説明

麺つゆ用調味料の製造方法

【課題】麺つゆに添加することで麺つゆに簡単に一体感と熟成感を付与することができる麺つゆ用調味料の製造方法を提供することである。
【解決手段】醤油、食用エキス、糖類、乳酸および魚節類を含有する水溶液を、100〜130℃の温度で加熱する工程を含むことを特徴とする麺つゆ用調味料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺つゆに一体感と熟成感を付与する麺つゆ用調味料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、麺つゆは醤油とだしを主原料として製造する。老舗の蕎麦屋などでは、醤油にみりん、砂糖などを添加した後に、冷暗所にて数日から数週間以上保管するねかし工程をとった「かえし」と「だし汁」とを合わせた一体感と熟成感のある麺つゆを使用している。
しかし、市販されている液体状麺つゆは、製造工程上老舗の蕎麦屋のようなねかし工程をとった「かえし」を用いることは生産効率が悪く、品質管理上も難しい。
また、即席麺などに添付する固形状麺つゆの場合、例えば、粉末醤油、粉末みりん、砂糖、粉末状の鰹節、粉末状エキスなど、粉末状の原料を混合・成形して製造するため、その工程中でねかし工程をとった「かえし」を用いることは難しい。
したがって、市販されている多くの工業的に生産された液体状麺つゆまたは固形状麺つゆの多くは、ねかし工程をとった「かえし」を用いることができないため、一体感や熟成感が不足しているという問題を抱えている。
【0003】
これに対して、一体感や熟成感のある麺つゆ、およびねかし工程をとった「かえし」を用いたのと同等の効果を得る従来技術として、以下の技術が知られている。醤油および/またはだしを含有する調味液に含硫化合物を添加し加熱することを特徴とする液体調味料の製造法(特許文献1参照)、醤油、みりん類および糖類を含有する調味原液を、50〜80℃にて30分〜4時間加熱することを特徴とする調味液の製造方法(特許文献2参照)、および少なくとも醤油と糖類からなるベース液中の3−メチル−ブタナールが加熱前の1.4〜5倍になる条件でベース液を加熱後冷却し、これに酒、みりん、化学調味料、香辛料、各種だし汁類、食用油、食酢、おろし野菜や果実等から選ばれた少なくとも1種を添加、混合後、必要により再加熱して容器に充填、密封することを特徴とする調味料の製造法(特許文献3参照)などが開示されている。しかし、上記の技術では、麺つゆの製造工程が複雑で時間がかかるなどの問題が生じてしまう。従って、工業的な製法では不足してしまう一体感と熟成感を、麺つゆに添加するだけで簡単に一体感と熟成感とを付与することができる麺つゆ用調味料が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−313097号公報
【特許文献2】特開2004−283017号公報
【特許文献3】特開2004−229623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、麺つゆに添加することで麺つゆに簡単に一体感と熟成感を付与することができる麺つゆ用調味料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、醤油、食用エキス、糖類、乳酸および魚節類を含有する水溶液を加熱した麺つゆ用調味料を開発し、上記課題を解決することを見出した。
すなわち、本発明は、醤油、食用エキス、糖類、乳酸および魚節類を含有する水溶液を、100〜130℃の温度で加熱する工程を含むことを特徴とする麺つゆ用調味料の製造方法および当該製造方法によって製造された麺つゆ用調味料である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の製造方法によって得られた麺つゆ用調味料は、麺つゆに添加することにより、一体感と熟成感(まろやかさ、濃厚感)が付与された麺つゆを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いられる醤油としては、通常の醤油の醸造法に従って製造される醤油であれば特に制限はなく、例えば、濃口醤油、淡口醤油、白醤油、溜醤油、再仕込醤油などが挙げられ、前記した醤油の生醤油、火入醤油のいずれでも良い。
【0009】
本発明で用いられる食用エキスとしては、アミノ酸が含まれていればいずれの食用エキスであってもよく、例えば、魚介エキス、ポークやチキン等の畜肉エキス、酵母エキス、たんぱく加水分解物等が挙げられ、特に風味の点から魚介エキスが好ましい。
【0010】
上記魚介エキスとしては、例えば、鰹、鰹節、鮪、鮪節、鯖、鯖節、鰯、煮干、鮭などから得られる魚類エキス、ホタテ、カキ、シジミ、ハマグリなどから得られる貝類エキス、エビ、カニなどから得られる甲殻類エキス等から得られるエキス類が挙げられ、特に鰹、鮪から得られる鰹エキス、鮪エキスが好ましい。
【0011】
食用エキスの製造方法は、特に制限するものではなく、公知の方法で製造したものであれば良く、例えば、水抽出法、温水抽出法、熱水抽出法、酸分解法、酵素分解法等のいずれであってもよい。酵素分解に用いる酵素の種類は、特に限定されないが、例えば、プロテアーゼ等の蛋白分解酵素を用いるのがよい。また、酵母エキスの場合、蛋白分解酵素と、細胞壁分解酵素のグルカナーゼ、マンナナーゼ等を組み合わせてもよい。
【0012】
本発明で用いられる糖類としては、通常のつゆ類に用いられるものであればよく、例えば、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、ショ糖、コーンシロップなどが挙げられる。本発明で用いられる糖類には、糖類を含有する本みりん、みりん風調味料などをも含まれる。本発明ではこれらの糖類を1種または2種以上の混合物でも良い。
【0013】
本発明で用いられる乳酸としては、例えば、人工的に合成され乳酸、発酵によって産生された乳酸およびそれらの塩が挙げられる。前記乳酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などが挙げられる。
【0014】
本発明で用いられる魚節類としては、例えば鰹節、宗田節、鮪節、鯖節、鯵節、鰯節、秋刀魚節、煮干、およびこれらの魚節類の製造工程で出る副産物などが挙げられる。これら魚節類は、1種類または2種類以上の混合物として用いることができる。魚節類の形状は特に制限はないが、好ましくは魚節類を破砕して粉末状にしたものである。
【0015】
本発明の麺つゆ用調味料の製造方法は、以下の工程1を含むことにより達成される。また、以下の工程1に続き、工程2および工程3を加えることも本発明の実施形態の1つである。

[工程1:加熱工程]醤油、食用エキス、糖類、乳酸および魚節類を含有する水溶液を、100〜130℃の温度で加熱し、加熱反応溶液(液状の麺つゆ用調味料)を得る工程。
[工程2:乾燥工程]工程1で得られた加熱反応溶液を乾燥し、乾燥物(固形状の麺つゆ用調味料)を得る工程。
[工程3:粉砕工程]工程2で得られた乾燥物(固形状の麺つゆ用調味料)を細かく砕いて粉末形状として乾燥物の粉末(粉末状の麺つゆ用調味料)を得る工程。
【0016】
[工程1:加熱工程]
工程1における水溶液中の醤油の添加量としては、約1〜30質量%が好ましく、約5〜10質量%がより好ましい。食用エキスの添加量としては、約10〜70質量%が好ましく、約30〜50質量%がより好ましい。糖類の添加量としては、約10〜50質量%が好ましく、約20〜30質量%がより好ましい。乳酸の添加量としては、約1〜20質量%が好ましく、約5〜10質量%がより好ましい。魚節類の添加量としては約5〜40質量%が好ましく約15〜25質量%が更に好ましい。上記の配合の範囲内であると、麺つゆに一体感と熟成感を付与することができる麺つゆ用調味料が得られるため好ましい。
【0017】
本発明の効果に影響がない範囲内で、アミノ酸、核酸、有機酸(クエン酸、酢酸など)、発酵調味料(酒類、酢など)などを加えることができる。
【0018】
上記原材料を含有する水溶液の加熱温度は、100〜130℃であり、より好ましくは約110〜120℃である。加熱時間は、加熱温度により異なるが、約30〜120分、好ましくは約30〜60分である。上記の加熱温度が低い、または加熱時間が短いと反応条件が弱く、麺つゆに一体感および熟成感を与える麺つゆ用調味料得ることができない。また、加熱温度が高く、または加熱時間が長いと焦げ臭が付与されるために好ましくない。
【0019】
工程1では、上記した原材料を含有する水溶液を加圧条件下にて撹拌しながら加熱する方法が好ましく、公知の加圧式の加熱撹拌機を用いることができる。
【0020】
加熱して得られた液状の麺つゆ用調味料は、さらに所望により公知の磨砕機などを用いて処理することができる。
【0021】
[工程2:乾燥工程]
加熱反応溶液を乾燥することにより固形状の麺つゆ用調味料が得られるが、加熱反応溶液には、本発明の効果に影響がない範囲内で、賦形剤、水、アミノ酸、核酸、有機酸(乳酸、クエン酸、酢酸、コハク酸など)、発酵調味料(酒類、酢など)などを加えることができる。
【0022】
上記賦形剤としては、糖類、澱粉類などが挙げられる。糖類としては、例えば、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、乳糖、ショ糖、デキストリン、コーンシロップなどが挙げられる。澱粉類としては例えば、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉などや加工澱粉(エステル化澱粉、エーテル化澱粉、架橋澱粉、酸化処理澱粉、酸処理澱粉、湿熱処理澱粉など)などが挙げられる。これらは、1種類または2種類以上の混合物として使用することができ、好ましくはデキストリンが挙げられる。賦形剤の添加量は、加熱反応溶液100質量部に対して約20〜40質量部が好ましい。前記範囲内であると、乾燥効率が良くなり好ましい。
【0023】
乾燥を行う手段としては公知の手段を用いればよく、例えば、常圧ドラム乾燥法、真空ドラム乾燥法、噴霧乾燥法、真空凍結乾燥法などのいずれの手段を用いてもよい。
コスト、生産性、風味などの面から、真空ドラム乾燥法が好ましい。真空ドラム乾燥法とは、減圧下でスチームなどの熱媒体により加熱され回転するドラム表面に、被乾燥処理材料をフィルム状に付着させ、ドラムが1回転する間に被乾燥処理材料を迅速に蒸発乾燥させる方法をいう。ドラム表面で乾燥した乾燥物は、スクレーパーナイフなどによりドラム表面から簡単にかき取られ得る。この真空ドラム乾燥法を用いる場合、乾燥部分を減圧する必要があるが、真空度は約10〜50トール、好ましくは約10〜30トール、より好ましくは約10〜20トールとすればよい。ドラム表面温度は高くとも100℃以下であり、好ましくは約50〜100℃、より好ましくは約60〜90℃とすればよい。上記範囲であれば、被乾燥処理材料を焦がすことなく十分に乾燥させることができる。
上記真空ドラム乾燥法における乾燥時間は、特に限定されないが、数秒〜数分間という短時間乾燥が好ましい。乾燥時間は、好ましくは約1分間以下、より好ましくは約45秒以下、さらに好ましくは約6〜30秒間とすればよい。上記時間範囲であれば、風味や色調などの品質が変化し難い。このため、真空ドラムの回転数は、特に限定されないが、通常約0.5〜15rpm、好ましくは約2〜10rpmである。
上記真空ドラム乾燥法は、例えば、真空ドラムドライヤー(真空チャンバー付き回転熱ドラム式蒸発乾燥装置)などを用いることにより実施し得る。
【0024】
[工程3:粉砕工程]
工程2で得られた乾燥物は、そのまま麺つゆ用調味料として使用することができるが、所望により粉砕工程をとることができる。工程2において得られた固形状の麺つゆ用調味料を細かく砕いて粉末形状とする手段としては、公知の手段を用いることができる。例えば、粉砕機または乳鉢等を用いて細かく砕いて粉末形状とすることができる。粉末形状とすることにより、粉末状麺つゆまたは顆粒状麺つゆの原材料と均一な混合を容易に行うことができる。得られた粉末(粉末状の麺つゆ用調味料)は、例えば、約3.5〜100メッシュ(篩目開約5,600〜150μm)、好ましくは約20〜100メッシュ(篩目開約850〜150μm)の篩を用いて篩分されるサイズであることが好ましい。
【0025】
得られた麺つゆ用調味料は、麺つゆに添加することにより、一体感と熟成感が付与された麺つゆを得ることができる。また、麺つゆ用調味料は、「かえし」を用いない液体状麺つゆおよび/または固形状麺つゆに用いられる。
【0026】
上記麺つゆとしては、特に制限はなく公知の原材料を用いることができ、例えば、醤油、みりん、糖類(砂糖、乳糖など)、酒類、風味原料(鰹節、鯖節、煮干し、昆布など)、化学調味料、エキス類(魚節エキス、魚介エキス、酵母エキスなど)、たん白加水分解物、食塩などを含む麺つゆが挙げられる。
【0027】
液体状麺つゆ、固形状麺つゆなどの製造方法は、公知の方法で作製することができる。前記した固形状麺つゆの形態としては、例えば塊状、鱗片状、顆粒状、粉末状などが挙げられる。固形状麺つゆには、粉末状の麺つゆ用調味料を用いることが好ましい。
【0028】
麺つゆ用調味料の麺つゆへの配合量は、麺つゆ用調味料の形態によって異なるが、喫食時の麺つゆに対して約0.1〜1.0質量%、好ましくは0.1〜0.3質量%である。
【0029】
以下に実施例を挙げて更に詳しく本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0030】
<粉末状の麺つゆ用調味料の作製>
(1)原材料
醤油(商品名:特選丸大豆醤油;キッコーマン社製)
食用エキス(商品名:鰹エキスF;マルハチ村松社製)
ブドウ糖(商品名:無水ブドウ糖TDA−C;武田キリン食品社製)
ショ糖(商品名:グラニュー糖MGF;大日本明治製糖社製)
乳酸(商品名:発酵乳酸;新進社製)
鰹節粉末(鰹荒本節を凍結粉砕機で粉砕し、16メッシュパスしたもの)
デキストリン(商品名:サンデック#70;三和澱粉工業社製)
【0031】
(2)粉末状の麺つゆ用調味料の配合
上記原材料を用い、粉末状の麺つゆ用調味料を作製するための配合組成を表1に示した。
【0032】
【表1】

【0033】
(3)粉末状の麺つゆ用調味料の作製
[実施例1]
表1に示したデキストリン以外の各原材料の5倍量を撹拌機付きステンレス製2L加圧反応釜(加藤ステンレス科学社製)に入れて10分間混合した後、蒸気を加えながら加熱を行い溶液温度120℃、30分間加熱反応を行った。加熱反応後、液温を30℃まで冷却してからデキストリンを加え混合した後、真空ドラムドライヤー(型式:VD−0303;カツラギ工業社製)を用いて、ドラム表面温度90℃で、回転数3.5rpmで乾燥した。得られた乾燥物を、超遠心粉砕機(型式:ZM100;三田村理研工業社製)で粉砕し、60メッシュ(JIS規格)で篩別し、粉末状の麺つゆ用調味料(実施例品1)500g(水分4%)を得た。
【0034】
[実施例2]
実施例1の製造方法において、蒸気を加えながら加熱を行い溶液温度120℃で加熱するのに替えて、溶液温度100℃、30分間加熱反応した以外は同様な操作を行い、粉末状の麺つゆ用調味料(実施例品2)500g(水分4%)を得た。
【0035】
[実施例3]
実施例1の製造方法において、蒸気を加えながら加熱を行い溶液温度120℃で加熱するのに替えて、蒸気を加えながら加熱を行い溶液温度130℃、30分間加熱反応した以外は同様な操作を行い、粉末状の麺つゆ用調味料(実施例品3)500g(水分4%)を得た。
【0036】
[実施例4]
実施例1と同様の方法で、表1に示した原材料を用いて粉末状の麺つゆ用調味料(実施例品4)500g(水分4%)を得た。
【0037】
[比較例1〜5]
実施例1と同様の方法で、表1に示した原材料を用いて粉末状の麺つゆ用調味料(比較例品1〜5)を得た。得られた粉末状の麺つゆ用調味料の質量は、比較例品1から順に500g、400g、400g、500g、450g(各水分は4%)であった。
【0038】
[比較例6]
実施例1の製造方法において、蒸気を加えながら加熱を行い溶液温度120℃で加熱するのに替えて、溶液温度90℃、30分間加熱反応した以外は同様な操作を行い、粉末状麺つゆ用調味料(比較例品6)500g(水分4%)を得た。
【0039】
[比較例7]
実施例1の製造方法において、蒸気を加えながら加熱を行い溶液温度120℃で加熱するのに替えて、蒸気を加えながら加熱を行い溶液温度140℃、30分間加熱した以外は同様な操作を行い、粉末状麺つゆ用調味料(比較例品7)500g(水分4%)を得た。
【0040】
<粉末状の麺つゆ用調味料の評価>
得られた粉末状の麺つゆ用調味料(実施例品1〜4、比較例品1〜7)を用いて、粉末状麺つゆを作製してその評価を行った。
【0041】
[粉末状麺つゆの作製]
(1)粉末状麺つゆの原材料
粉末醤油(商品名:粉末醤油R;キッコーマン社製)
ショ糖(商品名:グラニュー糖GFH;ユアサフナショク社製)
果糖(商品名:純果糖S;一進加工社製)
食塩(商品名:食塩;関東塩業社製)
鰹節粉末(鰹荒本節を凍結粉砕機で粉砕し、16メッシュパスしたもの)
酵母エキスパウダー(商品名:アロマイルド;興人社製)
鰹節エキスパウダー(商品名:鰹節エキスパウダー5001;理研ビタミン社製)
昆布エキスパウダー(商品名:昆布エキスパウダーB;理研ビタミン社製)
粉末状の麺つゆ用調味料(実施例品1〜4、比較例品1〜7)
【0042】
(2)粉末状麺つゆの作製方法
粉末醤油16.2g、ショ糖29g、果糖5g、食塩29g、鰹節粉末1g、酵母エキスパウダー8g、鰹節エキスパウダー7g、昆布エキスパウダー0.2g、粉末状の麺つゆ用調味料(実施例品1〜4、比較例品1〜7)4.6gを混合し粉末状麺つゆ(試作品1〜11)を作製した。なお、混合はビニール袋に各原材料を入れ2分間混合して行った。
【0043】
(3)評価方法
得られた粉末状麺つゆ(試作品1〜11)各4gを200mlビーカーに入れ、湯100gを加えて粉末状麺つゆを溶解して麺つゆ(試験区1〜11)を得た。得られた麺つゆ(試験区1〜11)について麺つゆの一体感、熟成感(まろやかさ、濃厚感)についての官能評価を、下記表2に示す評価基準に従い10名のパネラーで行った。結果はそれぞれ10名の評価点の平均値として求め、下記基準にて記号化した。結果を表3に示す。

記号化
◎: 平均値2.5以上
○: 平均値1.5以上2.5未満
△: 平均値0.5以上1.5未満
×: 平均値0.5未満
【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

結果より実施例品を用いて作製した粉末状麺つゆ(試作品1〜4)を湯に溶いた麺つゆは、一体感の評価は平均値2.5以上、熟成感(まろやかさ)の評価は平均値2.5以上、熟成感(濃厚感)の評価は1.5以上であった。一方、比較例品を用いて作製した粉末状麺つゆ(試作品5〜11)を湯に溶いた麺つゆは、一体感の評価は、平均値2.5未満、熟成感(まろやかさ)の評価は1.5未満、熟成感(濃厚感)の評価は概ね1.5未満であった。
【0046】
<液状の麺つゆ用調味料の作製>
[実施例5]
醤油(商品名:特選丸大豆醤油;キッコーマン社製)90g、食用エキス(商品名:鰹エキスF;マルハチ村松社製)400g、ブドウ糖(商品名:無水ブドウ糖TDA−C;武田キリン食品社製)260g、乳酸(商品名:発酵乳酸;新進社製)60g、鰹節粉末(鰹荒本節を凍結粉砕機で粉砕し、16メッシュパスしたもの)190gを撹拌機付きステンレス製2L加圧反応釜(加藤ステンレス科学社製)に入れて10分間混合した後、蒸気を加えながら加熱を行い溶液温度120℃、30分間加熱反応を行った。加熱反応後、マスコロイダーを通過させて、液状の麺つゆ用調味料(実施例品5)1kg(水分30%)を得た。
【0047】
[比較例8]
実施例5の製造方法において、蒸気を加えながら加熱を行い溶液温度120℃で加熱するのに替えて、溶液温度90℃、30分間加熱反応した以外は同様な操作を行い、液状の麺つゆ用調味料(比較例品8)1kg(水分30%)を得た。
【0048】
[比較例9]
実施例5の製造方法において、蒸気を加えながら加熱を行い溶液温度120℃で加熱するのに替えて、蒸気を加えながら加熱を行い溶液温度140℃、30分間加熱反応した以外は同様な操作を行い、液状の麺つゆ用調味料(比較例品9)1kg(水分30%)を得た。
【0049】
<液状の麺つゆ用調味料の評価>
下記方法で作製した麺つゆ200gに、得られた液状の麺つゆ用調味料(実施例品5、比較例品8、9)各0.2gを加えて麺つゆ(試験区12〜14)を得た。得られた麺つゆの一体感、熟成感(まろやかさ、濃厚感)についての官能評価を、<粉末状の麺つゆ用調味料の評価>に示す評価基準に従い10名のパネラーで行った。結果はそれぞれ10名の評価点の平均値として求め、<粉末状の麺つゆ用調味料の評価>に記載の基準にて記号化した。結果を表4に示す。また、液状の麺つゆ用調味料を添加しない麺つゆ(試験区15)の評価もあわせて表4に示す。
【0050】
[麺つゆの作製]
醤油(商品名:丸大豆醤油;キッコーマン社製)170g、ショ糖(商品名:グラニュー糖GFH;ユアサフナショク社製)20g、みりん(商品名:加工業務用本みりんN:宝酒造社製)10gをステンレス製鍋に加えて撹拌しながら加熱し、沸騰した後弱火でひと煮立ちさせ、常温まで冷却してかえし200gを得た。別に、鰹節の粉砕物54gを湯900gに加え加熱し、沸騰後弱火にして5分間加熱してから鰹節の粉砕物を漉してだし汁850gを得た。
得られただし汁200gとかえし800gを加えひと煮立ちさせて麺つゆ1kgを得た。
【0051】
【表4】

結果より実施例品を用いて作製した麺つゆ(試験区12)は、一体感、熟成感(まろやかさ、濃厚感)の評価は、平均値2.5以上で非常によい評価であった。一方、比較例品を用いて作製し麺つゆ(試験区13、14)および液状の麺つゆ用調味料を添加しない麺つゆ(試験区15)は、いずれかの評価項目も平均値1.5未満で悪い評価であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
醤油、食用エキス、糖類、乳酸および魚節類を含有する水溶液を、100〜130℃の温度で加熱する工程を含むことを特徴とする麺つゆ用調味料の製造方法。