麺類の製造方法
【課題】所定の断面形状を有するとともに手延べ麺特有の食感を有する麺類を比較的容易に製造できる方法を提供する。
【解決手段】断面形状が少なくとも1つの凹部を有する麺類を製造する方法であって、(1)小麦粉を含む原料を成形することにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する長尺物を得る工程、(2)前記長尺物の一方の端部と他方の端部とを長手方向に引っ張ることにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する麺類を得る工程を含むことを特徴とする麺類の製造方法に係る。
【解決手段】断面形状が少なくとも1つの凹部を有する麺類を製造する方法であって、(1)小麦粉を含む原料を成形することにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する長尺物を得る工程、(2)前記長尺物の一方の端部と他方の端部とを長手方向に引っ張ることにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する麺類を得る工程を含むことを特徴とする麺類の製造方法に係る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な麺類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
うどん、そうめん、ラーメン、パスタ等の麺類は、最もポピュラーな食材のひとつとして消費者の間に浸透しており、例えば汁麺、つけ麺、やきそば等のさまざまな調理方法により提供されている。最近では、消費者(顧客)の嗜好の多様化に伴い、そのニーズに応じて様々なタイプの麺類が提案されている。
【0003】
特に、茹で時間の短縮等を目的として、麺の断面形状を工夫した技術も提案されている。例えば、麺線の横断面の形状が長方形または略長方形の麺類であって、前記麺線の縦方向に沿った複数の溝を有し、前記麺線の横断面における前記複数の溝の部分の面積の合計が、その横断面の長方形または略長方形の面積の20〜50%であることを特徴とする溝付き麺類が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−77700
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、最終的に所定の細さに成形された麺に所定の溝形成加工を行うものであるため、比較的高い加工精度が要求され、その加工は容易なものとは言えない。また、消費者のニーズに応えるため、食感という点においてもさらなる工夫が必要である。
【0006】
従って、本発明の主な目的は、所定の断面形状を有するとともに手延べ麺特有の食感を有する麺類を比較的容易に製造できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の製造工程を採用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記の麺類の製造方法に係る。
1. 断面形状が少なくとも1つの凹部を有する麺類を製造する方法であって、
(1)小麦粉を含む原料を成形することにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する長尺物を得る工程、
(2)前記長尺物の一方の端部と他方の端部とを長手方向に引っ張ることにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する麺類を得る工程
を含むことを特徴とする麺類の製造方法。
2. 前記小麦粉を含む原料が棒状成形体である、前記項1に記載の麺類の製造方法。
3. 前記棒状成形体の表面が植物油によりコーティングされている、前記項2に記載の麺類の製造方法。
4. 前記小麦粉としてデュラム小麦を含む、前記項1に記載の麺類の製造方法。
5. 前記麺類の断面の最長径が2〜5mmである、前記項1に記載の麺類の製造方法。
6. 前記項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られる麺類。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法によれば、予め断面形状を形成した上で引っ張り加工を行うので、その当初の断面形状に由来した断面形状を得ることができる。すなわち、最終的に細長く成形された麺に直接加工する必要がないので、所定の断面形状を有する麺類を比較的容易に製造することができる。
【0010】
そして、本発明の製造方法による麺類は、断面形状が凹凸状の麺類を提供することができる。これにより、茹で時間が短縮されるととともに、茹で上がった麺類もその断面形状により調味料、ソース、スープ等がより多く絡みやすくなる。また、断面形状の加工後に引っ張り加工が施されているので、手延べ麺がもつ固有の食感(つるつる感、芯の強さ(こし)等)を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の製造方法により得られる麺類の断面形状の一例を示す図である。
【図2】本発明の製造方法により得られる麺類の断面形状の一例を示す図である。
【図3】本発明の製造方法により得られる麺類の断面形状の一例を示す図である。
【図4】本発明の製造方法により得られる麺類の断面形状の一例を示す図である。
【図5】本発明の製造方法により得られる麺類の断面形状の一例を示す図である。
【図6】型(ダイ)の開口部の断面形状の一例を示す模式図である。
【図7】型の開口部がプーリで構成された状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の麺類の製造方法は、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する麺類を製造する方法であって、
(1)小麦粉を含む原料を成形することにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する長尺物を得る工程(成形工程)、
(2)前記長尺物の一方の端部と他方の端部とを長手方向に引っ張ることにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する麺類を得る工程(引っ張り工程)
を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明による麺類は、前記の通り、断面形状が少なくとも1つの凹部を有するものである。例えば、図1に麺類の断面形状の一例を示す。図1のように、麺類1において、凹部2を3つ有する断面形状が例示できる。その他にも、図2のような凹部2が2つの断面形状、図3のような凹部2が1つの断面形状であっても良い。また、図5のように、凹部の深さが比較的小さい(浅い)断面形状も本発明に包含される。なお、図1の断面形状等では凹部2は略U字状(円弧状)になっているが、図4のように凹部2が凹字状(矩形状)であっても良く、その他にもV字状等であっても良い。
【0014】
本発明による麺類の太さは限定的でなく、公知又は市販の麺類と同等に設定することができるが、一般的には最長径(断面の直径で最も長くなる部分の長さ(図1に示すD))が1〜9mm、特に2〜8mm、さらには2〜5mmの範囲内で適宜調整することができる。
【0015】
成形工程
小麦粉を含む原料を成形することにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する長尺物を得る。
【0016】
本発明の製造方法で用いる原料(生地)としては、小麦粉を含むものであれば限定されず、公知の麺類で用いられる原料と同様のものを使用することができる。ここで、麺類としては、例えばうどん、冷麦、そうめん、中華麺、パスタ等が挙げられる。より具体的には、小麦粉、食塩及び水を含む混練物を原料として用いることができる。原料(又は混練物)の調製は、ミキサー、ニーダー等の公知又は市販の装置を用いて公知の方法に従って実施することができる。
【0017】
特に、本発明の製造方法はオリーブオイル含有パスタの製造にも好適である。オリーブオイル含有パスタの原料としては、小麦粉(デュラム小麦粉を除く。)、デュラム小麦粉、オリーブオイル、食塩及び水を含む混練物を用いることができる。上記の小麦粉(デュラム小麦粉を除く。)として、強力小麦粉、準強力小麦粉等(以下、これらを「強力小麦粉」と称する。)を用いることができる。この場合の配合割合としては限定的ではないが、通常は、デュラム小麦粉100重量部に対し、強力小麦粉150〜350重量部程度とし、前記小麦粉の合計100重量部に対して塩3〜10重量部程度、オリーブオイル1〜5重量部程度とすれば良い。水の配合量は、用いる小麦粉等に応じて適宜設定すれば良いが、一般的には小麦粉1kg当たり1〜2リットル程度とすれば良い。この場合も、その混練物の調製そのものは公知の方法に従って実施することができる。
【0018】
成形工程における成形方法としては特に限定されず、例えば押し出し成形、圧延成形等のように公知の麺類の製造で採用されている方法も用いることができる。例えば、本発明では、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する開口部を有する型に前記原料を導入し、当該開口部から前記原料を吐出させることにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する長尺物を好適に得ることができる。
【0019】
前記の型としては、開口部の断面形状が少なくとも1つの凹部を有するものを用いることができる。例えば、図6に示すような開口部22を有する型(ダイ)21を用いることができる。この場合の開口部22の断面形状は3つの凹部を有する。型の奥行き(原料又は混練物が通過する通路(断面形状が少なくとも1つの凹部を有する通路(ノズル))の長さ)は、公知の型と同程度であれば良く、一般的には2〜6cm程度である。また、型を構成する材質も特に限定的でなく、例えば金属、プラスチック等のいずれであっても良い。
【0020】
本発明では、型は、必要に応じて、成形性、製造効率等を高めることを目的として、型における開口部(ノズル)を構成する壁面(原料と接触する面)の一部又は全部は、ローラー(あるいはプーリ)から構成されていても良い。例えば、図6のような開口部を有する型として、その開口部が上プーリ及び下プーリの2つのプーリから開口部を構成する型を用いることができる。より具体的には、図7に示すように、上プーリ71及び下プーリ72の2つのプーリによって所定の断面形状を有する開口部を構成し、その開口部から原料を吐出させることにより、所望の長尺物を成形することができる。この場合、上プーリ及び下プーリの設置個数、形状、組合せ方等は、長尺物の断面形状、原料の材質等に応じて適宜調節することができる。なお、図7では、上プーリ本体の上半分、下プーリ本体の下半分の図示は省略されている。
【0021】
上記のように、所定の形状をもつ開口部から原料を吐出させる場合には、その開口物の形状に由来する断面形状をもつ長尺物を得ることができる。すなわち、型から原料を吐出させることにより前記開口部とほぼ同じ断面形状を有する長尺物を得ることができる。
【0022】
また、本発明では、成形工程に先立って、原料を棒状成形体としても良い。これにより、より円滑にダイに原料を導入することが可能となる。さらに、この棒状成形体の表面を植物油によりコーティングしても良い。これにより、棒状形成体どうしが引っ付くこと等を防止することができる。前記の植物油としては、例えばごま油、オリーブオイル等を用いることができる。
【0023】
引っ張り工程
引っ張り工程では、前記長尺物の一方の端部と他方の端部とを長手方向に引っ張ることにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する麺類を得る。
【0024】
長尺物の一方の端部と他方の端部とを長手方向に引っ張る方法自体は、従来の手延べそうめんの製法等で採用されている方法と同様にすれば良い。例えば、2つの棒に長尺物を八の字で巻き上げ、2つの棒が離れるようにしながら長尺物を長手方向に引っ張れば良い。そして、麺が所望の太さになった時点で引っ張りを停止し、そのまま熟成すれば良い。このようにして本発明による麺類を製造することができる。
【0025】
この場合、長尺物の断面形状はダイの断面形状に基づくものとなっているが、引っ張り工程により得られる麺類の断面形状は長尺物の断面形状に由来する形状(例えば略相似形状)となる。特に、引っ張り工程により得られる麺類の断面形状は、長尺物の断面形状が有する凹部と同じ数を有する形状となる。
【0026】
また、長尺物を長手方向に引っ張る程度としては、製造する麺の種類等に応じて適宜調節することができるが、通常は前記長尺物の最長径が50〜80%程度、特に50〜60%程度となるようにすることが好ましい。これにより、長尺物の断面形状を大幅に変形させることなく、なおかつ、手延べ麺の特徴をより効果的に引き出すことができる。
【0027】
本発明では、必要に応じて、得られた麺類をさらに乾燥工程を供することもできる。乾燥工程は、公知の方法に従って、例えば室内干し、天日干し、陰干し等を適宜実施すれば良い。このようにして乾麺を得ることができる。
【0028】
また、必要に応じて、麺類を所定の長さに裁断してり、さらに包装することもできる。これらの工程は公知の方法に従って実施することができる。
【実施例】
【0029】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
【0030】
実施例1
本発明の製造方法に従ってオリーブオイル含有パスタを製造した。まず、原料の調製として、デュラム小麦25kg、通常の小麦(強力小麦粉)50kg、食塩4.2kg、オリーブオイル1.5kg及び水90リットルをミキサーで30分間混練した。次いで、得られた混練物を麺圧機で帯状に成形し、これを太さ約7mmとなるように細長く伸ばすことにより棒状成形体を得た。この棒状成形体の表面にオリーブオイルを塗布した後、図6に示すように開口部の断面形状が3つの凹部を有する型を用い、前記棒状成形体を型の開口部から吐出させることによって前記断面形状に由来する断面形状をもつ長尺物を得た。この場合、型としては、図7に示すように開口部がプーリにより構成された成形装置を用いた。
【0031】
得られた長尺物を二本の木製棒に八の字で掛け巻き、長尺物の両端を引っ張ることにより長尺物を長手方向に引き伸ばし、その断面の最長径を約4mmとした後、約2時間熟成し、さらに約6時間乾燥することによって、図1のような断面形状を有するオリーブオイル含有パスタ(乾麺)を得た。
【0032】
得られたオリーブオイル含有パスタを茹でたところ、約3分で茹で上げることができた。また、この茹で上げたパスタは、つるつるしており、芯のある食感を有しており、手延べ麺特有の食感であり、市販のパスタと異なる食感を有することが確認された。
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な麺類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
うどん、そうめん、ラーメン、パスタ等の麺類は、最もポピュラーな食材のひとつとして消費者の間に浸透しており、例えば汁麺、つけ麺、やきそば等のさまざまな調理方法により提供されている。最近では、消費者(顧客)の嗜好の多様化に伴い、そのニーズに応じて様々なタイプの麺類が提案されている。
【0003】
特に、茹で時間の短縮等を目的として、麺の断面形状を工夫した技術も提案されている。例えば、麺線の横断面の形状が長方形または略長方形の麺類であって、前記麺線の縦方向に沿った複数の溝を有し、前記麺線の横断面における前記複数の溝の部分の面積の合計が、その横断面の長方形または略長方形の面積の20〜50%であることを特徴とする溝付き麺類が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−77700
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、最終的に所定の細さに成形された麺に所定の溝形成加工を行うものであるため、比較的高い加工精度が要求され、その加工は容易なものとは言えない。また、消費者のニーズに応えるため、食感という点においてもさらなる工夫が必要である。
【0006】
従って、本発明の主な目的は、所定の断面形状を有するとともに手延べ麺特有の食感を有する麺類を比較的容易に製造できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の製造工程を採用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記の麺類の製造方法に係る。
1. 断面形状が少なくとも1つの凹部を有する麺類を製造する方法であって、
(1)小麦粉を含む原料を成形することにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する長尺物を得る工程、
(2)前記長尺物の一方の端部と他方の端部とを長手方向に引っ張ることにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する麺類を得る工程
を含むことを特徴とする麺類の製造方法。
2. 前記小麦粉を含む原料が棒状成形体である、前記項1に記載の麺類の製造方法。
3. 前記棒状成形体の表面が植物油によりコーティングされている、前記項2に記載の麺類の製造方法。
4. 前記小麦粉としてデュラム小麦を含む、前記項1に記載の麺類の製造方法。
5. 前記麺類の断面の最長径が2〜5mmである、前記項1に記載の麺類の製造方法。
6. 前記項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られる麺類。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法によれば、予め断面形状を形成した上で引っ張り加工を行うので、その当初の断面形状に由来した断面形状を得ることができる。すなわち、最終的に細長く成形された麺に直接加工する必要がないので、所定の断面形状を有する麺類を比較的容易に製造することができる。
【0010】
そして、本発明の製造方法による麺類は、断面形状が凹凸状の麺類を提供することができる。これにより、茹で時間が短縮されるととともに、茹で上がった麺類もその断面形状により調味料、ソース、スープ等がより多く絡みやすくなる。また、断面形状の加工後に引っ張り加工が施されているので、手延べ麺がもつ固有の食感(つるつる感、芯の強さ(こし)等)を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の製造方法により得られる麺類の断面形状の一例を示す図である。
【図2】本発明の製造方法により得られる麺類の断面形状の一例を示す図である。
【図3】本発明の製造方法により得られる麺類の断面形状の一例を示す図である。
【図4】本発明の製造方法により得られる麺類の断面形状の一例を示す図である。
【図5】本発明の製造方法により得られる麺類の断面形状の一例を示す図である。
【図6】型(ダイ)の開口部の断面形状の一例を示す模式図である。
【図7】型の開口部がプーリで構成された状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の麺類の製造方法は、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する麺類を製造する方法であって、
(1)小麦粉を含む原料を成形することにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する長尺物を得る工程(成形工程)、
(2)前記長尺物の一方の端部と他方の端部とを長手方向に引っ張ることにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する麺類を得る工程(引っ張り工程)
を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明による麺類は、前記の通り、断面形状が少なくとも1つの凹部を有するものである。例えば、図1に麺類の断面形状の一例を示す。図1のように、麺類1において、凹部2を3つ有する断面形状が例示できる。その他にも、図2のような凹部2が2つの断面形状、図3のような凹部2が1つの断面形状であっても良い。また、図5のように、凹部の深さが比較的小さい(浅い)断面形状も本発明に包含される。なお、図1の断面形状等では凹部2は略U字状(円弧状)になっているが、図4のように凹部2が凹字状(矩形状)であっても良く、その他にもV字状等であっても良い。
【0014】
本発明による麺類の太さは限定的でなく、公知又は市販の麺類と同等に設定することができるが、一般的には最長径(断面の直径で最も長くなる部分の長さ(図1に示すD))が1〜9mm、特に2〜8mm、さらには2〜5mmの範囲内で適宜調整することができる。
【0015】
成形工程
小麦粉を含む原料を成形することにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する長尺物を得る。
【0016】
本発明の製造方法で用いる原料(生地)としては、小麦粉を含むものであれば限定されず、公知の麺類で用いられる原料と同様のものを使用することができる。ここで、麺類としては、例えばうどん、冷麦、そうめん、中華麺、パスタ等が挙げられる。より具体的には、小麦粉、食塩及び水を含む混練物を原料として用いることができる。原料(又は混練物)の調製は、ミキサー、ニーダー等の公知又は市販の装置を用いて公知の方法に従って実施することができる。
【0017】
特に、本発明の製造方法はオリーブオイル含有パスタの製造にも好適である。オリーブオイル含有パスタの原料としては、小麦粉(デュラム小麦粉を除く。)、デュラム小麦粉、オリーブオイル、食塩及び水を含む混練物を用いることができる。上記の小麦粉(デュラム小麦粉を除く。)として、強力小麦粉、準強力小麦粉等(以下、これらを「強力小麦粉」と称する。)を用いることができる。この場合の配合割合としては限定的ではないが、通常は、デュラム小麦粉100重量部に対し、強力小麦粉150〜350重量部程度とし、前記小麦粉の合計100重量部に対して塩3〜10重量部程度、オリーブオイル1〜5重量部程度とすれば良い。水の配合量は、用いる小麦粉等に応じて適宜設定すれば良いが、一般的には小麦粉1kg当たり1〜2リットル程度とすれば良い。この場合も、その混練物の調製そのものは公知の方法に従って実施することができる。
【0018】
成形工程における成形方法としては特に限定されず、例えば押し出し成形、圧延成形等のように公知の麺類の製造で採用されている方法も用いることができる。例えば、本発明では、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する開口部を有する型に前記原料を導入し、当該開口部から前記原料を吐出させることにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する長尺物を好適に得ることができる。
【0019】
前記の型としては、開口部の断面形状が少なくとも1つの凹部を有するものを用いることができる。例えば、図6に示すような開口部22を有する型(ダイ)21を用いることができる。この場合の開口部22の断面形状は3つの凹部を有する。型の奥行き(原料又は混練物が通過する通路(断面形状が少なくとも1つの凹部を有する通路(ノズル))の長さ)は、公知の型と同程度であれば良く、一般的には2〜6cm程度である。また、型を構成する材質も特に限定的でなく、例えば金属、プラスチック等のいずれであっても良い。
【0020】
本発明では、型は、必要に応じて、成形性、製造効率等を高めることを目的として、型における開口部(ノズル)を構成する壁面(原料と接触する面)の一部又は全部は、ローラー(あるいはプーリ)から構成されていても良い。例えば、図6のような開口部を有する型として、その開口部が上プーリ及び下プーリの2つのプーリから開口部を構成する型を用いることができる。より具体的には、図7に示すように、上プーリ71及び下プーリ72の2つのプーリによって所定の断面形状を有する開口部を構成し、その開口部から原料を吐出させることにより、所望の長尺物を成形することができる。この場合、上プーリ及び下プーリの設置個数、形状、組合せ方等は、長尺物の断面形状、原料の材質等に応じて適宜調節することができる。なお、図7では、上プーリ本体の上半分、下プーリ本体の下半分の図示は省略されている。
【0021】
上記のように、所定の形状をもつ開口部から原料を吐出させる場合には、その開口物の形状に由来する断面形状をもつ長尺物を得ることができる。すなわち、型から原料を吐出させることにより前記開口部とほぼ同じ断面形状を有する長尺物を得ることができる。
【0022】
また、本発明では、成形工程に先立って、原料を棒状成形体としても良い。これにより、より円滑にダイに原料を導入することが可能となる。さらに、この棒状成形体の表面を植物油によりコーティングしても良い。これにより、棒状形成体どうしが引っ付くこと等を防止することができる。前記の植物油としては、例えばごま油、オリーブオイル等を用いることができる。
【0023】
引っ張り工程
引っ張り工程では、前記長尺物の一方の端部と他方の端部とを長手方向に引っ張ることにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する麺類を得る。
【0024】
長尺物の一方の端部と他方の端部とを長手方向に引っ張る方法自体は、従来の手延べそうめんの製法等で採用されている方法と同様にすれば良い。例えば、2つの棒に長尺物を八の字で巻き上げ、2つの棒が離れるようにしながら長尺物を長手方向に引っ張れば良い。そして、麺が所望の太さになった時点で引っ張りを停止し、そのまま熟成すれば良い。このようにして本発明による麺類を製造することができる。
【0025】
この場合、長尺物の断面形状はダイの断面形状に基づくものとなっているが、引っ張り工程により得られる麺類の断面形状は長尺物の断面形状に由来する形状(例えば略相似形状)となる。特に、引っ張り工程により得られる麺類の断面形状は、長尺物の断面形状が有する凹部と同じ数を有する形状となる。
【0026】
また、長尺物を長手方向に引っ張る程度としては、製造する麺の種類等に応じて適宜調節することができるが、通常は前記長尺物の最長径が50〜80%程度、特に50〜60%程度となるようにすることが好ましい。これにより、長尺物の断面形状を大幅に変形させることなく、なおかつ、手延べ麺の特徴をより効果的に引き出すことができる。
【0027】
本発明では、必要に応じて、得られた麺類をさらに乾燥工程を供することもできる。乾燥工程は、公知の方法に従って、例えば室内干し、天日干し、陰干し等を適宜実施すれば良い。このようにして乾麺を得ることができる。
【0028】
また、必要に応じて、麺類を所定の長さに裁断してり、さらに包装することもできる。これらの工程は公知の方法に従って実施することができる。
【実施例】
【0029】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
【0030】
実施例1
本発明の製造方法に従ってオリーブオイル含有パスタを製造した。まず、原料の調製として、デュラム小麦25kg、通常の小麦(強力小麦粉)50kg、食塩4.2kg、オリーブオイル1.5kg及び水90リットルをミキサーで30分間混練した。次いで、得られた混練物を麺圧機で帯状に成形し、これを太さ約7mmとなるように細長く伸ばすことにより棒状成形体を得た。この棒状成形体の表面にオリーブオイルを塗布した後、図6に示すように開口部の断面形状が3つの凹部を有する型を用い、前記棒状成形体を型の開口部から吐出させることによって前記断面形状に由来する断面形状をもつ長尺物を得た。この場合、型としては、図7に示すように開口部がプーリにより構成された成形装置を用いた。
【0031】
得られた長尺物を二本の木製棒に八の字で掛け巻き、長尺物の両端を引っ張ることにより長尺物を長手方向に引き伸ばし、その断面の最長径を約4mmとした後、約2時間熟成し、さらに約6時間乾燥することによって、図1のような断面形状を有するオリーブオイル含有パスタ(乾麺)を得た。
【0032】
得られたオリーブオイル含有パスタを茹でたところ、約3分で茹で上げることができた。また、この茹で上げたパスタは、つるつるしており、芯のある食感を有しており、手延べ麺特有の食感であり、市販のパスタと異なる食感を有することが確認された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面形状が少なくとも1つの凹部を有する麺類を製造する方法であって、
(1)小麦粉を含む原料を成形することにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する長尺物を得る工程、
(2)前記長尺物の一方の端部と他方の端部とを長手方向に引っ張ることにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する麺類を得る工程
を含むことを特徴とする麺類の製造方法。
【請求項2】
前記小麦粉を含む原料が棒状成形体である、請求項1に記載の麺類の製造方法。
【請求項3】
前記棒状成形体の表面が植物油によりコーティングされている、請求項2に記載の麺類の製造方法。
【請求項4】
前記小麦粉としてデュラム小麦を含む、請求項1に記載の麺類の製造方法。
【請求項5】
前記麺類の断面の最長径が2〜5mmである、請求項1に記載の麺類の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られる麺類。
【請求項1】
断面形状が少なくとも1つの凹部を有する麺類を製造する方法であって、
(1)小麦粉を含む原料を成形することにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する長尺物を得る工程、
(2)前記長尺物の一方の端部と他方の端部とを長手方向に引っ張ることにより、断面形状が少なくとも1つの凹部を有する麺類を得る工程
を含むことを特徴とする麺類の製造方法。
【請求項2】
前記小麦粉を含む原料が棒状成形体である、請求項1に記載の麺類の製造方法。
【請求項3】
前記棒状成形体の表面が植物油によりコーティングされている、請求項2に記載の麺類の製造方法。
【請求項4】
前記小麦粉としてデュラム小麦を含む、請求項1に記載の麺類の製造方法。
【請求項5】
前記麺類の断面の最長径が2〜5mmである、請求項1に記載の麺類の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られる麺類。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2011−250770(P2011−250770A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128570(P2010−128570)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(510156790)共栄食糧株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(510156790)共栄食糧株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]