説明

鳥害防止装置

【課題】この発明は、大型鳥類を電撃により撃退することを目的としたものである。
【解決手段】この発明は、絶縁体からなる芯棒に沿ってプラス側導電体及びマイナス側導電体を対向配置してなる掴み棒であって、支柱への取付具を備えたことを特徴とする鳥害防止装置により目的を達成した。前記構成にすることにより、大型鳥類の止り木としての役目を安定、確実に果し得ると共に、電線のように撓んだり、風にゆれるおそれはないので、安心して止まることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、大型鳥類(例えば烏、椋鳥)を電撃により撃退することを目的とした鳥害防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より雀、椋鳥、烏、鳩、ヒヨドリのような鳥類が水田、畑、果樹園に侵入し、農作物を食い荒らす鳥害を防御する目的で鳥獣防護用の電線に関する発明考案が提案されている。
【特許文献1】特開2000−106811号公報
【特許文献2】実用新案登録第3012207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来の電線は、雀又は鳩などのような比較的小型の鳥について考えられており、大型の烏、椋鳥については適切な電線の提案がなかった。そこで大型の鳥について、前記雀等と同一の電線を使用すると、電線の撓みが大きくなる為に鳥が止まらず、又は止まる確率が小さくなって、大型鳥の撃退効率が不十分になり、又は撃退効率が著しく低下する問題点があった。
【0004】
前記大型鳥が止まらなくなる理由は、電線の撓みが大きくなって止まりにくくなったり、電線が破断するおそれもあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
然るにこの発明は、烏、椋鳥などの大型鳥が止まっても、十分の強度を有して、設置時の型体を保ち、かつ安心感のある掴み棒を支持させることにより前記従来の問題点を解決したのである。
【0006】
即ちこの発明は、絶縁体からなる芯棒に沿ってプラス側導電体及びマイナス側導電体を対向配置してなる掴み棒であって、支柱への取付具を備えたことを特徴とする鳥害防止装置であり、絶縁体からなる芯棒に沿ってプラス側導電体及びマイナス側導電体を対向配置してなる掴み棒を構成し、その両端に絶縁キャップを嵌着すると共に、前記掴み棒の中央部に支柱への取付具を連結したことを特徴とする鳥害防止装置である。
【0007】
この発明における芯棒は、大型鳥(例えば烏)が数匹一度に止まっても、撓むことなく、所期の目的を達成することができる。
【0008】
また電線ではないので、撓むおそれなく、烏などが飛来した際に畑(又は田)に直立させてあるので、その高さを大型鳥の好む高さにすると共に、作物の最高位から更に若干高く保つことによって烏などの飛来効率を高め、結果的に撃退効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、大型鳥が止まり易く、変形しにくいと共に、破断又は変形するおそれがなく、任意の場所に設置することができるので、設置が容易になる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明は、絶縁体からなる芯棒の長手方向に沿って、板状のプラス側導電体を平行に固定し、両端に、夫々絶縁キャップを嵌着する。前記芯棒に、スペーサーを介して取付具を固定し、この発明のT字形鳥害防止装置ができる。この発明の鳥害防止装置は、芯棒へ二本の導電体を所定間隔、かつ並行に設置するのであるが、前記二本の導電体は大型鳥に同時に掴まれる間隔でなければならない。同時に掴まれることによって、大型鳥の足に通電し、電撃を与えることになる。
【0011】
前記電撃は、従来普通に使用されている高電圧、小電流であって、間欠的に通電するので、大型鳥類に危害を与えるおそれはないが、電撃による大きなショックは鳥類を確実に撃退し、再び近づかないようにさせることができる。
【0012】
前記は鳥類の習性を利用したものである。即ち鳥類が地上に降りるには降りるべき地上付近の比較的高い止り木などに止まり、地上をよく観察してから地上に降り立つのである。従ってこの発明の装置を一定間隔毎(例えば20m〜40m)に設置しておけば、必ず止り木として止まるので、ここで電撃を与えて撃退することにより、作物の被害を未然に防止することができる。
【実施例1】
【0013】
次に、鳥害防止装置の実施例について図1、図2を用いて説明する。この発明の鳥害防止装置34は、掴み棒35と取付具36とによって構成されている。
【0014】
掴み棒35は、絶縁体からなる芯棒37の長手方向に沿って、一側に板状のプラス側導電体38が、他側に板状のマイナス側導電体39がそれぞれリベット42によって取り付けられて構成されている。リベット42は、その先端が芯棒37の内部で開くことによって、プラス側導電体38、マイナス側導電体39を芯棒37に取り付ける。即ち、プラス側導電体38を芯棒37に取り付ける為のリベット42の先端は、芯棒37のマイナス側導電体39側には突出しておらず、同様にマイナス側導電体39を芯棒37に取り付ける為のリベット42の先端は、芯棒37のプラス側導電体38側には突出していない。このようにリベット42の先端を他側へ突出させないのは、プラス側導電体38とマイナス側導電体39との絶縁状態を保ち、また、スパークを生じさせないためである。
【0015】
プラス側導電体38にはプラス端子43が取り付けられ、マイナス側導電体39にはマイナス端子44が取り付けられている。このプラス端子43、マイナス端子44には、それぞれ高電圧を印加するリード線45、46が接続される。リード線の接続は、ちょう形ナット47、47を締め込むことよって行うので、リード線は器具を使用することなく容易に接続し、また、取り外すことができ、鳥害防止装置34の設置労力の軽減を図っている。
【0016】
芯棒37の両端は、プラス側導電体38の端部、マイナス側導電体の端部と共に、樹脂製キャップ40a、40bを嵌着してある。これにより、プラス側導電体38の端部、マイナス側導電体39の端部が、芯棒37の端部から離れ、開いた状態にならないようになっている。また、鳥害防止装置34には、数千ボルトの電圧が印加されるが、樹脂製キャップ40a、40bを嵌着することによって、プラス側導電体38の端部とマイナス側導電体39との間でのスパークの発生を防止することができる。さらに、端部が風雨に曝されることもない。
【0017】
取付具36は、金属パイプであり、掴み棒35と取付具36とは、絶縁体からなるスペーサ41a、41bを介し、T字形をなすようにほぼ直角に接合される。絶縁体からなるスペーサ41a、41bを介して接合するのは、取付具36は、金属製であり、プラス側導電体38、マイナス側導電体39には高電圧が印加されることから、プラス側導電体38、マイナス側導電体39から取付具36へスパークしないだけの間隔を確保するためである。
【0018】
このように構成された鳥害防止装置34は、図1に示すように支柱27の上端部へ取付具36を嵌装するだけで、簡単に取り付けることができるが、支柱27へ確実に固定し、また、回転しないように取り付けるために、ビス48、48で支柱27へ締め付け、固定している(図1)。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の実施例の正面図。
【図2】同じく平面図。
【符号の説明】
【0020】
34 鳥害防止装置
35 掴み棒
36 取付具
37 芯棒
38 プラス側導電体
39 マイナス側導電体
40a、40b 樹脂製キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁体からなる芯棒に沿ってプラス側導電体及びマイナス側導電体を対向配置してなる掴み棒であって、支柱への取付具を備えたことを特徴とする鳥害防止装置。
【請求項2】
絶縁体からなる芯棒に沿ってプラス側導電体及びマイナス側導電体を対向配置してなる掴み棒を構成し、その両端に絶縁キャップを嵌着すると共に、前記掴み棒の中央部に支柱への取付具を連結したことを特徴とする鳥害防止装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−42829(P2006−42829A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308442(P2005−308442)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【分割の表示】特願2001−315372(P2001−315372)の分割
【原出願日】平成13年10月12日(2001.10.12)
【出願人】(594192165)小林無線工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】