説明

(メタ)アクリル酸の製造方法

【課題】(メタ)アクリル酸の製造プロセスのいずれかの工程で産出される低純度の(メタ)アクリル酸溶液(塔底液、凝縮液等)を溶媒として用いて、フェノチアジン類および/またはキノン類を含む析出物の少ない重合防止剤溶液を調製し、これを用いて重合を防止しながら(メタ)アクリル酸を製造する方法を提供する。
【解決手段】フェノチアジン類および/またはキノン類を含む重合防止剤溶液を用いて(メタ)アクリル酸の重合を防止しながら(メタ)アクリル酸を製造する方法において、前記重合防止剤溶液の溶媒は、(メタ)アクリル酸の製造プロセスの任意の工程で産出され、かつ、ホルムアルデヒドを含有する(メタ)アクリル酸溶液を含むものであり、上記ホルムアルデヒドの濃度は、重合防止剤溶液中、10〜5000ppm(質量基準)であり、上記重合防止剤溶液には、0.1〜3質量%のフェノチアジン類および/または0.1〜10質量%のキノン類が含まれていることを特徴とする(メタ)アクリル酸の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホルムアルデヒドが副生する工程を含む(メタ)アクリル酸製造プロセスにおいて、任意の工程で使用可能な安定化された重合防止剤溶液を調製し、この重合防止剤溶液を用いて重合防止しながら(メタ)アクリル酸を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業的なアクリル酸の製造方法は、プロピレンおよび/またはアクロレインを接触気相酸化するプロピレン酸化法が一般的である。このプロピレン酸化法によりアクリル酸を製造する場合、プロピレンの酸化工程で、水;プロピオン酸、酢酸、マレイン酸等の酸類;アクロレイン、フルフラール、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類;アセトン等のケトン類およびジケトン類等の不純物が副生する。メタクリル酸の場合は、イソブチレンおよび/またはt−ブチルアルコール等の原料を接触気相酸化することで合成でき、副生物として、水;マレイン酸;テレフタル酸等の芳香族カルボン酸類;ホルムアルデヒド、(メタ)アクロレイン等のアルデヒド類;アセトン等のケトン類およびジケトン類等の不純物が生成する。これらの副生物を含んだガスは、通常、捕集溶液と接触させることにより、アクリル酸含有溶液として捕集され、その後、蒸留等の方法で捕集溶液が精製分離される。
【0003】
ところで、(メタ)アクリル酸は加熱によって重合しやすいことから、例えば蒸留工程等では長期安定操業するために種々の重合防止剤を蒸留工程に導入して、(メタ)アクリル酸の重合防止を図るのが一般的である。
【0004】
重合防止剤としては各種化合物が用いられているが、フェノチアジン類も(メタ)アクリル酸の重合防止効果を有することが知られている。このフェノチアジン類は常温固体のため、何らかの溶媒に溶解させた溶液状で用いられることが多い。例えば特許文献1には、共沸蒸留の際に重合防止剤を、アクリル酸、共沸剤および水の溶液として塔頂から供給する旨記載されている。また、特許文献2には、蒸留塔内壁面を重合防止剤溶液によって予め濡らしておく発明が記載されているが、このときの溶媒は、水や、アルコール、トルエン等の有機溶媒の他に、水・トルエン混合物、水・アクリル酸混合物、アクリル酸の2量体、3量体を含有する粗アクリル酸(アクリル酸蒸留塔の塔底液)が使用できる旨記載されている。
【0005】
上記従来技術で示された溶媒の中で、水や、アルコール、トルエン等の有機溶媒のみを用いるのは、目的生成物である(メタ)アクリル酸以外の化合物を製造プロセス中に添加することとなるので、精製工程を考えると非効率的である。また高純度(メタ)アクリル酸を用いて重合防止剤溶液を製造するというのも、製品とすべきものを再び製造プロセスの上流側へ添加することとなって非効率的である。このことから、(メタ)アクリル酸の製造プロセスのいずれかの工程で産出される比較的低純度の(メタ)アクリル酸溶液(塔底液、凝縮液等)を用いて、フェノチアジン溶液を作製するのが最も効率的であると考えられたので、本発明者等が実験したところ、析出物が析出するという現象が認められた。析出物を放置しておくと、蒸留塔内でのスケーリングや配管閉塞等の不都合が起こり、連続安定運転に支障をきたす。しかし、この析出物をストレーナー等で濾過しても、濾過後の重合防止剤溶液は、最初に溶解させたフェノチアジン濃度に見合った重合防止効果が得られないこともわかった。このことは、フェノチアジンが析出物へと変性したことを示唆するものである。
【0006】
さらに、ハイドロキノンやメトキノン(ハイドロキノンモノメチルエーテル)に代表されるキノン類も、使用温度や濃度の条件によっては、析出物を形成することが確認された。
【特許文献1】特開平8−40974号公報([0012])
【特許文献2】特開2003−113138号公報([0025])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記知見から、本発明では、上記析出物の生成理由を突き止めると共に、この析出物の生成を抑制する手段を見出すことにより、製造プロセス中で産出される低純度の(メタ)アクリル酸溶液を用いて、析出物の少ない安定な重合防止剤溶液を調製し、これを用いて重合を防止しながら(メタ)アクリル酸を製造する方法を提供することを課題として掲げた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記析出物が、製造プロセスで産出される(メタ)アクリル酸溶液中にホルムアルデヒドが含まれていると生成することを突き止め、本発明を完成させた。
【0009】
本発明は、フェノチアジン類および/またはキノン類を含む重合防止剤溶液を用いて(メタ)アクリル酸の重合を防止しながら(メタ)アクリル酸を製造する方法において、
前記重合防止剤溶液の溶媒は、(メタ)アクリル酸の製造プロセスの任意の工程で産出され、かつ、ホルムアルデヒドを含有する(メタ)アクリル酸溶液を含むものであり、
上記ホルムアルデヒドの濃度は、重合防止剤溶液中、10〜5000ppm(質量基準)であり、
上記重合防止剤溶液には、0.1〜3質量%のフェノチアジン類および/または0.1〜10質量%のキノン類が含まれていることを特徴とする。
【0010】
上記ホルムアルデヒドの濃度は、重合防止剤溶液中、10〜2000ppm(質量基準)であるのがより好ましい。
【0011】
上記重合防止剤溶液の調製および保存は、50℃以下で行うことが好ましい。また、上記重合防止剤溶液の調製に際しては、フェノチアジン類とキノン類以外の重合防止剤を添加混合してもよい。上記ホルムアルデヒドを含む(メタ)アクリル酸溶液は、1〜99.9質量%の(メタ)アクリル酸を含むものであることが好ましい。
【0012】
上記重合防止剤溶液を、(メタ)アクリル酸の製造プロセスで使用される塔型装置に供給することが好ましく、特に、高温で運転される塔型装置である捕集塔、凝縮塔および蒸留塔のいずれか1種以上であることが推奨される。
【0013】
なお、本発明において「(メタ)アクリル酸の製造プロセス」とは、アクリル酸かメタクリル酸を製造するプロセスという意味である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、(メタ)アクリル酸製造プロセス中で産出される低純度の(メタ)アクリル酸溶液を用いてフェノチアジン類および/またはキノン類を含む重合防止剤溶液を作製した場合であっても、フェノチアジン類および/またはキノン類と、ホルムアルデヒドとに由来する析出物の析出を抑制することができ、安定な重合防止剤溶液を提供することができたため、この重合防止剤溶液を用いて(メタ)アクリル酸製造プロセス中の任意の工程で(メタ)アクリル酸の重合防止を行うことが可能となり、安定的に(メタ)アクリル酸を製造することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
前記したように、(メタ)アクリル酸をプロピレン酸化法で製造すると、ホルムアルデヒドが不可避的に副生する。本発明者等が、フェノチアジンの(メタ)アクリル酸溶液中の析出物の生成原因を検討したところ、重合防止剤を溶解させる液である(メタ)アクリル酸溶液の中に、ホルムアルデヒドが5000ppm(重合防止剤溶液中の濃度;質量基準、以下同じ)より多い場合に、フェノチアジンを3質量%(重合防止剤溶液中の濃度、以下同じ)を超えて添加すると、1〜5時間という短時間で析出物が析出することがわかった。この析出物は白色や灰色の微細な粒子であり、軽く撹拌すると浮遊してくるが、静置しておくと容器の底に沈殿してしまうものであった。この析出物の量は、フェノチアジンの溶解量が同じであれば、ホルムアルデヒド量の増加に伴い、増加することもわかった。この析出物は、50℃レベルで1昼夜以上撹拌しても、再溶解することはなかった。このような析出物は、製造装置の閉塞等を招くため好ましくない。
【0016】
よって、重合防止剤溶液の調製の際には、フェノチアジン類は3質量%以下、ホルムアルデヒドは5000ppm以下になるようにする。フェノチアジン類の濃度の下限は特に限定されないが、希薄過ぎると大きな溶解槽が必要となったり、重合防止剤溶液として用いる際にその必要量が多くなるため、0.1質量%以上とすることが好ましい。また上限は2質量%が好ましい。
【0017】
ホルムアルデヒド量は少なければ少ないほど好ましいため、より好ましい上限は2000ppmであり、さらに好ましい上限は500ppmである。ただし、ホルムアルデヒドが10ppmより少ないと、フェノチアジンを3質量%を超えて添加しても析出物は生成しないため、本発明の効果を発現させるという意味で、下限を10ppmとした。
【0018】
フェノチアジン類とは、フェノチアジンおよびその誘導体を意味する。誘導体としては、置換基を有するフェノチアジンが挙げられ、置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシル基;臭素原子、塩素原子等のハロゲン原子等が挙げられ、これらの置換基を1〜2個有するものであれば利用可能である。これらのフェノチアジン類は単独でまたは2種以上混合して用いてもよい。なお、フェノチアジンとしては、例えば、アビシア社から上市されているプリル形状(小球状)のものが、重合防止剤溶液を調製する際に、フィーダーやホッパーからの移送時に詰まりが発生しにくく移送しやすいことから、好ましく用いられる。
【0019】
また、ハイドロキノンやメトキノンおよびこれらの誘導体等のキノン類も、フェノチアジン類と同様に、(メタ)アクリル酸溶液中にホルムアルデヒドが含まれていると、析出物を発生させることがわかった。ただし、キノン類の場合は、重合防止剤溶液中の濃度が10質量%を超える場合に析出しやすくなることがわかったため、キノン類量の許容範囲は重合防止剤溶液中0.1〜10質量%とした。キノン類を使用する際も、重合防止剤溶液中のホルムアルデヒド量が増大すると析出物量が増大する傾向はフェノチアジンの場合と同じであるので、ホルムアルデヒド量は、重合防止剤溶液中の濃度として10〜5000ppmに調整することが好ましい。また、キノン類を使用する際に、重合防止剤溶液の調製や保存を50℃以下で行うと、ホルムアルデヒド量に関わらず析出物の析出を抑制することができるため、好ましい実施態様である。調製時・保存時の温度が50℃を超えるとキノン類は変質(析出)し易くなり、この傾向は、ホルムアルデヒド量が多い程、また、キノン類の濃度が高い程、顕著になる。
【0020】
重合防止剤溶液中には、フェノチアジン類および/またはキノン類と共に、フェノチアジン類やキノン類以外の重合防止剤を含有させてもよい。具体的には、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシル等のN‐オキシル化合物;ハイドロキノン、メトキノン等のフェノール化合物;酢酸マンガン等のマンガン塩;ジブチルチオカルバミン酸銅等のジアルキル(またはジフェニル)ジチオカルバミン酸銅塩(アルキル基:メチル、エチル、プロピル、ブチル等);ニトロソ化合物;p−フェニレンジアミン等のアミン化合物;テトラアルキル(またはフェニル)チウラムジスルフィド(アルキル基:メチル、エチル、プロピル、ブチル等);メチレンブルー等が挙げられる。これらの重合防止剤は析出物生成には関与しないため、重合防止剤としての効果を発揮できる程度の量を溶解させればよい。
【0021】
本発明において、重合防止剤溶液の溶媒となるのは、(メタ)アクリル酸製造プロセスの任意の工程で産出される(メタ)アクリル酸溶液である。ここで(メタ)アクリル酸製造プロセスとは、接触気相酸化工程以降の下記工程(1)〜(3)からなるものである。
【0022】
(1)(メタ)アクリル酸含有反応混合ガスから(メタ)アクリル酸溶液を得る工程:この工程には、例えば、(a)(メタ)アクリル酸含有ガスを冷却凝縮し、(メタ)アクリル酸溶液を得る工程、(b)(メタ)アクリル酸含有ガスを水または高沸点溶剤(ジフェニルエーテルやジフェニル等)と接触させて捕集し、(メタ)アクリル酸溶液を得る工程、(c)(メタ)アクリル酸含有ガスを、この回収工程や他の工程で得られた(メタ)アクリル酸溶液を用いて捕集し、より高濃度の(メタ)アクリル酸溶液を得る工程等が含まれる。また、塔頂ガスをリサイクルガスとして反応時に使用し、一部を凝縮する工程や、凝縮または捕集した(メタ)アクリル酸溶液から未反応の(メタ)アクロレインを除去する放散工程も含む。
(2)(メタ)アクリル酸溶液を共沸溶媒の存在下に蒸留して粗(メタ)アクリル酸を回収する工程
(3)粗(メタ)アクリル酸の精製工程:蒸留、放散、晶析、抽出、吸収、分縮等や、これらを適宜組み合わせた方法を用いて精製する工程である。また、蒸留には、高沸点物を分離するための高沸点物分離工程、酢酸等の低沸点物を分離するための低沸点物分離工程、未反応の(メタ)アクロレインや他のアルデヒド類を分離するためのアルデヒド類除去工程、副生物であるマレイン酸を分離するためのマレイン酸分離工程等、高純度(メタ)アクリル酸の製造に一般に用いられている全ての蒸留工程が包含される。
【0023】
なお、上記(1)〜(3)の各工程においても、高純度(メタ)アクリル酸の製造に一般に用いられている種々の変形例等も含まれるものとする。
【0024】
上記(1)の(メタ)アクリル酸溶液を得る工程においては、塔底液、捕集液、塔中抜き出し液(サイドカット液)、還流液、塔頂から排出されるガス成分を冷却した凝縮液等を、重合防止剤溶液用の溶媒とすることができる。また、(メタ)アクロレインを除去するための放散工程を採用した場合、この塔底液や塔中抜き出し液等も利用可能である。
【0025】
上記(2)の共沸蒸留工程においては、供給液、塔底液、塔中抜き出し液、還流液、留出液等を、重合防止剤溶液用の溶媒とすることができる。
【0026】
上記(3)の精製工程においては、蒸留工程や放散工程を採用する場合には、供給液、塔底液、塔中抜き出し液、還流液、留出液等;晶析工程を採用する場合には、残留母液、精製液、結晶化後の一部溶融液等;抽出工程を採用する場合には、供給液、抽出液、抽残液等;吸収工程を採用する場合には、塔底液、捕集液、塔中抜き出し液、塔頂から排出されるガス成分を冷却した凝縮液等;分縮工程を採用する場合には凝縮液等;がそれぞれ、重合防止剤溶液用の溶媒として利用可能である。
【0027】
また、例えば、(1)の工程以降で廃油(ミカエル付加物等が含まれる)分解工程を行う場合には、この廃油分解工程における留出液や還流液等を重合防止剤溶液用の溶媒とすることができる。廃油の分解溶液を用いると、水が少ないことと廃油中の不純物の影響でフェノチアジンの溶媒に対する溶解度が増すというメリットがあるが、これに限定されるわけではない。
【0028】
上記重合防止剤溶液用の溶媒は、いずれの工程において産出されたものであっても、単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。また得られた重合防止剤溶液は、後述するように、いずれの工程においても重合防止のために用いることができる。
【0029】
上記した各種の重合防止剤溶液用の溶媒には、(メタ)アクリル酸が1〜99.9質量%含まれている(メタ)アクリル酸溶液を用いることが好ましい。(メタ)アクリル酸の濃度が低すぎると、重合防止剤溶液を使用するときに不要物質量が多くなって非効率的だからである。各工程で産出される(メタ)アクリル酸溶液の(メタ)アクリル酸以外の成分としては、各種副生物の他、上記(1)の工程で、反応混合ガスを冷却凝縮した場合や水を捕集剤として用いた場合には水が含まれ、高沸点溶剤で捕集した場合には、ジフェニルエーテルやジフェニル等が含まれる。また共沸工程を採用した場合には、トルエン、メチルイソブチルケトン等の共沸溶剤が含まれていることがある。
【0030】
フェノチアジン類のみ、またはフェノチアジン類とキノン類の両方を溶解させる場合には、溶媒である(メタ)アクリル酸溶液としては、(メタ)アクリル酸が50〜99.9質量%含まれているものを用いることが好ましい。より好ましい(メタ)アクリル酸濃度の下限は70質量%である。また、水が少ない方がフェノチアジン類が溶解し易いので、水の量は0.01〜30質量%(より好ましい上限は20質量%)とすることが好ましい。
【0031】
キノン類のみを溶解させる場合には、溶媒である(メタ)アクリル酸溶液としては、(メタ)アクリル酸が1〜50質量%含まれているものを用いることが好ましい。(メタ)アクリル酸溶液中に水が多い方が、キノン類の溶解度が上昇するため、(メタ)アクリル酸以外の残部は水であることが好ましい。より好ましい(メタ)アクリル酸濃度の上限は20質量%である。
【0032】
重合防止剤溶液を調製するには、製造プロセス中の任意の工程で、1種または2種以上の(メタ)アクリル酸溶液を抜き出して溶解槽へ供給し、前記所定の濃度となるようにフェノチアジン類および/またはキノン類(必要に応じて他の重合防止剤も、以下、同意)を溶解させればよい。また、(メタ)アクリル酸溶液とフェノチアジン類および/またはキノン類を配管中で混合してもよい。抜き出した(メタ)アクリル酸溶液のホルムアルデヒドの濃度が前記所定範囲を超える場合は、水や他の溶媒、あるいは他の工程で産出されるホルムアルデヒド量の含有量が少ない(メタ)アクリル酸溶液で希釈するとよい。フェノチアジン類とホルムアルデヒドによる析出物形成反応は、常温でも進行し易いため、15〜50℃(より好ましくは30℃以下)で、溶解(重合防止剤溶液の調製)、保存、移送等の各工程を行うことが望ましい。一方、キノン類とホルムアルデヒドによる析出物形成反応はフェノチアジン類の場合よりも進行が遅いので、15℃以上、80℃以下、(好ましくは70℃以下、より好ましくは50℃以下)で、溶解(重合防止剤溶液の調製)、保存、移送等の各工程を行うことが推奨される。
【0033】
上記方法で調製された重合防止剤溶液は、(メタ)アクリル酸の製造プロセスの前記した(1)〜(3)の全ての工程において、(メタ)アクリル酸の重合防止のために利用することができる。複数の工程で重合防止に用いてもよい。また、複数の(メタ)アクリル酸製造プラントで使用することもできる。
【0034】
重合防止剤溶液の添加形態は特に限定されず、所定の濃度の重合防止剤溶液をそのまま用いるか、各工程における供給液や還流液等に溶解させて希釈して用いる等の方法がある。要するに、各工程で、重合防止効果を発揮させるために必要な量を添加できればよい。
【0035】
特に重合防止剤溶液の供給が必要なのは、高温(50〜200℃程度)となっていて(メタ)アクリル酸の重合が起こりやすい条件となる塔型装置で行うプロセスが多いため、重合防止剤溶液を塔型装置に供給することが好ましい。この塔型装置には、捕集塔、凝縮塔、蒸留塔等が含まれる。また、蒸留塔には、高沸点物を分離するための高沸点物分離塔、酢酸等の低沸点物を分離するための低沸点物分離塔、未反応のアクロレインや他のアルデヒドを除去するためのアルデヒド除去塔、副生物であるマレイン酸を分離するためのマレイン酸分離塔等、高純度(メタ)アクリル酸の製造に一般に用いられている全ての蒸留塔が包まれる。
【0036】
上記重合防止剤溶液を例えば蒸留塔で使用するとき、重合防止剤溶液中に重合防止剤としてフェノチアジンのみが添加されている場合は、(メタ)アクリル酸の蒸発蒸気量に対して10〜1000ppmとなるように使用することが望ましい。
【0037】
重合防止に際しては、分子状酸素を併用することも有効である。分子状酸素の供給方法としては、バブリング等により直接的に、あるいは溶媒に溶解させて(メタ)アクリル酸に間接的に混入させるのが一般的である。例えば、上記精製工程(3)において蒸留を採用した場合、分子状酸素を、蒸留塔やストリッパーの塔底および/またはリボイラーからガス状に供給することができる。分子状酸素は、0.1容量%未満では顕著な効果が得られないため、0.1容量%以上の割合で供給するのがよい。分子状酸素の供給量は蒸留装置の処理能力により決定されるが、通常、供給量が多いと蒸留装置の改造が必要になるので、1容量%以下の割合で供給するのがよい。
【0038】
本発明の製造方法は、前記した(1)〜(3)の(メタ)アクリル酸の製造プロセスにおいて、上記した方法で重合防止剤溶液を調製し、この重合防止剤溶液を用いて(メタ)アクリル酸の重合を防止しながら(メタ)アクリル酸を製造する方法である。本発明法においては、重合防止剤溶液の調製プロセスとその利用プロセスという本発明法の必須構成以外の構成は、(メタ)アクリル酸の製造方法として公知の方法が採用可能であり、また、種々の変形例等も含まれるものとする。
【実施例】
【0039】
以下実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施する態様は全て本発明に包含される。
なお、以下の実験で用いた評価方法は、次の通りである。
【0040】
〔析出物が析出するまでの時間:析出時間〕
(1)実験1の場合
元々添加されていた重合防止剤を単蒸留によって除去したアクリル酸(和光純薬工業社製)500gに、表1に示した量のホルムアルデヒド(HCHO:和光純薬工業社製:37質量%水溶液)を添加し、さらにイオン交換水を適宜加えて、アクリル酸とHCHOと水との合計を100質量%としたときに水の濃度が10質量%となるように調整した。なお、実験No.1−9と1−10(参考例に相当)の場合は、HCHOを添加せず、アクリル酸と水の合計を100質量%としたときの水の濃度が10質量%となるように調整した。得られた溶液を20℃の恒温槽内で撹拌しながら、表1に示した量のフェノチアジン(以下、PTZと省略する。:和光純薬工業社製)を添加し、溶解させて、重合防止剤溶液を得た。これを同温度で保持したまま、PTZが完全に溶解した事を目視で確認したときから析出物が目視で認められるまでの時間を測定し、その結果を析出時間として表1に示した。実験3および4も上記と同様にして析出時間を測定し、結果を表3および4に示した。
【0041】
(2)実験2の場合
上記重合防止剤除去後のアクリル酸465gに、フルフラール5質量%と、ベンズアルデヒド2質量%添加し、表2に示した量のHCHOを添加して、35℃の恒温槽内で撹拌下、表2に示した量のPTZを添加し、溶解させて、重合防止剤溶液を調製した。その後は35℃に維持したまま、実験1と同様にして析出時間を測定し、表2に示した。この実験は、アクリル酸製造時の副生物であるフルフラールとベンズアルデヒドの影響を見るものである。
【0042】
〔析出物量〕
上記と同濃度・同量の溶液を上記恒温槽内で3日間静置した後、全量を濾紙(Advantec社製:濾紙No.2;150mm径)で固液分離した。濾物があった場合は、これをイオン交換水で洗浄した後、60℃の恒温乾燥機内に24時間放置して乾燥してから定量した。その結果を表1〜4に示す。
【0043】
〔重合防止効果:重合開始時間〕
上記の濾液約10mLを採り、0.45μmのメンブランフィルターでさらに濾過した。この濾液1gを表1または表2に示した量の上記アクリル酸で希釈し、(メタ)アクリル酸の製造プロセスでPTZが使用される場合の一般的なPTZ濃度の下限付近である10ppmとなるよう調整した。この溶液5mLを試験管に採り、19998.3Pa(150mmHg)の減圧下で3分間脱気し、密閉状態とした後、95℃に保ったオイルバスにこの試験管を浸漬し、浸漬開始から溶液が白濁するまでの時間(重合開始時間)を目視により測定した。その結果を表1および2に示す。また、実験3と4の場合は、上記の濾液をさらに0.45μmのメンブランフィルターで濾過し、この濾液0.1gを表3または表4に示した量の上記アクリル酸で希釈した。すなわち、キノン類[ハイドロキノン(HQ)またはメトキノン(MQ):いずれも和光純薬工業社製]の濃度が50質量ppmになるように調整した。結果を表3および4に示した。
【0044】
実験1
表1に示したように、HCHOとPTZの添加量と、重合開始時間を測定するときの希釈用アクリル酸(AA)量を変更して、析出時間、析出物量および重合開始時間を、上記方法で測定した。結果を表1に示す。
【0045】
実験2
表2に示したように、HCHOとPTZの添加量と、重合開始時間を測定するときの希釈用アクリル酸(AA)量を変更して、析出時間、析出物量および重合開始時間を、上記方法で測定した。結果を表2に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
実験No.1−1〜1−5(実施例に相当)および実験No.1−6〜1−7(比較例に相当)の結果から、PTZ濃度が一定の場合はHCHOの濃度が増大するにつれて、析出物の析出時間が短くなり、かつ、析出量が多くなることがわかる。重合開始時間についても、HCHO量の濃度が増大するにつれて重合開始時間が早まり、重合防止効果が小さくなっていることが確認された。
【0049】
また、実験No.2−1,2−2(実施例に相当)およびNo.2−3(比較例)の結果から、HCHOの含有量が規定範囲内までであれば、PTZを3質量%添加しても、析出物はそれほど多くなく、重合防止効果もほとんど低下しないことがわかる。
【0050】
実験3
実験1と同様にして重合防止剤を除去したアクリル酸500gに、表3に示した量のHCHOを添加し、さらにイオン交換水を適宜加え、アクリル酸とHCHOと水との合計を100質量%としたときに水の濃度が80質量%となるように調整した。この溶液を表3に示した温度の恒温槽内で撹拌しながら、表3に示した量のHQを添加し、溶解させた。同温度で保持しながら、HQが完全に溶解した事を目視で確認したときから析出物が目視で認められるまでの時間を測定し、その結果を析出時間として表3に示した。また、析出物量と重合開始時間を実験1と同様に測定し、結果を表3に示した。
【0051】
【表3】

【0052】
実験4(PTZとキノン類との併用系)
実験1と同様にして重合防止剤を除去したアクリル酸500gに、表4に示した量のHCHOを添加し、さらにイオン交換水を適宜加え、アクリル酸とHCHOと水との合計を100質量%としたときに水の濃度が10質量%となるように調整した。この溶液を表4に示した温度の恒温槽内で撹拌しながら、表4に示した量のPTZとHQまたはMQを添加し、溶解させた。同温度で保持しながら、PTZとHQまたはMQが完全に溶解した事を目視で確認したときから析出物が目視で認められるまでの時間を測定し、その結果を析出時間として表4に示した。また、析出物量と重合開始時間を実験1と同様に測定し、結果を表4に示した。
【0053】
【表4】

【0054】
実験5(小スケール実験機での実験)
図1に示したアクリル酸蒸留装置で、以下の実験を行った。蒸留塔T−1は、塔頂部に留出管および還流液供給管、中央部(10段目)に原料液供給用投入管、塔底部に塔底液抜き出し管および酸素投入管を備えた内径105mmのものである。蒸留塔T−1には、ステンレス鋼製シーブトレイを、段数20段、段間隔147mmで収納した。V−1は原料液(蒸留塔供給液)タンク、P−1は原料液供給用ポンプ、Ex−2は凝縮塔、V−2は留出液受けタンク、P−2は還流液用ポンプ、P−5は留出液抜き出し用ポンプである。すなわち、このP−5によって、重合防止剤溶液用のアクリル酸溶液を抜き出す。
【0055】
抜き出されたアクリル酸溶液は、重合防止剤溶液タンクV−4またはV−5へ送られ、フェノチアジンが(必要により他の重合防止剤も)ここに投入される。本実験では、蒸留のスタートアップ時から2日間は、V−4に、和光純薬社製のアクリル酸30kgにフェノチアジン1質量%溶解した重合防止剤溶液を仕込んで、これをポンプP−4で凝縮塔Ex−2上部の気相部から供給し、その後は、留出液から得られた1質量%のフェノチアジンのアクリル酸溶液(重合防止剤溶液)をV−5で調製して、これをポンプP−4で凝縮塔Ex−2へ供給するようにした。凝縮器Ex−2において、蒸留塔T−1の塔頂ガスの凝縮液と重合防止剤溶液が混合され、還流液としてポンプP−2を介して蒸留塔T−1へ戻される。なお、V−4、V−5と、P−4との間に、200メッシュのスクリーンを備えたストレーナーSt−41とストレーナーSt−42を設けている。
【0056】
また、B−1はリボイラー、St−31とSt−32は60メッシュのスクリーンを備えたストレーナー、P−3は塔底液循環用ポンプ、V−3は塔底液タンクである。
【0057】
蒸留実験においては、アクリル酸81質量%、酢酸3.7質量%、フルフラール0.5質量%、水9質量%、アクリル酸二量体3.4質量%、ホルムアルデヒド35質量ppm、残部が蟻酸その他の副生物である原料液を、蒸留塔T−1に、11.93kg/hrで塔底部から供給した。重合防止剤溶液はアクリル酸蒸発蒸気量に対して200質量ppmとなるように、凝縮器Ex−2から蒸留塔T−1へ供給した。また、分子状酸素を、アクリル酸蒸発蒸気量に対して0.3容量%となるように蒸留塔T−1の塔底部から塔内部へ供給した。なお、アクリル酸蒸発蒸気量とは、リボイラーB−1から加えられた熱量に相当する、塔底から蒸発するアクリル酸の蒸気の総量を意味する。
【0058】
ストレーナーSt−31,32,41,42については1日1回内部のスクリーンを取り出して濾物(ポリマーおよび/またはフェノチアジン系析出物)を洗浄すると共に、その定量を行った。
【0059】
定常運転時(蒸留開始から24時間後)における運転状態は、蒸留塔T−1の塔頂温度70℃、塔底温度120℃、塔頂圧力94hPa、還流比(単位時間当たりの還流液の全モル数/単位時間当たりの留出液の全モル数)0.5とした。塔頂からの留出液量は、11.29kg/hrであった。また、重合防止剤溶液の供給量は0.34kg/hrとした。留出液の組成は、アクリル酸85質量%、酢酸4.0質量%、フルフラール0.29質量%、水9.8質量%、アクリル酸二量体0.38質量%、ホルムアルデヒド38質量ppm、残部が蟻酸等の副生物であった。
【0060】
定常運転状態を確認してから24時間後(蒸留開始から2日後)、蒸留塔T−1の留出液100kgにフェノチアジンを1質量%となるようにタンクV−5で調製し、重合防止剤溶液の供給がタンクV−5から行うように弁を切り替えて、アクリル酸蒸発蒸気量に対し200ppmとなるよう、還流液と共に蒸留塔へ供給した。その後は、タンクV−5の重合防止剤溶液が少なくなってきたら、タンクV−4で留出液から重合防止剤溶液を調製して蒸留塔T−1へ供給し、これを繰り返して蒸留を継続した。重合防止剤溶液を留出液を用いて調製したものに変更してから10日経過後、V−5の内部を確認したところ、わずかに析出物が認められたが、蒸留を継続した。
【0061】
30日稼働後、蒸留を止めて、蒸留塔T−1内部を点検したところ、ポリマーの付着は認められず、今後も運転の継続が可能な状態であった。ストレーナーSt−31と32のスクリーンによって濾取されたポリマー量は、30日間の積算量で150gであった。また、ストレーナー41と42で濾取された析出物量は、30日間の積算量で約3gであった。なお、ポリマーと析出物は、軽く液切りした状態で計量した。
【0062】
実験6(小スケール実験機での実験)
ホルムアルデヒド量が1500質量ppmである原料液(他の組成は実験5と同じ)を用いた以外は実験5と同様にして、蒸留操作を行った。重合防止剤溶液を、留出液を用いたものに切り替えてから3日後、V−5内部を確認したところ、槽内に析出物が若干認められたが、そのまま蒸留を継続した。なお、留出液中のホルムアルデヒドは1650質量ppmであった。
【0063】
30日稼働後、蒸留を止めて、蒸留塔T−1内部を点検したところ、ポリマーの付着は認められず、今後も運転の継続が可能な状態であった。ストレーナーSt−31と32のスクリーンによって濾取されたポリマー量は、30日間の積算量で230gであった。また、ストレーナー41と42で濾取された析出物量は、30日間の積算量で約50gであった。なお、ポリマーと析出物は、全て湿潤状態で計量した。
【0064】
実験7(比較用)
ホルムアルデヒド量が5000質量ppmである原料液(他の組成は実験5と同じ)を用いた以外は実験5と同様にして、蒸留操作を行った。重合防止剤溶液を、留出液を用いたものに切り替えてから1日後にV−5内部を確認したところ、槽内に析出物が認められたが、そのまま蒸留を継続した。なお、留出液中のホルムアルデヒドは5530質量ppmであった。
【0065】
重合防止剤溶液を切り替えてから5日後(蒸留開始から7日後)、蒸留塔T−1の塔頂部の圧力のぶれが大きくなってきたので、蒸留を止めて、蒸留塔T−1内部を点検したところ、ポリマーの付着が認められた。ストレーナーSt−31と32のスクリーンによって濾取されたポリマー量は、7日間の積算量で約600gであり、閉塞状態であった。また、ストレーナー41と42で濾取された析出物量は、7日間の積算量で約3.53gであった。なお、ポリマーと析出物は、全て湿潤状態で計量した。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、(メタ)アクリル酸製造プロセス中で産出されるホルムアルデヒドを不可避的に含んだ(メタ)アクリル酸溶液を用いて、フェノチアジン類および/またはキノン類の溶液を作製した場合においても、フェノチアジン類および/またはキノン類とホルムアルデヒドとの反応生成物の析出を抑制することができ、安定な重合防止剤溶液を提供することができたため、この重合防止剤溶液を用いて(メタ)アクリル酸製造プロセス中の任意の工程で(メタ)アクリル酸の重合防止を行うことが可能となり、安定的に(メタ)アクリル酸を製造することができるようになった。本発明法で調製される重合防止剤溶液は、ホルムアルデヒドが副生するプロセスを有する他のビニル化合物の製造プロセスにおいて重合を防止するために利用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実験5〜7で用いた蒸留装置である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノチアジン類および/またはキノン類を含む重合防止剤溶液を用いて(メタ)アクリル酸の重合を防止しながら(メタ)アクリル酸を製造する方法において、
前記重合防止剤溶液の溶媒は、(メタ)アクリル酸の製造プロセスの任意の工程で産出され、かつ、ホルムアルデヒドを含有する(メタ)アクリル酸溶液を含むものであり、
上記ホルムアルデヒドの濃度は、重合防止剤溶液中、10〜5000ppm(質量基準)であり、
上記重合防止剤溶液には、0.1〜3質量%のフェノチアジン類および/または0.1〜10質量%のキノン類が含まれていることを特徴とする(メタ)アクリル酸の製造方法。
【請求項2】
上記ホルムアルデヒドの濃度が、重合防止剤溶液中、10〜2000ppm(質量基準)である請求項1に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
【請求項3】
上記ホルムアルデヒドを含む(メタ)アクリル酸溶液が1〜99.9質量%の(メタ)アクリル酸を含むものである請求項1または2のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
【請求項4】
上記重合防止剤溶液の調製に際し、フェノチアジン類とキノン類以外の重合防止剤を添加混合するものである請求項1〜3のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
【請求項5】
上記重合防止剤溶液を(メタ)アクリル酸の製造プロセスで使用される塔型装置に供給するものである請求項1〜4のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
【請求項6】
上記塔型装置が、捕集塔、凝縮塔および蒸留塔のいずれか1種以上である請求項5に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−191435(P2007−191435A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−11594(P2006−11594)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】