説明

鼻拡張器の遅延作用ばね力要素

拡張器を鼻に適用した後に活性化することができるばね力を有する鼻拡張器について説明する。鼻拡張器は、ばね力構成要素および接着剤構成要素を有し、これらは一緒に作用して、いびきおよび他の呼吸に関連する障害を緩和するために、鼻組織を拡張し、鼻弁を開くか、または開放状態にするのに役立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年11月7日出願の米国仮特許出願第60/734,676号の出願日および内容に関する利益を主張する。
本発明は、鼻拡張器の遅延作用ばね力要素に関する。
【背景技術】
【0002】
いびきおよび他の呼吸に関連する障害に有用な外部鼻拡張器は、2つの対立する機能を実行するよう要請されている。第一に、拡張器は、鼻の皮膚に確実に取り付ける必要がある。第二に、拡張器は、鼻弁領域を開くために外方向の力を加える。最初の取り付け力が不十分な場合は、第二の外方向の力によって拡張器が外れてしまう。現在の鼻拡張器では、アクリル酸樹脂接着剤などの接着剤が、比較的迅速に接着するために硬化し、したがって外方向へのばね力が通常は分離を引き起こさない。
【0003】
しかし、感圧アクリル酸樹脂接着剤の使用には問題がある。例えば、外す時(接着力が低い方が皮膚に優しい)にアクリル酸樹脂接着剤の接着力が強力なこと、発汗中に接着性を失うこと、毛穴を遮断し、刺激を引き起こす可能性があることは、全て即硬性接着剤を使用した場合に遭遇する問題である。これらの問題は些細なことであるが、アクリル酸樹脂感圧接着剤が市販の傷治療用包帯に広範に使用されているので、広く知られている。
【0004】
感圧接着剤の用途では、親水コロイド接着剤がアクリル酸樹脂の代替物となる。しかし、第一に、親水コロイドは十分な接着性を提供しない。本明細書では、「接着性」という用語は、皮膚から細片を外すために必要な力のグラム数と定義される。以下は、典型的接着性のある時間にわたる比較である。
●人間の皮膚に対するアクリル酸樹脂の接着性
○最初は約17.7グラム/cm(45グラム/インチ)
○4時間で約39.4グラム/cm(100グラム/インチ)
○24時間で約78.7グラム/cm(200グラム/インチ)
●人間の皮膚に対する親水コロイドの接着性
○最初は約9.84グラム/cm(25グラム/インチ)
○20分から30分で約39.4グラム/cm(100グラム/インチ)
○24時間で約55.1グラム/cm(140グラム/インチ)
アクリル酸接着剤の初期接着性(約17.7グラム/cm(45グラム/インチ))は、外部鼻拡張器のばね力を打ち消すのに十分であるが、親水コロイドの初期接着性(最初は約9.84グラム/cm(25グラム/インチ))は、ばね力を打ち消すのに十分ではない。2分から20分の間で、親水コロイドの接着性が、ばね力を打ち消せる点まで増加する。
【0005】
親水コロイド材料は、良好に接着し、外し易く、皮膚に優しい。上述したように、親水コロイド接着剤の問題は、初期接着性が、外部鼻拡張器のばね力を打ち消すのに不十分なことであり、そのために鼻拡張器が皮膚から外れてしまうことがある。最初の低い接着力は、親水コロイド材料が暖まり、皮膚の表面に適応するにつれ、有意の量まで蓄積し、その後、接着力は典型的な鼻拡張器のばね力を打ち消すのに十分になる。接着力が増大するこの期間は、5分から1時間の間である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、鼻弁を開く外方向の分離/拡張力、例えば鼻拡張器のばね力を遅延させることによって、親水コロイド接着剤が十分な接着力を確立するのに十分な時間を提供できる鼻拡張器の接着システムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ばね力要素および接着要素を有する鼻拡張器に関する。ばね力要素は、最小ばね力の潜在状態を有し、鼻組織を拡張するのに十分な量までばね力を増大させるために活性化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、図1に示すように鼻拡張器細片1を形成する2つの要素を備える。ばね力層2は、図1に示すような通常は平坦な潜在状態では最小のばね力を有する。皮膚接触層3は、鼻に接着する基部を提供し、浸水コロイドまたは同様の材料である可能性が最も高い。図3に示すような任意選択の織物または網の枠組4を、ばね力層2に組み込んで、収縮と剛化の両方を実行できる格子を提供することができる。
【0009】
本明細書に含まれる実施形態は、層の形態のこれらの要素について説明するが、埋め込まれた要素など、他の構成も本発明の範囲に入る。
鼻拡張器細片1は、図2に示すように、鼻の外面に一致するように細片1を曲げることによって、鼻に取り付けられる。何らかの種類の活性化プロセスの後、ばね力層2が収縮し、それによって図3に示す鼻拡張器として作用するのに十分な外方向のばね力Fを獲得する。この活性化は、鼻拡張器細片1を使用者の鼻に配置した後、好ましくは約5分から約30分の期間に実行される。この期間によって、皮膚接触層3には、外方向の力Fが最大に到達する前に、鼻の皮膚への接着を十分に確立する時間が与えられる。通常、乾燥または硬化した後に収縮する接着剤を皮膚接触層3上に使用して、空気、光、水分、熱、もしくは応力または圧力、あるいは任意のその組合せに曝露すると収縮する特性を有するばね力層2の材料と組み合わせることができる。
【0010】
ばね力層2は、以下の特性を有することが好ましい。
■皮膚接触層3に直に接触する。
■潜在保存状態にある場合、および最初に鼻に取り付けられた場合に、固有の横力が最小である。
■鼻に取り付けた後、約5分から約30分の期間内に、通常は収縮によって(鼻弁を開くか、または他の方法で鼻組織を拡張するのに)十分な横力を生じさせることができる活性化機構またはプロセス。
■皮膚を刺激しない医療等級の材料で作成される。
■細片を鼻に取り付けることによってプロセスを開始した後、使用者が介入する必要がないか、または介入が最小限であるような方法で、自動的に動作する。
【0011】
上述した特性を達成するようにばね力層2を構築できる幾つかの方法および実施形態について、以下で説明する。
■ライナ保護:ばね力層2は、保護ライナで覆われた液体、ゲルまたは他の材料で作成することができる。鼻拡張器細片1を使用するには、ライナを外し、ばね力層2を空気または光に曝露する。空気または光に曝露すると、材料は乾燥するか、またはその他により変化して、収縮し、拡張するために鼻に外方向の力を加える。図3に示すような任意選択の織物または網の枠組4を、ばね力層2に組み込んで、収縮および剛化の両方を実行できる格子を提供することができる。
■カプセル化:ばね力層2は、カプセルに入れた液体(例えば接着剤)で作成することができ、これはカプセルを潰して、液体に曝露することによって活性化することができる。この実施形態は、「引っ掻いて嗅ぐ」芳香送出システムと同様である。カプセル化した材料は、曝露すると収縮し、鼻を拡張させる。図3に示すような任意選択の織物または網の枠組4をばね力層2に組み込んで、収縮と剛化の両方を実行できる格子を提供することができる。
■曲げ応力の活性化:ばね力層2は、平坦な保存状態では不活性である材料で作成することができる。鼻全体での細片の曲げ/応力により、活性化して、収縮プロセスを開始する。図3に示すような任意選択の織物または網の枠組4をばね力層2に組み込んで、収縮と剛化の両方を実行できる格子を提供することができる。
■水の活性化:ばね力層2は、乾燥状態では柔軟であるが、水を吸収すると収縮する材料で作成することができる。水は、使用者が(例えば鼻に取り付けた後に、細片の外側を濡らすことによって)導入してよい。あるいは、水を非常に吸収する親水コロイド材料が、ばね力層2を活性化する水の容器として作用することができる。
■熱の活性化:ばね力層2は、低温の保存状態では柔軟であるが、空気に曝露して体温まで加熱されると収縮する材料で作成することができる。この実施形態は、高温の保存状態中に活性化するのを防止するために、ばね力層2の頂部から保護ライナを除去する必要があることがある。あるいは、保存中に、細片を空気にアクセスしないように密封することができる。
【0012】
これまでの説明から、本発明の鼻拡張器細片は、接着性と収縮性の両方を有する単層の材料で作成することもできることが、当業者には明白である。本発明の鼻拡張器細片は、任意の適切な材料、および消費者が使用する時に細片の所望の特性を保持する任意の従来通りの手段を使用して、作成することができる。
【0013】
以上では、本発明の鼻拡張器細片について十分に説明し、開示しているが、これは本発明の範囲を限定するものではなく、それは添付の特許請求の範囲によって規定される。
【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻組織を拡張するために鼻に適用され、ばね力層および皮膚接触層を備える鼻拡張器。
【請求項2】
前記ばね力層が、最小ばね力の初期潜在状態およびばね力が大きくなった活性化状態を有する材料を含む、請求項1に記載の鼻拡張器。
【請求項3】
前記活性化状態が、前記鼻拡張器を前記鼻に適用した後、約5分から約30分の間に達成される、請求項2に記載の鼻拡張器。
【請求項4】
前記大きくなったばね力が、鼻弁を開き、鼻組織を拡張するのに十分である、請求項2に記載の鼻拡張器。
【請求項5】
前記皮膚接触層が接着剤を備える、請求項1に記載の鼻拡張器。
【請求項6】
前記接着剤が、初期に低い接着性を有し、その後に接着性を増加させる、請求項5に記載の鼻拡張器。
【請求項7】
前記初期の低い接着性が、前記鼻拡張器を前記鼻に接着させるのに十分である、請求項6に記載の鼻拡張器。
【請求項8】
前記その後に増加した接着性が、前記ばね力層によって前記鼻組織を拡張した後、前記鼻拡張器を前記鼻に接着したままにするのに十分である、請求項6に記載の鼻拡張器。
【請求項9】
前記接着剤が浸水コロイド接着剤である、請求項5に記載の鼻拡張器。
【請求項10】
前記ばね力層がさらに、収縮し、剛化することができる格子を備える、請求項2に記載の鼻拡張器。

【公表番号】特表2009−514653(P2009−514653A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540316(P2008−540316)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/060587
【国際公開番号】WO2007/056715
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(504144574)シーエヌエス・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】