説明

高負荷官能性樹脂

本発明は、ポリマー樹脂、その製造法およびその使用に関する。1つの態様において、本発明は、前駆体樹脂のアミノリシスによって得ることが可能な樹脂に関し、該前駆体樹脂は、i)多分散二-またはオリゴ官能性ビニルまたは環状エーテル化合物、およびii)アミノリシス感受性の一官能性ビニルまたは環状エーテル化合物の重合によって得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー樹脂、その製造法およびその使用に関する。本発明の1つの態様において、本発明は、前駆体樹脂のアミノリシスによって得られる樹脂に関し、該前駆体樹脂は、i)多分散二-もしくはオリゴ官能性ビニルまたは環状エーテル化合物、およびii)アミノリシス感受性の一官能性ビニルまたは環状エーテル化合物の重合によって得られる。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリスチレン-ジビニルベンゼン(PS-DVB)が、その高い末端安定性、化学的不活性および機械的堅牢性により、固相化学の支持体として使用されている。しかし、極性媒質中でのPS-DVB支持体の限られた膨潤性は、試薬の容易な接近を制限し、ポリマーマトリックスの完全溶媒和が反応性に極めて重要とされる化学的用途での使用の妨げとなっている。
【0003】
極性溶媒における膨潤性は、クロロメチル化PS-DVBにポリエチレングリコール(PEG)をグラフトすることによって改良できるが、得られたPEG-グラフトPS-DVB支持体、例えば、TentaGel(商標)(Rapp Polymere GmbH;Tubingen, Germany)およびArgoGel(商標)(Argonault Technologies;San Carlos, Calif.)は、水性溶媒中での使用および酵素化学において限界がある。
【0004】
数種類のPEG基剤樹脂は、非極性溶媒および水の両方において、高い膨潤体積(swelling volumes)を示す。これらの樹脂は、例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン(POEPOP)、SPOCC(有機コンビナトリアルケミストリー用の優れたポリマー(Superior Polymer for Organic Combinatorial Chemistry);モノ-およびビス-オキセタニル化PEGマクロモノマーの混合物のカチオン重合によって形成されるポリマー)、およびポリオキシエチレン-ポリスチレン(POEPS)である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、クロマトグラフィー、および水性媒質および有機媒質の両方における固相有機合成反応用の、改善した原価効率の高い樹脂が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様において、複数の官能基を有するポリマーマトリックスを含んで成る樹脂を提供し、該官能ポリマーマトリックスが、官能成分を有する官能アミンを使用する前駆体樹脂のアミノリシスによって得られ、該前駆体樹脂が、i) 2個以上の重合性基、例えばビニルまたは環状エーテル基を有する架橋モノマー、ならびにii) 1個の重合性基、例えばビニル基または環状エーテル基、およびアミノリシス感受性基から成るアミノリシス感受性モノマー、の明確に規定された混合物の重合によって得られる。
前記樹脂の合成法、ならびにその使用も提供する。
【0007】
定義
「架橋モノマー」は、2個以上の重合性基、例えばビニルまたはひずみ環状エーテル基を有するマクロモノマーと定義される。「アミノリシス感受性モノマーは」は、アミノリシス置換を受けやすい基、および1個の重合性基、例えばビニルまたはひずみ環状エーテル基を有するモノマーと定義される。
【0008】
「官能アミン」は、1個または複数の反応性化学官能基を有する、置換一級または二級アミンと定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の1つの態様において、複数の官能基を有するポリマーマトリックスを含んで成る樹脂を提供し、該官能ポリマーマトリックスが、「官能アミン」を使用する前駆体樹脂のアミノリシスによって得られ、該前駆体樹脂は、i) 2個以上の重合性基から成る「架橋モノマー」、例えばビニルまたは環状エーテル化合物、およびii) 1個の重合性基、例えばビニルまたは環状エーテル基、およびアミノリシス感受性基から成る「アミノリシス感受性モノマー」の、明確に規定された混合物の重合によって得られる。
【0010】
架橋モノマーおよびアミノリシス感受性モノマーの重合は、鎖延長モノマーの存在下または不存在下で行うことができる。好ましくは、ある実施形態において、鎖延長モノマーが前記重合の際に存在する。
【0011】
鎖延長モノマーは、反応性ビニル化合物、例えば、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクトン、ビニルエーテル、アリルエーテルまたはアクリロニトリルまたはひずみ環状エーテル、例えば置換オキシランまたは置換オキセタンを含んで成るか、またはそれから成ってよい。
【0012】
鎖延長モノマーの他に、ラジカルまたはイオン開始剤の存在下で、重合を行ってもよい。さらに、オリゴ官能性出発分子、例えば、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジ-トリメチロールプロパン、ジ-ペンタエリスリトールの存在下で、重合を行ってもよい。
【0013】
架橋モノマーは、ビニル化合物またはひずみ環状エーテルで置換されたポリアルキレングリコール、例えば、アミド、例えばジアミドまたはポリアミド、またはそれらの混合物を含んで成る二-もしくはオリゴ官能性ポリアルキレングリコールビニル化合物を含んで成るか、またはそれから成ってよい。
【0014】
架橋モノマーは、好ましくは、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドまたはそれらの混合物に基づくビニル置換末端アミノ化ポリアルキレングリコールから選択される。他の好ましい実施形態において、架橋モノマーは、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドまたはそれらの混合物に基づく環状エーテル置換ポリアルキレングリコールから選択される。
【0015】
ビニル置換架橋モノマーがアミドを含んで成る場合、該アミドは、例えば、ジアミンおよびジカルボン酸から、もしくはジアミンおよびアミノ酸から生成される1,ω-ジアミドオリゴマーもしくはポリマー、またはオリゴアミノ酸またはポリアミノ酸であってよい。
【0016】
ビニル置換架橋モノマーのジアミンは、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンチレンジアミン、ヘキシレンジアミン、ジアミノドデカン、ピペラジン、エチレンオキシド誘導アミン、例えば、1,5-ジアミノ-3-オキサペンタン、1,8-ジアミノ-3,6-ジオキサオクタン、1,11-ジアミノ-3,6,9-トリオキサウンデカン、ポリアミン、例えばポリエチレンイミン、例えばトリエチレンイミン;ピペラジノエチルアミン、スペルミン、スペルミジン;またはJeffamine D-230、D-400、D-2000、XTJ-510、XTJ-502、HK-511、XTJ-500、T-403、XTJ-509、T-5000またはジプライマリーアミン(DPA)、例えば、DPA-3PG、またはDPA-425、DPA-725、DPA-1000、DPA-1200、DPA-2000、DPA-4000、DPA-300E、DPA-400E、およびDPA-1000E(それらの任意混合物を包含する)であってよい。
【0017】
ジカルボン酸は、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ドデカン二酸、ジグリコール酸、酒石酸、クエン酸、フタル酸またはトリメリット酸であってよい。
【0018】
好適なアミノ酸、オリゴアミノ酸およびポリアミノ酸の例としては、グリシン、アラニン、4-アミノブタン酸、6-アミノブタン酸、12-アミノドデカン酸、および4-アミノ安息香酸があり、それらのオリゴマーおよびポリマーを包含する。
【0019】
ビニル化合物は、いくつかの実施形態において、アクリルアミド官能基、またはメタクリルアミド官能基、またはエタクリルアミド官能基を有しうる。
【0020】
架橋モノマーの分子量は、好ましくは、200〜10000、例えば、200〜1000、例えば1000〜4000、例えば4000〜10000である。
【0021】
架橋モノマーは、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド(それらの混合物を包含する)のポリマーのアリルエーテルを含んで成ってよい。アリルエーテルの例は、分子量200〜10000、例えば200〜1000、例えば1000〜4000、例えば4000〜10000を有する多分散ポリエチレンオキシドジアリルエーテルであってよい。
【0022】
アリルエーテルの例としては、PEG200ジアリルエーテル、PEG400ジアリルエーテル、PEG600ジアリルエーテル、PEG800ジアリルエーテル、エトキシル化トリメチロールプロパンアリルエーテルおよびエトキシル化ペンタエリスリトールアリルエーテル並びにそれらの任意の組合せであるがそれらに限定されない。
【0023】
架橋モノマーは、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド(それらの混合物を包含する)のオキシラン置換ポリマーを含んで成ってよい。該置換ポリマーの例は、分子量200〜10000、例えば200〜1000、例えば1000〜4000、例えば4000〜10000を有する多分散ポリエチレンオキシドジグリシジルエーテルである。
【0024】
ジグリシジルエーテルの例は、PEG200ジグリシジルエーテル、PEG400ジグリシジルエーテル、PEG800ジグリシジルエーテル、PEG1000ジグリシジルエーテル、エトキシル化トリメチロールプロパングリシジルエーテル、およびエトキシル化ペンタエリスリトールグリシジルエーテル並びにそれらの任意の組合せであるが、それらに限定されない。
【0025】
架橋モノマーは、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド(それらの混合物を包含する)のオキセタン置換ポリマーを含んで成ってよい。該置換ポリマーの例は、分子量200〜10000、例えば200〜1000、例えば1000〜4000、例えば4000〜10000を有する多分散ポリエチレンオキシドジ3-メチル-オキセタン-3-メタノイル-エーテルである。
【0026】
ポリアルキレンオキシドジオキセタンの例は、PEG200ジ3-メチル-オキセタン-3-メタノイル-エーテルエーテル、PEG400ジ3-メチル-オキセタン-3-メタノイル-エーテルエーテル、PEG800ジ3-メチル-オキセタン-3-メタノイル-エーテルエーテル、PEG2000ジ3-メチル-オキセタン-3-メタノイル-エーテルエーテル、PEG-PPG-PEG2000コポリマージ3-メチル-オキセタン-3-メタノイル-エーテルエーテル並びにそれらの任意の組合せであるが、それらに限定されない。
【0027】
「アミノリシス感受性モノマー」は、アクリル酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、無水マレイン酸、アクリルアミドおよびクロロメチルスチレンから成る群から選択でき、それらの任意の組合せ、またはエステル官能性を有するグリシジルまたはオキセタンエステルを包含する。アクリルアミドは、例えば、アクリルアミド、メチルアクリルアミドアセテートまたはアクリロニトリルであってよく、それらの組合せを包含する。アクリル酸エステルは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセロールアクリレート、PEGアクリレート、例えば、ジエチレングリコールアクリレート、トリエチレングリコールアクリレート、テトラエチレングリコールアクリレート、ペンタエチレングリコールアクリレート、ヘキサエチレングリコールアクリレート、ヘプタエチレングリコールアクリレート、オクタエチレングリコールアクリレート、ノナエチレングリコールアクリレートおよびデカエチレングリコールアクリレート並びにそれらの任意の組合せから成る群から選択されるアクリル酸エステルを含んで成るか、またはそれから成ってよい。マレイン酸エステルは、マレイン酸メチルまたはマレイン酸エチル、およびマレイン酸ブチル並びにそれらの任意の組合せから成る群から選択されるマレイン酸エステルを含んで成るか、またはそれから成ってよい。フマル酸エステルは、フマル酸メチルまたはフマル酸エチル、またはそれらの組合せから成る群から選択されるフマル酸エステルを含んで成るか、またはそれから成ってよい。
【0028】
鎖延長モノマーの反応性ビニル化合物は、反応性ビニル化合物、例えばメタクリル酸エステル、例えばメタクリル酸メチルまたはメタクリル酸エチルを含んで成るかまたはそれから成り、またはアクリルアミド、例えばN-メチルアクリルアミドまたはN,N-ジメチルアクリルアミドを含んで成るかまたはそれから成り、またはスチレンを含んで成るかまたはそれから成り、塩化ビニルを含んで成るかまたはそれから成り、酢酸ビニルを含んで成るかまたはそれから成り、N-ビニルホルムアミドを含んで成るかまたはそれから成り、またはN-ビニルピロリドンを含んで成るかまたはそれから成り、またはN-ビニルカプロラクトンを含んで成るかまたはそれから成り、またはビニルエーテルを含んで成るかまたはそれから成り、またはアリルエーテルを含んで成るかまたはそれから成り、またはアクリロニトリルを含んで成るかまたはそれから成る。
【0029】
前駆体樹脂のアミノリシスに使用される官能アミンは、一級アミンまたは二級アミン、またはそれらの混合物であってよい。
【0030】
官能アミンは、一般式:RR'NHによって示すことができ、RおよびR'は同じか、または異なっていてよい。一実施形態において、RおよびR'は、好ましくは、水素、脂肪族基および芳香族基から成る群から独立に選択され、この基は、1つまたは複数のヘテロ原子、例えば、窒素、酸素および硫黄で任意に置換されていてよい。他の実施形態において、RおよびR'は、メチル、エチル、プロピル、シクロヘキシル、ベンジルまたは置換ベンジル、例えば、p-メトキシベンジルまたはp-ニトロベンジル、フェニルまたは置換フェニル、例えばp-メトキシフェニルまたはp-ニトロフェニルから独立に選択される。
【0031】
更なる実施形態において、RR'NHは、下記から成る群から選択される:アミノ酸およびアミノ酸誘導体、例えば、グリシン、リシンまたはフェニルアラニン;炭水化物アミンまたはその誘導体、例えば、グルコサミン、ガラクトサミン;キラルアミン、例えば、アンフェタミン、アルカロイド、ジアミン、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンチレンジアミン、ヘキシレンジアミン、ジアミノドデカン、ピペラジン、アミノピリジン、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド誘導アミン、例えば、1,5-ジアミノ-3-オキサペンタン、1,8-ジアミノ-3,6-ジオキサオクタン、1,11-ジアミノ-3,6,9-トリオキサウンデカン、ポリアミン、例えばポリアルキレンイミン、例えばトリエチレンイミン;ピペラジノエチルアミン、スペルミン、スペルミジン;アミノクラウンエーテル、ヒドラジン類、例えばヒドラジン、ヒドロキシルアミン類、例えばヒドロキシルアミン、オリゴアミン、例えば、1,4,7-トリアミノヘプタン、1,4,7,10-テトラアミノデカン、1,4,7,10,13-ペンタアミノトリデカン並びにそれらの任意の組合せ。
【0032】
一実施形態において、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドに基づくアミンは、商業的に入手可能なアルキルグリコールアミン、例えば、DPA-PG、DPA-2PG、DPA-3PG、NDPA-10、DPA-DEG、DPA-REG200、NDPA-11、DPA-12、IDPA-12、NDPA12、APDEA、APDIPA(Tomahより)、またはJeffamine HK511、EDR-148、D230およびT-403である。
【0033】
前駆体樹脂のアミノリシスによって得られるポリマーマトリックス用の前駆体樹脂の製造方法も提供し、該前駆体樹脂は、i) 多分散二またはオリゴ官能性ビニル化合物、およびii) アミノリシス感受性一官能性ビニル化合物の重合によって得られ、該方法は、少なくとも1つの多分散架橋モノマーを供給する工程;少なくとも1つのアミノリシス感受性モノマーを供給する工程;鎖延長モノマーを任意に供給する工程;さらに、重合開始剤および/または界面活性剤を任意に供給する工程;
供給されたモノマー化合物を、ラジカルまたはイオン重合条件下で重合させる工程;回分法または連続法によって重合ビニル化合物を任意に粒状化する工程であって、該粒状化を放射線開始剤または熱硬化開始剤によって触媒する工程;および
本発明のポリマーマトリックスの、架橋され任意に粒状化された前駆体樹脂を得る工程
を含んで成る。
【0034】
反応温度は、どのような好適温度でもよく、一般に、-20℃〜150℃、例えば20℃〜100℃、好ましくは40℃〜80℃である。
【0035】
反応は、下記のような溶媒の存在下で行うことができる:水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、またはアセトニトリル、またはポリエチレングリコール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールエーテル、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、またはエステル、例えばギ酸メチルまたは炭酸ジメチル。
【0036】
反応溶液における反応物の濃度は、一般に、約5%(v/v)〜100%(v/v)、例えば10〜80%、例えば20〜60%である。
【0037】
撹拌速度は、どのような好適速度であってもよく、例えば10〜2000rpm、例えば50〜1000rpm、例えば100〜600rpmである。
【0038】
該方法は、界面活性剤、および/または溶媒、および/または非混和相を、反応混合物に供給し、撹拌または超音波処理条件下で反応混合物を反応させて、粒子形成および架橋を可能にする付加的工程を含んで成ってもよい。
【0039】
非混和性液体は、石油留分、脂肪族油、天然脂肪またはトリグリセリド、芳香族溶媒、例えばトルエンまたはキシレン、ハロゲン化溶媒、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、フッ化溶媒、またはそれらの混合物である。
【0040】
反応相対非混和性液体の比は、2:1〜1:100、例えば4:5〜1:75、例えば1:2〜1:30であってよい。
【0041】
ビニルまたはオキシラン重合性基の重合用開始剤は、ペルオキシド、例えばアンモニウムペルオキソジスルフェートまたはテトラブチルアンモニウムペルオキソジスルフェート、ヒドロペルオキシド、例えばt-ブチルヒドロペルオキシド、アゾ化合物、例えばアゾイソブチロニトリル、混合開始剤系、例えば下記物質の混合物、アンモニウムペルオキシジスルフェートおよび二亜硫酸ナトリウム;または、ペルオキソ二亜硫酸アンモニウムおよびN,N,N',N'-テトラメチルジアミノエタン;または、アンモニウムペルオキソジスルフェート、N,N,N',N'-テトラメチルジアミノエタンおよび二亜硫酸ナトリウム;または、臭素酸カリウム、エチレン四酢酸および硫酸銅;から成る群から選択されるラジカル重合開始剤を含んで成るか、またはそれから成ってよい。オキセタンまたオキシラン重合性基の重合用の開始剤は、ルイス酸、例えば、BF3エーテレート、BF3、TiCl4または光生成カチオン開始剤を含んで成るかまたはそれから成ってよい。さらに、オキシランポリマーの開示剤は、アニオン開始剤、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムブトキシドおよびカリウムt-ブトキシドを含んで成るかまたはそれから成ってよい。
【0042】
界面活性剤は、下記から成る群から選択される物質を含んで成るかまたはそれから成ってよい:
陰荷電界面活性剤、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;
中性界面活性剤、例えば、エトキシル化脂肪族アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、アルキルフェノール、エトキシル化脂肪酸誘導体、炭水化物誘導エステル、例えばラウリン酸ソルビタン、両親媒性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコールメタクリレートとラウリルアクリレートまたはシリルアルキルメタクリレートとのコポリマー、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー;および
陽荷電界面活性剤、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラヘプチルアンモニウムクロリド、またはテトラブチルアンモニウムブロミド。
【0043】
前駆体樹脂のアミノリシス法も提供し、該方法は下記の工程を含んで成る:
アミノリシス活性部位を有する架橋前駆体樹脂を供給する工程;
アミノリシス条件において、任意に溶媒の存在下、さらに任意に触媒の存在下で、該前駆体樹脂を反応させる工程;および
本発明の架橋され官能化されたポリマーマトリックスを得る工程。
【0044】
さらに、アミノリシス条件下の前駆体樹脂の処理は、改善した機械的強度特性を有する強化架橋ポリマー網目構造を生じうる。
【0045】
前駆体樹脂は、アミン対アミノリシス活性基のモル比1000〜0.01、例えば100〜1、例えば10〜2において、官能基で処理することができる。
【0046】
反応の温度は、一般に−20℃〜200℃、例えば20℃〜150℃、例えば40℃〜120℃である。
【0047】
アミノリシスは、触媒、例えば塩基性塩、例えば、ナトリウムメトキシド、カリウムt-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化セシウム、または求核塩、例えばシアン化ナトリウム、または三級アミン、例えば、ジメチルアミノピリジン、ジアゾビシクロノネンまたはジアゾビシクロウンデセンの存在下で行うことができる。
【0048】
アミノリシスは、溶媒、例えば、水;またはアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールまたはエトキシエタノール;またはアミド、例えば、ジメチルホルムアミド;またはスルホキシド、例えばDMSO、または芳香族溶媒、例えばトルエンまたはアニソール;またはニトリル、例えばアセトニトリル、またはそれらの混合物中で行うことができる。
【0049】
本発明の下記の使用を提供する。
【0050】
化学成分の混合物を含んで成る組成物から、望ましくない化合物、好ましくはカルボニルおよび/またはスルホニル化合物を除去するための、本発明ポリマーマトリックスの使用。カルボニルまたはスルホニル化合物は、有機酸、酸塩化物、塩化スルホニル、ケトン、アルデヒドおよびそれらの誘導体から成る化合物群から選択することができる。または、ポリマーマートリックは、曇り(ヘイズ)形成を防止することによって生成物を改善させるために、醸造工程において使用しうる。
【0051】
以下の使用も提供する。
【0052】
有機分子合成用の支持体としての、本発明ポリマーマトリックスの使用。
【0053】
コンビナトリアルケミストリーライブラリーを作製する際の支持体としての、本発明ポリマーマトリックスの使用。
【0054】
薬剤分子、ペプチド、タンパク質、DNAまたはRNAの合成用の支持体としての、本発明ポリマーマトリックスの使用。
【0055】
固相酵素反応用の支持体としての、本発明ポリマーマトリックスの使用。
【0056】
生体分子、例えば、タンパク質、酵素または他の生化学的活性成分の固定化のための、本発明ポリマーマトリックスの使用。
【0057】
クロマトグラフィー分離、またはアフィニティ精製および脱塩を包含する所望標的化合物の精製のための、本発明ポリマーマトリックスの使用。
【0058】
薬理活性高分子としての、本発明ポリマーマトリックスの使用。
【0059】
生理活性分子用の貯留槽としての、本発明ポリマーマトリックスの使用。
【0060】
生体内分解性成分としての、本発明ポリマーマトリックスの使用。
【実施例】
【0061】
実施例1: 高容量樹脂の調製
粒状ポリマー樹脂を、逆相懸濁重合法によって調製した。水10gが入ったフラスコに、分子量約1100g/molのビスアクリロイル化Jeffamine ED-900(0.81g)およびBisomer PEA6(Mn=336g/mol)4.19gを添加した。反応混合物をN2に15分間暴露し、次に、過硫酸アンモニウム0.30gをその溶液に溶解させた。機械的攪拌機を備えた三つ口バッフル付きフラスコに、パラフィン油100mLおよび界面活性剤0.050gを添加し、70℃に加熱した。次に、反応混合物をその油に添加して、粒子の懸濁液を形成した。約1分間の反応時間後に、1,2-ジ-(ジメチルアミノ)-エタン0.569mLを懸濁混合物に注入した。化学合成、即ち網目形成を、70℃で20時間行った。合成後、得られた粒子を油相から濾取した。次に、粒子を、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノールおよび水で順次に洗浄して、副生成物および油を除去した。ヒドロキシル官能性の程度(ヒドロキシル量(hydroxyl capacity)、負荷量)は2.1mol/kgであった。水中での膨潤性能は5.7mL/gであった。
【0062】
実施例2: ヒドロキシル基のアミン官能基への転換
実施例1に従って生成した樹脂(水中で膨潤している)2.5gに、トリエチレングリコールジアミン1.5mLを室温で添加し、次に、カリウムt-ブトキシド0.0046gを添加した。反応混合物を120℃で20時間撹拌した。次に、樹脂を水およびエタノールで洗浄して、残渣を除去した。アミン官能性の程度(アミン量(amine capacity)、負荷量)は、2.2mol/kgであった。水中での膨潤性能は10.8mL/gであった。
【0063】
実施例3: 高容量樹脂の調製
粒状ポリマー樹脂を、逆相懸濁重合法によって調製した。水15gが入ったフラスコに、分子量約2050g/molのビスアクリロイル化Jeffamine ED-2003(1.2g)およびBisomer PEA6(Mn=336g/mol)(3.76g)を添加した。反応混合物をN2に15分間暴露し、次に、過硫酸アンモニウム0.328gをその溶液に溶解させた。機械的攪拌機を備えた三つ口バッフル付きフラスコに、パラフィン油100mLおよび界面活性剤0.050gを添加し、70℃に加熱した。次に、反応混合物をその油に添加して、粒子の懸濁液を形成した。約1分間の反応時間後に、1,2-ジ-(ジメチルアミノ)-エタン0.621mLを懸濁混合物に注入した。化学合成、即ち網目形成を、70℃で20時間行った。合成後、得られた粒子を油相から濾取した。次に、粒子を、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノールおよび水で順次洗浄して、残りの生成物および油を除去した。ヒドロキシル官能性の程度(ヒドロキシル量、負荷量)は2.0mol/kgであった。水中での膨潤性能は7.3mL/gであった。
【0064】
実施例4: ヒドロキシル基のアミン官能基への転換
実施例3に従って生成した樹脂(水中で膨潤している)22gに、トリエチレングリコールジアミン108mLを室温で添加し、次に、カリウムt-ブトキシド0.066gを添加した。反応混合物を120℃で20時間撹拌した。次に、樹脂を水およびエタノールで洗浄して、残渣を除去した。アミン官能性の程度(アミン量、負荷量)は1.8mol/kgであった。水中での膨潤性能は12.1mL/gであった。
【0065】
実施例5: 高容量樹脂の調製
粒状ポリマー樹脂を、逆相懸濁重合法によって調製した。水60gが入ったフラスコに、分子量約1100g/molのビサクリロール化Jeffamine ED-900(21g)およびBisomer PEA6(Mn=336g/mol)(9g)を添加した。反応混合物をN2に15分間暴露し、次に、過硫酸アンモニウム1.67gをその溶液に溶解させた。機械的攪拌機を備えた三つ口バッフル付きフラスコに、パラフィン油600mLおよび界面活性剤0.30gを添加し、70℃に加熱した。次に、反応混合物をその油に添加して、粒子の懸濁液を形成した。約1分間の反応時間後に、1,2-ジ-(ジメチルアミノ)-エタン3.16mLを懸濁混合物に注入し、次に、水に溶解した亜硫酸水素ナトリウム1.24gを添加した。化学合成、即ち網目形成を、70℃で24時間行った。合成後、得られた粒子を油相から濾取した。次に、粒子を、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノールおよび水で順次洗浄して、残りの生成物および油を除去した。ヒドロキシル官能性の程度(ヒドロキシル量、負荷量)は0.9mol/kgであった。水中での膨潤性能は4.9mL/gであった。
【0066】
実施例6: ヒドロキシル基のアミン官能基への転換
実施例5に従って生成した樹脂(水中で膨潤している)2.5gに、エチレンジアミン3mLを室温で添加し、次に、カリウムt-ブトキシド0.0042gを添加した。反応混合物を20時間還流させた。次に、樹脂を水およびエタノールで洗浄して、残渣を除去した。アミン官能性の程度(アミン量、負荷量)は1.0mol/kgであった。水中での膨潤性能は5.1mL/gであった。
【0067】
実施例7: 部分アミノリシス樹脂のイオン強度依存性膨潤
実施例3に従って生成したヒドロキシエステル樹脂を、20倍過剰の短いビス-アミノプロピル-プロピレングリコール、Jeffamine D-230(Huntsmann corporation)により、120℃で16時間処理した。生成物を以下の各溶媒、水、エタノール、ジクロロメタンで5回濯ぎ、次に、乾燥させた。IRから判断して、約25%のエステル基が官能アミンに変換された。
【0068】
適切な溶液中での膨潤後に、乾燥樹脂100mgの圧縮床を測定することによって、生成された樹脂の膨潤度を測定した。

【0069】
アミノリシスにJeffamine EDR148を使用した場合に、同様の膨潤挙動が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、高負荷官能性樹脂の生成における2つの主要工程の一実施形態を示す。1) 架橋モノマー(P〜〜〜〜P)、アミノリシス感受性モノマー(P〜〜A)、および任意に鎖延長モノマー(Px)の混合物を、開始剤の影響下で重合させることによる前駆体樹脂の生成;2) 1個または複数の官能基を有する官能アミン(HNRR')を使用する前駆体樹脂のアミノリシス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の官能基を有するポリマーマトリックスを含んで成る樹脂であって、
該ポリマーマトリックスが、官能アミンでの前駆体樹脂のアミノリシスによって得られ;
該前駆体樹脂が、i) 2個以上の重合性基から成る架橋モノマー、例えばビニルまたは環状エーテル化合物、ならびにii) 1個の重合性基、例えばビニルまたは環状エーテル基、およびアミノリシス感受性基から成るアミノリシス感受性モノマー、の明確に規定された混合物の重合によって得られる;
樹脂。
【請求項2】
重合が、鎖延長モノマーの存在下で行われる請求項1に記載の樹脂。
【請求項3】
鎖延長モノマーが、重合性基、例えばビニルまたは環状エーテル末端基を有する反応性化合物を含んで成るか、またはそれから成る請求項1または2に記載の樹脂。
【請求項4】
鎖延長モノマーが、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクトン、ビニルエーテル、アリルエーテルおよびアクリロニトリル並びにそれらの任意の組合せ、またはひずみ環状エーテル、例えば置換オキシランまたは置換オキセタンから選択される請求項2または3に記載の樹脂。
【請求項5】
架橋モノマーが、2個以上の重合性基、例えばビニルまたは環状エーテル末端基を有するポリアルキレングリコールを含んで成るか、またはそれから成る請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂。
【請求項6】
架橋モノマーが、アミド、例えばジアミド、またはポリアミド、またはそれらの混合物を含んで成る請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂。
【請求項7】
重合が、ラジカルまたはイオン開始剤によって開始される請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂。
【請求項8】
アミノリシス法に使用される官能アミンが、一級もしくは二級アミンまたはそれらの混合物である請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂。
【請求項9】
架橋モノマーが、エチレンオキシドの末端アミノ化ポリマーのビニル化合物から選択される請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂。
【請求項10】
架橋モノマーが、プロピレンオキシドの末端アミノ化ポリマーのビニル化合物から選択される請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂。
【請求項11】
架橋モノマーが、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの末端アミノ化ポリマーのビニル化合物から選択される請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂。
【請求項12】
架橋モノマーが、オリゴ官能性出発分子、例えば、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジ-TMP(ジ-トリメチロールプロパン)、ジ-ペンタ(ジ-ペンタエリスリトール)の存在下で生成される請求項1〜11のいずれかに記載の樹脂。
【請求項13】
プロピレンオキシドが、1,2-プロピレンオキシドおよび1,3-プロピレンオキシド(それらの組合せを包含する)から選択される請求項2に記載の樹脂。
【請求項14】
アミドが、ジアミンおよびジカルボン酸から、もしくはジアミンおよびアミノ酸から生成される1,ω-ジアミドオリゴマーもしくはポリマー、またはオリゴアミノ酸またはポリアミノ酸から選択される請求項6に記載の樹脂。
【請求項15】
ジアミンが、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンチレンジアミン、ヘキシレンジアミン、ジアミノドデカン、ピペラジン、エチレンオキシド誘導アミン、例えば、1,5-ジアミノ-3-オキサペンタン、1,8-ジアミノ-3,6-ジオキサオクタン、1,11-ジアミノ-3,6,9-トリオキサウンデカン、ポリエチレンイミン等のポリアミン、例えばトリエチレンイミン;ピペラジノエチルアミン、スペルミン、スペルミジン;およびJeffamine D-230、D-400、D-2000、XTJ-510、XTJ-502、HK-511、XTJ-500、T-403、XTJ-509、T-5000およびジプライマリーアミン(DPA)、例えば、DPA-3PG、およびDPA-425、DPA-725、DPA-1000、DPA-1200、DPA-2000、DPA-4000、DPA-300E、DPA-400E、およびDPA-1000E(それらの任意の混合物を包含する)から成る群から選択される請求項14に記載の樹脂。
【請求項16】
ジカルボン酸が、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ドデカン二酸、ジグリコール酸、酒石酸、クエン酸、フタル酸およびトリメリット酸から成る群から選択される請求項14に記載の樹脂。
【請求項17】
アミノ酸、オリゴアミノ酸またはポリアミノ酸が、グリシン、アラニン、4-アミノブタン酸、6-アミノブタン酸、12-アミノドデカン酸および4-アミノ安息香酸(それらのオリゴマーおよびポリマーを包含する)から成る群から選択される請求項14に記載の樹脂。
【請求項18】
重合性基が、アクリルアミド官能基またはメタクリルアミド官能基またはエタクリルアミド官能基を含んで成る請求項1〜17のいずれかに記載の樹脂。
【請求項19】
重合性基が、ひずみ環状エーテル、例えば置換オキシランまたは置換オキセタンを含んで成る請求項1〜17のいずれかに記載の樹脂。
【請求項20】
架橋モノマーの分子量が、200〜10000、例えば200〜1000、例えば1000〜4000、例えば4000〜10000である請求項1〜19のいずれかに記載の樹脂。
【請求項21】
架橋モノマーが、JeffamineおよびDPA(それらの組合せを包含する)のアクリルアミドから選択される請求項1〜20のいずれかに記載の樹脂。
【請求項22】
Jeffamineが、Jeffamine D-230、D-400、D-2000、XTJ-510、XTJ-502、HK-511、XTJ-500、T-403、XTJ-509、T-5000(それらの混合物を包含する)から選択される請求項21に記載の樹脂。
【請求項23】
DPAが、DPA-3PG、またはDPA-425、DPA-725、DPA-1000、DPA-1200、DPA-2000、DPA-4000、DPA-300E、DPA-400E、DPA-1000Eまたはそれらの混合物から選択される請求項21に記載の樹脂。
【請求項24】
二-またはオリゴ官能性ビニル化合物が、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド(それらの混合物を包含する)のポリマーのアリルエーテルを含んで成るか、またはそれから成る請求項1〜23のいずれかに記載の樹脂。
【請求項25】
アリルエーテルが、分子量200〜10000、例えば200〜1000、例えば1000〜4000、例えば4000〜10000を有する多分散ポリエチレンオキシドジアリルエーテルから選択される請求項24に記載の樹脂。
【請求項26】
アリルエーテルが、PEG200ジアリルエーテル、PEG400ジアリルエーテル、PEG600ジアリルエーテル、PEG800ジアリルエーテル、エトキシル化トリメチロールプロパンアリルエーテルおよびエトキシル化ペンタエリスリトールアリルエーテル並びにそれらの任意の組合せから選択される請求項25に記載の樹脂。
【請求項27】
アミノリシス感受性モノマーが、アクリル酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、無水マレイン酸、アクリルアミドおよびクロロメチルスチレン並びにそれらの任意の組合せから成る群から選択される請求項1〜26のいずれかに記載の樹脂。
【請求項28】
アクリルアミドが、アクリルアミド、メチルアクリルアミドアセテートおよびアクリロニトリル(それらの組合せを包含する)から選択される請求項27に記載の樹脂。
【請求項29】
アクリル酸エステルが、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセロールアクリレート、PEGアクリレート、例えば、ジエチレングリコールアクリレート、トリエチレングリコールアクリレート、テトラエチレングリコールアクリレート、ペンタエチレングリコールアクリレート、ヘキサエチレングリコールアクリレート、ヘプタエチレングリコールアクリレート、オクタエチレングリコールアクリレート、ノナエチレングリコールアクリレートおよびデカエチレングリコールアクリレート並びにそれらの任意の組合せから成る群から選択されるアクリル酸エステルを含んで成るか、またはそれから成る請求項27に記載の樹脂。
【請求項30】
マレイン酸エステルが、マレイン酸メチル、マレイン酸エチル、およびマレイン酸ブチル並びにそれらの任意の組合せから成る群から選択されるマレイン酸エステルを含んで成るか、またはそれから成る請求項27に記載の樹脂。
【請求項31】
フマル酸エステルが、フマル酸メチル、フマル酸エチル、およびそれらの組合せから成る群から選択されるフマル酸エステルを含んで成るか、またはそれから成る請求項27に記載の樹脂。
【請求項32】
鎖延長モノマーの重合性基が、メタクリル酸エステル、例えばメタクリル酸メチルまたはメタクリル酸エチルから成る群から選択される反応性ビニル化合物を含んで成るかもしくはそれから成り、またはアクリルアミド、例えばN-メチルアクリルアミドもしくはN,N-ジメチルアクリルアミドを含んで成るかもしくはそれから成り、またはスチレンを含んで成るかもしくはそれから成り、または塩化ビニルを含んで成るかもしくはそれから成り、酢酸ビニルを含んで成るかもしくはそれから成り、N-ビニルホルムアミドを含んで成るかもしくはそれから成り、またはN-ビニルピロリドンを含んで成るかもしくはそれから成り、またはN-ビニルカプロラクトンを含んで成るかもしくはそれから成り、またはビニルエーテルを含んで成るかもしくはそれから成り、またはアリルエーテルを含んで成るかもしくはそれから成り、またはアクリロニトリルを含んで成るかもしくはそれから成る請求項3に記載の樹脂。
【請求項33】
鎖延長モノマーの重合性基が、ひずみ環状エーテル、例えば置換オキシランまたは置換オキセタンを含んで成るかまたはそれから成る請求項3に記載の樹脂。
【請求項34】
アミノリシス法に使用される官能アミンが、式RR'NH[式中、RおよびR'は同じかまたは異なる]によって示される請求項1〜33のいずれかに記載の樹脂。
【請求項35】
RおよびR'が、水素、脂肪族基および芳香族基から成る群から独立に選択され、該基が、1個または複数のヘテロ原子、例えば、窒素、酸素および硫黄で任意に置換される請求項34に記載の樹脂。
【請求項36】
RおよびR'が、メチル、エチル、プロピル、シクロヘキシル、ベンジルまたは置換ベンジル、例えば、p-メトキシベンジルまたはp-ニトロベンジル、フェニルまたは置換フェニル、例えばp-メトキシフェニルまたはp-ニトロフェニルから独立に選択される請求項34に記載の樹脂。
【請求項37】
RR'NHが、アミノ酸またはアミノ酸誘導体、例えば、グリシン、リシンまたはフェニルアラニン;炭水化物アミンまたはその誘導体、例えば、グルコサミン、ガラクトサミン;キラルアミン、例えば、アンフェタミン、アルカロイド、ジアミン、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンチレンジアミン、ヘキシレンジアミン、ジアミノドデカン、ピペラジン、アミノピリジン、エチレンオキシド誘導アミン、例えば、1,5-ジアミノ-3-オキサペンタン、1,8-ジアミノ-3,6-ジオキサオクタン、1,11-ジアミノ-3,6,9-トリオキサウンデカン、ポリアルキレンイミン等のポリアミン、例えばトリエチレンイミン;ピペラジノエチルアミン、スペルミン、スペルミジン;アミノクラウンエーテル、ヒドラジン類、例えばヒドラジン、ヒドロキシルアミン類、例えばヒドロキシルアミン、オリゴアミン、例えば、1,4,7-トリアミノヘプタン、1,4,7,10-テトラアミノデカン、1,4,7,10,13-ペンタアミノトリデカン並びにそれらの任意の組合せから成る群から選択される請求項34に記載の樹脂。
【請求項38】
前駆体樹脂のアミノリシスによって得られるポリマーマトリックス用の該前駆体樹脂を製造する方法であって、該前駆体樹脂は、i)2個以上の重合性基を含んで成る架橋モノマー、例えばビニルまたは環状エーテル化合物、およびii)1個の重合性基、例えばビニルまたは環状エーテル基、ならびにアミノリシス感受性基を含んで成るアミノリシス感受性モノマーの重合によって得られ、
少なくとも1つの架橋モノマーを供給する工程;
少なくとも1つのアミノリシス感受性モノマーを供給する工程;
鎖延長モノマーを任意に供給する工程;
さらに、重合開始剤を任意に供給する工程;
供給された架橋モノマー、アミノリシス感受性モノマー、および任意に供給された鎖延長モノマーを、a)ラジカル重合条件、またはb)イオン重合条件下で、重合させる工程;
重合された架橋モノマー、アミノリシス感受性モノマーおよび任意に供給された鎖延長モノマーを、回分法または連続法によって、任意に粒状化する工程であって、該粒状化を放射線開始剤または熱誘導開始剤によって触媒する工程;および
請求項1〜37のいずれかに記載のポリマーマトリックスの、架橋され任意に粒状化された前駆体樹脂を得る工程
を含んで成る方法。
【請求項39】
反応温度が-20℃〜150℃である請求項38に記載の方法。
【請求項40】
反応温度が20℃〜100℃、好ましくは40℃〜80℃である請求項38に記載の方法。
【請求項41】
反応が、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、もしくはアセトニトリル、またはポリエチレングリコール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールエーテル、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、またはエステル、例えばギ酸メチルまたは炭酸ジメチル等の溶媒の存在下で行われる請求項38〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
反応溶液の濃度が5〜100%である請求項38〜41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
反応溶液の濃度が10〜80%である請求項38〜41のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
反応溶液の濃度が20〜60%である請求項38〜41のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
撹拌速度が10〜2000rpmである請求項38〜44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
撹拌速度が50〜1000rpmである請求項38〜45のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
撹拌速度が100〜600rpmである請求項38〜45のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
界面活性剤、および/または溶媒、および/または非混和相を、反応混合物に供給し、撹拌または超音波処理条件下で反応混合物を反応させて、粒子形成および架橋を可能にする付加的工程を含んで成る請求項38〜47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
非混和性液体が、石油留分、脂肪族油、天然脂肪またはトリグリセリド、芳香族溶媒、例えばトルエンまたはキシレン、ハロゲン化溶媒、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、弗素化溶媒、またはそれらの混合物である請求項48に記載の方法。
【請求項50】
反応相対非混和性液体の比が、2:1〜1:100である請求項48に記載の方法。
【請求項51】
反応相対非混和性液体の比が、4:5〜1:75である請求項48に記載の方法。
【請求項52】
反応相対非混和性液体の比が、1:2〜1:30である請求項48に記載の方法。
【請求項53】
重合の開始剤が、
a) ペルオキシド、例えばアンモニウムペルオキソジスルフェートまたはテトラブチルアンモニウムペルオキソジスルフェート、
ヒドロペルオキシド、例えばt-ブチルヒドロペルオキシド、
アゾ化合物、例えばアゾイソブチロニトリル、
混合開始剤系、例えば下記物質の混合物、アンモニウムペルオキシジスルフェートおよび二亜硫酸ナトリウム;または、ペルオキソ二亜硫酸アンモニウムおよびN,N,N',N'-テトラメチルジアミノエタン;または、アンモニウムペルオキソジスルフェート、N,N,N',N'-テトラメチルジアミノエタンおよび二亜硫酸ナトリウム;または、臭素酸カリウム、エチレン四酢酸および硫酸銅;および
放射線発生ラジカル開始剤;
から成る群から選択されるラジカル重合開始剤;
b) ルイス酸、例えば、BF3エーテラート、BF3、TiCl4、および光発生カチオン開始剤から成る群から選択されるカチオン重合開始剤;または
c) アニオン重合開始剤、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムブトキシドおよびカリウムt-ブトキシド
を含んで成るか、またはそれから成る請求項38に記載の方法。
【請求項54】
界面活性剤が、
陰荷電界面活性剤、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;
中性界面活性剤、例えば、エトキシル化脂肪族アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、アルキルフェノール、エトキシル化脂肪酸誘導体、炭水化物誘導エステル、例えばラウリン酸ソルビタン、両親媒性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコールメタクリレートとラウリルアクリレートまたはシリルアルキルメタクリレートとのコポリマー、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー;および
陽荷電界面活性剤、例えば、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラヘプチルアンモニウムクロリド、またはテトラブチルアンモニウムブロミド
から成る群から選択される界面活性剤を含んで成るか、またはそれから成る請求項38〜53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
アミノリシス活性部位を有する架橋前駆体樹脂を供給する工程;
供給した該前駆体樹脂を、a)アミノリシス条件において、任意に溶媒の存在下、さらに任意に触媒の存在下で、反応させる工程;および
請求項1〜37のいずれかに記載の架橋され官能化されたポリマーマトリックスを得る工程
を含んで成る前駆体樹脂のアミノリシス法。
【請求項56】
前駆体樹脂を、アミン/アミノリシス活性基の所定モル比1000〜0.01において、アミンで処理する請求項55に記載の方法。
【請求項57】
アミン/アミノリシス活性基のモル比が100〜1である請求項55に記載の方法。
【請求項58】
アミン/アミノリシス活性基のモル比が10〜2である請求項55に記載の方法。
【請求項59】
温度が−20℃〜200℃である請求項55〜58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
温度が20℃〜150℃である請求項55〜58のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
温度が40℃〜120℃である請求項55〜58のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
アミノリシスが、触媒、例えば塩基性塩、例えば、ナトリウムメトキシド、カリウムt-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化セシウム、または求核塩、例えばシアン化ナトリウム、または三級アミン、例えば、ジメチルアミノピリジン、ジアゾビシクロノネンもしくはジアゾビシクロウンデセンの存在下で行われる請求項55〜61のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
アミノリシスが、溶媒、例えば、水;またはアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールもしくはエトキシエタノール;またはアミド、例えば、ジメチルホルムアミド;またはスルホキシド、例えばDMSO、または芳香族溶媒、例えばトルエンもしくはアニソール;またはニトリル、例えばアセトニトリル、またはそれらの混合物中で行われる請求項55〜62のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
化学成分の混合物を含んで成る組成物から、望ましくない化合物、好ましくはカルボニルおよび/またはスルホニル化合物を除去するための、請求項1〜37のいずれかに記載のポリマーマトリックスの使用。
【請求項65】
カルボニルまたはスルホニル化合物が、有機酸、酸塩化物、塩化スルホニル、ケトン、アルデヒドおよびそれらの誘導体から成る化合物群から選択される請求項64に記載の使用。
【請求項66】
曇り(ヘイズ)形成を防止することによって生成物を改善させるための、醸造工程における請求項64に記載の使用。
【請求項67】
有機分子合成用の支持体としての、請求項1〜37のいずれかに記載のポリマーマトリックスの使用。
【請求項68】
コンビナトリアルケミストリーライブラリーを作製する際の支持体としての、請求項1〜37のいずれかに記載のポリマーマトリックスの使用。
【請求項69】
薬剤分子、ペプチド、タンパク質、DNAまたはRNAの合成用の支持体としての、請求項1〜37のいずれかに記載のポリマーマトリックスの使用。
【請求項70】
固相酵素反応用の支持体としての、請求項1〜37のいずれかに記載のポリマーマトリックスの使用。
【請求項71】
生体分子、例えば、タンパク質、酵素または他の生化学的活性成分の固定化のための、請求項1〜37のいずれかに記載のポリマーマトリックスの使用。
【請求項72】
クロマトグラフィー分離、またはアフィニティ精製および脱塩を包含する所望標的化合物の精製のための、請求項1〜37のいずれかに記載のポリマーマトリックスの使用。
【請求項73】
薬理活性高分子としての、請求項1〜37のいずれかに記載のポリマーマトリックスの使用。
【請求項74】
生理活性分子の貯留槽としての、請求項1〜37のいずれかに記載のポリマーマトリックスの使用。
【請求項75】
生体内分解性成分としての、請求項1〜37のいずれかに記載のポリマーマトリックスの使用。

【図1】
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【公表番号】特表2008−510860(P2008−510860A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528600(P2007−528600)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000546
【国際公開番号】WO2006/021217
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(507046794)ヴァーサマトリックス・アクティーゼルスカブ (3)
【氏名又は名称原語表記】VersaMatrix A/S
【Fターム(参考)】