説明

高電流磁性要素及び製造方法

最小化された縮尺で製造することができる、予備形成クリップ(230)を含む磁性要素が説明される。別個のコアピース(210,250)を予備形成コイルに組み付けることができ、これら別個のコアピースは、さらに効率的な製造技術を用いて、互いからの物理的な間隙を持つことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して電子部品及び前記部品の製造方法に関し、特に、インダクタ、トランス及びこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的インダクタは、シールドコア及びドラムコア、Uコア及びIコア、並びにその他の適合する形状を含めて、環状心(toroidal core)及び形状化されたコアを含む。これらのインダクタの典型的なコア材料は、フェライトまたは通常の粉末コア材料である。粉末コア材料は、鉄(Fe)、センダスト(Al−Si−Fe)、MPP(Mo−Ni−Fe)及びハイフラックス(HighFlux(Ni−Fe))を含む。インダクタは、典型的には、コアを取り巻く導体巻線を有する。巻線は、平坦なまたは丸みのあるマグネットワイヤコイル、打ち抜き銅箔またはクリップを含むが、これに限定されない。コイルは、ドラムコアまたはその他のボビンコアに直接巻くことができる。巻線の両端は、リードと呼ぶことができ、インダクタを電気回路へ結合するために使用される。巻線は、用途の要件次第で、予備形成、半予備形成または非予備形成とすることができる。別個のコア同士を接着剤で接合できる。
【0003】
パワーインダクタはより高い電流へ向かう傾向があるため、より柔軟な形状係数、より丈夫な構成、より高い出力及びエネルギー密度、より高い効率及びより厳密なインダクタンス及び直流抵抗(DCR)公差を有するインダクタを提供する必要がある。DC−DCコンバータ及び電圧調整器モジュール(VRM)用には、しばしば、より厳密なDCR公差を有するインダクタが必要とされる。このようなインダクタは、仕上げ品の製造工程のために提供が困難である。典型的なインダクタにおいてより高い飽和電流及びより厳密なDCR公差を提供する既存の解決法は、非常に困難かつコスト高になっており、このような典型的インダクタから最良の性能を得られない。従って、現在のインダクタはそのために改良が必要である。
【0004】
一定のインダクタ特性の改良のために、最近、コア材料にアモルファス粉末材を用いて、環状心が製造されている。環状心には、コイルまたは巻線をコアに直接巻きつける必要がある。この巻線の工程において、コアは、非常に割れやすいので、製造工程を困難にし、表面実装技術における環状心の使用をコスト高にする。さらに、環状心における不均等なコイルの巻線及びコイルの張力の変動のせいで、DCRは全く一定ではない。DC−DCコンバータ及びVRMにおいて、一般に一定のDCRが求められる。プレス工程の際に高圧力を伴うので、アモルファス粉末材を用いて形状化されたコアを製造するのはこれまで可能ではなかった。
【0005】
電子パッケージが進歩したため、小型構造を有するパワーインダクタを製造する傾向になっている。従って、コア構造体は、モデム電子デバイスを収容できるようにより小さい外形を持たなければならない。モデム電子デバイスの一部は、スリムすなわち非常に薄い外形を持つ。薄いプロフィルを有するインダクタを製造すると、製造者は多くの困難に遭遇することになり、それによって製造工程はコスト高になる。
【0006】
例えば、要素がどんどん小さくなるに連れて、手巻きされる要素の性質のために支障が生じた。このような手巻きの要素では、製品自体が統一されない。別の支障は、形状化されたコアが非常に脆弱で、製造工程全体を通じてコアの割れを生じやすいことを含む。別の支障は、ドラムコア及びシールドコア、ERコア及びIコア、並びにUコア及びIコアを含めて(ただし、これに限定されない。)、組立て時における2つの別個のコア同士の間の間隙に偏差があることにより、インダクタンスが一定ではないことである。さらなる支障は、巻き線工程時に巻き及び張力が均等ではないためにDCRが一定ではないことである。これらの支障は、小型構造を有するインダクタを製造しようとするときに遭遇する多くの支障のごく一部の例に過ぎない。
【0007】
他の要素と同様、インダクタの製造工程は、非常に競争の激しい電子部品製造業においてコストを削減する手段として精査されてきた。製造コストの削減は、製造される要素が低コスト・大量生産の要素である場合、特に望ましい。大量生産する要素において、製造コストの削減はどのようなものでも当然有意義である。製造に使用される1つの材料が別の材料よりも高いコストを持つことが考えられる。しかし、よりコスト高の材料を使用することによって、製造工程における製品の信頼性及び一貫性は、コストの安い材料を用いて製造された同じ製品の信頼性及び一貫性よりも上がるので、全体的な製造コストは少なくなる可能性がある。実際に製造された製品は、廃棄されることなくより多く販売される。さらに、要素の製造に使用される1つの材料が別の材料よりもコスト高であっても、労力の節約は、材料コストの増大を相殺して余りある可能性がある。これらの例は、製造コストを削減する多くの方策のごく一部である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特に回路基板に使用されるときに、要素のサイズを実質的に増大させて不当な量の空間を占めることなく、下記の改良、すなわちより柔軟な形状的要因、より丈夫な構成、より高い出力及びエネルギー密度、より高い効率、より広い作動周波数範囲、より広い作動温度範囲、より高い飽和磁束密度、より高い実効透磁率及びより厳密なインダクタンス及びDCR公差のうち1つまたはそれ以上を可能にするコア及び巻線の構成体を有する磁性要素を提供することが望ましくなっている。また、低コストの製造を可能にし、より統一した電気及び機械特性を得られるコア及び巻線の構成体を有する磁性要素を提供することが望ましい。さらに、大きな生産ロットサイズに対してDCRを厳密に制御する磁性要素を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
磁性要素及びこの磁性要素を製造する方法について説明する。磁性要素は、インダクタまたはトランスを含むが、これに限定されない。方法は、アモルファス粉末材料から製作された少なくとも1つの形状化されたコアを用意するステップと、少なくとも1つの巻線の少なくとも一部を少なくとも1つの形状化されたコアに結合するステップと、少なくとも1つの巻線の少なくとも一部と一緒に少なくとも1つの形状化されたコアをプレスするステップとを含む。磁性要素は、アモルファス粉末材料から製作された少なくとも1つの形状化されたコアと、少なくとも一部が少なくとも1つの形状化されたコアに結合された少なくとも1つの巻線とを含み、少なくとも1つの形状化されたコアは、少なくとも1つの巻線の少なくとも一部にプレスされる。巻線は、予備形成、半予備形成または非予備形成であり、クリップまたはコイルを含むがこれに限定されない。アモルファス粉末材料は、鉄を主原料とするアモルファス粉末材料またはナノアモルファス粉末材料とすることができる。
【0010】
いくつかの態様によれば、2つの形状化されたコアが結合され、その間に巻線が配置される。この態様において、一方の形状化されたコアはプレスされ、巻線はプレスされた形状化されたコアに結合される。他方の形状化されたコアは巻線及びプレスされた形状化されたコアに結合され、再びプレスされて、磁性要素を形成する。形状化されたコアは、アモルファス粉末材料またはナノアモルファス粉末材料から製作できる。
【0011】
他の代表的態様によれば、アモルファス粉末材料は少なくとも1つの巻線の周りで結合される。この態様において、アモルファス粉末材料及び少なくとも1つの巻線は一緒にプレスされて、磁性要素を形成し、磁性要素は、形状化されたコアを有する。この態様によれば、磁性要素は、単一の形状化されたコア及び単一の巻線を持つか、または単一構造体内に複数の形状化されたコアを備えることができ、この場合、形状化されたコアの各々は対応する巻線を有する。または、形状化されたコアは、ナノアモルファス粉末材料から製作できる。
【0012】
本発明の上記の及び他の態様、目的、特徴及び利点は、図解する代表的実施形態の以下の説明を検討すれば当業者には明らかになるだろう。代表的実施形態は、現時点で考えられる本発明を実施する最良の様式を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】代表的実施形態に従った、製造工程の複数の段階におけるER−Iコアを有するパワーインダクタの斜視図である。
【図2】代表的実施形態に従った、製造工程の複数の段階におけるU−Iコアを有するパワーインダクタの斜視図である。
【図3A】代表的実施形態に従った対称形Uコアの斜視図である。
【図3B】代表的実施形態に従った非対称形Uコアの斜視図である。
【図4】代表的実施形態に従った、ビードコアを有するパワーインダクタの斜視図である。
【図5】代表的実施形態に従った、単一構造体として形成された複数のUコアを有するパワーインダクタの斜視図である。
【図6】様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す図であり、第一コアピースと巻線の部分組立体を示す図である。
【図7】様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す図であり、組立済みの図6のコアと巻線を示す図である。
【図8】様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す図であり、第二コアピースと組み立てられる図7の組立体を示す図である。
【図9】様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す図であり、下から見た完成した要素組立体を示す図である。
【図10】様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す図であり、第一コアピースと巻線の部分組立体を示す図である。
【図11】様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す図であり、組立済みの図10のコアと巻線を示す図である。
【図12】様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す図であり、第二コアピースと組み立たてられる図11の組立体を示す図である。
【図13】様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す図であり、上から見た完成磁性要素組立体を示す図である。
【図14】様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す図であり、第一コアピースと巻線の部分組立体を示す図である。
【図15】様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す図であり、組立済みの図14のコアと巻線を示す図である。
【図16】様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す図であり、第二コアピースと組み立てられた図15の組立体を示す図である。
【図17】様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す図であり、上から見た完成した要素組立体を示す図である。
【図18】様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す図であり、第一コアピースと巻線の部分組立体を示す図である。
【図19】様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す図であり、組立済みの図18のコアと巻線を示す図である。
【図20】様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す図であり、第二コアピースと組み立てられる図19の組立体を示す図である。
【図21】様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す図であり、上から見た完成した要素組立体を示す図である。
【図22】様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す図である。
【図22A】様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す図であり、要素部分組立体の第一断面図である。
【図22B】様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す図であり、要素部分組立体の第二断面図である。
【図22C】様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す図であり、完成した要素の断面図である。
【図23】別の磁性要素組立体の分解図である。
【図24】図23の要素の組立済みの図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の上記の及びその他の特徴及び態様は、添付図面と一緒に本発明の代表的実施形態の以下の説明を参照すればよく理解できる。
【0015】
図1〜5を参照すると、磁性要素またはデバイスの様々な例示的代表的実施形態のいくつかの図が示される。代表的実施形態において、デバイスはインダクタであるが、下に説明する本発明の利益は他の形式のデバイスにも生じることが分かる。下に説明する材料及び技法は、低プロフィルインダクタの製造に特に有利であると思われるが、インダクタは、本発明の利益を評価できる電気部品の1つの形式に過ぎない。従って、説明は、例示のために過ぎず、本発明の利益は、他のサイズ及び形式のインダクタ並びにトランスを含めて(ただしこれに限定されない)他の電子部品にも生じると想定される。従って、本明細書において示す発明的概念の実施は、本明細書において説明し図面に図解される代表的実施形態に限定されない。さらに、図面は尺度通りではなく、様々な要素の厚み及びその他のサイズは、明白化のために誇張されている。
【0016】
図1は、代表的実施形態に従った製造工程の複数の段階におけるER−I形状をしたコアを有するパワーインダクタの斜視図である。この実施形態において、パワーインダクタ100は、ERコア100と、予備形成コイル130と、Iコア150とを備える。
【0017】
ERコア110は、概して正方形または矩形であり、ベース112と、2つの側壁114、115と、2つの端壁120、121と、レセプタクル124と、心立て突起物またはポスト126とを有する。2つの側壁114、115は、ベース112の長手長さ全体に延び、外面116と、内面117とを有し、内面117は、心立て突起物126に近接する。2つの側壁114、115の外面116は、実質的に平面状であるが、2つの側壁の内面117は凹面である。2つの端壁120、121は、2つの端壁の各々にそれぞれ間隙122、123が形成されるように、ベース112の幅の一部を、ベース112の各側壁114、115の端から延びる。この間隙122、123は、2つの側壁114、115が相互の鏡像になるように、実質的に2つの端壁120、121の各々の中央に形成できる。レセプタクル124は、2つの側壁114、115及び2つの端壁120、121によって形成される。心立て突起物126は、ERコア110のレセプタクル124の中心に配置でき、ERコア110のベース112から上向きに延びることができる。心立て突起物126は、2つの側壁114、115及び2つの端壁120、121の高さと実質的に同じ高さまで延びるか、または高さは、2つの側壁114、115及び2つの端壁120、121の高さより低くても良い。心立て突起物は、予備形成コイル130の内周132の中へ延びて、予備形成コイル130を、ERコア110に対して固定され設定された中心位置に維持する。この実施形態においてERコアは対称形コア構造を持つものとして説明されるが、ERコアは、代表的実施形態の範囲及び趣旨から逸脱することなく非対称形コア構造を持つことができる。
【0018】
予備形成コイル130は、1つまたはそれ以上の巻きを有するコイルと、2つの端子134、136またはリードとを有する。リードは、予備形成コイル130から相互に180度に延びる。2つの端子134、136は、予備形成コイル130から外向きに延び、その後上向きに延び、その後予備形成コイル130へ向かって内向きに戻る。これによって、各々U字形を形成する。予備形成コイル130は、予備形成コイル130の内周132を有する。予備形成コイル130の構成は、心立て突起物126が予備形成コイル130の内周132の中へ延びるように心立て突起物126を介して予備形成コイル130をERコアに結合するように設計される。予備形成コイル130は、銅から製作され、ニッケル及び錫でメッキされる。予備形成コイル130は銅から作られニッケル及び錫によってメッキされるが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、金メッキ及びはんだ付けを含めて(ただし、これに限定されない)他の適切な導体材料を、予備形成コイル及び(または)2つの端子134、136の製作に利用できる。さらに、この実施形態において使用できる1つの形式の巻線として予備形成コイル130を示したが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、他の形式の巻線を利用できる。さらに、この実施形態は、予備形成コイル130を利用するが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、半予備形成巻線及び非予備形成巻線も使用できる。また、特定の構成の端子134、136について説明したが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、端子に他の構成を使用できる。さらに、予備形成コイル130の形状は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、円形、正方形、矩形または他の任意の形状が可能である。2つの側壁114、115及び2つの端壁120、121の内面は、予備形成コイル130または巻線の形状に合致するように再構成できる。コイル130が複数の巻きを持つ場合、巻き同士の間の絶縁が必要な場合がある。絶縁は、コーティングまたは巻き同士の間に配置できる他の形式の絶縁材とすることができる。
【0019】
Iコア150は、概して正方形または矩形であり、ERコアのフットプリント(foot print)に実質的に合致する。Iコア150は、2つの対向する端部152、154を有し、各端152、154は、それぞれ端子134、136の端部を収容する凹部153,155を有する。凹部153、155は、端子143、136の端部の幅と比べて実質的に同じ幅またはわずかに大きい幅を有する。
【0020】
代表的実施形態において、ERコア110及びIコア150は、両方ともアモルファス粉末コア材料から製作される。いくつかの実施形態において、アモルファス粉末コア材料を、鉄を主原料とするアモルファス粉末コア材料とすることができる。鉄を主原料とするアモルファス粉末コア材料の一例は、約80%の鉄及び20%の他の元素を含む。別の実施形態において、アモルファス粉末コア材料を、コバルトを主原料とするアモルファス粉末コア材料とすることができる。コバルトを主原料とするアモルファス粉末コア材料の一例は、約75%のコバルトと25%の他の元素を含む。さらに、別のいくつかの実施形態においては、アモルファス粉末コア材料を、ナノアモルファス粉末コア材料とすることができる。
【0021】
この材料は分散間隙構造を生じ、この構造において、結合材料は、製作された鉄を主原料とするアモルファス粉末材料内の間隙として作用する。代表的材料は、韓国ソウルのAmosense社が製造し、製品番号APHxx(先進的粉末コア(Advanced Powder Core))(ここでxxは材料の実効透磁率を表す)として販売される。例えば、材料の実効透磁率が60であれば、部品番号はAPH60である。この材料は、高電流パワーインダクタに使用できる。さらに、この材料は、インダクタ100の異常な加熱を生じることなく、より高い作動周波数、典型的には約1MHz〜約2MHzの範囲に使用できる。この材料はより高い周波数範囲において使用できるが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、この材料は、より低い及び高い周波数範囲において使用できる。アモルファス粉末コア材料は、より高い飽和磁束密度、より低いヒステリシス磁心損失、より広い作動周波数範囲、より広い作動温度範囲、より良い熱放散及びより高い実効透磁率を与えることができる。さらに、この材料は、損失分散間隙材料をより小さくできるので、出力及びエネルギー密度を最大にできる。一般に、形状化されたコアの実効透磁率は、プレス密度のせいであまり高くない。しかし、形状化されたコアにこの材料を使用することによって、これまでよりも著しく高い実効透磁率が得られる。また、ナノアモルファス粉末材料を使用すると、鉄を主原料とするアモルファス粉末材料の透磁率に比べて、最高で3倍高い透磁率が得られる。
【0022】
図1に示すように、ERコア110及びIコア150は、アモルファス粉末材料からプレス成形されて、中実の形状化されたコアを形成する。ERコア110をプレスしたら、上述のように予備形成コイル130をERコア110に結合する。予備形成コイル130の端子134、136は、2つの端壁120、121の間隙122、123を通過して延びる。その後、Iコア150は、端子134、136の端がそれぞれIコア150の凹部153、155内で結合されるように、ERコア110及び予備形成コイル130に結合される。ERコア110、予備形成コイル130およびIコア150は、その後プレス成形されて、ER−Iインダクタ100を形成する。Iコア150は2つの対向する端152、154に形成された凹部153、155を持つものとして図解するが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、Iコア150は凹部を省略できる。また、Iコア150は、対称形として図解するが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、下記のようにミス防止手段付きIコアを含めて非対称形Iコアを使用できる。
【0023】
図2は、代表的実施形態に従った製造工程の複数の段階におけるU−I形状をしたコアを有するパワーインダクタの斜視図である。この実施形態において、パワーインダクタ200は、Uコア210と、予備形成クリップ230と、Iコア250とを備える。本明細書において使用される場合、明細書全体を通じて、Uコア210は、2つの側面212、214及び2つの端面216、218を有し、2つの側面212、214は巻線またはクリップ230の向きに対して平行であり、2つの端面216、218は、巻線またはクリップ230の向きに対して直角を成す。さらに、Iコア250は、2つの側面252、254及び2つの端面256、260を有し、2つの側面252、254は巻線またはクリップ230の向きに対して平行であり、2つの端面256、258は巻線またはクリップ230の向きに対して直角を成す。この実施形態によれば、Iコア250は、ミス防止手段付きIコア250となるように変形されている。ミス防止手段付きIコア250は、ミス防止手段付きIコア250の底面251の片面252においてそれぞれ2つの平行の端面256、260からの取除き部257、261、及びミス防止手段付きIコア250の反対面254においてそれぞれ同じ2つの平行の端面256、260からの非取除き部258、262を有する。
【0024】
予備形成クリップ230は、2つの端子234、236またはリードを有し、リードは、取除き部257、261に予備形成クリップ230を配置して、予備形成クリップ230がそれ以上移動できなくなるまで予備形成クリップ230を非取除き部258、262へ向かって摺動することによって、ミス防止手段付きIコア250の周りに結合できる。予備形成クリップ230は、非予備形成クリップと比べると、製造工程においてメッキの曲がり及び割れが大幅に減少するので、より良いDCR制御を可能とする。ミス防止手段付きIコア250は、予備形成クリップ230を適切な位置に配置して、Uコア210を迅速に、容易にかつ正確にミス防止手段付きIコア250に結合できるようにする。図2に示すように、ミス防止手段付きIコア250の底面251のみがミス防止手段を与える。この実施形態においては、ミス防止手段付きコア250の底面251のみがミス防止手段を与えるが、代表的実施形態の範囲及び趣旨から逸脱することなく、別の面が(単独でまたは他の面との組合せで)ミス防止手段を与えることができる。例えば、図2に示すようにIコア250の底面251のみに配置する代わりに、ミス防止手段を、Iコアの対向する端面256、260のみにまたは対向する端面256、260と底面251とに配置できる。さらに、Iコア250は、いくつかの別の実施形態においては、ミス防止手段なしで形成できる。
【0025】
予備形成クリップ230は、銅から製作されて、ニッケル及び錫でメッキされる。予備形成コイル230は、銅から作られてニッケル及び錫メッキをするが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、金メッキ及びはんだ付けを含めて(ただし、これに限定されない)他の適切な導体材料を予備形成クリップ230及び(または)2つの端子234、236の製作に利用できる。さらに、この実施形態においては予備形成クリップ230が使用されるが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、クリップ230を部分的に予備形成するかまたは予備形成しなくてもよい。さらに、この実施形態においては、予備形成クリップ230が示されるが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、任意の形式の巻線を使用できる。
【0026】
ミス防止手段付きIコア250からの取除き部257、261は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、対称形Uコアまたは非対称形Uコア(それぞれ、図3A及び3Bに関連して説明する)を利用できるような寸法に設計できる。Uコア210は、ミス防止手段付きIコアの幅と実質的に同じ幅及びミス防止手段付きIコア250の長さと実質的に同じ長さを持つように寸法設定される。Uコア210の寸法を上に例示したが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、寸法を変えられる。
【0027】
図3Aは、代表的実施形態に従った対称形Uコアの斜視図である。対称形Uコア300は、1つの表面310と対向する面320とを有し、1つの表面310は実質的に平面状であり、対向面320は、第一脚部322と、第二脚部324と、第一脚部と第二脚部との間に形成されたクリップ用溝326とを有する。対称形Uコア300において、第一脚部322の幅は第二脚部324の幅と実質的に等しい。この対称形Uコア300は、Iコア250に結合され、予備形成クリップ230の一部はクリップ用溝326内に配置される。特定の代表的実施形態によれば、予備形成クリップ230の端子234、236は、Iコア250の底面251に結合される。ただし、別の代表的実施形態においては、予備形成クリップ230の端子234、236をUコア300の1つの表面310に結合できる。
【0028】
図3Bは、代表的実施形態に従った非対称形Uコアの斜視図である。非対称形Uコア350は、1つの表面360と対向する面370とを有し、1つの表面360は実質的に平面状であり、対向面370は、第一脚部372と、第二脚部374と、第一脚部372と第二脚部374との間に形成されたクリップ用溝376とを有する。非対称形Uコア350において、第一脚部372の幅は第二脚部374の幅と実質的に等しくない。この非対称形Uコア350はIコア250に結合され、予備形成クリップ230の一部はクリップ用溝376内に配置される。特定の代表的実施形態によれば、予備形成クリップ230の端子234、236は、Iコア250の底面251に結合される。ただし、別の代表的実施形態においては、予備形成クリップ230の端子234、236をUコア350の1つの表面360に結合できる。非対称形Uコア350を使用する1つの理由は、磁路全体を通じてより均等な磁束密度分布を与えることである。
【0029】
代表的実施形態において、Uコア210及びIコア250は、両方とも、アモルファス粉末コア材料から製作される。コア材料は、ERコア110とIコア150に関連して上に説明したのと同じ材料である。いくつからの実施形態によれば、アモルファス粉末コア材料を、鉄を主原料とするアモルファス粉末コア材料とすることができる。さらに、コア材料としてナノアモルファス粉末材料も使用できる。図2に示すように、予備形成クリップ230はIコア250に結合され、Uコア210は、予備形成クリップ230がUコア210のクリップ用溝内に配置されるようにIコア250及び予備形成クリップ230に結合される。Uコア210は、Uコア310として図示するように対称形か、またはUコア350として図示するように非対称形とすることができる。その結果、Uコア210、予備形成クリップ230及びIコアは一緒にプレス成形され、UIインダクタ200を形成する。プレス成形は、コア210、250を予備形成クリップ230の周りでフォーム成形することによって、概して予備形成クリップ230とコア210、250との間にある物理的間隙を取り除く。
【0030】
図4は、代表的実施形態に従ったビードコア(bead core)を有するパワーインダクタの斜視図である。この実施形態において、パワーインダクタ400は、ビードコア410と、半予備形成クリップ430とを備える。本明細書において使用される場合、明細書全体を通じて、ビードコア410は、2つの側面412、414及び2つの端面416、418を有し、2つの側面412、414は巻線またはクリップ430に対して平行であり、端面416、418は巻線またはクリップ430に対して直角を成す。
【0031】
代表的実施形態において、ビードコア410は、アモルファス粉末コア材料から製作される。コア材料は、ERコア110とIコア150に関連して上に説明したのと同じ材料である。いくつからの実施形態によれば、アモルファス粉末コア材料を、鉄を主原料とするアモルファス粉末コア材料とすることができる。さらに、コア材料としてナノアモルファス粉末材料も使用できる。
【0032】
半予備形成クリップ430は、対向する2つの端面416、418に2つの端子またはリード434、436を備え、半予備形成クリップ430の一部をビードコア410内の中央に通過させ、2つの端子434、436をビードコア410の2つの端面416、418の周りに巻き付けることによって、ビードコア410に結合できる。半予備形成クリップ430は、製造工程におけるメッキの曲がり及び割れが大幅に減少するので、非予備形成クリップに比べてより良いDCR制御を可能にする。
【0033】
半予備形成クリップ430は、銅から製作され、ニッケル及び錫でメッキされる。半予備形成コイル430は銅から作られニッケル及び錫メッキをするが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、金メッキ及びはんだ付けを含めて他の適切な導体材料を、半予備形成クリップ430の製作に利用できる。さらに、この実施形態においては半予備形成クリップ430が使用されるが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、クリップ430を予備形成しなくてもよい。さらに、この実施形態においては、半予備形成クリップ430が示されるが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、任意の形式の巻線を使用できる。
【0034】
図4に示すように、半予備形成クリップ430は、半予備形成クリップ430の一部をビードコア410内に通過させて、2つの端子434、436をビードコア410の2つの端面416、418の周りに巻き付けることによって、ビードコア410に結合される。いくつかの実施形態において、ビードコア410は、ビードコア410の底面450の片面412からの取除き部440と、ビードコア410の反対面414からの非取除き部442とを持つように変形できる。半予備形成クリップ430の2つの端子434、436は、端子434、436が取除き部442内に位置するようにビードコア410の底面450に配置できる。ビードコアは取除き部及び非取除き部を持つように図解されるが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、ビードコアは取除き部を省略するように、ビードコアを形成できる。
【0035】
代表的実施形態によれば、アモルファス粉末コア材料を、まずシートに成形し、その後、半予備形成クリップ430の周りに巻き付けるまたは巻くことができる。半予備形成クリップ430の周りにアモルファス粉末コア材料を巻いたら、アモルファス粉末コア材料及び半予備形成クリップ430を高圧力でプレスして、パワーインダクタ400を形成できる。プレス成形は、ビードコア410を半予備形成クリップ430の周りでフォーム成形することによって、概して半予備形成クリップ430とビードコア410との間のある物理的間隙を取り除く。
【0036】
別の代表的実施形態によれば、アモルファス粉末コア材料及び半予備形成クリップ430は、アモルファス粉末コア材料が半予備形成クリップ430の少なくとも一部を取り囲むように型(図示せず)内に配置できる。その後、アモルファス粉末コア材料及び半予備形成クリップ430を高圧力でプレスして、パワーインダクタ400を形成できる。プレス成形は、ビードコア410を半予備形成クリップ430の周りでフォーム成形することによって、概して半予備形成クリップ430とビードコア410との間にある物理的間隙を取り除く。
【0037】
さらに、他の方法を用いて、上述のインダクタを形成できる。第一の代替方法において、アモルファス粉末コア材料を高圧力でプレスし、その後巻線をビードコアに結合し、さらに巻線がビードコアと追加のアモルファス粉末コア材料の少なくとも一部との間に配置されるように追加のアモルファス粉末コア材料をビードコアに加えることによって、ビードコアを形成できる。その後、ビードコア、巻線及び追加のアモルファス粉末コア材料を、高圧力で一緒にプレスして、この実施形態において説明したパワーインダクタを形成する。第二の代替方法において、アモルファス粉末コア材料を高圧力でプレスし、その後2つの別個の形状化されたコア同士の間に巻線を配置し、さらに追加のアモルファス粉末コア材料を加えることによって、2つの別個の形状化されたコアを形成できる。その後、2つの別個の形状化されたコア、巻線及び追加のアモルファス粉末コア材料を高圧力で一緒にプレスして、この実施形態において説明したパワーインダクタを形成する。第三の代替方法において、射出成形を用いて、アモルファス粉末コア材料及び巻線を一緒に成形できる。この実施形態においてはビードコアについて説明するが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、他の形状化されたコアを利用できる。
【0038】
図5は、代表的実施形態に従った、単一構造体として形成された複数のU字形コアを有するパワーインダクタの斜視図である。この実施形態において、パワーインダクタ500は、単一構造体505として形成された4つのU字形コア510、515、520、525と、4つのクリップ530、532、534、536とを備え、各クリップ530、532、534、536は、U字形コア510、515、520、525のそれぞれ1つに結合される。各クリップ530、532、534、536は、予備形成されていない。本明細書において使用される場合明細書全体を通じて、インダクタ500は、2つの側面502、504と、2つの端面506、508とを有し、2つの側面502、504は、巻線またはクリップ530、532、534、536に対して平行であり、2つの端面506、508は、巻線またはクリップ530、532、534、536に対して直角を成す。単一の構造体505を形成する4つのUコア510、515、520、525及び4つのクリップ530、532、534、536を図示するが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、これより多いまたは少ないUコア及びこれに対応する数のクリップを用いて、単一構造体を形成できる。
【0039】
代表的実施形態において、コア材料は、鉄を主原料とするアモルファス粉末コア材料から製作される。コア材料は、ERコア110とIコア150に関連して上で説明したのと同じ材料である。さらに、このコア材料としてナノアモルファス粉末材料も使用できる。
【0040】
各クリップ530、532、534、536は、対向する端に2つの端子またはリード540(図示せず)、542を有し、クリップ530、532、534、536の一部をU字形コア510、515、520、525の各々内の中央を通過させ、各クリップ530、532、534、536の2つの端子540(図示せず)、542をインダクタ500の2つの端面506、508の周りに巻き付けることによって、U字形コア510、515、520、525の各々に結合できる。
【0041】
クリップ530、532、534、536は、銅から製作され、ニッケル及び錫でメッキされる。クリップ530、532、534、536は銅から作られニッケル及び錫でメッキされるが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、金メッキ及びはんだ付けを含めて他の適切な導体材料を、クリップの製作に利用できる。さらに、この実施形態においてクリップ530、532、534、536が示されるが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、任意の形式の巻線を利用できる。
【0042】
図5に示すように、クリップ530、532、534、536は、クリップ530、532、534、536の各々の一部をU字形コア510、515、520、525の各々内を通過させ、各予備形成クリップ530、532、534、536の2つの端子540(図示せず)、542をインダクタ500の2つの端面506、508に巻き付けることによって、U字形コア510、515、520、525に結合される。
【0043】
代表的実施形態によれば、アモルファス粉末コア材料を、まずシートに成形し、その後、クリップ530、532、534、536の周りに巻き付けることができる。クリップ530、532、534、536の周りにアモルファス粉末コア材料を巻き付けると、アモルファス粉末コア材料及びクリップ530、532、534、536を高圧力でプレスして、単一構造体505として形成された複数のU字形コア510、515、520、525を有するU字形インダクタ500を形成できる。プレス成形は、コア510、515、520、525をクリップ530、532、534、536の周りでフォーム成形することによって、概してクリップ530、532、534、536とコア510、515、520、525との間にある物理的間隙を取り除く。
【0044】
別の代表的実施形態によれば、アモルファス粉末コア材料及びクリップ530、532、534、536は、アモルファス粉末コア材料がクリップ530、532、534、536の少なくとも一部を取り囲むように型(図示せず)内に配置できる。その後、アモルファス粉末コア材料及びクリップ530、532、534、536を高圧力でプレスして、単一構造体505として形成された複数のU字形コア510、515、520、525を有するU字形インダクタ500を形成できる。プレス成形は、コア510、515、520、525をクリップ530、532、534、536の周りでフォーム成形することによって、概してクリップ530、532、534、536とコア510、515、520、525との間にある物理的間隙を取り除く。
【0045】
さらに、他の方法を用いて、上述のインダクタを形成できる。第一の代替方法において、アモルファス粉末コア材料を高圧力でプレスし、その後複数の巻線を複数のU字形コアの各々に結合し、さらに複数の巻線が複数のU字形コアと追加のアモルファス粉末コア材料の少なくとも一部との間に配置されるように追加のアモルファス粉末コア材料を複数のU字形コアに加えることによって、複数のU字形コアを一緒に形成できる。その後、複数のU字形コア、複数の巻線及び追加のアモルファス粉末コア材料を、高圧力で一緒にプレスして、この実施形態において説明したパワーインダクタを形成する。第二の代替方法において、アモルファス粉末コア材料を高圧力でプレスし、その後2つの別個の形状化されたコア同士の間に複数の巻線を配置し、さらに追加のアモルファス粉末コア材料を加えることによって、2つの別個の形状化されたコアを形成できる。別個の形状化されたコアは各々、一緒に結合された複数の形状化されたコアを有する。その後、2つの別個の形状化されたコア、複数の巻線及び追加のアモルファス粉末コア材料を高圧力で一緒にプレスして、この実施形態において説明したパワーインダクタを形成する。第三の代替方法において、射出成形を用いて、アモルファス粉末コア材料及び複数の巻線を一緒に成形できる。この実施形態においては複数のU字形コアについて説明するが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、他の形状化されたコアを利用できる。
【0046】
さらに、複数のクリップ530、532、534、536は、基板(図示せず)上の回路接続に基づいて、また用途の要件次第で相互に並列にまたは直列に接続できる。さらに、これらのクリップ530、532、534、536を、多位相電流、例えば3相または4相電流に対処するように構成できる。
【0047】
上にいくつかの実施形態を開示したが、本発明は、他の実施形態の教示に基づいて1つの実施形態に加えられる変更を含む。
【0048】
特定の用途においては、分散間隙磁性材料から製作された単一部品のコア構成体及び単一部品のコア構成体に配置された1つまたはそれ以上のコイルが有利であるが、他の用途においては、1つまたはそれ以上のコイルと組み立てられた別個のコアピースを使用することで別の利益を得ることができ、また物理的間隙を組み込むことで望ましい性能上の利点を得ることができる。別個のコアピースと物理的間隙との構造及びこれらの組立てを遂行する方法については下でさらに説明する。
【0049】
図6〜9は、様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す。図6に示すように、組立体は、第一部分組立体を形成する第一磁気コアピース602と巻線604とを含む。
【0050】
図示する代表的実施形態において、磁気コアピース602は、細長い矩形ブロック又はレンガ形を有するIコアである。磁気コアピース602は、上述の磁性材料および関連技法のいずれからでも製作できる。または技術上既知の他の適切な材料及び技法からも製作できる。
【0051】
また、図示する代表的実施形態において、巻線604は、細長く概して平坦で平面状の主巻線部606と、主巻線部606の両端から延びる対向する脚部608及び610とを有する予備形成巻線クリップの形で提供される。脚部608及び610は、実質的にC字形配列で、主巻線部604の平面からほぼ直角に延びる。予備形成巻線クリップ604は、さらに、それぞれの脚部608及び610の各々から延びる端子リード部612、614を含む。端子リード部612、614は、脚部608及び610のそれぞれの平面に対してほぼ直角に、かつ主巻線部606の平面に対してほぼ平行に延びる。端子リード部612、614は、回路基板(図示せず)への表面実装のための離間導体パッドを提供する。クリップ604及びその部分606、608、610、612及び614は、集合的に、内部領域またはキャビティ616を形成するボディまたはフレームを形成する。図示する代表的実施形態において、キャビティ616は、実質的に矩形であり、第一磁気コアピース606と形状的に相補的である。
【0052】
代表的実施形態において、クリップ604は、銅またはその他の導体材料または合金のシートから製作でき、打抜き及びプレス加工を含めて(ただし、これに限定されない)既知の技法を用いて図示する形状に形成できる。代表的実施形態において、クリップ604は別個に製作され、コアピース602に組み立てるように用意され、本明細書においては予備形成コイル610と呼ばれる。このような予備形成コイル604は、コイルがコアピースの周りに形成される、またはコアピースの周りに曲げられるもしくは成形される従来の磁性要素組立体と特に対照的である。
【0053】
図7に示すように、クリップ604と第一磁気コアピース602は組み立てられまたは相互に結合されて、第一部分組立体620を形成する。1つの実施形態において、コアピース602は、クリップ604から独立して製作でき、コアピース602はクリップ604のキャビティ616の中に嵌合されて、例えば摺動係合で部分組立体を完成する。別の実施形態において、例えば、プレスまたは成形工程を用いて、キャビティ616の中にコアピース602を形成できる。どのように形成されるにしても、図示する代表的実施形態において、コアピース602は、クリップ604のキャビティ616と実質的に同一の広がりを持つサイズ及び形状を持つ。すなわち、コアピース602は、キャビティ616を実質的に満たすが、クリップ604のキャビティ616から突出しない。言い換えると、磁気コアピース602は、クリップの内部境界の中に内蔵され、図7に示すコアとクリップの組立体の外部寸法は、コアピース602と組み立てる前のクリップ604の外部寸法に等しい。
【0054】
図7に示すように、クリップ604の各部分606、608、610、612、614は、磁気コアピース602の異なる側面または面と物理的に当接または係合する。コアピース602は、その後の磁性要素組立て段階において部分組立体620で一体として移動できるように、クリップ内に確実に受け入れられる。
【0055】
図8は、第二磁気コアピース630と組み立てられる図7の部分組立体620を示す。第二磁気コアピース630は、上述の磁性材料及び関連技法のいずれからでも製作できる。または技術上既知の他の適切な材料及び技法から製作できる。さらに、様々な実施形態において、第二磁気コアピース630は、第一磁気コアピース602を製作するために使用したものと同じまたは異なる磁性材料から製作できる。すなわち、第一及び第二の磁気コアピース602、630は、選択された特定の材料次第で、異なるまたは同じ磁性材料を示すことができる。
【0056】
図示する代表的実施形態において、第二磁気コアピース630は、U字形を有するUコアであり、実質的に平面状の表面632と、平面状表面632に対向する表面634とを含み、表面634は、第一脚部636と、第二脚部638と、第一脚部636と第二脚部638との間に形成されたクリップ用溝640とを含む。様々な実施形態において、上述のように、対称形及び非対称形Uコアを使用できる。図8に示すように、部分組立体620がコアピース630と相互に嵌合するように、第一コアピース602及びクリップ604を含む部分組立体620は、クリップ用溝640と整列されて、これに挿入される。従って、部分組立体620は、第二コアピース630の両端642、644の間の軸線方向の距離の実質的に全体において、第二コアピース630を通過して軸線方向に延びる。すなわち、クリップの脚部608、610(図6)は概して、第二コアピース630の端面642、644に隣接し、これと実質的に同平面上にある。このように組み立てられると、第一コアピース602と第二コアピース630とを接着剤またはその類似品で接合できる。
【0057】
図9の完成した要素に示すように、端子リード部612、614は、露出され、第二コアピース630の底面と実質的に面一又は同平面上にあるので、回路基板への表面実装電気接続に効果的に位置する。さらに、図9に示すように、コアピース602および630同士の間に物理的間隙650を形成でき、物理的間隙650は、パワーインダクタにとって、また潜在的に他の実施形態における他の形式の磁性要素にとって望ましい性能特性を与えることができる。図示する実施形態において、間隙650は、第二磁気コアピース630のクリップ用溝640(図8)内において部分組立体620の両側に軸方向に延びる。間隙650のサイズを、第二コアピース630のクリップ用溝640(図8)の寸法及び(または)第一コアピース602を含む部分組立体620の寸法を調整することによって、変えられる。間隙の寸法を変えることによって、その結果得られる磁性要素の性能特性を特定の目的に合わせて変えられ、従来の磁性要素に比べて比較的容易かつ効率のよい製造ステップで、例えば均等なパッケージサイズで様々な性能特性を有する多様なパワーインダクタを提供できる。
【0058】
単一コイルの実施形態を図6〜9に関連して説明したが、別の実施形態においては複数コイルの実施形態が可能である。
【0059】
図10〜13は、様々な製造段階における別の磁性要素組立体700を示す。
【0060】
図10に示すように、組立体は、第一部分組立体を形成する第一コアピース702と、予備形成巻線クリップ604とを含む。図示する実施形態において、第一コアピース702は、実質的に平面状の表面704と平面状表面704に対向する表面706とを含むU字形のUコアである。表面706は、第一脚部708と、第二脚部710と、第一脚部708と第二脚部710との間に形成されたクリップ用溝712とを含む。第一磁気コアピース702は、上述の磁性材料及び関連技法のいずれからでも製作できる。または、技術上既知の他の適切な材料及び技法から製作できる。様々な実施形態において、上述のように、対称形及び非対称形Uコアを利用できる。
【0061】
図11に示すように、クリップ604がコアピースに結合されると、部分組立体720が形成される。クリップ604の主巻線部606は、クリップ用溝712に摺動するように受け入れられ、クリップ604の残りの部分608、610、612、614は、第一コアピース700の脚部710の外周を取り巻く。すなわち、第一コアピースの脚部710は、クリップ604の内部キャビティ616の中に受け入れられる。クリップ604の各部分606、608、610、612、614は、コアピース602の脚部710の様々な側面または面に物理的に当接または係合する。脚部710は、磁性要素のその後の組立てステップにおいて部分組立体720で一体として移動できるように、クリップ604内に確実に受け入れられる。
【0062】
図示する代表的実施形態において、クリップ604は、クリップ604が部分組立体720においてコアピース702の表面706から突出するように、クリップ用溝712に部分的にしか受け入れられない。具体的には、クリップ604の巻線部606は、クリップ用溝712と係合し、クリップ604の残り部分608、610、612、614は、コアピース702の脚部710の様々な側面または面に物理的に当接または係合する。端子リード部612、614は、クリップ用溝712に対して実質的に平行に延びて、回路基板への表面実装接続のために、コアの脚部710の底面において露出される。
【0063】
コアピース702の脚部710は、磁性要素のその後の組立てステップにおいて部分組立体720で一体として移動できるように、クリップ604内に確実に受け入れられる。
【0064】
図12に示すように、部分組立体720は、第二磁気コアピース730と相互に嵌合する。第二磁気コアピース730は、実質的に平面状の表面732と平面状表面732に対向する表面734とを含むU字形のUコアである。表面734は、第一脚部734と、第二脚部736と、第一脚部734と第二脚部736との間に形成されたクリップ用溝738とを含む。第二磁気コアピース730は、上述の磁性材料及び関連技法のいずれからでも製作できる。または技術上既知の他の適切な材料及び技法から製作できる。同様に、第二コアピース730は、第一磁気コアピース702と同じまたは異なる材料から製作できる。様々な実施形態において、上述のように、対称形及び非対称形のUコアを利用できる。
【0065】
図示する例において、第二コアピース730は、コアピース702と実質的に同じサイズ及び形状を持つが、第一コアピース702に対して対向する鏡像の向きに配置される。第二コアピース730のクリップ用溝738は、クリップが第二コアピース730の脚部736の外周を取り囲むように、クリップ604の露出部を受け入れる。従って、クリップ604の主巻線部610は、部分的に第一コアピース702のクリップ用溝712の中に受け入れられ、かつ部分的に第二コアピース730のクリップ用溝738の中に受け入れられる。クリップ604の残り部分608、610、612、614は、部分的に第一コアピース702の脚部710の一部を囲繞し、かつ部分的に第二コアピース730の脚部736の一部を囲繞する。このように組み立てられたら、第一コアピース702と第二コアピース730とを接着剤及びその類似品で接合できる。
【0066】
図13に示すように、完成した要素700において、コアピース702と730との間に物理的間隙752を形成でき、パワーインダクタにとって、また潜在的に他の実施形態においては他の形式の磁性要素にとって望ましい性能特性を与えることができる。図示する実施形態において、間隙752は、クリップ604の主巻線部610(図10)に直角を成す平面において対向するコアピース702と730との間に延びて、クリップ604の主巻線部(図10)を実質的に二分する。間隙752のサイズは、第一コアピース702及び第二コアピース730のクリップ用溝712(図10)及び738(図12)の寸法及び(または)対向するコアピース702、730の間に延びるクリップ604の横寸法を調節することによって変えられる。間隙の寸法を変えることによって、その結果得られる磁性要素の性能特性を特定の目的に合わせて変えることができ、従来の磁性要素に比べて比較的容易で効率のよい製造ステップで、例えば均一なパッケージサイズで様々な性能特性を有する多様なパワーインダクタを提供できる。
【0067】
図10〜13に関連して単一コイルの実施形態について説明したが、別の実施形態においては、複数コイルの実施形態が可能である。
【0068】
図14〜17は、様々な製造段階における別の磁性要素組立体800を示す。
【0069】
図14に示すように、組立体は、第一部分組立体を形成する第一磁気コアピース802と予備形成巻線クリップ604とを含む。図示する実施形態において、第一コアピース802は、細長い第一脚部804と第一脚部804からほぼ直角(90°)に延びる短縮第二脚部806とを含むL字形コアである。第二脚部806は、上述のように、クリップ604とミス防止式に係合するように隆起した停止面又は停止平面808を形成する。第一磁気コアピース802は、上述の磁性材料及び関連技法のいずれからでも製作できる。または、技術上既知の他の適切な材料及び技法から製作できる。
【0070】
図15に示すように、クリップ604がコアピース802に結合されると、部分組立体820が形成される。第一コアピース802の第一脚部804は、クリップ604の内部キャビティ616に受け入れられ、クリップは停止表面808と摺動するように係合して、コイル604を正確に配置できるようにする。クリップ604の各部分606、608、610、612、614は、コアピース802の脚部804の様々な側面または面に物理的に当接または係合する。脚部804は、磁性要素のその後の組立てステップにおいて部分組立体で一体として移動できるようにクリップ604内に確実に受け入れられる。
【0071】
図16に示すように、部分組立体820は、部分組立体820に覆いかぶさる第二磁気コアピース830と相互に嵌合する。第二コアピースは、細長い第一脚部832と第一脚部832からほぼ直角(90°)に延びる短縮第二脚部834とを含むL字形コアである。第二磁気コアピース830は、上述の磁性材料及び関連技法のいずれからでも製作できる。または、技術上既知の他の適切な材料及び技法から製作できる。同様に、第二磁気コアピース830は、第一磁気コアピース802と同じまたは異なる材料から製作できる。
【0072】
図示する例において、第二コアピース830は、コアピース802と実質的に同じサイズ及び形状を持つが、180°ひっくり返されて、第一コアピース702に対して反対の向きに配置される。コイル604は、それぞれのコアピース802及び830の対向する短縮脚部806、834同士の間に効果的に捕捉され、コイル604の主巻線部610(図14)は、それぞれのコアピース802及び830の細長い脚部804、832同士の間に挟まれる。このように組み立てられると、第一コアピース802と第二コアピース830とを接着剤及びその類似品で接合できる。
【0073】
図17に示すように、完成した要素800において、クリップ604の主巻線部606と、第二コアピース830及び(または)対向するコアピース800及び830の他の部分との間に物理的間隙852を形成できる。間隙852は、パワーインダクタにとって、また潜在的に他の実施形態においては他の形式の磁性要素にとって望ましい性能特性を与えることができる。図示する実施形態において、間隙852は、第二コアピース830の脚部834の主巻線部610(図10)に対して実質的に平行な平面において延びる。間隙852のサイズは、第二コアピース830の脚部834の寸法及び(または)クリップ604の寸法を調節することによって変えられる。間隙の寸法を変えることによって、その結果得られる磁性要素の性能特性を特定の目的に合わせて変えることができ、従来の磁性要素に比べて比較的容易で効率のよい製造ステップで、例えば均一なパッケージサイズで様々な性能特性を有する多様なパワーインダクタを提供できる。
【0074】
図14〜17に関連して単一コイルの実施形態について説明したが、別の実施形態においては、複数コイルの実施形態が可能である。
【0075】
図18〜21は、様々な製造段階における別の磁性要素組立体900を示す。
【0076】
図18に示すように、組立体は、第一部分組立体を形成する第一磁気コアピース802と予備形成巻線クリップ604とを含む。図示する実施形態において、第一コアピース802は、細長い第一脚部804と第一脚部804からほぼ直角(90°)に延びる短縮第二脚部806とを含むL字形コアである。第二脚部806は、上述のように、クリップ604とミス防止式に係合するように隆起停止面または停止表面808を形成する。第一磁気コアピース802は、上述の磁性材料及び関連技法のいずれからでも製作できる。または、技術上既知の他の適切な材料及び技法から製作できる。
【0077】
図19に示すように、クリップ604がコアピース802に結合されると、部分組立体920が形成される。第一コアピース802の第一脚部804は、クリップ604の内部キャビティ616に完全に受け入れられ、クリップは停止表面808と摺動するように係合して、コイル604を正確に配置できるようにする。図15の組立体820と異なり、脚部804のどの部分も、停止表面808に対向する方向にクリップから延びず、すなわち突出しない。クリップ604の各部分606、608、610、612、614は、コアピース802の脚部804の様々な側面または面に物理的に当接または係合する。脚部804は、磁性要素のその後の組立てステップにおいて部分組立体820で一体として移動できるようにクリップ604内に確実に受け入れられる。
【0078】
図20に示すように、部分組立体920は、部分組立体920に覆いかぶさる第二磁気コアピース930と相互に嵌合する。第二コアピース930は、細長い第一脚部932と第一脚部932からほぼ直角(90°)に延びる短縮第二脚部934とを含むL字形コアである。第二磁気コアピース930は、上述の磁性材料及び関連技法のいずれからでも製作できる。または、技術上既知の他の適切な材料及び技法から製作できる。同様に、第二磁気コアピース930は、第一磁気コアピース902と同じまたは異なる材料から製作できる。
【0079】
図示する例において、第二コアピース930は、コアピース802と同様の形状(すなわち、L字形)を持つが、寸法及び比率が異なる。コイル604の側面は、それぞれのコアピース802及び930の対向する短縮脚部806、934の間に効果的に捕捉され、コイル604の主巻線部610(図18)は、それぞれのコアピース802及び930の細長い脚部804、932同士の間に挟まれる。このように組み立てられたら、第一コアピース802と第二コアピース930とを接着剤及びその類似品で接合できる。
【0080】
図21に示すように、完成した要素900において、クリップ604の主巻線部606と第二コアピース930及び(または)対向するコアピース802及び930の他の部分との間に物理的間隙952を形成できる。間隙952は、パワーインダクタにとって、また潜在的に他の実施形態においては他の形式の磁性要素にとって望ましい性能特性を与えることができる。図示する実施形態において、間隙952は、第二コアピース830の脚部834の主巻線部610(図10)に対して実質的に平行な平面において延びる。間隙952のサイズは、コアピース802及び930の脚部806及び934の寸法並びに(または)クリップ604の寸法を調節することによって変えられる。間隙の寸法を変えることによって、その結果得られる磁性要素の性能特性を特定の目的に合わせて変えることができ、従来の磁性要素に比べて比較的容易で効率のよい製造ステップで、例えば均一なパッケージサイズで様々な性能特性を有する多様なパワーインダクタを提供できる。
【0081】
図18〜21に関連して単一コイルの実施形態について説明したが、別の実施形態においては、複数コイルの実施形態が可能である。
【0082】
図22は、様々な製造段階における別の磁性要素組立体を示す。図21Aに示すように、第一磁性体1002が形成される。第一磁性体は、上に説明した実施形態のいずれかに従って単一部品構成でも複数部品構成でもよい。図21の断面図において、予備形成クリップの主巻線部1004は、軸線方向に磁性体1002を通過する。
【0083】
図21Bに示すように、第二磁性体1006が形成される。第二磁性体は、上に説明した実施形態のいずれかに従って単一部品構成でも複数部品構成でもよい。ただし、第二磁性体1006は、第一磁性体1002とは異なる磁性材料から製作されるので、異なる磁気特性を有する。図21に示す断面図において、予備形成クリップの主巻線部1004は、軸線方向に磁性体1002を通過する。
【0084】
図21Cに示すように、第一磁性体1002と第二磁性体1006は、相互に並べて配置され、相互に結合される。結合された磁性体1002及び1006の軸線方向の長さは、磁性体1002及び1006のそれぞれの長さの合計である。主巻線部1004は、主巻線部1004の一部が第一磁性体1002の磁性材料と接し、主巻線部1004の別の部分が第二磁性体1006の磁性材料と接するように、磁性体1002及び1006の軸線方向の長さを横切って延びる。従って、互いに異なる磁性体1002及び1006において互いに異なる磁束通路及び性能特性が可能になり、同じコイル部1004のそれぞれの部分が、利用される様々な磁性材料の各々の利点を享受する。さらに、磁性体1002及び1006のいずれかまたは全てに1つまたはそれ以上の物理的間隙が設置されて、さらなる性能の変動及び属性を与えることができる。インダクタのインダクタンス値の変動及び性能属性の広範囲の変動は、物理的間隙の有無に関係なく、n個の磁性体を戦略的に選択し、接合し、これらを1つまたはそれ以上のコイルと組み立てることによって得られる。
【0085】
図23及び24はそれぞれ、別の磁性要素組立体1100の分解図及び組立図である。
【0086】
図23に示すように、磁性要素組立体1100は、図11に関連して上に説明したように、第一部分組立体720を形成する第一磁気コアピース702と予備形成巻線クリップ604とを含む。さらに、組立体100は、同様に予備形成巻線クリップ604と嵌合されて第二部分組立体1102を形成する第二磁気コアピース730を含む。第一部分組立体と第二部分組立体との間には、第三磁気コアピース1104が配置されて、2つの部分組立体を分離する。第三磁気コアピース1104は、第一クリップ用溝1106と、第一クリップ用溝1106の反対側に位置する第二クリップ用溝1108とを有する。第三磁気コアピース1104は、図23に示すようにI形状の梁(I−beam)の形状に形成できる。言い換えると、第三磁気コアピース1104は、クリップ用溝がそれぞれの脚部同士の間に延びるU字形の相互に対向する面を含むことができる。
【0087】
第一クリップ用溝1106は第一部分組立体720に面して、そのクリップ604の一部を受け入れる。第二クリップ用溝1108は第二部分組立体1102に面して、そのクリップ604の一部を受け入れる。図24に示すように、組み立てられると、クリップ604は第三磁気コアピース1104によって相互に離間されて、物理的間隙752が、第一コアピース702と第二コアピース1104との間及び第三コアピース1104と第二コアピース730との間に延びる。図示する代表的実施形態において、間隙752は、対向するコアピース702と1104との間に及びコアピース1104と730との間において、各クリップ604の主巻線部610(図10)に対して直角を成す平面に延びて、各クリップ604の主巻線部610(図10)を実質的に二分する。
【0088】
様々な実施形態において、第三コアピース1104を製作するために使用される磁性材料は、第一及び第二コアピース702及び730を製作するために使用された磁性材料と同じでも異なってもよいので、第三コアピースは、コアピース702または730と同じまたは異なる磁気特性を持つことができる。従って、クリップ604の主巻線部610は、このような実施形態においては異なる磁性材料を横切って延びて、様々な磁性材料と当接することができる。従って、様々な磁性体702、1104及び730において様々な磁束通路及び性能特性が可能になり、クリップ604のそれぞれの部分が、利用される様々な磁性材料の各々の利点を享受する。
【0089】
追加の磁気部品1104を設置して、追加のクリップ604と一緒に利用して、組立体1100の軸線方向長さを延長でき、比較的コンパクトな配置でさらなる利点を与えることができる。
【0090】
磁性要素組立体600(図9)、800(図17)、900(図21)には、同様に、追加のクリップと相互に嵌合する第三磁気コアピース(または追加のコアピース)が設けられて、磁性要素組立体の他の変形を提供することができる。このような実施形態は、特に多相のインダクタ要素にとって有利である。
【0091】
本発明の利点及び利益は、説明した代表的実施形態から明らかだと思われる。また、本開示の利点を有しかつ本明細書と一緒に提出される模範的請求項の範囲及び趣旨から逸脱することのないさらなる別の実施形態を当業者は推測できるだろう。
【0092】
第一磁気コアピースと、前記第一磁気コアピースと結合された第一予備形成クリップと、前記第一磁気コアピース及び前記結合されたコイルと嵌合する第二磁気コアピースとを備える、磁性要素組立体の1つの代表的実施形態について説明した。
【0093】
任意に、第一予備形成クリップは、実質的にC字形に形成された平坦な導体を含むことができる。C字形状部は、第一脚部と第二脚部とを含み、予備形成クリップは、さらに、第一リード及び第二リードの各々から延びる端子リードを備える。第一予備形成クリップは、実質的に矩形の内部キャビティを形成でき、内部キャビティは、第一コアピース全体に延びる。第一コアピースは、第一予備形成クリップの内部キャビティと実質的に同じ広がりを持つように寸法設定できる。
【0094】
第二磁気コアピースは、任意に、第一コアピースを受け入れ収容する寸法に構成されたスロットを形成でき、第一磁気ピース及び第二磁気コアピースは、相互に物理的に間隙を持つ。第二磁気コアピースは実質的にU字形である。
【0095】
別の選択肢として、第一磁気コアピースは、第一脚部と、第二脚部と、第一脚部と第二脚部との間に形成されたクリップ用溝とを含むことができ、第一予備形成クリップの一部は第一磁気コアピースのクリップ用溝に受け入れられる。第二磁気コアピースも、同様に、第一脚部と、第二脚部と、第一脚部と第二脚部の間に形成されたクリップ用溝とを含むことができ、第一予備形成クリップの一部は第二磁気コアピースのクリップ用溝に受け入れられる。予備形成クリップは、実質的にC字形に形成された平坦な導体を備えることができる。C字形状部は、第一脚部と第二脚部とを含み、予備形成クリップは、さらに第一リード及び第二リードの各々から延びる端子リードを含む。端子リードは、第一及び第二磁気コアピースの一方のクリップ用溝に実質的に平行に延びる。予備形成クリップは、さらに、実質的に矩形の内部キャビティを形成でき、内部キャビティは、第一磁気コアピースの上で延びて、第一及び第二脚部の一方を取り巻く。
【0096】
別の選択肢においては、第一磁気コアピースは、任意に実質的にL字形とすることができる。L字形磁気コアピースは、長脚部と、長脚部から実質的に直角に延びる短脚部とを含むことができる。第一予備形成クリップは、実質的に矩形の内部キャビティを形成でき、内部キャビティは、長脚部の上で延びてこれの周囲において取り巻く。第二磁気コアピースも、実質的にL字形とすることができ、第二磁気コアピースは、第一磁気コアピースに対してひっくり返され、第一予備形成コイルに覆いかぶさる。第一及び第二のL字形磁気コアピースは、実質的に同じサイズ及び形状を持っても、互いに異なるサイズ及び形状を持ってもよい。
【0097】
別の選択肢として、第一及び第二磁気コアピースは、相互に並べて配置され、相互に結合されて、第一予備形成コイルは、複数の磁気コアピースの各々を横切ってこれらと密着して延びる。複数の磁気コアピースのうち少なくとも2つは、任意に、互いに異なる磁気特性を有する互いに異なる磁性材料(アモルファス粉末材料を含むが、これに限定されない)から製作できる。
【0098】
任意に、第三の磁気コアピースが第一磁気コアピースと第二磁気コアピースとの間に配置され、第二の予備形成クリップを設置して、第二磁気コアピース及び第三磁気コアピースと嵌合できる。
【0099】
磁性要素を形成する代表的方法も開示する。要素は、第一磁気コアピースと、第二磁気コアピースと、予備形成巻線クリップとを含む。方法は、予備形成巻線クリップを第一磁気コアピースに結合するステップと、結合されたコイル及び第一磁気コアピースを第二磁気コアピースに組み立て、それによって第一及び第二磁気ピースが集合的にC字形クリップの一部を囲繞するステップとを含む。
【0100】
任意に、予備形成巻線クリップは、内部キャビティを形成でき、予備形成巻線クリップを第一磁気コアピースに結合するステップは、第一磁気コアピースの一部を内部キャビティに挿入するステップを含むことができる。
【0101】
さらに、予備形成巻線クリップを第一磁気コアピースに結合するステップは、任意に、予備形成巻線クリップが、停止表面に当接するまで第一磁気コアピースに沿って予備形成巻線クリップを摺動させるステップを含むことができる。
【0102】
予備形成巻線クリップを、任意に、C字形とすることができ、第一及び第二磁気コアピースの一方を任意にU字形とすることができる。
【0103】
別の選択肢として、第一及び第二磁気コアピースの両方をU字形とし、U字形コアピースの各々がC字形巻線クリップの一部を受け入れる。
【0104】
さらに別の選択肢において、予備形成巻線クリップを実質的にC字形とし、第一及び第二磁気コアピースの一方をL字形とすることができる。さらに、第一及び第二磁気コアピースの両方を任意にL字形とし、L字形コアピースを相互に対してひっくり返すことができる。
【0105】
本発明を特定の実施形態に関連して説明したが、この説明は、限定的に解釈されないものとする。本発明の説明を参照すれば、当業者には、開示した実施形態の様々な変形、並びに本発明の代替実施形態が明白になるだろう。開示した概念及び特定の実施形態は、本発明の同じ目的を実施するために他の構造を変形または構成するための基礎として容易に利用できることが、当業者には分かるはずである。また、このような同等の構成が特許請求の範囲において示される本発明の趣旨及び範囲から逸脱しないことが、当業者には分かるはずである。従って、特許請求の範囲は、本発明の範囲に属する上記のあらゆる変形または実施形態を包含することが想定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性要素組立体であって、
第一磁気コアピースと、
前記第一磁気コアピースに結合された第一予備形成クリップと、
前記第一磁気コアピース及び前記結合されたコイルと嵌合された第二磁気コアピースと、
を備える磁性要素組立体。
【請求項2】
前記第一予備形成クリップが実質的にC字形に形成された平坦な導体を備える、
請求項1に記載の磁性要素組立体。
【請求項3】
前記C字形状部が、第一脚部と第二脚部とを含み、
さらに前記予備形成クリップが前記第一リード及び第二リードの各々から延びる端子リードを備える、
請求項2に記載の磁性要素組立体。
【請求項4】
前記第一予備形成クリップが実質的に矩形の内部キャビティを形成し、
前記内部キャビティが前記第一コアピース全体に延びる、
請求項1に記載の磁性要素組立体。
【請求項5】
前記第一コアピースが前記第一予備形成クリップの前記内部キャビティと実質的に同じ広がりを持つように寸法設定される、
請求項4に記載の磁性要素組立体。
【請求項6】
前記第二磁気コアピースが、前記第一コアピースを受け入れて収容するように寸法設定されたスロットを形成する、
請求項5に記載の磁性要素組立体。
【請求項7】
前記第一及び第二磁気コアピースが相互に物理的に間隙を持つ、
請求項6に記載の磁性要素組立体。
【請求項8】
前記第二磁気コアピースが実質的にU字形である、
請求項6に記載の磁性要素組立体。
【請求項9】
前記第一磁気コアピースが、第一脚部と、第二脚部と、前記第一脚部と前記第二脚部との間に形成されたクリップ用溝とを含み、かつ
前記第一予備形成クリップの一部が、前記第一磁気コアピースの前記クリップ用溝に受け入れられる、
請求項1に記載の磁性要素組立体。
【請求項10】
前記第二磁気コアピースが、第一脚部と、第二脚部と、前記第一脚部と前記第二脚部との間に形成されたクリップ用溝とを含み、かつ
前記第一予備形成クリップの一部が、前記第二磁気コアピースの前記クリップ用溝に受け入れられる、
請求項9に記載の磁性要素組立体。
【請求項11】
前記予備形成クリップが実質的にC字形に形成された平坦な導体を備える、
請求項9に記載の磁性要素組立体。
【請求項12】
前記C字形状部が、第一脚部と第二脚部とを含み、
さらに前記予備形成クリップが、前記第一及び第二リードの各々から延びる端子リードを備え、
前記端子リードが、前記第一及び第二磁気コアピースの一方の前記クリップ用溝に対して実質的に平行に延びる、
請求項10に記載の磁性要素組立体。
【請求項13】
前記予備形成クリップが実質的に矩形の内部キャビティを形成し、
前記内部キャビティが、前記第一磁気コアピース全体に延びて、前記第一及び第二脚部の一方を取り巻く、
請求項10に記載の磁性要素組立体。
【請求項14】
前記第一磁気コアピースが実質的にL字形である、
請求項1に記載の磁性要素組立体。
【請求項15】
前記L字形磁気コアピースが、長脚部と、前記長脚部から実質的に直角を成すように延びる短脚部とを備える、
請求項14に記載の磁性要素組立体。
【請求項16】
前記第一予備形成クリップが実質的に矩形の内部キャビティを形成し、
前記内部キャビティが、前記長脚部の上で延びて、前記長脚部の一部を取り巻く、
請求項15に記載の磁性要素組立体。
【請求項17】
前記第二磁気コアピースが実質的にL字形であり、
前記第二磁気コアピースが、前記第一磁気コアピースに対してひっくり返されて、前記第一予備形成コイルに覆いかぶさる、
請求項16に記載の磁性要素組立体。
【請求項18】
前記第一と第二L字形磁気コアが、実質的に同じサイズ及び形状を持つ、
請求項16に記載の磁性要素組立体。
【請求項19】
前記第一と第二L字形磁気コアが互いに異なるサイズ及び形状を持つ、
請求項16に記載の磁性要素組立体。
【請求項20】
前記第一及び第二磁気コアピースが相互に並んで配置されかつ相互に結合され、
前記第一予備形成コイルが、複数の前記磁気コアピースの各々を横切って延び、かつ複数の前記磁気コアピースの各々と密着して延びる、
請求項1に記載の磁性要素組立体。
【請求項21】
前記複数の磁気コアピースのうちの少なくとも2つが、互いに異なる磁気特性を有する互いに異なる磁性材料から製作される、
請求項20に記載の磁性要素組立体。
【請求項22】
前記第一磁気コアピースがアモルファス粉末材料から製作される、
請求項20に記載の磁性要素組立体。
【請求項23】
磁性要素を形成する方法であって、
前記磁性要素が第一及び第二磁気コアピースと第一予備形成巻線クリップとを含み、
前記方法が、
前記予備形成巻線クリップを前記第一磁気コアピースに結合するステップと、
前記結合されたコイル及び第一磁気ピースを前記第二磁気ピースに組み付けて、それによって、前記第一及び第二磁気ピースが、前記C字形クリップの一部を集合的に取り囲み囲繞するステップと、
を含む、
方法。
【請求項24】
前記予備形成巻線クリップが内部キャビティを形成し、
前記予備形成巻線クリップを前記第一磁気コアピースに結合するステップが、前記第一磁気コアピースの一部を前記内部キャビティに挿入するステップを含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記予備形成巻線クリップを前記第一磁気コアピースに結合するステップがさらに、前記予備形成巻線クリップが停止表面に当接するまで、前記第一磁気コアピースに沿って前記予備形成巻線クリップを摺動させるステップを含む、
請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記予備形成巻線クリップが実質的にC字形であり、
前記第一及び第二磁気コアピースの一方がU字形である、
請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記第一及び第二磁気コアピースの両方がU字形であり、
前記U字形コアピースの各々が前記C字形巻線クリップの一部を受け入れる、
請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記予備形成巻線クリップが実質的にC字形であり、
前記第一及び第二磁気コアピースの一方がL字形である、
請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記第一及び第二磁気コアピースの両方がL字形であり、
前記L字形コアピースが相互に対してひっくり返されている、
請求項28に記載の方法。
【請求項30】
さらに、
前記第一磁気コアピースと前記第二磁気コアピースとの間に介装された第三磁気コアピースと、
前記第二磁気コアピース及び前記第三磁気コアピースと嵌合された第二予備形成クリップと、
を備える、
請求項1に記載の磁性要素組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6−9】
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【図10−13】
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【図14−17】
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【図18−21】
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【図22A−22C】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2013−501376(P2013−501376A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523614(P2012−523614)
【出願日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/032992
【国際公開番号】WO2011/016883
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(506257537)クーパー テクノロジーズ カンパニー (35)
【Fターム(参考)】