説明

黒鉛含有充填材

【課題】 施工液に水及び/又はアルコールを用いていながら優れた熱伝導性を示すことができる黒鉛含有充填材を提供する。
【解決手段】 本発明の黒鉛含有充填材は、黒鉛:80質量%以上と、前記黒鉛よりも平均粒径が小さい無定形炭素:0.1質量%以上と、水溶性高分子:1質量%以上とよりなる粉体組成物に、水及び/又はアルコールを加えて練り込んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒鉛を含む粉体組成物に施工液を加えて練り込んでなる黒鉛含有充填材に関し、特に施工液に水及び/又はアルコールを用いた黒鉛含有充填材に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、高炉の炉底部を例に挙げて、黒鉛含有充填材の使用形態を説明する。
【0003】
図1は、高炉の炉底部の断面図である。高炉1の鉄皮の底板2の下方に熱伝導層3が設けられ、その下方に断熱層5を介して基礎コンクリート6が位置している。熱伝導層3内に冷却パイプ4が挿通している。なお、底板2はI型鋼ビーム7で支持されているため、高炉1の荷重が冷却パイプ4及び熱伝導層3に加わることはない。
【0004】
冷却パイプ4内を流れる冷却水により、熱伝導層3を通じて高炉1の炉底部が冷却される。冷却を効率的に行うために、熱伝導層3が良好な熱伝導性を有していることが望まれる。そこで、熱伝導層3には、熱伝導性が良好な素材である黒鉛が用いられる。
【0005】
熱伝導層3は、次のようにして形成される。まず、冷却パイプ4の周囲に、黒鉛質スタンプ材を打ち込み施工する。打ち込み施工であることから寸法精度が良くない上に、底板2の面積が極めて広いことから、熱伝導層3は底板2と密着せず、場所によっては両者間に空隙が生ずることがある。
【0006】
そのような空隙の存在は、高炉1から冷却パイプ4への熱の移動を妨げる要因となる。そこで、空隙の形成を防止するために、底板2と熱伝導層3との間に意図的に数ミリ程度の隙間を形成し、その隙間に黒鉛含有充填材を圧入するようにしている。
【0007】
黒鉛含有充填材は、黒鉛を含む粉体組成物に施工液を加えて練り込んでなる。黒鉛含有充填材は、施工液に水を用いた水系と、液状レジン、タール、及び/又はピッチを用いた非水系とに大別される。
【0008】
非水系の黒鉛含有充填材は、底板2と熱伝導層3との間に施工する際に、施工液が熱伝導層3に吸収され、流動性が失われる結果、底板2と熱伝導層3との隙間に密に充填しない等の問題があるとの報告がある(特許文献1参照)。また、非水系の黒鉛含有充填材は、その流動性が外気温に左右されやすく、冬場の施工では充填不良が発生しやすい等の欠点をもつ。
【0009】
このような理由で、図1の底板2と熱伝導層3との間には、水系の黒鉛含有充填材の使用が望まれる。従来、水系の黒鉛含有充填材として、特許文献1及び2に開示のものが知られている。
【0010】
特許文献1は、黒鉛を10〜30質量%含み、残部は炭化珪素を主体とした粉体組成物に、水を加えて練り込んでなる水系の黒鉛含有充填材を開示している。
【0011】
特許文献2は、黒鉛:60質量%と、粘土:40質量%とよりなる粉体組成物に、水を加えて練り込んでなる水系の黒鉛含有充填材を開示している(特許文献2の第1表、配合例1参照)。
【0012】
また、黒鉛含有充填材ではないが、黒鉛と水とを含むものとして、特許文献3及び4に開示のものが知られている。
【0013】
特許文献3は、黒鉛:50〜95質量%と、水溶性高分子5〜50質量%とを水に分散させてなる潤滑剤分散液を開示している。
【0014】
特許文献4は、黒鉛と水溶性高分子とを含む黒色水性インキを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2008−156133号公報
【特許文献2】特開昭53−133217号公報
【特許文献3】特開昭58−47097号公報
【特許文献4】特開2005−162792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
水系の黒鉛含有充填材は、黒鉛が水に濡れにくいため、粉体組成物を施工液と分離させずに練り込むことが難しいという課題をもつ。
【0017】
この点、特許文献1は、黒鉛は水との濡れ性が悪いが、粉体組成物に占める黒鉛の割合を30質量%以下に抑えれば、水による混練が可能になると説明している。また、特許文献2は、粘土を併用すれば水による混練が可能になると説明している。
【0018】
しかし、特許文献1や2に開示されるように、従来の水系の黒鉛含有充填材は、黒鉛の配合量を抑え、粘土や炭化珪素といった熱伝導性が黒鉛に劣るものを多く併用することが必須であるため、充填材全体として良好な熱伝導性を得がたい。
【0019】
本願発明者らは、水溶性高分子を用いれば、施工液に水を用いても、練り込みの際の黒鉛の分離を防止できることを見出した。特許文献3及び4は、黒鉛と水溶性高分子との組み合わせを開示しているが、単に黒鉛と水溶性高分子とを組み合わせるだけでは、熱伝導性の向上を図ることに関して不充分である。
【0020】
本発明の目的は、施工液に水及び/又はアルコールを用いていながら優れた熱伝導性を示すことができる黒鉛含有充填材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の一観点によれば、黒鉛:80質量%以上と、前記黒鉛よりも平均粒径が小さい無定形炭素:0.1質量%以上と、水溶性高分子:1質量%以上とよりなる粉体組成物に、水及び/又はアルコールを加えて練り込んでなる黒鉛含有充填材が提供される。
【発明の効果】
【0022】
水溶性高分子を1質量%以上用いることで、施工液に水及び/又はアルコールを用いても、練り込みの際の黒鉛の分離を防止できる。このため、粉体組成物の殆ど、具体的には80質量%以上を黒鉛で構成することが可能となる。
【0023】
加えて、黒鉛よりも平均粒径が小さい無定形炭素が、黒鉛の粒子間に介在し、黒鉛の粒子間の熱伝導を促進する効果をもつ。この効果は無定形炭素の0.1質量%以上の添加において発現する。無定形炭素は、黒鉛に比べると異方性が小さいため、黒鉛の粒子間の熱伝導性を高める効果を確実なものとすることができる。
【0024】
以上の結果、充填材全体として優れた熱伝導性を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】高炉の炉底部の断面図である。
【図2】高炉の炉壁部におけるステーブクーラ周りの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
黒鉛としては、例えば、鱗状黒鉛や土状黒鉛等の天然黒鉛、製鋼用電極の破砕材(いわゆる電極屑)等の人造黒鉛から選択される一種以上を用いることができる。中でも結晶性が高く、熱伝導性に優れている点で、鱗状黒鉛が好ましい。
【0027】
黒鉛の中でも鱗状黒鉛は異方性が大きいため、特に、黒鉛として鱗状黒鉛を用いる場合に、無定形炭素を併用して、鱗状黒鉛がもつ異方性を緩和する意義が大きい。
【0028】
黒鉛は、緻密な充填構造を有し、かつ水溶性高分子及び無定形炭素との併用において良好な作業性を得る観点から、ブロードな粒度分布をもつことが好ましい。具体的には、黒鉛は、粒径0.15mm未満:3質量%以上、粒径0.15mm以上0.21mm未満:20質量%以上、粒径0.21mm以上0.3mm未満:20質量%以上、及び粒径0.3mm以上:10質量%以上よりなることが好ましい。
【0029】
本明細書において、粒子の粒径がd未満とは、その粒子がJIS−Z8801に規定する目開きdの篩を通過する粒度であることを意味し、粒子の粒径がd以上とは、その粒子が同篩上に残る粒度であることを意味する。
【0030】
無定形炭素としては、例えば、カーボンブラック、カーボンウィスカー、コークス、無煙炭、石炭粉、カーボン質れんが屑等から選択される一種以上を用いることができる。
【0031】
無定形炭素の平均粒径は、黒鉛よりも小さければ特に限定されない。例えば、黒鉛の平均粒径が75〜300μmの場合、無定形炭素の平均粒径は0.1μm以下が好ましい。
【0032】
本明細書において、平均粒径とは、レーザ回折散乱式粒度分布計で測定された累積曲線の中央累積値(D50)にあたる体積平均粒径をいう。
【0033】
水溶性高分子としては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、リグニンスルホン酸塩、無水マレイン酸‐イソブチレンコポリマー、アルギン酸ソーダ、アルギン酸アンモニウム、デキストリン、サンザンガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、アラビアゴム、山芋澱粉、タロイモ澱粉、緑豆澱粉、米澱粉、コーンスターチ、その他の澱粉等から選択される一種以上を用いることができる。
【0034】
水溶性高分子としては、2質量%水溶液における粘度(以下、単に水溶性高分子の粘度ともいう。)が1〜10Pa・sのものが好ましい。水溶性高分子の粘度が1Pa・s以上であることで、だれ落ちが生じにくく、良好な作業性が得られやすい。水溶性高分子の粘度が10Pa・s以下であることで、黒鉛の粒子間距離が大きくなることを防止し、良好な熱伝導性を得ることに貢献する。
【0035】
本明細書において、粘度とは、測定対象である流体が20℃のときの、B型粘度計を用いた30rpmにおける測定値をいう。
【0036】
施工液には、水及び/又はアルコールを用いる。アルコールとしては、メタノールやエタノール等の1価アルコールが好ましい。施工液の添加量は、黒鉛含有充填材の施工形態等に応じて適宜に決められる。例えば、粉体組成物100体積%に対する外かけで、10〜50体積%とすることで、充填材に圧入や塗布が可能な可塑性を付与できる。
【0037】
本明細書において、粉体組成物に対する施工液の添加量(体積%)は、粉体組成物のゆるめ嵩に基づいて算出するものとする。ゆるみ嵩とは、対象粉体を容器に静かにそそぎ込んだときの対象粉体が占める体積をいう。
【0038】
以下、本発明の黒鉛含有充填材の用途について説明する。
【0039】
本発明の黒鉛含有充填材は、例えば、図1の高炉1の鉄皮の一部である底板2とその下方の熱伝導層3との間に好ましく用いることができる。本発明の黒鉛含有充填材は、熱伝導性に優れているため、底板2から熱伝導層3に至る熱抵抗を低減し、冷却パイプ4による炉底部の冷却効率を高めることができる。
【0040】
なお、本発明の黒鉛含有充填材を図1の底板2と熱伝導層3との間に施工した後は、通常、これを加熱乾燥する。高炉においては、内張り耐火物が水蒸気による酸化をきらうため、水系の黒鉛含有充填材は通常使用されないが、図1の底板2の下部等のように鉄皮の外側での使用であれば、内張り耐火物の水蒸気酸化の問題は生じにくい。
【0041】
以上を踏まえ、本発明の第1の具体的態様によれば、高炉炉体その他の冷却対象物から冷却パイプその他の冷却手段に至る熱の移動経路の少なくとも一部分を構成するものとして、施工された後、加熱乾燥されてから使用される上記黒鉛含有充填材が提供される。
【0042】
また、本発明の黒鉛含有充填材は、高炉鉄皮の内側であっても、施工液の逸散を防止できる封入状態であれば、未乾燥状態で使用されうる。従来、水系の黒鉛含有充填材を加熱乾燥することなく封入状態で使用するという技術思想は知られていない。
【0043】
以下、黒鉛含有充填材を封入状態で使用する態様例について説明する。
【0044】
図2は、高炉の炉壁部におけるステーブクーラ周りの断面図である。ステーブクーラ10は、不定形耐火物11を介して鉄皮12に取り付けられた受熱盤13と、この受熱盤13内に挿通され、内部を冷却水が流れる冷却パイプ14とを備える。冷却パイプ14内を流れる冷却水により、受熱盤13を通じて炉壁が冷却される。
【0045】
受熱盤13と冷却パイプ14との間に、黒鉛含有充填材15が封入されている。黒鉛含有充填材15の封入は、例えば、受熱盤13の表面における黒鉛含有充填材15の露出部分をシリコーン等のシール材16、及び/又は不定形耐火物11で覆うことにより実現することができる。
【0046】
黒鉛含有充填材15を封入状態とすることで、黒鉛含有充填材15中の水及び/又はアルコールそのものの熱伝導性の良さが活かされるため、非水系の黒鉛含有充填材よりも優れた熱伝導性を示し得る。即ち、水及びアルコールは、液状レジン、タール、及びピッチ等の非水系の施工液よりも熱伝導率が高い。このため、冷却パイプ14による炉壁の冷却を効率的に行うことができる。
【0047】
以上を踏まえ、本発明の第2の具体的態様によれば、高炉炉体その他の冷却対象物から冷却パイプその他の冷却手段に至る熱の移動経路の少なくとも一部分を構成するものとして、施工液が未乾燥状態のまま封入状態で使用される上記黒鉛含有充填材が提供される。
【実施例】
【0048】
表1に、黒鉛含有充填材の配合構成と評価結果とを示す。水溶性高分子の添加量を1質量%に固定し、無定形炭素としてのカーボンブラックの添加量を変化させて、熱伝導性との関係を調べた。
【0049】
【表1】

【0050】
表1で、鱗状黒鉛には、粒径0.15mm未満:7質量%以上、粒径0.15mm以上0.21mm未満:30質量%以上、粒径0.21mm以上0.3mm未満:30質量%以上、及び粒径0.3mm以上:15質量%以上よりなる平均粒径は200μmのものを用いた。カーボンブラックには、平均粒径0.03μmのものを用いた。水溶性高分子には、2質量%水溶液において3〜5.5Pa・sの粘度を示すメチルセルロースを用いた。
【0051】
乾燥後熱伝導性指数は、各例の充填材を110℃で24時間加熱乾燥したものの熱伝導率を、例3の当該乾燥後の熱伝導率で割って100倍した値である。
【0052】
乾燥前熱伝導性指数は、各例の充填材についての未乾燥状態での熱伝導率を、例3の当該未乾燥状態での熱伝導率で割って100倍した値である。
【0053】
表1に示すように、カーボンブラックの添加量0.1質量%以上の場合に、乾燥状態及び未乾燥状態において、その添加による効果が現れて、熱伝導性が改善されている。カーボンブラックの添加による効果が発現するには、0.1質量%以上の添加が必要である。
【0054】
但し、カーボンブラックの添加量が2質量%を超えると、その分、鱗状黒鉛の割合が減るためか、乾燥状態においても未乾燥状態においても、熱伝導性が低下する傾向にある。表1の結果から、カーボンブラックその他の無定形炭素の添加量は、0.1〜2質量%が好ましいと考えられる。
【0055】
なお、熱伝導性向上の観点から、粉体組成物に占める黒鉛の割合はできるだけ高いことが好ましい。上述のように、無定形炭素の添加量は0.1〜2質量%が好ましいこと、及び水溶性高分子の添加量は10質量%程度で黒鉛の分離防止には充分であることを考慮すると、粉体組成物は、黒鉛:88〜98.9質量%と、無定形炭素:0.1〜2質量%と、水溶性高分子:1〜10質量%とよりなることが好ましい。
【0056】
表2は、黒鉛含有充填材の他の配合構成と評価結果とを示す。用いた水溶性高分子の粘度及び水の添加量と、熱伝導性及び作業性との関係を調べた。
【0057】
【表2】

【0058】
表2の各例は、鱗状黒鉛:94質量%と、カーボンブラック:1質量%と、水溶性高分子としてのメチルセルロース:5質量%とよりなる粉体組成物に、水を加えて練り込んでなる。鱗状黒鉛及びカーボンブラックには、表1で用いたものと同じものを用いた。
【0059】
乾燥後熱伝導性は、表1で定義した乾燥後熱伝導性指数が、90以上の場合を◎、85以上90未満の場合を○、80以上85未満の場合を△として、三段階評価した。
【0060】
乾燥前熱伝導性も同様に、表1で定義した乾燥前熱伝導性指数が、90以上の場合を◎、85以上90未満の場合を○、80以上85未満の場合を△として、三段階評価した。
【0061】
施工性に関しては、例9〜14、及び16が特に良好であった。例7及び8は、水溶性高分子の粘度が小さかったためか、許容はできるが施工性にやや難があった。即ち、例7は、被施工面への付着性及び保形性に劣り、例8は、被施工面からややだれ落ちやすい傾向にある。例15は、水の添加量との関係で、水溶性高分子の粘度がやや高かったためか、許容できるがやや粘性が高い。
【0062】
熱伝導性に関しては、例7〜15が特に良好であった。例16は、許容はできるが未乾燥状態において相対的に熱伝導性に劣る。これは、使用した水溶性高分子の粘度が相対的に高く、かつ水の添加量も相対的に多いため、充填材の組織中で黒鉛の粒子どうしが離れた状態で存在する傾向が強まったためと推察される。
【0063】
表2の結果から、施工性と乾燥後及び乾燥前の熱伝導性とを考慮すると、施工液の添加量が10〜50体積%の場合、水溶性高分子の粘度は1〜10Pa・sが好ましく、1〜5.5Pa・sがより好ましいと言える。
【0064】
表3は、黒鉛含有充填材のさらに他の配合構成と評価結果とを示す。
【0065】
【表3】

【0066】
表3で、鱗状黒鉛、カーボンブラック、及び水溶性高分子には、表1に示したものと同じものを用いた。アルコールには、50質量%濃度のエタノール水溶液を用いた。乾燥後熱伝導性指数及び乾燥前熱伝導性指数の定義は、表1の場合と同じである。
【0067】
例17及び18は、施工液に水及び/又はアルコールを用いたにも関らず、水溶性高分子を用いたことで、粉体組成物に占める黒鉛の割合を88質量%に高めることが可能となったため、乾燥状態においても未乾燥状態においても、従来の水系の黒鉛含有充填材に相当する例19に比べて、格段に優れた熱伝導性を示した。
【0068】
例17及び18は、未乾燥状態においては、施工液である水及び/又はアルコールの熱伝導性の良さがいかんなく活かされるため、非水系の黒鉛含有充填材である例20と同等の熱伝導性を達成した。
【0069】
以上、本発明の具体例について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、種々の組み合わせ及び改良が可能なことは当業者に自明であろう。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の黒鉛含有充填材は、高炉炉体その他の冷却対象物から冷却パイプその他の冷却手段に至る熱の移動経路の少なくとも一部分を構成するものとして、乾燥状態又は未乾燥状態で好ましく用いることができ、熱の移動経路における熱抵抗を低減することで、冷却手段による冷却対象物の冷却効率を高める効果を発揮することができる。本発明の黒鉛含有充填材は、高炉の炉底部、炉壁部、及びステーブクーラを含めた高炉建設用途に特に好ましく用いることができる。
【符号の説明】
【0071】
1…高炉、2…底板、3…熱伝導層、4…冷却パイプ、5…断熱層、6…基礎コンクリート、7…I型鋼ビーム、10…ステーブクーラ、11…不定形耐火物、12…鉄皮、13…受熱盤、14…冷却パイプ、15…黒鉛含有充填材、16…シール材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒鉛:80質量%以上と、前記黒鉛よりも平均粒径が小さい無定形炭素:0.1質量%以上と、水溶性高分子:1質量%以上とよりなる粉体組成物に、水及び/又はアルコールを加えて練り込んでなる黒鉛含有充填材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−235343(P2010−235343A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82766(P2009−82766)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000170716)黒崎播磨株式会社 (314)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】