説明

高解像度IOCドライブおよび光ファイバジャイロスコープを駆動する方法

【課題】非常に低い回転速度に対しては光ジャイロの位相検出感度が低く、不感帯誤差を発生することがある。この不感帯誤差を低減できる閉ループ光ジャイロを提供する。
【解決手段】光ジャイロの感知コイルを通る光を駆動するシステムを、感知コイルからの光出力を受け取るための入力端を有し、かつ出力端を有する光検出回路32と、光検出回路32に結合された入力端を有し、かつ感知コイルを変調する出力信号を供給するための出力端を有する信号処理回路50とを含む構成とし、光検出回路32は、光出力からデジタル信号を生成する。信号処理回路50は、このデジタル信号から帰還信号を生成するとともに、帰還信号に乱数を加算して出力信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にジャイロシステムに関し、より詳細には、干渉型光ファイバジャイロ(IFOG)において光信号を変調することに関する。
【背景技術】
【0002】
ジャイロは、回転軸の周りの回転速度、または角速度の変化を測定するために使用されてきた。基本的な従来の光ファイバジャイロ(FOG)は、光源、ビーム発生デバイス、および光ファイバのコイルを備え、このコイルは、ビーム発生デバイスに結合され、感知軸の周りの領域を取り囲む。このビーム発生デバイスは、コイル中に複数の光ビームを送出し、各光ビームは、光ファイバのコアに沿って時計回り(CW)方向および反時計回り(CCW)方向に伝搬し、両方が最終的に光検出器(たとえば、光検出システムに電気的に結合されたフォトダイオード)に到達する。多くのFOGは、ガラスをベースとする光ファイバを利用し、これは、ファイバの固体ガラスコアに沿って光を伝導する。2つの対向伝搬(すなわちCWおよびCCW)ビームは、回転する閉光路、すなわちループを回って伝搬する間にその各光路長が異なるようになる。たとえば、感知軸の周りを回転することにより、一方の回転方向では光路長が増大し、他方の回転方向では光路長が減少する。この2つの光路長の差は、どちらの回転方向でも光ビーム間に移相を生じさせ(すなわちサニャック効果)、この差は、囲まれた領域に垂直な回転速度に比例する。
【0003】
ループ内の対向伝搬光ビーム間の位相差は通常、回転検出の感度を高めるために、バイアス信号発生器に結合された光位相変調器を使用して変調される。この光位相変調器を光検出システムからの帰還ループ内で動作させて、感知軸の周りの回転によって生じる対向伝搬光ビーム間の移相差を相殺するための十分な負帰還をもたらすことができる。1つの例では、位相検波器が、光検出器出力電流に対応する信号を受け取り、光検出器に到達する光ビームの相対位相の示度を与える。変調周波数において位相検波器によって復元されたいかなる有意な信号内容も、回転速度に比例する。位相検波器からの信号は、一方の光ビームを他方のビームに対して移相させるために使用して、各対向伝搬ビームが互いに位相が合うようにすることができる。たとえば、位相検波器からの信号は、積分器などのアキュムレータを有するサーボ電子回路に供給することができる。回転中に発生する位相差に応じて、サーボ電子回路は、一方の光ビームを他方の光ビームに対して移相させる信号を供給する。帰還ループをデジタルで実施する際には、アナログ−デジタル変換器(ADC)が、光検出器のアナログ出力を(たとえば、位相検波器で使用するための)デジタル等価出力に変換し、デジタル−アナログ変換器(DAC)が、サーボ電子回路からのデジタル信号を、光位相変調器によって位相シフトするためにアナログ信号に変換する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非常に低い回転速度、および、プラスまたはマイナスの所定の値となる0度に近い位相検出においては、ジャイロスコープは一般に位相検出の感度が低い。この領域は、「不感帯」と呼ばれ、いくつかの理由のために不感帯誤差が発生することがある。不感帯の1つの原因は、サーボ電子回路からのデジタル信号をDACに供給する前に、そのデジタル信号を少ないビット値に切り捨てる結果として生じる。この切捨てはまた、振動の存在下で、速度誤差に変わり得る非対称性を生じさせる可能性もある。加えて、ループ誤差が適正な移相に収束するのにかなりの時間がかかり、この収束のための時間は、DACに供給される信号の切捨てに伴ってさらに延長されることがある。
【0005】
したがって、閉ループ誤差を低減させる閉ループ光ジャイロを提供することが望ましい。加えて、閉ループ誤差が低減された共振器ジャイロの回転速度を決定する方法を提供することが望ましい。さらに、本発明の他の望ましい特徴および特性は、後の本発明の詳細な説明、および添付の特許請求の範囲を添付の図面および上記の背景技術と併せ読めば明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
光ジャイロの感知コイルを通る光を駆動する方法およびシステムが提供される。例示的な一実施形態として、感知コイルから光出力を受け取るための入力端を有し、かつ出力端を有する光検出回路と、光検出回路の出力端に結合された入力端を有し、かつ感知コイルを変調する出力信号を供給するための出力端を有する信号処理回路とを備える、感知コイルを駆動するためのシステムが挙げられる。光検出システムは、光出力からデジタル信号を生成する。信号処理回路は、デジタル信号から帰還信号を生成するように構成され、さらに、その帰還信号に乱数を付加するように構成されて出力信号を生成する。
【0007】
別の例示的な一実施形態では、入力端および出力端を有する感知コイル回路と、感知コイル回路の出力端に結合された入力端を有し、かつ出力端を有する光検出回路と、光検出回路の出力端に結合された入力端を有し、かつ感知コイル回路の入力端に結合された出力端を有する信号処理回路とを備える光ジャイロが提供される。感知コイル回路は、光ジャイロの回転速度に比例した位相差を有する光出力を生成するように構成される。光検出回路は、光出力に対応するデジタル信号を生成するように構成される。信号処理回路は、そのデジタル信号から帰還信号を生成するように構成され、さらに、光出力の位相差を相殺するために出力信号を感知コイル回路に送出するように構成される。この出力信号は、帰還信号と乱数の組合せから得られる。
【0008】
他の例示的な一実施形態として、感知コイルの光出力から速度信号を発生させるステップと、この速度信号を累積して第1の累積信号を生成するステップと、この第1の累積信号と乱数の組合せから変調信号を派生するステップと、この変調信号に応じて感知コイルを変調するステップとを含む、光ジャイロの感知コイルを動作させる方法が挙げられる。
【0009】
本発明を以下に、添付の図面と併せて説明する。図で、同じ数字は同じ要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の以下の詳細な説明は、例示的な性質のものにすぎず、本発明、あるいは本発明の適用および用途を限定するものではない。さらに、前述の背景技術、または以下の、発明を実施するための最良の形態に提示されるどんな理論にも制約されるものではない。
【0011】
本発明は、光ジャイロの感知コイルを通る光を駆動する方法およびシステムである。感知コイルは、入力光ビームを各対向伝搬方向に周回させ、光ジャイロの回転速度を検出するために使用される光出力を生成する。例示的な一実施形態では、光ジャイロは、それだけには限らないが、入力光ビームを変調する駆動信号を決定するための速度帰還ループを含む。駆動信号を決定する過程を通して、いくつかの動作がデジタル表現を使用して実行される。速度帰還ループは、感知コイルからの光出力より速度累積信号を生成する。この速度累積信号は駆動信号を決定するために使用され、また、ランダムノイズ(たとえば乱数)が、速度累積信号に、または駆動信号の決定時に速度累積信号から得られる後続の信号に加えられる。次いで、得られた信号はアナログ信号に変換される。駆動信号を決定するプロセス中にランダムノイズを(たとえば、速度累積信号を計算した後に)付加すると、得られる駆動信号の分解能が効果的に向上し、駆動信号の決定時に切捨てによって生じることがある不感帯が低減し、また、アナログ信号への変換時に発生することがある量子化ノイズが低減する。
【0012】
ここで図を参照すると、図1は、本発明の例示的な一実施形態による光ジャイロ10のブロック図である。光ジャイロ10は、干渉型光ファイバジャイロ(IFOG)であり、感知コイル18を通る各対向伝搬光ビーム(すなわち、時計回り(CW)および反時計回り(CCW))を含み、かつ周回光ビームから光出力を生成する光回路22と、光回路22から光出力を受け取り、かつ光出力をほぼ等価なデジタル信号に変換する光検出回路32と、入力端が光検出回路32の出力端に結合され、かつ出力端が光回路22の入力端に結合された信号処理回路50とを備える。信号処理回路50は、デジタル信号から駆動信号を生成し、この駆動信号は、周回光ビームに施される変調を制御する。回転がない場合には、感知コイル18中のCWおよびCCWビームの往復経路長は、それぞれCWおよびCCW方向でほぼ等しい。回転(すなわち、感知コイル18によって取り囲まれた感知軸19の周りの、感知コイル18の回転)がある場合には、往復経路長はCW方向とCCW方向の間で異なり、回転速度に比例する位相差が2つの対向伝搬光ビーム間に生じる。信号処理回路50は、対向伝搬光ビーム間の位相差を検出し、この位相差を相殺するように駆動信号が信号処理回路50によって決定される。光ジャイロ10は、IFOGとして構成されているが、共振器光ファイバジャイロ(RFOG)など、他のタイプの光ジャイロスコープとして構成されてもよい。
【0013】
光回路22は、光ビームを合成する可変波長光源11(たとえば、可変波長レーザ)と、光源11から光ビームを受け取るサーキュレータ12(たとえば、ゼロではないが低い透過率を有する高反射率鏡)と、サーキュレータ12から光ビームを受け取る方向性結合器14と、方向性結合器14から光ビームを受け取り、この光ビームを2つの入力光ビームに分割するビームスプリッタ13と、2つの入力光ビームを位相変調する変調器20と、入力光ビームを周回させるための、変調器20に結合された感知コイル18とを含む。ビームスプリッタ13によって形成された2つの光ビームは、感知コイル18中を各対向伝搬方向(すなわち、時計回り(CW)および反時計回り(CCW))に周回する。この例示的な実施形態では、ビームスプリッタ13および変調器20は、光集積回路チップ(IOC)16に組み込まれ、このチップは、周回光ビームのスペクトル特性を解析するための追加電子デバイス(たとえば、光ジャイロ10の回転を示す、対向伝搬光ビーム間の移相を検出する)を含むことができる。光源11、サーキュレータ12、方向性結合器14、IOC16、および感知コイル18により光回路22が形成されている。光回路22は、感知コイル18から外れて周回する光をサンプリングする1つまたは複数の光検出器や、光ビーム伝搬を導くための追加の反射鏡およびビームスプリッタなど、他の構成要素を光回路22の様々な構成要素の中に含むことができる。
【0014】
回転の結果生じる対向伝搬光ビーム間の位相差は、変調器20によって変調される。たとえば、変調器20は、対向伝搬ビーム間の微分位相の正弦波変調または方形波変調によって、バイアス周波数をかける。感知コイル18を周回した後、光出力(すなわち、CWおよびCCW方向からの周回光ビーム)は、方向性結合器14によって受け取られ、サーキュレータ12に渡される。方向性結合器14は、(たとえばサーキュレータ12からの)入力光ビームを感知コイル18の光出力(すなわち、CWおよびCCW方向からの周回光ビーム)から分離し、サーキュレータ12は、その光出力を光検出回路32へと導く。
【0015】
光検出回路32は、サーキュレータ12からの光出力を、この光出力のデジタル値に変換する。例示的な一実施形態では、光検出回路32は、光出力を電流に変換するためのフォトダイオード24と、入力端がフォトダイオード24に結合され、その電流から増幅された信号を生成する前置増幅器26と、入力端が前置増幅器26の出力端に結合された信号調整回路28と、入力端が信号調整回路28の出力端に結合されたアナログ−デジタル変換器(ADC)30とを含む。信号調整回路28は、増幅された信号にエイリアス補正、フィルタリング、および直流(DC)除去を施し、また、ADC30によって変換するためのアナログ信号を準備するように他の機能を実行することもできる。ADC30は、フォトダイオード24が受け取った光出力に対応するデジタル信号を生成する。
【0016】
信号処理回路50は、フォトダイオード24が受け取った光ビームの相対位相の示度を与えるデジタル信号に相当する振幅を取り出す、ADC30の出力端に入力端が結合された復調器34と、入力端が復調器34の出力端に結合された速度アキュムレータ36と、バイアス変調信号を生成するバイアス信号発生器40と、第1の入力端が速度アキュムレータ36の出力端に結合され、かつ第2の入力端がバイアス信号発生器40に結合された第1の加算ユニット38と、入力端がバイアス信号発生器40の出力端に結合されたランプアキュムレータ42と、乱数発生器46と、第1の入力端がランプアキュムレータ42の出力端に結合され、かつ第2の入力端が乱数発生器46に結合された第2の加算ユニット44と、入力端が加算ユニット44の出力端に結合されたビデオデジタル−アナログ変換器(DAC)47と、入力端がビデオDAC47の出力端に結合され、かつ出力端が変調器20に結合された増幅器48とを含む。信号処理回路50はまた、光検出回路32からのデジタル信号に基づき対向伝搬光ビーム間の位相差の大きさを決定するための追加の構成要素を含むこともできる。
【0017】
周回光ビームの相対位相を決定するために、復調器34は、フォトダイオード24の出力の基本周波数の振幅、またはバイアス信号の基本周波数の振幅を取り出す。速度アキュムレータ36は、復調器34の出力を累積してランプ信号を発生し、次いでこの信号は、加算ユニット38でバイアス変調信号と加算される。ランプアキュムレータ42は、加算ユニット38の出力を累積し、加算ユニット44は、この累積された出力を乱数と加算して、周回光ビームの位相差を相殺するためのデジタル変調信号を生成する。次いでデジタル変調信号は、ビデオDAC47によってアナログ等価信号に変換され、次に増幅器48で増幅されて駆動信号を生成する。
【0018】
例示的な一実施形態では、復調器34、速度アキュムレータ36、ランプアキュムレータ42、ならびに加算ユニット38および44の信号処理は、ビデオDAC47の分解能(たとえば、8ビットまたは14ビット分解能)よりも高い分解能(たとえば、23ビット分解能)で実行されることが好ましい。乱数の大きさは、デジタル変調信号の分解能まで変化してよいが、計算分解能とビデオDAC47の分解能との差になることが好ましい。低分解能ビデオDAC47は、高分解能デジタル変調信号をアナログ等価信号に変換する場合、高分解能デジタル変調信号を切り捨てる。低分解能DACを使用すると、高分解能DACに通常伴うコストが低減する。加えて、ビデオDAC47が受け取るデジタル変調信号は、分解能を向上させるランダムノイズを実際上有し、それによって量子化ノイズ、およびDACの積分非線形性が低減する。
【0019】
信号処理回路50からの駆動信号に応じて、変調器20は、感知コイル18中を周回する光ビームの位相を偏移させて、感知軸19の周りの感知コイル18の回転により生じる位相差を相殺する。たとえば、変調器20は、光ファイバの屈折率または物理的長さを変化させ、それによって光路長を変化させ、感知コイル18中を周回する光ビームの位相差を生じさせる。動作の際、回転による対向伝搬光ビーム間の位相差変化は、変調器20による位相差変化と比べて相対的に遅くなる。ビデオDAC47は、光ビームが感知コイル18中を伝わる期間(たとえば、単一光路長または感知コイル18のループを伝わるためのループ通過時間)の半分ごとに1回または複数回、更新することができる。
【0020】
図2は、本発明の別の例示的実施形態による光ジャイロ60のブロック図である。この例示的な実施形態では、乱数は、図1に示された信号処理回路50内とは異なる箇所でデジタル変調信号の計算に加えられる。光回路22および光検出回路32に加えて、光ジャイロ60は、入力端が光検出回路32の出力端に結合され、かつ出力端が光回路22の入力端に結合された信号処理回路52を含む。信号処理回路52は、速度アキュムレータ36の出力端の後に続く、図1に示された信号処理回路50の同じ構成要素からなる別個の構成を含む。第1の加算ユニット38の各入力端は、それぞれ速度アキュムレータ36の出力端、および乱数発生器46の出力端に結合され、第2の加算ユニット44の各入力端は、それぞれ第1の加算ユニット38の出力端、およびバイアス信号発生器40の出力端に結合される。ランプアキュムレータ42の入力端は、第2の加算ユニット44の出力端に結合され、ビデオDAC47の入力端は、ランプアキュムレータ42の出力端に結合され、増幅器48の入力端は、ビデオDAC47の出力端に結合される。ランダムノイズは、信号処理回路52の第1の加算ユニット38で加えられるが、復調された信号の累積の後で、ビデオDAC47にデジタル復調信号を供給する前の任意の箇所でも、デジタル変調信号を計算する処理中に加えることができる。
【0021】
図1〜3を参照すると、図3は、本発明の例示的な一実施形態による光ジャイロ10および60など光ジャイロを動作させる方法の流れ図である。この方法は、ステップ100で開始する。ステップ105に示されるように、速度信号が感知コイルの光出力から生成される。例示的な一実施形態では、感知コイル18からの光出力は(たとえばフォトダイオード24によって)検出され、(たとえばADC30によって)デジタル信号に変換され、このデジタル信号は、(たとえば復調器34によって)復調されて速度信号を生成する。この速度信号は累積されて、ステップ110に示されるように、第1の累積信号を生成する。たとえば、速度アキュムレータ36は、復調器34の出力を累積して第1の累積信号を生成する。
【0022】
ステップ115に示されるように、変調信号が第1の累積信号とランダムノイズ信号の組合せから派生される。この変調信号は、ループ伝送期間(たとえば、光ビームが感知コイル18の単一長さの光路を伝わる時間)ごとに少なくとも1回派生される。例示的な一実施形態では、第1の累積信号はバイアスをかけられて、バイアスされた信号を生成し、このバイアスされた信号は、累積されて第2の累積信号が生成され、乱数は、第2の累積信号に加算されてランプ信号が生成され、このランプ信号は、(たとえばデジタル−アナログ変換器によって)変調信号に変換される。たとえば、信号処理回路50では、加算ユニット38は、速度アキュムレータ36の出力をバイアス信号発生器40からのバイアス変調信号と加算して、バイアスされた信号を生成する。ランプアキュムレータ42は、加算ユニット38の出力(たとえばバイアスされた信号)から第2の累積信号を生成し、加算ユニット44は、ランプアキュムレータ42からの第2の累積信号を乱数発生器46からの乱数と加算し、ビデオDAC47は、加算ユニット44の出力(たとえばランプ信号)を、変調器20に供給されるアナログ信号に変換する。
【0023】
別の例示的な実施形態では、乱数はまず、(たとえば加算ユニット38によって)第1の累積信号に加算されて修正信号を生成し、この修正信号はバイアスをかけられて、バイアスされた信号を生成し、このバイアスされた信号は、累積されて第2の累積信号を生成し、ランプ信号は変調信号に変換される。たとえば、信号処理回路52では、加算ユニット38は、速度アキュムレータ36からの第1の累積信号を乱数発生器46からの乱数と加算し、加算ユニット44は、加算ユニット38の出力(たとえば修正信号)をバイアス信号発生器40からのバイアス変調信号と加算してバイアスされた信号を生成する。このバイアスされた信号は、ランプアキュムレータ42によって累積され、ビデオDAC47は、ランプアキュムレータ42の出力(たとえばランプ信号)を、変調器20に供給されるアナログ信号に変換する。
【0024】
別の例示的な実施形態では、位相差を相殺するように変調信号が決定される。ランプ信号が第1の累積信号と乱数の組合せから生成され、このランプ信号はアナログ信号に変換される。この例示的な実施形態では、変調信号は第1の分解能を有し、アナログ信号は第2の分解能を有し、乱数は、第1の分解能と第2の分解能との差に相当する大きさを有する。
【0025】
ステップ120に示されるように、変調信号は感知コイルに加えられて、感知コイルからの周回光ビームの、感知コイルの回転による位相差が相殺される。
本発明の上記の詳細な説明では、少なくとも1つの例示的な実施形態を提示したが、きわめて多くの変形形態が存在することを理解されたい。また、1つまたは複数の例示的な実施形態は例にすぎず、本発明の範囲、適用性、または構成を限定するものでは決してないことも理解されたい。そうではなく、上記の詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を実施するための便宜的な手引きを当業者に提供するものである。例示的な実施形態で説明した要素の機能および構成に、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の例示的な一実施形態による光ジャイロのブロック図である。
【図2】本発明の別の例示的な一実施形態による光ジャイロのブロック図である。
【図3】本発明の例示的な一実施形態による光ジャイロを動作させる方法の流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感知コイルを駆動するシステムであって、前記回路が、
出力端と感知コイルからの光出力を受け取る入力端とを有し、前記光出力からデジタル信号を生成する光検出回路と、
前記光検出回路の出力端に結合された入力端と前記感知コイルを変調する出力信号を供給するための出力端とを有する信号処理回路とを備え、
前記信号処理回路が、前記デジタル信号から帰還信号を生成するように構成され、さらに前記帰還信号に乱数を加算して前記出力信号を生成するように構成された、システム。
【請求項2】
出力端と前記出力信号を受け取るための入力端とを有する第1の分解能を有するデジタル−アナログ変換器(DAC)と、
前記DACの出力端に結合された入力端と、前記感知コイルと結合するための出力端とを有する増幅器とをさらに備え、
前記信号処理回路が、前記第1の分解能より高い第2の分解能を有し、前記乱数が、前記第2の分解能と前記第1の分解能との差に相当する大きさを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記感知コイルがループ伝送期間を有し、前記信号処理回路が、前記ループ伝送期間ごとに少なくとも1回、前記出力信号を生成するように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記信号処理回路が、
出力端と前記デジタル信号を受け取るための入力端とを有し、復調された信号を生成するように構成された復調器と、
出力端と前記復調器の出力端に結合された入力端を有し、前記復調された信号から第1の累積信号を生成するように構成された第1のアキュムレータと、
所定のバイアス信号を生成するように構成されたバイアス信号発生器と、
前記第1のアキュムレータの前記出力端に結合された第1の入力端と、前記バイアス信号発生器に結合された第2の入力端と、出力端とを有し、前記バイアス信号と前記第1の累積信号との第1の和を生成するように構成された第1の加算ユニットと、
出力端と前記第1の加算ユニットの出力端に結合された入力端とを有し、前記バイアス信号と前記第1の累積信号との前記第1の和から第2の累積信号を生成するように構成された第2のアキュムレータと、
出力端を有し、乱数を生成するように構成された乱数発生器と、
前記第2のアキュムレータの出力端に結合された第1の入力端と、前記乱数発生器の出力端に結合された第2の入力端と、出力端とを有する第2の加算ユニットとを備え、
前記第2の加算ユニットが、前記第2の加算ユニットの出力端に、前記乱数と前記第2の累積信号との第2の和を生成するように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記信号処理回路が
出力端と前記デジタル信号を受け取るための入力端とを有し、復調された信号を生成するように構成された復調器と、
出力端と前記復調器の出力端に結合された入力端とを有し、前記復調された信号から第1の累積信号を生成するように構成された第1のアキュムレータと、
乱数を生成するように構成された乱数発生器と、
前記第1のアキュムレータの出力端に結合された第1の入力端と、前記乱数発生器に結合された第2の入力端と、出力端とを有し、前記乱数と前記第1の累積信号との第1の和を生成するように構成された第1の加算ユニットと、
所定のバイアス信号を生成するように構成されたバイアス信号発生器と、
前記第1の加算ユニットの出力端に結合された第1の入力端と、前記バイアス信号発生器に結合された第2の入力端と、出力端とを有し、前記バイアス信号と、前記乱数と前記第1累積信号の第1の和との第2の和を生成するように構成された第2の加算ユニットと、
前記第2の加算ユニットの出力端に結合された第2のアキュムレータとを備え、
前記第2のアキュムレータが、前記バイアス信号と、前記乱数と前記第1累積信号の第1の和との前記第2の和から第2の累積信号を生成するように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
感知コイルを有する光ジャイロを動作させる方法であって、前記感知コイルが、光を周回させるためと、位相差を有する光出力を感知コイルの回転時に生成するためとのものであり、
前記感知コイルの前記光出力から速度信号を発生するステップと、
前記速度信号を累積して第1の累積信号を生成するステップと、
前記第1の累積信号とランダムノイズ信号との組合せから変調信号を派生させるステップと、
前記変調信号を前記感知コイルに加えて前記位相差を相殺するステップと、
を含む、方法。
【請求項7】
前記感知コイルがループ伝送期間を有し、前記派生させるステップが、ループ伝送期間ごとに少なくとも1回実行される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記発生するステップが、
前記感知コイルから光出力を検出するステップと、
前記光出力をデジタル信号に変換するステップと、
前記デジタル信号を復調して前記速度信号を生成するステップと、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記派生させるステップが、
第1の累積信号にバイアスをかけて、バイアスされた信号を生成するステップと、
前記バイアスされた信号を累積して第2の累積信号を生成するステップと、
乱数を前記第2の累積信号に加算してランプ信号を生成するステップと、
前記ランプ信号を前記変調信号にデジタル−アナログ変換するステップと、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記派生させるステップが、
乱数を前記第1の累積信号に加算して修正信号を生成するステップと、
前記修正信号にバイアスをかけて、バイアスされた信号を生成するステップと、
前記バイアスされた信号を累積して第2の累積信号を生成するステップと、
前記ランプ信号を前記変調信号にデジタル−アナログ変換するステップと、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記派生させるステップが、
第1の分解能を有する変調信号を決定して位相差を相殺するステップと、
前記第1の累積信号と前記乱数との組合せからランプ信号を生成するステップと、
第2の分解能で前記ランプ信号をアナログ信号に変換するステップと、
を含み、
前記乱数が、前記第1の分解能と前記第2の分解能との差の大きさを有する、請求項6に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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