説明

高速データ転送及び無線エネルギ伝達におけるアンテナ部材

本発明は、アンテナ部材、電子通信装置(502、506)、及び電子通信システム(500)に関する。2つの電子通信装置間でカップリングするためのパラレルプレートタイプのアンテナを用いることによって、2つの電子通信装置の少なくとも一方の無線エネルギのチャージングに加えて、電子通信装置間における高速データ転送が提供されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、アンテナ部材、電子通信装置、及び電子通信システムに関し、特に、高速データ転送及び無線エネルギ伝達におけるアンテナ部材、電子通信装置、及び電子通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
モバイル電話機などの携帯通信装置は、ますます高密度なものとなっている。モバイル電話機の全てではないが多くのユニット及び構造的な特徴は、モバイル電話機のサイズや重さを低減させるために、空間や重量に関して最適化されている。
【0003】
無線エネルギ伝達は、例えば、歯ブラシなどの家庭の電気器具のアプリケーションによって既に実証されている。最近では、掌型のモバイル電話機の充電を行う充電ドックが提示されている。磁石を用いることによって、ドックステーション上に位置しているモバイル電話機が充電を行うのに正しい位置へ調整される。
【0004】
ドックステーションに磁石を提供する必要性は問題となる。また、携帯電話機の磁場応答手段の提供はスペースを要し、コスト的に効果的ではない。
【0005】
トランスファージェットは、最大で約3cmの比較的短い距離内でのデバイス間で最大で500MB/sの高速データ転送用に最近発表されたソニー株式会社による技術である。
【0006】
各ユニットにおけるスペース要件を低減する要望があるため、トランスファージェット技術を含むモバイル電話機の低減したスペース内でアンテナを設ける必要性もある。
【0007】
このように、空間制限のあるモバイル電話機における代替のアンテナを設ける必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、電子通信装置におけるアンテナソリューションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、電子通信装置におけるアンテナ部材が提供され、アンテナ部材は、少なくとも第1の範囲において偏波される電場の形式で無線周波数信号を送受信するための第1の給電ポイントを有する導電性アンテナシートを備え、前記導電性アンテナシートは、前記電場の近接場領域においてカップリングを提供するように適合され、前記導電性アンテナシートに関連した高速データ転送を可能にし、さらに、前記導電性アンテナシート(101)がエネルギ伝達手段に接続されると、前記導電性アンテナシートに関連した無線エネルギ伝達を可能にする前記電場のカップリングを提供するように適合される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、情報を送受信する電子通信装置が提供され、電子通信装置は、アンテナ部材を備え、アンテナ部材は、少なくとも第1の範囲において偏波される電場の形式で無線周波数信号を送受信するための第1の給電ポイントを有する導電性アンテナシートを備え、前記導電性アンテナシートは、前記電場の近接場領域においてカップリングを提供するように適合され、前記導電性アンテナシートに関連した高速データ転送を可能にし、さらに、前記導電性アンテナシート(101)がエネルギ伝達手段に接続されると、前記導電性アンテナシートに関連した無線エネルギ伝達を可能にする前記電場のカップリングを提供するように適合される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、第1の電子通信装置及び第2の電子通信装置を備える電子通信システムが提供される。第1の電子通信装置は、少なくとも第1の範囲において偏波される電場の形式で無線周波数信号を送受信するための第1の給電ポイントを有する第1の導電性アンテナシート含む第1のアンテナ部材を備える。第1の導電性アンテナシートは、電場の近接場領域におけるカップリングを提供するように適合され、第1の導電性アンテナシートに関連した高速データ転送を可能にする。第1の導電性アンテナシートは、さらに、第1の範囲及び第2の範囲において偏波される電場の形式で無線周波数信号を送受信するための第2の給電ポイントを有し、第2のアンテナ部材が前記電場の近接場領域において、二元的に偏波した無線周波数場を提供することを可能とする。第1の電子通信装置は、さらに、第1のアンテナ部材の第1の導電性アンテナシートに接続された第1の無線エネルギ伝達手段を備え、さらに、電場の第1の導電性アンテナシートの近接内で無線エネルギ伝達を可能にする、第1の導電性アンテナシートに関連した無線エネルギ伝達を可能にする電場のカップリングを提供するように構成される。第2の電子通信装置は、第2のアンテナ部材を備え、第2のアンテナ部材は、少なくとも第1の範囲で偏波した電場の形式で無線周波数信号を送受信するための第1の給電ポイントを備え、第2の導電性アンテナシートは、第2の導電性アンテナシートに関連した高速データ転送を可能にする、電場の近接場におけるカップリングを提供するように適合される。第2の導電性アンテナシートは、第1の範囲及び第2の範囲に偏波された電場の形式で無線周波数信号を送受信するための第2の給電ポイントを備え、第2のアンテナ部材が電場の近接場における二元的に偏波した無線周波数場のカップリングを提供することを可能にする。第2の電子通信装置は、さらに、第2のアンテナ部材の第2の導電性アンテナシートに接続された第2の無線エネルギ伝達手段を備える。第2の導電性アンテナシートは、電場の第2の導電性アンテナシートの近接内で無線エネルギ伝達を可能にし、第2の導電性アンテナシートに関連した無線エネルギ伝達を可能にする。高速データ転送及び無線エネルギ伝達は、第2の導電性アンテナシートの近接に第1の導電性アンテナシートを配置すると、第1及び第2の導電性アンテナシート間の偏波RFカップリングによって可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明、利点及び特徴を詳細に説明するために、添付の図面を参照しながら以下に複数の実施形態を記載する。
【図1】本発明の実施形態に係るアンテナ部材の形状を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るアンテナ部材の形状を示す図である。
【図3A】、
【図3B】いくつかの実施形態における2つの異なる方向から示す電子通信装置を示す図である。
【図4A】、
【図4B】いくつかの実施形態における2つの異なる方向から示す電子通信装置を示す図である。
【図5】お互いからある距離に位置する2つの電子通信装置を示す図である。
【図6】本発明のいくつかの実施形態に係る電子通信システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、上述した図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明のいくつかの実施形態に係るアンテナ部材(antenna arrangement)100を示す。アンテナ部材100は、矩形形状の導電性のアンテナシート101を備える。上記矩形の直交する第1の側及び第2の側の周辺近くに第1の給電点102及び第2の給電点104がそれぞれ配置される。第1の給電点102に無線周波数信号が給電されると、直線偏波した電場S−110が、導電性のアンテナシート101で得られ、第1の給電ポイントに最も近い側に対して垂直な方向に偏波される。第2の給電点104に無線周波数(RF)信号が給電されると、直線偏波した電場S−110が、図1の垂直方向に示すように得られる。第1の給電点102及び第2の給電点104に無線周波数(RF)信号が給電されると、それぞれが垂直方向と水平方向に偏波した電場S−110及びS−112によって示されるように、2つの偏波が導電性のアンテナシート101で得られる。
【0015】
図2には、リング形状の円形アンテナ部材200が示されている。図1に示すアンテナと同様に、第1の無線周波数給電ポイント202及び第2の無線周波数給電ポイント204がリング形状のアンテナ部材200上に設けられる。第1の給電ポイント202及び第2の給電ポイント204に第1及び第2の無線周波数信号が提供されると、第2の信号は第1の周波数信号の位相に対して90度、即ち、9πラジアン位相シフトされており、円形に偏波した電場S−210がリング形状の導電性のアンテナシート201で得られる。
【0016】
位相シフトは、無線周波数信号を分割し、波長の4分の1に対応する距離分異なる2つの分割部分に分けた状態で提供されうる。
【0017】
円形の偏波は、1つの給電ポイントを有するアンテナで得ることができる。しかしながら、本ケースにおいて、アンテナは複数の円形の偏波が生成されるように特別に設計されるべきである。これは、例えば、矩形に近い形状のアンテナを用いることによって、かつ、矩形のコーナーに近い給電ポイントを提供することによって達せされうる。ここで、矩形の側の2つの組の長さは等しくなく、例えば、一方の組が共鳴しやすいサイズより小さく、他方の組が共鳴しやすいサイズより少し長いサイズであってもよい。
【0018】
これらの給電ポイントは、直接電位コンタクトを用いることによって、それぞれの導電性のアンテナシートに接続されるうる。
【0019】
図3A及び図3Bは、2つの直交する方向を示す電子通信装置302、402を示す図である。図3Aでは電子通信装置302の背面が示される。図に示されるように、アンテナ部材304は矩形で設けられる。
【0020】
図3Bでは、電子通信装置306の側面が示される。図3Aで304で示されるアンテナ部材は、図3Bでは308で示されており、電子通信装置306の周辺近くに位置している。本発明のいくつかの実施形態によれば、アンテナ部材308は、携帯電話機のシェル(外郭構造)又はカバー内に、バッテリ(不図示)の外側に位置するように配置することができる。バッテリはモバイル電話機において通常背面側に配置される。
【0021】
図4A及び図4Bは、それぞれ電子通信装置402、406を示す。図3A及び図3Bと同様に、図4A及び図4Bは、それぞれモバイル電話機の背面と側面を示す。
【0022】
図4Aにおいて、電子通信装置402の背面には実質的に円形リングの形状でアンテナ部材404が配置されている。図4Bの側面では、アンテナ部材408の位置が電子通信装置406の外側側面に関連して示されている。図4Bに示すように、アンテナ部材408は電子通信装置406の外側境界付近に配置されてもよい。
【0023】
さらに、アンテナ部材は、電子通信装置の一例であるモバイル電話機の背面シェルに配置されてもよく、即ち、少なくともシェルに近接するか、シェルに直接接触するかの少なくとも一方で配置されてもよい。
【0024】
図3A、図3B、図4A、図4Bに示されるように、電子通信装置は、少なくともいくつかの実施形態によれば携帯電話機として説明される。
【0025】
図5では、お互いから距離510ほど離れて互いが平行して位置する第1の電子通信装置502及び第2の電子通信装置506を含む電子通信システム500が提示される。第1のアンテナ部材504は第2のアンテナ部材508の向かい側に位置する。
【0026】
アンテナ部材が本発明の実施形態によればトランスファージェットなどの高速データ転送に適合されてもよいことが言及されるべきである。
【0027】
トランスファージェットなどの高速データ転送用に動作するアンテナ部材は、動作周波数で1/2波長の外径を有するように適合される。なお、共鳴パッチアンテナ又はマイクロストリップアンテナが動作周波数の1/2波長のオーダで外径を有することが通常、アンテナのセオリーである。
【0028】
さらに、電子通信装置502、506は、異なるアンテナ部材に接続されたエネルギ伝達手段を備えてもよい。エネルギ伝達手段は、2つの装置が互いの関係において非常に接近して位置する(510)場合に、2つの電子通信装置502、506の少なくとも1つに対して無線エネルギ充電を提供する。
【0029】
ここで使用される無線とは、アンテナ部材間で電気的な接触を必要としないことを意味することが言及されるべきである。つまり、電気的な接触なしでの直接的な接触も用語「無線」には含まれる。
【0030】
例えば、電子通信装置502に配置されたバッテリは、電子通信装置506に配置されたバッテリ源によって充電されるか、又は、その逆であってもよい。
【0031】
図6において、電子通信装置の一例であり、モバイル電話機602を充電するように適合される充電ステーション610に近接した電子通信装置602を含む電子通信システム600が提示される。効果的な無線エネルギ充電は、2つの装置の第1のアンテナ部材606及び第2のアンテナ部材612の間での強いカップリングによって可能となる。
【0032】
強いカップリングは、それぞれのアンテナ部材の導電性のアンテナシート間で短い距離を採用することにより、かつ、大きな領域を有するアンテナシートを用いることによって得ることができる。
【0033】
図6では、モバイル電話機602が、モバイル電話機602の内部604を包囲するシェル又はカバー608を有するように示されている。これにより、モバイル電話機602が充電ステーション610上に位置する場合に、モバイル電話機の導電性アンテナシート606と充電ステーション610の導電性アンテナシートとの間の距離は、ほぼモバイル電話機のシェル又はカバー608の厚さに対応する。
【0034】
第1及び第2のアンテナシート間の強いカップリングを提供するために、効果的な充電における、2つのアンテナ部材間の距離は、短い距離、即ち、約1mmか又は少なくとも1cmよりも短く保たれるべきである。
【0035】
かなり強いカップリングは、2つのアンテナシートが互いに接触することが許される場合に得られる。擦り切れ及び裂傷を防ぐために、薄いカバー又はフィルムが1つの又は両方のアンテナ部材に設けられてもよい。
【0036】
実用的な理由から、シェル又はカバー608は、アンテナシート606の外側に使用されてもよい。なお、シェル又はカバーは、殆どのモバイル電話機において使用されるプラスチック材のような誘電体が用いられることが好ましい。
【0037】
約700MHzから10GHzでの周波数での動作において、誘電体は多くのエネルギを提供し、カバー608において低いエネルギ損失で電磁エネルギを吸収しない。
【0038】
このように、複素誘電率の低い虚数部を有する誘電体であることが好ましく、当該虚数部は、選択された材料の中でエネルギの浪費又は損失に関連している。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によれば、アンテナ部材は、約700MHzから10GHzでの周波数、好ましくは、高速データ転送における周波数データである4,48GHzの周波数での動作において第1のアンテナシート606及び第2のアンテナシート612間の有効なカップリングを提供するように適合される。
【0040】
ここで説明される高速エネルギ伝達技術はトランスファージェットを含む。
【0041】
シェル若しくはカバー、又は、少なくともモバイル電話機のバッテリ外部の背面側、即ち、バッテリの背面にアンテナ部材を設けることによって、最低限のスペースが電話機の内部で使用され、モバイル電話機によって必要とされるスペースがより小さくなる。このように、アンテナ部材は、モバイル電話機の背面シェルに配置されうる。当該シェルは、モバイル電話機のバッテリの蓋であってもよく、そうでなくてもよい。
【0042】
アンテナ部材が電子通信装置又はモバイル電話機の面又は周囲に近づけて設けられるため、電場に近接したフィールド領域において電場の制限範囲が非常に低い信号となる問題は発生しない。むしろ、通信範囲が比較的短いため、長い距離からの種々のデバイス間における干渉は最小限に維持される。
【0043】
無線エネルギ充電に関して、2つの導電性のアンテナシート間は近接することが好ましく、一般的には約1cmよりも短い距離が好ましい。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態によれば、アンテナ部材は、唯一の給電ポイントを含むことができ、これにより給電ポイントにRF信号が供給されると、直接偏波電場がアンテナ部材のアンテナシートで得られる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態によれば、アンテナ部材は唯一の給電ポイントを含むことができ、給電ポイントにRF信号が供給されると、円偏波電場がアンテナ部材のアンテナシートで得られるようにアンテナは設計される。
【0046】
直線偏波アンテナを有する第1の電子通信装置は、直線偏波アンテナを有する他の電子通信装置にカップリングする近接場を提供してもよい。2つのアンテナ間のカップリングは、2つのアンテナの相対的な方向性に依存する。平行又は逆平行の方向性は、実質的なカップリングを提供することができ、一方で2つのアンテナの直交する相対的な方向性は最低限のカップリングを提供する。
【0047】
電子通信システムは、直線偏波の第1のアンテナ部材を備える第1の電子通信装置を含み、近接場のカップリングは、二元的(dual)偏波の第2のアンテナ部材を備える第2の電子通信装置との間で行われる。1つの偏波を有するアンテナと2つの偏波を有するアンテナとの間のインタラクションの場合、第1のアンテナ部材と第2のアンテナ部材との相対的な方向性においてより独立的である。
【0048】
それぞれが二元的偏波のアンテナ部材を備える第1及び第2の電子通信装置の場合、第1及び第2のアンテナ部材の相対的な方向性は、両方のアンテナが2つの異なる範囲の偏波を受信するためそれほど重要ではない。アンテナ部材からの各偏波は、他のアンテナにおける任意の2つの直交方向において2つの偏波成分に分割されうる。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1及び第2のアンテナ部材は、二元的偏波されるように適合されてもよく、第1の給電ポイントへ供給される無線周波数信号は、第2の給電ポイントへ供給されるべき無線周波数信号の位相に対して90πラジアンの位相シフトを有する。そのような位相シフト信号を第1及び第2の給電ポイントへ供給することにより、アンテナシートでは円偏波の電場が得られる。そのような円偏波を得るために、アンテナシートは、そのような偏波モードが得られるように適合されなければならない。暗転シートが円形形状にならなければならないという、アンテナシートの形状制限は1つの必須条件となる。円外径のリング形状は、また、アンテナ部材で円偏波における要件を満足する。
【0050】
代替の実施形態によれば、第1及び第2のアンテナ部材は、1つのアンテナ給電装置を有する導電性のアンテナシートから円偏波を生成するように適合されてもよい。2つの対辺が動作周波数の1/2波長よりも僅かに長く、他の対辺が上記1/2波長よりも僅かに短い、ほぼ矩形のアンテナシートを設けることにより、近接する矩形のコーナーに近い位置で無線周波数信号を給電すると、結果としての偏波は円形となりうる。
【0051】
2つのアンテナ間の近接場領域におけるカップリングが増加領域に伴って増加するため、大きな干渉領域を有するアンテナ、即ち、大きな導電性のアンテナシートは、強いカップリングを提供することができる。したがって、近接した2つの円形シート間のカップリングは、当該円形の導電性アンテナシートのサイズとほぼ同程度の外径を有する2つのリング形状のシート間におけるカップリングよりも強い。
【0052】
ここで言及されているように電場は明瞭であり、当該電場が電場を形成する対応磁場によって実現されてもよいことが理解されるべきである。
【0053】
少なくとも本発明の実施形態のいくつかは、以下に記載する多くの利益をもたらす。
【0054】
本発明に係るアンテナ部材を用いることによって、高速データ転送及びエネルギ充電が省スペース化を実現する電子通信装置において提供されうる。
【0055】
本発明に係るアンテナ部材を用いることによって、制限されたスペースにおける電子通信装置におけるデュアル機能をどのように実現するかという問題の解決手法を提供し、同一のアンテナ手段はデュアル機能用に使用されうる。
【0056】
アンテナ部材は、上述したように、平面的に図示して提示されているが、実質的にはそれらのアンテナ部材における平面的要件はない。むしろ、それらのアンテナ部材が、電子通信装置及び携帯電話機の物理構造に従う方が非常に有利である。無線エネルギ伝達において非常に近接した関係が得られるのであれば、技術的な効果は十分に維持される。
【0057】
いくつかの実施形態を提示したものの本発明は多くの変形例を含むことができる。したがって、上記実施形態には制限されない。しかし、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子通信装置におけるアンテナ部材(100)であって、
少なくとも第1の範囲において偏波される電場(S−112)の形式で無線周波数信号を送受信するための第1の給電ポイント(102)を有する導電性アンテナシート(101)を備え、
前記導電性アンテナシート(101)は、
前記電場の近接場領域においてカップリングを提供するように適合され、前記導電性アンテナシート(101)に関連した高速データ転送を可能にし、
さらに、前記導電性アンテナシート(101)がエネルギ伝達手段に接続されると、前記導電性アンテナシート(101)に関連した無線エネルギ伝達を可能にする前記電場のカップリングを提供するように適合されることを特徴とするアンテナ部材(100)。
【請求項2】
前記導電性アンテナシート(101)は、さらに、
前記第1の範囲及び第2の範囲において偏波される電場(S−110、S−112)の形式で無線周波数信号を送受信するための第2の給電ポイント(102)を有し、
前記アンテナ部材(100)が前記電場の近接場領域において、二元的に偏波した無線周波数場を提供することを可能とする請求項1に記載のアンテナ部材(100)。
【請求項3】
前記第1及び第2の給電ポイント(102,104)は、
直交する第1及び第2の無線周波数場偏波(S−110,S−112)を提供するために、他方の給電ポイントに対して直交するように、前記導電性アンテナシートに配置されることを特徴とする請求項2に記載のアンテナ部材(100)。
【請求項4】
前記導電性アンテナシート(101)は矩形であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のアンテナ部材(100)。
【請求項5】
前記導電性アンテナシート(201)は円形であることを特徴とする請求項2に記載のアンテナ部材(100,200)。
【請求項6】
前記導電性アンテナシート(201)はリング形状であることを特徴とする請求項2又は5に記載のアンテナ部材(100,200)。
【請求項7】
前記導電性アンテナシート(101,201)は、約700MHzから10GHz、好ましくは4,48GHzの無線周波数範囲において高速データ転送に適合されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のアンテナ部材(100,200)。
【請求項8】
請求項1のアンテナ部材(100)を備える情報を送受信する電子通信装置(302,306,402,406,502,506,602,610)。
【請求項9】
前記アンテナ部材は、請求項2乃至7の何れか1項に記載のアンテナ部材(100,200,304,308,404,408,504,508)を備え、
前記電子通信装置は、さらに、前記アンテナ部材(100,200,304,308,404,408,504,508)の前記導電性アンテナシート(606,612)に接続された無線エネルギ伝達手段を備え、
前記無線エネルギ伝達手段は、
前記電場の前記導電性アンテナシート(606,612)の近接した範囲内で無線エネルギ伝達を可能にし、前記導電性アンテナシート(606,612)に関連した無線エネルギ伝達を可能にすることを特徴とする請求項8に記載の電子通信装置(302,306,402,406,502,506,602,610)。
【請求項10】
前記アンテナ部材(200)は円形又はリング形状であり、
前記電子通信装置(402,406)は、さらに、前記第1の給電ポイントにおける前記無線周波数信号の位相に関連して、円偏波した電場(S−210)を提供する前記第2の給電ポイントに対して、前記無線周波数信号の位相シフトを提供する位相シフトユニットを備えることを特徴とする請求項9に記載の電子通信装置(402,406)。
【請求項11】
前記電子通信装置はモバイル電話機であることを特徴とする請求項8乃至10の何れか1項に記載の電子通信装置(302,306,402,406,502,506,602,610)。
【請求項12】
モバイル電話機(602)を充電するように適合された充電ステーション(610)をさらに備えることを特徴とする請求項9乃至11の何れか1項に記載の電子通信装置(302,306,402,406,502,506,602,610)。
【請求項13】
前記無線エネルギ伝達手段は、約500KHzから10MHzの範囲内での周波数で動作するように適合されることを特徴とする請求項9乃至12の何れか1項に記載の電子通信装置(302,306,402,406,502,506,602,610)。
【請求項14】
電子通信システム(500,600)であって、
第1の電子通信装置(502,602)と、
第2の電子通信装置(506,610)と
を備え、
前記第1及び第2の電子通信装置は、請求項9乃至12の何れか1項に記載の電子通信装置であり、
高速データ転送及び無線エネルギ伝達は、前記第2の導電性アンテナシートの近傍(510)に前記第1の導電性アンテナシートを配置すると、前記第1及び第2の導電性アンテナシート(606,612)間の偏波RFカップリングによって可能とされることを特徴とする電子通信システム(500,600)。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−518301(P2012−518301A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549445(P2011−549445)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060614
【国際公開番号】WO2010/091745
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(502087507)ソニーモバイルコミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】