説明

鳥獣類侵入防止装置

【課題】昼夜を問わず、農耕地、農家、民家等に餌を求めて侵入しようとする鳥獣を所定の地域に近づけることなく、野山に返すこと。
【解決手段】地上を移動する動物が所定の位置に存在することを検出する動物センサS1、S2、・・・、Snと、24時間を基準とするスケジュールタイマTとによって公共放送を受信し、受信した公共放送から音声を出力する拡声音発生手段10と、動物センサS1、S2、・・・、Sn及び/またはスケジュールタイマTによって機械的な騒音を発生させる機械的騒音発生手段20とを具備し、拡声音発生手段10及び機械的騒音発生手段20からの音の発生には人間社会の音響空間を構成し、それが人の生活空間と鳥獣に認識されるから鳥獣類が近寄ることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫間近の農耕地、民家等に餌を求めて侵入してくる鳥獣類、例えば、雀、烏等の鳥類、猪、鹿、猿等の動物を近づけることなく、鳥獣を里山、山等に返すことのできる鳥獣類侵入防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
古くから、雀、烏、猪、鹿、熊、猿等の害獣が果樹園や田畑を荒らしたり家屋内等に侵入したりすることを防止し、農作物や人体等の被害から守る鳥獣類侵入防止装置として、害獣の侵入防止用電気柵が周知である。害獣の侵入防止用電気柵として、例えば、特許文献1の技術を挙げることができる。
特許文献1は、高電圧パルス電流による電気ショックとともに、この高電圧パルス電流の電磁波を受信して発光装置が発光または点滅し、侵入を試みる害獣を有効に追い払うことができる。また、光の発光または点滅と電気ショックとを一緒に与えることを繰り返すことにより、害獣に対して、その学習効果によって発光装置が発光または点滅するのを見るだけで電気柵に近寄らなくなる習性を持たすことができ、電気柵への害獣の接触による電気柵そのものの損壊を最小限に少なくすることができる。即ち、複数の刺激を与えることは動物行動学的にオペラント条件付けと言われ効果的な学習方法として知られているが、このオペラント条件付けを害獣に対し行うことにより、侵入を防止すべき土地が危険なものであることをより一層効率的に害獣に学習させ、害獣の接触による害獣の侵入防止用電気柵の損傷を防ぐことができる。
ところが、特許文献1の発明は、高電圧パルスを出力する必要性から、完全に絶縁状態で電圧を印加する必要があり、日頃の電気管理が必要である。したがって、ゴルフ場等の限られた専門の人が管理できるものであればよいが、一般の農家等では経済的管理及び危険性の少ない管理ができない。
【0003】
また、空港等の空間で生じる鳥獣被害は、爆発音で撃退する方法がある。例えば、特許文献2がその事例である。
特許文献2は、爆竹花火を吊着した状態において、電源スイッチを投入すれば、第1段階のヒータ組立の発熱部と爆竹花火導火線とは接触した状態となり、第1段階のヒータへの給電回路を閉成し、続いてヒータスイッチを投入し、侵入感知センサが出力を出せば第2段階を閉成してヒータ組立へ給電され、発熱し、爆竹花火導火線が燃焼落下し、ヒータ組立は自重で元の位置に戻り第1段階の条件が解除され初期状態に戻る。そして、ヒータ発熱部の冷却のために、モータ制御タイマが約30秒間作動してモータの回転を押さえている。その後、タイマが解除されてスリット円板が回転し、次の爆竹花火を受け入れて第1段階のヒータ組立の発熱部と爆竹花火導火線が接触する。
したがって、特許文献2によれば、使用者は装置本体と分離された侵入感知センサを送信電波の届く範囲に設置し、装置本体のスリット円板に爆竹花火を吊着し、本体収納容器に納め吊すだけで自動運転により侵入鳥獣を捕捉し警報音と花火爆音との複合効果で鳥獣を撃退できる。
ところが、警報音、爆発音は、発生場所が特定されており、鳥獣類は騒音として認識しているから、人が移動しながら警報音、爆発音を発生しなければ、所定の面積から鳥獣を排除することができない。特に慣れにより、警報音源、爆発音源には近寄らないが、所定の距離を離れた個所に進出してくる。また、夜間に民家の近くで警報音、爆発音を発生させることができないから、鹿、猪等の動物には効果がなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−61562
【特許文献2】特開2006−187217
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の鳥獣類侵入防止装置は、電気柵による電気ショックを与える電気柵による方法、爆発音等の予期しない威嚇音の発生による方法が主流であった。
しかし、電気柵による方法は、高電圧のパルスを出力する必要性から、高電圧の管理及び絶縁状態の管理が必要であり、ゴルフ場等の限られた専門の人が管理する地域であればよいが、一般の住宅地域、農村地域においての鳥獣類侵入防止装置としては好ましくない。特に、鳥、猿等は電気柵を避けて侵入するものについては全く機能していなかった。また、猪においても、ジャンプして電気柵を回避するものもおり、設置してもその効果は高くはなかった。
威嚇を目的とする威嚇音の発生は、1日に何拾回という威嚇音の発生を聞く動物たちにとっては、環境騒音としての認識に切り替わり、数日後には威嚇音ではなくなる。特に、警報音、爆発音等の威嚇音の発生は、広くない範囲では効果があるものの、夜間の使用が停止されることから、夜間に活動する猪、鹿等の動物には効果的な使用にはなっていないのが現状である。
【0006】
ところが、現実には、山間部にある工事現場で作業中、或いは昼間に猪、鹿、狸等の動物が現場に現れることは皆無である。山間部にある民家においても、昼間に猪、鹿、狸等の動物が現れることも皆無である。夜間においては、工事現場宿舎及び山間部の民家には、猪、鹿、狸等の動物が現れるのが普通である。これに対して、今までの威嚇等の技術では、猪、鹿、狸等の動物に人間が怖い存在であるとの恐怖感を与えようとするものに限られていた。しかし、一般に動物は身を守るため人間よりも音の感覚には鋭いものを持っている。例えば、定時にスピーカから音楽を流してもそのリズム感は猪、鹿、狸等の動物には、人為的な音楽が流されていることまで理解されてしまっている可能性が高い。また、威嚇的な爆発音も同様であり、威嚇する音との認識さえもされておらず、特定の場所で危害のない破裂音が発生するとの認識に過ぎない可能性が高い。特に、猪、鹿、狸等の野生の動物は、自らの生活空間に人間の生活空間をオーバーラップさせて生活しているものではない。人間が人間の生活空間を主張し得てないことに問題がある。
【0007】
そこで、昼夜を問わず、農耕地、農家、民家等に餌を求めて侵入しようとする鳥獣を所定の地域に近づけることなく、野山に返すことができる鳥獣類侵入防止装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明にかかる鳥獣類侵入防止装置は、動物が所定の範囲内に移動することを検出する動物センサと、24時間を基準とするスケジュールタイマによって公共放送を受信し、受信した公共放送から音声のみを出力する拡声音発生手段と、前記動物センサ及び/または前記スケジュールタイマによって機械的な騒音を発生させる機械的騒音発生手段とを具備するものである。
ここで、上記動物が所定の範囲内に移動したことを検出する動物センサとは、猪、鹿、熊、猿等の害獣の存在を検出するものであり、通常、光センサ、赤外線センサが使用される。しかし、本発明を実施する場合には、センサの種類を限定するものではない。特に、猿等は、木々から渡ってくる場合があり、それを検出してもよいが、本発明者等の実験によれば、そのような空間まで検出しなくとも、他の要件、即ち、拡声音発生手段と機械的騒音発生手段の動作によって人間の生活空間が表に出るから、鳥類と同様、獣類が近寄ってこないので、実質的に上部空間まで意味がないことが確認された。
また、上記24時間を基準とするスケジュールタイマとは、1週間、1月または6ヶ月、1年単位で運転を行うことができるものであればよい。特に、拡声音発生手段及び機械的騒音発生手段の動作させるタイミングを得るものであるから、その時間設定可能なタイマであればよい。
そして、上記拡声音発生手段は、公共放送を受信し、受信した公共放送から音声を出力するものであり、通常、前記スケジュールタイマ及び/または動物センサによって出力される。しかし、前記スケジュールタイマを中心に動作をさせ、動物が所定の範囲内に移動したことを検出する動物センサが動作した場合には、アクセントをつけた動作をさせることができる。
更に、前記機械的騒音発生手段は、前記動物センサ及び/または前記スケジュールタイマの出力によって単調な繰り返し音でない機械的な騒音を発生させるものであり、騒音レベルが騒音源から1m離れた場所で時間重み付け特性Sで60dB以上であればよい。できれば、その機械的騒音は、回転速度、衝撃等によって、複数段階の騒音レベルの出力が出せるものであるのが望ましい。
【0009】
請求項2の発明にかかる鳥獣類侵入防止装置は、更に、前記動物センサ及び/または前記スケジュールタイマによってストロボ(ストロボリサーチ社の商標)等の閃光電球(エレクトロニックフラッシュ)で発光させるものである。
この閃光電球の発光は、前記動物センサ及び/または前記スケジュールタイマによって動作状態にあることを示すもので、鳥獣に対する威嚇ではなく、付近の人に動作中を知らせるものであり、特に、前記動物センサが働いたことは、住民に動物が近くに来ていることの注意を喚起するために、それを報知するものである。勿論、閃光電球(エレクトロニックフラッシュ)の発光以外にもLED表示、白熱電球、蛍光灯の表示とすることもできる。
【0010】
請求項3の発明にかかる鳥獣類侵入防止装置の前記動物が所定の範囲内に移動したことを検出する動物センサは、獣道に配設した光センサまたは赤外線センサとしたものである。ここで、動物が所定の範囲内に移動したことを検出する動物センサとして、獣道に配設した光センサまたは赤外線センサとしたのは、電気的動作の安定性から決定したもので、他の種類のセンサとすることができる。また、獣道に設定するのは、動物センサを設置する無駄な領域をなくすもので、数少ない設置で、かつ、短距離の設置で効率のよい検出が可能となる。
【0011】
請求項4の発明にかかる鳥獣類侵入防止装置の前記24時間を基準とするスケジュールタイマは、少なくとも、時、分の設定が可能なものである。
ここで、上記スケジュールタイマは、7曜、1月または6ヶ月、1年単位で運転を行うことができるものであればよく、拡声音発生手段及び/または機械的騒音発生手段の動作させるタイミングを得るものであるから、その時間設定可能なタイマであればよい。
【0012】
請求項5の発明にかかる鳥獣類侵入防止装置の前記受信した公共放送から音声のみを出力する拡声音発生手段は、2スピーカ以上によって立体放送とするものである。
ここで、2スピーカ以上の拡声音発生手段とは、ステレオ出力によって立体音響が得られるものであり、3スピーカまたは4スピーカにより、より一層立体音響にできるものであることが望ましい。特に、立体音響によって、その音響中心を監視エリアの水平平面をスキャンすることにより、音源移動の状態を起こすものであることが望ましい。勿論、超低音を用いて、臨場感を強調することもできる。
【0013】
請求項6の発明にかかる鳥獣類侵入防止装置の前記機械的な騒音を発生させる機械的騒音発生手段は、略球状の粒状体を回転落下させることによって発声する音を直接使用するか、または増幅器を使用してその音声を出力するものである。
ここで、機械的騒音発生手段は、鳥獣に騒音源が人為的に操作されている旨を伝えるものであるから、単調音声の繰り返しによって、ダミーであることを知らせることはない。したがって、この騒音発生装置は人間の耳でも、単なる単調な音の繰り返しと判断されない音の発生が必要である。できれば、拡声器を使用することなく、機械的騒音発生手段の周囲で反射し、音声周波数の振幅の大小及び周波数の高低が場所によって変化する音響環境の発生が望ましい。
【0014】
請求項7の発明にかかる鳥獣類侵入防止装置は、更に、環境の明るさを検出する明るさセンサを設けたものである。
ここで、環境の明るさを検出する明るさセンサは、朝夕の判断によって、単純にスケジュールタイマの時限に拘束されないように補正することができる。日の出、日の入りの時間の補正を行うことができる。
【0015】
請求項8の発明にかかる鳥獣類侵入防止装置の前記機械的な騒音を発生させる機械的騒音発生手段は、前記スケジュールタイマ、前記動物センサ、明るさセンサの何れかの出力によってその出力を制御するものである。
ここで、前記機械的な騒音を発生させる機械的騒音発生手段は、前記スケジュールタイマ、地上を移動する動物が所定の位置に存在することを検出する動物センサ、環境の明るさを検出する明るさセンサの何れかの1以上の出力によってその出力を制御するものであり、機械的騒音発生手段の制御としては、音の発生の大小、周波数の高低として制御することができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明は、地上を移動する動物が所定の位置に存在することを検出する動物センサと、24時間を基準とするスケジュールタイマとによって公共放送を受信し、受信した公共放送から音声を出力する拡声音発生手段と、前記動物センサ及び/または前記スケジュールタイマによって機械的な騒音を発生させる機械的騒音発生手段とを具備し、前記スケジュールタイマに設定された設定時間により、及び/または動物が所定の位置に存在することを検出する動物センサの出力によって受信した公共放送から音声を拡声音発生手段から出力したり、及び/または機械的騒音発生手段から機械的な騒音を発生したりするものである。
このとき、拡声音発生手段から出力される公共放送から音声は、同一内容を繰り返しの音声となるものではなく、常に変化した会話音、音楽が流れるから、人間の生活空間を認識し、それらの条件から人の気配を感じ、鳥獣類が近寄ることがない。また、機械的騒音発生手段からの機械的な騒音の発生は、同じ音調であっても内容的に繰り返し音がないことから、人が何らかの作業をしていると認識して、鳥獣類が近寄ることがない。特に、地上を移動する動物が所定の位置に存在することを動物センサが検出し、その領域を動物が学習するから、当該領域には近付かなくなる。即ち、猪、鹿、狸等の野生の動物は、人間の生活空間を認識し、自分たちの生活空間をそこにオーバーラップさせるのを回避するから、野生動物と人間の共存が可能となる。
したがって、昼夜を問わず、農耕地、農家、民家等に餌を求めて侵入しようとする鳥獣を所定の地域に近づけることなく、野山に返す鳥獣類侵入防止装置として機能する。
【0017】
請求項2の発明は、更に、前記動物センサ及び/または前記スケジュールタイマによって閃光電球を閃光点滅させるものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、人に鳥獣類侵入防止装置が作動中であるとか、地上を移動する動物が所定の動物センサの設置位置に存在することを検出したという情報を伝えることができる。特に、光による威嚇効果は少ないので、鳥獣類侵入防止装置の動作情報として把握できる。
【0018】
請求項3の発明の前記地上を移動する動物が所定の位置に存在することを検出する動物センサは、獣道に配設した光センサまたは赤外線センサとしたものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、獣の存在によって光をさえぎることまたは獣の体温を検出することにより、正確に動物の存在を検出でき、装置の誤動作をなくすことができる。また、それを獣道に配設することにより、長い直線距離に対して検出できるように動物センサの配置を行う必要性がないから、経済的に廉価な設置が可能となる。
【0019】
請求項4の発明の前記24時間を基準とするスケジュールタイマは、少なくとも、時、分の設定が可能なものであるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、特定の時間に拡声音発生手段及び/または機械的騒音発生手段を動作させることができるから、人間の生活に影響のある時間、野生生物の行動時間に合わせて設定することができる。
【0020】
請求項5の発明の前記受信した公共放送から音声のみを出力する拡声音発生手段は、2スピーカ以上によって立体放送とするものであるから、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、現実に人が移動しなくても鳥獣の侵入を防止する空間で声の移動が制御でき、それによって人の移動以上に大勢の人が移動するシチュエーション(situRtion)を醸し出すことができる。したがって、当該空間が人間の生活領域であるかのごとく鳥獣が認識できる。
【0021】
請求項6の発明の前記機械的な騒音を発生させる機械的騒音発生手段は、略球状の粒状体を回転させることによって発声する音を直接使用するか、または増幅器を使用してその音声を出力するものであるから、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、単調に繰り返し音にならず作業音として騒音が発生し、人為的操作がなされているシチュエーションを醸し出すことができる。したがって、当該空間が人間の生活領域であるかのごとく鳥獣が認識できる。
【0022】
請求項7の発明の鳥獣類侵入防止装置は、更に、環境の明るさを検出する明るさセンサを設けたものであるから、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、特に、鳥獣の活動開始または終了の朝夕の判断を踏まえて24時間を基準とするスケジュールタイマの動作を修正設定できる。
【0023】
請求項8の発明の鳥獣類侵入防止装置の前記機械的な騒音を発生させる機械的騒音発生手段は、前記スケジュールタイマ、地上を移動する動物が所定の位置に存在することを検出する動物センサ、環境の明るさを検出する明るさセンサの何れかの出力によってその出力を制御するものであるから、請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の効果に加えて、前記機械的騒音発生手段は人の行なっている作業音として鳥獣に対して人の活動領域の存在を知らしめるものであるから、鳥獣の活動と共にまた、人の活動領域に入ろうとしたときには、そのタイミングで人の活動領域の存在感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は本発明の実施の形態の鳥獣類侵入防止装置の全体構成を示す電気回路図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態の鳥獣類侵入防止装置で使用する機械的な騒音を発生させる機械的騒音発生手段の構成を示す斜視図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態の鳥獣類侵入防止装置のマイクロプロセッサが行うメインルーチンのフローチャートである。
【図4】図4は本発明の実施の形態の鳥獣類侵入防止装置のマイクロプロセッサが行う音響出力ルーチンのフローチャートである。
【図5】図5は本発明の実施の形態の鳥獣類侵入防止装置のマイクロプロセッサが行う機械的騒音出力ルーチンのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図5を用いて説明する。なお、図中、実施の形態において同一記号及び同一符号は、同一または相当する部分であるから、ここでは重複する説明を省略する。
地上を移動する動物が所定の位置に存在することを検出する複数個の動物センサS1、S2、・・・、Sn(nは有限整数)は、5〜30m間隔毎に光センサが配設される。この光センサは、可視光または赤外光、レーザ光等の光を発生するLED等を内蔵した投光器と、cds(フォトレジスタ)またはフォトトランジスタ等の光の検出によってその出力が変化する受光器とからなっている。また、動物の体から発する赤外線を検出する赤外線検出器を使用してもよい。特に、獣道が分かっている場合には、長い距離に投光器及び受光器からなる動物センサS1、S2、・・・、Snを配設するよりも、赤外線検出器からなる動物センサS1、S2、・・・、Snとするのが2本のポールを設置しなくてもよいので経済的である。
【0026】
勿論、5〜30m間隔毎に配設される光センサは、可視光または赤外光、レーザ光等の光を発生するLED等を内蔵した投光器と、cdsまたはフォトトランジスタ等の光の検出によってその出力が変化する受光器とからなる動物センサS1、S2、・・・、Snを鳥類及び動物の侵入を阻止したい最も内側の範囲に切れ目なく配設し、その外回りの獣道に赤外線検出器を設置すると信頼性の高い検出が可能となる。
なお、盗難システムで使用されている人を検出するセンサの使用も可能である。
【0027】
24時間を基準とするスケジュールタイマTは、マイクロプロセッサCPUの内蔵タイマを使用してもよいし、マイクロプロセッサCPUに外付けを行う外部タイマを使用してもよい。このマイクロプロセッサCPUのスケジュールタイマTは、液晶からなるディスプレイDSに表示された時間、分、必要に応じて週の7曜日を設定できる。
【0028】
動物センサS1、S2、・・・、Sn及び/またはスケジュールタイマTによってラジオ放送、テレビ放送等の受信回路11で公共放送を受信し、その受信回路11で受信した公共放送からスピーカ15R,15Lから音声を出力する拡声音発生手段10は、詳しくは、受信回路11で受信した信号を本実施の形態では左右の音声信号に分波すべく復調回路12R,12Lで復調し、そして必要に応じてバランサ回路13で、その左右の音声出力を制御して、スキャン(走査)の必要な場合にはスキャンを行う。バランサ回路13の出力は、夫々増幅回路14R,14Lを介してスピーカ15R,15Lから音声を出力する。
ここで、バランサ回路13によるスキャンとは、左右の音声信号の出力バランスを行うことにより、立体音響の中心位置をそのバランスによって位置変化させ、音響空間の所定の面積をその中心がスキャンすることができる。
【0029】
機械的な騒音を発生させる機械的騒音発生手段20は、マイクロプロセッサCPUの出力をドライバ21を介して機械的騒音発生手段20のモータ230の『強』、『中』、『弱』の3本の入力に接続されている。したがって、マイクロプロセッサCPUの出力に応じて機械的騒音発生手段20のモータ230を3種類の速度で回転し、そこから発生する音を音源から1m離れた位置で時間重み付け特性Sの騒音レベルをモータ230の『強』、『中』、『弱』に対応させて80dB以上、60〜80dL、60dB以下としている。この騒音レベルは厳格なものではなく、山村、平地において効果が確認できた実測値であり、平地、山間等の環境によって変化する値である。
【0030】
動物センサS1、S2、・・・、Snは1対1に対応する閃光電球F1、F2、・・・、Fnが配設されており、動物センサS1、S2、・・・、Snが動作した範囲の閃光電球F1、F2、・・・、Fnが点滅するようになっている。勿論、動物センサS1、S2、・・・、Snと閃光電球F1、F2、・・・、Fnとは、1対1の対応ではなく、動物センサS1、S2、・・・、Snの2個または3個に1か所の閃光電球F1、F2、・・・、Fnとしたり、位置に応じて閃光電球F1、F2、・・・、Fnを設置したりすることもできる。即ち、閃光電球F1、F2、・・・、Fnは、動物に対する威嚇に使用するものではなく、動物の存在を検出した動物センサS1、S2、・・・、Snの概略の位置を知らせるものであるから、設置条件が周辺住民に理解されておればよい。
【0031】
なお、本実施の形態の動物センサS1、S2、・・・、Snは、例えば、猪、鹿、熊、猿等の害獣の存在を検出するものであるから、通常、光センサ、赤外線センサが使用されるが、本発明を実施する場合には、センサの種類を限定するものではない。特に、猿は、木々から渡り歩くが、マイクロ波、超音波のドップラー現象によって検出しなくても、本発明者等の実験によれば、一般に獣類が入らないエリアには、猿も鳥類も近寄ってこない習性が確認され、地上1m以上で動物の移動を検出することに意味がないことが確認された。
【0032】
また、拡声音発生手段10として使用するスピーカ15R,15Lは、当然、主に、野外に設置されるので全天候型のアウトドア対応スピーカを使用している。そして、受信回路11はテレビ、ラジオ等の公共放送を受信し、受信した公共放送から音声のみを出力するものであり、会話、音楽等の出力が望ましいことから、ラジオ放送を使用するのがよい。また、エムズシステムと呼ばれている波動スピーカの設置も好ましい。特に、超低音を出力できるスピーカを設置し、高い周波数のスピーカと共存させるのが望ましい。
【0033】
特に、バランサ回路13は、左右の音声信号の出力調整を行うことにより、立体音響の中心位置をそのバランスによって変化させ、音響空間の所定の水平面積をスキャンすることができる。
また、エムズシステムと呼ばれている波動スピーカの指向性の向きを変化させることによっても、立体音響の中心を変化させスキャンすることができる。これらは、動物が所定の範囲内に移動したことを検出する動物センサS1、S2、・・・、Snが動作した場合に動作させることができる。
【0034】
マイクロプロセッサCPUの入力には、明るさセンサCDとしてcdsの出力が入力されている。この明るさセンサCDは環境の明るさを検出するもので、夕方から早朝の間の夜の時間の判断を行うものであり、鳥獣の活動時間を判断、人の生活習慣の判断を行うものである。
【0035】
機械的騒音発生手段20は、鉄、ステンレス等の金属製からなる円筒状の内筒201内の中心に配設した中心軸202に螺旋状の上昇路203を配設し、内筒201内を上昇路203によって直径10〜30mmの粒体204を上昇させ、その上部から粒体204を内筒201外に放出される。内筒201の下部には、開口205が形成されていて、内筒201外に放出され、それにより落下した略球状の粒体204は、開口205から内筒201内に入り、再び内筒201内をの上昇路203によって上昇させられる。
【0036】
中心軸202と螺旋状の上昇路203は、中心軸202にモータ230の出力軸の回転を減速機構231を介してその回転出力を伝えている。なお、これらモータ230及び減速機構231は防水のためにハウジング232に収容されている。また、モータ230は太陽電池によって充電される電池を有している。
なお、略球状の粒体204としては、鉄球、ボルト、ナット、小石等を入れて、発生する音をより複雑とした。
【0037】
内筒201の外に放出されて落下した粒体204は、金属製の外筒206の内部に複数枚配設された衝撃板207に衝突し、金属製の外筒206から機械的衝撃音を発生させる。この中心軸202には図示しないモータ230の出力軸に連結されていて、モータ230の回転速度を低速、中速、高速と3段階に変速可能となっている。この3段階に変速によって、粒体204の上昇路203の粒体204の搬送量が変化し、金属製の外筒206から発生する音を音の発生源から1m離れた位置の騒音レベルを80dB以上、60〜80dB、60dB以下の3段階にしている。このモータ230の回転と騒音レベルとの関係は、本実施の形態では前述のように設定したが、1段階のみまたは2段回のみと設定することもできるし、3段回以上とすることもできる。
【0038】
即ち、発明者らの実験によれば、機械的騒音発生手段20が単調な繰り返し音でない機械的な騒音を発生させるものであり、不連続な機械的騒音であるから、騒音レベルが騒音源から1m離れた場所で時間重み付け特性Sで60dB以上であればよいことが判明した。しかし、人の生活空間を前提とすると、できれば、勿論、モータ230の回転速度、内筒201外に落下される粒体204等の衝撃によって、複数段階の騒音レベルの出力が出せるものであるのが望ましい。
【0039】
図3乃至図5を用いて、本実施の形態の鳥獣類侵入防止装置におけるマイクロプロセッサCPUの制御について説明する。まず、マイクロプロセッサCPUは図3に示すメインルーチンを繰り返し実行している。
まず、ステップS1で動物センサS1、S2、・・・、Snが動作したか判断し、動物センサS1、S2、・・・、Snが動作したときにはステップS2で該当する閃光電球(ストロボ)F1、F2、・・・、Fnの1個を点滅させ、ステップS3でセンサ動作フラグを“1” とする(立てる)。この点滅は警戒区域に動物が進入した位置を人に教えるための点滅であるから、少なくとも、動物センサS1、S2、・・・、Snの動作が解除されるまで継続される。
【0040】
ステップS1で動物センサS1、S2、・・・、Snが動作していないと判定したとき、ステップS4でスケジュールタイマTに設定された音響出力を行うタイミングであるか判断し、音響出力を行うタイミングでないときステップS6の処理に入る。
ステップS4でスケジュールタイマTに設定された音響出力を行うタイミングであると判断されたとき、ステップS5で「音響出力ルーチン」をコールし、実行する。
【0041】
また、ステップS6で機械的騒音出力を発生するタイミングであるか判断し、機械的騒音出力を発生するタイミングでないと判断されたとき、ステップS7で動物センサS1、S2、・・・、Snが動作しているかをセンサ動作フラグが立っている(“1”)か否かを判断し、機械的騒音出力を発生するタイミングのとき、及び動物センサS1、S2、・・・、Snが動作しているセンサ動作フラグが“1”のとき、ステップS8で「機械的騒音出力ルーチン」をコールし、実行する。そして、ステップS9でセンサ動作フラグを“0”とし(降ろし)、このルーチンを脱する。
【0042】
ステップS5で「音響出力ルーチン」がコールされると、ステップS11で受信回路11を動作状態とし、ステップS12で動物センサS1、S2、・・・、Snが動作した位置を特定し、ステップS13で立体音響の中心を移動するスキャンが設定されているか否かを判断し、ステップS12で動物センサS1、S2、・・・、Snが動作していないときまたはステップS13で立体音響の中心を移動するスキャンが設定されていないとき、ステップS14でスピーカ15R,15Lからモノラルまたはステレオ音響出力をする。
【0043】
ステップS13で立体音響の中心を移動するスキャンが設定されていると判断されたとき、ステップS15で左右の音声信号の出力を調整し、立体音響の中心を左右に移動するスキャンを行い、それをステップS16でスピーカ15R,15Lから出力する。このスキャンは、動物センサS1、S2、・・・、Snが動作したセンサを中心に音響をその方向に移動させるようにスキャンするのが望ましい。即ち、音の動きとして、動物センサS1、S2、・・・、Snが動作したセンサの方向に音が動くようになるのが望ましい。勿論、左から右方向または右から左方向、前から後方向、後から前方向とすることもできる。
【0044】
ステップS17で前述のスキャンの回数をカウントし、所定のカウント数だけスキャンして、スキャンの終了回数になるまで、ステップS12からのルーチンを繰り返し実行し、所定数のスキャン回数を終了すると、ステップS18で動物センサS1、S2、・・・、Snの動作が解除されているか否かを判断し、動物センサS1、S2、・・・、Snの動作が解除されていないときには、ステップS15乃至ステップS18のルーチンを繰り返し実行する。ステップS18で動物センサS1、S2、・・・、Snの動作が解除されているとき、ステップS19で所定の経過時間が経過しているか判断し、ステップS19で所定の経過時間が経過するまで、ステップS12からステップS19のルーチンを繰り返し実行する。
【0045】
また、ステップS8で「機械的騒音出力ルーチン」がコールされると、ステップS21で動物センサS1、S2、・・・、Snが動作しているか判断し、ステップS21で動作していないと判断されたとき、人間の生活空間を意味するために機械的騒音発生手段20に『中』の騒音レベルの音声を発生させ、ステップS26で動物センサS1、S2、・・・、Snの動作が解除され、ステップS27でその騒音の継続時間が過ぎるまで、ステップS21、ステップS22、ステップS26またはステップS21、ステップS22、ステップS26、ステップS27のルーチンを実行する。
【0046】
ステップS21で動物センサS1、S2、・・・、Snが動作していると判断されると、ステップS21で環境の明るさを検出する明るさセンサCDによって夕方から早朝の間の夜の時間と判断されたとき、ステップS24で機械的騒音発生手段20に『弱』動作をさせ、ステップS26で動物センサS1、S2、・・・、Snの動作が解除され、ステップS27でその騒音の継続時間が過ぎるまで、ステップS21、ステップS23、ステップS24、ステップS26またはステップS21、ステップS23、ステップS24、ステップS26、ステップS27のルーチンを実行する。
【0047】
また、ステップS23で環境の明るさを検出する明るさセンサCDによって夕方から早朝の間の夜の時間でないと判断されたとき、生活環境に与える影響が少ないから、ステップS25で機械的騒音発生手段20に『強』動作をさせ、ステップS26で動物センサS1、S2、・・・、Snの動作が解除され、ステップS27でその騒音の継続時間が過ぎるまで、ステップS21、ステップS23、ステップS25、ステップS26またはステップS21、ステップS23、ステップS25、ステップS26、ステップS27のルーチンを実行する。
【0048】
このように、本実施の形態の鳥獣類侵入防止装置は、図4乃至図6に示すようなプログラム制御を行うことができるが、本発明を実施する場合には、他の鳥獣類侵入防止する制御プログラムとすることができる。
【0049】
上記実施の形態の鳥獣類侵入防止装置は、地上を移動する動物が所定の位置に存在することを検出する動物センサS1、S2、・・・、Snと、24時間を基準とするスケジュールタイマTと、動物センサS1、S2、・・・、Sn及び/またはスケジュールタイマTによって公共放送を受信し、受信した公共放送から音声を出力する拡声音発生手段10と、動物センサS1、S2、・・・、Sn及び/またはスケジュールタイマTによって機械的な騒音を発生させる機械的騒音発生手段20とを具備するものである。
【0050】
上記実施の形態の鳥獣類侵入防止装置は、拡声音発生手段10から出力される公共放送から音声は、同一内容を繰り返し話されるものではなく、常に変化した会話音、音楽が流れるから、人の存在または何らかの人為的な音声であることを鳥獣が認識し、それらの条件から人の気配を感じ、鳥獣類が近寄ることがない。また、機械的騒音発生手段20からの機械的な騒音の発生は、同じ音調であっても内容的に繰り返し音がないことから、人が何らかの作業をしていると鳥獣に認識され、鳥獣類が近寄ることがない。特に、地上を移動する動物が所定の位置に存在することを動物センサS1、S2、・・・、Snが検出し、その領域を動物が学習するから、当該領域には近付かなくなる。
したがって、昼夜を問わず、農耕地、農家、民家等に餌を求めて侵入しようとする鳥獣を所定の地域に近づけることなく、野山に返す鳥獣類侵入防止装置として機能する。
【0051】
特に、上記実施の形態の鳥獣類侵入防止装置は、人と動物の共存を前提に、動物に人の生活空間であることを認識できる程度の情報を鳥獣に提供するものであり、従来の案山子、威嚇音等の人が勝手に鳥獣が誤認することを期待したり、恐怖を感じることを期待するという想像の世界を想定しているものではなく、人の生活習慣の情報を鳥獣側に提供するものであるから、動物の世界を人がコントロールするものでなく、両者の生活空間を互いの認識のうちに理解するものである。
発明者等は、山麓、山間の地域(私有地)で効果確認を行ったが、収穫間近の農耕地、民家等に餌を求めて侵入してくる雀、烏等の鳥類、猪、鹿、猿等の動物を侵入防止区域内に入らせることなく、鳥獣を里山、山等に返すことができた。
【0052】
更に、動物センサS1、S2、・・・、Sn及び/またはスケジュールタイマTによって閃光電球で閃光を発するものであるから、人に鳥獣類侵入防止装置が作動中であるとか、地上を移動する動物が所定の動物センサS1、S2、・・・、Snの位置に存在することを検出したという情報を伝えることができる。特に、光による威嚇効果は少ないが、動物の位置情報として把握できる。
【0053】
また、地上を移動する動物が所定の位置に存在することを検出する動物センサS1、S2、・・・、Snは、獣道に配設した光センサまたは赤外線センサとしたものであるから、獣の存在によって光をさえぎることまたは獣の体温を検出することにより、正確に動物の存在を検出でき、装置の誤動作をなくし、信頼性を高めることができる。また、それを獣道に配設することにより、長い直線距離に対して検出できるようにセンサの配置を行う必要性がないから、効率のよい設定が可能となる。
【0054】
そして、24時間を基準とするスケジュールタイマTは、少なくとも時、分の設定が可能なものであるから、特定の時間に拡声音発生手段10及び/または機械的騒音発生手段20を動作させることができるから、人間の生活に支障がある時間または野生生物の行動時間に合わせて設定することができる。
【0055】
更に、受信した公共放送から音声のみを出力する拡声音発生手段10は、2スピーカ以上によって立体放送とするものであるから、人が移動しなくても声の移動が制御でき、それによって人の移動以上に大勢の人が移動するシチュエーションを醸し出すことができる。したがって、当該空間が人間の生活領域であるかのごとく鳥獣に認識させることができる。
【0056】
加えて、機械的な騒音を発生させる機械的騒音発生手段20は、略球状の粒状体を回転させることによって発声する音を直接使用するか、または増幅器を使用して音声を出力するものであるから、単調に繰り返し音にならず作業音として騒音が発生し、人為的操作がなされているシチュエーションを醸し出すことができる。したがって、当該空間が人間の生活領域であるかのごとく鳥獣が認識できる。
【0057】
また、環境の明るさを検出する明るさセンサを設けたものでは、特に、鳥獣の活動開始の朝夕の判断を踏まえて24時間を基準とするスケジュールタイマTの動作を修正設定できる。
【0058】
そして、機械的騒音発生手段20は、閃光電球、地上を移動する動物が所定の位置に存在することを検出する動物センサS1、S2、・・・、Sn、環境の明るさを検出する明るさセンサCDの何れかの出力によってその出力を制御することができる。
したがって、機械的騒音発生手段20は人の行なっている作業音として鳥獣に対して人の活動領域の存在を知らしめるものであるから、鳥獣が人の活動領域に入ろうとしたときには、そのタイミングで鳥獣に人の活動領域の存在感を与えることができる。
【0059】
本発明を実施するための上記実施の形態の鳥獣類侵入防止装置においては、拡声音発生手段10と機械的騒音発生手段20は、24時間を基準とするスケジュールタイマT、地上を移動する動物が所定の位置に存在することを検出する動物センサS1、S2、・・・、Sn、環境の明るさを検出する明るさセンサCDの何れかの1以上の出力によって拡声音発生手段10と機械的騒音発生手段20を同時に、または時間差をおいて、またはセンサの動作に応じて動作させることができる。
【0060】
なお、上記実施の形態の鳥獣類侵入防止装置においては、動物が所定の範囲内に移動したことを検出する動物センサとして、猪、鹿、熊、猿等の害獣の存在を検出するものとしたが、本発明を実施する場合には、環境条件によって生育している動物のみを検出できるセンサとすることもできる。
また、発明者らは、超音波周波数300,000KHzに対して50〜50,000KHzの音声周波数で振幅変調または周波数変調かけたが、拡声音発生手段10と同様の効果を得た。学術的には、この実施の形態のほうが特性がよいと思われるが、上記実施の形態の拡声音発生手段10で、効果があるから、その差は表現できなかった。
【0061】
なお、上記実施の形態の鳥獣類侵入防止装置においては、拡声音発生手段10と機械的騒音発生手段20は1台設置したもの、複数台設置したものとすることができる。特に、小型のものでは、各動物センサS1、S2、・・・、Snの各々に対応して設置するのが望ましい。或いは動物センサS1、S2、・・・、Snにレーザ光を使用すると、100m程度の検出距離となるので、100mに1台の設置とすることもできるし、動物センサS1、S2、・・・、Snが動作したとき、その動作した個所を中心に2台または3台を動作させる構成としてもよい。
【0062】
また、拡声音発生手段10についても、指向性を持たせるものでもよいが、設置台数またはその監視面積によっては、無指向性のスピーカとすることもできる。勿論、動物センサS1、S2、・・・、Snが動作したとき、その動作した個所を中心に1台、2台または3台以上を動作させる構成としてもよい。
そして、環境の明るさを検出する明るさセンサCDは、24時間を基準とするスケジュールタイマTの日の出、日の入りを補正するものであるが、本発明を実施する場合には、明るさセンサCDを主とし、スケジュールタイマTを確認程度に使用する構成とすることもできる。勿論、回路的には、スケジュールタイマT及び明るさセンサCDの論理積をとればよいが、動物の生態からすると、スケジュールタイマTの設定値を自然環境の明るさで動作時間を拡張するように構成することが好ましい。
【0063】
更に、上記実施の形態の鳥獣類侵入防止装置においては、拡声音発生手段10と機械的騒音発生手段20は、24時間を基準とするスケジュールタイマT、地上を移動する動物が所定の位置に存在することを検出する動物センサS1、S2、・・・、Sn、環境の明るさを検出する明るさセンサCDの何れかの1以上の出力によって拡声音発生手段10と機械的騒音発生手段20を同時に、または時間差をおいて、またはセンサの動作に応じて動作させることができものであるが、特に、拡声音発生手段10と機械的騒音発生手段20は、動物センサS1、S2、・・・、Snの動作によって両者を動作させるのが望ましい。前後関係を作るとすれば、何れを前後としてもよいが、機械的騒音発生手段20の動作後に拡声音発生手段10を徐々に出力を上げるか、または同時に出力する等の設定が効果的であった。
【0064】
前記機械的な騒音を発生させる機械的騒音発生手段の粒状体としての粒体204は、鉄球、球以外の鉄塊、破砕された陶器、缶、小石等の使用が可能である。特に、装置側の機械的強度よりも機械的強度の弱いものを使用し、粒状体としての粒体204の取り換えが可能なようにするのが好適である。ここで更に粉体化された材料は金属と非金属に分離し再使用することができる。
【0065】
環境の明るさを検出する明るさセンサCDと、24時間を基準とするスケジュールタイマTは、日の出、日の入りの検出を行う環境の明るさを検出する明るさセンサCDが存在すれば、24時間を基準とするスケジュールタイマTを省略できるが、日の出、日の入り間の動作を行うために使用される。
【0066】
本発明を実施する場合の人の活動領域とは、人社会の生活空間であり、通常、動物センサS1、S2、・・・、Snによって囲まれた空間であるが、必ずしも、レーザ光等を使用する動物センサS1、S2、・・・、Snによって囲まれた空間を意味するものではなく、山間部では山側と里側の境界に設置した動物センサS1、S2、・・・、Snとすることができる。また、獣道に配設したものでは、里側が人の活動領域となる。即ち、本発明を実施する場合の人の活動領域は、動物センサS1、S2、・・・、Snの配置で決定されるものではなく、拡声音発生手段10と機械的騒音発生手段20の音響の到達距離内で決定され、少なくとも、動物センサS1、S2、・・・、Snを目安として使用することができる。勿論、動物センサS1、S2、・・・、Snによって囲まれた空間の場合も、里山の場合には、里山の境界線上に設置される動物センサS1、S2、・・・、Snの里側の空間の場合も、動物センサS1、S2、・・・、Snを獣道に配設したものでは、その里側の空間の場合も有り得る。特に、動物センサS1、S2、・・・、Snに対応させて拡声音発生手段10及び/または機械的騒音発生手段20を配設したものでは、長い距離の範囲を人の活動領域とすることができる。
【符号の説明】
【0067】
10 拡声音発生手段
11 受信回路
13 バランサ回路
12R、12L 復調回路
15R、15L スピーカ
20 機械的騒音発生手段
T スケジュールタイマ
CD 明るさセンサ
DS ディスプレイ
CPU マイクロプロセッサ
S1、S2、・・・、Sn 動物センサ
F1、F2、・・・、Fn 閃光電球

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上を移動する動物が所定の位置に存在することを検出する動物センサと、
24時間を基準とするスケジュールタイマと、
前記動物センサ及び/または前記スケジュールタイマによって受信した公共放送から音声を出力する拡声音発生手段と、
前記動物センサ及び/または前記スケジュールタイマによって機械的な騒音を発生させる機械的騒音発生手段と
を具備することを特徴とする鳥獣類侵入防止装置。
【請求項2】
更に、前記動物センサ及び/または前記スケジュールタイマによって閃光電球を発光させることを特徴とする請求項1に記載の鳥獣類侵入防止装置。
【請求項3】
前記地上を移動する動物が所定の位置に存在することを検出する動物センサは、獣道に配設した光センサまたは赤外線センサとしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鳥獣類侵入防止装置。
【請求項4】
前記24時間を基準とするスケジュールタイマは、少なくとも時、分の設定が可能なことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の鳥獣類侵入防止装置。
【請求項5】
前記受信した公共放送から音声のみを出力する拡声音発生手段は、2スピーカ以上によって立体放送とすることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の鳥獣類侵入防止装置。
【請求項6】
前記機械的な騒音を発生させる機械的騒音発生手段は、粒状体を回転させることによって発声する音を直接使用するか、または増幅器を使用して音声を出力することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の鳥獣類侵入防止装置。
【請求項7】
更に、環境の明るさを検出する明るさセンサを設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の鳥獣類侵入防止装置。
【請求項8】
前記機械的な騒音を発生させる機械的騒音発生手段は、前記スケジュールタイマ、地上を移動する動物が所定の位置に存在することを検出する動物センサ、環境の明るさを検出する明るさセンサの何れかの出力によってその出力を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の鳥獣類侵入防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−110269(P2012−110269A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261980(P2010−261980)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(504295175)
【Fターム(参考)】