説明

鳥類防除器

【課題】鳥類防除器に対して鳥が接近したり、接触したりしなくても、自然に流れる風の作用により、アームや支柱が揺動し、磁石が自然に回動して磁気を周囲に振りまくことができるようにする。
【解決手段】支柱2と、その支柱が延在する方向と略直交する方向に延在させて軸方向の中途部を支柱に支持した揺動アーム3と、その揺動アームの軸方向の両側部に取り付けられた一対の先端磁石4,4と、を備えている。支柱2及び揺動アーム3の少なくとも一方に弾性を付与して撓み変形可能とし、一対の磁石4,4と揺動アーム3及び支柱2の少なくとも1つに、風の作用を受けて支柱及び揺動アームの少なくとも一方の撓み変形による揺動を増大させる羽根8を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハト、カラス等の鳥類がベランダや出窓等に侵入することを防止する鳥類防除器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都市で生息するハト、カラス等の鳥類が増加しており、これら鳥類が排泄する糞や、これに含まれている病原菌等による糞公害が問題になっている。例えば、マンションのベランダや出窓等は、ハトやカラス等の鳥類が止まり木の代わりに止まって休憩することが多くあり、その際にする糞によってベランダや出窓等が汚されることが多くなっている。そのため、ハトやカラス等の鳥類がベランダ等に侵入するのを防止するために、各種の鳥類追い払い機器、装置が提供されている。
【0003】
従来の、この種の鳥類防除器としては、例えば、本願特許出願人が先に実用新案登録出願したもので、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、ハトやムクドリ等の鳥類がベランダ等に侵入することを防止するための鳥類忌避装置に関するものが記載されている。
この特許文献1に記載された鳥類忌避装置は、支柱と、この支柱の上部に中央部を固定して取付けたアームとからなり、そのアームの両端に磁気体を設けてこのアームが中央部を支点として揺動自在となるように構成した、ことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7−30077号公報 (第2−3頁、第1〜11図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の鳥類忌避装置においては、アームの両端に取り付けた磁気体によって磁気を嫌う鳥を忌避すると共に、磁気に鈍感な鳥がアームに止まろうとしたときに鳥の自重によってアームを揺動させて鳥を驚かせて飛び去るようにしていた。そのため、この鳥類忌避装置は、鳥がアームの近くまで接近するか、或いはアームに接触しないと、その機能を効果的に発揮いすることができなかった。
【0006】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、鳥類防除器に対して鳥が接近したり、接触したりしなくても、自然に流れる風の作用により、アームや支柱が揺動し、磁石が自然に回動して磁気を周囲に振りまくことができるようにする。そして、風によって揺動する鳥類防除器を、ハト等の鳥類が遠くから見えるようにして、鳥類がベランダや出窓等に侵入しないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の鳥類防除器は、支柱と、その支柱が延在する方向と略直交する方向に延在させて軸方向の中途部を支柱に支持した揺動アームと、その揺動アームの軸方向の両側部に取り付けられた一対の磁石と、を備えている。支柱及び揺動アームの少なくとも一方に弾性を付与して撓み変形可能とし、一対の磁石と揺動アーム及び支柱の少なくとも1つに、風の作用を受けて支柱及び揺動アームの少なくとも一方の撓み変形による揺動を増大させる羽根を設けたことを特徴としている。
【0008】
また、本発明の鳥類防除器は、限定されるわけではないが、羽根は、一対の磁石に設けることが好ましい。同じく限定されるわけではないが、一対の磁石は、互いに接合可能とされた2個の磁石片の組み合わせからなり、羽根は、磁石片よりも直径の大きなシート状又は板状の部材からなり、2個の磁石片で羽根を挟持して接着剤で固定し、又は、リベット止め或いはカシメ止めとしてもよい。また、一対の磁石は、揺動アームに回転自在に支持し、一対の磁石に、半径方向の外側に突出する複数の風受け片を設けるとよい。更に、羽根は、揺動アームに固定して設ける構成とすることができる。そして、羽根は、揺動アーム又は支柱に回転自在に支持し、その羽根に磁石を取り付ける構成とすることができる。また、磁石の磁力は、1000ガウスから1500ガウスまでの範囲内であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の鳥類防除器によれば、鳥類防除器に対して鳥が接近したり接触したりしない場合においても、自然に流れる風の作用により揺動アーム及び支柱の少なくとも一方を揺動させ、揺動アーム及び磁石の揺動によって鳥類を驚かせると共に、揺動アームや支柱の撓みで磁石を回動させて磁気を周囲に振りまくことができる。これにより、揺動アーム等の揺動で鳥類に恐怖心を与えると共に、揺動アーム等に取り付けられている磁石が発生する磁石の磁場によって鳥類を追い払うことができ、鳥類がベランダや出窓等に侵入することを防止することができる。
【0010】
また、本発明の鳥類防除器によれば、一対の磁石に羽根を設けることにより、磁石に風が直接磁石に当たるようにして、磁石を効率よく揺動させることができる。この際、一対の磁石を、それぞれ2個の磁石片の組み合わせによって形成すると共に、その磁石片よりも直径を大きくしたシート状又は板状の部材で羽根を形成し、その羽根を2個の磁石片で挟持して接着剤、リベット等で固定することにより、羽根を有する磁石を簡単且つ安価に製造することができる。また、一対の磁石を揺動アームに回転自在に支持し、各磁石に半径方向外側に突出する複数の風受け片を設けることにより、磁石を回転させてその回転力で磁石の磁気を周囲に飛散させることができる。
【0011】
更に、本発明の鳥類防除器によれば、羽根を揺動アームに一体に設けることにより、揺動アームに風の力を作用させて磁石を揺動させることができる。また、羽根を揺動アーム及び支柱の少なくとも一方に回転自在に支持し、その羽根に磁石を取り付けることにより、羽根を介して磁石を回転させてその回転力で磁石の磁気を周囲に飛散させることができる。また、磁石の磁力を1000ガウスから1500ガウスまでの範囲内に設定することにより、この鳥類防除器が設置されるベランダや出窓等において磁石による電波障害等の弊害を発生することなく、ハトやカラス等の鳥類が嫌がる磁石の磁場を必要な範囲内において発生させて、ハトやカラス等の鳥類がベランダ等に近づくのを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施例に係る鳥類防除器の構成とその動作を説明する説明図である。
【図2】図1に示す鳥類防除器の磁石と羽根を分解して示す説明図である。
【図3】本発明の第2の実施例に係る鳥類防除器の磁石及び羽根を示す斜視図である。
【図4】図3の磁石及び羽根を使用した本発明の第2の実施例に係る鳥類防除器を示す斜視図である。
【図5】本発明の第3の実施例に係る鳥類防除器の磁石及び羽根を示す斜視図である。
【図6】図5の磁石及び羽根を使用した本発明の第3の実施例に係る鳥類防除器を示す斜視図である。
【図7】図5に示した羽根の変形実施例を示す斜視図である。
【図8】図5の磁石及び羽根を使用した本発明の第4の実施例に係る鳥類防除器を示す斜視図である。
【図9】本発明の第5の実施例に係る鳥類防除器を示す斜視図である。
【図10】本発明の第1の実施例に係る鳥類防除器を用いた使用状態の一実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る鳥類防除器1は、支柱2と、揺動アーム3と、2個の先端磁石4,4と、1個の中央磁石5と、スタンド6とから主に構成されている。
【0014】
支柱2は、適当な強さの弾性を有するコイルバネ(バネ支柱)によって形成されている。バネ支柱2は、軸方向の両端において軸方向外側へ突出する第1端部2a及び第2端部2bを有している。バネ支柱2の材質としては、例えば、ステンレス鋼、バネ鋼その他の金属製のバネ材が好適であるが、適当な強度及び弾性を有するエンジニアリングプラスチックを用いることもできる。バネ支柱2は、その軸方向を上下方向に向けた状態で配置されていて、下方に配置された第2端部2bがスタンド6に固定されて支持されている。なお、バネ支柱2は、弾性が無いか又は弾性の極めて小さな剛性の大きい柱材によって形成することもできる。
【0015】
支柱2の上方に配置された第1端部2aの先端には、球状に形成された中央磁石5が取り付けられている。中央磁石5には、直交するに方向に貫通する貫通穴が設けられており、その垂直方向の貫通穴に第1端部2aの先端が貫通されている。そして、中央磁石5の水平方向の貫通穴に揺動アーム3が貫通されている。垂直方向の貫通穴と水平方向の貫通穴とは、互いに交わるように直接交差させて形成してもよく、また、所定の隙間を開けて交わらないように交差させる構成としてもよい。2つの貫通穴を交わるように直交させる場合、支柱2の第1端部2aと揺動アーム3とは互いに直交させて一体に形成する。また、2つの貫通穴が互いに交わらない場合、支柱2の第1端部2aと揺動アーム3とは別個独立に形成する。
【0016】
中央磁石5の高さ位置、即ち、支柱2の高さは、防除の対象とする鳥類の種類によっても異なるが、例えば、ハトを対象とする場合には約10cm、カラスを対象とする場合には約20cm程度に設定することが好ましい。その理由は、一般に、ハトの頭の高さが10cm程度であり、カラスの頭の高さが20cm程度だからである。また、揺動アーム3の長さは、磁石の数や大きさ、重さ等によっても異なるが、例えば、図示実施例のように、中央部と両端の3箇所に磁石を配置する場合は、全長で30cm〜50cm程度が好適である。
【0017】
揺動アーム3は、適当な強さの弾性を有する線材(例えば、ピアノ線、バネ鋼製の針金等)によって形成されている。揺動アーム3の軸方向の中間部は中央磁石5に固定されていて、揺動アーム3が中央磁石5と一体に移動可能とされている。この揺動アーム3の軸方向の両端部に、左右の先端磁石4,4がそれぞれ回動可能に取り付けられている。それぞれの先端磁石4は、揺動アーム3の軸方向の前後をカシメることにより、軸方向への移動を防止しつつ、揺動アーム3に対して回転自在に支持されている。左右の先端磁石4,4は、接着剤、圧入等の固着手段により揺動アーム3に対して固定する構成としてもよい。
【0018】
先端磁石4は、図2に示すように、半球形をなす2個の磁石分割片4a,4bによって形成されており、これを組み立てることにより全体として1個の球体からなる先端磁石4が構成されている。各磁石分割片4a,4bには、その中央部を貫通する貫通穴7がそれぞれ設けられている。貫通穴7は、その一端が磁石分割片4a,4bの平面部の中央に開口され、他端は曲面部の中央に開口されている。この2個の磁石分割片4a,4bの間に、その磁石分割片4a,4bよりも直径の大きな羽根8が挟み込まれて一体的に構成されている。
【0019】
羽根8は、磁石分割片4a,4bの直径よりも大きな直径を有する円板状の部材によって形成されている。羽根8の材質としては、例えば、金属、プラスチック、紙、ゴムその他の板材を用いることができる。羽根8の中央部には、その表裏面間を貫通する中央穴9が設けられている。羽根8は、先端磁石4の周囲を流れる風を受けるためのもので、その風を受けることができる形状であれば、この実施例に示した円形のものに限定されるものではない。羽根8の形状の他の例としては、例えば、四角形、六角形、八角形、星形、その他各種の形状を適用できるものである。2個の磁石分割片4a,4bと羽根8とは、接着剤を用いて固着する構成としてもよく、また、2個の磁石分割片4a,4bの磁力で挟持する構成としてもよい。
【0020】
先端磁石4,4及び中央磁石5は、発生する磁力の強さが1000ガウス〜1500ガウスの範囲内のものであれば、各種の大きさ、形状のものを適用することができる。一般に、ハトやカラス等の鳥類は磁石の磁力を嫌がることが知られており、磁力をハトやカラスの脳に作用させると、ハトやカラスをその場所から退散させることができるためである。そのための磁石の磁力の強さは、1000ガウス〜1500ガウスの範囲内にあることが好ましく、好適な強さは1300ガウス程度である。その理由は、磁力が1000ガウス未満の場合には、磁力の強度が弱いためにハトやカラスに対する磁力の影響が少なく、ハト等を退散させることが困難だからである。また、磁力が1500ガウス以上の場合には、周囲の環境に対する磁力の影響が大きくなりすぎてしまい、電波妨害等の弊害を生じるおそれがあるからである。これに対して、磁力が1300ガウス程度である場合には、その磁場に近づくハトやカラスに対して、その磁力を確実に作用させてハトやカラスを確実に防除することが可能となる。
【0021】
スタンド6は、支柱2を安定性良く支持するためのもので、円盤状に形成された支持板11を有している。支持板11の一面の中央部には、支柱2の第2端部2bを支持するための支持軸部12が設けられている。この支持軸部12に第2端部2bを嵌合することにより、支柱2がスタンド6に立設されている。
【0022】
図3は、羽根の形態の第2の実施例を示すものである。この羽根14は、複数枚(この実施例では3枚)の羽根片14aによって構成したものである。球体として形成された磁石15の外周に3枚の羽根片14aを等間隔に配置し、羽根14を扇風機の羽根車のように構成したものである。磁石15には、その中央部を貫通する貫通穴16が設けられている。
【0023】
図4は、図3に示した羽根14を有する磁石15を、図1に示した実施例の揺動アーム3の両側先端部に取り付けた本発明の第2の実施例に係る鳥類防除器18を示すものである。2つの先端磁石15,15は、揺動アーム3に対して回転自在に支持されている。2つの先端磁石15,15は、揺動アーム3に対して固定する構成としてもよい。その他の構成は、前記第1の実施例と同様である。
【0024】
図5は、羽根の形態の第3の実施例に係る回転羽根21を示すものである。この回転羽根21は、揺動アーム3に対して回転自在に構成すると共に、揺動アーム3の軸方向と直交する方向に2個の磁石23を配置し、2つの磁石23,23を回動させるように構成したものである。回転羽根21は、楕円状に形成された羽根プレート22と、この羽根プレート22の長手方向の両端部に取り付けられた2個の磁石23,23を備えて構成されている。回転羽根21は、揺動アーム3に対して固定する構成としてもよい。
【0025】
羽根プレート22は、長手方向の両端部を半円形に形成した細長い楕円形の薄い板状の部材からなり、長手方向の中央部に揺動アーム3が挿通される軸受部24が設けられている。軸受部24は、幅方向の中途部に長手方向へ延びる2つの切込みを設けると共に、2つの切込みの内側部分24aを一面側へ半円筒状に膨出させ、2つの切込みの外側部分24bを他面側へ半円筒状に膨出させることにより全体として筒状をなすように形成されている。この軸受部24の穴内に、揺動アーム3が挿通される。
【0026】
羽根プレート22の長手方向の両端部には、互いに離反する方向へ突出する2つの取付軸25,25が設けられている。2つの取付軸25,25は、軸受部24から略等しい距離の位置に立設されている。一方の取付軸25は羽根プレート22の一面側に突出され、他方の取付軸25は羽根プレート22の他面側に突出されている。これらの取付軸25に、図2に示したものと同様の形状を有する磁石分割片23が取り付けられている。各取付軸25は、その一端が羽根プレート22に圧入により固定されていて、その先端部をカシメることにより取付軸25からの磁石分割片23の脱落を防止している。
【0027】
図6は、図5に示した2個の磁石分割片23,23を有する羽根21を、図1に示した実施例の揺動アーム3の両側先端部に回転自在に取り付けた本発明の第3の実施例に係る鳥類防除器28を示すものである。2つの回転羽根21,21は、揺動アーム3に対して回転自在に支持されている。そして、揺動アーム3の軸方向の前後をカシメることにより、軸方向への移動を防止しつつ、揺動アーム3に対して回転自在に支持されている。その他の構成は、前記第1の実施例と同様である。
【0028】
図7は、回転羽根の形態の第2の実施例を示すものである。この回転羽根31は、前述した回転羽根21を、その軸受部24の両側で略90度捻じ曲げて湾曲形成したものである。この回転羽根31は、2個の磁石分割片23,23を90度回転変位させた状態に配置することにより、飛行機のプロペラのように風の力を受けて回転し易くなるようにしたものである。
【0029】
図8は、図5に示した2個の磁石分割片23,23を有する回転羽根21を、図1に示した実施例の支柱2の上端部に回転自在に取り付けた本発明の第4の実施例に係る鳥類防除器33を示すものである。揺動アーム3の左右の端部には、羽根8を有する球体の先端羽根4,4に代えて、羽根のない球体のみからなる先端磁石34,34が取り付けられている。この場合の先端磁石34,34は、揺動アーム3に対して回転自在に支持してもよく、また、揺動アーム3に固定して回転不能としてもよい。その他の構成は、前記第1の実施例と同様である。
【0030】
図9は、本発明の第5の実施例に係る鳥類防除器38を示すものである。この第5の実施例として示す鳥類防除器38は、図1に示した実施例の揺動アーム3の2つを直角に交差して設けると共に、2本の揺動アーム3,3の先端側に、図1に示したような円盤状をなす羽根板39を一体的に固定して設けたものである。2本の揺動アーム3,3の左右の端部には、羽根のない球体からなる先端磁石34,34がそれぞれ取り付けられている。また、スタンド6の支持板41には、このスタンド6をベランダの手摺り等にネジ止めするための挿通穴42が複数設けられている。
【0031】
図10は、本発明の実施例に係る鳥類防除器の使用形態の一例を説明する図である。上述した本発明に係る鳥類防除器1(15,18,28,33,38)は、鳥類が止まって糞等をされては困る場所、例えば、住宅用マンションのベランダ50の手摺り51、マンションや寺院の屋根、ビルの屋上のパナペット、小型船舶の甲板等に設置して使用することができる。
【0032】
鳥類防除器1(15,18,28,33,38)は、ベランダ50の手摺り51や屋根等の所望の位置に、固定又は着脱可能に取り付ける。鳥類防除器1(15,18,28,33,38)を所望の位置に固定して取り付ける場合は、例えば、スタンド6を接着剤や溶接等の固着手段を用いて固定する。一方、鳥類防除器1(15,18,28,33,38)を所望の位置に着脱可能に取り付ける場合は、例えば、固定ネジや磁石等の着脱可能な取付手段を用いるようにする。
【0033】
ここで、固定手段として固定ネジを用いる場合は、例えば、図10に図示したように、スタンド6の支持板41に挿通穴42を設け、この挿通穴42と固定ネジを用いて固定する。即ち、支持板41の挿通穴42に固定ネジのネジ軸部を挿入し、そのネジ軸部の先端を手摺り51に設けたネジ穴に螺合させて、固定ネジで手摺り51等の所定位置に鳥類防除器1(15,18,28,33,38)を締め付け固定する。
【0034】
また、固定手段として磁石を用いる場合は、例えば、支持板11の下面に磁石を固定する。この場合、スタンド6の取付面が磁性を有する金属材料である場合には、支持板に取り付けた磁石だけで手摺り51等の所定位置に鳥類防除器1(15,18,28,33,38)を着脱可能に取り付けることができる。これに対して、スタンド6の取付面が磁性を有さない木材、コンクリート等の非磁性面である場合には、その非磁性面に磁石や磁性板を取り付けるようにする。これにより、例えば、ベランダに布団を干す場合のように、不要なときに簡単に取り外すことが可能となる。
【0035】
鳥類防除器1(15,18,28,33,38)は、複数個を一直線上に並べて設置することが好ましい。この場合、隣り合う鳥類防除器1(15,18,28,33,38)間において、同じ磁極を対向させる(プラス同士又はマイナス同士)ことにより、互いの磁石を反発させてより大きく揺動させることが可能となる。
【0036】
ここで、ハトやカラス等がベランダ50の手摺り51に止まるために手摺り51に近づくと、ハトやカラス等の羽ばたきによって鳥類防除器1(15,18,28,33,38)の周囲の空気が乱され、羽ばたきによる風が鳥類防除器1(以下、符号15,18,28,33,38は省略する。)に吹き付けられる。この際の風圧は、その風圧を受ける面積に略比例するため、支柱2や揺動アーム3に作用する風力よりも左右の先端磁石4,4及び中央磁石5に作用する風力が大きくなる。特に、左右の先端磁石4,4には羽根8がそれぞれ取り付けられているため、これら左右の先端磁石4,4に作用する風力は、他の部分に加えられる風力よりも大きくなる。そして、揺動アーム3を支持している支柱2が大きな弾性(可撓性)を有するコイルバネによって形成されているため、支柱2の下部を揺動中心として中央磁石5及び揺動アーム3が、左右の先端磁石4,4のある方向に揺動される。
【0037】
これにより、揺動アーム3の回動量に応じて左右の先端磁石4,4が大きく同方向へ揺動される。この左右の先端磁石4,4の大きな移動により、ハトやカラス等を驚かせて飛び去らせることができる。更に、左右の先端磁石4,4の揺動により磁気が周囲に飛び散り、鳥類防除器1の周囲の磁場を変動させて異常磁場として、より一層、鳥類が近づかないようにすることができる。
【0038】
このように、本実施例の鳥類防除器1(15,18,28,33,38)によれば、ハトやカラス等の鳥類は磁気を嫌うために、ベランダ50や屋根等に近づかないようにして追い払うことができる。また、磁気に鈍感な鳥が揺動アーム3に止まろうとしても、揺動アーム3がユラユラ揺れるために、その鳥を驚かせて飛び去らせることができる。
【0039】
前記実施例においては、揺動アーム3及び磁石を一平面上の1段に設置した例について説明したが、揺動アーム3及び磁石を二以上の平面上において複数段に設置する構成とすることができる。
【0040】
以上説明したが、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で各種の変形実施が可能である。例えば、上記実施例においては、支柱2としてコイルバネを用いた例について説明したため、支柱を弾性変形させて揺動アームを大きく揺動(又は回動)させることができるが、支柱は中実棒、中空パイプ等の剛体で形成してもよく、その場合には、揺動アームのみを弾性変形させて左右の先端磁石を揺動(又は回動)させることができる。
【符号の説明】
【0041】
1,15,18,28,33,38‥鳥類防除器、 2‥支柱、 3‥揺動アーム、 4,34‥先端磁石、 4a,4b,23‥磁石分割片、 5‥中央磁石、 11,41‥支持板、 12‥支持軸部、 21,31‥回転羽根、 22,39‥羽根プレート、 24‥軸受部、 25‥取付軸、 50‥ベランダ、 51‥手摺り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、
前記支柱が延在する方向と略直交する方向に延在させて軸方向の中途部を前記支柱に支持した揺動アームと、
前記揺動アームの軸方向の両側部に取り付けられた一対の磁石と、を備え、
前記支柱及び前記揺動アームの少なくとも一方に弾性を付与して撓み変形可能とし、
前記一対の磁石と前記揺動アーム及び前記支柱の少なくとも1つに、風の作用を受けて前記支柱及び前記揺動アームの少なくとも一方の撓み変形による揺動を増大させる羽根を設けた
ことを特徴とする鳥類防除器。
【請求項2】
前記羽根は、前記一対の磁石に設けた
ことを特徴とする請求項1記載の鳥類防除器。
【請求項3】
前記一対の磁石は、互いに接合可能とされた2個の磁石片の組み合わせからなり、
前記羽根は、前記磁石片よりも直径の大きなシート状又は板状の部材からなり、
前記2個の磁石片で前記羽根を挟持して接着剤で固定した
ことを特徴とする請求項1記載の鳥類防除器。
【請求項4】
前記一対の磁石は、前記揺動アームに回転自在に支持し、
前記一対の磁石に、半径方向の外側に突出する複数の風受け片を設けた
ことを特徴とする請求項1記載の鳥類防除器。
【請求項5】
前記羽根は、前記揺動アームに固定して設けた
ことを特徴とする請求項1記載の鳥類防除器。
【請求項6】
前記羽根は、前記揺動アーム又は前記支柱に回転自在に支持し、
前記羽根に前記磁石を取り付けた
ことを特徴とする請求項1記載の鳥類防除器。
【請求項7】
前記磁石の磁力は、1000ガウスから1500ガウスまでの範囲内である
ことを特徴とする請求項1記載の鳥類防除器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−63043(P2013−63043A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203893(P2011−203893)
【出願日】平成23年9月17日(2011.9.17)
【出願人】(593018541)大庭ビルメインテナンス株式会社 (5)
【Fターム(参考)】