説明

1β−メチルカルバペネム系抗生物質、薬剤組成物およびその用途

本発明は下記の一般式(I)の1β−メチルカルバペネム、もしくはその薬学的に許容可能な塩、加水分解しやすいエステル、もしくはその異性体に関し、それらの化合物の準備方法、それらの化合物を含有する薬剤組成物、ならびにそれらの化合物の用途に関し、R1,R2,R3,R4,R5,R6、およびnは明細書中に示すように定義される。本発明の化合物は多くの利点を有し、ヒトを含む哺乳類の感染症の治療および/または予防用の薬剤の製造に用いられる。
【化17】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗生物質の分野に関し、特に1β−メチルカルバペネム系抗生物質、もしくはその薬学的に許容可能な塩、加水分解しやすいエステルもしくはその異性体に関し、その準備方法、それらを含有する薬剤組成物、ならびにヒトを含む哺乳類の感染症の治療および/または予防用の薬剤の製造におけるその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
カルバペネム系抗生物質は1970年代より発達してきたβ−ラクタム系抗生物質の一種である。その広範な抗菌スペクトルと、強力な抗菌作用、およびβ−ラクタマーゼに対する優れた安定性により多くの注目を集めてきた。その構造はペナム核の1位の硫黄が炭素に置き換わり、ペナム核の2位に二重結合が存在して、セファロスポリンの共役二重結合によりペニシリンの五員環の効果と活性化β−ラクタム環の効果とが組み合わされることを特徴とし、ペナム核の6位のヒドロキシエチル側鎖がトランソイド立体構造にある。
【0003】
特許文献1は下記の化学式(1)の化合物を開示しており、その中で抗菌薬として望ましい化合物が下記の化学式(2)の化合物であるメロペネムを含む。
【0004】
【化1】

【0005】
【化2】

【0006】
メロペネムは多くの国で販売されており、グラム陽性菌やグラム陰性菌に対して相対的に強い働きを有し、腹腔、皮膚および皮膚軟組織等の感染症の治療に用いられる。メロペネムは腎デヒドロペプチダーゼI(DHP−I)に対して安定であるが、半減期が相対的に短く、8時間毎に1回投与する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第0126587号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
抗生物質の乱用により、薬物耐性菌が診療施設内にますます増えている。病院内で臨床感染する一般的な様々な病原菌に対して高い抗菌作用を有する、半減期の長い新規のカルバペネム系抗生物質を開発する必要が強く存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は活性の高い持続作用のある新規のカルバペネム系抗生物質を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、本発明による活性の高い持続作用のある新規のカルバペネム系抗生物質を含んだ薬剤組成物を提供することである。
【0011】
さらに本発明の別の目的は、ヒトを含む哺乳類の感染症の治療および/または予防用の、あるいはヒトを含む哺乳類の感染症の治療および/または予防用の薬剤の製造用の、活性の高い持続作用のある新規のカルバペネム系抗生物質の用途を提供することである。
【0012】
一態様では、本発明は下記の一般式(I)の化合物、もしくはその薬事的に許容可能な塩、加水分解しやすいエステル、もしくはその異性体を提供する。
【0013】
【化3】

【0014】
但し、
1は水素原子、もしくはカルボキシル基の保護基を示し;
2は水素原子、もしくはアミノ基の保護基を示し;
3は水素原子、もしくは低アルキル基を示し;
4およびR5はそれぞれ単独で水素原子、もしくは低アルキル基を示す、もしくはR4およびR5が結合して5〜8員環を形成し;
6は水素原子、ハロゲン、シアン基、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、カルバモイル基、アミノスルホニル基、低アルキル基であって、ハロゲン、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、シアン基、カルバモイル基、またはアミノスルホニル基と置換された低アルキル基または置換されていない低アルキル基、低アルコキシ基、低アルキルスルホニル基、低アルキルカルバモイル基、低アルキルスルホンアミド基、低アルキルアミド基、低アルキルカルボニル基、もしくは低アルキルカルボニルオキシ基を示し;
nは、1,2,3を示す。
【0015】
別の一態様では、本発明は、治療的かつ/または予防的に効果のある量の一般式(I)の化合物、もしくはその薬事的に許容可能な塩、その加水分解しやすいエステル、もしくはその異性体と、1つ以上の薬事的に許容可能な担体および/または希釈剤と、を含有する薬剤組成物を提供する。
【0016】
更に別の一態様では、本発明は、ヒトを含む哺乳類の感染症の治療および/または予防用の、あるいはヒトを含む哺乳類の感染症の治療および/または予防用の薬剤の製造用の、一般式(I)の化合物、もしくはその薬事的に許容可能な塩、その加水分解しやすいエステル、もしくはその異性体の用途を提供し、前記感染症は特に本発明の化合物に対して感受性を有する細菌に起因するものである。
【0017】
本発明の実施例における一態様では、本発明の化合物は下記の一般式(I)の化合物、もしくはその薬事的に許容可能な塩、加水分解しやすいエステル、もしくはその異性体である。
【0018】
【化4】

【0019】
但し、
1は水素原子、もしくはカルボキシル基の保護基を示し;
2は水素原子、もしくはアミノ基の保護基を示し;
3は水素原子、もしくは低アルキル基を示し;
4およびR5はそれぞれ単独で水素原子、もしくは低アルキル基を示す、もしくはR4およびR5が結合して5〜8員環を形成し;
6は水素原子、ハロゲン、シアン基、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、カルバモイル基、アミノスルホニル基、低アルキル基であって、ハロゲン、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、シアン基、カルバモイル基、またはアミノスルホニル基と置換された低アルキル基または置換されていない低アルキル基、低アルコキシ基、低アルキルスルホニル基、低アルキルカルバモイル基、低アルキルスルホンアミド基、低アルキルアミド基、低アルキルカルボニル基、もしくは低アルキルカルボニルオキシ基を示し;
nは、1,2,3を示す。
【0020】
別の実施例では、本発明の化合物は一般式(I)の化合物、もしくはその薬事的に許容可能な塩、加水分解しやすいエステル、もしくはその異性体であって、
1は水素原子、もしくはカルボキシル基の保護基を示し;
2は水素原子、もしくはメチル基を示し;
3は水素原子、もしくは低アルキル基を示し;
4およびR5はそれぞれ単独で水素原子、もしくは低アルキル基を示す、もしくはR4およびR5が結合して5〜7員環を形成し;
6は水素原子、ハロゲン、シアン基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、アミノスルホニル基、ハロゲンと置換されたまたは置換されていない低アルキル基、低アルコキシ基、メチルカルバモイル基、メチルスルホンアミド基、もしくはエチルアミド基を示し;
nは、1または2を示す。
【0021】
別の実施例では、本発明の化合物は一般式(I)の化合物、もしくはその薬事的に許容可能な塩、加水分解しやすいエステル、もしくはその異性体であって、
1は水素原子を示し;
2は水素原子、もしくはメチル基を示し;
3は水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示し;
4およびR5はそれぞれ単独で水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示す、もしくはR4およびR5が結合して5〜7員環を形成し;
6は水素原子、フッ素原子、アミノ基、カルバモイル基、アミノスルホニル基、もしくは、ハロゲンと置換されたもしくは置換されていない低アルキル基を示し;
nは2を示す。
【0022】
別の実施例では、本発明の化合物は一般式(I)の化合物、もしくはその薬事的に許容可能な塩、加水分解しやすいエステル、もしくはその異性体であって、
1は水素原子を示し;
2は水素原子、もしくはメチル基を示し;
3は水素原子、もしくはメチル基を示し;
4およびR5はそれぞれ単独で水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示す、もしくはR4およびR5が結合して5〜7員環を形成し;
6は水素原子、フッ素原子、アミノ基、カルバモイル基、アミノスルホニル基、もしくは、フッ素原子と置換されたもしくは置換されていない低アルキル基を示し;
nは2を示す。
【0023】
別の実施例では、本発明の化合物は一般式(I)の化合物、もしくはその薬事的に許容可能な塩、加水分解しやすいエステル、もしくはその異性体であって、
1は水素原子を示し;
2は水素原子を示し;
3は水素原子、もしくはメチル基を示し;
4およびR5はそれぞれ単独で水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示す、あるいはR4およびR5が結合して5〜7員環を形成し;
6は水素原子、フッ素原子、アミノ基、カルバモイル基、アミノスルホニル基、メチル基、もしくはトリフルオロメチル基を示し;
nは2を示す。
【0024】
好ましい実施例では、本発明の化合物は以下の化合物から選択される:
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[(2−(3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−N−メチル−エチルアミノ]−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、簡単に化合物1と呼び、以下の化学式を有する:
【0025】
【化5】

【0026】
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[(2−(3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、簡単に化合物2と呼び、以下の構造式を有する:
【0027】
【化6】

【0028】
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(2−トリフルオロメチル−4,5−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、簡単に化合物3と呼び、以下の構造式を有する:
【0029】
【化7】

【0030】
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(2−カルバモイル−3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、簡単に化合物4と呼び、以下の構造式を有する:
【0031】
【化8】

【0032】
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−メチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、簡単に化合物5と呼び、以下の構造式を有する:
【0033】
【化9】

【0034】
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(2−アミノ−3,4−メチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、簡単に化合物6と呼び、以下の構造式を有する:
【0035】
【化10】

【0036】
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−ジメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、簡単に化合物7と呼び、以下の構造式を有する:
【0037】
【化11】

【0038】
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(4,5−ジメチレンジオキシ−2−フルオロ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、簡単に化合物8と呼び、以下の構造式を有する:
【0039】
【化12】

【0040】
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−トリメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、簡単に化合物9と呼び、以下の構造式を有する:
【0041】
【化13】

【0042】
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−トリメチレンジオキシ−5−アミノスルホニル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、簡単に化合物10と呼び、以下の構造式を有する:
【0043】
【化14】

【0044】
および、これらの化合物の薬事的に許容可能な塩、加水分解しやすいエステル、もしくは異性体から選択される。
【0045】
本発明の化合物は次の反応スキームに示す方法によって用意される。
【0046】
反応スキーム:
【0047】
【化15】

【0048】
反応ステップ:
[ステップ1:化合物Aの用意]
乾燥した反応瓶中で、無水テトラヒドロフラン中の原料1を窒素雰囲気下、周囲温度で1,1−カルボニルジイミダゾール(CDI)と反応させ、次いで原料2を添加し、反応が完了するまで継続させた。次いで反応混合物中に塩酸を滴下し、この反応混合物を酢酸エチルで抽出し、有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で順次洗浄して、減圧下で濃縮させた。残留物を塩酸に加えて攪拌し、pH値を希釈アルカリ溶液で調節して固体を沈殿させた。酢酸エチル−シクロヘキサン混合物から固体が再結晶化されて化合物Aを得た。
[ステップ2:化合物Bの用意]
乾燥した反応瓶中に、原料3すなわち(4R,5S,6S)−3−ジフェノキシホスホリルオキシ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステルのアセトニトリル溶液を加えて冷却し、次いでジイソプロピルエチルアミン、および化合物Aのアセトニトリル溶液を加えて攪拌した。反応終了後、酢酸エチルを添加して反応混合物を希釈した。有機層を分離し、水および飽和食塩水で順次洗浄して乾燥させ、濃縮して化合物Bを得た。
[ステップ3:化合物Cの用意]
上記ステップ2で得られた化合物Bをジクロロメタン中に溶解させて、フェニルメチルエーテルおよびニトロメタンを添加し、三塩化アルミニウムのニトロメタン溶液を滴下した。反応物を攪拌して水を添加し、固体を沈殿させて濾過した。結果として生じた濾過ケークをTHFおよび水の混合溶液中に溶解させて、10%Pd−Cを添加した。反応混合物を周囲温度、5MPaの水素ガス圧力下で攪拌した。反応終了後、Pd−C触媒を濾過により除去した。結果として生じたろ液をTHFに加えて層分離させ、結果として生じた水層を回収した。塩化マグネシウム水溶液をTHF層に加えて静止後に水層を分離し、このプロセスをもう一度繰り返した。これらの水層を1つに混ぜ合わせてメタノールを滴下し、攪拌、濾過して、水−イソプロパノールから結果として生じる濾過ケークを再結晶化させ、化合物Cを得た。
【0049】
上記の反応スキームにおける、R3,R4,R5,R6で示すグループおよびnで示す数は先に定義したものであり、化合物Cのカルボキシル基はカルボキシル基の保護基により保護され、窒素原子に結合する水素原子はアミノ基の保護基すなわち一般式(I)の化合物により保護することができる。
【0050】
本明細書中で用いる「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素原子である。
【0051】
本明細書中で用いる「低アルキル基」は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、s−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等の、直鎖状もしくは分枝状のC1〜6−アルキル基である。
【0052】
本明細書中で用いる「低アルコキシ基」は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキソキシ基等を含む、直鎖状もしくは分枝状のC1〜6−アルコキシ基である。
【0053】
本明細書中で用いる「低アルキルアミノスルホニル基」は、メチルアミノスルホニル基、エチルアミノスルホニル基等を含む、C1〜6−アルキルアミノスルホニル基である。
【0054】
本明細書中で用いる「低アルキルカルバモイル基」は、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基等を含む、C1〜6−アルキルカルバモイル基である。
【0055】
本明細書中で用いる「低アルキルスルホニルアミノ基」は、メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基等を含む、C1〜6−アルキルスルホンアミドである。
【0056】
本明細書中で用いる「低アルキルアミド」は、エチルアミド、プロピルアミド等を含む、C1〜6−アルキルアミドである。
【0057】
本明細書中で用いる「アミノ基の保護基」は、アミノ基の酸性プロトンを置換するように通常用いられる保護基を示し、この保護基の例は、カルバミン酸塩であって、メチル基、エチル基、シクロプロピルメチル基、1−メチル−1−シクロプロピルメチル基、ジイソプロピルメチル基、9−フルオレニルメチル基、9−(2−チオ)フルオレニルメチル基、2−フリルメチル基、2,2,2−トリクロロメチル基、2−ハロメチル基、2−インドエチル基、2−トリメチルシリルエチル基、2−メチルチオエチル基、2−メチルスルホニルエチル基、2−(p−トリルスルホニル)エチル基、2−ホスホニウムエチル基、1,1−ジメチル−3−(N,N−ジメチルホルムアミド)プロピル基、1,1−ジフェニル−3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル基、1−メチル−(アダマンチル)エチル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、1−メチル−1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチル基、1−メチル−1−(4−ビフェニル)エチル基、1−メチル−1−(p−フェニルアゾフェニル)エチル基、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチル基、1,1−ジメチル−2−シアノエチル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、シクロブチル基、1−メチルシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−アダマンチル基、イソボルニル基、ビニル基、アリル基、シンナミル基、フェニル基、2,4,6−トリブチルフェニル基、m−ニトロフェニル基、S−フェニル基、8−キノリル基、N’−ヒドロキシピペリジル基、4−(1,4−ジメチルピペリジル)基、4,5−ジフェニル−3−オキサゾリン−2−オン基、ベンジル基、2,4,6−トリメチルベンジル基、p−メトキシベンジル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基、3,5−ジメトキシベンジル基、p−デシルオキシベンジル基、p−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基、o−ニトロベンジル基、3,4−ジメトキシル−6−ニトロベンジル基、p−ブロモベンジル基、クロロベンジル基、2,4−ジクロロベンジル基、p−シアノベンジル基、o−(N,N−ジメチルホルムアミド)ベンジル基、m−クロロ−p−アシルオキシベンジル基、p−(ジヒドロキシボリル)ベンジル基、p−(フェニルアゾ)ベンジル基、p−(p−メトキシフェニルアゾ)ベンジル基、5−ベンゾイソオキサゾリルメチル基、9−アントリルメチル基、ジフェニルメチル基、フェニル(n−ニトロフェニル)メチル基、ジ(2−ピリジル)メチル基、1−メチル−1−(4−ピリジル)エチル基、イソニコチニル基、S−ベンジル基、N’−ピペリジルカルボニル基、N’−p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、およびN’−フェニルアミノチオカルボニル基のカルバミン酸エステル;ホルミル基、アセチル基、アセチル−ピリジニウム基、(N’−ジチオベンジルオキシカルボニルアミノ)アセチル基、3−フェニルプロピオニル基、3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル基、3−(o−ニトロフェニル)プロピオニル基、2−メチル−2−(o−ニトロフェノキシ)プロピオニル基、2−メチル−2−(o−フェニルアゾフェノキシ)プロピオニル基、4−クロロブチリル基、イソブチリル基、o−ニトロシンナモイル基、ピリジルホルミル基、N’−アセチルメチオニル基、N’−ベンゾイル−フェニルアルキル基、ベンゾイル基、p−フェニルベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基、o−ニトロベンゾイル基、o−(ベンゾイルオキシメチル)ベンゾイル基、およびp−P−ベンゾイル基のアミド;フタロイル基、2,3−ジフェニルマレオイル基、およびジチオスクシニル基の環状イミド;t−ブトキシカルボニル基、アリル基、アリルオキシカルボニル基、ベンゾイルメチル基、3−アセチルオキシプロピル基、4−ニトロ−1−シクロヘキシル−2−オキソ−3−ピロリジン−3−イル基、第四級アンモニウム塩、メトキシメチル基、2−クロロエトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ピバロイルメチル基、[1−(アルコキシカルボニルアミノ)]−2,2,2−トリフルオロエチル基、[1−トリフルオロメチル−1−(p−クロロフェノキシメトキシ)2,2,2−トリフルオロ]エチル基、2−テトラヒドロピラニル基、2,4−ジニトロフェニル基、ベンジル基、3,4−ジメトキシベンジル基、o−ニトロベンジル基、ジ(p−メトキシフェニル)メチル基、トリフェニルメチル基、(p−メトキシフェニル)ジフェニルメチル基、ジフェニル−4−ピリジルメチル基、2−ピリジルメチル−N’−オキシド、5−ジフェニルプロピルシクロヘプチル基、N’,N’−ジメチルアミノメチレン基、N’−イソプロピレン基、ベンジリデン基、p−メトキシベンジリデン基、p−ニトロベンジリデン基、サリチリデン基、5−クロロサリチリデン基、ジフェニルメチレン基、(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)フェニルメチレン基、(アシルビニル基)、5,6−ジメチル−3−オキソ−1−シクロヘキセニル基、ボラン基、[フェニル(ペンタ−カルボニルクロムもしくはタングステン)]カルボニル基、銅もしくは亜鉛キレート、ニトロ基、ニトロソ基、酸化物、ジフェニルホスフィノ、ジメチルチオホスフィニル、ジフェニルチオホスフィニル、ジエチルホスホリル、ジベンジルホスホリル、ジフェニルホスホリル、ホスホリル、トリメチルシリル基、フェニルチオ基、n−ニトロフェニルチオ基、2,4−ジニトロフェニルチオ基、2−ニトロ−4−メトキシフェニルチオ基、トリフェニルメチルチオ基、フェニルスルホニル基、p−メトキシフェニルスルホニル基、2,4,6−トリメチルフェニルスルホニル基、メチルスルホニル基、ベンジルスルホニル基、p−メチルベンジルスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ベンゾイルメチルスルホニル基、ジアゾ基、等を含む。
【0058】
本明細書中で用いる「カルボキシル基の保護基」は、カルボン酸の酸性プロトンを置換するように通常用いられる保護基を示す。この保護基の例は、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフリル基、メトキシエチルメチル基、ベンジルオキシメチル基、ベンゾイルメチル基、p−ブロモベンゾイルメチル基、α−メチルベンゾイルメチル基、p−メトキシベンゾイルメチル基、ジアシルメチル基、N−フタリルイミドメチル基、エチル基、2,2,2−クロロエチル基、2−ハロエチル基、ω−クロロアルキル基、2−(トリメチルシリル)エチル基、2−メチルチオエチル基、2−(p−ニトロフェニルチオ)エチル基、2−(p−メチルフェニルチオ)エチル基、1−メチル−1− フェニルエチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ジ(o−ニトロフェニル)メチル基、9−フルオレニルメチル基、2−(9,10−ジオキソ)フルオレニルメチル基、5−ジフェニルチオ基、2,4,6−トリメチルベンジル基、p−ブロモベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル基、p−メトキシベンジル基、ピペロニル基、4−ピリジルメチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、イソ−プロピルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、S−t−ブチル基、S−フェニル基、S−2−ピリジル基、N−ヒドロキシピペリジル基、N−ヒドロキシスクシンイミド基、N−ヒドロキシフタルイミド基、N−ヒドロキシベンゾトリアゾリル基、O−アシル−オキシム基、2,4−ジニトロフェニルチオ基、2−アルキル−1,3−オキサゾリニル基、4−アルキル−5−オキソ−1,3−オキサゾリジン、5−アルキル−4−オキソ−1,3−ジオキサン、トリエチル錫、トリ(n−ブチル)錫、N,N’−ジイソプロピルヒドラジド、等を含む。
【0059】
本明細書中で用いる薬事的に許容可能な塩は、有機酸の塩、無機酸の塩、有機塩基の塩、もしくは無機塩基の塩であり、有機酸は、酢酸、トリフルオロ酢酸、メチルスルホン酸、トルエンスルホン酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸、等を含み;無機酸は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、等を含み;有機塩基は、メグルミン、アミノグルコース、等を含み;無機塩基は、ナトリウム、カリウム、バリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウムの塩基性化合物を含む。当業者にとって周知であるように、本発明の化合物の薬事的に許容可能な塩は、化合物の遊離型のカルボキシル基において形成され、公知の方法により用意することができる。好ましい薬事的に許容可能な塩は、(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[(2−(3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸ナトリウム(簡単に化合物2のナトリウム塩と呼ぶ)などのナトリウム塩や、カリウム塩である。
【0060】
本明細書中で用いる加水分解しやすいエステルは、カルボキシル基が加水分解しやすいエステルの形をとる化合物である。これらのエステルは、ピバロイルオキシメチルエステル、1−ピバロイルオキシエチルエステルなどの低アルカノイルオキシアルキルエステル;メトキシカルボニルオキシメチルエステル、1−エトキシカルボニルオキシエチルエステル、1−イソプロポキシカルボニルオキシエチルエステルなどの低アルコキシカルボニルオキシアルキルエステル;メトキシメチルエステルなどの低アルコキシメチルエステル;ラクトン基エステル、ベンゾフラノニルエステル、チオベンゾフラノニルエステル;アセチルアミノメチルエステルなどの低アルカノイルアミノメチルエステル等を含む一般的なエステルである。ベンジルエステルおよびシアノメチルエステルなどのその他のエステルを用いてもよい。これらのエステルのその他の例は、例えば、(2,2−ジメチル−1−オキシプロポキシ)メチルエステル;(1RS)−1−アセチルオキシエチルエステル;2−[(2−メチルプロポキシ)カルボニル]−2−ペンテニルエステル;1−[[(1−メチルエトキシ)カルボニル]オキシ]エチルエステル;イソプロポキシカルボニルオキシエチルエステル;(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソル−4−イル)メチルエステル;1−[[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ]エチルエステル;3,3−ジメチル−2−オキシブチルエステルである。当業者にとって周知であるように、加水分解しやすい本発明の化合物のエステルは、化合物の遊離型のカルボキシル基において形成され、公知の方法により用意することができる。好ましいエステルは、(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−メチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸ピバロイルオキシメチルエステル(簡単に化合物5のピバロイルオキシメチルエステルと呼ぶ)などの、ピバロイルオキシメチルエステル、イソプロポキシカルボニルオキシエチルエステル、および(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソル−4−イル)メチルエステルである。
【0061】
本明細書中で用いる異性体は、全てのエピマー、ジアステレオマー、およびその互変異性型を示す。三次元的な意味では、化学結合を紙面上の楔で示すと、これは化学結合が紙面より手前に出ていることを示す一方、影で示された化学結合は紙面に沈んでいることを示す。一般式(I)の化合物は4位、5位、6位の立体中心を含む多くの立体中心を有する。
【0062】
さらに本発明は、上記のいずれかの化合物、もしくはその薬事的に許容可能な塩、加水分解しやすいエステル、もしくは異性体と、シラスタチンおよびそのナトリウム塩、ベタミプロンなどのその他の薬剤的に活性のある成分と、を含有する薬剤組成物を含む。
【0063】
本発明の化合物、もしくはその薬事的に許容可能な塩、加水分解しやすいエステル、もしくはその異性体は、通常、投与用の一種類以上の薬事的に許容可能な担体および/または希釈剤とともに薬剤組成物として処方される。本発明の薬剤組成物は、治療を必要とする患者に対する経口投与、非経口投与、直腸投与、もしくは肺投与用の、あらゆる臨床的もしくは薬事的に許容可能な投薬形態を形成するように公知の方法によって処方することができる。経口投与用では、薬剤組成物は、錠剤、カプセル、ピル、顆粒等の通常の固形製剤として、もしくは経口液剤、経口懸濁液、シロップ等の経口液体製剤として処方することができる。経口剤には、適切な膨張性薬剤、結合剤、崩壊剤、平滑剤などを添加することができる。非経口投与用では、注射剤、注射用無菌粉剤、および注射用濃縮液を含む注射製剤として処方することができる。注射製剤は、製剤分野における公知の方法によって処方することができる。注射剤を処方する際には、添加剤すなわち製剤の特性に応じた適切な添加剤が添加されうる。直腸投与用では、薬剤組成物を坐薬として処方することができる。肺投与用では、薬剤組成物を吸入剤もしくはスプレーとして処方することができる。投薬形態1単位あたりに0.01g〜10gの生理的な有効量の一般式(I)の化合物が含まれ、これは0.01g,0.05g,0.1g,0.125g,0.2g,0.25g,0.3g,0.4g,0.5g,0.6g,0.75g,1g,1.25g,1.5g,1.75g,2g,2.5g,3g,4g,5g,10g等である。「生理的な有効量」とは、疾病の治療および/または予防のために化合物を動物に対して投与する際に、疾病の治療および/または予防の効果が十分となる化合物量を意味する。
【0064】
本発明の化合物は、グラム陽性菌、グラム陰性菌、好気性細菌、および嫌気性細菌に対して優れた抗菌作用を有し、予想外の長半減期を有するとともに、β−ラクタマーゼおよびDHP−Iに対して安定しており、ヒトを含む哺乳類(マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、豚等)の呼吸器感染症や尿路感染症などの病原菌に起因する様々な疾患を治療および/または予防するように安全に使用することができる。
【0065】
通常、カルバペネムは温血動物に対して毒性がなく、この一般原則が本発明の化合物にも適用される。細菌感染の治療に必要とされる摂取量を超えるような過剰摂取量を複数のマウスに投与したときにも、本発明の化合物による明らかな中毒の徴候や副作用は見られなかった。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下の実施例は本発明の実施形態をさらに詳しく説明するためのものであり、本発明の保護範囲を限定するものではないことを理解されたい。
[実施例1:2−トリフルオロメチル−4,5−ジメトキシフェニルエチルアミンの準備]
(1)N−(3,4−ジメトキシフェニルエチル)アセトアミドの準備
乾燥した反応瓶中に、18.1g(0.1mol)の3,4−ジメトキシフェニルエチルアミンを加えたのちに100mlの無水酢酸を加え、反応混合物を還流するように加熱し、2時間攪拌した。反応終了後、過剰な無水酢酸を減圧下、蒸留により除去した。残留物に150mlのジクロロメタンを加え、1mol/lNaOH溶液、脱イオン水、および飽和NaCl溶液を別々に用いて洗浄した。結果として得られた有機層を乾燥させて減圧下で濃縮させ、20.3g、収率:91.0%の固体を得た。
【0067】
(2)N−(2−クロロ−4,5−ジメトキシフェニルエチル)アセトアミドの準備
反応瓶中に、11.2g(0.05mol)のN−(3,4−ジメトキシフェニルエチル)アセトアミドおよびジクロロメタン(100ml)を加えた。反応混合物を還流するように加熱して、塩化鉄(III)およびヨウ素を加え、さらに10〜20分間攪拌して、塩素ガスでパージした。反応終了後、塩素ガスを放出させて、攪拌をさらに2時間行い、これを濾過して、減圧下で濃縮させ、8.3g、収率:64.3%の固体を得た。
【0068】
(3)2−トリフルオロメチル−4,5−ジメトキシフェニルアミンの準備
乾燥した反応瓶中に、14.6gのマグネシウム片および無水テトラヒドロフラン(50ml)を加え、攪拌しながら少量のヨウ素およびブロモエタン(3.2g)を加えた。混合物をヨウ素の色が完全になくなるまで緩やかに加熱し、次いで9.0g(0.59mol)のN−(2−クロロ−4,5−ジメトキシフェニルエチル)−アセトアミドの、無水テトラヒドロフラン(276ml)溶液を、反応物を攪拌しながら20分間加熱する割合で滴下し、更に利用するために結果として生じた溶液を密封した。
【0069】
反応瓶中に、14.7g(0.75mol)のトリフルオロヨードメタンを加えた。反応物を攪拌して40〜50°Cに加熱した。先のステップで準備した溶液を滴下し、温度を40〜50°Cに維持しながら反応混合物を2時間攪拌した。反応終了後、2mol/lの塩酸でpHを2〜3に調節し、混合物を周囲温度に冷却してさらに1時間攪拌し、有機溶媒を減圧下で除去したのちに、1mol/lのNaOH溶液でpHを5に調節した。形成された固体沈殿物を濾過によって捕集し、濾過したケークを冷水で洗浄、減圧下で乾燥させ、12.9g、収率:85%の固体生成物を得た。
[実施例2:2−ホルミルアミド−3,4−ジメトキシフェニルエチルアミンの準備]
(1)2−シアノ−3,4−ジメトキシル−フェニルエチルアミンの準備
反応瓶中に、10.8g(50mmol)の2−クロロ−3,4−ジメトキシフェニルエチルアミン、50mlのアセトニトリル、および1.0gのヨウ化カリウムを加えた。反応混合物を攪拌、加熱還流させたのちに、3.6g(55mmol)のシアン化カリウムを少しずつ加え、更に3時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を濃縮させて残留物をジクロロメタン中に溶解させ、水および飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を乾燥させて濃縮し、蒸留により溶剤の一部を除去し、冷却して7.9g、収率76.8%の固体を得た。
【0070】
(2)6−(2−エチルアミノ)−2,3−ジメトキシ安息香酸の準備
反応瓶中に、4.1g(20mmol)の2−シアノ−3,4−ジメトキシル−フェニル−エチルアミンと50mlのジクロロメタンを加えた。加熱還流させた後、反応混合物中に4mol/lの塩酸溶液を10ml滴下し、還流時の温度に維持しながら1時間攪拌した。反応終了後、有機層を分離して乾燥、濃縮し、3.7g、収率:82.4%の固体を得た。
【0071】
(3)6−(N−t−ブトキシカルボニル−2−エチルアミノ)−2,3−ジメトキシ塩化ベンゾイルの準備
反応瓶中に、6−(2−エチルアミノ)−2,3−ジメトキシ安息香酸6.8g(30mmol)のジクロロメタン溶液100ml、および8mlのトリエチルアミンを加えた。反応混合物を氷浴により0〜5°Cに冷却し、二炭酸ジ−tert−ブチル21.8g(31mmol)のジクロロメタン溶液100mlを滴下し、周囲温度で3時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を水および飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を乾燥させて別の反応瓶に移し、周囲温度下でSOCl2(10ml)を滴下した。反応混合物を2時間攪拌したのちに温度を上昇させてさらに2時間還流させた。反応終了後、反応混合物を1NのNaOH溶液、水、および飽和食塩水で順次洗浄し、有機層を乾燥させて減圧下で蒸留により濃縮し、ジクロロメタンの大部分を除去した。残留物は使用するために密封した。
【0072】
(4)2−ホルミルアミド−3,4−ジメトキシフェニルエチルアミンの準備
乾燥した反応瓶中に、先のステップで準備した6−(N−t−ブトキシカルボニル−2−エチルアミノ)−2,3−ジメトキシ塩化ベンゾイルのジクロロメタン溶液を加え、氷浴により冷却したこの溶液中に無水アンモニアガスを注入し、反応混合物を5時間攪拌した。反応終了後、溶液を濾過し、濾液を脱イオン水で洗浄した。有機層を乾燥させて別の反応瓶に移し、50mlのトリフルオロ酢酸を加えて周囲温度下で30分間攪拌した。反応終了後、溶剤を除去した後に3.1gの固体を得、2つのステップによる収率は46.1%であった。
[実施例3:2−アミノ−3,4−メチレンジオキシ−フェニルエチルアミンの準備]
(1)2−ニトロ−3,4−メチレンジオキシ−フェニルエチルアミンの準備
反応瓶中に、ピペロニルアミン16.5g(0.1mol)およびジクロロメタン(100ml)を加え、攪拌しながら35.6mlの硝酸、23gの硝酸ナトリウム、および50mlの水を加えた。反応混合物を40°Cに加熱し、8時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を同量の氷水に注入し、この混合物を冷却したNaOH溶液でpH8〜9に調節し、酢酸エチルで数回抽出した。有機層を一緒にして、水で洗浄し、乾燥させて、減圧下で蒸留により溶剤を除去し、次のステップでさらに精製することなく直接使用する2−ニトロ−3,4−メチレンジオキシ−フェニルエチルアミンを得た。
【0073】
(2)2−アミノ−3,4−メチレンジオキシフェニルエチルアミンの準備
加圧瓶中に、先のステップで準備した2−ニトロ−3,4−メチレンジオキシフェニルエチルアミン、メタノール(100ml)、および10%無水Pd−C(3g)を加え、反応圧力が1MPaに達するように水素ガスでパージした。反応物を1.5時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を取り出して濾過した。減圧下で濾液を体積の約1/3まで濃縮した。同体積のジクロロメタンを加えて、11.7gの淡黄色の固体を沈殿させた。2つのステップでの全収率は65.1%であった。
[実施例4:2−(3,4−ジメチレンジオキシ−5−フルオロ−フェン−1−イル)−エチルアミンの準備]
(1)2−(2−ニトロ−4,5−ジメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミンの準備
反応瓶中に、2−(3,4−ジメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミン17.9g(0.1mol)を加えた。反応混合物を氷浴により0°Cに冷却したのちに、硝酸(20ml)および濃硫酸(20ml)を攪拌しながら加え、この反応混合物を8時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を過剰な量の氷水に加えた。この混合物を冷却したNaOH溶液でpH8〜9に調節し、酢酸エチルで数回抽出した。有機層を一緒にして、水で洗浄し、乾燥させて、減圧下で溶剤を除去し、次のステップでさらに精製することなく直接使用する2−(2−ニトロ−4,5−ジメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミンを得た。
【0074】
(2)N−アセチル−2−(2−アミノ−4,5−ジメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミンの準備
乾燥した反応瓶中に、19g(0.1mol)の2−(2−ニトロ−4,5−ジメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミン、および100mlの無水酢酸を加えた。反応混合物を攪拌して、加熱還流させた。2時間還流させたのち、減圧下で蒸留することにより、過剰の無水酢酸を除去した。残留物に150mlのジクロロメタンを加え、1NのNaOH溶液、脱イオン水、および飽和NaOH溶液で順次洗浄した。有機層を乾燥させた後、減圧下で濃縮させて、残留物をオートクレーブ中に加えた。メタノール100mlおよび10%無水Pd−Cを加え、反応圧力が1MPaとなるように水素ガスでパージし、反応混合物を2時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を放出、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、10.7g、2つのステップの全収率45.2%の固体を得た。
【0075】
(3)2−(3,4−ジメチレンジオキシ−5−フルオロ−フェン−1−イル)−エチルアミンの準備
50gの40%フルオロホウ酸を50mlの水に加え、混合物を氷浴中で0°Cに冷却し、10.0g(42.3mmol)のN−アセチル−2−(2−アミノ−4,5−ジメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミンを攪拌しながら滴下したのちに、5gの窒化ナトリウムの12ml水溶液を滴下した。反応混合物を濾過し、少量のメタノール−エチルエーテル(2:1)で二度洗浄し、吸引により乾燥させて、約45°Cで熱分解させたのちに、酢酸エチルを加えた。激しく攪拌したのち、不溶性固体を濾過によって除去し、この溶液を反応瓶に移して10°Cに冷却し、10mlの濃HClを加えて約1時間攪拌した。この溶液を減圧下で濃縮し、残留物をメタノール−THF(1:9)から再結晶させて5.9g、収率:70.2%の淡黄色の固体を得た。
[実施例5:2−(4,5−トリメチレンジオキシ−6−アミノスルホニルメチル−フェン−1−イル)−エチルアミンの準備]
(1)N−アセトアミド−2−(2−スルホン酸−4,5−トリメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミンの準備
乾燥した反応瓶中に、19.3g(0.1mol)の2−(4,5−トリメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミン、および100mlの無水酢酸を加えた。反応混合物を加熱して還流させ、2時間攪拌した。反応終了後、減圧下で蒸留することにより過剰の無水酢酸を除去した。残留物に150mlのジクロロメタンを加え、1NのNaOH溶液、脱イオン水、および飽和NaCl溶液で順次洗浄した。有機層を反応瓶に加え、氷浴中で0°Cに冷却し、ピリジンおよび三酸化硫黄の付加生成物17.5g(0.11mol)のジクロロメタン溶液100mlを滴下した。滴下後、その温度を40°Cまで徐々に上昇させ、反応混合物を10時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を100mlの水で二回抽出した。水層を10%の希塩酸でpH=7に調節し、ジクロロメタンで数回抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させて減圧下で濃縮し、19.4g、収率61.5%の固体を得た。
【0076】
(2)N−アセトアミド−2−(2−スルホンアミド−4,5−トリメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミンの準備
反応瓶中に、3.2g(10mmol)のN−アセトアミド−2−(2−(硫酸)−4,5−トリメチレン−ジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミン、20mlの二塩化チオニル、および0.1mlのDMFを加えた。反応混合物を50°Cに加熱して6時間攪拌した。反応終了後、減圧下で過剰の二塩化チオニルを除去した。次いで反応瓶にジクロロメタン50mlを加えて均一に攪拌したのち、減圧下で溶媒を除去した。残留物を50mlのジクロロメタンに溶解させ、希釈アルカリ溶液、水、および飽和NaCl溶液で別々に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、反応瓶に移した。周囲温度下で、溶液中に無水アンモニアガスを注入し、反応混合物を3時間攪拌した。反応終了後、溶液を濾過し、濾液を濃縮して2,1g、収率67.9%の固体を得た。
【0077】
(3)2−(2−スルホンアミド−4,5−トリメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミンの準備
反応瓶中に、N−アセトアミド−2−(2−スルホンアミド−4,5−トリメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミン6.3g(20mmol)、および20mlの酢酸エチルを加えた。反応混合物を10°Cに冷却し、10mlの濃塩酸を加えて約1時間攪拌した。減圧下で溶液を濃縮し、残留物をメタノール−酢酸エチル(1:3)から再結晶させて、4.9g、収率:90.6%の固体を得た。
[実施例6:(2S,4S)−4−メルカプト−2−ホルミル−[2−(3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−N−メチル−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジンの準備]
乾燥した反応瓶中に、(2S,4S)−4−アセチル−スルファニル−2−カルボキシ−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン14.5g(50mmol)および無水テトラヒドロフラン100mlを加えた。窒素雰囲気下、1,1−カルボニルジイミダゾール13.1g(80mmol)を周囲温度で加え、反応混合物を1時間攪拌した。17.6g(90mmol)の2−(3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−N−メチル−エチルアミンを0°Cを下回る温度で反応混合物中に加え、反応混合物をさらに1時間攪拌した。次いで1mol/lの塩酸40mlを滴下し、酢酸エチル(50ml×2)で抽出して、有機相を水および飽和NaClで順次洗浄し、減圧下で濃縮させた。残留物を5mol/l塩酸(100ml)に加えて、混合物を2時間攪拌し、希釈アルカリ溶液でpH8に調節して、酢酸エチル−シクロヘキサンからさらに再結晶する固体を沈殿させて、16.5g、収率77.6%の固体を得た。
[実施例7:(2S,4S)−4−メルカプト−2−ホルミル−[2−(3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジンの準備]
実施例6の手順と同様の手順に従い、(2S,4S)−4−アセチル−スルファニル−2−カルボキシ−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン14.5g(50mmol)および2−(3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミン16.3g(90mmol)を用いることにより、16.6g、収率:80.9%の固体を得た。
[実施例8:(2S,4S)−4−メルカプト−2−ホルミル−[2−(2−トリフルオロメチル−4,5−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジンの準備]
実施例6の手順と同様の手順に従い、(2S,4S)−4−アセチル−スルファニル−2−カルボキシ−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン14.5g(50mmol)および2−(2−トリフルオロメチル−4,5−ジメトキシル−フェン−1−イル)エチルアミン22.4g(90mmol)を用いることにより、18.0g、収率:75.2%の固体を得た。
[実施例9:(2S,4S)−4−メルカプト−2−ホルミル−[2−(2−カルバモイル−3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジンの準備]
実施例6の手順と同様の手順に従い、(2S,4S)−4−アセチル−スルファニル−2−カルボキシ−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン14.5g(50mmol)および2−(2−カルバモイル−3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)エチルアミン20.2g(90mmol)を用いることにより、16.6g、収率:73.1%の固体を得た。
[実施例10:(2S,4S)−4−メルカプト−2−ホルミル−[2−(3,4−メチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジンの準備]
実施例6の手順と同様の手順に従い、(2S,4S)−4−アセチル−スルファニル−2−カルボキシ−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン14.5g(50mmol)および2−(3,4−メチレンジオキシ−フェン−1−イル)エチルアミン14.5g(90mmol)を用いることにより、16.3g、収率:82.6%の固体を得た。
[実施例11:(2S,4S)−4−メルカプト−2−ホルミル−[2−(2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3,4−メチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジンの準備]
実施例6の手順と同様の手順に従い、(2S,4S)−4−アセチル−スルファニル−2−カルボキシ−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン14.5g(50mmol)および2−(2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3,4−メチレンジオキシ−フェン−1−イル)エチルアミン25.2g(90mmol)を用いることにより、19.7g、収率:77.6%の固体を得た。
[実施例12:(2S,4S)−4−メルカプト−2−ホルミル−[2−(3,4−ジメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジンの準備]
実施例6の手順と同様の手順に従い、(2S,4S)−4−アセチル−スルファニル−2−カルボキシ−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン14.5g(50mmol)および2−(3,4−ジメチレンジオキシ−フェン−1−イル)エチルアミン16.1g(90mmol)を用いることにより、16.2g、収率:79.5%の固体を得た。
[実施例13:(2S,4S)−4−メルカプト−2−ホルミル−[2−(3,4−ジメチレンジオキシ−5−フルオロ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジンの準備]
実施例6の手順と同様の手順に従い、(2S,4S)−4−アセチル−スルファニル−2−カルボキシ−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン14.5g(50mmol)および2−(3,4−ジメチレンジオキシ−5−フルオロ−フェン−1−イル)−エチルアミン17.7g(90mmol)を用いることにより、17.2g、収率:80.7%の固体を得た。
[実施例14:(2S,4S)−4−メルカプト−2−ホルミル−[2−(3,4−トリメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジンの準備]
実施例6の手順と同様の手順に従い、(2S,4S)−4−アセチル−スルファニル−2−カルボキシ−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン14.5g(50mmol)および2−(3,4−トリメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミン17.4g(90mmol)を用いることにより、16.2g、収率:76.8%の固体を得た。
[実施例15:(2S,4S)−4−メルカプト−2−ホルミル−[2−(3,4−トリメチレンジオキシ−5−アミノスルホニル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジンの準備]
実施例6の手順と同様の手順に従い、(2S,4S)−4−アセチル−スルファニル−2−カルボキシ−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン14.5g(50mmol)および2−(3,4−トリメチレンジオキシ−5−アミノスルホニル−フェン−1−イル)−エチルアミン24.5g(90mmol)を用いることにより、18.0g、収率:71.6%の固体を得た。
[実施例16:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−N−メチル−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステルの準備]
乾燥した反応瓶中に、(4R,5S,6S)−3−ジフェノキシホスホリルオキシ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル23.8g(40mmol)の、200mlアセトニトリル溶液を加えた。反応混合物を−10°C未満に冷却し、ジイソプロピルエチルアミン10ml、および、(2S,4S)−4−メルカプト−2−ホルミル−[2−(3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−N−メチル−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン19.1g(45mmol)のアセトニトリル溶液100mlを加えて、この反応混合物を0°Cで15時間攪拌した。反応終了後、400mlの酢酸エチルを加え、有機層を分離して、水および飽和食塩水で洗浄し、乾燥させ、濃縮させて、21.9g、収率:71.3%の固体を得た。
[実施例17:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステルの準備]
実施例16の手順と同様の手順に従い、(4R,5S,6S)−3−ジフェノキシホスホリルオキシ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル23.8g(40mmol)、および(2S,4S)−4−メルカプト−2−ホルミル−[2−(3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン18.5g(45mmol)を用いることにより、21.2g、収率:70.2%の固体を得た。
[実施例18:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(2−トリフルオロメチル−4,5−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステルの準備]
実施例16の手順と同様の手順に従い、(4R,5S,6S)−3−ジフェノキシホスホリルオキシ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル23.8g(40mmol)、および(2S,4S)−4−メルカプト−2−ホルミル−[2−(2−トリフルオロメチル−4,5−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン21.5g(45mmol)を用いることにより、24.3g、収率:73.9%の固体を得た。
[実施例19:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(2−カルバモイル−3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステルの準備]
実施例16の手順と同様の手順に従い、(4R,5S,6S)−3−ジフェノキシホスホリルオキシ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル23.8g(40mmol)、および(2S,4S)−4−メルカプト−2−ホルミル−[2−(2−カルバモイル−3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン20.4g(45mmol)を用いることにより、21.3g、収率:66.8%の固体を得た。
[実施例20:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−メチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステルの準備]
実施例16の手順と同様の手順に従い、(4R,5S,6S)−3−ジフェノキシホスホリルオキシ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル23.8g(40mmol)、および(2S,4S)−4−メルカプト−2−ホルミル−[2−(3,4−メチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン17.8g(45mmol)を用いることにより、22.9g、収率:77.4%の固体を得た。
[実施例21:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3,4−メチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステルの準備]
実施例16の手順と同様の手順に従い、(4R,5S,6S)−3−ジフェノキシホスホリルオキシ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル23.8g(40mmol)、および(2S,4S)−4−メルカプト−2−ホルミル−[2−(2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3,4−メチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン22.9g(45mmol)を用いることにより、24.8g、収率:72.7%の固体を得た。
[実施例22:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−ジメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステルの準備]
実施例16の手順と同様の手順に従い、(4R,5S,6S)−3−ジフェノキシホスホリルオキシ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル23.8g(40mmol)、および(2S,4S)−4−メルカプト−2−ホルミル−[2−(3,4−ジメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン18.4g(45mmol)を用いることにより、22.6g、収率:75.2%の固体を得た。
[実施例23:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(4,5−ジメチレンジオキシ−2−フルオロ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステルの準備]
実施例16の手順と同様の手順に従い、(4R,5S,6S)−3−ジフェノキシホスホリルオキシ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル23.8g(40mmol)、および(2S,4S)−4−メルカプト−2−ホルミル−[2−(4,5−ジメチレンジオキシ−2−フルオロ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン19.2g(45mmol)を用いることにより、22.6g、収率:73.2%の固体を得た。
[実施例24:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−トリメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステルの準備]
実施例16の手順と同様の手順に従い、(4R,5S,6S)−3−ジフェノキシホスホリルオキシ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル23.8g(40mmol)、および(2S,4S)−4−メルカプト−2−ホルミル−[2−(3,4−トリメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン19.0g(45mmol)を用いることにより、23.2g、収率:75.5%の固体を得た。
[実施例25:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−トリメチレンジオキシ−5−アミノスルホニル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステルの準備]
実施例16の手順と同様の手順に従い、(4R,5S,6S)−3−ジフェノキシホスホリルオキシ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル23.8g(40mmol)、および(2S,4S)−4−メルカプト−2−ホルミル−[2−(3,4−トリメチレンジオキシ−5−アミノスルホニル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン22.6g(45mmol)を用いることにより、23.1g、収率:67.6%の固体を得た。
[実施例26:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−N−メチル−エチルアミノ]−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(化合物1)の準備]
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−N−メチル−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル15.4g(20mmol)を、ジクロロメタン100mlに溶解させた。反応混合物にフェニルメチルエステル20mlおよびニトロメタン30mlを加えたのちに、1mol/lのAlCl3のニトロメタン溶液200mlを−50°Cで滴下し、−40°Cで2時間攪拌した。反応終了後、この反応混合物に200mlの水を加えて濾過する固体を沈殿させ、その濾過ケークをTHF400mlおよび水30mlの混合物中に溶解させて、4gの10%Pd−Cを加え、この反応混合物を5MPaの水素ガス圧力下、周囲温度で2時間攪拌した。Pd−C触媒を濾過により取り除き、濾液にTHF(150ml)を加えて層化させた。水層を回収した。THF溶液に5%MgCl2水溶液(30ml)を加え、静置して、水層を分離させた。この処理をもう一度繰り返した。分離した水層を一緒にして、0°Cで300mlのエタノールを滴下し、−10°Cで1時間攪拌し、濾過して、水−イソプロパノールから濾過ケークを再結晶させて、5.8gの白色固体、収率:54.6%を得た。
【0078】
分子式: C263537
分子量: 533.64
元素分析:
測定値: C,58.45%;H,6.87%;N,7.69%;S,5.85%
理論値: C,58.52%;H,6.61%;N,7.87%;S,6.01%
MS: m/e 534.4(M+1)
1H−NMR(δ/ppm,600MHz,DMSO):7.85(1H,brs),6.88(1H,d),6.76(1H,s),6.65(1H,d),4.18(1H,d),3.89(1H,t),3.70(3H,s),3.65(3H,s),3.58(1H,t),3.42(1H,t),3.31(6H,m),3.20(1H,t),3.04(3H,s),2.66(2H,t),2.43(2H,t),1.40(1H,m),1.11(3H,t),1.09(3H,d)
[実施例27:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[(2−(3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(化合物2)の準備]
実施例26の手順と同様の手順に従い、(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル15.1g(20mmol)を用いることにより、5.5gの白色固体、収率:53.2%を得た。
【0079】
分子式: C253337
分子量: 519.61
元素分析:
測定値: C,57.51%;H,6.76%;N,7.87%;S,6.30%
理論値: C,57.79%;H,6.40%;N,8.09%;S,6.17%
MS: m/e 520.2(M+1)
1H−NMR(δ/ppm,600MHz,DMSO):7.96(1H,t),6.84(1H,d),6.79(1H,s),6.68(1H,t),4.11(1H,d),3.94(1H,t),3.73(3H,s),3.70(3H,s),3.60(1H,t),3.46(1H,t),3.33(6H,m),3.23(1H,t),3.17(1H,d),2.65(2H,t),2.47(2H,t),1.45(1H,m),1.14(3H,t),1.10(3H,d)
[実施例28:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(2−トリフルオロメチル−4,5−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(化合物3)の準備]
実施例26の手順と同様の手順に従い、(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(2−トリフルオロメチル−4,5−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル16.5g(20mmol)を用いることにより、5.8gの白色固体、収率:49.1%を得た。
【0080】
分子式: C2632337
分子量: 587.61
元素分析:
測定値: C,52.89%;H,5.67%;F,9.52%;N,6.96%;S,5.73%
理論値: C,53.14%;H,5.49%;F,9.70%;N,7.15%;S,5.46%
MS: m/e 588.3(M+1)
1H−NMR(δ/ppm,600MHz,DMSO):7.96(1H,t),6.84(1H,d),6.68(1H,t),4.11(1H,d),3.94(1H,t),3.73(3H,s),3.70(3H,s),3.60(1H,t),3.46(1H,t),3.33(6H,m),3.23(1H,t),3.17(1H,d),2.65(2H,t),2.47(2H,t),1.45(1H,m),1.14(3H,t),1.10(3H,d)
[実施例29:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(2−カルバモイル−3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(化合物4)の準備]
実施例26の手順と同様の手順に従い、(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(2−カルバモイル−3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル16.0g(20mmol)を用いることにより、5.2gの白色固体、収率:46.4%を得た。
【0081】
分子式: C263448
分子量: 562.64
元素分析:
測定値: C,55.32%;H,6.37%;N,9.68%;S,5.95%
理論値: C,55.50%;H,6.09%;N,9.96%;S,5.70%
MS: m/e 563.3(M+1)
1H−NMR(δ/ppm,600MHz,DMSO):7.93(1H,t),6.89(1H,d),6.74(1H,s),6.01(2H,w),4.11(1H,d),3.92(1H,t),3.73(3H,s),3.69(3H,s),3.60(1H,t),3.45(1H,t),3.34(6H,m),3.21(1H,t),3.16(1H,d),2.63(2H,t),2.45(2H,t),1.44(1H,m),1.15(3H,t),1.11(3H,d)
[実施例30:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−メチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(化合物5)の準備]
実施例26の手順と同様の手順に従い、(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−メチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル14.8g(20mmol)を用いることにより、5.2gの白色固体、収率:52.1%を得た。
【0082】
分子式: C242937
分子量: 503.57
元素分析:
測定値: C,57.05%;H,6.09%;N,8.12%;S,6.27%
理論値: C,57.24%;H,5.80%;N,8.34%;S,6.37%
MS: m/e 504.2(M+1)
1H−NMR(δ/ppm,600MHz,DMSO):8.49(1H,t),7.57(1H,q),7.21(1H,t),7.12(1H,d),6.95(1H,s),6.38(1H,q),6.24(1H,t),5.02(1H,s),4.28(2H,t),4.14(1H,q),3.94(1H,t),3.77(1H,t),3.60(3H,t),3.38(2H,m),3.19(1H,q),2.66(1H,q),2.56(1H,q),2.29(2H,s),1.14(3H,t),1.10(3H,d)
[実施例31:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(2−アミノ−3,4−メチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(化合物6)の準備]
実施例26の手順と同様の手順に従い、(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3,4−メチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル17.1g(20mmol)を用いることにより、5.0gの白色固体、収率:47.8%を得た。
【0083】
分子式: C243047
分子量: 518.58
元素分析:
測定値: C,55.26%;H,6.11%;N,10.54%;S,6.29%
理論値: C,55.59%;H,5.83%;N,10.80%;S,6.18%
MS: m/e 519.3(M+1)
1H−NMR(δ/ppm,600MHz,DMSO):8.49(1H,t),7.56(1H,q),7.23(1H,t),7.09(1H,d),6.41(1H,q),6.22(1H,t),5.02(1H,s),4.28(2H,t),4.14(1H,q),4.01(2H,s),3.92(1H,t),3.77(1H,t),3.61(3H,t),3.38(2H,m),3.19(1H,q),2.68(1H,q),2.55(1H,q),2.30(2H,s),1.15(3H,t),1.08(3H,d)
[実施例32:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−ジメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(化合物7)の準備]
実施例26の手順と同様の手順に従い、(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−ジメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル15.1g(20mmol)を用いることにより、5.2gの白色固体、収率:50.2%を得た。
【0084】
分子式: C253137
分子量: 517.59
元素分析:
測定値: C,57.76%;H,6.28%;N,7.91%;S,6.46%
理論値: C,58.01%;H,6.04%;N,8.12%;S,6.20%
MS: m/e 518.3(M+1)
1H−NMR(δ/ppm,600MHz,DMSO):8.47(1H,t),7.55(1H,q),7.23(1H,t),7.15(1H,d),6.94(1H,s),5.04(1H,s),4.87(2H,t),6.72(2H,t),4.25(2H,t),4.13(1H,q),3.92(1H,t),3.78(1H,t),3.62(3H,t),3.39(2H,m),3.19(1H,q),2.67(1H,q),2.57(1H,q),2.29(2H,s),1.14(3H,t),1.10(3H,d)
[実施例33:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(4,5−ジメチレンジオキシ−2−フルオロ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(化合物8)の準備]
実施例26の手順と同様の手順に従い、(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(4,5−ジメチレンジオキシ−2−フルオロ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル15.4g(20mmol)を用いることにより、5.3gの白色固体、収率:49.6%を得た。
【0085】
分子式: C2530FN37
分子量: 535.59
元素分析:
測定値: C,55.87%;H,5.96%;F,3.78%;N,7.53%;S,6.14%
理論値: C,56.06%;H,5.65%;F,3.55%;N,7.85%;S,5.99%
MS: m/e 536.3(M+1)
1H−NMR(δ/ppm,600MHz,DMSO):8.53(1H,t),7.55(1H,q),7.22(1H,t),6.95(1H,s),5.00(1H,s),4.84(2H,t),4.72(2H,t),4.24(2H,t),4.11(1H,q),3.92(1H,t),3.75(1H,t),3.61(3H,t),3.33(2H,m),3.17(1H,q),2.65(1H,q),2.54(1H,q),2.27(2H,s),1.13(3H,t),1.11(3H,d)
[実施例34:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−トリメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(化合物9)の準備]
実施例26の手順と同様の手順に従い、(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−トリメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル15.3g(20mmol)を用いることにより、5.1gの白色固体、収率:48.4%を得た。
【0086】
分子式: C263337
分子量: 531.62
元素分析:
測定値: C,58.55%;H,6.42%;N,7.67%;S,6.27%
理論値: C,58.74%;H,6.26%;N,7.90%;S,6.03%
MS: m/e 532.3(M+1)
1H−NMR(δ/ppm,600MHz,DMSO):8.51(1H,t),7.55(1H,q),7.21(1H,t),7.10(1H,d),6.94(1H,s),5.02(1H,s),4.82(2H,t),4.77(2H,t),4.29(2H,t),4.14(1H,q),3.94(1H,t),3.75(1H,t),3.61(3H,t),3.40(2H,m),3.21(2H,t),3.18(1H,q),2.66(1H,q),2.52(1H,q),2.29(2H,s),1.14(3H,t),1.10(3H,d)
[実施例35:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−トリメチレンジオキシ−5−アミノスルホニル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(化合物10)の準備]
実施例26の手順と同様の手順に従い、(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−トリメチレンジオキシ−5−アミノスルホニル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−(t−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル17.1g(20mmol)を用いることにより、5.0gの白色固体、収率:41.0%を得た。
【0087】
分子式: C2634492
分子量: 610.7
元素分析:
測定値: C,50.79%;H,5.84%;N,8.98%;S,10.34%
理論値: C,51.13%;H,5.61%;N,9.17%;S,10.50%
MS: m/e 611.1(M+1)
1H−NMR(δ/ppm,600MHz,DMSO):8.48(1H,t),7.57(1H,q),7.15(1H,d),6.93(1H,s),5.024(1H,s),4.83(2H,t),4.74(2H,t),4.29(2H,t),4.14(1H,q),3.93(1H,t),3.77(1H,t),3.62(3H,t),3.37(2H,m),3.22(2H,t),3.17(1H,q),2.65(1H,q),2.56(1H,q),2.34(2H,w),2.27(2H,s),1.15(3H,t),1.10(3H,d)
[実施例36:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[(2−(3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸ナトリウム(化合物2のナトリウム塩)の準備]
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸5.2g(10mmol)を20mlの脱イオン水に溶解させて、攪拌しながら氷浴中で0°Cに冷却した。この反応混合物に粉末状重炭酸ナトリウム0.85gをゆっくりと加え、温度を0°Cに保ちながらさらに2時間攪拌した。終了後、この混合物を0.2μmの微孔濾過フィルムを通して濾過した。濾液を凍結乾燥して固体を回収し、無水エタノールで十分に洗浄し、減圧下、周囲温度で24時間乾燥させて、4.5gのナトリウム塩、収率:83.3%を得た。
[実施例37:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−メチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸ピバロイルオキシメチルエステル(化合物5のピバロイルオキシメチルエステル)の準備]
化合物3(5.0g,0.01mol)をアセトニトリル30ml中に懸濁し、トリメチルブロモシラン(5ml)を滴下した。得られた混合物を加熱して3時間還流させた。終了後、溶剤を減圧下で除去した。次いで残留物をDMF(60ml)中に懸濁し、トリエチルアミン(6ml)を加えた。クロロメチルピバレート(1.8g,0.012mol)を攪拌しながら滴下した。反応混合物を45°Cに加熱して、2時間攪拌した。周囲温度まで冷却したのち、酢酸エチル50mlで希釈した。酢酸エチル層を分離し、酢酸エチルでさらに抽出した(20ml×2)。有機層を一緒にして水で洗浄したのちに(10ml×2)、2Mの塩酸溶液10mlを加え、30分間振り混ぜて酸性水層を分離した。これを40mlの飽和塩化ナトリウム溶液でさらに洗浄して黄色の酢酸エチル溶液を得た。無水硫酸ナトリウムを用いて溶液を5時間乾燥させてろ過し、濾液を減圧下で濃縮し乾燥させて淡黄色の半固体物質を得た。この半固体物質をイソプロパノール15ml中に加えた。混合物を攪拌、加熱して、澄明な溶液を得た。この溶液の熱いうちに、0.5gの活性炭を加え、攪拌して濾過した。沈殿物の形成を促進させるように、濾液を攪拌しながらイソプロピルエーテル(15ml)を滴下し、冷却して攪拌した。濾過により沈殿物を回収し、2.8gの白色固体、収率:45.7%を得た。
[実施例38:本発明の化合物の注射用無菌粉剤の製造]
(1)処方:
【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

【0090】
【表3】

【0091】
【表4】

【0092】
【表5】

【0093】
【表6】

【0094】
【表7】

【0095】
(2)製造工程:製造に利用される抗生物質保管用のガラス瓶やゴム栓などが殺菌された。バルク製剤(処方量に従って変換された量)および補助薬を処方に従って計量した。無菌粉剤をサブパッケージング用のサブパッケージングマシンに配置し、装填量を随時チェックした。栓および蓋を取り付け、完成品を総検査して、包装し、入庫した。
[実施例39:本発明の化合物の注射用凍結乾燥粉剤の製造]
(1)処方:
【0096】
【表8】

【0097】
【表9】

【0098】
製品用のガラス瓶、ゴム栓、溶剤準備用の容器、ならびに器具および装置の浄化、殺菌、および発熱原除去(depyrogenate)を行った。バルク製剤および補助薬を処方に従って計量し、生成される溶液の80%の分量の注射用蒸留水に補助薬を攪拌しながら溶解させた。注射用凍結乾燥粉剤用の活性炭を、生成される溶液の0.05%の分量で添加した。混合物を15分間攪拌、濾過して活性炭を除去し、攪拌しながらバルク製剤を添加して溶解させた。溶剤を定量して、所望のpH値に調整し、残りの注射用蒸留水を計量された体積まで加えた。最後に薬液を0.22μmの微孔フィルムを通して濾過し、その透明度をチェックした。半製品を検査した。次いで薬液をガラス瓶中に小分けし、凍結乾燥して、ゴム栓および蓋を取り付けた。完成品を総検査して、包装し、入庫した。
[実施例40:本発明の化合物の錠剤の製造]
(1)処方:
【0099】
【表10】

【0100】
【表11】

【0101】
(2)製造工程:バルク製剤を微粉状にして100メッシュのふるいにかけ、用いる全ての補助薬を別個に100メッシュのふるいを通過させた。バルク製剤と補助剤とを処方に従って計量した。本発明の化合物、予めゼラチン化したデンプン/デンプン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース(もしあれば)、および微結晶性セルロースを均質に混合した。混合物にHPMC水溶液(適量)を加え、均質に攪拌して適当に柔軟な物質を形成させた。この物質を20メッシュのふるいにかけて顆粒を形成させた。この顆粒を60°Cで焼成して乾燥させた。乾燥した顆粒にステアリン酸マグネシウム、微粉末化したシリカゲルを加え、精製するように18メッシュのふるいにかけて均質に混合した。検査のために半製品をサンプリングした。検査により決定した錠剤の重量に従い錠剤処方した。完成品を総検査して、包装し、入庫した。
【0102】
本発明の化合物の効果は、幾つかの本発明の化合物を用いた以下の生体外での抗菌テストおよび動物による薬物動態学的テストにより更に示される。本発明のその他の化合物は下記に例示された効果と同様の効果を有する。しかしながら、これらのテストは本発明の化合物が下記の効果のみしか有していないということに限定することを意図するものではない。
[実験1:本発明の化合物の抗菌性の測定]
検査した菌株:以下の全て臨床施設で隔離された菌株は公的機関から購入した。(1)グラム陽性菌:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、メチシリン耐性表皮ブドウ球菌(MRSE)、およびペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP);(2)グラム陰性菌:大腸菌(ESBL産生菌)、肺炎桿菌、および緑膿菌。
【0103】
検査した化合物:本出願人による自作の本発明の化合物1〜11;対照薬:メロペネム(注射用メロペネム)。
【0104】
実験方法:寒天希釈法、“Methodology of Pharmacological Experiments”, p1659−1660, Edited by Xu−Shuyun, First Edition, August 1982, People’s Medical Publishing House, Third Edition, January 2002, 5th Printing 参照。
【0105】
【表12】

【0106】
上記の表の結果は、本発明の化合物が臨床施設で隔離された菌株に対して著しく高い抗菌性を示し、これはメロペネムと同じであるか、もしくは僅かに高いことを示している。
[実験2:本発明の化合物のSDラット体内における薬物動態学の研究]
検査した薬物および処方:
検査した化合物:全て本出願人による自作の本発明の化合物2,4,5,10
対照薬:メロペネム(注射用メロペネム)、市販品。
【0107】
内標準:ワルファリン:白色粉末、純度:99%、バッチ番号:0072−8501、上海市薬検所(Shanghai Institute of Food and Drug Testing)により提供。
【0108】
薬物の処方:各薬物は、静脈注射用の最終的な濃度が5mg/mlとなるように生理食塩水中に溶解させることにより、投与を行う直前に用意される。
【0109】
実験動物:オスのSDラット;200〜250g;上海斯莱克実験動物有限責任公司(Shanghai SLAC Laboratory Animal Co.,Ltd.)より
動物実験:
投与:オスのSDラットを無作為に3匹ずつ5つのグループに分け、静脈注射により投与を行った。投与前に体重を測定した。静脈注射の投与量:10mg/kg。
【0110】
サンプルの採取:投与前にゼロ時点を指定した。投与後5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、24時間後に、それぞれ眼窩内静脈叢から血液サンプル0.5mlを採取し、ヘパリン化遠心分離管に入れ、8000rpmで6分間遠心分離を行い、血漿の上層を分離し、これをLC/MS/MS分析まで−20°Cで凍結保存した。
【0111】
血漿サンプルのLC/MS/MS分析の準備:
クロマトグラフィー条件:カラム:Gemini C6−Phenyl(50mm×4.6mm, 5μm);移動相:0.1%ギ酸−水−アセトニトリル(5:35:60,v/v/v);流速:1ml/min;カラム温度:35〜40°C;サンプリング量:5μl;スプリット比:1/5
質量分析条件:走査モード:陽イオンMRM法;イオン源:エレクトロスプレーイオン化(ESI);ネブライズガス:8L/min;カーテンガス:8L/min;衝突ガス:4L/min;ロングスプレー電圧:4500V;温度:400°C/500°C
標準曲線および品質管理サンプルの準備:適当な量の試験試料を正確に計量し、超純水を配合させて2.60mg/mLの原液を精製した。この原液をメタノールで希釈して、25000,5000,2500,500,250,50ng/mlの濃度を有する一組の希釈標準溶液を精製した。100μlの血漿をこれらの希釈標準溶液20μlに別々に加えて5000,1000,500,100,50,10ng/mlの濃度を有する標準液を形成させた。同様の手順に従い、4000,800,20ng/mlの濃度を有する品質管理用の試料液を用意し、分析してクロマトグラフィーを行い、標準曲線を作成した。
【0112】
試料の処理方法:血漿サンプル100μlを、20μlのアセトニトリルおよびワルファリン200ng/mlのアセトニトリル溶液200μlに加えた。混合物を1分間混合し、15000rpmで5分間遠心分離を行った。浮遊物100μlを除去し、3μlをLC/MS/MS分析用の試料として使用した。
【0113】
結果および検討:
投与薬の濃度:処方薬をHPLCにより分析して、標準試薬と比較した。得られた静脈注射用の投与液の濃度の精度は103.2%であった。
【0114】
データ解析:血漿中の薬物濃度が検出可能限界(10ng/ml)を下回る場合にこれを0と指定し、Winnonlin Professional 5.2 Pharmacokinetic softwareを用いたノン・コンパートメントモデルにより薬物動態パラメータを計算した。
【0115】
薬物動態学:種々の時点における血漿中の薬物濃度に応じて薬物動態パラメータを計算し、それにより薬物−時間曲線をプロットした。各化合物の血中濃度半減期(t1/2)を以下の表に示しており、ラット体内における本発明の化合物(静脈注射)の血中濃度半減期は、メロペネムの血中濃度半減期に比べて著しく長い。
【0116】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(I)の化合物、もしくは、その薬事的に許容可能な塩、加水分解しやすいエステル、もしくはその異性体。
【化16】

但し、
1は水素原子、もしくはカルボキシル基の保護基を示し;
2は水素原子、もしくはアミノ基の保護基を示し;
3は水素原子、もしくは低アルキル基を示し;
4およびR5はそれぞれ単独で水素原子、もしくは低アルキル基を示す、もしくはR4およびR5が結合して5〜8員環を形成し;
6は水素原子、ハロゲン、シアン基、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、カルバモイル基、アミノスルホニル基、低アルキル基であって、ハロゲン、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、シアン基、カルバモイル基、もしくはアミノスルホニル基と置換された低アルキル基または置換されていない低アルキル基、低アルコキシ基、低アルキルスルホニル基、低アルキルカルバモイル基、低アルキルスルホンアミド基、低アルキルアミド基、低アルキルカルボニル基、もしくは低アルキルカルボニルオキシ基を示し;
nは、1,2,3を示す。
【請求項2】
1は水素原子、もしくはカルボキシル基の保護基を示し;
2は水素原子、もしくはメチル基を示し;
3は水素原子、もしくは低アルキル基を示し;
4およびR5はそれぞれ単独で水素原子、もしくは低アルキル基を示す、もしくはR4およびR5が結合して5〜7員環を形成し;
6は水素原子、ハロゲン、シアン基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、アミノスルホニル基、ハロゲンと置換されたまたは置換されていない低アルキル基、低アルコキシ基、メチルカルバモイル基、メチルスルホンアミド基、もしくはアセチルアミノ基を示し;
nは、1または2を示す
ことを特徴とする請求項1に記載の化合物、もしくはその薬事的に許容可能な塩、加水分解しやすいエステル、もしくはその異性体。
【請求項3】
1は水素原子を示し;
2は水素原子、もしくはメチル基を示し;
3は水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示し;
4およびR5はそれぞれ単独で水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示す、もしくはR4およびR5が結合して5〜7員環を形成し;
6は水素原子、フッ素原子、アミノ基、カルバモイル基、アミノスルホニル基、もしくはハロゲンと置換されたもしくは置換されていない低アルキル基を示し;
nは2を示す
ことを特徴とする請求項2に記載の化合物、もしくはその薬事的に許容可能な塩、加水分解しやすいエステル、もしくはその異性体。
【請求項4】
1は水素原子を示し;
2は水素原子、もしくはメチル基を示し;
3は水素原子、もしくはメチル基を示し;
4およびR5はそれぞれ単独で水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示す、もしくはR4およびR5が結合して5〜7員環を形成し;
6は水素原子、フッ素原子、アミノ基、カルバモイル基、アミノスルホニル基、もしくは、フッ素原子と置換されたもしくは置換されていない低アルキル基を示し;
nは2を示す;
ことを特徴とする請求項3に記載の化合物、もしくはその薬事的に許容可能な塩、加水分解しやすいエステル、もしくはその異性体。
【請求項5】
1は水素原子を示し;
2は水素原子を示し;
3は水素原子、もしくはメチル基を示し;
4およびR5はそれぞれ単独で水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示す、もしくはR4およびR5が結合して5〜7員環を形成し;
6は水素原子、フッ素原子、アミノ基、カルバモイル基、アミノスルホニル基、メチル基、もしくはトリフルオロメチル基を示し;
nは2を示す;
ことを特徴とする請求項4に記載の化合物、もしくはその薬事的に許容可能な塩、加水分解しやすいエステル、もしくはその異性体。
【請求項6】
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−N−メチル−エチルアミノ]−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(2−トリフルオロメチル−4,5−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(2−カルバモイル−3,4−ジメトキシル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−メチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(2−アミノ−3,4−メチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−ジメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(4,5−ジメチレンジオキシ−2−フルオロ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−トリメチレンジオキシ−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、および、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル−[2−(3,4−トリメチレンジオキシ−5−アミノスルホニル−フェン−1−イル)−エチルアミノ]−1−ピロリジン−4−イル]−スルファニル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3,2,0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸
からなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の化合物、もしくはその薬事的に許容可能な塩、加水分解しやすいエステル、もしくは異性体。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか1つに記載の生理的有効量の化合物、もしくはその薬事的に許容可能な塩、加水分解しやすいエステル、もしくはその異性体と、1つ以上の薬事的に許容可能な担体および希釈剤のうちの少なくとも一方と、を含有する薬剤組成物。
【請求項8】
ヒトを含む哺乳類の感染症の治療用あるいは予防用の薬剤の製造用であることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1つに記載の化合物、もしくはその薬事的に許容可能な塩、加水分解しやすいエステル、もしくはその異性体の用途。
【請求項9】
前記感染症は、一般式(I)の化合物、もしくはその薬事的に許容可能な塩、その加水分解しやすいエステル、もしくはその異性体に対して感受性を有する細菌に起因することを特徴とする請求項8に記載の用途。

【公表番号】特表2010−531308(P2010−531308A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513622(P2010−513622)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際出願番号】PCT/CN2008/001238
【国際公開番号】WO2009/000163
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(510000024)ケービーピー バイオサイエンシズ カンパニー,リミテッド (1)
【Fターム(参考)】