説明

高難度歌唱区間報知カラオケシステム

【課題】 演奏データを参照して高難度の歌唱区間を抽出し、歌詞テロップの表示のみにより高難度の歌唱区間を予め報知して、歌唱の補助を行う。
【解決手段】 任意の楽曲について、表示単位毎に対応する演奏データを参照し、予め定めた種別の高難度歌唱符号が含まれている表示単位について、当該高難度符号の種別を表す高難度種別フラグを設定し、楽曲別高難度歌唱区間データベース46cとして記憶させる高難度歌唱区間設定手段50と、楽曲別高難度歌唱区間データベース46cを参照し、任意の表示単位において高難度種別フラグが設定されていた場合に、当該表示単位の歌詞テロップを、高難度種別フラグが設定されていない表示単位の歌詞テロップと識別可能に表示させるように制御する高難度表示制御手段55aと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の歌唱区間を表示単位とし、カラオケ演奏の進行に応じた表示単位毎の歌詞テロップについて、歌唱難度が高い歌唱区間を識別可能に表示する高難度歌唱区間報知カラオケシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の楽曲には、部分的に歌唱難度の高い歌唱区間が存在する。例えば、臨時記号を付した音符を含む区間、シンコペーションの音符を含む区間、アウフタクトの音符を含む区間、不均等譜割の音符を含む区間等である。これらの区間には、それぞれ特徴的な歌い方が要求されるため、歌唱に未熟な者にとっては高難度な楽曲となってしまう。
【0003】
ところで、一般的なカラオケ演奏装置は、カラオケ演奏の進行に応じて、所定の歌唱区間毎に歌詞テロップを表示する機能を有している。そして、歌詞テロップの色変わりによって、次にどのような歌詞を歌唱すればよいかを確認することにより、歌詞及び歌唱タイミングを間違えることなく歌唱を行うことができるようになっている。しかし、歌詞テロップは歌唱難度を表すものではなく、歌唱難度の高い歌唱区間に対する心構えができないうちに、当該歌唱区間を歌唱せざるを得ない場合もあった。
【0004】
従来、歌唱難度を客観的に判定するための技術が開示されている(特許文献1、特許文献2参照)。特許文献1に記載された技術は、演奏データを参照して、息継ぎマーク間に存在する歌唱技術記号を抽出して所定の演算処理を行い、歌唱レベルを算出するようになっている。
【0005】
また、特許文献2に記載された技術は、演奏データに基づいて自動的に難易度を判定し、この難易度を用いて実際の歌唱の巧拙を正確に判定する技術である。すなわち、演奏データのガイドメロディトラックのデータを取り込み、各音符の音長の平均値を求め、音長平均値が小さいほど難易度が高いと判断する。また、ガイドメロディの前後の音符の音高差の平均値を求め、この音高差平均値が大きいほど難易度が高いと判断する。また、歌唱旋律中の最高音と最低音の差である音域を求め、この音域が広いほど難易度が高いと判断する。また、歌唱旋律中の特定音高(例えば短7度以上の上昇音程又は6度以上の下降音程など)の出現頻度を算出し、出現頻度が高いほど難易度が高いと判断する。そして、これらの手法により難易度を判定し、採点結果の得点に難易度に応じた重みづけをするようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−31132号公報
【特許文献2】特開2005−107333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した特許文献1及び特許文献2に記載された技術は、演奏データに基づいて、客観的に歌唱の難易度を判定することができるが、実際に歌唱を行っている際に、歌唱者に対して歌唱の難易度を報知することはできない。したがって、従来の技術では、歌唱の難易度を判定したにもかかわらず、この難易度を歌唱補助に役立てることはできなかった。
【0008】
そこで、歌唱に未熟な者が高難度な楽曲の歌唱に挑戦する場合には、予め高難度な歌唱区間を報知することにより、これから高難度な歌唱区間となることへの心構えを促して、歌唱の補助を行うことができる技術の開発が望まれていた。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、演奏データを参照して高難度の歌唱区間を抽出し、歌詞テロップの表示のみにより高難度の歌唱区間を予め報知して、歌唱の補助を行うことが可能な高難度歌唱区間報知カラオケシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の高難度歌唱区間報知カラオケシステムは、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。すなわち、本発明の高難度歌唱区間報知カラオケシステムは、所定の歌唱区間を表示単位とし、カラオケ演奏の進行に応じた表示単位毎の歌詞テロップについて、歌唱難度が高い歌唱区間を識別可能に表示するシステムであって、高難度歌唱区間設定手段と、高難度表示制御手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
高難度歌唱区間設定手段は、任意の楽曲について、表示単位毎に対応する演奏データを参照し、予め定めた種別の高難度歌唱符号が含まれている表示単位について、当該高難度符号の種別を表す高難度種別フラグを設定し、楽曲別高難度歌唱区間データベースとして記憶させるための手段である。高難度表示制御手段は、楽曲別高難度歌唱区間データベースを参照し、任意の表示単位において高難度種別フラグが設定されていた場合に、当該表示単位の歌詞テロップを、高難度種別フラグが設定されていない表示単位の歌詞テロップと識別可能に表示させるように制御するための手段である。
【0012】
このような構成からなる高難度歌唱区間報知カラオケシステムでは、演奏データ(MIDI(登録商標)データ)に含まれる歌唱符号に基づいて、表示単位毎に歌唱難度を判定し、高難度となる表示単位では歌詞テロップの表示態様を変更して高難度種別表示を行う。なお、表示単位とは、カラオケ楽曲を演奏する際に、表示装置において1ブロックに表示される歌詞テロップの単位のことであり、区切りのよいフレーズで歌唱区間が区切られて1表示単位とされる。
【0013】
この高難度歌唱区間報知カラオケシステムでは、予め定めた高難度歌唱符号を記憶しておく。高難度歌唱符号とは、例えば、臨時記号、シンコペーション、アウフタクト、不均等譜割等の種別を表す符号のことである。そして、高難度歌唱区間設定手段により、任意の楽曲について、表示単位毎に演奏データを参照する。ここで、高難度歌唱符号が含まれていると、当該表示区間について当該高難度歌唱符号の種別を表す高難度種別フラグを設定して、楽曲別高難度歌唱区間データベースとして記憶させる。さらに、高難度表示制御手段により、高難度種別フラグが設定されている表示単位について、高難度であることを識別可能な表示態様で歌詞テロップを表示させる。高難度であることを識別可能な歌詞テロップの表示態様とは、例えば、デフォルト設定された歌詞テロップと比較して、異なる配色、異なるサイズ、異なる形状等のことである。
【0014】
また、上述した構成に加えて、歌唱採点履歴記憶手段をさらに備えることが可能である。歌唱採点履歴記憶手段は、任意の利用者が歌唱した任意の楽曲について、歌唱採点機能を用いて採点された所定の歌唱区間毎の歌唱採点値と、当該利用者の利用者IDと、当該楽曲の楽曲IDとを紐付けし、歌唱採点履歴データベースとして記憶させる手段である。また、高難度表示制御手段の機能として、歌唱採点履歴データベースを参照し、当該歌唱採点履歴データベースに記憶されている任意の利用者に紐付けされた楽曲については、当該利用者の歌唱による採点値が所定の基準値未満の歌唱区間に対応する表示単位に限って制御を行うような機能を付加することが可能である。
【0015】
このような構成からなる高難度歌唱区間報知カラオケシステムでは、利用者毎の歌唱採点履歴に応じて、高難度の表示を行うか否かを判断する。すなわち、歌唱採点機能により、任意の利用者が任意の楽曲を歌唱すると歌唱採点を行う。そして、歌唱履歴記憶手段により、歌唱採点機能を用いて採点された所定の歌唱区間毎の歌唱採点値と、当該利用者の利用者IDと、当該楽曲の楽曲IDとを紐付けし、歌唱採点履歴データベースとして記憶する。任意の利用者が任意の楽曲を選曲すると、歌唱採点履歴データベースを参照し、当該利用者による当該楽曲の歌唱について歌唱採点値と所定の基準値とを比較する。そして、当該利用者の歌唱による採点値が所定の基準値未満の歌唱区間に対応する表示単位に限って、高難度であることを識別可能となるように、歌詞テロップを表示させる。
【0016】
表示装置には、カラオケ演奏の進行に応じて表示単位毎に歌詞テロップが表示されるが、高難度歌唱区間に対応する表示区間では、歌唱難度が高い旨を識別できるように、高難度種別フラグに対応させた高難度の表示態様で、カラオケ演奏端末における通常の表示タイミングにて歌詞テロップが表示される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の高難度歌唱区間報知カラオケシステムでは、高難度歌唱区間に対応する表示区間では、予め難度が高いことを識別できるように、高難度種別に対応した高難度の表示態様で歌詞テロップが表示される。したがって、高難度な歌唱区間に対する心構えを促すことができ、歌唱に未熟な者であっても、自らの技量に見合った歌唱力を発揮できるように補助することができる。すなわち、本来ならば、楽譜から高難度歌唱符号を読み取り、高難度歌唱区間を認識することができるが、歌詞テロップを表示させなくてはならないカラオケ表示画面では、歌詞テロップと同時に楽譜を表示させることは事実上不可能である。この点、本発明の高難度歌唱区間報知カラオケシステムでは、表示画面に楽譜を表示することなく、歌詞テロップの表示のみによって容易に高難度歌唱区間を認識することができる。
【0018】
また、利用者毎の歌唱採点履歴に応じて、利用者の歌唱力に対応した高難度の表示態様で歌詞テロップを表示する構成とした場合には、利用者の技量に対応して難易度が判定されるので、より一層確実に、自らの技量に見合った歌唱力を発揮できるように補助することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の高難度歌唱区間報知カラオケシステムの実施形態を説明する。
本発明の実施形態に係る高難度歌唱区間報知カラオケシステムは、所定の歌唱区間を表示単位とし、カラオケ演奏の進行に応じた表示単位毎の歌詞テロップについて、歌唱難度が高い歌唱区間を識別可能に表示させるものである。以下、本発明の実施形態に係る高難度歌唱区間報知カラオケシステム(以下、カラオケシステムと略記する)について説明する。
【0020】
<カラオケシステムの概要>
図1は通信ネットワークを用いてカラオケシステムを構成した場合の概略ブロック図、図2はカラオケ演奏端末のブロック図である。
本発明の実施形態に係るカラオケシステムは、図1に示すように、通信ネットワーク12を介して相互に接続されたホスト装置13と複数のカラオケ演奏端末11とを備えている。通信ネットワーク12は、公衆電話回線、専用電話回線、光通信回線、LAN等を用いることができるが、ネットワークに対する第三者の侵入やデータの傍聴及び改竄が困難であると共に、帯域を独占せず安価な通信網であるという点で、インターネットにより構成されるVPNを利用することが好ましい。
【0021】
<ホスト装置>
ホスト装置13は、図1に示すように、送受信手段31、制御手段32、データ処理手段33、歌唱採点履歴記憶手段34、顧客データベース35、歌唱採点履歴データベース36を備えている。
【0022】
<送受信手段/制御手段>
送受信手段31は、各カラオケ演奏端末11との間でデータの送受信を行うための手段であり、通信ネットワーク12における通信方式の整合性を保つための通信回路やソフトウェアにより構成される。制御手段32は、ホスト装置13を統括的に制御するための手段であり、CPU及びその周辺機器を含んで構成され、CPU等がROM等に格納されたアプリケーションプログラムに従って動作することにより制御機能を発揮するようになっている。
【0023】
<データ処理手段>
データ処理手段33は、顧客データベース35にアクセスして、データの抽出、変更、追加を処理するためのプログラムからなる。
【0024】
<顧客データベース>
顧客データベース35は、利用者毎に利用者情報が登録されたデータベースである。この顧客データベース35は、利用者毎に、利用者ID、氏名、セカンドネーム(例えば愛称)、住所、電話番号、生年月日、性別、職業等が関連付けて構成されている。
【0025】
<歌唱採点履歴記憶手段/歌唱採点履歴データベース>
歌唱採点履歴記憶手段34は、任意の利用者が歌唱した任意の楽曲について、歌唱採点機能を用いて採点された所定の歌唱区間毎の歌唱採点値と、当該利用者の利用者IDと、当該楽曲の楽曲IDとを紐付けし、歌唱採点履歴データベース36として記憶させるためのプログラムからなる。
【0026】
本実施形態のカラオケ演奏端末11は、歌唱採点手段49を備えており、この歌唱採点手段49の機能により、任意の利用者が歌唱した任意の楽曲について、所定の歌唱区間毎に歌唱採点を行う。歌唱採点履歴データベース36は、この歌唱採点値を記憶したものである。
図3は、歌唱採点履歴データベースの構成を示す模式図である。歌唱採点履歴データベース36は、図3に示すように、利用者別に楽曲毎の歌唱採点値を記憶したデータベースであり、歌唱採点値は表示単位別の採点値及び総合採点値からなる。なお、利用者毎の歌唱採点履歴に応じて、高難度の判定を行わない場合には、歌唱採点履歴記憶手段34及び歌唱採点履歴データベース36を省略することができる。
【0027】
<カラオケ演奏端末>
本発明の実施形態に係るカラオケ演奏端末11は、図2に示すように、カラオケ本体21、カラオケリモコン装置22、ミキシングアンプ23、スピーカ24、マイクロホン25、表示装置26を備えている。カラオケ本体21と表示装置26とは、有線方式又は無線方式により接続されている。
【0028】
<カラオケリモコン装置>
カラオケリモコン装置22は、ユーザインタフェース機能を備えており、カラオケ本体21のローカル送受信手段42に対して有線方式又は無線方式によりデータの送受信を行うようになっており、データの送受信を行うための回路基板及びプログラムと、楽曲検索手段22aとして機能させるためのプログラムと、楽曲索引データベース22bと、利用者ID取得手段22cと、一時記憶領域であるフラッシュメモリ(図示せず)とを備えている。
【0029】
<楽曲検索手段/楽曲索引データベース>
楽曲検索手段22aは、楽曲索引データベース22bを参照して、楽曲を検索するためのプログラムからなる。楽曲索引データベース22bは、カラオケ演奏端末11で演奏に供される楽曲についての属性情報を記述したデータベースであり、例えば、楽曲番号・曲名・歌手名・歌い出し部分の歌詞・流行時期・音楽ジャンル区分・デュエット曲か否かなど、種々の属性情報がこれに含まれている。なお、楽曲索引データベース22bの内容は、カラオケ演奏端末11がホスト装置13と通信を行う際に、適宜なタイミングで最新のものに更新される。
【0030】
<利用者ID取得手段>
利用者ID取得手段22cは、利用者がカラオケ演奏端末11を利用する際に、利用者が所持するID媒体61から利用者IDを取得するための電子回路及びプログラムからなる。利用者ID取得手段22cで取得した利用者IDは、RAM45に一時的に記憶され、ログイン利用者管理手段48で管理される。ID媒体61は、例えば、非接触型のICカード、携帯電話、携帯情報端末等からなり、利用者IDを記憶して、利用者ID取得手段22cとの間でデータの送受信を行うことができるようになっている。
【0031】
<カラオケ本体>
カラオケ本体21は、ネットワーク送受信手段41、ローカル送受信手段42、中央制御手段43、ROM44、RAM45、HDD46、予約管理手段47、ログイン利用者管理手段48、歌唱採点手段49、高難度歌唱区間設定手段50、音楽再生制御手段53、A/Dコンバータ54、映像再生制御手段55を備えている。
【0032】
<送受信手段>
ネットワーク送受信手段41は、通信ネットワーク12を介してホスト装置13との間でデータの送受信を行う際に、通信ネットワーク12における通信方式の整合性を保つための電子回路及びプログラムからなる。ローカル送受信手段42は、カラオケリモコン装置22との間でデータの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。
【0033】
<中央制御手段>
中央制御手段43は、カラオケ本体21を総合的に制御するための手段であり、例えばCPU及びその周辺機器により構成されており、CPU等がROM44等に記憶されたアプリケーションプログラムに従って動作することにより、制御機能を発揮することができるようになっている。
【0034】
<ROM/RAM>
ROM44は、カラオケ演奏端末11を構成する各機器を制御するためのアプリケーションプログラムデータや数値データを記憶するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。また、RAM45は、アプリケーションプログラムや各種データを一時的に記憶する一時記憶領域として機能するもので、例えば半導体メモリ等で構成される。なお、物理的な半導体メモリによりRAM45を構成するのではなく、ハードディスク記憶装置等を用いて仮想的なRAM45を構成してもよい。本実施形態では、RAM45に、予約待ち行列45a、歌唱採点履歴データ45b、歌詞テロップ表示制御データ45cが格納されている。なお、歌唱採点履歴データ45bは、ホスト装置13と通信を行う際に、適宜なタイミングでホスト装置13の歌唱採点履歴データベース36から受信してRAM45に格納される。
【0035】
<HDD>
HDD46には、楽曲データベース(楽曲DB)46a、映像データベース(映像DB)46b、楽曲別高難度歌唱区間データベース(楽曲別高難度歌唱区間DB)46cが格納されている。なお、HDD46に替えて、あるいはHDD46と共に、データを書き替え可能なDVD等の大容量記憶装置を用いてもよい。
【0036】
<楽曲データベース/映像データベース>
楽曲データベース46aは、演奏データ(MIDI(登録商標)データ)及び歌詞テロップデータが同期されて構成される演奏データについて、楽曲IDと対応付けてそれぞれ格納したデータベースである。演奏データは各楽曲の演奏データをデジタル化したものであり、歌詞テロップデータは演奏データに同期された楽曲の歌詞文字データである。本実施形態では、楽曲データベース46aに格納された演奏データが高難度歌唱区間の設定に使用される。また、楽曲データベース46aに格納された歌詞テロップデータには、デフォルトの表示色、表示サイズ、フォント等の表示態様が設定されており、高難度種別表示を行う場合には、デフォルト設定された表示態様が高難度種別表示を行うための表示態様に変更される。映像データベース46bは、演奏される楽曲に対応した背景映像を、当該楽曲の楽曲IDに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。
【0037】
<予約管理手段>
予約管理手段47は、利用者によりカラオケリモコン装置22における楽曲検索手段22aの機能を用いて選曲され、ローカル送受信手段42を介して送信された当該選曲者の利用者情報(例えば利用者ID)及び選曲された楽曲IDを対応付けて予約待ち行列45aとしてRAM45に格納し、管理するためのプログラムである。なお、楽曲選択の表示や予約待ち行列45aの表示は、カラオケリモコン装置22の入出力用表示部及び表示装置26のいずれか一方、あるいは双方で行うことができる。
【0038】
<ログイン利用者管理手段>
ログイン利用者管理手段48は、現に当該カラオケ演奏端末11にログインしている利用者を、利用者IDに基づき特定して管理するためのプログラムからなる。すなわち、ログイン利用者管理手段48では、利用者ID取得手段22cにより利用者IDが取得された場合に、この利用者IDに基づいてカラオケ演奏端末11にログインしている利用者を特定して管理する。
【0039】
<歌唱採点手段>
歌唱採点手段49は、歌唱採点機能を発揮するための手段であり、利用者による任意の楽曲の歌唱について、所定の歌唱区間毎に歌唱採点を行うためのプログラムからなる。
歌唱採点手段49では、マイクロホン25より入力され、A/Dコンバータ54でデジタル変換された歌唱者の音声信号から、音程、声量、テンポ等の歌唱評価データを抽出すると共に、この歌唱評価データと演奏楽曲の主旋律等のリファレンス情報とを比較して採点を行う。このような歌唱採点方法については、特開2007−121917号公報等に詳細に記載されている。
なお、歌唱採点手段49における歌唱採点は所定の歌唱採点区間毎に行われるが、この歌唱採点区間と歌詞テロップの表示単位とは、必ずしも一致している必要はない。歌唱採点区間と歌詞テロップの表示単位とが一致していない場合には、表示単位と重複する歌唱採点区間の採点値を用いることになる。
【0040】
<高難度歌唱区間設定手段>
高難度歌唱区間設定手段50は、任意の楽曲について、表示単位毎に対応する演奏データを参照し、予め定めた種別の高難度歌唱符号が含まれている表示単位について、当該高難度符号の種別を表す高難度種別フラグを設定し、楽曲別高難度歌唱区間データベース46cとして記憶させるためのプログラムからなる。高難度歌唱区間設定手段50では、表示装置26において1ブロックに表示される歌詞テロップを1表示単位として、各表示単位の演奏データを参照し、演奏データに含まれる高難度歌唱符号を検出する。そして、任意の表示単位の演奏データに高難度歌唱符号が含まれていると、当該表示単位についてその種別に応じた高難度種別フラグを設定し、楽曲別高難度歌唱区間データベース46cとして記憶させる。なお、演奏データは楽曲データベース46aに格納されている。
【0041】
本実施形態では、高難度歌唱区間設定手段50において高難度の判断に使用するため、予め高難度歌唱符号が記憶されている。高難度歌唱符号とは、例えば、臨時記号、シンコペーション、アウフタクト、不均等譜割を表す符号のことである。臨時記号とは、変化記号(シャープ、フラット、ナチュラル)のうち、調号でない記号のことである。すなわち、臨時記号とは、調号によって定められた、その調固有の音以外の音を臨時に使用するときに使用する調号のことをいう。シンコペーションとは、1つの音が、劣位の拍から優位の拍に鳴り続けることによって生じるリズムのことで、例えば、任意の小節の弱拍から、小節線と次の小節の最初に置かれる強拍までを、タイにより1つの音として繋げられたリズムのことである。アウフタクトとは、強拍の前に準備的は拍を置いて不完全小節としたものである。なお、どのような歌唱符号を高難度歌唱符号とするかは設計事項であり、高難度歌唱符号とすべき音楽符号の内容は適宜変更することができる。
なお、本実施形態では、説明を簡単なものとするため、1つの表示単位について1つの高難度種別フラグをセットしているが、1つの表示単位に複数の高難度歌唱符号が含まれている場合には、1つの表示単位について複数の高難度種別フラグをセットしてもよい。
【0042】
<楽曲別高難度歌唱区間データベース>
図4は、楽曲別高難度歌唱区間データベースの構成を示す模式図である。
楽曲別高難度歌唱区間データベース46cは、図4に示すように、楽曲ID別に、表示単位と高難度種別フラグとを紐付けして構成されている。図4に示す例では、楽曲IDが「***11−01」の楽曲について、第2番目と第8番目の表示単位に臨時記号が含まれており、第5番目の表示単位にシンコペーションが含まれており、第10番目の表示単位にアウフタクトが含まれている。図4に示す例では、高難度種別フラグとして、「A」は臨時記号、「B」はシンコペーション、「C」はアウフタクトを示しているが、高難度種別フラグはこれら以外にも、高難度種別に対応させてセットすることができる。
【0043】
<音楽再生制御手段>
音楽再生制御手段53は、楽曲IDに基づいて楽曲データベース46aから抽出された演奏データをデジタル再生すると共にアナログ変換してミキシングアンプ23に出力するための電子回路である。ミキシングアンプ23は、マイクロホン25から入力された歌唱者の歌唱音声信号と、音楽再生制御手段53から送出される演奏音声信号とをミキシングすると共に、アンプ機能により増幅してスピーカ24より出力させるための装置である。なお、マイクロホン25の数は1本に限られず、2本以上であってもよい。
【0044】
<映像再生制御手段>
映像再生制御手段55は、カラオケ演奏中に、映像データベース46bから抽出した映像データ、及び楽曲データベース46aから抽出した演奏データのうちの歌詞テロップデータ(歌詞文字データ)を当該楽曲の演奏データに同期させて表示装置26に出力するための電子回路である。また、映像再生制御手段55は、カラオケリモコン装置22を介した利用者からの操作指示による予約楽曲リストの表示等を表示装置26に表示させる機能も有している。さらに、映像再生制御手段55は、高難度表示制御手段55aを含んでいる。
【0045】
<高難度表示制御手段>
高難度表示制御手段55aは、任意の表示単位において高難度種別フラグが設定されていた場合に、当該表示単位の歌詞テロップを、高難度種別フラグが設定されていない表示単位の歌詞テロップと識別可能に表示させるように制御するためのプログラムからなる。
すなわち、楽曲の予約が行われて予約待ち行列45aに追加されると、高難度表示制御手段55aの機能により、当該予約楽曲について、設定された高難度種別フラグに対応させて歌詞テロップを高難度種別表示させるための歌詞テロップ表示制御データ45cが作成される。この歌詞テロップ表示制御データ45cはRAM45に格納されて、歌詞テロップの表示制御を行う際に使用される。
【0046】
高難度種別フラグに対応させた歌詞テロップの高難度種別表示とは、例えば、デフォルト設定された歌詞テロップと比較して、異なる配色、異なるサイズ、異なる形状等で歌詞テロップを表示することである。図5は、歌詞テロップ表示制御データの構成及び作成手順を示す模式図である。
歌詞テロップ表示制御データ45cは、楽曲別高難度歌唱区間データベース46c(図4参照)に対応して、高難度表示制御手段55aにより作成されるデータであり、図5に示すように、楽曲別に、高難度種別フラグがセットされた表示単位の表示態様を示すデータとなっている。高難度表示制御手段55aは、この歌詞テロップ表示制御データ45cを参照して、歌詞テロップの表示を行う。なお、高難度種別フラグがセットされていない表示単位では、デフォルト設定された歌詞テロップの表示態様により、歌詞テロップの表示が行われる。
【0047】
図5に示す例では、楽曲IDが「***11−01」の楽曲について、第2番目の表示単位に、高難度種別フラグとして「A/臨時記号」がセットされているため、第2番目の表示単位では赤色で歌詞テロップを表示し、第5番目の表示単位に、高難度種別フラグとして「B/シンコペーション」がセットされているため、第5番目の表示単位では緑色で歌詞テロップを表示し、第10番目の表示単位に、高難度種別フラグとして「C/アウフタクトシンコペーション」がセットされているため、第10番目の表示単位では青色で歌詞テロップを表示する。その他の表示単位には高難度種別フラグがセットされていないため、デフォルト設定の表示態様(白色)で歌詞テロップを表示する。
なお、1つの表示単位について複数の高難度種別フラグがセットされている場合には、配色、サイズ、形状を組み合わせることにより、複数の高難度種別フラグがセットされている旨を表示することができる。
【0048】
<歌唱採点値に対応した高難度種別表示>
高難度表示制御手段55aの機能として、歌唱採点履歴データベース36を参照し、当該歌唱採点履歴データベース36に記憶されている任意の利用者に紐付けされた楽曲については、当該利用者の歌唱による採点値が所定の基準値未満の歌唱区間に対応する表示単位に限って、高難度種別表示の制御を行うような機能を付加してもよい。
このような機能を付加した場合には、任意の利用者が任意の楽曲を歌唱すると、歌唱採点手段49の機能により歌唱採点が行われ、歌唱採点履歴データベース36として記憶される。そして、任意の利用者が任意の楽曲を選曲すると、高難度表示制御手段55aの機能により、歌唱採点履歴データベース36から取得してRAM45に格納された歌唱採点履歴データ45bを参照し、当該利用者による当該楽曲の歌唱について歌唱採点値と所定の基準値とを比較する。
【0049】
そして、歌唱採点値が所定の基準値未満の歌唱区間に対応する表示単位に限って、高難度種別表示の制御を行う。その結果、歌唱採点値が所定の基準値以上の歌唱区間に対応する表示単位では、高難度種別表示は行われない。
図6は、歌唱採点値に対応した高難度種別表示を示す説明図である。例えば、利用者IDが「***a」の利用者が、楽曲ID「***11−01」の楽曲を予約すると、歌唱採点履歴データベース36から取得した歌唱採点履歴データ45bを参照して、各表示区間に対応する歌唱採点値と所定の基準値とを比較する。図6に示す例では、基準値を80点としているため、第2の表示区間において歌唱採点値が基準値以上となっている。そこで、歌唱採点値が基準値未満である第5の表示単位、第8の表示単位、第10の表示単位に限って高難度種別表示の制御を行い、第2の表示区間では高難度種別表示の制御を行わない。
【0050】
<表示装置>
表示装置26は、カラオケ演奏時の映像、歌詞テロップ等を表示するための装置で、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等により構成される。
【0051】
<歌詞テロップの表示>
次に、歌詞テロップの表示について説明する。図7は、歌詞テロップの表示画面を示す模式図である。
本発明の実施形態に係る高難度歌唱区間報知カラオケシステムでは、高難度歌唱区間設定手段50の機能により、楽曲データベース46aの演奏データを参照して、楽曲別高難度歌唱区間データベース46cを作成する。そして、高難度表示制御手段55aの機能により、楽曲別高難度歌唱区間データベース46cを参照して歌詞テロップ表示制御データ45cを作成し、この歌詞テロップ表示制御データ45cに基づいて高難度種別表示の制御を行う。
【0052】
表示装置26には、カラオケ演奏の進行に応じて表示単位毎に歌詞テロップが表示されるが、高難度歌唱区間では、デフォルト設定された歌詞テロップと比較して、異なる配色で歌詞テロップが表示される(図7参照)。図7に示す例では、右上の表示単位が臨時記号を含む高難度歌唱区間であるため、赤色で歌詞テロップが表示され、左下の表示単位がシンコペーションを含む高難度歌唱区間であるため、緑色で歌詞テロップが表示されている。また、左上及び右下の表示単位は高難度歌唱区間ではないため、デフォルト設定された表示色(例えば白色)で歌詞テロップが表示される。これにより、歌唱者は、予め高難度歌唱区間を認識することができるので、何の前触れもなく高難度歌唱区間に突入することがなく、歌唱に未熟な者であっても、自らの技量に見合った歌唱力を発揮することができる。
【0053】
また、利用者毎の歌唱採点履歴に応じて、高難度種別表示の制御を行う場合には、高難度表示制御手段55aの機能により、歌唱採点履歴データベース36から取得した歌唱採点履歴データ45bを参照し、当該利用者による当該楽曲の歌唱について歌唱採点値と所定の基準値とを比較する。そして、歌唱採点値が所定の基準値未満の歌唱区間に対応する表示単位に限って、高難度種別表示を行う。これにより、さらに一層、自らの技量に見合った歌唱力を発揮できるように補助することができる。
【0054】
<他の実施形態>
本発明の高難度歌唱区間報知カラオケシステム及びその周辺装置を構成する機器や手段は上述したものに限定されず、カラオケシステムの利用目的等に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。
【0055】
さらに、高難度歌唱区間設定手段50及び楽曲別高難度歌唱区間データベース46cをカラオケ演奏端末11の構成要素とするのではなく、ホスト装置13の構成要素として一元的に管理してもよい。このような構成とすることにより、ネットワークでホスト装置13と接続されたカラオケ演奏端末11であれば、いずれのカラオケ演奏端末11においても同様のサービスを受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態に係る高難度歌唱区間報知カラオケシステムの概略ブロック図。
【図2】カラオケ演奏端末のブロック図。
【図3】歌唱採点履歴データベースの構成を示す模式図。
【図4】楽曲別高難度歌唱区間データベースの構成を示す模式図。
【図5】歌詞テロップ表示制御データの構成及び作成手順を示す模式図。
【図6】歌唱採点値に対応した高難度種別表示を示す説明図。
【図7】歌詞テロップの表示画面を示す模式図。
【符号の説明】
【0057】
11 カラオケ演奏端末
12 通信ネットワーク
13 ホスト装置
21 カラオケ本体
22 カラオケリモコン装置
22a 楽曲検索手段
22b 楽曲索引データベース
22c 利用者ID取得手段
23 ミキシングアンプ
24 スピーカ
25 マイクロホン
26 表示装置
31 送受信手段
32 制御手段
33 データ処理手段
34 歌唱採点履歴記憶手段
35 顧客データベース
36 歌唱採点履歴データベース
41 ネットワーク送受信手段
42 ローカル送受信手段
43 中央制御手段
44 ROM
45 RAM
45a 予約待ち行列
45b 歌唱採点履歴データ
45c 歌詞テロップ表示制御データ
46 HDD
46a 楽曲データベース
46b 映像データベース
46c 楽曲別高難度歌唱区間データベース
47 予約管理手段
48 ログイン利用者管理手段
49 歌唱採点手段
50 高難度歌唱区間設定手段
53 音楽再生制御手段
54 A/Dコンバータ
55 映像再生制御手段
55a 高難度表示制御手段
61 ID媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の歌唱区間を表示単位とし、カラオケ演奏の進行に応じた表示単位毎の歌詞テロップについて、歌唱難度が高い歌唱区間を識別可能に表示するシステムであって、
高難度歌唱区間設定手段と、高難度表示制御手段と、を備え、
前記高難度歌唱区間設定手段は、任意の楽曲について、前記表示単位毎に対応する演奏データを参照し、予め定めた種別の高難度歌唱符号が含まれている表示単位について、当該高難度符号の種別を表す高難度種別フラグを設定し、楽曲別高難度歌唱区間データベースとして記憶させ、
前記高難度表示制御手段は、前記楽曲別高難度歌唱区間データベースを参照し、任意の表示単位において前記高難度種別フラグが設定されていた場合に、当該表示単位の歌詞テロップを、前記高難度種別フラグが設定されていない表示単位の歌詞テロップと識別可能に表示させるように制御する、
ことを特徴とする高難度歌唱区間報知カラオケシステム。
【請求項2】
歌唱採点履歴記憶手段をさらに備え、
前記歌唱採点履歴記憶手段は、任意の利用者が歌唱した任意の楽曲について、歌唱採点機能を用いて採点された所定の歌唱区間毎の歌唱採点値と、当該利用者の利用者IDと、当該楽曲の楽曲IDとを紐付けし、歌唱採点履歴データベースとして記憶させ、
前記高難度表示制御手段は、前記歌唱採点履歴データベースを参照し、当該歌唱採点履歴データベースに記憶されている任意の利用者に紐付けされた楽曲については、当該利用者の歌唱による採点値が所定の基準値未満の歌唱区間に対応する表示単位に限って前記制御を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の高難度歌唱区間報知カラオケシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−128403(P2010−128403A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305764(P2008−305764)
【出願日】平成20年11月29日(2008.11.29)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】