていない。例えば、クロフィブラート(Atromid−S(登録商標),Wyeth−Ayerst Laboratories)は、VLDL部分を低減することによって血清トリグリセリドを低減させるように作用する抗脂血症剤である。血清コレステロールは、特定の患者部分集団において低減され得るが、この薬物に対する生化学的応答は、変動し、どの患者が好ましい結果を得るかは常に予測可能というわけではない。Atromid−S(登録商標)は、冠状動脈心疾患の予防のために有効であるとは示されていない。化学的および薬理学的に関連する薬物であるゲムフィブロジル(Lopid(登録商標),Parke−Davis)は、血清トリグリセリドおよびVLDLコレステロールを穏やかに低減させ、HDLコレステロール(HDL部分およびHDL部分ならびにApoA−IおよびApoA−II(すなわち、AI/AII−HDL部分))を穏やかに増加させる、脂質調節剤である。しかし、その脂質応答は、特に、種々の患者集団の間では不均一である。さらに、冠状動脈心疾患の予防が、既存の冠状動脈心疾患の病歴も症状もない40歳〜55歳の男性患者において観察されたが、これらの知見をどの程度まで他の患者集団(例えば、女性、より高齢の男性およびより若年の男性)に対して外挿し得るかは不明である。実際、確立された冠状動脈心疾患を有する患者において、何の効力も観察されなかった。フェノフィブラート(Tricor,Secalip)もまた、コレステロールレベルおよびトリグリセリドレベルを低減させるために使用される。深刻な副作用が、いくつかのフィブラートの使用に関連しており、その副作用としては、毒性(例えば、悪性疾患(特に、胃腸癌)、胆嚢疾患、および非冠状動脈性死亡発生数の増加)が挙げられる。フィブラートは、しばしば、唯一の脂質異常として高LDLまたは低LDLを有する患者の処置のために必要とされていない(Physician’s Desk Reference,2004,Medical Economics Co.,Inc.,Montvale,N.J.)。
【0014】
経口エストロゲン置換療法が、閉経後の女性における中程度の高コレステロール血症のために考えられ得る。しかし、HDLの増加は、トリグリセリドの増加を伴い得る。当然、エストロゲン処置は、特定の患者集団(閉経後の女性)に制限され、深刻な副作用(悪性新形成の誘導、胆嚢疾患、血栓塞栓症性疾患、肝細胞腺腫、血圧上昇、耐糖能低下、および高カルシウム血症が挙げられる)に関連する。
【0015】
ホモ接合性家族性高コレステロール血症(hoFH)は、低密度リポタンパク質(LDL)レセプターにおける変異についてのホモ接合性または合成異型へテロ接合性によって引き起こされる、生命の危険がある深刻な遺伝性疾患である。総血漿コレステロールレベルは、概して、500mg/dlよりも高く、著しく早発性のアテローム性動脈硬化症性脈管疾患が、主要な結果である。未処置のほとんどの患者は、20歳前にアテローム性動
脈硬化症を発症し、概して、30歳を過ぎてまでは生き延びない。治療の主要な目標は、アテローム性動脈硬化症性心血管疾患(ASCVD)の発症を遅らせるために高コレステロール血症を制御することからなる。しかし、hoFHと診断された患者は、従来の薬物療法に対してほぼ非応答性であり、限定された処置選択肢しか有さない。約5.5%に過ぎない平均LDL−C低減が、最近、最大用量のスタチン(アトルバスタチンまたはシンバスタチンを80mg/日)で処置された遺伝子型確認済みのhoFHを有する患者において報告された。このレジメンに対するエゼチミブ(10mg/日)の添加は、合計27%のLDL−Cレベル低減を生じた。これは、依然として最適値から程遠い。いくつかの非薬理学的選択肢もまた、試験された。外科的介入(例えば、門脈大静脈シャントおよび回腸バイパス)は、部分的かつ一過性のLDL−C低減しかもたらさなかった。整形外科的肝臓移植は、hoFH患者においてLDL−Cレベルを実質的に低減させることが示されているが、明らかな不利点およびリスクが、このアプローチに関連する。hoFHは、遺伝子治療のための優れたモデルであり得るが、この処置様式は、LDLレセプター遺伝子の長期発現を提供する安全なベクターの利用可能性に関する制限が原因で、近い将来において予測可能ではない。従って、hoFHにおける現在の医療標準は、LDLアフェレーシスであり、これは、LDL−C血漿を濾過する物理的方法であり、単独療法としてLDL−Cを一過的に約50%低減させ得る。アフェレーシスは、apoB含有リポタンパク質を選択的に除去するためにアフィニティカラムを使用する。しかし、血漿におけるLDL−Cの急速な蓄積が原因で、アフェレーシスは、頻繁に(1週間毎〜2週間毎に)反復されなければならず、静脈内(IV)アクセスのために2箇所の別個の部位を必要とする。事例としては、この手順は、アテローム性動脈硬化症の発症を遅らせ得るが、この手順は、面倒であり、高価であり、容易には利用可能ではない。さらに、この手順は一般的に十分に許容される手順ではあるが、この手順は頻繁に反復する必要がありかつ静脈内(IV)アクセスがこれらの若年患者のうちの多くにとっては困難であり得るのが、事実である。従って、hoFHのための新規な医学的治療について、未だ満たされていない著しい医学的必要性が存在する。
【0016】
ヘテロ接合性FHを有する患者は、通常は、許容可能なレベルまでLDL−Cを低減するために併用薬物療法で首尾良く処置され得る。対照的に、hoFHは、従来の薬物療法に対して非応答性であり、従って、限定された処置選択肢しか存在しない。具体的には、スタチン(これは、コレステロール合成を阻害して肝LDLレセプターをアップレギュレートすることによって、LDL−Cを低減する)による処置は、LDLレセプターが存在しないかまたは欠損性である患者において、無視できる程度の効果しか有さない。
【0017】
2004年7月に、NCEPは、「Implications of Recent Clinical Trials for the National Cholesterol Education Program Adult Treatment Panel III Guidelines」と題する論文を公表した。これは、2001において公表された「Adult Treatment Panel III(ATP III」」のコレステロールガイドラインの特定の要素を更新した。高リスク患者(冠状動脈心疾患(CHD)を有する個体、または脳もしくは四肢に到る血管の疾患を有する個体、または糖尿病を有する個体、または10年以内に心臓発作を有する機会を20%よりも高く与える複数の(2種以上の)リスクファクターを有する個体)について、このATP III更新版は、高リスク患者にとっての全体的目標は、依然として100mg/dL未満のLDLであることを、非常に高リスクの患者(最近心臓発作を経験した患者、あるいは心血管疾患を糖尿病と組み合わせて有するかまたは深刻なリスクファクターもしくはほとんど制御されていないリスクファクター(例えば、喫煙の継続)と組み合わせて有するか、または代謝症候群(高トリグリセリドおよび低HDLコレステロールを含む、肥満に関連する一群のリスクファクター)を有する個体)について70mg/dL未満のLDLにその目標を設定する治療選択肢とともに勧める。このATP III更新版はまた
、高リスク患者における100mg/dL以上のLDLレベルについて、生活様式の治療に加えて薬物処置を考慮することを勧める。これは、100mg/dL未満のLDLについて選択自由なものとして薬物処置を特徴付ける。中程度に高いリスクの患者(複数の(2種以上の)CHDリスクファクターを、10年以内の心臓発作についてのリスク10%〜20%とともに有する個体)について、このATP III更新版は、中程度に高いリスクの患者についての全体的目標が130mg/dL未満のLDLであることを勧める。100mg/dL未満のLDLに処置目標を設定し、LDLが100mg/dL〜129mg/dLである場合に薬物処置を使用する、治療選択肢が存在する。高リスク患者および中程度に高いリスクの患者について、このATP III更新版は、高リスク患者および中程度に高いリスクの患者におけるLDL低減薬物処置の強度は、LDLレベルにおける少なくとも30%の低減を達成するために十分であることを助言する。
【0018】
重症(severe)高コレステロール血症に罹患している患者はまた、上記のLDLおよびHDLについての新たな目標に到達できないかもしれない。例えば、多数の患者は、最大限許容されている現行の方法論を使用しては、70未満のLDLレベルを達成することは不可能であるかもしれない。
【0019】
無β−リポ蛋白血症は、非常に低いコレステロールレベルおよび非常に低いTGレベル、血漿中にアポリポタンパク質(apo)B含有リポタンパク質が存在しないこと、脂肪吸収不良、重篤なビタミンE欠乏、ならびに進行性脊髄小脳変性および網膜変性によって特徴付けられる、稀な遺伝病である。MTPにおける変異は、無β−リポ蛋白血症の遺伝的原因であることが、決定されている。MTPは、脂質(特にTG)を腸および肝臓中にそれぞれ存在する、会合しているカイロミクロンおよびVLDL粒子へと輸送することを担う。リポタンパク質が形成される機構は完全には理解されていないが、apoB含有リポタンパク質の会合には、2つの工程が必要であると、現在、考えられている。第一の工程は、小胞体内で生じ、この工程は、分泌されるリポタンパク質において見出される脂質コアのうちの小さな部分しか含まない粒子の合成を含む。より大きな脂質コアが、第二の工程において、この新生粒子に付加される。MTPは、このプロセスの第一の工程の間に、apoBへの脂質の輸送のために必須であると考えられる。機能的MTPが存在しない場合、カイロミクロンおよびVLDLは、効果的に会合されることも、循環中に分泌されることもなく、apoBは、分解のために標的とされる可能性が高い。VLDLは、LDLに対する代謝前駆体として作用し、肝臓からVLDLを分泌できないことは、血液中においてLDLが存在しないことをもたらす。MTPがapoBリポタンパク質の会合を調節し得るという考えは、マウスモデルにおける知見によって支持される。ヘテロ接合性ノックアウトマウスにおいて、MTP mRNA、MTPタンパク質、およびMTP活性が正常の約半分であると報告されており、そのapoB血漿濃度は、約30%低減された。血漿におけるapoB−100濃度の劇的低減もまた、肝臓特異的MTPノックアウトマウスにおいて観察された。MTPは無β−リポ蛋白血症の遺伝的原因であり、apoB含有粒子の会合および分泌に関与するという知見は、MTPの薬理学的阻害が、ヒトにおけるアテローム発生リポタンパク質レベルを低減するために首尾良いストラテジーであり得るという考えを導く。
【0020】
apoB含有リポタンパク質の肝臓での分泌の薬理学的阻害から誘導され得るアテローム性動脈硬化症および心血管疾患の処置に対する著しい影響が原因で、いくつかのMTPインヒビターが、開発されている。これらの化合物を用いるインビトロ動物研究およびインビボ動物研究の両方が、MTPの阻害はapoB含有リポタンパク質分泌の阻害をもたらし、その結果として血漿コレステロールレベルの低減をもたらすという考えを、支持する。興味深いことに、上記で引用された動物研究は、渡辺の遺伝性高脂血症(Watanabe−heritable hyperlipidemic)(WHHL)ウサギおよびLDLR−/−マウス(hoFHについての2つのモデルである)において実行された

【0021】
Bristol−Myers Squibb(BMS)は、MTP媒介性中性脂質輸送活性の強力なインヒビターとして、一連の化合物(BMS−201038を含む)を開発した。これらの化合物は、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4(これらの各々は、その全体が参考として本明細書中で援用される)において記載されている。MTPインヒビターは、特許文献3の全体にわたって(特に、カラム3〜28において)記載されている。インビトロ研究において、BMS−201038は、MTPに直接結合することによって脂質輸送を阻害するようである。細胞培養研究において、BMS−201038によるapoB分泌阻害についてのIC50は、apoAI分泌についてのIC50よりもかなり低かった(0.8nM 対 6.5nM)。このことは、この化合物が、apoB分泌の非常に選択的なインヒビターであることを示す。Tritonを注射した後でラットの血漿におけるトリグリセリドリッチな粒子の蓄積を阻害する効力は、食事した状態および絶食した状態の両方で同様である。このことは、腸リポタンパク質分泌および肝臓リポタンパク質分泌の両方が、この化合物によって阻害されることを示唆する。6ヶ月間の毒性研究が、ラットおよびイヌにおいてBMSによって行われた。その研究は、IND#50,820において詳述されている。試験された用量は、ラットにおいて0mg/kg、0.02mg/kg、0.2mg/kg、2.0mg/kgおよび20mg/kgであり、イヌにおいて0mg/kg、0.1mg/kg、0.01mg/kg、1.0mg/kgおよび10mg/kgであった。肝臓および小腸における用量関連性脂質蓄積は、血清TGレベルおよび血清コレステロールレベルの低減と相関した。これらの変化は、BMS−201038の薬理学的効果の結果である。ラットにおいて(しかし、イヌにおいてではない)、0.2mg/kg以上の用量は、肝細胞における亜急性炎症および単細胞壊死、ならびに肺における組織球増殖症(リン脂質症)と関連した。脂質の肝臓蓄積は、1ヶ月間の洗浄期間の終わりにラットにおいて逆転した。動物における研究は、BMS−201038が、血漿コレステロールレベルを用量依存性様式で有効に低減したことを示した。BMS−201038は、機能性LDLレセプターを欠くウサギにおいてコレステロールレベルを低減する際に有効であることが見出された。コレステロールを低減するためのED50値は、1.9mg/kgであり、用量10mg/kgが、コレステロールレベルを基本的に正常にし、血漿ASTにも血漿ALTにも変化はなかった。この研究(ホモ接合性FHについての最も良く受容されている動物モデルにおいて行われた)は、BMS−201038によるMTP阻害が、hoFHを有する患者においてコレステロールレベルを実質的に低減する際に有効であり得ることを示した。
【0022】
高コレステロール血症の処置における大規模使用のための薬物としてのBMS−201038の臨床開発は、顕著で深刻な肝毒性が原因で、中止されている。例えば、胃腸への副作用、血清トランスアミナーゼの増加、および肝臓での脂肪蓄積が、主に25mg/日以上の用量で観察された。従って、公知の処置に関連する副作用を伴うことなく、高脂質血症および/または高コレステロール血症を処置するための方法を開発する必要性が存在し、その方法は、血清コレステロールおよびLDLを低減させ、HDL血清レベルを増加させ、冠状動脈心疾患を予防し、かつ/または高脂血症および/もしくは高コレステロール血症に関連する疾患を処置する際に効果的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許第5,789,197号明細書
【特許文献2】米国特許第5,883,109号明細書
【特許文献3】米国特許第6,066,653号明細書
【特許文献4】米国特許第6,492,365号明細書
【発明の概要】
【0024】
本発明は、高コレステロール血症および/または高脂血症に関連する障害を処置する方法に関する。
【0025】
いくつかの実施形態において、本発明は、高脂血症および/または高コレステロール血症に関連する障害に罹患している被験体を処置するための方法に関する。この方法は、
その被験体に対して、上記障害を改善するために有効な量のMTPインヒビターを投与する工程であって、その投与は、少なくとも3段階の漸増用量の上記MTPインヒビターを含む、工程;
を包含する。いくつかの実施形態において、上記MTPインヒビターは、構造
【0026】
【化1】

もしくはその薬学的に受容可能な塩、またはそれらのピペリジンN−オキシドを有する。
【0027】
本発明は、MTPを阻害する必要がある被験体においてMTPを阻害するための方法をさらに提供する。この方法は、
その被験体に対して、MTPを阻害するために有効な量のMTPインヒビターを投与する工程であって、その投与は、少なくとも3段階の漸増用量の上記MTPインヒビターを含む、工程;
を包含する。
【0028】
本発明は、被験体における高脂血症および/または高コレステロール血症に関連する障害を処置するためのキットを提供し、このキットは、少なくとも3セットの薬剤投与単位;および使用説明書;を備える。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(発明の詳細な説明)
本発明は、高脂血症および/または高コレステロール血症を有する個体を、MTPインヒビターを用いて、その個体がそのインヒビターに通常は関連する副作用を経験することも副作用をより弱い程度経験することもない様式で処置し得るという、驚くべき発見に基づく。従って、本発明は、高脂血症に関連する障害に罹患している被験体を、副作用を低減しつつ処置する方法を提供する。この方法は、その被験体に対して、その被験体における高脂血症および/または高コレステロール血症を改善するために有効な量のMTPインヒビターを、そのインヒビターの使用に関連する副作用を低減および/または排除する処置レジメンに従って投与する工程;を包含する。
【0030】
「処置」によって、宿主に冒している病理状態に関連する症状の少なくとも改善、ならびにMTPインヒビターを使用する従来の処置レジメンに従って処置された患者において観察されるMTPインヒビターに関連する副作用の改善が、意味される。「改善」とは、処置される病理状態に関連するパラメーター(例えば、症状)(例えば、増加した血漿VLDLレベルもしくは増加した血漿トリグリセリドレベル)または上記インヒビターを使用する処置の副作用に関連するパラメーター(例えば、GIでの副作用もしくは肝臓胆管での副作用)の大きさの少なくとも低減を指すために広い意味で使用される。このように、処置はまた、上記病理状態またはそれに関連する少なくとも症状が完全に阻害(例えば、発症を防止)されるか停止(例えば、終結)されて、宿主がその病理状態にも、その病理状態を特徴付ける少なくとも症状にも、もはや苦しまないようになる(例えば、血漿VLDLレベルおよび/または血漿トリグリセリドレベルが、正常に戻る)状況を包含する。
【0031】
本発明はまた、高コレステロール血症および/または高脂血症に関連する疾患/障害を処置する方法を提供し、この方法は、被験体に対して、MTPインヒビターと、さらなる脂質改変化合物とを投与する工程を包含する。この方法は、MTPインヒビターの使用に関連する副作用を低減および/または排除する。
【0032】
本明細書中で使用される場合、表現「高コレステロール血症および/または高脂血症に関連する障害」とは、増加した脂質レベルまたは増加したコレステロールレベルに関連するかもしくはそれらの増加した脂質レベルまたは増加したコレステロールレベルによって引き起こされる、疾患および障害を指す。そのような疾患および障害としては、高コレステロール血症、重症(severe)高コレステロール血症、家族性複合型(combined)高脂血症、家族性高コレステロール血症、レムナント(remnant)高脂血症、カイロミクロン血症候群、および家族性高トリグリセリド血症が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、上記疾患は、重症(severe)高コレステロール血症である。いくつかの実施形態において、上記疾患は、ホモ接合性家族性高コレステロール血症/ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症である。いくつかの実施形態において、上記疾患は、高トリグリセリド血症である。
【0033】
ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(MTP)は、リン脂質(例えば、ホスファチジルコリン)に対するトリグリセリドおよびコレステリルエステルの優先的輸送を触媒することが公知である。無β−リポ蛋白血症を引き起こす欠損がMTP遺伝子中に存在することが、D.Sharpら,Nature(1993)365:65によって示されている。このことは、MTPがApoB含有リポタンパク質(例えば、VLDL(これは、LDLに対する前駆体である))の合成のために必要であることを示す。従って、MTPインヒビターは、VLDLおよびLDLの合成を阻害し、それによってヒトにおけるVLDLレベル、LDLレベル、コレステロールレベル、およびトリグリセリドレベルを低減する。
【0034】
MTPインヒビターは、ポリアリールカルボキサミドのクラスに属する。MTPインヒビター、その使用方法、およびその調製方法は、当業者にとって公知であり、特に、WO96/26205、米国特許第5,760,246号、WO96/40640、WO98/27979、カナダ国特許出願第2,091,102号、米国特許出願第117,362号、WO92/26205(1996年4月29日公開)、米国特許出願第472,067号(1995年6月6日出願)、米国特許出願第548,811号(1996年1月11日出願)、米国仮特許出願第60/017,224号(1996年5月9日出願)、米国仮特許出願第60/017,253号(1996年5月10日出願)、米国仮特許出願第60/017,254号(1996年5月10日出願)、米国仮特許出願第60/0
28,216号(1996年10月1日出願)、米国特許第5,595,872号、米国特許第5,789,197号、米国特許第5,883,109号、米国特許第6,066,653号(上記のすべて(構造を含む)は、本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
【0035】
Bristol−Myers SquibbのBMS−201038(強力なMTPインヒビターである)によるMTPの薬理学的阻害は、高コレステロール血症を有する健常ボランティアにおいて、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)を65%まで低減させることが示された。これらの印象的なLDL−C低減にも関わらず、脂肪便、血清トランスアミナーゼの増加、および肝臓の脂肪蓄積が、主に、25mg/日以上の用量で観察された。従って、Bristol−Myers Squibbは、これらの副作用によって、BMS−20138を高コレステロール血症の処置における大規模使用のための薬物として開発し得る可能性はなくなると判定した。MTPインヒビターの使用と他のコレステロール薬物もしくはトリグリセリド薬物との組み合わせが、以前に開示されている(米国特許第6,066,653号および同第5,883,109号)が、単独で使用されたMTPインヒビターについて上記されるのと同じ欠点に悩まされる。
【0036】
いくつかの実施形態において、上記MTPインヒビターは、ピペリジン化合物、ピロリジン化合物、またはアゼチジン化合物である。いくつかの実施形態において、上記MTPインヒビターは、米国特許第6,066,653号に示されるような構造を有する。いくつかの実施形態において、上記MTPインヒビターは、9−[4−[4−[[2−(2,2,2−トリフルオロメチル)−ベンゾイル]アミノ]−1−ピペリジニル]ブチル]−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−9H−フルオレン−9−カルボキサミドである。いくつかの実施形態において、上記MTPインヒビターは、BMS−201038である。本明細書中で使用される場合、表現「BMS−201038」とは、N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−9−[4−[4−[[[4’−(トリフルオロメチル)[1,1’ビフェニル]−2−イル]カルボニル]アミノ]−1−ピペリジニル]ブチル]9H−フルオレン−9−カルボキサミド,メタンスルホネートとして公知であり、式
【0037】
【化2】

を有する化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩、またはそれらのピペリジンN−オキシドを指す。
【0038】
いくつかの実施形態において、MTP活性は、未処置被験体もしくはコントロール被験体におけるMTP活性と比較して、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、または100%阻害される。MTP
活性の阻害について試験するための方法は、当業者にとって公知であり、例えば、米国特許第5,789,197号に示されている。
【0039】
本明細書中で使用される場合、表現「未処置被験体またはコントロール被験体」とは、MTPインヒビターを少なくとも3段階の漸増用量にて投与されていない、被験体を指す。
【0040】
いくつかの実施形態において、上記方法は、他の脂質改変化合物の投与をさらに包含する。本明細書中で使用される場合、表現「脂質改変化合物」などは、高コレステロール血症および/または高脂血症に関連する障害を、標準的な投与(例えば、少なくとも3段階の漸増用量のMTPインヒビターを含まない処置)を使用して処置するための医薬を指す。本発明の方法において使用され得る脂質改変化合物としては、HMG CoAレダクターゼインヒビター、コレステロール吸収インヒビター、エゼチミブ(ezetimide)、スクアレンシンテターゼインヒビター、フィブラート、胆汁酸封鎖剤(bile acid sequestrant)、スタチン、プロブコールおよびその誘導体、ナイアシン、ナイアシン誘導体、PPARαアゴニスト、フィブラート、PPARγアゴニスト、チアゾリジンジオン、およびコレステロールエステル輸送タンパク質(CETP)インヒビターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書における使用のために適切なHMG CoAレダクターゼインヒビターとしては、メバスタチンおよび関連化合物(米国特許第3,983,140号において開示される)、ロバスタチン(メビノリン)および関連化合物(米国特許第4,231,938号において開示される)、プラバスタチンおよび関連化合物(例えば、米国特許第4,346,227号において開示される)、シンバスタチンおよび関連化合物(米国特許第4,448,784号および米国特許第4,450,171号において開示される)が挙げられるが、これらに限定されず、プラバスタチン、ロバスタチン、またはシンバスタチンが、好ましい。本明細書中で使用され得る他のHMG CoAレダクターゼインヒビターとしては、フルバスタチン、ロスバ(rosuva)、セリバスタチン、アトルバスタチン(atorvastatin)、米国特許第4,613,610号において開示されるようなメバロノラクトン誘導体のピラゾールアナログ、PCT出願WO86/03488において開示されるようなメバロノラクトン誘導体のインデンアナログ、米国特許第4,647,576号において開示されるような6−[2−置換ピロール−1−イル)アルキル]ピラン−2−オンおよびその誘導体、SealeのSC−45355(3置換ペンタンジオン酸誘導体)ジクロロアセテート、PCT出願WO86/07054において開示されるようなメバロノラクトンのイミダゾールアナログ、フランス国特許第2,596,393号において開示されるような3−カルボキシ−2−ヒドロキシ−プロパン−ホスホン酸誘導体、欧州特許出願第0221025において開示されるような2,3−二置換ピロール誘導体、2,3−二置換フラン誘導体および2,3−二置換チオフェン誘導体、米国特許第4,686,237号において開示されるようなメバロノラクトンのナフチルアナログ、米国特許第4,499,289号において開示されるようなオクタヒドロナフタレン、欧州特許出願番号0,142,146A2において開示されるようなメビノリン(ロバスタチン)のケトアナログ、ならびに他の公知のHMG CoAレダクターゼインヒビターが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本明細書における使用のために適切なHMG CoAレダクターゼを阻害する際に有用なホスフィン酸化合物は、英国特許第2205837号に開示される。
【0042】
本明細書における使用のために適切なスクアレンシンテターゼインヒビターとしては、米国特許出願第08/266,888号(1994年7月5日出願)において開示されるα−ホスホノスルホネート(HX59b)、Billerら(J.Med.Chem.1988,Vol.31,No.10,pp1869〜1871)により開示されるスクア
レンシンテターゼインヒビター(イソプレノイド(ホスフィニルメチル)ホスホネート(その三酸、そのトリエステル、ならびにその三カリウム塩および三ナトリウム塩を包含する)が挙げられる)、ならびに米国特許第4,871,721号および米国特許第4,924,024号およびBillerら(J.Med.Chem.1988,Vol.31.No.10,pp1869〜1871)において開示される他のスクアレンシンテターゼインヒビターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
さらに、本明細書における使用のために適切な他のスクアレンシンテターゼインヒビターとしては、P.Ortiz de Montellanoら(J.Med.Chem.1977,20,243〜249)により開示されるテルペノイドピロホスフェート、CoreyおよびVolante(J.Am.Chem.Soc.1976.98,1291〜1293)により開示されるようなファルネシルジホスフェートアナログAおよびプレスクアレンピロホスフェート(PSQ−PP)アナログ、McClard,R.W.ら(J.A.C.S.,1987,109,5544)により報告されたホスフィニルホスホネート、ならびにCapson,T.L.(博士号学位論文,1987年6月,Dept.Med.Chem.U.of Utah,要約、目次、pp.16,17,40〜43,48〜51,要旨)によって報告されたシクロプロパンが挙げられる。いくつかの実施形態において、上記インヒビターは、プラバスタチン、ロバスタチン、またはシンバスタチンである。
【0044】
ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプターα(PPAR−α)アゴニストおよびPPAR−γアゴニスト、フィブラート、チアゾリジンジオン、およびCETPインヒビターは、当業者にとって周知である。
【0045】
本発明は、高脂質血症および/または高コレステロール血症に関連する疾患もしくは障害を、このようなインヒビターの使用に通常関連する副作用を最小限にしつつ処置するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、上記インヒビターは、構造
【0046】
【化3】

を有するMTPインヒビターである。
【0047】
いくつかの実施形態において、上記被験体における総コレステロールレベル、血漿LDLコレステロールレベル、トリグリセリドレベル、空腹時トリグリセリド(TG)レベル、VLDLレベル、リポタンパク質(a)(Lp(a))レベル、またはアポリポタンパク質A−1レベル、アポリポタンパク質A−IIレベル、アポリポタンパク質Bレベル、およびアポリポタンパク質Eレベルのうちの1つ以上が、コントロール血中レベルと比較
して少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、または少なくとも80%低減される。
【0048】
いくつかの実施形態において、達成されるトリグリセリドレベルは、500mg/dl未満である。いくつかの実施形態において、達成されるトリグリセリドレベルは、300mg/dl未満である。いくつかの実施形態において、達成されるトリグリセリドレベルは、200mg/dl未満である。いくつかの実施形態において、達成されるトリグリセリドレベルは、150mg/dl未満である。
【0049】
いくつかの実施形態において、本発明に従う処置によって達成されるApoB/ApoA1比は、0.25〜1.25である。いくつかの実施形態において、達成されるApoB/ApoA1比は、0.1〜2.0である。いくつかの実施形態において、達成されるapoBレベルは、48〜130である。いくつかの実施形態において、達成されるapoBレベルは、20〜180である。
【0050】
本明細書中で使用される場合、表現「コントロール血中レベル」とは、本発明に従う処置が存在しない状態での特定の血液成分のレベルを指す。いくつかの実施形態において、この「コントロール血中レベル」は、本発明に従う被験体処置の前の、その被験体における特定の血液成分のレベルである。いくつかの実施形態において、この「コントロール血中レベル」は、被験体が、プラシーボを受けるかまたは異なった処置(例えば、少なくとも3段階の漸増用量のMTPインヒビターを含まない処置)を受けるかのいずれかである場合の、特定の血液成分のレベルである。血液成分(例えば、コレステロール、トリグリセリド、およびアポリポタンパク質Bが挙げられる)のレベルの低減は、処置前レベルを、本発明に従う処置の間またはその後のレベルと比較することによって、決定され得る。特定の血液成分のレベルを測定するための方法は、当業者にとって周知である。例えば、総コレステロール濃度およびトリグリセリド濃度は、リーベルマン−ブルハルト反応の改変形(Abell LL,Levy BB,Brodie BB,Kendall FE,A simplified method for the estimation of total cholesterol in serum and demonstration of its specificity,J.Biol.Chem.1952;195:357〜362)によって、ならびにゼオライト抽出後のKesslerおよびLedererの方法(Kessler G,Lederer H,Fluorometric measurement of triglycerides;Skeggs LT,Jr編,Automation in Analytical Chemistry:Technicom Symposia,New York,NT:Madiad Inc.,1965:341〜344)によって、それぞれ、決定され得る。血漿HDLコレステロールは、Allainら(Allain CC,Poon LS,Chan GSG,Richmond W,Fu PC.,Enzymatic determination of total serum cholesterol,Clin Chem.1974;20:470〜475)の方法によって、酵素的キット(Biotrol)を使用して評価され得る。LDLコレステロールは、Freidewald式(Freidewald WT,Levy RI,Fredrickson DS,Estimation of the concentration of low density lipoprotein−cholesterol in plasma without the use of the preparative ultracentrifuge,Clin Chem.1972:18:499〜502)を使用して算出され得る。血漿apoBレベル、血漿apoA1レベル、および血漿リポタンパク質(a)レベルは、以前に記載された免疫アッセイ(Guo H,Chapman MJ,Bruckert E,Farriaux JP,De Gennes JL,Li
poprotein Lp(a) in homozygous familial hypercholesterolemia:density profile,particle heterogenetity and apolipoprotein(a) phenotype,Athersclerosis 1991:31:69〜83)によって、レーザー免疫比濁法(Immuno AG)に基づいて測定され得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、上記被験体は、哺乳動物(好ましくは、ヒト)である。いくつかの実施形態において、上記被験体は、以前の処置レジメンに対して治療抵抗性であることが証明されている。
【0052】
本発明のMTPインヒビターは、単独で使用されてもよいし、または必要に応じて他の脂質改変化合物と組み合わせて使用されてもよい。本発明のMTPインヒビターは、処置が必要な被験体に対して、全身投与(例えば、経口投与または非経口投与)されてもよいし、経皮投与されてもよい。適用可能な場合に使用され得る他の脂質改変化合物についての投与量および処方物は、Physician’s Desk Referenceの最新版に示される通りである。
【0053】
本明細書中で使用される場合、用語「感受性である」とは、高コレステロール血症および/または高脂血症を改善する試みにおいて従来の処置レジメンを使用してMTPインヒビターが投与された場合に、1つ以上の副作用に苦しむ患者を指す。
【0054】
本明細書中で使用される場合、表現「従来の処置レジメン」などは、標準的な投与(例えば、少なくとも3段階の漸増用量のMTPインヒビターを含まない処置)を使用して、高コレステロール血症および/または高脂血症を処置する方法を指す。
【0055】
理論によって束縛されることは望まないが、本発明の方法に従うMTPインヒビターの投与は、他の1種以上の脂質改変化合物と組み合わせて、望ましくないコレステロールレベルもしくは望ましくない脂質レベルをさらに低減し得、かつ/または上記MTPインヒビターの望ましくない副作用もしくは上記MTPインヒビターと他の脂質改変化合物との望ましくない副作用をさらに低減し得ると考えられる。
【0056】
いくつかの実施形態において、上記MTPインヒビターは、漸増用量にて投与される。いくつかの実施形態において、上記漸増用量は、少なくとも第一の用量レベルおよび第二の用量レベルを含む。いくつかの実施形態において、上記漸増用量は、少なくとも第一の用量レベル、第二の用量レベル、および第三の用量レベルを含む。いくつかの実施形態において、上記漸増用量は、第四の用量レベルをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記漸増用量は、少なくとも第一の用量レベル、第二の用量レベル、第三の用量レベル、第四の用量レベル、および第五の用量レベルを含む。いくつかの実施形態において、6種の用量レベル、7種の用量レベル、8種の用量レベル、9種の用量レベル、および10種の用量レベルが、企図される。
【0057】
いくつかの実施形態において、各々の用量レベルは、直後に続く用量レベルの50%以下である。いくつかの実施形態において、各々の用量レベルは、直後に続く用量レベルの33%以下である。いくつかの実施形態において、各々の用量レベルは、直後に続く用量レベルの20%以下である。いくつかの実施形態において、用量レベルは、1/2log単位だけ隔てられる。いくつかの実施形態において、用量レベルは、1log単位だけ隔てられる。
【0058】
いくつかの実施形態において、上記第一の用量レベルは、約0.02mg/kg/日〜約0.059mg/kg/日である。いくつかの実施形態において、第二の用量レベルは
、約0.06mg/kg/日〜約0.19mg/kg/日である。いくつかの実施形態において、第三の用量レベルは、約0.2mg/kg/日〜約0.59mg/kg/日である。いくつかの実施形態において、第四の用量レベルは、約0.6mg/kg/日〜約2.0mg/kg/日である。
【0059】
いくつかの実施形態において、上記MTPインヒビターは、上記被験体に対して、
(a)第一の間隔の間に0.03mg/kg/日;
(b)第二の間隔の間に0.1mg/kg/日;
(c)第三の間隔の間に0.3mg/kg/日;
(d)第四の間隔の間に1.0mg/kg/日;
にて投与される。
【0060】
いくつかの実施形態において、上記第一の用量レベル、第二の用量レベル、第三の用量レベル、および第四の用量レベルは、上記被験体に対して、約2日間〜約6ヶ月間の期間の間投与される。いくつかの実施形態において、上記第一の用量レベル、第二の用量レベル、第三の用量レベル、および第四の用量レベルは、上記被験体に対して、約7日間〜約35日間の期間の間投与される。いくつかの実施形態において、上記第一の用量レベル、第二の用量レベル、第三の用量レベル、および第四の用量レベルは、上記被験体に対して、約2週間〜約4週間の間投与される。いくつかの実施形態において、上記第一の用量レベル、第二の用量レベル、第三の用量レベル、および第四の用量レベルは、上記被験体に対して、約4週間の間投与される。いくつかの実施形態において、上記第一の用量レベル、第二の用量レベル、第三の用量レベルは、上記被験体に対して、約2日間〜約40日間の期間の間投与され、上記第四の用量レベルは、上記被験体に対して、約2日間〜約6ヶ月間の間に投与される。
【0061】
いくつかの実施形態において、上記第一の用量レベルは、約2mg/日〜約30mg/日である。いくつかの実施形態において、上記第二の用量レベルは、約20mg/日〜約50mg/日である。いくつかの実施形態において、上記第三の用量レベルは、約30mg/日〜約60mg/日である。いくつかの実施形態において、上記第四の用量レベルは、約40mg/日〜約75mg/日である。いくつかの実施形態において、上記第五の用量レベルは、約50mg/日〜約75mg/日である。
【0062】
いくつかの実施形態において、上記第一の用量レベルは、約2mg/日〜約13mg/日である。いくつかの実施形態において、上記第二の用量レベルは、約5mg/日〜約30mg/日である。いくつかの実施形態において、上記第三の用量レベルは、約10mg/日〜約50mg/日である。いくつかの実施形態において、上記第四の用量レベルは、約20mg/日〜約60mg/日である。いくつかの実施形態において、上記第五の用量レベルは、約30mg/日〜約75mg/日である。
【0063】
いくつかの実施形態において、上記第一の用量レベルは、6.25mg/日であり、上記第二の用量レベルは、12.25mg/日であり、上記第三の用量レベルは、50mg/日である。
【0064】
いくつかの実施形態において、上記第一の用量レベルは、約12.5mg/日である。いくつかの実施形態において、上記第二の用量レベルは、約25mg/日である。いくつかの実施形態において、上記第三の用量レベルは、約37.5mg/日である。いくつかの実施形態において、上記第四の用量レベルは、約50mg/日である。
【0065】
いくつかの実施形態において、上記第一の用量レベルは、約25mg/日である。いくつかの実施形態において、上記第二の用量レベルは、約37.5mg/日である。いくつ
かの実施形態において、上記第三の用量レベルは、約50mg/日である。いくつかの実施形態において、上記第四の用量レベルは、約75mg/日である。
【0066】
いくつかの実施形態において、この方法は、5種以上の漸増用量を上記被験体に投与することを包含する。いくつかの実施形態において、上記第一の用量レベルは、6.25mg/日であり、上記第二の用量レベルは、12.5mg/日であり、上記第三の用量レベルは、25mg/日であり、上記第四の用量レベルは、37.5mg/日であり、上記第五の用量レベルは、50mg/日である。
【0067】
いくつかの実施形態において、各用量レベルは、2日間〜26週間にわたって上記被験体に投与される。いくつかの実施形態において、各用量レベルは、約1週間〜約26週間にわたって上記被験体に投与される。いくつかの実施形態において、各用量レベルは、約1週間〜約12週間にわたって上記被験体に投与される。いくつかの実施形態において、各用量レベルは、1週間〜5週間にわたって上記被験体に投与される。いくつかの実施形態において、各用量レベルは、1週間〜4週間にわたって上記被験体に投与される。いくつかの実施形態において、各用量レベルは、1〜2週間にわたって上記被験体に投与される。いくつかの実施形態において、各用量レベルは、1〜2週間にわたって上記被験体に投与される。
【0068】
いくつかの実施形態において、上記第一の用量レベルは、1週間にわたって上記被験体に投与され、上記第二の用量レベルは、1週間にわたって上記被験体に投与され、上記第三の用量レベルは、1週間にわたって上記被験体に投与される。
【0069】
いくつかの実施形態において、上記第一の用量レベルは、2週間にわたって上記被験体に投与され、上記第二の用量レベルは、2週間にわたって上記被験体に投与され、上記第三の用量レベルは、2週間にわたって上記被験体に投与される。
【0070】
いくつかの実施形態において、上記他の脂質改変化合物は、旧来からの処置レジメンに従って投与される。いくつかの実施形態において、上記脂質改変化合物は、漸増用量で投与される。いくつかの実施形態において、上記脂質改変化合物は、少なくとも3段階の漸増投薬量で上記被験体に投与される。
【0071】
本明細書で使用される場合、語句「副作用を最小限にする」とは、本発明のMTPインヒビターの1種以上の望ましくない副作用の改善または除去をいう。
【0072】
本明細書で使用される場合、語句「副作用」とは、本発明のインヒビターの旧来からの使用の結果として発生する望ましくない事象をいう。MTPインヒビターの旧来からの使用の「副作用」としては、脂肪便、腹痛(abdominal cramping)、膨満、上昇した肝機能試験値(elevated liver function test)、脂肪肝;肝臓脂肪増加(hepatic fat build up)、多発性神経障害、末梢神経障害、横紋筋融解、関節痛、筋肉痛、胸部痛、鼻炎、眩暈感、関節炎、末梢浮腫、胃腸炎、肝機能試験値異常、大腸炎、直腸出血、食道炎、おくび、口内炎、胆管痛(biliary pain)、口唇炎、十二指腸潰瘍、嚥下障害、腸炎、メレナ、歯茎出血(gum hemorrhage)、胃潰瘍、テネスムス、潰瘍性口内炎、肝炎、膵炎、胆汁欝滞性黄疸、感覚異常、健忘症、性欲減退、情緒不安定性、共調不能、斜頸、顔面神経麻痺、運動過剰、鬱病、知覚減退、緊張亢進、脚の痙攣、滑液包炎、腱滑膜炎、筋無力症、腱拘縮、筋炎、高血糖症、クレアチンホスホキナーゼ増加、痛風、体重増加、低血糖症、アナフィラキシー、血管神経性浮腫、および水疱性発疹(多形性紅斑、スティーヴンズ‐ジョンソン症候群、および中毒性表皮壊死症が挙げられる)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、副作用は、部分的に除去される
。本明細書で使用される場合、語句、部分的に除去される(partially eliminated)とは、少なくとも25%、50%、75%、85%、90%、または好ましくは95%の副作用の重篤度、程度または持続時間の減少をいう。いくつかの実施形態において、この副作用は、完全に除去される。当業者は、副作用の重篤度、程度または持続時間、ならびに副作用の改善の程度を検出および等級付けする(grade)能力を持っていると信じられる。いくつかの実施形態において、二種以上の副作用が改善される。
【0073】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、GIの副作用または肝臓胆管(hepatobiliary)の副作用を最小限にする。いくつかの実施形態において、この方法は、脂肪便、腹痛、膨満、上昇した肝機能試験値、小脂肪肝(minor fatty
liver);肝臓脂肪増加、多発性神経障害、末梢神経障害、横紋筋溶解、関節痛、筋肉痛、胸部痛、鼻炎、眩暈感、関節炎、末梢浮腫、胃腸炎、肝機能試験値異常、大腸炎、直腸出血、食道炎、おくび、口内炎、胆管痛、口唇炎、十二指腸潰瘍、嚥下障害、腸炎、メレナ、歯茎出血、胃潰瘍、テネスムス、潰瘍性口内炎、肝炎、膵炎、胆汁欝滞性黄疸、感覚異常、健忘症、性欲減退、情緒不安定性、共調不能、斜頸、顔面神経麻痺、運動過剰、鬱病、知覚減退、緊張亢進、脚の痙攣、滑液包炎、腱滑膜炎、筋無力症、腱拘縮、筋炎、高血糖症、クレアチンホスホキナーゼ増加、痛風、体重増加、低血糖症、アナフィラキシー、血管神経性浮腫、および水疱性発疹(多形性紅斑、スティーヴンズ−ジョンソン症候群、および中毒性表皮壊死症が挙げられる)のうちの少なくとも1つを最小限にする。
【0074】
いくつかの実施形態において、1種以上の副作用の最小化は、処置を開始してから2週間以内に起こる。いくつかの実施形態において、1種以上の副作用の最小化は、処置を開始してから3週間以内に起こる。
【0075】
いくつかの実施形態において、副作用の最小化は、被験体への質問票により等級(grade)、重篤度、程度または持続時間を評価することによって決定される。
【0076】
本発明はまた、被験体におけるMTPを阻害すると同時に副作用を軽減するための方法を提供し、この方法は、MTPを阻害するに有効量のMTPインヒビターを被験体に投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、上記MTPインヒビターは、経口投与される。
【0077】
本発明は、被験体における高脂血症および/または高コレステロール血症に関連する障害を処置するためのキットをさらに提供する。いくつかの実施形態において、上記キットは、MTPインヒビターの少なくとも3セットの投与単位と、b)使用説明書を含み、第一セットの投与単位は、第一の間隔の間に0.03mg/kg/日を提供し、第二セットの投与単位は、第二の間隔の間に0.1mg/kg/日を提供し、第三セットの投与単位は、第三の間隔の間に0.3mg/kg/日を提供する。いくつかの実施形態において、上記キットは、第四セットの投与単位をさらに含み、上記第四セットは、第四の間隔の間に1.0mg/kg/日を提供する。いくつかの実施形態において、上記キットは、投与スケジュールに従って、投与単位のセットを貯蔵する容器をさらに含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、上記キットは、第一の間隔の間に6.25mg/日を提供する第一セットの投与単位、第二の間隔の間に12.5mg/日を提供する投与単位の投与単位、第三の間隔の間に25mg/日を提供する第三セットの投与単位、第四の間隔の間に37.5mg/日を提供する第四セットの投与単位、および第五の間隔の間に50mg/日を提供する第五セットの投与単位を含む。
【0079】
投与単位の各セットは、その特定の用量に対する持続期間の間に上記被験体に望ましい用量を投与するに十分な投与単位を含む。例えば、25mg/日の投与レベルが二週間の間に被験体に投与されるべき場合、25mg/日に関する投与単位のセットは、25mgを14投与単位含み得る。あるいは、そのセットは、5mgを70投与単位含み得る。
【0080】
いくつかの実施形態において、上記キットは、高脂血症および/または高コレステロール血症に関連する疾患の処置のための一種以上のさらなる脂質改変化合物をさらに含む。
【0081】
経口投与に関して、本発明の薬学的組成物は、固体投与形態(例えば、錠剤(嚥下可能な形態またはチュアブル形態の両方)、カプセル剤またはゲルキャップの形態をとり得、これらの形態は、薬学的に受容可能な賦形剤およびキャリア(例えば、結合剤(例えば、予め糊化したトウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース、リン酸カルシウムなど)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカなど)、崩壊剤(例えば、ジャガイモ澱粉、グリコール酸ナトリウム澱粉など)、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などと一緒に、従来の手段によって調製される。このような錠剤はまた、当該分野で周知の方法によってコーティングされ得る。
【0082】
投与される用量は、患者の年齢、体重および状態、ならびに投与経路、投与形態および投与レジメン、ならびに所望される結果に従って調節され得る。いくつかの実施形態において、被験体に投与される用量は、所望されるエンドポイントに達するまで用量分析される。
【0083】
インヒビターの調製および処方は、後出、前出およびカナダ国特許出願第2,091,102号;米国特許出願第117,362号;WO92/26205(1996年8月29日公開);米国特許出願第472,067号(1995年6月6日出願);米国特許出願第548,811号(1996年1月11日出願);米国仮特許出願第60/017,224号(1996年5月9日出願);米国仮特許出願第60/017,253号(1996年5月10日出願);米国仮特許出願第60/017,254号(1996年5月10日出願);米国仮特許出願第60/028,216号(1996年10月1日出願);米国特許第5,595,872号、米国特許第5,712,279号;米国特許第5,739,135号;米国特許第5,789,197号、米国特許第5,883,109号、および米国特許第6,066,653号に開示される。上記は全て、構造も含めて、本明細書に参考として援用される。
【0084】
経口投与に関して、満足のいく結果は、1日に1回〜4回、約0.01mg/kg〜約100mg/kg、および好ましくは、約0.1mg/kg〜約75mg/kgの範囲内の日用量のMTPインヒビターを使用して得られ得る。
【0085】
非経口投与に関して、上記MTPインヒビターは、1日に1回〜4回、約0.005mg/kg〜約10mg/kg、および好ましくは、約0.005mg/kg〜約8mg/kgの範囲内の1日量で使用され得る。
【0086】
さらなる脂質改変化合物は、存在する場合、このような薬剤の各々に関して、Physician’s Desk Referenceに示されるように、通常使用される投与量で、例えば、約2mg〜約7500mg、約2mg〜約4000mg、または約10mg〜約5000mgの範囲内の量で使用され得る。
【0087】
上記MTPインヒビターおよび他の脂質改変化合物は、同じ経口投与形態で、または同時に摂取される別個の経口投与形態で一緒に使用され得る。
【0088】
上記の組成物は、1日に1回〜4回、単一用量または分割用量において、上記のような投与形態で投与され得る。
【0089】
投与単位としては、種々の大きさの錠剤、カプセル剤及びカプレットが挙げられ、これらは、例えば、総重量が約2〜10000mgであるように調製され得、上記の範囲の活性物質の一方または両方を含み、残りは、許容された薬学実務に従って、他の材料の生理学的に受容可能なキャリアである。これらの錠剤は、当然のことながら、分割用量(fractional dose)を提供するように刻み目が入れられ(scored)得る。ゼラチンカプセルが同様に処方され得る。
【0090】
いくつかの実施形態において、上記MTPインヒビターおよび他の脂質改変化合物は、分割可能な投与単位の形態において、同じ投与単位で提供される。例えば、いくつかの実施形態において、刻み目が入れられた錠剤は、その投与単位を提供し得る。医師または他の医療専門家の指示の下で、被験体は、その投与単位の一部分を摂取するように指示され得る。ここでその一部分は、所定の間隔の間に所望される投与レベルを提供する。以下の間隔で、患者は、その投与単位の2つ以上の部分を摂取するように指示され得る。ここでその2つ以上の部分は、その間隔の間に所望の投与レベルを提供する。
【0091】
液体処方物がまた、茶さじ1杯〜4杯の所望の投与量を提供するように、薬学的投与に受容可能な従来の液体ビヒクル中に活性物質の1種以上の組み合わせを溶解または懸濁することによって調製され得る。
【0092】
このような投与形態は、1日あたり1用量〜4用量のレジメンで、患者に投与され得る。
【0093】
いくつかの実施形態によれば、投与スケジュールをより細かく管理するために、上記活性物質は、同時にまたは注意深く調和させた時間に、個々の投与単位で別個に投与され得る。血中レベルは、増大し、管理した投与スケジュールによって維持されるので、その2つの物質が同時に存在することによって同じ結果が達成される。それぞれの物質は、上記のものと類似の様式で、別個の単位投与形態で個々に処方され得る。
【0094】
MTPインヒビターと他の脂質改変化合物の決められた組み合わせは、特に経口投与のための錠剤またはカプセル剤形態において、より便利であり、かつ好ましい。
【0095】
この組成物を処方するにあたって、この活性物質は、上記の量で、生理学的に受容可能なビヒクル、キャリア、賦形剤、結合剤、防腐剤、安定化剤、矯味矯臭剤などと一緒に、許容された薬学上の実務に従って、特定の形態の単位投与形態に配合される。
【0096】
錠剤中に組み込まれ得る補助物質(adjuvant)の例示は、以下のとおりである:結合剤(例えば、トラガカントガム、アカシアガム、コーンスターチ、またはゼラチン);賦形剤(例えば、リン酸二カルシウムまたはセルロース);崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、アルギン酸など);滑沢剤(例えば、ステアリン酸またはステアリン酸マグネシウム);甘味剤(例えば、スクロース、アスパルテーム、ラクトースまたはサッカリン);矯味矯臭剤(例えば、オレンジ、ペパーミント、冬緑油またはサクランボ油)。投与単位形態がカプセル剤である場合、これは、上記の型の材料に加えて、液体キャリア(例えば、脂肪油)を含み得る。種々の他の材料が、コーティングとして存在してもよいし、その投与単位の物理的形態を別の方法で改変するために存在してもよい。例えば、錠剤またはカプセル剤は、シェラック、糖またはその両方でコーティングされ得る。シロップ剤またはエリキシル剤は、キャリア、安定化剤としてグリセロール、甘味
剤としてスクロース、防腐剤としてメチルパラベンもしくはプロピルパラベン、色素および矯味矯臭剤(例えば、サクランボまたはオレンジの風味)を含み得る。
【0097】
上記の活性物質のうちのいくつかは、一般に公知の、薬学的に受容可能な塩類(例えば、アルカリ金属塩および他の一般的な塩基性塩または酸付加塩など)を形成する。従って、塩基性物質に対する言及は、親化合物に実質的に等しいことが公知であるそれらの一般的な塩を包含することが意図される。
【0098】
上記の処方物は、長期にわたって、すなわち、酸性リパーゼ欠損が存在するだけ長い期間にわたって、投与される。1週間に2回、1週間に1回、1ヶ月に1回などでこのような量を提供し得るこのような処方物の徐放形態がまた、使用され得る。
【0099】
以下の実施例は、本発明を例示することを意味され、本発明を限定するようには決して解釈されない。当業者は、本発明の趣旨および範囲内にある改変を認識する。
【実施例】
【0100】
(実施例1)
経口投与に適した処方物は、以下に記載されるように調製される。
【0101】
1mg MTPインヒビター BMS 201,038を含むカプセル剤と50mg BMS 201,038を含むカプセル剤とを、以下の成分から製造する。
【0102】
【表1】

(*)1mgのカプセル剤では、この量は、100%有効性で、1カプセル剤あたりのメタンスルホン酸塩の量に関して表される。50mgのカプセル剤では、この量は、遊離塩基の点からみて表される。これは、遊離塩基の1mgおよび50mg(それぞれ、1mgカプセル剤および50mgカプセル剤)に等しい。
【0103】
上記MTPインヒビターBMS 201,038とコロイド性二酸化ケイ素を、適切なブレンダー中で、ラクトース水和物、微結晶性セルロース、予め糊化した澱粉、およびグリコール酸ナトリウム澱粉の一部分とブレンドする。得られたブレンドを、水とともに湿式で造粒する。その湿式造粒物を、適切な乾燥機中で乾燥させる。グリコール酸ナトリウム澱粉の残りの部分を、その造粒物に添加して、その乾燥機中で混合する。ステアリン酸
マグネシウムを、その造粒物に添加し、その乾燥機中で混合する。得られたブレンドを、カプセルの中に充填する。
【0104】
(実施例2)
プラバスタチン(2004 PDRに記載される10mg、20mgまたは40mg)錠剤と、MTPインヒビター(BMS 201,238)錠剤とを、本発明の教示に従って、組み合わせとして投与し得る。さらに、上記のプラバスタチン錠剤およびMTPインヒビター錠剤は、散剤へとすりつぶされ得、単一のカプセル剤の中で一緒に使用され得る。
【0105】
(実施例3)
シンバスタチン(2004 PDRに記載される10mg、20mgまたは40mg)錠剤と、MTPインヒビター(BMS 201,238)錠剤とを、本発明の教示に従って、組み合わせとして投与し得る。さらに、上記のシンバスタチン錠剤およびMTPインヒビター錠剤は、散剤へとすりつぶされ得、単一のカプセル剤、カプレットまたは錠剤の中で一緒に使用され得る。
【0106】
(実施例4)
エゼチミブ(2004 PDRに記載される10mg)錠剤とMTPインヒビター(BMS 201,238)錠剤とを、本発明の教示に従って、組み合わせとして投与し得る。さらに、上記のエゼチミブ錠剤およびMTPインヒビター錠剤は、散剤へとすりつぶされ得、単一のカプセル剤、カプレットまたは錠剤の中で一緒に使用され得る。
【0107】
(実施例5)
500mg クロフィブレート単独を含む錠剤、または10mg BMS 201,038と組み合わせて500mg クロフィブレート含む錠剤を、別個の投薬形態で使用し得るか、または単一のカプセル剤形態で組み合わせ得る。
【0108】
(実施例6)
本発明に従って、処置の薬物動態読み出し情報(pharmacodynamic readout)を評価するために、栄養状態、肝臓脂肪含有量および肺機能に対する、4種の用量レベル(0.03mg/kg体重、0.1mg/kg体重、0.3mg/kg体重、および1.0mg/kg体重)のBMS−201038による処置の評価を、以下によって測定し得る:
(a)MRI\核磁気共鳴分光法(NMRS)によって測定される肝臓脂肪含有量;
(b)DLCOを用いた肺活量測定によって測定される肺機能;
(c)脂溶性であるビタミンA、ビタミンD、およびビタミンEの血清レベルによって測定される栄養状態;
(d)ガス液クロマトグラフィーによりビタミンK状態;ならびに血漿リン脂質リノール酸(inoleic acid)、アラキドン酸、αリノレン酸およびエイコサペンタエン酸を評価して、必須脂肪酸取り込みを評価するための国際標準比(INR)。
【0109】
(実施例7)
20名の被験体を、以下に記載される体重に応じて、3:1の比率で、BMS−201038(n=15)またはプラセボ(n=5)に、11〜15週間にわたる二重盲検様式で無作為化する。11週間の終わりまたは15週間の終わりに、BMSに割り当てた被験体は、残りの研究の間(39週目まで)、最大許容用量を摂取し続ける。BMS−201038処置患者に関しては、試験薬物(study drug)を、1週間の間、6.25mg/日で開始し、その後、2週間の間、12.5mg/日まで、続いて、4週間の間、25mg/日まで、その後4週間の間、50mg/日まで用量分析する(titrat
e)。62.5kg〜74.9kgの間の体重のBMS−201038処置被験体を、62.5mg/日までさらに4週間にわたって用量分析する。体重が75kg以上のBMS−201038処置被験体を、50mg/日〜75mg/日までさらに4週間にわたって用量分析する。体重が62.5kg未満の被験体は、残りの28週間にわたって50mg/日(または最大許容用量)のままである。62.5mg/日または75mg/日まで用量分析する被験体は、残りの24週間にわたってこの用量(または最大許容用量)のままである。
【0110】
プラセボに無作為化した被験体は、15週間にわたって外観がそろったプラセボを摂取する。この期間の後、プラセボ処置被験体は、元のBMS−201038処置被験体について上記に概説したものと同じスケジュールに従って、BMS−201038を摂取し始める。体重に応じて26週目および30週目にこの用量分析スケジュールが完了した後に、被験体は、全ての被験体についての研究全体が39週間の継続期間であるように、残りの研究期間にわたって(39週目まで)最大許容用量を摂取する。
【0111】
(実施例8)
BMS−201038の寛容性、よって有効性は、投与レジメンに依存しているようである。原発性高コレステロール血症を有する被験体においてBMS−201038を用いる第II層研究において、4週間にわたる25mg/日の投薬量は、臨床的に有意な胃腸(GI)脂肪便、腹痛および膨満を引き起こし、試験薬物を受けているいくらかの患者において、統計学的に有意な肝臓胆管の(上昇した肝機能試験値および小脂肪肝)症状を引き起こす。GI関連症状および肝臓脂肪両方の程度は、この研究設計、特に投薬レジメンに一部起因したようであった。BMS−201038は、腸ミクロソームおよび肝ミクロソーム両方のトリグリセリド転移タンパク質(MTP)の強力なインヒビターである。適切に制御する食事性脂肪取り込みが欠如すると、GI関連症状に寄与する可能性が高いが、開始用量25mg/日を提供しても寄与することが可能である。低用量で開始して、ゆっくりと増大させて用量分析すると、GI関連寛容性を改善し得、肝臓がMTPの阻害に合わせ、おそらく肝臓脂肪増加を減少させる時間を提供し得る。この理論を、ホモ接合性の家族性高コレステロール血症(hoFH)を有する患者におけるBMS−201038の安全性、寛容性および効力を調査する研究の設計において適用した。
【0112】
hoFHを有する6名の患者を登録し、プロトコルに従って研究を完了した。被験体は、4種のBMS−201038用量(0.031.0mg/kg、0.11.0mg/kg、0.31.0mg/kgおよび1.0mg/kg)を各用量で4週間にわたって1日1回の投与を受けた。本発明者らは、有効であるとは予測されないが、安全かつ寛容されると予測される用量である(70kgの男性において−2.1mg)、最初の低用量(0.03mg/kg)を選択した。残りの3種の用量を、以前の用量の2分の1のlog単位を計算することによって選択した。本発明者らは、Wetterauおよび共同研究者らによる動物研究に基づいて、10mg/kg(1.9mg/kgのED50)を用いて80%より高いLDLコレステロール減少が明らかになった1mg/kgというより高用量を選択した。6名の患者は全て、ほとんど〜全く脂肪便なしで、最大1mg/kg用量までこの薬物を寛容した。全ての患者がNMRSによって用量依存性の肝臓脂肪増大の証拠を示したが、1mg/kgに関するベースラインから4週間までの増大は、3〜37%の範囲で変動した。6名の被験体のうち3名が、肝臓トランスアミナーゼの実質的な増加を経験したが、1名の被験体のみ、一時的な用量減少を要する持続的な増加を有した。この被験体はまた、通常のベースで大量のアルコール消費により悪化した可能性のある肝臓脂肪の最大の増加を有した。2種の最高用量で、6名の被験体の中での脂質の平均変化%は、それぞれ、以下のとおりであった:総コレステロール −30±9%および−58±8.5%、非HDLコレステロール −31±9%および−60±8.8%、ならびにapoB −15±16%および−55±13%。これらのデータは、脂肪便および肝臓脂
肪の症状が、徐々に用量を上げる容量分析で低用量で開始することによって、有意に減少し得ることを示す。
【0113】
本明細書に記載される特許、特許出願、参考文献および刊行物の各々は、これらの全体が本明細書に参考として援用される。
【0114】
本発明の種々の改変が、本明細書に記載されるものに加えて、前述の詳細な説明に鑑みて、当業者に明らかである。このよう改変はまた、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ると解釈される。
【0115】
以下に本発明の主な特徴と態様を列挙する。
【0116】
1. 高脂血症および/または高コレステロール血症に関連する障害に罹患している被験体を処置するための方法であって、該方法は、
該被験体に対して、該障害を改善するために有効な量のMTPインヒビターを投与する工程であって、該投与は、少なくとも3段階の漸増用量の該MTPインヒビターを含む、工程;
を包含する、方法。
【0117】
2. 1.に記載の方法であって、前記障害は、重症高コレステロール血症である、方法。
【0118】
3. 1.に記載の方法であって、総コレステロール、LDL、空腹時トリグリセリド(TG)、VLDL、リポタンパク質(a)(Lp(a))、ならびにアポリポタンパク質A−1、アポリポタンパク質A−II、アポリポタンパク質B、およびアポリポタンパク質Eのうちの1つ以上が、コントロールレベルと比較して少なくとも15%低減される、方法。
【0119】
4. 1.に記載の方法であって、総コレステロール、LDL、空腹時トリグリセリド(TG)、VLDL、リポタンパク質(a)(Lp(a))、ならびにアポリポタンパク質A−1、アポリポタンパク質A−II、アポリポタンパク質B、およびアポリポタンパク質Eのうちの1つ以上が、コントロールレベルと比較して少なくとも25%低減される、方法。
【0120】
5. 1.に記載の方法であって、前記MTPインヒビターは、構造
【化4】

もしくはその薬学的に受容可能な塩、またはそれらのピペリジンN−オキシドを有する、方法。
【0121】
6. 1.に記載の方法であって、前記MTPインヒビターは、経口投与される、方法。
【0122】
7. 1.に記載の方法であって、前記漸増用量は、少なくとも第一の用量レベル、第二の用量レベル、および第三の用量レベルを含む、方法。
【0123】
8. 7.に記載の方法であって、前記漸増用量は、第四の用量レベルをさらに含む、方法。
【0124】
9. 7.に記載の方法であって、前記漸増用量は、第四の用量レベルおよび第五の用量レベルをさらに含む、方法。
【0125】
10. 9.に記載の方法であって、前記第一の用量レベルは、6.25mg/日であり、前記第二の用量レベルは、12.5mg/日であり、前記第三の用量レベルは、25mg/日であり、前記第四の用量レベルは、37.5mg/日であり、前記第五の用量レベルは、50mg/日である、方法。
【0126】
11. 1.に記載の方法であって、前記漸増用量レベルの各々は、直後に続く用量レベルの50%以下である、方法。
【0127】
12. 1.に記載の方法であって、前記漸増用量レベルの各々は、直後に続く用量レベルの20%以下である、方法。
【0128】
13. 9.に記載の方法であって、前記第一の用量レベルは、約2mg/日〜約13mg/日であり、前記第二の用量レベルは、約5mg/日〜約30mg/日であり、前記第三の用量レベルは、約10mg/日〜約50mg/日であり、前記第四の用量レベルは、約20mg/日〜約60mg/日であり、前記第五の用量レベルは、約30mg/日〜約75mg/日である、方法。
【0129】
14. 8.に記載の方法であって、前記第一の用量レベルは、12.5mg/日であり、前記第二の用量レベルは、25mg/日であり、前記第三の用量レベルは、37.5mg/日であり、前記第四の用量レベルは、50mg/日である、方法。
【0130】
15. 7.に記載の方法であって、前記第一の用量レベルは、6.25mg/日であり、前記第二の用量レベルは、12.5mg/日であり、前記第三の用量レベルは、50mg/日である、方法。
【0131】
16. 1.に記載の方法であって、前記MTPインヒビターは、前記被験体に対して、さらなる脂質改変化合物と組み合わせて投与される、方法。
【0132】
17. 1.に記載の方法であって、各用量レベルは、前記被験体に対して、約1週間〜約4週間の間に投与される、方法。
【0133】
18. 16.に記載の方法であって、前記MTPインヒビターおよび前記脂質改変化合物は、同じ投与単位中に存在する、方法。
【0134】
19. MTPを阻害する必要がある被験体においてMTPを阻害するための方法であって、該方法は、
該被験体に対して、MTPを阻害するために有効な量のMTPインヒビターを投与する工程であって、該投与は、少なくとも3段階の漸増用量の該MTPインヒビターを含む、工程;
を包含する、方法。
【0135】
20. 17.に記載の方法であって、前記MTPインヒビターは、前記被験体に対して、さらなる脂質改変化合物と組み合わせて投与される、方法。
【0136】
21. 17.に記載の方法であって、前記MTPインヒビターは、構造
【化5】

もしくはその薬学的に受容可能な塩、またはそれらのピペリジンN−オキシドを有する、方法。
【0137】
22. 19.に記載の方法であって、総コレステロール、LDL、空腹時トリグリセリド(TG)、VLDL、リポタンパク質(a)(Lp(a))、ならびにアポリポタンパク質A−1、アポリポタンパク質A−II、アポリポタンパク質B、およびアポリポタンパク質Eのうちの1つ以上が、コントロールレベルと比較して少なくとも15%低減される、方法。
【0138】
23. 20.に記載の方法であって、前記脂質改変化合物は、HMG CoAレダクターゼインヒビター、コレステロール吸収インヒビター、エゼチミブ、スクアレンシンテターゼインヒビター、フィブラート、胆汁酸封鎖剤、スタチン、プロブコールおよびその誘導体、ナイアシン、ナイアシン誘導体、PPARαアゴニスト、フィブラート、PPARγアゴニスト、チアゾリジンジオン、およびコレステロールエステル輸送タンパク質(CETP)インヒビターからなる群より選択される、方法。
【0139】
24. 被験体における高脂血症および/または高コレステロール血症に関連する障害を処置するためのキットであって、該キットは、
a)少なくとも4セットの薬剤投与単位であって、第一セットの投与単位は、第一の間隔の間に6.25mg/日を提供し、第二セットの投与単位は、第二の間隔の間に12.5mg/日を提供し、第三セットの投与単位は、第三の間隔の間に37.5mg/日を提供し、第四セットの投与単位は、第四の間隔の間に50mg/日を提供する、投与単位;および
b)使用説明書;
を備える、キット。
【0140】
25. 24.に記載のキットであって、
第五セットの投与単位
をさらに備え、該第五のセットは、第五の間隔の間に75mg/日を提供する、キット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造:
【化1】

を有する化合物を含んでなる、高コレステロール血症または高脂血症に関連する疾患に罹患している被験体を処置するための医薬組成物であって、
a. 該化合物は、段階的漸増用量レベルで投与され、それぞれの段階的漸増用量レベルは、それぞれにおいて4週間それぞれ患者に投与され、該段階的漸増用量レベルは、5mg/日2週間、10mg/日4週間および20mg/日4週間を含んでなり、
b. 被験者の食事の脂肪摂取が制御される、
上記組成物。
【請求項2】
患者が、ホモ接合性家族性高コレステロール血症またはヘテロ接合性家族性高コレステロール血症に罹患している、請求項1記載の組成物。

【公開番号】特開2012−232995(P2012−232995A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−160413(P2012−160413)
【出願日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【分割の表示】特願2007−502093(P2007−502093)の分割
【原出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(504074710)ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア (20)
【Fターム(参考)】