鮮度評価装置及び鮮度評価方法
【課題】被検体の客観的な鮮度評価を従来に比べて容易かつ迅速に行え得る鮮度評価装置及び鮮度評価方法を提供する。
【解決手段】鮮度評価装置4では、鮮度が良く濁度が低い魚介類10を基に算出されたコントラスト値Cが、鮮度が悪く濁度が高い魚介類11を基に算出されたコントラスト値Cよりも低くなることから、当該コントラスト値Cを目安として魚介類10,11の鮮度を判定できる。かくして、この鮮度評価装置4では、鮮度を数値化したコントラスト値Cによって被検体9の客観的な鮮度評価を行えると共に、被検体9に照射した近赤外光L1が生成する縞パターン画像を単に撮像するだけで所定の演算処理を基に鮮度評価を行うことができるので、従来に比べて容易かつ迅速に行い得る。
【解決手段】鮮度評価装置4では、鮮度が良く濁度が低い魚介類10を基に算出されたコントラスト値Cが、鮮度が悪く濁度が高い魚介類11を基に算出されたコントラスト値Cよりも低くなることから、当該コントラスト値Cを目安として魚介類10,11の鮮度を判定できる。かくして、この鮮度評価装置4では、鮮度を数値化したコントラスト値Cによって被検体9の客観的な鮮度評価を行えると共に、被検体9に照射した近赤外光L1が生成する縞パターン画像を単に撮像するだけで所定の演算処理を基に鮮度評価を行うことができるので、従来に比べて容易かつ迅速に行い得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鮮度評価装置及び鮮度評価方法に関し、透明度の高い魚介類の鮮度を評価する際に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、魚介類の新鮮さの度合いを示す鮮度を判断する場合には、熟練者が魚介類の表面を直接視認して魚介類の色等から鮮度を判断する官能評価が行われている。この官能評価では、新鮮な魚介類ほどその濁度が低く、致死後の時間経過につれて魚介類の濁度が高くなるという点に着目し、熟練者の経験によりこの濁度の程度を基に鮮度の評価が行われている。しかしながら、このような官能評価では、各熟練者のそれぞれの経験から主観的に魚介類の鮮度の評価が行われるため、定量化した客観的な評価結果が得られないという問題があった。
【0003】
これに対して鮮度の定量化のための指標の一つに「K値」と呼ばれる生化学的な鮮度指標が知られている。このK値は、動物の筋肉内に存在するエネルギ物質であるATP(アデノシン三リン酸)が、と殺後に徐々に分解されていくことに着目し、このATPの分解の程度を表した指標である。
【0004】
ここでK値を用いた客観的な評価方法としては、食肉片に試料を滴下したときの化学反応で発生する核酸関連化合物に紫外線を照射し、核酸関連化合物のスポットを浮かび上がらせた後、コンピュータを用いて画像処理を行ってK値を算出する方法が考えられている(例えば、特許文献1参照)。また、他の評価方法としては、生鮮品と発色媒体とを透明容器中に封入し発色媒体の化学変化に伴う色変化からK値を推定する評価方法が考えられている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-111823号
【特許文献2】特開2005-345263号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、K値を用いた鮮度評価では、ATPの分解の程度を測定するために化学反応を利用していることから、K値を測定するまでの準備に手間が掛かり、さらに、化学反応が安定するまでに時間が掛かかる問題があった。
【0007】
また、K値を用いた鮮度評価では、同条件の被検体を測定したとしても、実際の測定結果にバラツキがあり、熟練者が判断した鮮度とも一致しない場合もあることから、定量化に関して従来よりも一段と客観的な評価が行えることが望まれている。
【0008】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたもので、被検体の客観的な鮮度評価を従来に比べて容易かつ迅速に行え得る鮮度評価装置及び鮮度評価方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明において、請求項1記載の発明では、照射明部及び照射暗部が順次交互に配置された縞パターン状の照射光が被検体に照射され、前記照射明部及び前記照射暗部が前記被検体で散乱して前記被検体に生成された被検体明部及び被検体暗部からなる縞パターン像を撮像した撮像データを取得する取得部と、前記撮像データに基づいて前記縞パターン像の縞パターン画像を生成し、前記縞パターン画像の所定位置で連続する明部及び暗部の光強度を検出する画像解析部と、前記光強度のうち隣接する前記明部と前記暗部とを一対の組とし、複数の前記組における前記明部の最大光強度と前記暗部の最小光強度との光強度差をそれぞれ算出し、複数の前記光強度差を平均したコントラスト値を算出する算出部とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2記載の発明では、前記照射光は、近赤外光であることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3記載の発明では、前記被検体は透明度の高い魚介類であり、所定の前記魚介類に関する前記コントラスト値に対して、該魚介類を捕獲した後からの経過時間が対応付けられたデータが予め記憶されたデータベースと、前記算出部により前記コントラスト値が算出されると、該コントラスト値に対応付けられた前記経過時間を前記データに基づいて特定する特定部とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4記載の発明では、照射明部及び照射暗部が順次交互に配置された縞パターン状の照射光が被検体に照射され、前記照射明部及び前記照射暗部が前記被検体で散乱して前記被検体に生成された被検体明部及び被検体暗部からなる縞パターン像を撮像した撮像データを取得する取得ステップと、前記撮像データに基づいて前記縞パターン像の縞パターン画像を生成し、前記縞パターン画像の所定位置で連続する明部及び暗部の光強度を検出する画像解析ステップと、前記光強度のうち隣接する前記明部と前記暗部とを一対の組とし、複数の前記組における前記明部の最大光強度と前記暗部の最小光強度との光強度差をそれぞれ算出し、複数の前記光強度差を平均したコントラスト値を算出する算出ステップとを備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5記載の発明では、前記照射光は、近赤外光であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6記載の発明では、前記被検体は透明度の高い魚介類であり、所定の前記魚介類に関する前記コントラスト値に対して、該魚介類を捕獲した後からの経過時間が対応付けられたデータを基に、前記算出部により算出した前記コントラスト値に対応付けられた前記経過時間を、特定部によって特定する特定ステップを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたもので、被検体の客観的な鮮度評価を従来に比べて容易かつ迅速に行え得る鮮度評価装置及び鮮度評価方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による鮮度評価システムの全体構成を示す概略図である。
【図2】透明度の高い魚介類に対して近赤外光が照射されたときの散乱光の様子を示す概略図である。
【図3】被検体に照射される照射光の種類を代えたときに生成される縞パターン像を示す写真である。
【図4】鮮度評価装置の回路構成を示すブロック図である。
【図5】被検体として乳白色アクリル板を用いたときの縞パターン画像の様子を示す写真である。
【図6】光強度分布データを示すグラフである。
【図7】被検体としてイカを用いたときの縞パターン画像を示す写真である。
【図8】絞りを調整したときの縞パターン画像の変化の様子を示す写真である。
【図9】経過時間の光強度の相違について示すグラフである。
【図10】絞りを調整する必要がある場合の各経過時間における光強度の値の計算方法を示す概略図である。
【図11】経過時間とコントラスト値との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面に基づいて、本発明の実施の形態を詳述する。
【0018】
(1)鮮度評価システムの全体構成
図1において、1は鮮度評価システムを示し、この鮮度評価システム1は、光源5から発する近赤外光L1を振幅格子6、絞り7及び投影レンズ8を順次介して被検体9に照射する照射部2と、近赤外光L1が被検体9に照射されることにより被検体9上に生成された縞パターン像を撮像する撮像部3と、この撮像部3で撮像された撮像データに基づいて鮮度を数値化する鮮度評価装置4とから構成されている。
【0019】
この鮮度評価システム1は、鮮度の評価を行う被検体9として、時間が経過するに従って表面の濁度が変化する例えばイカ等の魚介類が用いられ、これら魚介類の鮮度を鮮度評価装置4によって数値化し得るようになされている。
【0020】
実際上、この鮮度評価システム1は、照射部2が被検体9の斜め方向に設置されており、被検体9に対して斜め方向から近赤外光L1を照射し得るようになされている。このとき照射部2は、光源5から発する近赤外光L1を振幅格子6に向けて照射し、必要に応じて光強度を絞り7により調整した後、振幅格子6の影を投影レンズ8を用いて被検体9に投影することで被検体9上に縞パターン像を生成させ得る。
【0021】
この実施の形態の場合、振幅格子6は、被検体9に対して平行に配置されており、光源5からの近赤外光L1を透過させ、直線状に延びた照射明部と照射暗部とが順次交互に隣接した縞パターン状の照射光を被検体9に対して照射し得る。これにより振幅格子6は、直線状に延びた被検体明部と被検体暗部とが順次交互に隣接した縞パターン像を被検体9に生成し得るようになされている。また、この振幅格子6は、直線状の照射明部を形成する明領域形成部と、直線状の照射暗部を形成する暗領域形成部との長手方向に沿って近赤外光L1が照射されるように配置され、被検体9において光強度分布の不均一さが生じることを防止し得るようになされている。
【0022】
撮像部3は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラからなり、被検体9の正面に設置されており、近赤外光L1が照射されることにより被検体9が作り出す縞パターン像からの散乱光L2を撮像し得るようになされている。
【0023】
鮮度評価装置4は、撮像部3に電気的に接続されており、撮像部3により得られた撮像データを受け取り、当該撮像データに鮮度評価処理を施すことにより被検体9の鮮度を数値化し得るようになされている。
【0024】
(2)鮮度評価処理について
ここでは、先ず始めに、鮮度評価処理に利用される原理について以下説明する。ここで被検体9に用いる魚介類10, 11は、捕獲後から時間が経過して鮮度が低くなると、魚肉の濁度が高くなることが経験的に知られている。このような魚肉の濁度の増加は、魚肉内部における散乱体12, 13による光の散乱が増加するために発生し得る。
【0025】
すなわち、捕獲後からあまり時間が経過しておらず魚介類10の鮮度が高い場合には、図2(a)に示すように、魚介類10内部の散乱体12によって照射光が散乱した散乱光L2が少なく、魚介類10の濁度が低い状態にある。一方、捕獲後から長い時間が経過して魚介類11の鮮度が低い場合には、図2(b)に示すように、魚介類11内部の散乱体13によって照射光が散乱した散乱光L3が、鮮度が高い魚介類10のときに生じる散乱光L2と比較して多くなり、魚介類11の濁度が高い状態になる。
【0026】
ここで、本発明による鮮度評価システム1では、振幅格子6を通過させて縞パターン状に形成された近赤外光L1が被検体9に斜め方向から照射されており、図2(a)及び(b)に示すように、被検体明部14b, 15bと被検体暗部14a, 15aとを有する縞パターン像を生成する。因みに、図1に示すように、近赤外光L1は、被検体9に対して斜め方向から照射されるが、説明の便宜上、図2(a)及び(b)では、被検体9である魚介類10, 11の正面から近赤外光L1が照射されているかのように示している。
【0027】
ここで、鮮度評価システム1では、振幅格子6によって被検体明部と被検体暗部とを有する縞パターン像が被検体9に生成されることから、図2(a)に示すように、被検体明部14bにおける近赤外光L1の光強度が被検体暗部14aにおける近赤外光L1の光強度よりもそれぞれ強いため、被検体暗部14aの散乱体12で散乱される散乱光L2の暗い部分と比較して、被検体明部14bの散乱体12で散乱される散乱光L2の明るい部分の光強度が増加する。そして、鮮度評価システム1は、魚介類10内の散乱体12により近赤外光L1が様々な方向に散乱し、これにより魚介類10で発生した被検体明部14bと被検体暗部14aとを有する縞パターン像を、魚介類10の正面から撮像部3により撮像し得るようになされている。
【0028】
ここで、鮮度が高い場合には、図2(a)に示すように、魚介類10内部の散乱体12によって照射光が散乱する散乱光L2が少ないことから、鮮度が低いときに比べて、魚介類10で発生した縞パターン像の被検体明部14bと被検体暗部14aとがともに暗くなり、光強度が低くなる。これに対して鮮度が低い場合には、図2(b)に示すように、魚介類11内部の散乱体13によって照射光が散乱する散乱光L3が多いことから、鮮度が高いときに比べて、魚介類11で発生した縞パターン像の被検体明部15bと被検体暗部15aとがともに明るくなり、光強度が高くなる。
【0029】
次に、光源5から照射される近赤外光L1について以下説明する。ここで近赤外光L1とは、約700〜2500[nm]の可視光の赤色に近い電磁波であり、人間の目では見ることができないが、可視光に近いことから可視光と似た性質を有しており、可視光とほぼ同様に取り扱うことができる。可視光と近赤外光L1との主に異なる点は、例えば、近赤外光L1が皮膚などへの浸透深度で数[mm]を有する点である。
【0030】
可視光と近赤外光L1では、浸透深度を有する点で相違することから、例えば被検体9としてイカを用いた場合、イカの表面の同じ箇所で、光源5からの光の波長を可視光から近赤外光領域に変化させて撮像部3により撮像すると、図3(a)〜(c)に示すような画像が得られた。
【0031】
図3(a)は、可視光域の波長を有する光を振幅格子6に向けて照射することで得られるイカの表面の画像であり、図3(b)は695[nm]の波長を有する光を振幅格子6に向けて照射することで得られるイカの表皮の画像であり、図3(c)は850[nm]の波長を有する光を振幅格子6に向けて照射することで得られるイカの表面の画像である。
【0032】
これらの画像から、光源5の波長が可視光から近赤外光L1へ長くなるにつれて、イカの同じ箇所を撮像したにもかかわらず、明らかに黒く写った斑点が減少していることが分かった。この黒い斑点はイカの表皮に存在している。従って、光源5に可視光を用いた場合には、図2(a)に示すように、可視光がイカの内部に浸透せず表皮で散乱し、その結果、イカの表皮の黒い斑点が多数撮像され得る。
【0033】
しかしながら、図3(b)及び(c)に示すように、撮像に使用した光の波長を長くした場合には、近赤外光L1に近づくにつれて、イカの表皮の小さな黒い斑点が大幅に減少し、仮に大きな斑点があったときでも当該斑点が薄くなり、撮像部3により撮像した際に当該斑点が殆ど見えなくなっている。
【0034】
これは、近赤外光L1が上述したように数[mm]の浸透深度を有することにより、イカの内部で散乱された散乱光L2, L3が、イカの表皮からの散乱光よりも撮像部3であるCCDカメラにより多く撮像されたことにより、イカの表皮の黒い斑点で散乱される光が大幅に減少しているためである。
【0035】
そのため、本発明における鮮度評価システム1では、近赤外光L1を被検体9へ照射することにより、被検体9の表面に斑点等が形成されていても、当該斑点等の影響をできる限り抑えることができ、それにより、一段と正確に被検体9の鮮度を評価することができる。
【0036】
鮮度評価システム1では、撮像部3により撮像された被検体9の縞パターン画像が撮像データとして鮮度評価装置4に送出され、当該鮮度評価装置4において撮像データに対して鮮度評価処理が施されることにより、被検体9の鮮度を数値化したコントラスト値C(後述する)を算出し得るようになされている。
【0037】
実際上、鮮度評価装置4は、図4に示すように、撮像部3から送出される撮像データを取得する取得部20と、撮像データをビットマップ画像データに変換した後、当該ビットマップ画像データにより生成されたビットマップ画像の各ピクセルの光強度の値(光強度値)を検出する画像解析部21と、ビットマップ画像や鮮度評価に必要な各種情報(コントラスト値C)を表示する表示部22と、ビットマップ画像における各ピクセルの光強度値に基づいてコントラスト値Cを算出する算出部23と、各種情報を設定可能な操作部24と、撮像データやビットマップ画像データ等の種々のデータを記憶するデータベース25とがバスを介して制御部26に接続された構成を有する。
【0038】
ここで制御部26は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Processing)、ROM(Read Only Memory)等で構成されており、ROMに格納された基本プログラム及び鮮度評価処理プログラム等の各種プログラムを、各種命令に応じて適宜RAMに読み出すことにより所定の処理を実行し、各種機能を統括的に制御し得るようになされている。
【0039】
ここでは、先ず始めに被検体9として乳白色アクリル板を用いてコントラスト値Cの算出方法を説明する。被検体9としてアクリル板を用いた場合には、当該アクリル板に近赤外光L1が照射されると、撮像部3において、図5に示すような縞パターン画像100が得られる。
【0040】
制御部26は、取得部20を介して撮像部3から撮像データを受け取ると、これをデータベース25に記憶する。次いで制御部26は、鮮度評価処理を施す撮像データをデータベース25から読み出した後、撮像データの光強度を数値化させるために、画像解析部21により撮像データをビットマップ画像データに変換し、当該ビットマップ画像データに基づく縞パターン画像を表示部22に表示する。
【0041】
ここで表示部22に表示される縞パターン画像は、y方向に長手方向を有する直線状の明部と暗部とが、y方向と直交するx方向に向けて順次交互に隣接して配置され得る。
【0042】
次いで、制御部26は、縞パターン画像において順次交互に隣接した明部D1、暗部B1、明部D2、暗部B2…の中から、隣接する明部D1と暗部B1の一対の組G1と、隣接する明部D2と暗部B2の一対の組G2、隣接する明部D3と暗部B3の一対の組G3と、隣接する明部D4と暗部B4の一対の組G4と、隣接する明部D5と暗部B5の一対の組G5の連続する5組(組G1,組G2,組G3,組G4,組G5)を選択する。
【0043】
因みに、この実施の形態の場合、隣接する明部と暗部からなる連続する5組を縞パターン画像の中から選択する場合について述べるが、本発明はこれに限らず、隣接する明部D1と暗部からなる連続する2組、3組、或いは6組等この他種々の所定数の組を縞パターン画像の中から選択してもよい。
【0044】
次いで、算出部23は、y方向において任意に選択された所定位置y1における連続した5組(組G1,組G2,組G3,組G4,組G5)の領域での光強度の分布を表した光強度分布データを生成し、これをデータベース25に記憶する。実際上、図6に示すように、この光強度分布データは、連続する5組(組G1,組G2,組G3,組G4,組G5)において、各明部B1〜B5で光強度が最も高い山部を有し、暗部D1〜D5で光強度が最も低い谷部を有する。なお、図6においては、説明の便宜上、所定位置y1において連続した3組(組G1,組G2,組G3)の明部B1〜B3及び暗部D1〜D3での光強度の推移を表している。
【0045】
算出部23は、光強度分布データから、各明部B1〜B5の山部における最大光強度I1max〜I5maxを検出すると共に、暗部D1〜D5の谷部における最小光強度I1min〜I5minを検出する。次いで、算出部23は、組G1における明部D1の最大光強度I1maxと暗部B1の最小光強度I1minとの光強度差d1と、組G2における明部D2の最大光強度I2maxと暗部B2の最小光強度I2minとの光強度差d2と、組G3における明部D3の最大光強度I3maxと暗部B3の最小光強度I3minとの光強度差d3と、組G4における明部D4の最大光強度I4maxと暗部B4の最小光強度I4minとの光強度差d4と、組G5における明部D5の最大光強度I5maxと暗部B5の最小光強度I5minとの光強度差d5とをそれぞれ算出する。
【0046】
次いで、算出部23は、これら組G1,組G2,組G3,組G4,組G5における光強度差d1〜d5の平均値をコントラスト値Cとして算出し得るようになされている。このコントラスト値Cは、縞パターン画像での明暗の差(コントラスト)が強いときほど値が大きくなり、一方、縞パターン画像での明暗の差(コントラスト)が弱いほど値が小さくなる。
【0047】
従って、上述したように被検体9として時間経過に従って濁度が生じる魚介類を用いた場合には、捕獲後からあまり時間が経過しておらず濁度が低い魚介類を基に算出されたコントラスト値Cが、捕獲後から長時間経過して濁度が高い魚介類を基に算出されたコントラスト値Cよりも低い数値が得られる。従って、鮮度評価装置4は、魚介類に基づいて算出されたコントラスト値Cを目安として魚介類の鮮度を判定し得るようになされている。
【0048】
ここでこの実施の形態の場合、算出部23は、複数の光強度差d1〜d5の平均値をコントラスト値Cとして算出し、このコントラスト値Cを基に被検体9の鮮度を評価し得るようにしたことにより、例えば明部D1と暗部B1の組G1のみから算出した光強度差d1のみで被検体9の鮮度の評価する場合に比べて、被検体9の全体的な鮮度評価を一段と正確に行え得るようになされている。また、コントラスト値Cは、複数の光強度差として5つの光強度差d1〜d5から算出している。これは、光強度差を5つよりもさらに多くしても、これら光強度差から算出されたコントラスト値Cが、5つの光強度差d1〜d5から算出したコントラスト値Cとほとんど変化がなかったためである。
【0049】
(3)鮮度評価の検証
次に、上述のアクリル板に替えて被検体9として透明度の高い魚介類であるイカを実際に用い、上述したコントラスト値Cを基にイカの鮮度評価を行った。実際上、この鮮度評価システム1では、光源5として出力150[W]のハロゲンファイバー光源(Stocker&Yale製の#20)を用いた。また、この光源5から近赤外光線の波長も出ているため,透過限界波長域が異なる2種類のシャープカットフィルタ(695[nm],850[nm])を用いて可視光を遮断することで、近赤外光L1を得た。
【0050】
さらに、振幅格子6としては、エドモンドオプティクス社取り扱いのロンキールーリングを用いた。これは、ガラスの表面に黒色の平行線を規則正しく等間隔でクロム蒸着したものであり、大きさが25×25[mm]、空間周波数が50本[本ペア/インチ]である。
【0051】
また、この鮮度評価システム1では、絞り7と投影レンズ8として、両者が一体となっている印画紙用の引き伸ばしレンズであるフジノンEX(富士写真光機製)を用いていた。これは、焦点距離50[mm]で、開口1:2.8となっている。撮像部3としては、近赤外領域でも感度を有するモノクロCCDカメラ(ソニー製のXC-EI50)を用いた。
【0052】
この場合、照射部2から近赤外光L1をイカに照射し、このときのイカの表面を撮像部3で撮像した。これにより、図7に示すような縞パターン画像101が得られた。図7に示すように、この縞パターン画像は、順次交互に隣接した明部D1s、暗部B1s、明部D2s、暗部B2s…が形成されていることが確認できた。次に、表皮を剥いたイカを用意し、捕獲後から5時間、11時間、16時間、24時間、29時間、35時間経過したときのイカの縞パターン画像について検証した。このとき、絞り7の絞り値をF2.8に設定した。これにより図8(a)に示すような結果が得られた。
【0053】
ここで、イカは、鮮度が高いとき、内部の散乱体によって照射光が散乱する散乱光が少なく濁度が低い状態にあり、鮮度が低いとき、内部の散乱体によって照射光が散乱する散乱光が多くなり濁度が高い状態になる。従って、捕獲後から5時間経過した比較的鮮度が高いイカを撮像した縞パターン画像では、照射光がイカを透過してしまい、縞パターン画像全体が黒く撮像された。
【0054】
その後、11時間、16時間経過したときには、徐々にイカの内部からの散乱光が増加したために、縞パターン画像における明部と暗部とが明瞭に現れていることが確認できた。
【0055】
ところが、24時間経過時に撮像された縞パターン画像では、縞パターン画像全体が白く飽和してしおり、振幅格子の影である暗部が撮像されてないことが確認できた。そこで、照射部の絞りを一段絞って絞り値をF5.6に設定しところ、図8(b)に示すような縞パターン画像が得られた。
【0056】
図8(b)に示すように、24時間経過時の縞パターン画像は、図8(a)の縞パターン画像に比べて明部と暗部とが明瞭に現れた。また、29時間経過時の縞パターン画像及び35時間経過時の縞パターン画像は、図8(a)に示した縞パターン画像と比較して明部と暗部とが明瞭となっているが、未だ白く飽和した箇所があった。
【0057】
そこで、照射部2の絞り7をさらに一段絞って絞り値をF8に設定し、29時間及び35時間経過時に撮像した縞パターン画像を確認した。その結果、図8(c)に示すような縞パターン画像が得られた。図8(c)に示すように、29時間経過時の縞パターン画像及び35時間経過時の縞パターン画像は、図8(a)の縞パターン画像に比べて明部と暗部とが明瞭に現れた。
【0058】
これらのことから、イカのような鮮度によって濁度が大きく変化する被検体9の鮮度評価を行う場合には、照射部2の絞り7を適宜変更して最適な縞パターン画像が得られるように調整する必要があることが分かった。
【0059】
なお、本実施の形態では、CCDカメラ(ソニー製のXC-EI50)を用いているが、当該CCDカメラのダイナミックレンジよりも広いダイナミックレンジを有するCCDカメラを用いれば、撮像時において絞り7を変更することなく、一定の絞りで縞パターン画像を撮像することが可能である。
【0060】
次いで、これらの図8(a)〜(c)の縞パターン画像から、各経過時間におけるイカの縞パターン画像の光強度分布がどのようになっている否かを確認した。ここでは、各経過時間毎に得られた縞パターン画像について、明部及び暗部の長手方向と直行する方向に沿った所定位置での明部及び暗部の光強度の移り変わりを調べた。そして、これら図8(a)〜(c)に示した縞パターン画像から得られた光強度分布について纏めたところ、図9に示すような結果が得られた。
【0061】
図9に示す5時間経過時での光強度分布、11時間経過時での光強度分布、及び16時間経過時での光強度分布は、絞り値をF2.8に設定したときの5時間経過時での縞パターン画像、11時間経過時での縞パターン画像及び16時間経過時での縞パターン画像(図8(a))を、それぞれ縦方向に沿って量子化し、その明部及び暗部の推移を階調で表したものである。
【0062】
ここで、図8(a)に示すように絞り値をF2.8にした場合は、24時間経過時の縞パターン画像、29時間経過時の縞パターン画像、及び35時間経過時の縞パターン画像では、CCDカメラのダイナミックレンジを超えて画像が明るくなり過ぎており、縞パターン状の明暗が現れていなかった。これは、本実験で使用したCCDカメラの階調(0〜255)の最大値を超えてしまったためである。
【0063】
そこで、図9では、CCDカメラで得られる画像が明るくなり過ぎた24時間経過時の縞パターン画像、29時間経過時の縞パターン画像、及び35時間経過時の縞パターン画像に対して、後述する外挿処理を実行して、縞パターン状の明部及び暗部の光強度の移り変わりを仮想的に算出した。具体的には、以下のような外挿処理を用いて仮想光強度分布データを算出した。
【0064】
先ず、16時間経過時の縞パターン画像は、絞り値をF2.8に設定して撮像するだけでなく、例えば当該F2.8よりも一段階閉じた絞り値(この場合、絞り値F5.6)にも設定して撮像する(図10中に示す(a)参照)。このとき、絞り値をF5.6として撮像した16時間経過時の縞パターン画像では、絞り値をF2.8として撮像した16時間経過時の縞パターン画像に比べて、光源5からの光量の減少により、各位置における光強度が減少している。ここで、絞り値をF5.6に設定して測定した縞パターン画像の光強度と、絞り値をF2.8に設定して測定した縞パターン画像の光強度との比を増幅率(以下、第1の増幅率と呼ぶ)とする(図10中に示す(d)参照)。
【0065】
次いで、24時間後の縞パターン画像は、縞パターン状の明暗が観察できるよう絞り値をF5.6に設定して撮像する(図10中に示す(b)参照)。このとき、24時間後の縞パターン画像では、絞り値をF5.6に設定して撮像されていることから、光源5からの光量の減少により、被検体9からの散乱光L2, L3の光量も減少し、光強度がCCDカメラの階調(0〜255)の範囲に収まり、縞パターン状の明暗が撮像される。
【0066】
そして、この外挿処理では、絞り値F5.6のときの縞パターン画像の光強度(図10中に示す(c)参照)について着目し、F5.6に設定して撮像された縞パターン画像から求められる光強度を、前述の第1の増幅率で増幅させ、F2.8における光強度を推定する(図10中に示す(e)参照)
すなわち、この第1の増幅率を、絞り値F5.6のときの光強度に対して乗算することにより、絞り値F2.8のときの光強度の値で表すことができる。
【0067】
また、35時間経過時の縞パターン画像では、絞り値F5.6のとき、図8(a)に示すように、縞パターン状の明部及び暗部の一部が明確に撮像できていない。そこで、図9では、35時間経過時の縞パターン画像についても、上述した外挿処理の原理を利用して以下のようにして光強度を求める。
【0068】
先ず、絞り値をF5.6とF8とに設定して29時間経過時の縞パターン画像をそれぞれ撮像する。また、縞パターン状の明暗が観察できるよう絞り値をF8に設定して35時間後の縞パターン画像を撮像する。ここで、絞り値をF8に設定して測定した縞パターン画像の光強度と、絞り値をF5.6に設定して測定した縞パターン画像の光強度との比を増幅率(以下、第2の増幅率と呼ぶ)とする。そして、この外挿処理では、F8に設定して撮像された縞パターン画像から求められる光強度を第2の増幅率で増幅させ、更に、前述の第1の増幅率を乗じて、当該F8における光強度から、F2.8における光強度を推定する。
【0069】
以上の説明から、図9に示すように、イカについては、捕獲後から時間が経過するに従って明部及び暗部の差が大きくなることが確認できた。
【0070】
次に、図9に示した各経過時間の光強度に基づき、各経過時間におけるコントラスト値Cを算出し、これを時系列にプロットしたことで、図11に示すようなグラフが得られた。コントラスト値Cは、図11のグラフから時間の経過とともに上昇することが確認できた。
【0071】
以上、被検体9としてイカを用いた検証試験では、イカの鮮度低下にともなう濁度の上昇に基づいて変化するコントラスト値Cの大小を基に、イカの鮮度の評価を行えることが確認できた。
【0072】
(4)動作及び効果
以上の構成において、鮮度評価装置4では、光源5からの近赤外光L1が振幅格子6を透過して被検体9に照射され、当該被検体9に生成された被検体明部及び被検体暗部からなる縞パターン像を撮像した撮像データを撮像部3から取得する。また、鮮度評価装置4では、撮像データをビットマップ画像データに変換することにより、撮像データにより生成される縞パターン画像の光強度を数値化する。
【0073】
鮮度評価装置4では、縞パターン画像における隣接する明部と暗部からなる連続する5組の組G1,組G2,組G3,組G4,組G5において、明部及び暗部の長手方向と直行するy方向に沿って所定位置y1での明部D1、暗部B1、明部D2、暗部B2…の光強度の移り変わりを光強度分布データとして取得し、当該光強度分布データから各明部B1〜B5の最大光強度I1max〜I5maxと、暗部D1〜D5の最小光強度I1min〜I5minとを検出する。
【0074】
鮮度評価装置4では、各組G1,組G2,組G3,組G4,組G5毎に明部の最大光強度I1max〜I5maxと暗部の最小光強度I1min〜I5minとの光強度差d1〜d5を算出し、これら光強度差d1〜d5の平均値を算出することにより、縞パターン画像での明暗の差(コントラスト)が強いときほど値が大きく、縞パターン画像での明暗の差(コントラスト)が弱いほど値が小さくなるコントラスト値Cを算出できる。
【0075】
これにより鮮度評価装置4では、被検体9として時間経過に従って濁度が生じる魚介類を用いることで、鮮度が良く濁度が低い魚介類を基に算出されたコントラスト値Cが、鮮度が悪く濁度が高い魚介類を基に算出されたコントラスト値Cよりも低くなることから、当該コントラスト値Cを目安として魚介類の鮮度を判定できる。
【0076】
したがって、鮮度評価装置4では、視覚などによる熟練者の官能評価の主観的な鮮度評価ではなく、撮像した被検体9の縞パターン画像を鮮度評価処理によって鮮度を数値化したコントラスト値Cによって客観的な鮮度評価を行うことができる。
【0077】
また、この鮮度評価装置4では、被検体9に対して単に近赤外光L1を照射し、これにより得られた縞パターン画像に対して所定の演算処理を実行することで得られるコントラスト値Cを用いて鮮度の評価を行うことから、従来にあるような化学反応を利用したK値による鮮度評価と異なり、例えば被検体9に対して試料を滴下したり、或いは被検体9と発色媒体とを透明容器中に封入して発色媒体の化学変化を起こさせる等の作業が不要になり、その分だけ鮮度評価を行う際の手間を軽減でき、容易に被検体9の鮮度評価を行うことができる
さらに、この鮮度評価装置4では、被検体9に照射した近赤外光L1が生成する縞パターン画像を撮像することで鮮度評価を行うことができるため、化学反応が安定するまでに時間が掛かかる従来のK値を用いた鮮度評価に比べて、化学反応の待ち時間を有しない分だけ被検体9の鮮度評価を迅速に行うことができる。かくして、この鮮度評価装置4では、被検体9の客観的な鮮度評価を従来に比べて容易かつ迅速に行い得る。
【0078】
また、これに加えて、この鮮度評価装置4では、被検体9の縞パターン画像の明部と暗部からなる連続する5組を選択し各組の光強度差を平均したコントラスト値Cを用いているため、鮮度評価の結果にバラツキが発生することを防止できる。
【0079】
(5)他の実施の形態
本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば上述した実施の形態においては、コントラスト値Cの変化に基づいて被検体9の鮮度を判断するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図11に示したコントラスト値C及び経過時間の関係を表したデータを予めデータベース25に記憶しておき、被検体9に対して近赤外光L1を照射して得られた縞パターン画像を基にコントラスト値Cを算出し、特定部としての制御部26はこのコントラスト値Cから対応する経過時間を、図11に示したデータから読み出して特定するようにしてもよい。この場合、被検体9の鮮度の評価を、単なるコントラスト値Cで表すことなく経過時間として表すことができる。
【0080】
また、上述した実施の形態においては、被検体としてイカを用いた場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、捕獲時に透明度が高くその後時間経過とともに濁度が高くなる魚介類に対しても用いることができる。
【0081】
また、上述した実施の形態においては、被検体9の照射する照射光として、近赤外光L1を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、被検体9に対し振幅格子6を介して照射光を照射したときに、当該被検体9の状態に応じて明部及び暗部の差(コントラスト)が変化する縞パターン画像が得られれば、可視光などこの他種々の照射光を適用してもよい。
【0082】
さらに、上述した実施の形態においては、コントラスト値を算出する際、隣接する明部と暗部からなる組の中から連続する任意の5組を選択するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、コントラスト値を算出する際、隣接する明部と暗部からなる組の中から間隔を空けて複数の組を任意に選択するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
4 鮮度評価装置
20 取得部
21 画像解析部
23 算出部
25 データベース
26 制御部(特定部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、鮮度評価装置及び鮮度評価方法に関し、透明度の高い魚介類の鮮度を評価する際に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、魚介類の新鮮さの度合いを示す鮮度を判断する場合には、熟練者が魚介類の表面を直接視認して魚介類の色等から鮮度を判断する官能評価が行われている。この官能評価では、新鮮な魚介類ほどその濁度が低く、致死後の時間経過につれて魚介類の濁度が高くなるという点に着目し、熟練者の経験によりこの濁度の程度を基に鮮度の評価が行われている。しかしながら、このような官能評価では、各熟練者のそれぞれの経験から主観的に魚介類の鮮度の評価が行われるため、定量化した客観的な評価結果が得られないという問題があった。
【0003】
これに対して鮮度の定量化のための指標の一つに「K値」と呼ばれる生化学的な鮮度指標が知られている。このK値は、動物の筋肉内に存在するエネルギ物質であるATP(アデノシン三リン酸)が、と殺後に徐々に分解されていくことに着目し、このATPの分解の程度を表した指標である。
【0004】
ここでK値を用いた客観的な評価方法としては、食肉片に試料を滴下したときの化学反応で発生する核酸関連化合物に紫外線を照射し、核酸関連化合物のスポットを浮かび上がらせた後、コンピュータを用いて画像処理を行ってK値を算出する方法が考えられている(例えば、特許文献1参照)。また、他の評価方法としては、生鮮品と発色媒体とを透明容器中に封入し発色媒体の化学変化に伴う色変化からK値を推定する評価方法が考えられている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-111823号
【特許文献2】特開2005-345263号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、K値を用いた鮮度評価では、ATPの分解の程度を測定するために化学反応を利用していることから、K値を測定するまでの準備に手間が掛かり、さらに、化学反応が安定するまでに時間が掛かかる問題があった。
【0007】
また、K値を用いた鮮度評価では、同条件の被検体を測定したとしても、実際の測定結果にバラツキがあり、熟練者が判断した鮮度とも一致しない場合もあることから、定量化に関して従来よりも一段と客観的な評価が行えることが望まれている。
【0008】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたもので、被検体の客観的な鮮度評価を従来に比べて容易かつ迅速に行え得る鮮度評価装置及び鮮度評価方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明において、請求項1記載の発明では、照射明部及び照射暗部が順次交互に配置された縞パターン状の照射光が被検体に照射され、前記照射明部及び前記照射暗部が前記被検体で散乱して前記被検体に生成された被検体明部及び被検体暗部からなる縞パターン像を撮像した撮像データを取得する取得部と、前記撮像データに基づいて前記縞パターン像の縞パターン画像を生成し、前記縞パターン画像の所定位置で連続する明部及び暗部の光強度を検出する画像解析部と、前記光強度のうち隣接する前記明部と前記暗部とを一対の組とし、複数の前記組における前記明部の最大光強度と前記暗部の最小光強度との光強度差をそれぞれ算出し、複数の前記光強度差を平均したコントラスト値を算出する算出部とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2記載の発明では、前記照射光は、近赤外光であることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3記載の発明では、前記被検体は透明度の高い魚介類であり、所定の前記魚介類に関する前記コントラスト値に対して、該魚介類を捕獲した後からの経過時間が対応付けられたデータが予め記憶されたデータベースと、前記算出部により前記コントラスト値が算出されると、該コントラスト値に対応付けられた前記経過時間を前記データに基づいて特定する特定部とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4記載の発明では、照射明部及び照射暗部が順次交互に配置された縞パターン状の照射光が被検体に照射され、前記照射明部及び前記照射暗部が前記被検体で散乱して前記被検体に生成された被検体明部及び被検体暗部からなる縞パターン像を撮像した撮像データを取得する取得ステップと、前記撮像データに基づいて前記縞パターン像の縞パターン画像を生成し、前記縞パターン画像の所定位置で連続する明部及び暗部の光強度を検出する画像解析ステップと、前記光強度のうち隣接する前記明部と前記暗部とを一対の組とし、複数の前記組における前記明部の最大光強度と前記暗部の最小光強度との光強度差をそれぞれ算出し、複数の前記光強度差を平均したコントラスト値を算出する算出ステップとを備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5記載の発明では、前記照射光は、近赤外光であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6記載の発明では、前記被検体は透明度の高い魚介類であり、所定の前記魚介類に関する前記コントラスト値に対して、該魚介類を捕獲した後からの経過時間が対応付けられたデータを基に、前記算出部により算出した前記コントラスト値に対応付けられた前記経過時間を、特定部によって特定する特定ステップを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたもので、被検体の客観的な鮮度評価を従来に比べて容易かつ迅速に行え得る鮮度評価装置及び鮮度評価方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による鮮度評価システムの全体構成を示す概略図である。
【図2】透明度の高い魚介類に対して近赤外光が照射されたときの散乱光の様子を示す概略図である。
【図3】被検体に照射される照射光の種類を代えたときに生成される縞パターン像を示す写真である。
【図4】鮮度評価装置の回路構成を示すブロック図である。
【図5】被検体として乳白色アクリル板を用いたときの縞パターン画像の様子を示す写真である。
【図6】光強度分布データを示すグラフである。
【図7】被検体としてイカを用いたときの縞パターン画像を示す写真である。
【図8】絞りを調整したときの縞パターン画像の変化の様子を示す写真である。
【図9】経過時間の光強度の相違について示すグラフである。
【図10】絞りを調整する必要がある場合の各経過時間における光強度の値の計算方法を示す概略図である。
【図11】経過時間とコントラスト値との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面に基づいて、本発明の実施の形態を詳述する。
【0018】
(1)鮮度評価システムの全体構成
図1において、1は鮮度評価システムを示し、この鮮度評価システム1は、光源5から発する近赤外光L1を振幅格子6、絞り7及び投影レンズ8を順次介して被検体9に照射する照射部2と、近赤外光L1が被検体9に照射されることにより被検体9上に生成された縞パターン像を撮像する撮像部3と、この撮像部3で撮像された撮像データに基づいて鮮度を数値化する鮮度評価装置4とから構成されている。
【0019】
この鮮度評価システム1は、鮮度の評価を行う被検体9として、時間が経過するに従って表面の濁度が変化する例えばイカ等の魚介類が用いられ、これら魚介類の鮮度を鮮度評価装置4によって数値化し得るようになされている。
【0020】
実際上、この鮮度評価システム1は、照射部2が被検体9の斜め方向に設置されており、被検体9に対して斜め方向から近赤外光L1を照射し得るようになされている。このとき照射部2は、光源5から発する近赤外光L1を振幅格子6に向けて照射し、必要に応じて光強度を絞り7により調整した後、振幅格子6の影を投影レンズ8を用いて被検体9に投影することで被検体9上に縞パターン像を生成させ得る。
【0021】
この実施の形態の場合、振幅格子6は、被検体9に対して平行に配置されており、光源5からの近赤外光L1を透過させ、直線状に延びた照射明部と照射暗部とが順次交互に隣接した縞パターン状の照射光を被検体9に対して照射し得る。これにより振幅格子6は、直線状に延びた被検体明部と被検体暗部とが順次交互に隣接した縞パターン像を被検体9に生成し得るようになされている。また、この振幅格子6は、直線状の照射明部を形成する明領域形成部と、直線状の照射暗部を形成する暗領域形成部との長手方向に沿って近赤外光L1が照射されるように配置され、被検体9において光強度分布の不均一さが生じることを防止し得るようになされている。
【0022】
撮像部3は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラからなり、被検体9の正面に設置されており、近赤外光L1が照射されることにより被検体9が作り出す縞パターン像からの散乱光L2を撮像し得るようになされている。
【0023】
鮮度評価装置4は、撮像部3に電気的に接続されており、撮像部3により得られた撮像データを受け取り、当該撮像データに鮮度評価処理を施すことにより被検体9の鮮度を数値化し得るようになされている。
【0024】
(2)鮮度評価処理について
ここでは、先ず始めに、鮮度評価処理に利用される原理について以下説明する。ここで被検体9に用いる魚介類10, 11は、捕獲後から時間が経過して鮮度が低くなると、魚肉の濁度が高くなることが経験的に知られている。このような魚肉の濁度の増加は、魚肉内部における散乱体12, 13による光の散乱が増加するために発生し得る。
【0025】
すなわち、捕獲後からあまり時間が経過しておらず魚介類10の鮮度が高い場合には、図2(a)に示すように、魚介類10内部の散乱体12によって照射光が散乱した散乱光L2が少なく、魚介類10の濁度が低い状態にある。一方、捕獲後から長い時間が経過して魚介類11の鮮度が低い場合には、図2(b)に示すように、魚介類11内部の散乱体13によって照射光が散乱した散乱光L3が、鮮度が高い魚介類10のときに生じる散乱光L2と比較して多くなり、魚介類11の濁度が高い状態になる。
【0026】
ここで、本発明による鮮度評価システム1では、振幅格子6を通過させて縞パターン状に形成された近赤外光L1が被検体9に斜め方向から照射されており、図2(a)及び(b)に示すように、被検体明部14b, 15bと被検体暗部14a, 15aとを有する縞パターン像を生成する。因みに、図1に示すように、近赤外光L1は、被検体9に対して斜め方向から照射されるが、説明の便宜上、図2(a)及び(b)では、被検体9である魚介類10, 11の正面から近赤外光L1が照射されているかのように示している。
【0027】
ここで、鮮度評価システム1では、振幅格子6によって被検体明部と被検体暗部とを有する縞パターン像が被検体9に生成されることから、図2(a)に示すように、被検体明部14bにおける近赤外光L1の光強度が被検体暗部14aにおける近赤外光L1の光強度よりもそれぞれ強いため、被検体暗部14aの散乱体12で散乱される散乱光L2の暗い部分と比較して、被検体明部14bの散乱体12で散乱される散乱光L2の明るい部分の光強度が増加する。そして、鮮度評価システム1は、魚介類10内の散乱体12により近赤外光L1が様々な方向に散乱し、これにより魚介類10で発生した被検体明部14bと被検体暗部14aとを有する縞パターン像を、魚介類10の正面から撮像部3により撮像し得るようになされている。
【0028】
ここで、鮮度が高い場合には、図2(a)に示すように、魚介類10内部の散乱体12によって照射光が散乱する散乱光L2が少ないことから、鮮度が低いときに比べて、魚介類10で発生した縞パターン像の被検体明部14bと被検体暗部14aとがともに暗くなり、光強度が低くなる。これに対して鮮度が低い場合には、図2(b)に示すように、魚介類11内部の散乱体13によって照射光が散乱する散乱光L3が多いことから、鮮度が高いときに比べて、魚介類11で発生した縞パターン像の被検体明部15bと被検体暗部15aとがともに明るくなり、光強度が高くなる。
【0029】
次に、光源5から照射される近赤外光L1について以下説明する。ここで近赤外光L1とは、約700〜2500[nm]の可視光の赤色に近い電磁波であり、人間の目では見ることができないが、可視光に近いことから可視光と似た性質を有しており、可視光とほぼ同様に取り扱うことができる。可視光と近赤外光L1との主に異なる点は、例えば、近赤外光L1が皮膚などへの浸透深度で数[mm]を有する点である。
【0030】
可視光と近赤外光L1では、浸透深度を有する点で相違することから、例えば被検体9としてイカを用いた場合、イカの表面の同じ箇所で、光源5からの光の波長を可視光から近赤外光領域に変化させて撮像部3により撮像すると、図3(a)〜(c)に示すような画像が得られた。
【0031】
図3(a)は、可視光域の波長を有する光を振幅格子6に向けて照射することで得られるイカの表面の画像であり、図3(b)は695[nm]の波長を有する光を振幅格子6に向けて照射することで得られるイカの表皮の画像であり、図3(c)は850[nm]の波長を有する光を振幅格子6に向けて照射することで得られるイカの表面の画像である。
【0032】
これらの画像から、光源5の波長が可視光から近赤外光L1へ長くなるにつれて、イカの同じ箇所を撮像したにもかかわらず、明らかに黒く写った斑点が減少していることが分かった。この黒い斑点はイカの表皮に存在している。従って、光源5に可視光を用いた場合には、図2(a)に示すように、可視光がイカの内部に浸透せず表皮で散乱し、その結果、イカの表皮の黒い斑点が多数撮像され得る。
【0033】
しかしながら、図3(b)及び(c)に示すように、撮像に使用した光の波長を長くした場合には、近赤外光L1に近づくにつれて、イカの表皮の小さな黒い斑点が大幅に減少し、仮に大きな斑点があったときでも当該斑点が薄くなり、撮像部3により撮像した際に当該斑点が殆ど見えなくなっている。
【0034】
これは、近赤外光L1が上述したように数[mm]の浸透深度を有することにより、イカの内部で散乱された散乱光L2, L3が、イカの表皮からの散乱光よりも撮像部3であるCCDカメラにより多く撮像されたことにより、イカの表皮の黒い斑点で散乱される光が大幅に減少しているためである。
【0035】
そのため、本発明における鮮度評価システム1では、近赤外光L1を被検体9へ照射することにより、被検体9の表面に斑点等が形成されていても、当該斑点等の影響をできる限り抑えることができ、それにより、一段と正確に被検体9の鮮度を評価することができる。
【0036】
鮮度評価システム1では、撮像部3により撮像された被検体9の縞パターン画像が撮像データとして鮮度評価装置4に送出され、当該鮮度評価装置4において撮像データに対して鮮度評価処理が施されることにより、被検体9の鮮度を数値化したコントラスト値C(後述する)を算出し得るようになされている。
【0037】
実際上、鮮度評価装置4は、図4に示すように、撮像部3から送出される撮像データを取得する取得部20と、撮像データをビットマップ画像データに変換した後、当該ビットマップ画像データにより生成されたビットマップ画像の各ピクセルの光強度の値(光強度値)を検出する画像解析部21と、ビットマップ画像や鮮度評価に必要な各種情報(コントラスト値C)を表示する表示部22と、ビットマップ画像における各ピクセルの光強度値に基づいてコントラスト値Cを算出する算出部23と、各種情報を設定可能な操作部24と、撮像データやビットマップ画像データ等の種々のデータを記憶するデータベース25とがバスを介して制御部26に接続された構成を有する。
【0038】
ここで制御部26は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Processing)、ROM(Read Only Memory)等で構成されており、ROMに格納された基本プログラム及び鮮度評価処理プログラム等の各種プログラムを、各種命令に応じて適宜RAMに読み出すことにより所定の処理を実行し、各種機能を統括的に制御し得るようになされている。
【0039】
ここでは、先ず始めに被検体9として乳白色アクリル板を用いてコントラスト値Cの算出方法を説明する。被検体9としてアクリル板を用いた場合には、当該アクリル板に近赤外光L1が照射されると、撮像部3において、図5に示すような縞パターン画像100が得られる。
【0040】
制御部26は、取得部20を介して撮像部3から撮像データを受け取ると、これをデータベース25に記憶する。次いで制御部26は、鮮度評価処理を施す撮像データをデータベース25から読み出した後、撮像データの光強度を数値化させるために、画像解析部21により撮像データをビットマップ画像データに変換し、当該ビットマップ画像データに基づく縞パターン画像を表示部22に表示する。
【0041】
ここで表示部22に表示される縞パターン画像は、y方向に長手方向を有する直線状の明部と暗部とが、y方向と直交するx方向に向けて順次交互に隣接して配置され得る。
【0042】
次いで、制御部26は、縞パターン画像において順次交互に隣接した明部D1、暗部B1、明部D2、暗部B2…の中から、隣接する明部D1と暗部B1の一対の組G1と、隣接する明部D2と暗部B2の一対の組G2、隣接する明部D3と暗部B3の一対の組G3と、隣接する明部D4と暗部B4の一対の組G4と、隣接する明部D5と暗部B5の一対の組G5の連続する5組(組G1,組G2,組G3,組G4,組G5)を選択する。
【0043】
因みに、この実施の形態の場合、隣接する明部と暗部からなる連続する5組を縞パターン画像の中から選択する場合について述べるが、本発明はこれに限らず、隣接する明部D1と暗部からなる連続する2組、3組、或いは6組等この他種々の所定数の組を縞パターン画像の中から選択してもよい。
【0044】
次いで、算出部23は、y方向において任意に選択された所定位置y1における連続した5組(組G1,組G2,組G3,組G4,組G5)の領域での光強度の分布を表した光強度分布データを生成し、これをデータベース25に記憶する。実際上、図6に示すように、この光強度分布データは、連続する5組(組G1,組G2,組G3,組G4,組G5)において、各明部B1〜B5で光強度が最も高い山部を有し、暗部D1〜D5で光強度が最も低い谷部を有する。なお、図6においては、説明の便宜上、所定位置y1において連続した3組(組G1,組G2,組G3)の明部B1〜B3及び暗部D1〜D3での光強度の推移を表している。
【0045】
算出部23は、光強度分布データから、各明部B1〜B5の山部における最大光強度I1max〜I5maxを検出すると共に、暗部D1〜D5の谷部における最小光強度I1min〜I5minを検出する。次いで、算出部23は、組G1における明部D1の最大光強度I1maxと暗部B1の最小光強度I1minとの光強度差d1と、組G2における明部D2の最大光強度I2maxと暗部B2の最小光強度I2minとの光強度差d2と、組G3における明部D3の最大光強度I3maxと暗部B3の最小光強度I3minとの光強度差d3と、組G4における明部D4の最大光強度I4maxと暗部B4の最小光強度I4minとの光強度差d4と、組G5における明部D5の最大光強度I5maxと暗部B5の最小光強度I5minとの光強度差d5とをそれぞれ算出する。
【0046】
次いで、算出部23は、これら組G1,組G2,組G3,組G4,組G5における光強度差d1〜d5の平均値をコントラスト値Cとして算出し得るようになされている。このコントラスト値Cは、縞パターン画像での明暗の差(コントラスト)が強いときほど値が大きくなり、一方、縞パターン画像での明暗の差(コントラスト)が弱いほど値が小さくなる。
【0047】
従って、上述したように被検体9として時間経過に従って濁度が生じる魚介類を用いた場合には、捕獲後からあまり時間が経過しておらず濁度が低い魚介類を基に算出されたコントラスト値Cが、捕獲後から長時間経過して濁度が高い魚介類を基に算出されたコントラスト値Cよりも低い数値が得られる。従って、鮮度評価装置4は、魚介類に基づいて算出されたコントラスト値Cを目安として魚介類の鮮度を判定し得るようになされている。
【0048】
ここでこの実施の形態の場合、算出部23は、複数の光強度差d1〜d5の平均値をコントラスト値Cとして算出し、このコントラスト値Cを基に被検体9の鮮度を評価し得るようにしたことにより、例えば明部D1と暗部B1の組G1のみから算出した光強度差d1のみで被検体9の鮮度の評価する場合に比べて、被検体9の全体的な鮮度評価を一段と正確に行え得るようになされている。また、コントラスト値Cは、複数の光強度差として5つの光強度差d1〜d5から算出している。これは、光強度差を5つよりもさらに多くしても、これら光強度差から算出されたコントラスト値Cが、5つの光強度差d1〜d5から算出したコントラスト値Cとほとんど変化がなかったためである。
【0049】
(3)鮮度評価の検証
次に、上述のアクリル板に替えて被検体9として透明度の高い魚介類であるイカを実際に用い、上述したコントラスト値Cを基にイカの鮮度評価を行った。実際上、この鮮度評価システム1では、光源5として出力150[W]のハロゲンファイバー光源(Stocker&Yale製の#20)を用いた。また、この光源5から近赤外光線の波長も出ているため,透過限界波長域が異なる2種類のシャープカットフィルタ(695[nm],850[nm])を用いて可視光を遮断することで、近赤外光L1を得た。
【0050】
さらに、振幅格子6としては、エドモンドオプティクス社取り扱いのロンキールーリングを用いた。これは、ガラスの表面に黒色の平行線を規則正しく等間隔でクロム蒸着したものであり、大きさが25×25[mm]、空間周波数が50本[本ペア/インチ]である。
【0051】
また、この鮮度評価システム1では、絞り7と投影レンズ8として、両者が一体となっている印画紙用の引き伸ばしレンズであるフジノンEX(富士写真光機製)を用いていた。これは、焦点距離50[mm]で、開口1:2.8となっている。撮像部3としては、近赤外領域でも感度を有するモノクロCCDカメラ(ソニー製のXC-EI50)を用いた。
【0052】
この場合、照射部2から近赤外光L1をイカに照射し、このときのイカの表面を撮像部3で撮像した。これにより、図7に示すような縞パターン画像101が得られた。図7に示すように、この縞パターン画像は、順次交互に隣接した明部D1s、暗部B1s、明部D2s、暗部B2s…が形成されていることが確認できた。次に、表皮を剥いたイカを用意し、捕獲後から5時間、11時間、16時間、24時間、29時間、35時間経過したときのイカの縞パターン画像について検証した。このとき、絞り7の絞り値をF2.8に設定した。これにより図8(a)に示すような結果が得られた。
【0053】
ここで、イカは、鮮度が高いとき、内部の散乱体によって照射光が散乱する散乱光が少なく濁度が低い状態にあり、鮮度が低いとき、内部の散乱体によって照射光が散乱する散乱光が多くなり濁度が高い状態になる。従って、捕獲後から5時間経過した比較的鮮度が高いイカを撮像した縞パターン画像では、照射光がイカを透過してしまい、縞パターン画像全体が黒く撮像された。
【0054】
その後、11時間、16時間経過したときには、徐々にイカの内部からの散乱光が増加したために、縞パターン画像における明部と暗部とが明瞭に現れていることが確認できた。
【0055】
ところが、24時間経過時に撮像された縞パターン画像では、縞パターン画像全体が白く飽和してしおり、振幅格子の影である暗部が撮像されてないことが確認できた。そこで、照射部の絞りを一段絞って絞り値をF5.6に設定しところ、図8(b)に示すような縞パターン画像が得られた。
【0056】
図8(b)に示すように、24時間経過時の縞パターン画像は、図8(a)の縞パターン画像に比べて明部と暗部とが明瞭に現れた。また、29時間経過時の縞パターン画像及び35時間経過時の縞パターン画像は、図8(a)に示した縞パターン画像と比較して明部と暗部とが明瞭となっているが、未だ白く飽和した箇所があった。
【0057】
そこで、照射部2の絞り7をさらに一段絞って絞り値をF8に設定し、29時間及び35時間経過時に撮像した縞パターン画像を確認した。その結果、図8(c)に示すような縞パターン画像が得られた。図8(c)に示すように、29時間経過時の縞パターン画像及び35時間経過時の縞パターン画像は、図8(a)の縞パターン画像に比べて明部と暗部とが明瞭に現れた。
【0058】
これらのことから、イカのような鮮度によって濁度が大きく変化する被検体9の鮮度評価を行う場合には、照射部2の絞り7を適宜変更して最適な縞パターン画像が得られるように調整する必要があることが分かった。
【0059】
なお、本実施の形態では、CCDカメラ(ソニー製のXC-EI50)を用いているが、当該CCDカメラのダイナミックレンジよりも広いダイナミックレンジを有するCCDカメラを用いれば、撮像時において絞り7を変更することなく、一定の絞りで縞パターン画像を撮像することが可能である。
【0060】
次いで、これらの図8(a)〜(c)の縞パターン画像から、各経過時間におけるイカの縞パターン画像の光強度分布がどのようになっている否かを確認した。ここでは、各経過時間毎に得られた縞パターン画像について、明部及び暗部の長手方向と直行する方向に沿った所定位置での明部及び暗部の光強度の移り変わりを調べた。そして、これら図8(a)〜(c)に示した縞パターン画像から得られた光強度分布について纏めたところ、図9に示すような結果が得られた。
【0061】
図9に示す5時間経過時での光強度分布、11時間経過時での光強度分布、及び16時間経過時での光強度分布は、絞り値をF2.8に設定したときの5時間経過時での縞パターン画像、11時間経過時での縞パターン画像及び16時間経過時での縞パターン画像(図8(a))を、それぞれ縦方向に沿って量子化し、その明部及び暗部の推移を階調で表したものである。
【0062】
ここで、図8(a)に示すように絞り値をF2.8にした場合は、24時間経過時の縞パターン画像、29時間経過時の縞パターン画像、及び35時間経過時の縞パターン画像では、CCDカメラのダイナミックレンジを超えて画像が明るくなり過ぎており、縞パターン状の明暗が現れていなかった。これは、本実験で使用したCCDカメラの階調(0〜255)の最大値を超えてしまったためである。
【0063】
そこで、図9では、CCDカメラで得られる画像が明るくなり過ぎた24時間経過時の縞パターン画像、29時間経過時の縞パターン画像、及び35時間経過時の縞パターン画像に対して、後述する外挿処理を実行して、縞パターン状の明部及び暗部の光強度の移り変わりを仮想的に算出した。具体的には、以下のような外挿処理を用いて仮想光強度分布データを算出した。
【0064】
先ず、16時間経過時の縞パターン画像は、絞り値をF2.8に設定して撮像するだけでなく、例えば当該F2.8よりも一段階閉じた絞り値(この場合、絞り値F5.6)にも設定して撮像する(図10中に示す(a)参照)。このとき、絞り値をF5.6として撮像した16時間経過時の縞パターン画像では、絞り値をF2.8として撮像した16時間経過時の縞パターン画像に比べて、光源5からの光量の減少により、各位置における光強度が減少している。ここで、絞り値をF5.6に設定して測定した縞パターン画像の光強度と、絞り値をF2.8に設定して測定した縞パターン画像の光強度との比を増幅率(以下、第1の増幅率と呼ぶ)とする(図10中に示す(d)参照)。
【0065】
次いで、24時間後の縞パターン画像は、縞パターン状の明暗が観察できるよう絞り値をF5.6に設定して撮像する(図10中に示す(b)参照)。このとき、24時間後の縞パターン画像では、絞り値をF5.6に設定して撮像されていることから、光源5からの光量の減少により、被検体9からの散乱光L2, L3の光量も減少し、光強度がCCDカメラの階調(0〜255)の範囲に収まり、縞パターン状の明暗が撮像される。
【0066】
そして、この外挿処理では、絞り値F5.6のときの縞パターン画像の光強度(図10中に示す(c)参照)について着目し、F5.6に設定して撮像された縞パターン画像から求められる光強度を、前述の第1の増幅率で増幅させ、F2.8における光強度を推定する(図10中に示す(e)参照)
すなわち、この第1の増幅率を、絞り値F5.6のときの光強度に対して乗算することにより、絞り値F2.8のときの光強度の値で表すことができる。
【0067】
また、35時間経過時の縞パターン画像では、絞り値F5.6のとき、図8(a)に示すように、縞パターン状の明部及び暗部の一部が明確に撮像できていない。そこで、図9では、35時間経過時の縞パターン画像についても、上述した外挿処理の原理を利用して以下のようにして光強度を求める。
【0068】
先ず、絞り値をF5.6とF8とに設定して29時間経過時の縞パターン画像をそれぞれ撮像する。また、縞パターン状の明暗が観察できるよう絞り値をF8に設定して35時間後の縞パターン画像を撮像する。ここで、絞り値をF8に設定して測定した縞パターン画像の光強度と、絞り値をF5.6に設定して測定した縞パターン画像の光強度との比を増幅率(以下、第2の増幅率と呼ぶ)とする。そして、この外挿処理では、F8に設定して撮像された縞パターン画像から求められる光強度を第2の増幅率で増幅させ、更に、前述の第1の増幅率を乗じて、当該F8における光強度から、F2.8における光強度を推定する。
【0069】
以上の説明から、図9に示すように、イカについては、捕獲後から時間が経過するに従って明部及び暗部の差が大きくなることが確認できた。
【0070】
次に、図9に示した各経過時間の光強度に基づき、各経過時間におけるコントラスト値Cを算出し、これを時系列にプロットしたことで、図11に示すようなグラフが得られた。コントラスト値Cは、図11のグラフから時間の経過とともに上昇することが確認できた。
【0071】
以上、被検体9としてイカを用いた検証試験では、イカの鮮度低下にともなう濁度の上昇に基づいて変化するコントラスト値Cの大小を基に、イカの鮮度の評価を行えることが確認できた。
【0072】
(4)動作及び効果
以上の構成において、鮮度評価装置4では、光源5からの近赤外光L1が振幅格子6を透過して被検体9に照射され、当該被検体9に生成された被検体明部及び被検体暗部からなる縞パターン像を撮像した撮像データを撮像部3から取得する。また、鮮度評価装置4では、撮像データをビットマップ画像データに変換することにより、撮像データにより生成される縞パターン画像の光強度を数値化する。
【0073】
鮮度評価装置4では、縞パターン画像における隣接する明部と暗部からなる連続する5組の組G1,組G2,組G3,組G4,組G5において、明部及び暗部の長手方向と直行するy方向に沿って所定位置y1での明部D1、暗部B1、明部D2、暗部B2…の光強度の移り変わりを光強度分布データとして取得し、当該光強度分布データから各明部B1〜B5の最大光強度I1max〜I5maxと、暗部D1〜D5の最小光強度I1min〜I5minとを検出する。
【0074】
鮮度評価装置4では、各組G1,組G2,組G3,組G4,組G5毎に明部の最大光強度I1max〜I5maxと暗部の最小光強度I1min〜I5minとの光強度差d1〜d5を算出し、これら光強度差d1〜d5の平均値を算出することにより、縞パターン画像での明暗の差(コントラスト)が強いときほど値が大きく、縞パターン画像での明暗の差(コントラスト)が弱いほど値が小さくなるコントラスト値Cを算出できる。
【0075】
これにより鮮度評価装置4では、被検体9として時間経過に従って濁度が生じる魚介類を用いることで、鮮度が良く濁度が低い魚介類を基に算出されたコントラスト値Cが、鮮度が悪く濁度が高い魚介類を基に算出されたコントラスト値Cよりも低くなることから、当該コントラスト値Cを目安として魚介類の鮮度を判定できる。
【0076】
したがって、鮮度評価装置4では、視覚などによる熟練者の官能評価の主観的な鮮度評価ではなく、撮像した被検体9の縞パターン画像を鮮度評価処理によって鮮度を数値化したコントラスト値Cによって客観的な鮮度評価を行うことができる。
【0077】
また、この鮮度評価装置4では、被検体9に対して単に近赤外光L1を照射し、これにより得られた縞パターン画像に対して所定の演算処理を実行することで得られるコントラスト値Cを用いて鮮度の評価を行うことから、従来にあるような化学反応を利用したK値による鮮度評価と異なり、例えば被検体9に対して試料を滴下したり、或いは被検体9と発色媒体とを透明容器中に封入して発色媒体の化学変化を起こさせる等の作業が不要になり、その分だけ鮮度評価を行う際の手間を軽減でき、容易に被検体9の鮮度評価を行うことができる
さらに、この鮮度評価装置4では、被検体9に照射した近赤外光L1が生成する縞パターン画像を撮像することで鮮度評価を行うことができるため、化学反応が安定するまでに時間が掛かかる従来のK値を用いた鮮度評価に比べて、化学反応の待ち時間を有しない分だけ被検体9の鮮度評価を迅速に行うことができる。かくして、この鮮度評価装置4では、被検体9の客観的な鮮度評価を従来に比べて容易かつ迅速に行い得る。
【0078】
また、これに加えて、この鮮度評価装置4では、被検体9の縞パターン画像の明部と暗部からなる連続する5組を選択し各組の光強度差を平均したコントラスト値Cを用いているため、鮮度評価の結果にバラツキが発生することを防止できる。
【0079】
(5)他の実施の形態
本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば上述した実施の形態においては、コントラスト値Cの変化に基づいて被検体9の鮮度を判断するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図11に示したコントラスト値C及び経過時間の関係を表したデータを予めデータベース25に記憶しておき、被検体9に対して近赤外光L1を照射して得られた縞パターン画像を基にコントラスト値Cを算出し、特定部としての制御部26はこのコントラスト値Cから対応する経過時間を、図11に示したデータから読み出して特定するようにしてもよい。この場合、被検体9の鮮度の評価を、単なるコントラスト値Cで表すことなく経過時間として表すことができる。
【0080】
また、上述した実施の形態においては、被検体としてイカを用いた場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、捕獲時に透明度が高くその後時間経過とともに濁度が高くなる魚介類に対しても用いることができる。
【0081】
また、上述した実施の形態においては、被検体9の照射する照射光として、近赤外光L1を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、被検体9に対し振幅格子6を介して照射光を照射したときに、当該被検体9の状態に応じて明部及び暗部の差(コントラスト)が変化する縞パターン画像が得られれば、可視光などこの他種々の照射光を適用してもよい。
【0082】
さらに、上述した実施の形態においては、コントラスト値を算出する際、隣接する明部と暗部からなる組の中から連続する任意の5組を選択するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、コントラスト値を算出する際、隣接する明部と暗部からなる組の中から間隔を空けて複数の組を任意に選択するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
4 鮮度評価装置
20 取得部
21 画像解析部
23 算出部
25 データベース
26 制御部(特定部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射明部及び照射暗部が順次交互に配置された縞パターン状の照射光が被検体に照射され、前記照射明部及び前記照射暗部が前記被検体で散乱して前記被検体に生成された被検体明部及び被検体暗部からなる縞パターン像を撮像した撮像データを取得する取得部と、
前記撮像データに基づいて前記縞パターン像の縞パターン画像を生成し、前記縞パターン画像の所定位置で連続する明部及び暗部の光強度を検出する画像解析部と、
前記光強度のうち隣接する前記明部と前記暗部とを一対の組とし、複数の前記組における前記明部の最大光強度と前記暗部の最小光強度との光強度差をそれぞれ算出し、複数の前記光強度差を平均したコントラスト値を算出する算出部と
を備えることを特徴とする鮮度評価装置。
【請求項2】
前記照射光は、近赤外光である
ことを特徴とする請求項1記載の鮮度評価装置
【請求項3】
前記被検体は透明度の高い魚介類であり、
所定の前記魚介類に関する前記コントラスト値に対して、該魚介類を捕獲した後からの経過時間が対応付けられたデータが予め記憶されたデータベースと、
前記算出部により前記コントラスト値が算出されると、該コントラスト値に対応付けられた前記経過時間を前記データに基づいて特定する特定部と
を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の鮮度評価装置。
【請求項4】
照射明部及び照射暗部が順次交互に配置された縞パターン状の照射光が被検体に照射され、前記照射明部及び前記照射暗部が前記被検体で散乱して前記被検体に生成された被検体明部及び被検体暗部からなる縞パターン像を撮像した撮像データを取得する取得ステップと、
前記撮像データに基づいて前記縞パターン像の縞パターン画像を生成し、前記縞パターン画像の所定位置で連続する明部及び暗部の光強度を検出する画像解析ステップと、
前記光強度のうち隣接する前記明部と前記暗部とを一対の組とし、複数の前記組における前記明部の最大光強度と前記暗部の最小光強度との光強度差をそれぞれ算出し、複数の前記光強度差を平均したコントラスト値を算出する算出ステップと
を備えることを特徴とする鮮度評価方法。
【請求項5】
前記照射光は、近赤外光である
ことを特徴とする請求項4記載の鮮度評価方法
【請求項6】
前記被検体は透明度の高い魚介類であり、
所定の前記魚介類に関する前記コントラスト値に対して、該魚介類を捕獲した後からの経過時間が対応付けられたデータを基に、前記算出部により算出した前記コントラスト値に対応付けられた前記経過時間を、特定部によって特定する特定ステップを備える
ことを特徴とする請求項4又は5記載の鮮度評価方法。
【請求項1】
照射明部及び照射暗部が順次交互に配置された縞パターン状の照射光が被検体に照射され、前記照射明部及び前記照射暗部が前記被検体で散乱して前記被検体に生成された被検体明部及び被検体暗部からなる縞パターン像を撮像した撮像データを取得する取得部と、
前記撮像データに基づいて前記縞パターン像の縞パターン画像を生成し、前記縞パターン画像の所定位置で連続する明部及び暗部の光強度を検出する画像解析部と、
前記光強度のうち隣接する前記明部と前記暗部とを一対の組とし、複数の前記組における前記明部の最大光強度と前記暗部の最小光強度との光強度差をそれぞれ算出し、複数の前記光強度差を平均したコントラスト値を算出する算出部と
を備えることを特徴とする鮮度評価装置。
【請求項2】
前記照射光は、近赤外光である
ことを特徴とする請求項1記載の鮮度評価装置
【請求項3】
前記被検体は透明度の高い魚介類であり、
所定の前記魚介類に関する前記コントラスト値に対して、該魚介類を捕獲した後からの経過時間が対応付けられたデータが予め記憶されたデータベースと、
前記算出部により前記コントラスト値が算出されると、該コントラスト値に対応付けられた前記経過時間を前記データに基づいて特定する特定部と
を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の鮮度評価装置。
【請求項4】
照射明部及び照射暗部が順次交互に配置された縞パターン状の照射光が被検体に照射され、前記照射明部及び前記照射暗部が前記被検体で散乱して前記被検体に生成された被検体明部及び被検体暗部からなる縞パターン像を撮像した撮像データを取得する取得ステップと、
前記撮像データに基づいて前記縞パターン像の縞パターン画像を生成し、前記縞パターン画像の所定位置で連続する明部及び暗部の光強度を検出する画像解析ステップと、
前記光強度のうち隣接する前記明部と前記暗部とを一対の組とし、複数の前記組における前記明部の最大光強度と前記暗部の最小光強度との光強度差をそれぞれ算出し、複数の前記光強度差を平均したコントラスト値を算出する算出ステップと
を備えることを特徴とする鮮度評価方法。
【請求項5】
前記照射光は、近赤外光である
ことを特徴とする請求項4記載の鮮度評価方法
【請求項6】
前記被検体は透明度の高い魚介類であり、
所定の前記魚介類に関する前記コントラスト値に対して、該魚介類を捕獲した後からの経過時間が対応付けられたデータを基に、前記算出部により算出した前記コントラスト値に対応付けられた前記経過時間を、特定部によって特定する特定ステップを備える
ことを特徴とする請求項4又は5記載の鮮度評価方法。
【図1】
【図2】
【図4】
【図9】
【図10】
【図11】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図4】
【図9】
【図10】
【図11】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2010−286262(P2010−286262A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138196(P2009−138196)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り [刊行物名] 平成20年度 機械・電子システム工学専攻特別研究中間発表会講演論文集 [発行所] 木更津工業高等専門学校 専攻科 機械・電子システム工学専攻 [発行日] 平成20年12月18日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、文部科学省、地域科学技術振興事業委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【出願人】(000173511)財団法人函館地域産業振興財団 (32)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り [刊行物名] 平成20年度 機械・電子システム工学専攻特別研究中間発表会講演論文集 [発行所] 木更津工業高等専門学校 専攻科 機械・電子システム工学専攻 [発行日] 平成20年12月18日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、文部科学省、地域科学技術振興事業委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【出願人】(000173511)財団法人函館地域産業振興財団 (32)
【Fターム(参考)】
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