説明

高解像度生体認証用画像の取得

皮膚表面の位相的特徴の画像を取得する装置100に関する。この装置100は、入口端604ならびに上面610および底面612を有する導波路405と、光ビームを前記導波路の入口端に導くように構成された光源205と、導波路405の上面610または上面付近に配置された皮膚接触層807と、導波路405の上面610または底面612に配置され、光源205から入射する光ビーム207を皮膚接触層807へと回折させるように構成されたホログラフィック光学素子(HOE)410と、皮膚接触層807と接触している皮膚表面から反射された光を検出するように構成されたセンサ・アレイ215と、温度に起因するHOE410のブラッグ・マッチング条件の変化を補償する手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本件出願は、2003年6月21日出願の米国特許仮出願第60/480,008号、2003年11月13日出願の米国特許仮出願第60/519,792号、および2003年11月11日出願の米国特許仮出願第60/523,068号の利益を主張する。本件出願は、代理人事件番号3174.1012−006にて2004年6月21日付で本件出願と同時に出願された発明の名称「生体認証用画像を処理する方法および装置(Method and Apparatus for Processing Biometric Images)」のPCT出願に関連する。上記各出願の全内容は、参照によって本明細書に引用したものとする。
【背景技術】
【0002】
国内治安に対する関心の増大に伴い、個人をクレジットカード、運転免許証、パスポート、および他の形式の身分証明の正規の保有者として確実に識別することの必要性が極めて重要になっている。理想的な識別プロセスは、高信頼性であり、高速であり、かつ比較的安価である。そのような識別プロセスは、ネットワーク化することにより高速かつ効果的な情報の共有を可能にする最新の高速電子装置をベースとすべきである。さらに、空港のセキュリティ・ステーション、税関および国境検問所、警察車両、家庭および職場のコンピュータ設備、ならびに安全な建物の入口管理場所など、さまざまな環境において好都合に利用できるよう、小型で、可搬性を有し、堅牢でなければならない。
【0003】
広く利用されている識別方法は、指紋を前もって得ておいた個人の真正の指紋と比較することである。従来から、指紋はインクを付けた指を白紙上で回転させることによって採取されてきた。この従来のプロセスでは上述の条件を満足できないことが明らかであるため、最近のセキュリティ要求に対処するために、指紋を電子的に画像化する方法を利用するさまざまな試みがなされてきた。それら最近の提案はすべて、ディジタル方式で指紋の画像を取得するため、主要な構成要素として容量センサまたは光学センサなどの固体素子を使用している。指紋識別装置の一部として新しい種類の固体撮像装置を使用することによって、指紋を例えばセキュリティ・チェックの際に好都合かつ高速に収集し、次いでほぼリアルタイムで、セキュリティ・チェック地点のコンピュータ、安全であるが可搬または着脱可能である記憶装置、あるいは遠隔のネットワーク・サーバ上に存在する電子データベース内の、前もって記憶したディジタル指紋との相関を取ることができる。
【0004】
典型的な指紋は、谷線によって隔てられた隆線のパターン、および隆線に沿って位置する一連の毛穴(汗腺の出口が開いている部分)を含む。隆線は、通常は幅が100〜300μmであり、数mm〜1cm以上にわたって渦巻状に延びる。これらの隆線は、典型的には約250〜500μmである隆線−谷線周期で、谷線によって隔てられている。毛穴は、ほぼ円形断面であって、直径は約60μm〜240μmの範囲にあり、隆線に沿って整列しており、接触またはほぼ接触している2つ以上の毛穴群に分離されてグループ化できる。典型的には、隆線の長さ1cm当たり約21個の発生頻度で、指紋の領域内に400個を超える毛穴が存在する(Roddy A.およびStosz J.のIEEE会報、85巻、9号、1390〜1421頁(1997年)を参照)。現在の指紋識別手順のほぼすべては、隆線/谷線の特徴点パターンのみを使用している。それらは、端点、三角点、分岐点、交差点、および島など、まとめて特徴点と称される隆線/谷線の特徴パターンとして、単純化されて識別される。通常は、必要とする固有の特徴点の特徴を得るために、例えば0.50×0.50インチなど、比較的大きな面積の指紋が必要とされる。したがって、最新の指紋撮像装置の大部分は、最大で完全な1インチ平方またはそれ以上を使用して十分な特徴を得ることにより、有用な識別手段を達成する。指紋の比較には、この特徴点パターンの単純化表現を主に使用する。
【0005】
毛穴を満足に画像化するにはさらに厳しい解像度要件が求められるため、指紋の所定面積内の毛穴の数が特徴点の数よりも7〜10倍も多く存在している場合でも、指紋の識別に毛穴を用いる市販の装置は、今のところ存在しない。典型的には、0.1×0.1インチの大きさの指紋画像は、おそらくは特徴点を2〜5点しか含んでおらず、個々の個人を高い信頼性で識別するには十分でない。一方で、同一面積には、典型的には40〜50個の毛穴および数千の隆起線の詳細が含まれており、数点の特徴点と合わせて、個人を高い信頼性で確実に識別できる。
【0006】
指紋画像を生成する目的で提案されている光学設計の大部分は、それらの生体への適用における有用性を減じる重大な限界を有する。多くの設計は、例えば指紋における毛穴パターンまたは隆線および谷線の交差部形状の細部を解像するのに適していない。他の設計は指紋の相関を複雑にする歪み画像を生成し、さらに他の設計は大きすぎるかあるいは脆く、現場の使用に適さない。
【0007】
装置の全体寸法を低減する光学設計の1つは、ホログラムを用いて光を所望の方向に回折する。そのような装置に共通の限界は、入射光の角度および波長に関して、ターゲットの位相的表面(topological surface)の照明強度が温度の変化に敏感である点にある。
【0008】
したがって、広い温度範囲にわたって高い信頼性で動作する小型かつ高解像度の装置へのニーズが存在する。
【発明の開示】
【0009】
本発明は、例えば皮膚上に存在するあらゆる表面トポロジーの画像を取得する装置および方法に関し、このような皮膚上の表面トポロジーは、例としては回転させたおよび/または押し付けられた指紋、掌紋等などであってもよいが、以下では便宜上、指紋と称する。
【0010】
一実施形態においては、本発明は、指紋画像を取得する装置であって、入口端ならびに上面および底面を有する導波路、光ビームを前記導波路の入口端に導くように構成された光源、前記導波路の上面または底面に配置され、あるいは前記導波路の上面または底面の付近に配置された皮膚接触層、前記導波路の上面または底面に配置され、前記光源から入射する光ビームを前記皮膚接触層に回折させるように構成されたホログラフィック光学素子(HOE)、および皮膚と前記皮膚接触層との間の界面から反射された光を検出するように構成されたセンサ・アレイを有する装置である。前記HOEは、格子を有する層、および前記格子層と接する少なくとも1つの支持層を備えており、前記格子層および前記少なくとも1つの支持層は、ほぼ同一の熱膨張係数または熱光学係数あるいは両者を有している。
【0011】
別の実施形態においては、本発明は、皮膚表面の位相的特徴(topological feature)の画像を取得する装置であって、入口端ならびに上面および底面を有する導波路、光ビームを前記導波路の入口端に導くように構成された光源、前記導波路の上面または底面に配置され、あるいは前記導波路の上面または底面の付近に配置された皮膚接触層、前記導波路の上面または底面に配置され、前記光源から入射する光ビームを前記皮膚接触層に回折させるように構成されたホログラフィック光学素子(HOE)、皮膚と前記皮膚接触層との間の界面から反射された光を検出するように構成されたセンサ・アレイ、および温度の変化に起因する前記HOEのブラッグ・マッチング条件の変化を補償する手段を有する装置である。
【0012】
一実施形態においては、本発明は、皮膚表面の位相的特徴の画像を取得する装置であって、入口端ならびに上面および底面を有している導波路、光ビームを前記導波路の入口端に導くように構成された光源、前記導波路の上面または底面に配置された皮膚接触層、前記導波路の上面または底面に配置され、前記光源から入射する光ビームを前記皮膚接触層へと回折させるように構成されたホログラフィック光学素子(HOE)、および皮膚と前記皮膚接触層との間の界面から反射された光を検出するように構成されたセンサ・アレイを有する装置である。HOEは、少なくとも2つの同位置多重ホログラムを含む。
【0013】
一実施形態においては、本発明は、皮膚表面の位相的特徴の画像を取得する装置であって、入口端ならびに上面および底面を有する導波路、光ビームを前記導波路の入口端に導くように構成された光源、前記導波路の上面または底面に配置された皮膚接触層、前記導波路の上面または底面に配置され、前記光源から入射する光ビームを前記皮膚接触層に回折させるように構成されたホログラフィック光学素子(HOE)、皮膚と前記皮膚接触層との間の界面から反射された光を検出するように構成されたセンサ・アレイ、および前記光源の波長を変化させる手段を有する装置である。
【0014】
一実施形態においては、本発明は、皮膚表面の位相的特徴の画像を取得する装置であって、入口端ならびに上面および底面を有している導波路、光ビームを前記導波路の入口端に導くように構成された光源、前記導波路の上面に配置された皮膚接触層、前記導波路の上面または底面に配置され、光ビームを前記皮膚接触層へと回折させるように構成され、ブラッグ・マッチング条件を有するホログラフィック光学素子(HOE)、皮膚と前記皮膚接触層との間の界面から反射された光を検出するように構成されたセンサ・アレイ、および温度の変化に起因する前記HOEのブラッグ・マッチング条件の変化を補償する手段を有する装置である。光源は広域波長スペクトルの光源であって、この光源の波長がHOEを復元できる。
【0015】
一実施形態においては、本発明は、皮膚表面のトポロジーの画像を取得する方法であって、皮膚表面の位相的特徴の画像を取得する装置により皮膚表面画像を受け取ることを含み、前記装置はブラッグ・マッチング条件を有するホログラフィック光学素子(HOE)を備えており、光ビームを前記HOEに導くことにより、光ビームを回折させ、回折させた光ビームを皮膚と皮膚接触層との間の界面に導いて、光ビームを反射させ、温度に起因する前記HOEのブラッグ・マッチング条件の変化を補償し、反射させた光を検出して、前記装置によって皮膚表面の位相的特徴の画像を取得する。
【0016】
なお、上述の実施形態の例は、対応する方法または装置の実施形態を含む。
【0017】
好ましくは、本発明の装置は小型で、広い動作温度範囲を有し、有利には標準的な特徴的構造に加えて毛穴構造の特徴および隆線構造の形状の細部の特徴も取り込む画像の取得を可能にする。本発明者らは、毛穴を隆線の形状の細部および通常の特徴点と組み合わせて使用することで、指紋の比較の信頼性が大幅に向上し、受入れの誤り率を大幅に引き下げることができ、0.1×0.1インチといった狭い指紋サンプル面積を使用して確実な識別を実現できることを示した。
【0018】
本明細書において、生体認証画像の取得に用いられる測定器のさまざまな実施形態の例を説明する。これらの実施形態はさらに、測定器の代替の実施形態を含み、ならびに代理人事件番号3174.1012−006にて本件出願と同時出願された発明の名称「生体認証用画像を処理する方法および装置(Method and Apparatus for Processing Biometric Images)」の関連出願に開示されている測定器などのような、測定器により取得される生体認証用画像を取得し、モデル化し、前処理し、および処理するさまざまな実施形態を含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
指紋生体認証についての本発明の好ましい実施形態を以下に説明する。なお、本発明の原理、ならびに以下で説明する方法および装置の好ましい実施形態の例は、耳の形状および構造、顔または手のサーモグラム、虹彩または網膜の構造、筆跡、指紋、掌紋、足跡、つま先の跡、または毛を含む皮膚の他の領域の跡などの、他の生体認証にも適用可能である。
【0020】
図1は、本発明の原理による指紋センサの実施形態が使用されるシステムの図である。指紋センサ100は、指紋撮像装置110および指紋カメラ120を有する。撮像装置110およびカメラ120は、単一「ボックス」内で機械的、電気的、および光学的に接続できる。指105または皮膚の他の位相的表面は、指紋撮像装置110上の撮像装置110に「視認可能」な位置に配置され、カメラ120によって指紋または皮膚の他の位相的表面115の情報を取得し、代理人事件番号3174.1012−006にて2004年6月21日付で本件出願と同時に出願された同時係属のPCT出願に記載された処理によって指紋115をモデル化する。
【0021】
さらに図1を参照すると、指紋カメラ120は、制御チャネル/データ・リンク125を介してローカル・コンピュータ130と双方向通信するためのインタフェースを備えている。指紋カメラ120は、画像データ160をローカル・コンピュータ130に送信し、ローカル・コンピュータ130が、制御データ165または画像データ125を含む他の情報を、リンク125を介して指紋カメラ120または撮像装置110に送信できる。
【0022】
ローカル・コンピュータ130は、モデル化、認証、および許可などの、画像データ160に適用されるさまざまな処理能力を備えている。ローカル・コンピュータ130は、ローカル・リンク132を介してローカル・データベース135と通信する。画像データおよび関連モデル170が一括して、ローカル・リンク132を介してローカル・コンピュータ130とローカル・データベース135との間で通信される。さらに、管理データなどの他のデータもローカル・リンク132を介して通信し、後の検索のためにローカル・データベース135に格納できる。
【0023】
さらに、ローカル・コンピュータ130は、インターネットなどのコンピュータ・ネットワーク140を介してリモート・コンピュータ150と通信できる。画像データおよび関連モデル170は、ネットワーク通信リンク145を介して、ローカル・コンピュータ130、コンピュータ・ネットワーク140、およびリモート・コンピュータ150の間で通信される。リモート・コンピュータ150は、リモート・データベース・リンク152を介してリモート・データベース155と通信する。
【0024】
リモート・コンピュータ150は、ローカル・コンピュータ130の処理の一部またはすべてを備えることができ、あるいはリモート・データベース155からの画像データおよび関連モデル170の遠隔での検索、または指紋の生の画像の認証などの他のサービスを備えることができる。
【0025】
多くの理由から、現場操作、セキュリティ・システム、販売時点管理(POS)の用途、および他の用途などにおいて使用するため、指紋センサ100を可能な限り小さなパッケージに設計することが有用である。しかし、小型パッケージであっても、指紋撮像装置110およびカメラ120は、好ましくは指紋または皮膚の他の位相的表面115の画像を高解像度で取り込むように設計される。小型のパッケージ・サイズを達成する1つの方法は、光学設計によるものである。例えば、撮像装置110は、ホログラフィック光学素子(HOE)を備えることができる。HOEにより、指紋カメラ120を画像化される指紋115に十分近く配置して、大型の集光光学系または他の結像光学系を用いることなく、指紋115の画像特徴を、指紋の特徴点と指または皮膚の他の位相的表面が置かれる表面との間の光学的接触の度合いの関数として検出できる。
【0026】
ホログラフィック光学素子により、指紋撮像装置110、したがって指紋センサ100のサイズを最小化できるが、HOEは、一般に温度に敏感であり、温度がセンサの光学素子の動作に影響を与える可能性がある。したがって、HOEの温度感度を補償することが、指紋115の正確かつ高解像度の画像を取得するのに有用である。HOEの温度感度の補償は受動的または能動的のいずれであってもよく、これについては後に詳細に説明する。あるいは、HOEおよび必要であれば他の光学部品を、一定温度または適正な狭い温度範囲に温度制御してもよい。そのような温度制御にはいくつもの方法を採用でき、例えば、閉ループ制御のための完全な比例−積分−微分フィードバックを利用する熱電冷却装置(HOE内の第2波長吸収器)などを使用する制御を挙げることができる。
【0027】
図2は、指紋センサ100の階層図を示している。指紋センサ100は、図1で説明したとおり、指紋撮像装置110および指紋カメラ120を備える。それぞれについて順に説明する。
【0028】
指紋撮像装置110は、光源205、光学系210、および随意に能動制御回路/素子225を備える。光源205は、レーザ・ダイオードなど、HOEと共に効果的に作用するコヒーレントな光源であってよく、あるいは非コヒーレントな光源であってよい。光学系210は、スラブ導波路、波長板、偏光子、およびレンズなどの非HOEの光学素子250、ならびにホログラムを含んでいる少なくとも1つのHOE410を備える。
【0029】
随意の能動制御回路/素子225は、角度コントローラ230およびアクチュエータ235を備えることができる。アクチュエータは、直流(DC)モータ、ステッピング・モータ、ピエゾ−電気アクチュエータ、または光源205を指紋センサ100において用いるのに十分は精度で各位置および/角度に移動でき、かつそれに適合できる他の電気−機械装置であってもよい。さらに、撮像装置110内では波長コントローラ240を使用でき、この波長コントローラ240を用いて光源205の波長を変化させて、これによりHOEのブラッグ・マッチング条件角度の温度に起因する変化を補償できる。さらに、撮像装置110は電力コントローラ245を使用して、光源205の出力および/または波長を制御することにより、指紋115の露光レベルを制御できる。
【0030】
指紋カメラ120は、センサ・アレイ215および電子回路220を備えている。センサ・アレイ215は、電荷結合素子(CCD)または相補型金属酸化物半導体(CMOS)であってよく、複数の画素を矩形または正方形のパターン、あるいは他の適切なパターンに配置して有し、指紋センサ100での使用に十分の微細な解像度を実現している。電子回路220はセンサ・アレイ215に接続され、画素データを受け取って処理する。電子回路には、例えばプロセッサ、メモリ、A/D変換、可変のシャッタおよび/または積分時間のための回路、およびセンサ・データ通信インタフェースを含む。
【0031】
なお、図2の階層図は単なる例示であり、追加またはより少数の構成要素を含む別の方式で構成して、本発明の原理を実現することができる。
【0032】
図3は、指紋センサを一般化して示した概略図であり、図2で導入した構成要素の部分集合を含む。指紋センサ100の撮像装置110は、光学系210内に伝播する光ビームを放射する光源205を含む。アクチュエータ235を光源205に機械的に接続(直接または間接に)し、光ビームを角度制御して光学系210内に導くことができる。図2に関する上述の説明のとおり、能動制御回路225は、アクチュエータ235および/または光源205に制御信号を供給する。能動制御回路225の角度コントローラ230はアクチュエータ235に駆動信号396を供給して、光ビームを光学系210に導くことができる。角度コントローラ230は、制御および調節の目的のため、アクチュエータ235からのフィードバック信号396、またはカメラ・ロジック330からのフィードバック信号395を受け取る。カメラ・ロジック330は、例えば1つまたは複数のフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プログラマブル論理装置(PLD)、および/またはマイクロプロセッサ(μP)を含む電子処理回路の任意の集合体で構成できる。能動制御回路225の電力コントローラ245は駆動電力信号393を光源205に供給して、光学系210に入射する光の強度を調節できる。電力コントローラ245は、制御および調節の目的のため、光源205からのフィードバック信号393、またはカメラ・ロジック330からのフィードバック信号392を受け取る。能動制御回路225の波長コントローラ240は駆動信号398を供給して、光源205から放射される光の波長を制御できる。波長コントローラ240は、制御および調節の目的のため、光源205からのフィードバック信号398、またはカメラ・ロジック330からのフィードバック信号391を受け取る。
【0033】
この実施形態においては、フィードバック信号391、392、または395、あるいはこれらのいずれかの組み合わせが、カメラ・ロジック330によって能動制御回路225に供給される。一般的なフィードバック制御システムの場合と同様、フィードバック信号は、実際の信号レベルと画像化動作に対応する所望の信号レベルとの差の関数として、カメラ・ロジック330またはマイクロプロセッサ335によって生成される。
【0034】
例えば、指紋センサ100の場合においては、フィードバック信号395は、光源205から放射され、指紋の位相的表面上を照射する光ビームの角度誤差(すなわち、HOEに入射する特定波長の光についてのHOEのブラッグ・マッチング条件からのずれ)を表わし、この角度誤差は、光学系210への温度の影響によって生じる。カメラ・ロジック330またはマイクロプロセッサ335は、センサ・アレイ215からの画像データに基づき、フィードバック信号395を決定する。センサ・アレイ215により生成される画像データは、フィードバック制御の目的のため、センサ・アレイ内の特定の画素からの強度データ、またはセンサ・アレイ内の画素の集合からのデータ、あるいはそれらの任意の組み合わせを含むことができ、あるいはフィードバック制御に使用される前記画像データは少なくとも1つの個別の独立したセンサ386(複数のセンサを含むことができる)により生成し、信号387をカメラ電子回路220に供給してフィードバック制御できる。センサ・アレイ215は、フィードバック制御の目的のため、カメラ電子回路220に信号385を供給する1つまたは複数の画素を含む追加の光検出領域380を、センサ・アレイ215内の画像化画素のアレイと別個に有することもできる。
【0035】
さらに、カメラ電子回路220は制御信号325をセンサ・アレイ215に供給して、この信号を指紋の特徴または皮膚表面の他の位相的特徴の画像化の際に使用できる。カメラ電子回路はさらに、画像取得後に画像データを格納するシステム・メモリ345を含むことができる。さらに、システム・メモリ345は、指紋画像の処理の際の画像データまたは部分画像データの格納のサポートを提供できる。さらに、カメラ電子回路220は、マイクロプロセッサ335をサポートするマイクロプロセッサ・メモリ355を備えることができる。マイクロプロセッサ335およびそのメモリ355を利用して、例えば画像データを処理し、あるいはフィードバック・パラメータを計算してフィードバック信号391、392もしくは395またはそれらの組み合わせを決定できる。さらに、カメラ電子回路220はインタフェース回路360を備えることにより、通信リンクを介してローカル・コンピュータ130と通信して、画像データ125および指紋センサ制御情報165(図1を参照)を転送できる。インタフェース回路360は、カメラ・ロジック330、マイクロプロセッサ335、もしくはシステム・メモリ345、またはそれらの任意の組み合わせと、直接通信できる。
【0036】
図4は、本発明の装置の一実施形態の概略図である。光源205は、好ましくはコヒーレントな光ビーム207を発生する。光ビーム207は、入口端面604に対してある角度で導波路405に入射し、導波路405の底面612の方向に屈折し、図4において光経路1から1’の反射によって示されているように、基板−空気の界面における内面全反射(TIR)によって導波路405を通って導かれる。光ビーム207は、ホログラフィック光学素子(HOE)410と導波路405との間の界面に進行し、この地点で、光ビーム207の一部が、HOEによって導波路上面610に対してほぼ直角に回折され、カバー・プレート415を通って指105が置かれる表面に衝突する。図4の挿入図を参照すると、検査対象の皮膚表面のトポロジー(例えば、指紋)は符号115で示されている。前記皮膚のトポロジーは、指紋撮像装置の上面(この実施形態においては、カバー・プレート415の上面)と接している位置420と、カバー・プレート415の上面と接していない他の位置421とを有する。非接触位置421においては、回折光422は、カバー・プレート−空気の界面において部分的に反射され、この反射光423が、HOE410を通過して戻るように導かれ、導波路基板405を通過してセンサ・アレイ215に導かれる。カバー・プレート415と指紋115との界面における反射は、指紋の隆線構造など皮膚表面の位相的な部分がカバー・プレートと光学的に接触する位置420において抑制される。カバー・プレートと接触するこのような位相的な部分は、指紋の隆線構造には限定されず、代わりに、掌、親指、つま先、他の皮膚表面、などの隆線構造を含むことができる。これらの位置から発生する残りの反射光、例えば、カバー・プレート415と接触する皮膚表面の位相的表面構造からの散乱反射光などは、これら接触領域の画像をカメラ120に伝搬する。
【0037】
なお、本発明の装置の実施形態(例えば図4に示した実施形態)では、平行な上面610および底面612を有する導波路405を示しているが、別の実施形態を考えることもできる。例えば、一実施形態においては、導波路が曲面を有してもよい。曲面は円錐であってよく、掌紋を採取される対象者は自身の掌を円錐の外表面に巻き付ける。別の実施形態においては、導波路は内面に接触可能な円錐であって、対象者は、自身の指をそのような内表面に接するように置く。したがって、本明細書において用いられるとき、用語の「導波路上面」とは一般に、導波路の皮膚に近接する表面、すなわち皮膚と接する表面を指す。本明細書において用いられるとき、用語の「導波路底面」とは、導波路のセンサ・アレイに近接する表面、すなわち皮膚に近接する表面とは反対側の表面を指す。
【0038】
少なくとも1つの支持層に付着された感光性ポリマー記録媒体を有するホログラフィック光学素子(HOE)を使用することによって、解像度を犠牲にすることなく小型設計が可能になる。しかし、ホログラフィック光学素子の特定の重要な特性は、温度に極めて敏感なことである。図5に示した透過ホログラムについては、ホログラムによって回折される光の割合は、光の波長、およびそのHOE410と導波路405の界面における入射角θの両者に依存する。適正な回折効率は、HOEの記録状態の角度、ホログラム媒体の厚さ、およびHOEの記録に用いた光の波長(これらが全体として、いわゆるブラッグ選択性すなわちブラッグ・マッチング条件を決定する)、ならびにHOEの復元に使用される光の波長によって決定される、小範囲の波長および角度においてのみ生じる。波長および入射角度について適正な調節がなされない場合、ホログラムの屈折率、格子間隔および格子角度への温度の影響のため、数度の温度変化であっても、単一ホログラムのホログラフィック回折を大きく減じ、完全になくしてしまうこともある。
【0039】
図5を参照すると、温度T=Tにおける回折光の強度は、特定の波長λについて、HOEへの入射角θにピークを有する。温度がT=TからT=Tに、さらにT=Tに変化するとき、z軸に沿った固定の位置における回折光の強度のピークは、固定の入射波長λについて、入射角θから入射角θに、さらに入射角θに移動する。その結果、z軸に沿った固定位置zの方向に回折される光の強度が低下し、したがって信号対雑音(SNR)比が大きく低下する。同様に、温度がT=TからT=Tに、さらにT=Tに変化するとき、回折光の強度のピークは、同一入射角度θについて、波長λからλに、さらにλに移動する。現場において使用する実際の装置は、動作温度の変化を除去するか、あるいは光ビーム1の入射角度θもしくは波長または両方を変化させることによって温度変化を補償しなければならず、あるいは簡単かつ高速な角度θの整列機能を備えなければならない。
【0040】
したがって、一実施形態において、本発明の指紋を取得する装置は、伝播光の入射角度(図5のαもしくはθのいずれか)または波長を自動的に変化させることによって動作温度の変動を補償し、センサ・アレイにおける適正なSNRを維持する。
【0041】
図6Aおよび6Bには、本発明の装置の一実施形態が示されている。レーザ・ダイオードなどの光源205が、レンズ素子602の前面に、好ましくはレンズ素子602の焦点に位置(レンズ素子602から距離fに位置)しており、さらにレンズ素子602は、固定手段606によって導波路405の入口端面604の前面に保持されている。本明細書において用いられるとき、用語の「レンズ素子」は、レンズのような光学的機能を有する1つまたは複数の素子を指し、単独または組み合わさって作用して、光の入射ビームの波面の曲率を変化させることによって光の入射ビームを変化させる。レンズ素子602は、例えば、複数のレンズを含んでもよい。
【0042】
光源205およびレンズ素子602の両方は、台座662に対して取り付けられる。指紋センサの温度がT=TからT=Tに変化するとき、HOE410の格子周期、格子傾斜角、および平均屈折率が変化し、さらに導波路405の構成材料の屈折率も変化する。この結果、特定の読み取り波長λについて、温度TがT=TからT=Tに変化するとき、入口端面604の面法線605に対して必要な入射角度はHOE410のピーク回折効率を維持するようにαからαに変化する。この入射角度を変化させるには、固定具606および608の長さおよび熱膨張係数を選択することにより、温度TがT=TからT=Tに変化したときに、レンズ素子602の中心および光源205の中心の(y軸における)高さの相対差が変化して、ビーム207の入射角度が入口端面604においてαからαに変化するようにすることができる。このとき、以下の関係が成立する。
【0043】
【数1】

【0044】
ここで、ΔT=T−Tであり、CTEおよびCTEは、それぞれ光源(例えば、レーザ・ダイオード)の固定具およびレンズの固定具についての熱膨張係数である。
【0045】
なお、温度の上昇に伴い膨張する材料は、温度が低下すると収縮する(あるいはその逆)のが望ましい。したがって、本明細書に用いられる用語の「熱膨張」は、温度変化に伴い体積または長さが変化することを意味する。
【0046】
この一般概念の別の実施形態としては、これらに限定されるわけではないが、レンズ素子602をy方向に平行移動させること、導波路405をy−z平面内で傾けること、および/または光源205が平行ビームを出力している場合に光源205を移動または傾斜させることが挙げられる。この後者の実施形態においては、レンズ素子602が光源205に組み込まれている。これらの運動はすべて、これらの光学部品の機械的固定具を構成する構造要素の寸法の温度によって引き起こされる変化によって、自動的に達成できる。これらの運動は、任意の組み合わせで実行でき、当業者であればこのような機械的固定具の適切な材料および寸法を選択できるであろう。
【0047】
再び図3を参照し、さらに図6Cおよび挿入図を参照すると、本発明の指紋装置はさらに、モータなどの電子制御アクチュエータ235を有し、このアクチュエータ235を利用して、レンズ素子602の垂直位置を光源205の光学軸に対して変化させることによって、あるいは図6Cの挿入図においてT=Tにおけるy=Δyの高さ位置への光源の垂直移動によって示されているとおり、光源205の垂直位置をレンズ素子602の光学中心に対して変化させることによって、入射角αを調節することができる。図6Cに示されているとおり、電子アクチュエータは2つの別個のモータ620および621によって表わされており、これらモータはレーザ源205およびレンズ素子602をそれぞれy方向に駆動することにより、入口端面604における入射角の変化を達成する。当業者にとっては、アクチュエータを駆動する信号を得ることができる多数の手段が存在し、したがって図6Cおよびその挿入図に示されている方法は、例示を意図するものであって、これに限定されるものではないことが明らかである。詳細には、指との接触による局所的な温度変化または周囲の温度の変化が原因となるため、フィードバック源として、ホログラムによる回折光を使用することが望ましい。
【0048】
例えば、光線630を導波路で屈折させることができ、光線630aとなる。光線630aがHOE410内で回折すると、回折ビーム630bは、表面637にほぼ垂直に入射して伝播し、皮膚接触層807上の1つまたは複数の位置において反射面633に衝突し、この反射面633が光を反射し、その結果光線630dはセンサ・アレイ215の特定の画素380に入射する。あるいは、光線630dを、この目的のために特に設けられた別個のセンサ・アレイまたはフォトダイオードなどの別個の検出器に導くことができる。図6Cを参照すると、次に、画素380または他のセンサ・アレイもしくは検出器からのフィードバック信号を用いて、システムの入射角αを調整できる。代替の実施形態、あるいはこの実施形態と組み合わせた実施形態では、光線630aの非回折部分はHOE410と皮膚接触層807との界面において反射され、導波路の端部690または端部近くに配置された検出器635の方向に導かれる。さらに別の実施形態においては、入口端面604に入射する光線631は、HOE410において回折する光線631aに屈折され、回折ビーム631bの強度は検出器634で監視される。検出器画素380からの信号と同様に、検出器634および635からの信号を監視し、この信号を用いて光学系の性能を最適化することができる。これにより、指紋センサの温度の変動にかかわらず、HOEは光源205へのブラッグ・マッチングを維持することが保証される。一実施形態においては、光線の回折および非回折部分630bおよび630cの反射からの信号は、別個の検出器によって監視でき、また合計信号に正規化された差分信号を得ることにより、温度変化を補償するのに必要とされる設定点に対する調節の大きさおよび方向の両者に関するフィードバック情報を提供できる。別の実施形態においては、さらに検査される皮膚表面の領域の外側の別の位置において皮膚接触層807に入射する回折光の強度は、それら別の位置に検出器を配置し、あるいはそれら別の位置から鏡面反射された光を検出できる位置に検出器を配置することによって監視できる。非回折光の強度は、内面反射の経路が導波路405の端部690などの他の表面の存在によって終端する種々の位置において監視してもよい。
【0049】
あるいは、図7Aの説明に関してさらに詳しく述べるとおり、サーボ・フィードバック信号を生成するために、第2のホログラムを、HOE410の主ホログラムの近傍に位置するように記録できる。一実施形態においては、この第2ホログラムを、同位置で多重化することによって、主ホログラムと同一位置に配置できる。
【0050】
図6Dを参照すると、本発明の装置の別の実施形態が示されている。詳細には、入口端面604は、入射光線630が導波路405の底面612に向かって光線630aとして屈折するように設計されている。導波路405の底面612の一部を、符号614が付されている反射層(例えば、金属被膜)でコーティングできる。反射層614は、底面612に生じる汚れおよび他の欠陥または汚染から導波路405を保護する役割を果たす。そのような欠陥が存在する場合は、欠陥の位置において内面全反射が妨げられるなどにより、反射ビーム630eに収差および不均一なビーム強度の領域が生じる可能性があり、センサ・アレイ215によって収集される画像の品質が損なわれる恐れがある。反射層614は、好ましくは、表面612における入射光の第1反射領域を保護するのに必要な範囲だけに広がる。反射層614のz方向の範囲は、光線(例えば光線630d)のセンサ・アレイ215への到達を妨げてはならない。
【0051】
別の実施形態においては、導波路405は、図6Dに示すとおり端部690に光トラップ655を備える。光トラップ655は、端部690に入射する光のほぼすべてを吸収し、端部690で反射される光を最小にできるように設計されている。そのような反射(例えば、HOE410によって回折されなかった光線630e)を抑制することによって、検査対象の皮膚トポロジーを照射する目的以外の光の量、および/またはセンサ・アレイ215へと入射する目的以外の光の量が最小化される。これらの目的以外の光を低減しなければ、指紋システムのSNRが低下することになる。
【0052】
図6Eに示されている別の実施形態においては、入口端面604が、HOE410のホログラム位置の照射を最適化するように光学的に機能する。図6Eでは、図の入口端面604は光学素子660を備えている。この実施形態においては、レンズ素子602(図6A〜6Dを参照)を取り除くことができる。例として、入口端604の光学的機能を、レーザ・ダイオードなどの光源205が有る特定の開き角度範囲θを有する光を出力するように動作して、HOE410を最適に照射するように設計できる。
【0053】
種々のアルゴリズムを用いて、アクチュエータ235の制御を実現できる(図3)。当業者には、指紋装置およびそのコンピュータ制御に最適な温度補償の方法の適切な選択は自明であろう。例として、装置の初期校正の間に既知温度において入射角度αを一度設定すれば十分である。次いで、アクチュエータ・コントローラに命令を与えて、温度によって引き起こされるHOEのブラッグ・マッチング条件の変化、ならびに回折光の強度およびセンサ・アレイ215の照度に対応する変化に応答して、制御下にある構成素子を一方向に動かすことがきる(図4および図6Cを参照)。照度が低下する場合は、アクチュエータの動きの方向を反転させて、HOEの最大回折効率に対応する最適な角度αを見出すことができる。検出された強度が、角度αの調節の関数としてのピーク値を横切ると、アクチュエータを、検出された照度のピーク値に対応する位置に戻すことができる。あるいは、連続的な補償が望ましい場合は、アクチュエータを、検出された強度のピーク値を横切って上下させることができる。このように、ここで説明したアルゴリズムは、検出照度がピーク値を横切ったときに方向を反転させるように常にアクチュエータを制御する。往復の振幅は、センサ・アレイにおいて結果として検出される強度の変化が、検出のために充分大きいが、取得される指紋画像のSNRに有害な影響をもたらすほどには大きくないように、制御される。
【0054】
一実施形態においては、追加のホログラムを用いてアクチュエータを制御する。図7Aに示す一実施形態においては、2つの追加のホログラム702および704が、HOE410またはその近傍に配置される。ホログラム702および704は、図7Bに示すとおり、それらのブラッグ角度選択性のピークは、ブラッグ・マッチィングHOE410の角度(αHOE)を中心としてそれぞれ反対の方向にずれ、それぞれホログラム702および704についての入射角度α=αおよびα=αに一致しているように記録されている。ホログラム702および704から回折された光ビームは、それぞれ2つの専用のセンサ720および722、またはセンサ・アレイ215の専用の領域によって検出される(図示されていない)。専用のセンサ720および722は、例えば、z軸に沿った位置に配置され(あるいは、センサ・アレイ215の専用の領域の位置が選択される)、それぞれホログラム702および704によって回折された光の強度を独立に検出する。センサ720および722は、ホログラム702および704によって回折された光の強度を検出するように配置でき、あるいは代わりに、前記ホログラムからの回折光の強度を、回折光が皮膚接触層807の上面726で反射した後に検出するように配置できる。好ましくは(必須ではないが)、α、αHOEおよびαを調節して、ホログラム702および704によって回折されそれぞれの専用のセンサによって検出される光ビームの強度が、それぞれのホログラムのブラッグ・マッチング条件の入射角度においてほぼ等しくなる(図7Bにおいて同じ高さのピークで示されている)ようにする。図7Bから明らかなように、α<αHOE<αである。結果として、図7Cに示すとおり、HOE410ならびにホログラム702および704のブラッグ・マッチング条件の角度がTからTへの温度変化によって変化するとき、ホログラム702および704から回折されて専用のセンサ720および722で検出される光ビームの強度は、温度Tにおいて同一入射角度αについて検出されるそれぞれの強度と異なる。この強度の差を用いて、制御信号393、396もしくは398、またはこれらの組み合わせを計算できる。なお、ロジック330は、専用領域からの信号を受け取り、強度の差を処理するように設計される。
【0055】
別の実施形態は、HOEの感光ポリマー媒体内に多重ホログラムを記録して使用することを含む。多重ホログラムは、それらホログラムのブラッグ選択性が、実質的に重なり合うように記録される。多重ホログラムを同位置に記録して使用することによって、温度の変化、整列の変化もしくは波長の変化、またはこれらの組み合わせに対する、本発明の装置の感度を大幅に低減できる。多重ホログラムは、例として、平面角多重化方法によって、記録角度の増分が各多重化ホログラムのブラッグ選択性の幅よりも小さくなるようにして多重化できる。あるいは、それらホログラムをビーム間角度または波長を変化させることによって多重化することにより、各多重化ホログラムの格子周期がわずかに異なり、そのような1ホログラムの角度または波長の選択性の特性が他のホログラムと部分的に重なり合うようにできる。多重ホログラムの光学的重畳は、角度および波長についてHOEの広がった非同調特性をもたらし、したがって波長、整列、または温度が変化したときに、素子の回折効率がより均一になる。この種のホログラフィック素子は、ブラッグ選択性が過変調方法によって広がる場合に比べ、好都合である。あるいは、角度選択性の特性を広げるため、より薄いホログラムを使用できる。
【0056】
別の実施形態においては、入射角度αを一定に維持すると同時に、光源から発生する光の波長を変化させることによって、HOEのブラッグ条件における温度依存性変化を補償できる。光源205としてレーザ・ダイオードを使用する実施形態においては、例えばレーザの駆動電流レベルを変化させる、レーザの動作温度を変化させる、LEDなどの複数波長の光源について感温性の波長フィルタ処理を行なう、などによってレーザ・ダイオードの動作条件を変化させることで、波長の変化を達成できる。可能な波長フィルタとしては、これらに限定されるものではないが、その特性が導波路のホログラムの特性と共に変化するホログラフィック光学素子が挙げられる。
【0057】
再び図3を参照すると、波長の変化を実現できる指紋センサ100の実施形態では、波長コントローラ240を利用してレーザ・ダイオード光源205の動作条件を調節できる。波長コントローラ240はレーザ・ダイオードの動作電流を調節して、レーザ光源205の動作波長を変化させことができる。あるいは、波長コントローラ240は加熱または冷却素子(図示されていない)を駆動して、レーザ・ダイオードの動作温度を制御することによってレーザ・ダイオード光源の動作波長を変化させることもできる。レーザ・ダイオードの動作波長を制御するために供給されるフィードバック信号は、例えば、レーザ・ダイオードに取り付けられた熱電対により発生できる。あるいは、フィードバック信号は、選択された画素、画素のグループ、もしくは検出器アレイ215上の他の感光性領域380、またはこれらの任意の組み合わせから発生できる。前記実施形態の場合には、検出器アレイ上での光強度の低下を示すフィードバック信号をカメラ・ロジック330またはカメラ・マイクロプロセッサ335によって処理して、波長コントローラ240を駆動するための正確な動作波長を決定できる。
【0058】
別の実施形態においては、波長を変化させるのではなく、より広域の波長スペクトルを有する光源を用いることにより、温度変化に対するHOEのブラッグ角度の感度を低減できる。このような光源としては、例えば、LEDまたは超高輝度LEDが挙げられる。これらの実施形態においては、入射角度αは一定に維持される。HOEの温度変化によって生じるブラッグ波長の変化が光源のスペクトル帯域幅の範囲内である限り、良好な画像化を可能にするのに十分な強度の回折光が存在する。
【0059】
本発明の装置の別の実施形態は、装置の物理的構造に関係し、図6Aに示される。一実施形態において、導波路405の入口端面604は上面610および底面612に対して斜めの角度を形成し、前記平面610および612はほぼ平行かつ平坦な表面である。導波路の入口面に傾斜角を使用することによって、前記スラブ導波路に必要とされる厚みが好都合に減じられる。例えば、入口面に傾斜角を使用することで、光ビーム630を、図6Dにおけるように導波路の底面612の方向に屈折させるのではなく、直接に導波路610の上面の方向に屈折させることができる。入射光630を上面に向かって直接屈折させることによって、そうでない場合に導波路の底面612において必要とされる内面全反射条件を不要にし、導波路405のz寸法を低減できる。あるいは、導波路405は曲面であってよい内表面および外表面を有することにより、例えば掌の表面の位相的特徴を画像化する場合などのような、一度に大きな皮膚の位相的表面を外表面上に配置して画像化できる。さらに、導波路の入口面に傾斜角を使用することによって、そのような導波路に必要とされる厚み要件を好都合に減少できる。
【0060】
本発明の装置および方法の別の実施形態は、HOEの感光性ポリマー媒体に記録されるホログラムに関する。図8Aを参照すると、本発明の装置は、好ましくは、光(ビーム826)を皮膚接触層807に垂直でない方向に回折するHOE410を有し、これにより皮膚接触層807と空気との界面において反射された光は、撮像装置に向かう戻りの経路(光線827)においてHOE410によって回折されない。より好ましくは、HOE410は、HOEのブラッグ選択性の角度幅を超える角度だけ垂直方向と異なる方向に光を回折するが、一方でこの角度は可能な限り直角に近くして、皮膚からセンサまでの光路長(OPL)を可能な限り短く保つことによって画像化される指紋の歪みを小さくする。さらに、HOEの好ましい回折特性は、回折光の好ましい角度および前記ホログラムの好ましい広い角度選択性の両者を実現する多重ホログラムまたは過変調ホログラムによっても達成できる。
【0061】
本発明の装置および方法の別の態様では、HOE410はホログラフィ格子として作用する1つまたは複数のホログラムを有し、このホログラムは導波路405からの光を、指に向かって垂直方向とは異なる方向に、1つまたは複数のホログラムのブラッグ選択性の角度幅を超える角度まで垂直方向から異なる方向に偏向し、さらに、前記ホログラムは少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、さらに好ましくは75%、最も好ましくは90%を超える回折効率で動作するように形成される。
【0062】
図8Aおよび8Bに示した実施形態においては、1/2波長板819を光源205と導波路405の入口端面604との間に備えることにより、光ビームの偏光面を回転させて、偏光がHOE410が調整されている偏光に一致するようにし、同時に導波路405の入口端面604に最適な照度を与えるようにする。半波長板819を入射光の光学軸に垂直な軸上で傾斜させて、位相変化に対して効果的な光学厚みまたは光学経路長(OPT)を与え、必要に応じてこの位相変化を増加させて光源205の波長に合わせて最適化できる。
【0063】
図8Cに示した別の実施形態においては、皮膚接触層807は曲面層807Aを有し、この層は、例えば平凸レンズであってもよい。曲面層807Aは、例えば、大きな画像を取得し、信号強度を強めるために利用できる。別の実施形態においては、曲面層807Aは、皮膚接触層807に付着されるか、あるいは指紋を取得するときに皮膚接触層807の上面に置かれる別個の光学素子である。
【0064】
別の実施形態においては、皮膚接触層807は、伸展性のまたは柔軟なポリマー・コーティング(図示されていない)を有する。柔軟なコーティングは、例えば皮膚接触層807に付着でき、あるいはカバー・プレートの一部であってよく、指紋を取得する前にカバー・プレート上に置いてもよい。柔軟なコーティングを利用して指の皮膚表面のトポロジーと皮膚接触層との間の光学的接触の度合いを向上することによって、画像品質を向上し、取得される指紋画像のSNRについて指の水分または指表面の皮膚接触層807に対する濡れ特性への依存性を小さくできる。
【0065】
別の実施形態においては、皮膚接触層807は溶融シリカなど、取得される画像のSNRを最適化する屈折率を有する材料で形成され、これにより接触面の屈折率は指の表面または他の皮膚表面の屈折率と同等になる。
【0066】
図8Dを参照すると、本発明の装置はさらに、追加の光学部品を備えることができる。一実施形態においては、本発明は波長板838(好ましくは1/4波長板)を直線偏光子840と組み合わせて備えることにより、発生源から生じる散乱および鏡面反射などの望ましくない雑音を低減する。この方法により、指紋画像のコントラストを向上できる。1つの構成においては、1/4波長板838を、HOE410と皮膚接触層807または807A(図8Cを参照)の間に挟むことができ、直線偏光子840が導波路405と前記センサ・アレイ215の間に配置される。直線偏向光が1/4波長板838の方向にHOE410から回折されるとき、偏向光は、1/4波長板838を通過して伝播すると円偏向光に変換される。皮膚接触層807または807Aの上面726あるいは指の隆線構造から反射すると、円偏向光は1/4波長板838によって再び、HOE410に進入する光の元の方向と垂直の電界方向を有する直線偏向光に変換される。HOE410によって回折された光が、皮膚接触層807または807Aの上面726と接する指表面の隆線構造と相互に作用すると、散乱および鏡面反射の両方が生じ、特定の実施形態においては前者がより強い。回折光は、皮膚接触層807または807Aの上面726と、皮膚表面の上面726と接触していない部分に相当する位置で相互に作用するとき、鏡面反射光のみが生じる。反射光から雑音の寄与分を検出することにより、取得される指紋において、そうでない場合にゼロ−グレー階調レベルまたは黒であることが望ましい部位の検出されるグレー階調のレベルを大幅に増加できる。指紋画像の領域のうちの、そうでない場合に黒であるべき領域のグレー階調が高レベルになると、取得された画像のコントラストが大幅に減少し、画像の分析がより困難になる可能性がある。散乱反射光は部分的または完全な非偏向光であり、したがって偏光子840の方向を、散乱反射光の寄与分を少なくとも部分的に阻止する方向に向けてセンサ・アレイ215によって捕集されないようにし、これによりコントラストを向上できる。直線偏光子840を皮膚接触層807とセンサ・アレイ215との間に配置することによって、SNRを向上できる。
【0067】
光源205から放射される波長を、指によって効果的に吸収される波長範囲(例えば、λ≦約460nm未満である青色光)に選択することで、散乱反射光を減少させ、コントラストが向上することを見出した。
【0068】
さらに、皮膚接触面807以外の光を反射する任意の表面に反射防止(AR)コーティングを使用することによって、SNRをさらに向上できることを見出した。当業者であれば、屈折率の値が異なる種々の材料からなる2層または多層膜の多数の組み合わせから選択して、適正な反射防止性能を得ることが可能である。典型的なARコーティングは、コーティングの表面の法線から+/−10°において、0.1%未満までの反射率の低減を達成できる。同様に、透過性の誘電体層(例えば低いガラス遷移温度を有することを特徴とするシリコーンまたはシロキサンなど柔軟なポリマー膜材料であってよい)を使用することにより、空気との界面において光を反射する表面間の空隙をなくし、例えば導波路基板と空気、直線偏光子と空気、またはセンサ上のカバー・ガラスと空気、あるいはこれらの組み合わせなどの界面における反射で生じる光の強度を大きく減ずるように作用させることで、さらにSNRを向上できる。
【0069】
次に、本発明の好ましい実施形態を、図8A(側面図)および図8B(上面図)を参照して説明する。
【0070】
図8Aに示された指紋装置は、光源205を収容するハウジング818で構成されている。光源205は、タングステン・ランプなどの白色光源を含む1つまたは複数の光源を備えてもよいが、好ましくは、光源205は、発光ダイオード(LED)および/または半導体レーザ・ダイオードなどの1つまたは複数の低コストで光高率な光源を備える。HOE410における光学−機械整列の公差を減少し、およびより簡単な回折格子設計のためには、光源からの放射光を平行化することが望ましい。図8Aにはレンズ素子602が示されている。単一の透過レンズが示されているが、一般には、レンズ素子602は1つまたは複数の透過性および/または反射性の光学素子の任意の組み合わせによって構成し、これにより、実効的な光学効果が光源205からの実質的な平行放射光となるようにする。レンズ素子602から出る平行光は、導波路405の入口端面604に入射する。入口端面604の角度ψSBは、角度θ(z軸に対して)で伝播する入射光ビームの光学軸804が入口端面604で屈折されることによって、ビーム822が導波路405とHOE410との間の界面の法線に対して角度θSBで伝播するように決められる。その結果、十分に大きな占有面積の光がHOE410を照射し、したがって指105または皮膚の他の位相的表面を照射する。
【0071】
図8Aを参照して、厚みTは、皮膚接触層807の上面726とセンサ・アレイ215の表面814とを隔てる距離として定義される。装置の小型化、および指紋センサの空間分解能を定める上である役割を果たす厚みTを小さくために、角度θSBは大きいこと、例えば約70°よりも大きいことが望ましいが、好ましくはθSBは約80°未満であり、そうでない場合、装置が温度変化に対して大きな感度を示すことになる。例えば、θSB=79°で、基板ブロックの厚さがTSB=3.3mmの場合、z方向に約17mm[3.3・tan(79°)]の長さの皮膚トポロジーを画像化できる。θSB=79°で、θ=17.5°、屈折率1.53の材料で構成された基板ブロックについては、ψSB=90.9°である。水平面より下に傾斜する光源用台座662を備えることによって、指紋センサの光−電気−機械部品を皮膚接触層807の下方に位置させて、ハウジング818を前記カバー・スライド上面と同一面にすることができる。
【0072】
さらに図8Aを参照して、導波路405/HOE410の界面への入射光は、HOE410内に屈折される。一実施形態においては、HOE410のホログラフィ格子は体積格子である。当業者であれば、同様に作用する表面レリーフ格子を設計および製作できるであろう。一般に、透過型体積ホログラムおよび表面レリーフ格子は偏光に影響されやすく、したがって格子がs偏向光に合わせて設計されている場合、ホログラムを例えばp偏向光で復元するときに、ホログラムの回折効率が大きく低下する。しかし、偏光に影響されにくい体積ホログラムも、十分に厚い材料もしくは大きな屈折率変調を有する材料またはこれらを組み合わせて構成される材料に記録することができ、そのようなホログラムも、本発明の装置において使用できる。回折ビーム826は、皮膚接触層807の表面726の法線に優先的に近い方向に伝播するが、少なくともHOE410の体積格子のブラッグ選択性の角度幅だけ法線からずれた角度にある。回折ビーム826は、皮膚接触層807を通過し、表面726および指105に向かって伝播する。反射ビーム827は、皮膚接触層807およびHOE410を通過して戻るように伝搬する。反射ビーム827は、HOE410の体積格子とブラッグ・マッチングしていないため、HOE410を通過した後に生じる光の損失は最小限である。回折ビーム826は、表面726から検出器表面814までの反射ビーム827の光路長(OPL)が最小になるよう、ほぼy軸に近い方向に伝播する。反射ビーム827のOPLは、光学素子が表面726の上面を検出器表面814上に画像化しないために、装置の解像度を決定する点で重要である。したがって、反射ビーム827のOPLが長くなると、回折効果のために指の特徴(または、検査される他の皮膚トポロジー)がより不鮮明になる。単色光源からの平行光は、皮膚表面の表面トポロジーの特徴から反射および散乱し、前記光は、特徴の面積wおよび波長λに関して以下の式で表わされる1フレネル長さlのOPLの後の特徴からの伝播距離によって発散する。
【0073】
【数2】

【0074】
指紋中の毛穴については、フレネル長さは、最小で1mmのオーダーにあり、最大で約14mmである。結果として、指紋や掌紋などにおける毛穴または隆線の形状情報などといった皮膚表面の小さなトポロジー的特徴の細部を解像するため、可能な限り短いOPLが重要である。
【0075】
一実施形態においては、いくつかの膜810、811、および812が、導波路405と検出器カバー813との間に置かれている。これらの膜は、多数のさまざまな方法で配置できるが、これら膜の目的は、光の反射を抑制し、さらに望ましくない雑音をフィルタリングして除くことである。一実施形態においては、膜810は直線偏光膜である。偏光子810は、好ましくは、入射光線822の偏光とほぼ平行な偏光方向を有する。したがって、偏光膜810は、回折光826の指105によって散乱された(したがって、非偏光となった)部分をセンサ・アレイ215に到達しないようにする。膜811は、波長フィルタである。波長フィルタ811は、好ましくは、光源205によって放射された光の波長を実質的に伝達し、他のすべての波長を阻止するように調整されており、したがって、波長フィルタ811がない場合にセンサ・アレイ215に入射してしまうハウジング818の外部から来る周辺光を、阻止する。膜811は、例えばダイクロイック膜コーティングであってよく、あるいは染色プラスチックの場合に可能なように、周辺光の所望のスペクトル分布を吸収する材料であってよい。膜811の波長フィルタリング特性を、塊状の材料に組み込むことができ、あるいは導波路405、皮膚接触層807、および/または検出器カバー813のコーティングとして組み入れることができ、これにより波長フィルタ811を必要としなくなる。膜812は屈折率整合材料であり、この材料の屈折率は、好ましくは、膜811および検出器カバー813の屈折率に対して約0.15の範囲内で一致する。その結果、膜812の界面において反射される光の強度は、膜812の境界における入射光の強度の約0.25%以下である。あるいは、屈折率整合材料が望まれない場合には、膜812によって占められて図示されている空間を、狭い空隙(例えば、約0.1〜0.2mm)で置き替え、膜811および検出器カバー813のそれぞれが、それらの2つの対向面に反射防止(AR)コーティングを備えることが好ましい。
【0076】
検出器カバー813を透過した光は、センサ・アレイ215に入射する。一実施形態においては、センサ・アレイ215は、指紋の2−D画像を取得する複数の検出器素子を有する。センサ・アレイ215は、2−Dまたは1−Dの電荷結合素子(CCD)であってもよいが、好ましくは、2−Dまたは1−DのCMOSデバイスなど、必要とする電力がより少ない検出器である。コヒーレントな光源の場合、検査される皮膚の特徴と誤認される可能性がある干渉縞の発生につながりうる迷光の低減のため、好ましくは、センサ・アレイ215に面する検出器カバー813の表面にARコーティングがなされる。センサ・アレイ215は、回路基板805に取り付けられ、回路基板805は、カメラ電子回路220、制御回路225、またはこれらの任意の組み合わせを含む回路など、取得した画像の分析のために設計された他の電子回路を含むことができる。処理されたデータは、ケーブル820を介して隔壁コネクタ821に送られ、これによって指紋センサは、データ125および制御機能165をホスト・コンピュータ130に伝送できる。隔壁コネクタ821およびケーブル820は、好ましくは、本発明の装置の電力消費素子に電力を送るのに使用される。一実施形態においては、遠隔ホストへのデータの伝送のため、無線送受信器/送信器の組を本発明の装置に組み込むことができる。
【0077】
一実施形態においては、皮膚接触層807は、好ましくは、走査される皮膚の隆線と谷線との間のコントラスト比を最大にする。皮膚接触層807と接している皮膚の谷線は、上面726には接触せず、結果として生じる上面726と空気との間の界面において、回折ビーム826を反射する。隆線と谷線との間のコントラストを最大化するため、一実施形態においては、皮膚接触層807の上面726は、光源205から放射される波長において皮膚表面の屈折率と好ましくは一致する屈折率の小さい材料で作られる。シリコーンなどのポリマー材料を使用して、皮膚の屈折率(n〜1.36)と正しく一致させることができるが、これらの材料は耐久性に乏しく、使用時に容易に摩耗する。溶融シリカ(n=1.458)、コーニング社(Corning)のパイレックス(Pyrex(商標))(1.474)、またはショット社(Scott)のボロフロート33(BoroFloat(商標)33)(1.471)などの低屈折率の材料は、より硬質であり、例えば傷や損傷を生じることなくより長期間の使用に耐えるため、好ましい。別の実施形態においては、皮膚接触層807は光学的薄膜積層でコーティングされる。当業者であれば、この光学的薄膜積層を、光源205から放射される波長における反射率が、皮膚接触層807と皮膚との間の界面において最小になるが、皮膚接触層807と空気との間の界面において最大になるように設計できる。別の実施形態においては、この薄膜積層は、光源205から放射される波長における反射率が、皮膚接触層807と皮膚との間の界面において最大になるが、皮膚接触層807と空気との間の界面において最小になるように、当業者によって設計される。
【0078】
図8Bは、図8Aに示した装置の実施形態を上から見た図を示す。一実施形態においては、導波路405を照射するビームのx方向の幅、したがって指105の照射される幅が、レンズ素子602に入るビーム幅によって決定される。少なくとも1つの半導体レーザを含む光源205の実施形態については、半導体レーザ・ダイオードの発散はアナモルフィック(縦長または横長に変形する)である。このようなアナモルフィックなビームにおいては、光源205から放射され、ビームの強度レベルが50%低下する光線823(図8A参照)および824の角度は、光学軸804に対してそれぞれθおよびθの角度を形成する。典型的なレーザ・ダイオードについては、これら2つの角度の比が約3:1であり、ビームの光学軸804に垂直な断面がほぼ楕円であることを意味している。
【0079】
例として、指紋装置が皮膚の17×17mmの領域を検査する能力を有する必要がある仕様を検討する。先に説明したように、3.3mmの厚さTSBは、z方向において17mmの皮膚サイズに対応できる。x方向の17mmに対応するために、導波路は、この方向において少なくとも17mmの幅でなければならない(入口端面604を照射する光源からの光のx方向におけるビーム幅と同様)。したがって、入口端面604は、xに17mmおよびyに3.3mmの寸法を有する、実質的に矩形である。最大の光効率のため、2θの半値全幅(FWHM)を有するレーザの速軸(例えば、レーザの最も速く発散する軸)が、導波路405の17mm幅の方向にある(x軸に対応する)ことが望ましい。同様に、2θのFWHMを有する遅軸(例えば、レーザの最も遅く発散する軸)が、導波路405の3mm厚の方向に一致する。
【0080】
ビーム幅および占有面積を、皮膚の位相的表面の画像化する面積と物理的に一致させることに加え、回折光を操作して皮膚の前記表面を照射するようにする回折光学素子410を使用することは、一般に、偏光に依存する。結果として、適正な偏光を使用することがシステムにおいて優れたSNRを得るのに望ましい。単一横モード・レーザ・ダイオードについては、レーザ・ダイオードの偏光は、速軸に直角である。入口端面604(図8A参照)を通って光が最適に伝達されるように向けられたレーザ・ダイオードにおいては、平行化レーザ光の偏光は、導波路405とHOE410との境界に対してTM偏光(磁界が入射面に直交するように偏光)している。したがって、一実施形態においては、HOE410がTM偏向光に合わせて設計される。HOE410の回折格子がTE偏向光(電界が入射の面に直交するように偏光)についてピーク回折効率を有する場合、入口端面604に入射する電界の偏光を回転させる何らかの手段が、必要とされる。当業者であれば、複屈折プリズムの使用、直列配置の直線偏光子の使用、または直列配置のミラーの使用など、偏向光を回転させる多数の方法のうちの任意のいずれかを使用できるが、好ましい方法は、TM偏光しているダイオードの光をTE偏光に回転させるため、好ましくは半波長板である波長板819を使用する。
【0081】
当技術分野では、理論的には、体積格子をTE偏光、TM偏光、またはランダムな偏光について高い回折効率で設計できることは公知である。無損失の誘電体の厚い体積格子におけるピーク回折効率(η〜100%)の条件は、2波結合波回折理論を用いて導き出せる。H. Kogelnikの「厚いホログラム格子についての結合波理論(Coupled Wave Theory for Thick Hologram Gratings」、ベル・システム・テクノロジー・ジャーナル(Bell Syst. Tech. J.)、48巻(1969年)、2909〜2947頁を参照されたい。前記記事の全内容は参照により本明細書に引用したものとする。TE偏向光において、屈折率変調nおよび格子の厚さdについての条件は、以下の式で与えられる。
【0082】
【数3】

【0083】
ここで、λは自由空間波長であり、θは体積媒体への入射角度、φは体積層の面法線に対する格子の格子ベクトルK→の傾斜角度、mは負でない整数である。TM偏向光において、nおよびdについての条件は、以下の式で与えられる。
【0084】
【数4】

【0085】
偏光に依存しないホログラムを記録することも可能である。そのようなホログラムを記録する方法の一例が、米国特許出願公開第2003/0007201号に開示されており、その全内容は参照により本明細書に引用したものとする。要約すると、ホログラムの回折効率は、材料の特性に依存する、すなわち材料の屈折率変調の値に依存するホログラムの格子強度の値の周期関数である。次に、感光性ポリマー記録材料については、屈折率変調は、主として、ポリマー成分および結合剤からなる記録材料で達成された化学的分離の度合い、ならびに記録材料中のポリマー成分と結合剤との間の相対的な屈折率の差に依存するが、さらに記録材料の厚さ、ホログラム記録に使用されるビームの入射角度、したがって格子周期、ならびにホログラムの記録に使用される光の波長にも依存する。記録材料によって達成される所定の屈折率変調については、格子強度は、格子周期、厚さ、および波長など同様のパラメータに依存する。ホログラムは、結果として得られる屈折率変調の値が回折効率のピークに一致する上記パラメータの組み合わせを用いて記録されるとき、特定の偏光に対して最適化される。通常は、sおよびp偏向光について最適化されたホログラムの回折効率のピークは、屈折率変調または格子強度の同じ値(すなわち、同じ値の前記パラメータ)で生じることはない。しかし、屈折率変調または格子強度の値の関数としての回折効率の周期性を利用することで、sおよびp偏向光の両者について最適化されたホログラムを記録できる。あらゆる光の波をsおよびp偏向光の波の重ね合わせとして記述できるため、sおよびp偏向光について同時に最適化されたホログラムは、偏向光に依存しないといえる。
【0086】
本発明の装置の好ましい実施形態においては、ビーム・ブロック816および817は一体化して設計される。ビーム・ブロック816は、光源205からの光がセンサ・アレイ215または膜層810〜812のいずれにも入ることがないように設計されている。ビーム・ブロック817は、光源205からの光が指105、HOE410、または皮膚接触層807に入射しないように設計されている。ビーム・ブロック816および817の両方を可能な限り入口端面604に近くに配置することにより、レンズ素子602によって平行化された光ビームが入口端面604に達する前に縁部で切り落とされるために生じる回折効果への悪影響を最小にする。装置にビーム・ブロック816および817を組み込むことによって、センサ・アレイ215に達する迷光の量が減少する。
【0087】
体積格子においては、ブラッグ選択性により、不正確な角度で入射する光は回折されず、あるいは非効率に回折されるため、格子への光の入射角度は重要である。図8Aおよび図8Bに示した実施形態は、コントローラとアクチュエータとを備える制御回路の使用などの方法、または手動により、HOE410へのビーム822の入射角度の調節を可能にする。
【0088】
この実施形態においては、入口端面604の中心線806を中心として回動するように機械的に構成されたレーザ台座803が設けられている。ピン839が中心線806に整列し、これらのピン上に、レーザ台座803に結合される位置決めスリーブ840がある。図示はされていないが、好ましくは、ばねおよび調整ねじがレーザ台座803に取り付けられ、レーザ台座803の向きを設定できる。このようにして、センサ215または他のセンサあるいは検出器からのフィードバックを使用して手動で、あるいは制御回路およびアクチュエータを備えるアクチュエータを使用することによって、入口端面604の中心に対する光学軸804の整列を維持しつつ、θを調整できる。θを調節することで、θSBしたがってHOE410に入射する光の角度が調節され、体積格子による最大屈折効率の調節が可能になる。
【0089】
図8Aおよび8Bの装置の動作中は、光源205からの光ビームは、アナモルフィックに拡大され、すなわち導波路405を通って伝播しHOE410によって回折されることによって、レンズ素子602から出るビームの断面の1つの軸のみが拡大される。図9を参照すると、かすめ入射角反射格子904を使用することによって、直径Diのビームをx方向に沿った直径Dのビームにアナモルフィック拡大できる。図示のとおり、反射格子904は、その特性が一次回折光901がz軸と平行に入口端面604(図示されていない)に入射するように設計されている反射格子表面900を有する。
【0090】
図9の格子形状は、xz平面でビームの拡大が得られるという利点を有する。直径Diの入射ビームについて得られるビームの拡大は、以下の式となる。
【0091】
【数5】

【0092】
ここで、θ−1は、回折された−1オーダーの反射ビーム901の格子面法線902に対して測定した角度であり、θは、格子面法線902に対する入射ビーム903の入射角度である。
【0093】
このような反射型アナモルフィック・ビーム拡大格子の例として、1600lp/mmの反射格子を考える。さらに、光源205が、655nmの波長を放射する半導体ダイオード・レーザであり、ビーム903が、θ=85°で前記1600lp/mmの反射格子に入射すると考える。結果として回折した負の一次は、θ−1=2.97で伝播し、達成される拡大比D/Dは11.5である。なお、当業者であれば、入射ビーム903が基板材料(例えば、ガラス)の内側から格子を照射するよう基板を通過して伝播され、次いで必要とされるアナモルフィックなビームの拡大レベルを得るのに必要な回折オーダーを伝播する格子を含む、他の格子(例えば、表面レリーフまたは体積)を設計および製作可能である。透過または反射格子がxz平面において必要なアナモルフィックなビームの拡大を実行するように設計されていたとしても、対象のオーダー以外の他に最小数の屈折オーダーが伝播するように、格子が十分に高い周波数を有することが好ましい。このようにして、格子904と導波路405との間の距離を可能な限り小さくすることで、単一の回折オーダーのみが基板ブロックに入るようにすることができる。
【0094】
図9に示した実施形態においては、回折ビーム901は、z軸とほぼ平行に伝播する。図8Aおよび8Bに示した指紋センサの形状は、格子周辺が主としてy−z平面において傾斜しているが、x方向に沿ってほぼ一様であるHOE410を選択して示している。したがって、HOE410は、y−z平面における光の伝播角度について微細な制御を必要とするが、x−z平面における光の伝播角度についてはあまり厳しくない(>5度)基準を必要とするブラッグ・マッチング条件を有する。結果として、レンズ素子602から出るビームの物理的整列は、x−y平面においてy−z平面よりも大きな公差を有する。
【0095】
本発明の装置の最適性能のためには、装置が断熱化される、すなわち先に述べたように温度補償が可能であることが好ましい。当業者であれば、温度変化が導波路およびHOEにそれぞれ入射する光の光線路に対して与える影響をモデル化でき、HOEおよび導波路の材料特性間の関係を導き出して、断熱化を実現できる。この分析から、当業者であれば、HOE410および導波路405および/または皮膚接触層807が、実質的に同一の熱膨張係数または熱光学係数あるいは両方を有する材料で構成されるのが好ましいと、結論付けるであろう。本明細書において使用するとき、用語の「熱光学係数」とは、屈折率n=n(T)の温度Tに関する導関数の値、すなわちdn/dTを指す。例えば、−2.0×10−4のdn/dTを有する感光性ポリマーから作られたHOEについては、好ましくは、BK7(dn/dT=3.0×10−6)などのガラス上のゼオネックス(Zeonex)E48R(dn/dT=−1.0×10−4)またはゼオネックス330R(dn/dT=−1.2×10−4)といった成形用プラスチックを選択できる。あるいは、HOEを一定の温度に維持するヒータを使用することによって、装置を断熱化できる。さらに別の実施形態においては、装置は、光源205と異なる波長を放射する第2の光源を有してもよく、この第2光源は、HOE410内の材料によって吸収されるように作用して、HOE410の温度を適正な一定温度に維持する。
【実施例】
【0096】
本発明者らのスタッフの1人の右手の人差し指の指紋を、図4に示した光学的設計を使用して1996年に記録した。この指について取得した画像の全体画像領域は、約0.15×0.15インチであった。取得した指紋をアナログのビデオ・モニタに表示し、高コントラストの黒白膜を装着したポラロイド・インスタント・カメラを使用して撮影した。次いで、この指紋の写真を、通常の周囲条件のもとで保存した。
【0097】
6.5年後の2003年に、前記ポラロイド写真画像を、600dpiでスキャンしてディジタル化し、本発明の指紋相関ソフトウェアの例の学習用テンプレートとして使用した。2003年に、同じ指についての新たな画像を、図4の光学的構成を有する本発明の指紋撮像装置を使用して取得した。取得した指紋を、元の指紋の6.5年前の写真のスキャン画像と比較した。前記元の画像および新規画像が指の1/8インチ×1/8インチの領域だけしか表わしておらず、倍率および回転が相違しており、ビデオ・モニタの曲面上に表示された元の指紋の画像から得たことに起因する写真の歪みを含んでおり、その上、コントラストおよび露出が一致しておらず、かついかなる方法でも較正されていないにもかかわらず、毛穴の位置、隆線と谷線との境界における隆線の形状の細部、および特徴点を使用して、確実な識別が容易に達成された。45個の毛穴および5つの特徴点を含む少なくとも50個の特徴が、1996年の画像の元のスキャンから取り込まれ、そのうちの22個の毛穴および5つの特徴点が、2003年に画像化されて取り込まれた指紋に存在し、検出され、一致した。この優れた相関結果は、高解像度で指紋画像を取得できる装置を使用することによって、指紋の毛穴ならびに隆線の形状の細部を含むことで、画像の相関に使用できる特徴の数が大幅に増加し、指紋の比較の信頼性が大きく向上することを示している。本発明の装置および方法によって得られる改良の有益な効果は、誤った受入れの発生を少なくし、誤った拒絶の割合を(複数のテンプレートの使用を通じて)改善し、確実な一意かつ決定的な認証および識別に必要とされる指紋採取面積を大幅に低減する。
【0098】
図10は、同位置に多重化されてアプリーリス社(Aprilis)の厚さ50ミクロンのホログラフィック記録媒体USLH−500−7Aに記録された8つのスラント・フリンジ平面波ホログラムについて、ブラッグ離調特性を示している。記録を、角度多重化を用いて従来の方法で実行し、同位置に多重化したホログラムのそれぞれについての記録角度の増分は、それぞれのブラッグ離調特性曲線の1/2高さの全角度幅の値の2倍に相当している。各ホログラムを、基準および信号ビーム経路において4mWの等しいビーム強度で、ビーム間角度の48.6°の固定値を有する空間フィルタ処理および平行光を使用して記録し、サンプルを、連続する記録のそれぞれについて垂直軸を中心として2°の増分で回転させた。多重ホログラムの記録感度が、ホログラム#1〜#8についてそれぞれ約27、30、24、16.75、15.65、7.9、4.2および1.2cm/mJであったため、同位置に多重化されたホログラムの一連の記録のための記録時間を変化させて、ホログラムのそれぞれについて同様の屈折効率を達成した。8つの多重ホログラムについての累積の格子強度は、ν/π≧1の場合に相当し、したがって実質的に過変調のホログラムを、単一の平面波ホログラムとして記録できた。
【0099】
多重ホログラム間の分離角度を、ブラッグ離調特性曲線の1/2高さの全幅と等しい増分にまで減らした場合、結果として得られるホログラムのブラッグ選択性の曲線は、図11に示すように複雑に入り組んだ形になる。ブラッグ離調角度の値の関数として図11に示される回折効率の範囲は、より望ましいシルクハット状の多様形状を得るようには最適化されていない。いずれにせよ、図10および図11の結果は、多重ホログラムを使用して指紋装置の温度変化を補償する手段を提供できることを示している。
【0100】
以上、本発明を本発明の好ましい実施形態を参照して詳細に図示し、説明したが、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲を逸脱することなく、形態および細部にさまざまな変更が可能であることは、当業者であれば理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の原理による指紋センサが配置されたコンピュータ・ネットワークの図である。
【図2】図1の指紋センサのシステム階層図である。
【図3】図1の指紋センサの概略図である。
【図4】図1の指紋センサの撮像装置の機構を示す図である。
【図5】図4の撮像装置の図であり、回折光のピーク強度の変化を温度の関数として示すグラフが示されている。
【図6A】図1の指紋センサの撮像装置の代替の実施形態の機構を示す図である。
【図6B】図1の指紋センサの撮像装置の代替の実施形態の機構を示す図である。
【図6C】図1の指紋センサの撮像装置の代替の実施形態の機構を示す図である。
【図6D】図1の指紋センサの撮像装置の代替の実施形態の機構を示す図である。
【図6E】図1の指紋センサの撮像装置の代替の実施形態の機構を示す図である。
【図7A】図1の撮像装置の別の実施形態の機構を示す図であり、温度変化を光学的に検出する手段を備えている。
【図7B】図7Aの撮像装置における光学的フィードバックを示した波形である。
【図7C】図7Aの撮像装置における光学的フィードバックを示した波形である。
【図8A】図1の指紋センサの撮像装置の代替の実施形態の機構を示す図である。
【図8B】図1の指紋センサの撮像装置の代替の実施形態の機構を示す図である。
【図8C】図1の指紋センサの撮像装置の代替の実施形態の機構を示す図である。
【図8D】図1の指紋センサの撮像装置の代替の実施形態の機構を示す図である。
【図9】図1の指紋センサの撮像装置の別の実施形態の概略図であり、かすめ入射角反射格子を使用している。
【図10】図1の指紋センサの実施形態についてブラッグ離調角度特性を示した波形図である。
【図11】回折効率の範囲を図10のブラッグ離調角度の値の関数として示す図である。
【符号の説明】
【0102】
100 指紋センサ
110 指紋画像取得装置
205 光源
207 光ビーム
215 センサ・アレイ
405 導波路
410 ホログラフィック光学素子
604 入口端
610 上面
612 底面
807 皮膚接触層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口端ならびに上面および底面を有する導波路と、
光ビームを前記導波路の入口端の方向に導くように構成された光源と、
前記導波路の上面もしくは底面に、または前記上面もしくは底面の近くに、配置された皮膚接触層と、
前記導波路の上面もしくは底面に配置され、前記光源から入射する光ビームを前記皮膚接触層の方向に回折するように構成されたホログラフィック光学素子(HOE)と、
皮膚と前記皮膚接触層との間の界面から反射された光を検出するように構成されたセンサ・アレイとを備えた、指紋画像を取得する装置であって、
前記HOEが、
格子を含む層と、
前記格子層と接する少なくとも1つの支持層とを有し
前記格子層および前記少なくとも1つの支持層が、同一の熱膨張係数もしくは熱光学係数またはこれら両方を有する、指紋画像の取得装置。
【請求項2】
皮膚表面の位相的特徴の画像を取得する装置であって、
入口端ならびに上面および底面を有する導波路と、
光ビームを前記導波路の入口端に導くように構成された光源と、
前記導波路の上面もしくは底面に、または前記上面もしくは底面の近くに、配置された皮膚接触層と、
前記導波路の上面もしくは底面に配置され、前記光源から入射する光ビームを前記皮膚接触層の方向に回折するように構成されたホログラフィック光学素子(HOE)と、
皮膚と前記皮膚接触層との間の界面から反射された光を検出するように構成されたセンサ・アレイと、
温度変化に起因する前記HOEのブラッグ・マッチング条件の変化を補償する補償手段とを備えた、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項3】
請求項2において、温度に起因する前記HOEのブラッグ・マッチング条件の変化の補償は、前記HOEの温度の制御を含む、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項4】
請求項2において、前記補償手段は、温度に起因する前記HOEのブラッグ・マッチング条件の変化を原因とする前記HOEによる光の回折強度の変化を補償するために、前記導波路における前記光源からの光ビームの入射角度を調節する、または、前記光源から導かれたビームの前記導波路における入射角度に関して前記導波路の入口端と上面もしくは底面との間の角度を調節する、1つまたは複数の手段を備えた、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項5】
請求項2において、前記HOEは、前記皮膚接触層の垂直方向から前記HOEのブラッグ・マッチング条件の角度幅を超える角度だけ異なる方向に光ビームを回折するように構成されている、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項6】
請求項2において、前記HOEはs偏向光の入射ビームに対して最適化されている、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項7】
請求項2において、前記HOEはp偏向光の入射ビームに対して最適化されている、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項8】
請求項2において、前記HOEは偏光に依存しない、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項9】
請求項2において、さらに、前記光源からの光ビームを平行化して前記入口端に導くように構成されたレンズ素子を備え、
前記補償手段は、前記光源、前記レンズ素子、もしくは前記導波路のうちの1つまたは複数を取り付ける取付手段を有し、
この取付手段は熱膨張が可能で、前記導波路または前記HOEへの光ビームの入射角度を調節するように構成されている、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項10】
請求項9において、前記光源、前記レンズ素子、または前記導波路のうちの1つまたは複数を取り付ける前記取付手段が、棒またはバーを備えた、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項11】
請求項2において、前記補償の手段が、前記導波路または前記HOEへの光ビームの入射角度を調節するように構成された1つまたは複数のアクチュエータを備えている、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項12】
請求項11において、さらに、光学的レンズ素子を備えた、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項13】
請求項12において、前記アクチュエータが、前記光源、前記レンズ素子、または前記導波路のうちの1つまたは複数の位置を調節する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項14】
請求項12において、前記光源、前記レンズ素子、または前記導波路のうちの1つまたは複数の位置は、前記HOEによって回折され前記センサ・アレイの複数の画素のうちの1つまたは複数によって検出される光強度を測定することによって、手動で制御される、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項15】
請求項13において、前記アクチュエータは電子的に制御される、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項16】
請求項15において、前記センサ・アレイの複数の画素のうちの1つまたは複数に到達する光強度を測定して、前記アクチュエータの制御に使用する信号を生成する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項17】
請求項15において、前記HOEによって回折され、前記センサ・アレイによって検出される光の強度を測定して、前記アクチュエータを制御する信号を生成する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項18】
請求項15において、さらに、少なくとも1つの第2センサを備え、この第2センサに到達する光強度を測定して、前記アクチュエータを制御する信号を生成する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項19】
請求項18において、前記HOEによって回折された光と非回折の光との強度差を測定して、前記アクチュエータを制御する信号を生成する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項20】
請求項15において、さらに、前記HOEの隣に、間隔を空けて配置した、少なくとも1つの追加ホログラムを備え、
この追加ホログラムは、前記HOEに入射する光の一部を前記追加センサに回折するように構成され、
前記追加ホログラムから回折された光の強度を測定することによって、前記アクチュエータを制御する信号を生成する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項21】
皮膚表面の位相的特徴の画像を取得する装置であって、
入口端ならびに上面および底面を有する導波路と、
光ビームを前記導波路の入口端に導くように構成された光源と、
前記導波路の上面もしくは底面に配置された皮膚接触層と、
前記導波路の上面もしくは底面に配置され、前記光源から入射する光ビームを前記皮膚接触層の方向に回折するように構成されたホログラフィック光学素子(HOE)と、
皮膚と前記皮膚接触層との間の界面から反射された光を検出するように構成されたセンサ・アレイとを備え、
前記HOEは同位置に多重化された少なくとも2つのホログラムを有する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項22】
請求項21において、前記多重ホログラムは、この多重ホログラムのブラッグ・マッチング条件が重複するように構成されている、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項23】
請求項21において、前記多重ホログラムは平面角多重化されており、多重化のための記録角度の増分が、先立って記録された多重ホログラムのそれぞれの角度ブラッグ・マッチング条件の幅よりも小さい、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項24】
請求項21において、前記多重ホログラムの格子周期が等しくない、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項25】
皮膚表面の位相的特徴の画像を取得する装置であって、
入口端ならびに上面および底面を有する導波路と、
光ビームを前記導波路の入口端に導くように構成された光源と、
前記導波路の上面もしくは底面に配置された皮膚接触層と、
前記導波路の上面もしくは底面に配置され、前記光源から入射する光ビームを前記皮膚接触層の方向に回折するように構成されたホログラフィック光学素子(HOE)と、
皮膚と前記皮膚接触層との間の界面から反射された光を検出するように構成されたセンサ・アレイと、
前記光源の波長を変化させる変化手段とを備えた、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項26】
請求項25において、前記光源の波長を変化させる変化手段は、温度に起因する前記HOEのブラッグ・マッチング条件の変化に応じて動作周波数を変化させるように構成されたレーザ・ダイオードである、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項27】
請求項25において、前記HOEは、前記皮膚接触層に垂直な方向から前記HOEのブラッグ・マッチング条件の角度幅を超える角度だけ異なる方向に光ビームを回折するように構成されている、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項28】
請求項25において、前記HOEはs偏向光の入射ビームに対して最適化されている、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項29】
請求項25において、前記HOEはp偏向光の入射ビームに対して最適化されている、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項30】
請求項25において、前記HOEは偏光に依存しない、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項31】
請求項25において、前記変化手段は複数波長の光源を有する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項32】
皮膚表面の位相的特徴の画像を取得する装置であって、
入口端ならびに上面および底面を有する導波路と、
光ビームを前記導波路の入口端に導くように構成された光源と、
前記導波路の上面に配置された皮膚接触層と、
前記導波路の上面もしくは底面に配置され、光ビームを前記皮膚接触層の方向に回折するように構成され、ブラッグ・マッチング条件を有するホログラフィック光学素子(HOE)と、
皮膚と前記皮膚接触層との間の界面から反射された光を検出するように構成されたセンサ・アレイと、
温度変化に起因する前記HOEのブラッグ・マッチング条件の変化を補償する補償手段とを備え、
前記光源は広域波長スペクトルの光源であって、この光源の波長は前記HOEを復元できる、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項33】
請求項32において、さらに、前記光源からの光ビームを前記導波路の前記入口端に導くように構成されたレンズ素子を備えた、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項34】
請求項32において、前記HOEは、前記皮膚接触層に垂直な方向からある一定の角度だけ異なる方向に光ビームを回折するように構成されている、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項35】
請求項34において、前記HOEは少なくとも約50%の回折効率を有する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項36】
請求項34において、前記HOEは少なくとも約75%の回折効率を有する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項37】
請求項34において、前記HOEは少なくとも約90%の回折効率を有する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項38】
請求項32において、前記HOEは少なくとも2つの多重化されたホログラムを有する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項39】
請求項32において、前記HOEはs偏向光の入射ビームに対して最適化されている、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項40】
請求項32において、前記HOEはp偏向光の入射ビームに対して最適化されている、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項41】
請求項32において、前記HOEは偏光に依存しない、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項42】
請求項32において、前記導波路の入口端は上面および底面に対して傾斜した角度を形成している、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項43】
請求項34において、前記光源からの光は前記HOE方向に直接屈折するように前記入口端に導かれる、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項44】
請求項32において、前記入口端は、光学的機能有し、前記光源からの光ビームを前記HOEに導くように構成されている、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項45】
請求項32において、前記導波路は前記入口端と反対側の表面に光トラップを有する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項46】
請求項32において、前記導波路は、この導波路の入口端または入口端の近傍の底面に沿って反射金属コーティングを有する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項47】
請求項32において、さらに、前記HOEによる回折に対して最適の偏光方向を与えるように構成された波長板を有する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項48】
請求項47において、前記波長板は半波長板である、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項49】
請求項48において、前記半波長板は、前記光源と前記導波路の入口端との間に配置され、光ビームの偏光面を前記HOEによる回折に対して最適となるように回転させる、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項50】
請求項32において、さらに、前記皮膚接触層と前記センサ・アレイとの間に配置された直線偏光子を有する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項51】
請求項32において、前記皮膚接触層は約1.3よりも大きい屈折率を有する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項52】
請求項32において、前記皮膚接触層は約1.30〜約1.50の間の屈折率を有する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項53】
請求項32において、前記皮膚接触層は、皮膚とこの皮膚接触層との間の界面から反射された光を前記センサ・アレイに導くように構成された光学的機能を有する部分を含む、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項54】
請求項53において、前記光学的機能を有する部分は曲面状である、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項55】
請求項53において、前記光学的機能を有する部分は平凸レンズである、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項56】
請求項32において、さらに、前記皮膚接触層に取り付けられ、皮膚とこの皮膚接触層との間の界面から反射された光を前記センサ・アレイに導くように構成されている追加のレンズ素子を有する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項57】
請求項32において、前記皮膚接触層は、装置の周囲の使用温度よりも低いガラス遷移温度を有するポリマー層を有する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項58】
請求項32において、前記皮膚接触層は、装置の周囲の使用温度よりも低いガラス遷移温度を有するポリマー層でコーティングされている、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項59】
請求項32において、前記皮膚接触層は約1.45〜1.50の間の屈折率を有するガラス材料を含む、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項60】
請求項32において、前記皮膚接触層は、表面エネルギーが約30mJ/m未満である上面を有する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項61】
請求項32において、さらに、前記皮膚接触層と前記センサ・アレイとの間に配置された少なくとも1つの1/4波長板および直線偏光子を有する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項62】
請求項61において、前記1/4波長板は前記HOEと前記皮膚接触層との間に配置され、前記直線偏光子は前記導波路と前記センサ・アレイとの間に配置されている、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項63】
請求項32において、前記光源の波長は約400nm〜約1000nmの範囲にある、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項64】
請求項63において、前記光源の波長は約400nm〜約535nmの範囲にある、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項65】
請求項32において、前記導波路の表面の少なくとも1つ、または前記センサ・アレイは、反射防止コーティングを含む、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項66】
請求項50において、前記偏光子の少なくとも1つの表面は、反射防止コーティングを含む、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項67】
請求項32において、前記導波路の表面の少なくとも1つ、前記ホログラフィック光学素子、前記センサ・アレイ、または前記皮膚接触層は、誘電体層を含む、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項68】
請求項50において、前記偏光子の少なくとも1つの表面は誘電体層を含む、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項69】
請求項67において、前記誘電体層は装置の周囲の使用温度よりも低いガラス遷移温度を有するポリマー膜を含む、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項70】
請求項69において、前記誘電体層はシリコーンまたはシロキサンの誘導体を含む、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項71】
請求項32において、前記センサ・アレイは、取得した画像について少なくとも1インチ当たり1100画素の解像度を有する、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項72】
請求項32において、前記センサ・アレイはCCDまたはCMOS撮像装置である、位相的特徴の画像取得装置。
【請求項73】
皮膚表面のトポロジー画像を取得する方法であって、
ブラッグ・マッチング条件を有するホログラフィック光学素子(HOE)を備えた、皮膚表面の位相的特徴の画像を取得する装置によって皮膚表面を受け入れ、
光ビームを前記HOEに導いて、この光ビームを回折し、
前記回折光ビームを皮膚と皮膚接触層との間の界面に導いて、この光ビームを反射し、
温度に起因する前記HOEのブラッグ・マッチング条件の変化を補償し、
前記反射光を検出して、前記装置によって皮膚表面の位相的特徴の画像を取得する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項74】
請求項73において、温度に起因する前記HOEのブラッグ・マッチング条件の変化を補償する工程が、前記HOEの温度を制御することを含む、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項75】
請求項73において、前記HOEは、光ビームの断面よりも大きい少なくとも1つの寸法を有する回折格子を備え、
前記光ビームは、前記HOEの面に対して約90°未満の角度で前記HOEに導かれ、前記HOEは、このHOEに導かれた光の入射角度よりも小さい角度で光を回折し、これによって光ビームがアナモルフィックに拡大される、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項76】
請求項73において、前記画像取得装置は、さらに、
入口端ならびに上面および底面を有する導波路と、
前記導波路の上面に配置された皮膚接触層と、
光ビームを前記導波路の入口端に導くように構成された光源と、
皮膚と前記皮膚接触層との間の界面から反射された光を検出するように構成されたセンサ・アレイとを有する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項77】
請求項73において、前記HOEは、格子を有する層およびこの格子層と接する少なくとも1つの支持層を備え、
温度に起因する前記HOEのブラッグ・マッチング条件の変化を補償する工程が、前記層格子層および支持層を同一の熱膨張係数もしくは熱光学係数またはこれら両方を有するように選択する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項78】
請求項76において、温度に起因する前記HOEのブラッグ・マッチング条件の変化を補償する工程が、前記HOEへの前記光ビームの入射角度または前記光ビームの波長を調節する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項79】
請求項78において、前記画像取得装置は、さらに、前記光源からの光ビームを前記導波路の入口端に導くように構成されたレンズ素子と、前記光源、前記レンズ素子、もしくは前記導波路のうちの1つまたは複数を取り付ける取付手段とを備え、
温度に起因する前記HOEのブラッグ・マッチング条件の変化を補償する工程が、熱膨張する少なくとも1つの取付手段を選択し、この選択した手段を前記HOEへの光ビームの入射角度を調節するように構成する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項80】
請求項79において、前記取付手段は、熱膨張する棒またはバーである、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項81】
請求項79において、前記画像取得装置は、さらに、前記HOEへの光ビームの入射角度を調節するように構成された制御可能なアクチュエータを有する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項82】
請求項76において、前記光源、前記レンズ素子、または前記導波路のうちの1つまたは複数の位置は、前記HOEによって回折され前記センサ・アレイの複数の画素のうちの1つまたは複数によって検出される光強度を測定することによって、手動で制御される、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項83】
請求項76において、前記装置は、さらに、少なくとも1つの追加センサを備え、
前記光源、前記レンズ素子、もしくは前記導波路のうちの1つまたは複数の位置は、前記HOEによって回折され前記少なくとも1つの追加センサによって検出される光強度を測定することによって、手動で制御される、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項84】
請求項81において、温度に起因する前記HOEのブラッグ・マッチング条件の変化を補償する工程は、前記アクチュエータを電気信号によって制御する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項85】
請求項84において、前記装置は、さらに、少なくとも1つの追加センサを備え、
前記アクチュエータの制御は、前記センサ・アレイまたは少なくとも追加センサに到達する光強度を測定することによって電気信号を生成することを含む、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項86】
請求項85において、前記アクチュエータの制御は、前記HOEによって回折された光強度を測定して前記電気信号を生成することを含む、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項87】
請求項86において、前記アクチュエータの制御は、前記HOEによって回折された光と非回折の光との強度差を測定して前記電気信号を生成することを含む、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項88】
請求項84において、前記画像取得装置は、さらに、前記HOEの隣に配置された少なくとも1つの追加ホログラムを備え、
温度に起因する前記HOEのブラッグ・マッチング条件の変化を補償する工程は、前記追加ホログラムから回折された光強度を測定して前記電気信号を得る、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項89】
請求項84において、前記HOEが、同位置に多重化された少なくとも2つのホログラムを備え、
温度に起因する前記HOEのブラッグ・マッチング条件の変化を補償する工程は、前記多重ホログラムのブラッグ・マッチング条件が重複するように前記多重ホログラムを記録する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項90】
請求項84において、温度に起因する前記HOEのブラッグ・マッチング条件の変化を補償する工程は、平面角多重化されたホログラムを、記録角度の増分が多重ホログラムのそれぞれのブラッグ角度選択性の幅よりも小さくなるように記録する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項91】
請求項84において、温度に起因する前記HOEのブラッグ・マッチング条件の変化を補償する工程は、多重ホログラムをこれらホログラムの格子周期が等しくないように記録する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項92】
請求項78において、前記光源はレーザ・ダイオードであり、
温度に起因する前記HOEのブラッグ・マッチング条件の変化を補償する工程は、温度に応じて動作波長を変化させるように前記レーザ・ダイオードを構成する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項93】
請求項76において、温度に起因する前記HOEのブラッグ・マッチング条件の変化を補償する工程は、前記光源を広域波長スペクトルの光を発生するように構成する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項94】
請求項76において、さらに、前記主ホログラムのブラッグ角度選択性の角度幅を超える角度だけ前記皮膚接触層の垂直方向と異なる方向に光ビームを回折するHOEを選択する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項95】
請求項76において、さらに、多重化された少なくとも2つのホログラムを含むHOEを選択する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項96】
請求項94において、さらに、前記多重ホログラムのそれぞれが少なくとも約50%の回折効率を有するようにHOEを選択する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項97】
請求項94において、さらに、前記多重ホログラムのそれぞれが少なくとも約75%の回折効率を有するようにHOEを選択する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項98】
請求項94において、さらに、前記多重ホログラムのそれぞれが少なくとも約90%の回折効率を有するようにHOEを選択する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項99】
請求項73において、さらに、s偏向光に対して最適化されたHOEを選択する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項100】
請求項73において、さらに、p偏向光に対して最適化されたHOEを選択する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項101】
請求項73において、さらに、偏光に依存しないHOEを選択することを含む、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項102】
請求項76において、さらに、上面および底面に対して傾斜した角度を形成している入口端を有する導波路を選択する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項103】
請求項76において、さらに、光学的機能を備える入口端を有する導波路を選択することにより、前記光源からの光ビームを前記HOEに導く、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項104】
請求項76において、さらに、前記入口端と反対側の表面に光トラップを有する導波路を選択する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項105】
請求項76において、さらに、入口端または入口端の近傍の底面に沿って反射金属コーティング有する導波路を選択する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項106】
請求項76において、さらに、前記光源と前記導波路の入口端との間に配置され、前記HOEによる回折に対して最適な偏光方向を与えるように構成されている波長板を通して、光ビームを導くことを含む、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項107】
請求項106において、前記波長板に半波長板である、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項108】
請求項76において、さらに、光学的機能を有する皮膚接触層を選択して、皮膚と皮膚接触層との間の界面から反射された光を前記センサ・アレイに導く、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項109】
請求項76において、前記画像取得装置は、さらに、皮膚接触層に取り付けられたレンズ素子を備え、このレンズ素子は皮膚と前記接触層との間の界面から反射された光を前記センサ・アレイに導くように構成されている、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項110】
請求項76において、前記皮膚接触層は、前記装置の周囲の使用温度よりも低いガラス遷移温度を有するポリマー層を有する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項111】
請求項76において、前記皮膚接触層は、前記装置の周囲の使用温度よりも低いガラス遷移温度を有するポリマー層でコーティングされている、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項112】
請求項76において、前記皮膚接触層は約1.45〜1.50の間の屈折率を有するガラス材料を含む、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項113】
請求項76において、前記皮膚接触層は、表面エネルギーが約30mJ/m未満である上面を有する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項114】
請求項76において、さらに、前記皮膚接触層と前記センサ・アレイとの間に配置された少なくとも1つの1/4波長板および直線偏光子を有する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項115】
請求項114において、前記1/4波長板は前記HOEと前記皮膚接触層との間に配置され、前記直線偏光子は前記導波路と前記センサ・アレイとの間に配置されている、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項116】
請求項76において、前記光源の波長は約400nm〜約1000nmの範囲にある、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項117】
請求項116において、前記光源の波長は約400nm〜約535nmの範囲にある、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項118】
請求項76において、前記導波路の表面の少なくとも1つ、または前記センサ・アレイは、反射防止コーティングを含む、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項119】
請求項114において、前記偏光子の少なくとも1つの表面は反射防止コーティングを含む、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項120】
請求項76において、前記導波路の表面の少なくとも1つ、前記ホログラフィック光学素子、前記センサ・アレイ、または前記皮膚接触層は、誘電体層を含む、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項121】
請求項114において、前記偏光子の少なくとも1つの表面は、誘電体層を含む、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項122】
請求項120において、前記誘電体層は、前記装置の周囲の使用温度よりも低いガラス遷移温度を有するポリマー膜を含む、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項123】
請求項122において、前記誘電体層は、シリコーンまたはシロキサンの誘導体を含む、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。
【請求項124】
請求項76において、前記センサ・アレイは、少なくとも1インチ当たり1100画素の解像度を有する、皮膚表面のトポロジー画像の取得方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−526542(P2007−526542A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517519(P2006−517519)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/019917
【国際公開番号】WO2005/001753
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ポラロイド
【出願人】(502426016)アプリリス,インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】