説明

1−ヒドロキシメチル−1,3,5−トリアザペンタン、三塩酸塩の製造方法

1−ヒドロキシメチル−1,3,5−トリアザペンタン、三塩酸塩の新規の製造方法を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲において特徴付けられている対象、つまり1−ヒドロキシメチル−1,3,5−トリアザペンタン、三塩酸塩の新規の製造方法に関する。
【0002】
血管内の空間を表示するため(血液プールイメージング)の造影剤の使用は、MRI血管造影法において最も重要な適用の一つである。この場合、特に、いわゆるMS−325(US6,676,929およびWO96/23526)がすでに臨床試験の第三段階を無事に終えることができ、かつFDAにおける認可のために提出されたことが示されている。MS−325の合成は、Synthetic Communications、26(13)、第2511〜2522頁(1996)およびSynthetic Communications、29(14)、第2377〜2391頁(1999)に記載されている。
【0003】
該化合物の開発において、より大きな物質量を提供する要望が生じた。該物質はヒトに適用されるので、最終生成物の純度に対して、ならびに中間生成物に対して厳しい要求が課されなくてはならない。予測される広い適用範囲に基づいて、このような高価な生成物は、代表的な(安価な)コストで製造することができるべきである。従って、できる限り経済的に有利な合成法を得るという要望が存在する。
【0004】
MS−325を合成する極めて重要な中間生成物は、1−ヒドロキシメチル−1,3,5−トリアザペンタン、三塩酸塩(I)である:
【化1】

【0005】
US6,676,929およびWO96/23526に記載されている合成以外に、2つの合成経路が詳細に記載されている。
【0006】
第一の経路(Synthetic Communications、26(13)、第2511〜2522頁(1996))。
【0007】
【化2】

【0008】
合成の全収率は理論値の54.2%である。
【0009】
この合成における欠点(おそらくは実験室規模における研究合成)は、極めて損失率の高いBoc−セリンのアルキル化により得られ、かつ精製が困難である、極めて高価な出発原料O−ベンジル−Boc−セリンである。酸からの第一級アルコールの製造は、混合された無水物の形成を経由して水素化ホウ素ナトリウムによる現場での還元により実施される。このような反応を100kgの規模で大規模化する場合にまさしく問題が予測される。というのも、延長される添加時間および発熱反応は無水物の分解につながるからである。さらに、BOC基を分離する際に使用される大量のトリフルオロ酢酸の使用は、コストの理由のみからではなく、環境保護政策の観点からも最適ではない。合成はさらに、クロマトグラフィーによる精製を含んでおり、これは運転プロセスの視点からできる限り回避すべきである。
【0010】
第二の経路(Synthetic Communications、29(14)、第2377〜2391頁(1999))
【化3】

【0011】
合成の全収率は理論量の57.9%である。
【0012】
この合成の大きな欠点は、極めて高価なボラン−THF錯体の使用(Aldrich 2003/2004:20リットルの1.0Mボラン−テトラヒドロフラン−錯体が2403.10ユーロ!)であり、これは3倍の過剰量(!)で使用される。さらに大規模化にとって妨げとなる、使用原料に対して約16倍のTHFの著しい希釈が注意を引く。運転規模(1000〜8000l攪拌装置)でのジボランの取り扱いは、いずれの場合でも問題があり、かつ安全技術的に懸念がある。すでに、大量のジボラン溶液の取り扱いにおいて、死亡の結果を伴う中間事例が報告された(ファイザー)。さらに、後処理の際に生じるホウ酸を濾別しなくてはならないが、これは方法技術的に極めて煩雑である。
【0013】
比較的大量のMS−325を製造する(つまり、数千キログラムの製品を市場導入後に製造する)ために、1−ヒドロキシメチル−1,3,5−トリアザペンタン、三塩酸塩のできる限り費用経済的な合成を開発するという高い要求が存在する。
【0014】
本発明は、前記の要求を高い度合いで満足する。
【0015】
式I
【化4】

の化合物は、式IIaもしくはIIb
【化5】

の化合物からZ−保護基もしくはBoc−保護基の分離により製造される。
【0016】
分離は、アミンのための保護基を分離する、当業者に公知の方法により行い、かつ引き続き塩酸塩に変換する。Z−基およびBoc−基の分離は、T.W.Green、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley & Sons、N.Y.、1981およびP.J.Kocienski、Protecting Groups、Georg Thieme Verlag Stuttgart、1994に記載されている。
【0017】
BOC保護基の場合、BOC基の分離は塩酸水溶液(5%〜濃HCl)を用いて0〜100℃、有利には20〜80℃の温度で行う。三塩酸塩はアルコール、たとえばエタノール、メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノールもしくはこれらのアルコールの混合物もしくはこれらのアルコールとTHF、メチルt−ブチルメチルエーテルまたはアセトンとの混合物の添加により沈殿し、結晶形で単離することができる。多くの場合、塩酸の水溶液を有機溶剤の添加前に濃縮することは有利であることが判明している。
【0018】
Z保護基の場合、Z基の分離は、塩酸水溶液(10%〜濃HCl)を用いて、0〜100℃、有利には60〜100℃の温度で処理することにより、またはPd/Cを用いて水溶液中で接触水素化することにより行う。水とエタノール、メタノールまたはTHFとの混合物も、場合により塩酸水溶液の添加下に水素化のために使用することができる。水素化は10〜60℃、有利には室温で、2〜10バールの圧力で行う。触媒を濾別した後に、生成物を含有する濾液を後処理する。
【0019】
三塩酸塩(I)は、アルコール、たとえばエタノール、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールもしくはこれらのアルコールの混合物、有利にはエタノール/ブタノール混合物、もしくはこれらのアルコールとTHF、メチル−t−ブチルメチルエーテルまたはアセトンとの混合物の添加により沈殿し、かつ結晶形で単離することができる。多くの場合、塩酸水溶液を(水素化後も)有機溶剤の添加前に濃縮することは有利であることが判明している。
【0020】
三塩酸塩(I)を真空下で乾燥させ(T=25〜50℃/6〜48時間)、かつ次いで無色の結晶質粉末が得られる。
【0021】
当然のことながら、HBrをHClの代わりに使用することにより、臭化水素酸塩を製造するか、または硫酸を使用して硫酸塩もしくは重硫酸塩等を製造することもできる。
【0022】
式IIaおよびIIbの化合物は、一般式IIIaおよびIIIb
【化6】

の化合物から、THP保護基の分離により得られる。分離は、THP−エーテルを分離する、当業者に公知の方法;T.W.Green、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley & Sons、N.Y.、1981およびP.J.Kocienski、Protecting、Groups、Georg Theime Verlag Stuttgart、1994、Gupta、Priti;Fernandes、Rodney A.;Kumar、Pradeep;Tetrahedron Lett;44;22;2003;第4231〜4232頁、Burton、T.S.等;J.Chem.Soc.Perkin Trans.1;1976;第2550〜2556頁、Evans、R.J.D.等;J.Chem.Soc.Perkin Tarns.1;1974;第552〜556頁により行う。
【0023】
THP基の分離は、式IIIaおよびIIIbの化合物をアルコール、たとえばエタノール、メタノール、イソプロパノール、イソブタノールもしくはこれらのアルコールの混合物もしくはこれらのアルコールと水、THF、メチル−t−ブチルメチルエーテルまたはアセトンとの混合物中に溶解し、かつ鉱酸、たとえばHCl、硫酸、リン酸、しかし有利には塩酸水溶液(10%〜濃HCl、有利には濃HCl)を添加し、かつ0〜80℃、有利には0〜50℃の温度で攪拌する。反応時間は30分〜12時間、有利には3〜6時間である。生成物は反応の間に沈殿する。収率を向上するために、場合によりなお最終的にTHF、メチル−t−ブチルメチルエーテルまたはアセトンを完全な結晶化のために添加することができる。
【0024】
二塩酸塩(IIaおよびIIb)を真空下で乾燥させ(T:25〜50℃/6〜48時間)、かつ次いで無色の結晶質の粉末が得られる。
【0025】
式IIIaおよびIIIbの化合物は式IVaおよびIVb
【化7】

[式中、Xはトシルオキシまたはメシルオキシ基を表す]の化合物から、1,2−ジアミノエタンとの反応により得られる。
【0026】
反応は10〜70℃の温度で、有利には30〜60℃の温度で行う。反応時間は3〜12時間、有利には3〜8時間である。反応は直接純粋なジアミノエタン中で、または溶剤、たとえばTHF、ジオキサン、2−メチル−THF、ピリジンまたはアルコール、たとえばエタノール、メタノール、イソプロパノール、ブタノールの添加下で実施することができる。IVaもしくはIVbに対して、10〜40モル当量、有利には12〜25モル当量のジアミノエタンを使用することができる。
【0027】
後処理のために、過剰のジアミノエタンを場合により真空下で留去するか、または生成物を水の添加後に適切な溶剤、たとえばTHF、酢酸エステル、ブタノール、ジクロロメタン、2−メチル−THFを用いて抽出することができる。
【0028】
ジアミンのアルキル化はたとえば次のものに記載されている:Plamer、Brian D.;Lee、Ho H.;Johanson、Paul;Baguley、Bruce C.;Wickham、Geoffrey;等;J.Med.Chem.;33;11;1990;第3008〜3014頁、
Gibson、Dan;Gean、Keria−Fiorella;Ben−Shoshan、Raphael;Ramu、Avner;Ringel、Israel;Katzhendler、Jehoshua;J.Med.Chem.;34;1;1991;第414〜420頁、
Lee、Ho H.;Palmer、Brian D.;Baguley、Bruce C.;Chin、Michael;McFadyen、W.David;等;J.Med.Chem.;35;16;1992;第2983〜2987頁、
Skarzewski、Jacek;Daniluk、Ewa;Monatsh.Chem.;114;1983;第1071〜1078頁、
Sajiki、Hironao;Ong.Karen Y.;Nadler、Samuel T.;Wages、Heather E.;McMurry、Thomas J.;Synth.Commun.;26;13;1996;第2511〜2522頁、
EP680467(Schering AG).
いくつかのケースでは、式Iの化合物を式IIIaおよびIIIbの化合物から、THPおよびN−保護基の基をワンポット反応で分離することにより製造することが特に有利であることが判明した。この場合、両方の保護基の分離は、塩酸水溶液(5%〜濃HCl)を用いて、0〜100℃、有利には20〜95℃の温度で行う。三塩酸塩はアルコール、たとえばエタノール、メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノールまたはこれらのアルコールの混合物またはこれらのアルコールと、THF、メチル−t−ブチルメチルエーテルもしくはアセトンとの混合物の添加により沈殿し、かつ結晶形で単離することができる。多くの場合、塩酸水溶液を有機溶剤の添加前に濃縮することが有利であることが判明した。
【0029】
式IVaおよびIVbの化合物は、一般式VaおよびVb
【化8】

のアルコールのメシル化もしくはトシル化の、当業者に公知の方法により得られる。
【0030】
アルコールVaもしくはVbの反応は、非プロトン性溶剤、たとえばTHF、2−メチル−THF、ジクロロメタン、トルエン、有利にはTHF中の1〜1.5当量のメタンスルホン酸クロリドもしくはp−トルエンスルホン酸クロリドを用いて、アミン、たとえばトリエチルアミン、ヒューニッヒ塩基またはピリジン、有利にはトリエチルアミンの添加下に、−20℃〜+20℃、有利には−5〜+10℃の温度で行う。反応時間は1〜12時間、有利には1〜3時間である。
【0031】
文献:
Fukushi、Hideto;Mabuchi、Hiroshi;Terashita、Zen−ichi;Nishikawa、Kohei;Sugihara、Hirosada;Chem.Pharm.Bull.;42;3;1994;第551〜559頁、
Higashiura、Kunihiko;Morino、Hiroe;Matsuura、Hirohide;Toyomaki、Yoshio;Ienaga、Kazuharu;J.Chem.Soc.Perkin Trans.1;1989;第1479〜1481頁、
Donner,B.G.;Tetrahedron Lett.;36;8;1995;第1223〜1226頁;
Sajiki、Hironao;Ong.Karen、Y.;Nadler、Samuel T.;Wages,Heather E.;McMurry、Thomas J.;Synth.Commun.;26;13;1996;第2511〜2522頁、
Journal;Sajiki、Hironao;Ong.Karen Y.;Nadler、Samuel T.;Wages,Heather E.;McMurry、Thomas J.;Synth.Commun.;26;13;1996;第2511〜2522頁、
Benoist、Eric;Loussouarn、Anthony;Remaud、Patricia;Chatal、Jean−Francois;Gestin、Jean−Francois;Synthesis;8;1998;第1113〜1118頁。
【0032】
X=p−トルエンスルホキシである化合物IVbは文献公知である:Sasaki、N.Andre;Hashimoto、Chiyomi;Potier、Pierre;Tetrahedron Lett.;28;48;1987;第6069〜6072頁。
【0033】
化合物Vaもまた文献公知である:Wang、Yi−Fong;Lalonde、James J.;Momongan、Milagros;Bergbreiter、David E.;Wong、Chi−Huey;J.Amer.Chem.Soc.;110;21;1988;第7200〜7205頁。
【0034】
類似のBOC化合物Vbは、Sasaki、N.Andre;Hashimoto、Chiyomi;Potier、Pierre;Tetrahedron Lett.;28;48;1987;第6069〜6072頁に記載されている。
【0035】
有利であるのはメシレートIVaおよびIVbの使用である。
【0036】
一般式Vの化合物は文献公知である。
【0037】
新規の方法の利点は次のとおりである:
1.従来技術に対してより高い全収率(以下を参照のこと)、
2.容易な実施方法(前駆化合物の中間精製なし)、
3.安価な出発原料、
4.精製が可能な結晶質の中間体(調節のために重要)、
5.ジボランの回避(価格/安全性)、
6.トリフルオロ酢酸の回避。
【0038】
簡素化された方法により、数kgの規模のバッチを容易に、かつ問題なく実施することが可能になる。以下の2つの図式は、新規の方法を説明するためのものである:
1.Z法(2ポット)
【化9】

全収率:理論値の75%。
【0039】
2.Z法(ワンポット)
【化10】

全収率:理論値の73%。
【0040】
3.Boc法(2ポット)
【化11】

全収率:理論値の71%。
4.Boc法(ワンポット)
【化12】

全収率:理論値の72%。
【0041】
ワンポット法はより短時間であるが、調節の理由から2ポット法が有利である。というのも、これは中間体IIaもしくはIIbの付加的な精製手段が可能だからである。Z法が有利に利用される。
【0042】
Z法ならびにBoc法の全収率は、いずれの場合にも文献に記載されている方法よりも顕著に高い。この方法の簡単な実施により、8000lまでの規模でのバッチを実施することが可能である。さらに、製造コストは、より高い全収率およびより簡単な方法実施に基づいて著しく低下する。
【0043】
この合成により、目的化合物(I)の相応する対掌体あるいはまたラセミ体を製造することが可能である。
【0044】
以下の実施例は、本発明の対象を詳細に説明するためのものである。
【0045】

例1(Z法/2ポット法)
1a)3−アザ−5−アミノ−1−(R)−ヒドロキシメチル−1−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ペンタン、二塩酸塩
(S)−Z−セリンメチルエステル500g(1974.2ミリモル)を、テトラヒドロフラン(THF)2000mlおよびジヒドロピラン199.3g(2369ミリモル)中に装入し、かつp−トルエンスルホン酸100mgを添加する。60℃で6時間加熱する。反応が終了した後で、溶剤1000mlを留去する(過剰のジヒドロピランの除去)。新鮮なTHF2000mlを添加し、かつ水素化ホウ素ナトリウム227g(6.00モル)を添加し、かつ0℃に冷却する。この懸濁液にメタノール2500mlをゆっくり添加し、かつ温度を2℃〜6℃に維持する(気体の発生)。添加が終了した後で、10℃でさらに3時間、後攪拌する。水4000mlを添加し、かつ有機溶剤を真空下でほぼ除去する。引き続き、そのつど2000mlの酢酸エチルエステルで2回抽出する。合した酢酸エステル相を真空下でほぼ蒸発させ、かつ残留する油状物をTHF3000ml中にとる。
【0046】
トリエチルアミン405g(4.00モル)を添加し、かつ−5℃に冷却する。引き続き、メタンスルホン酸クロリド248.7g(2.17モル)を添加し、かつ温度を−5℃〜0℃に維持する。添加が終了した後に、0℃で1時間、後攪拌する。
【0047】
こうして得られた溶液に、1,2−ジアミノエタン1923g(32モル)を素早く添加し、かつ50℃で5時間攪拌する。水6000mlならびに水酸化ナトリウム176g(4.4モル)を添加し、かつ塩化ナトリウム200gを添加し、かつ全ての塩が溶解するまで強力に攪拌する。引き続き酢酸エチルエステル1000mlを添加し、かつ再度、強力に攪拌する。有機相を分離し、かつ水相を引き続き、そのつどTHF500ml/酢酸エチルエステル500mlからなる混合物を用いて2回、後抽出する。合した有機相を真空下で濃縮し、かつ残留する油状物をメタノール2500ml中に溶解する。濃塩酸180mlを添加し、かつ室温で2時間攪拌する。引き続き、メチル−t−ブチルエーテル3000mlを添加し、かつ0℃に冷却する(その際、表題化合物が完全に晶出する)。結晶を濾別し、かつ冷メタノール/メチル−t−ブチルエーテル1:1からなる混合物で2回、後洗浄する。結晶を真空下に40℃で8時間乾燥させる。
収率:無色の結晶544.1g(理論値の81%、使用した(S)−Z−セリンメチルエステルに対する)。
元素分析:
【表1】

【0048】
水素化によるZ−保護基の分離
1b)3−アザ−5−アミノ−1−(R)−ヒドロキシメチル−1−アミノ−ペンタン、三塩酸塩
例1aからの表題化合物544.0g(1599ミリモル)を、メタノール4400ml/水1100mlおよび濃塩酸55mlからなる混合物中に溶解し、かつ水素化触媒Pd/C(Pd10%)8gを用いて室温で水素化する(6バール)。触媒を濾別し、かつ濾液を真空下でできる限り濃縮する。残留する油状物を濃塩酸950mlにとり、かつ室温で攪拌する(その際にすでに結晶化が開始する)。引き続き、エタノール2500ml/n−ブタノール750mlからなる混合物を慎重に滴加する(その際に生成物が晶出する)。0℃に冷却し、かつこの温度で3時間攪拌し、沈殿した結晶を濾別し、かつ冷エタノール/n−ブタノール=3:1からなる混合物で2回、後洗浄する。引き続き結晶を真空下に50℃で乾燥させる(7時間)。
収率:無色の結晶360.7g(理論値の93%)。
元素分析:
【表2】

全ての工程の全収率:理論値の75%。
【0049】
例2(Z法/ワンポット法)
3−アザ−5−アミノ−1−(R)−ヒドロキシメチル−1−アミノ−ペンタン、三塩酸塩
例4に記載した方法と同様に、Z−中間体をワンポット法で目的化合物に変換する。
【0050】
Z保護基の分離はHClを用いた酸性の加水分解により行う。
【0051】
このために、中間体IIIaを濃塩酸中に溶解し、かつ90℃で6時間加熱する。室温に冷却する。引き続き、エタノール/n−ブタノール(3:1)からなる混合物を慎重に滴加する(その際、生成物が晶出する)。0℃に冷却し、かつこの温度で3時間攪拌し、沈殿する結晶を濾別し、かつ冷エタノール/n−ブタノール=3:1からなる混合物で2回洗浄する。引き続き、結晶を真空下に50℃で乾燥させる(7時間)。
収率:無色の結晶(理論値の91%)。
元素分析:
【表3】

全ての工程の全収率:理論値の73%。
【0052】
例3(Boc法/2ポット法)
3−アザ−5−アミノ−1−(R)−ヒドロキシメチル−1−アミノ−ペンタン、三塩酸塩
例1に記載した方法と同様に、Boc中間体を2ポット(IIbの中間的な単離を用いる方法)で目的化合物に変換する。
元素分析:
【表4】

全ての工程の全収率:理論値の71%。
【0053】
例4(Boc法/ワンポット法)
3−アザ−5−アミノ−1−(R)−ヒドロキシメチル−1−アミノ−ペンタン、三塩酸塩
(S)−Boc−セリンメチルエステル433g(1974.2ミリモル)をテトラヒドロフラン(THF)2000mlおよびジヒドロピラン199.3g(2369ミリモル)中に装入し、かつp−トルエンスルホン酸100mgを添加する。60℃で6時間加熱する。反応が終了した後で、溶剤1000mlを留去する(過剰のジヒドロピランの除去)。
【0054】
新鮮なTHF2000mlを添加し、水素化ホウ素ナトリウム227g(6.00モル)を添加し、かつ0℃に冷却する。この懸濁液に、メタノール2500mlをゆっくり滴加し、かつ温度を2℃〜6℃に維持する(気体の発生)。添加が終了した後で、10℃でさらに3時間、後攪拌する。水4000mlを添加し、かつ有機溶剤を真空下でほぼ留去する。引き続き酢酸エチルエステルをそのつど2000ml用いて2回抽出する。合した酢酸エステル相を真空下でほぼ蒸発させ、かつ残留する油状物をTHF3000ml中にとる。
【0055】
トリエチルアミン405g(4.00モル)を添加し、かつ−5℃に冷却する。引き続き、メタンスルホン酸クロリド248.7g(2.17モル)を添加し、かつ温度を−5℃〜0℃に維持する。添加が終了した後に0℃で1時間、後攪拌する。
【0056】
こうして得られた溶液に、1,2−ジアミノエタン1923g(32モル)を添加し、かつ50℃で5時間攪拌する。水6000mlならびに水酸化ナトリウム176g(4.4モル)および塩化ナトリウム200gを添加し、かつ全ての塩が溶解するまで強力に攪拌する。引き続き酢酸エチルエステル1000mlを添加し、かつ再度強力に攪拌する。有機相を分離し、かつ水相を引き続き2回、そのつどTHF500ml/酢酸エチルエステル500mlからなる混合物を用いて後抽出する。合した有機相を真空下で濃縮する。
【0057】
残留する油状物を濃塩酸1400ml中に溶解し、かつ90℃で6時間加熱する。室温に冷却する。引き続き、エタノール3150ml/n−ブタノール1050mlからなる混合物を滴加する(その際、生成物が晶出する)。0℃に冷却し、かつこの温度で3時間攪拌し、沈殿した結晶を濾別し、かつ冷エタノール/n−ブタノール=3:1からなる混合物を用いて2回、後洗浄する。引き続き結晶を真空下に50℃で乾燥させる(7時間)。
全収率:無色の結晶398g(全ての工程で理論値の72%)。
元素分析:
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1−ヒドロキシメチル−1,3,5−トリアザペンタン、三塩酸塩(I)
【化1】

の製造方法において、
式IVaまたはIVb
【化2】

[式中、Xは、−OSO2Meまたはp−トルエンスルホキシ基を表す]の化合物を、1,2−ジアミノエタンと反応させて式IIIaまたはIIIb
【化3】

のアミンにし、引き続き、THP保護基を分離し、かつこうして得られたIIaまたはIIb
【化4】

の化合物中で、窒素原子に存在する保護基を分離することを特徴とする、1−ヒドロキシメチル−1,3,5−トリアザペンタン、三塩酸塩(I)の製造方法。
【請求項2】
1−ヒドロキシメチル−1,3,5−トリアザペンタン、三塩酸塩(I)
【化5】

の製造方法において、式IVaおよびIVb
【化6】

[式中、Xは、−OSO2Meまたはp−トルエンスルホキシ基を表す]の化合物を、1,2−ジアミノエタンと反応させて式
【化7】

のアミンにし、かつ最後に全ての保護基をワンポット法で分離することを特徴とする、1−ヒドロキシメチル−1,3,5−トリアザペンタン、三塩酸塩(I)の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の式I
【化8】

の化合物を製造する方法において、IIa、IIIaおよびIVaの段階を経由することを特徴とする、請求項1記載の式Iの化合物の製造方法。
【請求項4】
式IIa
【化9】

の化合物。
【請求項5】
式IIb
【化10】

の化合物。
【請求項6】
式IIIa
【化11】

の化合物。
【請求項7】
式IIIb
【化12】

の化合物。
【請求項8】
IVaおよびIVbの相応するエナンチオマーを合成手順に使用することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項9】
IVaおよびIVbの相応するラセミ体を合成手順に使用することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。

【公表番号】特表2008−500291(P2008−500291A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513705(P2007−513705)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003365
【国際公開番号】WO2005/115968
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(390014166)シエーリング アクチエンゲゼルシヤフト (12)
【氏名又は名称原語表記】Schering Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−13353 Berlin, Germany
【Fターム(参考)】