説明

麺茹で装置

【課題】 麺の出し入れ中でも、他の麺を茹でることが可能である圧力鍋を使った麺茹で装置を提供する。
【解決手段】 麺茹で装置は、上部排出口と下部排出口を有する鍋本体と、鍋本体に取り付けられる蓋とを有する圧力鍋が2以上設けられる。圧力鍋の下部排出口同士が接続された液送パイプを備える。上部排出口は、麺を保持するストレーナーが着脱可能な状態で保持される位置よりも高い位置に設けられる。液送パイプには、液送パイプの内部に流れる液体の流量を制御するバルブが設けられる。上部排出口は、上部排出口から排出される気体の流量を制御する上部排出口用バルブが設けられる。2以上の圧力鍋の内圧の差と、バルブと上部排出口用バルブの開閉制御に基づいて、液送パイプで接続された圧力鍋の間で、液体の移動が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力鍋を使った麺茹で装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、圧力鍋を使って麺を茹であげる装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−87915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、麺を圧力鍋から出し入れする間には、他の麺を茹でることは出来ない。
【0005】
したがって本発明の目的は、麺の出し入れ中でも、他の麺を茹でることが可能である圧力鍋を使った麺茹で装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る麺茹で装置は、上部に第1上部排出口を有し、下部に第1下部排出口を有する第1鍋本体と、第1鍋本体に取り付けられる第1蓋とを有する第1圧力鍋と、上部に第2上部排出口を有し、下部に第2下部排出口を有する第2鍋本体と、第2鍋本体に取り付けられる第2蓋とを有する第2圧力鍋と、一方の端部が第1下部排出口に接続され、他方の端部が第2下部排出口に接続された液送パイプとを備え、第1上部排出口は、麺を保持するストレーナーが着脱可能な状態で保持される位置よりも高い位置に設けられ、第2上部排出口は、麺を保持するストレーナーが着脱可能な状態で保持される位置よりも高い位置に設けられ、液送パイプには、液送パイプの内部に流れる液体の流量を制御するバルブが設けられ、第1上部排出口は、第1上部排出口から排出される気体の流量を制御する第1上部排出口用バルブが設けられ、第2上部排出口は、第2上部排出口から排出される気体の流量を制御する第2上部排出口用バルブが設けられ、第1蓋が第1鍋本体に取り付けられた状態の第1圧力鍋の内圧と第2蓋が第2鍋本体に取り付けられた状態の第2圧力鍋の内圧の差と、該バルブと第1上部排出口用バルブと第2上部排出口用バルブの開閉制御に基づいて、第1圧力鍋と第2圧力鍋との間で、液送パイプを介して液体の移動が可能である。
【0007】
圧力鍋を使って麺を茹でるため、通常の鍋を使って茹であげる形態に比べて、茹であがるまでの時間を短縮することが可能になり、麺の糊化の進行を一定にし、所望の食感の茹であげが簡単に実現できるメリットがある。
【0008】
特に、複数の圧力鍋を使い、麺投入工程を繰り返すことにより、圧力鍋の一方で麺を茹でながら、他方で麺の投入や取り出しを行い、麺の出し入れ中でも、他の麺を茹でることが、圧力鍋を使った麺茹で装置で可能になる。このため、短期間で多くの麺を所望の食感になるように茹であげることが可能になる。
【0009】
加熱された水は、圧力鍋の内圧を使って、圧力鍋の間を行き来するので、1つの圧力鍋で麺を茹でる際に必要な水量と同程度の水で、2つの圧力鍋に投入された麺を茹であげることが出来る。
【0010】
また、加熱された水の殆どは、圧力鍋の内部の閉じた空間に集中し、蓋を開ける工程では、殆ど加熱された水が残っていない圧力鍋の蓋を開けることになる。このため、蓋を開けた時に外部の冷たい空気に触れて水温が下がる可能性を低くすることが出来、高温状態を維持しやすいメリットがある。
【0011】
好ましくは、第1圧力鍋や第2圧力鍋と接続された補充用鍋を更に備え、第1圧力鍋と補充用鍋とを接続する配管に、第1圧力鍋と補充用鍋との間の液体の流量を制御する第1バルブが設けられ、第2圧力鍋と補充用鍋とを接続する配管に、第2圧力鍋と補充用鍋との間の液体の流量を制御する第2バルブが設けられ、第1バルブと第1上部排出口用バルブの開閉制御に基づいて、補充用鍋と第1圧力鍋との間で、液体の移動が可能であり、第2バルブと第2上部排出口用バルブの開閉制御に基づいて、補充用鍋と第2圧力鍋との間で、液体の移動が可能である。
【0012】
さらに好ましくは、補充用鍋は、圧力鍋であり、補充用鍋の内圧と第1圧力鍋の内圧の差と、第1バルブと第1上部排出口用バルブの開閉制御に基づいて、補充用鍋と第1圧力鍋との間で、液体の移動が行われ、補充用鍋の内圧と第2圧力鍋の内圧の差と、第2バルブと第2上部排出口用バルブの開閉制御に基づいて、補充用鍋と第2圧力鍋との間で、液体の移動が行われる。
【0013】
また、好ましくは、第1下部排出口は、第1鍋本体の下部であって、第1鍋本体の底板の上面よりも高い位置に設けられ、第2下部排出口は、第2鍋本体の下部であって、第2鍋本体の底板の上面よりも高い位置に設けられる。
【0014】
本発明に係る麺茹で装置は、上部排出口と下部排出口を有する鍋本体と、鍋本体に取り付けられる蓋とを有する圧力鍋が2以上設けられ、圧力鍋の下部排出口同士が接続された液送パイプを備え、上部排出口は、麺を保持するストレーナーが着脱可能な状態で保持される位置よりも高い位置に設けられ、液送パイプには、液送パイプの内部に流れる液体の流量を制御するバルブが設けられ、上部排出口は、上部排出口から排出される気体の流量を制御する上部排出口用バルブが設けられ、2以上の圧力鍋の内圧の差と、該バルブと上部排出口用バルブの開閉制御に基づいて、液送パイプで接続された圧力鍋の間で、液体の移動が可能である。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明によれば、麺の出し入れ中でも、他の麺を茹でることが可能である圧力鍋を使った麺茹で装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態における第1蓋と取り外した第1圧力鍋、第2蓋を取り外した第2圧力鍋を含む麺茹で装置の断面図である。
【図2】図1の状態から第1圧力鍋にストレーナーを設置した状態の麺茹で装置の断面図である。
【図3】図2の状態から、第1圧力鍋に液体を集中させた状態の麺茹で装置の断面図である。
【図4】図3の状態から、第2蓋を取り外した状態の麺茹で装置の断面図である。
【図5】図4の状態から第2蓋を閉じ、第2圧力鍋に液体を集中させた状態の麺茹で装置の断面図である。
【図6】図5の状態から、第1蓋を取り外した状態の麺茹で装置の断面図である。
【図7】補充用鍋を設けた形態における麺茹で装置の断面図である。
【図8】麺を茹でる手順の前半部分を示すフローチャートである。
【図9】麺を茹でる手順の中間部分を示すフローチャートである。
【図10】麺を茹でる手順の後半部分を示すフローチャートである。
【図11】第1蓋を取り外した第1圧力鍋で第1洗浄用排出口を設け、洗浄用配管を取り付けたものと、第2蓋を取り外した第2圧力鍋で第2洗浄用排出口を設け、洗浄用配管などの配管を取り付けていないものとを含む麺茹で装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。本実施形態における麺茹で装置1は、第1圧力鍋10、第2圧力鍋20、液送パイプ30を備える(図1〜図6参照)。図1〜図7は、それぞれ第1圧力鍋10などの断面図を示すが、分かりやすくするため、ストレーナー50は側面図を表し、バルブ(バルブ31など)は単純な四角の図形で表す。また、液体は、斜線格子状の網掛けで示すが、ストレーナー50の内部は液体が進入するが、斜線格子状の網掛けを省略している。
【0018】
第1圧力鍋10の構造について説明する。第1圧力鍋10は、第1鍋本体11、第1蓋13、第1上部排出口15、第1下部排出口17を有する。
【0019】
第1鍋本体11の上部には、第1鍋本体11を圧力鍋として使用するための耐圧蓋(第1蓋13)を取り付けるための密閉機構(不図示)が設けられ、加圧時には、第1蓋13が第1鍋本体11に取り付けられる。
【0020】
麺が鍋の内部で一定の位置を保つため、麺を保持するストレーナー50が、第1鍋本体11の内部に、着脱可能な状態で配置される。具体的には、第1鍋本体11の内壁、若しくは内壁から突出した部分、若しくは内壁から凹んだ部分、若しくは内壁に取り付けられた第1ストレーナー保持用部材11aを使って、ストレーナー50が着脱可能な状態で保持される。
【0021】
第1上部排出口15は、第1鍋本体11と第1蓋13の内側空間の気体の一部を排出して内圧を下げるため(減圧のため)に使用される孔であり、第1鍋本体11の上部に設けられ、鉛直方向下向きに気体が流れるように、第1配管12が取り付けられ、第1配管12には、第1上部排出口15から排出される気体の流量を制御する第1上部排出口用バルブ12aが取り付けられる。第1上部排出口15は、麺を保持するストレーナー50が着脱可能な状態で保持される位置(第1ストレーナー保持用部材11a)よりも高い位置に設けられる。
【0022】
第1下部排出口17は、第1鍋本体11の内部の液体を流入させたり流出させたりするために使用される孔であり、第1鍋本体11の下部に設けられ、液送パイプ30の一方の端部が取り付けられる。
【0023】
第1鍋本体11から第2鍋本体21へ液体を送る際に、空だきを防ぐ目的で、第1鍋本体11の底に貯まった液体がある程度残るように、第1下部排出口17は、第1鍋本体11の底部から一定の高さの位置(底板の上面よりも高い位置)に設けるのが望ましい。ただし、この場合には、第1鍋本体11を洗浄する際に、第1下部排出口17を使って洗浄液を排水しても、一部が第1鍋本体11の底部に残る可能性がある。このため、第1下部排出口17よりも、底部に近い低い位置に、洗浄液などを排出するための排出口(第1洗浄用排出口18)を設け、配管(洗浄用配管19)を取り付け、かかる配管に液体の流量を制御するバルブ(洗浄用排出口用バルブ19a)が取り付けられるのが望ましい(図11)。
【0024】
第2圧力鍋20の構造について説明する。第2圧力鍋20の構造は、第1圧力鍋10の構造と同じであり、第2鍋本体21、第2蓋23、第2上部排出口25、第2下部排出口27を有する。
【0025】
第2鍋本体21の上部には、第2鍋本体21を圧力鍋として使用するための耐圧蓋(第2蓋23)を取り付けるための密閉機構(不図示)が設けられ、加圧時には、第2蓋23が第2鍋本体21に取り付けられる。
【0026】
麺が鍋の内部で一定の位置を保つため、麺を保持するストレーナー50が、第2鍋本体21の内部に、着脱可能な状態で配置される。具体的には、第2鍋本体21の内壁、若しくは内壁から突出した部分、若しくは内壁から凹んだ部分、若しくは内壁に取り付けられた第2ストレーナー保持用部材21aを使って、ストレーナー50が着脱可能な状態で保持される。
【0027】
第2上部排出口25は、第2鍋本体21と第2蓋23の内側空間の気体の一部を排出して内圧を下げるため(減圧のため)に使用される孔であり、第2鍋本体21の上部に設けられ、鉛直方向下向きに気体が流れるように、第2配管22が取り付けられ、第2配管22には、第2上部排出口25から排出される気体の流量を制御する第2上部排出口用バルブ22aが取り付けられる。第2上部排出口25は、麺を保持するストレーナー50が着脱可能な状態で保持される位置(第2ストレーナー保持用部材21a)よりも高い位置に設けられる。
【0028】
第2下部排出口27は、第2鍋本体21の内部の液体を流入させたり流出させたりするために使用される孔であり、第2鍋本体21の下部に設けられ、液送パイプ30の他方の端部が取り付けられる。
【0029】
第2鍋本体21から第1鍋本体11へ液体を送る際に、空だきを防ぐ目的で、第2鍋本体21の底に貯まった液体がある程度残るように、第2下部排出口27は、第2鍋本体21の底部から一定の高さの位置(底板の上面よりも高い位置)に設けるのが望ましい。ただし、この場合には、第2鍋本体21を洗浄する際に、第2下部排出口27を使って洗浄液を排水しても、一部が第2鍋本体21の底部に残る可能性がある。このため、第2下部排出口27よりも、底部に近い低い位置に、洗浄液などを排出するための排出口(第2洗浄用排出口28)を設け、第1洗浄用配管19と同様の洗浄用配管(不図示)を取り付け、該洗浄用配管に液体の流量を制御する洗浄用排出口用バルブ19aと同様のバルブ(不図示)が取り付けられるのが望ましい(図11)。
【0030】
液送パイプ30は、第1鍋本体11と第2鍋本体21の液体を移動させるために使用される管状部材で、かかる液体の移動を制御するストップバルブなどのバルブ31が設けられる。
【0031】
本実施形態における麺茹で装置1を使って、麺を茹でる手順を図8〜図10のフローチャートを使って説明する。
【0032】
図8のステップS11で、第1鍋本体11の底を、第1燃焼器41の第1五徳41aの上に配置し、第2鍋本体21の底を、第2燃焼器42の第2五徳42aの上に配置する(図1参照)。燃焼器による加熱により、圧力鍋の内部の水温と圧力鍋の内部の圧力が制御される。第1上部排出口用バルブ12a、第2上部排出口用バルブ22aは、閉じた状態にしておく。また、液送パイプ30を、第1下部排出口17と第2下部排出口27に取り付ける。
【0033】
図8のステップS12で、第1鍋本体11と、第2鍋本体21に、鍋本体の内容積の半分程度の量だけ、水を投入する。未だ、第1蓋13や第2蓋23は鍋本体に取り付けられていないので、水の投入は、鍋本体の開口部から行うことが出来る。投入する水は、温水でも冷水でも良いが、温水の方が、次工程の加熱時間を短くすることが出来る。バルブ31は、閉じた状態にしておく。
【0034】
図8のステップS13で、第1燃焼器41、第2燃焼器42を点火して、第1鍋本体11や第2鍋本体21を加熱する。
【0035】
所定の温度(麺を茹でるのに適した温度)まで第1鍋本体11の水温が上昇したら(若しくは、上昇すると思われる加熱時間を経過したら)、図8のステップS14で、茹でる対象の麺を入れたストレーナー50を第1鍋本体11の第1ストレーナー保持用部材11aに取り付ける。
【0036】
図8のステップS15で、第1蓋13を第1鍋本体11に取り付け、第2蓋23を第2鍋本体21に取り付ける(図2参照)。
【0037】
図8のステップS16で、第2鍋本体21で熱せられた水を、第1鍋本体11に移動させる(図3参照)。具体的には、第1上部排出口用バルブ12aとバルブ31を開く。第1上部排出口用バルブ12aを開くことにより、第1上部排出口用バルブ12aを介して、第1圧力鍋10の内部の気体が排出され、内圧が下がり、第1圧力鍋10よりも内圧が高い第2圧力鍋20の内部の液体がバルブ31を介して第1圧力鍋10に流入する。
【0038】
第1圧力鍋10の内部の液体が、所定の量(第1ストレーナー保持用部材11aに取り付けられたストレーナー50の麺を茹でるのに適当な量)になるように液送が完了した後に、図8のステップS17で、第1上部排出口用バルブ12aとバルブ31を閉じる。第1燃焼器41の加熱により、第1圧力鍋10の内圧は上昇し、高い温度で、麺が茹でられる。
【0039】
図8のステップS18で、第2上部排出口用バルブ22aを開いて第2圧力鍋20の内圧を下げ、その後、第2蓋23を開き、茹でる対象の麺を入れたストレーナー50を第2鍋本体21の第2ストレーナー保持用部材21aに取り付ける(図4参照)。
【0040】
図9のステップS19で、第2蓋23を第2鍋本体21に取り付ける。
【0041】
第1圧力鍋10に入れられた麺の茹であがり時間になったら、図9のステップS20で、第1鍋本体11で熱せられた水を、第2鍋本体21に移動させる(図5参照)。具体的には、バルブ31を開く。第2上部排出口用バルブ22aは開いているので、第2圧力鍋20の内圧は、第1圧力鍋10の内圧よりも低い状態になっており、第2圧力鍋20よりも内圧が高い第1圧力鍋10の内部の液体がバルブ31を介して第2圧力鍋20に流入する。
【0042】
第2圧力鍋20の内部の液体が、所定の量(第2ストレーナー保持用部材21aに取り付けられたストレーナー50の麺を茹でるのに適当な量)になるように液送が完了した後に、図9のステップS21で、第2上部排出口用バルブ22aとバルブ31を閉じる。第2燃焼器42の加熱により、第2圧力鍋20の内圧は上昇し、高い温度で、麺が茹でられる。
【0043】
図9のステップS22で、第1上部排出口用バルブ12aを開いて第1圧力鍋10の内圧を下げ、その後、第1蓋13を開き、茹であがった麺若しくは、茹であがった麺を含むストレーナー50を第1ストレーナー保持用部材11aから取り出す(図6参照)。
【0044】
引き続き、麺を茹でる場合には、ステップS22a〜ステップS22dの工程を行う。ステップS22の後に、麺を茹でる作業を終了する場合には、ステップS22aなどの工程を行わずに、ステップS23の工程を行う。
【0045】
ステップS22aで、茹でる対象の麺を入れたストレーナー50を第1鍋本体11の第1ストレーナー保持用部材11aに取り付ける。ステップS22bで、第1蓋13を第1鍋本体11に取り付ける。
【0046】
ステップS22cで、第2鍋本体21で熱せられた水を、第1鍋本体11に移動させる。具体的には、バルブ31を開く。第1上部排出口用バルブ12aは開いているので、第1圧力鍋10の内圧は、第2圧力鍋20の内圧よりも低い状態になっており、第1圧力鍋10よりも内圧が高い第2圧力鍋20の内部の液体がバルブ31を介して第1圧力鍋10に流入する。
【0047】
第1圧力鍋10の内部の液体が、所定の量(第1ストレーナー保持用部材11aに取り付けられたストレーナー50の麺を茹でるのに適当な量)になるように液送が完了した後に、ステップS22dで、第1上部排出口用バルブ12aとバルブ31を閉じる。第1燃焼器41の加熱により、第1圧力鍋10の内圧は上昇し、高い温度で、麺が茹でられる。
【0048】
ステップS23で、第2上部排出口用バルブ22aを開いて第2圧力鍋20の内圧を下げ、その後、第2蓋23を開き、茹であがった麺若しくは、茹であがった麺を含むストレーナー50を第2ストレーナー保持用部材21aから取り出す。
【0049】
引き続き、麺を茹でる場合には、ステップS23a〜ステップS23dの工程を行う。ステップS23の後に、麺を茹でる作業を終了する場合には、ステップS23aなどの工程を行わずに、ステップS24の工程を行う。
【0050】
ステップS23aで、茹でる対象の麺を入れたストレーナー50を第2鍋本体21の第2ストレーナー保持用部材21aに取り付ける。ステップS23bで、第2蓋23を第2鍋本体21に取り付ける。
【0051】
ステップS23cで、第1鍋本体11で熱せられた水を、第2鍋本体21に移動させる。具体的には、バルブ31を開く。第2上部排出口用バルブ22aは開いているので、第2圧力鍋20の内圧は、第1圧力鍋10の内圧よりも低い状態になっており、第2圧力鍋20よりも内圧が高い第1圧力鍋10の内部の液体がバルブ31を介して第2圧力鍋20に流入する。
【0052】
第2圧力鍋20の内部の液体が、所定の量(第2ストレーナー保持用部材21aに取り付けられたストレーナー50の麺を茹でるのに適当な量)になるように液送が完了した後に、ステップS23dで、第2上部排出口用バルブ22aとバルブ31を閉じる。第2燃焼器42の加熱により、第2圧力鍋20の内圧は上昇し、高い温度で、麺が茹でられる。
【0053】
第1圧力鍋10で麺をゆでている場合(直前に、ステップS22a〜ステップS22dの工程を行っている場合)には、ステップS24で、第1上部排出口用バルブ12aを開いて第1圧力鍋10の内圧を下げ、その後、第1蓋13を開き、茹であがった麺若しくは、茹であがった麺を含むストレーナー50を第1ストレーナー保持用部材11aから取り出す。さらに引き続き、麺を茹でる場合には、ステップS22aに戻る。
【0054】
第2圧力鍋20で麺をゆでている場合(直前に、ステップS23a〜ステップS23dの工程を行っている場合)には、ステップS25で、第2上部排出口用バルブ22aを開いて第2圧力鍋20の内圧を下げ、その後、第2蓋23を開き、茹であがった麺若しくは、茹であがった麺を含むストレーナー50を第2ストレーナー保持用部材21aから取り出す。さらに引き続き、麺を茹でる場合には、ステップS23aに戻る。
【0055】
本実施形態では、圧力鍋を使って麺を茹でるため、通常の鍋を使って茹であげる形態に比べて、茹であがるまでの時間を短縮することが可能になり、麺の糊化の進行を一定にし、所望の食感の茹であげが簡単に実現できるメリットがある。
【0056】
特に、2つの圧力鍋(第1圧力鍋10と第2圧力鍋20)を使い、麺投入工程(ステップS22aやステップS23a)を繰り返すことにより、第1圧力鍋10と第2圧力鍋20の一方で麺を茹でながら、他方で麺の投入や取り出しを行い、麺の出し入れ中でも、他の麺を茹でることが、圧力鍋を使った麺茹で装置で可能になる。このため、短期間で多くの麺を所望の食感になるように茹であげることが可能になる。
【0057】
加熱された水は、圧力鍋の内圧を使って、第1圧力鍋10と第2圧力鍋20との間を行き来する(ステップS22cやステップS23c参照)ので、1つの圧力鍋で麺を茹でる際に必要な水量と同程度の水で、2つの圧力鍋に投入された麺を茹であげることが出来る。
【0058】
また、加熱された水の殆どは、圧力鍋の内部の閉じた空間に集中し、蓋を開ける工程では、殆ど加熱された水が残っていない圧力鍋の蓋を開けることになる。このため、蓋を開けた時に外部の冷たい空気に触れて水温が下がる可能性を低くすることが出来、高温状態を維持しやすいメリットがある。
【0059】
茹であがった麺を圧力鍋から取り出す際の減圧は、当該圧力鍋の上部排出口用バルブを開状態にする工程(ステップS22、ステップS24、ステップS25)の前段階の、第1圧力鍋10と第2圧力鍋20との間を行き来する液送工程(ステップS20、ステップS22c、ステップS23c)で、ある程度行えるため、当該圧力鍋の蓋を開けた際に、圧力で内容物が飛び出す危険性を低くすることが出来る。また、液送工程で、ある程度減圧が出来ているため、ステップS22、ステップS24、ステップS25における上部排出口用バルブを開状態にして、蓋を開けることが出来る状態にする減圧工程を短くすることも可能になる。
【0060】
さらには、直前の麺を茹でる工程(ステップS21、ステップS22d、ステップS23d)で、麺を取り出す方の圧力鍋の上部排出口用バルブを開状態にしておいて、上述の減圧工程をさらに短くしてもよい(例えば、ステップS21の段階で、第1上部排出口用バルブ12aを開状態にしておく)。
【0061】
麺を茹でるのに使用する液体は、水でも良いが、ラーメンスープ(若しくはそのスープを抽出した後の具材から抽出したスープ)や、かかるスープに調味料を加えたものであってもよい。この場合には、茹でながら麺に下味を付けることが可能になり、スープ生成時の具材の有効活用になるメリットがある。また、麺に下味が付いていることにより、スープそのものの濃度を低くしても同等の味わいを得ることができるメリットがある。
【0062】
麺を茹でるのに使用する液体の補充は、圧力鍋の蓋を開けた時(例えば、ステップS14やステップS18)に、鍋本体の開口から投入することが出来るが、補充用鍋80を別途用意し、液送パイプ30を介して供給する形態であってもよい(図7参照)。なお、図7では、第2蓋23を省略している。
【0063】
具体的には、補充用鍋80に接続された補充用配管81の1つ(第1補充用配管81a)が、液送パイプ30の第1下部排出口17とバルブ31との間で接続され、他の1つ(第2補充用配管81b)が、液送パイプ30の第2下部排出口27とバルブ31との間で接続され、第1補充用配管81aに第1圧力鍋10と補充用鍋80との間の液体の流量を制御するストップバルブなどの第1バルブ81a1が設けられ、第2補充用配管81bに第2圧力鍋20と補充用鍋80との間の液体の流量を制御するストップバルブなどの第2バルブ81b1が設けられる。
【0064】
第1上部排出口用バルブ12aと第1バルブ81a1が開状態で、バルブ31と第2バルブ81b1が閉状態の時に、補充用鍋80から第1圧力鍋10に麺を茹でるのに使用する液体が補充される。
【0065】
第2上部排出口用バルブ22aと第2バルブ81b1が開状態で、バルブ31と第1バルブ81a1が閉状態の時に、補充用鍋80から第2圧力鍋20に麺を茹でるのに使用する液体が補充される。
【0066】
補充用鍋80からの液送は、補充用配管81に設けられたポンプ(不図示)によって行われても良いし、補充用鍋80を第1圧力鍋10や第2圧力鍋20よりも高い位置に置くか、補充用鍋80も圧力鍋を採用して、圧力差によって行われても良い。
【0067】
なお、第1補充用配管81aや第2補充用配管81bは、液送パイプ30に接続される形態に限らず、第1鍋本体11や第2鍋本体21に設けられた排出口に直接接続される形態であってもよいし、その排出口の位置は、鍋本体の下部に限らず上部に設ける形態であってもよい。
【0068】
また、麺を茹でた後の液体(ゆで汁)の排出用に、鍋本体の下部に、別の排出口を設ける形態であってもよい。
【0069】
また、本実施形態では、2つの圧力鍋(第1圧力鍋10と第2圧力鍋20)との間で、麺を茹でる液体の移動制御を行い、2つの圧力鍋で交互に麺を茹でる形態を説明したが、麺を茹でるのに使用する圧力鍋は、3つ以上であってもよい。この場合は、麺を茹でるのに使用する圧力鍋に、他の圧力鍋から液体を流入させ、麺が茹で終わると他の圧力鍋に液体を流入させる。
【符号の説明】
【0070】
1 麺茹で装置
10 第1圧力鍋
11 第1鍋本体
11a 第1ストレーナー保持用部材
12 第1配管
12a 第1上部排出口用バルブ
13 第1蓋
15 第1上部排出口
17 第1下部排出口
18 第1洗浄用排出口
19 洗浄用配管
19a 洗浄用排出口用バルブ
20 第2圧力鍋
21 第2鍋本体
21a 第2ストレーナー保持用部材
22 第2配管
22a 第2上部排出口用バルブ
23 第2蓋
25 第2上部排出口
27 第2下部排出口
28 第2洗浄用排出口
30 液送パイプ
31 バルブ
41、42 第1燃焼器、第2燃焼器
41a、42a 第1五徳、第2五徳
50 ストレーナー
81 補充用配管
81a、81b 第1補充用配管、第2補充用配管
81a1、81b1 第1バルブ、第2バルブ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に第1上部排出口を有し、下部に第1下部排出口を有する第1鍋本体と、前記第1鍋本体に取り付けられる第1蓋とを有する第1圧力鍋と、
上部に第2上部排出口を有し、下部に第2下部排出口を有する第2鍋本体と、前記第2鍋本体に取り付けられる第2蓋とを有する第2圧力鍋と、
一方の端部が前記第1下部排出口に接続され、他方の端部が前記第2下部排出口に接続された液送パイプとを備え、
前記第1上部排出口は、麺を保持するストレーナーが着脱可能な状態で保持される位置よりも高い位置に設けられ、
前記第2上部排出口は、麺を保持するストレーナーが着脱可能な状態で保持される位置よりも高い位置に設けられ、
前記液送パイプには、前記液送パイプの内部に流れる液体の流量を制御するバルブが設けられ、
前記第1上部排出口は、前記第1上部排出口から排出される気体の流量を制御する第1上部排出口用バルブが設けられ、
前記第2上部排出口は、前記第2上部排出口から排出される気体の流量を制御する第2上部排出口用バルブが設けられ、
前記第1蓋が前記第1鍋本体に取り付けられた状態の前記第1圧力鍋の内圧と前記第2蓋が前記第2鍋本体に取り付けられた状態の前記第2圧力鍋の内圧の差と、前記バルブと前記第1上部排出口用バルブと前記第2上部排出口用バルブの開閉制御に基づいて、前記第1圧力鍋と前記第2圧力鍋との間で、前記液送パイプを介して液体の移動が可能であることを特徴とする麺茹で装置。
【請求項2】
前記第1圧力鍋や前記第2圧力鍋と接続された補充用鍋を更に備え、
前記第1圧力鍋と前記補充用鍋とを接続する配管に、前記第1圧力鍋と前記補充用鍋との間の液体の流量を制御する第1バルブが設けられ、
前記第2圧力鍋と前記補充用鍋とを接続する配管に、前記第2圧力鍋と前記補充用鍋との間の液体の流量を制御する第2バルブが設けられ、
前記第1バルブと前記第1上部排出口用バルブの開閉制御に基づいて、前記補充用鍋と前記第1圧力鍋との間で、液体の移動が可能であり、
前記第2バルブと前記第2上部排出口用バルブの開閉制御に基づいて、前記補充用鍋と前記第2圧力鍋との間で、液体の移動が可能であることを特徴とする請求項1に記載の麺茹で装置。
【請求項3】
前記補充用鍋は、圧力鍋であり、
前記補充用鍋の内圧と前記第1圧力鍋の内圧の差と、前記第1バルブと前記第1上部排出口用バルブの開閉制御に基づいて、前記補充用鍋と前記第1圧力鍋との間で、液体の移動が行われ、
前記補充用鍋の内圧と前記第2圧力鍋の内圧の差と、前記第2バルブと前記第2上部排出口用バルブの開閉制御に基づいて、前記補充用鍋と前記第2圧力鍋との間で、液体の移動が行われることを特徴とする請求項2に記載の麺茹で装置。
【請求項4】
前記第1下部排出口は、前記第1鍋本体の下部であって、前記第1鍋本体の底板の上面よりも高い位置に設けられ、
前記第2下部排出口は、前記第2鍋本体の下部であって、前記第2鍋本体の底板の上面よりも高い位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の麺茹で装置。
【請求項5】
上部排出口と下部排出口を有する鍋本体と、前記鍋本体に取り付けられる蓋とを有する圧力鍋が2以上設けられ、
前記圧力鍋の下部排出口同士が接続された液送パイプを備え、
前記上部排出口は、麺を保持するストレーナーが着脱可能な状態で保持される位置よりも高い位置に設けられ、
前記液送パイプには、前記液送パイプの内部に流れる液体の流量を制御するバルブが設けられ、
前記上部排出口は、前記上部排出口から排出される気体の流量を制御する上部排出口用バルブが設けられ、
前記2以上の圧力鍋の内圧の差と、前記バルブと前記上部排出口用バルブの開閉制御に基づいて、前記液送パイプで接続された圧力鍋の間で、液体の移動が可能であることを特徴とする麺茹で装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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